●うー、体調悪い。仕事の能率が落ちて仕方がない。
●どこかで休みたいと思っているが、すでに先週一回会社を休んでしまった。
●連休はゆっくりしたいと思いつつも、結構用事が詰まりそう。
●あー、髪の毛、切りたいよ。ボサボサだ。



●夢見て、挑んで、そして挫折して、道に迷ってしまった若者の歌。

ALBERT HAMMOND「IT NEVER RAINS IN SOUTHERN CALIFORNIA」

ALBERT HAMMOND「IT NEVER RAINS IN SOUTHERN CALIFORNIA」1972年
●R&Bグループ TONY! TONI! TONE! が1990年にこのアルバム表題曲をカバー。それが好きで原曲を探してました。で、先日下北沢フラッシュディスクランチで発見。LPを800円で購入。「南カリフォルニアでは雨は降らない」そんなタイトルになんとなく洗練されたウエストコーストサウンドの気分を予想してたんだけど。
●レコードを買う時に、フラッシュディスクランチのご主人がヒトコト。「この曲の意味、知ってる?」え?南カリフォルニアに雨が降らないっていう歌ですよね?「実はそうじゃないんだ。ぜひ歌詞もチェックしてみてね」へー。ここのご主人はいつも気さくに声をかけてくれるし、レジに持っていったレコードについて一言ウンチクを教えてくれたりする。音楽を楽しむには先輩たちから得る知識ってのがとても重要。いつも謙虚になって、人の話に耳を傾けたい。
●アドバイス通り歌詞をチェックすると…確かにほろ苦い内容だった。夢を見てカリフォルニアを目指し、そして挫折した若者の物語なんだよ。

 「ただ、西行きのボーイング747に乗ったんだ
  何をするかなんて考えちゃいなかった
  テレビや映画でブレイクできるイイ話が転がってるとか
  もっともらしく聞こえたのさ、マジでもっともらしく聞こえたのさ

  南カリフォルニアでは雨は降らないらしい
  その手の話をよく聞いてたもんだよ
  南カリフォルニアでは雨は降らない 
  でも、誰も注意してくれないんだけど、
  降ればドシャ降りなんだよ、本当にドシャ降りなんだよ
 
  仕事がなくて、アタマもおかしくなって、自尊心も見失って
  パンにもありつけなくて、誰からも愛されないし、体も壊してしまう
  もう家に帰りたい

  故郷の連中に伝えてくれないか オレはもう少しで成功すると
  仕事のオファーはいろいろ受けたけど、どれに決めるか迷ってると
  お願いだから、オレがどうしてたかは連中には言わないでくれ
  それは待ってくれ、待ってくれよ
  
  南カリフォルニアでは雨は降らないらしい
  その手の話をよく聞いてたもんだよ
  南カリフォルニアでは雨は降らない 
  でも、誰も注意してくれないんだけど、
  降ればドシャ降りなんだよ、本当にドシャ降りなんだよ」


ALBERT HAMMOND は実はカリフォルニア出身でもなければ、アメリカ人でもない。国籍はイギリス人で、おまけに育ちは地中海の入口にある英領ジブラルタルだ。10年以上の売れない音楽活動を続けた上で、流れ流れてロサンゼルスにやってきて、やっとこの曲をヒットさせた。カリフォルニアに夢を見てたのは彼本人で、そこで挫折しそうになってたのも彼自身だったのだと思う。このアルバムには「FROM GREAT BRITAIN TO LA」という曲もあって、イギリスのバンドマンがロスにたっぷりの憧れを抱く内容を歌っている。
●時代は1973年、すでに西海岸の能天気なヒッピームーブメントは下降線にある。チャンスを見出す為にやってきた異邦のシンガーソングライターは、この街に対する憧れと幻滅をないまぜにしながら、このアルバムを作ったんだろうな。これがヒットしてよかったね。彼の仕事としては最初のアルバムで最大のヒット。その後はソロ活動をしつつも裏方の作曲家として仕事をしてたりしている。
●WIKIで調べてたら、この曲は南沙織さんとアグネス・チャンがカバーしてるとな。邦題は「カリフォルニアの青い空」。その題名をヒネってのちにみうらじゅんが自分のバンド・大島渚「カリフォルニアの青いバカ」という曲をだす。そんなみうらじゅんに面白がられた峯田和伸率いる銀杏BOYZ南沙織「17才」をカバーする。なんだかぐるぐる回ってる。
●さらに追加すると、ALBERT の息子、ALBERT HAMMOND JR. は00年代を代表するガレージバンド THE STROKES のギタリストだとか。へー。

NEIL DIAMOND「TOUCHING YOU TOUCHING ME」

NEIL DIAMOND「TOUCHING YOU... TOUCHING ME」1969年
●タイミングは全然違うけど、これもフラッシュディスクランチで買ったLPだわ。300円だった。ALBERT HAMMOND の音楽と似た雰囲気で、フォーキーながらも70年代風の洗練の空気が入り込んでいる。ポップス風もあれば、ストリングスアレンジが豪華な曲もある。ニューヨークで作曲家/フォークシンガーとして鳴らしていた彼は、すでに4枚のアルバムをリリースしていたが、この時期に拠点をロスに移したらしい。ロス〜西海岸の磁力は当時はハンパなかったんだろうね。
JONI MITCHEL「BOTH SIDES NOW」のカバーが、JONI 本人バージョンとはまた違う趣きでヨイ。そんな有名曲に耳を引っ張られたけど、彼の楽曲「HOLLY HOLY」も素敵な曲だね。ロスの一流スタジオミュージシャン、THE WRECKING CREW と組んで演奏してる。奥行きのあるストリングスアレンジとコーラスハーモニーが澄み切った空気を連想させる。

JOAN BAEZ「FROM EVERY STAGE」

JOAN BAEZ「FROM EVERY STAGE」1976年
●こうなったらもう一枚、フラッシュディスクランチでの購入物件を。JOAN BAEZ のライブ編集盤2枚組、だけど300円だ。彼女なら当然な話だけど、そのまんまのフォークだ。前半のLP一枚目はアコースティックセット、二枚目がバンド編成でのフォークロックアレンジ、という設定だけどあんま関係ないかも。それと、これはロサンゼルスは無縁。
このライブ盤では BOB DYLAN のカバーがたっぷり。60年代の JOANBOB と近い関係にあったからね。ドキュメンタリー映画「ドント・ルック・バック」でやたらツルンでた印象がある。前も似たこと書いたけど、BOB DYLAN の音楽って、他の人にカバー翻案されて初めてイイ感じになる気がする。本人のパフォーマンスよりも THE BYRDS の方が耳に優しいとか。JOAN BAEZ のカバーもそういう性質のモノで、BOB DYLAN 楽曲を凛とした声で可憐にしてくれる。彼女による名曲「BLOWIN' IN THE WIND」の素朴なアコギ一本弾き語りの方が、BOB 本人原曲より好きだよ。「FOREVER YOUNG」も声が気持ちよく伸びていく素敵なカバーだ。「I SHALL BE RELEASED」もよし。
●彼女の曲で気になったのは「THE BALLAD OF SACCO & VANZETTI」だ。アメリカの歴史的冤罪事件、ニコラ・サッコとバルトロメオ・ヴァンゼッティの悲劇を題材にしてる曲。二人はイタリア移民でアナキズムの信望者だった。そんな出自を理由に不十分な捜査と不当な裁判で強盗殺人の罪を着せられ、死刑に処される。1920年代の出来事で、イタリア移民が偏見に晒されてた時代。そんな移民への冷たい眼差しが今のアメリカには見事復活した。中東のムスリムはみんな原理主義者のテロリスト、そんな偏見は、二人を死刑に追い詰めた差別意識と変わらない。ちなみに、MORRICONE
●あとね、NEIL DIAMONDJOAN BAEZゴスペルからインスパイアされてる感じがあるんだよね。NEIL のアルバムで耳を引いた「HOLLY HOLY」もコーラス使いは教会音楽のニュアンスだった。JOAN はこのアルバムで「AMAZING GLACE」をアカペラ&観客との合唱で歌い切ってるし、テンポのいいバンドサウンドに乗せて「OH HAPPY DAY」をファンキーに歌いこなしてる。


●70年代のフォーキーな音楽を聴いて、やっとササクレだった神経が落ち着いてきたよ。
●自分で自分を制御できなくなる感じ。今夜もクスリが増えるぜ。




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ヨーロッパのジャズで夜が更ける。

MICHAEL JAEGER KEROUAC「OUTDOORS」

MICHAEL JAEGER KEROUAC「OUTDOORS」2009年
●ユニオン下北沢100円コーナーからすくい上げた、スイスのジャズカルテット。サックス奏者 MICHAEL JAEGER が自分のバンドにビート作家ジャック・ケルアックの名前をつけた。ケルアックの代表作「路上」の延長なのか、アルバムタイトルは「野外」
夜更けの暗闇で不安げに響くサクソフォーン。奔放で不穏なソロが展開していくうちにテーマの痕跡は消え失せて、アベコベの角度から複数のソロイストがバラバラに音を差し込んでくる。ボクは自分の位置を見失い、ルールのわからない音の配置に翻弄される。震えるリズムは小節の頭がどこだかわからなくなるほど細切れに痙攣して、それでも奇妙にスウィングして、思わず足がビートを刻んでしまう。踊れないはずのダンスミュージック
●ゲストにニューヨークのサックス奏者 GREG OSBY が参加。1980年代のジャズ集団 M-BASE の所属メンバーという意味でボクは認知してた。90年代の音源ではアシッドジャズ/ジャズヒップホップ的なものに共鳴してたが、本来はフリージャズ系のプレイヤーだ。もう一人のゲストはギタリスト PHILIPP SCHAUFELBERGER。彼の慎ましやかなギターがこれまた不安をかもす。
●オーソドックスなジャズのように思えて(テーマに始まりテーマに戻ってくる構造は残ってる)、何かを外して、脱臼させて、崩して、聴くものの予想を絶えず裏切って、安定と不安定をゆらゆらと往復して、カタルシスに到達させない宙ぶらりんの緊張状態を継続させるスリル。焦点は常に移動していて、どの楽器を、誰の演奏を、なんの音を聴き取ればいいのかわからない。そうしてすり抜けていく音の流れは、繰り返して聴けば聴くほど新しい発見が見えてくる。どこまでも地味だけど、不断の揺らめきが怪しく鈍色に光り、蠱惑的に艶めく。

