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2008.06.29
ガンダムバカ親子。そして日本のヒップホップをパラパラ聴く。
●今日も雨の中、昔の仲間がボクの所を訪ねてきてくれた。ボクの動ける昼間の時間を選んで。新しい環境にも馴染んでイキイキしてるように見えた。本人はそうは言わないけど。カオがヨクなってたのは色々ウマく行ってる証拠でしょ。
●ガンダム少年ノマド。
●DVDでコツコツ観てきた「機動戦士ガンダムZZ」が全部終了して、我が家ではひとまずハマーン・カーンのネオジオン戦争は終わったのでありました。ハマーン・カーンとグレミー・トトのネオジオン内部分裂でアクシズ&コア3(サイド3の拠点コロニー)が衝突するメチャクチャな事態に至って、ブライトさんすら置いてきちゃったガキ共だけのネェルアーガマは、少年らしいシンプルでノビノビとした戦術と徹底的なニュータイプセンスで、片っ端から敵をやっつけ実に爽快な終わり方をするのでありました。
●最後の決戦の後、ノコノコ遅れて現れた連邦軍艦隊にジュドーはキレる。「大勢の人が死んだんだぞ!」ソレを受け止めてブライトさん「気が済むのなら、オレの顔を殴れ!」思いっきりブン殴られる。「ガンダム」という物語は、ファーストから「Z」「ZZ」「逆シャア」へと一貫して出演するブライトさんの大人への成熟のドラマにもとれる。一介の堅物青年将校だった彼が一年戦争の英雄となり、そして連邦政府への腐敗に憤り行動を起こす。ニュータイプの少年達の逞しさを目の前にし、彼らに恥じぬよう汚れた現実との摩擦に立ち向かう。ボク自身の年齢がブライトさんに近づいたからそう感じるのかな。
●キャラ・スーンのゲーマルクとか、プルツーのクインマンサとか、強化されすぎたマシュマー・セロのザクIII改とか、それを倒した量産型キュベレイとか、立派なポテンシャルを持ったモビルスーツの名機が活躍し切らずママに終わっちまうのが実に惜しい気もするのは、きっと大人になれないダメ30代のボヤキです。ホントにチラっとしか出てこなかった…。
●そんで今日からは、一番最初の「機動戦士ガンダム」、いわゆるファーストガンダムを観始めました。
●ノマド、正座で画面に食い入ってます。さすが「ファーストガンダム」、お子様向けの「ZZ」とはリアリティの重みが違う。人が怯え叫びそして理不尽に死ぬ。第一話だけでもう口あんぐり。マニュアル一冊の知識で連邦軍の最高機密モビルスーツに乗り込むアムロ。そしてそのガンダムの驚異的なバワー。ザクマシンガンをモノともしない重装甲と、素手でザクの顔面をむしり取る強力。ノマド一言「すごすぎます!」(←なぜ敬語?)コレは今後一話一話ノマドに観せるのが楽しみだ。ヤツの反応がオモシロ過ぎるから。明日観る第二話は早速、通常のザクの3倍のスピードで飛来する、あの「赤い彗星」がガンダムに襲いかかる。「次週!ガンダム破壊命令!キミは生きのびる事ができるか…」
●ちなみにヒヨコ、フラウ・ボウの家族が連邦軍の誤爆で全員死んだ瞬間、もう涙ぐんでました。「フラウ!キミは強い娘だ、港まで上がるんだ。ボクも後からすぐ行く。……そうだ、走るんだ、フラウ(涙)」
●今日は、日本語のヒップホップ。最近聴いたヤツ。
●アメリカのシーンと日本のシーンが直結してビリビリと振幅した瞬間が、少し昔にありました。
●DE LA SOUL の3枚目「BUHLOONE MINDSTATE」1993年。NATIVE TONGUE 旋風最高の瞬間を掬いとったこのアルバムで、高木完とスチャダラパーがフィーチャーされた。しかもそのまんま日本語のラップで。その瞬間「ああ、日本のシーンとアメリカがダイレクトに動いている」と感動したものだ。
●で、00年代の今。TERIYAKI BOYS がいる。
●TERIYAKI BOYZ「ZOCK ON !」2008年
●m-flo の VERBAL、RIP SLYME の RYO-Z & ILMARI、そして WISE。この4MCに BATHING APE の NIGO が加わったスーパーグループ。で、NIGO のセレブコネフル稼働で、今回は表題曲の制作が THE NEPTUNES、FEAT.に PHARRELL & BUSTA RHYMES。完全にアメリカの最先端シーンとリンクしまくってる。ご存知の通り PHARRELL のソロアルバムのジャケは NIGO だし、ここら辺のマブダチぶりはホンモノ。異常にカッチカチな硬質パーカッションとブヨブヨシンセベースに、BUSTA と日本を代表する4本マイクがスパスパ最高の切れ味でリレーする。カップリングも KANYE WEST のリミックス。シビレマした。
●RIP SLYME「FUNFAIR」2007年
●RYO-Z & ILMARI のホームベースである RIP SLYME の去年のアルバムゲットしました。600円まで値下がるの待ってた。いや評価は低く見積もってないよ。日本のヒップホップでまさしく最高のフェイバリットだもん。ケツメイシなら380円くらいじゃないと買わないよ。
●今回はイツモはワリと脇役の低音部門 SU さんのラップが目立つんだけど、ボクが大好きなのはとにかくトリッキーなフロウをヤンチャ声でわめく PES くんのラップとトラックメイキング。マジ PES くんのソロ希望!それにしても今回は時流を汲んでかエレクトロなアプローチが強いなあ。マクドナルドのタイアップソング「SPEED KING」もCMで使われてる所の前まではノレる。つーか、CMの15秒分ソックリ編集でオトした方がカッコいい。MONGOL800 とのコラボは悪くはないが普通だった。RIP らしさ100%はその次の曲「熱帯夜」だったな。フロアキラー「StroboX」、ラストを飾る「流れの中で」の爽やかなマッタリ感に、「ああ RIP やっぱ好き」と納得。
●マボロシ「ワルダクミ」2004年
●PES くんはギター主体でトラック作りのキッカケを見つけるっぽいけど、このマボロシってユニットはユニークで、1MC & 1ギタリストって編成なんだよ。RHYMESTER のMCの MUMMY-D(ココでは本名・坂間大介名義でやってる)と、イカしたファンクバンド SUPER BUTTER DOG(ハナレグミ/永積タカシが所属)のギタリスト竹内朋康の2人組。ヘヴィロックアプローチになりがちなギターのフィーチャーが、ファンクかつソウルフルにまとまってて王道のヒップホップになってるバランス感覚がたまんない。
●KREVA の高速チューン「ファンキーグラマラス」の続編「PART 2」をやってたのが興味のキッカケ。KREVA ってラップはスゴいんだけど、トラックが薄くてあんま好きじゃない、でもこの曲は DR.K の異名に違わぬスキルフルなラップをカマしてて大好きだった。まー聴いてみれば印象は大分違ったけど、MUMMY-D のラップは味があってイイね。RHYMESTER も活動休止だし、SUPER BUTTER DOG も解散しちゃうそうだから、ちとソッチが残念。

●RHYMESCIENTIST「ESSENTIALLY」2002年
●この大阪のユニットは完全バンド仕様のヒップホップユニット。大阪でヒップホップバンドといえば、韻シストって連中がいるけど、その近辺人脈みたい(韻シストのメンバーが数名参加してるし)。生ギターでファンクロック駆動するのがマボロシだったけど、コイツらはどっちかってとジャズファンク駆動で回転するヒップホップ。ユサユサ横方向に揺さぶる。
●2BACKKA「BLOOMING SOUND」2005年
●大阪系バンドの次は、名古屋系の2MC+1DJ。名古屋の塾長 SEAMO の出るイベントとかで2回くらいパフォーマンス観た。もはや日本のメジャーヒップホップのメインストリームとも言える勢力になってる名古屋系。SEAMO、HOME MADE 家族、nobodyknows+、コレに続く二軍部隊が彼らかな。今はメジャー契約を持ってるってハナシだけど、これはまだインディ時代の盤。でもヒップホップの不良性とかワルフザケ体質が薄めな、どこか気真面目な感覚が今の名古屋の感覚を連想させる。「春よ」ではヒリヒリくるようなシリアスなリリックと朗々と歌い上げるフックのコーラス、ピアノ主体のキレイなトラック。これがメジャー感?それともセルアウトととる?
●BENNIE K「SYNCHRONICITY」2004年
●なんで中途半端に古い BENNIE K なの?って感じだけど、いや、ただ、100円だったから…。BENNIE Kは SEAMO がまだシーモネーターと名乗ってた超下品MCだった頃からコラボしてて、このアルバム収録の「天狗 VS. 弁慶」ってのが最高のコラボなんですよ。弁慶ってのは BENNIE K の名の由来でしょ(ベンケー→ベニーケー)。天狗ってのは、この頃のシーモネーターは股間に天狗のお面をつけて、後は全裸ってカッコでパフォーマンスしてたから。今の SEAMO からは想像つかんね。スケベ親父としてセクハラ丸出しで言い寄るシーモをウマくかわす BENNIE K の二人のヤリトリがラップとして最高。何年か前に観た BENNIE K の渋谷のライブでもシーモがゲストに出てくれてこの曲やってくれた。
●前も書いたけど、BENNIE K のMC CICOちゃんのハスッパな声のラップはボク的には完全な萌え対象で、ちょっとキツメだけど突っ込むとトロッと来そうな、ヒップホップ版ツンデレを妄想するのね。だから、ここでも希望しときます、CICOちゃんソロを。ヒットシングル「オアシス」は今聴いても気持ちいいな。
●加藤ミリヤ「LALALA / FUTURECHECKA」2007年
●無数といるR&B女子の中でもなかなかイイ位置に居座ったミリヤちゃん。まだ若いのに(デビュー時は女子高生だよ)華奢なカラダで目一杯に気を張ってキャリアを突き詰めていく感じが、実は痛々しくも見えてて、その意味で彼女の歌はリアルに響くんだよな。
●今回わざわざピックしたのは(50円だったってのはおいといて)制作陣に若旦那(湘南乃風)&MINMI 夫妻(赤ちゃん出産おめでとう!)が入っているから。サビはグッとクルし、若旦那のラップも直球の青臭さ満点ながら、結果としてはよくあるミッドバラード。でも男女3MCを招いたカップリングが密度の濃いファンクだったのでヨシ!ここで活躍してる COMA-CHI って女性MCは、DJ MITSU THE BEATS の JAZZY SPORT関係者で、RIP のアルバムにも客演してた。気になる。
●YA-KYIM「ELEC*TRICK」2005年
●個人的に今クール最注目だったテレ朝深夜ドラマ「キミ犯人じゃないよね」(主演:貫地谷しほり/要潤)の主題歌を担当してたのがこの3人組の女の子。実際の主題歌は「SUPER☆LOOPER」という曲なんだけど、これは古くて彼女たちの3枚目のシングル。偶然180円で見つけた。彼女達の音楽は厳密なヒップホップじゃなくて、遺伝子の半分くらいがダンスホールレゲエで出来てるスタイル。ラップもするが3人でハモるコーラスにも躊躇しないし、トラックの重心も四ツ打ちに固執しない。あとよく踊る。「SUPER☆LOOPER」も早く180円で出てこないかな〜。

●AI「WATCH OUT ! feat. AFRA + TUCKER」2004年
●日本最強のヒップホップウーマン AI が繰り出した最高のファンクシングル。実は既に持ってるんだけど、これまた50円でDVD付きヴァージョンのシングルを見つけた。即買い。ご存知世界に誇る日本のヒューマンビートボクサーAFRA とマッドなエレクトーンプレイヤー TUCKER の3人だけで、実にファットなファンクを鳴らす。ホントいつ聴いてもカッコいい。
●そんでDVD。この「WATCH OUT !」のプロモが収録されてる。ディスコ風ネオンをバックに AI、AFRA、TUCKER の三人が奇抜な衣装で大げさにヒョコヒョコ踊って歌って跳ね回ってるんだけど、そこに突如 K DUB SHINE のアニキが踏み込んできて、撮影を無理矢理ストップさせる。「ちっとコレおかしいだろう。こんなモンやり過ぎだろ〜」TUCKER のアフロをデコパチで弾いて、AI のモータウン風ウィッグをムシリ取る。K DUB の暴挙にドン引きの現場。K DUB「リアルにやんなくちゃだめでしょ」
●パッと場面は変わって、だだっ広いスタジオに、無造作に散らばった機材群とジュラケース。TUCKER の使い込んだエレクトーンとサンプラーがガッシリとセットアップされてて、ライブレコーディングのスタンバイは完全オッケー。もう小細工なし、ガチンコのスタジオライブがスタート!エレクトーンを囲む3つのファンク魂が一気に炎上する。一発撮りのスリルと興奮が絶頂に達したエンディングに TUCKER は自分の楽器にのしかかって倒す寸前。慌てて押さえる三人はエレクトーンにしがみ付きながら爆笑。AIちゃん「マジヤバ過ぎる(笑)」K DUBの兄貴も満足げ。コレ必ず観て。YOU TUBE 上がってるかな?
