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2008.05.24
注目ドラマ「キミハン」&「ハチワン」、そしてマンガを力の限り。
●今夢中のドラマ。「キミ犯人じゃないよね」。

●ドラマ「TRICK」「時効警察」を生み出したテレ朝「報道ステーション」後の金曜ドラマ枠。ここで今、「ちりとてちん」の貫地谷しほりちゃんと要潤の推理ドラマが、これまたヘンなテンションで展開されてて、ワイフと二人で楽しんじゃってる。ミステリー作家希望のフリーター女子(貫地谷)&名家のお坊ちゃん刑事(要)の凸凹コンビが、巧妙なトリックで仕込まれた殺人事件を解決する。
●映画「ピューと吹く!ジャガー」で完全三枚目路線に踏み込んだ、要潤の徹底したマヌケっぷりが豪快で、ボクはこの人見直しちゃった。タダのイケメンじゃないわ。
●一方でもっと注目なのは、貫地谷ちゃん。仲間由紀恵&麻生久美子を三の線に引き込んだこの枠で、やはり徹底したコネタギャグをテンポよく展開。要との呼吸も回を重ねることにグレードアップして、説妙な間合いでトコトコ事件を解決していく。
●ビンボー生活を補うためにありとあらゆるバイトを掛け持ちしてる彼女の毎週代わりのコスプレが萌え度アップ。メイドさんから飲み屋のフロアさん、女子校の生徒&先生、ニューハーフクラブのホステスまで、寅さん風腹巻きまいて実演販売までやるし、宇宙人ルックのコンパニオンもやる。今週は綾波レイ&セイラマス、来週は巫女さん&占い師、いやーん、萌え〜。
●貫地谷しほりちゃん、映画「スウィングガール」で上野樹里の隣でジタバタしてた女の子の一人だったんだよね。そっからズーッと気になってて、「いつかこの娘の時代来るんじゃないか」と思ってた。でも「ちりとてちん」は朝早過ぎで結局一回も見られず(おまけに視聴率もよくなく)、ココでやっとグッとくる作品に巡り会ったかなーなんて思っちゃってます。
●渡辺いっけい、金剛寺武志など脇固めも個性的で、全員に毎週お約束の決めゼリフがある(時にそのお約束が破れてて、それがまた笑える)。かなりミクロな小細工演出満載で結構画面から目が離せないっすよ。ちなみに貫地谷ちゃんのイモウト役の娘、小島藤子ちゃんもちょっと気になる。とにかく貫地谷ちゃん頑張れー!

●もう一本注目のドラマ。「ハチワンダイバー」。

●土曜11時という枠に今までフジはドラマ置いてたかなんてわかんないんだけど、とにかく始まったこのドラマ。原作は「谷仮面」「エアマスター」でテンション激高の格闘マンガを書き続けてきた柴田ヨクサルの同名マンガ。ボクはもう一巻からこのマンガ全部(つーか「谷仮面」「エアマスター」も全部チェック)してたけど、賭博将棋を生業とする「真剣師」の世界を格闘技のテンションで描くこの怪作をドラマ化するとは一種の暴挙と思った。しかしその困難に立ち向かう志はよし!よっしゃ、全部見届ける!
●キャストは全然しらない人で、溝端淳平&仲里依紗というペア。プロ棋士への夢から落伍した青年が「真剣師」の世界に潜り込み、通称「アキバの受け師」という女性真剣師に出会う。しかし彼女はクールで激強の真剣師という顔と同時に、巨乳のデリバリーメイド(ご主人様♥)というもう一つの顔を持つ謎の女。この二重人格に翻弄されながら「真剣師」の世界にズブズブ沈んでいく主人公の情けなさっぷり&勝ち上がりっぷりも好感触。脇役にサンドイッチマン、木下優樹菜などを配置するセンスもグー。
●そもそも、将棋という「画が動かない」モノをテレビドラマの軸に持ってくるのが勇敢な冒険だ。だって役者は座って将棋さすだけでしょ。内面の心情描写を画面に焼き付けるのは難題っすよ。でもコレを細かい編集テクで、テンポよく緊張を切らさずにテンションを高めていく演出はご立派。コレも全部録画してます。
●原作マンガも最新刊で新展開。謎の真剣師集団「鬼将会」と主人公ハチワンダイバーが接触。オトコっぷりをチョッピリ上げつつ(前巻&今巻の「受け師」さん、ハチワンの気合いに気圧されてちょっとカワイい)、なぜか命がけの将棋をやるハメに。どーなっちゃうの?
●リハビリ出社で新聞熟読してたら、見開き特集で「ハチワンダイバー」のことを紹介してた。原作者・柴田ヨクサルさん、子供の頃奨励会入りまで行きそうになったほどのマジの将棋好き。アマ4〜5段くらいの腕前はあると、プロ棋士が認めるほどの実力。やっぱ、好きこそモノの上手なれね。
●マンガ原作映画シリーズ。
●「天然コケッコー」
●主演:夏帆。島根県の超ド田舎、小中合わせて7人のチッコイ分校に、東京から中2の男子が引っ越してきた。「あれ〜、イケメンさんやね〜」夏帆演じるそよちゃんは、初めての同学年にワクワク。でも決して望んでこの村に来たわけじゃない男子・広海は、どこか冷めた少年。悪気もなくポロリと出てしまう東京型の考え方に、そよちゃんは戸惑ったりガッカリしたり。しかし山と海とに囲まれた美しい四季を巡り、一年をかけて二人の間に幼い好意が…。日本で一番拙いキスシーン、いや「チュー」のシーン(彼らは「チュー」って言葉しか使わないから)が清らかで爽やか。歯と歯がコチッとぶつかっちゃう。…でも彼らにも卒業、進学、別れの季節がやって来る。
●都市部でしか生活したことのないボクとワイフには、彼らの生活は縁遠くてファンタジーにしか見えない。夢のスローライフ?それこそ東京の価値観だ。夏帆の演じる主人公のトキメキやショックや落ち込みは、本当に伸び伸びとしてて見てて清々しい。きょうだいのように育ってきた分校の仲間たちにとってそよちゃんは一番のお姉さん。けど一番シンパイしーで、泣き虫で、クヨクヨしてる。彼女のような中学生が今日本のどこに住んでいるのか?やっぱ、ファンタジーなのかな、このハナシは。………と思ったらワイフ「佐渡出身のママ友達がいるんだけど、小学校2クラスしかなかったって言ってた。一学年2クラスじゃないよ、全学校で、高学年&低学年の2クラス。あのママの言ってること全然理解できなかったけど、やっとリアルな世界だとわかったわ…。集落対抗スポーツ大会とかやってたって言ってたもん」
