自律神経失調症とのお付合い(その54)~「ぜんそく治療費タダになる!」編
●つーか、自律神経失調症とぜんそく、関係ないじゃん、と思った方。そうとは言い切れないのです。子供の頃に発症する小児ぜんそくと違い、成人になってから発症するぜんそくには自律神経失調症と因果関係があるかもという説もあるのです。ボクの場合は、2001年28歳で発症。その時も、今患ってる自律神経失調症が発症したのと同じくらいの激務をノンストップでぶっ飛ばしてました。週2回徹夜、週3回早朝3時出勤、オマケに911テロが起こったから職場はシッチャカメッチャカ、10月稼働の大プロジェクトを目の前に、大混乱が起こってた時ですわ。今回の自律神経失調症発覚のキッカケもぜんそく発作からスタートしたので、ボクにとって無関係じゃないのです。

それを前提にオハナシ進めますが、ぶっちゃけ、ぜんそく治療って金かかる。
●ボクはレギュラーで月イチ呼吸器科専門のクリニックに通ってます。一回の診断で1500円弱。まーこりゃこんなモンか。で、処方箋をもらう。で、薬局に行く。で、お金払う段で、ビビる。一ヶ月分のクスリ代でまとめて8000円強!くうう。高えー!高いでしょ?間違ってないよね?一月で1万円かかるのよ!コレが無料になるって言ったらかなりウレシいよ!

この情報をゲットし、早速区の保健所に足を運んだ。
●うーん、保健所行くのって生まれて初めてじゃないか?一体どんな所なんだ?ボクの住んでる下北沢エリアは、梅が丘にある「北沢保健福祉センター」ってトコロで申請用紙をゲットするという。センターはすぐに見つかったが、ドコで話を聞いたらいいか分からない。生活保護申請窓口とか赤ちゃん育児サークルの集会所まであるぞ。人に色々聞いて「健康づくり課」という窓口が担当らしいコトを知る。

カウンターで書類を色々見せられて、説明を受ける。
●まず、この助成の名目が仰々しくてスゴい。「大気汚染に係る健康障害者に対する医療費の助成に関する条例」。ボクのぜんそくは東京の大気汚染が原因で、今は健康障害者に成り果てたってわけだ。まあ、金がもらえるなら、なんにでもなるさ。
●東京都は元から18歳未満の人を対象に医療費助成をしてたのだが、この度その助成対象が全年齢に拡大したそうだ。一年以上都内に住んでる人、気管支ぜんそくにかかってる人、健康保険に加入している人、申請日以降喫煙しない人。これが条件。最後のヤツが笑っちゃうね。申請書には「もう喫煙しません」的な念書にハンコと署名をする欄まであるんだ。
●自分で書くのが申請書だが、主治医に医療報告書を書いてもらわないといけない。コレを書くには血液検査も必要らしく血もタップリ抜かれた。あと最近の胸部レントゲン写真。健康保険証の写しと、住民票までいる。メンドクサイ。2年ごとの更新というから結構かったるいな。
●この書類を書いてもらうための診察に、これまた8000円強かかった。ガクッ!書類は血液検査の結果待ちだから一週間後にまた来て下さいとのこと。その上でまた保健所に行く。大変だなあ。そこまですると、後日東京都から「医療券」ってのが郵送されてくる。……これ今リハビリ中だからこんな手間暇かけてられるけど、仕事バリバリモードだったら絶対申請不可能だと思うわ。役所も病院も夕方ですぐ閉まっちゃうし、行政はやっぱやるコトが優しくないね。ああっ、みんなの税金から助成してもらうんだから、文句はよくないか。医療問題が新聞テレビを賑わしてるけど、とにかくもらえるものは頂きましょう。今後ジジイになったら何ももらえないかもしれないんだから。


しかし、ぜんそくは季節の変わり目がツライ。
●気圧の変化に気管支がスムーズに対応できないのか、低気圧が接近すると具合が悪くなる。気圧の変化が問題なのであって、気圧が低いまんまならソレはソレで対応できるようになるんだけど、一週間で晴れたり雨が降ったりクルクル天気が変わるとコレはたまらない。自律神経失調症的にもイイことじゃない。結局今週は2回もクリニック行って、点滴2種類、吸入2種類やってもらった。じゃなければ声もでなかった。咳が止まらず眠れもしない。今週は会社に一回だけ30分しか顔を出せなかった。復帰までまた足踏み状態ってコトだ。
●ご丁寧に会社診療所の看護師「のび太くんのママ」さんは金曜の夕方に電話をかけてきてくれた。声が出ないのでハナシがなかなか成立しなかったが。「まー天気が良くないから、ぜんそくでダウンしてるんだろうなとは思ってたんだけど…」なんでもお見通しだ。「二回呼吸器科に行きました。ぜんそくもなんですが、特に咽頭部分の腫れがヒドいってセンセイ言ってました」「自分の健康に対してキチンと冷静に打つべき手を打っているという点で評価できるわね。とにかく発作が落ち着くまでは無理に会社に出ないように」了解。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html


●声が出なくても、音楽は聴く。

NIN.jpg

NINE INCH NAILS「THE SLIP」2008年
●90年代に活躍した、インダストリアルビート全開のメタリックサウンド。その実態は TRENT REZNOR という男の俺ユニット。1989年のデビューアルバム「PRETTY HATE MACHINE」は、当時大学の同じクラスだった女の子から借りて聴いた。ヴィジュアル系大好き女子だったので、イマイチその趣味に信用がおけなかったが、失礼、ワリとよかった。とにかく絶叫してた。00年代にはネット配信で作品を発表するなどしてるが、今回は大盤振る舞い、完全フルアルバムをフリーダウンロードにしてくれた。で、暗黒度はより増してた。暗黒すぎて二度は聴かないかも。ヴィジュアル系はルックスが暗黒でもサウンドはそんなに暗黒じゃないって傾向が実はあるのだが、コレはマジで暗黒だった。アメリカではゴスが流行ってんだし、こんくらいがちょうどイイのか…。
●あ、そうそう、あのヴィジュアル系大好き女子は、音楽ライターになったみたい。去年(おととし?)、ミスチル東京ドームコンサートの関係者席で見かけた。小さいノートにたくさんメモを取りながらライブを見てたから、きっとライター仕事してるんだろうと推理。ライブ終わったら声かけようと思ったのに、彼女は最後の曲が終わりかけた段階で混雑を避けるために速やかに消えた。取材撤収の仕方も場慣れしまくっていた。

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ぜんそく発作で寝込んでます…。
●梅雨が近づくにつれ、呼吸器の調子がおかしくなってきた。ぜんそく持ちは、気候の変化にスゴく影響されるのです。キッカケはコドモに風邪を伝染されたコト。咳止まらない。鼻水止まらない。気管支が縮まって声も出なくなり、意思の疎通にも困る始末。微熱、下痢、めまい。ケチョンケチョンです。病院に色々行ってたら、クスリが21種類にもなった。無理せずにソッコー寝る。

クスリの量がスゴいでしょjpeg

 
「週刊ヤングサンデー」潰れちゃうらしいね…。雑誌メディアの存在価値ってホントに危うくなってきたな。ネット広告が雑誌広告の市場規模にとうとう追いついちゃったというし。
●新聞が「メガ文字」とか言って文字を大きくしたのは、読者が高齢化して小さい字じゃ読めないから、って理屈になってるけど、理由はもう一個あると思う。最近の日本人は長い文章が読めなくなってきているんだとボクは思う。ネットニュースのようなバラ打ち単品記事や、行間の大きいブログ文体、またはケータイ小説文体に慣れてしまうと、長文記事が集まってる新聞は読むのがシンドクなってくる。字がデカくなれば文章は短くなるからね。
●雑誌編集に関わってるトモダチがぼやいてたね。「みんな字読まないね~。ちょっとでも長いと途中で読むの止めちゃう。だから、表とかイラストとか箇条書きとか、バラバラにするんだよね。ホント雑誌は今売れないわ」今の日本人に読める文章の分量って、結局「R-25」程度がちょうどイイってコトか。でもあれは雑誌じゃなくて完全に広告だからな。


「広告批評」までなくなっちゃうらしい。
●あの天野祐吉さんの「広告批評」来年4月で休刊するという。この雑誌には随分勉強させてもらったなあ。
休刊の動機付けが非常に興味深い。ネットやケータイなどウェブ連携展開が常識になるなど、広告表現が急激に多様化していく中で、天野さんの慧眼がザクリと状況をえぐってる。以下「NIKKEI NET - IT+PLUS」5月19日号でのインタビューを引用抜粋。長いけど、ここは一つ我慢して読んで下さい。

広告批評

 
――休刊を決めた理由を改めて教えてください。
 「広告が大きく変わろうとしている今、ひとつの区切り時を迎えているということです。『広告批評』と言う時の『広告』は、マスメディアとしての広告を指してやってきました。テレビCMが全盛期を迎えて、今は30年くらい経ったところにきています。時代の終わりを告げて、やめるとしたら今かなと思っていました」


――マスメディア広告の時代は終わったということでしょうか。
 「ええ。マスメディアの広告が「万能」の時代は終わったということですね」


――ウェブ広告が伸びることで何が変わったのでしょうか。
 「テレビ広告は視聴者が見たくなくても見せられちゃうところを暴力的と言っているわけです。すべてが暴力的だとは思わないけれど、テレビのCMは見ないではすまない。そのたびに消すわけにもいかない。暴力性を内包しているメディアと言ってもいいのかな。クリエーターは、面白くいい広告を作ることで暴力的であることを避けようとしています」
 「それに対してウェブ広告は、見ようという意思がなければ誰も見ない。向こうから押しかけてくるメディアではありませんからね。僕なんかは、数年前からそういうメディアへの移行が始まったなという感じがしていました」


 「メディア状況の変化と同時に、消費社会の成熟度が行き着くところまでいったということもあります。創刊した当初は、マスメディアが発達して、大量生産、大量消費、大量流通という20世紀の巨大な歯車がぐわーと回り出した頃。今は巨大な歯車がどこか引っかかって止まり気味になっているわけでしょう。もう以前のようにがーがーと音をたてて大量消費が実現している時代ではないですよ」
 「今は物を買い揃えることが豊かな時代じゃなくて、物を買わないことが豊かさへの道だという逆説が出てくるような時代ですからね。広告批評は20世紀という時代に対する批評行為をしていたメディア。21世紀になってちょうど変わり目を迎えたという感じがあります


 「ウェブによって消費者自身が成熟したということもあるのかもしれないなあ。いちいち広告で踊らされる時代ではなく、自分から主体的に情報を得ようと思えばいくらでも手に入る時代になったということです」
 「例えばソニーパナソニックブルーレイ・レコーダーのどちらを買おうかなと思ったら、以前はカタログを両方から取り寄せるか、ビックカメラにでも行って、商品を見たりカタログをもらって検討したりするしかなかった。ところがウェブが発達したことで、家で簡単に比較情報が手に入るようになったわけです」
 「そうなってくると、別に広告はいらないと言えばいらない。新しい商品が出ましたよ、というニュースとしてのマス広告は必要かもしれませんが、それ以上の、商品の性能に関する情報はなくてもいい。ウェブが発達したことで、それまでは情報過剰社会ではなく情報過少だったということが分かったんじゃないですかね」


――そうなると、広告の役割は今後なくなっていくのでしょうか。
 「なくなりはしないけれど、マスメディア広告は変わらざるを得ないのではないかと思います。現にもう変わり始めていますね」
 「広告は基本的に商品についての『インフォメーション』と、その商品の仕様や性能を説明する『リポート』、企業の考え方や姿勢を伝える『オピニオン』という3つの情報で構成されています。このなかのリポートという部分はほとんどいらなくなっていくんじゃないですか。広告でどんなことを言っても、ウェブを見たら消費者にはよく分かっちゃう」
 「インフォメーションについても、企業がいくらで商品を発売したということが分かっても、他社と比べてどうなのかということは広告ではなかなか分かりません。その点でウェブの方が優れています


 「ただ、オピニオンについてはウェブでは分からないですね。もちろんウェブで探っていけば分かるかもしれないけれど、その会社がみんなに対してどういう姿勢で何を言いたがっているかという、一種のあいさつ機能かな。そこはマスメディア広告が一番強いところではないですかね
 「例えば、ブラッド・ピットが嵐の中を歩いてくるソフトバンクのテレビCMがありますね。あれは完全にソフトバンクの企業広告だと思うんです。もちろんちらっと出てくる商品の広告にもなっているのだけれども、それ以上に、車まで飛ばされてしまう嵐の中をブラッド・ピットがケータイしながら歩いてくるという、それが広告の本体でしょう。それは何なんだ、そんなものがいるのかということですよ」
 「そう考えると、従来の常識からは何の意味があるのかと言われるものが、これからの広告になるのかもしれないですね」


――オピニオンを伝える場としてテレビ広告が残るということですね。
 「そうです。最近、『詳しいことはwebでどうぞ』というCMがよくあるでしょう。あれはマス広告の正体を自分でうまく暴露していますね(笑)。『詳しいことはあちらでどうぞ、私たちは企業としてのごあいさつをしているだけです』というふうになっているわけです」
 「ただ、この感情的というか、冗長的なつながりというのも、人間社会では大事なことでね。同時代を生きている企業として、市民になんだかいやな会社だなと思わせるか、いいなと思わせるか。人間はよい悪いということだけで物事を判断していなくて、好き嫌いということで判断している。性能のよい悪いはウェブでしっかり探せば分かるかもしれないけれど、好き嫌いはウェブを見ていても分からないわけです」


――ウェブ広告は今後どんな役割を担っていくと思いますか。
 「僕が見ているところでは、ほとんどのウェブ広告はインフォメーションですよね。表現性は全然問題にならないレベルだと思います。今のところクリエイティブな広告情報はほとんどないでしょう」
 「例えばブログで話題にした本にアマゾンへのリンクをつける『アフィリエイト』がある。あれも広告でしょう。つまり、この本はここをクリックすれば詳しい情報が手に入りますよ、と教える完全なインフォメーションですよね。出し方に工夫がいるというものではない。むしろ、そんなところで工夫されたら、なかなか情報にたどり着けず、たまらないわけですよね」
 「グーグルは、そんな広告で儲かっちゃってしょうがないわけじゃないですか。『それってどの広告?』『その広告のベストテンってある?』と聞いてみたところで、一番儲かっているのは、そんなにクリエイティブを必要としない部分だと思いますよ


 「もちろん中にはクリエイティブな要素を必要としているものはあります。例えば電通は、バナー広告のクリエイティブ表現とはどういうものなのか、一生懸命研究していますよ。それはそれで面白いものが出てきてはいます。だから、クリエイティブの要素がゼロではないけれど、グーグルヤフーを潤わせている広告の大半はクリエイティブではないインフォメーションに過ぎないということです。消費者が『面白おかしい物売り芸なんかいらない』『必要な情報が欲しいんだよ』と思う時代になってきているんですね」


――広告ではクリエイティブの余地が少なくなっていくのでしょうか。
 「この50年ほどはテレビのようなマスメディアにしか広告の舞台がなかったわけです。だからそこでクリエイティブが言われてきたわけだけれど、メディアが変わっても広告は何らかの形で続きます」
 「今はマスメディアからウェブ広告に主軸が移っていると言うけれど、そうなるとイベントを広告のメディアにしていく方法はないかとか、様々なところでメディアが模索されるんだろうと思いますね。本当の意味でメディアの多様化時代に入るんだと思います


 「優れたクリエイティブの能力を持っている人はいつの時代でも儲かるんですよ。困るのはテレビ局と新聞社。テレビの危機、新聞の危機ということは言われるけれど、広告の危機ということはあまり言わない」
 「今後はテレビや新聞のようなマスメディアを一切使わない広告計画があってもいいわけでしょう。例えば自動車メーカーが新しいクルマを発売する時に、今までだったら、こういうコンセプトでやってテレビではこうやって――というふうに説明するんだけど、その中にマスメディアは全然出てこない、というようなね。むしろそういうものでないといけなくなっていきつつあるんじゃないかと僕は感じます」


――ウェブ広告のなかで心に残っているものはありますか。
 「まだないですよ。ウェブ広告ですごい広告なんていうのは、僕は見ていないですね。第一、インターネットをやっていない人にはそんなの分からないよね」
 「まあ、話題になるものも出てくるんだけど、そういう話題になるものを世の中に跳ね返していくメディアがないんだよね。メディアはある意味で鏡ですから。広告批評を読んでいれば、いまどんな広告が面白くて話題になっているかが分かるでしょう。そういう意味で、日本中がひとつの広告で笑うっていうようなことはなくなっちゃうんじゃないかなあ


 「糸井(重里)さん自身は現にコピーライターというよりは、ウェブを使ったアイデアにすべてを向けていますよね。それで世の中を動かしているし、自分が書いた本もそこで売っちゃう。広告メディアとしてのインターネットについて、いま本当のことを言えるのは糸井さんかもしれないね。現にあそこはウェブの上に『ほぼ日刊イトイ新聞』というメディアまで作っちゃったんだから。マス広告のヒーローだった人が、いまやウェブ広告のヒーローになっているというふうに言えなくもないですよね。時代の変化というのはそういうことです」


――次の時代の広告批評を用意することは考えていますか。
 「僕にその気はないですけど、世の中に若くて優秀な人はいっぱいいるから、ウェブ時代の広告批評がどういうものかを考えて、面白いことをやってくれる人が出てくれば、僕らがやってきたことも無駄じゃなかったなあと思いますね」

――広告批評がなければCMの作り手も見えませんでした。
 「放っておくと暴力になりかねないような広告が、消費者に役立つ面白いものであってほしい。そういうことを見張るジャーナリズムとして広告批評を創刊したわけです。当時はやはり『広告の批評なんて成り立たないだろう』『金をとってスポンサーがやっている仕事を批評するなんて意味がないんじゃないか』と言われました」
 「でも、表現という部分をとれば、批評は成り立つわけです。例えば、うなぎをもっと売るために、平賀源内さんが『土用丑の日にうなぎを食べると夏バテしない』というアイデアを考えた。それはすごいクリエイティブでしょう。うなぎ屋さんの存在とは関係なく、それ自体がすばらしい表現なのかつまらないのかというのは批評の対象になり得るはず。そういうふうに僕は思っていたし、曲がりなりにも広告の批評が成立するんだなということを分かってもらえたことで、この雑誌の役割がかなり果たせたと思っているんです」
 「だから今度はウェブ広告を中心にした批評雑誌が出てきてもおかしくないし、もし出てくるとしたら、僕らは多少はそのための地ならしができたのかなという満足感があります」


●配色による強調はボクの判断です。実に興味深いハナシだ。天野さんは、自分が展開してた批評対象の質/構造が変化したのを見て取って、今までの批評姿勢は有効じゃなくなったと潔く判断した。時代はスゴいスピードで変化してて、なんだか怖いほどだ。早くカラダを直して最前線に立ちたい。フロンティアは目の前にイッパイ広がってるのだから。

また体調を崩した。気圧の変化でぜんそく発作。コドモに風邪を伝染されたかも。
●喉が激しく痛い。呼吸も苦しい。咳も出る。鼻水も出る。微熱まである。カラダが重く気分もサイアク。なにしろ声が出ないのが一番不便だ。しゃべらないと、周りも必要以上に心配する。落ち込んでしゃべれないのと、声が出なくてしゃべれないのは、当事者では全然違うのだが、他人からは同じに見える。で、今週も会社を休むコトになる。ふう。

白金の呼吸器科へ。
●池尻の心療内科、東銀座の鍼灸院、会社の診療所。そしてボクの第四の病院が、この白金高輪の呼吸器科だ。いろんなトコロに通ってるでしょ。自分でもワケ分かんなくなる。ここでたんまりぜんそくのクスリと風邪薬の処方箋を出してもらう。
●この処方箋を持って、この病院の近所の薬局でクスリに変えてもらう。何ぶん種類が多いから(今日は8種類)結構待たされる。その待ち時間の間に、ボクはこの薬局に置いてある本を読む。

High and dry (はつ恋)High and dry (はつ恋)
(2004/07/23)
よしもとばなな

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吉本ばなな「HIGH AND DRY(はつ恋)」
●待ち時間の10分ほどの時間で、ボクは待ち合い席に無造作に置いてあるこの本を、ちょっぴりずつセッセとこの本を読み進めている。数ヶ月かけてやっと半分くらいまで読んだ。薬局のオバちゃんも、ボクがこの本をマジメに読んでいるのはかなり前から承知、「今日は十分読んだ?」とか声かけてくれる。
吉本ばななってあまり読んだ事ない作家さんだからよく分かんない。でも、カワイらしい挿絵がタップリのこの本は、14歳の多感な少女が、29歳芸術家の青年に魅かれていく様子を瑞々しく描いてて、とても気持ちがイイ。その気持ちが「はつ恋」と言ってイイのかは分かんないが、青年が彼女の問いに誠実に答えていくのが凛々しく思える。大人とも子供とも言えないオンナノコ、取扱い注意だよ。娘ヒヨコの幼稚園の教室では、誰かが持って来たイモムシちゃんが見事サナギに変態したという。この無防備な状態こそ、思春期のオンナノコ。殻の中で全身を一度全てバラバラに溶かして再構築する神聖な儀式が行われてるのさ。



DVD「ニルスのふしぎな旅」
●コツコツレンタルして、我が家のコドモたちに毎週一巻ずつ見せてきたDVD「ニルスのふしぎな旅」がとうとう完結した。

ニルスのふしぎな旅 TVシリーズ DVD-BOX2ニルスのふしぎな旅 TVシリーズ DVD-BOX2
(2002/10/25)
小山茉美山崎唯

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●この物語は、スウェーデンの女流作家・セルマ・ラーゲンレーヴによる児童文学で、1980年NHKでアニメ化された。アニメのクレジットを見てドキッとしたのは、若き日の押井守「甲殻機動隊」など)が演出陣に混じってる。

スウェーデンの農家の少年、ニルスは動物をいじめる悪ガキ。それを懲らしめようと妖精が現れて彼のカラダを小人サイズに縮めてしまった。今までいじめてきた動物たちより小さくなってしまったニルスは、動物たちと対話しながら自分の行いを改めていく。そして大空を夢見てきたガチョウのモルテンと共にガンの群れに混じって、旅に出るのだ。目指すは野鳥の楽園ラプランド
ラプランドは(世界地図だとラップランド)、北極圏に入ってしまうような北欧三国の北辺地域。渡り鳥は、短い夏をこの北国で過ごし、繁殖をして子を産み、そしてまた南の土地へと飛んでいく。美しい自然と動物たちとの冒険が、ニルスを人間的に成長させる。相棒ガチョウのモルテンは、ハイイロガンの彼女と結婚し子供も設けた。そして一行は再び南下。まもなくニルスの故郷へと差し掛かる。
ニルスの故郷に一行が近づく頃、群れの隊長アッカニルスに残酷な真実を告げた。「妖精の魔法を解くためには、聖マルタン祭の夕食にモルテンの命を差し出すこと」ニルスは、あまりのショックに泣き苦しみ葛藤する。そして一生家には帰らないと決意するのであった……。しかし事態は最悪の方向へ…。

最後のピンチを、ヒヨコは直視できずずっと床に顔を押し付けて目をそらしていた。「ヒヨコ、もう大丈夫だよ、みんな助かったよ」そう言わないとずっと耳を塞いで突っ伏してたろう。ヒヨコは物語のデティールに関しては全然理解できないが、情緒的な感受性はノマドよりもずっと発達してる。ニルスが葛藤している間、「ヒヨコならどうする?」って聞くと「モルテンがしぬのはヤだから、チッコイままでおとうさんおかあさんとモルテンとでくらす」ふんふんなるほど。ノマドは?「わかんない…」

ニルスのふしぎな旅〈1〉 (偕成社文庫)ニルスのふしぎな旅〈1〉 (偕成社文庫)
(1982/01)
ラーゲルレーヴ

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●ワイフから聞いたのだが、ボクは高校生の頃ワイフの誕生日に、この童話の原作本全4巻をプレゼントしたことがあるという。えーっ、ボクすっかり忘れてるわ!なんで「ニルス」なんて選んだんだ?ワイフ「その時は、大江健三郎がこの原作に注目してるらしいって言ってたわよ。実家に全部揃ってるわよ。結局読んでないけど」



スウェーデンの音楽シーン。

クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ [北欧POP MAP Sweden編] (P-Vine BOOks クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ)クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ [北欧POP MAP Sweden編] (P-Vine BOOks クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ)
(2007/09/21)
クッキー・シーン編集部

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「北欧 POP MAP スウェーデン編」
●雑誌「クッキーシーン」が取材してきた材料で、とてもマニアックなディスクガイドが出来た。スウェーデンのインディーロックシーンを綴る本だ。00年代のインディーロックという分野をセッセと伝えてきた「クッキーシーン」にはホントご苦労様と言いたい。90年代と違ってどっちかってーと日陰のシーンをしっかり日本に伝えてくれました。しかもスウェーデンで一冊だよ。マニアックだよね。

Sweden.png

スウェーデンってどんな国?
ノーベル賞?家具屋のイケアボルボもこの国のクルマだっけ?あんま知らねえ。調べると人口約900万人。ちなみに東京都の人口は1280万人。面積は約45万平方キロメートル。日本全体で約37万平方キロメートル弱。ひろーい土地に少ない人々が散らばって住んでる。首都ストックホルムは人口約75万人。北欧最大の都市だが、世田谷区約85万人を下回る。その他の主要都市。イエテボリ約50万人、マルメ約28万人。……いやに人口にコダワッてみましたが、ナニが言いたいかっつーと、この国の音楽シーンで天下とるのは、市場規模だけで言えば下北沢&吉祥寺を制覇するのと同じくらいかも?ってコト。シーンの大きさもミュージシャンの数も、全部トモダチでくくれる位の規模になりそう。
●でもココから聴くに足る豊かな音楽が発信されているのも事実。ボクはこの本を読んで初めて「アレ、このバンドはスウェーデンの人たちだったのか」と気付くような発見もたくさんあった。英米のポップ/ロックシーンに影響されながら、ソレを世界に向けて発信するのは難しい、でも真に才能のあるモノはどんどん評価されていく。かつて日本のアーティストにもそういうバンド達がいたような気がしたが、最近はメッキリ音沙汰がなくなった。この国のミュージシャンは、まだ世界にリンクしてる。
●つーことで、CD棚をゴソゴソあさって、家中のスウェーデン物件を引っ張り出してみる。意外と沢山あるもんだな。



