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ラジオアプリ「RADIKO」が楽しくて、色々な番組を聴いて週末を過ごしました。
●ラジオが聴けるアプリ「RADIKO」は、バージョンアップして使い勝手が向上しました。以前は有料だった「タイムフリー」機能が無料で使えるようになった。つまり、一週間以内の範囲で過去の番組が聴けるようになっちゃった。これは便利だ!関東地方の放送局の一週間のタイムテーブルが全部ボクに「聴いて聴いて」と呼びかけてくる。これは困った、何を聴いたらいいのだろう?

●ボクが「RADIKO」にハマったのはとりもなおさず日曜日14時〜の「山下達郎のサンデー・ソングブック」なワケで。所用あってリアタイでこれが聞けなかった!という場面でも夕方にジックリ聴くことができる。ああ安心。
●するとこの番組の中で告知が流れる別の番組が気になりだす。土曜日23時「桑田佳祐のやさしい夜遊び」桑田佳祐さん、毎週土曜の夜中に生放送やってんだ!?しかもコンサートのサービス精神全開みたいな、酔っ払ってるのか?テンションでオヤジギャグを振りまく与太話ブリがある意味で豪華。リハスタジオの現場からそのまま悪フザケしておしゃべりしてる感じ。THE DOOBIE BROTHERS みたいな古典ロックから江利チエミさんみたいな昭和歌謡まで網羅する桑田ルーツな選曲もさることながら、番組終盤で生演奏してくれるトコロもいいね。最近激ハマりしてるボウリングの話題も満載。

●他にもいい番組はないかな?INTER FM細野晴臣さんの番組がある。「DAISY HOLIDAY!」日曜25時〜。こちらもたまたまリハスタジオからの実況収録で、細野さんはバンドメンバーに任せて全然喋らない。ただ、ラジオだとなんだかソレでもOKなんだよな。ここもいい趣味の選曲。TOMMY DORSEY のスウィングジャズと ST. VINCENTのピアノ曲と LED ZEPPELIN が同居してしまう不思議さと寛容さ。

TOKYO FM に戻って「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」日曜21時〜なんて番組も発見。草野マサムネさんのハイトーンなボーカルは知ってても、普通にしゃべる声は初めて聞いたかも。予想以上にハキハキしゃべるんだね。スピッツの柔らかいイメージとは異質なコンセプト「ロック大陸」とはデカく構えたなーと思ったけど、選曲は CHEAP TRICK から THE RASPBERRIES に始まり THE LEMONHEADS に繋がるナカナカにカユイところに手が届く内容。GIGORO ANTS の曲が流れて嬉しい!90年代USギターポップバンド THE VELVET CRUSH のメンバーのサブユニットだよ、渋い!

「ジュグラーの波〜なぜ衛藤美彩はラジオで数字を学ぶのか?〜」日曜25時〜は、ホントに何をしてるかわからなくて聞いてしまった。乃木坂46の美人お姉さま・衛藤美彩 aka みさみさ先輩が、公認会計士のおじさんと経済情報をしゃべってる。なんだよ「つみたてNISA」って?ガチで金融商品の解説してんじゃん。デビットカードの説明に引っ掛けて DAVID BOWIE「STARMAN」かけてました…DAVIDとDEBIT、綴り全然違うじゃん!

●他にも坂本龍一さん、松任谷由実さん、吉田拓郎さん、田中康夫さん(やっぱりAORをかけてるらしい)、テイトウワ、横山剣 from CRAZY KEN BAND、そんで吉永小百合さん!テレビの前にホイホイ出てこない人がラジオの世界にはたくさんいるらしい、ホントに知らなかったよ。これにアイドルやお笑いが加わったら手に負えない。宇多丸さんがやってるみたいな帯番組やオールナイトニッポンもとてもチェックしきれない。うわーホントに大変だよ。

RIP SLYME「YAPPARIP - ULTIMATE EARLY YEARS COLLECTION 1995-2000」

RIP SLYME「YAPPARIP - ULTIMATE EARLY YEARS COLLECTION 1995-2000」
●ラジオアプリ「RADIKO」でアレコレの番組を巡り巡って、箭内道彦さんの番組「風とロック」をダラダラと聴いてました。この番組は箭内道彦さんがホントにダラシャベリで通して、音楽どころかロクなジングルも鳴らない。少々ラジオ聞きすぎで疲れたので、本来なら興味深いかものトークもほとんどアタマに入ってない状態のまま迎えたエンディング。ここでガツンとかけられた音楽が RIP SLYME のヒットシングル「黄昏サラウンド」2004年。白黒トーンのトークからの、いきなりカラフルな RIP SLYME の音楽はとてもグラマラスかつセクシーに聴こえて。そんでそのまま、彼らのCDを聴くこととする。
つい先日、このヒップホップグループは正式に活動休止を発表しました。恥ずかしながらボクは彼らの不在に全然気づいてなかったのだけど、2016年からリリースもなくなってて、とっくのとうに事実上活動休止してたのかも。キッカケは各種ニュースによるとメンバー SU の不倫疑惑。彼の奥さんは大塚愛なんだけど、不倫の相手はよく知らない女の人。しかしこの報道があったのは去年の話で、10月末日に突然の公式サイト閉鎖はなんだか不自然でビックリだよ。
今聴いているのは、彼らのキャリアの最初期の音源。日本ヒップホップ史で重要な役割を果たしたインディレーベル FILE RECORDS から発表していた90年代の楽曲のコンピ。メジャーデビュー時で揃っていた5人がまだ集まってない時代の楽曲もある(SU も後発合流メンバーなのでいたりいなかったり)。00年代メジャー期の彼らが武器にしたハイテンポでキャッチーなトラックはまだ確立していなくて、いわゆる90年代ヒップホップ、より具体的に言えばアメリカ東海岸風からのスチャダラパー「5TH WHEEL 2 THE COACH」1995年の影響下にある、メロウネスを基調にしたスタイルが未熟と言えば未熟、ただ純真にヒップホップを追いかけてたという感じが、なんだか懐かしく愛おしい。そこから20年以上の月日が流れての活動休止を思うと、そのメロウネスがセンチメンタルにも聴こえるよ。
●このチームの最大の特徴は個性的なラッパーのマイクリレーで、最初から RYO-Z、イルマリ、PES の三人がその個性あるフロウを絶妙に交換していくのはこの最初期でもバッチリ。SU はスキルフルなラッパーではないが独特の低音がインパクトがあってヨシ。しかし敢えて言えば、PES が凄すぎる。コミカルなキャラを担当して道化のように振舞いながら、彼のメロディアスなフロウは圧倒的に耳に優しいし、誰のラップよりもユニークでいる。しかもリミックス含む収録曲18曲のうち彼がプロデュースしたのが全部で10曲!ターンテーブル担当の DJ FUMIYA は4曲しかやってないのに。
●その他、彼らが所属した一派 FUNKY GRAMMER UNIT のメンバーも参加。頭領格の RHYMESTER 先輩、90年代の良心グループ MELLOW YELLOW、「ダヨネ!」EAST END のトラックメイカー YOGGY の名前も見えるよ。みんな、若かったのです。