●分校の一番のチビ、さっちゃんはオモラシしちゃう1年生。まんまる顔とドンクサイ仕草がどうしても娘ヒヨコとダブって、他人とは思えない。…あと、島根県行きたくなった。撮影地の浜田市、速攻でグーグルマップで探しちゃった。マンガ原作はくらもちふさこ。差し当たり、読むか。
●「フリージア」
●出演:玉山鉄二/つぐみ。コレも松本次郎原作の同名マンガの映画化ものだ。犯罪被害者が、犯人に対して敵討ちをするコトを認めた「敵討ち法」が成立。「敵討ち執行代理人」という名のプロの殺し屋が合法的に復讐殺人を請け負う。法律上の事務手続きをサクサクとすまし、殺害対象の人物に「では明日12時キッカリに、ウチの執行代理人が伺いますからよろしくお願いします」と言い放つ敵討ちコーディネーターつぐみ。徴兵上がりの玉山鉄二は表情一つ動かすことなく「執行」をこなす。
●この映画ではつぐみと玉山に、原作にはない因縁を設定してる。日本軍(この近未来では日本は外国と戦争中)の兵器実験に関わって心身に大きなダメージを負ったというストーリー。原作ではまだ完全に明らかにはなってないこのエピソードがちと残念。原作はもっとドロドロとして当事者の狂気はもっと複雑なのだから。つぐみという女優さんは、その大っきな瞳に狂気を宿すのが得意みたい。ある意味玉山以上に狂ってた。

●「自殺サークル」
●こっちはマンガを古屋兎丸が書いているが、原案は映画側の監督を務めた園子温。マンガが映画からスピンオフしたわけ。内容は重複があっても独立した物語。
●「いっせーのーせ!」54人の女子高生。新宿駅。声を合わせて全員が一気にホームから飛び降りた。前代未聞の集団自殺事件を追って刑事・石橋凌が奔走する。連鎖する女子高生の自殺を食い止めるために行き着いたのは、謎のインターネットサイト「廃墟.com」。自殺集団はクラブじゃない、サークルだ…。謎が謎を呼び、つかみ所のない集団の暴走は止まない。
●90年代のバブル崩壊後社会の中で、突如特殊なマーケティング対象として注目を集めた「女子高生」。ルーズソックス、プリクラ、コギャルファッションなどなど…彼女達が自然発生的に作り出すサブカルチャーを、多くの大人が分析しようとしそして失敗してきた。そして「援助交際」といったイリーガルな行動と思考様式に、大人は驚異した。2002年発表のこの映画は、園子温が到達した「女子高生」論の決定版。ネットや携帯を媒介して伝播する都市伝説が大きなヒステリーを起こしていく様子を描き、そのころ大人達が感じていた「女子高生」への不気味さを具体的恐怖として象徴した。クラブじゃなくてサークル。中心から末端へと繋がる組織ではなく、大きな円環のように並列して繋がるネットワーク。
●低予算映画として製作されたこの作品、多くのボランティアの協力で成り立ったというが、含蓄深いエピソードが。54人の集団自殺シーン。実際には100人ほどの女子高生を集めて撮影されたのだが、この大量の少女たちを集めたのは、年少の女性スタッフ二人。自分たちの友人を介して、あっという間に学校も年齢も違う大勢の少女達をエキストラとしてかき集めたという。恐るべし女子高生。

●「紀子の食卓」
●園子温監督、「自殺サークル」の続編?とも言える作品。従ってマンガは関係ないけどね。出演:吹石一恵、つぐみ、吉高由里子。「女子高生」の奇妙な人間関係を問うた園監督が、今度は「家族」というコレまた奇妙な人間関係を、問いただす。
●平凡な地方都市で平凡な生活を送る女子高生・吹石一恵は、自分の予定調和な生活にくすぶっていた。そんな中発見したのが「廃墟.com」。ココで知り合った匿名の少女達の影響を受け、吹石は東京へ出奔する…。東京で彼女を待っていたのは、ハンドルネーム「上野駅54番」を名乗る女・つぐみ。孤独な暮らしをする都会人に時間単位でレンタル家族を提供するビジネス「家族サークル」を経営する女。吹石は、彼女に導かれるままに、レンタル家族の一員となった。
●姉の後を追うように、東京へ旅立つ妹・吉高由里子。二人の娘を失い、東京をさまよう父親。様々な人格を演じることで自我が崩壊した吹石。この三者が、レンタル家族の発注者と受注者として再会する。家族はなぜ崩壊し、家族はどう再構築されるのか。そもそも家族とは何だったのか?
●主演の吹石一恵、しっかりした存在感はありながらお茶の間ドラマではメインを張れない彼女の本気モードが見てみたかった。つぐみ、「フリージア」に引き続き、いやソレ以上の狂気を発揮。目が怖い。そして吉高由里子。今後彼女がもっと見たい。危うげな幼さと利発さを兼ね揃えた、まだ未完成な少女。一番彼女が末恐ろしい。
●まだまだマンガ。最近チェックしたマンガ物件。
●ひうらさとる「ホタルノヒカリ」11巻
●「干物女」のキーワードでドラマが好評を博したこのオハナシ、ドラマが終わっても原作は進行中。干物女のはずの主人公ホタルが、ステキ女子代表優華ちゃんの恋愛を援護するつもりがことごとく裏目って、結局大妨害する顛末。意図なき干物女の逆襲。そして同居人・高野部長に、妖しげな女性が接近…。

●槇村さとる「REAL CLOTHES」4巻
●実は個人的に大注目の連載。クル、多分。いやなんとなく。あの「働きマン」と同じ匂いがする。デパートの婦人服バイヤーとなった主人公・絹恵、NY出張で商品買付けのリアルな最前線を目撃。仕事変態の切れ者上司・田淵優作のマッドなまでのノメり込み様に、迫力と興奮を感じずにはいられない。しかし一方で9年交際を続けてきた彼氏との結婚話も進行していた。仕事か結婚か、現代女性のジレンマに見事埋没する絹恵の見出す答えは?