BENJAMIN KOPPEL「BREAKING BORDERS #4 HERITAGE」

BENJAMIN KOPPEL「BREAKING BORDERS #4 HERITAGE」2015年
●これまた100円ジャズ。デンマークのサックス奏者がピアノと二人で奏でる可憐なメロディ。綺麗に伸びるサックスの音が甘くて耳に優しい。相方はアメリカ・フィラデルフィア出身のピアニスト URI CAINE。クラシックから JOHN ZORNとのコラボ、ドラムンベースとのフュージョンまでこなす異彩だが、ココでは繊細な演奏でストレートアヘッドなジャズに徹している。時に敢えて朴訥な間合いを狙って楽曲に不思議な陰影をもたらすのもワザあり。実は、MICHAEL JAEGER の音楽について「なんだかウルサイ」とワイフから苦情を受けたので、もう少し綺麗に聴ける音源に切り替えた。
●アルバムタイトルは「遺産」ユダヤの民俗音楽メンデルスゾーンのクラシック、KOPPEL の祖父でデンマークの戦後を代表する作曲家であった HERMAN D. KOPPEL の曲を採用している。自らのルーツを掘り下げていく姿勢が凛々しい。祖父の楽曲の佇まいがどこか爛れたキャバレーの香りがするのはナゼだろう。ユダヤ民俗音楽が艶やかな繊細さを持つのはナゼだろう。「遺産」の解釈は自由で、その自由さをそのままにして未来へ託すのが彼の姿勢なのか。シリア人クラリネット奏者 KINAN AZMEH の立ち振る舞いに奇妙な怪しさがあって、ボクの耳は彼らのジャズのアンバランスな脆さに吸い寄せられていくようだ。打楽器系がほとんどいないのに、リズムの骨格はキチンと見える。常に思い知らされるが、ジャズは不思議な音楽だ。


勢い余って、コンチネンタルタンゴを。

ALFRED HAUZE

ALFRED HAUSE「VERY BEST OF CONTINENTAL TANGO VOL.2」1954年
●今日は、ヨーロッパ系ミュージシャンのジャズを聴いているが、もう一枚ヨーロッパ系の音楽を。タンゴだ。もちろんタンゴの本場はアルゼンチンだが、そのタンゴを南米から旧大陸に持ち帰って作られたものコンチネンタルタンゴと呼ぶらしい。アルゼンチンタンゴコンチネンタルタンゴ。実は細野晴臣さんの本で最近知った言葉。で、そんな流れの関連音源をレコードショップ 吉祥寺 RARE で発見。7インチのシングル盤サイズだが33RPMで収録分数は少し長く、4曲収録されている。これも100円。
ALFRED HAUSEドイツの演奏家。戦中からキャリアを起こし自分の楽団を率いて録音を始めたのは1950年代。よくわからないが、この音源は1954年の録音なのか?1965年には来日して演奏、人気を集めたようだ。しかしボクはタンゴはまるで不勉強。かつてアルゼンチンタンゴの巨匠 ASTOR PIAZZOLLA の音楽にハマったコトはあるが、タンゴの全容はよくわからない。ただそんな素人の耳にもはっきりわかるのは、ASTOR PIAZZOLLA の音楽と比べて、主役であるべきバンドネオンの存在感が薄い!というか味付け程度以下の役割か。定食の中でのパセリのような存在。
大編成のクラシックオーケストラが、弦楽器を前面に押し出してメロディを奏でる。なんだかゴージャズな「ムード音楽」のような趣き。確かにリズムのアクセントはタンゴだけど、アレンジが軽音楽風でラウンジ寸前というか。実際 ALFRED HAUSE 本人はバイオリン奏者でベースはクラシック音楽、レーベルの要請でタンゴに転身したとか。奇しくも HAUSE PIAZZOLLA と同年生まれだが、バンドネオン奏者として活動を始め、タンゴを軸にして他の音楽を学んだ PIAZZOLLA とは真逆のアプローチかと。
●演奏がドイツ人であることに加え、さらに楽曲もヨーロッパ産。戦前タンゴ「夜のタンゴ」「夢のタンゴ」「バラのタンゴ」はドイツとフランス、イタリア産。「ブルータンゴ」はなんとアメリカ産で妙に派手。古典ハリウッド映画のサントラみたいな勢い。
●はー、本当に音楽の世界は広い。まだまだ聴くべき音楽がたくさんある。



●4月期のドラマが始まったぞ。

フジテレビ月9の「貴族探偵」が壮絶。かつては無敵のブランドを誇りながらも昨今は低迷が長引く「月9枠」に、嵐・相葉雅紀を主演に迎え、絶対に負けられない状況のフジ制作陣。推理モノはあまり好きなジャンルじゃないが、そのフジの今の本気を見てみようと思った。
周りを固めるキャストがビビるほど豪華。ぶっちゃけ単体で主演を張れる人たちがイッパイいるんだから。武井咲がヒロインとして可愛く振る舞い、生瀬勝久さんがコミカルすぎてムロツヨシみたいになってる。執事に松重豊さん、使用人に滝藤賢一さんと重厚な布陣、ここに中山美穂さんがなんとメイド役でハマる!クレジットにあった仲間由紀恵さんが出てこないなと思ったら、武井咲スマホの人工音声の役だった!アホなお嬢様の木南晴夏は独自のポジション確保でいいねー。井川遥も謎の妖しさ出してて良い。
●というコトで、周囲は鉄板で、実際に完璧にいい仕事してる状況。はっきり言って個々のプレーは見事ですよ。とりあえず中山美穂さんが予想以上のイイ味。なのに、その中央にいる相葉ちゃんが壮絶にダメ!というか「貴族」という設定が無理すぎ。相葉ちゃんでも、他の誰でも、絶対に正解が見出せない難役だよ。同じ貴族ものの海外ドラマ「ダウントンアビー」でリアリズムを勉強しよう。
初回視聴率は11.8%。普通のドラマのスタートとしてはボチボチレベルで及第点とは言えない。ましてやこんだけアクセル踏み込んでるんだ。もっと結果出さなきゃ!
●最近大不振のフジテレビ。ホントにやばいのかもね。

TBS日曜劇場「小さな巨人」。まさしく「半沢直樹」の再来か?今度は警視庁組織内、エリート捜査一課 VS 現場の所轄の対立を描く。香川照之さんの悪役顔芸が炸裂。堺雅人のポジションには長谷川博己がエントリー。長谷川の奥さんに市川実日子「シンゴジラ」組じゃねえか。キムタク「A LIFE」よりは痛快なカタルシス得られそう。
TBS「リバース」湊かなえ原作を読んだ方がいいかな。予告から藤原竜也がまたしても慟哭咆哮してて、だんだんついていけなくなってきた。

日テレは「フランケンシュタインの恋」が期待かな。綾野剛+二階堂ふみ。日テレの中でも、河野英裕プロデューサーは世界観がユニークすぎる異次元クリエイター。時に「文芸」モードへ躊躇なく踏み込むことで有名。「すいか」「野ブタをプロデュース」「セクシーボイスアンドロボ」「銭ゲバ」「Q10」「弱くても勝てます」…醸すヴァイブスが異質で数字は期待できないのが玉にキズ。



マンガで旅情をかきたてられて。あてもなく電車に乗る、スマホ片手に。

海街diary 8 恋と巡礼

吉田秋生「海街DIARY 8 恋と巡礼」
「鎌倉」を舞台に、個性的な4人姉妹の生活をみずみずしく描く作品もとうとう8巻。四女・すずは中学3年生の夏を迎えて、今後の進路について決断する。女子サッカー特待生として、「静岡・掛川」の強豪校で寮生活をすることを選んだのだ。「鎌倉」とそこに暮らす仲間たちとの別れに不安を感じながら。3人の姉にも新しい恋愛、そして結婚の場面が訪れて、4人暮らしの生活は徐々にバラバラになっていくのかもしれない。優しい時間は終わって、それぞれが独立する時期がやってくる。この「鎌倉」では、人と人の縁が優しく結びついてる。そんな暮らしのすぐそばで、古いお寺やお宮さまが息づいている。


●こんなマンガを読んだら、なんとなく電車に乗って、遠くに行きたくなってしまった。

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スマホゲームアプリ「駅メモ!ステーションメモリーズ」
「ポケモンGO」が登場する以前から、ボクはこのGPS位置情報を利用したゲームにハマってまして。始めてからそろそろ2年くらい経つかも。たくさんの鉄道の駅でチェックインすることでスコアを競う電車を擬人化した女の子キャラ「でんこ」がたくさん登場するのはご愛嬌。「艦これ」「けもフレ」などなど擬人化女子は時代の大潮流ということで。
●多分、7〜8万人くらいのユニークユーザーがいる中で、ボクは通算スコア1万3000位程度の成績でございます。それでも全国の鉄道駅のうち2040ヶ所にはチェックインしてる。東京都の駅は全制覇してしまって、遠征をしないといけない段階。さしあたり神奈川県が制覇目前なので、今回は、鎌倉よりもさらに奥地、小田原周辺から静岡県方面へ伸びる路線を攻めることとした。マンガに出てきた静岡の「掛川」って土地も気になったしね。
●で、伊豆箱根鉄道大雄山線というローカル線と、JR御殿場線という SUICA 利用可能圏外まで足を伸ばした。大雄山線はかわいらしい印象の鉄道。この路線にある「五百羅漢」駅のそばにある玉宝寺を見学したかったんだけど(ズバリ500体の羅漢像が並べられてるらしい)、本数の少ない御殿場線のスケジュールに合わせる為にお寺の前を通り過ぎるだけでガマン。御殿場のアウトレットなぞ目も向けず、そのまま終点の沼津までひたすら電車に乗るだけ。実は何気にスマホの操作がセワシいゲームなので、旅情に浸る暇もなく、観光なんて無視する「鉄オタ」仕様になってます。お尻が痛くなるほどひたすら電車に乗って移動するだけ。もし座れないと最悪なことになります。

「掛川」目指そうと思ったけど、東海道本線の各駅停車に乗りつつも「ヤバい、掛川は遠すぎてコレ帰れなくなるかも」と不安になって下車&Uターン。たまたまその場所が「東田子の浦」という小さな駅で、ホームからとてもキレイな富士山が見えた「田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」BY 山部赤人 FROM 小倉百人一首を思わず連想した。奈良時代の人がこんな辺境の地までやってきて、この富士山の雄大さを眺めたら、そりゃもうすげースペククタル体験として写生したくなる気持ちになるだろう。

