●雨の休日には。
●なぜか、息子ノマドとワイフとボクの三人で、任天堂 SWITCH の「テトリス+ぷよぷよ」対戦バトルをして過ごす。


●今日は、少し前に書いてた文章を、ちょっと整えて出します。
80年代音源の「地獄めぐり」という感じかな。




村上春樹の小説「騎士団長殺し」には。
1980年代のヒットソングを、旧式のボルボのカセットテープデッキで聴くシーンが出てくる。

●主人公の親友・雨田はこういう。「おれはCDみたいなものが好きじゃないんだ。ぴかぴかしすぎているし。軒につるしてカラスを追い払うにはいいかもしれないが、音楽を聴くためのものじゃない。音がきんきんしているし、ミキシングも不自然だ。A面とB面に分かれていないのも面白くない」…ボクは音楽を聴くのにメディアを厳しく縛る原理主義者ではないので、もう少し柔軟な姿勢に立つが、気持ちはわかる。時代には時代にあった音楽とその聴かれ方があるってこと。
●そんな訳で、彼のカーステレオには、DURAN DURAN HUEY LEWIS & THE NEWS がかかってる。BERTIE HIGGINS「KEY LARGO」1981年や、DEBBIE HARRY「FRENCH KISSIN」1986年の曲名も出てくる。このへんが小説を読み終わってしばらく経っても気になって仕方がない。で、このあたりの80年代ヒットソング系をしばらく買い漁ってたのですよ。

80年代とは、ボク個人にとっては奇妙な時代。
●1973年生まれのボクにとっては、1990年代以降は、言わば「歴史時代」。ボクは高校生になっていて、自分で自分の聴く音楽を系統立てて選び取っていた。結果、自分の趣味嗜好に寄り添って秩序立てた音楽経験がある。そこでは KURT COBAIN THE STONE ROSES渋谷系も全部リアル。
●その一方で、1970年代以前は、言わば「神話時代」。物心のつかない年齢でリアルな記憶もない。全てが後からの勉強と研究で見知った時代。THE BEATLES JOHN COLTLANE JIMI HENDLIX も神話の中の聖人で、すでにカッチリとした時代の評価が固まっているし、ボクの評価もその影響下にある。
●その一方で、1980年代は、非常に中途半端な時代だ。言わば「先史時代」だ。小学生〜中学生だったボクはまだ音楽に興味がなく、そんな時代への視点には主体的経験も系統だった秩序もない。しかしリアルタイムに生きていた時代だから、中途半端に耳に残っているモヤモヤとした記憶だけがある。正直、思い入れもないのに、奇妙な愛着はあったりもする。
村上春樹が小説の中にあげたもう一つの80年代ヒットソングが、ABC「THE LOOK OF LOVE」1982年だ。うわあ、懐かしい。これが無性に聴きたくて、たまらなくなってた。


●そんで、ボクは突然、甲府まで行ったんです。

ABC「THE LEXICON OF LOVE」

ABC「THE LEXICON OF LOVE」1982年
●で、結局このLPを手に入れた。甲府のレコードショップ「レイドバック」というお店まで行ったよ。なんだか甲府まで行けばあるんじゃないかと予感があったのだが、本当に見つかってビックリした。価格は100円。いくら激安でも甲府まで遠征したら交通費で相殺されるだろうという気もするが、このお店では80年代を中心に100円ばっかり12枚も買ったから元は取れてるだろう(重かったけど)。久しぶりの「THE LOOK OF LOVE」は格別だった。あの耳に残る、中毒性のあるサビ展開がやっぱ見事。あの80年代特有のダンス感覚は、当時はフロア映えしただろうし、ラジオ映えもしたんだろうなー。
●ボクの予備知識では「THE LOOK OF LOVE」しか知らなかったけど、彼らは「ニューロマンティクス」ムーブメントの中心的バンドの一つで、「第二次ブリティッシュインヴェイション」で活躍した代表選手だった。ニューロマは70年代のグラムロックの影響を洗練/発展させて、ヴィジュアル志向のダンディズムを演出。パンクが既成概念の破壊から来るドレスダウンの文化なら、彼らニューロマはドレスアップで80年代の新潮流を体現した。シンセサイザーを大幅に導入して新世代の音響とフューチャリズムを打ち出していたし(バンド初期のドラマーは YMO のツアーに参加するために脱退)、ブラックカルチャー由来とは別質のダンスグルーヴも開発した。それが大西洋を超えてアメリカでもヒットしたという訳だ。ちなみに本作のプロデューサーは TREVOR HORN。さすがの腕前。
●このアルバムで衝撃のデビューを飾り、シングル「THE LOOK OF LOVE」でイギリスとアメリカを制覇。しかし彼ら ABC の全盛期はこの最初でお終いだった。80年代まではなんとか活動してきたが、1991年に解散。1997年の再結成後は、ボーカル MARTIN FRY のソロユニットも同然の状態に。2016年には「THE LEXICON OF LOVE II」なんてアルバムもリリースしてるけど…これは聴かないでいいかな。

SPANDAU BALLET「ESSENTIAL」

SPANDAU BALLET「ESSENTIAL」1981〜1984年
●このバンドもニューロマの代表選手であり、この時代に特有のシンセポップを展開していた。そんな彼らの全盛期〜80年代前半を網羅したベスト。中でも商業的ピークは三枚目のアルバム「TRUE」1983年とそこに収録されていたシングル曲「TRUE」「GOLD」だろう。この二曲はアメリカでもヒットしてるし。「GOLD」はシンセ駆動のダンスポップで、サビの歌い上げっぷりが印象的。その一方で「TRUE」はスローテンポのバラードで、シンセのツヤツヤしたきらびやかと、それでいながらノスタルジーを感じさせるメロディが可憐。
ABC SPANDAU BALLET もメンバーにサックス奏者を備えてたのは特徴的かも。ブラックミュージックとしてのディスコやファンク、ジャズに対して一定の関心があって、そこに対応してホーン系のアレンジを入れたいと思ってたんだね。

A FLOCK OF SEAGULLS「PLATINUM GOLD COLLECTION」

A FLOCK OF SEAGULLS「PLATINUM & GOLD COLLECTION」1982〜1986年
●こちらもニューロマの一角を担ったバンド。奇矯なファッションも注目されたこのムーブメントの中でも、このバンドのフロントマン MIKE SCORE の髪型は一際スゴイ。上のジャケでもすでに異彩を放っておりますが、もうちょっとわかりやすい写真を貼っちゃいます。

