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2008.04.09
村上春樹と、「しょうがないわねー」モード。
●村上春樹を10年ぶりくらいに読む。
●診療所事務室のルームメイト、ベテラン女性職員2人と仲良しになってきた。お二人にも仮名をつけて日々の出来事を説明して行こうと思う。そのお二人とも、ボクよりかボクの両親に年齢が近いっくらいのベテラン。いつも微妙なジェネレーションギャップを感じながら、ボクは暮らしてるが、多分向こうの方が激しくギャップを感じてるに違いない。規則正しく仕事をするあの人たちから見ると、ボクは小さなアウトローだからだ。彼らは、ボクのようにスカジャンを着て会社に通勤する人間に会った事がない。でも、その奇妙なバランスを維持しながら同じ空間をシェアしている。
●寡黙で年長のカイリさん(仮名)よりも、明るく饒舌なキマヤさん(仮名)の方が積極的にボクに話しかけてくれる。音楽オタクであるボクに、無理して音楽の話題をふってくれる。間口の小さいボクには他に会話の糸口がないからだ。「カーペンターズとかアバが好きだったのよね〜」ほお70年代だ…。「あと、ジャズが好き。高校時代の親友がジャズピアニストになって、ピアノバーで弾いてるのよ。診療所のセンセイともよく聴きに行くわ〜」
●で、なぜか村上春樹の話になった。「村上春樹の小説って、ジャズが一杯出てきて、おいしい料理とワインがでてきて、読んでるとすっごく オイシいモノが食べたくなるのよね〜」あ!それわかります!ボクも学生時代、村上春樹はよく読みました。ボクは料理が全く出来ませんが、パスタだけはよく作りました。それは村上春樹の主人公がおいしそうなパスタを作るからです。あと、村上春樹にはビートルズの曲も一杯出て来るんです。「ノルウェイの森」というタイトル自体がビートルズの曲名ですから。ちなみに、春樹はビートルズですが、龍はストーンズです。パスタとビートルズが村上春樹、佐世保とマリファナとストーンズが村上龍です。
●で、キマヤさん。最近読んだという春樹の短編集をボクに貸してくれた。あー、「好き」とか言っちゃったけど、社会人になってからほとんど読んでないんだよね…。「海辺のカフカ」も「ねじまき鳥クロニクル」も読んでない。オウム真理教と一連のテロを扱った「アンダーグラウンド」で、春樹にドン引きしたんです。理由は単純、あの本が分厚過ぎたから。あのテロの翌年に社会人になったボクは猛烈に忙しくなって、小説を読むココロの余裕など全部なくしてしまった。一年目から週5日家帰れないモードの仕事をしてたりという有様だったから。
●村上春樹「東京奇譚集」1997年
●5編の小説を収めた短編集。会社の帰りの電車から夕方のカフェタイムで読破してしまった。学生のころは意識してなかったけど、村上春樹の文章は、シンプルで簡潔だ。もう一歩すすめばハードボイルドだ。スコーンと読める。難しいトコロはなんにもない。わざわざコンガラがった文章を書く人、回りくどくて話を大げさに見せる人、いろんな文章の書き手と比較できるだけの経験値をボクも積んだっつーことだ。
●そんで、村上春樹は、ある意味「ボケ倒し」だ。ポクッといきなり非現実的事件が起こるのに、登場人物の誰もがその事態に不思議がったりしないし、平然とそのトンマな事態を受け入れる。突っ込みナシ!一体どーなってんのよという疑問に答えてもらえない、「のれんに腕押し」「ぬかに釘」のような非現実感が、簡潔な文章で透明度を上げてサラリとしたさわやかさを感じさせる。ちゃんとファンタジーなんだな。だから高校生のボクはその世界にスーッと入っていけたんだ。
●今回の短編集にはたくさんの女性がでてくる。
