カブトエビが死んでしまったら、カブトムシがやってきた。
●昨日紹介したカブトエビは8月に入る前に死んでしまいました。そしたらワイフのお父さんが、ノマドヒヨコに、オスとメス、一対のカブトムシをプレゼントしてくれたのです。
●なんか中途半端に終ってしまったカブトエビの観察日記。ということで、このカブトムシくんを続編として観察していくこととしました。

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●今回はヒヨコもマネっこで、レポート作り。完成しなかったけど。

●ほんで、今日はノマドの「ぼくのカブトムシ」を紹介します。観察日記にはならず、細かい観察メモ1ページだけの内容ですけど。

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「ぼくのカブトムシ
 おおきさ:たて7せんち よこ3せんち つの3せんち
 つのが みぎにまがってて、みぎのまえあしがなくて 口のまわりのけが べろのかわりをしてます。ほとんどはこげちゃいろだけど くびはちゃいろです。ふとももにけがはえています。かぶとむしはからだが3つにわかれています。」


●ノマドのオスカブトムシは、奇形で角がネジ曲がり、生まれつき前足が一本足らないのであった。お店で購入したジジはそこまではチェックしなかったよう…。可哀想に、カラダが弱く動きも鈍い。ムシキングのような覇気は微塵もない。
●一方ヒヨコのメスカブトムシは、生命力旺盛なパワフルギャル。こんにゃくゼリーみたいな「こんちゅうゼリー」をエサとして与えたら、必死に食らいついて、半日で食い切っちゃう。普通ゼリーを一日を2つ3つも食うか?「カブちゃんゴハンたべすぎだよー。おデブになっちゃうよー」ぽっこりオナカのヒヨコが心配するほど良く食う。しかもエサを与えないと、狭い虫カゴの中でブンブン羽音を立てて抗議するという迫力。ワイフは夜中にブンブンと響く羽音に怯えるようになるほど。


カブちゃんとのお別れ。
●しかし、ノマドヒヨコのハワイ旅行中に、面倒をみることができないというコトで、このカブちゃんたちは、カゴから出して放してやる事にしたのです。カブちゃんとお別れの時。

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●生命力に格差があり過ぎたオスメスのカブトムシ、今までは別々の虫カゴで育てていたので、2匹のご対面はこれが初めて。ヒヨコは感激!「カブちゃんたちのケッコンシキだね!カブちゃんキス!カブおうじとカブひめ!タマゴいっぱいうまれるといいな~!」

●しかし、部屋の中に入って昼ゴハンを食べた後、再び庭に出てみると、カブひめの姿はもうありませんでした。さすがパワフルな行動派。早くも高い空へ去っていった。ヒヨコ「カブひめ、いっちゃった…。」エサを庭に置いておけばまたカブひめ戻ってくるかもよ。「そうだよね!こんちゅうゼリーいっぱいおいておこう!」でも、そんなんで戻って来るはずがないよね…。ヒヨコが一生懸命お世話したから、カブひめはどっかで元気にイッパイのタマゴを産むよ。ヒヨコ、窓から空を見上げて「カミサマ、カブひめをよろしくおねがいします…」

●一方ノマドのカブおうじは、虚弱にもいつまでも移動出来ず、枝にへばりついて動かない。放置して1日経ったら姿が見えなくなったので、ノマドがあたりを探したら、カブおうじ地面にポテリ。しかもソコをノマド間違えて踏んづけちゃった。「カブおうじさがしてたら、ガリッておとがして、カブちゃんふんじゃったんだよ!」ノマド、それでカブちゃん死んじゃったの!?「まだいきてる。またエダにのせといた」つーかカブトムシだから死なずに済んだけど、フツウのムシなら踏んだらペチャンコだよ、気をつけてくれよ…。


●そして、今日。カブおうじも姿を消した。あんなボロボロのカラダで(既にダニが全身に群がっていて羽根の内側を食い荒らしているようだった)、一体ドコに行ったんだろう。ノマドには、最後には元気に飛んでいったと伝えておこう。


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●ワイフとノマドヒヨコは、ワイフの妹サッちゃんのハワイ挙式の為に旅立っていった。病人のボクは一週間日本でお留守番。

080824_215444.jpg(離陸前の機内のノマドヒヨコ)

●帰国したらすぐ新学期のノマドは、夏休みの宿題をほぼ完璧に済まして出発していきました。コレがちょっとオモシロい。今日はこっそり皆さんにご紹介を。



自由研究「カブトエビのかんさつ / おまけ ぼくのカブトムシ」
●メル友のヨーコさんが、夏休みのアタマに、ノマド宛へカブトエビ飼育セットをプレゼントしてくれたのです。
●カブトエビは、小さな甲殻類の一種で簡単に言うとミジンコの仲間みたいな生き物。プランクトン的な生き物でもありますが、大昔から進化せずに生き残った「生きた化石」ってヤツです。昔はシーモンキーとか言わなかったっけ?乾燥したタマゴを水で戻すとふ化して育ち出す逞しいヤツら。かくして、ノマドの夏休みの自由研究はこの生き物の観察となったのです。

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●ノマドは写真のように、写真を貼ったり必死で説明を書き込んだりしてるのですが、解読するのは凄まじく難しい文字なので、ヤツの文章を書き起こしますね。

「7月10日 かぶとエビ  カブトエビをプレゼントでもらって、そのひからカブトエビをそだてようとおもって かぶとエびがすめる水のよういをしました。」

※カブトエビは水道水のカルキや塩素にやられてしまうので、3日間ほど置き水をしないといけないのです。ちなみに原文のママに書き起こしますから誤字もイッパイです。漢字をチョッピリ使ってるのは、まだ授業で習ってない知識が既にあるんだという自慢の気分があります。

「7月13日 カぶトエビにひつようの ウッドチップやえいようを いれました。もちろんたまごもいれました。」

※円筒形の容器に、数種類の粉末を調味料のように水へ入れるのです。この中に細かい砂利やカブトエビのタマゴが入ってます。ウッドチップにはふ化直後のカブトエビが摂る栄養分がしみ込んでいる仕組みのようです。説明書を読み聞かせて手順は教えましたが、作業は全部ノマドにやらせました。

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「7月14日あさ かぶとえびが3ひきうまれました。あわぶくヨリチイサカッタ。」

※マジ小さくて、点がチロチロ動いているのしか見えません。容器の内側についている気泡よりも小さいということで、そのアワブクとカブトエビの大きさ比べをイラストで図解してます。でも余りにヘタッピな絵なので省略します。あと、コイツの文章、ひらがなとカタカナが無秩序に切り替わる。


「7月17日 トリオプスが また1みりおおきくなってた。あとあわぶくとおなじくらいになってた。
 ・エビちゃん   ↑4みり ←3みり
 ・エビエビちゃん ↑3みり ←2みり
 ・クリオネちゃん ↑3みり ←2みり」


トリオプスというのは、英語でのカブトエビの名前らしい。そんで生まれた三匹にそれぞれ名前をつけてやっている。一番大きいのがエビちゃんで、2番目がエビエビちゃんとは安易な。クリオネちゃんは一番透き通っているという。ボクには全く区別がつかないが。矢印は縦方向横方向の大きさを示してる。

「7月18日 トリオプスが、からをぬいだ!!また1みりおおきくなってた。あわぶくよりおおきくなってた。 5みりー4みリ」

※カブトエビって脱皮すんのかよ!説明書にはそんなコト書いてなかったぞ?!