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●サイドの髪の毛を全部後ろに流して固めて、前髪とともに頭の中央でまとめれば、いわゆる80年代風「つっぱりリーゼント」(またはジョジョ第四部の主人公・東方仗助といった方が今の若い方には馴染むか?つか、氣志團?)になるのだが、この人はサイドだけはバッキリ固めてツノのように立てておきながら、前髪はそのまま顔に長く垂らすというアプローチ。ニューロマがいかに際どいヴィジュアル路線を突っ走っていたか、理解できるサンプルであります。
●しかし、今年で60歳になる彼はすでに見事なツルッパゲで、現在は何もできません。若い頃に髪の毛に無理させすぎた?でもワリとハゲちゃったことも含めネタにして活動を続けてるようでもあるので、ご本人には悔いはないかも。
●代表曲はバンド3枚目のシングル「I RAN (SO FAR AWAY)」か。この曲でアメリカでも評価されてる。いかにも80年代なポップロックでございます。プロデューサーは MIKE HOWLETT という人物。プログレバンド GONG の関係者。
●ちなみに、このCDは北千住のレコードショップ FANDANGO RECORDS にて600円でゲットした。このバンドの音源なんて滅多に見ないから嬉しかったねー。

ultravox「Vienna」

ULTRAVOX「VIENNA」1980年
ダークな気分が濃厚なシンセサウンドがニューロマ濃度の高さを象徴している。このバンドは70年代のうちに三枚のアルバムをリリースしていて、他のバンドが最初のアルバムでブレイクしているのに比べ、ブームが熟成するまでに苦労を重ねたタイプ。実はボーカリストも交替していて、この作品から MIDGE URE という男がフロントを担当した。MIDGE URE は元パンクスで SEX PISTOLS 界隈との交流もあったが、この時期にはパンクサウンドからは決別、ULTRAVOX に加入してからも、ニューロマバンドの VISAGE の準メンバーとして、プロデュースにも携わっていた人物だ。
●さらに、このアルバムのプロデュースは、ドイツのプログレ系巨匠、CONNY PLANK が担当。優雅にシンセサイザーが奏でていく音響が耳に優しい。まさしく、シンセフェティズムとも言うべきか。KRAFTWERK から始まるヨーロッパのシンセ音楽の流れを、KRAFTWERK のエンジニアを勤めた CONNY が中継して見事に商業的な成功まで導いたと言えよう。荘厳ささえ備えるシンセ楽曲「VIENNA」は一番の聴きどころか。どこか冷たい質感の曲。東西冷戦下のウィーンは、当時のヨーロッパ人にはどんな街に見えてたんだろう?……それと80年代ポップスの裏方には70年代プログレ人脈がそこはかとなく見え隠れするのね。

ULTRAVOX「THREE INTO ONE」

ULTRAVOX「THREE INTO ONE」1977〜1978年
MIDGE URE 加入前の、70年代の ULTRAVOX の三枚のアルバムを一枚の編集盤にまとめたもの。この時期のボーカル/ソングライターは JOHN FOXX という男で、彼は彼で脱退後もソロキャリアを進展させていく。この時期のプロデューサーは BRIAN ENO、STEVE LILLYWHITE、CONNY PLANK などで、なかなかの顔触れ。
●しかし、これを聴いてみると、後のシンセポップとは全然結びつかない、素朴なポストパンク・サウンドでビックリする。ギターが活躍するロックで、中にはレゲエのビートを採用したりと工夫はあるのだが、荒削りでどこかドタバタ。シンセ操作もやや不器用。ニューロマの道も一朝一夕でたどり着いた訳ではないってのがよくわかる一枚。「VIENNA」収録の楽曲「NEW EUROPEAN」のギターサウンドにこの時代の痕跡を見て取る事ができるね。一方で、こちら収録の「HIROSHIMA MON AMOR」にはその後のシンセポップの萌芽も見える。
●このCDは、確か東松原の古本屋さん、古書瀧堂で買ったヤツだっけ。500円かな。

THOMPSON TWINS「IN THE NAME OF LOVE」

THOMPSON TWINS「IN THE NAME OF LOVE」1981〜1982年
THOMPSON TWINSニューロマの一角として英米にまたがる活躍をしたバンドである一方、WHAM ! CULTURE CLUB とともに、独自のグルーヴ感覚/ファンク感覚を追求したバンドでもあった。この手のアプローチを80年代には「ファンカラティーナ」と呼んだっけ。シンセ駆動というククリにとらわれず、ドライブするベースや生ドラムにアグレッシブなパーカッション、ポストパンク経由のギターと、折衷的ながらもアメリカのファンクとは別格のスタイルを模索しているようだった。レゲエもカリビアン風も取り込んでやがる。
●このアルバムは、イギリスにおけるファーストアルバム「A PRODUCT OF ... PARTICIPATION」1981年とセカンドアルバム「SET」1982年を中途半端に合体したアメリカ向け編集盤。表題曲で見事アメリカのチャートを席巻。こうやって「ブリティッシュインヴェイション」は進行(侵攻)していったんだね。
●ヒットシングル「IN THE NAME OF LOVE」もいいけど、「LIVING IN EUROPE」ポストパンク経由コールドファンクブリストル派… A CERTAIN RACIO とかを連想させる)なグルーヴが今のボクにはツボ。いやこちらはアングラな本物のブリストル派とは違ってメッチャポップだけどね。
●この時期のプロデューサーはやはり STEVE LILLYWHITE。この時期の彼は U2 の面倒も見てるはずなのに、ULTRAVOX THOMPSON TWINS まで面倒見てたのか、すげえ多芸だな。MIKE HOWLETT の名前も見えるな。こっちは A FLOCK OF SEAGULLS とカブリだ。おまけに UK ダブのプロデューサー DENNIS BOVELL の名前も。
●なお、この音源は下北沢フラッシュディスクランチにて、300円で購入。