●で、そのほとんどが30代、40代そしてそれ以上の大人の女性。34歳にもなってるのに世間の常識が備わらないボクには、非常にオトナ感たっぷりだ。そんで魅力的である。仕事をバリバリしてたころのボクは、20代メインの若いスタッフに囲まれて、そいつらの指導や教育、趣味トーク、人生&恋愛相談までしてたもんだ。精神年齢が低いせいか、若い連中が気さくに声をかけてくる。上司としての威厳ナシ!……しかしここにきて、ボクの周囲はみな30代、40代それ以上の女性ばっかりだ。診療所事務室のカイリさん、キマヤさん、「のび太のママ」さん、鍼灸治療の先生とアシスタントさんたち、心療内科の主治医の先生、呼吸器科の女医先生、コドモの友達ママさん、学校・幼稚園の先生…。みんな同世代かそれ以上の女性だ。なんでだ?そろいもそろって。男の先生はどこにもいない。で、完全に小僧扱いである。実際にアタマの中が子供だし。
●でも、それが居心地イイのも事実なのである。後輩から「気の利いたオニイさん」と慕ってもらうのはとてもうれしいが、今のぼくは「世話が焼けるダメなワカモノ」で、そのダメっぷりに甘えていられる状況だ。ボクはこれを「しょうがないわねー」モードと呼ぶ。「ホントだめね〜。しょうがないわねー。」 しかし。村上春樹の小説のように、いい感じのモテモテにはほど遠い。ホントに「しょうがない」オトコだからだ。そこまでハナシはうまくいかないっすよ。うまくいくから小説は面白いんだもん。
●マンガ喫茶に行く。
●最近は骨太のマンガ喫茶が少なくなった。ネットゲームだ、カップルシートだ、簡易シャワーだ、余計なもんだけワサワサ増えて、肝心のマンガがナイガシロにされてる。非常に憂慮すべき事態である。マンガ喫茶はマンガ喫茶と名乗る以上、マンガ読みのニーズに真剣にこたえるべきだ。とにかく、いいマンガをちゃんと揃えろ!難民がいてもいい、営業サボりのリーマンがいてもいい、マンガを揃えろ!
●残念ながら、下北沢のマンガ喫茶にも不満がある。でも行く場所がないので行く。で、読む。
●石川雅之「もやしもん」6巻
●コレ、もうマン喫処理でいいわ。買わない。カビうんちくに疲れた。女の子のかわいさだけに引っ張られないぞ。今回はなぜかフランスのブルゴーニュ地方を旅する一行。ワインのウンチクを振りまきつつ、サド体質の女の先輩を追いかける旅。しかしボクはワインが飲めない。酒は一滴も飲めない。
●小山ゆう「あずみ」43・44巻
●忍びの一族、風魔一派に包囲されたあずみの下に、新たな仲間たちが集まる。あずみに関わると絶対に死ぬ。彼女はそれが苦しくて単独行動を望むのに、へんてこな事情がそれを許さない。そして一行は甲斐の国に入る。師匠の故郷であり、あずみと因縁浅からぬ次期将軍候補、徳川忠長が待ち構える土地に。
●森恒二「ホーリーランド」16巻
●下北沢を始め井の頭沿線にドラッグを流通させ巨額の金を集めるキングという男。そしてその脇に控える総合格闘技の使い手。彼らの侵略行為に路上のファイターたちが結束し立ち上がる。主人公・神代ユウ、卑劣な手を使う敵に、狂気寸前の怒りをぶつける。……作者さん自身がかなりの格闘マニアで、かつ実践(トレーニング)もしてるっぽい。
●昭和史を振り返るドキュメンタリーを二本。
●「東京オリンピック」1965年
●市川崑監督追悼。1964年に行われた世紀の祭典「東京オリンピック」のドキュメンタリー映画。公開時には1800万人もの人々が映画館に足を運んだという。公開時は3時間ほどのロングバージョンであったが、近年監督の意図で再編集され、よりタイトに短くされたものをDVDで見た。