●スウェーデンの音楽が注目されるのは、何回かの時期に別れている。それを本書「北欧 PO MAP」の記すように、新しい順に注目作をチェックしてみる。

まずは最新シーン。第三波、サード・ウェーブ。00年代中盤から日本に紹介され始めてきた世代。繊細でセンチメンタルなスタイルが多いみたい。


ライターズ・ブロックライターズ・ブロック
(2006/12/13)
ピーター・ビヨーン・アンド・ジョン

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PETER, BJORN & JOHN「WRITER' S BLOCK」2006年
●90年代シューゲイザーのような神々しいギターのシャワーもあれば、リリカルに響くギターもある。エコーの深さが森の深さを象徴するようで、すこしハナにかかった舌足らずなボーカルが、北国の短い夏を目一杯謳歌しようと伸び伸びと響く。優しい気分になれる慎ましやかな音楽だ。
「口笛ソング」の異名で欧米のラジオを席巻した「YOUNG FOLKS」は確かに一度聴いたら耳から離れない。なんてキャッチーでチャーミングで繊細なんだろう。そして男女のボーカルが優しく二人の時間をささやき合う。これはステキな歌だ。

「ボクらは若い連中のやり方なんて気にしない、彼らが話してる若いスタイルも気にしない。
  ボクらは古い人々のやり方なんて気にしない、彼らが話してる古いスタイルも気にしない。
  ボクらはボクら自身のやり方だって気にしない。ボクらが話してるコトすら気にしない。
  大事なことは、ただ今、ボクとキミが話しているということだけ……。
  ボクらがナニをしようと、ドコに向かおうとも、全然関係ない。
  今夜こうして会うことが出来たのだから…」



In ColourIn Colour
(2006/03/13)
The Concretes

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THE CONCRETES「IN COLOUR」2006年
●このバンドはこの本を読むまで、アメリカのバンドだと思ってた。ジョージア州アセンズのサイケシーン(レーベル ELEPHANT 6 周辺)から派生的に出てきた USインディーロックだと思ってた。一聴して連想したのは THE DECEMBERISTS とかだったし(ジャケの雰囲気とかも)。なんてったってこのCD、ハワイのタワレコで買ったんだもん、スウェーデンみたいな北国へ繋がるなんて予想もつかないよ!でもレーベルは ASTRALWERKS だし(←THE CHEMICAL BROTHERS とかやってるトコロ)、得体が知れないなと思ってた。
●ウィスパー女子声が優しく響く可憐なギターポップ。コンクリートってゴツい名前のワリには、その音は柔らかく繊細で、洗い立てのタオルケットのように気持ちよく肌馴染みがイイ。途中で差し込まれるまろやかなホーンがカラフルに炸裂していくのがとても美しい。なんとバンドは大所帯で8人組。人の入れ替えも激しくて、番度と言うよりコミュニティという感じなのかな。そう思うとやはりスコットランドの BELL & SEVASTIAN にも聴こえてくる。今作のプロデューサーは、USバンド BRIGHT EYES の音楽参謀 MIKE MOGIS とのこと。
●ちなみに、今作で個性的なささやきボーカルを聴かせてくれてた VICTORIA 嬢が脱退しちゃった。そして前述の PETER BJORN & JOHN の口笛ソング「YOUNG FOLKS」でメインボーカルとっちゃてる。スウェーデンじゃ世間はより一層狭いみたいね。



お次は00年代前半。セカンドウェーヴ。どっちかというとガッツリロックした世代。
●この世代の音楽は、ブリットポップの荒廃に倦んでいた当時のUKシーンへ、NYの THE STROKES とともに「ガレージ回帰」という新風を吹き込み、THE LIBERTINES、FRANZ FERDINAND、ARCTIC MONKEYS の出現を横から支援した。00年代「ロックンロールリバイバル」の始まりだ。先鋒を切って英国に殴り込んだのは THE HIVES。スウェーデンでは全然売れてないバンドだったのに、イキナリイギリスでブレイクした。そして多くの後進達が続々と注目を集めるようになる。


Bring 'Em InBring 'Em In
(2003/08/26)
Mando Diao

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MANDO DIAO「BRING 'EM IN」
THE HIVES の弟分のようなタイミングで登場した狂犬野郎どものデビュー盤。先輩バンドもUKバンドもクソミソに罵る、生意気盛りのビッグマウス。ブルースシンガーのようにクシャクシャになった声で噛み付くように喚く GUSTAF と、ERIC BURDON のように朗々とソウルフルに叫ぶ BJORN質の違う二人のボーカリストが別々にボーカルをとる双頭バンドだ。荒々しいギターサウンドの中にモッズの香りも漂う曲者。オルガンが黒さを小憎らしく演出。闇雲に走るだけじゃない、ミドルテンポでも十分聴かせる。やべえ、コイツら思ったよりカッコいい。THE SMALL FACES、THE BEATLES のような60年代英国ロックの気分が伝わる。甘いサイケの匂いまでする。UKバンドじゃないってコトを忘れちまう。


Hurricane BarHurricane Bar
(2005/03/08)
Mando Diao

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MANDO DIAO「HURRICANE BAR」2004年
●太子堂の古本屋にて300円で購入。値段なり程度の期待しかしてなかったけど、コレもよかった。ヒリツくような焦燥感と、退屈で窒息するような閉塞感で詰まりそうになる喉から絞り出されるロックンロール。「オレらは希望を捨てない、決してこのロープを切らない!」泳ぐのを止めれば死んでしまうサメのように、ヤツらは歌うのを止められない。止めればまたタダの能無し文無しに逆戻りだからだ。そんな感情が言語を超えて響いてくる切なさがたまらない。疾走感は一枚目よりも120%と増量、キュンとくるメロディ度も120%増量。モッズ度は下げ目。まーとりあえずコレ聴きながら50メートルダッシュ10本走れ。


Jennie BombJennie Bomb
(2002/09/10)
Sahara Hotnights

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SAHARA HOTNIGHTS「JENNIE BOMB」2002年
●女の子4人組、小細工の1ミリもない純然たるガレージロックバンドのセカンド。これもスウェーデンって意識して聴いてなかったな~。もうあの頃(00年代初頭)はひたすらドコもかしこもガレージばっかりだったから。しかもサハラ砂漠だぜ。ココはもう灼熱にたぎる当時二十歳ソコソコの娘ッコのチカラ任せなロック魂に身を浸すのみ!タイトル「JENNIE BOMB」は70年代ガールズパンクバンド RUNAWAYS の名曲「CHERRY BOMB」を否応なく連想させるけど、若い彼女たちはこの曲のコトは後から知ったという偶然の産物。PRIMAL SCREAM の連中が彼女らをお気に入りにしているとな。


キス&テルキス&テル
(2004/07/21)
サハラ・ホットナイツ

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SAHARA HOTNIGHTS「KISS & TELL」2004年
●カワイい顔して、年間100本もライブをこなしてきた彼女たちのステージ筋肉はハンパじゃない。腕相撲したら絶対負ける。その熱を的確にすくいとってこのサードアルバムに焼き付けたのは、THE HIVES を手掛けるプロデューサー PELLE G という人。ギター音の粒立ちがヨクなったかな。80年代ニューウェーブ・リヴァイヴァル的な感じ?


Behind the MusicBehind the Music
(2001/04/09)
The Soundtrack of Our Lives

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THE SOUNDTRACK OF OUR LIVES「BEHIND THE MUSIC」2002年
●このバンドも絶対カナダかアメリカの連中だと思ってたんだよなー。ボクの耳はホント読みが浅いわ。コイツらは MANDO SAHARA のようなガレージじゃない。ダイナミックでスケールの大きいギターサウンドが、ジャムバンド系にもオルタナカントリーにも聴こえる。長ったらしいバンドの名前がエモ系っぽくも思えたし。BROKEN SOCIAL SCENEFEIST はココのメンバーだよ) とか、MY MORNING JACKETS とか、DRIVE-BY TRUCKERS とか、THE OLD 97'S とか、そんな連中の仲間だと思ってた。
●でもこの幾重にも積み重なるギターの力強さは、どうしても SONIC YOUTH に代表されるような90年代オルタナティヴロックを連想させる。朴訥としたボーカルは決してドラマチックに展開しないが、最初から最後まで高温のままタギり続ける。しかしその一方で、その轟音のスキマからチラとカオを見せるトラディショナルな旋律も見逃せない。優しいフォークロックようでもあり、静謐でサイケな音響を聴かせてもくれる。……ダメだ、懐が深過ぎる。このバンドが放つ独特の磁場を説明することができない。やってるコトは多分ロックとして実にオーソドックス。でもそのオーソドックスをこなせるバンドが今いないというコトなのかも知れない。昔からのロックファンの人こそコレを聴いた方がイイのかも。



90年代中頃。渋谷系音楽の延長の中で注目されたスウェーデンのアーティスト。言わばファーストウェーブ。
●渋谷系時代のギターポップ全盛期に、同じ美学でチャーミングなバンドサウンドを作ってる連中が北欧にいるという発見は、コロンブスがアメリカ大陸を発見したような感動的事件だった。カジヒデキ(ex.BRIDGE)などのアーティストがスウェーデン詣でをして、様々なアーティストとコラボレートした。


First Band on the MoonFirst Band on the Moon
(1996/09/17)
The Cardigans

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THE CARDIGANS「FIRST BAND ON THE MOON」1996年
90年代の渋谷にスウェーデンの爽やかな風を最初に運んできたのはこのバンドだ。この一つ前のアルバム「LIFE」は東京で大ブレイク。偏屈なボクは、ジャケで微笑むボーカル・NINA 嬢の甘ったるい顔がオシャレ過ぎて買わなかった。今ではタタキ売りの定番、でも420円の10%オフでも買わなかった。このバンドにはスゴく偏見あったからね、買ったら負けだと思ってた。でもこのディスクガイドを読み「LIFE」の次にあたるこのアルバムが250円で売られてるのを BOOKOFF で発見した時は、「試しに聴いてみるか」という気分になれた。月面初のバンドとやらを。
●プロデューサーはデビュー作から面倒を見てきてくれたTORE JOHANSSON という人物。この男とこの男が所有する TAMBOURINE STUDIO こそが、90年代のスウェーデンポップスの方向性を定めた。60年代の香りと90年代の洗練を盛り込んだ独自のチャーミングなサウンドが一世風靡、このアルバムの曲「LOVEFOOL」ディカプリオ映画「ロミオ+ジュリエット」のサントラに収録され、英米でもブレイクしてしまう(このサントラにはスウェーデンの重要バンド THE WANNADIES も収録されてる。多分コッチの方が骨があってカッコいいように思えるが、ボクはこの一曲しか聴いたことがない)。ボーカル NINA 嬢のフワフワ綿菓子ウイスパーを堪能すれば正解ってコトなのだろうか? アレンジは悔しいほどカラフルで、文句のつけようもないさ。冗談のようだが、BLACK SABBATH のカバーなんてやってる。リーダーの PETER さんは、ヘヴィメタバンドの前科があるんだって。でもフワフワ綿菓子アレンジだけど。


Gran TurismoGran Turismo
(1998/11/03)
The Cardigans

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THE CARDIGANS「GRAN TURISMO」1998年
●初めてこの盤を手にした時は、どうせまたオシャレ物件だろうと思い、期待もせずに聴いてみた。したらどうしたことだろう。この憂いのこめられたブルーな雰囲気は。前作「FIRST BAND ON THE MOON」と全然違う。アソコにあったキャッチーな明るさはドコに? 世界的大ヒットとツアー、激しい環境の変化に彼らはグッタリ疲れてしまったようだ。制作は TORE JOHANSSON、スタジオも TAMBOURINE、体制は一緒。でも全然違いまっせ、雰囲気が。
今回は大胆にもトリップホップなアプローチ。打ち込みアレンジを主体にして、NINA 嬢のウイスパーボーカルをよりメランコリックに響かせる。プレステ用レーシングゲームの傑作と同じ名前なのに、スピード全然出ません。でも能天気に愛想を振りまくよりもズッと親近感持てる。前作、前々作のCDが好きなファンはガッカリかも知れないけど、ボクはファンじゃないからコッチの方が好き!


Vive La DifferenceVive La Difference
(1998/02/27)
Eggstone

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EGGSTONE「VIVE LA DITTERENCE !」1997年
●90年代のスウェーデンのシーンは、TORE JOHANSSON というプロデューサーと TAMBOURINE STUDIO が大きな軸になっていた、と前述したが、このスタジオの共同経営者がこの EGGSTONE というバンドのメンバーだ。THE CARDIGANS も 後述する CLOUDBERRY JAM も、この EGGSTONEもココでレコーディングをし、TORE JOHANSSON とともに作業した。彼を訪ねてカジヒデキ BONNIE PINK もこのスタジオに来て多くの楽曲を作った。そんな伝説の場所ってわけです。
●これがかなりひねくれたポップス。一曲目から複雑なリフに乗っかるコーラスにドキリ。どの曲も決して分かり易いメロディじゃないのに、サビに向けて盛り上がるカラフルなアレンジが最高にキャッチー。ホーンもベルも総動員で楽しさ全開。このセンスやっぱ渋谷系。じつはこのアルバムがバンド最後の作品になってるが、メンバーはそれぞれ TAMBOURINE を中心にスタジオ/アレンジ仕事に精を出してるそうな。


モーペッズでいこうモーペッズでいこう
(1998/04/08)
モーペッズ

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THE MOPEDS「THE HILLS ARE ALIVE WITH THE SOUND OF MOPEDS」1998年
●どうでもいいけど邦題がダサイ。「モーペッズでいこう」って…。ま、このスウェーデンのお土産屋さんで売ってる絵はがきみたいなジャケも大分ダサイが。この脱臼感、全部狙いか。モーペッズってのは、原付バイクのことで、裏ジャケや中ジャケでは、メンバーがエイベックス社内の廊下やエレベーターの中でこのチッコイバイクを乗りまわしてるトコロが写ってる。
●この人たちは、前述の TAMBOURINE STUDIO に出入りしてたホーン奏者の兄弟が軸になって出来たスリーピースバンド。本業でない楽器を手にして興奮気味なのか、ガレージっぽいギターもソリッドで、ワクワクするようなロックンロールが賑やかに行進する。でも排気量は 50cc ぽっちってのが原チャリの宿命、軽い音立ててパタパタ走り回る感じはマッチョ志向はサラサラないよと言わんばかり、見ててとてもチャーミング。馴染みの仲間 EGGSTONE のようにひねくれたメロディを、おフザケ半分で吹っ飛ばす。楽しいですよ。


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CLOUDBERRY JAM「CLOUDBERRY JAM」1995年
●クラウドベリーという果物がなんだかわからないので、この果物で作ったジャムがどんな味してるのか全然見当がつかない。ただし、女性シンガーJENNIE MEDIN の声を聴く限りでは、少し酸味が効いててほろ苦いトコロもあって、甘ったるくない感じがする。キュートな顔して芯のある低めの声を持つ彼女は、このバンドを THE CARDIGANS みたいにフワフワ浮ついたモノにしない。アレンジが厚すぎないサジ加減が潔く聴きやすい。
●彼らの初期ミニアルバム(やはり TORE JOHANSSON制作)2枚を、日本の QUATTRO レーベル(つまりパルコだよ!)が束ねたのがこのCD。90年代の日本がいかにスウェーデンにノメり込んでいたかを象徴してる。彼らにとってもお気に入りの編集盤でファーストアルバム扱いにしてくれてるらしい。


トゥルー・モダン・ボーイトゥルー・モダン・ボーイ
(1995/10/18)
ピンコ・ピンコ

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PINKO PINKO「TRUE MODERN BOY」1995年
●ディスクガイドには「スウェーデンの BLUR」なんて書いてある。語尾をみょーんと伸ばすクセのある歌声は、コロッケ美川憲一のモノマネをするが如く、DAMON ALBARN の歌い方を、愛情をこめながら思い切り馬鹿にしてパクってるみたいで、実に笑える。ひねくれたポップセンスも本家に迫る勢い。いわゆる一流のB級感ってヤツ?なんてったって、バンドの名前がピンコピンコだからね。


バック・インサイドバック・インサイド
(1995/10/18)
レイ・ワンダー

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RAY WONDER「GET BACK INSIDE」1995年
PINKO PINKO はジャケが雪国っぽいからスウェーデン物件だという意識で捕らえてたけど、この番度は昔から持ってたのにずーっと UK バンドだと思ってた。コッチも大分ひねくれたギターポップだ。先の展開が全然読めない奔放なアレンジは、オモチャ箱をひっくり返したようだわ。一曲に盛り込むアイディアの量が多過ぎて、ついて行けなくなるほど。もっと切り売りしたらイイのに(笑)。ポップスとして複雑なのにかなり高機能っすよ。スウェーデンのバンドはみんなヒトクセあるヒネリ感を持ってるんだなあ。ちなみに、CLOUDBERRY JAM、PINKO PINKO、RAY WONDER ともに所属レーベルは NORTH OF NO SOUTH というトコロ。なんか北の果てって感じだな。 制作にはいづれも PELLE HENRICSSON という人が関わってる。


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ATOMIC SWING「A CAR CRASH IN THE BLUE」1993年
●このバンドは、ほぼリアルタイムに聴いてたな。アメリカ・オルタナティヴロックに対する北欧からの回答というような位置づけとして。この時代のスウェディッシュポップと違ってかなりロックです。汗臭いです。なにやら収録曲10曲を10日間で録音、全部バンド一体の一発録りとか。分厚いベースとギター、むさい低音ボーカルが印象深かったのですか、今聴くとオルガンがかなりファンキー。きっと70年代ロックが好きな人でも聴けちゃう。ザックリとしたギターソロも入ってるし。北欧という枕詞抜きで楽しめるロックアルバムです。


FluffFluff
(2006/12/18)
Atomic Swing

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ATMIC SWING「FLUFF」1997年
●このバンドの三枚目にして最後のアルバム(と思ってたら、2006年に再結成&新譜出してた)。この頃にはバンドは拠点をロンドンに移してて、メンバーもちょっと変わっちゃってたみたい。でも泥臭いグルーヴはまんまで、そのファンキーさ加減では、ブリットポップ期の REEF とか、「ROCKS」時代の PRIMAL SCREAMみたい。むさい声と暑苦しいギターにコーラスの色添え。……でもやっぱ一枚目の方がカッコいいな。



●そんでシメは、やっぱコレ。

S.O.S.~ベスト・オブ・アバS.O.S.~ベスト・オブ・アバ
(2001/02/07)
アバ

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ABBA「S.O.S.~ベスト・オブ・アバ」
●やっぱ、スウェーデンというと、一番最後はココにクルよね。「DANCING QUEEN」とかがダンクラ系クラブでかかっちゃうとやっぱ盛り上がるもん。

●他にもスウェーデンには、ピコピコ疑似レゲエポップス、ACE OF BASE とか、80年代末にヒットを飛ばした男女ロックデュオ ROXETTE がいた。激安100円コーナーの定番 MEJA ってアイドルの女の子もスウェーデンの娘。本国じゃ全然無名らしく、日本でだけでヒットしてたらしい…けど、日本でもヒットしてた覚えがボクにはありません。矢井田瞳をカバーしたってのだけ聴いてみたい。

●加えてもう一曲。タランティーノ監督「レザボアドッグス」やCMなどで有名になった「ウガジャガウガジャガ~」のあの曲。アレもスウェーデンのバンドなんだって。BLUE SWEDE「HOOKED ON A FEELING」。1974年の曲だってさ。タランティーノのB級センスにはいつも脱帽だよ。

レザボア・ドッグス ― オリジナル・サウンドトラックレザボア・ドッグス ― オリジナル・サウンドトラック
(2002/05/02)
サントラスティーヴン・ライト

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今夢中のドラマ。「キミ犯人じゃないよね」。

きみはん
 
●ドラマ「TRICK」「時効警察」を生み出したテレ朝「報道ステーション」後の金曜ドラマ枠。ここで今、「ちりとてちん」貫地谷しほりちゃんと要潤の推理ドラマが、これまたヘンなテンションで展開されてて、ワイフと二人で楽しんじゃってる。ミステリー作家希望のフリーター女子(貫地谷)&名家のお坊ちゃん刑事()の凸凹コンビが、巧妙なトリックで仕込まれた殺人事件を解決する。
●映画「ピューと吹く!ジャガー」で完全三枚目路線に踏み込んだ、要潤の徹底したマヌケっぷりが豪快で、ボクはこの人見直しちゃった。タダのイケメンじゃないわ。
●一方でもっと注目なのは、貫地谷ちゃん。仲間由紀恵&麻生久美子を三の線に引き込んだこの枠で、やはり徹底したコネタギャグをテンポよく展開。との呼吸も回を重ねることにグレードアップして、説妙な間合いでトコトコ事件を解決していく。
●ビンボー生活を補うためにありとあらゆるバイトを掛け持ちしてる彼女の毎週代わりのコスプレが萌え度アップ。メイドさんから飲み屋のフロアさん、女子校の生徒&先生、ニューハーフクラブのホステスまで、寅さん風腹巻きまいて実演販売までやるし、宇宙人ルックのコンパニオンもやる。今週は綾波レイ&セイラマス、来週は巫女さん&占い師、いやーん、萌え~。
貫地谷しほりちゃん、映画「スウィングガール」上野樹里の隣でジタバタしてた女の子の一人だったんだよね。そっからズーッと気になってて、「いつかこの娘の時代来るんじゃないか」と思ってた。でも「ちりとてちん」は朝早過ぎで結局一回も見られず(おまけに視聴率もよくなく)、ココでやっとグッとくる作品に巡り会ったかなーなんて思っちゃってます。
渡辺いっけい、金剛寺武志など脇固めも個性的で、全員に毎週お約束の決めゼリフがある(時にそのお約束が破れてて、それがまた笑える)。かなりミクロな小細工演出満載で結構画面から目が離せないっすよ。ちなみに貫地谷ちゃんのイモウト役の娘、小島藤子ちゃんもちょっと気になる。とにかく貫地谷ちゃん頑張れー!

しほり
 


もう一本注目のドラマ。「ハチワンダイバー」。

ハチワンドラマ

●土曜11時という枠に今までフジはドラマ置いてたかなんてわかんないんだけど、とにかく始まったこのドラマ。原作は「谷仮面」「エアマスター」でテンション激高の格闘マンガを書き続けてきた柴田ヨクサルの同名マンガ。ボクはもう一巻からこのマンガ全部(つーか「谷仮面」「エアマスター」も全部チェック)してたけど、賭博将棋を生業とする「真剣師」の世界を格闘技のテンションで描くこの怪作をドラマ化するとは一種の暴挙と思った。しかしその困難に立ち向かう志はよし!よっしゃ、全部見届ける!
●キャストは全然しらない人で、溝端淳平&仲里依紗というペア。プロ棋士への夢から落伍した青年が「真剣師」の世界に潜り込み、通称「アキバの受け師」という女性真剣師に出会う。しかし彼女はクールで激強の真剣師という顔と同時に、巨乳のデリバリーメイド(ご主人様♥)というもう一つの顔を持つ謎の女。この二重人格に翻弄されながら「真剣師」の世界にズブズブ沈んでいく主人公の情けなさっぷり&勝ち上がりっぷりも好感触。脇役にサンドイッチマン、木下優樹菜などを配置するセンスもグー。
●そもそも、将棋という「画が動かない」モノをテレビドラマの軸に持ってくるのが勇敢な冒険だ。だって役者は座って将棋さすだけでしょ。内面の心情描写を画面に焼き付けるのは難題っすよ。でもコレを細かい編集テクで、テンポよく緊張を切らさずにテンションを高めていく演出はご立派。コレも全部録画してます。
●原作マンガも最新刊で新展開。謎の真剣師集団「鬼将会」と主人公ハチワンダイバーが接触。オトコっぷりをチョッピリ上げつつ(前巻&今巻の「受け師」さん、ハチワンの気合いに気圧されてちょっとカワイい)、なぜか命がけの将棋をやるハメに。どーなっちゃうの?