THOMPSON TWINS「HERES TO FUTURE DAYS」

THOMPSON TWINS「HERE'S TO FUTURE DAYS」1985年
●アルバムの二曲目「LAY YOUR HANDS ON ME」が耳馴染みある、このバンドの五枚目。実は前述「IN THE NAME OF LOVE」を構成してたオリジナルアルバム二作をリリースした後、バンドメンバーが思い切り減員されて、7人組からトリオになっちゃった。フロントマンの TOM BAILEY、ナイジェリア系のキーボード奏者 JOE LEEWAY、ニュージーランド生まれの女性パーカッショニスト、ALANNAH CURRIE の三人組。TOM ALANNAH は交際してたみたいでのちに結婚〜出産〜離婚する。
●ただ、世間の評価は高まっていて、この五枚目に到るまでに数々のヒットをモノにする。ここでも聴こえる音楽は楽しげなダンスミュージックで見事にファンカラティーナ本格的なブラックミュージックのエッセンスを得るために、本作には CHIC NILE RODGERS をプロデューサーに召喚。このアルバムリリース直前に開催された歴史的イベント「LIVE AID」では注目度急上昇だった MADONNA のステージに参加&共演。彼女の「LIKE A VIRGIN」 NILE RODGERS プロデュースだから繋がったのかな。まさしくバンドとしての最盛期。このアルバムの後、JOE LEEWAY が脱退。男女デュオになったバンドは徐々に失速していく。
●アルバム終盤の楽曲「TOKYO」が珍妙なオリエンタル趣味。湯川れい子さんによるライナーノーツを読むと、メンバーは前年に日本ツアーを楽しんでて、彼女と俳句と松尾芭蕉について語り合ったと書いてある。へー知日派。音楽から全ての無駄を削り取ってもダンスリズムは最後の核として残る、これは俳句と同じだ、そんなことを TOM は語ったという。だからハイテンションでダンサブル。
●ちなみに、これも甲府のレコ屋・レイドバックで購入。100円だったよ。

HUMAN LEAGUE「HUMAN」

THE HUMAN LEAGUE「HUMAN」1986年
THE HUMAN LEAGUEニューロマンティクスの代表選手だね。ヒット曲「DON'T YOU WANT ME」は1981年のヒット。エレポップ/シンセポップの代表格でもある。ただ、そのブレイクぶりも下降線に入ってきたのがこの1986年ごろ。そこで起死回生の一発を狙ってか、なんとプロデューサーに迎えたのが、今も現役のR&Bチーム JAM & LEWIS当時の彼らは JANET JACKSON などを手がけて気鋭のクリエイターになってた。結果、ブラックコンテンポラリーの雰囲気たっぷりの落ち着いたこの曲が完成。全米一位を獲得する。ここで二回目の全盛期を迎えることになるのだが、90年代には活動は徐々に尻つぼみに…。
●ぶっちゃけ、アルバムで聴くほどじゃないかなーと思ってたこの曲、7インチシングルで発見してしまった。下北沢ケージで行われてたレコードフリマで200円だったよ。

SOUNDTRACK「ELECTRIC DREAM」

SOUNDTRACK「ELECTRIC DREAMS」1984年
●映画「エレクトリック・ドリーム」なんて存在は、この盤を見つけて初めて知った。そんな映画のサントラがこのレコードなんだけど、ナニゲにアーティストが80年代的/ニューロマ的/シンセポップ的にとても豪華。発掘現場は甲府・レイドバック、やはり100円で購入。
CULTURE CLUB が二曲参加、THE HUMAN LEAGUE から分派したバンド HEAVEN 17 も参加。「CHASE RUNNER」という曲が見事にエレポップ。ZE RECORDS を代表するミュータントディスコ・プロデューサー DON WAS も登場、60年代モッズディーヴァだったはずの P.P. ARNOLD をプロデュースしてる。60年代の P.P. ARNOLD は聴いてるけどそれ以外の時代って?
●80年代の P.P. ARNOLD を調べてみると…この映画と同年に上演のミュージカル「スターライトエクスプレス」に出演して復活したそうな。うわーこのミュージカルも懐かしい!キャストがローラースケートで走り回るヤツだ!80年代ジャニーズの人気グループ、光GENJI のコンセプトに影響を与えたヤツだ!(光GENJIのデビュー曲はその名も「STAR LIGHT」1987年)
●で、一番の注目は、メインのプロデューサーが、イタリアのシンセポップ・マエストロ、GIORGIO MORODER だってコトだ。ブラックミュージックの牙城であったディスコシーンにエレポップ/シンセポップで殴り込み、本場アメリカのソウルシンガー DONNA SUMMER のディスコヒットを数々ブレイクさせた異端児。そのシンセフェティズムがここでも炸裂。THE HUMAN LEAGUE のボーカル PHILIP OAKLEY とコラボした楽曲「TOGETHER IN ELECTRIC DREAMS」が実にスマートなエレポップでクール。PHILIP は GIORGIO の大ファンだったと言うからこのコラボはタマランだったでしょうね。他にもクラシック楽曲「ラヴァーズコンチェルト」(またの名を「バッハのメヌエット」?)をピコピコエレクトロディスコにした「THE DUEL」という楽曲とか収録されてて、なんだか微笑ましい。
●そして、もう一人活躍しているプロデューサーが JEFF LYNN。70年代には ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA(つまり、ELO)で活躍したミュージシャン。ここでも70年代プログレ雰囲気の人物が関与しているのね。
●さて、映画の内容といえば、人間の女性に恋をしてしまうコンピュータと人間の男性の三角関係のお話らしい。AI の時代を先取ってたのですかね?さすがにそこまでチェックしようとは思わないけど。