ここで事件発生!!行方不明者発生。

「7月19日 こんどはトリオプスにえさをあげました。 クリオネちゃんがゆくえふめいになってしまった。もしかすると エビちゃんがたべちゃったかもしれない。のまども いもうとも ままも どっかにかくれているといいなとおもっている。 こんどは2みりおおきくなってた。もしかするとエビエビちゃんもたべられているかもしれない」

※十分な大きさに育ったら、粉末エサを与えるよう指示されているのだが、コレが一拍遅かったのか、共食い事件が起こってしまったっぽい。ノマド「クリオネちゃんがいないよー」と大騒ぎしていた。

「7月20日 カブトエビのクリオネちゃんとエビちゃんはいるけどエビエビちゃんがゆくえふめい」

※共食い闘争に負けたのはエビエビちゃんだったようだ。キビシいね、生き物の世界は。

「722 こんどは3みりおおきくなってた。 7みりー6みり」

※日付の書き方がイキナリ投げやり。ちょっとショックでモチベーション下落。

「7月25日 こんどは1せんち こえてたよ。エビちゃんもクリオネちゃんも きっとエビエビちゃんのことをかんがえているのかな  1せんち5みりー8みり」

※このくらいになると、かなりハッキリと見えてくる。やっとカメラで撮影出来る大きさになった。

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(2匹写ってます。多分手前がクリオネちゃんで、奥がエビちゃんです)



「7月28日 からだがすきとおってる。しっぽはえびのしっぽのように。あしはいっぱいある。あしをうごかしてくうきをすう。口はおなかにある。おすとめすががったいしてる。 2せんちー7みり」

※甲羅の中の足を動かす事で、新鮮な酸素を含む水を体内にかき込んで生きているという。そんで原始的な生き物にありがちな雌雄同体で単性生殖するタイプ、と説明書に書いてあった。



さらに衝撃の事件が!

「へえせい20ねんど 7月29日 おおきさはきのうとおなじ トリオプスがぜんいんしんじゃった!
 なぜしんだ? おゆになった? ねっちゅうしょになった? おじいさんになってしんだ?
 1ばんにしんだこ エビエビちゃん 2ばんにしんだこ クリオネちゃんとエビちゃん」


※カブトエビ全滅…。「トリオプスがぜんいんしんじゃった!」の字は赤の太マジックで強調してある。ノマドヒヨコの子供部屋は冷房がないからな…水温が上がり過ぎちゃったかな…。ノマドもヒヨコもしょんぼり。

「7月31日もく おとといトリオプスをつちにみずごとうめてあげた。」

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※写真のイラスト、わかります?3匹のカブトエビをスコップで地面に埋めてやってる様子。そんで、雲の上で、エビちゃん、クリオネちゃん、エビエビちゃんが安らかに眠っている様子。「zzzzzz」だって。あっという間だったな。レスト・イン・ピース。最近でもヒヨコとノマドは庭で遊んでいる時、ふと思い出すと二人でカブトエビを埋めた場所で手を合わせてるのだった。


●本日のBGM。BOYS II MEN「COOLEYHIGHMARMONY」1991-1992年

クーリーハイハーモニークーリーハイハーモニー
(1993/03/21)
ボーイズ II メン

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●100円で売ってた。本来男性R&Bもの、特にこうした古典ハーモニーを駆使したコーラスグループは、ボクの趣味じゃない。ただ、このCDを見て、ボクが休職している間に転職して行った女の子がこのグループのコト大好きだったなーと思い出して購入してしまった。彼女は義理堅く休職中のボクを訪ねて転職の報告をしてくれたし、故郷の美しい海の風景を写メで撮ってメールしてくれたりした。

ヤマグチの海(山口県、凪の瀬戸内海)


●ご存知の通り BOYS II MEN と言えば、90年代初頭の NEW JACK SWING 期を代表するコーラスグループだ。まだ、ヒップホップソウルというフォーマットすら成熟していない時代に、MOTOWNからデビューした彼らは、品行方正なオトコのコというイメージで、後発の JODECI みたいなツッパリぶりがなく物足りない印象があったもんだ。「ボーイからオトコへ」というグループ名通り、現在は立派なオッサンとして3人組で活動してる。レーベルはメジャー落ちしても来日はしょっちゅうだし頑張ってます。このグループの大ファンだった fuyu(仮名)は去年の来日時に無理矢理楽屋にまで潜り込んだ。彼女は英語がしゃべれるからメンバーと大層盛り上がったそうな。行動力のある娘だ。

●そして彼女には絶対音感までが備わっている。fuyuにはこのCDのハーモニーがどんな風に聴こえるのだろうか。70年代から活動するパンク/ニューウェーブバンド PERU UBU のヴォーカルさんがインタビューで「オレは深刻な音痴だから、普通の人間とは違う音の聴こえ方で音楽を聴いてる。ソレがオレの音楽に反映されてる」みたいな事を言ってた。同じように絶対音感の人には常人にはあり得ない音の聴こえ方がするのだろうか?ハーモニーの構造やボーカルの揺らぎがカッキーンと図形的に認知されるのだろうか? そうすれば世の中はスゴく楽しく見えるだろうな。
●ボクは「END OF THE ROAD」のような名バラードよりも、「MOTOWNPHILLY」に代表されるようなバリバリの NEW JACK SWING がイイ。くはー、マジ懐かしいわー、NEW JACK SWING。このBPM120くらいのスピード感は、その後のヒップホップとはかなり異質な感覚だよね。スッパンスッパンとノリを上げていく打ち込みスネア&キックがまさに90年代ドアタマですよ。
●ボクはハンドルネームを unimogroove と名乗るだけあって、完全にグルーヴの部分でしか音楽を聴いてない。バラードよりもダンスミュージックの方が断然好き。リズムとビートとベースのうねりこそが大事。音痴なのでメロディやボーカルにはあまり関心がない。音階として捕われないノイズ的な要素を音響として捉え、オモシロがってる。R&Bよりヒップホップの方が好きなのは、ラップそのものが持つ語感の人力グルーヴとトラックの融合感覚がオモシロいからだ。



自律神経失調症とのお付合い(その66)~「分析的心理療法、開始」編
●相変わらずのどかなデイケア生活が続いている。7時40分の電車に乗って、9時30分に病院に着く。片道約二時間の通院。学生時代でもこんな長時間移動を習慣としたことなんてない。一時はホントに死ぬほど遠いと思っていたが、だんだんカラダが慣れてきたのか、それなりにこなせるようになってきた。まあ、帰りに寄り道する体力はないけど。

「精神科デイケア」標準的な社会性や生活習慣を身につけるためのもの。しかし、このデイケアそのものでは、人間関係を構築したりすることは意味がない、とされてる。何度かスタッフさん達に釘を刺さされたが、この場は友人作りのためにあるわけじゃなく、再び社会に出るための準備をする所なのだ。ここでの社交に神経をすり減らしては、治療としては本末転倒。
●だから、デイケアの中では、個人情報の交換は禁じられている。名前はなんとなく知っていても、誰がどんな病気を患い、どんなクスリを飲んでて、どんな事情でココに来たとかは、お互いに話し合わない。職業も年齢も極力明かさない。
●そんなコトが前提ではありながら、週に何度もカオをあわせていれば、簡単な会話からポロポロ細かい事がわかってくる。


思考回路が乙女チックなまま、齢44歳になってしまった、手芸好きのケイトさん(仮名)。いつもウットリしながら「院長先生ってホントにダンディよね~」と繰り返している。この人、なんとこの病院が出来た時から通院していると言う!え?この病院いつ出来たんですか?「うーんと、15、6年前かしら?」長え!そんなに永い間通ってんだ!その流れで思わず年齢聞いちゃったんだよね。「アナタおいくつ?」ボクは34歳です。「えーっ!テッキリ同い年くらいだと思ってた!静かで落ち着いてらっしゃるから!」普段は比較的若く見られがちの童顔のボクとしては、見た目年齢の最高記録だ。
●女子高生のような表情で、ケイトさんクレヨンしんちゃんのモノマネをボクに披露する。「おら、いけはたしんのすけですー」ボクは一瞬何のモノマネか全然理解出来ず失礼にも完全フリーズ、ケイトさん「ちょっと風邪気味くらいがよく似てるの」と恥ずかしそうに言い訳。で、このモノマネを憧れの院長先生に見せて大爆笑を誘った事を自慢しながら、「今度の院長診察ではナンのオハナシしようかしら~」と楽しそうにオハナシするのだった。


モヒカン頭の内田裕也似オジさん、モヒカンさん(仮名)は、相変わらずヒップなシャツを着てくる。市川団十郎の歌舞伎シャツ、勧行大相撲の横綱シャツに引き続き、この前は花魁3ショットシャツが登場した。歌麿スタイルの美人画に「花魁」と渋く書き添えてある。本人が言う所によると、モヒカンさんの家は冷房器具がナニもない上に、天井がトタンなので、家に帰るとそりゃもうスゴい灼熱地獄になっているそうである。一体どんな家に住んでいるんだろう。


