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2007.07.28
心理テストとヨーロッパ史とジブリ。
●コンディションは最低。会社の診療所を往復しただけで体力的に限界いっぱいいっぱいで、その事実がそのまま感情的なダメージにもなってる。病気は全然よくなってない。大きく落胆した。
●昨日は週一回の心療内科診察。会社の診療所での出来事を相談した。先生「休養に入ってまだ3週間前後でしょう。まだ寝たきり状態であっても不思議じゃないくらいなんですよ。」ふう。ホントに道のりは長い。
●自律神経失調症とのお付合い(その9)〜「心理テスト」編
●昨日の心療内科では、普通の診察とは別に、性格傾向を把握するための心理検査をした。一体どんな事をやるのか、事前に知らされないので不思議な感じ。いつもの診察室に通されたが、いつもの先生とは違う。臨床心理士と名乗る若い女性だ。
●最初の検査は、「ロールシャッハ・テスト」である。名前は聞いた事あるけど、これを自分がするとはね……。左右対称のインクのシミみたいな絵を何枚も見せられて、これが「何に見えますか」と質問されるのだ。
●見ると、臨床心理士の女性はストップウォッチまで持ってる。反応速度も大事?なんかオモシロいこと言った方がいいのかな?どんだけ言えばイイんだろう?女性「どうぞ思うままに、好きなようにお答えください」
●「えーと……、コウモリですかね?」女性「他には何に見えます?」他?1枚の絵でたくさん言うんだ…? ボク「ああんと…、イヌの顔ですか…?」女性「それでは次です。コチラの絵は何に見えますか?」あー…難しいなあ、何じゃこりゃ?ボク「えーとえーと、あ、人が二人向かい合ってるように見えますねえ」…これを10枚ばかりも繰り返すのだ。1枚に1〜2分程度。けっこうアタマを使ったが、サクッと終わったな。
●すると女性「さて、それでは今までお答えいただいたモノに対して、もうちょっと細かく説明をして頂きます」ええっ?お終いじゃないの?女性「もう一度絵を見て頂いて、ドコの部分がどうしてそう見えたのか教えてください」はああ。
●女性「先ほどこれが『大きな巨人』に見えるとおっしゃいましたよね。どの部分が?」ボク「えーっとですね、ココが足の部分で、ココが手の部分、でココがアタマかなと。」女性「逆さにすると動物の毛皮に見えるとおっしゃってましたね。なぜでしょう」ボク「いや、お金持ちの家の床とかにペタっと敷いてあるクマの毛皮みたいかなと…」女性「どのヘンが毛皮かと?」どのヘンって…?ボク「あの、ここの模様の濃淡がなんかフサフサしてる毛皮っぽいかなと…」ホントに微に細に根掘り葉掘り聞いて来る。さっきは反射的にパラパラ答えただけだったから、説明しろと言われるとかなり難しい!
●2回目のチェックは1枚5〜6分かける。アタマも疲れる。目も疲れる。臨床心理士の女性もスゴいスピードでボクのとりとめもない答えをメモしてる。大変じゃないのかな? 女性「これで全部終了です。お疲れさまです」ボク「そちらこそお疲れさまです。メモいっぱいとられてて…」女性「いえいえ、何かご質問は?」ボク「あの…、普通の人はどうやってるんです?ボクはマトモに答えてます?なんか的外れでした?」女性「全然問題ないですよ。むしろ十分サンプルをいただきました」はああ。これで1時間30分かかる。
●女性「せっかくですから、もう1つテストをやってみましょう」あれもう一個!今度は与えられた用紙に鉛筆で絵を描けという。女性「絵はお好きですか」ボク「別に嫌いじゃありませんが、ヘタクソですよ」
●お題は4つ。「家を描いてください」「木を描いてください」「男の人を描いてください」「女の人を描いてください」……家ねえ…。サラサラサラサラ。ボク「しかしヘッタクソですねえ。これでいいんですか?」女性「全然問題ありません」…でもなんかさみしいなあ。ボク「あのー庭とかも描いた方がイイんすかね?」
●そしてこれにまた説明を求められる。女性「この家はモデルがあるんですかね?」ボク「はあ、まあ近所の立派な家がうらやましいなあと、思ったくらいです」女性「この木は?」ボク「木は…木です…。」他に言いようがない。ボク「コドモがディズニーのリスのビデオ観てるんで、リスの巣穴だけ描いときました。」女性「この男性にモデルは?」ボク「強いて言えばボク自身ですかね」ボク自身とはいいながらボクが常用してるメガネは描かなかった。描けば野比のび太になってしまうからだ。
●たっぷり2時間かけて心理検査は終わった。しかし最後に宿題まで出された。「SCT」というテストで、見開き4ページに文章を書くというモノだ。
●文章の冒頭だけ決まっている。その言葉につながるように、後に自由に思った事を出来るだけ早く記入するというものだ。そのお題にあたる文頭のキーワードが「子供の頃、私は」とか「私の失敗」とか「私がひそかに」とか、これまた微妙な言葉ばかりだ。ボク「あのコレ、リアルを書きゃいけないんですか。それともフィクションでもいいんですか?」女性はニッコリと「どちらでも結構です」。
●家に帰って早速やってみた。設問はなんと60問もあった。空欄はダメ。量が多くて大変だ。ウケ狙うとかの作為にまでアタマが回らない。正直今のテンションは非常にネガティブなので、文章も辛気くさいモンばかりになった。
●結果が出るまでには2〜3週間かかるという。スゴく時間かけるなあ!テスト需要が多くて供給が追いつかないのか、ホントにボク一人分の分析にそんな時間がかかるのか。で、一番分からないのが「これで一体ナニが分かるのか」っつーコトだ。ソコ最初に聞いとけよ!ってツッコミもあるでしょうが、説明聞いてもよく分からなかったんだよな…。
●この「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
●父がそんな辛気くさい事をしている時に、コドモとワイフは逗子海岸の花火大会に。 今年の逗子の花火大会は例年に比べ玉数倍増の大盤振る舞いだったらしく、最後はスゴい煙がモクモクだったそうな。コドモ二人は大層エキサイトしたようだ。ヒヨコ絶叫「うみがもえちゃう!」

