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2008.07.31
土屋アンナと、「無理しない」生活と、アブストラクト花火。
●久しぶりの鍼灸治療で東銀座に。そんで土屋アンナ。
●明らかに身体的な痛み(頭痛、肩、背中方面)は和らいできているが、デイケアに通うようになってから、足の筋肉がツラくなってきた。足の筋肉の緊張で目が覚めるって感覚、想像できます? 足がバキバキに張ってて、血流が不自然になってるのかストレッチをしないと眠れないという感覚。アキレス腱を伸ばすだけで激痛。伸脚屈伸だけでもツラい。
●そんでとうとう我慢ならず久しぶりの鍼灸治療と相成った。「すんません、今日の今日で入れます?」完全紹介&予約制のこの鍼灸院では、みっちり予約取っとかないと本来飛び込みは無理。でも「うーん、12時に来られます?」おっ!ラッキー!今すぐ出れば間に合うじゃん。行きます行きます。
●ほぼ12時ちょうどに到着すると、ボクの前の患者さんが身支度してる所だった。センセイ「もう少しでスタンバイできるから、今のお客さんが出たらその部屋入ってね」了解。でロビーで待ってたら、部屋から出てきたのは、あの土屋アンナちゃんだった。おおお!イキナリ有名人でビビる!しかも背高ッ!そんでスッピン!金髪を無造作にヒッツメて、黒いロック系Tシャツに、ホットパンツ&生足。 カジュアル過ぎて、本来なら結構ヤバいヤンママ風なのに、その長身でシャキッとした存在感を放ってる。スッピンだからマユゲ半透明だったけど、マツゲは長かったなあ。「センセイ、じゃあ、またねー」とテレビ画面で見る通りのフランクさでエレベータに乗って出て行った。
●ボク「土屋アンナさん、生で見ちゃいましたね…」常連さんとは聞いてたけど、実際に目撃するとビックリする。で、さっきまでアンナさんが寝てたベッドに自分が寝てるってのもかなり妙な気分だ。センセイ「アンナちゃん、今日ライブなんだって。ナニナニ?この部屋アンナちゃんの匂いがする?」うーん、鼻が利かないからそう言うのはわかんない。「スッピンのアンナさんが銀座歩いてたらミンナビビるだろうな…」ストンと真っ直ぐの生足にサンダルをツッカケてノーメイクで歩く土屋アンナ。スッピンだけどソレがナニ?なんて感じで肩で風切ってくんだろな。
●ちなみに今週の「アンアン」の表紙は彼女。表紙の彼女は、上半身ヌードで、猛禽類のようにカキンと尖ったオーラを放ちコンビニの棚からコッチを挑発している。レースの手袋で胸を隠して。
●案の定、ボクのカラダはドコをどう取ってもボロボロのボキボキのようで、何回も何回もセンセイから「無理しちゃダメよ」と諭された。昨日の心療内科でも「無理は禁物」と何回も言われた。月曜日のカウンセリングでも「無理せずゆっくり行きましょう」と言われた。………うーむ。ボクは一体この生活の中でなんか「無理」してるだろうか?一年も仕事休んでんのに「無理するな」って未だに言われてるってどういう事?ボクの生活のドコが「無理」してる場面なのか指摘してくれ。自分じゃもう心当たりがないんだよ。
●テレビもほとんど見ない、映画も芝居もしばらく観てない、CDもほとんど買わなくなった。マンガと本を読む程度。用事がなければ外出もしないし、出た所で駅前のカフェなどで読書するまでだ。食生活もワイフのゴハンだけを規則正しく食べてる。過激な運動も避けてるし、昼寝もたっぷりしてる。あと、ナニをしたらボクは「無理してない」ことになるんだろうか?カウンセリングでその謎は解き明かされるんだろうか?「スローライフ」ってことなのか?「スローライフ」ってナンだよょょょょょょょょぅぅぅぅぅ!
●ノマドヒヨコ、逗子の花火大会。
●昨日はワイフがコドモたちを連れて逗子まで花火大会に行った。「無理しない」ボクは不参加。逗子はワイフが昔住んでた土地で、ココの花火大会には愛着があるそうだ。シーサイドで楽しむノマドヒヨコ。

●そんで、ノマドがデジカメで必死に撮った花火の写真をご覧下さい。アブストラクトで、ワリと気持ちイイよ。








●ヒヨコ、花火大会での名言「ヒヨコ、メがはがれちゃうよ!だってギラギラすぎるんだもん」

●といって、お手製花火を作成しました。以上。
●明らかに身体的な痛み(頭痛、肩、背中方面)は和らいできているが、デイケアに通うようになってから、足の筋肉がツラくなってきた。足の筋肉の緊張で目が覚めるって感覚、想像できます? 足がバキバキに張ってて、血流が不自然になってるのかストレッチをしないと眠れないという感覚。アキレス腱を伸ばすだけで激痛。伸脚屈伸だけでもツラい。
●そんでとうとう我慢ならず久しぶりの鍼灸治療と相成った。「すんません、今日の今日で入れます?」完全紹介&予約制のこの鍼灸院では、みっちり予約取っとかないと本来飛び込みは無理。でも「うーん、12時に来られます?」おっ!ラッキー!今すぐ出れば間に合うじゃん。行きます行きます。
●ほぼ12時ちょうどに到着すると、ボクの前の患者さんが身支度してる所だった。センセイ「もう少しでスタンバイできるから、今のお客さんが出たらその部屋入ってね」了解。でロビーで待ってたら、部屋から出てきたのは、あの土屋アンナちゃんだった。おおお!イキナリ有名人でビビる!しかも背高ッ!そんでスッピン!金髪を無造作にヒッツメて、黒いロック系Tシャツに、ホットパンツ&生足。 カジュアル過ぎて、本来なら結構ヤバいヤンママ風なのに、その長身でシャキッとした存在感を放ってる。スッピンだからマユゲ半透明だったけど、マツゲは長かったなあ。「センセイ、じゃあ、またねー」とテレビ画面で見る通りのフランクさでエレベータに乗って出て行った。
●ボク「土屋アンナさん、生で見ちゃいましたね…」常連さんとは聞いてたけど、実際に目撃するとビックリする。で、さっきまでアンナさんが寝てたベッドに自分が寝てるってのもかなり妙な気分だ。センセイ「アンナちゃん、今日ライブなんだって。ナニナニ?この部屋アンナちゃんの匂いがする?」うーん、鼻が利かないからそう言うのはわかんない。「スッピンのアンナさんが銀座歩いてたらミンナビビるだろうな…」ストンと真っ直ぐの生足にサンダルをツッカケてノーメイクで歩く土屋アンナ。スッピンだけどソレがナニ?なんて感じで肩で風切ってくんだろな。
●ちなみに今週の「アンアン」の表紙は彼女。表紙の彼女は、上半身ヌードで、猛禽類のようにカキンと尖ったオーラを放ちコンビニの棚からコッチを挑発している。レースの手袋で胸を隠して。
●案の定、ボクのカラダはドコをどう取ってもボロボロのボキボキのようで、何回も何回もセンセイから「無理しちゃダメよ」と諭された。昨日の心療内科でも「無理は禁物」と何回も言われた。月曜日のカウンセリングでも「無理せずゆっくり行きましょう」と言われた。………うーむ。ボクは一体この生活の中でなんか「無理」してるだろうか?一年も仕事休んでんのに「無理するな」って未だに言われてるってどういう事?ボクの生活のドコが「無理」してる場面なのか指摘してくれ。自分じゃもう心当たりがないんだよ。
●テレビもほとんど見ない、映画も芝居もしばらく観てない、CDもほとんど買わなくなった。マンガと本を読む程度。用事がなければ外出もしないし、出た所で駅前のカフェなどで読書するまでだ。食生活もワイフのゴハンだけを規則正しく食べてる。過激な運動も避けてるし、昼寝もたっぷりしてる。あと、ナニをしたらボクは「無理してない」ことになるんだろうか?カウンセリングでその謎は解き明かされるんだろうか?「スローライフ」ってことなのか?「スローライフ」ってナンだよょょょょょょょょぅぅぅぅぅ!
●ノマドヒヨコ、逗子の花火大会。
●昨日はワイフがコドモたちを連れて逗子まで花火大会に行った。「無理しない」ボクは不参加。逗子はワイフが昔住んでた土地で、ココの花火大会には愛着があるそうだ。シーサイドで楽しむノマドヒヨコ。