●電車乗りっぱなしとはいえ、思えばこのゲームをキッカケにして、イソイソと知らない土地まで出かけたものだよ。それは結構面白いよ。
舎人ライナーの終点駅は降りても何にもなくて、人気のない吉野家でモリモリ牛丼食ったっけ。チンチン電車みたいな都営荒川線に乗ってて存在を知った「あらかわ遊園」はゼヒ一度ゆっくり遊びに行きたい。区立の遊園地ってすごくないか?江ノ島から乗る湘南モノレールは、起伏が激しい土地のせいか、時に地面スレスレでビックリ、時に高い見晴らしがキレイと車窓が楽しい。夜遅くの高島平団地の様子はどこか神秘的。夕暮れ時の西葛西近辺は川沿いのマンションが優しくて。川崎の湾岸工業地帯で働く人しか使わないJR鶴見線は、朝と夕方以外は一時間に一本しかないので注意。まさしく東京湾のドン突きまで出る、ズバリ岸壁沿いの海芝浦駅は工場私有地にしか繋がってないので一般人は駅から出られない。。ユニークな場所が多すぎる。「鉄オタ」の気持ち、ちょっと理解できたかも。

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今回の帰り道は、「熱海」で遅いお昼ゴハンを食べた。
「熱海」って初めて行ったけど、駅前からズバリ昭和な商店街が並んでて面白そうだね。「五月みどりの店」なんて横断幕もあったよ。古めかしい定食屋さんに入って「今日のオススメ!サワラフライ定食」を食べたらとても美味しかった。今度はもっと時間をとって来よう。

なんで今「熱海」なのか?ドラマ「火花」でこの土地が重要な役割を果たしてるから。主人公・徳永が、その後ずっと尊敬し続ける芸人の先輩・神谷と出会う場所。そして物語の最後にも、まさしくこのアーケードを二人で歩いて、彼らはメシを食い、温泉宿に泊まるのだ。わお、あのシーンの場所だよ、って気分だよ。

ネットフリックス火花

ネットフリックス・オリジナルドラマ「火花」
又吉直樹先生の小説を配信サービス向けドラマとして映像化。結果として、映画ともテレビドラマとも違った質感の作品ができた。ペースが映画の感覚なのにそれが10話分もある。さすがに長くてシンドイ。でもカットを割らない長い長い芝居をコッテリと鑑賞する新しい感覚に最後は居心地が良くなってた。原作に忠実なところも、その原作のイメージを上回る映像美もあって最終的には満足しちゃった。

主人公たちの10年に及ぶ、芸人としての活動がとうとう終わる時の悲しさ。まさしくポッキリと「挫折」する。これほどまでにボッキリと「挫折」するってどんなコトなのか?…そして、その問いが自分自身に戻ってきて一瞬息を飲んでしまった。アレ?ボク自身は「挫折」したことがあるか?気づかないうちに「挫折」したことになってるのか?「挫折」を知らずに呑気にやってこれたのか?アレ?なんだか自分の状況に自信が持てなくなってきたぞ。
●ボクはハイパーな長時間労働でカラダもココロもぶっ壊し、2年も引きこもって廃人のような暮らしをしてた。それまでのキャリアを一旦たたんで、今は全然違うことをやってる。でも、ボクはそれを楽しんでるし、家族もみんな仲良く暮らしてるし、なんの不満もない。後悔もないし会社に恨みもない。悪い人もいたけど、助けてくれた人たちがもっと大勢いたから。廃人として廃人なりの面白い経験もできたしね。でも周囲から見るとキャリアにおいて「挫折」してる人になってるかも。あー微妙だなー。みんな気を使ってくれてるのかな。客観的には「挫折」してるかもしれないんだなー。なんだか、ゾッとしちゃったよ。

●さて、「火花」においても、土地の名前が記号的な意味を持ってる。「熱海」「吉祥寺」「下北沢」「三軒茶屋」などなど。下北沢と吉祥寺、三軒茶屋は、ボクには身近すぎる場所だからシビれるわ。うわココで撮影してるのか、ってのが瞬間的にわかる。下北沢の茶沢通りを自転車で疾駆する。吉祥寺のハーモニカ横丁で酔いつぶれる。こんな街でみんなが夢や希望や迷いや苦しみを抱えてジタバタしてる。ボクがリアルに暮らしてる場所でジタバタしてる。ボクもきっとジタバタしてきたのだし、今後もジタバタする。ひょっとすると、この東京でジタバタすることが出来るだけでアドバンテージがあるのかもしれない。ボクはこの土地で生まれ育った人間だが、芸人を目指した彼らは関西から志を持ってワザワザこの街を選んだのだから。

マキヒロチ「吉祥寺だけが住みたい街ですか」

マキヒロチ「吉祥寺だけが住みたい街ですか」1〜3巻
●スバリ「吉祥寺」批判マンガ。それは言い過ぎか。吉祥寺で不動産屋を営む双子姉妹(双方おデブ)が、訪れる客のオーダーを聞いて、「住みたい街ナンバーワン・吉祥寺」以外の場所を提案する。マイナーな街が毎回紹介されて、ちょっとしたエリア情報まで差し込まれて、東京の本当の多様性を楽しむコトができる。
●ボク自身は東京全体の駅をアレコレ歩いたワケだけど、結局画一的な表情ばかり出てくることにウンザリするコトも多かったのですよ。すぐに家系ラーメンが出てきたり、ブックオフやその類似店が出てきたりとかね。そんで吉祥寺自体の劣化も激しいよ。大手資本の進出により地元オンリーのお店文化が衰退しつつある。レコ屋がどんどんなくなっていったしさ。その一方で、中央線の他の駅(三鷹以西)が一斉に吉祥寺コピーになろうとしている。これも没個性で退屈な話だ。
●それでも、その土地に住んでみないとわからないことはいっぱいあるワケで、それがリアルで身近な情報となればより面白い。メモ取りながら読むマンガなんて他にないよ。差し当たりボクが気になってるのは、2万枚のレコードが収蔵されてるという茗荷谷の小石川図書館かな。
●あと、この主人公であるトコロの、おデブの双子姉妹が、ヘヴィメタ好きだって設定も好き。

「東京と地方の距離感」を、1964年の視点で描く、NHK「ひよっこ」

ひよっこNHK

NHK連続テレビ小説「ひよっこ」
●いつのまにか、完全な朝ドラ信奉者になってしまったボク。コレはただのオッサン化か?ワイフからは「電車でフラフラどっか行くなんて「ちい散歩」とか「ぶらり途中下車」みたいなもんじゃない!」。オッサン通り越してジジくさい。しかし、今回も注目作です。久しぶりに実在のモデルがいないストーリーで先が読めない、戦争の時代も出てこない、有村架純はあの「あまちゃん」のキャストだった!ボクは結構気になってます。
●前作「べっぴんさん」戦中に子供を産んだ女性たちが主人公で、つまりそれはボクの祖母の世代だ。今作「ひよっこ」の主人公たちは1964年段階で18歳設定。つまり戦争直後のベビーブーマー/団塊の世代で、ズバリ団塊ジュニアであるボクの親の世代だ。茨城の奥地という設定にも親近感を感じる。ボクの父親はお隣・栃木の奥地、茨城との県境近くの出身だ。役者さんの喋る方言も馴染みを感じる(父親は東京に出て50年近く経とうというのに、まだ北関東のイントネーションが抜けてない…本人は抜けてるつもりだけど)。朝ドラは、ボクの祖父母、父母の物語を描いているんだな。

●さて、東京オリンピック開催に湧く昭和ど真ん中。主人公は茨城県の奥茨城村(架空の土地)から上京する少女。父親は東京に出稼ぎに行ってそのまま失踪し、家計を支えるために長女のヒロインが集団就職で東京に出る。今後描かれようとするのは、地方と東京のギャップのようだ。みんなが全員顔見知りの農村生活から大都会のライフスタイルに切り替わる中で、主人公たちはどのようにたくましく生きて行くのか。それはこれから描かれる。


●今日、紹介しているコンテンツは、全て「土地が持つ物語」を前提としている(少なくともボクにとっては)。
「鎌倉」「吉祥寺」「下北沢」「熱海」という固有名詞が持つイメージやコンテキストを、読み手側も文脈として飲み込むコトでさらなる奥行きを感じるコトができる。逆に言えば、その「土地の物語」を了解していなくては意味がわからない。「吉祥寺」が持つ文脈を知らなくては、デブの不動産屋が客のオーダーを裏切って「吉祥寺」以外の土地を紹介する意味がわからない。実は暗黙のコンテキストを共有することを読み手に要求するハードルが高い作品だ。結果的に「東京」の内部やその周縁部にかなりコミットしていないとダメという意味で、無邪気ながらに高圧的な「東京中心主義」をゴリ押している。

「東京中心主義」をスマホゲームで思い知る。
スマホゲーム「駅メモ!」はソレをハッキリと視覚化させる。ある画面を開くと各都道府県の駅の数が一覧になっている。そこでは「東京」とそれ以外の格差がどデカイコトが一目瞭然だ。狭い面積の東京に600以上の駅があるのに、その隣の山梨県は72しか駅がない。社会インフラの激しい偏りを意識せざるを得ない。
●実際にゲームをプレイするとよりインフラの偏りを感じる。東京近郊路線を踏破するのに、時刻表の研究なんて必要ないし、駅の間隔も狭いし、駅前には何かしらのお店がある。しかし、一旦そこから離れると、時刻表を検討しないと移動効率が極端に悪くなるし、駅の間隔も広くなるし、無人駅ばかり。スコアを競うに圧倒的有利なのは、東京在住の人間だ。

●文化資産や社会インフラが東京に大きく偏るコトを今一度体感した流れの中で、NHK朝ドラが「東京」対「地方」の構図を描きなおす。昭和の「東京」は昭和の地方人にどのように見えたのか。それは、実はボクのルーツにも直結している。団塊の世代であるボクの両親がかつて経験した風景を朝ドラ「ひよっこ」は描くはずだ。所詮、ボク自身も、一世代前に地方から東京に移り住んだ移民の子なのだ。しかし、その程度の存在でありながら「東京中心主義」を自明の理と錯覚してしまう危険がある。そこに慎重になりながら、立場をわきまえないといけない。


●さて、話はガラリと変わって、音楽の話へ。


●えーと、ドラマ「ひよっこ」は主題歌に桑田佳祐を抜擢。これはこれでその昭和歌謡テイストが非常に興味深い。

●しかし、その前にもう一つ気になることが。ヒロインの叔父という立場で、銀杏BOYZ のフロントマン・峯田和伸が出演してるのだ!ヘンテコなマッシュルームカットとヒッピーかぶれなヨレヨレ衣装、ユニオンジャックをはためかせてラッタッタを走らせてくる。明らかに親戚に必ず一人いる変人ポジション。なんでここで峯田が登場!?と戸惑った瞬間、本編ナレーションがすかさず「朝ドラには変なおじさんがよくでてきますよね、なんででしょうね」とメタ視線な自己ツッコミを入れる。そもそもでナレーターが増田明美ってのも意味不明なんだけど。ツッコミどころが多すぎる!