女神のKISS

PES「女神のKISS」2012年
RIP SLYME のメンバーのソロ活動第一弾が、実は音楽的素養の一番豊かな PES だったってのは、当時は意外なように思えながらも今では納得感がある。結果的にはちょっと地味なシングルなんだけど、ソレは彼が敢えて歌モノにチャレンジしたから。チャーミングでコミカルなピエロは一旦忘れて、独立独歩のシンガーソングライターとして聴いてあげよう。メロディもトラックも十分にポップ。ただ、RIP SLYME PES の存在感は本当にデカくて、ここでギターを奏でるシンガーにはもっと高い水準も期待したくなる。そもそもで、早いところ色々な面倒を片付けて RIP SLYME はとっとと復活してくださいよ!もっと面白いことができるはずでしょ!
●ドラマ「リーガル・ハイ」の主題歌だったそうだけど、今思えば女優・新垣結衣が一皮剥けたのはここらのキャリアだったのでは。今期のガッキーのドラマをチェックしてるので、そんな連想もしてしまう。







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突然ですが、屋形船。
70歳を迎えたボクの両親の古希祝いで、妹夫婦とワイフと相談しまして「屋形船で食事会」なんてことをしてみました。
●せっかくのお祝いなので、ボクとワイフでチョイと変わった事をしてみたいと相談した結果「屋形船」と相成りました。他にもアイディアはあったけど、名古屋在住の妹一家と合流できる限られた時間の中で、エクストリーム感を出せる演出はコレしかないかなと。ボクのコレまでの「屋形船」経験は、会社の打上げ大会として2回。リーマンショック以前の00年代、いや最初の1回目は90年代でまだ20歳台だった気が。いやいや久しぶり。つーか、他のみなさんは初体験。

IMG_8365屋形船

●今まで、浅草から出発しての隅田川下り、というのがボクの経験だったんだけど、ワイフのリサーチで今回は品川発、東京湾〜お台場側からの隅田川の遡上。東京スカイツリーを眺めてUターン、お台場フジテレビ前に停泊して、東京ベイエリアをグルリと眺めるというコース。オープンしたばかりの豊洲市場の灯も見えましたわ。
●舟盛りのお刺身に、揚げたての天ぷら(大好物のマイタケ天たっぷり)は美味しいし、船からのサプライズで古希のムラサキ色チャンチャンコ記念撮影とかもあったし、小学生の姪っ子甥っ子も喜んでくれたみたいで、ボクは満足でございます。予約等の仕込みに尽力したワイフに謝意。

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そんで、エクストリーム感なお祝い、第二弾として。
●屋形船から見えるこのホテル、グランドニッコー東京・台場に一泊。
エクストリーム感は連投した方がよいかと。ボクも両親も東京に暮らしてるので、そのまま帰宅でもいいのだけど、だからこそ東京のホテル体験は稀ということで。名古屋から出向く妹一家も楽しいのでは。両親にはラウンジが使える上層階フロアをあてがって、ボクらは低層階だけど広い4人部屋を2つ。広いベッドは気持ちいいねえ。妹一家は翌日の午前中朝イチからお台場界隈を探索して、海浜公園に足突っ込んだり、たまたま開催してたよさこいイベントも見学したり、数々のモールでお買い物もしてたようですわ。
●ワイフがいうには「アナタ親孝行らしいこと一回もやったことがないんだから、ここは奮発しなさいな!ヘソクリ総動員すればなんとかなるから!」という話で。そんなにヘソクってたの?と一瞬思ったけど、内助の功で財政的負担もうまく吸収できました。

しながわ水族館いるかショー

●さらにエクストリーム演出は、序盤にもう一枚仕込んでまして。
「しながわ水族館」でサカナを見る!
●率直言いまして、今回の「おもてなし対象」には、古希の主役・ボクの両親だけではなく、姪っ子甥っ子をかなり意識しておりました。結局ジジババは孫がわかりやすくハシャいで楽しむのが一番嬉しいのであります。ボクの子供ノマドヒヨコはもう高校生だからそこまでチアフルな表情を見せないけど、姪カナメ甥カケルは純真キラキラ小学生で素直なリアクションが眩しいほど。彼らが今回のお祝いをエクストリームだと思って盛り上がってくれることが成功の必要条件!逆にスベったとなれば、ボクの演出は失敗も同然なのです。「親戚の集まり、オックウ〜」ではダメなのです、「ジジババと会うのは楽しい」でなければ一族の結束は保たれないのであります。
●ということで、ワイフが品川の屋形船を仕込んだと同時に、その事前にこの水族館ツアーを提案しました。ジジババに水族館のバリューは100%理解できないのは最初から承知なのですが(むしろこれから食べるモノと思うはず)、カナメカケルは楽しんでくれたはず!イルカショーとかも見てくれてたし!少なくともボクの娘ヒヨコは水族館全体に激ハマリで、3時間みっちり堪能しとりました。ニモ=クマノミの水槽の底で、地味な小エビがセッセと砂地に巣穴を掘るけどすぐに穴は崩れちゃうという様子をじっくり5分くらい眺めておりました。デンキウナギが発電してる様子もだいぶ気に入った模様。あと、世界最大の淡水魚ピラルクーの面構えとか。この娘は古文のレポートで「堤中納言物語」「虫愛づる姫君」を題材に選びましたが、ボクはコイツ自身が「虫愛づる」系の変人ではないかと思っております。息子ノマドはスカしやがって、水族館には入場せず、フィリップ・K・ディックの文庫本をベンチで読んでやがりました。



●ここで音楽。水族館から一気に「再生YMO」に話題はジャンプします。

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YELLOW MAGIC ORCHESTRA「TECHNODON」1993年
●1984年に「散開」した YELLOW MAGIC ORCHESTRA は、2003〜07年あたりからの成り行き場当たり的な感じの再結成で今も散発的な活動をしておりますが、90年代に一瞬だけ「再生」と銘打って再結成しております。その時のアルバムがコレ。関連シングルも二枚出ましたし、東京ドームでコンサートもしてる。だけど、彼らの中では鬼子的存在なのか、スポッティファイのカタログにもコレだけ意図したようにスッポリ抜けてる。当時のプロモーション活動もティーザー要素が強すぎて、大学生だったボクにはその正体がよくワカランかったし、一連のプロジェクトが終わったら後腐れなくまた三人バラバラに活動しちゃった。だから、この作品に思い入れはないのかなーなんて思ったり。

●ただ、今回、この四半世紀前の懐かしい音源を思い出したのは、イルカの音楽が収録されてるから。
「しながわ水族館」のイルカショーは、ここしばらくちょっと地味目の演出で運営してる。なぜならメインのアクターイルカさん(というのか?)が出産〜育児中で、派手なジャンプ演技ができないそうなのだ。事前にステージ上のお姉さんからアナウンスがあったのだが、その瞬間は意味がわからなかった。そしてリアルにショーは地味。
●ただ、別フロアからこのイルカ水槽の中が見えることができて、初めて納得できた。問題の育児中のイルカさんには、ぴったりと赤ちゃんイルカがくっついていて、本当に片時も離れないのだ。お母さんが水上にジャンプして姿を消したら心配でたまらないだろう。コレはしょうがないと心から納得できた。どのくらいの赤ちゃんかわからないが、小ぶりな大きさながら動きは立派に敏捷で、すごく利口に見えるが甘えんぼであることは素人でもハッキリわかる。ママイルカとキスするような動作さえ見せる。イルカってやっぱり素敵な生き物だ〜。