●そんで、ノマドがデジカメで必死に撮った花火の写真をご覧下さい。アブストラクトで、ワリと気持ちイイよ。








●ヒヨコ、花火大会での名言「ヒヨコ、メがはがれちゃうよ!だってギラギラすぎるんだもん」

●といって、お手製花火を作成しました。以上。
2008.07.28
デイケアに通うある患者さんの半生に、背筋が伸びる。
●電車の中で、他人が読んでる本を覗き込むのが好き。
●この前、席に座ってたら向かいに立った40代後半とおぼしきメガネのオッサンが、「ニューミュージックマガジン」(現「ミュージックマガジン」)を読んでた。おおおー、「ミュージックマガジン」に「ニュー」が付いてたのってスゴい昔の話だよ?と思ったら、1974年の号。34年前。渋いの読んでるねえ。オッサン、GRAHAM CENTRAL STATION の記事を熟読してたよ。ネクタイ締めても、いつもココロにファンクネス。
●自律神経失調症とのお付合い(その63)〜「デイケア/ツエさん(仮名)の生き様」編
●本日月曜日のレギュラーメニューは「係の活動」というモノだ。新参者のボクは何の係にも関わってないし、どんな係があるかも知らない。よって午前中は、ソファに寝そべり横山光輝「三国志」を黙々と読んでた。中途半端なコトに5巻&6巻が紛失してて悶絶しそうになったが、顔の区別のつかない武将がセッセと殺し合う様子を淡々と描くだけのこのマンガ、どっから読もうとあんまり関係ないコトを悟った。この序盤に主人公・劉備玄徳が活躍する気配は全然ないし。ぬるーい。
●午後は「茶話会」という催しがある。コレも月イチのイレギュラーメニューだが、「係の活動」の延長として「茶話会係」さんが企画するゲーム大会を差すらしい。A&Bチームに分かれてタテに並び、伝言ゲームをしたり、クイズゲームをした。一ヶ月かけて「茶話会係」さんはみんなをエンターテインするゲームを考えて、問題を用意したりクジ引きを用意したりする。
●段取りを説明する司会っぷりにも必死さが滲み出る。係のリーダーは、ボクのデイケア初日に「ストライクガンダム」のマスターグレードのプラモを嬉々として制作してたガンダムさん(仮名)だ。大型メタボボデイから汗が吹き出ている。
●そんで、「酒がダイスキなスタッフのワーマさんは最近駅前の居酒屋で荒れまくっている」という伝言が回ってきたり(「ちょっと!事実じゃないですよ!」とワーマさん必死に否定)、「さて問題です、富士山の高さは何メートル?」というクイズに応えたりした。最後はビンゴ大会でシメ。賞品はアップルソーダ、イチゴポッキー、こんにゃくゼリー、野菜スナックなどなど。ボクは見事4番目でビンゴして、みかんゼリーを獲得した。メンバーの長老ツエさん(仮名)は「5個もリーチがかかってるのに当たんないとはどうしたコトか!」と憤慨してたが、最終的にはレモンソーダをゲットして美味しそうに飲んでた。
●長老ツエさんの壮絶な半生。
●足が悪いのか杖をついて歩くオジさん、ツエさん(仮名)。朝のラジオ体操も出来ないほどのカラダの不自由さにも関わらす、毎日休まずデイケアに参加し、うまく回らない舌をゆっくり使って陽気に話す人。マージャンが好きでいつも同じメンツと卓を囲んでいる。………そんなツエさんが、とある紙媒体の取材を受けた時のインタビュー記事が壁に掲示してあるのに気付いた。それを読んで少々ショックを受けたので、それを記します。
●ツエさんの発病は40歳代前半、まさに働き盛りの頃。会社の労働組合の事務局長を務めていたツエさんは、バブル崩壊の煽りを受け、激しい労使闘争に身も心もすり減らし、徐々に心身を病んでいった。その結果、不眠に始まり、病的な発言、奇行が目立つようになる。すると、妻や親戚、友人に疎まれ会ってもらえなくなったという。そこで一旦東北の実家に戻り数ヶ月療養。しかし妻からは「戻って来なくてイイから姉さんの所へ行って」と連絡が。しかし姉の家でも姉の夫から「あっちへ行け!お前がいると家の中が暗くなる。出て行け!」と罵られる有様。
●ツエさんは福祉事務所を経て通院を始める。その当時は、うつ症状の苦しみに家の中を転げ回っていたそうな。自分の思いを訴えようにも、頭が混乱し考えがまとまらず言葉にならない。カラダが緊張で硬直し、意思の伝わらないもどかしさ、苦しさ、悲しさでイッパイだった。
●そしてとうとう精神病院に入院。エアコンもない一畳間、フトンだけの部屋。4重の扉に閉ざされ感じたことは「動物的だ」。その頃は「死にたい」と本気で考えていたから閉鎖病棟に移されたという。
●一年弱の入院生活を終えて、今ツエさんはお兄さん名義で借りたアパートで一人暮らしをしている。しかし追い打ちをかけるように今度はヘルニアを悪くしてしまう。一昨年に手術。毎月総合病院に通いながらも、痺れ・痛みは回復せず。今年頭に二度目の手術を決行するもやはり効果なし。経済的問題からもはやこれ以上の踏み込んだ治療は不可能…。今日気付いたが、彼のシャツの下に背中全面を覆うほど大きなコルセットが透けていた。
●ツエさんは、杖をつき足を引きずりながら毎日デイケアに通ってくる。唯一の趣味はカラオケ。歌詞をメモにとって覚えるまで練習するという。そして記事の中でデイケアにおいて心掛けていることを3つ挙げている。
1、「新人が来たら必ず声をかけて、新しい友達をつくる」
2、「約束を守る」
3、「人を気遣う、思いやりの心を持つ」
この記事を読む人に伝えたいコト:「皆さん命を大切に」「無理をしない」
●ボクは第一印象でツエさんの年齢は70歳オーバーと信じ込んでいた。しかしバブル崩壊時に40歳代になったばかりということは、まだ60歳に達してないかもしれないということじゃないか。ホンの十数年前と今とではメンタルヘルス問題の社会的認知は雲泥の差で、ツエさんはモロにその偏見に晒され家族や友人からも見捨てられた。バブルイケイケ時代の「24時間戦えますか?」モードから、バブル崩壊の天変地異に突き落とされ、心身に二度と治らない傷を負ったツエさん…。ボクら若い病人は、ツエさんのように世間の誤解と偏見を生き抜き、メンタルヘルスの世界の道を拓いた人のおかげで、周囲の理解と新しい医療を受けることができる。大先輩に大感謝。
●そんなツエさんから今朝ボクは声をかけられた。朝デイケア室に入ったら必ず出席者名簿に名前を書くのがルールなのだが、それに名前を記入するボクに「ほう、キミの名前はイイ名前だな」。デイケア四日目にしてツエさんから声をかけてもらった。徐々にこのデイケアという社会に馴染んでいくボク。
●一方、臨床心理士のチーさんとの久しぶりのカウンセリングもあった。
●「どうですかデイケアは?」まー、皆さんイイ人たちばかりだし、ユニークな人も多くて楽しいですよ。ただカラオケだけはやっぱダメでした。気分悪くなってスミッコで居眠りしてしまいました。「ほう……あのユルーイ空気でもキツかったですか?」とんでもない!あれはユルいなんてモンじゃないですよ!
●誰も人のウタを聞いてないし、リアクションもしないし、歌ってる人も誰に向けて歌ってるか全然分からない。関心がない人は後ろのソファで昼寝してるし、メンバーさんそれぞれのモチベーションがどっち向いてるか全然理解できないです。ボクはそういう秩序の読めない空気ってのが一番居心地が悪いんです!「なるほど、あのカラオケをユルいと感じずに、その場の秩序が読めないというストレスと感じる訳ですね」冷静に考えると、カラオケの歌い手は自分の順番を少々緊張して待っているからこそ、ノーリアクションで静かにしてるのかも知れません。一方で普段は全く人と会話できない人がみんなの前で堂々とウタが歌える。ソレがとても不思議です。でも半数近くは完全に無視&昼寝。ボクはどういう立場でこの場に関わればイイのか混乱してしまいます。
●「unimogrooveさん、いつもイチイチそんなコトを常に考えて行動しているんですか?」………そ、そう言われればそうです。自分でも今気付いたけど。仕事でも既存のチームの中に入る時には、チームの構成とルール、役割分担を把握して自分の役割/立ち位置を探します。でもコレは得意なコトではありません。基本的にストレスです。今日の「茶話会」だって、ゲームのルールが見えないくらいなら、自分でルールを作って自分で仕切った方がストレスがありません。
●基本的にデイケアの内容はメンバーさんスタッフさん共に完璧にルーチン化されてて、当たり前のように物事が自動的に進行していきます。でもボクには全く知識がないし事前説明もないからそのルーチンをその場その場で把握していくので結構な負担になってます。翌日クタクタになるのはそのストレスからだと思います。ただし、ゲームとか掃除とか食事の準備とか、ベクトルがハッキリしてるモノは大まかな予測で動けるじゃないですか。しかしあのカラオケだけは異常でした。タダでさえ苦手なのに、今まで経験してきたカラオケとスタイルが違い過ぎます。その場で具合悪くなるほどに。
●「………そんなコトを普段から細かく観察なさって考えているんですね…。ただこのデイケアでは、もっと違うアプローチに挑戦してみて下さい。空気を敢えて読まない。秩序なんて考えない。それでまた違った感じ方が出来るかもしれませんから」………なるほど、こうやってボクの思考様式を一度分解していくのが治療の一環なんだな。でも自分でも気付かないほど深く染み付いた思考様式のクセは、こういうカウンセリングがないと、存在すら認知できないよ。臨床心理士はさすがプロ、まずは一つボクのクセを引き出して客観化した。今後もそんなコミュニケーションが続くのだろう。
●ボク「でもカラオケの練習に今週一発行けば、なんとか気合いで歌えますよ」……チーさん「あのー、そういうのをヤメましょう、ってハナシのツモリなんですけど…」あ…全然わかってないボクですいません。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
●ボクは目下ブラジル音楽大陸を探索中。この前ボサノヴァDVD見たからね。
![]() | フリー・ソウル~フライト・トゥ・ブラジル (2003/08/29) オムニバスオス・ジヴァネイオス 商品詳細を見る |
●VARIOUS ARTISTS「FREE SOUL FLIGHT TO BRAZIL」
●おーい、また橋本徹かよ。日本のブラジルものは彼に支配されているのだろうか?陰謀?このCDは、行きつけのカフェのお姉さんから貸してもらった物件(ちょうどボクが「FREE SOUL」嫌いを克服した頃)で、iPod に入れてチョビチョビ聴いてたもんだ。
●というどうでもイイ邪推はおいといて、楽しくこのCDを聴くのであります。でもでもこのCDにコンパイルされているのは、古典ボサノヴァだけじゃなくて、サンバや70〜80年代のMPB(MUSICA POPULAR BRASILEIRA。ブラジルポピュラー音楽。ボサノヴァ以降の音楽をブラジルではそう総称する)までを網羅する内容なので、今だにボサノヴァの正体は掴めない…。
●ポイントはDVD「ディズ・イズ・ボサノヴァ」にも出演していた女性シンガー JOYCE か。彼女はボサノヴァ第三世代?とも言うべき存在で、デビューは68年、キャリアのブレイクは70年代末〜80年代初頭とかなりの後発組。フォーキーなスタイルをベースに繊細なグルーヴとスキャットが美しい。80年代ともなるとボサノヴァはフージョンやソウルミュージック、シティジャズに接近してバイブリット進化してしまっている。グルーヴィーで楽しいが元の原型がわからない。
●本来はボサノヴァ第二世代の MARCOS VALLI も、世界ブレイク作「SAMBA 68」でアメリカに軸足を動かし欧米のロックやソウルに接近、70年代前半にはボサノヴァとは一時期離別する。その後90年代に入るとクラブシーンからの再評価を受け、更にダンスミュージックへ接近する。優秀なボサノヴァプレイヤーは優れたクリエーター、ジャンルに拘ることなく新しい音楽へどんどんトライしていく。
●リオ、サンパウロなど海岸に沿った都会から、内陸に踏み込んだミナス州には独自の音楽文化があるが、60年代末から活動しているこの土地の代表選手 MILTON NASCIMENTO は以前からダイスキなシンガーだ。風に乗ってドコまでも響いていくような透き通った声に、欧米のトップジャズプレイヤーが集って支援する。でも彼の音楽はソウルミュージックで、全然ボサノヴァじゃないんだよね。
●アメリカで評価された DJAVAN もブラジルの真髄を異邦の地で失わなかった魂のシンガーでダイスキだけど、ボサノヴァとは関係ない音楽をやる。MILTON NASCIMENTO や DJAVAN はアフロブラジルを体現してるんだよね。収録曲も81年モノだ。
●TANIA MARIA はブラジルよりも海外のジャズシーンで活躍した女傑らしい。サンバとファンクのリズムを結合した力強いバンドに彼女の声が絡む。71年のデビュー作から収録曲がピックアップされてるが、彼女を認めたのはブラジルではなくヨーロッパ・パリ。
●OS TRES MORAIS は男女コーラスにホーンアレンジが鮮やかなジャズボッサ。CONJUNTO 3D というバンドはサンバで駆動する男女ツインボーカルのソフトロック。OS DEVANEIOS もサンバ駆動バンドで熱い男性ボーカルがコーラスを構成する。
●PAULINHO DE VIOLA はアコギ&ささやき声でコレこそ「ディズ・イズ・ボサノヴァ」かと思いきや、後から入ってくるドラムリズムは典型的サンバ。60年代のサンバ革新者というのが彼の位置づけらしい。TONIHHO HORTA も繊細なギタープレイとホッコリする声で癒し系男性シンガーだが、その音楽は見事なサンバ。ドン、ドンと腹を打つバスドラに、ウホッホホホホなリズム感覚がいつの間にか部屋の中を熱帯雨林にする。
●LENY ANDRADE はボサノヴァ以前の世代に属する50年代の女性シンガーで、ボサノヴァ第一世代の憧れ的存在だったよう。ここではファンクベースにうねるジャズファンクでスゴくソウルフルな喉を披露してる。
●ブラジル大陸おそるべし。純然たるボサノヴァが出てこない。
●ブラジル音楽という大きなカテゴリーの中には、凄まじい量のレイヤーが折重なっていて、ショーロやサンバなどボサノヴァ以前の音楽、ジャズやフュージョン、ファンクといった外来音楽の影響、黒人移民の血の中に流れるグルーヴや隔世遺伝したアフリカンテイストなどがいわゆる「ブラジル音楽」を構成している。ボサノヴァ運動は、ブラジル史の中で大きなハイライトだったかも知れないが、結局は多くのレイヤーの中に埋没している。ボサノヴァにコダワルと、ブラジル音楽の真の多様性を見過ごしてしまう。つーか、ボサノヴァ不在でもブラジル音楽はスゴい。
●ちなみに、このCDを貸してくれたカフェのお姉さんは、イタリアのスクーター・ランブレッタで通勤するほどのモッズ魂の持ち主で、彼氏さんもモッズバンドやるような人らしい。だから、お礼にCDを何か貸してあげようにも、中途半端なモッズものじゃ多分ダメだ。悩んだあげく選んだのがこのCD。
![]() | 青春舞曲~モダーン・モンスーン・グルーヴィン!!~ (2007/09/19) 旺福 商品詳細を見る |
●旺福(WON FU)「青春舞曲」2007年
●これね、なんと台湾のモッズバンド。台湾にもモッズはいるのよ!ツィギーやカエラちゃんみたいにカワイいオンナノコが60年代風なキッチュでポップなコスチュームで、モロ渋谷系(フリッパーズ〜ブリッジ〜コレクターズ)な甘いメロディを歌うわけよ(ゴメン、厳密には男女ツインボーカル)。そんでその中国語がスゴくカワイい。オンナノコの中国語はカワイい!オンナノコの韓国語もカワイいけどね。日本語バージョンも数曲あって見事なジャパニーズを披露してます。
●でも、さすが気合い入ったモッズのお姉さん、CDを一目見て「あ、ワンフーだ」え、知ってんの?「ええ、ライブを何回か観たことあります」ふああ、苦労して選んだのに歯が立たなかった…。「でもでも音源は持ってないからウレシいです」フォローありがとうございます…でも、そんなにしょっちゅう日本来てるの?このバンド。「わりと…コレクターズのライブとかで」すげえ。負けました。
2008.07.27
デイケアで冷やし中華と格闘。後輩の潔い決断にシビれる。
●将棋を覚えたノマドに、今度はオセロを教える。(ヒヨコ撮影でピンぼけ)

●最初は当てずっぽうに白黒並べていたノマドだが、「パパの編み出した必殺ワザを教えてやろう」と一時間ほどオセロの仕組みを解説したら早速モノにしてくれた。偶然か狙いかボクから早速一勝をモギ取ったのである。この奥義があれば、ママやババだったら勝てるかも知れないぞ。
●オセロは単純だから、ヒヨコにもちょっと教えてあげた。そしたら、ノマドの親友ユウタくんに間違って勝ってしまった。年下の幼稚園児に負けてしまった小学生ユウタくん…。ユウタくんのこうしたノンビリ屋さんなトコロはチャーミングで、ヒヨコは最近ユウタくんが大好きである。
●一方ヒヨコは、今日から一泊の「お泊まり保育」である。
●昨日のヒヨコは、ボクとノマドのオセロの邪魔をしたり、へんなことでフニャフニャ泣いたりとなにげにナーバスになってる。使い捨てキティちゃんお弁当箱を捨ててくるコトに納得がいかなくて(使い捨てとはいっても6〜7回はもう使ってるのよ)、ぐずりながらも最終的には「カワイそうだからメつぶってすててくる」と同意した。しょうがないから記念写真まで撮ってやった。