●「働きマン」は週刊誌編集という男社会の中で格闘する女性が主人公だった。が故に「マン」。「REAL CLOTHES」では、舞台は婦人服の販売/買付け現場。女性としての感性が仕事の武器になる。「女性が着飾る」という行為が、いかに女性を女性足らしめるのかという根源的な問いを重ねて、主人公は服を売り、服を買う。女性として摩滅されない、されてはいけないモノを守るために、女性は服を選ぶ。それが「REAL CLOTHES」。容姿にコダワリのなかった絹恵が、少しずつオシャレになっていくトコロも見どころの一つ。
●宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」4巻
●コチラも最大級に大注目の連載。クル。つーかキ始めちゃってる。あー誰かが手を付けるー!くそー!そんくらい注目。祖父の隠し子りん6歳を成り行き上無理矢理育ててるダイキチ31歳独身彼女なし。小学校に進んだりんちゃんを軸に、育児に取り組む同世代のママ友パパ友に出会う。職業と家庭、仕事と育児、一見相反する要素と捕らえがちな2つの事象を一体と捕らえて暮らしてきた新しい友人達にダイキチ大きくショックを受ける。子供の急病、夫の両親との関係、職場を早退、縄跳びの練習、子供同士の交流、ある意味ボクにはメチャリアリズムで、親近感バッチリ。リアル過ぎてツライ人もいるかも。
●生むか生まないか、人生の考え方は人それぞれだが、「子供のために自分の人生を犠牲にする」という発想は一番悲しい。その葛藤を軽やかに飛び越える勇気と、若い親を支える周囲の力が、少子化ニッポンには必要だね。
●矢沢あい「NANA」19巻
●もうココまでくると腐れ縁だ。チンタラチンタラ、バンドの中の痴話喧嘩に付き合ってもう19巻。そろそろ終わってくれ。最初から仄めかされてきた破局の形も、随分具体的に輪郭が見えてきたことだし。今回は、普段は冷酷なバンドリーダータクミが、珍しくわりと良識をもって人間関係の調整に入る。なんか成長したじゃん。大麻所持で逮捕されたシンもさすがに懲りたのか落ち着きを取り戻しつつある。次なる危機はナナのパートナー、レンだな。ロックバンドマンガでありながら、全然バンドらしいコトをしないこの作品、今回も音楽活動らしいシーンは一コマもありませんでした。
●小山ゆう「あずみ」45巻
●こっちも大幅に腐れ縁マンガ。45巻まで続いちゃって、ある意味無限ループ。ありとあらゆる所から刺客がやってきてあずみを狙う。あずみが強敵と悟ると、民間人を人質にとって策略に嵌めようとする。でもあずみは天性の殺人センスで10人程度なら瞬殺。痛みを与える隙もなく喉を切り裂く。黄金パターン、毎度のコトだ。でこの巻でも見事下劣な敵を切り伏せる。でもちょっと新しい事件の気配が匂ってきたかな。次巻に期待。

●奥浩哉「GANTZ」23巻
●臓物ぶちまけハードアクションSF。大阪・道頓堀を舞台にした妖怪星人達との戦いは3巻跨いでもまだ終わる気配なし。東京のガンツチームと違って、ゲーム感覚で星人退治を愉しむ大阪チームのカルチャーに馴染めぬまま戦いは続くが、今回の相手はホントに桁違いに強い。天狗、犬神、ぬらりひょんの姿をした3人の星人の破壊力は圧倒的で、自衛隊の介入すら一蹴する。とくにぬらりひょん。マジ得体知れず。日本を舞台に繰り広げられてるのは異星人同士の代理戦争なのか?その大きな枠も見えずにガンツの戦士達は、苛烈な戦いと残酷な運命に晒されている。謎、いまだ深し。残虐表現の異常に細かい描き込み、ココにもある種のマッドネス。
●八木教広「クレイモア」14巻
●「スクエアジャンプ」に連載の舞台を移して初めての単行本。半人半妖の女剣士「クレイモア」たちの壮絶な死闘。ポスト「ベルセルク」の魔界ファンタジー最右翼。戦闘能力をオーバーヒートさせると人間には戻れない100%の魔物「覚醒者」になってしまうクレイモアの宿命。力への欲求か欲望のなれの果てか、理性を失った元僚友。素性を隠し人間社会に忍び込んでいたガラテアがその覚醒者に立ち向かう。ココに、クレイモアとしては出来損ないで、がゆえに実に人間的なクラリス。凶暴な戦闘能力を持ちながら、幼児ほどの意識しか持たないミアータ。レジスタンスを組織した主人公クレアを中心とした7人のクレイモア。立場が違う者が巡り合い、事態が動き出す。そしてさらなる強者「深淵の者」の因縁、主人公クレアの過去も明らかに。クレイモアは妖魔に対抗するための戦闘サイボーグ。組織の鉄の掟の中で非常な使命に仕えてきた。しかし、今やっと人間らしい自己判断で行動するクレイモアが結集することになる。
●武富健治「鈴木先生」4巻
●帯コメに「麻生久美子熱烈推薦」とキタモんだ。そのうち絶対誰かが映画化、またはドラマ化する。そんくらいオモシロい。でも映像化は難易度チョー高い。繊細な心理描写が微分的に分解されて積み重なってて、活字でしか伝わらないモノがイッパイ。
●しかしココに描かれる教育現場の最前線「中学校」は異常な空間だ。まだ現実社会を知らない子供たちは、あるべき理想もやるせなき現実も両方知らない。そんな彼らの無軌道な行動を、理想も現実も両方知ってる教師が説得力を持って制御できるのか? 大人なら「テキトウにうまくやれ」としか言えないミクロで感情的な問題を、鈴木先生は汗だくになりながら、理路整然と子供に解く。
●今回先生を汗だくにするのは、不登校の男子がクラスの女子と性交渉してるって事態。おまけにその女子の元カレも逆鱗状態。その前カレや不登校児のお母さん、その他クラスメートを巻き込んでの大混戦。しかし先生はなんと「避妊をちゃんとしろ」とは言えないと、自説を頑強に主張する。なんか論理的にメチャアクロバチックな教育指導が、生徒保護者関係者の感情的爆発を飛び越えて、本当に辻褄合ってるか一読では一瞬わからなくなるやり方で着地する。百者百様の教育理念があるこの世の中で、摩擦を神業的に回避する鈴木先生は達人だが、心配性過ぎて多分長生きできない。
●ボク自身、自分の息子の授業参観に行って感じたんだけど、教師の仕事は一種孤立無援だな。教室に入れば大人は自分1人。自分の価値観だけが生徒に伝えるべき社会常識を規定する。だから、先生によって子供に対するスタイルが全然違う。
●ノマドの先生は女性でリベラル路線。授業中に立ち歩く子が一人いても敢えて放置する。一方生徒同士のトラブルはその場で速攻でケジメをつけさせる(この早業ぶりは感心した。ノマドヒヨコがケンカしたら応用したい)。生徒の名前は名字でなくファーストネームで呼ぶ。給食の準備も子供たちに任せてる。「だれかーギュウニュウもつのてつだってよー」と女子が声をかければスグに仲間が駆け寄ってくる。
●しかし隣のクラスの男の先生。ノマドの先生よりキャリアはあるが他校から赴任してきたばかりの人。これが結構恐怖政治でビビった。全員が着席し背筋を伸ばして私語をやめない限り授業を始めない。遅れた分は休み時間を潰して解消。ボクが見学した日は、理解が進まない算数の授業を、時間割りをその場で変更して休み時間なし、2コマぶっ通しで続けてた。もちろん子供へは名字の呼び捨て、「オマエ、二度目の失敗はないぞ!」と叱り飛ばす。楽しいはずの給食時間も、ワイワイしてるノマドクラスに対して、隣のクラスは整然粛々と配膳が行われる。「給食当番、前へ!一班お皿を持って並びなさい!」先生の号令だけが響き、他の子は席で無言不動。顔見知りのママさんに「1組と2組じゃ、カルチャーが大分違いますね…」そのママさんは不満顔で「1年生によそ見もするななんて無理なんですよ。可哀想!」正直、ボクもノマドがこの先生のクラスだったらガッコウ嫌いになるだろうなと思った。「ゆとり教育」の反対ってこんなモノなのかな…。
●高橋ヒロシ「WORST」20巻
●極悪集団の首班・天地寿の覇権と戦略は、鈴蘭学園花組と武装戦線の活躍で完膚なきまでに崩壊した。外から雇った傭兵部隊も消滅。天地派残党は、鈴蘭チームの核・月島花を誘い出すが、これまた強力なスタミナケンカパワーで数十人を殴り倒される。マジ痛快!事態は終息に向かい、あとは王将・天地本人残すのみ。連載開始以来最初で最強の因縁、天地対花の勝負、その行方は?