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●で「TECHNODON」には「DOLPHINICITY」という曲が収録されてまして。
●おそらく造語でありましょう、このタイトル。ただしまさしくイルカが海中を自由に泳ぐ様子を連想するような躍動感溢れるテクノミュージックであります。イルカショーでの解説では、イルカは簡単に速度60キロほどのハイスピードで泳ぐのですが、絶妙な身のこなしで狭い水槽の中でも壁にぶつかったり仲間と衝突することはないそうです。そして実際にこの目で見た赤ん坊と母親のぴったり息のあったシンクロぶりも素晴らしいその時にこの曲が頭の中に響いた。ガアガアというイルカの鳴き声?をサンプルして効果をたっぷりかけて楽曲の中に散りばめた演出、自由なベクトルでシンセ音がステレオ音響の中で振れる様子もイルカの奔放ぶりを示してるのかも。コーラスのフレーズ「BIG GOOD BOY」もイルカの無邪気ぶりを連想させます。水槽下層から水面上を見上げてキラキラした空をイルカとともに眺めるのはとても気持ちが良い。
●当時の細野晴臣さんは、イルカ研究家、ジョン・C・リリーの言説に影響されていたようで。後年マッドサイエンティスト的な評価も出てくる人なんですけど。細野晴臣さんという人物は、ある意味でのスピリチュアリズムに傾倒しているタイプのようで、このアルバムのコンセプトや自身のソロ作にも影響が垣間見れる。そんなことも含め、このアルバムの制作の裏側で起こってたことが一冊の本になってた。

後藤繁雄「テクノドン

編著・後藤繁雄「テクノドン〜細野晴臣・坂本龍一・高橋幸宏 YMO全発言・再生の秘密」
●極秘で始動した再生プロジェクトの最初期から、その様子を克明に記録する取材者として密着。ヨージヤマモトのプライベートスタジオでのコンセプトワークから、ニューヨークに拠点を移しての制作過程、宣伝活動の準備、その間のメンバー三人のインタビュー、時に打合せをそのままテープ収録するとか、しっかりとその息吹を伝えている。鬼子と思われているこのアルバム(メンバー本人たちも否定的だったり…)だけど、その制作過程では、メンバー全員がかなり真剣だったということがよくわかる。
言い出しっぺは、細野さんだったのか?もうテクノは聞いてないという教授とユキヒロさんに「コレを聴け」的な指南をしているのが制作最初期。細野さんは当時アンビエントハウスに強い関心があって、それを環境意識や地球自然とのシンクロを達成する神秘主義的回路のように考えてた節がある。テクノロジーを経由して、スピリチュアリズムへアプローチする考え方。収録曲に「HI-TECH HIPPIES」というタイトルがあるトコロがすでに象徴的。イルカ研究家ジョン・C・リリーへの関心もそんな気分が通底している気がする。元祖ヒッピーというかその前世代ビート作家ウィリアム・バロウズに音声提供をお願いしてフックに使いまくってるところもワザあり。さすが60年代から活動している元フーテン
●とはいえ、坂本教授も、この当時のソロ作「BEAUTY」1989年「HEARTBEAT」1991年で官能的なハウスを大胆に導入しているので、テクノに関心がないなんてホントかな?なんて思っちゃう。しかも実際の制作となったら、教授は即座にトラックを作ってきてしまう。そのままだと STEVE REICH のような現代音楽になっちゃうらしいですが。ただ理屈っぽいようでいながら、細野さんのスピリチュアリズムに対して否定的にならない3人の呼吸感が、ああ芸術家はやっぱ感性が違うんだなと素朴に思った。ただ、教授と細野さんの間をとりもつのがユキヒロさんの従来からの役割だそうで。そのユキヒロさんは神経症に悩まされてて安定剤/デパスを飲んでるみたいだな。デパス愛好者としてはボクと同じだ。
●アートクリエイティブでは、ジャケにジェニー・ホルツァー、アートフォトにナン・ゴールディン、この本のグラフィックにはバーバラ・クルーガーが関わっている。作詞提供にウィリアム・ギブスンとかね。当時最前線の一流がゾロリ登場。その一方で、ニューヨークの日本料理屋さんで働いていた日本人の女の子を突然コーラスに採用したりと、彼らなりのユーモアはやっぱりここにある。だってタイトルだって「テクノ丼」だし。最初のシングルカットが ELVIS PRESLEY のカバー「POCKETFUL OF RAINBOW」1960年ってトコロも趣味がいいね(ここも細野さん趣向)。90年代テクノを意識しまくったクセして、メロウネスたっぷりのAORに聴こえるよ。スポッティファイで原曲も聴いた。「G.I.BLUES」1960年に収録されてた。徴兵から戻ってきた ELVIS が映画ばっかり出てた頃のサントラ?ロックンロールとは無縁な感じで、どこか牧歌的。

なんで、この作品の評価はあまり高くないのでしょう?
ボクは好きなんです。水族館でいきなり頭の中で鳴り出すほどに。ボクは80年代の最初のYMOを聴くには若すぎて、その革新性には思いが至らなかった。まだ小学生で、姪っ子カナメと変わらない年齢だったし。YMOをシッカリ聴き始めるのは1992年から。大学に入って友人たちに進められて。その時は、オリジナルと同列で後年のリミックス盤(海外のテクノアーティストがリミックス)もいっぺんに借りて聴いた。だから、90年代テクノとYMOの音楽は一連の繋がりが前提になってたのですわ。そんでそのままこの「再生」YMOに邂逅。
ただ、一般のファンにとってはどうか?80年代のテクノポップと90年代のテクノは、似ているようでそのコンテクストがまるで違うので、普通に戸惑ったはずだ。同じインスト楽曲でも印象的なメロディが登場せず、反復反復でテンションが積み上がっていく90年代テクノの身体性と、80年代の楽曲観は相容れないはずだから。80年代テクノポップを楽しむ人にとって、90年代以降のテクノは粗悪な存在に見えても仕方がない。
YMOメンバー当事者にとってはどうか?これはこれで全然視点が違う。YMOが今更取り組むには、実はモチーフがみんな古いのだ。アンビエントハウスも THE ORB THE KLF といったイギリスのアクトが80年代末に着手してるし、そもそもで BRIAN ENO がとっくの昔から何枚もリリースしてる世界。スピリチュアリズムとハイテクの合体も、当時すでにシリコンバレーに新しい産業が起こってる段階で実は新しいアイディアではない(教授が東京に来る途中に西海岸でマックエキスポに立ち寄ったりしてると書いてある)。サイバーバンクも文学の世界じゃかなり先行して取り組まれたアプローチ。ビートニクス文学も細野さん自身が10年後で果たして読まれてるか?と心配してるほど。サンプリングとかフィールドレコーディングもそれにまつわる新機材も、もう手垢が付いてたから。実は中途半端なタイミングだったのだよね。「なんでYMOでやるの?」という合意には苦しんでた感じがあるかも。作品の制作過程のテンションで、それは自然と乗り越えられたような気がしたが、振り返れば実は解決してないというか。
00年代の再結成では、HUMAN AUDIO SPONGE / YELLOW MAGIC ORCHESTRA = HASYMO 名義でスタート、強烈にアヴァンギャルドなクリック/グリッジテクノを展開していた。出遅れた手法ではなく、目の前で新しいアプローチが生まれる段階でその表現にトライが出来た。これが違うのかな。まーみなさん加齢で丸くなったってのもあるかも。90年代再結成時は、細野さんが47歳だよ、今のボクと2歳しか変わらない!
●ただ重ねて言いますが、ボクはボクでこの音源が好きだよ。自分たちでその時代遅れ感覚を十分に自覚してて、それでテクノの恐竜=テクノドンを名乗ったのだから。こんなクレバーな人たちは稀有だよ。