●ワイフが駅までお見送りに行ったが、ワイフがビビったのは、子供が不安に泣いてるんじゃなくて、お母さん達が感極まって泣いているのだそうだ。ノマドの時はそんなお母さんいなかったのに。あ、ノンビリ屋ユウタくんと、ユウタくんママは涙の別れをしてたっけ。今年もデジカメ素材編集してDVDに焼いて上げるから、ヒヨコたっぷり楽しんでおいで。ヒヨコ「ねぞうがワルいのミンナにバレちゃうかな?」全員寝相悪いから安心しろ。オモラシだけは気をつけろ。緊張するとヒヨコはすぐオモラシするからな。あとは宿舎の人、先生たちにご挨拶。朝起きたらオハヨウゴザイマスだぞ。レディとして振る舞え。わかった?
●自律神経失調症とのお付合い(その62)〜「デイケア/調理実習」編
●おととい金曜日の精神科デイケアの内容は調理実習であった。メニューは冷やし中華、ワンタンスープ、ナスのカルパッチョ風、パフェ。3つのグループに分かれて、主菜チーム、副菜チーム、デザートチームごとに行動するのである。なにげにこの月一度のイベントは人気で、参加者は40人ちかく、いつもよりも2倍ちかい人が集まる。様々なニューキャラがまたまた登場でボクのアタマは混乱。そんな最中、朝のミーティングでメニューを説明するスタッフコソさんに、ニッカポッカさんが「『かるぱっちょ』ってナンだよ?なあ『かるぱっちょ』ってナンなんだよ?」としきりにツッコンでいた。
●明らかにパフェが一番簡単そうで、しかも担当スタッフはカワイ子ちゃんワーマさんとキタもんなので「そこで決まりでイイじゃん」と思ったが、みんなのアイドルワーマさんにムサい男衆が既に10人群がっていた(オタルさんとかラルク青年とかタッキュウさんとか)。よって、ボクは敢えて主菜の冷やし中華チームに加わった。包丁などもう何年も握ってないが、やるならど真ん中こそがオモシロいだろうとボクは思う。
●担当スタッフはグランマキミさん、メンバーは小日向文世似のコヒさん、ボクの会社の先輩ケーオーさん、スキンヘッドの大型メタボおじさん(この人が味付けのイニシャティブを握っていた。料理関係の経験者?仮名はシェフさんにしよう)、女性では、手芸好きのケイトさん、卓球では常にスマッシュ狙いのスマッシュさん、それと20代後半と見えるメガネの元気のイイお姉さんがやってきた。ボクは初対面だがハキハキとした外向的な人で病気の影など感じさせない人。朗らかな笑顔で女性陣のリーダーを買って出ていたその人は醸し出すイメージからバタコさんと名付けよう。
●「それでは皆さん、居残って準備をする方と、買い出しに行く方と2つに分かれてくだサーイ!」おお、買い出しから始めんだ!バタコさんに聞く。ここら辺で買物できる所なんてあるんですか?ボクは近所の街道沿いにサイゼリアが一件あるコトしか知らない。「5分くらいのトコロにダイエーがあるんですよ。まあ皆さんゆっくり歩くから10分以上はかかるでしょうけど」買物一つとってもキチンと遂行するチカラを養うのが、デイケアの目的だ。予算は大まかに概算されてて、それに沿って人数分の材料を予算内に購入するコトを指示される。麺36人分、卵4パック、キュウリ20本、もやし6袋、カイワレ6パック、酢、醤油、砂糖、中華スープの素、和カラシ1本…。つーか、スープも一から作るんすか?スタッフキミさん「敢えて、既製品のスープは使わずに、一から作ってみましょうね」わー、ボクは冷やし中華の麺についてるスープ以外イメージできないよ。本格的だ…。
●ダイエーがある、とは言っても実際はそのお向かいにあるクラシックな(または昭和30年代風)八百屋さんでほとんどの買物が済んだ。トタンのカベ、トタンの天井、間違いなく大地震の際には完膚なきまでに倒壊するであろうほど、店舗そのものまでギリギリの設備投資に絞って大手ダイエーと価格競争を繰り広げるこの八百屋さん。そのオールドスクールな趣に「ああ、こんな買物(つまり非スーパー&非コンビニ)は過去もう記憶にないゼ」と思い浸るのであった。うーん、ボクの既存の常識世界はなんと狭いことであろう。一方で買物リストを握ったバタコさんは電卓で予算に破綻はないか細かくチェックしてセッセと会計していた…。バタコさん頼もしいぜ。学級委員チックですらある。
●手芸好きのケイトさんは50歳代と思しき女性だが、立派な私物エコバックを稼働させて野菜をイッパイ積んでた。ボクの普段持ちのバッグも実はエコバック仕様なので、36人分の麺はボクのバッグに入れた。2人でバッグトークをして、その延長でケイトさんはボクに聞いてくる。「アナタ、独身?結婚はまだ?」いやこう見えて2人の子持ちですわ。「……ふーん。(←なんか妙に残念そう?)そういえばさ、ココの院長ってダンディよね〜。ワタシこの前も院長先生がいる部屋を覗いちゃった♥」ほほう。
●ケイトさんの語り口は、年齢に釣り合わない乙女チックトークで、ウブな女子高生と話してる錯覚に陥った。ケイトさんは10年以上前の自分の写真をプリントした自分専用マグを使ってる(ご丁寧に写真の隅には1995年と日付が入ってる)。40歳代であろうはずだが、どこかあどけない表情で、若い頃はもっと美人だったろう。まるで数十年時計の針が止まってしまってるかのような、少女のココロを持ったまま年齢を重ねてるような感覚の人だ。
●さて、実際に調理作業だが、包丁仕事は卓球大好きスマッシュさん始め女性陣にまかせて、ムサい男子共は、もやしのヒゲ取りを命じられた。……ボクの狭い常識世界では「もやしのヒゲ取り」という経験はこの一生で一度もなく、恥ずかしいことに、あのもやしの中で一体ドコのパーツが「ヒゲ」なのかもワカランかった。ま、男性陣全員がそんなノリだったが。小日向文世似のコヒさん、独特の飄々トークで「全く終わる気配を感じないんだよね…」まさにもやし無間地獄。
●メタボ巨漢のスキンヘッド、シェフさんは料理を職業としていたのか鍋を前にスープを一人で担当、調味料を駆使して器用に味を整えていた。ボク的にはアタマ全体から吹き出る汗の玉とカオ側面に食い込むメガネばかりが気になったが。しかし頑張るシェフさんを尻目に大勢の人間がスープを試飲しては「味が薄い」「酢が強い」「砂糖が足らない」など好き勝手なコトを言っていく。なんか気の毒。
●「みんなの話を聞いててもキリないから、よきトコロでまとめちゃいましょ、アレコレやってると味がブレちゃいますよ」とボクがコッソリ耳打ちしたら「そうだよねー」とシェフさんイイ顔で頷いて、市販の麺付属スープをこっそり4袋くらいブチ込んでた。手作りに拘るからメンドクサイんだよ。最初っから既製品のスープで十分おいしイって。
●しかし、全体の調理家庭が終盤に差し掛かった段階で、スープはグラグラ煮えくり返った状態。コレ早く冷やさないと、「冷やし中華」の「冷やし」の部分が成立しない。タダのつけ麺じゃん。でもココで氷がないことが判明。熱いスープ鍋を水道水を張った大きな鍋につけて冷やすしかない。冷水を必死で入れ替えるも全然ホットなままのスープに、ボク「すんません、麺ゆでも盛りつけもほどんど済んでるトコロ恐縮ですが、スープが灼熱です!」全員スープの冷え待ち。でも水道水より冷えることはありえない。
●10分後、「なんか常温にはなったっぽいです」ということで、ボクは必死にオタマでスープを麺にかけるのだが、これまた焦り過ぎて、あと6皿残してスープが枯渇。ショーック!スンマセン、配分ペースシクジリました。しょうがないので他のお皿からちょっとづつスープ移植。結局市販スープの素まで使って成立させた。
●さて、食事は完成。みんなが食卓につく。丁寧に声を揃えて「いただきます」を言う。
●結構ボリューム満点で、女性には量が多いくらいだ。なんだかんだで美味しく食べましたよ。そんでスタッフコソさんに聞く。「コレじゃ午後は随分時間が余りますけど、ナニすんですか?」「反省会ですよ」反省会!
●3グループにテーブルを分けてのパリッとした反省会が始まった。
●一名ずつよかった点と失敗点を自己申告。他の班のメニューも含め辛辣なご意見も。「やっぱり冷やし中華のスープは薄かったね〜もっと濃くてよかった」「ワタシは酢が苦手だから、ちょっと酸っぱ過ぎた」スープ担当のメタボ巨漢シェフさんがますます気の毒。ボク「あの、氷がなかったんで、スープを冷やすのに手こずりました。結局常温程度だったスープがキチンと冷えてて、もっと「冷やし」中華であったなら、あのスープの感じ方も随分変わったはずですよ」フォローしときました。シェフさんの自己批判には料理用語が一杯出てきて、結果的には失敗の原因は明白らしいが少なくともボクには全く理解できなかった。ただ言えることは、何でもマジメに取り組んで自分の責任を必要以上に重く感じてしまうのは、ボクら病人には有りがちな性格的弱点だ。
●一方スマッシュさんはアッケラカンと「あのナスのかるぱっちょ?アレも味が薄かったわね〜。醤油でもかければ美味しくなったのに」。醤油をかけた時点で、それはナスのおひたしであり、カルパッチョでなくなるような気がする、と言いそうになったが止めといた。今日の参加者40名弱でカルパッチョがなんであるか理解している人間は多分15%以下で、ボクにだって厳密な定義付けなんて説明できない。
●しかし、本来ソロ活動や小単位での活動が多いデイケアの中で、全員が同じコトに取り組む共同作業は希だし、結構意味のあるコトだ。自分のやるべき事を積極的に探し、的確に責任を果たす。他の人と協調しリズムを合わせて活動する。なるほど、社会参加ってこういう活動で訓練されるんね。
●次回来月の調理実習のメニューも発表された。サラダうどん、ワカメスープ、チャンプルー、水ようかん。サラダうどん……麺カブリじゃないか…。ニッカポッカさんは朝と同じく野次を飛ばす。「チャンプルー?ゴーヤはダメだぞ、ゴーヤは!ゴーヤなんて食えないよ!」スタッフさんすかさず、ゴーヤはヤメますね、とコメント。
●ちなみに、炎天下の買い出し往復30分ばかりの徒歩で、ボクの足は完全にパンパンになり、昨日今日は一歩だって歩きたくないほどクタクタだ。ボクの体力では、まだ中二日は空けなければデイケア登板は無理。コレを最終的に週5回に持っていくんだろ。果てしねえええエ。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
●加えて金曜日の夜には渋谷で学生時代のトモダチに会った。
●夜の繁華街でメシなど、ボクの病気においてメチャリスキーなことである。翌日絶対寝込む。一週間くらい引きずる。そんくらい危険。でも敢えて出陣した。学生時代の後輩ケーコンくん(仮名)が熊本へ転勤することになり、慎ましやかな送別会をするのであった。
●あとのメンツは大学4年間をひたすらツルみ続けた悪友カズと、ヤツの新婚の奥さん(美人)。最初にカズに連絡をもらった時、「ケーコンくんのマンション久我山だし、渋谷じゃなくて、ボクんちの近所のシモキタザワで会うってどう?」とやんわりメールで提案したが秒殺で却下「オレんちは学芸大前だから」。まーその辺のデリカシーのなさも含めて、この悪友とボクは15年以上も面白がって付き合ってるので「しゃーねーな、カズは」でスルーする。
●9時30分、渋谷にて全員合流。中華料理屋に入ってメニューを見た時大学時代の思い出が一個甦った。「おいカズ、結婚したら野菜食えるようになったの?」カズは逆ベジタリアンで野菜が1ミリも食えないダメ人間であった。学食の付け合わせサラダは全部ボクがもらってた。「あーあ。火の通ったモンはイケルよ」「ホントかよ、じゃ青菜炒め頼んじゃうよ。アンタが野菜食うトコロ目の前で見してもらうわ」………「やっぱ手つけてねーじゃん!」「あ、それはねちょっと苦手分野だね」相変わらずダメ人間だね!奥さんもよく分かってて、お皿の取り分けの時に上手く野菜を避けてあげてる。こんなんでもコイツは有名女性誌のデスクを務めてる立派な仕事人だから笑っちゃうよ。
●ケーコンくんは、東京のテレビ局で働く敏腕ディレクターで、ゴールデンタイムの番組の総合演出を務めている男だ。体育会系ノリの礼儀正しい男で馬力も強い。なのに今回は自分から熊本転勤を名乗り出たという。なんで? このままのキャリアを進めばもっとスゴい仕事を担うタマなのに?
●ケーコンくん「実は、ウチの奥さんがカラダ壊しましてね、養生の為に彼女の実家のソバで働けるようにしようと思ったんです」え……そんな事情があったんだ。「東京よりコドモ育てる環境もイイだろうし、一度赴任してたこともある土地ですから勝手もわかるし。会社も速く対応してくれて。希望出してスグに転勤が決まりました」いい会社だね。……つーか、キミのそのオトコマエな決断にボクは恐れ入るよ。軽い決断じゃないでしょ、今までのキャリアを投げ打つって。「5年は東京に戻るつもりはありませんよ」潔し!自分の中の優先順位を明確に捉えて、的確に行動に反映する。中途半端に躊躇すれば結局得られる結果も中途半端。その点彼の潔さは立派だ。彼の新しい門出を祝い、野郎三人で握手をして別れた。
●人生イロイロ、抱える事情もイロイロ。でもホントに優秀なヤツは判断のスピードが早く、テンポよく状況に合わせて立場を変化させる。「ピンチはチャンス」とは言うが、チャンスをモノにするヤツが持っているのは、ピンチをピンチと正確に把握する勇気(ピンチから目をそらして深みにハマる人は多い)と、それに対して行動に踏み込む勇気(迷いと不安の中で身動きが取れなくなる人は多い)。優秀なヤツは立ち止まらないのだ。カッコイイってそういうことだと思う。

●最初は当てずっぽうに白黒並べていたノマドだが、「パパの編み出した必殺ワザを教えてやろう」と一時間ほどオセロの仕組みを解説したら早速モノにしてくれた。偶然か狙いかボクから早速一勝をモギ取ったのである。この奥義があれば、ママやババだったら勝てるかも知れないぞ。
●オセロは単純だから、ヒヨコにもちょっと教えてあげた。そしたら、ノマドの親友ユウタくんに間違って勝ってしまった。年下の幼稚園児に負けてしまった小学生ユウタくん…。ユウタくんのこうしたノンビリ屋さんなトコロはチャーミングで、ヒヨコは最近ユウタくんが大好きである。
●一方ヒヨコは、今日から一泊の「お泊まり保育」である。
●昨日のヒヨコは、ボクとノマドのオセロの邪魔をしたり、へんなことでフニャフニャ泣いたりとなにげにナーバスになってる。使い捨てキティちゃんお弁当箱を捨ててくるコトに納得がいかなくて(使い捨てとはいっても6〜7回はもう使ってるのよ)、ぐずりながらも最終的には「カワイそうだからメつぶってすててくる」と同意した。しょうがないから記念写真まで撮ってやった。