●ということで、今日の音楽の話題は、峯田和伸のバンド・銀杏BOYZ にフォーカス。

銀杏BOYZ「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」

銀杏BOYZ「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」2005年
江口寿史のジャケで可愛いじゃん、とか思ってるとヤバイ。内容はザラザラのパンクロックだ。00年代のポップパンクみたいな洗練された感じもない。80年代の初期ハードコアパンク並みに録音が粗末でメチャクチャだ。なんでこんなミキシングにしてしまったのかと思うようなバランスの悪さが異形。エレキギターの音が大きすぎるし、音の重心が上に設定されてるのか、低音部分〜ベースやバスドラが何してるかよくわからないし、リズムもドタバタしてて不安定。このひしゃげたバンドサウンドのど真ん中で強烈なオーラを放つのがボーカリスト・峯田和伸崩れかけの爆音の中、身を焼くようなテンションで絶叫を続ける様子は、まさに珍獣。
●リリックの内容も実にユニーク。小賢しくなった今時の中学生は決して口にしない、頭の悪い思春期の妄想を猛烈に肥大化させて巻き散らかす。「学校帰りに君の後ろをつけてみたんだよ 君はどっかのオシャレ野郎と待ち合わせをしてた そいつが君のおしりの辺りに手を当てた時 僕は走って逃げてCD万引きしたんだ」「ボクのあそこがなんだかムズムズするんだーボクのあそこがボクのいうことを聞かないー」「あーなんてイカ臭い愛と青春だろう」「あー僕はなにかやらかしてみたい そんなひとときを青春時代と呼ぶのだろう」時として、センチメンタルな詩情も漂う。
●最後の10分の大曲「東京」が実にセンチメンタル。「僕と別れて君は仕事をやめて新幹線に乗って郡山へ帰った 車窓から眺めた空は何色だっただろう … 二人の夢は東京の空に消えていく」。ここにも東京と地方のズレが詩的な意味を響かせている。「環七沿い」とか「小田急線」とかの固有名詞を散りばめて。ああ、またワリとウチの近所だ。ちなみに、峯田和伸は山形県出身。

銀杏BOYZ「DOOR」

銀杏BOYZ「DOOR」2005年
●前述「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」と、この「DOOR」は同年同日同時発売のアルバム。いきなりのデビューでアルバム2枚とはすごい才気だな。いや実は前身バンド GOING STEADY 時代の楽曲を再レコーディングして収録してるのだ。それでも、ナニカを振り切ってバンドを改組して、もう一度取り組んだ楽曲は、本作においても「〜恋愛革命」においても、より鬼気迫る内容になってて切れ味が深い。相変わらず激しいアンバランスに耳がおかしくなるようなパンクサウンドだけど。
「僕のエレキギターであなたの苦しみを叩き斬ってやる ケツ毛のツヤの光のごとく輝く明るい未来じゃないか」「自転車の変速を一番重くして商店街を駆け抜けていくんだ だけど悲しい噂を聞いた あの娘が淫乱なんて嘘さ 僕の愛がどうか届きますように ああ世界が滅びてしまう あの娘はどこかの誰かと援助交際」「あの娘は綾波レイが好き あの娘は睡眠薬が好き あの娘はバカだから ヤリマンのバカだから 僕たちバカだからバカばっかしだから コンドームの風船お月様まで飛んでいけ」もうキレキレのリリックが満載だわ。

銀杏BOYZ「あいどんわなだい」

銀杏BOYZ「あいどんわなだい」2007年
●バンドとしての初めてのシングル。「あいどんわなだい」相変わらずの無鉄砲で無節操な妄想ラブソングパンクロック。一方、カップリング楽曲「東北新幹線はチヒロちゃんを乗せて」は、「東京」の続編に当たる内容とされてる。北へ帰っていく女性を思う歌が優しくて。この作品と次のシングルは、ジャケ写真を川島小鳥さんが担当してる。

銀杏BOYZ「光」

銀杏BOYZ「光」2007年
悪フザケパンクではなくて、センチメンタルなバラードが前面に出てきたシングル。「光」はシンプルな言葉で綴られた純愛と死の歌。アコギとピアノの弾き語りが、峯田の才能が本質的にはフォークシンガー的なものだと気づかせてくれる。前半5分が優しく響く一方、後半5分はハードなバンドサウンドが津波のように押し寄せて激情を煽り立てる。ああ、素晴らしい。
●バンドの本質が、キワモノパンクから、やや不器用に純粋な詩情を奏でるロックバンドだということが徐々にはっきりしだしたのがこのころ。いや、こうした名曲は前から、GOING STEADY 時代からあったのだけど、やっとコチラの認識が追いついた。

 銀杏BOYZ「17才」

銀杏BOYZ「17才」2008年
なんと、南沙織のヒット曲1971年をカバー。しかも猛烈なパンクで凄んでます。カップリングは波打ち際で収録したアコースティックバージョン。「病室にいるあの娘へ」というサブタイトルが添えられてる。生命感溢れるはずのリリックを、その生命力を失いつつある誰かに贈る行為が意味深いな。あ、原曲の作曲家は筒美京平さんなんだ。
●映画「俺たちに明日はないッス」の主題歌だったとな。これ、さそうあきらの原作マンガ大好きだったけど、映画はスルーしてたな。今チェックすると、柄本時生安藤サクラが出てる。これドッカで観たいなあ。

銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ

銀杏BOYZと壊れたバイブレーターズ「SEX CITY 〜セックスしたい〜」2010年
映画の主題歌から、舞台のサントラ版を銀杏メンバーが手がけた音源へ。劇団ポツドール主宰・三浦大輔の依頼で舞台「裏切りの街」の劇伴を制作することになった。
峯田和伸俳優業はバンドの初期から実は盛んだ。2003年「アイデン&ティティ」はいきなり主演。原作・みうらじゅん、脚本・宮藤官九郎、監督・田口トモロヲ、サブカル大先輩たちによる大抜擢だ。2009年「少年メリケンサック」は監督/脚本/原作・宮藤官九郎で、田口トモロヲ演じる中年パンクロッカーの過去を演じている。同じく2009年には「色即ぜねれーしょん」黒猫チェルシー・渡辺大知、くるり・岸田繁と共演。これも原作・みうらじゅん、監督・田口トモロヲという布陣。そして2010年は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」で主演&主題歌を担当。ポツドール・三浦大輔はこの作品の監督で、その縁でこのコラボが成立してる。
ここにはいつもの銀杏BOYZは存在しない。サウンドトラックという裏方に徹した、ピアノやストリングス、ギターの小品があるだけ。それはそれでテーマのメロディが切なくて味わい深い。しかし唯一のボーカル入り楽曲である主題歌はなぜか「ピンクローター」って名前で。ユニット名には「壊れたバイブレーター」がくっついて、アルバムタイトルは「セックスしたい」「裏切りの街」がどんな物語かわからないんだけど、そんなに直球で下品じゃないでしょ?映画版だと池松壮亮寺島しのぶが出演してるみたいだし。
●演劇からはしばらく遠ざかってるけど(振り返ると「劇団、本谷有希子」以来ゼロか?)、ポツドールは観てみたい劇団だなー。

銀杏BOYZ「光のなかに立っていてね」

銀杏BOYZ「光のなかに立っていてね」2014年
「〜恋愛革命」「DOOR」の二枚同時発売アルバムから9年経って発表されたセカンドアルバム。これもライブテイク編集アルバム「BEACH」と共に二枚同時発売されている。制作には7年かかっており、最終段階でバンドメンバーが続々と脱退。このアルバムリリース時には、銀杏BOYZ峯田和伸のソロユニットになっていた。
●そんな激動を反映してか、幾分サウンドの気分が変わっているGOING STEADY 以来のバランスの悪いパンクサウンドに、一部で打ち込みリズムが採用されてて意外だ。リズムですら拡縮自在だった彼ら独特のグルーヴが一気に整理されてる。「金輪際」のインダストリアルビートまでは飲み込めても、「愛してるってゆってよね」チップチューンなアレンジには当惑する。既発シングル曲「あいどんわなだい」の改題バージョン「I DON'T WANNA DIE FOREVER」圧倒的なエレポップになってビックリ。ボーカルスタイルも変わった。闇雲な絶叫には歯止めがかかってリズムに乗って流していく感じもある。「SEX CITY」の仕事を経ての成果でもあるのかな。
GOING STEADY 以来3回目のアルバム収録となる「銀河鉄道の夜」「新訳 銀河鉄道の夜」に改題、パンクのスタイルはほぼ放棄されて壮大なロックバラードに変身、シンセの神々しい響きでそのセンチメンタルさに磨きが増している。シングル曲「光」も、より死の気配が濃い形にリリックも改変されて、ピアノアレンジも可憐で荘厳さが増した。同じ曲でも練り直されて成熟していくのが実に楽しい。もちろん過去アレンジとの聴き比べも乙な楽しみだ。
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」はシングル盤未聴なのだけど、このバージョンはシンプルなビート感覚が素朴のように思えて、その分リリックはよく響いて、青春の暴走が眩しい。映画見てないんだよな。原作マンガは全部読んだよ。「アイアムアヒーロー」花沢健吾だよね。新曲「ぽあだむ」「僕たちは世界を変えることができない」完全に新スタイルだ。ポップなプログラムリズムとファンキーなギターにキラキラシンセ、そして甘口ボーカル。渋谷系みたい。
●この後、峯田和伸のソロユニットになった銀杏BOYZは、活動のペースをグッと落として、アルバムのリリースは止まっている。昨年シングルを2枚出してるけど、そこはまだ聴いてないんだ。


●さあ、こうなったら、銀杏BOYZの前身バンド、GOING STEADY にも触れるぞ。

GOING STEADY「BOYS GIRLS」

GOING STEADY「BOYS & GIRLS」1999年
峯田和伸、21歳、90年代のアルバムだ。ここからがスタート。当時は「青春パンク」というバズワードがあって、日本語詞で青臭いコトを喚くバンドがたくさん登場してた。今となっては思い出せないほどなんだけど…ロード・オブ・メジャーとか?175R(イナゴライダー)とか?太陽族ってバンドもいたっけ?ガガガSPもそうかな?STANCE PUNKSも?GOING STEADY もそんなバンド群の一つと思ってた。
●このアルバムなんて、楽曲タイトルが全部英語でまるで HI-STANDARD 風じゃないか。歌詞は THE BLUE HEARTS ばりに全部日本語なのに。それでも、銀杏BOYZに繋がる、イビツで荒削りすぎるサウンドデザインは当時の耳には十分衝撃的で、登場の瞬間から只者じゃないと思ってた。峯田和伸の若気が至りまくる佇まいもこの時期から健在。
銀杏BOYZ時代に到るまで重要なレパートリーであり続ける楽曲がここですでに登場。「MY SOULFUL HEART BEAT MAKES ME SING MY SOUL MUSIC」は、その後「もしも君が泣くならば」と改題されて二回もレコーディングされてく作品だ。「YOU & I」「YOU & I VS. THE WORLD」に改題されて銀杏BOYZに継承されてる。