●上はノマド画の「はなびたいかい」。DEEP PURPLE 風の名曲になぞらえれば、まさしく「SMOKE ON THE WATER, FIRE INTHE SKY. SMOKE ON THE WATER.」だ!
●読書。ホントは塩野七生さんの「ローマ人の物語」シリーズの続きが気になってしょうがないのだが、28巻以降続きの文庫本が出ないので読めない!(ハードカバー版は高いでしょ)ですので、他の本でヨーロッパ史の勉強を。

●高階秀爾「ルネッサンス夜話 - 近代の黎明に生きた人びと」
●ローマ帝国が滅びてから1000年後のイタリアのお話。美術史/美術評論の専門家である著者が、美術から一旦離れて、ルネサンス期の社会背景を説明してる本。
●ルネサンス美術のパトロンであった名門メディチ家は一体どんだけ財産を持っていたのか、そもそも利子をとる事を戒律で禁じたキリスト教社会で、どんなカラクリで銀行業を成り立たせたのか(←海外為替をうまく操作。今のデイトレードと似てる)とか。傭兵部隊同士の代理戦争(←都市国家と傭兵団の契約延長交渉話。プロ野球やサッカー選手みたい)とか。キリスト教しか産業がない教皇庁ローマの男女比は6:4(←でも人口5万人に娼婦の数は6800人もいた)とか。
●平凡なフィレンツェ市民の日記が語る淡々とした生活ぶりを読んでいると、彼らは非常にサッパリとした合理主義者で、妙な迷信/因習/伝統にとらわれずに、ヌケヌケと自分の儲けを稼ぎ出すために、日々セッセと勤勉に働いている。サヴォナローラのような狂信的指導者が登場しても、みんな野次馬気分で説法を聞き流している様子が見える。ローマ帝国の話を読んでいても感じることだが、ルネサンスの人達も、現代人と同じ思考感覚を持ってたんだなと感じ入るのだ。

●中嶋浩郎「図説 メディチ家 - 古都フィレンツェと栄光の[王朝]」
●さて、ここまでルネサンスの話を読んだら、その花形であるメディチ家ってどんな連中だか知りたくなってきた。
●彼らは生まれついての貴族でも王族でもない。イタリアの一都市フィレンツェの商家のはずだった。なのに15世紀からはこの街の君主のように君臨し、一族から教皇を輩出し、フランス王家と婚姻関係を結び、最後には周囲のトスカーナ地方を治める大公に成り上がった。
●もちろんその間、気前のいいパトロンとして様々な美術発注をしてルネサンス芸術を盛り上げた。家名が伸びていく時期の方が、どでかい発注が多い。大邸宅だけでなく市内に教会/修道院を丸々2つを建て、ヨーロッパ最初の図書館まで作ってる。むしろ政治的絶頂期は渋チンだった。絵画彫刻を発注したのに未払いもあったとか。大富豪とはいえ政治にはカネがかかるというコトなのだろうか。
●12世紀には諸勢力がひしめき合う群雄割拠状態だったイタリアで、フィレンツェとヴェネツィアはすでに大きな政治勢力だった。でもこの二つの国は君主のいない共和国なんだよね。こんな古い時代で共和国なんて不思議だ。メディチ家はその共和制の中で成り上がり、強い権力を握ってもしばらくはその共和制をキチンと尊重していた。それがルネサンスの躍動感の秘密なのかもしれない。
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●アンヌ・ベルトゥロ著/松村剛監修「アーサー王伝説」
●お話はイタリアからイギリスへ。ここでもローマ帝国が絡んで来る。ローマの属州であったイギリス(ブリタニア)に、帝国崩壊後に異民族(サクソン人)が押し寄せた5世紀。勇敢に戦ったブリトン人の司令官がいたという。そんな伝承が寄り集まってできた物語が「アーサー王伝説」だ。ホントに実在したのか、誰かモデルがいるのか、あんまりわからない。実はずいぶんとイイカゲンな存在なのだ。
●アーサー王が注目されたのは、彼が活躍した5世紀ではない。数百年後の12世紀のことだ。当時の王朝が自らの権威を正統化するために、この伝承を引っ張り出して物語化し、自分たちのルーツと喧伝したのだ。「アーサー王伝説」はプロパガンダの道具だったのだ。
●しかし「アーサー王伝説」がオモシロいのはその後だ。時が経つにつれ自然と自己増殖していくのだ。様々な書き手が自由に手を加え、様々な解釈を施し、別の伝説(キリストの聖杯伝説)と結びつけ、騎士道哲学を盛り込り、たくさんの外伝が書かれた。もうどれが正式版なのか問うのも意味がない。
●無名の書き手たちが長い時間をリレーのように書きつなぎ、勝手にアップグレードされてきた物語。多くの書き手作り手が1つのモノを組み上げ編み上げていく感覚は、ネット時代の「ウィキペディア」や OS のユニックス、2ちゃん小説の「電車男」と同じじゃないか。
●アーサー王のお墓は、今やロックフェスの聖地となっているグラストンベリーにあるとされている。瀕死の重傷を負った王を、妖精が運んだ伝説の地アヴァロンがここだという言い伝えは12世紀からあったらしい。マンガ「BECK」に登場するイギリス最大のロックフェスが「アヴァロン・ロックフェスティヴァル」という名前になっているのは、この故事に由来しているのでしょう。