●監督の意図は、競技の記録やメダリスト個人にはない。アスリートの筋肉の躍動、競技直前の苦悩に満ちた選手の表情。美しい身体の動き。その美しさへ精緻にフォーカスが合わされる。古くて長い映画なのに、テンションを切らさずに最後までビシッと見ることが出来た。マラソンの様子を撮影したシーンの沿道の様子。新宿南口陸橋、甲州街道へ出て行くところ。これがリアル昭和30年代。CGじゃないぜ。汚い。「三丁目の夕日」もうまく汚したが、本物は5倍スケールくらいに汚く、荒々しい生命力がある。
●エンディングロールに秀逸なユーモア。監督をのぞく全スタッフが、肩書き抜きで、完全アルファベット順に羅列されてでてくる。これ、オリンピック開会式の国別選手入場の順番と一緒じゃん。粋だね、崑監督。
●「ヨコハマメリー」
●80歳現役の娼婦!真っ白に塗りこめた顔の白粉が強烈!終戦直後のヨコハマ・ヨコスカ、そこから50年、街に立ち続けた伝説の女性。そんな彼女が95年、フッツリと姿を消した。半ば都市伝説と化した通称・メリーさんの正体を追って、カメラは彼女の周辺にいた人々を訪ねていく。そこに見えたものは、戦後から現代までのヨコハマの歴史そのものだった。
●放送じゃ流せない言葉で、あの混乱の時代を当事者が語る。アメリカ兵相手の「洋パン」、白人専門の「白パン」、黒人専門の「黒パン」、そして口が不自由な女性たちを「オシパン」と呼んでいたという。男はアメリカに負けたが、女はそのアメリカと体を張って戦って金をむしりとる。ヨコハマ伊勢佐木町にかつて実在した飲み屋を中心に、愚連隊や遊び人、ヤクザにGI、そんな人々が集まっていた。東京に暮らすボクには近くて遠い街、ヨコハマ。忘れられつつある独特の匂いを嗅いだ。
●そして晩年のメリーさん。背骨も曲がり家も持たないメリーさん、しかし常に品よく振る舞い、美しく着飾り、白粉で顔を真っ白に塗りこめた。ヨコハマを拠点に活動しているゲイのシャンソン歌手、永登元次郎氏は、その生き様に共感し、いつしかかけがえのない友人になっていた。取材時、すでに末期がんを患っていた彼の人生と、メリーさんの人生が深くオーバーラップする。そして最後の、感動的で、とても慎ましやかな締めくくり。このドキュメンタリーのディレクターの、取材対象への愛がじわりと伝わってくる。
●診療所事務室のルームメイト、ベテラン女性職員2人と仲良しになってきた。お二人にも仮名をつけて日々の出来事を説明して行こうと思う。そのお二人とも、ボクよりかボクの両親に年齢が近いっくらいのベテラン。いつも微妙なジェネレーションギャップを感じながら、ボクは暮らしてるが、多分向こうの方が激しくギャップを感じてるに違いない。規則正しく仕事をするあの人たちから見ると、ボクは小さなアウトローだからだ。彼らは、ボクのようにスカジャンを着て会社に通勤する人間に会った事がない。でも、その奇妙なバランスを維持しながら同じ空間をシェアしている。
●寡黙で年長のカイリさん(仮名)よりも、明るく饒舌なキマヤさん(仮名)の方が積極的にボクに話しかけてくれる。音楽オタクであるボクに、無理して音楽の話題をふってくれる。間口の小さいボクには他に会話の糸口がないからだ。「カーペンターズとかアバが好きだったのよね〜」ほお70年代だ…。「あと、ジャズが好き。高校時代の親友がジャズピアニストになって、ピアノバーで弾いてるのよ。診療所のセンセイともよく聴きに行くわ〜」
●で、なぜか村上春樹の話になった。「村上春樹の小説って、ジャズが一杯出てきて、おいしい料理とワインがでてきて、読んでるとすっごく オイシいモノが食べたくなるのよね〜」あ!それわかります!ボクも学生時代、村上春樹はよく読みました。ボクは料理が全く出来ませんが、パスタだけはよく作りました。それは村上春樹の主人公がおいしそうなパスタを作るからです。あと、村上春樹にはビートルズの曲も一杯出て来るんです。「ノルウェイの森」というタイトル自体がビートルズの曲名ですから。ちなみに、春樹はビートルズですが、龍はストーンズです。パスタとビートルズが村上春樹、佐世保とマリファナとストーンズが村上龍です。