●コッチの帯コメには「中島美嘉大感動!!」。マジかよ。しかもソレ読者に響くのかよ。あー「クローズZERO」の小栗旬経由で入ってくる女子もいるかもね。いや、いねーな。
●背景によく描かれている壁の落書き、「○○参上!」とか人の名前が書きなぐってあるんだけど、あれって絶対作者のトモダチの名前だよな〜。アソコに名前書いてもらったらどんなにウレシいだろうな。「高橋ヒロシ作品の背景落書きに名前を書いてもらう権利」をヤフオクに乗っけたら、スゲエ値がつくと思う。
●森恒二「ホーリーランド」17巻
●これまたケンカに明け暮れる若者たちの物語。しかしコッチはストリートファイト、純然たるノールールの中で様々な格闘技がいかに機能するかという思考実験に特化してる。「コイツ、使える!」とかセリフ出てくるけど、多分作者さんが一番使える。マジ格闘技やってるみたいだから。度々登場する作者の格闘技解説が、経験や理論にしっかり根差していちいち的確、今回もかなりムムムと唸らせられた。
●下北沢のクラブ界隈にドラッグを流通させ街を混乱させるキング一派に対して、主人公神代ユウ、伊沢マサキといった地元のファイターが一丸となって直接対決。この戦いにキング一派は卑劣な人質作戦で対抗し、神代は心身共に崩壊するが、消えてしまったかつての友情の残り火が、この窮地から彼らを救う。そこが今回の泣き所。くーっ、たまんないね。でもリアルな下北沢は軟弱な文系男子女子の街で、残念ながら路上格闘家なんていないんだよね。
●高野文子「棒がいっぽん」
●愛くるしいタッチと品のある物語が爽やかな、高野文子の世界。今回の短編集も、のんびりペースで心安らかに読める。「美しき町」は昭和40年代、炭坑街の若い夫婦の団地住まいを描く。慎ましく清らかに生きる二人の静かな生活。「東京コロポックル」は北海道アイヌの妖精であるはずの小人コロポックルが、東京の一般家庭に潜り込んで暮らしてるお話。ブラウン管テレビの中に快適なお部屋を作ってました。「奥村さんのお茄子」もシュールな逸品。地球侵略の準備のためにやってきた宇宙人の女性(なのかな?)が毒入りお茄子の効果を確認するべく被験者に会いにくる。「1968年の○月○日。アナタお昼ナニ食べました?」宇宙人の技術は素晴らしくマヌケで、映像の記録媒体にうどんを使ったり、容姿を地球人に改造したら、メガネや靴を肉体に埋め込んじゃったり。「すいません、これ(靴)が取り外せるなんて考えもしませんでした。爪みたいなものかと」
●寡作なマンガ家さんだけど、必ず満ち足りた気持ちにさせてくれる優しい人。上品ってこういうことだと思う。
●笠辺哲「短編マンガ集 バニーズ ほか」
●ある意味、ゆるーい湯加減のトホホな小規模SF小咄を、少しマヌケ感あるタッチで描く。シュールっちゃーシュール、脱力っちゃー脱力。救いがなさそうでありそうで、よく分からない。疲れたカラダに優しいマンガ。コレは下北沢のカフェ kate coffee にあったのを読んだ。アソコは趣味のイイマンガがアート本に混じって置いてあるからね。
●島耕作社長就任の影で…。もう一つのマンガ歴史的事件。
●「課長・島耕作」シリーズが、とうとうテッペン極めて社長に就任しちゃったのは新聞記事にもなるくらいのインパクトだった。この島社長、いっつもモテモテで、ガールフレンドに助けられて仕事してるだけで、たいした手柄何にもないのに。今回の企業買収合戦では久々(というか初めて)の男気仕事をしたので、まー評価してもイイかなーって気もするけど、やっぱ2〜3人の女性のチカラが加わってる。モテと仕事は両立&相乗効果!非モテは仕事もできません!
●でもボク的にはもう一個事件が起こってた。やはり長期連載「美味しんぼ」。様々なグルメ蘊蓄と食文化への問題提起をずっと続けてきたこのマンガの重要な縦軸は、主人公山岡士郎とライバル海原雄山の、親子因縁勝負だった。それが「究極のメニュー」対「至高のメニュー」という対決構造にもなってた。しかしとうとうこの親子二人が和解してしまった。父・雄山が芸術家として立身していく中で、母親を見殺しにしたというトラウマが山岡の心にはズッと巣食っていたのだか、山岡の伴侶、栗田ゆう子の立ち回りで見事その憎悪は氷解したのであった。このマンガ、説教臭くてキライなんだけど、この回あたりは真剣に読んじゃった。

●ドラマ「TRICK」「時効警察」を生み出したテレ朝「報道ステーション」後の金曜ドラマ枠。ここで今、「ちりとてちん」の貫地谷しほりちゃんと要潤の推理ドラマが、これまたヘンなテンションで展開されてて、ワイフと二人で楽しんじゃってる。ミステリー作家希望のフリーター女子(貫地谷)&名家のお坊ちゃん刑事(要)の凸凹コンビが、巧妙なトリックで仕込まれた殺人事件を解決する。
●映画「ピューと吹く!ジャガー」で完全三枚目路線に踏み込んだ、要潤の徹底したマヌケっぷりが豪快で、ボクはこの人見直しちゃった。タダのイケメンじゃないわ。
●一方でもっと注目なのは、貫地谷ちゃん。仲間由紀恵&麻生久美子を三の線に引き込んだこの枠で、やはり徹底したコネタギャグをテンポよく展開。要との呼吸も回を重ねることにグレードアップして、説妙な間合いでトコトコ事件を解決していく。
●ビンボー生活を補うためにありとあらゆるバイトを掛け持ちしてる彼女の毎週代わりのコスプレが萌え度アップ。メイドさんから飲み屋のフロアさん、女子校の生徒&先生、ニューハーフクラブのホステスまで、寅さん風腹巻きまいて実演販売までやるし、宇宙人ルックのコンパニオンもやる。今週は綾波レイ&セイラマス、来週は巫女さん&占い師、いやーん、萌え〜。
●貫地谷しほりちゃん、映画「スウィングガール」で上野樹里の隣でジタバタしてた女の子の一人だったんだよね。そっからズーッと気になってて、「いつかこの娘の時代来るんじゃないか」と思ってた。でも「ちりとてちん」は朝早過ぎで結局一回も見られず(おまけに視聴率もよくなく)、ココでやっとグッとくる作品に巡り会ったかなーなんて思っちゃってます。
●渡辺いっけい、金剛寺武志など脇固めも個性的で、全員に毎週お約束の決めゼリフがある(時にそのお約束が破れてて、それがまた笑える)。かなりミクロな小細工演出満載で結構画面から目が離せないっすよ。ちなみに貫地谷ちゃんのイモウト役の娘、小島藤子ちゃんもちょっと気になる。とにかく貫地谷ちゃん頑張れー!