●糸井重里他「ゲドを読む。TALES FROM EARTHSEA」
●「ゲド戦記」DVD発売のためのフリーペーパー。でも中身は充実。糸井重里プロデュースで、執筆者は中沢新一、ユング派の心理学者河合隼雄(先日亡くなりました)、本編訳者の清水真砂子と気合入れまくってる。装丁は佐藤可士和だし。
●映画本編も公開時に観た。でもその読みは随分浅かったのかなと、これを読んで反省した。古くは「アーサー王」から現代の「ドラゴンクエスト」までに繋がる典型的な『剣と魔法の物語』の1つに過ぎないと思ってた。「指輪物語」や「ナルニア国物語」、そして昨今のマンガ/RPGも含めて、いわゆる『剣と魔法の物語』にはなんとなくのお約束があって、そのルールの枠内で遊んでいる印象がする。その安っぽいゲーム感覚が鼻についた。でもこの認識は間違っていたかもしれない。
●「ゲド戦記」の第一巻は1968年のアメリカで発表された。ロックを初めとしたユースカルチャーの盛り上がり、人種差別を糾弾する公民権運動、ベトナム戦争の苦境と、当時のアメリカ社会は既成概念の大きな揺らぎに動揺していた。西欧中心世界の限界が見えてきた時代だった。特に作者ル=グウィンは、文化人類学者の父親と、インディアンについての名著を記した作家の母親に育てられた女性。西欧文明の中にあって、西欧文明の限界そしてその外の世界に非常に意識的な人だったわけだ。
●その典型的な例を中沢新一氏が挙げていた。実はゲドは褐色の肌を持つ有色人種なのだ。そしてその親友で優秀な魔法使いのカラスノエンドウは黒人。このマルチカルチャルな視点が原作でどう表現されているのか、『剣と魔法の物語』のお約束からどう逸脱していくのか、興味が出てきた。この長い休みにゆっくりと読書すべき本が出てきて、少し楽しみができました。

●フリーペーパー「熱風」
●スタジオジブリが毎月出しているフリーペーパーです。「ジブリ」というイタリア語を日本語に訳すと「熱風」。ボクは本屋さんで見かければ必ずピックアップしていくのですが、中身は非常におカタい文芸誌。児童文学のコトとか真剣な文章がギッシリで、なかなかちゃんと読むまでには至りません。
●しかし、無限にヒマのある今のボクですから、部屋の掃除をしてて出てきたこの雑誌もパラパラ読んでます。5月号の特集は「トルストイと民話」(画像は最新刊の7月号)。普通読まないでしょ、仕事でクソ忙しい時にゃ。でも今は静かにトルストイの生涯にゆったり思いを馳せる事が出来ます。夢想家で理想主義者すぎたトルストイは、奥さんと猛烈に仲が悪かったそうな。普通の常識人だった奥方は、この変人にブレーキをかけるのが自分の役目と思っていたのでしょう。
●スタジオジブリは、毎年の大作映画だけじゃなく、その周辺で細かい様々な事を仕掛けています。商業主義とどう折り合いをつけているかは分かりませんが、作り手として誠実なクリエイティブは本当に尊敬できるものです。いつかドップリ仕事を一緒にさせてもらえたらなと夢見ています。
・「熱風」定期購読: http://www.7andy.jp/esb/docs/sp/ghibli/dtl_neppu.html
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