●K DUB SHINE「正真正銘」2004年
●AIちゃんのPV撮影に乱入ダメ出ししたのは、東京のアンダーグラウンドを長きにわたって支配し続けるボス、K DUB SHINE。ZEEBRA、DJ OASIS と組んでたキングギドラは、1995年日本のシーンがハード&ドープに折り返す分岐点に活躍した。主義思想が違えばディスもビーフも躊躇しない武闘派で、後述の BUDDHA BRAND のリーダー DEV LARGE(日本人なら日本語でラップしろ!的批判。K DUB はラップにほとんどエイゴを使わないが。実は8年留学経験のあるペラペラさん)とビーフ合戦を繰り広げたり、KICK THE CAN CREW や RIP SLYME をセルアウトと見なして口撃したりしてた。DRAGON ASH の降谷建志はコレでノイローゼ&再起不能寸前までいったとか。2002年に再結成した時も内容が過激過ぎるとシングル回収騒ぎを起こし周辺は常に穏やかじゃない…。現在では ZEEBRA とも結局価値観において決裂してるみたい。……ZEEBRAは ZEEBRA で目下 YOU TUBE で騒ぎを起こしたりと実に賑やかですが。
●そんな彼が自分のルーツであるアメリカのヒップホップの憧れを直球でラップしたのがこの曲。80年代から90年代までのヒップホップ偉人の名(RUN DMC、WHODINI、UTFO、PE、BDP、BEASTIES、RAKIM……、たくさんたくさん。ココに出てくる固有名詞を全部理解したらヒップホップ史100点トれる。)を列挙し、自分がいかにこの文化に魅せられたかを、そんで日本で自分がいかにシーンに貢献したかを語ってる。ソロではシリアスな社会問題や国歌観にズバズバ言及する社会派の側面も。映画「狂気の桜」では音楽監督を担い、主演・窪塚洋介とはマブダチに。後輩筋となった窪塚はニュース見て「先輩コレってオカしいじゃないですか!」って直電かけてくる関係、と昔テレビのインタビューで言ってた。「彼ね、スゲエマジメ。すぐ電話かかってくるもん」
●BUDDHA BRAND「ブッダの休日」1997年
●今日唯一の90年代クラシック。1996年にデビュー、ハードでドープなN.Y.直輸入のヒップホップを日本に導入した彼ら。ソレまで日本のシーンを包んでいたスチャダラパー中心のピースフルな「おもろラップ」の雰囲気を、キングギドラなどと共に吹き飛ばした強面の4人組。そのハードなオーラを身にまとい業界を転覆させたクセして、3枚目のこのシングルはストイックなループモノでありながら激メロウなグルーヴ。しかもT-1からインストで入るというこの革新的戦術。90年代のこの段階でメロウグルーヴいきなりインストってヒップホップ偏差値高過ぎでしょ!ナニからナニまで時代の先端を進んでいたこのスーパーグループ、あまりに先鋭的だったがために、ユニット自体が短命に終わったのが残念。実質1996〜2000年しかグループとして機能してなかった。でも今じゃやっぱ50円。
●ガンダム少年ノマド。
![]() | 機動戦士ガンダム ZZ 12 (2002/05/25) 矢尾一樹岡本麻弥 商品詳細を見る |
●DVDでコツコツ観てきた「機動戦士ガンダムZZ」が全部終了して、我が家ではひとまずハマーン・カーンのネオジオン戦争は終わったのでありました。ハマーン・カーンとグレミー・トトのネオジオン内部分裂でアクシズ&コア3(サイド3の拠点コロニー)が衝突するメチャクチャな事態に至って、ブライトさんすら置いてきちゃったガキ共だけのネェルアーガマは、少年らしいシンプルでノビノビとした戦術と徹底的なニュータイプセンスで、片っ端から敵をやっつけ実に爽快な終わり方をするのでありました。
●最後の決戦の後、ノコノコ遅れて現れた連邦軍艦隊にジュドーはキレる。「大勢の人が死んだんだぞ!」ソレを受け止めてブライトさん「気が済むのなら、オレの顔を殴れ!」思いっきりブン殴られる。「ガンダム」という物語は、ファーストから「Z」「ZZ」「逆シャア」へと一貫して出演するブライトさんの大人への成熟のドラマにもとれる。一介の堅物青年将校だった彼が一年戦争の英雄となり、そして連邦政府への腐敗に憤り行動を起こす。ニュータイプの少年達の逞しさを目の前にし、彼らに恥じぬよう汚れた現実との摩擦に立ち向かう。ボク自身の年齢がブライトさんに近づいたからそう感じるのかな。
●キャラ・スーンのゲーマルクとか、プルツーのクインマンサとか、強化されすぎたマシュマー・セロのザクIII改とか、それを倒した量産型キュベレイとか、立派なポテンシャルを持ったモビルスーツの名機が活躍し切らずママに終わっちまうのが実に惜しい気もするのは、きっと大人になれないダメ30代のボヤキです。ホントにチラっとしか出てこなかった…。
![]() | 機動戦士ガンダム 1 (2007/06/22) 古谷 徹.鈴置洋孝.井上 瑤.池田秀一 商品詳細を見る |
●そんで今日からは、一番最初の「機動戦士ガンダム」、いわゆるファーストガンダムを観始めました。
●ノマド、正座で画面に食い入ってます。さすが「ファーストガンダム」、お子様向けの「ZZ」とはリアリティの重みが違う。人が怯え叫びそして理不尽に死ぬ。第一話だけでもう口あんぐり。マニュアル一冊の知識で連邦軍の最高機密モビルスーツに乗り込むアムロ。そしてそのガンダムの驚異的なバワー。ザクマシンガンをモノともしない重装甲と、素手でザクの顔面をむしり取る強力。ノマド一言「すごすぎます!」(←なぜ敬語?)コレは今後一話一話ノマドに観せるのが楽しみだ。ヤツの反応がオモシロ過ぎるから。明日観る第二話は早速、通常のザクの3倍のスピードで飛来する、あの「赤い彗星」がガンダムに襲いかかる。「次週!ガンダム破壊命令!キミは生きのびる事ができるか…」
●ちなみにヒヨコ、フラウ・ボウの家族が連邦軍の誤爆で全員死んだ瞬間、もう涙ぐんでました。「フラウ!キミは強い娘だ、港まで上がるんだ。ボクも後からすぐ行く。……そうだ、走るんだ、フラウ(涙)」
●今日は、日本語のヒップホップ。最近聴いたヤツ。
●アメリカのシーンと日本のシーンが直結してビリビリと振幅した瞬間が、少し昔にありました。
![]() | Buhloone Mindstate (2000/08/23) デ・ラ・ソウル 商品詳細を見る |
●DE LA SOUL の3枚目「BUHLOONE MINDSTATE」1993年。NATIVE TONGUE 旋風最高の瞬間を掬いとったこのアルバムで、高木完とスチャダラパーがフィーチャーされた。しかもそのまんま日本語のラップで。その瞬間「ああ、日本のシーンとアメリカがダイレクトに動いている」と感動したものだ。
●で、00年代の今。TERIYAKI BOYS がいる。
![]() | ZOCK ON! feat.Pharrell and Busta Rhymes (2008/03/19) TERIYAKI BOYZPharrell 商品詳細を見る |
●TERIYAKI BOYZ「ZOCK ON !」2008年
●m-flo の VERBAL、RIP SLYME の RYO-Z & ILMARI、そして WISE。この4MCに BATHING APE の NIGO が加わったスーパーグループ。で、NIGO のセレブコネフル稼働で、今回は表題曲の制作が THE NEPTUNES、FEAT.に PHARRELL & BUSTA RHYMES。完全にアメリカの最先端シーンとリンクしまくってる。ご存知の通り PHARRELL のソロアルバムのジャケは NIGO だし、ここら辺のマブダチぶりはホンモノ。異常にカッチカチな硬質パーカッションとブヨブヨシンセベースに、BUSTA と日本を代表する4本マイクがスパスパ最高の切れ味でリレーする。カップリングも KANYE WEST のリミックス。シビレマした。
![]() | FUNFAIR (2007/11/28) RIP SLYMEMONGOL800 商品詳細を見る |
●RIP SLYME「FUNFAIR」2007年
●RYO-Z & ILMARI のホームベースである RIP SLYME の去年のアルバムゲットしました。600円まで値下がるの待ってた。いや評価は低く見積もってないよ。日本のヒップホップでまさしく最高のフェイバリットだもん。ケツメイシなら380円くらいじゃないと買わないよ。
●今回はイツモはワリと脇役の低音部門 SU さんのラップが目立つんだけど、ボクが大好きなのはとにかくトリッキーなフロウをヤンチャ声でわめく PES くんのラップとトラックメイキング。マジ PES くんのソロ希望!それにしても今回は時流を汲んでかエレクトロなアプローチが強いなあ。マクドナルドのタイアップソング「SPEED KING」もCMで使われてる所の前まではノレる。つーか、CMの15秒分ソックリ編集でオトした方がカッコいい。MONGOL800 とのコラボは悪くはないが普通だった。RIP らしさ100%はその次の曲「熱帯夜」だったな。フロアキラー「StroboX」、ラストを飾る「流れの中で」の爽やかなマッタリ感に、「ああ RIP やっぱ好き」と納得。
![]() | ワルダクミ (2004/12/08) マボロシKOHEI JAPAN マボロシ featuring Full Of Harmony 商品詳細を見る |
●マボロシ「ワルダクミ」2004年
●PES くんはギター主体でトラック作りのキッカケを見つけるっぽいけど、このマボロシってユニットはユニークで、1MC & 1ギタリストって編成なんだよ。RHYMESTER のMCの MUMMY-D(ココでは本名・坂間大介名義でやってる)と、イカしたファンクバンド SUPER BUTTER DOG(ハナレグミ/永積タカシが所属)のギタリスト竹内朋康の2人組。ヘヴィロックアプローチになりがちなギターのフィーチャーが、ファンクかつソウルフルにまとまってて王道のヒップホップになってるバランス感覚がたまんない。
●KREVA の高速チューン「ファンキーグラマラス」の続編「PART 2」をやってたのが興味のキッカケ。KREVA ってラップはスゴいんだけど、トラックが薄くてあんま好きじゃない、でもこの曲は DR.K の異名に違わぬスキルフルなラップをカマしてて大好きだった。まー聴いてみれば印象は大分違ったけど、MUMMY-D のラップは味があってイイね。RHYMESTER も活動休止だし、SUPER BUTTER DOG も解散しちゃうそうだから、ちとソッチが残念。

●RHYMESCIENTIST「ESSENTIALLY」2002年
●この大阪のユニットは完全バンド仕様のヒップホップユニット。大阪でヒップホップバンドといえば、韻シストって連中がいるけど、その近辺人脈みたい(韻シストのメンバーが数名参加してるし)。生ギターでファンクロック駆動するのがマボロシだったけど、コイツらはどっちかってとジャズファンク駆動で回転するヒップホップ。ユサユサ横方向に揺さぶる。
![]() | blooming sound (2005/04/08) 2BACKKATSUYOSHI 商品詳細を見る |
●2BACKKA「BLOOMING SOUND」2005年
●大阪系バンドの次は、名古屋系の2MC+1DJ。名古屋の塾長 SEAMO の出るイベントとかで2回くらいパフォーマンス観た。もはや日本のメジャーヒップホップのメインストリームとも言える勢力になってる名古屋系。SEAMO、HOME MADE 家族、nobodyknows+、コレに続く二軍部隊が彼らかな。今はメジャー契約を持ってるってハナシだけど、これはまだインディ時代の盤。でもヒップホップの不良性とかワルフザケ体質が薄めな、どこか気真面目な感覚が今の名古屋の感覚を連想させる。「春よ」ではヒリヒリくるようなシリアスなリリックと朗々と歌い上げるフックのコーラス、ピアノ主体のキレイなトラック。これがメジャー感?それともセルアウトととる?
![]() | Synchronicity (2004/11/04) BENNIE Kシーモネーター 商品詳細を見る |
●BENNIE K「SYNCHRONICITY」2004年
●なんで中途半端に古い BENNIE K なの?って感じだけど、いや、ただ、100円だったから…。BENNIE Kは SEAMO がまだシーモネーターと名乗ってた超下品MCだった頃からコラボしてて、このアルバム収録の「天狗 VS. 弁慶」ってのが最高のコラボなんですよ。弁慶ってのは BENNIE K の名の由来でしょ(ベンケー→ベニーケー)。天狗ってのは、この頃のシーモネーターは股間に天狗のお面をつけて、後は全裸ってカッコでパフォーマンスしてたから。今の SEAMO からは想像つかんね。スケベ親父としてセクハラ丸出しで言い寄るシーモをウマくかわす BENNIE K の二人のヤリトリがラップとして最高。何年か前に観た BENNIE K の渋谷のライブでもシーモがゲストに出てくれてこの曲やってくれた。
●前も書いたけど、BENNIE K のMC CICOちゃんのハスッパな声のラップはボク的には完全な萌え対象で、ちょっとキツメだけど突っ込むとトロッと来そうな、ヒップホップ版ツンデレを妄想するのね。だから、ここでも希望しときます、CICOちゃんソロを。ヒットシングル「オアシス」は今聴いても気持ちいいな。
![]() | LALALA feat.若旦那(湘南乃風)/FUTURECHECKA feat.SIMON,COMA-CHI&TARO SOUL (2007/10/17) 加藤ミリヤ若旦那 商品詳細を見る |
●加藤ミリヤ「LALALA / FUTURECHECKA」2007年
●無数といるR&B女子の中でもなかなかイイ位置に居座ったミリヤちゃん。まだ若いのに(デビュー時は女子高生だよ)華奢なカラダで目一杯に気を張ってキャリアを突き詰めていく感じが、実は痛々しくも見えてて、その意味で彼女の歌はリアルに響くんだよな。
●今回わざわざピックしたのは(50円だったってのはおいといて)制作陣に若旦那(湘南乃風)&MINMI 夫妻(赤ちゃん出産おめでとう!)が入っているから。サビはグッとクルし、若旦那のラップも直球の青臭さ満点ながら、結果としてはよくあるミッドバラード。でも男女3MCを招いたカップリングが密度の濃いファンクだったのでヨシ!ここで活躍してる COMA-CHI って女性MCは、DJ MITSU THE BEATS の JAZZY SPORT関係者で、RIP のアルバムにも客演してた。気になる。
![]() | Elec-Trick (2005/12/07) YA-KYIM 商品詳細を見る |
●YA-KYIM「ELEC*TRICK」2005年
●個人的に今クール最注目だったテレ朝深夜ドラマ「キミ犯人じゃないよね」(主演:貫地谷しほり/要潤)の主題歌を担当してたのがこの3人組の女の子。実際の主題歌は「SUPER☆LOOPER」という曲なんだけど、これは古くて彼女たちの3枚目のシングル。偶然180円で見つけた。彼女達の音楽は厳密なヒップホップじゃなくて、遺伝子の半分くらいがダンスホールレゲエで出来てるスタイル。ラップもするが3人でハモるコーラスにも躊躇しないし、トラックの重心も四ツ打ちに固執しない。あとよく踊る。「SUPER☆LOOPER」も早く180円で出てこないかな〜。

●AI「WATCH OUT ! feat. AFRA + TUCKER」2004年
●日本最強のヒップホップウーマン AI が繰り出した最高のファンクシングル。実は既に持ってるんだけど、これまた50円でDVD付きヴァージョンのシングルを見つけた。即買い。ご存知世界に誇る日本のヒューマンビートボクサーAFRA とマッドなエレクトーンプレイヤー TUCKER の3人だけで、実にファットなファンクを鳴らす。ホントいつ聴いてもカッコいい。
●そんでDVD。この「WATCH OUT !」のプロモが収録されてる。ディスコ風ネオンをバックに AI、AFRA、TUCKER の三人が奇抜な衣装で大げさにヒョコヒョコ踊って歌って跳ね回ってるんだけど、そこに突如 K DUB SHINE のアニキが踏み込んできて、撮影を無理矢理ストップさせる。「ちっとコレおかしいだろう。こんなモンやり過ぎだろ〜」TUCKER のアフロをデコパチで弾いて、AI のモータウン風ウィッグをムシリ取る。K DUB の暴挙にドン引きの現場。K DUB「リアルにやんなくちゃだめでしょ」
●パッと場面は変わって、だだっ広いスタジオに、無造作に散らばった機材群とジュラケース。TUCKER の使い込んだエレクトーンとサンプラーがガッシリとセットアップされてて、ライブレコーディングのスタンバイは完全オッケー。もう小細工なし、ガチンコのスタジオライブがスタート!エレクトーンを囲む3つのファンク魂が一気に炎上する。一発撮りのスリルと興奮が絶頂に達したエンディングに TUCKER は自分の楽器にのしかかって倒す寸前。慌てて押さえる三人はエレクトーンにしがみ付きながら爆笑。AIちゃん「マジヤバ過ぎる(笑)」K DUBの兄貴も満足げ。コレ必ず観て。YOU TUBE 上がってるかな?