●そのモヒカンさんのマージャン仲間で、いっつもムッツリと腕組みしている強面のオジさんがいる。短い口ひげを生やし、大きなグラサンをかけているので、一瞬その筋の人にも見える貫禄である。で、ある日そのオジさんがなんと「ゴルゴ13」のTシャツを来てやってきた!あのデューク東郷が、愛器M16ライフルを片手に大股で疾駆する姿がデカくプリントされている。コレ、最高のツッコミドコロでしょ!「すいません、シャツがカッコ良過ぎます!ゴルゴ13じゃないですか。ドコで売ってるんですか?」オジさん口のスミッコだけでニヤリと笑い、小さな声で「ユニクロ…」と呟いた。今後このオジさんの事はゴルゴさん(仮名)と呼ぶ。
●デイケアでは朝イチにクジ引きを行い、当日の司会進行(日直的役割)を決める段取りがある。このゴルゴさんが司会になった時、ゴルゴさんが深刻に口ベタだって事がわかった。ムッツリしてるのは渋くキメて黙ってるわけじゃなく、全然しゃべれないのだ。人前でしゃべるとなると、もう大変である。
「意見箱」(←赤い厚紙で被われたポストみたいな箱。そんなもんあるなど気付かなかった)に寄せられた要望に関するディスカッションの進行など、もう見てられなかった。船場吉兆の女将が息子の会社幹部に発言内容を脇からささやいていたように、スタッフさんが議事進行をゴルゴさんに全部耳打ちして伝えている。議案は「朝のラジオ体操に第二を加えるべきか?」という、しょーもないといえばしょーもないモノだが、ナゼかゴルゴさん「最近人が歌ってるカラオケをマジメに聞いてないモノが多過ぎる」と個人的不満を突如主張したりと、ドエラい遠回りをしながら満場反対でラジオ体操第二は却下された。


いつもニコニコバタコさん(仮名)は、最近生まれて初めてのアルバイトに一生懸命。コンビニへ出荷するオニギリやサンドイッチを各店舗の発注通りにバスケットへ仕分けし、それを積み上げてトラックに積む仕事らしい。コンビニ行くとヨク見かける、トラックからパンやお弁当が配送されてくる時の、あのカゴだ。なにげに重たくなるあのカゴを抱えると、ヒジの内側にゴツゴツ当たってアザがいっぱい出来る。パッと見で、大量の注射痕かよ!とドキリとするくらいのアザだが、バタコさんは誇らしげにそのアザを見せてくれた。


●スタッフさんにも個性がある。一番年配のスタッフグランマキミさん(仮名)は、美輪明宏さんの話題をキッカケに、1950~60年代の銀座で遊んでいた「みゆき族」であった事が判明した。
美輪さんのステージをボクが何度か見たことがあると言ったら、まだアンダーグラウンドだった美輪明宏さんが専属歌手としてパフォーマンスしてたシャンソン喫茶「銀巴里」に行った事があるというのだ!おいおい、伝説の現場だよ!グランマキミさん「もうあの人の大きな眼といったら!この世のものと思えない美しさ!」スゲエ!その時代じゃ「みゆき通り」にたむろしてた「みゆき族」にも近いですよね!「あの頃は、街を歩くオジさんまでもが VAN のズボンを穿いたりしてて、息子のモンをオヤジが穿く時代になっちまったと笑ったもんですよ。VAN、ご存知です?」えーえー、いわゆるアイビールックってヤツですよね!(一瞬スニーカーの VANS が頭に浮かんでしまった)「そう、ワタシはかねまつの靴を買ってね、よく歩いたもんですよ」こりゃマジで「銀ブラ」だ!「ええ、エノケンさんのお芝居も見たんですよ」それは浅草六区で?「いえ、帝劇です」ほー!ティーンネイジャーだった頃のグランマキミさんは、かなりのハイブロウなヒップスターだったわけですよ!ビックリ!………一方、バタコさんなど若いメンバー&スタッフさん達は、半世紀も前のユースカルチャー談義に「すいません、ハナシ半分もわかんなかったですけどテキトウにうなずいてました」いや、ボクも当然リアルタイムであるはずがないですけどね。


●先日はまたまた料理教室の日で、サラダうどんとチャンプルーなどを作るコトとなった。ニッカポッカさん(仮名)は「チャンプルーにはゴーヤは入んないのかよ?」と野次を飛ばしたが、先日ニッカポッカさん「ゴーヤはダメだぞ、ゴーヤは!」と抗議したから、トーフチャンプルーになった経緯を忘れてるらしい。ボクはこの人の無責任な野次が大好きだ。「オレはスタッフさんの給料日知ってるぜ、27日だろ!28日じゃない!」と今週も吹聴してた。
●オジさんメンバーのアイドルスタッフワーマさん(仮名)が担当するデザート班は即座に定員に達した(その中にはニッカポッカさんも、デイケアの長老ツエさん(仮名)もいる)ので、ボクはチャンプルー班に参加。しかしふと冷静になると、ゴーヤを入れずしてはチャンプルーはただの野菜炒めになってしまうのでは?と、不安になってきた。チャンプルーと野菜炒めの境界線とは…? しかし、最近デイケアに入ってきたボクと同世代の男性が「オレ、調理師免許持ってんですよ。仕事にしてるわけじゃないからペーパー調理師だけど」と宣言。オバさん連中もビックリする腕前で野菜をサクサク刻んでいく。このペーパー調理師さんの事は今後リシさん(仮名)と呼ぼう。リシさんの号令で四人のフライパン部隊が同時進行で野菜を炒め、味付けをリシさんが担当。見事4つのフライパンの味を均等にさばき、立派なチャンプルーに仕上げた。なぜ野菜炒めがチャンプルーになったのかボクにはさっぱり不明だが、他のメンバーさんからもこのチャンプルーは非常に評判がよかった。ボク個人としては、こんなに真剣に炒め物に立ち向かったのは、学生時代にプールサイドの焼きソバ屋さんでバイトした時以来だった。


●さて、このリシさん、不眠に悩まされてるとコボしてはいるが、端から見ると健康そのものでとても病気には見えない。なんでこんなにシッカリした人(おまけにイケメン)がココにいるのだろう。
●そんな彼は通常のデイケアとは別のククリとして、「OT」というプログラムも受けているという。「OT」が何の略だかはサッパリ分からないが、要は体力作りのためのスポーツ時間、しかも体育館でバスケやバレーボールをするような本格的に活発な運動をするモノらしい。「ここの6階にね、体育館があるんですよ。そこで一、二時間ほどカラダ動かすんです。麦茶とか飲み物も用意してあって、オモシロいですよ」えー!この建物には体育館まであるんですか?!すっげー!この病院はまだナゾが多過ぎて全容が掴めない。でもボクにはそんな過激な運動は無理だわ。また全身の筋肉が緊張して鍼灸を受けないといけなくなる。リシさんはスマートなスポーツマンタイプだからピッタリだろう。病院は病院でその人にあったプログラムをそれぞれの個性にあわせてキチンと提供してる。



で、非スポーツマンタイプのボクに新たに提案されたのが「分析的心理療法」というモノだ。
●週一回50分専属のセラピストがあてがわれて、その人とボクの抱える問題について語り合うという代物………とは言うが、具体的にはさっぱりナニをするのか分からない。提案を切り出した担当カウンセラーのチーさん(仮名)に、ボクのイメージする所を打ち明けてみた。ボク「あの、アメリカの映画とかでよく出てくる、長椅子がとうとう出てくるんですか?」精神科の治療風景で、長椅子に横たわって視界の外に座るセラピストと夢の内容について語り合う…そんな感じ?
チーさん、思わず笑いながら「ああ、アレはですね、ちょっと違うヤツなんですよ。アレは週4回とかやんなくちゃいけないモノで…。あの「精神分析」は確かに欧米では盛んですが、日本ではあまりやってません」ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい、「分析的心理療法」「精神分析」「精神」って字がついてるだけで全然違うものって訳ですか?「まー根本は一緒みたいなモンですが、「分析的心理療法」の方がカジュアルだって思って下さい。だから長椅子も出てきませんし、セラピストとフツウに対面して話するだけです」


で、その「分析的心理療法」の初回の日がやって来た。
●担当カウンセラーのチーさんは登場せず、このプログラム専属のセラピスト(結果的にはチーさんと同じ臨床心理士という立場)が現れた。ゲーさん(仮名)という小柄で若い女性だ。この病院で最初にやらされた大量の心理テストの結果をレクチャーしてくれた人……だが、正直そのレクチャーはなんか要領を得なくてよくワカランかった。ちょっと不安。