●ワイフが駅までお見送りに行ったが、ワイフがビビったのは、子供が不安に泣いてるんじゃなくて、お母さん達が感極まって泣いているのだそうだ。ノマドの時はそんなお母さんいなかったのに。あ、ノンビリ屋ユウタくんと、ユウタくんママは涙の別れをしてたっけ。今年もデジカメ素材編集してDVDに焼いて上げるから、ヒヨコたっぷり楽しんでおいで。ヒヨコ「ねぞうがワルいのミンナにバレちゃうかな?」全員寝相悪いから安心しろ。オモラシだけは気をつけろ。緊張するとヒヨコはすぐオモラシするからな。あとは宿舎の人、先生たちにご挨拶。朝起きたらオハヨウゴザイマスだぞ。レディとして振る舞え。わかった?
●自律神経失調症とのお付合い(その62)〜「デイケア/調理実習」編
●おととい金曜日の精神科デイケアの内容は調理実習であった。メニューは冷やし中華、ワンタンスープ、ナスのカルパッチョ風、パフェ。3つのグループに分かれて、主菜チーム、副菜チーム、デザートチームごとに行動するのである。なにげにこの月一度のイベントは人気で、参加者は40人ちかく、いつもよりも2倍ちかい人が集まる。様々なニューキャラがまたまた登場でボクのアタマは混乱。そんな最中、朝のミーティングでメニューを説明するスタッフコソさんに、ニッカポッカさんが「『かるぱっちょ』ってナンだよ?なあ『かるぱっちょ』ってナンなんだよ?」としきりにツッコンでいた。
●明らかにパフェが一番簡単そうで、しかも担当スタッフはカワイ子ちゃんワーマさんとキタもんなので「そこで決まりでイイじゃん」と思ったが、みんなのアイドルワーマさんにムサい男衆が既に10人群がっていた(オタルさんとかラルク青年とかタッキュウさんとか)。よって、ボクは敢えて主菜の冷やし中華チームに加わった。包丁などもう何年も握ってないが、やるならど真ん中こそがオモシロいだろうとボクは思う。
●担当スタッフはグランマキミさん、メンバーは小日向文世似のコヒさん、ボクの会社の先輩ケーオーさん、スキンヘッドの大型メタボおじさん(この人が味付けのイニシャティブを握っていた。料理関係の経験者?仮名はシェフさんにしよう)、女性では、手芸好きのケイトさん、卓球では常にスマッシュ狙いのスマッシュさん、それと20代後半と見えるメガネの元気のイイお姉さんがやってきた。ボクは初対面だがハキハキとした外向的な人で病気の影など感じさせない人。朗らかな笑顔で女性陣のリーダーを買って出ていたその人は醸し出すイメージからバタコさんと名付けよう。
●「それでは皆さん、居残って準備をする方と、買い出しに行く方と2つに分かれてくだサーイ!」おお、買い出しから始めんだ!バタコさんに聞く。ここら辺で買物できる所なんてあるんですか?ボクは近所の街道沿いにサイゼリアが一件あるコトしか知らない。「5分くらいのトコロにダイエーがあるんですよ。まあ皆さんゆっくり歩くから10分以上はかかるでしょうけど」買物一つとってもキチンと遂行するチカラを養うのが、デイケアの目的だ。予算は大まかに概算されてて、それに沿って人数分の材料を予算内に購入するコトを指示される。麺36人分、卵4パック、キュウリ20本、もやし6袋、カイワレ6パック、酢、醤油、砂糖、中華スープの素、和カラシ1本…。つーか、スープも一から作るんすか?スタッフキミさん「敢えて、既製品のスープは使わずに、一から作ってみましょうね」わー、ボクは冷やし中華の麺についてるスープ以外イメージできないよ。本格的だ…。
●ダイエーがある、とは言っても実際はそのお向かいにあるクラシックな(または昭和30年代風)八百屋さんでほとんどの買物が済んだ。トタンのカベ、トタンの天井、間違いなく大地震の際には完膚なきまでに倒壊するであろうほど、店舗そのものまでギリギリの設備投資に絞って大手ダイエーと価格競争を繰り広げるこの八百屋さん。そのオールドスクールな趣に「ああ、こんな買物(つまり非スーパー&非コンビニ)は過去もう記憶にないゼ」と思い浸るのであった。うーん、ボクの既存の常識世界はなんと狭いことであろう。一方で買物リストを握ったバタコさんは電卓で予算に破綻はないか細かくチェックしてセッセと会計していた…。バタコさん頼もしいぜ。学級委員チックですらある。
●手芸好きのケイトさんは50歳代と思しき女性だが、立派な私物エコバックを稼働させて野菜をイッパイ積んでた。ボクの普段持ちのバッグも実はエコバック仕様なので、36人分の麺はボクのバッグに入れた。2人でバッグトークをして、その延長でケイトさんはボクに聞いてくる。「アナタ、独身?結婚はまだ?」いやこう見えて2人の子持ちですわ。「……ふーん。(←なんか妙に残念そう?)そういえばさ、ココの院長ってダンディよね〜。ワタシこの前も院長先生がいる部屋を覗いちゃった♥」ほほう。
●ケイトさんの語り口は、年齢に釣り合わない乙女チックトークで、ウブな女子高生と話してる錯覚に陥った。ケイトさんは10年以上前の自分の写真をプリントした自分専用マグを使ってる(ご丁寧に写真の隅には1995年と日付が入ってる)。40歳代であろうはずだが、どこかあどけない表情で、若い頃はもっと美人だったろう。まるで数十年時計の針が止まってしまってるかのような、少女のココロを持ったまま年齢を重ねてるような感覚の人だ。
●さて、実際に調理作業だが、包丁仕事は卓球大好きスマッシュさん始め女性陣にまかせて、ムサい男子共は、もやしのヒゲ取りを命じられた。……ボクの狭い常識世界では「もやしのヒゲ取り」という経験はこの一生で一度もなく、恥ずかしいことに、あのもやしの中で一体ドコのパーツが「ヒゲ」なのかもワカランかった。ま、男性陣全員がそんなノリだったが。小日向文世似のコヒさん、独特の飄々トークで「全く終わる気配を感じないんだよね…」まさにもやし無間地獄。
●メタボ巨漢のスキンヘッド、シェフさんは料理を職業としていたのか鍋を前にスープを一人で担当、調味料を駆使して器用に味を整えていた。ボク的にはアタマ全体から吹き出る汗の玉とカオ側面に食い込むメガネばかりが気になったが。しかし頑張るシェフさんを尻目に大勢の人間がスープを試飲しては「味が薄い」「酢が強い」「砂糖が足らない」など好き勝手なコトを言っていく。なんか気の毒。
●「みんなの話を聞いててもキリないから、よきトコロでまとめちゃいましょ、アレコレやってると味がブレちゃいますよ」とボクがコッソリ耳打ちしたら「そうだよねー」とシェフさんイイ顔で頷いて、市販の麺付属スープをこっそり4袋くらいブチ込んでた。手作りに拘るからメンドクサイんだよ。最初っから既製品のスープで十分おいしイって。
●しかし、全体の調理家庭が終盤に差し掛かった段階で、スープはグラグラ煮えくり返った状態。コレ早く冷やさないと、「冷やし中華」の「冷やし」の部分が成立しない。タダのつけ麺じゃん。でもココで氷がないことが判明。熱いスープ鍋を水道水を張った大きな鍋につけて冷やすしかない。冷水を必死で入れ替えるも全然ホットなままのスープに、ボク「すんません、麺ゆでも盛りつけもほどんど済んでるトコロ恐縮ですが、スープが灼熱です!」全員スープの冷え待ち。でも水道水より冷えることはありえない。
●10分後、「なんか常温にはなったっぽいです」ということで、ボクは必死にオタマでスープを麺にかけるのだが、これまた焦り過ぎて、あと6皿残してスープが枯渇。ショーック!スンマセン、配分ペースシクジリました。しょうがないので他のお皿からちょっとづつスープ移植。結局市販スープの素まで使って成立させた。
●さて、食事は完成。みんなが食卓につく。丁寧に声を揃えて「いただきます」を言う。
●結構ボリューム満点で、女性には量が多いくらいだ。なんだかんだで美味しく食べましたよ。そんでスタッフコソさんに聞く。「コレじゃ午後は随分時間が余りますけど、ナニすんですか?」「反省会ですよ」反省会!
●3グループにテーブルを分けてのパリッとした反省会が始まった。
●一名ずつよかった点と失敗点を自己申告。他の班のメニューも含め辛辣なご意見も。「やっぱり冷やし中華のスープは薄かったね〜もっと濃くてよかった」「ワタシは酢が苦手だから、ちょっと酸っぱ過ぎた」スープ担当のメタボ巨漢シェフさんがますます気の毒。ボク「あの、氷がなかったんで、スープを冷やすのに手こずりました。結局常温程度だったスープがキチンと冷えてて、もっと「冷やし」中華であったなら、あのスープの感じ方も随分変わったはずですよ」フォローしときました。シェフさんの自己批判には料理用語が一杯出てきて、結果的には失敗の原因は明白らしいが少なくともボクには全く理解できなかった。ただ言えることは、何でもマジメに取り組んで自分の責任を必要以上に重く感じてしまうのは、ボクら病人には有りがちな性格的弱点だ。
●一方スマッシュさんはアッケラカンと「あのナスのかるぱっちょ?アレも味が薄かったわね〜。醤油でもかければ美味しくなったのに」。醤油をかけた時点で、それはナスのおひたしであり、カルパッチョでなくなるような気がする、と言いそうになったが止めといた。今日の参加者40名弱でカルパッチョがなんであるか理解している人間は多分15%以下で、ボクにだって厳密な定義付けなんて説明できない。
●しかし、本来ソロ活動や小単位での活動が多いデイケアの中で、全員が同じコトに取り組む共同作業は希だし、結構意味のあるコトだ。自分のやるべき事を積極的に探し、的確に責任を果たす。他の人と協調しリズムを合わせて活動する。なるほど、社会参加ってこういう活動で訓練されるんね。
●次回来月の調理実習のメニューも発表された。サラダうどん、ワカメスープ、チャンプルー、水ようかん。サラダうどん……麺カブリじゃないか…。ニッカポッカさんは朝と同じく野次を飛ばす。「チャンプルー?ゴーヤはダメだぞ、ゴーヤは!ゴーヤなんて食えないよ!」スタッフさんすかさず、ゴーヤはヤメますね、とコメント。
●ちなみに、炎天下の買い出し往復30分ばかりの徒歩で、ボクの足は完全にパンパンになり、昨日今日は一歩だって歩きたくないほどクタクタだ。ボクの体力では、まだ中二日は空けなければデイケア登板は無理。コレを最終的に週5回に持っていくんだろ。果てしねえええエ。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
●加えて金曜日の夜には渋谷で学生時代のトモダチに会った。
●夜の繁華街でメシなど、ボクの病気においてメチャリスキーなことである。翌日絶対寝込む。一週間くらい引きずる。そんくらい危険。でも敢えて出陣した。学生時代の後輩ケーコンくん(仮名)が熊本へ転勤することになり、慎ましやかな送別会をするのであった。
●あとのメンツは大学4年間をひたすらツルみ続けた悪友カズと、ヤツの新婚の奥さん(美人)。最初にカズに連絡をもらった時、「ケーコンくんのマンション久我山だし、渋谷じゃなくて、ボクんちの近所のシモキタザワで会うってどう?」とやんわりメールで提案したが秒殺で却下「オレんちは学芸大前だから」。まーその辺のデリカシーのなさも含めて、この悪友とボクは15年以上も面白がって付き合ってるので「しゃーねーな、カズは」でスルーする。
●9時30分、渋谷にて全員合流。中華料理屋に入ってメニューを見た時大学時代の思い出が一個甦った。「おいカズ、結婚したら野菜食えるようになったの?」カズは逆ベジタリアンで野菜が1ミリも食えないダメ人間であった。学食の付け合わせサラダは全部ボクがもらってた。「あーあ。火の通ったモンはイケルよ」「ホントかよ、じゃ青菜炒め頼んじゃうよ。アンタが野菜食うトコロ目の前で見してもらうわ」………「やっぱ手つけてねーじゃん!」「あ、それはねちょっと苦手分野だね」相変わらずダメ人間だね!奥さんもよく分かってて、お皿の取り分けの時に上手く野菜を避けてあげてる。こんなんでもコイツは有名女性誌のデスクを務めてる立派な仕事人だから笑っちゃうよ。
●ケーコンくんは、東京のテレビ局で働く敏腕ディレクターで、ゴールデンタイムの番組の総合演出を務めている男だ。体育会系ノリの礼儀正しい男で馬力も強い。なのに今回は自分から熊本転勤を名乗り出たという。なんで? このままのキャリアを進めばもっとスゴい仕事を担うタマなのに?
●ケーコンくん「実は、ウチの奥さんがカラダ壊しましてね、養生の為に彼女の実家のソバで働けるようにしようと思ったんです」え……そんな事情があったんだ。「東京よりコドモ育てる環境もイイだろうし、一度赴任してたこともある土地ですから勝手もわかるし。会社も速く対応してくれて。希望出してスグに転勤が決まりました」いい会社だね。……つーか、キミのそのオトコマエな決断にボクは恐れ入るよ。軽い決断じゃないでしょ、今までのキャリアを投げ打つって。「5年は東京に戻るつもりはありませんよ」潔し!自分の中の優先順位を明確に捉えて、的確に行動に反映する。中途半端に躊躇すれば結局得られる結果も中途半端。その点彼の潔さは立派だ。彼の新しい門出を祝い、野郎三人で握手をして別れた。
●人生イロイロ、抱える事情もイロイロ。でもホントに優秀なヤツは判断のスピードが早く、テンポよく状況に合わせて立場を変化させる。「ピンチはチャンス」とは言うが、チャンスをモノにするヤツが持っているのは、ピンチをピンチと正確に把握する勇気(ピンチから目をそらして深みにハマる人は多い)と、それに対して行動に踏み込む勇気(迷いと不安の中で身動きが取れなくなる人は多い)。優秀なヤツは立ち止まらないのだ。カッコイイってそういうことだと思う。
2008.07.24
「誰がボサノヴァなんか聴くか!」という偏見に染まってたココロの狭いボク。
●今日は「ボサノヴァ」のコトを考えます。
●「ボサノヴァ」ってみんな好きでしょ、多分。「誰があんなモン聴くか!」って人は国民全人口の中でそんな多くないと思う。「オシャレ〜」「癒し〜」「カフェで流れてたら最高よね〜」そんな印象?
●でもね、ボクはその国民的マイノリティであろう「誰がボサノヴァなんか聴くか!」という人間だったのです。バカだねー相変わらす。音楽ならなんでも聴くスタンスのボクが、なぜ「ボサノヴァ」だけ避けてきたか。そこにはコレマタヘンテコリンな思い込みがあった訳で。
●ボクが深くのめり込んでた偏見。ボサノヴァは、その成り立ちが「ヌルい」。
●ボクがメインに好んでいるロック、パンク、ヒップホップ、R&B、レゲエ、ダンスミュージック、ジャズなどなどには、全てその音楽の形成に「摩擦」がある。ジャズ、ブルースに端を発するブラックミュージックは、全て人種的偏見による誤解無理解を粘り強い信念とクリエイティヴィで乗り越え現在の芸術的価値を勝ち得た。ブラックミュージックが白人化したロック〜パンクも、同じように保守勢力から激しい圧力を受けながら、表現の深みを熟成させた。一見享楽的にも見えるダンスミュージックにも、ブラックミュージックへの無理解に加えゲイカルチャーへの大きな偏見を克服した歴史がある。巨大産業となった今の音楽業界からは見えづらい「文化闘争」の側面を、現在のポップミュージックの多くはその内側に秘めているし、それがボクにとっては途切れることのナイ音楽への興味の大きな原動力になっている。ボクにとって音楽は、その音、その作品だけではなく、その音が生まれた社会環境、アーティストにまつわる物語もひっくるめてのモノなのだ。
●が、ボサノヴァには、「文化闘争」として血を流すような摩擦を戦った歴史がない。
●よって「ヌルい」。そもそもボサノヴァは、60年代の経済成長で生まれたブラジルの中産階級が、アメリカのジャズを基礎に作り上げたブルジョワ的オシャレ音楽。現代のゲットーネイション・ブラジルにおいては、すでに誰も聞く人のいない古びた音楽だ。今のブラジルのキッズは、ヒップホップ、ファンク、エレクトロ、ミクスチャーロックを聴いており、お祭りで盛り上がるために地域のサンバチーム(エスコーラっていうんだっけ?)に入ってる。そりゃボサノヴァの名曲はブラジル人なら誰でも知ってるだろう。でもそれって日本人の多くが「別れても好きな人」をカラオケでデュエットできるようなモンで、生きた音楽とは違うだろう。演歌のような懐メロ扱いだよ。ボクには現代のゲットーミュージックの方が100倍魅力的に見える。
●そんな音楽ボサノヴァを地球の裏側日本で、後生大事にウットリ聴くっつーのは、日本の演歌に夢中になった黒人青年ジェロくんみたいなもんで、微妙な違和感があるんじゃないの?とボクは思う。いや、「海雪」ジェロくんは立派よ。 彼、多分マジで紅白行くわ。小野リサさんが本国ブラジルで評価されちゃうような逆転現象が起こってるのは、小野リサさんの確かな実力とは別にして、ジェロくんみたいな存在のヘンテコさがあると思うのだ。
●でも、敢えて今日は聴いてみる。音楽は日々挑戦。偏見を捨てて自分の耳を未知の領域へ放り出すべし。
●ボサノヴァの時代。1957〜63年、キラめく海と山と空の街、リオ。
![]() | ディス・イズ・ボサノヴァ (2008/03/28) アントニオカルロスジョビンカルロスリラ 商品詳細を見る |
●DVD「ディス・イズ・ボサノヴァ」
●美しいリオデジャネイロの街を背景に、ボサノヴァ創成期50年代末〜60年代初頭の気分を、今も現役を張る巨匠ミュージシャンの証言と当時の貴重な写真や映像で綴る。原題は「COISA MAIS LINDA: HISTORIAS E CASOS DA BOSSA NOVA」。日本語にすれば「もっとも美しいもの〜ボサノヴァの歴史を振り返る〜」。「COISA MAIS LINDA」は有名なボサノヴァのスタンダード曲の名前らしい。
●この50年前の歴史をナビゲートしてくれるのは、CARLOS LYRA と ROBERTO MENESCAL というオジイさんプレイヤー。当時高校生であった彼らは、ボサノヴァ運動の萌芽を目の前に目撃し、そして強力に推進した重要な生き証人だ。今だ現役である彼らは、70歳代直前くらいであろうはずなのに実に若々しい。「チョイ悪オヤジ」という言葉が一時期流行ったが、ブラジル人の粋っぷり、艶っぷりにはかなわない。歌い笑い語る。人生を楽しむ陽気さが、ぱーっと画面から伝わってくる。
●1940年代〜60年代前半は、ブラジルにとって幸福な時代だったらしい。高度経済成長があり、豊かな人々が生まれ、芸術、文学、建築などで様々な成果があった。リオは今と違ってもっと安全な街だったみたいだし。でも60年代後半になると軍事政権が成立し、その気分は一転してしまうのだが。
●アメリカでは最初のロックンロールが響き始めてた頃、リオの中産階級家庭に育ったティーンネイジャー達は、高校や大学に通いながら外国の音楽に夢中になってた。クラブや仲間のウチに集っては FRANK SINATRA や GLENN MILLER などのポピュラージャズを78回転SP盤で聴き、朝までギターを爪弾いて遊んだという。ブラジルにも既存のナイトクラブシーンがあったが、その成果を取り込みつつも、若者たちはもっと新しいナニかを求めていた。
●高校生にしてギター教室を開いていた CARLOS LYRA & ROBERTO MENESCAL(生徒の中には MARCOS VALI も!) のような最先端のセンスを持つ若者は、たちまちリオの街で有機的に結びつき、友達が友達を呼んでサロンまたはコミュニティのような小さいサークルを作り上げた。ボサノヴァのミューズとして名高い NARA LEAO(長いまつげとエキゾチックな黒い髪!チャーミング!) の家に大勢の気取り屋が集まり、無自覚に音楽の腕を競い合ってた。
●ボサノヴァのオリジネイターとして有名な ANTONIO CARLOS JOBIN(劇中では TOM JOBINと呼ばれているのでこれ以降は TOM JOBIN)は、そんなサークルの一員だった。クラシック音楽の正統教育を受け、ショパンなどに影響されていた彼は、若者の新志向(ニュースタイル=ボサ・ノーヴァ)を一つの様式にまとめ上げた男だ。彼はその早熟な技術によって、複雑なリズムと美しい主旋律をギター一本で同時に弾き出し、ジャズのエッセンスにサンバのリズム感覚を織り込む独特の奏法を編み出した。「ボサノヴァ」の誕生だ。こうしたギター奏法を「バチータ」と呼ぶらしいが、彼の仲間たちは、TOM にならって独自のバチータ、独自のコード進行を開発しては仲間に自慢したり、または自分だけのモノとして隠したりした。
●JOAO GILBERTO は更にそのボサノヴァ表現を革新、ギターとボーカルが渾然一体となって編み出す繊細なグルーヴを編み出し、アメリカのジャズへ逆影響を与えるに至る。妻の ASTRUD GILBERT の映像も登場。NARA LEAO はいつしか社会派シンガーへと変貌し、60年代後半〜70年代に活躍する次世代「トロピカリズモ」のアーティストにもチャンスを与えた。
●NARA はブラジルで初めてギターを演奏しながら歌を歌った女性アーティストでもあるという。ボサノヴァといえばスツールに腰掛けてのギター演奏がお決まり(テレビ収録の際「ソファじゃ弾きにくいんだけど」と注文を付けたら、たまたまスツールがでてきたのが慣例化しちゃった)だけど、女性がスツールに腰掛けるのは下品という当時の常識を打ち破ったのが彼女だ。新時代の女性シンガーとして後進へ表現の自由を切り開いたパワフルさが、彼女の奥ゆかしい声の裏側にあるコトを知る。
●映画の中にふんだんに盛り込まれた、新旧世代入り交じってのボサノヴァ演奏シーンは絶品で、特に CARLOS LYRA のお嬢さん KAY LYRA の親子デュエットが素晴らしい。ブラジル女性はなんてセクシーなんだろう……(←音楽の善し悪しじゃねーじゃん)。記録映像に映る ASTRUD も NARA も、立派なオバさんになってしまった JOYCE でさえも、ハッとするような美しさがある。日本女性のような慎ましさとは正反対の、黙ってても強い意志と存在感がヒリヒリ伝わってくる、ムリめのオンナノコのオーラ。こんな国に生まれたら、ギター片手にトロトロのラブソングくらい余裕で歌える器量がナイとオンナノコは一人も口説けない。さすがブラジル、これぞブラジル。
●そして、ロケのシチュエーションがいちいち美しい。
●イパネパ海岸を見渡す岬の風景や海岸ギリギリまでせり出す岩山を超えるヘリ空撮はもちろん、インタビューの場所がことごとく美しい。語り部 LYRA & MENESCAL は今も残る当時の現場、自分たちが出会った高校、ギター教室を開いてたアパート、通ってたナイトクラブに、初ライブをしたホールや大学の円形ステージを訪れる。海岸に面したマンションの窓を指差して「あそこが、NARA LEAO の住んでた部屋だよ。オレらのサロンだ」と語る。
●ちょっと待てよ、1950年代末といったら、今日本で流行りの昭和30年代と重なるじゃないか。東京であの時代を再現するには最新CGが必要だってのに、リオにはその時代の建物が、今だ古びもせず美しいミッドセンチュリー建築としてキレイに保存されているのだ。ソコに驚きを感じた。直接関係ないけど、ブラジルの有名な建築家オスカー・ニーマイヤーの名前が一瞬アタマをよぎる。
●一方で、ボサノヴァのボソボソささやくようなウイスパー唱法の成り立ちもココで知る。当時盛んに作られた集合住宅(日本も団地がイッパイ出来た時代だよね)に当時の若者は暮らしてたが、カベの厚さが全然なくて、夜演奏の練習をしようものなら近所から苦情の連発だったそうな。だから、極力小さい声でボソボソ練習をし、ボサノヴァそのものがボソボソ歌うモンになってしまったという。NARA LEAO などは、観客が騒々しければ騒々しいほど小さな声で歌い、観衆の注目をコントロールしたらしい。
●ブラジルの人にとって、またはリオの人にとって、ボサノヴァが軍政以前の古き良き黄金時代を思い起こさせる音楽だということが理解できた。しかも演奏形態はシンプルでありながら高度に複雑なグルーヴを内包する音楽であることも理解した。TOM JOBIN は THE BEATLES に次いで世界で2番目に多く演奏されている作曲家だ。晩年の TOM 本人は「ビートルズは四人じゃないか、それじゃズルいよ」と冗談を言ったという。つまりボサノヴァはすでに世界のスタンダードになってる。ドコの人間がいつの時代にボサノヴァをプレイしようと関係ない。ボクの偏見は完全に剥がれ落ちた。
●ただし「文化闘争としての摩擦」が音楽を強くするという点においては、まだボクにはボサノヴァは華奢に見える。それはブラジルが軍事政権に移行した際に抗議運動を起こした「トロピカリズモ」運動のコトが念頭にあってのハナシなんだけど。
●ボサノヴァ世代から一巡りした60年代末の若者は、リオではなく地方都市から独自の音楽を引っさげ登場し世間に挑戦した。ボサノヴァには男女の差別はなかったがほとんどが裕福な白人だけの世界。新世代は地方に住むアフリカ系の人々もひっくるめてやって来た。当時最新のサイケデリックロックの影響を吸い込んで、ボサノヴァにはありえないアンプリファイされたサウンドをブチ鳴らし、自らを「トロピカリスタ」と称した。しかし、保守勢力やメディアは彼ら新感覚のブラジル音楽を否定し、彼らによるボサノヴァの新たな革新を許さなかった。重要なトロピカリスタ、CAETANO VELOSO や GILBERT GIL は軍当局に逮捕され亡命を余儀なくされた。ボクは、ブラジル音楽にトロピカリズモから入っていったタイプの人間、だからボサノヴァは、トロピカリズモに対する反動勢力というイメージが強いのだ。
●しかし、これからは「ボサノバ vs. トロピカリズモ」というボクが頑迷に抱いていた図式を放棄し、連続したムーブメントとしてこの時代の音楽を聴いてみたい。
●そんでボサノバ実践、第一弾。
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●VARIOUS ARTISTS「ジョビニアーナ 〜愛と微笑みと花」2007年
●ボサノヴァのオリジネイター、ANTONIO CARLOS JOBIN 生誕80周年を記念して編まれたコンピ。日本人アーティスト14組が、ボサノヴァの大定番ナンバーをカバー。シモキタザワの守護神・曾我部恵一のギター一本勝負「イパネパの娘」、日本のアシッドジャズディーヴァ・マンデイ満ちる(彼女の英語カバーが一番よかった)、斬新なテコテコサウンドでアレンジした CUBISMO GRAFFICO、元 CYMBALS の 土岐麻子、新進ジャズシンガーAKIKO、bird、キリンジも参加してた。新しドコロでは多和田えみとかがイイ感じ。コンピ監修は、橋本徹さん。SUBURBIA SUITE、FREE SOUL、CAFE APRE-MIDIで活躍の超有名コンパイラーだ。意外なことに、彼にとって日本人アーティストのコンピを編むのはコレが初めてらしい。
●でも…古典ボサノヴァを聴いてないから、あんまりぴんとこない。
●ホンマモンの古典ボサノヴァを知らないから、カバーって言っても比較のしようがないなーと思い、ごそごそレコード棚をあさる。で、一枚出てきた。
![]() | Getz Au Go Go (2007/09/18) The New Stan Getz QuartetAstrud Gilberto 商品詳細を見る |
●STAN GETZ & ASTRUD GILBERTO「GETS AU GO GO」
●STAN GETZ は王道のジャズサックス奏者。しかし、JOBIN と双璧をなすボサノヴァの巨人 JOAO GILBERTO とジャズボッサの名盤を作るなど、ジャズサイドとしては最高のボサノヴァ理解者。そして JOAO の奥さん ASTRUD とライブしちゃってるのがこの盤なのだから、間違いなかろう。やっぱ、バンドはジャズなのだが、ここではとにかく ASTRUD の甘いポルトガル語歌唱に酔いしれるしかない。世界で一番音楽的な言語と呼ばれるポルトガル語、ネイティヴのカワイ子ちゃんが、甘くささやくトコロをバンドがクッと大人の味で締める呼吸。ああ、本物の方がたまらんなあ。長年抱いていた、ボサノヴァへの偏見が少し剥がれた瞬間。オトナになったね、ボク。と自分に言い聞かせる。
![]() | Esquire (エスクァイア) 日本版 2007年 09月号 [雑誌] (2007/07/24) 不明 商品詳細を見る |
●雑誌「エスクァイア」2007年9月号
●ここまで来ると、ANTONIO CARLOS JOBIN 本人の声が聴きたくなる。しかし残念ながら本人の音源は持ってないのよ。でも今はCD購入を自ら禁じている(病気が治って現場復帰するまでCDは買わないと誓ったのだ、ちなみに一度挫折して今二回目)ので、新譜は買えない。さて困ったな〜と思ってたら、毎週通っている鍼灸院のロビーでこの雑誌を発見した。第一特集はロサンゼルスの最新建築トレンド。だけど、第二特集は ANTONIO CARLOS JOBIN その人で、 おまけCDまで付いてる。おお!「すいません…、これ去年の雑誌っすけど、もしよかったらボクにくれません?」受付のお姉さんに相談してもらっちゃった。イエーイ。ここでも監修者は橋本徹氏、彼がプロデュースに関わったCAITOというアーティストと、ANTONIO CARLOS JOBIN & ELIS REGINA のライブ音源がおまけCDに入っていた。
●ELIS REGINA!このシンガーは好き。60年代〜70年代のブラジルのシンガーだけど、ボクの中では和田アキ子とイメージがダブる。ボサノヴァの枠を逸脱するソウルフルな歌声とカンシャク持ちでトリッキーな性格。ただし早死にしちゃったのがアッコさんと違うトコロ。彼女が CAETANO VELOSO 作曲の「OLYMPIA OLYMPIA」を歌ったのがスッゲーファンキーでたまんない。
●一方で、生まれて初めて聴くJOBIN の声は、まろやかで落ち着きがあり、上品なユーモアと暖かい人柄がにじみ出てくるものだった。ELIS も彼の低音に合わせて朗々と歌う。伴奏はギター一本。うーん、いける。ちょっとボサノヴァマジで研究するか。あと、トロピカリズモもね。
2008.07.22
デイケアでカラオケに悶絶。カラオケ苦手なんだよ〜。
●昨日ノマドに将棋で負けたエイトくん。その夜泣きながらお父さんと特訓したらしい。
●「1年生の子に負けてどうするの?」とハッパをかけられて感極まって泣いちゃったそうな。イヤイヤたまたまマグレでノマドが勝ったようなもんだから。そんなコト言ったらエイトくん将棋キライになっちゃいそうで不安。今日はエイトハヤトがウチに来て、ノマドと将棋対決をしたそうだ。3回してノマド1勝2敗とな。リベンジ成功でエイトくんのメンツは保たれた。
●自律神経失調症とのお付合い(その61)〜「デイケア/創作活動&カラオケ」編
●………カラオケ。ブルーだ…。ダイキライなんだよな…音痴だし。今日の「精神科デイケア」は、ミンナでカラオケをする日なのだ。そもそも、デイケアとカラオケってどんなカンケイがあるんだろう?ヤダなー億劫だなー。ましてやほぼ初対面の人の前でのパフォーマンスでしょ。うんざり。というコトで朝からボクはユウウツだった。横浜の精神病院の「精神科デイケア」2回目に行くべく電車に乗ったボクは、iPodで自分が歌うべき曲をアレコレ迷いながら探してた。くそー連休中に一回練習しに行けばよかった…。
●幸い電車の座席に座れたボクは、iPodをいじくりながらモンモンとカラオケのイメトレをしてた……というつもりだったのだが、いつの間にか爆睡。そしてマンマと乗換駅を降り過ごした。ヤベ!今の駅だったよ!と気付いた瞬間には、電車は無情に加速していくトコロだった。うおー次の駅で降りないと……てかコレ急行じゃん!6つ先の駅までノンストップで連れて行かれる!ノー!
●9時に送迎バスが駅前から病院に出発する予定、でボクが大きな遠回りをして病院の最寄り駅に着いたのは9時2分。ホームから待ち合わせ場所までダッシュ!今まさに動き出し始めたマイクロバスにガンガン手を振って、ギリギリ乗り込ませてもらった。ふう…。
●今日のバスはお客さんがイッパイ、オジさんオバさんが「ずいぶん走ったみたいだね、オニイさん」と声をかけてくれる。またまたニューキャラが大勢登場だ。今日はどんな一日になることやら。
●午前中の光でマブしい「精神科デイケア室」には、先日のメンバーさんも。顔を見知った人には軽く挨拶。ニッカポッカさん、タッキュウさん、ソファさん、ツエさん…。注目のモヒカンさんの衣装は、今日はなんと「勧行大相撲」と書き殴った浮世絵力士シャツ!前回の「市川団十郎」歌舞伎シャツに続いてド肝を抜くコーディネイト!「き、今日もオシャレですね…」(←まだ気さくにはしゃべれないボク)、モヒカンさん、ニヤリと笑って謙遜するように手を振る。でも、ボクは気付いた。シャツの袖についたタグに「DIESEL」の文字が!えーコレ DIESEL なの?!ホント?! 完全に浅草の外人向けお土産ショップで買ったモンだと思ってたよ!
●朝のミーティングが淡々粛々と前回通り行われる。
●70歳代後半?と最高齢に見えるツエさん(杖をついてるオジイさん、背中も腰も曲がっちゃってるようでシャツの下には大きなコルセットが透けてる)はメンバーさんの長老的存在のよう。「三連休は、長くて飽きてしまった。やはりココにくるのが楽しいね」と挨拶する。「精神科デイケア」が社会との大事な接点という人たちがココにはイッパイいるのだ。ボクは、復職のワンステップとして腰掛け感覚で参加している自分が一瞬ハズカシくなった。
●…が、最後にココでイキナリ司会の人からカラオケについて確認のオハナシが。「今日の午後のカラオケ、歌う人は手を挙げて下さい」ええっ!朝イチしょっぱなからもう歌う人確定させるの?しかも、半分しか手を挙げてる人はいない。タッキュウさん「おお、歌わないの?」ニッカポッカさん「オレは今日はよしとくわ」微妙ー。半分は不参加、場の雰囲気も読めないのにエントリーなんてできないゼ。
●スタッフさんによると、カラオケは歌う人を速攻で確定させ、クジ引きで司会進行&曲番号入力係まで決めて、昼休みのウチに順番と曲目を確定させておくというのだ。それでスムーズに進行をさせるという。……だめだ、今日は黙って様子を見よう、アウェイ過ぎて身の置きようが見えない。
●午前中は「創作活動」の時間。
●みんながそれぞれ様々な創作活動に勤しむこの時間。絵を描く人、裁縫をする女性、ツエさんはチラシを細い筒にして吹き矢を作ってる。スタッフさん「ナニをしてもイイんですけど、陶芸はいかがですか?2人1組で器を作るんです」一人でやるより誰かと共同作業した方が楽しい。やります!陶芸やります!
●ボクの隣には、ニッカポッカ&タッキュウさんペア、逆サイドにはソファさんとニューキャラの50歳代男性のペア。粘土をコネながら「うーん、なんか日本人のココロだねえ」と飄々としゃべるこの男性の様子は、コミカルキャラを演じてる小日向文世そっくりである。「日本人というか縄文人って感じです」と返しつつ、この人の仮名はコヒさんにしようと決めた。
●ボクの相方は女性スタッフのワーマさん。少しローライズなジーンスにカジュアルなTシャツ、素っ気なく髪の毛をポニーテールにまとめてるけどナチュラルメイクは爽やかに決めてるカワイい人だ。申し訳ないが、ボクはドコに行っても誰に会っても、カワイい女性を目ん玉のどっかでサーチしてしまう。陶芸は得意分野というワーマさんに粘土のこね方から細かく教授され(荒練り→菊練りという過程があるのです)、ろくろやカタチを整えるヘラ、針金の使い方を教わる。……そういえば、ボクの母親はこのテの手芸は色々やってたなあ……。希に実家でゴハンを食べると食器のほとんどが手作り品だったりする。完成品しか見た事なかったが、こんなメンドクサイ工程をセッセとやっとったのか。ヒマだったんだな…。
●あと、驚いたコトがもう一度。コレって何週間かかけて完成させるんでしょうけど、ドッカに焼きに出すんですか?「いいえ、この建物の6階に『行動療法室』というトコロがあって、そこに窯があるんです。ソコで焼きます」えー!病院の中に窯があるんですか?「ええ、カラオケセットもその部屋にあるんですよ」いつかその「行動療法室」ってトコロに行ってみるぞ。この病院の中にはオモシロそうなモノがイッパイありそうだ。
●昼食は、かき揚げソバ。
●かき揚げ1個、ナルト1枚、ネギ1つまみ、厳密に決まってる。「あら、ナルトが一枚足りないわ。ま、イイわよ私ナルトなしで」と女性メンバーさんがそう言うと、ベテランスタッフのキミさん(仮名。全スタッフを統括するデイケアのグランマである)が「いえ!それはダメです。皆さん!ナルトが一枚ありません!間違って2枚入っているモノはありませんか?」とよく通る声で大号令。全員がナルト一枚を捜索、見事発見した。ココにはノンビリユルい部分もタップリあるが、ピチッとケジメをつける部分もタップリある。ナルト一枚でも妥協しない。様々な意味で生活や人生がユルーく伸び切っちゃったボクら患者に、ピチッとした常識的立ち振る舞いを思い出させ復活させるのが、デイケアの大事な意味なのだ。
●昼休みの後、とうとうカラオケが始まる。
●座席やソファが、手際よく移動される。よくワカランけど、カラオケフォーメーションの椅子配置が決まってるっぽい。すると例の「行動療法室」からカラオケマシンが到着。立派な通信カラオケ DAM じゃないか。オマケに壁一面に白垂れ幕を下げ、100インチプロジェクターを設置、大画面カラオケがセッティングされた。ほえー。本格的だな。スタッフさんが鈴やタンバリンを配ってる。「どうぞ、盛り上がって下さいね」ワーマさんがボクに鈴を渡す。ホワイトボードには、歌う人の順番と曲番号が書かれてる。司会進行の女性が声をかける。「00さん、それではどうぞ!」
●で、一曲目が、60歳代後半タンクトップ男性の「小樽のひと」。ぬお〜、オールドスクールな演歌だぜ!ノリづらい〜。でも頑張って鈴を鳴らすが、冷静に周囲を見ると鳴りモン鳴らしてるのスタッフさんとボクだけじゃん。みんな無表情でダラリとチカラを抜き、大型モニターを眺めてるだけ。歌わない派のメンバーさんはハジッコのソファで昼寝してる。ニッカポッカさんは…あ、ベランダの喫煙所でタバコ吸ってる!
●「小樽のひと」だけで、すっかりエネルギーを吸い取られた。このオジさんは今後オタルさんと呼ぼう。タッキュウさんが後で教えてくれたが、この寡黙な演歌シンガーは、デイケアメンバーの卓球チャンピオンで、若い頃は神奈川県大会2位までいったそうだ。年齢のワリには筋肉質な肩腕をタンクトップで晒すのはそんな自信の現れか?
●ネクストバッターは、20歳代前半の大柄な青年だ。190センチ、90キロはあろうかという巨体を申し訳なさそうに猫背に折り曲げてたのが印象的。なのにカラオケマイクを握るとイキナリ背筋を伸ばして、ラルクアンシエルを力一杯のハードシャウトで歌い切った。ビビった。人前に出るのも苦手な人たちが、カラオケとなるとこれほどまで堂々とそして伸び伸びと自己表現ができるようになる。ナゼだろう? デイケアにカラオケを組み込むのは確かに意味があることだと、このラルク青年を見て納得した。
●貫禄オバちゃん(60歳代オーバー)のマージャンさんが大塚愛「CHERISH」に挑戦したり、タッキュウさんが田原俊彦「哀愁でいと」を甘く歌ったりと、見せ場はいくつか会ったが、個人的に一番盛り上がったのはモヒカンさんだった。なにしろ顔は内田裕也そっくりだからね、シェゲナベイベェー!くらい来ても不思議じゃない。そんな貫禄のオーラを漂わせながらマイクを握ると流れてきたのは「サザエさん」の主題歌。ズコッ!「ハダシでかけてく愉快なサザーエさん!」マジで歌ってる。愉快なのはアナタです…。しかもミクロなトリビア発見。この超有名曲、筒美京平の作曲だった…。
●皆さんにとっては馴れッコのノリなのかも知れないけど、ボクは先の読めない展開に段々くたびれてしまって、寒気と吐き気、アゴの痙攣が始まった。しかもシンガーの順番は淡々と二巡目に突入。無関心な人々は堂々と昼寝し、そうでない人も完全ノーリアクション。鈴鳴らすのももう限界。ラルク青年は二曲目もラルクで、モヒカンさんは「人生楽ありゃ苦ーもあるさー」をシンガソング。このペースで三巡目まで行くのか…、もう限界。
●ボクはちょっとでも暖かい場所を探して日光の差す窓際に移動し、意識を失うように寝てしまった。……「unimogrooveさん、カラオケ終わりましたよ」はっ、完全にオチてた、すいません、なんか具合悪くなっちゃって…。イケメンスタッフコソさん「具合悪くなったらすぐスタッフに言って下さい。そのために私たちがついてるんですから」そうか、そうだよな、ここ病院なんだもんな…。我慢するの今後は止めよう…。カラオケは対策を考えなくては…。皆さんの技術レベルは掴んだから、歌唱力に関するプレッシャーはなくなったけどね。どんなに下手でもツッコマれないし、どんなに上手くても拍手は起きない。でも、はああ、とにかく疲れた。
●次回は2日空けて金曜日の出撃。調理実習をやるらしい。ハズカシいけど全然料理できないし包丁だってマトモに扱えないよ、ボク。試練はまだまだ続くのであった。
●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html
2008.07.22
ノマド、上級生に将棋で勝つ。そして SNOOP ニュービートに舌鼓。
●祝日の午後。いつものようにカフェで読書でもしようとマンションを出たら…。