![]() | 正真正銘 (CCCD) (2004/04/28) K DUB SHINE 商品詳細を見る |
●K DUB SHINE「正真正銘」2004年
●AIちゃんのPV撮影に乱入ダメ出ししたのは、東京のアンダーグラウンドを長きにわたって支配し続けるボス、K DUB SHINE。ZEEBRA、DJ OASIS と組んでたキングギドラは、1995年日本のシーンがハード&ドープに折り返す分岐点に活躍した。主義思想が違えばディスもビーフも躊躇しない武闘派で、後述の BUDDHA BRAND のリーダー DEV LARGE(日本人なら日本語でラップしろ!的批判。K DUB はラップにほとんどエイゴを使わないが。実は8年留学経験のあるペラペラさん)とビーフ合戦を繰り広げたり、KICK THE CAN CREW や RIP SLYME をセルアウトと見なして口撃したりしてた。DRAGON ASH の降谷建志はコレでノイローゼ&再起不能寸前までいったとか。2002年に再結成した時も内容が過激過ぎるとシングル回収騒ぎを起こし周辺は常に穏やかじゃない…。現在では ZEEBRA とも結局価値観において決裂してるみたい。……ZEEBRAは ZEEBRA で目下 YOU TUBE で騒ぎを起こしたりと実に賑やかですが。
●そんな彼が自分のルーツであるアメリカのヒップホップの憧れを直球でラップしたのがこの曲。80年代から90年代までのヒップホップ偉人の名(RUN DMC、WHODINI、UTFO、PE、BDP、BEASTIES、RAKIM……、たくさんたくさん。ココに出てくる固有名詞を全部理解したらヒップホップ史100点トれる。)を列挙し、自分がいかにこの文化に魅せられたかを、そんで日本で自分がいかにシーンに貢献したかを語ってる。ソロではシリアスな社会問題や国歌観にズバズバ言及する社会派の側面も。映画「狂気の桜」では音楽監督を担い、主演・窪塚洋介とはマブダチに。後輩筋となった窪塚はニュース見て「先輩コレってオカしいじゃないですか!」って直電かけてくる関係、と昔テレビのインタビューで言ってた。「彼ね、スゲエマジメ。すぐ電話かかってくるもん」
![]() | ブッダの休日 (1997/04/23) BUDDHA BRAND 商品詳細を見る |
●BUDDHA BRAND「ブッダの休日」1997年
●今日唯一の90年代クラシック。1996年にデビュー、ハードでドープなN.Y.直輸入のヒップホップを日本に導入した彼ら。ソレまで日本のシーンを包んでいたスチャダラパー中心のピースフルな「おもろラップ」の雰囲気を、キングギドラなどと共に吹き飛ばした強面の4人組。そのハードなオーラを身にまとい業界を転覆させたクセして、3枚目のこのシングルはストイックなループモノでありながら激メロウなグルーヴ。しかもT-1からインストで入るというこの革新的戦術。90年代のこの段階でメロウグルーヴいきなりインストってヒップホップ偏差値高過ぎでしょ!ナニからナニまで時代の先端を進んでいたこのスーパーグループ、あまりに先鋭的だったがために、ユニット自体が短命に終わったのが残念。実質1996〜2000年しかグループとして機能してなかった。でも今じゃやっぱ50円。
2008.06.28
後輩たちの巣立ち。そんでボクは KANYE WEST 関係者を聴いてる。
●昨日は汐留に行った。異動する後輩に最後の挨拶をするために。

●東銀座への鍼灸治療のついでだったんだけど、7月人事異動で他の部署に移ってしまう後輩に一言餞別を伝えるために、会社のソバまで寄ってみたんだ。結局週末の飲み会に行くことになって、若手スタッフと久しぶりにメシを食う事になっちゃったんだが…。あ、でも9時には切り上げたよ。2次会なんて行ったらまたカラダ壊しちゃうからね。…つーか、今日はそんな無茶苦茶をした翌日だからカラダぶっ壊れてて当然と思ってたんだけど、まあ、思ったより動くわ。多少はボクのカラダ回復してんのかな。
●ボクのチームにいた部下後輩達は、ホントにイイ奴らばかりで、全員がカワイクてしょうがない。ワザと若手中心に組織したチームは、実力経験こそ追いつかないが、やる気と根性、そして手慣れたベテランには思いつかない新しいアイディアで見事結果を出してきた。そんな連中の一人一人が弟妹のようにボクはカワイく思えてしょうがない。まあ一方的な感情かも知れないが(連中はボクのこと鬼上司と思ってるからね)、職場を一年も離れながらもそんな気持ちを今も引きずっている。
●今回異動するオンナノコは、特に可愛がり、特にシゴキ切った後輩だ。てかシゴキ90%くらいだね。徹底的に無理難題を押し付けた。レギュラーの仕事だけでもキツいのに、特別なプロジェクトにもガンガン引っ張り込んで仕事させた。2日連続で怒鳴りつけたら2週間くらいボクのソバからコソコソ逃げてやがった。
●でもね、ソイツの潜在能力の高さはハンパなモンじゃないとボクは思ってる。年次は8年も離れているが、最終的な実力では絶対ボクを上回る。だからこそ徹底的にシゴイて、限界までレベルアップさせてやろうと思ってた。……そんで、ボクは今病気になり、もう彼女に与えてやるスキルや技術はなくなった。もうボクの元にいる意味はないし、もっと高い次元の仕事へ移るのは最高だろうと思う。
●「オマエがクリエイターとして色々なアイディアを持ってるのは間違いない。でもオマエがもっと素晴らしいのは、仕事で関係する全スタッフの名前を覚えて、末端のアシスタントくんでも名前を呼んでコミュニケーションしてたことだ。オマエが周りに対してそういう付き合い方をしている限り、コレからどんなに難しい仕事をしよう時にも、絶対オマエを助けてくれる人が現れる。エラい人だけを向いて仕事してるヤツらがイッパイいる。そして実際エラい幹部はそういう所でしか人を見ない。エリート社員のヤツらは周囲の底辺なんて見ちゃいない。でも、ピンチを切り抜ける時、日々オマエのような人との接し方をしているヤツがみんなに助けてもらえるんだ。だから何も心配することはない」ぼくが言いたかったのはそれだけ。あとは全部自分でヤリ切れる。高い所へ飛んでいけ。

●それと、今日は新宿に行った。タワーレコードのフリーペーパー「BOUNCE」をゲットしに。
●コレ、毎月の日課。ボクは音楽誌は「BOUNCE」しか読まない。これで十分だし、ロックやブラックミュージックに細分化されてる雑誌を読むと視野が狭くなる。コレクター系小型版型雑誌もホコリっぽい過去遺産に引きずられて現在の状況をアップデートし切れてない。ジェイポップからエスニックまでオールジャンルを扱う雑誌は「BOUNCE」以外に見当たらない。しかもタダだし。ちなみに日本で一番部数ハケてる音楽誌だよ。
●ただし今月号は、特別な感情で読む。ボクの元部下がココの編集部に転職しての初めての号だからだ。なにやら悪戦苦闘の日々のようだが、手応え満点のようだ。ふふふ。ちゃんと記名記事書いてる。コッチも頑張れ。

。
●やっぱ、ヒップホップ。今日は、KANYE WEST 関係者の皆様。

●KANYE のレーベル GETTING OUT OUR DREAM。略して G.O.O.D.。
●この G.O.O.D.に次世代を担うヒップホップの才能がゴロゴロしている。今日はソコを中心にチェック。このレーベルには90年代初頭を賑わせたニュースクール、NATIVE TONGUE 一派の「文系ノリ」ヒップホップの雰囲気を感じるのよね。肩をいからせて自分のチンピラぶりを自慢するスタイルではなく、そして音楽的にも深みを持たせるタイプ。 G.O.O.D.所属と言ったら第一には JOHN LEGEND。これ間違いないでしょ。決してレンジの広い喉を持ってるワケじゃないけど、ピースフルで背伸びしない気さくさが漂う好青年。そんで COMMON。カレも終始コンシャスネスなメッセージを投げてきた男。オーガニックソウルの時代には、ヒップホップのオーガニックな側面を掘り下げ、様々な音楽実験も仕掛けた。いいヤツばっかだよ。
●で、最近一番気になるのがコイツ。
![]() | Don't Quit Your Day Job (2007/03/27) Consequence 商品詳細を見る |
●CONSEQUENCE「DON'T QUIT YOUR DAY JOB !」2007年
●ほんで、コイツも G.O.O.D.所属 KANYE 直系の弟子筋なんでございます。KAYNE 完全監修、KANYE 好きの人ならハートがとろけるヒップホップ工芸。KANYE 必殺ワザ45RPM回転サンプルも炸裂、ラップのスタイルも KANYE 風だし、「仕事ヤメんなよ!」的なメッセージもコンシャスネスでイイ感じ。マンガチックなジャケも含めてね。イマイチ地味な印象になっちゃったのは時代の流れがハヤ過ぎるためか?うーむ、ココまで高水準なヒップホップ絵巻物を作ってるのに周囲の評価がイマイチ追いついてないのがメチャ惜しい。
●実はコイツ Q-TIP (ex. A TRIBE CALLED QUEST) の従兄弟らしい。だから客演仕事は A TRIBE CALLED QUEST のアルバムなんかで顔出ししてた。ホントのチャンスを掴んだのは、KANYE WEST「THE COLLEGE DROPOUT」に客演してから。こっから KANYE 人脈をたどって COMMON、TALIB KWELI、BEYONCE などに客演。そんで満を持して G.O.O.D. からのアルバムデビューだったわけ。こっちには KANYE も JOHN LEGEND も 有名ラジオ局のパレスチナ系パーソナリティ DJ KHALED などが参加。この三人に囲まれて収録した「GRAMMY FAMILY」はマジカッコイイ(つーか KANYE 楽曲そのもの)!2枚目を今年に準備中らしいのでマークしとこ。とにかく絶対名前知っといて損しないヤツだから!
●でね、もっとスゴいヤツがいる。
![]() | The Cool (2007/12/18) Lupe Fiasco 商品詳細を見る |
●LUPE FIASCO「LUPE FIASCO'S THE COOL」2007年
●この男は G.O.O.D.所属ではないが、デビューアルバムを KANYE WEST や THE NEPTUNES に手伝ってもらってリリースした。KANYE のアルバム「LATE REGISTRATION」への客演もあるし、音楽への向き合い方もラップのスタイルも KANYE に近い。しかし、この2枚目のアルバムで完全に自分の世界を確立してしまった。ハッキリ言ってコイツはホンモノ。50年経っても記憶されるアルバムかも。
●いわゆるメガネ系ナードラッパー(ゲーム大好き、アニメ大好き、特にルパンとガンダムが好き)で、それだけで強烈に親近感湧いちゃうのに、圧倒的に美しいトラックメイキング(どうやら自分のレーベル1st & 15th の配下 SOUNDTRAKKってヤツらがスゴいらしい)と、高速かつ正確で、一方時にはメロディアスにラップするオタク声に萌え上がってしまう。そしてラップのフックとフィーチャーコーラスが最高にキャッチー。このアルバムの出現は、KANYE WEST の一枚目二枚目を聴いた時の感動に匹敵する。3曲目4曲目の馴染み易いフックに感心してると、5曲目のグッとクルコーラスにもうハートは完全に持っていかれる。この曲をはじめ各所で活躍する MATTHEW SANTOS や GEMSTONES 他数人の客演シンガーは基本1st & 15th の一員。既に全部自分のクルーで自活できるんか?!6曲目「PARIS, TOKYO」はパリから東京、ニューオリンズからシカゴまで、飄々と流れてくハナウタメロの気持ちイイ佳曲。A TRIBE CALLED QUEST の傑作三枚目を思い出す質感。切々と「ヒップホップがオレを守ってくれた」と語る9曲目「HIP HOP SAVED MY LIFE」はこれまたグッとくるよ。12曲目のハードなビートも見事にキャッチーにまとめる。スゲエ。
●客演でビッグゲストは7曲目に登場する御犬様 SNOOP DOGG だけだが、これまたソウルフルなコーラスで完全にココロ持ってかれて一瞬この大物ゲストの存在を忘れる。こんなヤツに声かけたか!と感じたのは U.N.K.L.E.とのコラボ。U.N.K.L.E. の演奏するダークでロックなトラックを鮮やかに乗りこなす。
●正直、発売の瞬間から購入&聴いていたCDですが、冷静になれるまでココまで時間がかかった。そんくらいコレスゴいです。まさに新世代。KANYE「LATE REGISTRATION」級の作品として末代まで語り継がれる逸品ですわ。
●コレは KANYE さんが1曲制作、2曲客演してるので。
![]() | Blue Collar (2006/07/11) Rhymefest 商品詳細を見る |
●RHYMEFEST「BLUE COLLAR」2006年
●KANYE WEST の大名曲「JESUS WALKS」(ゴスペルクワイアを背負って人間の業を叫ぶカニエ…)を共作してるオトコなんです。グラミー賞受賞の時は一緒に登壇してる。「ラップ=暴力」と決めつける保守派政治家と議論するなど社会派の側面も強いシカゴ出身のオトコ(COMMON、LUPE FIASCO と同郷)。KANYE らのバックアップも含めてコレでメジャーデビュー。
●今回は、ブルーカラー労働者の悲喜こもごもを雇用主のオッサンとゴタゴタモメながら「働いてもイイことねえよ、切ねエなあ」的なボヤキを半ば笑い飛ばしつつラップしていく感じで、肩肘張らない日常世界を楽しくコミカルに描いてる雰囲気。KANYE 参加曲は2曲だけど、イントロに Q-TIP (ex. A TRIBE CALLED QUEST) が登場、二曲目は JUST BLAZE 制作。メインのトラックメイカーは JERMAINE DUPRI の一派 SO SO DEF クルーの NO-ID。COOL & DRE もトラック提供。EXEC PROD には、SALAAM REMI とともに AMY WINEHOUSE をブレイクさせた白人DJ MARK RONSON の名前が。ほう、全員かなりの業師ばっかりだよ。
●最後に故 OL DIRTY BASTARD とフニャフニャのヘタウマ歌唱をほんわか聴かせて終わる所もとてもチャーミング。
●コイツは名前が似てるけど全然関係ない。
![]() | Glory (2006/09/26) Manafest 商品詳細を見る |
●MANAFEST「GLORY」2006年
●RHYMEFEST と MANAFEST。紛らわしいでしょ。ぶっちゃけちょっと混同してたし、同じような音楽やってんだろ、と思って買ったら全然違った。ガクッ。ジャケをご覧の通り、白人ラッパー、カナダ出身で元スケートボーダー。メンタリティは、ヒップホップというより、LINKIN PARK 的なヘヴィロックを一人でやってるって感じ。ゴリゴリのギターリフの渦の中で絶叫!うーん、コレはちとボクの趣味じゃない…。
2008.06.26
賢い犬は時代の匂いを正確に嗅ぎ分ける。犬将軍 SNOOP DOGG。
●本日、会社で大ショックなことが…。給料に間違い発覚。
●月末になると会社は几帳面に給与明細を自宅まで郵送してくれる。普通なら会社で手渡しだけどね、何ぶん会社行ってねえし。そんで今月の給料をチェックする。まーウチの会社はボクのような休職者にも多少は給料を払ってくれる親切なトコロなんだけど、今月はなぜかバクッと額が下がってた。ん?なんで?今月と先月とナニが違うの…?
●よーく見ると「裁量労働手当」って費目が突然消滅してる。ボクは本来「裁量労働制度」で働いていたヤツなので、自分の裁量権で自分の労働時間を決めることができる。1時間しか働かなくても20時間働いても同じ。当然1時間で仕事が終わるはずがナイし、勤務時間はボロボロに長かったので、「裁量労働手当」は実質上の残業代だ。数十時間分の残業代を定額で手当てするから後はうまく働け、って仕組み。ボクの部署はほとんどが「裁量労働制度」で働いているし、ずーっと「裁量労働手当」をもらってた。基本給みたいなもんと思ってた。
●これが消滅するってどういう事?不思議だ…。なので、今日はたまたま会社のカウンセリング日、ついでに労務部に行ってハナシを聞きにいった。そしたらわざわざ労務部長と労務部次長が出てきた。いやあそんなエラい人に説明してもらうほどでもないのに…。
●部長「いやあ、実はホントに申し訳ないんだけどね、実は我々が間違えてしまったんです」はああ?「裁量手当って、裁量労働で働いてもらう手当でしょ。傷病欠勤しているキミは、今裁量労働はしてないわけ。だからホントはもらえないの。なのに、間違って今まで払っちゃってたんだよ。いわゆる『過払い』」へ?そんなコトってあるの?給料の額を間違えるなんて。「それでね、コッチの間違いで申し訳ないんだけど、コレ、返してもらわないといけないの」ええええ〜!!そんな〜!!給料返すの!!!