柴田ヨクサル「ハチワンダイバー7」柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」7巻

●リハビリ出社で新聞熟読してたら、見開き特集で「ハチワンダイバー」のことを紹介してた。原作者・柴田ヨクサルさん、子供の頃奨励会入りまで行きそうになったほどのマジの将棋好き。アマ4~5段くらいの腕前はあると、プロ棋士が認めるほどの実力。やっぱ、好きこそモノの上手なれね。


マンガ原作映画シリーズ。


天然コケッコー [DVD]

「天然コケッコー」
●主演:夏帆。島根県の超ド田舎、小中合わせて7人のチッコイ分校に、東京から中2の男子が引っ越してきた。「あれ~、イケメンさんやね~」夏帆演じるそよちゃんは、初めての同学年にワクワク。でも決して望んでこの村に来たわけじゃない男子・広海は、どこか冷めた少年。悪気もなくポロリと出てしまう東京型の考え方に、そよちゃんは戸惑ったりガッカリしたり。しかし山と海とに囲まれた美しい四季を巡り、一年をかけて二人の間に幼い好意が…。日本で一番拙いキスシーン、いや「チュー」のシーン(彼らは「チュー」って言葉しか使わないから)が清らかで爽やか。歯と歯がコチッとぶつかっちゃう。…でも彼らにも卒業、進学、別れの季節がやって来る。
●都市部でしか生活したことのないボクとワイフには、彼らの生活は縁遠くてファンタジーにしか見えない。夢のスローライフ?それこそ東京の価値観だ。夏帆の演じる主人公のトキメキやショックや落ち込みは、本当に伸び伸びとしてて見てて清々しい。きょうだいのように育ってきた分校の仲間たちにとってそよちゃんは一番のお姉さん。けど一番シンパイしーで、泣き虫で、クヨクヨしてる。彼女のような中学生が今日本のどこに住んでいるのか?やっぱ、ファンタジーなのかな、このハナシは。………と思ったらワイフ「佐渡出身のママ友達がいるんだけど、小学校2クラスしかなかったって言ってた。一学年2クラスじゃないよ、全学校で、高学年&低学年の2クラス。あのママの言ってること全然理解できなかったけど、やっとリアルな世界だとわかったわ…。集落対抗スポーツ大会とかやってたって言ってたもん」
●分校の一番のチビ、さっちゃんはオモラシしちゃう1年生。まんまる顔とドンクサイ仕草がどうしても娘ヒヨコとダブって、他人とは思えない。…あと、島根県行きたくなった。撮影地の浜田市、速攻でグーグルマップで探しちゃった。マンガ原作はくらもちふさこ。差し当たり、読むか。

くらもちふさこ「天然コケッコー」 (1) くらもちふさこ「天然コケッコー」1巻




フリージア [DVD]

「フリージア」
●出演:玉山鉄二/つぐみ。コレも松本次郎原作の同名マンガの映画化ものだ。犯罪被害者が、犯人に対して敵討ちをするコトを認めた「敵討ち法」が成立。「敵討ち執行代理人」という名のプロの殺し屋が合法的に復讐殺人を請け負う。法律上の事務手続きをサクサクとすまし、殺害対象の人物に「では明日12時キッカリに、ウチの執行代理人が伺いますからよろしくお願いします」と言い放つ敵討ちコーディネーターつぐみ。徴兵上がりの玉山鉄二は表情一つ動かすことなく「執行」をこなす。
●この映画ではつぐみ玉山に、原作にはない因縁を設定してる。日本軍(この近未来では日本は外国と戦争中)の兵器実験に関わって心身に大きなダメージを負ったというストーリー。原作ではまだ完全に明らかにはなってないこのエピソードがちと残念。原作はもっとドロドロとして当事者の狂気はもっと複雑なのだから。つぐみという女優さんは、その大っきな瞳に狂気を宿すのが得意みたい。ある意味玉山以上に狂ってた。

松本次郎「フリージア」9松本次郎「フリージア」9巻



DVD「自殺サークル」

「自殺サークル」
●こっちはマンガを古屋兎丸が書いているが、原案は映画側の監督を務めた園子温。マンガが映画からスピンオフしたわけ。内容は重複があっても独立した物語。
「いっせーのーせ!」54人の女子高生。新宿駅。声を合わせて全員が一気にホームから飛び降りた。前代未聞の集団自殺事件を追って刑事・石橋凌が奔走する。連鎖する女子高生の自殺を食い止めるために行き着いたのは、謎のインターネットサイト「廃墟.com」。自殺集団はクラブじゃない、サークルだ…。謎が謎を呼び、つかみ所のない集団の暴走は止まない。
●90年代のバブル崩壊後社会の中で、突如特殊なマーケティング対象として注目を集めた「女子高生」。ルーズソックス、プリクラ、コギャルファッションなどなど…彼女達が自然発生的に作り出すサブカルチャーを、多くの大人が分析しようとしそして失敗してきた。そして「援助交際」といったイリーガルな行動と思考様式に、大人は驚異した。2002年発表のこの映画は、園子温が到達した「女子高生」論の決定版。ネットや携帯を媒介して伝播する都市伝説が大きなヒステリーを起こしていく様子を描き、そのころ大人達が感じていた「女子高生」への不気味さを具体的恐怖として象徴した。クラブじゃなくてサークル。中心から末端へと繋がる組織ではなく、大きな円環のように並列して繋がるネットワーク。
●低予算映画として製作されたこの作品、多くのボランティアの協力で成り立ったというが、含蓄深いエピソードが。54人の集団自殺シーン。実際には100人ほどの女子高生を集めて撮影されたのだが、この大量の少女たちを集めたのは、年少の女性スタッフ二人。自分たちの友人を介して、あっという間に学校も年齢も違う大勢の少女達をエキストラとしてかき集めたという。恐るべし女子高生。

古屋兎丸「自殺サークル」 古屋兎丸「自殺サークル」




DVD「紀子の食卓」

「紀子の食卓」
園子温監督、「自殺サークル」の続編?とも言える作品。従ってマンガは関係ないけどね。出演:吹石一恵、つぐみ、吉高由里子「女子高生」の奇妙な人間関係を問うた監督が、今度は「家族」というコレまた奇妙な人間関係を、問いただす。
●平凡な地方都市で平凡な生活を送る女子高生・吹石一恵は、自分の予定調和な生活にくすぶっていた。そんな中発見したのが「廃墟.com」。ココで知り合った匿名の少女達の影響を受け、吹石は東京へ出奔する…。東京で彼女を待っていたのは、ハンドルネーム「上野駅54番」を名乗る女・つぐみ。孤独な暮らしをする都会人に時間単位でレンタル家族を提供するビジネス「家族サークル」を経営する女。吹石は、彼女に導かれるままに、レンタル家族の一員となった。
●姉の後を追うように、東京へ旅立つ妹・吉高由里子。二人の娘を失い、東京をさまよう父親。様々な人格を演じることで自我が崩壊した吹石。この三者が、レンタル家族の発注者と受注者として再会する。家族はなぜ崩壊し、家族はどう再構築されるのか。そもそも家族とは何だったのか?
●主演の吹石一恵、しっかりした存在感はありながらお茶の間ドラマではメインを張れない彼女の本気モードが見てみたかった。つぐみ、「フリージア」に引き続き、いやソレ以上の狂気を発揮。目が怖い。そして吉高由里子。今後彼女がもっと見たい。危うげな幼さと利発さを兼ね揃えた、まだ未完成な少女。一番彼女が末恐ろしい。


まだまだマンガ。最近チェックしたマンガ物件。


ひうらさとる「ホタルノヒカリ」11巻

ひうらさとる「ホタルノヒカリ」11巻
「干物女」のキーワードでドラマが好評を博したこのオハナシ、ドラマが終わっても原作は進行中。干物女のはずの主人公ホタルが、ステキ女子代表優華ちゃんの恋愛を援護するつもりがことごとく裏目って、結局大妨害する顛末。意図なき干物女の逆襲。そして同居人・高野部長に、妖しげな女性が接近…。


槇村さとる「REAL CLOTHES」4巻

槇村さとる「REAL CLOTHES」4巻
●実は個人的に大注目の連載。クル、多分。いやなんとなく。あの「働きマン」と同じ匂いがする。デパートの婦人服バイヤーとなった主人公・絹恵、NY出張で商品買付けのリアルな最前線を目撃。仕事変態の切れ者上司・田淵優作のマッドなまでのノメり込み様に、迫力と興奮を感じずにはいられない。しかし一方で9年交際を続けてきた彼氏との結婚話も進行していた。仕事か結婚か、現代女性のジレンマに見事埋没する絹恵の見出す答えは?
「働きマン」は週刊誌編集という男社会の中で格闘する女性が主人公だった。が故に「マン」「REAL CLOTHES」では、舞台は婦人服の販売/買付け現場。女性としての感性が仕事の武器になる。「女性が着飾る」という行為が、いかに女性を女性足らしめるのかという根源的な問いを重ねて、主人公は服を売り、服を買う。女性として摩滅されない、されてはいけないモノを守るために、女性は服を選ぶ。それが「REAL CLOTHES」。容姿にコダワリのなかった絹恵が、少しずつオシャレになっていくトコロも見どころの一つ。


宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」4巻

宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」4巻
●コチラも最大級に大注目の連載。クル。つーかキ始めちゃってる。あー誰かが手を付けるー!くそー!そんくらい注目。祖父の隠し子りん6歳を成り行き上無理矢理育ててるダイキチ31歳独身彼女なし。小学校に進んだりんちゃんを軸に、育児に取り組む同世代のママ友パパ友に出会う。職業と家庭、仕事と育児、一見相反する要素と捕らえがちな2つの事象を一体と捕らえて暮らしてきた新しい友人達にダイキチ大きくショックを受ける。子供の急病、夫の両親との関係、職場を早退、縄跳びの練習、子供同士の交流、ある意味ボクにはメチャリアリズムで、親近感バッチリ。リアル過ぎてツライ人もいるかも。
●生むか生まないか、人生の考え方は人それぞれだが、「子供のために自分の人生を犠牲にする」という発想は一番悲しい。その葛藤を軽やかに飛び越える勇気と、若い親を支える周囲の力が、少子化ニッポンには必要だね。


矢沢あい「NANA」19巻

矢沢あい「NANA」19巻
●もうココまでくると腐れ縁だ。チンタラチンタラ、バンドの中の痴話喧嘩に付き合ってもう19巻。そろそろ終わってくれ。最初から仄めかされてきた破局の形も、随分具体的に輪郭が見えてきたことだし。今回は、普段は冷酷なバンドリーダータクミが、珍しくわりと良識をもって人間関係の調整に入る。なんか成長したじゃん。大麻所持で逮捕されたシンもさすがに懲りたのか落ち着きを取り戻しつつある。次なる危機はナナのパートナー、レンだな。ロックバンドマンガでありながら、全然バンドらしいコトをしないこの作品、今回も音楽活動らしいシーンは一コマもありませんでした。


小山ゆう「あずみ」45巻

小山ゆう「あずみ」45巻
●こっちも大幅に腐れ縁マンガ。45巻まで続いちゃって、ある意味無限ループ。ありとあらゆる所から刺客がやってきてあずみを狙う。あずみが強敵と悟ると、民間人を人質にとって策略に嵌めようとする。でもあずみ天性の殺人センスで10人程度なら瞬殺。痛みを与える隙もなく喉を切り裂く。黄金パターン、毎度のコトだ。でこの巻でも見事下劣な敵を切り伏せる。でもちょっと新しい事件の気配が匂ってきたかな。次巻に期待。


奥浩哉「GANTZ」23巻

奥浩哉「GANTZ」23巻
●臓物ぶちまけハードアクションSF。大阪・道頓堀を舞台にした妖怪星人達との戦いは3巻跨いでもまだ終わる気配なし。東京のガンツチームと違って、ゲーム感覚で星人退治を愉しむ大阪チームのカルチャーに馴染めぬまま戦いは続くが、今回の相手はホントに桁違いに強い。天狗、犬神、ぬらりひょんの姿をした3人の星人の破壊力は圧倒的で、自衛隊の介入すら一蹴する。とくにぬらりひょん。マジ得体知れず。日本を舞台に繰り広げられてるのは異星人同士の代理戦争なのか?その大きな枠も見えずにガンツの戦士達は、苛烈な戦いと残酷な運命に晒されている。謎、いまだ深し。残虐表現の異常に細かい描き込み、ココにもある種のマッドネス。


八木教広「クレイモア」14巻

八木教広「クレイモア」14巻
「スクエアジャンプ」に連載の舞台を移して初めての単行本。半人半妖の女剣士「クレイモア」たちの壮絶な死闘。ポスト「ベルセルク」の魔界ファンタジー最右翼。戦闘能力をオーバーヒートさせると人間には戻れない100%の魔物「覚醒者」になってしまうクレイモアの宿命。力への欲求か欲望のなれの果てか、理性を失った元僚友。素性を隠し人間社会に忍び込んでいたガラテアがその覚醒者に立ち向かう。ココに、クレイモアとしては出来損ないで、がゆえに実に人間的なクラリス。凶暴な戦闘能力を持ちながら、幼児ほどの意識しか持たないミアータ。レジスタンスを組織した主人公クレアを中心とした7人のクレイモア。立場が違う者が巡り合い、事態が動き出す。そしてさらなる強者「深淵の者」の因縁、主人公クレアの過去も明らかに。クレイモアは妖魔に対抗するための戦闘サイボーグ。組織の鉄の掟の中で非常な使命に仕えてきた。しかし、今やっと人間らしい自己判断で行動するクレイモアが結集することになる。


武富健治「鈴木先生」4巻

武富健治「鈴木先生」4巻
●帯コメに「麻生久美子熱烈推薦」とキタモんだ。そのうち絶対誰かが映画化、またはドラマ化する。そんくらいオモシロい。でも映像化は難易度チョー高い。繊細な心理描写が微分的に分解されて積み重なってて、活字でしか伝わらないモノがイッパイ。
●しかしココに描かれる教育現場の最前線「中学校」は異常な空間だ。まだ現実社会を知らない子供たちは、あるべき理想もやるせなき現実も両方知らない。そんな彼らの無軌道な行動を、理想も現実も両方知ってる教師が説得力を持って制御できるのか? 大人なら「テキトウにうまくやれ」としか言えないミクロで感情的な問題を、鈴木先生は汗だくになりながら、理路整然と子供に解く。
●今回先生を汗だくにするのは、不登校の男子がクラスの女子と性交渉してるって事態。おまけにその女子の元カレも逆鱗状態。その前カレや不登校児のお母さん、その他クラスメートを巻き込んでの大混戦。しかし先生はなんと「避妊をちゃんとしろ」とは言えないと、自説を頑強に主張する。なんか論理的にメチャアクロバチックな教育指導が、生徒保護者関係者の感情的爆発を飛び越えて、本当に辻褄合ってるか一読では一瞬わからなくなるやり方で着地する。百者百様の教育理念があるこの世の中で、摩擦を神業的に回避する鈴木先生は達人だが、心配性過ぎて多分長生きできない。
●ボク自身、自分の息子の授業参観に行って感じたんだけど、教師の仕事は一種孤立無援だな。教室に入れば大人は自分1人。自分の価値観だけが生徒に伝えるべき社会常識を規定する。だから、先生によって子供に対するスタイルが全然違う。
ノマドの先生は女性でリベラル路線。授業中に立ち歩く子が一人いても敢えて放置する。一方生徒同士のトラブルはその場で速攻でケジメをつけさせる(この早業ぶりは感心した。ノマドヒヨコがケンカしたら応用したい)。生徒の名前は名字でなくファーストネームで呼ぶ。給食の準備も子供たちに任せてる。「だれかーギュウニュウもつのてつだってよー」と女子が声をかければスグに仲間が駆け寄ってくる。
しかし隣のクラスの男の先生。ノマドの先生よりキャリアはあるが他校から赴任してきたばかりの人。これが結構恐怖政治でビビった。全員が着席し背筋を伸ばして私語をやめない限り授業を始めない。遅れた分は休み時間を潰して解消。ボクが見学した日は、理解が進まない算数の授業を、時間割りをその場で変更して休み時間なし、2コマぶっ通しで続けてた。もちろん子供へは名字の呼び捨て、「オマエ、二度目の失敗はないぞ!」と叱り飛ばす。楽しいはずの給食時間も、ワイワイしてるノマドクラスに対して、隣のクラスは整然粛々と配膳が行われる。「給食当番、前へ!一班お皿を持って並びなさい!」先生の号令だけが響き、他の子は席で無言不動。顔見知りのママさんに「1組と2組じゃ、カルチャーが大分違いますね…」そのママさんは不満顔で「1年生によそ見もするななんて無理なんですよ。可哀想!」正直、ボクもノマドがこの先生のクラスだったらガッコウ嫌いになるだろうなと思った。「ゆとり教育」の反対ってこんなモノなのかな…。


高橋ヒロシ「WORST」20巻

高橋ヒロシ「WORST」20巻
●極悪集団の首班・天地寿の覇権と戦略は、鈴蘭学園花組と武装戦線の活躍で完膚なきまでに崩壊した。外から雇った傭兵部隊も消滅。天地派残党は、鈴蘭チームの核・月島花を誘い出すが、これまた強力なスタミナケンカパワーで数十人を殴り倒される。マジ痛快!事態は終息に向かい、あとは王将・天地本人残すのみ。連載開始以来最初で最強の因縁、天地対花の勝負、その行方は?
●コッチの帯コメには「中島美嘉大感動!!」。マジかよ。しかもソレ読者に響くのかよ。あー「クローズZERO」小栗旬経由で入ってくる女子もいるかもね。いや、いねーな。
背景によく描かれている壁の落書き、「○○参上!」とか人の名前が書きなぐってあるんだけど、あれって絶対作者のトモダチの名前だよな~。アソコに名前書いてもらったらどんなにウレシいだろうな。「高橋ヒロシ作品の背景落書きに名前を書いてもらう権利」をヤフオクに乗っけたら、スゲエ値がつくと思う。


森恒二「ホーリーランド」17巻

森恒二「ホーリーランド」17巻
●これまたケンカに明け暮れる若者たちの物語。しかしコッチはストリートファイト、純然たるノールールの中で様々な格闘技がいかに機能するかという思考実験に特化してる。「コイツ、使える!」とかセリフ出てくるけど、多分作者さんが一番使える。マジ格闘技やってるみたいだから。度々登場する作者の格闘技解説が、経験や理論にしっかり根差していちいち的確、今回もかなりムムムと唸らせられた。
●下北沢のクラブ界隈にドラッグを流通させ街を混乱させるキング一派に対して、主人公神代ユウ、伊沢マサキといった地元のファイターが一丸となって直接対決。この戦いにキング一派は卑劣な人質作戦で対抗し、神代は心身共に崩壊するが、消えてしまったかつての友情の残り火が、この窮地から彼らを救う。そこが今回の泣き所。くーっ、たまんないね。でもリアルな下北沢は軟弱な文系男子女子の街で、残念ながら路上格闘家なんていないんだよね。


高野文子「棒がいっぽん」

高野文子「棒がいっぽん」
●愛くるしいタッチと品のある物語が爽やかな、高野文子の世界。今回の短編集も、のんびりペースで心安らかに読める。「美しき町」は昭和40年代、炭坑街の若い夫婦の団地住まいを描く。慎ましく清らかに生きる二人の静かな生活。「東京コロポックル」は北海道アイヌの妖精であるはずの小人コロポックルが、東京の一般家庭に潜り込んで暮らしてるお話。ブラウン管テレビの中に快適なお部屋を作ってました。「奥村さんのお茄子」もシュールな逸品。地球侵略の準備のためにやってきた宇宙人の女性(なのかな?)が毒入りお茄子の効果を確認するべく被験者に会いにくる。「1968年の○月○日。アナタお昼ナニ食べました?」宇宙人の技術は素晴らしくマヌケで、映像の記録媒体にうどんを使ったり、容姿を地球人に改造したら、メガネや靴を肉体に埋め込んじゃったり。「すいません、これ(靴)が取り外せるなんて考えもしませんでした。爪みたいなものかと」
●寡作なマンガ家さんだけど、必ず満ち足りた気持ちにさせてくれる優しい人。上品ってこういうことだと思う。


笠辺哲「短編マンガ集 バニーズ ほか」

笠辺哲「短編マンガ集 バニーズ ほか」
●ある意味、ゆるーい湯加減のトホホな小規模SF小咄を、少しマヌケ感あるタッチで描く。シュールっちゃーシュール、脱力っちゃー脱力。救いがなさそうでありそうで、よく分からない。疲れたカラダに優しいマンガ。コレは下北沢のカフェ kate coffee にあったのを読んだ。アソコは趣味のイイマンガがアート本に混じって置いてあるからね。


島耕作社長就任の影で…。もう一つのマンガ歴史的事件。
「課長・島耕作」シリーズが、とうとうテッペン極めて社長に就任しちゃったのは新聞記事にもなるくらいのインパクトだった。この島社長、いっつもモテモテで、ガールフレンドに助けられて仕事してるだけで、たいした手柄何にもないのに。今回の企業買収合戦では久々(というか初めて)の男気仕事をしたので、まー評価してもイイかなーって気もするけど、やっぱ2~3人の女性のチカラが加わってる。モテと仕事は両立&相乗効果!非モテは仕事もできません!
●でもボク的にはもう一個事件が起こってた。やはり長期連載「美味しんぼ」。様々なグルメ蘊蓄と食文化への問題提起をずっと続けてきたこのマンガの重要な縦軸は、主人公山岡士郎とライバル海原雄山の、親子因縁勝負だった。それが「究極のメニュー」対「至高のメニュー」という対決構造にもなってた。しかしとうとうこの親子二人が和解してしまった。父・雄山が芸術家として立身していく中で、母親を見殺しにしたというトラウマが山岡の心にはズッと巣食っていたのだか、山岡の伴侶、栗田ゆう子の立ち回りで見事その憎悪は氷解したのであった。このマンガ、説教臭くてキライなんだけど、この回あたりは真剣に読んじゃった。


自律神経失調症とのお付合い(その53)~「心療内科、隔週通院に」編
●今日は、担当医を若手美人センセイからおばさん院長先生に代えてもらって一回目の診察だ。そこでポンとハナシが出た。「アナタ、今度から二週間で一回の通院でイイわよ」え!イイんですか!前のセンセイはまだ毎週の方がイイって…。ボク、ちょっとヨクなったですか!
●院長先生、理由を一言で説明。「アナタね、毎週毎週ココで話すためのネタを作ってくるでしょ」………!むむ、確かに!ボクいつもロビーの長い待ち合い時間で、先生にナニ話そうかジックリ練りますもん、ある意味軽いプレゼン準備のように。そんで「えー会社ではコレコレして、ココで発作っぽくなって」って微に細に説明できるようにしてますもん。それが「ネタ」って考えたことはなかったけど。そっか、無意識に日常生活でネタ作りしてたんだ…。
●院長先生「そんなに病気のこと考えてばっかりでもしょうがないでしょ。会社に行く気持ちの整理も出来てるし、体力気力のペース配分も心得てる、問題も自分で解決処理できてる。それで十分よ」スルドイわ、このセンセイ。やっぱベテランはスゴい。
●院長先生「あとね、CD74枚のバカ買いはね、買物依存症とかじゃないわよ。確かにビックリする枚数だけど、まー笑えるハナシってヤツ。依存症はね、社会生活が破綻するほど、サラ金から追いかけられるほどの場合のこと。ま、奥様にとっては邪魔で迷惑でしょうけどね」
●ベテランは説得力がスゴいなあ。ともかく一つの「レベルアップ」をしたみたいだ。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html



我が家のミクロな教育事情。
ノマド、国語の時間、ひらがなの書き取りで「ん」の字に苦戦。学校の授業は公文教室とは格段に厳密で、ノマド曰く「『か』のじの、ピンってハねるトコロがないだけで、『か』のどうたいゼンブがけされちゃうんだよ!」「か」の胴体全部ってオモロい表現だな。でも本人は悔しくて宿題に持ち越された「ん」の書き取りを泣きながら練習してた。サウスポーだから不利なんだよな。
●それが、今日配布された学級通信で、クラスを代表してノマドの「ん」の書き取りが紹介されてた。デッカい花マル付きで。「ノマド、この前練習した『ん』が花マルじゃないか!」ノマドてへへ。ウレシガってやんの。ノマドの書き取りが学級通信に紹介されるのは3回目だ。子供たちはコレがとてもウレシいらしい。

ノマドの先生は学級通信マニア。
●ノマドの担任カナ先生(仮名)は、多分ボクらよりチョイ若の女性の先生だ。B5版の学級通信をスゴい量で発信する。2日間隔で配られる。つーかこりゃもうブログ感覚だ。オモテ面に事務連絡を書き、裏面を生徒のひらがな書き取りをプリントしてる。だから3回書き取りが紹介されてるのは全然多いわけじゃなく、むしろ先生は下手上手関係なく均等に分布させてるような気がする。
「学級通信はワタシの趣味みたいなモンですから」確かに始業式でそう言ってたけど、この頻度はスゴい。一度ビビったのは、今日の出来事がその日の学級通信で報告されてるコトがあった時だ。いつ書いてんだよ!予定稿があんのか?給食食べながら携帯で打ってんのか?学級通信の達人だわ。

マセガキでバカな1年生。
「ワカちゃんとユータくんはラブラブなんだよ」とノマド。なんだよソレ。「だってユータくんワカちゃんすきだっていってたもん」幼稚園じゃ全然そんな事興味なかったのに最近は一気にマセてきたな。それでノマド二人になんて言うんだ?「ラブラブー!っていうの」ワカちゃんはユータくん好きだって言ってたのかよ。「それはまだきいてないなあ~」じゃあダメじゃん。
出席を取る時は「元気調べ」という段取りがあるらしい。名前を呼ばれたら「はい!ゲンキです!」と答えるという。オチャラケキャラのヒョーガくんは「ハイ!チョーゲンキです!」とか「ハイ!チョーハナミズです!」とアレンジして返事する。ノマドはどんな風に返事するんだ?「オレはフツウ…」なんだよ、ヒョーガくんに負けずにオモシロく返事すりゃいいじゃん。「オレはダメだよ、オンナノコにニンキあるんだから…」ナニいってんのノマド!ナニ根拠?ドコ情報?ダレ筋よ?「だって『ノマドのことスキなヒトてをあげて』ってヒョーガくんがいったらフタリくらいテをあげたコいたもん」ナニ浮かれて気取ってんだよアホか!オンナノコはオモロくないオトコなんてダメなんだよ。明日から「ハイ!スーパーゲンキです!」または「ハイパーゲンキです!」って返事しろ。
●急速にマセガキになる1年生たちであるが、給食の時間には牛乳の一気飲み競争をやって「オレがイチバン!」とかやってるらしい。ノマドも一番になったことがあるとのことだが、最初に牛乳を飲み干すと後で喉が乾いてシンドクなることに気付いたらしく、一気飲みは止めたそうだ。



歯科衛生士のオネエサンとCD-Rの貸し借り交換。
●看護師の「のび太のママ」さん(看護師長だったコトが判明。パワーバランスにおいて明らかに頂点)や、事務室のキマヤさん、カイリさんだけじゃなく、産業医、歯科医のセンセイ、他の若い看護師さん、歯科衛生士さんとも何となく顔見知りになってきた。キマヤさんは「unimogrooveさん、久保田利伸とかは持ってナイの?」とか言ってきて、ボクにCD-Rの編集を発注してくれる仲になった。テキトウに見つくろってCDを焼くと、ヤクルトおばさんのトマトジュースを2本おごってくれる。楽しい。久保田利伸の全盛期のCD(LALALA LOVE SONGとか)なんて持ってないから、彼がアメリカで ANGIE STONE MOS DEF と組んで作ったアルバムを焼いた。「少しキマヤさんがイメージしてるクボタとは違うと思いますよ」と言い添えて。
●歯科衛生士のヨリコさん(仮名)は同い年で音楽の趣味も近いことが判明し、ヨリコさんおススメのハウスコンピやジェイポップ編集盤を借りた。そして深く感動した。新しい世界観だな!コレは!