●もう一本注目のドラマ。「ハチワンダイバー」。

●土曜11時という枠に今までフジはドラマ置いてたかなんてわかんないんだけど、とにかく始まったこのドラマ。原作は「谷仮面」「エアマスター」でテンション激高の格闘マンガを書き続けてきた柴田ヨクサルの同名マンガ。ボクはもう一巻からこのマンガ全部(つーか「谷仮面」「エアマスター」も全部チェック)してたけど、賭博将棋を生業とする「真剣師」の世界を格闘技のテンションで描くこの怪作をドラマ化するとは一種の暴挙と思った。しかしその困難に立ち向かう志はよし!よっしゃ、全部見届ける!
●キャストは全然しらない人で、溝端淳平&仲里依紗というペア。プロ棋士への夢から落伍した青年が「真剣師」の世界に潜り込み、通称「アキバの受け師」という女性真剣師に出会う。しかし彼女はクールで激強の真剣師という顔と同時に、巨乳のデリバリーメイド(ご主人様♥)というもう一つの顔を持つ謎の女。この二重人格に翻弄されながら「真剣師」の世界にズブズブ沈んでいく主人公の情けなさっぷり&勝ち上がりっぷりも好感触。脇役にサンドイッチマン、木下優樹菜などを配置するセンスもグー。
●そもそも、将棋という「画が動かない」モノをテレビドラマの軸に持ってくるのが勇敢な冒険だ。だって役者は座って将棋さすだけでしょ。内面の心情描写を画面に焼き付けるのは難題っすよ。でもコレを細かい編集テクで、テンポよく緊張を切らさずにテンションを高めていく演出はご立派。コレも全部録画してます。
●原作マンガも最新刊で新展開。謎の真剣師集団「鬼将会」と主人公ハチワンダイバーが接触。オトコっぷりをチョッピリ上げつつ(前巻&今巻の「受け師」さん、ハチワンの気合いに気圧されてちょっとカワイい)、なぜか命がけの将棋をやるハメに。どーなっちゃうの?
![]() | ハチワンダイバー 7 (7) (ヤングジャンプコミックス) (2008/05/02) 柴田 ヨクサル 商品詳細を見る |
●リハビリ出社で新聞熟読してたら、見開き特集で「ハチワンダイバー」のことを紹介してた。原作者・柴田ヨクサルさん、子供の頃奨励会入りまで行きそうになったほどのマジの将棋好き。アマ4〜5段くらいの腕前はあると、プロ棋士が認めるほどの実力。やっぱ、好きこそモノの上手なれね。
●マンガ原作映画シリーズ。
![]() | 天然コケッコー (2007/12/21) 夏帆岡田将生 商品詳細を見る |
●「天然コケッコー」
●主演:夏帆。島根県の超ド田舎、小中合わせて7人のチッコイ分校に、東京から中2の男子が引っ越してきた。「あれ〜、イケメンさんやね〜」夏帆演じるそよちゃんは、初めての同学年にワクワク。でも決して望んでこの村に来たわけじゃない男子・広海は、どこか冷めた少年。悪気もなくポロリと出てしまう東京型の考え方に、そよちゃんは戸惑ったりガッカリしたり。しかし山と海とに囲まれた美しい四季を巡り、一年をかけて二人の間に幼い好意が…。日本で一番拙いキスシーン、いや「チュー」のシーン(彼らは「チュー」って言葉しか使わないから)が清らかで爽やか。歯と歯がコチッとぶつかっちゃう。…でも彼らにも卒業、進学、別れの季節がやって来る。
●都市部でしか生活したことのないボクとワイフには、彼らの生活は縁遠くてファンタジーにしか見えない。夢のスローライフ?それこそ東京の価値観だ。夏帆の演じる主人公のトキメキやショックや落ち込みは、本当に伸び伸びとしてて見てて清々しい。きょうだいのように育ってきた分校の仲間たちにとってそよちゃんは一番のお姉さん。けど一番シンパイしーで、泣き虫で、クヨクヨしてる。彼女のような中学生が今日本のどこに住んでいるのか?やっぱ、ファンタジーなのかな、このハナシは。………と思ったらワイフ「佐渡出身のママ友達がいるんだけど、小学校2クラスしかなかったって言ってた。一学年2クラスじゃないよ、全学校で、高学年&低学年の2クラス。あのママの言ってること全然理解できなかったけど、やっとリアルな世界だとわかったわ…。集落対抗スポーツ大会とかやってたって言ってたもん」
●分校の一番のチビ、さっちゃんはオモラシしちゃう1年生。まんまる顔とドンクサイ仕草がどうしても娘ヒヨコとダブって、他人とは思えない。…あと、島根県行きたくなった。撮影地の浜田市、速攻でグーグルマップで探しちゃった。マンガ原作はくらもちふさこ。差し当たり、読むか。
![]() | 天然コケッコー (1) (ヤングユーコミックス―Chorus series) (1995/07) くらもち ふさこ 商品詳細を見る |
![]() | フリージア (2007/09/25) 玉山鉄二、西島秀俊、つぐみ、鴻上尚史、坂井真紀 商品詳細を見る |
●「フリージア」
●出演:玉山鉄二/つぐみ。コレも松本次郎原作の同名マンガの映画化ものだ。犯罪被害者が、犯人に対して敵討ちをするコトを認めた「敵討ち法」が成立。「敵討ち執行代理人」という名のプロの殺し屋が合法的に復讐殺人を請け負う。法律上の事務手続きをサクサクとすまし、殺害対象の人物に「では明日12時キッカリに、ウチの執行代理人が伺いますからよろしくお願いします」と言い放つ敵討ちコーディネーターつぐみ。徴兵上がりの玉山鉄二は表情一つ動かすことなく「執行」をこなす。