●いつものカウンセリングルームに入り、正面に相対して話をする。コレはいつもと一緒。でもそっからはなんかちょっと違う。ゲーさん「まず、今日を含めて4回の面談をして、その上でこの治療が本当に unimogroove さんに必要かどうか、確認していこうと思います」はあ。「最初に、unimogroove さんの中でこの治療に対する動機付けをどう考えてらっしゃるのか、教えて下さい」はあ??? すんません、カウンセラーのチーさんがコレを受けてみたらどうですかというから、はいやります、って言ったまでで、一体どんな内容の治療だかも知らないのに、動機付けと言われても…。むしろ、ボクはまな板の上のタイみたいに、一体どんな風に料理されるのかと思ってたトコロなんですけど。他の先生には「イヤな事も思い出させられるから気をつけて」と言われてますから、なんかイロイロボクの過去の経験や記憶とか家族関係とかをホジクられていくんだと思ってたんですが。だからそれ以上のイメージはないし、「やる」と即答したのはタダの好奇心です。単純にオモシロそうだから。

●なんだか堂々巡りのような話が続いて、一回目の面談は終った。面談室を出て廊下を二人で歩く際、ゲーさんに尋ねた。聞かないでイイんですか?ボクの家族のコトとか生育歴とか。ボクのしゃべったコトは、ゲーさんの狙いに沿った内容になってるんですか?思いっきり的外れなコトになってません?ゲーさん「あら、そんな風に相手の期待を探ってしまうタイプですか?」ヤベ、なんかこの一言でなんかの類型にハメコマれるフラグが立ちそうだ。ボク「いえ、しゃべってる間は相手のコトなんか全く気にしません!気にしないコトを自分で知ってるから、後から確認するんです。少なくともゲーさんが楽しんでくれるようなハナシにしたいと思いますけどね」実際率直な本音だ。

●実際の治療とやらは、まずあと3回の面談をクリアしないと始まんないようだ。始まったとしても、たいしてオモシロくなさそう。ゲーさんがもうちょっとカワイかったらモチベーションの持ち方も違ったかも。だって小一時間ずっとその人のカオを見つめながらトークするのよ、ゲーさんはフツウの時は愛想がイイのに面談中は本気モードなのかカオが深刻になるからねー。その点チーさんは鉄壁の笑顔でどんな場面でも終始ニコニコしてる。男性だけど、警戒感を全くコチラに抱かせない。コレがキャリアの差か。あ、そんなコト言ってちゃダメだ。前もカワイい女医さん希望とか言って失敗した事があったっけ。



●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

今日は本来デイケアの日なんだけど、具合悪いので休んでます。
●夜中に3度目を覚まし、全然寝た感じがないまま朝を迎え、さらに意味不明なことに、両腕が上がらない。指が鉛のように重くてハシも持てないくらい。病院に一本電話をかけ「今日は休みます」と伝えた後は、死んだように眠りました。やっと眠れた…。40分風呂に浸かり、自律訓練法という自己暗示で筋肉の緊張を解くワザを使って、やっと手足がなんとか動くようになりました。
●ま、ちょっと前なら根性で病院行ってただろうけど、「無理しない奥義」に近づくためには、とっととギブアップするのが正解と考え、あっさり降伏した次第です。


一方ノマドヒヨコ兄妹は、僕の実家に一泊旅行へ行きました。
●今週突然ノマドが「クニタチのジジのウチにいきたい」と言い出した。なんのつもりかわからんのでシカトしてしてたんだけど、どうやら、近所に流れる多摩川や雑木林のある公園で遊びたいという意味らしい。なら自分でジジにお願いすればイイだろうと、ボクが実家に電話し受話器をノマドに渡した。ノマド「えーと、カワにいってあそびたいの。あと、ジジとショウギしたいの。」そしたらボクの両親はセミがイッパイ獲れる場所もあるからムシ取り網を持ってらっしゃいと言ったようで、二人は大喜び。
●昨日の夜は二人とも盛り上がって、ヒヨコ「オメメつぶったらすぐにアサになってて、すぐジジのオウチにいけるヒになったらいいな!」とはしゃいでる。大事なお人形ベリーちゃんとペネロペも忘れない。今朝自動車でジジババがピックアップしにくる時も超ハイテンション。
●ボクはその時寝室でなんとか眠りたいとグッタリしてたのだか、ボクの母親はそれを一瞥して「あら、今日は死んでるのね」と一言。この味気ない対応がメチャ気になるのよ!去年も一週間実家に預けられた時も、どんなにボクがモガキ苦しんでても「大変そうね~、じゃ、アタシたちちょっと出かけてくるから」と夫婦で一日中消えてしまう人たちだから。そんでそのあげく「だってアタシたちが何したってどうしょうもないじゃない」とケロッと言い放つ。そんな実家でマジで今月末一週間を過ごさないといけないのが不安でしょうがない。


ノマドヒヨコ兄妹の楽しい夏休みの日々。
●今週はヒヨコの友達ハナちゃんミユちゃんたちと、流れるプールへ遊びに行きました。3人のママにコドモが全部で6人。目を離すとポロポロ子供が流れて行ってしまうので気が許せない状態だったそうだ。それって、鵜飼い漁みたいなモンだね。5~6匹の生き物の動きを同時に捌くって意味で。
夏休みの水泳教室でやっと水に潜れるようになったノマド。最初は出席してもボイコットしてプールにすら入らない、しかも言い訳は「プールの前に浴びるシャワーが「ジゴクシャワー」で冷た過ぎるから」と荒唐無稽な事を半ベソで言うほどだった。で、せっせとワイフが毎日プールに付き添ってやっと水の中で目が開けられる所まで行った次第。ノマド、水の中で目を開けるとどんな感じだ?「うーんと、スゴくキレイ!」
●ヒヨコと同い年でありながら早熟なクールビューティであるミユちゃんは、ノマドが必死で会得した潜水はとっくにクリアしている。そんなミユちゃんは、なんのつもりか終始流れるプールではノマドにベタベタくっついてきてた。後からノマドがコッソリ報告。「プールにもぐって、ミズのなかでミユちゃんと10ビョウ手をつないだんだよ」ヒヨコ「ノマド、ミユちゃんとすいちゅうデートしたの?!すいちゅうデート!」オマエ、それでロマンチックな思い出作ってもイイけど、自分がモテるとか錯覚するなよ、ボクの息子である以上ソレはありえないんだから。



さあ、サザンオールスターズ再聴キャンペーン、オオラスでーす。

●今日は、2007~08年に活発に活動した桑田佳祐氏のソロ活動を中心に取り上げます。
●例の缶コーヒーのCFで、黒澤明植木等ジャイアント馬場、そして30年前の自分自身とCG共演するなど、メディア露出の激しい去年&今年のクワタ氏。「サザン活動休止」発表を直前に、ナニを思ってたのか考えたいわけです。

そんで素材になるのが、コレ。

桑田さんのお仕事 07/08 ~魅惑のAVマリアージュ~(初回限定盤)桑田さんのお仕事 07/08 ~魅惑のAVマリアージュ~(初回限定盤)
(2008/03/12)
桑田佳祐

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●DVD+CD「桑田さんのお仕事 07/08 ~魅惑のAVマリアージュ~」2008年
クワタ氏がこの2年で発表したシングルをまとめたCDと、ソレに伴うソロツアーの映像をDVDにしたもの。こまめに出してたシングルは、その都度このブログでもチェックしてたのだけど、アルバムとして並び替えられると印象も変わる。DVDは KUWATA BAND 時代からのソロキャリアを総括したもの。かなり見応えあります。

しかし、その前に……。意味深なライナーノーツ。
●今回のブックレットにはクワタ氏のインタビューが掲載されてる。今年5月18日に「サザン活動休止」宣言、そのたった2ヶ月前のクワタ氏の言葉がココにある。そこには快活な口調の中に、近年の自分の活動への反省が入り交じっており、一種の煮詰まり感すら読み取れる。一部引用。