SEXY HOUSE LOVERSSEXY HOUSE LOVERS
(2007/06/06)
オムニバスノーテンシャン feat.アン・サウンダーソン

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「SEXY HOUSE LOVERS」
●おおお!コレが世に言う「乙女ハウス」か!洋邦入り混じりの選曲、あまりのキラキラとあまりのスウィートっぷりに、クラクラ来たわ。この世にはこういう美しく口当たりのイイダンスミュージックがあるのか…。やっぱ女子は甘いのがお好み。ボクの聴いてるエレクトロ系がいかに無骨でエゲツない代物であったか、強烈に思い知らされた。ヨリコさんの好みのCD貸してあげられるものがないよ。ボクの在庫はキラキラじゃなくてガリガリだから。ちょっとショゲた。
●一曲目 SOUL CENTRAL「STRINGS OF LIFE」が、デトロイトテクノ第一世代の DERRICK MAY(A.K.A. RHYTHM IS RHYTHM)の同名曲1987年作を元ネタにしてるってコトは、ヨリコさん知らねえだろなあ。ボクが SOUL CENTRAL ってアーティストを知らないように。あの超古典のリフレインがイントロから♪タンタンタンタンと軽快に入ってくる。でもキラキラ度が違う。女子高生が自分の携帯をデコリまくってる感じ?……ブラジルのハウス KALEIDOSCOPIOはいつのまにか KALEIDO って名前を縮めてやがった。名前長かった頃の一枚目は持ってるよ…。……中田ヤスタカcapsuleMEG(今回は中田じゃなくて i-dep (=SOTTE POSSE)がプロデュースしてる)も収録。……CLAZZIQUAI PROJECT も iTSM のフリーダウンロードでチェックしたぞ。韓国のハウスクリエーター。そして REEL PEOPLE、KASKADE 関連曲などが続く。2ステップ期からUKハウスで活躍してる連中。マジメに聴いたことなかったけど。オシャレです。

●その他、日本のハウスクリエイター教えてもらっちゃった。MAKAI。SUGIURUMN(ex. THE ELECTRIC GLASS BALLOON。ボクはこのバンド時代の頃の方がなじみ深い)とかとイベントで共演してるDJで、今年メジャーデビューだそうな。そして DAISHI DANCE。札幌から来た哀愁系ハウス。INO hidefumi。福岡のフェンダーローズ奏者でハウスの枠にハマらないラウンジアプローチ。女子目線だとこういう音楽に価値があるんだ…。

There must be an angelThere must be an angel
(1999/12/01)
井手麻理子KAZUKO HAMANO

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井手麻理子「THERE MUST BE AN ANGEL (PLAYING WITH MY HEART)」1999年
●これも貸してもらった編集盤に入ってたアーティスト。言わずもがな EURYTHMICS 1985年の曲のカバーだが、ヨリコさんはそういうオタクっぽいウンチクには興味がない。最近たまたま原盤を100円で入手。フジテレビ「危険な関係」ってドラマの主題歌だったらしいが全然記憶にない。メインミックスはハウシーになってるが、別ミックスが艶っぽい生ギター入りでイイなあと思ってたら、SAIGENJI が関わってた。SAIGENJI は間違いないね。
●こういうベタベタタイアップもの(ホントにドラマ名のシールがでかい)で、時代が99年で、レーベルがエイベックスっつーたら、ボクの中では敬遠する物件だ。コマーシャリズムが強い恐れアリって構える。でもそういうのを偏見なく丁寧に長く聴いてるヨリコさんのスタイルには感心した。ボクみたいなオタク目線とは別の角度なんだけど、ある意味で真っ当なCDの掘り師だよ。玉石混淆のジェイポップからちゃんと自分の美意識でモノを選んでるんだから。


●他にも、MISIA、BoA、中島美嘉、絢香とか入ってるんだけど、全部シングル曲を外してアルバムのスミッコにあるような曲を選んでくる。へえー BoA ちゃんにこんな曲あるんだ~的な感動。いかに一枚のCDを丁寧に聴いてるかってコトよ。そこに混じって、ANN SALLY が入ってたり、70~80年代モノの SUGAR BABE、Y.M.O.、ティン・パン・アレーといったまで入ってたり。PARIS MATCH 入れてるトコとかは渋谷系の名残だよね。


ドメジャージェイポップって枠組を、「FREE SOUL」的に解釈を組み替えてみるのはオモシロいチャレンジかも。どメジャー物件から裏読みで構成するポップス観。言うなれば「フリージェイポップ」。忘れられたジェイポップ、見過ごされたジェイポップから価値あるグルーヴを発見する楽しみ。コレはやりがいのある実験かもよ。

うざいほどの雨が上がった午後。会社に行ってみた。
●台風が近づいてるそうでクソみたいに天気が悪い朝。「あーこりゃ会社に行く気にはなれねーな」と午前中ゴロ寝をしていたら、昼には天気がよくなってた。だから、夕方1時間ほど冷やかす程度に会社に行った。
●ボクのリハビリ拠点、診療所事務室に入ると、ちょっとお久しぶりのルームメイトさんたちが。キマヤさん(仮名)は、ボクの顔を見るなり「あ~ら unimogroove さんだわ!やだーワタシ今朝 unimogroove さんが夢に出てきたのよ。正夢だったのね!運命的!」ボクがでてくるって一体どんな夢なんすか…? ボクのリハビリ生活に登場する人々は、みんなちょっと愉快で楽しい。

●人徳のないボクなので、会社メールもスパムが100個くらい入ってただけで、他は何もない。一人の後輩がシオらしく「復帰、首長くして待ってます」とメールしてきてたが「待ってたら、首が伸び切って妖怪みたいになるよ。ボクを待たないように。よしんば復帰してもオマエの仕事は手伝ってあげないよー」と返事をしておいた。

帰りにシモキタザワのレコ屋によってしまった。コレが健康にワルい。
ボクはレコ屋に入ると、神経が高ぶって激しい緊張状態になるらしい。しばらくCD買物禁止を自分に課してた時と比べて疲労度が全然違う。レコ屋に寄るとスゴく疲れる。実際、レコ屋CD屋のボクは脳ミソフル回転で商品をチェックする。自分で持ってる盤か持ってない盤か、6000枚の在庫アーカイブを自分の脳ミソハードディスクから検索する(油断すると2枚買いしてしまうから)。そして価格の相場感。これは他店ならもうちょっと安くなるのか?即買いすべき価格なのか?レア度はどうだろう?セールは今やってるのか?そもそも買うべき盤なのか?値段安くてもオモロくないのでは?今聴きたい気分のジャンルじゃないんだよな…?まず財布にナンボ金入ってたっけ?レンタルすりゃいいんじゃね?でも今後レンタルより安くなるかもよ?つーかオマエまだ聴いてないCD&レコードが100枚以上あるだろ?……何百枚ものCDを店頭で素早くチェックしながら、一枚一枚の価値/価格を瞬時に判断しつつ、自分の音楽生活全般に関して激しい葛藤がアタマを駆け巡るのである。………。わあ、仕事でもこんなスピードでモノ考えたりしないわ。コレは危険だ。命を縮める。ヤバいヤバい、今わかったぞ、どんなに危ないかが。
●結果、行きつけのカフェに到着した時には頭痛&動悸が激しくなってて、あわてて安定剤と頭痛薬を頬張ることとなった。デパス2錠、ソランタール2錠、筋弛緩剤のミオナール1錠、コンスタン1錠イっとくか…。

カフェでは読書。
●別のカフェで50円で売ってた村上春樹の短編集を読む。クールダウンのために。
村上春樹は高校生の頃に一番一生懸命読んでた。彼の作品を入り口に、サリンジャージョン・アーヴィング、フィツジェラルド、アーウィン・ショーなどなど色々な本に出会った。それからズーッとご無沙汰だったのに、先月キマヤさんが退屈しのぎにどうぞと春樹の本を一冊貸してくれちゃったのだ。それから妙に村上春樹が目について、この前50円で文庫の短編集を買ってしまったのだ。

TVピープル

「TVピープル」1990年
●つーか、オモシロいかどうか、わからない。脈絡なく不思議な事態が発生するんだけど、主人公はなんだか分からんけどその事態に納得し、淡々と受け入れて、オチもなくオハナシが終わる。つーか、それ村上春樹のお決まりパターンだろ!って別の自分が突っ込む。昔のボクはその不条理さ加減がオモシロくてこの人の本を読んでたのだと思うが、今は読んでるボクもオカシくなってるので、より一層訳が分からなくなってる。
「TVピープル」は突然小人が家の中にテレビを持ち込んできて、置きっ放しにしていくオハナシ。そんだけ。道を歩いているだけで見知らぬ他人から何回も何回もレイプされてしまう運命に生まれついた女性のオハナシ。そんだけ。二週間以上も全然眠ってないのにどんどんアタマが冴えていく主婦のオハナシ。そんだけ。深い意味や含蓄ある教訓が、あると見せかけて100%ないであろうハナシを、なんで安定剤をモリモリ飲みながらこんな風に読んでいるのだろう。この状況自体がなんかの不条理じゃないか? なんでこんなハナシをみんなありがたがって読んでいるのだろう。ノーベル賞寸前なんだろ、この人。とか考えてるうちに読破しちゃった。
●ふと気付くと、クールダウンしてた。混乱した事態を前にしても、春樹の主人公はジタバタしない。不思議だなーとかちょっぴり思って、でもことさらその謎を追求しない。主人公はやりっ放しで、作家は書きっ放しで、読者のボクは読みっ放しだ。で、不思議と全部が丸くおさまるんだ。


自律神経失調症とのお付合い(その52)~「リバビリ出社、微妙に再出発」編
●ゴールデン・ウィークドアタマで、体調を壊してからズーッと会社を休んでいたが、今日、ちょっとカオを出してみた。ラッシュを外した午前11時頃。久しぶりの社内診療所。
看護師「のび太のママ」さんが出迎えてくれた。2週間強ぶりになるんだが、なんかもっと久しぶりの印象だ。休んでる間、1~2回か電話で話したが「のび太のママ」さん「会社に来い」とは一言も言わなかった。「しばらく来ないでイイ。どうしても来たくなったらカオ出せばイイ」そんなスタンス。ボクもその言葉通り、行くつもりが出るまでは行かないコトにしてた。
●ただし先週イッパイで、心療内科の担当主治医を変えてもらったり、その他のプライベートな心配事に決着をつけたので、今朝は気持ちが妙にスッキリしてて、突発的に「会社に行ってみてもイイかな」と素直に思えたのであった。


「どう?調子は?」看護師「のび太のママ」さんが聞く。
●カクカクシカジカで、いくつかの心配事を片付けることができました。根拠はないですけどココロの整理が出来た感じで、ヘンな言い方ですがちょっと「レベルアップ」したつもりです。そう、よかった、と看護師「のび太のママ」さん「この病気の人たちの中には、目の前の問題を先送りしたり、見て見ぬフリをしたり、他のモノに逃避したりするケースが一杯あるの」自分の固い思い込みから自由になれない人、医者や治療法を点々と変えて方針を見失う人、お酒、賭け事、女性、薬物の過剰摂取、怪しげな治療に走ってしまう人……。「その点、あなたは自分の中の違和感にキチンと向き合って、一個一個の問題にピリオドをつけていってるでしょ。だから逆戻りしてる訳じゃない、順調にイケてると思うのよ」それは、周囲の人、ご家族が真っ当な観点でアナタを見てくれているからなのよと続ける「のび太のママ」さん「奥さんもお子さんもしっかりしてるし。それとアナタは自分の両親は病気に全く関心も理解もないって言って不満げそうだったけど、ソレはイイことよ」会社に「ウチの息子にナニをした!」と乗り込んでモメまくる親御さんはイッパイいるそうな。「ウチの息子はワルくない、会社がワルい」と。あー確かにそういう発想は1ミリもないな、ウチの親には。確かにそれはウザイしメンドクサイ。


休みの間考えていたこと。かつてボクと似た病気から復帰してきた先輩のコトを話した。
●当時のボクは、あの先輩がどういう病気でどうオカシくなっちゃってるのか、全然わからないママ一緒に働くことになって、正直戸惑いました。当然ボクにはこのテの病気の知識はまるでなく、どう付き合えばイイか全然わからなかったです。腫れ物にさわるような付き合い方…、摩擦もありました。…まあ、その後先輩は会社を辞めちゃいましたけど…。
「のび太のママ」さん「あの人のケースはよーく覚えているわ。あの人が私たちの所に来た時には、もうアナタとは比べ物にならないくらいに悪化した状態だったのよ。もう取り返しがつかないほどにね」たった5年ほど前のコトなのだか、その頃メンタルヘルの問題はまだ社会に全然理解されてなくて、会社の体制も整ってなかったそうな。でもソレ以前に、この先輩自体がかなり常識を逸脱しちゃってるタイプの人だったらしい。天才的なクリエイターでありながら、社会人としてはかなり荒んだ生活をしていて、しかもソレに疑問を抱いてなかった。「そうなるともう医療の範疇を超えちゃう。本人の人生に対する根本的な姿勢を修正するなんて、医療側が抱えきれる問題じゃないのよ」そして全部が手遅れになっていって…結果最悪の事態に至った。
●でも、かつてのボクがそうだったように、ボクが本格職場復帰すれば周囲はボクの取扱いに戸惑うでしょうね。かつての同僚達は、ボクがなぜいなくなったのかすら未だ知らされてないのですから。で、ボクもまた一つ一つショックを受けたり、落ち込んだりするでしょう。昔出来たことが出来なくなってるコト、昔のボクに期待されてたコトに応えられなくなってるコト、周囲の戸惑いと違和感と誤解に晒されるコト。この休みの間で覚悟しました。もう昔のボクには戻れないし、無理なコトは無理ですし。あとは、会社のエラい人に任せます。どんな部署に流されても、それがボクのキャパシティの限界なら受け止めるまでのこと。

●今週は、10時の定時出社とかは考えず、フラッと会社に来ます。で、フラッと帰ります。あと、しばらく同僚に会うのを止めます。一人でリハビリに勤しみます。今後元の現場に戻るのかどうかもわかりませんし。おとなしく過ごして、エラい人の判断を待ちます。


そのあとは、いつもの鍼灸治療。
「あーら、なんかイイ顔してるじゃな~い?」ココのセンセイはホントに明るい。それだけで元気をもらえるようだ。今日はクビ周り、アタマを重点的にブスブスやってもらった。首の筋肉に10本ほどの鍼。センセイ「やや!ゴメンナサイ、首に一個アオタン出来ちゃったかも。やだーキスマークみたいになっちゃったー。証明書をお書きしますね、これはキスマークじゃありませんって。奥様宛に!」それって電車の遅滞証明書みたいだな。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

あ、そうそう、下北沢に新しいレコード屋ができた。

manhattan.jpeg

●なんと!「MANHATTAN RECORDS」シモキタ上陸!
●場所:井の頭線下北沢駅西口を右側へ。鎌倉街道沿いに1分。
CISCO 閉店で渋谷レコ屋村は寂しくなったと聴くが(最近は滅多に行かないから実態は知らんけど)、ソコの重要ショップがシモキタにやって来るなんて!結構衝撃!狙いはナニ?渋谷でナニかが起こってるの?確かにシモキタはロックの街でヒップホップの専門店はない。ニッチと言えばニッチだけど…。
●早速在庫をチェックした。CDはミックスCDが少々ある程度、メインはアナログ。開店セールか、中古のヒップホップ12インチやネタ系70年代グルーヴのLPが500~1000円で。見ようによっちゃ500円は買いかもだが、敢えてスルー。

ボクはオールジャンルに音楽を聴くけど、12インチや7インチの買物は滅多にしない。
●なぜなら、ボクは「試聴しない」主義だから。魔法の箱をお店で開けちゃうなんて野暮なこと出来ない。つまみ食いは下品!でも12インチや7インチは試聴しないと買えないでしょ。レーベルやプロデューサー、リミキサーで内容を予想するとしても、新譜はAB面2曲で1000円強。アルバムを600円台で買うボクにはコストとリスクが高い。
●つーことで、必然的に12インチペースのリリースでブームが盛り上がるテクノ/ハウス系の音楽は、どうしてもシーンとボクの耳に時間差が出てくる。ムーブメントの盛り上がりに対して遅く乗っかるコトになる。CDアルバムになる頃にはピークは過ぎてるのが、ハウス系の宿命ね。一番難しい買物かも。


でもね、今日は敢えて苦手分野のダンスミュージックの栄枯盛衰について考えます。
●ご注意下さい。これから続く文章は、00年代である現在と、90年代/80年代そんでちょっぴり70年代までを何回も反復横跳び往復運動をします。「エレクトロ」というキーワードを巡って、時代を超える旅をします。ちょっと長い旅ですよ。いやとっても長い旅か。お暇な方、ゆっくりお付き合い下さい。



00年代、九尾のキツネが跋扈する。
●導入は、00年代に入って盛り上がったフレンチ・エレクトロのハナシ。軸になるのはクリエイター集団 KITSUNE。フランス人の GILDAS LOAEC、日本生まれパリ育ちの MASAYA KUROKI の二人を中心にした、アパレルブランド、グラフィックデザイン集団、レコードレーベル、DJチームだ。ロンドンに支部があり、スウェーデンやウェールズ出身、日系フランス人などがデザインワークに取り組んでいる。KITSUNE の名の由来は、GILDAS のカオがキツネ顔だからだって。
●そしてそんな彼らが、ネット空間へ無数のシッポを張り巡らせ、世界中から新音楽をフックアップしている。2003年以降 KITSUNE の名を冠したコンピを何枚もリリースし、フランス&ヨーロッパ、そして世界のダンスミュージックシーンを牽引するに至っている。

ボクが彼らのコンピを手にしたのは去年だ。

「KITSUNE FUR」

「KITSUNE FUR」2003~2005年
●完全にオシャレ物件である彼らのCDは高い。だから買えない。トコロがある日、とある中古屋が値付けに失敗してるのを発見。たったの500円。別の店なら最低4倍で売ってるよ。ありゃーヤッチャッたよコレ~(笑)シメシメと思いながら購入した。……で、聴いたら、とても面白かった。うーん、そんな簡単な感覚じゃない……なんかデジャヴ感があるんだよな……。記憶の中で引っかかるナニかを感じた。
●で、片っ端から彼らの関連作品を買い漁った。彼らが紹介した00年代エレクトロ・アーティストの音源をね。……さてさてそもそも、連中の音楽をみんなが「エレクトロ」って呼んでいるのはなぜだろう?


デジタル理想主義者のダンスビート。

DIGITALISM「IDEALISM」

DIGITALISM「IDEALISM」2007年
KITSUNE から初めてのシングルをリリースしたドイツのユニット。フランスの VIRGIN からメジャーアルバムをドロップ。KITSUNE コンピで初めて彼らの音を聴いた時に感じたのは、奇妙な「軽さ」だ。ベースの音が小さいとかじゃない。もっと言うと「音が安い」? ハイハットのリズムがシンセのプリセット音源のままなのか、響きが安い。意図的なのかも知れないけど、ビートもワザと機械的なジャスト感を剥き出しにしてる。主体になるリフラインも、シンセの生音を全面に突き出して、音響の浅さを隠さない。その上で凶暴なくらいのエフェクトで音を歪ませる。彼らが標榜する「デジタル理想主義」は、シンセ機材への100%の信頼感と純粋デジタル技術が生み出す表現の可能性なんだろう。で、この感覚が00年代エレクトロなんだ、と納得する。
●結果として、キます。かなり。歪み軋み上げるシンセ音と、強力なビート。ロックのダイナミズムも享楽的なダンス衝動も全部搭載して的確にピンポイント爆撃。そして電気ビリビリデジタルハイ!!

●………。今自分で文字打ってて気付いちゃった。「電気ビリビリデジタルハイ!!」このフレーズ、電気グルーヴ1991年のファースト「FLASH PAPA」に出てくるリリックだよ…。この感じ、90年代初頭のテクノの音に似てるんだよ!このデジャヴ感の正体が見えて来た!

電気グルーヴ「FLASH PAPA」 電気グルーヴ「FLASH PAPA」


00年代エレクトロは90年代最初期のテクノと似てる。

SIMIAN MOBILE DISCO「ATTACK DECAY SUSTAIN RELEASE」

SIMIAN MOBILE DISCO「ATTACK DECAY SUSTAIN RELEASE」2007年
●コレも KITSUNE のコンピで広く知られたユニットだ。本来は SIMIAN MOBILE というUKバンドなんだけど、そこのメンバーが二人でハウシーなダンスミュージックを作っちゃった。で、もはやコッチが本業化してるみたい。こちらもエレクトロ的なシンセへの信頼感を前提に、やや DUB 加工アリでグラマラスなヌメリがある。ビートは強いよ。そこらへンはフレンチエレクトロのビッグネーム DAFT PUNK と同じ感覚。DAFT PUNK は電飾サイボーグコスプレで素顔を明かさないアホキャラ設定で知られるが、KITSUNE の連中とは素顔で付き合ってるらしい。KITSUNE ロンドン支部の連中も、オフィシャルには顔を絶対見せないんだって。機械人間にカオは要らねえ。「銀河鉄道999」機械男爵も顔面を一つ目モニターにしてたしな。あれれ、脱線した。

ワイフを使って聴き比べ実験。

HARDFLOOR.jpeg

HARDFLOOR「TB RESUSCITATION」1993年
●さて、ボクは、さっきのデジャヴを客観的に立証するために、ある実験をしてみた。HARDFLOOR1993年モノを引っ張り出して、このCDと聴き比べをするのだ。コレは90年代最初期のテクノ黎明時代に活躍したブリブリのアシッドテクノ。ちなみにドイツ産。ボクの耳においては、まさしくこの90年代テクノの音と、00年代エレクトロはそっくりだ。素人にだってそう感じるはずだ。被験者はワイフ。彼女には音楽知識は何もなく、この2枚も聴いたことがない。さあ実験!
●ワイフに SIMIAN MOBILE DISCO を聴かす。ドンドンドンドン。次行くよ、HARDFLOOR。ドンドンドンドン。どう思う?ワイフ「どうって…別に。同じじゃん。」どっちが新しい音楽で、どっちが古い音楽だと思う?「 うーんと、後に聴いたヤツ」ブー!不正解!2つのCDには15年近くの開きがあって、ワイフが選んだのはその15年前の音だ。やっぱ、この00年代エレクトロは、90年代最初頭のテクノと置き換え可能、とても親和性が強いっちゅーことだね!


じゃ、00年代エレクトロは90年代テクノへの回帰なわけ? いや、90年代エレクトロニカへの批判だ!

BOYS NOIZE「OI OI OI」
BOYS NOIZE「OI OI OI」2007年
●これも KITSUNE 経由で知ったドイツのユニットだ。ジャケはドクロだしタイトルは「オイオイオイ」だし、お店でパッと見チェックしたら絶対ハードコアパンクだと思う。でもね、エレクトロでありながら、内容もちゃんとパンクだった。ウルサい!シンセの歪み具合が一番強烈。ギター使ってないだろうに、なぜかエアギターしたくなるパワフルでガリガリのリフが耳をつんざく。そしてその無慈悲なリフの一本槍勝負。気が狂いそうになるまでリフを畳み掛ける。アタマが悪いか性格が悪いか意地が悪いか。多分全部悪い。
●なぜ、ここまで凶悪な戦法でダンスフロアを引っ掻きむしろうとしてるのか。このパンクタッチの音塊には、ナニかへの反動精神があるとボクは読む。「エレクトロ」ならぬ「エレクトロニカ」への批判精神だ。「エレクトロ」「エレクトロニカ」「ニカ」のあるなしじゃ、音楽としては大違い。90年代テクノが10年かけてジワジワと到達したエレクトロニカは一種マニアックで難解な世界。それに対して、00年代エレクトロは激しく牙を剥いているのだ。「頭でっかちの年寄りども、どけ!道を開けろ!オレ様たちの出番だ!」と。


90年代エレクトロニカは、頭でっかちな高偏差値音楽になりすぎた。

THE GENTLE PEOPLE「TAKE THIS TRIP」

THE GENTLE PEOPLE「TAKE THIS TRIP」1996年
●この音源は最近たまたま安い値段で売られてたから買ってみたもの。レーベルは REPHLEX。テクノ界の極北で孤高の存在となった APHEX TWIN こと RICHARD D. JAMES のレーベルだ。完全にレーベル買い。ココはホントにトンチキな音楽ばっかりリリースするので絶対退屈しない。イイかワルいかは別ですが。ともかく90年代テクノという範疇の中で、一番の異端者たちがココに集まっていた。
●このユニットは、英仏米南ア4カ国のメンバーがサンフランシスコでバッタリ知り合って結成されたという連中で、ふわーんとした電子音の海を漂うかのようなユッタリした音楽世界をデザインする人たち。タイトルの通り、このCDでは不思議な不思議な夢世界への旅に連れて行ってくれる。なぜか日本語のアナウンスでご案内。「…ここはジェントルプラネットです。私たちはあなたのトモダチです。ようこそジェントルプラネットへ。まもなく着陸いたします。私たちはジェントルピープルです…。」海王星のような青いガス惑星に宇宙船で降下中。広い空と白い雲、見えてくる浮遊人工都市、ジェントル人たちはクリオネのように透き通ってフワフワ低重力空間を漂って生きてる…。……ああ、思わず寝ちまうトコロだった……。で、ナニが言いたいのか、というと、次のテーゼ!