THE ORB「THE ORBILivION」

THE ORB「THE ORBLIVION」1997年
●さて、細野さんが現行シーンを説明するにあたって名前をあげたアンビエントの音源を聴きますか。イギリスのハイテクヒッピー・ALEX PATERSON が主導するユニットで、結局「再生」YMO東京ドーム公演のオープニングアクトを務めたとな(WIKIによるとアンビエントすぎて観衆はみんなただのBGMだと思ってたらしいけど)。この音源は、すでに4枚目のアルバムで、ボクは今年6月に行ってきたロンドン旅行のレコ屋巡りにて2ポンドで購入。ソーホー地区の RECKLESS RECORDS の激安コーナーで発見。
THE ORB がその武名を世間に知らしめた1枚目2枚目のアルバムのコンセプチャルな佇まいは、当時大きな衝撃度を持ってたはずで、細野さんが夢中になるのも理解できる。ボクだって1枚目はほぼリアタイで聴いてた。ただ、1997年の段階になると…しかもそれを2018年の感覚で聴くとなると、もうアンビエントってなんだっけ?普通すぎて定義が溶け落ちてるかも?って感じ。摩訶不思議なサウンドコラージュのめくるめく絵巻物構成というスタンスは間違いないけど、その程度の演出はこの1997年段階でアンビエントハウスの専売特許ではなくなってたからね。小粋なサンプルコラージュでアトモスフィアをナイスに演出なんてみんなマネしてた。サンプルだけならヒップホップの方が大胆だし。「再生」YMO「タイミングの中途半端さ」はこの音源を聴いて確信しました。
●ただ、ボクがロンドンのレコ屋でこのCDを拾い上げた時の動機は、ダブテクノを聴きたいな〜という発想でして。スケールのでかいダブ音響は今でも効果的かも。アンビエントとはもう直接関係ないマッシブなビートミュージックもここにはドカドカ鳴ってるし。シークレットトラック「72」に至ってはドラムンベースの気配もあるほど。だから、これはこれで美味なのであります。
●あと、テクノ/ハウスのシーンは、90年代段階ではヨーロッパに偏っていたのか、YMOの面々がレコーディングで訪れたニューヨークではこの手の音源が売ってなかったとも。確かにアメリカではゲイハウスとかシカゴやデトロイトのアングラとか、実に局地的なムーブメントだったのかな。ただ、細野さんがソロで取り組んだアンビエント作品は聴いてみたいな。




●あれ、こうやって動画で見ると、めっちゃ地味…。やっぱイケテナイのかな。


●読書。というか勉強。

会計の基本

岩谷誠治「会計の基本」
●組織改編で担務変更があった6月以降、ボクは経理部とのヤリトリがすごく多くなって。そんで、今まで担当してた事業を、言わば我流の解釈で収支管理をしてたつもりが、それでは世間のルールに対応できないということがよーく分かってしまった。一方で、ウチの会社は幹部も含めてお金がワカラン人が多くて、月次資料を作って見せても読めないオジサンがいっぱい。そんな人たちに、パキッと説明する能力も必要になってきた。ボクと向き合う経理担当者のYくんは快活な若手で、聞けば有名な監査法人からウチに中途採用で来た男(つーかなんで転職したの?前の方がギャライイじゃん!)で、お金の扱いに疎いボクに懇切丁寧にモノを教えてくれる。しかし、いつまでも甘えてるワケに行かないので、ここは一つ、「会計」とやらを勉強してみようという気分になった。渋谷ジュンク堂の百科全書的な本棚をじっくり物色して、文字通り基本中の基本を書いてくれてそうなこの本を買った。
●とはいえ、基本はカバンの中に入れっぱなし。だってやっぱり難しいんだもん。ボクはボクの扱ってた事業しか経験値がなくて、その実務と本の中で語られてる数字が結びつかない。ウチの部門の事業には、わかりやすい意味での在庫とか設備投資?とかがないし、商習慣上の事情で売上と着金の仕組みが奇妙で平気で2年くらいズレるのを放置?している。多分この本は確かに基本的で標準的な商取引を具体的に書いててわかりやすく工夫してくれてるはずで、ボクの事業が一際異常で普通じゃないコトを、巡り巡って知るほど。つーか、ボクらの事業の奇妙さを、あの手この手のロジックで無難な見え方に変換整頓する仕事が経理さんの役割なのね。
●とりあえず、この本に書いてあるキーワードや四文字熟語をアタマのスミに置いておいて、経理部Yくんとの打合せで登場したら反応できるコトにしておこう。この前は「税務会計」というフレーズが出てきて、おーっ!ホンモノ登場!みたいな気分になった。小説の登場人物に現実世界で出会った感覚、本当に実在してらっしゃったんですね、「税務会計」さん。「損金/益金」さんも初めまして、名前だけは伺っておりました。「国際財務報告基準」もキタね。外国からはるばるようこそ。「収益認識」さんも登場、どうかお手柔らかに。
●エクセル仕事も複雑になってきたので、ちょっとでも効率化するために、セッセとググりながら初めて使う関数を作表に生かしてみたりしてる。今週はvlookup関数ってヤツを使ってみたよ。


●ここのところ、無駄遣いして、有意義なCDやLPの収穫に感動したり。
●スポッティファイから続々と興味深い音源が発掘されたり。
●すごく興味深い本や雑誌を同時並行で読んでたり。
●村上春樹さんのラジオ番組第二弾が放送されて、キッチリ拝聴したり。
●山下達郎さんのラジオで BRITNEY SPEARS のデビューシングルのカップリング曲がかかって、さすが研究の幅が広すぎると舌を巻いたり。
●10月期クールの新ドラマでの新垣結衣さんが微妙に残念だったり。
●そのくせして、ワリと仕事が難しくて時間がなかったり。
●ともかく、このブログに吐き出したい案件が溢れかえって自家中毒になりそうな感じ。