THE ART OF NOISE「THE BEST OF THE ART OF NOISE」

THE ART OF NOISE「THE BEST OF THE ART OF NOISE」1983〜1988年
●このユニットは、実は最初に紹介した ABC「THE LEXICON OF LOVE」が深く関与している。あのアルバムをプロデュースしたのは THE BUGGLES での活躍や YES への加入で話題になってた奇才 TREVOR HORN だったと既に触れましたが、この ABC との仕事で彼が集めたエンジニアやプログラマー、キーボードプレイヤーを結集させて、このユニットを作った。バンドメンバーが、エンジニアやプログラマーってのは結構革新的。それが1982年のコト。同時にこのメンツで、SEX PISTOLS のマネジャー MALCOLM MCLAREN が自分名義で発表したヒップホップアルバム「DUCK ROCK」や、FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD のアルバム、80年代 YES の大ヒット曲「THE OWNER OF A LONELY HEART」を手がけている。
●簡単に彼らの音楽をイメージしてもらうキラーフレーズがあります。「Mr.マリックのテーマはこの人たちの楽曲」。あーあれ!ハンドパワーですね!と納得できた人もいるかも。でもハンドパワーと見せかけて原曲の名は「LEGS」と言います。このベストには「LEGACY」の名で収録されてます…つーか、このユニット、リミックスが多くてどのバージョンが標準かよくわからんほど。他の代表作「PARANOIMIA」は、サンプリングを奇妙に活用したシンセサウンドが特徴的だけど、コンピュータ上の人工人格をテーマにした80年代のテレビドラマ「マックス・ヘッドルーム」の主題歌ってコトでも刺激的だった。そして PRINCE のヒット曲カバー「KISS」。ボーカルに TOM JONES を招いてキッチュなアレンジ。この曲の12インチ8分バージョンが欲しかった!嬉しい!
●ベストと言いつつ、12インチシングルを集めてるとあって、どれもビートが強めのダンスフロア仕様ミックス。サンプリングとリミックスという90年代的手法を見事に駆使してるという意味でこのユニットは時代を先取りしてた。結果的に彼らは80年代シンセポップの最終形態を完成させ、90年代の到来を準備してたのかもしれない。このベストの次作ではアンビエントにまで挑戦するのですよ。正体不明の覆面ユニットという体裁も、その後の時代のテクノハウスの匿名的な佇まいを連想させる。

ROBIN SCOTTS M「POP MUZIK (HIP HOP 1989 CLUB MIX)」

ROBIN SCOTT'S M「POP MUZIK (HIP HOP 1989 CLUB MIX)」1989年
●イギリス人 ROBIN SCOTT という男が、M というユニット名で1979年に発表した「POP MUZIK」という曲。王道すぎるシンセポップで世界的なヒットになるも、見事に一発屋で終わる。そしてその十年後に、アーティスト名義を本名にしてヒップホップ・クラブミックスなるものをリリースしてきた。これがなんとも言えない珍妙な味で。別にドコもヒップホップじゃないし。ビート感覚は頑張ってハウスっぽくしたかったんだろうなーと気持ちは伝わるけど、モッタリしたエレクトロディスコでシンドイ。
●この12インチは、下北沢ケージのフリマで偶然見つけたもの。100円だったね。正直あまりオモシロイ音楽ではない。でも、80年代の音楽が完全に壁に突き当たって終了してしまった瞬間のように思えた。そんな瞬間を切り取った実に象徴的なシングルなのかもしれない。
●80年代の音楽は、最新鋭のシンセ機材を駆使=シンセポップ、ヨーロッパ白人文化的ファッション美学=ニューロマンティクス、折衷的グルーヴの追求=ファンカラティーナと、3つのエッセンスで推進されていた。しかし、80年代が終わろう時には、これらの文脈をぶっ飛ばすやり方で現れた新しい音楽に完全に機能停止されてしまった。その新しい潮流とは、ヒップホップとテクノハウス。ヨーロッパ白人ではなくアメリカ黒人の地下文化から登場したこの二つの潮流は、既存の白人ミュージシャンには手に負えなかった。まさしく、この ROBIN SCOTT がやらかしてしまったように。


●ボクは80年代を「非常に中途半端な時代」と最初に書いた。ボク自身がリアルタイムに経験した90年代以降のシーンの趨勢/ヒップホップとダンスミュージックの隆盛〜ロックの凋落というトレンドから見ると、どうしても80年代のメジャーシーンはイタイタしい存在に思える。そもそも思春期の少年にとって、自分の一つ前の世代なんてどうしたって敵視の対象になってしまうものだ。そのバイアスはどうしても拭えない。
●ただ、そんな80年代の珍味っぷりは今となっては一つの魅力のように思える。無邪気に夢中にはなれないし、これはキツイと感じるコトも多い。でも、安い値段でつまみ食いするとすれば、ナニゲに愛おしく感じるモノがある。ダメだろなコレと思いながらわざわざ買って聴くという姿勢は、ある意味でマゾヒスティックな感覚かもしれない。でも、なぜか今はそんな「80年代・地獄めぐり」がしたくてタマラナイ。全くもって奇妙な感覚だけど、実際にスゴイ寮の音源を買ってしまっているので、今後もこのブログにて報告させてもらいます。


●そうそう、ここが甲府のレコードショップ「レイドバック」

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●山梨県甲府市中央5丁目3−21。甲府駅から徒歩20分くらいだろうか。
甲府という街は人生で2回目か。前回は日帰り出張の仕事だったので、街をしっかり巡る経験は初めてだった。このお店自体は繁華街を通り抜けた先のちょっと寂しい場所にあるんだけど、その繁華街自体も予想以上に寂しくてビックリした。土曜日の昼間はデパートの中も商店街も静かで、小さな古着屋に高校生が少し集まってる程度。夜になると飲み屋さんで明るくなるのかな?駅前だけは人通りがあったけど、もっと活気を期待してたんだけどな。ほうとうを家族のお土産に買って帰ったよ。
●お店のホームページ:http://ccnet.easymyweb.jp/member/laidback/







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金曜日の朝の「Jアラート」

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「国民保護に関する情報」「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。建物の中、又は地下に避難して下さい。」
●ああ、これ肉眼で初めてみた。さすがのテレビ東京ですらこの画面を放送してたよ。「ミサイル発射」は二回繰り返すんだね。「建物の中、又は地下」…本当に核ミサイルが頭上に落ちてくることとなってら、もうコチラにやれることはほどんどないんだなあ。


●先日は、娘の高校受験絡みで、学校見学会に行ってきた。
●娘ヒヨコ自身は塾の予定で行けない。そこで「学校の施設や設備もチェックしとくけどナニ知りたい?」と聞くと。
「図書室に、岩合さんの写真集があるかチェックしといて!」
岩合光明さんの動物の写真集で、学校を品定めするのか…オヌシ、視点が斬新だな。

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●3〜4冊ほど発見したぞ、岩合光明さん。いつも通りステキな写真集だ。