「うーん、何年か前にはちょっとこう、企画ありきみたいな曲の作り方をしちゃったことがあって。CMの話になっちゃうんだけど、大手企業なんかとやると。すぐに反射的にサザンの曲でもなんでも、新曲として世に出しちまうぞとか…。~ それって音楽とCM、どっちがメインなんだかわかんなくなるような付き合わせ方になってるなと思ったの。~ 多分そういう曲は残らないんですよね、どっかこう器用に作っちゃってるから。正直、そういう曲が今まで何曲かあったような気がするんですよね」


●ジェイポップ世界の頂点を極めたビックバンド・サザンオールスターズ。そこに群がる代理店やスポンサーに対して、旺盛なサービス精神を持つクワタは反射的に、彼らが望むパブリックイメージとしての「サザン」をなぞってしまって来たのだった。そんな自分への反省がハッキリ示されてる。90年代後半からの「サザンによるサザン再生産」に、クワタ自身も危機を感じてたわけだ。さらに…。


「実はね、自分はけっこう、特にサザンのライブに関して今まで中途半端な気持ちでいることが多かった気がするんですよね。ある種の義務感っていうんですかね。~『やれやれ、苦手なライブがやっと終ってよかったぁ』と思う俺がいたの。だからここ最近は自分が出たライブなんて改めて観たことがなかったし、出演したテレビも落ち込むのが嫌で観ないしね。~ そういう意味では自分のやっていることに自信や愛着が持ててなかったんですよね。


●そして、そんなサザンの活動に対して「自信や愛着が持てない」とまで発言するクワタ!ジェイポップの頂点という場所が、いかにこのオトコにとって居心地が悪い場所だったか、如実に語っている。
●映像すら観るのがイヤだったのに、じゃあなんで、今回はワザワザソロツアーをDVDにしてリリースするつもりになったのか?


「今回のツアーって僕にとって、今までのキャリアの中で一番情緒的にも音楽的にも良かったと思うんですよね。~ 何が良かったかって言うと、自分が要するに歌手でいられたってことなんです。好きな言葉で『流行歌手』って死語があるけど、その流行歌手が僕の中に降りてきたっていうんですかね。」
「今はほんのチョット気持ちを横に飛ばすとね、何度も言うように俺が桑田佳祐を利用すればいいんだっていう。まあ、それしかなかったんですよね。」
「なにせ皆さんからいただいた30周年というキャリアだから、そのアドバンテージに乗るしかないなぁと思ってて。僕はどっかでずっと、サザンオールスターズというイメージのギャップみたいなものに悩んで来たんだけど、もう悩み続けて30周年ですから(笑)」



「流行歌手」。ナニかに吹っ切れた男の姿が、この発言から見える。欧米ロックが大好きで入ったこの道。しかし日本の聴衆は最初に彼をコミックバンドとして迎えた。で、シングルがミリオンで売れるようになると、カネに群がるビジネスマンが大勢やって来た。そんな音楽業界のど真ん中で彼は悩んでいたに違いない。「俺のロックってナニよ?!」明るく楽しいサザンサウンドに対して、彼のソロが一貫してロックのトゲを備えていたのは、まさしく「俺のロックってナニよ?!」という葛藤の現れだったと思う。
●しかし2007年にリリースした3枚のシングルには、もう「ロックンローラー」という気負いはなくなっている。「流行歌手」になったのだ。3rdソロ「ROCK AND ROLL HERO」でトゲだけのロックはもうプレイできない、そのトゲは自分自身にしか刺さらない、ただの自傷行為と気付いてしまった。だって自分は「DIRTY OLD MAN」だから。副題は「さらば夏よ」だから。
●そして「サザン」という巨大な虚像からも自由になろうとしてる。もうサウンド的にソロとサザンを区別する境界はなくなった。彼は好きな時にロックし、好きな時にポップスを歌う。好きなテーマを自由に歌う。それが「流行歌手」でしょ。そのためなら手垢の付きまくった「桑田佳祐」の看板を存分に利用するとまで開き直る。

●ここまでくれば、クワタにとって「サザンオールスターズ」が必要なくなったコトが自然だったと理解出来る。30周年目にして「夏」は終わった。サザンのイメージに引きずり回される事もなくなる。このDVD+CD発売2ヶ月後に、サザンは活動休止宣言をする。



オーディオ編。

「KILLER STREET」の窒息感、冗長でつかみ所のない迷宮のような印象から一転して、既発シングル3枚+新曲2つのアルバムは、スゴく風通しがイイ。この気持ちよさはナニ? もう今までのソロアルバムから比べたら天と地ほどテンションが違う。「ロックのトゲ」に固執していた今までのソロとは別格の、肩のチカラを抜いたリラックス感。しかもサザンというバンドサウンドとも縁を切った自由な無重力状態。何度でも何度でも聴ける。曲順の構成だけで、曲も新しい響きを持って甦る。

●ほとんどがタイアップソングということで聴き馴染みタップリだけど、その偏見から離れると、久々に肩の力が抜けた痛快なクワタがいる。かつて繰り返してきた「企画ありきみたいな曲の作り方」を自己反省したクワタの、本来の曲の強度が見えてくる。

「NUMBER WONDA GIRL ~恋するワンダ~」は、商品名丸出しのCFソングと見せかけて、世界で一番最初の女性ロックンローラー WANDA JACKSON へのトリビュートだってハナシは前も書いたっけ。ワンダと来て洋楽博覧強記のクワタ WANDA JACKSON を連想しないわけがない。YOU TUBE で見てもらえば分かるけど気合い入った姐さんだよ WANDA は。まさに「魔性の POWER 女 MAGIC ー NUMBER WONDA GIRL !」だ。彼女に負けない痛快ロックはダイスキだね。

●その流れから「男達の挽歌 [エレジー]」に突入する。この曲からは、やはり缶コーヒー WONDA のCFの縁でCG合成共演してしまった、昭和の偉大なコメディアン植木等の影が見えてくる。
 「どうせ生まれてきたなら アホらしいのもアリだぜ ココで一発キメたら 幸せってヤツさ!!」
 「どうよ、最近巷に 面白ェ奴ァいるのかい? 陽気に笑い飛ばせば 男前ってヤツさ!!」

●全盛期の植木等は男前でしょ。身長もあるし顔も整っている。そんなヤツが「金がないヤツはオレんとこへ来い、オレもないけど心配するな」と能天気に歌う。サラリーマンは日本一気楽じゃない稼業になりつつあるが、なんだかよくワカランけど一緒にいれば全部がウマくいっちゃうような陽性オーラを放射し続けた植木さんのスピリッツが、このアッケラカンと明るいロックに憑依してる気がする。今年52歳クワタのオヤジ力が、このオヤジロックを駆動する。

●うって変わって次に続く「風の詩を聴かせて」は、チルアウトソング。基本がアコギとボンゴでリズムを作るこの曲は、実はクワタ版アフターサーフミュージックだ。メロディはクワタ節でも揺らぐグルーヴは JACK JOHNSON を目指してる。シングル1曲目の時にはそんな風に聴こえなかったけど。

●この後には「原由子」名義で一曲楽しいポップソングが。「大好き!ハッピーエンド」。メロディに突入すると、多分木村カエラとかにピッタリなアイドルポップスになるけど、イントロのギターリフとクワタ参加のコーラスに中期ビートルズ(「DAY TRIPPER」)?が一瞬だけデジャヴする。マジ一瞬だけど。間奏とかアウトロにガキッと極まったヴィンテージな音が散らばってる。

「MY LITTLE HOMETOWN」では、久しぶりの本格レゲエアプローチ。つーかロックステディ?そしてスカへ変調したり。サザンは80年代ドアタマからレゲエに手を出してる。ERIC CLAPTON大好きなクワタから見れば、「I SHOT THE SHERIFF」経由でレゲエは70年代前半から馴染み深いモンだったに違いない。もちろん、今どきのダンスホールな真似事はしないけど。能天気な祭りの気配がイイ感じ。