●マンションの向かいの家に住む、エイトくん&ハヤトくん(もちろんノマドの友達)がガレージの地面にチョークで落書きをしていた。普段はデッカいRV車があるガレージ、今日お父さんはお出かけかそのデカイクルマはなく、2人の兄弟が思うままにグラフィティをボムするに絶好なスペースとなっていた。
●弟のハヤトくんはノマドと同い年でクラスメート、アニキのエイトくんは2年生だが面倒見がイイ男の子だ。ボク自身も彼らにとってかなりの顔見知りになってる存在、気さくに声をかけてみた。「おーい、一体ナニしてんの?」エイト&ハヤト「あ、ノマドくんのパパだ!」「チョークでエをかいてるんだよ!」コレはナニ?「カービィにでてくるメタナイトだよ!」メ、メタ…? オジさんDSしないから「星のカービィ」は全然わかんないよ。「メタナイトはカービィのテキ!」そんでその隣にピンクのカービィも描き出した。
●ハヤトくん「カッカ〜(彼らは自分のお母さんのコトをママと呼ばずカッカと呼ぶ)、ノマドくんのパパがきたよ〜」いやいや、別にイイよ、みんなの描いてる絵が見たかっただけだから。しかし即座に二階のベランダからカッカが登場。「あらーどうしたんです?お出掛け帰り?」いや、今カフェに行こうと出てきたら、二人がオモシロそうなコトしてるから、つい声かけちゃって…。
●カッカ「あ、そうだ、ノマドくんパパ、将棋出来る?今エイトが夢中なのよ」将棋ならノマドも大好きでよくやってますよ。「ちょうど良かった、もしよかったらエイトの相手してやってくれない?アタシじゃ全然ワカンナいのよ」確かにウチのワイフもノマドにはもう歯が立たないッスね。「こういうのはやっぱりオトコの人よ、ね、上がって上がって」……イキナリお向かいに上がり込んで将棋勝負となってしまった。
●エイトくんは、ニンテンドーDSで将棋を覚えたらしい。同じノリでマージャンまで出来るという。そっかー、DSってスゴいね。でもゲームし過ぎるとオジさんみたいに目が悪くなっちゃうよ。オジさんは子供の頃スゴく目が良かったのに(両目2.0)ゲームし過ぎてメガネになっちゃったんだよ。メガネ取ったら、どっちがエイトくんかハヤトくんか、分かんない位だよ(現在 0.1以下&0.3、ガチャ目気味)。
●DSと家族以外に将棋するのは初めてらしいが、全然怖じ気つくコトなく堂々と仕掛けるエイトくん。防御線をじっくり構築するボクのペースとは正反対の、電光石火攻撃に一瞬ひるむ。おお、エイトくん手が早いね。特に桂馬の飛ばし方が器用だ。そんじゃオジさんもお城作りは途中で止めて攻撃するよ…。「オジさんのカクをトジコメた!もうコレはしんじゃったね!」そうかな?エイトくん、オジさんの角行を取るヒマは与えないよ、ここから連続王手を8回続けてバシッ!「コレって、まけちゃった?」そう、アタマ金で逃げ道なし。「さいきんトウさんとゼンゼンやってないから、よわくなっちゃったんだ!」悔しそうなエイトくんにフォロー。「イヤイヤ、オジさんオモシロかったよ。桂馬の連打攻撃にはオジさんビックリした。角飛車の突入もエイトくんの方が早かったじゃん」
●「エイトくん、一回ノマドとやってみな?ノマドも将棋大好きなんだ。今電話してみるから」そしたら偶然にもちょうどエイト&ハヤト家の前を、ワイフとノマドヒヨコが外出から戻って歩いてたトコロだった。ノマド、ちょっとお邪魔して、エイトくんと対決してみろよ!
●エイトくんもノマドも子供同士の対戦は初めて。1年生のノマドに対してエイトくんは一年上の2年生。さて、ノマド、どう戦う?
●序盤から桂馬を最戦線に送り込むエイトくんのスタイルに、ボクは一瞬ひるんだが、ノマドは鮮やかにその桂馬を角行で打ち抜いて敵領域に突入、防御の処理をミスったエイトくんのスキを見逃さずに「はい、王とった!」え!もう決着?!おおお速い!2分もかかってないぜ。エイトくんもボクもあまりの早業に爆笑してしまった。
●エイトくん今はちょっと油断したんだよな、もう一回最初からしよう。今度は慎重にコトを進めるエイトくん。しかし勝負が長くなると、このコドモたちの性格の違いがジワジワハッキリしてきて、もうオモシロくてしょうがない。「ほうほう、エイトくんそう来たか、ん、ノマドはそれで返すのね」楽しく観戦。
●DS相手に将棋を差してるエイトくんは速いテンポで駒を動かす。そして相手がジックリ考えるのを待たない。「早くしてよーまだ考えてるのーコレ動かせばイイじゃーん」エイトくんは言葉を並べてノマドを急かす。最初は作戦上の心理的プレッシャーかと思ったが、エイトくんは相手がジックリ考えている時間がホントに待てないようなのだ。そりゃそうだ、DSは長考なんてしないからね。
●この盤外戦はノマドには負担になるはず(エイトくんは年長者だし)。でもヤツは一言もしゃべらない。あまりに寡黙でホントこいつ考えてるのか?とボクすらが思うほどだったが、盤上から目をそらさずパチリパチリと確実に手を進める。その時思った………ノマドにも、ボク自身を病気ならしめたほどの異常な集中力が遺伝してしまっているらしい………今のコイツにはノイズが全然聴こえないんだ………ああコイツも将来ヘンなコトで苦労するんだろうな…。
●形勢が不利になってきた瞬間で、エイトくんの集中力は断ち切れてしまって、DSの他のゲームをしながらの将棋になってしまった。そうなってしまったらもうダメ、ノマドはエイトくんの飛車角を絞め殺して、王将を見事封殺した。かなり悔しそうなエイトくん。「イヤイヤ、二人ともよく頑張ったね、オジさん見ててスゴくオモシロかったよ」そうは言いつつも年上の子に2連勝を果たした我が子に「でかしたでかした!」とうれしくなってしまうボクなのであった。
●ここでボクはお暇するんだけど、ノマドヒヨコには禁じている DS や WII があるエイト&ハヤトハウスは、ノマドの好奇心を猛烈にかき立てる空間らしく、DSを器用に操作するエイトくんを憧れの目線で見つめるのであった。そんなノマドを見て、将棋には負けたけどオレはDSはウマいんだぜと、プライドをキープするエイトくん。コドモ社会はこんな風にうまく機能している。
●さて唐突ですが、コレ一応音楽ブログのつもりなんで、今日はじっくり語ります。なんか音楽のハナシするの久しぶりな感じだけどね。
●お題は、ウエッサイの犬将軍 SNOOP DOGG。スヌーピィー、ディーオー、ダブルジーッ!
●先日は彼のキャリア前半を網羅してみたんだけど、後半戦が難しい。2002年以降の犬将軍の音楽にひるんでます。
●うーん。スゴく好きで散々聴いて来たのに、文字にしようとしたらスゲエ情報量の多い音楽で、どこを掬いとってイイかワケ分からん。G-FUNK とかウェッサイとかのカテゴリーに収まってる方が、わかったつもりになれるんだけど、そんなレベルを超えてる犬将軍のこの時代の音楽は、見事な多面体で見る角度で全然違うカタチに映る。……だから、聴き込むのにスゲエ時間かかりました。
●犬将軍 SNOOP DOGG のキャリア前半についてはコチラの記事でオサライしてね。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080626.html
●ともかく、犬将軍 SNOOP DOGG のキャリア後半戦を今日は取り上げまーす。
●既にレーベルのチカラを借りずとも自ら築き上げた人脈で納得のいくプロダクションが得られるようになった SNOOP 犬。そのボス犬がまた動いた!よりでかいステージへ!今日はそんなオハナシ。
●前回は DEATH LAW でのデビュー、そして NO LIMIT への電撃移籍とそこでのオノレ道の歩きっぷりに触れました。で、NO LIMIT 離脱。その行き先はメジャーとの契約…。
●で、なぜかノリノリです。