一方、ボク自身が読んでたのは、シェイクスピア。

リチャード三世

ウィリアム・シェイクスピア「リチャード三世」
ハロルド作石のマンガ「7人のシェイクスピア」がやっと面白くなってきた。男女七人のバラバラな個性と才能が結集して、謎多き天才作家・シェイクスピアが誕生するという物語…と思いきや、最初の出だしのコンビ活動時点(7人が揃う気配なし)で全然話が進まぬまま、最初の掲載誌「スピリッツ」では中途半端な場面で事実上の無期休載。作者は「RIN」という別のマンガを始めちゃうしどうなるの?と思ってたら、ライバル雑誌「ヤンマガ」に移籍して今年アタマから連載が再開された!なんだかわからんうちに、7人(6.5人?)のメンバーは結集し、名作を量産する準備が整いつつある!
●ということで、このマンガで登場したシェイクスピア初期の戯曲「リチャード三世」がなんだかすごく面白く思えた。だから速攻で文庫本で原作をキャッチアップ。さすがにシェイクスピアなんて簡単に読めないだろう、だって日本史に当てはめれば豊臣秀吉最晩年から大坂の陣の直前期の人なんだから、と思ってたら、意外なほどスムーズに読めた!うむ、これは訳者が最近の人だから?いやそれも違う!訳者・福田恆存氏は戦中戦後から文芸批評で活躍した知識人で、この翻訳は1974年のものだった。著者も訳者も超一流か。長く読み継がれる本物のクラシック作品とはそういうものか。
「リチャード三世」は直球のピカレスクストーリー。主人公リチャード圧倒的なダークヒーローで、自らの権力欲のままに政敵をことごとく粛清していく。背骨が曲がる障害を抱えていたとあってその容姿にもスゴみがある。しかも容姿のコンプレックスを逆手にとって、政敵の未亡人・アンを口説き落とし自分の妃にした上に、最後には彼女をも粛清する冷酷ぶり。なのに彼の陰謀は気持ちいいスピードで成功し結局は王位をゲット。しかし、反抗勢力がフランスから上陸して壮絶な戦死を遂げる…。彼の在位はたったの2年。激しい粛清の後には彼の周囲に信頼できる味方は誰もいなかったのだ。
●ここに描かれる政争/戦争はリアル。二つの王家「ヨーク家=白薔薇」「ランカスター家=赤薔薇」の二派に分かれた「薔薇戦争」が題材だ。15世紀後半ずっと対立した両家の戦争は、日本史で言えば「応仁の乱」がちょうど同時期だ。そう思うとどこの国も似たことやってて面白い。
シェイクスピアの時代の人々は、普通にこの王の破滅を知ってたろうから、オチを知ってた上で楽しんでたのだろう。そういう意味では落語や歌舞伎みたいに、事前にあらすじを了解した上で楽しむ娯楽だったのかな。ボクは、WIKIでリチャードの末路を検索しようか迷ったけど、オチを知らないままで読み切った。結果的に新鮮なハラハラ感覚を味わえたよ。
●これ読んでたら、デレク・ジャーマン監督「エドワード二世」1991年を久しぶりに観たくなった。薔薇戦争からさらに100年古い王様。映画の原作はシェイクスピアの同時代人で著名な劇作家・クリストファー・マーロウ。もちろん「7人のシェイクスピア」にもライバルとして登場するよ。イロイロなものが繋がってきて楽しい。

●ちょいと蛇足。「ヤンマガ」の新連載・しげの秀一「MF GHOST」も注目。実質イリーガルな公道レースを取り上げてブームを作った「頭文字D」の世界観を、2020年代の自動運転時代へ継承して、あえてアナクロなマニュアル/ガソリンエンジン車にこだわり公道バトルを繰り広げるレーサーの世界を描く。自動運転で損なわれるナニモノかにいち早く注目した、ユニークな近未来SFなのかも。この人の作風としては意外すぎる着眼点で新境地を開いちゃった?期待期待!


ネットフリックス版「デスノート」を観ちゃった。
藤原竜也 VS 松山ケンイチが頭脳戦を繰り広げた傑作シリーズ(もちろん原作こそ見事!)をアメリカ配信大手がオリジナルコンテンツとしてリメイク。さて、その腕前を拝見しましょうか。
●原作では大学生だった夜神月(やがみ・らいと) LIGHT TURNER というナードな高校生になってた。宿敵の天才探偵・L華奢な黒人青年でその新味がよかったけど、最後まではクールに徹しきれなかった。ヒロイン・ミサミサミアという名のゴスなチアリーダーで一番ダメなヤツになっちゃった。死神リュークは、原作に比べてCGがチャチイ。緻密な頭脳戦を繰り広げるには時間が足らず、なんか大味になっちゃったけど、アメリカ人にはちょうどいいのかな?まーボクにはちょうど良くない。東出昌大+池松壮亮+菅田将暉の三つ巴がバチバチする最新作「デスノート LIGHT UP THE NEW WORLD」の方がずっとよかった。
●プロデューサーのクレジットにマシオカ氏の名が。マシオカはドラマ「ヒーローズ」で冴えない日本人サラリーマン・ヒロ(名セリフは「やったー!」)を演じた人物で、俳優だけじゃなくてコーディネート業みたいなこともやってるらしい。配信サービスに見事日本作品をうまくセールスしたな!こうやってコンテンツは輸出されるのか。

●連休は、配信コンテンツを観て過ごすか。台風は来るし、気になってるヤツいっぱいあるし。
●ミサイルさえ飛んでこなければ、今のところ、ボクの周囲は平和だよ。



●さて、音楽。
三鷹のレコード屋さん「PARADE」でお買い物しました。

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三鷹「PARADE」:東京都三鷹市下連雀3丁目33−17
●三鷹駅南口、駅前からまっすぐ伸びる道の一本右側を歩くと目印の「三平ストア」がある。そこからまっすぐ100メートルほど歩くと到着!ちなみに、スーパー「三平ストア」から南に伸びるこの道を地元では「三平通り」と呼ぶとか(呼ばないかな?自信ない)。
●三鷹はワイフの実家のある街。ある日、ワイフの実家を訪ねたらお義母さんから「三鷹にもレコード屋さんがあったわねー」えー!それは灯台下暗し!ということで、早速チェックしに来たのです。HPを見ると1989年開業、立派な老舗だね。
品揃えはアナログ8割CD2割か。しかもクラシックの在庫が結構な比率を占めている。ジャズやムード音楽系も昭和邦楽もあるね。ロックやソウルに偏ったボクには少々アウェイで戸惑うも、激安バコはやっぱりあって、そこで悪食な買い物を物色。「CD八枚で1000円=単価125円」というハコからちゃんと八枚買っちゃったよ。アナログは掘りきれなかったのでオアズケ。