●そんな中で、一応ニュース性の速度感に合わせるべく、この音楽にフォーカスを当てる。

BABYMETAL「METAL RESISTANCE」

BABYMETAL「METAL RESISTANCE」2016年
今や海外の音楽シーン、というか全世界のメタルシーンにその存在を知らしめてしまったアイドルユニット BABYMETAL の三人の構成員の中から、YUIMETAL こと水野由結が脱退することになった。職場のデスクに置いてあるテレビの夕方のニュース(具体的には日テレ・ニュースエヴリ)で普通に「BABYMETAL から YUIMETAL が脱退」と短く報じられてビックリ。え、地上波で普通に報じる話題??と奇妙な違和感にビビりつつも、素朴に鉄壁のトリオであった彼女たちがバラけてしまったことが非常に残念に思えた。「アイドル meets ヘヴィメタル」というコンセプトで世界のロックフェスで活躍、大物アーティストやコアなメタルファンの世界的支持を獲得して、日本の群雄割拠なアイドルシーンから独自の領域に飛び出してしまったこの功績。2014年の段階でボクもこのブログで彼女たちに注目した記事を書いている(リンクはこちら)が印象はそのまま変わらない。まー今回の脱退は素朴にショックですわ。
神バンドと呼ばれる本格派メタルミュージシャンの生演奏に合わせて、口パクなし、リアルなボーカルで勝負するセンター・ボーカル SUMETAL の姿勢。PERFUME も手がけるコリオグラファー MIKIKO 先生の振り付けを一ミリのブレもない正確無比の動作でこなす、MOAMETAL YUIMETAL の姿勢。こと、MOAMETAL YUIMETAL区別がつかないほどソックリな容姿で完璧なシンメトリーを構成するステージパフォーマンスが、孤高のセンター SUMETAL の真っ直ぐな歌唱をシッカリと支えるトライアングル構造が完璧だっただけに、その崩壊は手痛い。ただし、YUIMETAL は実質上去年10月頃から活動が停滞し12月のライブの欠場以来全く姿を見せていない。その中で二人体制+ダンサー追加で対応してきたのだが…。

この音源は、彼女たちのセカンドアルバム。ステージに専心するためか、音源の濫発がない結果、彼女たちはオリジナルアルバムのリリースが少ない。ただファーストよりも生バンドの質感が強調され、アイドル的要素が減少して(決してゼロになったとは言えない)、メタリックになった感じはこの盤をリアタイで買った瞬間から嗅ぎ取れてた。SUMETAL の真っ直ぐな声はホントに気持ちいいね。海外でもリリックを日本語で押し通すというが、声だけの説得力が備わってるということか。楽曲「AMORE - 蒼星」の突き抜ける痛快感は、ジャンル横断的なポップネスさえ感じます。その一方で、YUI+MOAMETAL たちがボーカルを担当するヤワイ曲もチャーミングでヨイ。三三七拍子のイントロからリフロックが始める「GJ!」はラップミクスチャーの気分もあって、ルードな気分がいい加減。「SIS. ANGER」の生意気なリリックも二人が歌うとフザケタ感じが出てカワイイ。
●アイドルによるエクストリームな音楽表現は、BABYMETAL を先駆としてどんどん進行中、というか、この状況は彼女たちの出現がトリガーになったと思われるが、それではその音楽がずっと続くか、というとコレが難しい。やはりアイドルはアイドル。ローティーンの頃からアイドルグループ「さくら学院」に所属して、その一部門として BABYMETAL が組織されたのは、YUIMETAL が15歳の時。彼女は今年で19歳になるが、そろそろ自分が成人してからその先のことを考えなければならない時期だ。このバンドのファンブログを見たら、今年のライブスケジュール、5月にアメリカ南部8ヶ所まわってる。しかも一日移動日の休憩があればいいが、二連投の日程もある。そのまま6月はヨーロッパでドイツ、オーストリア、オランダ、イギリスを10日間で回ってる。ハードすぎるわ。異国をグルグル回って行くだけのツアー生活に、ベテランバンドも倦むほどなのだから、若い女子には酷なのかも。そう思うと致し方なしか。
●ふと気づくと、2014年くらいからこうしたエッジーなアイドルグループをチェックし始めたけど、その多くが活動停止・解散をしてる。栄枯盛衰もさることながら、女の子の負担が重すぎる状況もあるんだろうね。ただ、二人体制になった BABYMETAL はキチンと新体制への準備ができてて、脱退発表とともに新曲のYouTube配信が始まった。新たな伝説へと続く道。

科学究明機構ロヂカ?「サイエンスガール ▽ サイレンスボーイ」

科学究明機構ロヂカ?「サイエンスガール▽サイレンスボーイ」2012年
もうこんな機会でもなければ紹介できない音源を一枚。BABYMETAL は本来、大所帯のアイドルグループ「さくら学院」の派生ユニットとして結成された。「学院」という設定だけにユニットは全部「部活動」という体裁で、BABYMETAL「重音部」という扱いだった。結果的に本体から BABYMETAL はスピンアウトしてしまったけど、「さくら学院」は派生ユニットを数々作っては、メンバーの個性を引き出すべく様々な実験を行なっていたようで。このユニットも「科学部」として組織されたモノで、なんとなくエレクトロ風な音楽に科学っぽいリリックを並べております。白衣とメガネも着せてます。ただ、このシングルは面白くないなあ。まーしょうがない。地下アイドルはトライ&エラーで行くしかない。ちなみに他にはクッキング部、バトン部、新聞部、帰宅部、テニス部、プロレス同好会や購買部まであったそうな。

WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」

WITHIN TEMPTATION「MOTHER EARTH」2003年
女性がセンターのメタルバンドっているかな?とコレクションの中を探した結果がコレ。オランダのシンフォニックメタルバンドという位置付けらしい。ボーカルの SHARON DEN ADEL のハイトーンで陽性のボーカルがダイナミックかつ美しい。なんかのテレビ?YouTubeで見たのかな?彼らの出世シングル「ICE QUEEN」を聴いてからずっとCDを探してやっと2〜3年前に発見できた。そもそもでボクはヘヴィメタルが苦手なのだが、彼女の美しいボーカルとそれを華やかにするアレンジが印象的で耳から離れなかったんだよな。ちなみに、彼女のすぐワキにいるスキンヘッドのギタリストが、バンドプロデューサーも兼任する ROBERT WESTERWOLT が彼女の旦那さん。オーケストラアレンジの雰囲気は、古典的なクラシックミクスチャーというより、なぜかケルト音楽を連想させる異教/異端の気配がして、それがなおのこと耳を引くんだな。






前回、バランスボールを職場に持っていったコトを書いたが。
ボクに追随して、もう一人バランスボール・ユーザーが増えた。
コレで、ボールに座って仕事する人、4人になった。
●みんな興味があったのか、ナニゲに「ちょっと座らせてください!」とボクに声かけてくる。
「わあ、ポヨンポヨンして楽しい!」と女子後輩が遊んでる。
●楽しい職場で、楽しい仕事。