GOING STEADY「さくらの唄」

GOING STEADY「さくらの唄」2001年
●セカンドアルバムのタイトルは、発売当時から、90年代初頭の安達哲の同名マンガを連想させた…マンガ「さくらの唄」はヤバい内容だったよ。影の深いトラウマ青春を描くマンガと、このバンドの業深い青春の爆発力は明らかにシンクロして見えた。そして、ここの楽曲たちもいくつかがそのまま銀杏BOYZへ継承されて、改作されてる。
●とはいえ、この時代の楽曲たちが銀杏BOYZの準備の意味しかない訳ではなくて。ディストーションギターの高圧力下で歌われるラブソング「佳代」の力強さ、「GO FOR IT」のメロコア展開とオイパンクばりの大合唱アンセムぶりがまさしく「青春パンク」で眩しい。

GOING STEADY「若者たち/夜王子と月の姫」

GOING STEADY「若者たち/夜王子と月の姫」2002年
GOING STEADY は二枚のアルバムを残して解散する。でも前述2作品以降もシングルを3枚残してて、これも侮れない内容になってる。こと「若者たち」はパンクロックのロマンチシズムが全部詰め込まれてて、この段階で十分輝かしい。本作シングル楽曲2つもそのまま銀杏BOYZへ継承されて、再レコーディングされた。この時期のシングル「青春時代」2003年も銀杏BOYZに持って行かれたね。この時期のアルバムアートは峯田和伸自身が手がけているようだ。味のある画才も発揮。
GOING STEADY は解散するも、後継バンドの銀杏BOYZ とメンバーを比べると結局ギターが交代しただけの変更だ。ギター担当のアサイタケオとソリが合わなかったのか?ベースとドラムは2013年までずっと峯田和伸と共に行動してた。しかし、銀杏BOYZ への改組が、峯田和伸のサウンドやアレンジのスタイルに影響しているのは確実だ。THE BLUE HEARTS 以降の日本語パンクの素朴な解釈から、さらに一歩踏み込んだ独自解釈に進化してる。もっと自由に、もっとダイナミックに、もっとうるさく下品で猥雑に。ただ、ソロユニットになった現在の銀杏BOYZも、さらなる変化の季節を迎えることだろう。今後は一体どんな音楽を聴かせてくれるのだろう?



●「SKOOL KILL」。もう何が何だかわからないが、とにかく IGGY POP みたいだぞ。





●関係ないけど。「海街DIARY」のサブタイトルは、なぜかいつもデジャヴを感じる。
●第4巻の「帰れない二人」井上陽水の楽曲だよね(忌野清志郎との共作詞だったような)。第6巻「四月になれば彼女は」SIMON & GARFUNKEL「APRIL COME SHE WILL」の邦題。第7巻の「群青」もスピッツがそんな名前の曲をやってて。「陽のあたる坂道」MISIA「陽のあたる場所」を連想させる。「真昼の月」 REBECCA「真夏の月」を。いつも音楽の響きがそこはかと伝わってくる。ただ今回の「恋と巡礼」は連想ネタがなかった。もっとストーリーそのものに寄り添ってた。


よ、腰痛が…。
●あわててマッサージ屋さんに行ったけど、腰に限らず、全身ガチガチだって言われた。
●自律神経失調症が関与してると指摘されても、それはもう10年くらい付き合ってる病気なのでどうしようもない。けど、ホント痛みが出ると萎えるよね。頭痛も起こして最低な週末。



CHUCK BERRY 追悼記念、なのかな。

黒田有彩「ANTARES JOHNNY B GOODE」

黒田有彩「アンタレス / JOHNNY B. GOODE」2017年
「宇宙飛行士を目指すタレント」というスゴくニッチなポジションで活動しているこの女性が、クラウドファウンディングでシングルCDをリリース。ディスクユニオン限定流通で、ボクの最重要漁盤拠点であるユニオン下北沢でサイン会もやってたらしい。で、このCDのカップリングに、先月亡くなったロックンロールの創始者 CHUCK BERRY の代表曲「JOHNNY B. GOODE」カバーが収録されてる。でこれを聴く。
「宇宙飛行士を目指す」彼女がナゼ「JOHNNY B GOODE」なのか? かつて惑星探査船として木星/土星観測を務めて、現在は太陽系の外を旅しているボイジャー1号は、金メッキのレコードを搭載している。ボイジャーが地球外文明に遭遇した時に、地球の文明の存在を伝えるためのレコードだ。いわゆるこの「ゴールデンレコード」には、各国語のご挨拶や、自然の音に合わせて、音楽も収録されてる。そこにはベートーベンやバッハ、ストラヴィンスキーなどが収録されてるんだけど、この曲「JOHNNY B. GOODE」も収録されてるとな。そんな縁で彼女はこれを選曲したわけだ。
●とはいえ、コレをノリノリのロックンロールでカバーしているのではない。どこかシットリとしたシンセポップに仕上がっててなんだか意外。ダンスミュージックの気配を消して、AORの気分まで出してる。表題曲「アンタレス」もよりメロウなシンセポップ。夜空を見上げて歌う彼女の凛とした気配を感じながら聴く。アンタレスはさそり座の中で赤く光る一等星で、その直径は太陽の700倍もある巨星なんだって。黒田ちゃん自身がさそり座なんだな。ちなみにプロデュースは浅田祐介氏。
●マメ知識を追加すると、ボイジャーゴールデンレコードには、伝説の戦前ブルースマン BLIND WILLIE JOHNSON も収録されているとな。ソッチも聴きたい。



●3月末で送別会がなんどもあって、色々な人がいなくなりました。
●そんな場所で、意外なトークの盛り上がりがあって。仕事の会話だけじゃ知れなかった、音楽の趣味の話に盛り上がっちゃったりするのです。そこでトランス好きの人を見つけてしまった。シンセポップの流れがうまく行かないので、思い切りダンスミュージックに行きますわ。

SVENSON GIELEN「BEAUTY OF SILENCE」

SVENSON & GIELEN「BEAUTY OF SILENCE」2002年
●送別するタイミングで知ったのだが、ウチの部署にシステムエンジニアとして派遣されてたTさんは、DTMに親しみ、トランスDJとしてイベントを仕切るという趣味があったとな。さすがに今はもうお休みしてるが、2000年前後にはガンガンイケイケだったとな。……ということは、エピックトランスの全盛期ってこと?ダッチトランスジャーマントランスがノリノリだったはず。そうそうその辺ですよー!エピックトランスなんて言葉を職場の会話で使うなんてめっちゃ新鮮。
●ということで、その時代の音源をピックアップ。ベルギーのDJデュオがバッキバッキにマッシブな四つ打ちとシンセリフを疾走させてます。どこかダークな印象が夜のダンスフロアには映えますな。

●この手の音源を、当時のボクは、今はなき六本木ヴェルファーレ(現・ニコファーレ)で聴いてたんですな。ニコファーレの第一印象は、あの頃のヴェルファーレとは比べ物にならないほど小さい空間になっちゃったーというものだった。ヴェルファーレは、地下3階がメインのダンスフロア、その上に2フロア分ブチ抜きの吹き抜けがあって、地下2階、地下1階レベルにあるVIPルームがそのダンスフロアを眺め下ろすような構造になってた。玄関もわざわざ大きな階段で2階まで上げて、2階の物販エリアを通り抜けつつ、エレベーターで地下3階まで降ろす導線になってた。
●ちなみに1階は関係者駐車場やアーティスト向けのゲートとかになってたはずで、その駐車場にはワンルームマンション一部屋買えそうな真紅のフェラーリがあった気が。マックス松浦さんの車なんだろうなー。ただ、バブル崩壊からだいぶ時間が経ってもそのノリってのは、さすがに豪奢すぎて時代の空気が読めてない感じはあった。それでもレコード業界はまだ浮かれてたんだよ。今は死にそうだけど。もう知らない人は全く知らないヴェルファーレのコト、一応メモしておきました。

SAFRI DUO「EPISODE II」

SAFRI DUO「EPISODE II」2001年
●こちらはデンマークのデュオですな。ジャケからなんとなく伝わりますが、彼らは本来パーカッショニストでありまして、マッシブなトランスに乗っかって生演奏で打楽器を叩きまくるのですよ。彼らのキャリアの最高ヒット「PLAYED-A-LIVE (THE BONGO SONG)」はそんな彼らの太鼓プレイが炸裂しまくってる。「SAMB-AGAGIO」もかなりマッシブですわ。この辺が当時流行りまくったのです。一度ブレイクして、静かな状態からジワジワと盛り上げ直してクライマックスにどかーんと炸裂させる、エピックトランスのお決まり展開もキチンと織り込んでる。
●Amazonで今この音源のレビューを見たら、フィギュアスケートの選手が「PLAYED-A-LIVE」を選ぶ場面があるらしい。ヨーロッパじゃみんな知ってる曲だからフィギュアに選ばれちゃうのかな。フィギュア経由で十数年前のトランスに入るってカッコは、それはそれで音楽の出会いとして素敵ね。

JAM SPOON「TRIPOMATIC FAIRYTALES 2001」

JAM & SPOON「TRIPOMATIC FAIRYTALES 2001」1993年
●タイトルに「2001」とあるけどかなり古い音源で今から四半世紀前。ドイツ・フランクフルト出身のデュオで、トランスという言葉が初めてクラブシーンに登場した頃に活躍した開祖的存在。ただ、2000年代のエピックトランス、そして2010年の EDM のマッシブでエネルギッシュな感覚とは大きく違ってて、むしろ催眠的な意味でトランシーな印象。00年代以降のトランスが、日常から非日常への「越境(=トランス)」としてバカ騒ぎな祝祭空間を演出しているのであるならば、JAM & SPOON の時代のトランスは、現世から来世への「解脱」を目指した瞑想的演出が先立っている気がする。彼らにさらに先行する形で「ゴアトランス」という言葉もあったけど、これは文字通りインドの都市ゴアのヒッピーコミューンが鳴らしていた音楽を差してた。JAM & SPOON もチラチラと非西洋的モチーフをサンプルに用いているのは、スピリチュアル起源のトランスの非西洋価値観を少し引きずっているからか。フラメンコギターみたいなモチーフも。
●だからこの音楽は、実にストイックなテクノで、アンチクライマックスなビートミュージックになっている。結果、今のボクの気分においては真夜中のチルアウトミュージックとして最適だったりもしてて、騒がしいエピックトランスよりも耳に心地よい。あ、ちなみにコレはユニオン下北沢で100円で購入。