●そんなお店で買った案件の一部。

MOUNTAIN「THE BEST OF MOUNTAIN」

MOUNTAIN「THE BEST OF MOUNTAIN」1970〜1971年
●1969〜1972年の短期間しか活動できなかった、アメリカのハードロックバンド。そこで残した三枚のアルバムから美味しいところを抜粋。ただ、別にボクとしては、ハードロックな部分で楽しんでるわけじゃない。アメリカの泥臭くてマッチョなパワーが最初に耳を圧倒するけど、実は楽曲の構成が複雑で、しっかりしたバンドアンサンブルが、何種類も登場するややこしいリフフレーズ(やや変拍子?)をガッツリプレイするトコロが実にカッコいいのだ。おそらく代表作であろう「NANTUCKET SLEIGHRIDE (TO OWEN COFFIN)」が素晴らしい。徐々に展開してパワフルでラウドにせり上がってくところにシビレまくる。
●もちろん傑作リフロック「MISSISSIPPI QUEEN」も最高。ギターボーカル・LESLIE WEST のパワフルな存在感と、バンドの頭脳 FELIX PAPPALARDI のアレンジ/プロデュース能力が織りなす迫力。FELIX CREAM のアルバムのプロデューサーを担った人物だとな。80年代に奥さんに撃ち殺されちゃうんだけどね。
●これが125円です。タマランです。

GLOVE THE SPECIAL SAUCE「PHILADELPHONIC」

G.LOVE & THE SPECIAL SAUCE「PHILADELPHONIC」1999年
ジャズやブルースのテイスト漂うバンドサウンドに、ヒップホップのエッセンスを交えたミクスチャー感覚が、90年代当時は新鮮だったな。最初の評価は BECK とか CAKE とかに近かったんですよ。それがいつしか、そのルーツ志向へ流れてアフターサーフなオーガニックミュージックや、ジャムバンドシーンに接近していく。そんなキャリアの折り目の中間時期のアルバムかな。
●飄々としたドラムとベースのグルーヴの上では、中途半端なラップはなんとなくトーキングブルースって感じ?そんな大したもんじゃないか。リラックスした気分が休日にふさわしいや。

ONEIDA「SECRET WARS」

ONEIDA「SECRET WARS」2004年
今度はニューヨーク・ブルックリンのポストロックバンドだ。このバンドの音源はあまり中古じゃ見ないからこれは掘り出し物。内容は静謐な質感かなと思いきや、結構アグレッシブ。ボーカルも担うバンドの中心人物 KID MILLIONS のドラムが手数多い上に速い!少々ざらつくギター/ベースの圧力も加わって、緊迫感もロック濃度もやや高し。インプロヴィゼーション的な展開や執拗なまでのリフレインなど、随所にバランスを欠いた不安さが仕掛けてあって、どうしてもスリルが発生する。これで125円はホント嬉しいわ。








フジテレビの特番「27時間テレビ」
●テーマを「にほんのれきし」としながらも、日清戦争から太平洋戦争を全部スキップしちゃった
●え!それでイイの?それが「にほんのれきし」なの?

●一応、公式ホームページで、番組の「あらすじ」を引用しますね。

 ビートたけしと村上信五が、
 旧石器時代から現代までの、“にほんのれきし博物館”を
 27時間かけて、巡る。
 教科書ではおしえてくれない、誰も知らない!?
 お腹を抱えて笑っちゃう!思わず目が点になる!?
 そんな、れきしトリビアとともに、27時間のれきしの旅にいざないます。
 27時間かけて、彼らが気付くものとは…。
 最後に博物館を出るとき、彼らがしみじみと感じる、
 にほんの本当の素晴らしさ、過去から学ぶ生きるワザ、
 にほんの文化力、日本人のおもしろさ。
 あなたも気付く、自分が生きるこの国「にほん」は、
 こんなにれきし秘話が豊富な国だったのかっ!と。

ビートたけしさんにも、関ジャニ・村上信五さんにも全然不満はないけど、「あなたも気付く、自分が生きるこの国「にほん」は、こんなにれきし秘話が豊富な国だったのかっ!と。」とドヤっと打ち出すワリには、中途半端じゃないかい?!村上くんファンの若い子が、日本には戦争の経験がないって錯覚しちゃうかもだよ。「教科書ではおしえてくれない」日本の近現代史をモノの見事にスルーするってショックだよ。

●番組ホームページで時間構成が書いてあった。終盤に用意された現代史部分には池上彰さんが出演してるから、ここにバランス感のある戦前戦中戦後の歴史解釈が出てくると思ってた。そしたら、ボクが見逃した?、なんだかアッサリと何事もなく戦後からスタート。前のコーナーは樋口一葉とかやってて戦争には言及しない気配だったし、ホントにスポンとスルーしたんだ…。
●東アジア情勢のヘンテコな状況には「歴史問題」がいつも挟まってるのに、日本社会は「歴史については考えません」と公言しちゃったように思えてしまった。民放の雄・フジテレビが系列局の総力をあげて作る番組で、「戦争」を公然とスルーするってそういうことだと思う。国外の視点から観て「戦争については忘れることにしました」とメッセージするようなもんじゃないか。
●中国・韓国(多分アメリカも)は、善かれ悪しかれその内容には色々問題ある気がするけど「歴史認識の社会的コンセンサス」がハッキリしてる。日本社会は「歴史認識」を現在見失ったようだね。政治的イデオロギー次第で「自虐史観」「歴史修正主義」に分かれちゃう。しかしマスメディアであるテレビ放送が「中立公正」原則をすっ飛ばして「戦争を無視」ってのはいくらなんでも…もう悲しくなってくる。
NHKでは、8月には「731部隊」のタフな特集番組を放送してた。同じ日のBSでは「アメリカが無差別爆撃を始めた理由」について特集していた。いづれも苦くて辛い内容だよ。お祭り気分のバラエティには向かないのかも。しかし、それを完全に「無視」するのは、「はだしのゲン」を図書館から排除しようとした運動みたいにナンセンスだと思うよ。