●このクネクネしたダンスは……? …なんでこんなにゴキゲンなの? これはコレから取り上げる盤の内ジャケ写真。リアルタイムでこれみた瞬間、ちょっと笑いました。クールで物腰は柔らかだけど、冷酷なギャングスタだったんだよ、この人の今までのパブリックイメージ。なのに、この楽しげに腰を揺するボス犬の陽気なカオといったら…(笑)。ボス犬、別次元突入。
●この犬将軍の変貌のキーマンは、間違いなくあの連中、THE NEPTUNES ですよ。
●SNOOP DOGG「PAID THE COST TO BE DA BO$$」2002年
●コレまでになく渋く決めた犬ヅラどアップ。苦みばしった顔のシワにボスの風格満点。タイトルも「ボスであるために払う代償」。音もどんだけ渋くなんだよ?と思ったら…、例の内ジャケだよ。気分がスゴく変わったし、音楽もスゴく変わった。
●自分のレーベル DOGGYSTYLE と メジャー PRIORITY/CAPITOL との契約でリリースされることになったこのアルバムで、ボス犬はヴァージニア出身の2人組新進トラックメイカーに出会った。一人は日本の BAPE とか集めるようなオタクのヒョロイ小僧で、もう一人はチャイニーズだ。そいつらの名前は THE NEPTUNES。しかし、コイツらとの共同作業はたったの二曲だったのにも関わらず、ボス犬はこの若造たちの作り出す奇妙な質感のビートに、ビビビッと感電した(に違いない)。コレ以降のボスは貪婪に新しいビート、新しいトラックに挑戦していくことになる。
●THE NEPTUNES の制作曲でヒットシングルになった「BEAUTIFUL」。コレにはボクもビビった。裏方としてはその実力を認められてたTHE NEPTUNESが、フィーチャリングパフォーマーとして表舞台に登場して来たのだから。厳密には N*E*R*D の活動もあるんだけど、とにかくココでビビったのは、THE NEPTUNES の片割れ PHARRELL WILLIAMS がボス犬に寄り添うように、キショク悪い寸前のウラ声ファルセットでか細く鳴く有様だった。「なー、THE NEPTUNES って歌うとこんな声なの?!」衝撃。もちろんトラックは例の乾燥した金属質ビート、しかしセクシーさを失わないラテン的リズム配置でスゴくダンサブル。こりゃボス犬も踊るわ。
●もう一曲の「FROM THA CHUUUCH TO DA PALACE」は、異常にパーカッシブなハンドクラッピン&ファンク打撃と気が狂うほど執拗に繰り返されるシンセリフで、ボスも遭遇したことのナイ鋼鉄ビートをお見舞いする。もうこの THE NEPTUNES製楽曲でアルバムの印象は決定づけられて他の曲が冷静に聴けない…。
●同時期からメキメキ頭角を現してきたトラックメイカーJUST BLAZE も負けていられない。彼のアニキ筋 JAY-Z やボス犬一派 NATE DOGG、SOOPAFLY も客演、フルートの生吹きと女性コーラスが賑やかな、重心の軽いダンスチューン。
●N.Y.を代表するループの求道者 DJ PREMIER も二曲参加。「THE ONE AND ONLY」はマジでワンループで押し通しつつ、過去の名曲の断片を神業スクラッチで擦り込む。もう一曲は「BATMAN & ROBIN」ホントにバットマンのテーマをサンプルして、ムサいファンクにしてる。
●TALIB KWELI とのデュオ BLACK STAR で知られたラッパー兼トラックメイカー HI-TEK も二曲提供。男汁ファンクをサンプルした「I MISS THAT BITCH」が実にいい仕事。もう一曲もメロウな女性フィーチャー曲でよし!
●往年のコーラスグループ THE DRAMATICS を全員連れてきて客演させてる「BALLIN'」も見事なメロウ曲、「PAPER'D UP」はこの頃流行ってた魅惑のオリエンタル(中近東)タッチフレーズを搭載したヨコ乗り佳曲。
●舎弟制作/客演のブットいファンクチューンも忘れずに。KOKANE (A.K.A. MR.KANE) がやはりイイ味フロウ。GOLDIE LOC、WARREN G、CHALIE WILSON、JELLY ROLL、BATTLECAT、L.T.HUTTON、MEECH WELLS などイツモのメンツもいるよ。
●THE NEPTUNES との仕事にシビレた犬将軍、STAR TRAK と契約。
●「R&G RHYTHM & GANGSTA : THE MASTERPIECE」2004年
●よっぱど THE NEPTUNES に惚れ込んだのか、DOGGYSTYLE は THE NEPTUNES のレーベル STAR TRAK と契約、ココを経由して GEFFIN とも契約する。このアルバムでは THE NEPTUNES は5曲制作。コレが一個一個またスゴい。
●ネプ曲その1、「DROP IT LIKE IT'S HOT」には卒倒しそうになるほどの衝撃を受けた。トラックは基本硬質なバスドラのみ。そこへハイハットの代わりに「ポコっ。ポコっ。」と誰かが舌を鳴らしてるだけ。なんちゅートラックじゃー!ここに SNOOP の粘着質フロウと PHARRELL の変態的コーラスが加わると驚異的なほどにキャッチー(というか単純すぎて耳から離れない)な楽曲に仕上がるのだ。スゲエ。マジすげえ。
●この曲の前後を固めるのが強力ファンクナンバー。特に次に始まるドコドコの超重低音連打&ファンクベース大行進の曲はなんと P-FUNK本隊から BOOTSY COLLINS を召喚。軽さと重さを余裕で捌く犬の聡明さが黒光り。そしてインタールードを挟んで THE BEE GEES までが参集。コッチはR&Bスヌープ。
●ネプ曲その2、「LET'S GET BLOWN」は、甘い風の香るスマートかつスムースなメロウファンク。またしても PHARRELL の、そして KEYSHIA COLE のコーラスが涼しいわ。
●と思ったら続けて出現するのはアトランタからやって来た LIL JON 開発の完全クランクミュージック、ヤツの絶叫系ラップが不穏なトラックを火焔地獄に変える。ビッチの中のビッチ、TRINA も参加。
●そして間を置かずネプ曲その3がスタート。「PREFECT」は前のアルバム収録の「BEAUTIFUL」の続編と呼ばれる曲。「BEAUTIFUL」風のネプ型ラテン的ビートに、SNOOP 一派ではお馴染みの CHARLIE WILSON おじさんの喉が朗々と響く。あれだけ過激に聴こえた「BEAUTIFUL」の手法がもはや普通にポップに聴こえてしまうのは、ヒップホップの進化が早すぎるのか、THE NEPTUNES のスキルが成熟しているからか。
●再びインタールードを挟んで、続くのが「FRESH PAIR OF PANTIES ON」な〜んかエッチな雰囲気のR&B(だってホヤホヤのパンティ2枚のウタだよ)、その次も、OHIO PLAYERS をサンプルしたR&Bなナンバーが続く。フィーチャーボーカリストの歌唱を身にまとうボス犬 SNOOP はドンドンR&Bに接近する。だってアルバムタイトルが「R&G(RHYTHM & GANGSTA)」だもん。
●で、今度は「R&G」のG側面が見えてくる。東の新興G、50 CENT との共演「OH,NO」だ。トラックメイカーは G-UNIT 一派を支える RON BLOWZ。西のボスG、東のGに胸を貸す。
●ネプ曲その4、「SIGN」はなんと JUSTIN TIMBERLAKE を召喚。ネプのアイディアにボス犬が乗ったとか。ネプ型硬質高速ディスコファンクを軽快にライドする SNOOP犬と JUSTIN、そして CHARLIE オジさん。セクシーなシンセがダンスフロアをキラキラにする。
●一曲空けてネプ曲その5が出現。「PASS IT PASS IT」はネプの変態面が吹き出たタイプの曲。相変わらず固いリズムに、シンセベースが奇妙なねじれ方で呻く、PHARRELL もウラ声で呻く。でもどんなトラックでも動じないスムースなボスのラップ。
●そして水が滴るほどのか甘口メロウ「GIRL LIKE YOU」(舎弟 L.T. HUTTON 制作&コーラス)で NELLY が登場。どんなトラックでもブレないボスのラップだが、どんな客演を招いても個性負けしないのもボスのラップだ。あの独特のフロウは誰ともカブらないからだ。セクシーな NELLY のラップとトロケるフロウを競う。
●トドメの最後曲では「NO THANG ON ME」では、とうとうボス犬、自分で歌っちゃってる。PHARRELL のようなウラ声ファルセットが甘い。ツアーバンド THE SPOOPADELICS を背負って、見事なR&B歌唱を聴かせます。制作には HI-TEK。このアルバム内容濃いよ〜。濃過ぎるよ〜。
●原点回帰。やっぱオレはギャングスタだぜ。
●SNOOP DOGG「THA BLUE CARPET TREATMENT」2006年
●ここからクレジットから STAR TRAK のマークが取れて、GEFFIN との直契約になりました。THE NEPTUNES との共同作業は2曲。ちょっと飽きたんかな、ネプに。
●なにやらハナシによるとボス犬、自分の息子に「パパの音楽より、CASSIDY(SWIZZ BEATZ 筋の若手ラッパー。過失致死で服役とか交通事故で大ケガなどおイタが目立つチンピラくん)のCDのほうがカッコいい」と言われちゃったらしい。え〜!オレこそが元祖の「G」なんよ!それがなんでポッと出のチンピラに負けないといけないのよ!とボス犬いたく傷ついた、かどうかはボクの妄想だけどワリとリアルだと思う。
●そこでボス犬は自らのルーツに回帰。かつて所属したギャング THE CLIPS のカラー・