●で、キマヤさん。最近読んだという春樹の短編集をボクに貸してくれた。あー、「好き」とか言っちゃったけど、社会人になってからほとんど読んでないんだよね…。「海辺のカフカ」も「ねじまき鳥クロニクル」も読んでない。オウム真理教と一連のテロを扱った「アンダーグラウンド」で、春樹にドン引きしたんです。理由は単純、あの本が分厚過ぎたから。あのテロの翌年に社会人になったボクは猛烈に忙しくなって、小説を読むココロの余裕など全部なくしてしまった。一年目から週5日家帰れないモードの仕事をしてたりという有様だったから。
![]() | 東京奇譚集 (新潮文庫 む 5-26) (2007/11) 村上 春樹 商品詳細を見る |
●村上春樹「東京奇譚集」1997年
●5編の小説を収めた短編集。会社の帰りの電車から夕方のカフェタイムで読破してしまった。学生のころは意識してなかったけど、村上春樹の文章は、シンプルで簡潔だ。もう一歩すすめばハードボイルドだ。スコーンと読める。難しいトコロはなんにもない。わざわざコンガラがった文章を書く人、回りくどくて話を大げさに見せる人、いろんな文章の書き手と比較できるだけの経験値をボクも積んだっつーことだ。
●そんで、村上春樹は、ある意味「ボケ倒し」だ。ポクッといきなり非現実的事件が起こるのに、登場人物の誰もがその事態に不思議がったりしないし、平然とそのトンマな事態を受け入れる。突っ込みナシ!一体どーなってんのよという疑問に答えてもらえない、「のれんに腕押し」「ぬかに釘」のような非現実感が、簡潔な文章で透明度を上げてサラリとしたさわやかさを感じさせる。ちゃんとファンタジーなんだな。だから高校生のボクはその世界にスーッと入っていけたんだ。
●今回の短編集にはたくさんの女性がでてくる。
●で、そのほとんどが30代、40代そしてそれ以上の大人の女性。34歳にもなってるのに世間の常識が備わらないボクには、非常にオトナ感たっぷりだ。そんで魅力的である。仕事をバリバリしてたころのボクは、20代メインの若いスタッフに囲まれて、そいつらの指導や教育、趣味トーク、人生&恋愛相談までしてたもんだ。精神年齢が低いせいか、若い連中が気さくに声をかけてくる。上司としての威厳ナシ!……しかしここにきて、ボクの周囲はみな30代、40代それ以上の女性ばっかりだ。診療所事務室のカイリさん、キマヤさん、「のび太のママ」さん、鍼灸治療の先生とアシスタントさんたち、心療内科の主治医の先生、呼吸器科の女医先生、コドモの友達ママさん、学校・幼稚園の先生…。みんな同世代かそれ以上の女性だ。なんでだ?そろいもそろって。男の先生はどこにもいない。で、完全に小僧扱いである。実際にアタマの中が子供だし。
●でも、それが居心地イイのも事実なのである。後輩から「気の利いたオニイさん」と慕ってもらうのはとてもうれしいが、今のぼくは「世話が焼けるダメなワカモノ」で、そのダメっぷりに甘えていられる状況だ。ボクはこれを「しょうがないわねー」モードと呼ぶ。「ホントだめね〜。しょうがないわねー。」 しかし。村上春樹の小説のように、いい感じのモテモテにはほど遠い。ホントに「しょうがない」オトコだからだ。そこまでハナシはうまくいかないっすよ。うまくいくから小説は面白いんだもん。
●マンガ喫茶に行く。
●最近は骨太のマンガ喫茶が少なくなった。ネットゲームだ、カップルシートだ、簡易シャワーだ、余計なもんだけワサワサ増えて、肝心のマンガがナイガシロにされてる。非常に憂慮すべき事態である。マンガ喫茶はマンガ喫茶と名乗る以上、マンガ読みのニーズに真剣にこたえるべきだ。とにかく、いいマンガをちゃんと揃えろ!難民がいてもいい、営業サボりのリーマンがいてもいい、マンガを揃えろ!