●部長「コチラも間違えを察知したのは先月末だったかな。だから今月から金額に反映された訳だけど、どうやってこの事をキミに連絡したらいいもんかと迷っててね〜。ショック受けちゃうと病気に障るかも知れないし」いやいや、別にコレで寝込んだりはしないっすけど!で、でも、ショックはショックです……。あの、合計でナンボくらいでしたっけ、数ヶ月くらいもらっちゃったですよね……チリツモで結構な額にイッちまうような……。あと、すぐ返さないといけないんスカ…?
●部長「あくまでコッチの間違いだから、ゆっくりで結構だよ!今後相談しましょ。こういう時があったら、月1万づつ返してボーナスでバッと返すとか、色々やり方あるから」あの、復職した後でいいですよね…、さすがに今はキッツイすから。ゆっくりゆっくり返させて下さい……まさか利子つかないですよね!「つかないつかない!儲ける訳じゃないんだから」
●あの、今日はボクが問い合わせしたからコトが発覚したってコトじゃないっすよね、言わなかったら気付かなかったとか…。「いや、コッチで間違い発見して修正したんだよ、キミに連絡が取れなかっただけ」なんか今ボクスゴくセコい事言ってるよな…。でも、一度もらった給料返すのってやっぱヤダよー!ショックー!スゴくショックー!
●でも給料をちょっとでももらってるだけで恩の字だし、しんどい時期に給料前借りしたと思えば得とも取れる…。なんか複雑な感じ!だけど会社って意外といい加減に出来てんだなあ。
●そんな下世話なハナシは、キレイに忘れて…。
●さて、東の王者 NAS のキャリアについて先日語ったわけですが、今度はコイツです。

●西の犬将軍 SNOOP DOGG。DR.DRE の開発した G-FUNK に血肉を与えたラッパー。彼は天才というより、ワン&オンリーの強烈な個性が武器。
●ココで個人的な思い出。1994年初めての渡米。
●ボクが初めてアメリカに行ったのは20歳、1994年のコトだった。海外の一人旅は初めて。この年の2月、ロサンゼルス〜サンフランシスコ〜シアトルへと移動した。あ、サンディエゴにもちょっと行ったかも。ほとんど空っぽのスーツケースを持って入国、チカラの限りCDとレコード買ってカバンをパンパンにするつもりだった。結局80枚以上は買った。死ぬほど重かった。
●当時はシアトルグランジの時代で、シアトルは外せない街だった。ソコでの経験も最高だったが、そのハナシはまた別の機会に。最初の街ロサンゼルスで最初っからボクは興奮しまくった。クルマがないと移動が難しいロスは、サンタモニカやメルローズに目標を絞って古着屋やレコ屋をチェックしまくった。メルローズは今でも出張の度に立ち寄って古着を買ってく。ああ、MOCA(MUSEUM OF CONTEMPORARY ART)にも行ったっけ。
●でも夜一人で出歩く根性はなかったから、必然的に部屋でテレビ見てる時間が多くなる訳だけど、ココでアメリカのCATVの豊富さにビックリすんですよ。日本じゃまだケーブルテレビなんて全然普及してなかった。なのにアメリカのホテルでは100チャンネルくらい繋がってる訳よ!で、MTVとかVH1とか、ブラック系だとBETとかが24時間ナイスな音楽を垂れ流しまくってる!もうずーっと見まくった。デリで買った軽食を抱えてベッドの上でずーっとテレビ見て、気になる曲をノートにメモって、次の日レコ屋に探しにいく!
●そんな時、テレビの画面を独占してたヤツ、ヘヴィロテされまくってたヤツが、この SNOOP DOGGY DOGG だった。完全に目と耳に刷り込まれた。彼の立ち振る舞い、ファッション、そしてあの脱力した余裕シャクシャクのラップが。そんでヤツはこういうのだ。「バウワウワウ、ユビヨゥユビイェエィ!ビィアァッチ!」
●SNOOP DOGGY DOGG「DOGGY STYLE」1993年
●ボクが訪米してた時のヘヴィロテ曲はこのアルバム収録の「GIN AND JUICE」「WHO AM I (WHAT'S MY NAME) ?」だった。今では G-FUNK の激古典曲だわな。まずビビったのは、コイツが殺人の嫌疑にかけられてたってコトだ。結局は正当防衛とされたが、ギャングのメンバーを撃ち殺してるんだよね。しかもこのアルバムリリースの3か月前の事よ。日本なら大スキャンダルで速攻発売中止じゃん。なのに、アメリカでは大ヒットしてスター気取りでヘヴィロテ。殺人犯がテレビで堂々とラップしてるよ。しかも、あの人を喰ったような飄々とした鼻ウタ風ラップで。で、歌の中身も殺人だのギャングスタライフだのが目白押し。「コレがアメリカか、コレがロサンゼルスか」20歳のボクには衝撃だったな。そしてこのヒップホップカルチャーってのにノメり込んでいくんだわな。
●SNOOP はロスを二分するギャング組織、THE CLIPS(青組)とTHE BLOODS(赤組)の内、青組 CLIPS のロングビーチ支部に関わっていたホントのギャングスタだった。カラーギャングという言葉があるが、主だったギャングはチームカラーを持っている。CLIPS のルーツを今も重んじる SNOOP は今でも青い衣装、青いジャケットに拘っている。ある意味ホンモノなのよ。いや確実にホンモノなのよ。
●ロスのヒップホップ黎明期を支え、伝説のギャングスタラップを鳴らした N.W.A.のメンバー DR.DREが SUGE KNIGHT と共に立ち上げた DEATH LAW RECORDS。その最初のリリース DR.DRE「THE CHRONIC」に客演し評価を高めた SNOOP は一気にこのレーベルの看板スターになる。東海岸のヒップホップがストイックな方向に流れる中、懐かしいディスコファンクのマナーを正統に引き継いたキャッチーなトラック、そしてラップで描かれるセンセーショナルなギャングスタライフ、人呼んで「G-FUNK」は世間に巨大なインパクトを与えた。
●でもとにかく一番スゴいのは、そんな日常を当然のように余裕の鼻唄混じり感覚で軽くラップする彼の個性だった。ガナッタリしない。叫んだりしない。淡々と憎らしいほどに余裕をカマしてくるんだよ。バックには気持ちの良い四ツ打ちファンクと、ピーヒャララ〜とユラユラ揺れるキーボード。ソレがとにかくクールだった。ロスで一番最初に買ったCDだった。
●勢いに乗った DEATH LOW チームは映画まで撮っちゃった。サントラ「MURDER WAS THE CASE」もかなりの傑作なので要チェック。
●DEATH LAW のお家騒動。師匠 DR.DRE 脱退。
●SNOOP DOGGY DOGG「THA DOGGFATHER」1996年
●好調にスタートしたはずだった SNOOP のキャリアだが、トタンに暗雲が立ちこめてきた。DEATH LAW のリーダーであり、音楽的頭脳であった DR.DRE が脱退しちゃうんだから。原因はマネジメントを仕切ってた SUGE KNIGHT との不仲。巨体を活かしてボディーガードから業界入りした SUGE KNIGHT は完全な武闘派で、DR.DRE が DEATH LAW を設立する時も、元の所属先だった RUTHLESS RECORDS のオーナーで N.W.A. のリーダーだった EAZY-E を金属バットで脅迫して契約解除を強要した。そんなヤツがだんだん幅を利かせてきた。
●決定的だったのは、DEATH LAW が 2PAC を獲得した頃だった。西海岸ギャングスタのカリスマになった彼のおかげで DEATH LAW は大変潤うが、2PAC と SUGE はイケイケ過ぎて周りから浮き始めていた。2PAC は厳密にはギャングスタであったことはない。しかし挑発的なポーズが過激過ぎて、ヤバ過ぎる状況になっていった。PUFF DADDY と THE NOTORIOUS B.I.G. らが率いる BAD BOY RECORDS との東西抗争である。結果、1996年9月。2PAC はラスヴェガスで射殺された。
●SNOOP の師匠筋、DR.DRE は SUGE との経営方針の違い、カネの取り分を巡ってのトラブルで、1995年には早々 DEATH LAW を脱退。1996年に自分のレーベル AFTERMATH を立ち上げる。
●師匠は消えた、レーベル周辺はキナ臭い空気だ、そんな状況で SNOOP のセカンドは制作された。リリースは 2PAC の死後2か月後だ。残された仲間たち、DJ POOH、SOOPAFLY、DAT NIGGA DAZ (A.K.A. DAZ DILLINGER) などがトラックを制作。NATE DOGG、WARREN G、KURUPT(DAZ + KURUPT = THA DOGG POUND)らが客演。元 THE GAP BAND のボーカリスト CHARLIE WILSON もその喉を披露してる。ぶっちゃけ出来は DRE 制作の G-FUNK には全く及ばない地味な内容だけど、ココで SNOOP を支えた仲間たちは今でも厚い親交で結ばれている。あ、ちなみに 2PAC は全く関わってなくて、仲は冷えきってた感じだったのかな。
●電撃移籍!なんと NO LIMIT に入っちゃった!
●SNOOP DOGG「DA GAME IS TO BE SOLD, NOT TO BE TOLD」1998年
●さすがに DEATH LAW はヤバいと考えた SNOOP はビックリ移籍を果たす。なんと西海岸を離れ、ディープサウスの最深部ニューオリンズの新興レーベル、NO LIMIT RECORDS に移ったのだ。元々は西海岸ベイエリアでレコード屋をやってた MASTER P という男が、親父の地縁があるニューオリンズに移って一旗揚げたレーベル。軌道に乗り出したのは1996年頃で、1997年 SNOOP 移籍は NO LIMIT にも最高の出来事だったに違いない。
●以前もこのブログで綴りましたが、NO LIMIT と、その同時期に名を挙げた CASH MONEY は、ギラギラの成金趣味を露骨に打ち出す BLING BLING スタイルを新風俗として知らしめ、シンセの打ち込み主体で構成するバウンスビート(当時はチキチキビートとか言われて蔑まれ気味)を開発。遠目に見ればチープな音で荒稼ぎする一発屋の雰囲気プンプンだったのでした。そこにトップスター SNOOP DOGG が行くんだから、どんだけ MASTER P は契約金をはずんだんだろうなーなんて考えるのであります。確かに品質は別にしてレーベルに勢いはあった。時流をキチンと読む確かな慧眼が SNOOP には備わっている。いや犬だけに、時代を嗅ぎ取る嗅覚が優れてる。あ、コレを機に SNOOP は名前から DOGGY を取って「SNOOP DOGG」を名乗ります。
●ジャケ見てもらえば分かりますが、NO LIMIT の流儀通り、ギラギラのブリンブリンにされてしまってます。制作体制も全部 NO LIMIT にお任せ、レーベル付きトラック職人チーム BEATS BY THE POUND が全てのトラックを手がけ、客演も NO LIMIT 軍団勢揃い。社長 MASTER P は得意の決め文句「んああああ〜」(←文句って程でもないね、ヤツはすぐ呻くのよ、んあああああ〜って)を連発。社長の弟、C-MURDER、SILKK THE SHOCKER、猛犬 MYSTICAL、女性ラッパー MIA Xらが参加。NO LIMIT 側としてはフル出力だわな。過去人脈では、元 THE GAP BAND のCHARLIE WILSON だけが登場。このレーベルにマトモに歌える人いないからな。
●確かに、今までのイメージを一新するノリでユニークなんだけど、SNOOP のスタイルとバウンスビートは正直うまく噛み合ない。細かいチキチキでビートをタテに切り刻むバウンスに、SNOOP のヨコノリラップはあんまり似合わない…。「GIN & JUICE II」「STILL A G THANG」とか過去ヒットの続編めいた曲まで入れてるけど、イケてねえええエ、申し訳ないけどイケてねえエエ。
●SNOOP DOGG「NO LIMIT TOP DOGG」1999年
●勢いで移籍したけど、あまりの勝手の違いに少しヒイたのか、SNOOP は「悪いけど、オレ自分で仲間集めてアルバム作るわ、社長はクレジットだけでイイっしょ?」とP社長に進言したのか? 前作と全然違う布陣が敷かれてる。ジャケもギラギラしてないでしょ。このヘンのメリハリ、SNOOP 一流の処世だよね。やっぱ NO LIMIT はヨゴレだからね、オレはオレ流で。賢い犬だぜ。
●ハッキリ言って西海岸人脈大幅稼働。まず DRE師匠が3曲提供。西海岸のファンクマスター DJ QUIK が3曲。ベイエリア・オークランドから ANT BANKS が1曲。舎弟の MEECH WELLS が6曲。RAPHAEL SAADIQ まで参上して一曲コラボしていった(これメロウな佳曲!)。可哀想に NO LIMIT 付きの BEATS BY THE POUND は2曲しか作らせてもらえなかった。
●結果ややダークな G-FUNK に仕上がったよ。DREのオッサンにとっては自分のアルバム「2001」の時期で、そこで実践された新型 G-FUNK が鈍色に光りながら妖しく蠢く。「B**** PLEASE」はその典型かつ傑作。DRE の舎弟と見られる JELLY ROLL ってヤツもいい仕事。EARTH, WIND & FIRE を改造してG武装仕様で真っ黒だぜ。DJ QUIK のヌめるファンクも忘れちゃいけねえ。
●客演陣も古い友達や西海岸ヤロウを中心に。WARREN G、NATE DOGG、SUGA FREE、XZIBIT など。NO LIMIT 衆もそれなりに出てるけど、社長の顔出しはなし。「んああああ〜」もなし。
●THA EASTSIDAZ「SNOOP DOGG PRESENTS THA EASTSIDAZ」2000年
●ウエストコーストを代表するギャングスタラッパー SNOOP DOGG の別働隊がなぜ「イーストサイダズ」と名乗るのか無知なボクにはよく分からんのだけど、昔から地元ロングビーチでつるんでいた不良仲間(つまりギャングです)と結成したのがこのユニット。かなり昔から5人ほどの地元仲間でつるんでたクルーだったのだけど、DEATH LAW との契約問題やカネの取り分でモメたりして、最終的にメンバーはSNOOP に加えて、TRAY DEEE と GOLDIE LOC ってヤツになった。GOLDIE LOC は「NO LIMIT TOP DOGG」でも客演。コイツら何ぶんホントにギャングなので、TRAY DEEE はセカンド作った後殺人罪で12年の刑期を食らいました。困った人たちだ…。
●コレも極上の G-FUNK だわ〜。最初っから P-FUNK 使い、GEORGE CLINTON のイイ湯加減なコーラスでカラダも火照る。トラック制作にはまた地元友達&舎弟を招集、MEECH WELLS、JELLY ROLL、BATTLECAT、SOOPAFLY、L.T.HATTON が馳せ参じる。オーソドックスなファンクを味わいたいならコッチの方が気持ちイイかも。
●客演陣も地元系。西海岸で忘れられない客演シンガー NATE DOGG は旧知の親友だし、その NATE 犬の従兄弟 BUTCH CASSIDY はシンガーとしてこのアルバムで活躍しまくってる。DRE系の新型 G-FUNK よりも、男汁コーラスが淡く渋く響くこのファンクは気持ちイイ。……その分ココでは SNOOP はチョイヒキ気味。仲間を前に出して活躍の場を譲っている。
●SNOOP DOGG「THA LAST MEAL」2000年
●タイトルがもうそのツモリ満点なんだけど、NO LIMITでの最後の作品です。やっぱ勝手が違うわ、なんかシックリ来ないわ、コイツらイマイチ細かいトコロまでは気が利かねえんだよなあ。そんな SNOOP のボヤキが聴こえてくる。ジャケもヤケクソな感じするじゃん?ラストミールって死刑囚の最後の食事でしょ、そこにウンコカレーって…。ホントにヤケクソだわ。
●でも、ジャケとは裏腹に内容は濃いよ。ウンコカレーの100万倍こくまろ仕上げ。まず DRE のオッサンが完全本気モード。オッサン「2001」で G-FUNK を別次元に進化させた上に、1999年白い悪魔 EMINEM を発見&フックアップ。N.W.A.〜「THE CHLONIC」以来キャリア第二のピークを迎えノリノリ。で今回関与曲が19曲中11曲。プロデュースしてない曲でも最低限ミックスには関わる。舎弟(JELLY ROLL、MEECH WELLS、BATTLECAT など)のやるコトには責任を持つ。
●そんで TIMBALAND と SCOTT STORCH を抜擢。SCOTT STORCH は THE ROOTS のピアニストだったヤツだが、実は DRE「2001」の裏方参謀として重要な働きをしている。オッサンの信頼を勝ち得た。そして今や売れっ子プロデューサーだ。TIMBALAND はチキチキのフューチャーファンクを2曲(内一曲は、SNOOP の初期ヒット曲の続編「SNOOP DOGG (WHAT'S MY NAME RT.2) ?」)SCOTT は3曲提供。
●ココの客演で暴れているのは KOKANE という男。EAZY-E のレーベル RUTHLESS に所属したギャングスタラップチーム ABOVE THE LAW(コイツらも実にカッコイイ!要チェック!)の周辺で活躍してたラッパーで、2000年に SNOOP の所に流れてきた。THA EASTSIDAZ でも客演し実力を認めさせ、この盤では8曲、約半分でその声を聴かせている。時にトリッキーにネジレたラップ、時にスムースに決めるラップ、緩急の押し引きが鮮やかな業師。客演に招かれる数がハンパない理由がココにある。ヤツの参加曲は全部アナドレナイ。ネジレるボーカルが御大 GEORGE CLINTON を連想させるのよ。そんでファンクを「G色」ならぬ「P色」に染めるのよ。しかもコーラスとらせてもウマいし。うー、KOKANE、もっと聴いてみたい。
●TIMBALAND もう一つの提供曲「SET IT OFF」はミニ同窓会。N.W.A.のメンバーだった ICE CUBE と MC REN が集結。ココでミキサーコンソールの前に DR.DRE がいたら N.W.A. 再結成伝説だったけど、N.Y.録音で彼はいませんでした…。惜しい。あ、ドサクサまぎれに THA EASTSIDAZ の連中を突っ込んでる曲もあるよ。.N.Y.のクルー RUFF RYDERS の女性ラッパー EVE もカッコいい仕事してます。徐々にインターコースタルになってきたな。
●最後から二曲目の「BACK UP OFF ME」って曲だけが、NO LIMIT 風のバウンスビートの勢いが感じられる。ま、トラックはファンクなんだけど、客演の MR.MAGIC と 社長 MASTER P が無理矢理バウンスにしたっていうか。最後の意地だね。
●NO LIMIT 時代後期には、完全に自分の人脈でアルバムを構成してた SNOOP。自分のレーベル DOGGYSTYLE を立ち上げ、自分のスタジオ DOGGHOUSE も立ち上げ、着々と身辺の体制を固めてきた。もうロングビーチの SNOOP でもないし、ウエストコーストの SNOOP でもない。G-FUNK の SNOOP でもない。次の段階に進む時期がやって来た。次回は、よりメジャーな場所でもっと大きなゲームを展開する SNOOP のキャリア、後半戦を追ってみます。
●ちなみに、今日のオハナシは、過去記事を見ていただけるとより一層分かり易いです。ご参考に。
※「EAZY-E、男は死して名を遺す。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080321.html
※「Gの花道は修羅の道。DR.DRE。G-FUNKの開発者。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080322.html
※ 「1996年は、ヒップホップにとってビミョーな時期だった。「微妙スクール」。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080603.html
※「BLING BLING(ブリンブリン)なジャケ鑑賞会。まぶしい!」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080612.html
●月末になると会社は几帳面に給与明細を自宅まで郵送してくれる。普通なら会社で手渡しだけどね、何ぶん会社行ってねえし。そんで今月の給料をチェックする。まーウチの会社はボクのような休職者にも多少は給料を払ってくれる親切なトコロなんだけど、今月はなぜかバクッと額が下がってた。ん?なんで?今月と先月とナニが違うの…?