古市「誰も戦争を教えてくれなかった」

古市憲寿「誰も戦争を教えてくれなかった」
●最近読んでた本。1985年生まれの著者が、パールハーバーの「アリゾナ記念館」(つまり「真珠湾攻撃」の記念館)を見学して、そこから様々な国の戦争/平和博物館を巡りながら、「戦争の記憶・記録」がいかに残されるか/残されないかを眺めていく内容だ。広島や長崎、東京各所はもちろん、中国、韓国、ドイツ、イタリア、アウシュビッツまで旅は続く。「平和ボケ世代」代表を自称する著者の立場はちょっとシニカルで、エンターテインメントとしての戦争/平和博物館をオモシロがる感覚がユニーク。第一の主眼が「戦争」そのものではなく「戦争の記憶・記録」だからだ。巻末に世界の戦争博物館を列挙し、ランキング評価してるトコロはちょっと悪趣味かも。五段階評価のマークが手榴弾だもんね。
●ただ、あまりのヤリスギ感に著者自身が面白くなっちゃってるほどの韓国の博物館などなどに比べ、日本の博物館は本当に「戦争の記憶・記録」に及び腰というのが著者の見解だ。国立の歴史博物館で近現代史を重厚に扱っているトコロはほとんどないという。それは古代史ばっかり丁寧にやって江戸時代以降はサクサク終わらせちゃう&現代史は時間切れで割愛の学校教育(そして今回の「27時間テレビ」)を連想させるスタンスだ。素材を提供するから後の解釈はご自由に、という立場もありがちとのこと。博物館がそんな状況でいいのか?という問題提起がなされている。もちろん日本にも広島平和記念資料館とか、立派な場所があることはわかりますよ、ただし海外はもっとスゴイと。「4D映画館で戦闘を疑似体験」とか「人体実験が行われた場所がそのまま残ってる強制収容所跡地」とか、色々な意味で強烈なのだ。

「誰も戦争を教えてくれなかった」から、世界中の戦争博物館を巡ることになった戦後世代の若者がいる。その一方で、「戦争を無視」した「にほんのれきし博物館」を堂々と放送するテレビ局がある。なんだか複雑な気持ちでいっぱいだよ。

視聴率は、8.5%ですって。去年よりは0.8ポイント上昇。でも歴代記録としてはワースト2位。イイのか?悪いのか?よくわからん。あ、「27時間テレビ」って今年で31回目だったそうな。そんなにやってたんだ。



●体調がよくないので、優しい音楽。

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JANIS IAN「JANIS IAN」1974〜1977年
●70年代を代表する女性シンガーソングライター JANIS IAN の日本編集盤ベストLP、らしい。甲府のレコード屋さんで100円で購入。早熟の天才少女って印象が伝わってくるジャケ写だね。でも代表曲「AT SEVENTEEN」は24歳の時の作品だそうで。
「WILL YOU DANCE ?」が聴きたかった。品が良い端正なダンスを踊るように、静かにシンプルに弾む曲。でも歌詞の内容はどこかシニカル。堕落する世界の中で、それでも私たちは美学を持って立ち振る舞う。可憐さとしなやかな強さを感じさせる音楽。

 窓辺で待っている人がいる 階段の踊り場で泣いている人がいる
 死にゆく者たちに書かれた予言に溺れていく
 嘘をつく人がいる 信じる者は誰もいないけれど
 
 死にかけている人がいる 誰も街のパニックから逃げられない
 聖なる革命が幻を見せてくれるのを待っている
 快楽に身をひたす人がいる

 さあ踊りましょう 踊りましょうよ
 キャビアと薔薇の香りがするわ
 子供達に教えてあげて 私たちがとても仲良しだってことを
 
 さあ踊りましょう 踊りましょうよ
 朝の光はステキ 淫らになるのはとてもロマンチック
 退屈な生き方かもしれないけど 最後まで生き残るのはあなたと私よ
 






 
 
 

本当にキッカリ10回で、また休載になった。

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「HUNTER x HUNTER」次号よりしばらくの間休載いたします。再開が決まり次第、本誌でお知らせします。
●去年の連載再開も10回の掲載で休載して一年間ほったらかされた気がしますが。
●単行本一冊分の分量が10回分ということ?出版社は、単行本一冊出せるだけの分量を搾り取って一安心なのかな。
1巻から34巻まで全部読んで、今回の連載10回も全部読んで、この後の展開がめっちゃ気になるのに、これは生殺しだね。昔からの読者はどんな思いなんでしょ。その巨大な存在がほのめかされてる「暗黒大陸」とそこで行われるだろう陰謀と激しいバトルに到達する前に、「カキン帝国の王位継承戦」(=暗殺合戦)というビッグな展開が挿入されるも、コレも簡単に収まりそうもない権謀術数バトルでテンション上がる。確かにこの作家さんスゴイわー。

●そんな訳で「ハンター」の為だけに、週刊少年ジャンプを買ってた最近でした。
ジャンプにオモロイマンガなんてあるのだろうか?…ありました。堀越耕平「僕らのヒーローアカデミア」白井カイウ/出水ぽすか「約束のワンダーランド」。これもレンタルマンガで第一話から読んでます。「ワンピース」は別格ね。連載でバラバラ読むのがもったいない。


HULUと「バレーボール・グランドチャンピオンシップ2017」。
●日テレ系で今週生中継してるバレーボールの大会を、HULUが愉快な視点で配信してる。
●ライブ配信で、テレビとは違う四系統の映像をいっぺんに提供しているのだ。
(1)国際配信映像(2)事前ネット投票による1選手だけ撮りっぱなしカメラ(3)ネットの真ん中に据えた小型カメラ(4)そっけない固定カメラだけどコート全体を戦略的に観察するカメラ、ある意味でマルチアングル的アプローチに挑戦したというわけだ。実況もケバケバしいテロップもないのでマニア向けでしょう。でも、バレーボール知識ゼロのボクにも結構楽しめたよ。帰りの電車の中でスマホ観戦したよ。
(3)ネットカメラは衝撃の視点だったよ。ネットポールとかに据える横視点だと思ってたら、ネットの真ん中に据えてあって、ボールがネットに当たると激しくボヨンボヨンと揺れて、こっちが気分悪くなるほどだよ。我が「火の鳥ジャパン」(っていうのね女子代表チームのことを)がコートでどう立ち振る舞ってるのか、間近すぎる距離感で観られる。ネット側過ぎて前衛の人々は一瞬しか映らないしさ。映ったら映ったでスゴイ顔でブロックとかしてる。
●そして、(2)1選手だけ撮りっぱなしカメラも面白かった。一人の女の子をずーっと眺めてるってストーカーな気分だよ。彼女自身は自分をカメラが執拗に追ってるなんてツユも知らず真剣にプレイしてるんだけど、こっちはゲーム全容が理解できないまま(実況もないし)、彼女の表情の浮き沈みだけで試合経過を想像しながら画面を眺める。あ、今はアタックが成功したんだ、今のサーブは失敗しちゃったんだね。真剣に彼女の顔を観てたら、もう好きになっちゃったよ。新鍋理沙さん、今後も頑張ってね!