●読書。
司馬遼太郎「項羽と劉邦」は読破。彼らの時代・秦末の動乱のように、内戦/無政府状態にあって軍閥が乱立した場合、どうしたらいいのか、脳内シミュレーションしちゃった。現代のアフガン、シリア、ソマリアは目下そんな状況で、武装集団や反政府勢力や部族勢力がゴリゴリと割拠してるんでしょ?
チンピラゴロツキ上がりの劉邦が人望を集めたのは、とりあえずコイツについていけばメシが食える、食わせてくれる、というウワサだけ。チンピラ風情はひもじい思いをした経験が身に染みているので、配下の兵隊にはメシが大事という当たり前の機微に敏感で、育ちが良い項羽にないデリカシーがあった。農民のセガレだけあって、城市農村からの兵糧収奪にも配慮があったので、地域の長老も彼と付合うのに安心感もあった。戦闘センスがなく戦下手で何回も負けるだけあって、志士が良策を提案すればスグ採用されてそのまま高く登用されるチャンスもあった。だから、人材が広く集まった。様々な才能が自由闊達に意見を出せる空気があった。文字さえマトモに読めなかった劉邦は、面白い人材を集めてはその意見をよく聞いた。
●間違いなく、彼は運が良かった。何回も何回も敗北潰走しても家来や仲間が助けてくれる。ただ、その前提には、底抜けの愛嬌の良さがあった。自信の根拠もないくせに「オレにどんとついてこい」と言いはる気前の良さがあった。無学を恥じるコトなく人の意見に耳をしっかり傾ける素直さがあった。楽しいヒーローだったよ。


「わたしを離さないで」

カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」2005年
●今年のノーベル文学賞は、選考委員の不祥事などなどで発表されないそうだ。村上春樹さん本人が望んでるかワカランのに「受賞なるか?」と取り沙汰される風物詩を見ないで済む。なんであんな騒ぎ方をするんだろう、それほど村上春樹をみんなが読んでる訳でもなさそうなのに。
●というコトとは直接関係ないけど、去年の受賞者、日本系イギリス人作家・カズオ・イシグロの代表作を最近読んだ。うーむ、とても興味深い作品だった。彼は日本生まれでご両親も日本人だけど、間違いなくイギリス人で、イギリスと日本の二つの文化から滋養を得た人物だ。ノーベル文学賞というものは、イシグロ氏のように少し変わった素地から花開く才能を評価するのかな。少なくともボクが持つ英国文学のイメージとは少しズレたニュアンスをこの本から読み取って、深く感心してしまった。なんて切なく悲しく、そして優しい物語なんだろう(以下、ガッツリネタバレ言及しますので、離脱または読み飛ばしの準備を!)

この作品はSF的設定を骨格にしてる。しかし作品の主眼は実はそこではない。主人公の少年少女が寄宿舎生活の中でじっくり積み重ねた友情や、摩擦と葛藤、恋愛と信頼を、つぶさに書き描いて、成人した後の彼らの悲しい運命に、淡い意味付けを添える優しい物語だ。直球でタネをバラすと…まー物語ではその主人公たちの生い立ちが一枚一枚皮を剥がすように明らかになるのだけど…。
主人公の少年少女は、人造人間だ。成人した後は、臓器移植を待つ普通の人間に、自分たちの体を提供するためだけに生かされる。臓器を差し出せば当然死ぬ。臓器提供一回で死ぬものもいれば、三回まで耐えるものもいる。しかし提供は死ぬまで免除されない。社会に出れば、人権すらないコトに気づく。若者らしく将来に様々な夢を抱いても、彼らを待つのは医療施設だけだ。提供者になるか、提供者をサポートする介護人になるか、その二択だけ。絶命の苦しみは普通の人間と変わらないのに。
そんな彼らにも、少年時代や青春時代はある。自分たちの運命は寄宿舎の大人たちから仄めかされていているが、寄宿舎の外を知らない彼らは、その本当の意味を理解できない。ただ子供らしい暮らしを過ごす。諍うこともあれば、それを契機に友情を深める。恋もするし、仲間を深く愛す。しかし、そんな時期はいつか終わり彼らは成人した後に全てを理解する。その時の糧は自分たちが培った仲間との絆だけだ。これを最期の縁にして、彼らは生きて死ぬ。彼らの生と死にどんな意味があったのだろうか。苦い読後感が深い余韻を残す。

●途中で気づいたのだが、この小説は、ノーベル賞以前に日本でドラマ化されてたんだね。2016年にTBS綾瀬はるか主演で放送している。どんな風にドラマ化したんだろう?2010年には本国で映画化もされてるみたいだし、舞台もロングランだったようで。


さて、音楽を聴こう。
●小説のタイトル「わたしを離さないで」は作中に出てくるボーカルジャズの曲名だ。ジュディ・ブリッジウォーターというシンガーが「BABY, BABY, NEVER LET ME GO」と歌うこの曲を、主人公の少女はカセットテープで愛聴する。だから文庫本の表紙もカセットテープ。その曲調は「スローで、ミッドナイトで、アメリカン」と説明されてる。ジャケットにはタバコを指につまむシンガーの写真があるとな。そして録音は1956年。…ボクはこの曲が聴きたくなってしまって、ネットで探したのですが見つからない。てっきりこの曲が実在するものだと思ってたのですが、実は作者の創作でありまして、楽曲もシンガーも架空の存在でありました。TBSドラマはわざわざこの曲を作ったみたいだけど、よくわからん。見るとすれば、PARAVIとかで配信してるかもね。

DIANA KRALL「GLAD RAG DOLL」

DIANA KRALL「GLAD RAG DOLL」2012年
●そこで、架空の楽曲、ジュディ・ブリッジウォーター「わたしを離さないで」に似た気分の音楽はなかろうか?と自分のライブラリーを探ってみる。でもボク自身はジャズボーカルの世界に不勉強。似た名前だからという理由で、DEE DEE BRIDGEWATER の音楽を聴けばいいのか?でもアナログのほとんどを今は段ボール箱に詰めちゃったから、DEE DEE のLPはすぐに聴けない。
●そこで気になったのが、DIANA KRALL というカナダ人女性シンガー。実を言いますと、ELVIS COSTELLO の奥さんという肩書きがボクの興味をそそったのであります。このCDのコンセプトは1920年代〜60年代のジャズを再解釈して歌うというものでして。「スローで、ミッドナイトで、アメリカン」、まさしくその3要素を兼ね揃えてると感じるのです。彼女の深く低く落ち着いた声は、仕事に疲れた真夜中に響くと実に優しい。名うての一流ミュージシャンがほぼ一発録りで収録した緊張感ある演奏は、狭義のジャズを超えて、アーシーなニューオリンズ風味のファンク感さえ備えて妖しさすら感じさせる。時にとてもシンプルにフォーキーだったりもするし、カントリーだったりもする。ああ、彼女が演奏するピアノも優雅だな。旦那の COSTELLO もチョコっと登場する。