●よーく見ると「裁量労働手当」って費目が突然消滅してる。ボクは本来「裁量労働制度」で働いていたヤツなので、自分の裁量権で自分の労働時間を決めることができる。1時間しか働かなくても20時間働いても同じ。当然1時間で仕事が終わるはずがナイし、勤務時間はボロボロに長かったので、「裁量労働手当」は実質上の残業代だ。数十時間分の残業代を定額で手当てするから後はうまく働け、って仕組み。ボクの部署はほとんどが「裁量労働制度」で働いているし、ずーっと「裁量労働手当」をもらってた。基本給みたいなもんと思ってた。
●これが消滅するってどういう事?不思議だ…。なので、今日はたまたま会社のカウンセリング日、ついでに労務部に行ってハナシを聞きにいった。そしたらわざわざ労務部長と労務部次長が出てきた。いやあそんなエラい人に説明してもらうほどでもないのに…。
●部長「いやあ、実はホントに申し訳ないんだけどね、実は我々が間違えてしまったんです」はああ?「裁量手当って、裁量労働で働いてもらう手当でしょ。傷病欠勤しているキミは、今裁量労働はしてないわけ。だからホントはもらえないの。なのに、間違って今まで払っちゃってたんだよ。いわゆる『過払い』」へ?そんなコトってあるの?給料の額を間違えるなんて。「それでね、コッチの間違いで申し訳ないんだけど、コレ、返してもらわないといけないの」ええええ〜!!そんな〜!!給料返すの!!!
●部長「コチラも間違えを察知したのは先月末だったかな。だから今月から金額に反映された訳だけど、どうやってこの事をキミに連絡したらいいもんかと迷っててね〜。ショック受けちゃうと病気に障るかも知れないし」いやいや、別にコレで寝込んだりはしないっすけど!で、でも、ショックはショックです……。あの、合計でナンボくらいでしたっけ、数ヶ月くらいもらっちゃったですよね……チリツモで結構な額にイッちまうような……。あと、すぐ返さないといけないんスカ…?
●部長「あくまでコッチの間違いだから、ゆっくりで結構だよ!今後相談しましょ。こういう時があったら、月1万づつ返してボーナスでバッと返すとか、色々やり方あるから」あの、復職した後でいいですよね…、さすがに今はキッツイすから。ゆっくりゆっくり返させて下さい……まさか利子つかないですよね!「つかないつかない!儲ける訳じゃないんだから」
●あの、今日はボクが問い合わせしたからコトが発覚したってコトじゃないっすよね、言わなかったら気付かなかったとか…。「いや、コッチで間違い発見して修正したんだよ、キミに連絡が取れなかっただけ」なんか今ボクスゴくセコい事言ってるよな…。でも、一度もらった給料返すのってやっぱヤダよー!ショックー!スゴくショックー!
●でも給料をちょっとでももらってるだけで恩の字だし、しんどい時期に給料前借りしたと思えば得とも取れる…。なんか複雑な感じ!だけど会社って意外といい加減に出来てんだなあ。
●そんな下世話なハナシは、キレイに忘れて…。
●さて、東の王者 NAS のキャリアについて先日語ったわけですが、今度はコイツです。

●西の犬将軍 SNOOP DOGG。DR.DRE の開発した G-FUNK に血肉を与えたラッパー。彼は天才というより、ワン&オンリーの強烈な個性が武器。
●ココで個人的な思い出。1994年初めての渡米。
●ボクが初めてアメリカに行ったのは20歳、1994年のコトだった。海外の一人旅は初めて。この年の2月、ロサンゼルス〜サンフランシスコ〜シアトルへと移動した。あ、サンディエゴにもちょっと行ったかも。ほとんど空っぽのスーツケースを持って入国、チカラの限りCDとレコード買ってカバンをパンパンにするつもりだった。結局80枚以上は買った。死ぬほど重かった。
●当時はシアトルグランジの時代で、シアトルは外せない街だった。ソコでの経験も最高だったが、そのハナシはまた別の機会に。最初の街ロサンゼルスで最初っからボクは興奮しまくった。クルマがないと移動が難しいロスは、サンタモニカやメルローズに目標を絞って古着屋やレコ屋をチェックしまくった。メルローズは今でも出張の度に立ち寄って古着を買ってく。ああ、MOCA(MUSEUM OF CONTEMPORARY ART)にも行ったっけ。
●でも夜一人で出歩く根性はなかったから、必然的に部屋でテレビ見てる時間が多くなる訳だけど、ココでアメリカのCATVの豊富さにビックリすんですよ。日本じゃまだケーブルテレビなんて全然普及してなかった。なのにアメリカのホテルでは100チャンネルくらい繋がってる訳よ!で、MTVとかVH1とか、ブラック系だとBETとかが24時間ナイスな音楽を垂れ流しまくってる!もうずーっと見まくった。デリで買った軽食を抱えてベッドの上でずーっとテレビ見て、気になる曲をノートにメモって、次の日レコ屋に探しにいく!
●そんな時、テレビの画面を独占してたヤツ、ヘヴィロテされまくってたヤツが、この SNOOP DOGGY DOGG だった。完全に目と耳に刷り込まれた。彼の立ち振る舞い、ファッション、そしてあの脱力した余裕シャクシャクのラップが。そんでヤツはこういうのだ。「バウワウワウ、ユビヨゥユビイェエィ!ビィアァッチ!」
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●SNOOP DOGGY DOGG「DOGGY STYLE」1993年
●ボクが訪米してた時のヘヴィロテ曲はこのアルバム収録の「GIN AND JUICE」「WHO AM I (WHAT'S MY NAME) ?」だった。今では G-FUNK の激古典曲だわな。まずビビったのは、コイツが殺人の嫌疑にかけられてたってコトだ。結局は正当防衛とされたが、ギャングのメンバーを撃ち殺してるんだよね。しかもこのアルバムリリースの3か月前の事よ。日本なら大スキャンダルで速攻発売中止じゃん。なのに、アメリカでは大ヒットしてスター気取りでヘヴィロテ。殺人犯がテレビで堂々とラップしてるよ。しかも、あの人を喰ったような飄々とした鼻ウタ風ラップで。で、歌の中身も殺人だのギャングスタライフだのが目白押し。「コレがアメリカか、コレがロサンゼルスか」20歳のボクには衝撃だったな。そしてこのヒップホップカルチャーってのにノメり込んでいくんだわな。
●SNOOP はロスを二分するギャング組織、THE CLIPS(青組)とTHE BLOODS(赤組)の内、青組 CLIPS のロングビーチ支部に関わっていたホントのギャングスタだった。カラーギャングという言葉があるが、主だったギャングはチームカラーを持っている。CLIPS のルーツを今も重んじる SNOOP は今でも青い衣装、青いジャケットに拘っている。ある意味ホンモノなのよ。いや確実にホンモノなのよ。
●ロスのヒップホップ黎明期を支え、伝説のギャングスタラップを鳴らした N.W.A.のメンバー DR.DREが SUGE KNIGHT と共に立ち上げた DEATH LAW RECORDS。その最初のリリース DR.DRE「THE CHRONIC」に客演し評価を高めた SNOOP は一気にこのレーベルの看板スターになる。東海岸のヒップホップがストイックな方向に流れる中、懐かしいディスコファンクのマナーを正統に引き継いたキャッチーなトラック、そしてラップで描かれるセンセーショナルなギャングスタライフ、人呼んで「G-FUNK」は世間に巨大なインパクトを与えた。
●でもとにかく一番スゴいのは、そんな日常を当然のように余裕の鼻唄混じり感覚で軽くラップする彼の個性だった。ガナッタリしない。叫んだりしない。淡々と憎らしいほどに余裕をカマしてくるんだよ。バックには気持ちの良い四ツ打ちファンクと、ピーヒャララ〜とユラユラ揺れるキーボード。ソレがとにかくクールだった。ロスで一番最初に買ったCDだった。
●勢いに乗った DEATH LOW チームは映画まで撮っちゃった。サントラ「MURDER WAS THE CASE」もかなりの傑作なので要チェック。
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●DEATH LAW のお家騒動。師匠 DR.DRE 脱退。
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●SNOOP DOGGY DOGG「THA DOGGFATHER」1996年
●好調にスタートしたはずだった SNOOP のキャリアだが、トタンに暗雲が立ちこめてきた。DEATH LAW のリーダーであり、音楽的頭脳であった DR.DRE が脱退しちゃうんだから。原因はマネジメントを仕切ってた SUGE KNIGHT との不仲。巨体を活かしてボディーガードから業界入りした SUGE KNIGHT は完全な武闘派で、DR.DRE が DEATH LAW を設立する時も、元の所属先だった RUTHLESS RECORDS のオーナーで N.W.A. のリーダーだった EAZY-E を金属バットで脅迫して契約解除を強要した。そんなヤツがだんだん幅を利かせてきた。
●決定的だったのは、DEATH LAW が 2PAC を獲得した頃だった。西海岸ギャングスタのカリスマになった彼のおかげで DEATH LAW は大変潤うが、2PAC と SUGE はイケイケ過ぎて周りから浮き始めていた。2PAC は厳密にはギャングスタであったことはない。しかし挑発的なポーズが過激過ぎて、ヤバ過ぎる状況になっていった。PUFF DADDY と THE NOTORIOUS B.I.G. らが率いる BAD BOY RECORDS との東西抗争である。結果、1996年9月。2PAC はラスヴェガスで射殺された。
●SNOOP の師匠筋、DR.DRE は SUGE との経営方針の違い、カネの取り分を巡ってのトラブルで、1995年には早々 DEATH LAW を脱退。1996年に自分のレーベル AFTERMATH を立ち上げる。
●師匠は消えた、レーベル周辺はキナ臭い空気だ、そんな状況で SNOOP のセカンドは制作された。リリースは 2PAC の死後2か月後だ。残された仲間たち、DJ POOH、SOOPAFLY、DAT NIGGA DAZ (A.K.A. DAZ DILLINGER) などがトラックを制作。NATE DOGG、WARREN G、KURUPT(DAZ + KURUPT = THA DOGG POUND)らが客演。元 THE GAP BAND のボーカリスト CHARLIE WILSON もその喉を披露してる。ぶっちゃけ出来は DRE 制作の G-FUNK には全く及ばない地味な内容だけど、ココで SNOOP を支えた仲間たちは今でも厚い親交で結ばれている。あ、ちなみに 2PAC は全く関わってなくて、仲は冷えきってた感じだったのかな。
●電撃移籍!なんと NO LIMIT に入っちゃった!