●今日の音楽。

スピッツ「さざなみCD」

スピッツ「さざなみCD」2007年
土屋太鳳主演の映画「トリガール」鳥人間コンテストを題材にした内容らしい)の主題歌が、彼らの代表作「空も飛べるはず」なのだ。そんでコレを、ワリと好きなガールズバンド・ねごとがカバーしているのだ。鳥人間コンテストで「空も飛べるはず」とはタイトル直結なマッチングだな。ということで、スポッティファイでねごとカバーを期待たっぷりに聴いたんだけど、うーん、なんか本来の彼女たちの持ち味が出てないな…。甘いと見せかけてレモンのようにちょっと強めの刺激が鮮烈なのがねごとの音楽なのに、原曲のイメージに引っ張られ過ぎて、ただ甘ったるいだけの仕事になってしまった…。
●これなら、本家スピッツを聴いた方がイイやと思って、ゴソゴソCD棚を探ったら出てきたぞ、全く聴いたことのないスピッツのアルバムが。激安だと思ってイキオイで買っちゃうんだけど、膨大なCDの中に混じって行方不明になっちゃうのだ。ボクの部屋は古本や中古CDのゴミ屋敷だ。
●さて、これがなかなか良いぞ!彼らの音楽を単純におセンチで甘いギターポップと思ってはいけない。ナニゲに粒立ちのイイエレキギターはそこかしこに小さなトゲを仕込まれてて、耳の刺激に心地よい緊張を感じさせてくれる。フロントマン・草野マサムネの特徴あるハイトーンなボーカルも耳に気持ちいいが、その言葉は実は意味がよくワカラナイ。結果的にこのバンドは実はサイケガレージ志向なんじゃないかと考えてしまう。すごくポップに聴こえるサイケガレージって素敵じゃないか。ブンブンドライブするギターサウンドが気持ちいいよ。
●クレジットを見れば、編曲&プロデュースは、バンドと連名で亀田誠治氏の名前が。バンドサウンドの絶妙なサジ加減は彼の職人芸か。なんか納得。この時期は積極的にコラボしてたのかな。このアルバムは彼らの結成20周年のリリースだったそうだが、それから今までの10年はオリジナルアルバム三枚程度のリリースに留まってる。ちょっとペースダウン?ツアーは毎年シッカリやってるようだけどね。






夏の終わりのお祭りから、ヒヨコが連れてきたよ。
●命名、「ネギトロ」

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●この時期、数々のお祭りを巡ってきたであろう金魚すくいの生き残りたちは、数々の子どもが水中にぶち込んでくるポイの攻撃をかいくぐってきた結果、もうボロボロに疲弊してしまった連中だろう。破れたポイの断片を金魚たちが奪い合うようにかじってて、こいつらエサも十分に与えられてねえ!とヒヨコはドン引き。気の毒になってポイをワザと破ろうとしたのに、ナゼか全然破れなくて、意図せずコイツが捕まってしまった。
●ウチの水槽に移し替えてやったのに、異常なスピードでビンビンに泳ぎまくってる様子は、強制収容所生活で神経がビリビリにササクレ立ってる証拠か。ヒヨコ「いやいや、もう安全地帯だからノンビリしていいんだよー」と言いながら、かつて飼ってたグッピーのエサを与えてあげるも、うまく食べられない。真っ当なエサの食べ方も知らないのか!なんて不憫な!と、せっせとエサを細かく擦り潰すヒヨコ。名前の由来は、湿り気を感じるニュアンスと、マッタリ暮らして欲しい願望を反映してるそうな。長生きするかな?長生きしてくれ。


ドラマ「コード・ブルー」観てて。
●新米ナース役の、馬場ふみかちゃんが気になってきた。
●TUMBLR のタイムラインだと、ただひたすら豊満バストばかり強調されてるグラビアガールで興味持てなかったんだけど、そのボディラインを封印するヘリクルーのつなぎを着て、長い髪の毛もひっつめたら、実直な印象の地味なお姉さんになってしまって…むしろ好感がモテる!もう40歳過ぎたオッサンとしてはバストとかどうでもいいし!ただ彼女みたいな看護師さんに採血されたい。


●今日の100円音源。

NIRVANA「SLIVER - THE BEST OF THE BOX」

NIRVANA「SLIVER - THE BEST OF THE BOX」1985〜1993年
90年代グランジシーンの伝説・NIRVANA のアウトテイクス音源集。荒っぽいライブ音源や、リハセッション、デモテープなどなどで音質はどれも最低。ジャケのイメージの通り、ラジカセで収録したかのようなザラザラブツブツぶりがスゴイ。でも、そのザラザラ感覚がそのままグランジの美学だから。カセットテープがよれてイントロがブツブツになってもご愛嬌。その後メジャーアルバムで世間を圧倒した名曲の数々が牙を剥いて襲いかかってくる。
●まるで壁に自分の体を打ちつけながら演奏してるかのように聴こえる、文字通り捨て身のロックは、KURT COBAIN の恵まれない少年時代やその後の破滅を知る今では、どこか物悲しい。それでも鳥肌が立つような爆音や耳に馴染むメロディは、当時にリアル10代だったかつての自分の感覚を呼び覚ましてくれる。久しぶりに旧友に会えたような気持ちだ。
●そんな音源も100円。このバンドをちゃんと楽しみたかったら、普通のアルバムの方が間違いなくイイですよ。こんな出来損ない音源は必要ないし、売った人もそう感じたんだろう。ただ、この汚いカセットテープの山から、ボクは高校〜大学の部室に漂ってたカビとヤニの匂いを思い出したのさ。それが10代の匂いってヤツさ。