DIANA KRALL「THE LOOK OF LOVE」

DIANA KRALL「THE LOOK OF LOVE」2001年
●結構時期を巻き上げて、前述アルバムから10年以上前の作品をピックアップ。ジャズボーカルが特別好きでもないボクは何のつもりでこの2枚のCDを買ったんだろう?覚えてない、いや誰かからいただいたのかも…Ken5くんかな?それでも今夜の流れにはピッタリの選曲だ。20〜60年代の楽曲を再解釈して歌ってみせるコンセプトは同じ。そして「スローで、ミッドナイトで、アメリカン」。いや、今回はボサノヴァアレンジが一曲目から入ってて、いきなりますますイイ味を放ってる。
●今回はスモールジャズコンボでの演奏だけではなくて、立派なオーケストラアレンジが背後に控えて奥行きが広い。この部分で活躍したアレンジャーのクレジットには、CLAUS OGERMANN という人物の名前が。うーん?聞いたことあるなあ、誰だっけ?と思ったら、ボサノヴァの巨人 ANTONIO CARLOS JOBIM の数々の作品でアレンジ、時にプロデュースを担当した男だ。ゴツイ名前はドイツ〜ポーランド由来の移民だから。ブラジル人の JOBIM と東欧出身の彼がタッグを組んで名作を生み出すってスゴイなと思ったんだ。二つの異なる文化が為すケミストリはやっぱり素晴らしいね。今回もボサノヴァに技ありの印象は彼の成果か。ボサノヴァを離れても、一流の仕事をこなしてるけどね。DIANA 自身の声はちょっと若くて、ドッシリ落ち着き切っちゃう前の、軽く乾いたハスキーボイスが可憐に振る舞う気分がこれまたヨシ。表題曲「THE LOOK OF LOVE」 BURT BACHARACH の曲で印象的なメロディが DIANA 風の味付けによってこれまた際立つ。スタンダードの「CRY ME A RIVER」も重厚でイイわ。



(カセットテープで聴いたらこれまた味が出るか?今やLPレコード通り越してカセット流行ってるもんね)




●今年になって部署の組織改編があって。
大ボスが変わりました。ここ数年で毎年変わってる気がするけど。
●そんで「ウチの部署を起点にして会社全体にネット企業の文化を導入する!」と公言しました。
え?マジか…。大丈夫か…??この会社。

●そのメッセージの真剣さをアピールするつもりだったのか、突然、全体会議を開催。
●いつもの大会議室に集合してみたら、衝撃的なことに、机も椅子も全部片付けられている。
60人ばかりのスタッフも管理職も大ボスも、全員がバラバラに立ったまま、ボスの演説を聞くというスタイル。
●これが「ネット企業の文化」なのか??
●しかし、演説が始まる前に、管理職が地べたに転がるようにあぐらで座り始めた。
●ボクも手元のPCを開きたいから、あぐらで座る。
●正解かどうかよくわからんが、あぐらで会議はナニゲに新鮮で悪くない。

●ウチの会社は創業60年余でボチボチに昭和な本業で堅実に稼いでいるけど、近年インターネットこそフロンティアと鼻息が荒くなってきた。
●ボクは6年前から本業から離れて望んでネット部門に異動したけど、当時は誰にも期待されない愚連隊みたいなチームで、夢想のような事業を描いては箸にも棒にもかからない小商いをするに留まってた。しかし、ここ3年ばかりで奇跡のような急成長を遂げて一躍注目の事業部門になってしまった。そうなると社長も専務もどんどんハッパをかけてくる。リソース追加と言わんばかりにどんどん人も集まってくるが、本人の希望や志向も無視した結果、ネットのネの字も知らない人も配属されてきてメチャメチャ気の毒。どんどんカオスが高まってきている。

ということで、ボク自身もカオスに加担することにした。だが。
バランスボール

バランスボールを購入して、オフィスの椅子を放棄、これに座って仕事する。
●おつきあいのあるIT企業やかつて仕事した音楽事務所で、女性がコレに座って仕事してるのを目撃したんですよね。しかも先週ボクは理由のよくわからない腰痛を引き起こして、カイロプラクティックの先生に姿勢が悪いとメチャメチャ怒られた。そこでアマゾンで適当なバランスボールを買って、コレに座って姿勢を正すことにしたのだ。コレってネット企業っぽいでしょ?
●実はウチの職場でバランスボール愛用者は3人目。だから別にボクがボール使っても目立つことはないだろうと思ってた。しかしボールのサイズを間違えた!女性が55センチタイプを使ってたので、男性用にふさわしそうな75センチタイプを注文したら、コレがデカイ!デカ過ぎて邪魔!
●まずは膨らませるだけで一苦労。子供プールに空気を入れるような足踏みポンプが付属してるんだけど、効率悪くて30分くらい頑張っても全然膨らまない。しかもポンプがピコピコハンマーみたいなポキュ!ポキュ!というマヌケな音を出すので、静かなオフィスにめっちゃ迷惑。サスガに汗出てきました。しかも、ボクがコピーとかへ離席する度に、ボールが転がって周囲の人のデスクや椅子にボヨンとぶつかる。なんか申し訳ない。おかしいな、他のボール愛用者はそんなこと気にせずに使ってるはずなのに、なんでボクだけ悪目立ちするんだろう?
●こんな色してるから後輩は「キングスライムですか?スライムナイトですか?」と冷やかすし、部長や先輩は「おい玉乗り!邪魔だ!」とボールをキックする。隣席の派遣デスクNさんは「すいません、ボールがつっかえて引出しが開かなくて…」。他の部署の人は「すごいですね…コレがネット企業っぽいってことなんだ…」と呆れ顔。
結論。ボールの大きさは、おそらく65センチタイプが正解。大は小を兼ねない。

キングスライム
(キングスライム、存在感が確かに似ている…)


なんとなく、1990年前後のダンスミュージックを聴いてる。
●あの当時は、ジャンルの壁がまだ柔らかくて、今ではクッキリ分かれてるカテゴリーが普通に越境されてたんだな。

MONIE LOVE VS ADEVA「RING MY BELL」

MONIE LOVE VS ADEVA「RING MY BELL」1990年
50円で購入。下北沢にワリと最近やってきたレコード屋さん、RECORD STATION のボロボロアナログ盤コーナーから拾い上げた12インチです。もう MONIE LOVE という段階で懐かしすぎる。1990年前後に活躍した NATIVE TONGUE 一派の女性ラッパーだ。アルバム「DOWN TO EARTH」1990年はリアルタイムで愛聴してたね。THE SPINNERS のディスコヒット「IT'S A SHAME」をマルッとサンプルしたシングルとかで受けてた。そんな彼女が一発屋シンガー ANITA WARD の唯一のディスコヒッツをやはりマンマなぞった「RING MY BELL」 ADEVA というシンガーと一緒に演ってる。うわー盤質最悪っぽいけど、買っちゃおう。
●対決のお相手シンガー ADEVA はハウス系の人らしくて、シングルの雰囲気全体も思いっきりハウスよりな感じでありました。この時期はハウスもヒップホップもテクノも全部ゴッタ煮みたいな気分がありましたからねー。ただ、NATIVE TONGUE 一派だからニューヨークの人だと思い込んでたけど、今検索して、初めてイギリス人だったと知った。おお、ちょっとビックリ。