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●SNOOP DOGG「DA GAME IS TO BE SOLD, NOT TO BE TOLD」1998年
●さすがに DEATH LAW はヤバいと考えた SNOOP はビックリ移籍を果たす。なんと西海岸を離れ、ディープサウスの最深部ニューオリンズの新興レーベル、NO LIMIT RECORDS に移ったのだ。元々は西海岸ベイエリアでレコード屋をやってた MASTER P という男が、親父の地縁があるニューオリンズに移って一旗揚げたレーベル。軌道に乗り出したのは1996年頃で、1997年 SNOOP 移籍は NO LIMIT にも最高の出来事だったに違いない。
●以前もこのブログで綴りましたが、NO LIMIT と、その同時期に名を挙げた CASH MONEY は、ギラギラの成金趣味を露骨に打ち出す BLING BLING スタイルを新風俗として知らしめ、シンセの打ち込み主体で構成するバウンスビート(当時はチキチキビートとか言われて蔑まれ気味)を開発。遠目に見ればチープな音で荒稼ぎする一発屋の雰囲気プンプンだったのでした。そこにトップスター SNOOP DOGG が行くんだから、どんだけ MASTER P は契約金をはずんだんだろうなーなんて考えるのであります。確かに品質は別にしてレーベルに勢いはあった。時流をキチンと読む確かな慧眼が SNOOP には備わっている。いや犬だけに、時代を嗅ぎ取る嗅覚が優れてる。あ、コレを機に SNOOP は名前から DOGGY を取って「SNOOP DOGG」を名乗ります。
●ジャケ見てもらえば分かりますが、NO LIMIT の流儀通り、ギラギラのブリンブリンにされてしまってます。制作体制も全部 NO LIMIT にお任せ、レーベル付きトラック職人チーム BEATS BY THE POUND が全てのトラックを手がけ、客演も NO LIMIT 軍団勢揃い。社長 MASTER P は得意の決め文句「んああああ〜」(←文句って程でもないね、ヤツはすぐ呻くのよ、んあああああ〜って)を連発。社長の弟、C-MURDER、SILKK THE SHOCKER、猛犬 MYSTICAL、女性ラッパー MIA Xらが参加。NO LIMIT 側としてはフル出力だわな。過去人脈では、元 THE GAP BAND のCHARLIE WILSON だけが登場。このレーベルにマトモに歌える人いないからな。
●確かに、今までのイメージを一新するノリでユニークなんだけど、SNOOP のスタイルとバウンスビートは正直うまく噛み合ない。細かいチキチキでビートをタテに切り刻むバウンスに、SNOOP のヨコノリラップはあんまり似合わない…。「GIN & JUICE II」「STILL A G THANG」とか過去ヒットの続編めいた曲まで入れてるけど、イケてねえええエ、申し訳ないけどイケてねえエエ。
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●SNOOP DOGG「NO LIMIT TOP DOGG」1999年
●勢いで移籍したけど、あまりの勝手の違いに少しヒイたのか、SNOOP は「悪いけど、オレ自分で仲間集めてアルバム作るわ、社長はクレジットだけでイイっしょ?」とP社長に進言したのか? 前作と全然違う布陣が敷かれてる。ジャケもギラギラしてないでしょ。このヘンのメリハリ、SNOOP 一流の処世だよね。やっぱ NO LIMIT はヨゴレだからね、オレはオレ流で。賢い犬だぜ。
●ハッキリ言って西海岸人脈大幅稼働。まず DRE師匠が3曲提供。西海岸のファンクマスター DJ QUIK が3曲。ベイエリア・オークランドから ANT BANKS が1曲。舎弟の MEECH WELLS が6曲。RAPHAEL SAADIQ まで参上して一曲コラボしていった(これメロウな佳曲!)。可哀想に NO LIMIT 付きの BEATS BY THE POUND は2曲しか作らせてもらえなかった。
●結果ややダークな G-FUNK に仕上がったよ。DREのオッサンにとっては自分のアルバム「2001」の時期で、そこで実践された新型 G-FUNK が鈍色に光りながら妖しく蠢く。「B**** PLEASE」はその典型かつ傑作。DRE の舎弟と見られる JELLY ROLL ってヤツもいい仕事。EARTH, WIND & FIRE を改造してG武装仕様で真っ黒だぜ。DJ QUIK のヌめるファンクも忘れちゃいけねえ。
●客演陣も古い友達や西海岸ヤロウを中心に。WARREN G、NATE DOGG、SUGA FREE、XZIBIT など。NO LIMIT 衆もそれなりに出てるけど、社長の顔出しはなし。「んああああ〜」もなし。
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●THA EASTSIDAZ「SNOOP DOGG PRESENTS THA EASTSIDAZ」2000年
●ウエストコーストを代表するギャングスタラッパー SNOOP DOGG の別働隊がなぜ「イーストサイダズ」と名乗るのか無知なボクにはよく分からんのだけど、昔から地元ロングビーチでつるんでいた不良仲間(つまりギャングです)と結成したのがこのユニット。かなり昔から5人ほどの地元仲間でつるんでたクルーだったのだけど、DEATH LAW との契約問題やカネの取り分でモメたりして、最終的にメンバーはSNOOP に加えて、TRAY DEEE と GOLDIE LOC ってヤツになった。GOLDIE LOC は「NO LIMIT TOP DOGG」でも客演。コイツら何ぶんホントにギャングなので、TRAY DEEE はセカンド作った後殺人罪で12年の刑期を食らいました。困った人たちだ…。
●コレも極上の G-FUNK だわ〜。最初っから P-FUNK 使い、GEORGE CLINTON のイイ湯加減なコーラスでカラダも火照る。トラック制作にはまた地元友達&舎弟を招集、MEECH WELLS、JELLY ROLL、BATTLECAT、SOOPAFLY、L.T.HATTON が馳せ参じる。オーソドックスなファンクを味わいたいならコッチの方が気持ちイイかも。
●客演陣も地元系。西海岸で忘れられない客演シンガー NATE DOGG は旧知の親友だし、その NATE 犬の従兄弟 BUTCH CASSIDY はシンガーとしてこのアルバムで活躍しまくってる。DRE系の新型 G-FUNK よりも、男汁コーラスが淡く渋く響くこのファンクは気持ちイイ。……その分ココでは SNOOP はチョイヒキ気味。仲間を前に出して活躍の場を譲っている。
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●SNOOP DOGG「THA LAST MEAL」2000年
●タイトルがもうそのツモリ満点なんだけど、NO LIMITでの最後の作品です。やっぱ勝手が違うわ、なんかシックリ来ないわ、コイツらイマイチ細かいトコロまでは気が利かねえんだよなあ。そんな SNOOP のボヤキが聴こえてくる。ジャケもヤケクソな感じするじゃん?ラストミールって死刑囚の最後の食事でしょ、そこにウンコカレーって…。ホントにヤケクソだわ。
●でも、ジャケとは裏腹に内容は濃いよ。ウンコカレーの100万倍こくまろ仕上げ。まず DRE のオッサンが完全本気モード。オッサン「2001」で G-FUNK を別次元に進化させた上に、1999年白い悪魔 EMINEM を発見&フックアップ。N.W.A.〜「THE CHLONIC」以来キャリア第二のピークを迎えノリノリ。で今回関与曲が19曲中11曲。プロデュースしてない曲でも最低限ミックスには関わる。舎弟(JELLY ROLL、MEECH WELLS、BATTLECAT など)のやるコトには責任を持つ。
●そんで TIMBALAND と SCOTT STORCH を抜擢。SCOTT STORCH は THE ROOTS のピアニストだったヤツだが、実は DRE「2001」の裏方参謀として重要な働きをしている。オッサンの信頼を勝ち得た。そして今や売れっ子プロデューサーだ。TIMBALAND はチキチキのフューチャーファンクを2曲(内一曲は、SNOOP の初期ヒット曲の続編「SNOOP DOGG (WHAT'S MY NAME RT.2) ?」)SCOTT は3曲提供。
●ココの客演で暴れているのは KOKANE という男。EAZY-E のレーベル RUTHLESS に所属したギャングスタラップチーム ABOVE THE LAW(コイツらも実にカッコイイ!要チェック!)の周辺で活躍してたラッパーで、2000年に SNOOP の所に流れてきた。THA EASTSIDAZ でも客演し実力を認めさせ、この盤では8曲、約半分でその声を聴かせている。時にトリッキーにネジレたラップ、時にスムースに決めるラップ、緩急の押し引きが鮮やかな業師。客演に招かれる数がハンパない理由がココにある。ヤツの参加曲は全部アナドレナイ。ネジレるボーカルが御大 GEORGE CLINTON を連想させるのよ。そんでファンクを「G色」ならぬ「P色」に染めるのよ。しかもコーラスとらせてもウマいし。うー、KOKANE、もっと聴いてみたい。
●TIMBALAND もう一つの提供曲「SET IT OFF」はミニ同窓会。N.W.A.のメンバーだった ICE CUBE と MC REN が集結。ココでミキサーコンソールの前に DR.DRE がいたら N.W.A. 再結成伝説だったけど、N.Y.録音で彼はいませんでした…。惜しい。あ、ドサクサまぎれに THA EASTSIDAZ の連中を突っ込んでる曲もあるよ。.N.Y.のクルー RUFF RYDERS の女性ラッパー EVE もカッコいい仕事してます。徐々にインターコースタルになってきたな。
●最後から二曲目の「BACK UP OFF ME」って曲だけが、NO LIMIT 風のバウンスビートの勢いが感じられる。ま、トラックはファンクなんだけど、客演の MR.MAGIC と 社長 MASTER P が無理矢理バウンスにしたっていうか。最後の意地だね。
●NO LIMIT 時代後期には、完全に自分の人脈でアルバムを構成してた SNOOP。自分のレーベル DOGGYSTYLE を立ち上げ、自分のスタジオ DOGGHOUSE も立ち上げ、着々と身辺の体制を固めてきた。もうロングビーチの SNOOP でもないし、ウエストコーストの SNOOP でもない。G-FUNK の SNOOP でもない。次の段階に進む時期がやって来た。次回は、よりメジャーな場所でもっと大きなゲームを展開する SNOOP のキャリア、後半戦を追ってみます。
●ちなみに、今日のオハナシは、過去記事を見ていただけるとより一層分かり易いです。ご参考に。
※「EAZY-E、男は死して名を遺す。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080321.html
※「Gの花道は修羅の道。DR.DRE。G-FUNKの開発者。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080322.html
※ 「1996年は、ヒップホップにとってビミョーな時期だった。「微妙スクール」。」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080603.html
※「BLING BLING(ブリンブリン)なジャケ鑑賞会。まぶしい!」
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080612.html
2008.06.25
NAS のキャリア、後半戦。ヒップホップ・イズ・デッド?
●今日も天気いいね。なんか知らんけど。

●ウチの息子ノマドが「オレってオンナのコに人気があるんだよ」と最近錯覚気味なのは前にも書いたが、イモウトヒヨコまでが「ヒヨコ、オトコのコにモテルみたい」と言い出した。何じゃそりゃ。
●「このまえ、00くんがオトナリにすわりたいっていってきた」とか、それぞれは非常にミクロな出来事なんだけど、一丁前にオトコのコを意識しだしたのであろう。「このまえはね、リクくんがいっしょにおサンポいこうっていってくれたんだよ」ほほう、やるじゃないかヒヨコ。どんな時にリクくんお散歩に誘ってくれたの?「ヒヨコがね、モルモットちゃんになってあそんでたトキ」……それは、お散歩デートではなく、愛玩動物を散歩に連れて行く感覚なのでは?ヒヨコ、それでオマエは四つん這いで散歩したの?
●さてと、今日もN.Y.の天才ラッパー NAS のキャリアについて書いちゃいます。
●前回(6月22日)の記事では、1st から5th まで5枚のアルバム、1994〜2001年までの NASくんの動きを見てきました。N.Y. のドープなリリシズムを代表してシーンに登場した若き天才は、セカンド以降は、90年代後半風のメジャー路線に近寄りつつ、より存在感を持つに至る。しかし、N.Y.の覇権を巡って JAY-Z との確執も勃発。ビーフ合戦が過熱する。
●前回記事コメントに、ohguchi が「デビューしたてのころ、「NASを聴いてる」ってだけでちょっとインテリ気分になったりしてましたw 」と寄せてくれました。そうだそうだ、NAS ってアタマ良さげなヒップホップエリートな感じがあったんだよねー。うんうん。スゴく共感できるコメント。1994年当時はそういう雰囲気だったんだ。
●そんで時代は2002年。
●1996年以降から時流となった PUFF DADDY の THE HITMEN や TRACKMASTERS などなどのメジャー系プロデューサーの時代は微妙に変質し、もっと斬新な感覚でヒップホップを解釈する新しいトラックメイカーが数々登場した。そして耳の早い PUFF DADDY(このころは P.DIDDY に改名した頃かな)や JAY-Z のような経営感覚の鋭いヒップホップ起業家の手でどんどんフックアップされた。
●この頃シーンに躍り出たトラックメイカーといえば、THE NEPTUNES、KANYE WEST、JUST BLAZE、SCOTT STORCH、SWIZZ BEATZ、9TH WONDER、WILL.I.AM、RICH HARRISON、LIL JON……。枚挙に暇がない。そして、重要はポイントは、彼らの過激なビート実験が、ヒップホップゲームの最先端、ビルボードチャートの頂点で行われていたことだ。彼らは自分たちの先鋭的トラックを商業的成功と両立させたのだ。ボク個人の造語としてこの世代を「00年代スクール」と呼んでおく。この段階でヒップホップはアングラカルチャーではなくアメリカのポップソングのど真ん中に来てしまったわけだ。…その一方でアンダーグラウンドな動きがなかった訳じゃないんだけど、その話はまた別の機会に。
●神の子、NAS。参謀に SALAAM REMI を迎える。
●「GOD'S SON」2002年
●「神の子」ってのも極端なタイトルだよねえ。ナズくん相変わらず。オナカに「GOD'S SON」ってタトゥーを前から入れてるんだって。ま、それはおいといて。
●NAS はこのアルバムからスゴくファンキーになった!すいません、こんだけ評価の定まったアーティストにボクなぞがケチつけるのは暴論もイイとこなんだけど、敢えて言わせてもらうと、NAS の今までのラップは固いんですよ。スキルが高過ぎて、言葉の密度感がスゴい。言葉の運び選び韻の踏み方は、英語を解さずとも伝わってくる。でも、もはや早口言葉級のスピードでまき散らされるライムは、時としてトラックから乖離して剥がれちゃうような感じがしてた。トラックのグルーヴを無視して早口言葉に没入してる感じ?初期のトラックはストイックで研ぎすましたループで遊びの余地がない。メジャー期のトラックも大味な部分が NAS のラップとシックリあってないような気がしてた。
●しかし、「ザ・カメレオン」の異名を持つ男 SALAAM REMI が組むトラックにはファンキーな生々しさがあり、NAS のラップをウマく立たせるような細かいブレイクがフロウ一つ一つに合わせて散りばめられてる。NAS は NAS で、そのトラックをウマく利用して自分のグルーヴを制御し、時にスキマを作り、時にテンポを落とし、メロディをつけたりして、緩急をつけたフロウを見せてくれる。結果、ボクが言いたいのは、このアルバムは傑作だ!
●この SALAAM REMI が3分の1以上のトラックを提供。白い悪鬼 EMINEM も彼特有のシンプルでそのシンプルさがそのままダークな狂気に聴こえるトラックを一つ提供。客演陣は、弟のグループ BRAVEHEARTS、奥さんの KELIS。ALISIA KEYS との共演曲「WORRIOR SONG」は彼女自身の作曲。意外なほどタフなトラックだぜ。で彼女のコーラスも実にタフ。ALISIA 見直した。ベートーベン「エリーゼのために」の大ネタ使いはご愛嬌?ヒットしちゃったらしいけど。
●そして聴き所は 2PAC の遺作音源で構成した疑似デュエット「THUGZ MANSION (N.Y.)」。つーか 2PAC の既存曲「THUGZ MANSION」をリミックスしたようなモノかな。メランコリックなアコギだけで組まれたトラックは耳に爽やかで、J.PHOENIX なる人物のコーラスも淡く響く。感涙モノ。
●ちなみに、内ジャケにはこの年がんで亡くなった実のお母さんの写真が。とっても美人さん。R.I.P.。ブラックパンサー党のマネっこもしてます。
●ところで、JAY-Z とのビーフはどうなったって?