ヴィジュアル編。

桑田佳祐 LIVE TOUR 2007「呼び捨てでも構いません!! 「よっ、桑田佳祐」SHOW AT 横浜アリーナ 2007.12.31。ツアー最終日の年越しカウントダウンライブ。選曲は KUWATA BAND の全シングル4曲を網羅し、1stソロ「KEISUKE KUWATA」から5曲も出してる。印象としては、ホントに初心回帰。ソロキャリアを一番最初から丁寧になぞるクワタ。お祭り騒ぎのサザンパフォーマンスとは違う、緩急のメリハリを自然に組み上げたリラックス(&ノスタルジック)な展開に、やはり風通しのイイ気持ちよさを感じる。
●第一曲目の「哀しみのプリズナー」はCD「KEISUKE KUWATA」でも一曲目。懐かしい!そして「BAN BAN BAN」KUWATA BAND の1stシングルで、ボクが初めておこづかいで買ったレコード(中学1年生)。「東京ジプシーローズ」などはCDよりもずっとカッコいいロックになってた。「真夜中のダンディー」もグッとソウルフルで、渋い諦観を込めた侘しいリリックにタフな肉体を与えてた。

ここぞの見せ場はアンコールか。2ndソロ「孤独の太陽」一曲目の「漫画ブルース」から第二ラウンド開始。原曲は BOB DYLAN が憑依したトーキングブルースで、アコギを掻きむしりながらササクレだった風刺を機関銃のように乱射するスリリングなモノだった。コレをテンポダウンしたバンドサウンドにして、風刺の対象を2007年度版に書き下ろして歌う。せっかくの風刺リリックも原曲のハイスピードパワーで絶叫したらナニ言ってるか100%わかんないだろうからね。
●名付けて「漫画ブルース07」。新歌詞を紹介。

「赤坂の一等地の 議員宿舎は何故安い? 天下る役人の受け皿施設は何故無駄にデカい?
   ~ Ah 震災被災者は未だに仮住まい…
「名前はどこに消えた? 記録から消え失せた。そのうえ増税で穴埋めするだと?年金の魂
   ~ Ah 「100年安心♥」なんざぁフザケろよ !!」
「守られるべき国民が拉致られて30年 国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ
   ~ Ah 総理!! 公約通りにやらんかい !!」
「自衛隊は命懸けで 戦場に橋を架ける 事務方トップは焼肉接待、ゴルフで賭ける
   ~ Ah 防衛産業 料亭でカッポレ !!」
「人の生命のためにやるべきことはそれか? どうして早めの対応と治療を拒んだ?薬害の魂
   ~ Ah 官僚、メーカー、注射したろか !?」
「社長の僕は知りません社員が全て勝手にやりました 消費期限も材料も産地もデタラメ食品の嵐
   ~ Ah 一番安全美味いのはダンボール !?」


アンコールも最後の最後。バンドを全員引き上げさせて、クワタは一人一本のエレキを担ぐ。
●そこで歌うのが「希望の轍」だ。アルバム「稲村ジェーン」に収録されているが、なぜかこのアルバムだけクレジットが「SOUTHERN ALL STARS AND ALL STARS」。ナニ?この含みを持たせたバンド名?。基本サザンの正式アルバムにカウントされていながら、実はクワタ以外のサザンのメンバーが全く関わってない曲が多く含まれているのがこのアルバムの秘密。
●そんで、この「希望の轍」こそが、サザンが全く関わらなかったクワタソロ曲なのだ。サザンを代表するビッグチューンだけど、実は隠れソロだったわけ。もうそれもカミングアウト。サザンとソロの境界が完全消滅したと取ればイイのか、サザンなんてオレん中で所詮この程度のモンという開き直りか。とにかく象徴的なラストでこのライブは幕を閉じる。




最終シングル。


I AM YOUR SINGERI AM YOUR SINGER
(2008/08/06)
サザンオールスターズ

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「I AM YOUR SINGER / OH!! SUMMER QUEEN ~夏の女王様~」2008年
●もうどこでもかしこでもヘヴィプレイ過ぎ。レコ屋でも有線でもラジオでもCMでもワイドショーでもかかり過ぎ。もういいワ、さすがに。曲の内容は、まさしく30年を支えてくれたファンへの感謝の気持ちとサービズ精神のカタマリ。サザンのヒット曲を全部足して、そんでその数で割ったかのようなポップソング。もうファンの為です、オレのアーティストエゴは消し去って、ファンの中にあるオレらのイメージを正確になぞってあげます、というフル出力のサービス精神。だって「ボクはキミのシンガー」なんだから。ホント、コレで最後なんだから正しい姿勢ですよ。
●カップリングは、ロックサイドのサザンを全部合体させたチューン。夏&海&渚&恋愛&チョッピリスケベ、というサザンの王道テーマがすべて搭載のフルアーマー仕様。



サザンオールスタース青山学院大学の学生バンドがそのまま発展したモノだ。桑田佳祐は、22歳でデビューして、その大学生ノリのテンションのままで、この30年を駆け抜けた。人一倍のサービス精神と目立ちたがり根性で、日本人全体の期待に応えてきた(日本人でサザンを聴いた事のない人は物凄く希でしょ)。
その彼が、オヤジとなった自分の顔を見て、とうとうその重荷を下ろそうと決意した。52歳。彼のクリエイティヴは枯渇する気配なしだが、サザンというフォーマットで戦う時代は終わったわけだ。


●ボクは病気になって、大好きな仕事から引きはがされ、もうその能力もスキルも失われてしまい、ニートも同然になってしまったんだけど、桑田佳祐の大きな決断と転身に、なんか勇気づけられる気分なのです。「ヘンな無理をせず、自分が納得の行くやり方で、それなりに生きていく」という選択をした先輩として。だから文章も最近はスゴく粘っこくなって、読める人なんていない状況になってました。とにかく、30年お疲れ様でした。さようなら、サザン。コレからもイイ音楽作って、クワタさん。


●オマケ。ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてました。
 ・第一期:1978年~1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
 ・第二期:1982年~1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
 ・第三期:1986年~1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
 ・第四期:1989年~1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
 ・第五期:1995年~2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
 ・第六期:2000年~2008年 クワタソロ活発化、「キラーストリート」。そして活動休止。

●もうコレで決着です。おしまい。

●過去の関連記事はこちらに。
 「サザン再聴、その9」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-498.html
 「サザン再聴、その8」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080801.html
 「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
 「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
 「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
 「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
 「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
 「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
 「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html


庭にセミの死骸2匹を見つけたノマドヒヨコ兄妹。
●庭に穴を掘って埋葬。そんで二人揃って手を合わせてパンパン。この場合、柏手ではない気がするけど…。ムシたちの冥福を祈ったそうだ。

かけ算を覚えるノマドヒヨコ兄妹。
●なんかの教材付録で付いてきた防水加工のかけ算九九一覧表が、我が家の風呂に貼ってある。ある日、本屋を一緒に歩いてたノマドが、そこで売ってた「磁石セット」が欲しいと言い出したので、九九3の段まで言えるようになったら買ってやる、と約束した。そんで二週間。この夏休みでノマドはホントに「磁石セット」をゲットした。次は6の段まで覚えたらチェスを買ってやると言ってある。5の段だけ先に制覇した。9の段まで全部覚えたら、ニンテンドーDSの将棋ゲームが賞品だ。そっから先は、また賞品を12の段まで覚えさせてみよう。インド人の子供は19の段まで覚えるんだよね。
●ヒヨコにも2の段までで折り紙セットと言ってるんだけど、うまくいかない。「インイチがイチ」「ニイチがニ」「ニニンがシ」。この三つしか言えない。でも「ニク十八」というフレースだけはお気に入りで、ゴハンにおニクが登場すると、「わーおニクだ!18まいたべる!」と必ず言うようになった。食べ物に絡めるとインプットされるんだな。「インゴがゴ」も「イチゴがゴ」と言えば覚えるのか?