70年代プログレがパンク革命に打倒されたように、90年代エレクトロニカは00年代エレクトロに打倒される、かも。
●このテの音楽、エレクトロニカは、テクノではあるが、ダンスミュージックではない。ツカミドコロのナイ電子音のカタマリだ。ダンス衝動で人を興奮させる目的に開発特化されたテクノというフォーマットが、年を経て表現手法を多様化させる中、本来のダンス機能を捨て、もっと抽象的な内容を持つようになったのがエレクトロニカ。機材の進歩も無関係じゃない。90年代中頃にはHDDレコーディングが定着して、ポストロック/シカゴ音響派などロックサイドでも抽象表現に潜り込んで行く流れが出来て行った。90年代末にはクリックハウス/グリッジテクノなど様々なタームが生まれ、表現は難解でリスナーを選ぶようになっていった。THE GENTLE PEOPLE はむしろポップな方で、もっと奇天烈なヤツらがいろんな前衛実験に挑んだ。APHEX TWIN、SQUAREPUSHER、AUTECHRE、MOUSE ON MARS……、偏差値の高い音楽がどんどん登場した。

AUTECHRE「CONFIELD」 AUTECHRE「CONFIELD」


コレって、70年代プログレッシヴロックの歩んだ道と同じ状況のように思える。
●60年代末に世界中で猛威を振るったロックのビートは、より一層の進化深化を求めて複雑化した。当時開発されたばかりのメロトロンアナログシンセといった新楽器を駆使し、ジャズやクラシックの要素を導入して「進歩」を図った。YES、PINK FLOYD、KING CRIMSON……ロック史に名を残す大巨人たち。ただし、70年代末にこの方向性へ若い世代から激しい異議申し立てがなされた。パンク革命だ。SEX PISTOLS、THE CLASH、THE DAMNED……若きパンクロッカーはロックの原理主義に立ち戻り、3分弱の3コードでアドレナリンを全開にする音楽を大量生産した。そんで前世代の音楽をオールドウェーヴと批判し却下した。プログレの果たした実験は、80年代のハイファイ時代に技術として継承されたが、その実験精神はポップスの表舞台から姿を消した…。

PINK FLOYD「THE WALL」
(多分プログレ最後の超特大ヒットアルバム、PINK FLOYD「THE WALL」1979年)

SEX PISTOLS「NEVER MIND THE BOLLOCKS」

(で天下御免のパンク野郎。SEX PISTOLS「NEVER MIND THE BOLLOCKS」1977年)

00年代エレクトロのシンプルなダンス原理主義は、袋小路に陥った90年代テクノ~エレクトロニカへの批判ととれないか?「週末に馬鹿騒ぎできる音楽が欲しいんだ!古い世代のオタクっぽいインドア趣味には付き合えねえ!」というメッセージが、BOYS NOIZE の軋み上げるシンセ音に込められているんじゃないのか? 確かに技術は前世代のテクニックが継承され、今のキッズは廉価化したPC機材でいとも簡単にダンスビートを組み上げられる。ボクは00年代エレクトロを90年代最初期のテクノとソックリだなどと指摘したが、実は今のキッズにそんな指摘は意味がない。ボク自身も10年前は「流行は繰り返すモノだねえ」とか抜かす年上世代にムカツキを感じてた。そう、エレクトロ、これが00年代の音なんだ。


ネット経由で世界中にコンテンツを発信できるグローバリズムと、00年代の音楽。

LO-FI FNK「BOYLIFE」

LO-FI FNK「BOYLIFE」2006年
●この連中も KITSUNE のコンピで世界に紹介されて、イギリスのレーベル MOSHI MOSHI RECORDS とディールを結んだ(ふざけた名前のレーベルだ。ホントにひらがなで「もしもし」って書いてあるぞ)。で、コイツらスウェーデン人。遊びのつもりで地元でペロリと出したプロモ盤がボチボチ国内でヒット、そしたらフランスのコンコンキツネからメールが。音源をコンピに提供したら今度はイギリスから電話で「もしもし~」。ゆるーいアマチュアイズムが、国境を越えてテンポよく流通していくスピード感。明らかにネット環境というインフラが準備したサクセスストーリーでしょう。スウェーデンは人口にして約900万人という小さな市場(国一個で東京都より人口が少ない)。ソコのローカルヒットをいち早く察知した KITSUNE の嗅覚。このアンテナの高さもネットの成果でしょう。
彼らの音楽はね、甘いんだ。今まで取り上げてきたエレクトロと同じ4つ打ちのキック、でも上モノはもっとカラフルなシンセで包んで、決め手は軟弱なオトコノコの声。それが「BOYLIFE」を歌う。歌詞のテーマはおセンチでミクロな感情。今日取り上げた中で一番チャーミングなウタものポップス。乙女ゴコロを掴むね(←オッサンが言うなよ)。 ……NEW ORDER にこんなテイストの時代があったっけ?いやアイツらはネクラでこんなに明るいウタは歌えない。聴いたCDの数だけは無駄に多いオッサンのボクは、余計なお世話だけど自分の感じたデジャヴ感を、脳ミソのライブラリーから検索する……。


「エレポップ」と呼ばれた音楽もがかつてあったんだよね…。80年代。

ERASURE「THE INNOCENTS」

ERASURE「THE INNOCENTS」1988年。
ERASURE は、VINCE CLARKE ANDY BELL の二人組。キラキラのシンセサウンドをヴォーカリスト ANDY が甘くドラマチックに歌う。このアルバムは彼らの3枚目、コレで見事大ブレイクを果たし、UKでチャート1位、アメリカでもヨーロッパでも認められた。彼らは自分たちのゲイセクシャリティをおおっぴらに公言し、その道のセックスシンボルとして今も英雄視されている。LO-FI FNK からスッと連想したのはこの音楽だ。PHIL SPECTOR が制作した IKE & TINA TURNER のR&Bテッパン名曲「MOUNTAIN HIGH, RIVER DEEP」をカバー、テカテカのドラムマシーンとあっけらかんとしたシンセで彩る。今の「エレクトロ耳」ならバリバリ有効かも。

80年代エレポップの歴史を VINCE CLARKE でチェキ!
ERASURE のサウンド面を仕切ってるのが VINCE CLARKE。この人のキャリアを追うだけで、80年代エレポップの流れをザックリ把握できる。この人が始めに組んだバンドは、あの DEPECHE MODE。70年代末にメンバーが集まりデビューは1981年。エレクトリック機材に執着したサウンドデザインは注目され、1984年にはワールドワイドな評価を得る。ダークでゴスで金属質な音像は後続のアーティストにも影響を与え、その鋼鉄路線(ヘヴィメタとは違うよ)はインダストリアルビートへと継承される。90年代の MINISTRY、NINE INCH NAILS、KMFDM(このバンド名は、KILL MOTHER FUCKER DEPECHE MODE の略。音楽はそっくりなのに)らの出現を準備した。今もその鋼鉄魂は揺るがず、UKシーンのヴェテランとして君臨してる。でも、VINCE はメインのソングライターだったのに、音楽性の違いから一枚目のアルバムで脱退しちゃうのです。他の連中があまりに暗黒志向すぎたからかな…。人前に出るのが苦痛だったってハナシもある。残念ながらボクは VINCE 在籍時の DEPECHE は持ってない…。

DEPECHE MODE「SPEAK  SPELL」

VINCE が次に作ったユニットは、YAZOO。女性ボーカリスト ALISON MOYET と組んだユニット。ALISONの声はよりソウルフルでパワフルで、しかも一瞬男か女か戸惑う中性的な響き方をする。エレクトロなトラックもよりしなやかで、硬質ながらもツヤツヤのステンレス板が美しく反り返るようにキレイな弾力性を纏うようになった。ALISON が噛み付くように歌う攻撃的なシングル「DON'T GO」もイイんだけど、「ONLY YOU」のおセンチなピコピコ感がたまらない。この曲、ウォン・カーウァイ監督「天使の涙」で、THE FLYING PICKETS というアカペラグループのカバーヴァージョンが使われてるんだけど、最高に素晴らしいんだよ!

YAZOO「UPSTAIRS AT ERICS」

●ハナシがそれた。すんません。で、YAZOO も短命で消滅。アルバム2枚&2年程度の活動で、ALISON MOYET はソロ転向。それから THE ASSEMBLYとかいう企画モンの手伝いをしたりして裏方仕事に埋没するのかなーと思わせた VINCE は運命の伴侶 ANDY BELL と出会う。1986年。ソレからはズーッと ERASURE で活躍、今も現役でキラキラエレポップ道を突き進んでいる。……そんな VINCE のような人々をズーッと支援してるレーベルがある。


80年代エレポップを支えたレーベル、MUTE。

GOLDFRAPP「BLACK CHERRY」

GOLDFRAPP「BLACK CHERRY」2003年
●00年代に戻ってきました。ALISON MOYET のハナシをした後で紛らわしいんだけど、コイツらは ALISON GOLDFRAPP という女性シンガーが中心のエレクトロユニット。TRICKY のデビューアルバム「MAXINQUAYE」1995年に参加、シングルにもなった「PUMPKIN」でリードヴォーカルを取った女性。必要以上にフェロモンモンな艶かしい声はネットリまとわりつくジェリーのように妖しく、トリップホップにはよく映えた。それが、この GOLDFRAPP ではエレクトロ度アップ、トロトロ寸前のフェロモンモンボイスを、ザリッゴリッとしたトラックに乗せてる。テンポは遅めで扇情的とは言えないんだけど、とにかく声がエロイ。歌詞もエロイような気がする。でもね、この人もレズビアンだって。そういう人多いなこの業界。
●注目したいのは彼女達が所属するレーベル、MUTE設立は1978年。そっから一貫してエレクトロミュージックを支援してる。エレポップ、インダストリアル、テクノ、インディーダンス、そして GOLDFRAPP のような00年代エレクトロまでをバックアップ。その功績は大きい。
MUTE が世に出したアーティストを列挙しよう。前述の DEPECHE MODE、YAZOO、ERASURE は全部ココの所属。ブリストルの狂人 MARK STEWART(ex.THE POP GROUP)、ドイツのノイズ製造マシーン EINSTURZENDE NEUBAUTEN、マンチェスターのヘナヘナダンスバンド INSPIRAL CARPETS もココ。シカゴのテクノレーベル PLUS 8RICHIE HAWTIN のレーベル)やドイツテクノの名門 TRESOR もココとライセンス契約した。エレクトロの歴史を考えるとき、このレーベルのマークは覚えておいた方がイイ。

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ついでに、もうひとつ、エレクトロで頑張ってるレーベル。BREASTFED。

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LINUS LOVES「STAGE INVADER」
LINUS LOVES「STAGE INVADER」2006年
BREASTFED RECORDINGS はまるっきりの新興レーベル。スコットランドのド田舎出身でありながら、オックスフォード&UCLAへ進学した秀才クリエイター、MYLO が仲間と一緒に自分の音源をリリースするために2002年に立ち上げたモノ。MYLOエレクトロ「DESTROY ROCK'N ROLL」は一気にブレイク。その BREASTFEDの仲間たちが第二弾アーティストとして登場。エレクトロ魂にディスコのギラギラ感をちょっぴり配合。キャッチーで素直な四ツ打ちリズムはクセがないとも言えるけど。
MYLO は金がナイからミキサーは買えず、とりあえずPC一個で音楽作りを始めたそうな。そのPC一個でレーベル運営まで一気にイっちゃう。70年代末のパンク革命は、楽器が下手でも仲間3人集まりゃバンドで世界を変えられるコトを証明したが、今の時代はもっと敷居が低い。00年代エレクトロが、ベッドルームのPC一つで世界を変える爆弾が作れちゃうコトを証明しちゃったんだから。

MYLO「DESTROY ROCK  ROLL」 MYLO「DESTROY ROCK & ROLL」

エレクトロとファンクネス。人力が混じってもエレクトロはスゴいぜ。

CHROMEO「SHES IN CONTROL」

CHROMEO「SHE'S IN CONTROL」2004年
●ここにきてやっとアメリカ人(カナダ人?)のユニットが出てきたよ。メガネのユダヤ系と強面アラブ系の二人組が編み出すエレクトロは、しなやかなファンクネスを感じさせる。うねるベースラインとカッティングギターが、80年代ファンク CHIC を連想させる。ボーカルにはフィルターをかけてて、ソレが ZAPP のトークボックスを連想させる。ココにはシンセ純粋主義はなく、メカの力と人力をうまくブレンドしたグルーヴがある。それはエレクトロなんだけど、時にスゴくハウシーで、時にスゴくロックで、時にヒップホップでもある。
●ここでもレーベルのハナシを。アメリカ国内のライセンスは VICE RECORDS って連中が仕切ってる。コイツらはボクの中ではレーベルと言うより、「VICE」というフリーペーパーの発行元として印象深い。注意深く街を歩いて下さい。で、このフリーペーパー見つけたら絶対チェックして!最高オモシロい!カナダのモントリオールとニューヨークを拠点にしてるみたいだけど、英仏伊独から北欧まで、そしてオーストラリア、ニュージーランド、そしてココ日本でも発行されてる。内容を一口で形容するとね……夜のバーで偶然隣に座ってたヤツが最高に愉快な外人で、なんか知らんけど意気投合して超下品なバカ話で盛り上がって、そのまま夜の渋谷六本木へ一緒にナンパしに行っちゃうような感じ。……全然意味分かんないね。

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●ボクの持ってる号の特集を挙げると…「ロシアのゲットーライフと軍隊のレイプ事件とクラブで乱痴気騒ぎするカワイ子ちゃんのスナップ」とか「イラク戦争で手足を失ったイギリス軍兵士特集」とか「売春させられてたメスのオランウータンのその後」とか「マニラのスラムで他人の墓を勝手に家にして暮らしてる人特集」とか「シリアの少女売春ルポ」とか「フィンランドの古典サウナでセクシーショット」とか「メキシコの死体雑誌編集長インタビュー」とか「インドの武装フェミニスト集団」とか「アルゼンチンの女囚監獄」とか「ゴールドのアクセサリーしか身につけないファッショングラビア」とか、まー世界中から一流のエログロな話題を提供してくれる。で、ことごとく毒舌ブチばらまいてケムをまくっつーか。一読の価値あります…ある程度非常識に寛容な方なら。自分はモラリストですと思う方は、読むと吐き気を催すかも。


エレクトロという言葉を巡る、時代を越えた反復横跳び運動。それを集約するようなコンピを発見。

「THE KINGS OF ELECTRO」MIXED BY PLAYGROUP  ALTER EGO

「THE KINGS OF ELECTRO」MIXED BY PLAYGROUP & ALTER EGO
●UKのレーベル BBE がシリーズ企画として展開してきた「THE KINGS OF ...」。その音楽分野の権威に自分のルーツを遡るような選曲でミックスCDを作ってもらうモノ。しかも必ずコンパイラーは二組で、CDは二枚組。トップアーティスト各々が互いに腹の中をさらけ出すような勝負モノとしても興味深い。今回のテーマはエレクトロ。そしてミックスCDに挑戦するのは、PLAYGROUPALTER EGO

ALTER EGO「WHY NOT?!」 ALTER EGO「WHY NOT?!」

ALTER EGO はドイツのユニット。2004年にブレイク、日本のテクノイベント「WIRE」にも出演する2人組。アシッドなテイストが色濃い彼らの選曲は、やっぱり90年代テクノがメイン。ぶっちゃけ全然わからん音源が半分以上(ドイツローカルのハードコアテクノなんてわかんないよ)、でも頑張ってクレジットを読むと、CARL CRAIG、UNDERGROUND RESISTANCE、KENNY LARKIN、RICHIE HAWTIN など90年代デトロイト~シカゴのゲットーテックが目立ちます。ボク的にはマジカブリ、リアルタイムだから嬉しい!来日の時は新宿リキッドとか西麻布イエローに行ったもんねー。ボクが想定した00年代エレクトロと90年代テクノの親和性は実証されました。

PLAYGROUP「PLAYGROUP」 PLAYGROUP「PLAYGROUP」

PLAYGROUP はUKのユニットだけど、90年代最末期~00年代最初期のニューヨークに勃興した「エレクトロクラッシュ」というシーンから登場したアーティストだ。この「エレクトロクラッシュ」というキーワードは、また深く検証すべきテーマなので今は置いときましょう。
●この人がセレクトしたのが、これまたエレクトロの解釈をググッと広げる音楽で非常に興味深い。ドアタマは完全80年代ニューウェーブ。ポストパンクの堕天使 THROBBING GRISTLE(日本語に訳しちゃいますが「脈打つ男根」) のメンバーが後に作ったユニット81年モノから初めて、そっからオールドスクール・ヒップホップへ!クレジットには MANTRONIX RICK RUBIN、WHODINI の名が。ミドルスクール以前はエレクトロ機材でトラック組んでたんだよね~。ブレイクダンサーのための曲も収録してるよ。次は80年代ファンク、ワシントンDCのゴーゴーサウンド TROUBLE FUNK 関係者。ファンクバンドと言えば大人数で分厚いグルーヴを練り上げるモノ、しかし70年代が終わり、80年代にリストラの嵐が吹き荒れると、バンドを減員してシンセ機材に依存するのが流行った時期があった。そしてお化粧系ニューロマンティクス、VISAGEの名も。80年代だなー。CULTURE CLUBDURAN DURAN まであと一歩。MODEL 500 というユニットは、デトロイトで初めてテクノを作った JUAN ATKINS の変名。そこから伝説のクラブ「PARADISE GARAGE」のレジデントDJで、ハウスミュージックのオリジネイター LARRY LEVAN がミックスした曲に繋がる。忠実に古典へ回帰する姿勢。で、テイ・トウワがNYで参加してたハッピーなハウスユニット DEEE-LITE。シメがスゴい。OTIS REDDING の名曲「DOCK OF THE BAY」の口笛ダブミックス。レゲエにまで遡っちゃった。

●ここでポイントなのは、オールドスクール・ヒップホップ、80年代ファンク、最初期のデトロイトテクノ/NYハウス、そしてレゲエ/ダブに至るまで、黒人クリエイターたちのエレクトロ表現は、無機質な機械音からファンキーな汗臭さを見事にすくいあげてる。なぜこんなにもファンキーなんだ?「00年代エレクトロ」というタームが出現するまでは、機械の無機質面を強調したアプローチを「テクノ」、機械を駆使しつつ人力ファンクを感じさせるアプローチを「エレクトロ」って呼び分けてたりしてたんだよねー。その意味においてジャズにも「エレクトロ」なアプローチがあったし(HERBIE HANCOCK とか)。

●一方、重要な隠れキャラが仕込まれてた。許可が取れなかったのか、外内ジャケに全然表記がナイのに、坂本龍一「RIOT IN LAGOS」を勝手に繋ぎ込んじゃってる!名盤「B-2 UNIT」収録!荒技!でもやっぱ到達するよね、YELLOW MAGIC ORCHESTRA。来たね、とうとう。このエレクトロを巡る旅が日本にまで流れ着いた。


エレクトロの故郷、日本。すげえよジャパン!

YELLOW MAGIC ORCHESTRA「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」

YELLOW MAGIC ORCHESTRA「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」1978年
●我らが Y.M.O. のファーストでーす。奇妙なゲーセンの安いSEに始まり、それが微妙に乾いたリズムに乗ってダンスミュージックが始まる。一曲目「FIRE CRACKER」!東洋めいたエキゾ風味のメロディをピコピコのシンセサイザーが奏でる。そして「東風」「中国女」!世界は驚異に震えたでしょう。極東の島国から突如流れてきた、摩訶不思議な音楽世界。機械と人間のセッションによって作り出された人工庭園が蜃気楼のように立ち現れた!
●中ジャケで、このバンドのコンセプトを細野晴臣自身が語っている。引用してみよう。「まさしく2001年からのリズム…デジタルコンピューターによって駆動されるシンセサイザーのおりなす万華鏡のようなサウンド、リズムと血の通った人間との異種交配はものの見事に成功し、そうして誕生した突然変異種の音楽は、もはやマンネリ化した地球上の全ての音楽概念を打破し、その超ポップなコンセプトで新風を巻き起こすこと受け合いである!!」ビックリマーク2つ!
細野の予言はマジで当たっちゃってる。もっとも人間的な芸術活動の一つである音楽を、機械に演奏させてしまうというアイディア。素晴らしい演奏は人間にしかできないという既存概念を破壊した。そしてそのコンセプトは2001年以降においても有効、いやより活性化しており、世界中の誰もがPC技術を利用して音楽家/演奏家になれるチャンスを手にした。専門家に限られてた音楽制作技術/配布手段を、ネット環境が超ポピュラー化した。スゲエスゲエ!
●そして実際にこの音楽は世界中で大きな反響を呼んだ。ヒップホップ黎明期の時代、AFRIKA BAMBAATAAY.M.O. をDJセットに組み込んだというし、初期ハウスを形成した LARRY LEVAN もドイツの KRAFTWERK とともに Y.M.O. をスピンした。世界中のミュージシャンが新しい楽器シンセサイザーに取り組み新しい音楽を作った。

そもそもエレクトロの世界で、重宝された機材は日本のメーカーが開発したものだ。
●今でも強い支持の止まないリズムマシン ROLAND TB-303、TR-808、TR-909 は1980~1984年に発売され、世界中のアーティストに影響を与えた。特に重要なのが TB-303。このベースに特化したリズムマシンのボコボコした音こそがアシッドハウスの音になったのだから。TR-808は、90年代マッドチェスターのダンスユニット 808 STATE の名の由来にもなってる。デトロイトのゲットーでテクノを開発した黒人クリエイター達は、金がないが故に、当時には旧式のマシンになっていたこれらの機材を手にすることになり、プリミティヴで荒々しいトラックを作った。日本は、コンセプトの面とハードウェアの面、この両面からその後のダンスミュージックカルチャーを準備したわけだ。コレ、誇りにすべき、日本人は。

坂本龍一「LEFT HANDED DREAM」

坂本龍一「LEFT HANDED DREAM」1981年
●最近ボクが買った教授の音源。「B-2 UNIT」の次。100円。プログレ大巨人 KING CRIMSON のギタリスト ADRIAN BELEW と、M という名前のエレポップユニット(「POP MUZIK」って盤が有名) の ROBIN SCOTT と共作したアルバム。日本通常盤「左うでの夢」と微妙に内容曲順が違う。盟友細野さんユキヒロさんも参加。ちなみにエレポップテクノポップと言い換えて何の問題もないんだけど、海外ではテクノポップってポピュラーな表現じゃないらしいし、今日はエレクトロの話だからエレポップで統一してます。
Y.M.O. のインストピコポコ路線に対し、ROBIN SCOTT というボーカリストをフィーチャーしてるだけに人力度の印象はやや高し。坂本教授自身も、糸井重里リリックでヘタッピな喉を披露。つーかポエトリーリーディング? シンプルなディスコ対応のテンポ感は放棄して、ややプログレ風味。ココでは「祭り囃子」的な東洋風リズムをエレクトロ機材でどう再現するかってチャレンジも見られる。未来世紀のオリエンタリズム。「KACHAKUCHANEE」って曲があるんだけど、何語かと思ったら津軽弁らしい。これは矢野顕子リリック。教授、早速アタマでっかちなアプローチだね。これじゃ踊れない。

細野晴臣 WITH FRIEND OF EARTH「S.F.X」

細野晴臣 WITH FRIEND OF EARTH「S.F.X」1984年
細野さんも教授に負けてません。これは見事なエレポップ。ターンテーブルの無邪気なスクラッチや薄っぺらいオーケストラヒットが、エレクトロディスコグルーヴにアクセントをつけてます!SANDII & SUNSETS(久保田真琴)やコシミハル、PETER BARAKAN が支援。内ジャケじゃ、シュパっとモミアゲをそり落としたザ・テクノカットの細野氏の写真が。最近のリスナーは、はっぴいえんど時代のヒッピー細野さんのほうが印象深いかもしれないから新鮮かもよ。「WITH FRIEND OF EARTH」って何だろと思ったら、クレジットには使用機材の一覧表が。ROLAND TR-909,808、YAMAHA DX-7 とかとか…。機材がバンドメンバーと同列扱い。友達いない人みたいじゃん…。細野さんにはエレクトロ機材がドラえもん鉄腕アトムに見えるんだな。締めくくりはチルアウトなピアノ曲。


この Y.M.O. の遺伝子を、00年代の現代日本で正しく受け継ぐ男たちがいる……。わかるでしょ?