●この映画ではつぐみと玉山に、原作にはない因縁を設定してる。日本軍(この近未来では日本は外国と戦争中)の兵器実験に関わって心身に大きなダメージを負ったというストーリー。原作ではまだ完全に明らかにはなってないこのエピソードがちと残念。原作はもっとドロドロとして当事者の狂気はもっと複雑なのだから。つぐみという女優さんは、その大っきな瞳に狂気を宿すのが得意みたい。ある意味玉山以上に狂ってた。
![]() | フリージア 9 (9) (IKKI COMICS) (2007/09/28) 松本 次郎 商品詳細を見る |

●「自殺サークル」
●こっちはマンガを古屋兎丸が書いているが、原案は映画側の監督を務めた園子温。マンガが映画からスピンオフしたわけ。内容は重複があっても独立した物語。
●「いっせーのーせ!」54人の女子高生。新宿駅。声を合わせて全員が一気にホームから飛び降りた。前代未聞の集団自殺事件を追って刑事・石橋凌が奔走する。連鎖する女子高生の自殺を食い止めるために行き着いたのは、謎のインターネットサイト「廃墟.com」。自殺集団はクラブじゃない、サークルだ…。謎が謎を呼び、つかみ所のない集団の暴走は止まない。
●90年代のバブル崩壊後社会の中で、突如特殊なマーケティング対象として注目を集めた「女子高生」。ルーズソックス、プリクラ、コギャルファッションなどなど…彼女達が自然発生的に作り出すサブカルチャーを、多くの大人が分析しようとしそして失敗してきた。そして「援助交際」といったイリーガルな行動と思考様式に、大人は驚異した。2002年発表のこの映画は、園子温が到達した「女子高生」論の決定版。ネットや携帯を媒介して伝播する都市伝説が大きなヒステリーを起こしていく様子を描き、そのころ大人達が感じていた「女子高生」への不気味さを具体的恐怖として象徴した。クラブじゃなくてサークル。中心から末端へと繋がる組織ではなく、大きな円環のように並列して繋がるネットワーク。
●低予算映画として製作されたこの作品、多くのボランティアの協力で成り立ったというが、含蓄深いエピソードが。54人の集団自殺シーン。実際には100人ほどの女子高生を集めて撮影されたのだが、この大量の少女たちを集めたのは、年少の女性スタッフ二人。自分たちの友人を介して、あっという間に学校も年齢も違う大勢の少女達をエキストラとしてかき集めたという。恐るべし女子高生。

![]() | 紀子の食卓 プレミアム・エディション (2007/02/23) 吹石一恵 商品詳細を見る |
●「紀子の食卓」
●園子温監督、「自殺サークル」の続編?とも言える作品。従ってマンガは関係ないけどね。出演:吹石一恵、つぐみ、吉高由里子。「女子高生」の奇妙な人間関係を問うた園監督が、今度は「家族」というコレまた奇妙な人間関係を、問いただす。
●平凡な地方都市で平凡な生活を送る女子高生・吹石一恵は、自分の予定調和な生活にくすぶっていた。そんな中発見したのが「廃墟.com」。ココで知り合った匿名の少女達の影響を受け、吹石は東京へ出奔する…。東京で彼女を待っていたのは、ハンドルネーム「上野駅54番」を名乗る女・つぐみ。孤独な暮らしをする都会人に時間単位でレンタル家族を提供するビジネス「家族サークル」を経営する女。吹石は、彼女に導かれるままに、レンタル家族の一員となった。
●姉の後を追うように、東京へ旅立つ妹・吉高由里子。二人の娘を失い、東京をさまよう父親。様々な人格を演じることで自我が崩壊した吹石。この三者が、レンタル家族の発注者と受注者として再会する。家族はなぜ崩壊し、家族はどう再構築されるのか。そもそも家族とは何だったのか?
●主演の吹石一恵、しっかりした存在感はありながらお茶の間ドラマではメインを張れない彼女の本気モードが見てみたかった。つぐみ、「フリージア」に引き続き、いやソレ以上の狂気を発揮。目が怖い。そして吉高由里子。今後彼女がもっと見たい。危うげな幼さと利発さを兼ね揃えた、まだ未完成な少女。一番彼女が末恐ろしい。
●まだまだマンガ。最近チェックしたマンガ物件。
![]() | ホタルノヒカリ 11―IT’S ONLY LITTLE LIGHT IN MY LIFE (11) (講談社コミックスキス) (2008/04/11) ひうら さとる 商品詳細を見る |
●ひうらさとる「ホタルノヒカリ」11巻
●「干物女」のキーワードでドラマが好評を博したこのオハナシ、ドラマが終わっても原作は進行中。干物女のはずの主人公ホタルが、ステキ女子代表優華ちゃんの恋愛を援護するつもりがことごとく裏目って、結局大妨害する顛末。意図なき干物女の逆襲。そして同居人・高野部長に、妖しげな女性が接近…。

●槇村さとる「REAL CLOTHES」4巻
●実は個人的に大注目の連載。クル、多分。いやなんとなく。あの「働きマン」と同じ匂いがする。デパートの婦人服バイヤーとなった主人公・絹恵、NY出張で商品買付けのリアルな最前線を目撃。仕事変態の切れ者上司・田淵優作のマッドなまでのノメり込み様に、迫力と興奮を感じずにはいられない。しかし一方で9年交際を続けてきた彼氏との結婚話も進行していた。仕事か結婚か、現代女性のジレンマに見事埋没する絹恵の見出す答えは?