●マンションの向かいの家に住む、エイトくん&ハヤトくん(もちろんノマドの友達)がガレージの地面にチョークで落書きをしていた。普段はデッカいRV車があるガレージ、今日お父さんはお出かけかそのデカイクルマはなく、2人の兄弟が思うままにグラフィティをボムするに絶好なスペースとなっていた。
●弟のハヤトくんはノマドと同い年でクラスメート、アニキのエイトくんは2年生だが面倒見がイイ男の子だ。ボク自身も彼らにとってかなりの顔見知りになってる存在、気さくに声をかけてみた。「おーい、一体ナニしてんの?」エイト&ハヤト「あ、ノマドくんのパパだ!」「チョークでエをかいてるんだよ!」コレはナニ?「カービィにでてくるメタナイトだよ!」メ、メタ…? オジさんDSしないから「星のカービィ」は全然わかんないよ。「メタナイトはカービィのテキ!」そんでその隣にピンクのカービィも描き出した。
●ハヤトくん「カッカ〜(彼らは自分のお母さんのコトをママと呼ばずカッカと呼ぶ)、ノマドくんのパパがきたよ〜」いやいや、別にイイよ、みんなの描いてる絵が見たかっただけだから。しかし即座に二階のベランダからカッカが登場。「あらーどうしたんです?お出掛け帰り?」いや、今カフェに行こうと出てきたら、二人がオモシロそうなコトしてるから、つい声かけちゃって…。
●カッカ「あ、そうだ、ノマドくんパパ、将棋出来る?今エイトが夢中なのよ」将棋ならノマドも大好きでよくやってますよ。「ちょうど良かった、もしよかったらエイトの相手してやってくれない?アタシじゃ全然ワカンナいのよ」確かにウチのワイフもノマドにはもう歯が立たないッスね。「こういうのはやっぱりオトコの人よ、ね、上がって上がって」……イキナリお向かいに上がり込んで将棋勝負となってしまった。
●エイトくんは、ニンテンドーDSで将棋を覚えたらしい。同じノリでマージャンまで出来るという。そっかー、DSってスゴいね。でもゲームし過ぎるとオジさんみたいに目が悪くなっちゃうよ。オジさんは子供の頃スゴく目が良かったのに(両目2.0)ゲームし過ぎてメガネになっちゃったんだよ。メガネ取ったら、どっちがエイトくんかハヤトくんか、分かんない位だよ(現在 0.1以下&0.3、ガチャ目気味)。
●DSと家族以外に将棋するのは初めてらしいが、全然怖じ気つくコトなく堂々と仕掛けるエイトくん。防御線をじっくり構築するボクのペースとは正反対の、電光石火攻撃に一瞬ひるむ。おお、エイトくん手が早いね。特に桂馬の飛ばし方が器用だ。そんじゃオジさんもお城作りは途中で止めて攻撃するよ…。「オジさんのカクをトジコメた!もうコレはしんじゃったね!」そうかな?エイトくん、オジさんの角行を取るヒマは与えないよ、ここから連続王手を8回続けてバシッ!「コレって、まけちゃった?」そう、アタマ金で逃げ道なし。「さいきんトウさんとゼンゼンやってないから、よわくなっちゃったんだ!」悔しそうなエイトくんにフォロー。「イヤイヤ、オジさんオモシロかったよ。桂馬の連打攻撃にはオジさんビックリした。角飛車の突入もエイトくんの方が早かったじゃん」
●「エイトくん、一回ノマドとやってみな?ノマドも将棋大好きなんだ。今電話してみるから」そしたら偶然にもちょうどエイト&ハヤト家の前を、ワイフとノマドヒヨコが外出から戻って歩いてたトコロだった。ノマド、ちょっとお邪魔して、エイトくんと対決してみろよ!
●エイトくんもノマドも子供同士の対戦は初めて。1年生のノマドに対してエイトくんは一年上の2年生。さて、ノマド、どう戦う?
●序盤から桂馬を最戦線に送り込むエイトくんのスタイルに、ボクは一瞬ひるんだが、ノマドは鮮やかにその桂馬を角行で打ち抜いて敵領域に突入、防御の処理をミスったエイトくんのスキを見逃さずに「はい、王とった!」え!もう決着?!おおお速い!2分もかかってないぜ。エイトくんもボクもあまりの早業に爆笑してしまった。
●エイトくん今はちょっと油断したんだよな、もう一回最初からしよう。今度は慎重にコトを進めるエイトくん。しかし勝負が長くなると、このコドモたちの性格の違いがジワジワハッキリしてきて、もうオモシロくてしょうがない。「ほうほう、エイトくんそう来たか、ん、ノマドはそれで返すのね」楽しく観戦。
●DS相手に将棋を差してるエイトくんは速いテンポで駒を動かす。そして相手がジックリ考えるのを待たない。「早くしてよーまだ考えてるのーコレ動かせばイイじゃーん」エイトくんは言葉を並べてノマドを急かす。最初は作戦上の心理的プレッシャーかと思ったが、エイトくんは相手がジックリ考えている時間がホントに待てないようなのだ。そりゃそうだ、DSは長考なんてしないからね。
●この盤外戦はノマドには負担になるはず(エイトくんは年長者だし)。でもヤツは一言もしゃべらない。あまりに寡黙でホントこいつ考えてるのか?とボクすらが思うほどだったが、盤上から目をそらさずパチリパチリと確実に手を進める。その時思った………ノマドにも、ボク自身を病気ならしめたほどの異常な集中力が遺伝してしまっているらしい………今のコイツにはノイズが全然聴こえないんだ………ああコイツも将来ヘンなコトで苦労するんだろうな…。
●形勢が不利になってきた瞬間で、エイトくんの集中力は断ち切れてしまって、DSの他のゲームをしながらの将棋になってしまった。そうなってしまったらもうダメ、ノマドはエイトくんの飛車角を絞め殺して、王将を見事封殺した。かなり悔しそうなエイトくん。「イヤイヤ、二人ともよく頑張ったね、オジさん見ててスゴくオモシロかったよ」そうは言いつつも年上の子に2連勝を果たした我が子に「でかしたでかした!」とうれしくなってしまうボクなのであった。
●ここでボクはお暇するんだけど、ノマドヒヨコには禁じている DS や WII があるエイト&ハヤトハウスは、ノマドの好奇心を猛烈にかき立てる空間らしく、DSを器用に操作するエイトくんを憧れの目線で見つめるのであった。そんなノマドを見て、将棋には負けたけどオレはDSはウマいんだぜと、プライドをキープするエイトくん。コドモ社会はこんな風にうまく機能している。
●さて唐突ですが、コレ一応音楽ブログのつもりなんで、今日はじっくり語ります。なんか音楽のハナシするの久しぶりな感じだけどね。
●お題は、ウエッサイの犬将軍 SNOOP DOGG。スヌーピィー、ディーオー、ダブルジーッ!
●先日は彼のキャリア前半を網羅してみたんだけど、後半戦が難しい。2002年以降の犬将軍の音楽にひるんでます。
●うーん。スゴく好きで散々聴いて来たのに、文字にしようとしたらスゲエ情報量の多い音楽で、どこを掬いとってイイかワケ分からん。G-FUNK とかウェッサイとかのカテゴリーに収まってる方が、わかったつもりになれるんだけど、そんなレベルを超えてる犬将軍のこの時代の音楽は、見事な多面体で見る角度で全然違うカタチに映る。……だから、聴き込むのにスゲエ時間かかりました。
●犬将軍 SNOOP DOGG のキャリア前半についてはコチラの記事でオサライしてね。
http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080626.html
●ともかく、犬将軍 SNOOP DOGG のキャリア後半戦を今日は取り上げまーす。
●既にレーベルのチカラを借りずとも自ら築き上げた人脈で納得のいくプロダクションが得られるようになった SNOOP 犬。そのボス犬がまた動いた!よりでかいステージへ!今日はそんなオハナシ。
●前回は DEATH LAW でのデビュー、そして NO LIMIT への電撃移籍とそこでのオノレ道の歩きっぷりに触れました。で、NO LIMIT 離脱。その行き先はメジャーとの契約…。
●で、なぜかノリノリです。