自律神経失調症とのお付合い(その65)~「デイケア/無理しない奥義」編

●昨日も病院だ。横浜じゃなくて池尻の方だけど。
●コッチの先生がボクの主治医であって、横浜はあくまで「リワークプログラム」の現場ってコトなんだけど、横浜の出来事に対して、この先生にセカンドオピニオンを聞くような構図になってる。リワークでよくわからんコトは、全部この先生に聞けばいい。最近はそんなノリ。

●センセイ、横浜のカウンセラーの人から「分析的心理療法」というのを試してみないかと提案されたので、近くこの治療を始めようと思います。ぶっちゃけその「分析的うんぬん」てのがナンなのかは具体的によく分からんのですけど。
●センセイ「へー…。それお金かかるんじゃないの?」いや、フツウに保険きくみたいです。「あら。随分立派な病院さんね。アレはけっこう時間もかかるでしょ」そうっスね。3回セットとか5回セットなんですかって聞いたら、長期にわたって毎週続けるものなんですって。「いや期間だけじゃなく、一回の時間も」あ、一回50分って言ってました。かなりヘトヘトになるって聞いてます。「思い出したくない事も思い出させられるわよ。それに気をつけて」そうらしいんですよね~。コチラの病院では、社会人としてのあり方とか仕事との関わり合いとかが話題の中心だったじゃないですか。でも向こうの病院は、ソコにはさして関心がなくて、ボクの子供時代の話とかを聞きたがるんです。原因はソッチにあるって言わんばかりに。ま、テキトウにやります。「でもさすが大病院ね。そんな事まで出来るほどスタッフが豊富にいるなんてご立派」…はああ。そういうもんなんですか。
●センセイ「で、アナタお盆どうするの?」ワイフとコドモは月末ハワイ旅行行っちゃうんですけど、ボクは行きません。那須高原一泊でかなり寝込みましたからね、しばらく旅行はコリゴリ。で、その一週間は国立の実家に行こうかと…。ぶっちゃけホントは行きたくないんですけどね。もう生活のテンポが違い過ぎてウルサいんすよ。「…ま、結構余裕ありそうだから、お盆ということで一週診察お休みしたら。ウチは休みなしだけど、国立から来るのは遠いでしょ」最近センセイの対応が徐々にユルーくなってる。ボクの病気が良くなっている証拠と思いたい。


実際、多少の余裕が出て来たような気がする。「無理しない奥義」が見えて来たのだ。
●デイケアの人々は、ゆったりと過ごすコツを心得ている。例えばトランプ。大の大人が7人で「ダイヒンミン」とか「七ならべ」に熱中するのは、遠目に見たら結構マヌケだと思うが、いい社交のキッカケにはなるのでボチボチ楽しい。ことローカルルールがイッパイある「ダイヒンミン」については、仕切り屋のようなオニイさんメンバーが「ジョーカー革命はアリです。で、ハチ切りもアリです」ジョーカーにハートの3が勝つってのはアリですか?「それはナイです」決然とルールを周知してくれる。よって、このメガネのオニイさんをトランプさん(仮名)と呼ぶ事にする。
●で、4回くらいやると「じゃ、ちょっと休憩しますか。」……。え、休憩なの…? トランプさんのパリッとした仕切りに誰もがカードを置いて、ふう、と休憩する。あ、ホントにみんな休憩してるし。…とにかくこのデイケアの常連さんはホントに小刻みに休む。タッキュウさん(仮名)もよく昼寝する。モヒカンさん(仮名)はじめマージャン組は打ち始めるとノンストップだけど、ソレ以外はひたすらボーッとしてるし。
●今まで医者に「無理しない」って100回以上言われてきたけど全然ピンとこなかった。しかし、その「無理しない」人々がここデイケアには大勢いる。それを自分の目で見て、初めて「無理しない」動きを理解できた。いや、理解とは言えない……ブルース・リー的に言えば「DON'T THINK IT, FEEL IT !」。「無理しない」を感じた。しかし、今まで全生涯無理しっぱなしのボクとしては、感じる事が出来ても、まだ実践は出来ない。この「無理しない奥義」を体得開眼できるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。


デイケア新聞。
●デイケアにはいくつかのがあって、班に分かれて係活動をする。「茶話係」は月イチのレクリエーション「茶話会」を準備する。「小旅行係」はやはり月イチの外出ツアー(映画を観に行くとか)を企画する。今月はカラオケバイキングなんでボクは行かないッス。カラオケボイコット。そんであともう一個が「新聞係」。メンバー、スタッフから寄稿を募ってB5版の冊子を作るのだ。コレが結構いい内容で興味深い。

●基本はテーマを決めて「夏の思い出」とか無難な話題を募るのだが、フリーな話題を寄せる人もいる。ココには普段トークでは聞けない事が出て来て非常に興味深い。自由時間はいつもガンプラ作ってるガンダムさん(仮名)は、新型新幹線に関する渾身のコラムを綴る鉄道オタクであることが判明し、しかもトゥーンタウンの魅力を思い入れタッブリに綴る重度のディズニーマニアであることが判明した。料理が得意な超メタボ系スキンヘッド、シェフさん(仮名)が実は高校球児の甲子園経験者で、今でも見事なフォークを投げるというコトも判明した。

亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶キャラをマジックで毎回描いてる青年も発見。メガネのヤセっぽっちさんで、ボクの隣でセッセと土偶がサーフィンしてる様子を描いていた(微妙にキモカワイイ)。あ、その土偶キャラ、アナタが描いてたんですか!新聞のバックナンバー見てても毎回登場してくるからナニかと超気になって。でもなんで土偶なんスか?「うーん、別に意味ないんですけど…前、イラストの描き方の本を読んでたら思いついて……確かに土偶キライじゃないですけどね」…不思議だ。今後カレのコトはドグウ青年と呼ぼう。

200px-JomonStatue.jpg
(ホンモノの亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶。ご参考まで。)

●他にも、毛筆で高密度に文字を書き殴ることで読解不明までイッちゃってる文章とか、CGで描かれた不思議なイモムシイラストとか、簡単に看過できない物件が沢山登場する。ココで読むからフツウに見えてるが、病院の外の人が見たら「ヤバい、電波系だ」と思うのだろうか? 土偶も登場するし…。敢えてボクも電波にやられた表現を模索するってのはどうだろうか?

●あるメンバーさんは、もうアパートを引き払って実家へ帰って来いと両親がプレッシャーをかけてくる、障害者のレッテルを貼られる位なら公費の援助なぞ受けるなと言うと、自分の苦しみを吐露する。公費の援助受けて何が悪いの?とボクなら考えるが、古い世代の人には生活保護を受ける事すらハズカシいと思う人が多いですからね…。今の最低賃金ではフルタイムを働いても生活保護の方がイイ暮らしができるという矛盾社会で、ナニをいまさら…。神経症が精神障害なら夏目漱石は障害者だよ。エジソンだってミケランジェロだって精神疾患を持ってた。障害者のレッテルにナニか問題でも? そしてこのメンバーさんは自分のクリスチャンとしての信仰告白をする。…へヴィだな…。

●ちなみに、今月のテーマは「コワい話」。ボクは渾身の超コワい体験談を寄稿しました。内容は秘密。コワ過ぎるから。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html


久しぶりにマンガ喫茶でマンガを読んだ。
●三軒茶屋で今どき珍しい硬派系のマンガ喫茶を発見した。リクライニングシートはおろか個別ブースもない、フリードリンクさえも種類が少ない、外見がキタナい。でもマンガは多い!そして安い!今後、ボクの癒しスポットにしよう。そこで読んだマンガ。


カネコアツシ「SOIL」第1~7巻

カネコアツシ「SOIL」第1~7巻
カネコアツシ初めて読んだんだよね~。「BAMBI」ヴィレッジヴァンガードのオシャレマンガコーナーに燦然と輝いているのを見て、「コイツはハイプだ。ドント・ビリーブ・ザ・ハイプ!」と思い込んでました。オシャレパンクっぽい画風がね、どうもね…。
●でも、これは清潔なニュータウンに起こる不気味な異変を描くサイコホラー。とある幸せな家族の謎の失踪をキッカケにして、この「そいるニュータウン」に不可解な事件が起こりまくる。第一波では、一見幸福で平穏と見えたこのコミュニティの裏側に潜んでいた、主婦たちの偽善と陰湿なイジメがとうとう露見して街が混乱するサマ。第二波は、中学生たちが大人たちの理解を超える行動を起こしてさらに街を混乱させ、集団的ヒステリーに陥っていくサマ。平和な郊外都市の秩序をひん剥いて、そこに潜む欺瞞を引きずり出す作家の意図は、まさにパンキッシュ。
●しかしそれは、事件の本質とは関係ない表面的な問題。事件の本質に迫る第三波の異変は、もはや完全に理解不能なオカルト現象。縄文時代までに遡るこの土地にまつわる因縁が、様々な混乱によってこじ開けられた時空の裂け目から噴出、街全体が異空間に飲み込まれていく。地球には存在しない成分を含む塩のカタマリ、奇形成長する植物、街に現れた昭和の殺人鬼、地下に監禁されている謎の男……。異常事態のレベルがグングン上がっていく。やーもっと早く読んどけばよかった。