●「働きマン」は週刊誌編集という男社会の中で格闘する女性が主人公だった。が故に「マン」。「REAL CLOTHES」では、舞台は婦人服の販売/買付け現場。女性としての感性が仕事の武器になる。「女性が着飾る」という行為が、いかに女性を女性足らしめるのかという根源的な問いを重ねて、主人公は服を売り、服を買う。女性として摩滅されない、されてはいけないモノを守るために、女性は服を選ぶ。それが「REAL CLOTHES」。容姿にコダワリのなかった絹恵が、少しずつオシャレになっていくトコロも見どころの一つ。
![]() | うさぎドロップ 4 (4) (Feelコミックス) (2008/05/17) 宇仁田 ゆみ 商品詳細を見る |
●宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」4巻
●コチラも最大級に大注目の連載。クル。つーかキ始めちゃってる。あー誰かが手を付けるー!くそー!そんくらい注目。祖父の隠し子りん6歳を成り行き上無理矢理育ててるダイキチ31歳独身彼女なし。小学校に進んだりんちゃんを軸に、育児に取り組む同世代のママ友パパ友に出会う。職業と家庭、仕事と育児、一見相反する要素と捕らえがちな2つの事象を一体と捕らえて暮らしてきた新しい友人達にダイキチ大きくショックを受ける。子供の急病、夫の両親との関係、職場を早退、縄跳びの練習、子供同士の交流、ある意味ボクにはメチャリアリズムで、親近感バッチリ。リアル過ぎてツライ人もいるかも。
●生むか生まないか、人生の考え方は人それぞれだが、「子供のために自分の人生を犠牲にする」という発想は一番悲しい。その葛藤を軽やかに飛び越える勇気と、若い親を支える周囲の力が、少子化ニッポンには必要だね。
![]() | NANA 19 (19) (りぼんマスコットコミックス クッキー) (2008/05/15) 矢沢 あい 商品詳細を見る |
●矢沢あい「NANA」19巻
●もうココまでくると腐れ縁だ。チンタラチンタラ、バンドの中の痴話喧嘩に付き合ってもう19巻。そろそろ終わってくれ。最初から仄めかされてきた破局の形も、随分具体的に輪郭が見えてきたことだし。今回は、普段は冷酷なバンドリーダータクミが、珍しくわりと良識をもって人間関係の調整に入る。なんか成長したじゃん。大麻所持で逮捕されたシンもさすがに懲りたのか落ち着きを取り戻しつつある。次なる危機はナナのパートナー、レンだな。ロックバンドマンガでありながら、全然バンドらしいコトをしないこの作品、今回も音楽活動らしいシーンは一コマもありませんでした。
![]() | あずみ 45 (45) (ビッグコミックス) (2008/04/26) 小山 ゆう 商品詳細を見る |
●小山ゆう「あずみ」45巻
●こっちも大幅に腐れ縁マンガ。45巻まで続いちゃって、ある意味無限ループ。ありとあらゆる所から刺客がやってきてあずみを狙う。あずみが強敵と悟ると、民間人を人質にとって策略に嵌めようとする。でもあずみは天性の殺人センスで10人程度なら瞬殺。痛みを与える隙もなく喉を切り裂く。黄金パターン、毎度のコトだ。でこの巻でも見事下劣な敵を切り伏せる。でもちょっと新しい事件の気配が匂ってきたかな。次巻に期待。

●奥浩哉「GANTZ」23巻
●臓物ぶちまけハードアクションSF。大阪・道頓堀を舞台にした妖怪星人達との戦いは3巻跨いでもまだ終わる気配なし。東京のガンツチームと違って、ゲーム感覚で星人退治を愉しむ大阪チームのカルチャーに馴染めぬまま戦いは続くが、今回の相手はホントに桁違いに強い。天狗、犬神、ぬらりひょんの姿をした3人の星人の破壊力は圧倒的で、自衛隊の介入すら一蹴する。とくにぬらりひょん。マジ得体知れず。日本を舞台に繰り広げられてるのは異星人同士の代理戦争なのか?その大きな枠も見えずにガンツの戦士達は、苛烈な戦いと残酷な運命に晒されている。謎、いまだ深し。残虐表現の異常に細かい描き込み、ココにもある種のマッドネス。
![]() | CLAYMORE 14 (14) (ジャンプコミックス) (2008/05/02) 八木 教広 商品詳細を見る |
●八木教広「クレイモア」14巻
●「スクエアジャンプ」に連載の舞台を移して初めての単行本。半人半妖の女剣士「クレイモア」たちの壮絶な死闘。ポスト「ベルセルク」の魔界ファンタジー最右翼。戦闘能力をオーバーヒートさせると人間には戻れない100%の魔物「覚醒者」になってしまうクレイモアの宿命。力への欲求か欲望のなれの果てか、理性を失った元僚友。素性を隠し人間社会に忍び込んでいたガラテアがその覚醒者に立ち向かう。ココに、クレイモアとしては出来損ないで、がゆえに実に人間的なクラリス。凶暴な戦闘能力を持ちながら、幼児ほどの意識しか持たないミアータ。レジスタンスを組織した主人公クレアを中心とした7人のクレイモア。立場が違う者が巡り合い、事態が動き出す。そしてさらなる強者「深淵の者」の因縁、主人公クレアの過去も明らかに。クレイモアは妖魔に対抗するための戦闘サイボーグ。組織の鉄の掟の中で非常な使命に仕えてきた。しかし、今やっと人間らしい自己判断で行動するクレイモアが結集することになる。
![]() | 鈴木先生 4 (4) (アクションコミックス) (2008/01/12) 武富 健治 商品詳細を見る |
●武富健治「鈴木先生」4巻
●帯コメに「麻生久美子熱烈推薦」とキタモんだ。そのうち絶対誰かが映画化、またはドラマ化する。そんくらいオモシロい。でも映像化は難易度チョー高い。繊細な心理描写が微分的に分解されて積み重なってて、活字でしか伝わらないモノがイッパイ。
●しかしココに描かれる教育現場の最前線「中学校」は異常な空間だ。まだ現実社会を知らない子供たちは、あるべき理想もやるせなき現実も両方知らない。そんな彼らの無軌道な行動を、理想も現実も両方知ってる教師が説得力を持って制御できるのか? 大人なら「テキトウにうまくやれ」としか言えないミクロで感情的な問題を、鈴木先生は汗だくになりながら、理路整然と子供に解く。
●今回先生を汗だくにするのは、不登校の男子がクラスの女子と性交渉してるって事態。おまけにその女子の元カレも逆鱗状態。その前カレや不登校児のお母さん、その他クラスメートを巻き込んでの大混戦。しかし先生はなんと「避妊をちゃんとしろ」とは言えないと、自説を頑強に主張する。なんか論理的にメチャアクロバチックな教育指導が、生徒保護者関係者の感情的爆発を飛び越えて、本当に辻褄合ってるか一読では一瞬わからなくなるやり方で着地する。百者百様の教育理念があるこの世の中で、摩擦を神業的に回避する鈴木先生は達人だが、心配性過ぎて多分長生きできない。
●ボク自身、自分の息子の授業参観に行って感じたんだけど、教師の仕事は一種孤立無援だな。教室に入れば大人は自分1人。自分の価値観だけが生徒に伝えるべき社会常識を規定する。だから、先生によって子供に対するスタイルが全然違う。
●ノマドの先生は女性でリベラル路線。授業中に立ち歩く子が一人いても敢えて放置する。一方生徒同士のトラブルはその場で速攻でケジメをつけさせる(この早業ぶりは感心した。ノマドヒヨコがケンカしたら応用したい)。生徒の名前は名字でなくファーストネームで呼ぶ。給食の準備も子供たちに任せてる。「だれかーギュウニュウもつのてつだってよー」と女子が声をかければスグに仲間が駆け寄ってくる。
●しかし隣のクラスの男の先生。ノマドの先生よりキャリアはあるが他校から赴任してきたばかりの人。これが結構恐怖政治でビビった。全員が着席し背筋を伸ばして私語をやめない限り授業を始めない。遅れた分は休み時間を潰して解消。ボクが見学した日は、理解が進まない算数の授業を、時間割りをその場で変更して休み時間なし、2コマぶっ通しで続けてた。もちろん子供へは名字の呼び捨て、「オマエ、二度目の失敗はないぞ!」と叱り飛ばす。楽しいはずの給食時間も、ワイワイしてるノマドクラスに対して、隣のクラスは整然粛々と配膳が行われる。「給食当番、前へ!一班お皿を持って並びなさい!」先生の号令だけが響き、他の子は席で無言不動。顔見知りのママさんに「1組と2組じゃ、カルチャーが大分違いますね…」そのママさんは不満顔で「1年生によそ見もするななんて無理なんですよ。可哀想!」正直、ボクもノマドがこの先生のクラスだったらガッコウ嫌いになるだろうなと思った。「ゆとり教育」の反対ってこんなモノなのかな…。
![]() | WORST 20 (20) (少年チャンピオン・コミックス) (2008/05/08) 高橋 ヒロシ 商品詳細を見る |
●高橋ヒロシ「WORST」20巻
●極悪集団の首班・天地寿の覇権と戦略は、鈴蘭学園花組と武装戦線の活躍で完膚なきまでに崩壊した。外から雇った傭兵部隊も消滅。天地派残党は、鈴蘭チームの核・月島花を誘い出すが、これまた強力なスタミナケンカパワーで数十人を殴り倒される。マジ痛快!事態は終息に向かい、あとは王将・天地本人残すのみ。連載開始以来最初で最強の因縁、天地対花の勝負、その行方は?