●残念ながら、下北沢のマンガ喫茶にも不満がある。でも行く場所がないので行く。で、読む。
![]() | もやしもん 6―TALES OF AGRICULTURE (6) (イブニングKC) (2008/02/22) 石川 雅之 商品詳細を見る |
●石川雅之「もやしもん」6巻
●コレ、もうマン喫処理でいいわ。買わない。カビうんちくに疲れた。女の子のかわいさだけに引っ張られないぞ。今回はなぜかフランスのブルゴーニュ地方を旅する一行。ワインのウンチクを振りまきつつ、サド体質の女の先輩を追いかける旅。しかしボクはワインが飲めない。酒は一滴も飲めない。
![]() | あずみ 44 (44) (ビッグコミックス) (2008/02) 小山 ゆう 商品詳細を見る |
●小山ゆう「あずみ」43・44巻
●忍びの一族、風魔一派に包囲されたあずみの下に、新たな仲間たちが集まる。あずみに関わると絶対に死ぬ。彼女はそれが苦しくて単独行動を望むのに、へんてこな事情がそれを許さない。そして一行は甲斐の国に入る。師匠の故郷であり、あずみと因縁浅からぬ次期将軍候補、徳川忠長が待ち構える土地に。
![]() | ホーリーランド 16 (16) (ジェッツコミックス) (2007/11/29) 森 恒二 商品詳細を見る |
●森恒二「ホーリーランド」16巻
●下北沢を始め井の頭沿線にドラッグを流通させ巨額の金を集めるキングという男。そしてその脇に控える総合格闘技の使い手。彼らの侵略行為に路上のファイターたちが結束し立ち上がる。主人公・神代ユウ、卑劣な手を使う敵に、狂気寸前の怒りをぶつける。……作者さん自身がかなりの格闘マニアで、かつ実践(トレーニング)もしてるっぽい。
●昭和史を振り返るドキュメンタリーを二本。
![]() | 東京オリンピック (2004/06/25) ドキュメンタリー映画 商品詳細を見る |
●「東京オリンピック」1965年
●市川崑監督追悼。1964年に行われた世紀の祭典「東京オリンピック」のドキュメンタリー映画。公開時には1800万人もの人々が映画館に足を運んだという。公開時は3時間ほどのロングバージョンであったが、近年監督の意図で再編集され、よりタイトに短くされたものをDVDで見た。
●監督の意図は、競技の記録やメダリスト個人にはない。アスリートの筋肉の躍動、競技直前の苦悩に満ちた選手の表情。美しい身体の動き。その美しさへ精緻にフォーカスが合わされる。古くて長い映画なのに、テンションを切らさずに最後までビシッと見ることが出来た。マラソンの様子を撮影したシーンの沿道の様子。新宿南口陸橋、甲州街道へ出て行くところ。これがリアル昭和30年代。CGじゃないぜ。汚い。「三丁目の夕日」もうまく汚したが、本物は5倍スケールくらいに汚く、荒々しい生命力がある。
●エンディングロールに秀逸なユーモア。監督をのぞく全スタッフが、肩書き抜きで、完全アルファベット順に羅列されてでてくる。これ、オリンピック開会式の国別選手入場の順番と一緒じゃん。粋だね、崑監督。
![]() | ヨコハマメリー (2007/02/14) 永登元次郎、五大路子 他 商品詳細を見る |
●「ヨコハマメリー」
●80歳現役の娼婦!真っ白に塗りこめた顔の白粉が強烈!終戦直後のヨコハマ・ヨコスカ、そこから50年、街に立ち続けた伝説の女性。そんな彼女が95年、フッツリと姿を消した。半ば都市伝説と化した通称・メリーさんの正体を追って、カメラは彼女の周辺にいた人々を訪ねていく。そこに見えたものは、戦後から現代までのヨコハマの歴史そのものだった。
●放送じゃ流せない言葉で、あの混乱の時代を当事者が語る。アメリカ兵相手の「洋パン」、白人専門の「白パン」、黒人専門の「黒パン」、そして口が不自由な女性たちを「オシパン」と呼んでいたという。男はアメリカに負けたが、女はそのアメリカと体を張って戦って金をむしりとる。ヨコハマ伊勢佐木町にかつて実在した飲み屋を中心に、愚連隊や遊び人、ヤクザにGI、そんな人々が集まっていた。東京に暮らすボクには近くて遠い街、ヨコハマ。忘れられつつある独特の匂いを嗅いだ。
●そして晩年のメリーさん。背骨も曲がり家も持たないメリーさん、しかし常に品よく振る舞い、美しく着飾り、白粉で顔を真っ白に塗りこめた。ヨコハマを拠点に活動しているゲイのシャンソン歌手、永登元次郎氏は、その生き様に共感し、いつしかかけがえのない友人になっていた。取材時、すでに末期がんを患っていた彼の人生と、メリーさんの人生が深くオーバーラップする。そして最後の、感動的で、とても慎ましやかな締めくくり。このドキュメンタリーのディレクターの、取材対象への愛がじわりと伝わってくる。
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