FIFUR「EXCITING COMFORT」

FIFUR「EXCITING COMFORT」2001年
●せっかくだから、ヨーロッパ系ダンスミュージックもう少し行きます。こちらはデンマークのハウス・ユニット。トランスの文脈とは全く違う、ソウルフルなボーカルを乗せたエモーションたっぷりのハウスミュージック。
●この頃は「フィルターハウス」というバズワードがあって、確か彼らの音楽もそのジャンルに括られてた気がする。マッシブな四つ打ちと男女のシンガーに挟まれてるサンプルやベースのリフが、アナログシンセのイコライザーにイジくられて、モコモコと表情を変える様子が、フィルターされてる感じに聴こえると解釈すればいいのかな。今となってはハウスに限らずダンスミュージックの常套手段のような気がするが、打ち込みのビートに生身の温もりを忍び込ませるには効果的な手法。ビッキビキなほどテッキーなサウンドや、エコーを効かせまくるトランスとは違うアプローチだね。ファーストアルバム「EXCITING COMFORT」には大好きなシングル曲「I WANT YOU」「IT'S ALRIGHT」が収録されてる。フィルターがちゃんとかかってますよ。

FILUR「PEACE」

FILUR「PEACE」2003年
●時間を少し開けてリリースされた FILUR のセカンド。ここでは「フィルターハウス」なアプローチがグッと後退した感じ。むしろ当時のロンドンで流行っていた「ディープハウス」の気分が濃い。ビート感覚がシリアスかつクリアになってる。
●それでもディスコティークな下世話な味わいはまだ残ってるね。ボーカルがとにかくファンキーだし、そこに加えてサックスやトランペットの生演奏がフィーチャーされたりして、ジャズフュージョン/アシッドジャズのテイストすら感じさせる。BILL WITHERS「JUST TWO OF US」カバーをクールにこなしたり。「I WANT YOU」の再録もしてるけど、曲の雰囲気は大分変わってる。

MADISON AVENUE「POLYESTER EMBASSY」

MADISON AVENUE「POLYESTER EMBASSY」2001年
●さてさて、この男女ハウスユニットはオーストラリア・メルボルンの連中。ダンスミュージックのフォーマットは全世界で普遍的に作用してるね。彼らもしっかり「フィルターハウス」の手法でキャッチーなダンスミュージックを鳴らしてる。シングル曲「DON'T CALL ME BABY」「WHO THE HELL ARE YOU」がとにかくカッコいい。ボーカルのメロディが安易な休符を挟まずテンションを維持して走る感じがタマラン。ボーカル力は薄いけど、ソングライティング能力は高い!ぶっちゃけこの2発程度で彼らのキャリアは終わっちゃうんだけど、それでも聴いてあげる価値はあると思います。Amazonで1円+送料だったし。


●しかし、今日もニーズのない音楽の話ばっか書いちゃったな。








IDINA MENZEL WORLD TOUR @日本武道館 4月1日。

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「アナ雪」エルサとしての出演と主題歌「LET IT GO」で、世界的トップスターになった IDINA MENZELしかし彼女は舞台の世界ではずっと前からトップスターだった。「RENT」「WICKED」とブロードウェイの傑作作品で長くキャストを務め、トニー賞受賞の経験もある。映画やテレビの世界でも大活躍。ボクにとっては「GLEE」の出演がピカイチ。そんな彼女の武道館公演にワイフと参戦。ワイフはミュージカルファンで「GLEE」も大好き。珍しく興味領域がカブっての顛末だ。ワイフと本格的なコンサートに行くなんて20年ぶりじゃないだろうか?

IDINA MENZEL「IDINA」「IDINA.」2016年

●実は予習不足だったのだが、IDINAシンガーとしてもキャリアが長くて、1998年から自分自身のアルバムを6枚リリースしている。今回のツアーは去年リリースの新作「IDINA.」の内容をメインにすえた内容で、そこからの楽曲にミュージカル楽曲を交えるというスタイルだった。
●一曲目の「QUEEN OF SWORDS」は自ら太鼓を叩きながらパワフルに歌うナンバーで、FLORENCE + THE MACHINE を連想させる躍動感にビックリ。「SMALL WORLD」も最新アルバムからの楽曲、全然知らない曲だったけど、とにかく IDINA のボーカルの説得力がスゴくてただ聴き惚れる。「EVERYBODY KNOW」では軽やかに走る高速ビートを、彼女の美声が鮮やかに乗りこなす。バイオリンのお姉さんがいい味出してるなあ。
「CAKE」異色のレゲエアプローチでファンキーなグルーヴが楽しい!この楽曲前後に彼女自身から「私、結婚したの!」と指輪を見せながらのノロケが炸裂。「彼氏にキミはとってもスィートだよって言われちゃって。ケーキみたいだって」そんなコトを多分言ってた(ボク英語よくわかんないのでこのへんテキトウね)。そもそも彼女、以前から舞台「RENT」の共演者 TAYE DIGGS と結婚してた気がするのに?と思ったら、彼とは2014年に離婚してて、同じ「RENT」別の共演者 AARON LOHR さんとごく最近に再婚したんだって。どんな人だろうと思ったらスゲー脇役すぎて全然わからん。でもこのレゲエ曲を突然 LED ZEPPELIN「BLACK DOG」とマッシュアップしてビックリ。スゲーカッコいい。あーこういうカバーもするんだー。
●そんな序盤の中では、彼女の人生の公私共々に影響した「RENT」の主題歌「SEASON OF LOVE」も披露。「52万5600分(=1年間)の瞬間をいかに測ろうか?愛で測ろうよ!」うわー本物だー。BARBRA STREISAND のミュージカル代表曲「DON'T RAIN ON MY PARADE」も出てきて感激。こっちは「GLEE」でヒロイン・レイチェルが歌ってお馴染みの曲だ。

「WICKED」のしっとりとした楽曲「I'M NOT THAT GIRL」でスタートする中盤。ここでの見せ所はやはり「WICKED」のナンバー「DEFYING GRAVITY」だろう。白いレースの布を纏って、ヒラヒラと翻しながら歌う IDINA。床からの風を受けてボリュームたっぷりの黒髪とレースがたなびく演出はワリとヤリすぎ感出てたけど、やっぱこの名曲聴きたくて来たもんだから最高に嬉しかった。
●でも、BETTE MIDLER の映画「フォーエバー・フレンズ」の主題歌「WIND BENEATH MY WINGS」カバーからメドレー的に繋げての「GRAVITY」だったからやや不意打ち。でもこの映画のリメイク主演も IDINA が今年務めるという。BERBRA STREISAND、BETTE MIDLER、IDINA MENZEL、そして LEA MICHELE(?ちと早い?)と、アメリカにはユダヤ系女性のミュージカルスターの系譜が存在してるみたいだね。BETTE MIDLER って今までほぼノーマークだったから今後聴いてみよう。
●そしてこれまたパワフルなオリジナル楽曲「I DO」を経て、そのままファンクショーへ突入。ARETHA FRANKLIN「ROCK STEADY」を爆演!とにかくカッコいいぞ。二人のキーボーディストのオルガンプレイや、黒人の女性コーラスシンガーがいい仕事をしまくる。バンドもガッチリしててナイスです。
●ここで「日本のミュージカルプリンス」井上芳雄というお兄さんが登場してきて、二人で和気あいあいなトークを。ボクは全然知らない人物だったんだけど、ミュージカル好きにはタマラナイゲストらしい。ワイフは知ってたよ。IDINA「イノーエって私の発音あってる?ヨシオイノーエってイタリア人っぽい名前よね」あーマリオ・イル・ウーノみたいな感じ?確かに INOUE ってめっちゃ発音しにくいよね。彼とは二曲デュエットしたけど、さすが彼も舞台の人間、声量がスゴくてマイクを通すとバンドの音をかき消す勢い。でもまだ若い。声量やレンジの広い幅といったテクニックと関係ないところで、様々な情感を込める IDINA がやっぱ偉大だとわかっちゃった。

●終盤戦では、THE BEATLES「DEAR PRUDENCE」を奥ゆかしく歌った流れからの、「アナ雪」ナンバー「DO YOU WANT TO BUILD A SNOWMAN(雪だるまつくろう)」が出てきた。これが大人の味わいで実に良かった…。冷静に考えると、IDINA が演じたエルサがこの歌を歌う場面はなくって、あくまで妹アナの持ち歌なんだけどね。
●そして「LET IT GO」の登場。まさしく雪の女王!国全土を氷漬けにする強力な魔女!つーか、醸すオーラがとにかく強くて、巨人のようなのよ。口もとびきりデッカイので「進撃の巨人」の超大型巨人を連想させるのよね。「WICKED」では全身緑の「西の魔女」、「RENT」じゃレズビアンの前衛パフォーマー役、「GLEE」では強豪ライバル校の鬼顧問と、ワケアリのエグい役ばっかやってるから、どっか恐いんだよなー。
●でも、松たか子版「ありのままのー」な日本語リリックも勉強してきて歌詞に織り込んでくれるのです。別にそんなサービスいらないから武道館をビリビリ言わす爆音で歌いまくってくれても良かったんだけど。ステージに小さな女の子を呼び込んで歌わせてあげる場面も。小学生のくせにこの子たち普通に英語詞で歌ったからちょっとビビった。IDINA 自身も意外な事態だったのか「ありのままのーでいいわよ」とか言いながらマイク回してたよ。
●そしてアンコール。SIMON & GARFUNKEL「THE BRIDGE OVER TROUBLE WATER」をこれまた情念込めて歌唱。最後はオリジナル楽曲「I SEE YOU」をしっとりと歌って終演。最後の曲良かったなー。



IDINA MENZEL さんの存在をボクらに知らしめ、コンサートまで行きたいと思わせたのは。
とにかくドラマ「GLEE」のおかげだよ。メインキャストじゃないのにすごい存在感があったんだよ。
だから、今までも折り目折り目で紹介してきた「GLEE」音源を今日も紹介していくよ。

「GLEE」のサントラは本当に聴いてて楽しい。既存楽曲のカバーで新しい価値を感じさせてくれるから。プロデューサー RYAN MURPHY 氏の意向や趣向がここに込められているに違いない。以前もこのブログに書いたので(http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1951.html)詳述は省きますが、「GLEE」の楽曲は以下の3パターンがキーになってる。
 (1)ブロードウェイ・ミュージカルへの造詣の深さ。
 (2)80年代ポップスへの憧憬。
 (3)リアルタイムのヒットソングを先取する感覚。