●コッチの帯コメには「中島美嘉大感動!!」。マジかよ。しかもソレ読者に響くのかよ。あー「クローズZERO」の小栗旬経由で入ってくる女子もいるかもね。いや、いねーな。
●背景によく描かれている壁の落書き、「○○参上!」とか人の名前が書きなぐってあるんだけど、あれって絶対作者のトモダチの名前だよな〜。アソコに名前書いてもらったらどんなにウレシいだろうな。「高橋ヒロシ作品の背景落書きに名前を書いてもらう権利」をヤフオクに乗っけたら、スゲエ値がつくと思う。
![]() | ホーリーランド 17 (17) (ジェッツコミックス) (2008/04/28) 森 恒二 商品詳細を見る |
●森恒二「ホーリーランド」17巻
●これまたケンカに明け暮れる若者たちの物語。しかしコッチはストリートファイト、純然たるノールールの中で様々な格闘技がいかに機能するかという思考実験に特化してる。「コイツ、使える!」とかセリフ出てくるけど、多分作者さんが一番使える。マジ格闘技やってるみたいだから。度々登場する作者の格闘技解説が、経験や理論にしっかり根差していちいち的確、今回もかなりムムムと唸らせられた。
●下北沢のクラブ界隈にドラッグを流通させ街を混乱させるキング一派に対して、主人公神代ユウ、伊沢マサキといった地元のファイターが一丸となって直接対決。この戦いにキング一派は卑劣な人質作戦で対抗し、神代は心身共に崩壊するが、消えてしまったかつての友情の残り火が、この窮地から彼らを救う。そこが今回の泣き所。くーっ、たまんないね。でもリアルな下北沢は軟弱な文系男子女子の街で、残念ながら路上格闘家なんていないんだよね。
![]() | 棒がいっぽん (Mag comics) (1995/07) 高野 文子 商品詳細を見る |
●高野文子「棒がいっぽん」
●愛くるしいタッチと品のある物語が爽やかな、高野文子の世界。今回の短編集も、のんびりペースで心安らかに読める。「美しき町」は昭和40年代、炭坑街の若い夫婦の団地住まいを描く。慎ましく清らかに生きる二人の静かな生活。「東京コロポックル」は北海道アイヌの妖精であるはずの小人コロポックルが、東京の一般家庭に潜り込んで暮らしてるお話。ブラウン管テレビの中に快適なお部屋を作ってました。「奥村さんのお茄子」もシュールな逸品。地球侵略の準備のためにやってきた宇宙人の女性(なのかな?)が毒入りお茄子の効果を確認するべく被験者に会いにくる。「1968年の○月○日。アナタお昼ナニ食べました?」宇宙人の技術は素晴らしくマヌケで、映像の記録媒体にうどんを使ったり、容姿を地球人に改造したら、メガネや靴を肉体に埋め込んじゃったり。「すいません、これ(靴)が取り外せるなんて考えもしませんでした。爪みたいなものかと」
●寡作なマンガ家さんだけど、必ず満ち足りた気持ちにさせてくれる優しい人。上品ってこういうことだと思う。
![]() | 笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ ほか IKKI COMIX (2005/12/26) 笠辺 哲 商品詳細を見る |
●笠辺哲「短編マンガ集 バニーズ ほか」
●ある意味、ゆるーい湯加減のトホホな小規模SF小咄を、少しマヌケ感あるタッチで描く。シュールっちゃーシュール、脱力っちゃー脱力。救いがなさそうでありそうで、よく分からない。疲れたカラダに優しいマンガ。コレは下北沢のカフェ kate coffee にあったのを読んだ。アソコは趣味のイイマンガがアート本に混じって置いてあるからね。
●島耕作社長就任の影で…。もう一つのマンガ歴史的事件。
●「課長・島耕作」シリーズが、とうとうテッペン極めて社長に就任しちゃったのは新聞記事にもなるくらいのインパクトだった。この島社長、いっつもモテモテで、ガールフレンドに助けられて仕事してるだけで、たいした手柄何にもないのに。今回の企業買収合戦では久々(というか初めて)の男気仕事をしたので、まー評価してもイイかなーって気もするけど、やっぱ2〜3人の女性のチカラが加わってる。モテと仕事は両立&相乗効果!非モテは仕事もできません!
●でもボク的にはもう一個事件が起こってた。やはり長期連載「美味しんぼ」。様々なグルメ蘊蓄と食文化への問題提起をずっと続けてきたこのマンガの重要な縦軸は、主人公山岡士郎とライバル海原雄山の、親子因縁勝負だった。それが「究極のメニュー」対「至高のメニュー」という対決構造にもなってた。しかしとうとうこの親子二人が和解してしまった。父・雄山が芸術家として立身していく中で、母親を見殺しにしたというトラウマが山岡の心にはズッと巣食っていたのだか、山岡の伴侶、栗田ゆう子の立ち回りで見事その憎悪は氷解したのであった。このマンガ、説教臭くてキライなんだけど、この回あたりは真剣に読んじゃった。
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