THE WEE PAPA GIRL RAPPERS「WEE RULE」

THE WEE PAPA GIRL RAPPERS「WEE RULE」1988年
MONIE LOVE がイギリス人だったと知って、続けて針を落としてみたのもイギリス人女性ラッパーたちの12インチシングル。双子の姉妹なんだって。ただ、この時期にイギリスで支配的だったのはヒップホップではなくてダンスホールレゲエでありまして。だからこのシングルも表題曲は思いきりダンスホールレゲエ。リミックスに関わってるのが ASWAD のメンバーだからある意味モノホンという感じ。ダブバージョンまで収録されてるし。彼女たちは必死にラップしてるけど、サビでは普通に歌っちゃってる感じでもある。
●ただ、3曲目に収録されてた「REBEL RAP」は、比較的ストレートなミドルスクールヒップホップになっておりました。生のベースが太くてファンキーなトコロにしっかりラップしてマイクリレーをする声そっくり姉妹はなかなかにかっこいいのであります。ちなみに、これは下北沢フラッシュディスクランチにて800円で購入。

COLDCUT FEAT LISA STANSFIELD「PEOPLE HOLD ON」

COLDCUT FEAT. LISA STANSFIELD「PEOPLE HOLD ON」1989年
●お次もイギリスの音源。UKヒップホップの始祖とも言えるプロデューサーチーム、COLDCUT の12インチシングル。COLDCUT と言えば、レーベル NINJA TUNE の創始者だもんね。ただ、当時は彼らにとってもファーストアルバムを出したばかりの時代。こちらもヒップホップとは言い難く、思いきりハウスミュージックですわ。白人女性シンガー LISA STANSFIELD が痛快に歌唱してます。12インチシングルということで、9分26秒とロングバージョンを満喫!
●SIDE B 収録の「YES, YES, YES」マッシブなエレクトロファンクLISA STANSFIELD が舞い踊る SIDE A に比べてめっちゃ地味だけど、ブリブリにアシッドなキック音を硬派にドバドバ鳴らしててシビれる。コレでも十分イケますわ。
●で、コレは府中のレコード屋さんポポロで購入。盤質がちとアレだったのでご主人が300円にしてくれました。聴く分には、全然問題なかったけどね。ボク、中古アナログに期待する音質ハードルがスゴく低いみたいです。

49ERS「PLAYING WITH MY HEART」

49ERS「PLAYING WITH MY HEART」1992年
なんだかハウスっぽい方が気分だろうか?と思って義弟ken5くんに結構前にもらったこのLPに針を落とす。うん、華々しい女性ボーカルがエモーショナルな、立派な90年代風ハウスだわ。しかも検索して知ったのだが、コレ、ズバリのイタロハウスじゃないか。プロデューサーのクレジットに GIANFRANCO BORTOLOTTI とケッタイな綴りの名前が登場してるなーと思ったら、完全にイタリア人イタロハウスって長らくナゾの領域だったんだけど、義弟ken5くんが何も言わずにボクにその入口を提供してくれてたんだ。
イタロハウスは、80年代末〜90年代初頭に起こったムーブメントで、80年代ディスコ/ユーロビートの時代から90年代のハウス〜クラブミュージックのシーンに移行する過渡期に位置付けられてる。ブラックミュージックから直結してるハウスの源流シカゴハウスに比べて、独特の洗練とコード感、ピアノのリリカルな活躍が特徴とされてる。その一方で後代の視点から見ればそのチープさ加減は、同時期のシカゴハウスと同じくらいで、そのイタない感覚に味わいがあるらしい。うーん聴いてみたい!こうしたヨーロッパの音楽とイギリス、アメリカの音楽が地中海のイビザ島でミクスチャーされたのがバレアリックハウス(イビサ→バレアレス諸島)。この観光の島のクラブシーンの中で90年代以降の様々な音楽のミクスチャーが実験されたはず。本盤は1992年と少し時代がズレて成熟がもう少し進んでしまってるので、立派にニューヨーク・ガラージュのような猛々しさも備わってる。前述の GIANFRANCO BORTOLOTTI さんは(←読み方よくわからない)はそんなイタロハウスの唱導者だった模様。
「49ERS」という名前は、サンフランシスコのアメフトチームにも同名さんがいたりするが、元々は金が発見されたというニュースが駆け巡って1849年に未開のアメリカ西海岸までやってきたならず者/あぶれ者/山師を指す言葉。ゴールドラッシュの時代、1849年組というワケだ。しかしココで本当に儲けたのは、砂金取りそのもの出なくて、砂金取りにデニム地の作業着を提供した、リーバイ・ストラウスさんだったらしいけど。でも、このユニット名は、女性シンガー ANN-MARIE SMITH がボーカルオーディションの49人目だったから、という理由で決まったそうな。
今後、イタロハウス、もっと聴きたい!と思うけど、よっぽどのハウス専門店でも行かないと売ってないのかなー。ボクは12インチを掘るのは苦手だからなー。

MC 900 FT JESUS

MC 900 FT. JESUS「ONE STEP AHEAD OF THE SPIDER」1994年
●名前だけウッスラ知ってたというだけの理由で、横浜レコファン100円コーナーから購入。MCというだけあってラップものかな?900という数字がテクノっぽいかな?(← 808 STATE とかを連想)フィーチャリング・イエス様と名乗るだけあって不遜なヒネクレ者かな?と思いつつ、買ったその瞬間からすっかりその存在を忘れてました…ジャケ地味だし。今回90年代つながりとあって、このCDアルバムをプレイヤーに置いてみる。そしたら、予想以上のユニークネスにビックリ!
ヒップホップにはとても括れない、基本生演奏のトラックがクール。乾いたドラムと湿ったベース、サックスやフルートの色添えが完全にジャズコンボの趣。しかも、タブラが鳴ってたりシタールが鳴ってたりとワザ有りなアレンジまで仕掛けてある(注:シタールではなく、タンブーラという名前の東欧の伝統楽器でした、なおさらマニアック!)。という意味で同時代の英国アシッドジャズに気分が似てる。なので、この連中イギリス人だと思い込んでたら、実はアメリカ人しかもテキサスが拠点とな。ありゃりゃ。
●そんなトラックの上で主役のMCはラップをすると見せかけて、吶吶とスキマ多く語るだけ。コレはポエトリーリーディングではないか。70年代レジェンド THE LAST POETS を連想してしまいました。このユニットの主犯者、詞曲全てを担う男、MARK GRIFFIN は、MCたる自覚も薄い模様で、末期 MILES DAVIS バリのスカしたトランペットソロを延々と演奏したり、粘っこいギター演奏をずっと続けたりと、地味ながら奔放で型破りな音楽をジャンル横断的に鳴らしている。生演奏がグッとくる曲もある一方、普通にエレポップになっちゃったりもするしね。「IF I ONLY HAD A BRAIN」という曲だけは、普通のラッパーのようなフロウをこなし、テンポ感も真っ当なヒップホップトラックを採用した結果、シングルヒットを果たすが、本人には思うことがあって、この後、音楽活動を全部辞めてしまった。うーむ、不思議で、ますます興味深い。