●舞台人・IDINA MENZEL さんへのリスペクトを抱けたのも「GLEE」の姿勢からの影響だったのだろう。さて、サントラCDと関連音源をチェックしてみましょうか。


「GLEE THE MUSIC, VOLUME 5」

「GLEE : THE MUSIC, VOLUME 5」2011年
「GLEE」のサントラは2010年に7枚、2011年に7枚と、この時期怒涛の勢いでリリースされてる。テレビドラマでそんな勢いでサントラを出すタイトルなんて他に聞いたことないよ。チェックする方も本当大変。
●さて、早速だがココで(1)ミュージカルのアプローチとして、IDINA MENZEL 出演作品「RENT」の、ズバリ彼女の持ち歌「TAKE ME OR LEAVE ME」が採用されてる。「RENT」では IDINA がパートナーの女性(レズビアン設定なのです)といきなり痴話ゲンカを始める歌だ。今回のコンサートでも聴ける?ってウワサがあったけど二人じゃないと成立しないんだよ。「GLEE」ではレイチェルとメルセデスが仲直りする歌。グリーのメンバーはいつも口喧嘩してるからね、この程度の言い争いはアメリカじゃ日常茶飯事なのかな。大変だ。
(2)80年代ポップスとしては THE HUMAN LEAGUE の大ヒット「DON'T YOU WANT ME」が炸裂。王道のエレポップをまんまの形で再現。PRINCE「KISS」のカバーは GWYNETH PALTROW 扮するちょっと天然ホリー先生が活躍。ボクは原曲も好きだけど THE ART OF NOISE による1988年のカバーバージョンが大好き。GWYNETH PALTROW はこのアルバムで3曲に参加してるよ。
(3)リアタイのヒットソング視点で行くと、JUSTIN BIEBER 推しが目玉かな。2010年の大ヒット曲「BABY」を速攻で採用。ベイビーしか言わない曲だけど LUDACRIS のラップパートもちゃんとやってます。「SOMEBODY TO LOVE」 JUSTIN の曲。今じゃソフトバンクのCMで広瀬すずちゃんと共演してますけど、当時の JUSTIN は16歳だからね。あ今でも23歳なのか。KATY PERRY「FIREWORK」も耳の早い選曲かと。KATY PERRY「GLEE」お気に入りシンガー。それとこの時期にブレイクした若手カントリーバンド LADY ANTEBELLUM をすぐにピックアップしてるのも渋い。
●また、オリジナル楽曲が収録されたのもトピック。「LOSER LIKE ME」は負け犬への讃歌で陽気なポップス。スクールカーストの底辺を花形として描いてく「GLEE」にふさわしい最高の楽曲だよ。

MY CHEMICAL ROMANCE「DANGER DAYS THE TRUE LIVES OF」

MY CHEMICAL ROMANCE「DANGER DAYS : THE TRUE LIVES OF」2010年
●さて、今日は「GLEE」のオリジナルサントラだけでなく、その元ネタになった音源も紹介していく。そんでそれは「GLEE」以前には、ボクがあまり評価してなかったシロモノ。「GLEE」聴き方聴こえ方を変えてもらった音源だ。このエモコアバンド MY CHEMICAL ROMANCE もボクニとってはそれほど重要な連中じゃなかった。
●しかし、このアルバムに収録されてる「SING」という曲を「GLEE」がカバーしてる。これがカッコよくてタマラン。文字通り「歌を歌う」という行為に、強い意味を持たせるリリック、ミュージカルドラマ「GLEE」にとってこれほどふさわしい曲もない。

 SING IT OUT, BOY THEY'RE GONNA SELL WHAT TOMORROW MEANS
  歌うんだ!未来の意味が売り飛ばされようとしてる!
 SING IT OUT, GIRL THEY'RE GONNA KILL WHAT TOMORROW BRINGS
  歌うんだ!未来がもたらすものが殺されてしまう!
 YOU'VE GOT TO MAKE A CHOICE IF THE MUSIC DROWNS YOU OUT
  オマエは選べるんだ、もし音楽が消えてしまおうとするなら
 RAISE YOUR VOICE EVERY SINGLE TIME THEY TRY & SHUT YOUR MOUTH
  オマエが声を張り上げろ! ヤツラがお前の口を塞ごうとする度に叫べ!
 EVERY TIME THAT YOU LOSE IT SING IT FOR THE WORLD
  何かを失う度に、世界に向かって歌え!
 SING IT OUT FOR THE ONES THAT'LL HATE YOUR GUTS
  オマエのガッツを憎む連中に向かって歌え!
 SING ABOUT EVERYONE THAT YOU LEFT BEHIND
  オマエが置いてきてしまった人々のためにも歌え!
 SING IT FOR THE WORLD SING IT FOR THE WORLD
  世界に向かって歌え! 世界に向かって歌え!


●ボクはこのバンドを、ゴスっぽいエモコアバンドだと思ってた。この一つ前のアルバムタイトルが「THE BLACK PARADE」で、ジャケではガイコツが指揮棒振ってたし。00年代はゴスやエモとポップパンクの季節で、ウンザリするほどの似通ったバンドが登場した。彼らもそんな時流に乗った浮気な連中と思ってた。しかし彼ら自身は、自分たちがエモに括られるのを拒絶していたし、別の路線を見出そうとしていたのだ。
●このサードアルバムでは「SING」のような率直なシリアスさが出てる。楽曲は練りこまれて起伏のあるメロディとポップネスが備わっている。きちんとウタモノとして成立している。「GLEE」はハードなクラシックロックは採用するクセに、同時代のエモやパンクは完全スルーだ。そんな「GLEE」が彼らをピックアップしたのは、彼らに凡庸なバンドとは違う価値を見出したからだろう。他の曲も切羽詰まった感情が明瞭なメロディとともに加速していくドラマを抱えている。ボクにとっては「GLEE」がこのバンドの評価をひっくり返してくれたね。
●しかし、当のバンドはこのアルバムを最後にして2013年に解散してしまった。残念だ。

「GLEE THE MUSIC, VOLUME 6」

「GLEE : THE MUSIC, VOLUME 6」2011年
●このアルバムは(1)ミュージカル要素がたっぷりなのです。「ウエストサイド物語」「サンセット大通り」 BERBRA STREISAND の代表作「ファニーガール」、映画「チャーリーとチョコレート工場」(ジョニーデップじゃなくて1971年版)、ディズニーアニメ「わんわん物語」から楽曲がピックアップされてる。
(3)リアタイのヒットソングだと、ADELE に注目しまくってるね。2010〜11年のヒット曲「ROLLING IN THE DEEP」「TURNING TABLES」の二曲がチョイスされてる。LADY GAGA「BORN THIS WAY」もこの年の大ヒット。GAGA「GLEE」の大好物!GAGA 対 KATY PERRY みたいなテーマのエピソードを作ったほど。
●残念ながら(2)80年代物件がない。その代わり70年代が激推しなのだ。ABBA「DANCING QUEEN」とか STEVIE WONDER とかね。さらには FLEETWOOD MAC が4曲も採用されてる!

FLEETWOOD MAC「RUMOURS」

FLEETWOOD MAC「RUMOURS」1977年
「GLEE」では度々一人のアーティストに対するトリビュートのようなエピソードを作ったりする。MADONNA GAGA、BRITNEY SPEARS BURT BACHARACH などなど。今回が特殊ケースなのは一枚のアルバムがトリビュートされたからだ。この「RUMOURS」一枚が「RUMOURS」と題されたエピソードでたくさんカバーされる。
FLEETWOOD MAC というバンドは、長いキャリアの中でメンバーがどんどん入れ替わっていくので時期で作風が全然違うらしい。オリジナルメンバーとして一番最初から現在まで在籍してるのはドラマーの MICK FLEETWOOD だけ。確かにいい味出してるキャラ(ジャケの男性ね)。しかし作詞作曲能力がないのか音楽的貢献は薄くて、いつもフロントマンやソングライターを探してる感じ。結果、初期はブルースロックやジャズロックのバンドで武名を鳴らしてたはずなのにこの時期は実にマイルドなポップスになってる。そんで全世界でバカ売れ、アメリカだけで1900万枚売れてるらしい。うーん、でもぶっちゃけ退屈なんだよ!なんでこんなに評価高いんだろ?大昔から持ってるレコードなんだけど全然聴いてないほど。で今回初めて真剣に聴いた。なんとかやっと理解できたかも。
●初期のブルースやジャズロックを演奏してた連中はみんなドラッグやアルコールで問題を起こして全員退場。その代わりに女性メンバーが二人もいる。これが華やかだ!ボーカリスト兼ソングライターの STEVIE MICKS はマジで気になる女子だわ(ジャケの女性ね)。ロック史に残るカリスマ女傑の一人と言っていいでしょう。しかし、ややこしいことに、バンドメンバー同士で交際結婚〜破局離婚しまくってこの時期の人間関係は最悪。仕事と恋愛は、混ぜたら危険。
●そんな不穏な気分が作用したのか、地味な楽曲が数々並んでる。バンドアレンジも単調で、メロディの起伏もない。なんだかみんなコジンマリとしてる。だけど、STEVIE MICKS の存在が奇妙な磁力を帯びてナンダカ無視できない状況になる。一見カワイイ顔して見事に周囲のオトコを転がす魔性のヤバさが漂う。こんな子がサークルにいたら人間関係ぶっ壊される的なヤバさ。結果、不思議なポップネスが宿ってるのですよ。意味わかりませんかね?あ、ボクが騙されてるだけ?
●本音で言うと、グリーメンバーによるカバーの方が楽曲を楽しく聴かせてくれる。「DREAMS」はホント単調な曲だけど、ゲストの KRISTIN CHENOWETH「WICKED」 IDINA の相方を務めたベテラン女優!)が立派な仕事をしてる。「SONGBIRD」は原曲の気分をそのまま残した可憐なピアノ小品ぶりが奥ゆかしい。「GO YOUR OWN WAY」はバンドとしても最高のシングルだと思うけど、ドラマのヒロイン・レイチェルのボーカルの方がピリッとしてる。「DON'T STOP」もグリーメンバー総力戦がより楽しいね。
FLEETWOOD MAC は今後研究しますわ。このアルバムにつまづいて他の音源が聴けてなかったから。まずは60年代モノから始めようかな。一方 STEVIE NICKS は別個研究。彼女の魔性の正体を見極めたい。