●このクネクネしたダンスは……? …なんでこんなにゴキゲンなの? これはコレから取り上げる盤の内ジャケ写真。リアルタイムでこれみた瞬間、ちょっと笑いました。クールで物腰は柔らかだけど、冷酷なギャングスタだったんだよ、この人の今までのパブリックイメージ。なのに、この楽しげに腰を揺するボス犬の陽気なカオといったら…(笑)。ボス犬、別次元突入。
●この犬将軍の変貌のキーマンは、間違いなくあの連中、THE NEPTUNES ですよ。
![]() | Paid Tha Cost to Be Da Boss (2002/11/26) Snoop Dogg 商品詳細を見る |
●SNOOP DOGG「PAID THE COST TO BE DA BO$$」2002年
●コレまでになく渋く決めた犬ヅラどアップ。苦みばしった顔のシワにボスの風格満点。タイトルも「ボスであるために払う代償」。音もどんだけ渋くなんだよ?と思ったら…、例の内ジャケだよ。気分がスゴく変わったし、音楽もスゴく変わった。
●自分のレーベル DOGGYSTYLE と メジャー PRIORITY/CAPITOL との契約でリリースされることになったこのアルバムで、ボス犬はヴァージニア出身の2人組新進トラックメイカーに出会った。一人は日本の BAPE とか集めるようなオタクのヒョロイ小僧で、もう一人はチャイニーズだ。そいつらの名前は THE NEPTUNES。しかし、コイツらとの共同作業はたったの二曲だったのにも関わらず、ボス犬はこの若造たちの作り出す奇妙な質感のビートに、ビビビッと感電した(に違いない)。コレ以降のボスは貪婪に新しいビート、新しいトラックに挑戦していくことになる。
●THE NEPTUNES の制作曲でヒットシングルになった「BEAUTIFUL」。コレにはボクもビビった。裏方としてはその実力を認められてたTHE NEPTUNESが、フィーチャリングパフォーマーとして表舞台に登場して来たのだから。厳密には N*E*R*D の活動もあるんだけど、とにかくココでビビったのは、THE NEPTUNES の片割れ PHARRELL WILLIAMS がボス犬に寄り添うように、キショク悪い寸前のウラ声ファルセットでか細く鳴く有様だった。「なー、THE NEPTUNES って歌うとこんな声なの?!」衝撃。もちろんトラックは例の乾燥した金属質ビート、しかしセクシーさを失わないラテン的リズム配置でスゴくダンサブル。こりゃボス犬も踊るわ。
●もう一曲の「FROM THA CHUUUCH TO DA PALACE」は、異常にパーカッシブなハンドクラッピン&ファンク打撃と気が狂うほど執拗に繰り返されるシンセリフで、ボスも遭遇したことのナイ鋼鉄ビートをお見舞いする。もうこの THE NEPTUNES製楽曲でアルバムの印象は決定づけられて他の曲が冷静に聴けない…。
●同時期からメキメキ頭角を現してきたトラックメイカーJUST BLAZE も負けていられない。彼のアニキ筋 JAY-Z やボス犬一派 NATE DOGG、SOOPAFLY も客演、フルートの生吹きと女性コーラスが賑やかな、重心の軽いダンスチューン。
●N.Y.を代表するループの求道者 DJ PREMIER も二曲参加。「THE ONE AND ONLY」はマジでワンループで押し通しつつ、過去の名曲の断片を神業スクラッチで擦り込む。もう一曲は「BATMAN & ROBIN」ホントにバットマンのテーマをサンプルして、ムサいファンクにしてる。
●TALIB KWELI とのデュオ BLACK STAR で知られたラッパー兼トラックメイカー HI-TEK も二曲提供。男汁ファンクをサンプルした「I MISS THAT BITCH」が実にいい仕事。もう一曲もメロウな女性フィーチャー曲でよし!
●往年のコーラスグループ THE DRAMATICS を全員連れてきて客演させてる「BALLIN'」も見事なメロウ曲、「PAPER'D UP」はこの頃流行ってた魅惑のオリエンタル(中近東)タッチフレーズを搭載したヨコ乗り佳曲。
●舎弟制作/客演のブットいファンクチューンも忘れずに。KOKANE (A.K.A. MR.KANE) がやはりイイ味フロウ。GOLDIE LOC、WARREN G、CHALIE WILSON、JELLY ROLL、BATTLECAT、L.T.HUTTON、MEECH WELLS などイツモのメンツもいるよ。
●THE NEPTUNES との仕事にシビレた犬将軍、STAR TRAK と契約。
![]() | R&G (Rhythm & Gangsta): The Masterpiece (2004/11/16) Snoop Dogg 商品詳細を見る |
●「R&G RHYTHM & GANGSTA : THE MASTERPIECE」2004年
●よっぱど THE NEPTUNES に惚れ込んだのか、DOGGYSTYLE は THE NEPTUNES のレーベル STAR TRAK と契約、ココを経由して GEFFIN とも契約する。このアルバムでは THE NEPTUNES は5曲制作。コレが一個一個またスゴい。
●ネプ曲その1、「DROP IT LIKE IT'S HOT」には卒倒しそうになるほどの衝撃を受けた。トラックは基本硬質なバスドラのみ。そこへハイハットの代わりに「ポコっ。ポコっ。」と誰かが舌を鳴らしてるだけ。なんちゅートラックじゃー!ここに SNOOP の粘着質フロウと PHARRELL の変態的コーラスが加わると驚異的なほどにキャッチー(というか単純すぎて耳から離れない)な楽曲に仕上がるのだ。スゲエ。マジすげえ。
●この曲の前後を固めるのが強力ファンクナンバー。特に次に始まるドコドコの超重低音連打&ファンクベース大行進の曲はなんと P-FUNK本隊から BOOTSY COLLINS を召喚。軽さと重さを余裕で捌く犬の聡明さが黒光り。そしてインタールードを挟んで THE BEE GEES までが参集。コッチはR&Bスヌープ。
●ネプ曲その2、「LET'S GET BLOWN」は、甘い風の香るスマートかつスムースなメロウファンク。またしても PHARRELL の、そして KEYSHIA COLE のコーラスが涼しいわ。
●と思ったら続けて出現するのはアトランタからやって来た LIL JON 開発の完全クランクミュージック、ヤツの絶叫系ラップが不穏なトラックを火焔地獄に変える。ビッチの中のビッチ、TRINA も参加。
●そして間を置かずネプ曲その3がスタート。「PREFECT」は前のアルバム収録の「BEAUTIFUL」の続編と呼ばれる曲。「BEAUTIFUL」風のネプ型ラテン的ビートに、SNOOP 一派ではお馴染みの CHARLIE WILSON おじさんの喉が朗々と響く。あれだけ過激に聴こえた「BEAUTIFUL」の手法がもはや普通にポップに聴こえてしまうのは、ヒップホップの進化が早すぎるのか、THE NEPTUNES のスキルが成熟しているからか。
●再びインタールードを挟んで、続くのが「FRESH PAIR OF PANTIES ON」な〜んかエッチな雰囲気のR&B(だってホヤホヤのパンティ2枚のウタだよ)、その次も、OHIO PLAYERS をサンプルしたR&Bなナンバーが続く。フィーチャーボーカリストの歌唱を身にまとうボス犬 SNOOP はドンドンR&Bに接近する。だってアルバムタイトルが「R&G(RHYTHM & GANGSTA)」だもん。
●で、今度は「R&G」のG側面が見えてくる。東の新興G、50 CENT との共演「OH,NO」だ。トラックメイカーは G-UNIT 一派を支える RON BLOWZ。西のボスG、東のGに胸を貸す。
●ネプ曲その4、「SIGN」はなんと JUSTIN TIMBERLAKE を召喚。ネプのアイディアにボス犬が乗ったとか。ネプ型硬質高速ディスコファンクを軽快にライドする SNOOP犬と JUSTIN、そして CHARLIE オジさん。セクシーなシンセがダンスフロアをキラキラにする。
●一曲空けてネプ曲その5が出現。「PASS IT PASS IT」はネプの変態面が吹き出たタイプの曲。相変わらず固いリズムに、シンセベースが奇妙なねじれ方で呻く、PHARRELL もウラ声で呻く。でもどんなトラックでも動じないスムースなボスのラップ。
●そして水が滴るほどのか甘口メロウ「GIRL LIKE YOU」(舎弟 L.T. HUTTON 制作&コーラス)で NELLY が登場。どんなトラックでもブレないボスのラップだが、どんな客演を招いても個性負けしないのもボスのラップだ。あの独特のフロウは誰ともカブらないからだ。セクシーな NELLY のラップとトロケるフロウを競う。
●トドメの最後曲では「NO THANG ON ME」では、とうとうボス犬、自分で歌っちゃってる。PHARRELL のようなウラ声ファルセットが甘い。ツアーバンド THE SPOOPADELICS を背負って、見事なR&B歌唱を聴かせます。制作には HI-TEK。このアルバム内容濃いよ〜。濃過ぎるよ〜。
●原点回帰。やっぱオレはギャングスタだぜ。
![]() | Tha Blue Carpet Treatment (2006/11/21) Snoop Dogg 商品詳細を見る |
●SNOOP DOGG「THA BLUE CARPET TREATMENT」2006年
●ここからクレジットから STAR TRAK のマークが取れて、GEFFIN との直契約になりました。THE NEPTUNES との共同作業は2曲。ちょっと飽きたんかな、ネプに。
●なにやらハナシによるとボス犬、自分の息子に「パパの音楽より、CASSIDY(SWIZZ BEATZ 筋の若手ラッパー。過失致死で服役とか交通事故で大ケガなどおイタが目立つチンピラくん)のCDのほうがカッコいい」と言われちゃったらしい。え〜!オレこそが元祖の「G」なんよ!それがなんでポッと出のチンピラに負けないといけないのよ!とボス犬いたく傷ついた、かどうかはボクの妄想だけどワリとリアルだと思う。
●そこでボス犬は自らのルーツに回帰。かつて所属したギャング THE CLIPS のカラー・







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