●執拗な JAY-Z の口撃に対して、NAS は粋なやり方で決着をつけた。このアルバム収録曲「LAST REAL NIGGA ALIVE」で、自分と JAY-Z を映画「スカーフェイス」(監督:ブライアン・デ・パルマ、主演:アル・パチーノ)の登場人物になぞらえ、この名画に敬意を表しつつこの抗争を表現した。キューバからの不法滞在者トニー・モンタナが、コカイン密輸で巨大なギャング組織を作り栄華を極めつつも、最後には壮絶な最後を遂げるこの映画。ヒップホップの生き様を象徴してるが故に、黒人さんにはカルト的な支持を持つこの作品、絶対見ないとダメよ。この鮮やかな表現が功を奏したのか、この後ビーフは沈静化していく。
●2枚組の NAS。ファンクが濃くて胃もたれ寸前。
●「STREET'S DISCIPLE」2004年
●「STREET'S DISCIPLE(訳して『路上の使徒』)」。このフレーズは、NAS のキャリアの原点になった客演曲 MAIN SOURCE「LIVE AT B.B.Q.」で彼が最初に放った言葉。「ダ・ヴィンチ・コード」で有名になった「最後の晩餐」を連想させるジャケ。本来質素なあの絵に比べてシャンパンの数が多過ぎますが。カミサマ志向強過ぎなんですけど。で、さすがに二枚組。聴くのにも気合いが入ります。
●で、イキナリですが、ビートがファット過ぎます。基本は SALAAM REMI、そして前作ではハブにされてた L.E.S. が EXEC.PROD にクレジットされて、ウンとブットいビートをカマしてきます。イントロ明け一曲目の L.E.S.、2曲目の SALAAM REMI 制作曲ですでに血中ファンク濃度が脳溢血寸前まで高まります。NAS のラップもビートにウマく寄り添い実にファンクに機能します。
●でもまず最初の聴きドコロは Q-TIP (ex. A TRIBE CALLED QUEST)制作の「AMERICAN WAY」。コーラスは「サンダービッチ」 の異名を持つ NAS の奥さん KELIS。ファ〜ンク。ブットい四ツ打ちのデカい柱の間をクールにすり抜ける NAS のマイク捌き。ダルなコーラスがファンクなシズル感を4割増。
●L.E.S. が腕を上げてるんだよな〜。「DICIPLE」も分かり易いアクセントと、プロレスラーがマットの感触を確かめるように受け身をとってみせるような、ドカッドカッとしたビートを組んでくる。そんなんで8曲も担当してる。「REST OF MY LIFE」では変則ビートで微妙なツッカえ感を演出しつつ AMERIE をコーラスに召喚。CHIC 使いのヒットシングル「JUST A MOMENT」はボク的にはまあまあ…。でも一枚目を締めくくる「REASON」、2枚目を締めくくる「ME & YOU (DEDICATED TO DESTINY)」は湿り気タップリの女性ボーカルのフィーチャーでネットリグッドです。
●ほんで、本命はやっぱ SALAAM REMI ですわ。さすが「ザ・カメレオン」、変幻自在のテクニックで様々なアイディアを繰り出してくる。「SEKOU STORY」はオーソドックスな高速ヒップホップと思いきや、途中でイキナリテンポダウンして JB一派のファンク猛女 LYN COLLINS(名曲「ROCK ME AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN」!)のサンプルでねちっこいR&Bに変貌する。アルバムタイトル曲「STREET'S DISCIPLE」ではチェロ生弾きループの不協和音でアタマが揺さぶられる。「VIRGO」ではみんなダイスキ HUMAN BEAT BOXIN' の人気者 DOUG E. FRESH がブッ!ブッ!ブッ!と味のあるビートをマイクに吹き込んでます〜。スピーカーからダグのツバが吹き出てきそうなロウな録音。「NO ONE ELSE IN THE ROOM」は MAXWELL の透明感ある高音コーラスを翼にして飛翔するハイテンポファンク。THE HITMEN 関係者 CHUCKY THOMPSON(今回この人なにげに6曲も関与してます)とともに完全ヒップホップバンド仕様で構成。続く「BRIDGING THE GAP」は NASパパの OLU DARA さんが全面参加、泥臭いブルースのニオイがプンプンするハーモニカやトランペット、リードギターまで弾いてる。オッサン臭いラップもしてるかな?やっぱ SALAAM REMI は全部自分でドラム、ベース、ギターなど大方の楽器を演奏できるし、バンド(ホーン隊からクラリネット、フルート、チェロまで)をコーディネートして生ファンクでトラックを作るのが強いよね。それだけ表現の幅も広いし、とにかくファンキー。このアルバムでますますSALAAM のファンになっちゃった。
●そんでその SALAAM にサンプラーの使い方を教えてもらった NAS 自身も2曲制作。BASTA RHYMES を連れてきた二枚目のドアタマ「SUICIDE BOUNCE」は自殺寸前の緊張感をオーケストラのサンプルで煽りながら高速でラップするクールな逸品。鮮やかだわ。もう一曲は敬愛する伝説のN.Y.ラッパー RAKIM の伝記を勝手にラップする「U.B.R.(UNAUTHORIZED BIOGRAPHY OF RAKIM)」。硬質でストイックなビート作り。
●でさあ、結局JAY-Z とのビーフはどー決着したわけよ?
●JAY-Z はしばしば引退発言して業界を驚かすオトコなのは皆さんご承知ですが、一番本格的な引退宣言だった2003年「THE BLACK ALBUM」のリリースの後(この後 JAY-Z は確かに客演はすれど自分名義のリリースは2006年までしなかった)、一気に態度が軟化し(半ば隠居気分?)インタビューでも NAS への敬意を表する発言をするようになった。NAS も同様で、お互いが批評しあい切磋琢磨し商業的成功へと助け合うべきだという論調ができた。1996〜1997年、2PAC と THE NOTORIOUS B.I.G. が相次いで殺された悲劇のビーフと違い、ある種のプロモーション手段としてのビーフという認識が今の業界の常識になった。
●おいおい、ちょっと待てよ、ビーフはデキ勝負の宣伝戦略かよ?…とお思いの方もいるかもしれない。でもプロレスってある意味「アングル」として勝負の道筋が決まってるじゃん。でもリングの上でカラダブツケ合ってんのはホンモノだよね。それと同じかな。自分のラップでケンカを売るのもイイが、ケンカを買う方も自分のラップでやり返しな!そこでギャングを使って殺し合うのはナシだっつーこと。プロレスラーや格闘家がリングの外で殺し合いしないでしょ(亀田兄弟はビミョー寸前だけど)。
●そんでですね、2005年、JAY-Z は「オレ様には誰一人好き勝手なコトは言わせないぜー!」とか言って客を煽ってたクセして、スペシャルゲストでステージに NAS を上げ、共演しちゃうのだ。コレにてこのビーフには終止符が正式に打たれた。
●おまけに商魂逞しい JAY-Z は当時自分がCEOを務めてた DEF JAM RECORDINGS に NAS を契約させる。なんと NAS の新譜は、5年ほどもいがみ合ったライバルのレーベルからリリースされることになったのだ。
●ヒップホップは死んだのかな?いや、アメリカが死んでいる。
●「HIP HOP IS DEAD」2006年
●「ヒップホップは死んだ」。これまたセンセーショナルなタイトルだ。このタイトルを巡って様々な議論が起こった。英語版 WIKI にまた興味深い事が書いてある。NAS がとあるインタビューに答えた言葉だ。「...基本的にアメリカが死んでいる。コレは政治のハナシじゃない。音楽が死んでいる。オレたちの考え方が死んでいる。商売の仕方が死んでいる。この社会の中の全てで進行している。オレたちにとって国と言える場所で起こっている事だ…」
●「音楽が死んでいる」。コレに反応したのがサウス系のヒップホップの連中だ。NAS は要するにオレらのクランクやスナップ系のチープなビート感覚にケチをつけてるんだと。一方でN.Y.を中心に NAS を支援する声も。常に議論を呼ぶ男、NAS。
●とか言って、ヒップホップ最大のレーベル DEF JAM からのリリースということで、ぶっちゃけ内容はドメジャー路線の時代に逆戻りしたっぽい感触。L.E.S. や SALAAM REMI の存在感は後退して、00年代スクールのクリエイター、SCOTT STORCH、WILL.I.AM(BLACK EYED PEAS)、KANYE WEST、ノルウェー人トラックメイカー STARGATE などが投入されてる。あ、DR.DRE のオッサンも参加。うーむ金に糸目を付けない JAY-Z らしいやり方だ。そんでうとう長年の宿敵 JAY-Z と NAS の共演が果たされる。この曲「BLACK REPUBLICAN」、心なしか二人のラップも気合い入って聴こえます。
●さて、聴き所。SALAAM REMI にしっかり心を奪われたボクは、彼と NAS の共同制作「WHERE ARE THEY NOW」にまずシビレル。JAMES BROWN のファンクビートを骨格に使ったミドルスクール風味とも言えるスピード感溢れるトラックに腰が動く。
●表題曲「HIP HOP IS DEAD」は WILL.I.AM の制作。BLACK EYED PEAS で確立されてるクロスオーバー的なヒップホップ感覚(ロック感もあればファンク感も兼ね揃えるダンスミュージック)を大々的に導入。DEF JAM の秘蔵ッ娘 CHRISETTE MICHELE をフィーチャーした「CAN'T FORGET ABOUT YOU」ではなんと NAT KING COLE の激有名曲「UNFORGETTABLE」の大ネタ使い。つーか、最後は NAT KING COLE がたった一人で朗々と歌ってますがな。ここだけ聴くとCD間違えたのかと思うわ。
●KANYE WEST もエエ仕事してまっせ。「STILL DREAMING」では自分でリードのヴァースを預かって、CHRISETTE MICHELE のクールなコーラスを温もり持たせて漂わす。「LET THERE BE LIGHT」では生ドラム採用でスネア捌きをホットにしたトラックに、TRE WILLIAM なる男性シンガーを招集して、男汁が滴り落ちるソウルチューンを編み出す。うーんたまらん。
●THE ROOTS のピアニストからトラックメイカーに転身した SCOTT STORCH、その手堅い仕事に人気も高いが、スンゲえアイディアのある人じゃない。提供曲「PLAY ON PLAYA」では客演に犬将軍 SNOOP DOGG をお招き。MARVIN GAYE をサンプルしたトラックと、この唯一無二のフロウを持つゲストで確かな逸品に仕上げました。
●一方、この時期には N.Y. に新たな勢力も台頭。50 CENT 率いる G-UNIT である。
●銃弾を全身に浴びながら生き残った元ドラッグディーラー 50 CENT は N.Y. に新しいマッチョイズムとギャングスタスタイルを導入、シーンの中心に躍り出た。LLOYD BANKS、TONY YAYO、YOUNG BUCK を舎弟にして、既存勢力を口撃。IRV GOTTI 率いる THE INC(JA RULE など)をディスりまくり、CAM'RON や JIM JONES ら DIPSET クルー、FAT JOE の TERROR SQUAD にも挑戦。NAS & KELIS 夫妻にもケンカをふっかけてきた。仲間内であった THE GAME との内紛も有名で、実に戦闘的な連中だ。かつては NAS との共演もあった MOBB DEEP は敢えて G の軍門に下り、NAS との関係を絶った。次なる抗争の始まりだ。「HIP HOP IS DEAD」では既に THE GAME をゲストに呼んでる戦略家の NAS。ヒップホップゲームは、常に下克上、盛者必衰の世界。その中で長年サヴァイブするのは実力と戦略。NAS は今年 DEF JAM からの第二弾アルバムを準備。ヒップホップはまだ死んでない。

●ウチの息子ノマドが「オレってオンナのコに人気があるんだよ」と最近錯覚気味なのは前にも書いたが、イモウトヒヨコまでが「ヒヨコ、オトコのコにモテルみたい」と言い出した。何じゃそりゃ。
●「このまえ、00くんがオトナリにすわりたいっていってきた」とか、それぞれは非常にミクロな出来事なんだけど、一丁前にオトコのコを意識しだしたのであろう。「このまえはね、リクくんがいっしょにおサンポいこうっていってくれたんだよ」ほほう、やるじゃないかヒヨコ。どんな時にリクくんお散歩に誘ってくれたの?「ヒヨコがね、モルモットちゃんになってあそんでたトキ」……それは、お散歩デートではなく、愛玩動物を散歩に連れて行く感覚なのでは?ヒヨコ、それでオマエは四つん這いで散歩したの?
●さてと、今日もN.Y.の天才ラッパー NAS のキャリアについて書いちゃいます。
●前回(6月22日)の記事では、1st から5th まで5枚のアルバム、1994〜2001年までの NASくんの動きを見てきました。N.Y. のドープなリリシズムを代表してシーンに登場した若き天才は、セカンド以降は、90年代後半風のメジャー路線に近寄りつつ、より存在感を持つに至る。しかし、N.Y.の覇権を巡って JAY-Z との確執も勃発。ビーフ合戦が過熱する。
●前回記事コメントに、ohguchi が「デビューしたてのころ、「NASを聴いてる」ってだけでちょっとインテリ気分になったりしてましたw 」と寄せてくれました。そうだそうだ、NAS ってアタマ良さげなヒップホップエリートな感じがあったんだよねー。うんうん。スゴく共感できるコメント。1994年当時はそういう雰囲気だったんだ。
●そんで時代は2002年。
●1996年以降から時流となった PUFF DADDY の THE HITMEN や TRACKMASTERS などなどのメジャー系プロデューサーの時代は微妙に変質し、もっと斬新な感覚でヒップホップを解釈する新しいトラックメイカーが数々登場した。そして耳の早い PUFF DADDY(このころは P.DIDDY に改名した頃かな)や JAY-Z のような経営感覚の鋭いヒップホップ起業家の手でどんどんフックアップされた。
●この頃シーンに躍り出たトラックメイカーといえば、THE NEPTUNES、KANYE WEST、JUST BLAZE、SCOTT STORCH、SWIZZ BEATZ、9TH WONDER、WILL.I.AM、RICH HARRISON、LIL JON……。枚挙に暇がない。そして、重要はポイントは、彼らの過激なビート実験が、ヒップホップゲームの最先端、ビルボードチャートの頂点で行われていたことだ。彼らは自分たちの先鋭的トラックを商業的成功と両立させたのだ。ボク個人の造語としてこの世代を「00年代スクール」と呼んでおく。この段階でヒップホップはアングラカルチャーではなくアメリカのポップソングのど真ん中に来てしまったわけだ。…その一方でアンダーグラウンドな動きがなかった訳じゃないんだけど、その話はまた別の機会に。
●神の子、NAS。参謀に SALAAM REMI を迎える。
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●「GOD'S SON」2002年
●「神の子」ってのも極端なタイトルだよねえ。ナズくん相変わらず。オナカに「GOD'S SON」ってタトゥーを前から入れてるんだって。ま、それはおいといて。
●NAS はこのアルバムからスゴくファンキーになった!すいません、こんだけ評価の定まったアーティストにボクなぞがケチつけるのは暴論もイイとこなんだけど、敢えて言わせてもらうと、NAS の今までのラップは固いんですよ。スキルが高過ぎて、言葉の密度感がスゴい。言葉の運び選び韻の踏み方は、英語を解さずとも伝わってくる。でも、もはや早口言葉級のスピードでまき散らされるライムは、時としてトラックから乖離して剥がれちゃうような感じがしてた。トラックのグルーヴを無視して早口言葉に没入してる感じ?初期のトラックはストイックで研ぎすましたループで遊びの余地がない。メジャー期のトラックも大味な部分が NAS のラップとシックリあってないような気がしてた。
●しかし、「ザ・カメレオン」の異名を持つ男 SALAAM REMI が組むトラックにはファンキーな生々しさがあり、NAS のラップをウマく立たせるような細かいブレイクがフロウ一つ一つに合わせて散りばめられてる。NAS は NAS で、そのトラックをウマく利用して自分のグルーヴを制御し、時にスキマを作り、時にテンポを落とし、メロディをつけたりして、緩急をつけたフロウを見せてくれる。結果、ボクが言いたいのは、このアルバムは傑作だ!