電気グルーヴ「J-POP」

電気グルーヴ「J-POP」2008年
石野卓球は、既にソロキャリアを海外に確立し、全世界を股にかけてテクノをプレイし続けている。ピエール瀧は、なんだかよく知らないけど、映画のチョイ役とか「ガスパッチョ」のCMとか、不思議と切れ目なく存在感を維持してる。ナニもしてない人なのにね。電気を離れても十分なキャリアを築いた二人が、8年ぶりに投下するこのアルバム。卓球にしてみれば、世界水準のテクノじゃなくて射程距離をわざわざ縮めて日本市場仕様に設定。だからこそ、このアルバムは「ジェイポップ」
●しかし、見事なテクノトラックに乗せられた日本語詞は、今回は完全にチンプンカンプン。漢字の変換ミスのような熟語がひたすら連続してるだけで、彼ら一流のシュールなお笑いサービスすら感じられない。「全勝全焼常に不勉強 検証弁償三種不燃焼…」分裂症的な意味不明の言葉羅列は聴くものの思考を混乱させつつ、デジタルビートにズブズブと呑み込まれ音の渦に沈んでしまう。ダンスミュージックにインスト楽曲は全く珍しくないが、歌詞/言葉が意味を失い壊れて粉々に散らばっていく瞬間を記録してしまった音楽として、このアルバムはある意味希有で不気味な代物だ。アニメ「墓場鬼太郎」主題歌の先行シングル「モノノケダンス」が暗示するように、最新技術の果てで人間世界と冥府の境目が見えちゃったような感覚。エレクトロ表現が人間存在を完全に漂白解体するドキュメントになってる。
石野卓球は以前インタビューで「テクノとは何か」と聞かれて「シンセへの愛」と答えてた。シンセ・フェティシズムの極北がこの地点なのか?そして自我は完全に消滅してしまうのか?電気グルーヴの音楽で怖い思いをさせられるなんて…。


結局、人間は誰もが踊りたい。
●この文章書いている間、ズーッとエレクトロをステレオ爆音でプレイしてたら、娘ヒヨコが踊ってた。「ヒヨコ、今踊ってたろ!」と指摘すると、ハッと我に返って恥ずかしがって逃げていく。もう無意識にグルーヴに感応してるのね。「踊るのはハズカシいことじゃないよ、パパと一緒に踊ろう」しばらくリビングをダンスフロアにして父娘で腰を振るのでありました。ヒヨコ、夕食の時間もグルーヴがアタマにこびり付いてカラダが動いてしまう。ワイフ「ゴハン中は踊らない!」ダンス衝動は人間に深く刻み込まれた本能で、どんなアプローチであろうとダンスミュージックは滅びない。そこに思想や思考はなくても、本能があればイイのだから。




●いやー、今回も疲れました。この長ーい文章を全部読む人は、さすがにかなりの酔狂でしょう!絶対ココまで到達しないはず。かなりヤヤコしい話だし。絶対読む人いないはずと思ってますが、そんな予想を見事裏切って「読んでやったよ、しょうがねえな」という方がいらっしゃれば、その痕跡を残すべく拍手ボタンを押しておいてください。では。


我が家の「ポニョ」
●ワイフが近所のローソンで、あの映画の予告チラシを拾って来た。7月公開のジブリ映画「崖の上のポニョ」だ。

ポニョ

●ヒヨコ感動!「ねーねーポニョっておサカナなの?キンギョなの?どっちー?」どっちも魚ですが…。あ、淡水魚か海水魚ってコトが聞きたいのか?海に住んでるってことじゃ、キンギョじゃないな。

崖の上のポニョ崖の上のポニョ
(2007/12/05)
藤岡藤巻と大橋のぞみ、大橋のぞみ 他

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●このフライヤー、「ポニョ」主題歌の「崖の上のポニョ」の楽譜(PERFORMED BY 藤岡藤巻と大橋のぞみ)がついてて、ヒヨコもう絶頂!聴き齧りのメロディでシンガロング!「ポニョポーニョポニョ さかなのこ あおいうみからやーってきた ポニョポーニョポニョ ふくらんだ まんまるおなかのおんなのこ!」特にこの「まんまるおなか」がお気に入り。幼児体型の赤ちゃんプックリおなかのヒヨコは、ポニョと自分をアイデンティファイ。幼稚園から帰ってくると、「ただいまー、パパのポニョがかえってきたよー」って言って抱きついてくる。たしかに微妙なまんまるカオの不細工具合はソックリといっていいんだけど。
●昨日ノマドの授業参観で見た、しっかり者のアスちゃん&ユイちゃんと、このポニョ型チビっ娘が一年違いとは思えん。来年コイツ小学校に入れるんだろうか。天然にもほどがあるでしょう。


下北沢、また居心地のいいカフェ発見。

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「esCafe/Dining」
●場所:下北沢駅西口、鎌倉通りを東に歩き、セブンイレブンの近くの脇道を右に曲がる。そこが通称「エルジ通り」(ホントにL字に曲がるから)。でL字部分の角の手前左側、雑貨屋さんと古着屋さんの間にある。世田谷区北沢2-27ー1。
●古着屋さんが密集するエリア(「WE GO」とかも近所)にあるカフェ。奥まってる場所にあるからナカナカ足を運ばなかったんだけど、存在は前から知ってた。中にはダーツマシン、大型モニター(夜はスポーツバーっぽくなるらしい)、フリーのネットPC、DJブースがある。そこでお茶飲んでたら、ふと気になったことが。店員のお姉さんに見覚えが…。あのー、もしかしてこの前閉店しちゃった「ADD+CAFE」にいらっしゃいませんでした?「えー、そうです」やっぱり!ボク勝手に閉店パーティにお邪魔しちゃって、その時ちょっとお話しした覚えがあって…。こちらに来てたんですか。「ココの店長と知り合いなもんで」


ボクは休職してから、ホントに細かい所に目が届くようになった。
●カフェの店員さんのカオなど今まで意識して見てたことがあったろうか。顔も合わせず注文だけしてたじゃないか。それが、今ではいくつかのお店に挨拶が出来る店員さんがいる。この前は、お店じゃなくて道でバッタリ会っても思わず「コンニチワ」と挨拶し合ってしまった。道端の花に感動し、天気の移り変わりに意識を払い、近所の人(マンションの管理人さん、お向かいの家の奥さん、コドモの友達ママさんなど)と朗らかに挨拶し合う。コドモやワイフと楽しく会話をし、夕食後に食器洗いをしている。仕事に忙殺されてた頃よりも、ズッとココロ豊かな暮らしが出来るようになった。そりゃ、自動車も売っちゃったし、電車で遠くに行くチカラもなくなったし、経済的にも余裕はないよ。でも今、大事なコトに気付くことが出来て、ボクは病気になったことに感謝さえ感じるようになった。昨日の授業参観。ホコリっぽい校庭で、息子が友達とじゃれ合う姿をワイフとともに眺めてた時、ボクはスゴく幸せだと思った。


今週は、小学生になったノマドの初めての授業参観。
●ノマドが入学して初めて知ったけど、最近の授業参観は、一日に親が全員集まって教室の後ろに並ぶようなスタイルではないんです。今週の時間割を渡されて、その中で好きな時間に好きなだけ見学できるという仕組みになっているんです。今日は、天気もイイので敢えてボクもワイフとともにノマドの小学校に行ってみました。

3時間目。体育の時間。
●体調を見計らって遅めに出発。学校では校庭でリレー競争をしてる。数チームに分かれて競争。一チームだけ一人足らないので誰かが2回走る必要があるらしい。そしたらなんと!ノマド2回走る選手に立候補しやがった!ウッソー?……どうやらコイツ、自分のコトボチボチ足が速いって錯覚してるっぽい。

パッと見ただけで、利発な子が誰だかすぐわかる。みんな女の子だけど。
●女子の方が早熟でしっかりしてる。野郎はどんな世代においてもアホである。同じ幼稚園出身のアスちゃん、ボーイッシュで身のこなしがバンビのように俊敏だ。当然足も速い速い。ノマドが他のチームの子に追いつかれても、グンと差を付け返してくれる。幼稚園の頃にはなんの接点もなかったが、今はノマドと机が前後ろの関係。最近アスちゃんはノマドの隣がイイから席変わってって相談して来たらしい。「きょうね、アスちゃんにホッペにチューされちゃったよ」おいおいノマドなんだよそのモテ報告は!「えっ?パパ、チューしてくれるヒトいないの?」ママしかいないよ!イイなあ。

●ノマドの隣はすらりとした長身のユイちゃんだ。ロングヘアをキレイにまとめたこの娘も頼もしい。完全に学級委員タイプだ。4時間目の音楽の時間、ノマドに今歌ってる歌のページをめくって教えてくれる。ナニかと甲斐甲斐しくお世話されてるみたいで、「隣の人と手をつないで歌いましょう」という場面でも完全にリードされてる。マジでノマドは席順に恵まれてる。アスちゃんもユイちゃんもカワイいからだ!

ノマドの新たな悪友、ヒョーガくんも注目キャラだ。
●落ち着きなくニギやかに教室を跳ね回る男の子、ノマドに楽しくチョッカイをかけてくる。ノマドも普段から頻繁にヒョーガくんのハナシをしてるから、どんな子かチェックするのが楽しみだった。一番後ろの席から振り返り、ボクらのカオ見て「ドチラのオクさんですか?」だって。ピエロのように陽気な子だ。おっ!よく見たら RAMONES のロックTシャツ着てるじゃん。思わず声かけちゃった。「キミカッコいい服着てるね。そのシャツの英語ね、ラモーンズって書いてあるんだよ」きょとん?とした彼だったが、即座にニッコリ笑い返して「オレ、マリオとルイージとワリオのエイゴわかるよ!マリオはM、ルイージはL、ワリオはW!」正解!

ノマドは黒板係。
●クラスの係が全員に決められた。配り係(配布物を配る)、生き物係(金魚の世話)などなど。花形は黒板係らしい。授業が終わったら黒板消しでをチョークの文字を消す、ただそれだけがカッコいい。競争倍率の高い中、ガンガン立候補してジャンケンで勝ち取ったポジションだという。係になっても黒板消しは戦いだ。メンバー5人いるのに、黒板消しは3コ。授業が終わったら我先に黒板へ走って黒板消しをゲットしなきゃならない。でも情けないのが、ノマド、クラス男子で一番背が低いチビ、黒板の文字まで全然背が届かない。それでも必死にケシケシしてたのが、パパなんかウレシかったぞ。


●今日は安定剤をダクダク飲んで、それでもアタマが痛いので、もうおしまい。

朝から雨である。
●雨が降ると、体調も崩れる。気象条件が変わるとカラダがヘンな反応を起こすのだ。雨か…。「そうだよ、あめザーザーだよ!」と娘ヒヨコ。「きょうのアメプチちゃんは、オンナのコだね。このまえのアメプチちゃんは、オトコのコだったけどね」アメプチちゃんとは、ヒヨコだけに知覚できる雨の妖精の名前である。うーん、妖精には性別もあるのか……。
●いつもより朝支度に時間がかかるヒヨコである。彼女はちょっと今日はユウウツなのだ。幼稚園毎月恒例の「お誕生日会」、年長さんとして今月誕生日を迎えた子をエスコートするのがヒヨコの今日の任務だ。がコレが気に入らない。「だって、みんなヒヨコよりおっきいから、かんむりカブせるのがタイヘンなんだよ!」最上級生なのに、下級生よりチビのヒヨコの密かなコンプレックスでした。


自律神経失調症とのお付合い(その51)~「センセイ、チェンジで!」編
●心療内科の診察へ。いつもの美人センセイは今日休診というコトだったのだけど、敢えて予約をとってクリニックへ行った。院長先生と会うためだ。ココの院長先生とは前任のYセンセイが退職する代わり目の時期に一回診察であったことがある。ボクの親世代60歳代と思しき気さくなベテランオバさんだ。しかもココのクリニックだけではなく、東京三多摩地区某所にある本院(閉鎖病棟のあるホンマモンの精神病院)の院長先生ってハナシで、つまりはエラいオバさんなのである。

その院長先生に会って話したい相談事。
●それは「すんません、今の担当のセンセイを代えて下さい。そんで院長先生に診察をお願いしたいんです」というリクエスト。前のセンセイと違って今のセンセイとは、込み入った相談ができないんです。ボクはこういう病院にお世話になるのはココが初めてでココで会ったセンセイ以外に心療内科のお医者さんは知りません。だからお医者さんと患者がどう付き合うのか標準なのかボクは知りませんけど、毎週顔合わせてるのにたいした話もしないで「おクスリ出しときます」だけじゃなんか虚しいじゃないですか。
●最初はリハビリ出社が順調で、センセイも「順調だから大丈夫、特に心配ない」って意味でナニも言わないのかな~と思ってたんですけど、連休前後から体調が大幅に崩れて来てもアッサリすぎる対応でツラくなってきました。微妙で繊細な相談ができないなーって。会社の看護師さん達には出来る相談が主治医に出来ないなんてオカしいと思って、今日は来たんです。

「通常勤務なら復職可能」の診断書以降の出来事。
●GWの一泊旅行、しかも親戚の結婚式。会社休職以降、結婚式も一泊旅行も東京都の外に出るのもほぼ初めての挑戦。その結果カラダがボロボロになったとも言えます。でも実はそれだけじゃないんです。連休前から情緒不安定になってたんです。4月中旬診断書もらって具体的に職場復帰の段取りがスタートしようとする頃(本来なら連休明けに様々な打合せが産業医や上司と行われるはずだった)、ボクの中で「果たして元の仕事に戻れるのか?戻ってもソコでボクは機能できるのか?やれる仕事はあるのか?」という不安がグングンデカくなって来たんですよ。そっからカラダが緊張を始めて……。
●院長先生「ダイジョウブ。先日書いた診断書、復職可能。これが出てからが大変なんです。だいたいの患者さんが、診断書出ても会社に行けないんですよ。アナタが感じた緊張は誰もが通る関門で、オカシくなったわけでも症状が逆戻りしたわけでもないです。むしろ順調ですよ。診断書出て、その後も連休までは会社に行ってたんでしょ?」ええ、でも仕事してるわけでもないし…「全然オーケー。会社行けてるだけで十分。何の問題もない。正常な反応です。気にすることなんて何にもない」………ふーっ、さすがベテラン先生。なんかどっと安心できた。お医者さんとは、まさしくこういうハナシがしたかったんですよ!
●院長先生「確かにアナタの仕事は、とてもバラエティに富んでるというか、フツウのお仕事とは大分違うので、正直ワタシもこういうケースを手掛けたことはありません。でも復職プログラムの組立てに主治医の意見が必要だと会社の産業医さんが言うのなら、アナタとワタシと会社のセンセイで、ミーティングしたってイイですよ。診断書のヤリトリったって、そんなの紙ッペラじゃ伝わるはずないんですよ。やるんだったら、顔つきあわせて話し合う。コレ一番速くて一番効果的」おお、頼もしい。やっとちゃんとした会話が出来た。それじゃ、来週もいらっしゃいね、よろしくお願いします、と言って院長先生はニコっと笑った。

●院長先生はホントに忙しいので、出張だ会議だで休診も多いらしい。あと、こんな感じで患者とタップリ話し込むので、予約時間がズレズレになる。心療内科の患者には「待てない人」ってタイプもいる。「ワタシの順番まだなの!?」って受付でゴネてる人や、仕事にスグ戻りたいサラリーマンさんが一杯いるんです。だから診察時間を短く区切ってスパスパこなすお医者さんが都合イイ人もいるのが現実。でもボクは一つ一つの疑問や不安を一個一個丁寧に解消しないと前に進めないタイプ。時間かけても納得して次に進みたい性分。頼もしいセンセイの出現で、大きな心配事が一個なくなった。やった。最初は「オバさんより若い美人センセイ」とか思ってたんだけど、ゴメンナサイ、認識改めます。

●でもまだ会社行かなーい。まだナマけてやる。ナマけきれなくなるまで、会社に行ってやらないぞ。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html


やっぱりヒップホップだね。その16。
●久しぶりに、西海岸Gモノで。

ROSCOE「YOUNG ROSCOE PHILAPHORNIA」

ROSCOE「YOUNG ROSCOE PHILAPHORNIA」2003年
●このオトコ、SNOOP DOGG 配下の重臣 THA DOG POUND の片割れ、KURUPT の実弟。ロサンゼルスで名を挙げた兄貴を頼って故郷フィラデルディアから西に出て来たのだ。で、アニキのソロアルバムへの客演で評価を上げて、やっと出したファーストソロアルバム。タイトルの「PHILAPHORNIA」ていうのは、フィラデルディアとカリフォルニアの合体語だね。ウタものサビがテンコモリでベースのスキマ感ウネリ感がとってもG-FUNK ココロをくすぐります。トラック提供も、SNOOP 一派の SOOPAFLY、RUTHLESS 系の L.T. HUTTON やその他 DJ QUIK、FINGAZZ など西海岸関係者が中心。2曲アトランタの ORGANIZED NOIZE も関わってるな。EARTH WIND & FIRE の大ネタ使いも気持ちよし。でもこの人の最高の一曲は、アルバム前に出したシングル「I LOVE CALI」。ハッキリ言ってコレ一発のワンヒットワンダー。コレだけは超一流の G-FUNK。西がお好きな方にとってはクラシックじゃないスか。ラップの切れが良し!ちなみに日本盤だけのボーナストラックに収録されてますからご注意を。

XZIBIT「WEAPONS OF MASS DESTRUCTION」
XZIBIT「WEAPONS OF MASS DESTRUCTION」2004年
●コチラも西海岸の兄さん。DR.DRE 総帥の下 SNOOP の曲に客演して名を挙げ、一気にメインストリームに。怒鳴り系の暑苦しいラップは、ドライブのBGMに向かないヤカマシさ、トラックも G-FUNK の枠にはハマらない奔放さ。西海岸人脈ではありながら、東の G-UNIT なども手掛ける DJ KHALIL が大活躍、SNOOP 系統の頭脳 JELLY ROLL(美声コーラスもいいです)、ベイエリア HYPHY 界隈で大ブレイクの RICK ROCK らが参加、そんで完全東海岸の敏腕職人 HI-TEK がいい仕事!…でもホント一枚聴き通すと疲れるわ、この人の声。イラク戦争を皮肉ったタイトルやライムは痛烈。「彼は13歳、バグダッド育ち。右手で喰って左手で稼ぎ一日5回祈りを捧げる…300マイル先ではイギリス軍の攻撃、従兄弟のシハードは名誉の戦死…911の後にはブッシュとアメリカが武器を探しにやってきた、88000トンのミサイルと共に…だが彼の家は貧乏で引っ越しはおろか防空壕もない…」で、結局大量破壊兵器はイラクにはなく、アメリカのストリートでこそ暴力は苛烈になってるというわけ。貧困大国アメリカ。


セブンイレブンクリスタルガイザー買おうと思ったら、レジの脇に募金箱が。「四川大地震に義援金を」。おつり90円をジャラリと入れる。90円でナニができるんだよ。でも入れないより入れる方がイイんじゃないか。偽善だとしても、たかが90円分の偽善だろ。毒にもなんねえだろう。

はーい、今週絶不調。ゴールデンウィーク勝手に延長戦、家でゴロゴロしてます。
今一番大好きな食べ物は何ですか?と聞かれたら、「コンスタンという安定剤です!」と元気よく答えたいunimogrooveです。先週金曜、今週月曜と二連発の鍼灸治療で筋肉の緊張は徐々に回復。置き鍼も19本背中にブッ刺して、やっとアタマも冷静になってきたかな~、ってトコロ。でも職場復帰のスケジュールはまたまた大幅に狂ってしまったっぽいので「あー気分がノるまで会社はイかねーぞ」とキッパリ決意しました。まあ、リハビリ出社始める直前も体調がグラグラして日程が大幅に狂ったので、また同じことが起きてると思えば気も楽だ。もう休職して10か月、一週二週くらいでガタガタ言ってもしょうがねえ、ってコトでやんす。

東銀座のカフェ。
●鍼灸治療は、癒し系と思ってる人も多いかも知れませんが、マジ地獄のシゴキです。「ぐあああ~」と呻きながらヤラレてます。センセイはボクが呻けば呻くほど楽しそうです。「キテる?キテる?痛いでしょう?コレは痛いわよだってパンパンのバリバリだもの~。キ過ぎちゃって、来生たかお?なんちゃって!来生たかおって誰だっけ?セーラー服と機関銃?」薬師丸さんのその7インチ持ってますよ…でもダジャレとしてはイケテマせんと思います…うっ!グググ…。
●で2時間ばかりシゴカレきった後は、スグに電車で家に帰る気分にもならず、鍼灸院の近所のカフェで一時間ばかり休憩するのがボクの最近の習慣です。鍼灸院は東銀座、歌舞伎座の近く。ある日歌舞伎座の周りをグルッとまわったら、結構個性的なお店がイッパイ。出版社のマガジンハウスも思いのほか近所で、ここに勤めてるトモダチ呼びつけてお茶もしました。

樹の花建物

樹の花入り口

「銀座・樹の花」
●場所:マガジンハウス本社の玄関に面した斜向いの角の建物2階。中央区銀座4ー13ー1ー2F。マガジンハウスの人はよく打合せに使ってるみたい。
●ココの特長は、その昔 JOHN LENNON と ONO YOKO がフラリとお茶しに来たという逸話があるところ。なんとなくテーブルにつくと壁に彼ら直筆のサインと落書きが額装されてるのを発見。1979年8月4日来店とのこと。

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●これがそのサイン。オネエさん「コッチにジョンさんが座って、向かいにヨーコさんが座ったんです」それじゃせっかくだからジョンの席に座ろう。1979年8月初日にオープンしたばっかりだったこの店の開店4日目に、フラリと2人は現れたらしい。子供(SEANのこと?)に近所の映画館で「スパイダーマン」を見せてる間、銀座界隈を散策してたトコロだったという。80年12月に JOHN は殺されちゃうから最後の頃ってコトだよね。30年の歴史を感じさせるシックさがイイ感じです。

●もう一軒、お気に入りを。

鳴神

「鳴神」
●場所:その「樹の花」の隣。中央区銀座4ー13ー3
●ココは、日本茶をモダン感覚でアレンジしたコダワリのお店。初めは窓から見えた中の内装がユニークで印象深かった。曲面を取り入れたタイル張りの壁がノスタルジックなお風呂屋さんを連想させつつ、鋭角的な濃い木目のカウンターがパキッと現代的な感覚にまとめあげてる。

鳴神内観

●そんで、抹茶オレが最高にオイシい!もう最初っからこれしか飲んでない。砂糖なんか要らない甘さがダイスキ。ここでノンビリ過ごすのが心地いいんです。マスターのお嬢さん(3歳?)が時々お店に現れてカワイいオーラを放ちまくってます。

鳴神オレ



●DVDを観る。

「アップルシード」

●DVD「アップルシード」
「エクスマキナ」がまだ新作価格だから、旧作のコレを観ました。「甲殻機動隊1.5」も気になってるけど高いから読んでない。今月は派手に無駄遣いしたからね。
●原作からは大きくストーリーを変えてるから、素朴に知らない映画を見るつもり。頑張ってるけど、CG表現がやっぱり時代遅れに見えたかな。ワイフはゲームの「バイオハザード」やってるのと一緒感覚だって言ってる。気合いは入ってるんだけどね。だって、CGの人物のモーションを3人の人間から拾ってるんだもん。主人公の女戦士のデュナンに、声&顔の役者さん(声優さん)、動きの演技の役者さん(なんと三輪明日美)、そして格闘スタントの役者さんが関わっている。スゴいよね。
●原作の士郎正宗、「アキラ」大友克洋など、80年代からサイバーパンク描いてる人たちのデストピア的未来観(人類の未来は絶滅寸前という設定)にもはや馴れッコになってしまってるけど、そろそろ次の未来観が登場してもイイんじゃないのかな?つーか、リアルに人類絶滅しそうじゃん、50年後くらいに。それ前提で描く未来って真剣にイメージする価値あるかも。「ガンダムOO」は勝手に太陽光発電システムって都合のイイ設定から入っちゃってるのでヌルい。アフリカでドンパチやってるジェノサイド級の暴力を真剣に描いてみようよ。マンガ「日本沈没」はソレに近いモノ感じます。救いがないから。


やっぱりヒップホップだよね。その16。
●つーか、ヒップホップしか聴いてないヤツみたいに見えますが、たまたまですから。ホントはもっとオールラウンダーなんですよ。

LIL FLIP「I NEED MINE $$」

LIL' FLIP「I NEED MINE $$」2007年
●サウス方面のヒップホップは、多極化が甚だしいのでもう全容が掴めません。アトランタ、マイアミ、ニューオリンズ、そしてヒューストン。それぞれの街でテイストも違うみたいだし、それでいて越境的に他地域とコラボするでしょ。正体が掴めない。ホント大変。
●ヒップホップ業界、「リル」を名前につける人イッパイいるけど、この金歯を見せびらかすオトコに「リル」はふさわしいのか?ヒューストンのMCで、94年からやってるつーから芸歴はソコソコあります。人呼んで「FREESTYLE KING」、でもワリとザックリなラップ、チンピラ声をザラリと吐きます。
●ジャケ写が小さくてわかりにくいかも知れませんが、ブリンブリンなドでかいシルバーのネックレス見せびらかしてるでしょ。コレには四葉のクローバーのデザインが施されてるんです。この人、異常なクローバーフェチ。衣装とかアクセサリーとかクルーのマークとか、ありとあらゆるトコロに四葉のクローバーを仕込んでるんです。本人マジで四葉のクローバーで幸せになりたいらしく、他のラッパーにバカにされても辞めません。こんなカオしてるのに、意外とセンチなのね。


チャウ・シンチーの映画がテレビでやってた。

「カンフー・ハッスル」「カンフー・ハッスル」
「少林サッカー」「少林サッカー」

「カンフー・ハッスル」
「少林サッカー」
●バカカンフー・ムービー。ノマドヒヨコ大興奮。アタマ使わないバカバカしさと、CGフル出力のそりゃありえねーだろ的必殺ワザが痛快。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リーと続く香港黄金アクション路線の系譜を、完全にパロディ化することで再活性化させたチャウ・シンチー。時代錯誤と知りながら信念一気通貫で厚い壁をブチ抜いたB級ヒーローのスーパーノヴァ。脇役全員が味のあり過ぎる濃いメンツで、オマケに2作でダブってるヤツもイッパイ。フジテレビと組んだ柴咲コウ「少林少女」がオモロいかは不明だが、ボクはこの人好き。