「GLEE THE MUSIC, VOLUME 7」

「GLEE : THE MUSIC, VOLUME 7」2011年
(1)ミュージカルはこちらも入ってますよ。「ヘアスプレー」から痛快なアップナンバー「YOU CAN'T STOP THE BEAT」が、そして「ウエストサイド物語」から屈指の名曲「TONIGHT」が選ばれてる。後者はウチの娘ヒヨコが「トゥナトゥナ」と呼ぶほど我が家には馴染んでる曲。ワイフの影響で娘もミュージカル大好きだし。IDINA MENZEL もこのアルバムには参加。「ウエストサイド」楽曲「SOMEWHERE」 K.D. LUNG「CONSTANT CRAVING」を歌ってる。シーズン3には IDINA の出番が結構あるんだよね。
(2)80年代モノもありますよ。VAN HALEN「HOT FOR TEACHER」は名盤「1984」からのハードロックだけど、グリー一番の悪ガキ・パック IDINA 演じるシェルビー先生に惚れちゃう歌なのです。ドラムとギターがバカっぽいほどハード。CYNDI LAUPER の名曲「GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN」はスローなピアノバラードアレンジで。レズビアンであることをカミングアウトしようとしてるサンタナを男子メンバーが応援する優しい曲。「GLEE」は LGBT については非常に饒舌!「RENT」と同じだね。BILLY JOEL「UPTOWN GIRL」も80年代ナンバーだね。これはライバル校のチーム、ザ・ウォブラーズが直球で痛快なカバーでパフォーマンス。
(3)リアタイのヒットソングだと、BEYONCE「RUN THE WORLD (GIRLS)」がこの年のヒット。チアリーダーが大勢出てくるのも「GLEE」の特徴。彼女たちにピッタリなパフォーマンス。そんで、ここでも相変わらずの ADELE 推し& KATY PERRY 推しがある。
●個人的には COLDPLAY「FIX YOU」のカバーもストレートで好き。原曲の優しさをそのまま掬い取ってる。

MICHAEL JACKSON「HISTORY」

MICHAEL JACKSON「HISTORY: PAST, PRESENT AND FUTURE BOOK 1」1979〜1995年
●さて、「GLEE」 MICHAEL JACKSON も大好物です。シーズン3にはそのまま「MICHAEL」というエビソードがあってトリビュートされまくってます。この「VOLUME 7」ではボクの大好きな「MAN IN THE MIRROR」が収録されてるし、JACKSON 5「ABC」も妹 JANET の80年代ヒット「CONTROL」も収録。「VOLUME 5」にも「THRILLER」「P.Y.T.」がカバーされてる。「GLEE」がキング・オブ・ポップを避けられるはずがない。
●このベスト盤は、それまでの彼のソロキャリアをディスク1に、90年代中盤の仕事をディスク2に収録したもの。一枚目は QUINCY JONES のプロデュースによる鉄板すぎる名曲ばっかなのでスルーして、ボクは2枚目だけ聴いてる。しかし基本的にみんな地味な曲ばっかなんだけどね。
JANET との勇ましいデュエット「SCREAM」 JAM & LEWIS プロデュースの高機能なニュージャックスウィング。このアルバムでは JAM & LEWIS との仕事が目立つぞ。映画「THIS IS IT」の時期に流れまくった「THEY DON'T CARE ABOUT US」もここで聴ける。GUNS 'N' ROSES のギタリスト SLASH とのコラボだ。シンプルでストイックなビートだね。SLASH とは「D.S.」という楽曲も演ってる。タフなリフとギターソロが印象的だけど、それだけという気もするが。THE NOTORIUS B.I.G. のラップをフィーチャーした「THIS TIME AROUND」は地味だねー。クレジット見たら DALLAS AUSTIN のプロデュースだった。色々なコラボで時代との接点を作ろうとしてるけど、少しずつズレてる。ヒップホップ時代とは結局繋がれなかったんだろうね。だから、どこか華に欠けるんだな。
チャールズ・チャップリンが映画「モダンタイムズ」1936年で自ら作曲した曲「SMILE」がカバーされてる。1954年に歌詞がついて以来、数多くカバーされてるけど「GLEE」も演ってるんだよね。DAVID FOSTER 共同プロデュースによるシリアスなバラード。アウトロのピアノが洒落てる。DAVID FOSTER とはさらに2曲でもコラボ。この辺の80年代風バラードは彼の大事な持ち味だね。あくまでシリアスな「EARTH SONG」常に地球全体の危機を憂いてきた MICHAEL の博愛主義の臨界点なのかも。映画「フリーウィリー2」の主題歌「CHILDHOOD」は幸福な優しさがイッパイ。内容は少年がシャチを助ける映画だったっけ(それは1かな?もう忘れた)。実に MICHAEL が好きそうなテーマだ。もう一つの可憐なバラード「YOU ARE NOT ALONE」 R. KELLY がプロデュースだった。へーこんな仕事もできるのか。カバーでいうと THE BEATLES「COME TOGETHER」もやってる。
●ぶっちゃけ、90年代は彼のキャリアが下降してく時期だよね。醜聞も変人説もイッパイ出たし。動きが少ない00年代が終わる直前の2009年に死去。そんな晩年への入り口か。しかし、そこはそこで味があるということで。表題曲「HISTORY」ヘンテコなコラージュ感覚がある意味イカレてて、逆に面白くなっちゃうほど。「LITTLE SUSIE」も聴いてて不安になるわー。

「GLEE THE MUSIC, THE GRADUATION ALBUM」

「GLEE : THE MUSIC, THE GRADUATION ALBUM」2012年
●さあ、とうとうグリーの主要メンバーも卒業だ!日本には日本人の風情としての「卒業ソング」ってのがあるけど、アメリカにはそんな感覚ってあるのかな?「GLEE」の3つのキーワードから離れて、ここにある「卒業ソング」気分を拾い上げてみよう。
ALICE COOPER のハードロック「SCHOOL'S OUT」カバーは楽しい冗談だとして、「栄光の日々」モードが濃いなあ。BRUCE SPRINGSTEEN「GLORY DAYS」は元気なロックだけどズバリ「あの頃は良かったね」な内容の曲だし。QUEEN「WE ARE THE CHAMPIONS」LADY GAGA「EDGE OF GLORY」「栄光」感ハンパない。これは全国大会優勝のパフォーマンスだけどね。こと「EDGE〜」はアレンジもグリー風コーラスが冴え渡って最高にクール。この2組のアーティストは「GLEE」の大好物だったね。
●同じ「栄光」を描いても、センチメンタルな響きが甘酸っぱい郷愁を感じさせる「WE ARE YOUNG」 FUN. の楽曲。バカ騒ぎも終わりバーも閉じた深夜、彼女を家に送りながら気づく。「ボクらは若い、太陽よりもまぶしい」。この曲は原曲よりも「GLEE」版の方が好きだ。ウィル先生から生徒へ送る歌「FOREVER YOUNG」 ROD STEWART。これもセンチメンタルで郷愁漂う楽曲。アコギ弾き語りがより雰囲気を盛り上げる。「栄光の青春の日々」がアメリカ人にとって「卒業」のイメージなんだね。
●そして、本当にサヨウナラの曲は MADONNA「I'LL REMEMBER」。ハイトーンの声が美しいカートが後輩に向けて優しく歌う。愛らしいエレポップなトラックと柔らかいコーラスが爽やかで、切ないお別れを穏やかにしてくれる。
●しかし、主人公たちが卒業してもドラマは終わらない。シーズン4以降は卒業したメンバーのニューヨーク暮らしと、グリーに残った後輩くんたちが新入生を迎える様子がパラレルに描かれる。新入生にもどんどん思い入れが加速しちゃうんだな。

NEW RADICALS「MAYBE YOUVE BEEN BRAINWASHED TOO」

NEW RADICALS「MAYBE YOU'VE BEEN BRAINWASHED TOO」1998年
「GLEE」がこのアルバムでカバーした「YOU GET WHAT YOU GIVE」が唯一のヒットだった一発屋バンド。でコレが彼らの唯一のアルバム。この曲はボクがアメリカ出張した時にMTVかなんかでかかりまくってたんだよね。懐かし〜と思ったよ。そんでコレもわざわざ買いました。100円です。ここでしか紹介しようがないと思いましたので。まー無難なポップロックでございます。でもこの歌は耳に残るよ。「DON'T LET GO, YOU'VE GOT THE MUSIC IN YOU(手離さないで、君の中の音楽を!)」うん、グリーの卒業生が残る後輩に贈る歌にはふさわしいね。
●アルバム表題曲「MAYBE YOU'VE BEEN BRAINWASHED」頭のネジが一個取れたみたいなスキャットだけの奇妙なヒネクレポップになってるので、調べてみたら XTC のソングライター ANDY PARTRIDGE との共作になってる。ナゼ?


「GLEE」関連のサントラCDを、これまで20枚以上、このブログで紹介しました。だから、関連リンクを貼っておきますね。もしよろしかったらチェックしてください。

「2012.07.22 「幕末純情伝」桐谷美玲ちゃんの赤ジャージ。「glee」スー先生のアディダスジャージ。そして MADONNA。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1383.html
「2012.10.23 コロンバイン高校銃乱射事件から、米ドラマ「GLEE」、そして JOURNEY「DON'T STOP BELIEVIN'」。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1430.html
「2012.12.10 「SCIENCE FICTION DOUBLE FEATURE」そしてカントクがボクらに言った言葉は。「映画と夢は一緒だから」」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1443.html
「2013.07.14 「GLEE」の主役・フィン、CORY MONTEITH が突然死んじゃったよ!」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1540.html
「2014.12.26 今年のクリスマスは「GLEE」のクリスマスサントラで優雅な気分。ついでに「GLEE」のライブコンサートDVDを見て、そして実はキャストがカブってる「アナと雪の女王」についても語ってしまう。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1713.html
「2015.12.26 2015年のクリスマスは「GLEE」のサントラで。ヒヨコ、バレエ発表会で初めてのソロ演技。そんでなぜかビジュアル系。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1817.html
「2016.01.18 海外ドラマ「GLEE」のスマホゲームに夫婦でハマってる。だから今日は「GLEE」関連曲てんこもり。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1823.html
「2016.11.13 アメリカ大統領選挙が終わって。ボクの知ってるアメリカは青。赤のアメリカは知らない。そして LADY GAGA。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1933.html
「2017.01.09 横浜で篠山紀信。そして「GLEE」最終シーズン配信開始が嬉しいので、ドラマを堪能しながらサントラの数々を楽しむ。ポイントは、ミュージカル/80年代/リアタイの先取。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1951.html


●動画。「SING」。悪役スー先生までパフォーマンスに混じってるのは珍しいぞ。




●動画。「WE ARE YOUNG」。分裂したグリーが仲直りする瞬間なんだよ。