●この SALAAM REMI が3分の1以上のトラックを提供。白い悪鬼 EMINEM も彼特有のシンプルでそのシンプルさがそのままダークな狂気に聴こえるトラックを一つ提供。客演陣は、弟のグループ BRAVEHEARTS、奥さんの KELIS。ALISIA KEYS との共演曲「WORRIOR SONG」は彼女自身の作曲。意外なほどタフなトラックだぜ。で彼女のコーラスも実にタフ。ALISIA 見直した。ベートーベン「エリーゼのために」の大ネタ使いはご愛嬌?ヒットしちゃったらしいけど。
●そして聴き所は 2PAC の遺作音源で構成した疑似デュエット「THUGZ MANSION (N.Y.)」。つーか 2PAC の既存曲「THUGZ MANSION」をリミックスしたようなモノかな。メランコリックなアコギだけで組まれたトラックは耳に爽やかで、J.PHOENIX なる人物のコーラスも淡く響く。感涙モノ。
●ちなみに、内ジャケにはこの年がんで亡くなった実のお母さんの写真が。とっても美人さん。R.I.P.。ブラックパンサー党のマネっこもしてます。
●ところで、JAY-Z とのビーフはどうなったって?
●執拗な JAY-Z の口撃に対して、NAS は粋なやり方で決着をつけた。このアルバム収録曲「LAST REAL NIGGA ALIVE」で、自分と JAY-Z を映画「スカーフェイス」(監督:ブライアン・デ・パルマ、主演:アル・パチーノ)の登場人物になぞらえ、この名画に敬意を表しつつこの抗争を表現した。キューバからの不法滞在者トニー・モンタナが、コカイン密輸で巨大なギャング組織を作り栄華を極めつつも、最後には壮絶な最後を遂げるこの映画。ヒップホップの生き様を象徴してるが故に、黒人さんにはカルト的な支持を持つこの作品、絶対見ないとダメよ。この鮮やかな表現が功を奏したのか、この後ビーフは沈静化していく。
![]() | スカーフェイス ― コレクターズ・エディション (2002/04/19) アル・パチーノ 商品詳細を見る |
●2枚組の NAS。ファンクが濃くて胃もたれ寸前。
![]() | Street's Disciple (2004/11/29) Nas 商品詳細を見る |
●「STREET'S DISCIPLE」2004年
●「STREET'S DISCIPLE(訳して『路上の使徒』)」。このフレーズは、NAS のキャリアの原点になった客演曲 MAIN SOURCE「LIVE AT B.B.Q.」で彼が最初に放った言葉。「ダ・ヴィンチ・コード」で有名になった「最後の晩餐」を連想させるジャケ。本来質素なあの絵に比べてシャンパンの数が多過ぎますが。カミサマ志向強過ぎなんですけど。で、さすがに二枚組。聴くのにも気合いが入ります。
●で、イキナリですが、ビートがファット過ぎます。基本は SALAAM REMI、そして前作ではハブにされてた L.E.S. が EXEC.PROD にクレジットされて、ウンとブットいビートをカマしてきます。イントロ明け一曲目の L.E.S.、2曲目の SALAAM REMI 制作曲ですでに血中ファンク濃度が脳溢血寸前まで高まります。NAS のラップもビートにウマく寄り添い実にファンクに機能します。
●でもまず最初の聴きドコロは Q-TIP (ex. A TRIBE CALLED QUEST)制作の「AMERICAN WAY」。コーラスは「サンダービッチ」 の異名を持つ NAS の奥さん KELIS。ファ〜ンク。ブットい四ツ打ちのデカい柱の間をクールにすり抜ける NAS のマイク捌き。ダルなコーラスがファンクなシズル感を4割増。
●L.E.S. が腕を上げてるんだよな〜。「DICIPLE」も分かり易いアクセントと、プロレスラーがマットの感触を確かめるように受け身をとってみせるような、ドカッドカッとしたビートを組んでくる。そんなんで8曲も担当してる。「REST OF MY LIFE」では変則ビートで微妙なツッカえ感を演出しつつ AMERIE をコーラスに召喚。CHIC 使いのヒットシングル「JUST A MOMENT」はボク的にはまあまあ…。でも一枚目を締めくくる「REASON」、2枚目を締めくくる「ME & YOU (DEDICATED TO DESTINY)」は湿り気タップリの女性ボーカルのフィーチャーでネットリグッドです。
●ほんで、本命はやっぱ SALAAM REMI ですわ。さすが「ザ・カメレオン」、変幻自在のテクニックで様々なアイディアを繰り出してくる。「SEKOU STORY」はオーソドックスな高速ヒップホップと思いきや、途中でイキナリテンポダウンして JB一派のファンク猛女 LYN COLLINS(名曲「ROCK ME AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN AND AGAIN」!)のサンプルでねちっこいR&Bに変貌する。アルバムタイトル曲「STREET'S DISCIPLE」ではチェロ生弾きループの不協和音でアタマが揺さぶられる。「VIRGO」ではみんなダイスキ HUMAN BEAT BOXIN' の人気者 DOUG E. FRESH がブッ!ブッ!ブッ!と味のあるビートをマイクに吹き込んでます〜。スピーカーからダグのツバが吹き出てきそうなロウな録音。「NO ONE ELSE IN THE ROOM」は MAXWELL の透明感ある高音コーラスを翼にして飛翔するハイテンポファンク。THE HITMEN 関係者 CHUCKY THOMPSON(今回この人なにげに6曲も関与してます)とともに完全ヒップホップバンド仕様で構成。続く「BRIDGING THE GAP」は NASパパの OLU DARA さんが全面参加、泥臭いブルースのニオイがプンプンするハーモニカやトランペット、リードギターまで弾いてる。オッサン臭いラップもしてるかな?やっぱ SALAAM REMI は全部自分でドラム、ベース、ギターなど大方の楽器を演奏できるし、バンド(ホーン隊からクラリネット、フルート、チェロまで)をコーディネートして生ファンクでトラックを作るのが強いよね。それだけ表現の幅も広いし、とにかくファンキー。このアルバムでますますSALAAM のファンになっちゃった。
●そんでその SALAAM にサンプラーの使い方を教えてもらった NAS 自身も2曲制作。BASTA RHYMES を連れてきた二枚目のドアタマ「SUICIDE BOUNCE」は自殺寸前の緊張感をオーケストラのサンプルで煽りながら高速でラップするクールな逸品。鮮やかだわ。もう一曲は敬愛する伝説のN.Y.ラッパー RAKIM の伝記を勝手にラップする「U.B.R.(UNAUTHORIZED BIOGRAPHY OF RAKIM)」。硬質でストイックなビート作り。
●でさあ、結局JAY-Z とのビーフはどー決着したわけよ?
●JAY-Z はしばしば引退発言して業界を驚かすオトコなのは皆さんご承知ですが、一番本格的な引退宣言だった2003年「THE BLACK ALBUM」のリリースの後(この後 JAY-Z は確かに客演はすれど自分名義のリリースは2006年までしなかった)、一気に態度が軟化し(半ば隠居気分?)インタビューでも NAS への敬意を表する発言をするようになった。NAS も同様で、お互いが批評しあい切磋琢磨し商業的成功へと助け合うべきだという論調ができた。1996〜1997年、2PAC と THE NOTORIOUS B.I.G. が相次いで殺された悲劇のビーフと違い、ある種のプロモーション手段としてのビーフという認識が今の業界の常識になった。
●おいおい、ちょっと待てよ、ビーフはデキ勝負の宣伝戦略かよ?…とお思いの方もいるかもしれない。でもプロレスってある意味「アングル」として勝負の道筋が決まってるじゃん。でもリングの上でカラダブツケ合ってんのはホンモノだよね。それと同じかな。自分のラップでケンカを売るのもイイが、ケンカを買う方も自分のラップでやり返しな!そこでギャングを使って殺し合うのはナシだっつーこと。プロレスラーや格闘家がリングの外で殺し合いしないでしょ(亀田兄弟はビミョー寸前だけど)。
●そんでですね、2005年、JAY-Z は「オレ様には誰一人好き勝手なコトは言わせないぜー!」とか言って客を煽ってたクセして、スペシャルゲストでステージに NAS を上げ、共演しちゃうのだ。コレにてこのビーフには終止符が正式に打たれた。
●おまけに商魂逞しい JAY-Z は当時自分がCEOを務めてた DEF JAM RECORDINGS に NAS を契約させる。なんと NAS の新譜は、5年ほどもいがみ合ったライバルのレーベルからリリースされることになったのだ。
●ヒップホップは死んだのかな?いや、アメリカが死んでいる。
![]() | Hip Hop Is Dead (2006/12/19) Nas 商品詳細を見る |
●「HIP HOP IS DEAD」2006年
●「ヒップホップは死んだ」。これまたセンセーショナルなタイトルだ。このタイトルを巡って様々な議論が起こった。英語版 WIKI にまた興味深い事が書いてある。NAS がとあるインタビューに答えた言葉だ。「...基本的にアメリカが死んでいる。コレは政治のハナシじゃない。音楽が死んでいる。オレたちの考え方が死んでいる。商売の仕方が死んでいる。この社会の中の全てで進行している。オレたちにとって国と言える場所で起こっている事だ…」
●「音楽が死んでいる」。コレに反応したのがサウス系のヒップホップの連中だ。NAS は要するにオレらのクランクやスナップ系のチープなビート感覚にケチをつけてるんだと。一方でN.Y.を中心に NAS を支援する声も。常に議論を呼ぶ男、NAS。
●とか言って、ヒップホップ最大のレーベル DEF JAM からのリリースということで、ぶっちゃけ内容はドメジャー路線の時代に逆戻りしたっぽい感触。L.E.S. や SALAAM REMI の存在感は後退して、00年代スクールのクリエイター、SCOTT STORCH、WILL.I.AM(BLACK EYED PEAS)、KANYE WEST、ノルウェー人トラックメイカー STARGATE などが投入されてる。あ、DR.DRE のオッサンも参加。うーむ金に糸目を付けない JAY-Z らしいやり方だ。そんでうとう長年の宿敵 JAY-Z と NAS の共演が果たされる。この曲「BLACK REPUBLICAN」、心なしか二人のラップも気合い入って聴こえます。
●さて、聴き所。SALAAM REMI にしっかり心を奪われたボクは、彼と NAS の共同制作「WHERE ARE THEY NOW」にまずシビレル。JAMES BROWN のファンクビートを骨格に使ったミドルスクール風味とも言えるスピード感溢れるトラックに腰が動く。
●表題曲「HIP HOP IS DEAD」は WILL.I.AM の制作。BLACK EYED PEAS で確立されてるクロスオーバー的なヒップホップ感覚(ロック感もあればファンク感も兼ね揃えるダンスミュージック)を大々的に導入。DEF JAM の秘蔵ッ娘 CHRISETTE MICHELE をフィーチャーした「CAN'T FORGET ABOUT YOU」ではなんと NAT KING COLE の激有名曲「UNFORGETTABLE」の大ネタ使い。つーか、最後は NAT KING COLE がたった一人で朗々と歌ってますがな。ここだけ聴くとCD間違えたのかと思うわ。
●KANYE WEST もエエ仕事してまっせ。「STILL DREAMING」では自分でリードのヴァースを預かって、CHRISETTE MICHELE のクールなコーラスを温もり持たせて漂わす。「LET THERE BE LIGHT」では生ドラム採用でスネア捌きをホットにしたトラックに、TRE WILLIAM なる男性シンガーを招集して、男汁が滴り落ちるソウルチューンを編み出す。うーんたまらん。
●THE ROOTS のピアニストからトラックメイカーに転身した SCOTT STORCH、その手堅い仕事に人気も高いが、スンゲえアイディアのある人じゃない。提供曲「PLAY ON PLAYA」では客演に犬将軍 SNOOP DOGG をお招き。MARVIN GAYE をサンプルしたトラックと、この唯一無二のフロウを持つゲストで確かな逸品に仕上げました。
●一方、この時期には N.Y. に新たな勢力も台頭。50 CENT 率いる G-UNIT である。
●銃弾を全身に浴びながら生き残った元ドラッグディーラー 50 CENT は N.Y. に新しいマッチョイズムとギャングスタスタイルを導入、シーンの中心に躍り出た。LLOYD BANKS、TONY YAYO、YOUNG BUCK を舎弟にして、既存勢力を口撃。IRV GOTTI 率いる THE INC(JA RULE など)をディスりまくり、CAM'RON や JIM JONES ら DIPSET クルー、FAT JOE の TERROR SQUAD にも挑戦。NAS & KELIS 夫妻にもケンカをふっかけてきた。仲間内であった THE GAME との内紛も有名で、実に戦闘的な連中だ。かつては NAS との共演もあった MOBB DEEP は敢えて G の軍門に下り、NAS との関係を絶った。次なる抗争の始まりだ。「HIP HOP IS DEAD」では既に THE GAME をゲストに呼んでる戦略家の NAS。ヒップホップゲームは、常に下克上、盛者必衰の世界。その中で長年サヴァイブするのは実力と戦略。NAS は今年 DEF JAM からの第二弾アルバムを準備。ヒップホップはまだ死んでない。
2008.06.24
梅雨も一休み?カフェにて読書ライフ。
●今日はポカポカ。晴れているウチに干しとかないと。昼間、スズナリのスナックの前で。

●病気で元々うまく眠れないってのもあるんだけど、どんどん生活が夜型になってて、ホントにニートくさくなってきた。ヤバいと思って半年ぶりに美容院に行った。「また限界まで伸ばしましたね〜」と美容師のオネエサン。で、髪の毛切られている間、爆睡してしまった。もう自分がいつ眠いんだか予想がつかない。
●今日も外でお茶飲んで、読書して過ごした。
●あのロックマンガ・ハロルド作石「BECK」、連載でとうとう完結したみたいね!出たばっかの33巻はまだ完結編ではないけど、もう頂点登り詰めて、エピローグって雰囲気なんだけど。
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●コユキ、お疲れ。
![]() | ディエンビエンフー 3 (3) (IKKI COMICS) (IKKI COMICS) (2008/05/30) 西島 大介 商品詳細を見る |
●もう一冊マンガ、西島大介「ディエンビエンフー」3巻。1965年、アメリカ軍、北ベトナムの正規部隊と初めての激突。ビートルズが狂騒にまみれてた頃、東南アジアのこの国では果てのない戦争がとうとう本格化する。西島大介の超チャーミングな画風が、人間がヘリコプターのプロペラでミンチにされる瞬間とかを、カラリとサラリと描くこのギャップが、この作品の一番の読みドコロ。うーん、レゴブロックの人形の首が取れるよりも、もっともっと簡単に人がバラバラになって死んでいく。
2008.06.23
雨のシズル感を携帯電話のカメラですくい採れるだろうか。
