やっぱりヒップホップだよね。その15。
●そこで今日は、ニューヨークの外れ、スタッテン島でなぜか少林寺拳法に目覚めてしまったトンチキ集団、WU-TANG CLAN 関係を特集。
●93年「ENTER THE WU-TANG (36 CHEMBERS)」でのデビューはとにかく衝撃だった。自分達を少林寺拳法の後継者と位置づけ36 CHEMBERS はもちろん「少林寺三十六房」BY リー・リンチェイね)、鮮やかな殺陣を観てるような絶妙なマイクリレーを展開する。トラックはカンフー映画からパクった「シュパ!シュパ!キン!」などの格闘SEをふんだんに散りばめてて、しかも「先生スンマセンこれは未完成じゃないでしょうか?」と手を挙げて質問したくなるような、中途半端に崩れたグズグズの仕上がり。バキバキ軋みながら回転する壊れた車輪の上で、カンフーの秘技で戦う謎の男たち。覆面被った正体不明のMC集団で何人いるのかもよく分からん。ハッキリいって理解するのに一年くらいかかりました。
●でも徐々にコイツらの正体が明らかになるにつれ、もう目が離せなくなった。この WU-TANG 軍団、レーベル LOUD との契約でソロ活動は一切自由という破格の条件をゲット。そこからはピン勝負の怒濤のリリース。METHOD MAN から始まって、RAEKWON、OL' DIRTY BASTARD、GOSTFACE KILLAH、GZA、RZA とどんどんソロが出る。もう全員が鼻血ブーの個性派。オモロい!これは全部買いだ!と決意。そっから WU の字が入ってたら即買いを誓いました。
●しかしリリーススピードが速い。コッチは全部追いつくのに必死。気付くとWU一派二軍三軍ファームの選手までリリースが始まってもう大変。CAPPADONNA、KILLAH PRIEST、SONZ OF MAN、KILLARMY、WU-SYNDICATE、GP WU……。キリがない!そしたら一軍スタメンソロ二巡目がスタート。速いヤツは三巡目に突入。2000年あたりでボクは完全にギブアップするのでした。

そしたら。去年、ヤツらが帰ってきた。

WU-TANG CLAN「8 DIAGRAMS」

WU-TANG CLAN「8 DIAGRAMS」2007年。
●もう全員がソロに夢中になって、再集結なんてありえないと思ってた。OL' DIRTY BASTARD はオーバードーズで死んじゃうし。でもヤツらは帰ってきた、少林寺三十六房の絆の元に。
WU帝国総帥でありながら、前作は弟子にトラック制作を部分的に任せてた「僧院長」RZA が今回は全部のトラックにタッチ、言わば本気モード。相変わらず得体の知れないカンフー映画のセリフをコラージュ、しかし以前のブッ壊れトラックからは進化、別人格 BOBBY DIGITAL 名義でソロ作を作ってる間に RZA は機材の説明書をキチンと読んだようで、マトモにブットいファンクビートがズコズコ響く。最初にセンターに躍り出るのは、METHOD MAN、RAEKWON、GHOSTFACE KILLAH の三本刀。でも地味キャラ U-GOD、MASTA KILLA、INSPECTAH DECK にも見せ場あり。5曲目くらいからエンジン全開、戦車のようなビートでぐいぐい攻めてくる。で、6曲目が THE BEATLES「MY GUITAR GENTLY WEEPS」の大ネタ使い、もとい完全「替えウタ」「THE HEART GENTLY WEEPS」。コーラスが ERYKAH BADU、泣きのギターに RED HOT CHILLI PEPPERS JOHN FRUSCIANTE。クラクラします。で、7曲目が鉄板 WU-ファンク「WOLVES」、コーラスに P-FUNK 大明神 GEORGE CLINTON が降臨。この中盤が最高っす。後半はロウテンポなドロい感じだけど、初期 WU 的壊れ気味トラックに男女コーラスが色添えする11曲目「STARTER」以降は往年の軍団が戻ってきたようで感涙だわ。噛めば噛むほど味が出るのが WU の魅力。少林の道を極めるのは簡単なことではない。もう一人の正式メンバーと言われてる CAPPADONNA がいつまで経っても一軍扱いしてもらえず、ベンチの控え扱いってのが気になる。彼の立場って…。

●さて、最近聴いた各メンバーのソロ仕事も紹介。


DJ MUGGS VS. GZA THE GENIUS「GRANDMASTERS REMIX ALBUM」

DJ MUGGS VS. GZA THE GENIUS「GRANDMASTERS REMIX ALBUM」2007年
●西海岸のマリファナモクモクヘヴィユニット CYPLESS HILL の頭脳であり、SOUL ASSASINS 一派の総帥である DJ MUGGS と、WU一派の最年長、ワガママ放題のダメ人間の中でかなりの良心派の GZA A.K.A. THE GENIUS が対決コラボレート。MUGGS のトラックに GZA が乗る。この盤はその音源を SOUL ASSASINS の若手がリミックスし、おまけDVDで二人のツアーの様子が観られちゃう物件。リミックス前が聴きたかったけど、DVDも観たかったので買いました。900円。堅実で切れ味のよい GZA のフロウは人呼んで「LIQUID SWORD」、それが重ファンクの上を滑る。多分元曲にはふんだんにあったであろう MUGGS の引っ掻きむしるようなスクラッチがリミックスで消えちゃったのが残念。最後の曲、誰か完全に同じネタ使ってたの聴いたことあるけど、うーん、ソレ以上思い出せない。

RAEKWON「THE DAVINCI CODE THE VATICAN MIXTAPE VOL.2」

RAEKWON「THE DAVINCI CODE : THE VATICAN MIXTAPE VOL.2」2006年
●なぜ「ダヴィンチコード」に乗っかっちゃってんだか全然わかんないけど、VOL.2 っていうからには一枚目もあんのかな?一体何のつもり?堂々と鼻クソほじってるジャケも非常に気になります。巨漢でまん丸カオだけど、彼のラップは軽く速い。まさしく「軽業師」。ミックステープちゅーことで短いペースでどんどん展開するグルーヴを、八艘飛びの勢いで乗りこなす。MARVIN GAYE「WHAT'S GOIN' ON」にまんま乗っかっちゃったりも。盟友 GHOSTFACE、RZA、GZA、そんで BUSTA RHYMES、NAS なんかもお目見えしてる。

METHOD MAN「421... THE DAY AFTER」

METHOD MAN「4:21... THE DAY AFTER」2006年
●このオトコ、WU の中で最年少ながら一番稼いでます。で一番ワガママです。飛行機に寝坊して日本ツアー来なかった前科があります。ボクの持ってるビデオではテレビのインタビュー収録でスヤスヤ寝てました。他のDVDでは野外フェスのモッシュピットに突っ込んで「観客の上を歩く」という特技を見せつけてくれた。REDMAN との最高合体シングル「HOW HIGH」が当たり過ぎて、これが映画化&二人で俳優デビューという珍事も。でも WU の中では絶対の存在感を放つ。マリファナの煙をクチの中でモクモクさせたようなクグモッた声が不思議な凄みを生む。そんなヤツのソロ4枚目がコレ。トラックは WU のアニキ分 RZA や 仲良し REDMAN の師匠 ERIC SERMON を中心にイロんなトコロから入手。スナップ風のチープなトラックまで乗りこなす。どこからか LAURYN HILL のコーラスまでもらってきて使ってる。FAT JOE STYLE P をフィーチャーしたアゲアゲ曲も聴きドコロ。最後の曲は ATLANTIC STARR のブラコンヒット「ALWAYS」の替えウタコーラス。あと「コニチワ ビッチ!(KONICHIWA BITCHES)」って曲まであるんですけど。今は亡き OL' DIRTY BASTARDWU一番の愛すべき天然変態キャラ)の遺したヴァースと合体した曲がイイね。ODBの味は唯一無二だった。内ジャケでは在りし日の2ショット写真がありましたのでスキャンしてお見せします。

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(左が OL' DIRTY BASTARD (R.I.P.)、右が METHOD MAN。)



ノマドにお仕置き。なのに…。
●ヒヨコが作ったレゴ&シルバニアファミリーのお城を、ノマドがぶち壊した。「あーノマドがこわしたー(泣)」ヒヨコ悲しむ。ノマド、謝りなさい!「ゴメンなサーイ、ハイおしまい」ノマド、そんな心のこもってないゴメンなさいがありますか!ノマドの大切なモノを捨てられたり壊されたりしたら悲しいでしょ!「でも、もうゴメンナサイしたもんねーだ」反省の色なし。じゃあ、しょうがない。コレを捨てるか。ということでヒョイっとノマド本体を持ち上げて、玄関の外に放り出した。コレ我が家のお仕置きの方法。ノマドは大泣き抵抗して猛省の上「ゴメンなさい」をヒヨコにする。コレ、パターン。
ところがノマド、今回はさしたる抵抗もなくマンションの廊下に放り出されて、泣いたりもしない。ドアを閉めたがカギをかけてる訳でもないので入ってくることも出来るのに、全然動く気配がない。………あーヒヨコ、悪いけどチョッピリノマドが何してるか見てきて。ノマドもヒヨコに言うことがあるだろうから(「ゴメンナサイ」をちゃんと言うだろうと予想)。
●ドアを開けて、兄妹でコショコショお話して、トコトコ戻ってきたのはヒヨコだけ。ノマドは?「カサでテント作ってた」は?「それで、サムいからジャンパーとってっていわれた」懲りてねーじゃん!ワイフ「このままだとお仕置きじゃなくてテント遊びが楽しかったで終わっちゃうでしょ、責任とってよ」くそー、へんな知恵つけやがって。
玄関のソトではカサを二つ開いて、その中で寝そべるノマドの姿が。裸足で放り出したので、ヒヨコに持ってこさせたジャンパーを敷物にしてくつろいでやがる。撤収!カサはしまう!ヒヨコに謝る!「あーキモチよかったのにー……ヒヨコ、ゴメンナサイ」ヒヨコ「いーよ!」ヒヨコも一瞬ショックで泣くんだけど一瞬にしてケロッと忘れちゃうので、コダワリもナニもないんだよね。もう当事者でとっとと和解成立。ボクばっかり騒いでもしょうがないので「早く家の中に入りなさい!」小賢しくなってきたぜこのガキンチョが。


やっぱりヒップホップだよね。その14。
●たくさんCDがあり過ぎると、間違えて二枚同じのを買っちゃうってコトがある。以前同じのが3枚出てきて、ホントブルーになった。
●でもね、その反対もあるんです。持ってると思い込んでて持ってないCD。この辺の基本物件はあって当然と思ってたら、アレ?ボク持ってないじゃん、散々CD棚を探しても出てこねえよ!みたいなコトがある。今日はそんなハナシから。


スチャダラパーの曲を聴いてた。シングルにもなった「From喜怒哀楽」。ふとリリックが気になった。

「あのどうしょうもなくもームダな日々があんな言葉で終わるとは 
  ヤツは紫と無邪気を身にまとい現れたボクらの目の前に
  P.E.のファーストが出た年てことは87年からの付き合い
  ボクらは長く深くダラダラよくある若者みたくツルんだ
  『ボーズ、クーラーいる?』ヤツは言った冗談みたいな暑さのあの夏の前だ
  深く考えずボクは言った『うそー、新しいの買うんだ?』
  『いやそうじゃないけど要らなくなるんだ』伏し目がちに答えそして続けた
  『25までにモノにならなかったら田舎に帰る約束だったんだよ』よくあるハナシさ…」


●で、「P.E.」PUBRIC ENEMY のファーストが聴きたくなった。そしたら、ボク持ってませんでした!5枚目まで全部持ってるつもりだったのに、1枚目はなかった!うお盲点!アメリカ黒人史、世界の大衆音楽史に巨大な影響をもたらした、あの一枚を持ってなかったなんて……いやいや不覚でござる。ということでソッコー買った。630円の10%OFFくらい? CDが出た年と個人的な思い出がリンクしてるってよくあることだよね。87年はまだボク中一ですけど。


PUBLIC ENEMY「YO! BUM RUSH THE SHOW」

PUBLIC ENEMY「YO! BUM RUSH THE SHOW」1987年
●オレのウージーはメガトン級!オレはパブリックエネミー、ナンバーワン!CHUCK D の怒号が否応なくテンション上げてくれる。黒人同胞への激しいアジテーションが、軋み上げるようなトゲトゲしいビートとともに弾き出される。当然トラック制作は THE BOMB SQUAD、後に続く作品に比べて速度がちと遅いが、凶暴なスクラッチが剥き出しの敵意を象徴する。こんな危険思想集団をフックアップしたのは DEF JAM RECORDINGS の創始者 RICK RUBIN。この白人プロデューサーの存在が、ディスコダンスに言葉遊びを乗っけた最初期のヒップホップを、触れれば切れる鋭利な武器へと進化させた。とにかくロック度高し!というかこの時期のロックの最前衛ってくらいロックしてる。さらに彼らはこの後スラッシュメタルバンド ANTHRAX(日本語で「炭疽菌」) と組んで、鋼鉄リフにラップを乗せた爆弾曲「BRING THE NOISE」を発表。最も白人的表現であるヘヴィメタルと最も黒人的なヒップホップの結合。原曲は88年のセカンド収録だけど、メタルバージョンは91年4枚目収録。最終的に2つのバンドは共にツアーまでこなした。黒人だけをアゲる訳じゃない懐の深さを見せつける。


●そんで00年代へワープ。00年代の「BRING THE NOISE」、メタルとヒップホップの共同作戦を聴くつもりでこんなモノをプレイヤーに乗せる。

JAY-Z : LINKIN PARK「COLLISION COURSE」

JAY-Z / LINKIN PARK「COLLISION COURSE」2004年
「MTV ULTIMATE MASH-UPS」という企画で、JAY-ZLINKIN PARK の代表曲をガッタイさせたミニアルバム&ギグの様子を収録したDVDのセット。マッシュアップって既に死語っぽくなってしまってるけど、ジャンル横断型のハイブリット音楽のスリルは伝わってくる。レコーディングのイニシャティブは LINKIN の頭脳 MARK SHINODA。重量級へヴィロックでありながら、MCやターンテーブリストを備える00年代風のミクスチャーバンドだけに、元からヒップホップとの相性は悪いわけじゃない。ただしマイクさばきと経営の才覚で、最も金を稼ぎ出した若きヒップホップの帝王 JAY-Z との合体ってのは、ある意味00年代の「BRING THE NOISE」と言っても誇張にはならないだろう。
●そんで奇縁なことに、この頃の JAY-Z はDEF JAM のCEO。自分で立ち上げたレーベル ROCK-A-FELLA も含めて破竹の勢いで巨大王国を作り出してた。自分は2003年「THE BLACK ALBUM」現役引退宣言&経営に専念、とか言ってるクセしてオモロい企画があるとドンドンしゃしゃり出てきてパフォーマンスする。落ち着きのナイ若社長だよ。メイキング映像では、自家用ジェットで飛来してゴツいガードをぞろぞろ連れて LINKIN のスタジオにやってくる。でもモトから童顔の JAY、なんかあんまエラそうじゃなくて気さくな感じ。日系の MARK が組んだトラックを聴いてゴキゲン。みんな仲良し。若社長は気楽な稼業と来たもんだ。
●そんでライブ。ロサンゼルスの THE ROXY。バンドがヘヴィーな轟音でフロアを煽った所で、若社長ノシノシ登場。太いジーンズもジップアップのシャツも大阪ブランド EVISU じゃん!という細部に感動しつつ、お互いのヴァースを交換しながらラップを披露する JAYMARK の身のこなし&バンドのヘヴィネスに痺れる。ヘヴィなリフの上で JAY が自曲のフックを繰り返し、そっから LINKIN の絶叫サビに突入。テンポ速めの LINKIN 曲に、普段より150%のピッチでラップする若社長。イカす。


JAY-Z、マジいいヤツなので、コレが縁でMARK SHINODA のヒップホッププロジェクト FORT MINOR「THE RISING TIED」2006年の EXECUTIVE PRODUCER を買って出ている。こんなノリでアーティストと付き合う社長って上司として気持ちよくない?直部下の立場だとムチャ振りも連発だろうけど。


JAY-Z「KINGDOM COME」

JAY-Z「KINGDOM COME」2006年
●そんで2006年、ケロッと引退撤回した JAY-Z。DEF JAM 社長業からは一旦手を引き(後任は LAFACEL.A.REID。やっぱ一流のレーベルオーナーだね)、ROCK-A-FELLA 王国の王様になる。当世一流のトラックメイカー大集合、DR.DRE、TIMBALAND、KANYE WEST、THE NEPTUNES…。そして JUST BLAZE!イントロ明けの3曲連続の JUST BLAZE 制作曲は最高、超ファンキーなサンプルセンスと拳を突き上げるようなビートの高揚感がたまんない。なんかやっと JUST BLAZEの真価を見出せたような気がする。KANYE は盟友 JOHN LEGEND を連れて歌心あふれるトラックを提供。THE NEPTUNES はチコチコ小刻みビートに PHARRELL USHER のファルセットボーカルを添えて華麗な一品を完成。先日おめでたくご結婚と伝えられた BEYONCE をココでもフィーチャー。この年ソロデビューする NE-YO や 翌年ソロデビューする CHRISETTE MICHELE をこの時点でフックアップしてる耳の早さは、さすがの経営者感覚です。JAY-Z ってトラックを細かい言葉で敷き詰めるスキルフルなラッパーじゃないと思うけど、ザックリしたラップのスキマ感がファンキーで独特の空気感を持つ男。オレよりラップウマいヤツなんてゴロゴロいるんだよな~って自己分析が、気まぐれな引退宣言にはあると思うんだけど、実は彼ほどユニークかつキャッチーなラッパーはいないのかもよ。最新作は評判がよくないらしいから聴いてないけど、また600円くらいになったらチェックするさ。

とにかくダブル・ゼータです。
●我が家では、毎週一枚づつ「機動戦士ガンダムZZ」のDVDを借りてきては親子で見ている。ちょっと荒唐無稽で、大人目線じゃ「そりゃねえだろ」的なトコロもあるけど、ノマドヒヨコが盛り上がってればそれで父は満足なのだ。今週は、DVDで第6巻、ブライト艦長率いるアーガマと、ハマーン・カーンの旗艦が地球に降下したトコロまで見た。戦場は地球圏内へ。

機動戦士ガンダム ZZ 6

ニュータイプとブライトさん。
●主人公ジュドー・アーシタをはじめ、このシリーズに登場する少年たちは、例によってアムロたちように偶然ブライトさんの最新鋭戦艦のクルーになっちゃうんだけど、「ファーストガンダム」「Z」に比べるとやたら奔放で、アムロカミーユが従順なくらいに見える。アムロカミーユもブン殴られたりスネたり脱走したりしたけど「ZZ」の連中は一番ヒドい。ジュドーはマシンを私物化、好き勝手に作戦をねじ曲げるし、ビーチャモンドのように日和見主義でスキあらば敵に味方を売るヤツもいる。ノマドヒヨコにはそれが痛快で楽しいらしい。
●ボクの勝手な深読みでは、ブライトさんは、様々なニュータイプの少年たちと触れ合ってきて、彼らスペースノイドの新世代が自分にはない超感覚を備えていると確信、信頼するようになったのだと思う。「オマエたちは無茶ばかりで最低だが、結果はキチンと出す。イライラするが好きにやってみろ!後はどうにかしてやるから!……おい!弾幕薄いよ、どうなってんの!」職業軍人であり、組織の中間管理職でもありながら、ここぞのトコロにはアマチュアの新世代少年たちを支援するブライトさんの立場こそ、今35歳のボクに一番響く。目は細いけど、結構カッコいいよ、その生き方。上司にしたいランキング1位。

「Z」でもそうだったけど、モビルスーツの名パイロットは、みんな女の子。今回も多種多様な女子がモビルスーツに乗る。息子ノマドのお気に入りは、キュベレイmk-IIエルピー・プルだという。精神年齢低め設定で「ぷるぷるぷる~!」と叫んでハシャぐ。台本書いたヤツ、ある意味スゲエ。娘ヒヨコは Zガンダムルー・ルカさん。紫のロングヘアーと青のオリジナルノーマルスーツ。ヒヨコ「ルー・ルカ、はっしん!」を連呼して遊んでる。ジュドーの妹でアクシズで人質になってるリィナも好きらしい。なぜかピアノやバレエのレッスンを受けさせてもらってるからだ。このレッスン、狙いはナニ?

●あ、ボクのタイプですか? ハマーン・カーンです。ちょっとサディスティックですけど、なにか文句でも? ワイフに言ったら「やっぱり」っていわれた。アクシズの宮殿にジュドーが忍び込んだら、意味なく水着で日光浴してたトコロが良かった。プールでひと泳ぎしたのか髪の毛はスッキリショートに見えた。普段の横広がりなボリュームは静電気か何かで広がってるのか? すいません、あのスッキリショート希望なんですけど。

ハマーンカーン

(このボリュームは半端な毛の量じゃないよね。ニュータイプは毛が逆立つのか?)


そんで、へんな主題歌。

機動戦士ガンダムZZ SPECIAL 「機動戦士ガンダムZZ SPECIAL」

新井正人「アニメじゃない」
「ZZ」の珍妙な主題歌、ノマドの強い要請で iTMS にて購入。歌詞カード(全ひらがな)まで打ってやった。連休のドライブの間、ズーッとノマドの「アニメじゃない」を聴かされてたよ。


で、ノマド、オリジナルモビルスーツを制作。「機動戦士ガンダムNN」

ガンダムNN

ガンダムNN-2

●名付けて「ガンダム・ダブルエヌ」。エヌの由来は、ノマドのイニシャル。「パパ、ノマドのカシラモジはナニ?」ノマドだから「N」だろ。「じゃ、コイツは『NN』(ダブルエヌ)だ!」「ZZ」の文字を横に倒すと「NN」になる。ある意味ウマいね。ダイヤブロックで各関節も可動、3機合体モードも「ZZ」を踏襲。メインのマシンに対して、サブの2機は、四足歩行のモビルアーマーと、透明なパーツを使ったステルス戦闘機。いいアイディアじゃないか。

ガンダムNN-3



一方ヒヨコは大量生産型モビルスーツ「ちびロボちゃん」の開発に余念がない。

ちびロボ整列
 
●色別に整列させてこれから作戦レクチャーだ。今回はノマドの指示で、敵に爆弾を仕掛けるという危険な任務。ヒヨコの「ちびロボちゃん」は見事作戦を成功させることができるのか?……結局、残念ながら「ちびロボちゃん」一機が逃げ遅れて爆発に巻き込まれたらしい。

●その一方で「ちびロボちゃん」は集合ガッタイしてピラミッドのように巨大化する。これはこれで侮れないギミックだ。

ちびロボピラミッド


自律神経失調症とのお付合い(その50)~「『整膚』というモノを見つける」編
●まずはいつもの鍼灸治療だ。
●センセイ「あーもうヒドいわ。こりゃヒドいわ。連休旅行行けばオカシくなるって言ったでしょ。案の定コレだ。ありゃりゃりゃ」センセイボクの背中を撫でるだけで、ボクのボロボロさ加減をキチンと見破る。確かにセンセイ連休前に予言しとった。「あーこりゃダメ。でもしょうがないわ。ツラくなったらまた来なさいな。ソレしかないわよ」ボクの鍼灸のセンセイの治療は、気を読むとか、精神状態を探るだとかは関係ない。完全に筋肉の緊張と弛緩だけを観察して、患者のコンディションを診る。手法は東洋医学かも知れないけど、感覚はスポーツ医学だ。クライアントにスポーツ選手が多いのもそういう事情からか?今日もプロゴルファーさんが飛び込みで来るからと言って忙しそうだった。こんなノリで、野球選手からバレリーナ、格闘家、女優や歌手、ミュージシャン、アナウンサーまで面倒を診ている。
●かといって、精神医学のハナシをしないわけでもない。専門家として話すわけじゃないすよ。たまたま身内に精神科医さんがいるから、事情をよく知ってるという程度だ。雑談の中でボクがぼやいた。なんか今の病院の先生、ウマが合わないんですよね~。相談してもなんか的外れな感じで…。センセイ「あら~。そしたらすぐ変えた方がいいわよ。あのテのお医者には色々なタイプがいて、敢えて患者の突っ込んだハナシに乗らないというスタイルの人もいるの。のめり込み過ぎると医者の自分もオカシくなっちゃうからなんですって」センセイ曰く、精神科の医者は半分近くがウツ気質の人だという。これまた極端なハナシ。「患者を診ててウツになるのか、ウツっぽいタイプだから精神科医なんて職業を選ぶのか、ドッチが先かわかんないけどね」でも医者自身がうつ病なのはいいコトだとも。患者のコンディションにより敏感になってクスリの配分やアプローチがきめ細かくなるという。でも月に一回は自分もダメになるから、病院の周囲は大変らしい。
●結局今日はあまりにもヒドいから、応急処置的なレベルまでしか筋肉の緊張を抜けなかった。来週月曜日にまた予約をとって治療を受ける。置き鍼(画鋲の四分の一くらいの鍼を刺しっぱなしにしておくこと)を施してもらったが、コレが最多記録更新。今ボクの背中&肩&首には27本の鍼が刺しっ放しになってる。もうズタズタです。会社にも行くつもりナイからお昼のヒマな時間に予約しちゃった。これでゆっくり治療してもらえるぞ。


あ、あと先日の記事で一個訂正。
●CDのバカ買い、64枚購入って書いたけど、間違えた。74枚だった。総額39854円、一枚平均単価は538.5円。コストパフォーマンスはイイでしょ。……はい、そういう問題ではありませんです。


さて先日、北沢タウンホールの地下一階にへんなモノを発見した。

健康まあじゃん

「健康まあじゃん シャングリラ」
●ボクはここのバス停から心療内科に通院してるんだけど、イマイチこの建物の全容が掴めない。ホールって言っても面白い催しも滅多にないし、後はハローワークとかそんなのばっかし。したら、この店の看板に目が止まった。区の施設に雀荘!好奇心で近寄ってみるとオバちゃん達が真っ昼間からマジでマージャン打ってる。リタイヤ世代の社交場としてオジイちゃん世代も結構混じってる。どこが健康なのか?店のヒト曰く「ウチは、禁煙、禁酒、お金も賭けない。健康的なイメージでやってるんです。夜も週一回しか営業しないで、通常は夕方4時に閉めてしまいます」……健康ではなく、健康的なイメージでやってるのね。

●と思ったら、なにやらマッサージ系のサービスもやってるという。5分500円。その名も「整膚」。初めて聞く言葉だ。雀荘とマッサージという違和感丸出しのチグハグ感に抱いた好奇心と、ホントに我慢が出来ない全身の激痛で、うっかりこの「整膚」にチャレンジしてしまった。
●雀荘の奥に、パーテーションで仕切った空間がある。ソコに白衣を着たオバちゃんが一名。あの~15分くらいでお願いできます? 「全然問題ないですよ、さあそこの椅子に座って」とオバちゃん。「整膚」とは、「皮膚を整える」という字のごとく、ひたすら皮膚を優しくつまみ上げることで、皮膚と筋肉の間に分布する血管やリンパ節を活性化し、老廃物の代謝を促すという考え方らしい。これがホントに煮え切らないマッサージで、ビキビキの筋肉には触れず、ひたすら皮膚をつまんだりさすったりするだけ。一瞬はモノ足りねええ~!と思ったが、悔しいコトにモノの五分で確かにカラダの表面がポカポカ温かくなってきて汗までジンワリニジんできた。
●侮れねえ、「整膚」。オバちゃんはTシャツの中に手を突っ込んでひたすらボクの背中、肩甲骨周辺をモミモミしまくる。肩から脇の下までまんべんなく擦る。そんで顔も。目の周辺、眉毛、眉間の中心、頭皮、耳の裏、アゴの付け根までつままれた。「顔もシッカリやると、カオのむくみが取れて美顔効果もありますよ」美顔は…どうでもイイんですけど。そんなたいした顔じゃないし。しかし、オバちゃん、子細に「整膚」のシステムや技術をしゃべりまくって施術してくれちゃうから、ノウハウが全部伝わっちゃうんだよね。技術は経験の分だけオバちゃんに利があるけど、コレ即日から自分で実践できるよ。つーかそんくらい丁寧に教えてくれる。オバちゃん、スキルをネタバラし過ぎるとリピーター来ないよ。最初の一回で十分になっちゃうよ。

最後に最大の謎について質問した。なんで雀荘の中で「整膚」やってんですか。「ここのお客さん、みんなマージャンに夢中で肩凝りする人多いからね、間借りさせてもらってるの」うわ、ユルいコンセプト。衝撃。
●その夜、オバちゃんにつままれた手の甲に、ワリと大きな水ぶくれができていた。ぬー。水ぶくれっちゅーコトは、それだけボクの代謝が滞ってるってコトだよね。つまんだだけで早速そこまで目に見えて影響するほどのカラダなんだ。なんかショックというかビックリというか、複雑な心境だ。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

近所を散歩してたら、花がキレイだったので写真に撮った。

はな

●特に意味はないです。季節を愛でるココロがボクにも備わってるんだなって、確認しただけ。


●大分正気を取り戻したので、ブログも打てるようになった…。今週は散々。


自律神経失調症とのお付合い(その49)~「GW旅行で失敗!撃沈」編
結論から言うと、ゴールデンウィークの一泊旅行は失敗した。あの旅行から帰ってきて、猛烈に体調が悪くなった。旅行中は何の問題もない。問題は終わってからだ。先週土日の旅行が終わり、月火水木と4日間が経過しても、カラダの疲労が抜けない。つーか、全身が痛い!カラダ中の筋肉が緊張してバキバキに凝っている。今までは右肩だ背中だとか言ってたが、もう全身がくまなく痛いので成す術もない。とにかく首から両肩、背中の肩甲骨周辺、背筋、脇の下の筋肉、腕、そして目の周り、耳の周り、アゴと舌、こめかみ、モモの筋肉、オシリの筋肉、指の筋肉までが痛い。肩の痛みはここ半年で最悪で、まるで息子ノマドをずっと肩車して過ごしているかのような重さと痛さを感じる。腕をまわせばバリバリ音が聴こえる。


久々のビッグウェーブ。ここまで体調がおかしくなるのは休職が始まった頃以来だ。
●もうナニもする気にもなれない。テレビも見たくないし本も読みたくない。どんなに寝てもこの苦しみは弱まる気配がない。自律神経失調症は筋肉の緊張を解除できなくなる病気なのだから、単純に休めば痛みが治まるという訳には行かない。精神安定剤を多めに飲み、半身浴を一日に2回一時間づつして、ラジオ体操して、散歩もちょっとだけして、夜寝る時は自律訓練法という自己暗示の段取りで一つ一つの筋肉に意識を集中して緊張をほぐすように仕向ける。カイロや温湿布も貼るが、全身が痛いのでドコに貼るべきかわからなくなる位だ。最近は気温も上がって暖かいらしいが、温度感覚が狂ってきたのかどうしても厚着をしてしまう。自宅内では100%ドテラ着用である。そして異常にノドが乾く。一日に麦茶を2リットル飲む。唾液の量のコントロールが狂った証拠だ。もうこうなったら、極力ナニも考えず、アタマを真っ白にして過ごすしかない。


不調の兆候は、実は先週からあった。
●リハビリの経過は順調だった。色々な人と会ったり話したりしても動揺することもない。看護師さんや周囲の人も安心してたはずだ。ただし、順調過ぎた。普通のペース以上に飛ばしてる観は否めなかった。10時出勤を9時半にしたり、新しい仕事のアイディアにアタマを巡らせたり。しかし、仕事をリアルな問題としてイメージするようになったら、バランスが崩れ始めた。まだボクのカラダは回復し切ってない。仕事のイメージとカラダの状況がシンクロしないのが焦りになってた。次々と仕事のアイディアが思い浮かぶのに、それをこなすだけのキャパシティはボクのカラダにはない。イライラと不定愁訴(難しい言葉だけど、気分がローになること)がドンヨリとアタマの中に充満するようになってた。旅行でもすればスッキリすると思ってたのだが、結果は真逆だ。カラダはボロボロだ。


心療内科の診察、会社はしばらくお休み。
●のれんに腕押しの担当医に相談しても、何のリアクションもない。「あ、すいません、来週ワタシ休診なんで、次は二週間後ですね。おクスリも多めに出しときます」ノンキだな~。ボクホントに全身激痛なんですけど。診察の結果を会社に電話しようと病院の外に出てたら、センセイ「お疲れ様でした」とニッコリ笑顔、私服に着替えて颯爽と退勤していった。時計を見ると5時半キッカリ。なんだボクの診察ペース速めに切り上げたのは、時間合わせかよ。ダメだこのセンセイ。マジ替えるか。
●さて、会社の看護師「のび太のママ」さんに連絡する。すいません、今週は全部お休みさせて下さい。どうにもならないほどの状況です。今週はカウンセリングもありますけど、もうコレと言って話さなくちゃいけないコトもないっす。復職へ進める感じじゃないッすね。「今週と言わず、来週も休んでいいわよ。ワタシね、unimogrooveさんがオカシくなってるの、なんとなく気付いてたから。ココでちょっと仕切り直して2月のリハビリ始めたペースまで戻しましょう。一旦崩れたモノをもう一回ゆっくり戻すつもりで」本来なら、復職が遠くなる~ショック!となるトコロだが、今回はそんなコト1ミリも考えない。自分でわかる、マジで無理。コレはダメだ。時間かけないと戻せない。今の気分じゃ会社には行きたくない。


CD購入禁止令、決壊!
●ボクにとって、CDを買うことを我慢するってコトは、アルコール中毒の人がお酒を我慢するのと似ているかもしれない。お酒はホンの一滴で逆戻りしてしまう。何年も我慢してた人がたった一口で元のアル中に戻ってしまう。その道では「スリップする」っていうのかな。ボクもスリップした。ある日、カフェでお勘定しようとしたら万券しかない。マスター「あー、ごめんなさい、細かいお札ないかな~。できれば向こうにコンビニあるから細かい買物して崩してきてもらえないかな~」そこでボクは店を出たが、コンビニの軽い買物なんてイメージできなかった。ああ、あの時ガムの一個、雑誌の一冊でも買っときゃよかった。ボクはコンビニには行かず、その向かいにある中古CD屋さんに入ってしまったのだ。
これで完全にスリップした。滑りまくった。この日は2枚で済んだ。でももうダメだ。この三日間で64枚買ってしまった。せき止められてた物欲のダムがゴジラに破壊されたかのように決壊して、ボクの理性を土石流で押し流した。ふと気付いたら60枚超えだよ。金額で4万弱。怖いでしょ、一気にドカッと来たよ。元から買物依存症的な性質があるんだよね。それが久々に牙を剥いた。三日間CD屋をむしり歩いて今日ワイフにカミングアウトした。あきれてた。ワイフ「コレ全部ホントに聴くの?」ああ、多分一年くらいかけて。でも一枚単価630円くらいだよ?コストパフォーマンスとしてはかなりの効率だよ?…って、全然言い訳にならないね。ヤバいねー。


すいません。一つ、グチらせて下さい。
●この自律神経失調症という病気は、症状の現れ方も対処法も、患者が100人いたら100通りあるような正体の掴めない病気なんです。「自律神経失調症 ブログ」で検索すれば無限に出てきますよ。大勢の人が様々な苦しみにモガイているのがわかります。でもコレを他人に理解してもらうのはスゴく難しい。見た目はフツウの人間だし、誰もがボクを病人とは思わないでしょう。でも、病気なんです。
そしてこの病気の一番奇妙な特徴は、もがけばもがくほどヒドくなるというコト。究極的には、静かに過ごすコトのみが治療なのです。本当に近しい人はそれを理解してくれています。誰もボクにナニかを勧めたり促したりしない。ダメになっているなら、存分にダメにさせておく。これが一番ウレシい。反対に一番ツライのが、「頑張れ!」とか「前向きに」とか「きっとよくなるよ」とか「病気を克服しよう」といった励まし。あまり病気を知らない人が善意で言うフレーズ。「気合いでなんとかこなせるよ、ダイジョウブ」とかフツウに言われちゃうのが、ホントにツライ。返す言葉もない。だってその人は善意で言ってるんだもん。今回の一泊旅行では久しぶりの親戚にたくさん会ったけど、お年寄りにはホントに困った。「80超えてるワタシがダイジョウブなんだから、若いアンタもダイジョウブよ」いやダメなんですって言ったってしょうがない。
●患者の立場から言えば、この病気は、前向き後ろ向きの問題じゃない、ダメなモノはダメとあきらめる覚悟が一番大事なんです。今まで出来たことが出来なくなった。やろうとすればカラダが悪くなる。完治するとしても数年から十数年かかる。だから、このポンコツとなった自分のカラダとどう付き合うのかジックリ考えなければいけない。その葛藤だけでもかなりのストレスなのに、周囲の無理解や誤解がこれまたスゴいストレスになる。理解してもらうことなんて不可能だと思いながらも、この摩擦は苦しい。自分の中の葛藤と、世間との摩擦。永久に解決しないであろう悩みだから、いちいち文章にしたことなかったけど、敢えて今日はグチらせてもらいました。


結婚式で会った従兄弟のナオくんとの会話を思い出した。
ナオくんは、今回結婚したアツシくんの弟で22歳。9年ぶりの再開、前回は中学生だった。ナオくんは今ナニやってんの?「えーと、ニートっす」ありゃ、叔父さんからは工場で働いてるって聞いてたけど。「派遣でボチボチやってたんすけど、辞めました。なんもやってないっす」あっけらかんだなあ。まあ22歳だもんな、それもアリか…。………つーか、ボクもニートか。なんもやってないっす。ナニも出来ません。……ナオくんは栃木県の実家でパラサイトをやってるんだけど、趣味は色々あってなんか楽しそうだ。インラインスケートやスケボーもソコソコの腕前らしいし、冬はモーグルもやるらしい。実家の倉庫の奥にスケボーでトリックをかますための手作りレーンがあった。スケボーに興味があるノマドは楽しそうにいじってたな。……気楽に行くか。CDたっぷり買ったことだし。別に落ち込んでもいないです。ただ、ダメなだけなので。ダメなりに生きるしかないでしょ。

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●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

関東平野の北辺、田園地帯を北上するドライブ。

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我が家は土日2日間の一泊旅行で、栃木県の奥地に突き進むのでありました。
●ボクの父親の故郷がこの栃木県の辺境にある。子供の頃にはよく訪ねた父の実家から、最近はとんと足が遠のき、成人して以来は2回しか行ったコトがない。1回は祖父が死んだ時。2回目はボクが結婚した時。今回は、この9年ほど会ったことのナイ従兄弟が結婚するというキッカケ。これを契機に、初めてノマドヒヨコを、父の実家の関係者叔父叔母従兄弟たちへ紹介し、ノマドヒヨコのヒイババ、ツギおばあちゃん(次女だからツギ)の家を訪ねるコトとした。
●そもそも今の会社に就職してからGWを暦通りに休んだコトなどほとんどなかったので、こんなドライブ旅行が初めて。自律神経失調症を患い休職してから、東京都のソトに出ること自体も初めて。ノマドヒヨコも栃木県が初めて。自動車を売却したので運転は父親にまかせ、ジジババ&孫3世代ツアーとなった。
●栃木県のバイパス沿いに広がる田んぼ&麦畑が、ノマドヒヨコには珍しい。田植えの作業をする風景が珍しい。ノマドヒヨコ、日本のお米はこういう所で作られてるんだぞ。夜の移動でもノマド感動。ボク「ノマド、耳を澄ましてみろ。何かが聴こえるだろ」……ゲロゲロ…ゲロゲロ……。ノマド「カエル!」そうだ。田んぼにたくさんのカエルが住んでるんだ。ノマド「ジジ、クルマでカエルのことひかないようにきをつけてね!」カエルはみんな田んぼの中に住んでるからダイジョウブ。そのカエルがミンナで一晩中鳴いているんだよ。田んぼには色々な生き物が住んでいるんだよ。

ツギおばあちゃんの家に到着。
●ボクの祖母であり、ノマドヒヨコのヒイババであるツギおばあちゃんの家に到着した。ノマドヒヨコには珍しい物件がイッパイ。まず連中には「タタミ」が珍しい。ボクの家にはタタミがない。ボクの実家にもタタミはない。ワイフの実家にはちょっぴりあるかな…。ツギおばあちゃんの家は全面タタミ。タタミの目に沿って足が滑るのが楽しい。

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●ノマド「あ!ダルマだ!」ダルマも神棚も珍しい。小型神社を自宅に設置。冷静に考えると斬新なアイディアである。そして、ツギおばあちゃんの趣味、書道にも関心。ノマドヒヨコ、おばあちゃんは字が上手なんだ。小学校でも習字の勉強はするぞ。おばあちゃんの字は達筆で年賀状も読むのが大変、この掛け軸も難しい字なんだぞ。「いや、たいしたことないのよ、自分でもなんて書いてあるかわかんないんだから」えっ、ツギおばあちゃん、今サラっとスゴいコト言わなかった…?

ツギさんの掛け軸


亡くなったヒイジジにお線香を。

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●祖父シズオさん。1995年、ボクが学生の頃、ちょうど今の会社に内定が決まった日に死んだ。当時は携帯電話がないので会社からの内定連絡は自宅電話の前でジッと待つ他なかった。「就職氷河期」の始まった時代、内定をもらったのはウレシかった。田舎に駆けつけていた両親に連絡をして、翌朝速攻で特急に乗るつもりだったが、その日の晩に祖父は死んでしまった。仏壇の写真を指差して、この人がノマドヒヨコのヒイジジ、シズオおじいちゃんだ。お線香上げてナム~するように(「ナム~」→「南無」の意。合掌)。田舎を巡るというのは、コドモには刺激的なのだな~。


翌日。結婚式当日。

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●那須塩原市にある結婚式場。この前テレビでやってた「カリオストロ」風じゃねえか。スーツ&ドレスに着飾ったコドモもテンションが上がる。特にヒヨコ「オヨメさん、どんなドレスかな~」。結婚するのはボクの従兄弟で26歳のアツシくん。会社赴任先の盛岡でカワイい女の子を口説き落とした。ボクが前回会ったのは彼が坊主の高校球児だった頃。変貌ぶりにビックリした。久しぶりの会話。「盛岡、イイ街じゃん。ボクも一昨年出張で行ったわ」アツシくん「仙台から盛岡に赴任してもう2年ですね」ボク「アレ?お嫁さんとは交際2年って聞いたけど……。速いネ(笑)」アツシくん「まあ、速攻でした(笑)」

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●速攻のアツシくん、もう長女ホナミちゃん(6か月)もおりますので、3ショット結婚式でございます。チャペルの前でライスシャワー。ウチのコドモたち、シャワー終了後、花びら回収。

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●披露宴、一丁前の出席者ぶりの二人。「お行儀が悪けりゃ絶対に連れて行かない」と一週間前から徹底して仕込んでたので、まあ、なんとかおとなしくしている。

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●しかしキャンドルサービスではヒヨコ興奮。カメラを持たせたら好き勝手に写真を撮りに行った。最前列カブリツキ。アツシくん、元高校球児だけにお辞儀が体育会系だった。

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●さらに、アツシくんの地元の仲間たちの余興も撮影。「オマエら、気合い入れろよ!」野球部仲間が結集。「オマエら点呼するぞ!番号!」「1」「2」「しゃん!(アホ)」「4」「5」「ろく!(アホ)」……。世界のナベアツネタ、誰もクスリともしない沈黙のノーリアクション。彼らは自分たち以外は列席客の80%がアラウンド還暦というコトに気付かなかった。知らないよ60歳代はナベアツを。キミら痛くてイイね!若いってそういうことだよ!

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●ボク的には、精神安定剤でテンションを繋ぎまくって乗り切った次第でございます。禁止されてた結婚式も、やっと出席を医者に許可された。長距離移動もなんとかこなした。もう今日はクタクタなので、寝て過ごす。
全然関係ないけど、端午の節句が近い。

端午の節句のサンダース

カーネル・サンダースも、ヨロイカブトで武装。カーネルっていうから「サンダーズ大佐」なんだよな。多分「シャア大佐」の次に有名な大佐だろう。軍人だから甲冑<姿がよく似合う。三軒茶屋にて。


今日は会社を休んでしまった。メガネが見つからないので。
●朝から苦しい。カラダ中が猛烈に虚脱して、チカラが入らない。背中と右肩に激痛。アタマがボンヤリして冷静に物事が把握できない。最近胃腸の具合が悪く下痢&腹痛。気温は高くなるとテレビが言ってるが、寒気がしてしょうがない。それでも10時半にセットアップを済まして出勤してやろうと思ったが、なんとメガネがない。ボクはメガネがナイとメガネが見えない。ワイフと家中を探すが見つからない。朝からの行動を遡って記憶を手繰りたいが、完全に混乱しててナニも思い出せない。下手するとパニック発作が起きそうだ。またしても安定剤を口に放り込み、ゴックリ麦茶で流し込んで、そして会社に電話をかけた。
●ボク「すんません、メガネが見つからなくて会社に行けません」かなりバカな言い訳だな。「朝からコンディションがサイアクでして、それでも出勤の準備は済ましたのですが、メガネが見つけられないという段階で、今日はちょっとボクはオカシくなってるようです。なので、会社に行かない方がイイかと思いまして……」電話の向こうの看護師「のび太のママ」さん「無理しないでイイわよ。unimogrooveさん、回復のピッチはかなり飛ばしてる方よ。順調過ぎるくらいだから、この程度の不調はあって当然だから。とにかく今は、どんな状況でも柔軟に対応できるように、ダメになるパターン、うまくリカバリーするパターンを、一つ一つカラダに呑み込ませて行くことが大事。でも、一日眠りすぎるとまた生活リズムが崩れるから、ちょっとでも外出はした方がイイわね」仰せの通りに…。


とか言って、ハッと目を覚ましたら、もう夕方だった。
●居間の真ん中で倒れるように眠ってた。ううーん…。会社の代わりに、保健所へ行って医療費控除の申請書類をもらおうと思ったのだが、とっくに役所の終わる時間であった。しょうがないので、またシモキタザワのカフェに行く。


イーハトーボ

「珈琲音楽 イーハトーボ(いーはとーぼ)」
●場所:下北沢一番街商店街。茶沢通り踏切から商店街を進むと見えてくる「メガネスーパー」の向かいの建物の2階。世田谷区北沢2ー34ー9。
●古くからこのシモキタザワの街を見守ってきたかのような貫禄のある喫茶店。マスターは必ず「この店はCDの音量を大きめにしてますのでご了承下さい」とお断りを入れる。「かかっているBGMへの問い合わせ歓迎です」との張り紙も。音楽へのコダワリは並大抵なモノじゃないっぽい。今日もバンドネオンが主旋律を奏でるカッコいいジャズが流れてたので「コレはどんなCDなんですか?バンドネオンがジャズをやるなんて珍しいですね」とマスターに質問してしまった。マスター「バンドネオンがジャズをするのはそんなに珍しくはないんですよ。コレはパリのミュージシャンの作品です」ボク「古い録音のモノですか?」マスター「いや、ウチは新譜しかかけませんから」はああ。「今、CDの名前、メモしますからね」マスター、メモにフランス語の単語をサラサラと書き付けてボクにくれた。あ、でもフランス語読めない。「すいません、マルク・ベルトゥミーって読むんですよね…」あわててボールペンで読みがなを書き足した。ボクの父親くらいの年齢なんでしょうが、現在進行形でシーンの先端についていってるんだ。スゴいなあ。店内には、凝った古本や LP、CD(なぜかオキナワものが充実) がたくさん置かれていてソレを見るだけでも楽しい。村上春樹の短編集を2冊買った。でも100円。

●二階の窓から見下ろすシモキタザワの街並も一興。若いカップルや家族連れが歩いて行く。

イーハトーボマドの風景



カフェ読書。
●そんな高貴なジャズが流れているのに、読んでるモンはヒップホップもの。

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井上三太「TOKYO TRIBE 2 SPINOFF」
●ファッション誌「BOON」に長く連載し完結した「TOKYO TRIBE 2」が帰ってきました。ボクは「TOKYO TRIBE」もリアルタイムで読んだクチ(三太センセイデビュー作「ぶんぶくちゃがま大魔王」もリアルです)なので、この世界観はなんか馴染みの仲間のように親近感を感じる。主人公・くんの日常、部屋の描き込みは、まさしくボクらの世代のリアルを象徴。渋谷センター街の風景、レコ屋で12インチをチェック、THE PACK「VANS」はボクも大好きだよ、くん!そんで宇田川町の台湾料理屋でメシ。部屋には凶悪強盗ゲーム「GRAND THEPT AUTO」のポスター、アディダススーパースターをお手入れ。そんでムサシノクニ(吉祥寺)…。今回は「SPINOFF」とあって外伝モノ、「TOKYO TRIBE」から「2」への橋渡し的な物語(テラさん!涙。)まで出てきてちょっと感動。本編の脇役クンたちや「TOKYO GRAFFITI」ラブくんまで出でくるぜ。シンヂュク HANS 巌さんとシヴヤ SARU シェフさんが仲良く酒酌み交わすとか、三太センセイ本人まで出てクルとか、本当ニクいね。完全同窓会気分。てか、読んでない人には意味わかんなくてすみません。


やっぱりヒップホップだよね。その13。

PHILLYS MOST WANTED「GET DOWN OR LAY DOWN」

PHILLY'S MOST WANTED「GET DOWN OR LAY DOWN」2001年
●先日、PRINCE を聴いて、その遺伝子をタップリ受けたとおぼしきプロデューサーチーム THE NEPTUNES の音を聴いてみたくなった。で、彼らが半分以上プロデュースしたこのアルバムを聴いてみる。……。やっぱ THE NEPTUNES ハンパないわ。PRINCE の変態ファンクは奇妙な軽さにベットリとした湿り気があって、歌心と人力(殿下はどんな楽器も自分で演奏するマルチプレイヤー)に対する信頼感があった。しかし THE NEPTUNES は音と音のスキマの大きさ、スネアの固さこそ共通点をかいま見れるけど、上モノのシンセフレーズも含めて、その乾き具合は完全に独自の発明で、HDレコーディングとPC編集が裏打ちする21世紀の音として特別の輝きを放っている。とくにこの2001年という時期。彼らのキャリアが熱く盛り上がったタイミングだ。彼らのパフォーマンスユニット N.E.R.D.がファーストアルバムを発表、そしてその後1~2年の間に BRITNEY SPEARS、JUSTIN TIMBERLAKE、NSYNC、JANET JACKSON、USHER、BABYFACE、SNOOP DOGG、JAY-Z、BEYONCE、COMMON、などなど超一流のポップスターのリミックス、プロデュースを担うようになる。その爆発寸前の才気あふれる勢いがガッツリ凝縮してるこの一枚は絶対聴くべきだ。一曲JUST BLAZE も楽曲提供してるけどね。
●この PHILLY'S MOST WANTED、その名の通りフィラデルフィア出身の2人組MCみたいなんだけど、実態はよく分からんでス。二人が入れ替わり立ち代わりマイクをリレーしていくフロウさばきはスリリングで、THE NEPTUNES 製のトラックとも相性がいい。THE NEPTUNES の大ブレイク以前からのお付き合いなので、大忙しの大プロデューサーになっちゃった彼らにこの後も面倒見てもらってる気配あり。ちなみに2000年発表のシングル LUDACRIS「SOUTHERN HOSPITALITY」も凄まじい硬質ファンクで THE NEPTUES 好きには欠かせない一曲です。