橋本以蔵/たなか亜希夫「軍鶏」第20~25巻

橋本以蔵/たなか亜希夫「軍鶏」第20~25巻
●親殺しの前科を持つ少年院上がりの男、ナルシマリョウ。少年院で出会った空手で驚異的な才能に覚醒し、その徹底的にダークでエゲツないキャラクターで、オモテもヤミも引っ括めて格闘界を引っ掻き回していく。この20~25巻では掲載誌を講談社「イブニング」に移して、やはり天才的な身体能力を持つ元バレリーナ・トーマとその彼を支える格闘家たちの、ナルシマリョウとの対決を描く。イノセントを象徴するトーマと、凶悪なダークヒーロー・リョウ。性質を異とする者の戦いが始まる。
●コレ、知らなかったんだけど、原作者・橋本以蔵と作画・たなか亜希夫が著作権を巡って裁判沙汰になっていたという。たなか氏は「橋本さんは連載当初に大ざっぱなあらすじが書かれた原稿しか出しておらず、ストーリーやキャラクター設定、せりふなどすべて自分が行った」とし「『軍鶏』は自分が単独で創作した作品」と主張。コレで双葉社「アクション」の連載が中断、気付いたら講談社「イブニング」に引っ越ししてた。装丁も今までとガラリと変わってる。でもマダ橋本以蔵のクレジットは残ってるんだね。内容もエグイが作品の周囲もエグイ。



●今月も、職場関係者、職場を去った後輩たちから、メールや手紙をもらった。うれしいもんだ。ありがとう。

オグシオ負けちゃった…。
●昨日の相手はデンマークのジェダイマスターだったが、今日の相手は中国の孫悟空だった…。なぜオンナノコなのにスポ刈りなんだろう。徹底的に強かったわ。「地球のみんな!ゲンキをオラにわけてくろ!」ってくらいに強かった。
●一方世界ランキング1位の中国ペアを破ったもう一組の日本代表に、早速「スエマエ」という愛称がついてたのにチョイ失笑。オグシオにスエマエ…。開幕以前にスエマエなんてニックネームで呼んでたヤツ誰もいねえ! とってつけたような呼び方すんな!なーんて。

●今日のデイケアでは、「オグシオの試合見てたんで今日は眠いっすよ」という人が多かった。ある新顔のメンバーさんとオグシオトークで盛り上がり、「今あのバトミントンのミニワンピース&ノースリーブなユニフォームをコスプレで作って、キャバクラで『オグシオデー』やれば絶対大成功する」という意見で意気投合した。また「あんなカタチで公然とカワイいオンナノコの脇の下を見られる状況って貴重ッスよね」という意見でも合意した。あーバカっぽいハナシですいません。


●横浜の病院に通う時、小田急線の車窓を眺めてると、沿線の駅前に40%の割合で TSUTAYA が見える。この沿線は TSUTAYA に支配されてるのかってくらいに沢山見える。TSUTAYA によるエンタメ帝国主義がこの日本に闊歩してる。沖縄の那覇からクルマで3時間北に上がった所で巨大な TSUTAYA が煌々と輝いていたのを見つけた時は、半ば感動して写真撮影しちゃった。こんなトコロにまで TSUTAYA かよ! 一方、TSUTAYA が撤退してしまったシモキタザワは、この意味でもインディペンデントなサブカルチャー地帯といえる。
●とかいって、今通ってる病院の駅前の TSUTAYA が、前日のメダル成績に応じてポイント還元を最大10%にするとかいう気の利いたサービスをしてて、しっかりレンタルしまくってるボクである。柔道66キロ級内柴選手のおかげで100円分のポイントゲットだよ。ありがとう、内柴選手!

●そんで、最近見たDVD。


エターナル・サンシャイン DTSスペシャル・エディションエターナル・サンシャイン DTSスペシャル・エディション
(2005/10/28)
ジム・キャリーケイト・ウィンスレット

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「エターナルサンシャイン」
ミシェル・ゴンドリー監督、主演:ジム・キャリー、脚本:チャールズ・カウフマン。今さらチェックなんて遅過ぎるくらいでハズカシいほどのテッパン布陣。
●失恋の痛手を忘れるために、恋人との記憶を削除してしまうサービス。「この手術をアナタの元カノが受けましたので今後彼女に近づかないように」と通知を受けたオトコ。悔し紛れに自分もこの手術で記憶を消してもらうのだけれども、美しい思い出が崩壊していく様に傷つき、「やっぱり忘れたくない!」と必死に記憶が壊れていくのに抵抗を試みる。
「記憶」というテーマを扱うにあたり、記憶が壊れゆく様子の不思議な映像や、時系列が複雑に入り組んだ見事な構成に、アタマがシャキッと引き締まるほど感動。「ラブストーリー」というやり尽くされたカテゴリーに、斬新なアイディアをこんなに盛り込む力量がスゴい。さすがミシェル・ゴンドリー&チャールズ・カウフマン。説明するのが野暮なくらいに素晴らしいので、なんも言い足しませんが、00年代映画の個人的ベスト3にランクインです。


ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習<完全ノーカット版>MANKINI水着付BOX(初回生産限定)ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習<完全ノーカット版>MANKINI水着付BOX(初回生産限定)
(2007/12/21)
山寺宏一、

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「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」
●コレはもう胸が悪くなるほど悪趣味なエゲツナイギャグセンスが、テロ寸前の勢いで炸裂するコメディ映画です。カザフスタンのテレビキャスター・ボラットさん(超とんまなオッサン)が、ニューヨークへ出て来てアメリカ生活を取材するドキュメンタリーという体裁をとる、ひたすらカザフスタンのド田舎ぶり&とんまっぷりと、アメリカ人へのキッツイ皮肉をブチカマす内容。
●洋式便器の使い方が分からなくってソコで洗顔するのは序の口、トランプタワーの麓の垣根で野グソしちゃったり、高級ホテルの廊下&ロビーを毛むくじゃらの全裸で疾走していく様子は、見てるコッチが「もうヤメてくれー!」と言いたくなるほど。アンティークショップでは、間寛平のジジイキャラ並みにスッコケまくってビンテージな食器を破壊しまくるなど、メチャクチャをしまくる。
●フェミニスト団体の硬派なオバさん達の所に行って「カザフでは女性の脳ミソは男性より小さいってのが当たり前デース」と無邪気にケンカを売ったり、テキサスのロデオ会場で「イラクのイスラム教徒を一人残らずぶち殺してヤリマショウ!」と演説をぶって観衆をドン引きさせたり、超保守派キリスト教原理主義(進化論は間違ってる!我々はサルから生まれたなどあり得ない!)の集会に混じって、ガンガンに盛り上がったり。
●ボラットはニューヨークからロスまでポンコツアイスクリームバンで大陸横断をする。もはや完全なロードムービー。70年代ロードムービー「イージーライダー」の主人公キャプテンアメリカは、南部の保守系住民に撃ち殺されたが、ボラットはそのディープ南部の超保守派コミュニティに土足で上がり込んでいく。ヤツはかなり狂ったオトコだけど、ヤツが取材する所もアメリカのやや極端な一面をかいま見せる現場ばかりで、ボラットの狂気のウラにアメリカの狂気もほのめかす。大爆笑しながら、アメリカの偽善、アメリカの矛盾をのぞく事ができる。マイケル・ムーアで爆笑できるなら超おススメです。

北京オリンピック開幕。
仕事でもなけりゃ1ミリも関心のなかったオリンピック。今年はワリと粛々と見てます。…というより、コドモたちに見せてるって感じ? 中国って国がどんな国か見せたいし、世界中から集まる様々な人々、肌の色も髪の色も瞳の色も違う人々のリアルな姿を見せたいという意図がある。
チャン・イーモウ監督演出の開会式、楽しかったです。ボク、チャン監督のファンだから。「紅いコーリャン」を初めて見たのはもう15年近く前の事。「紅夢」「秋菊の物語」も大好き。今のドメジャー路線もキライじゃないけど、昔の土臭いスタイルがよかった。

紅いコーリャン [DVD]
(「紅いコーリャン」1987年)

●とか言って、たった今まで、女子バトミントン・オグシオペアの初戦を、超ハラハラしながら見ちゃった。今までそんなにカワイいとか思った事ないけど、やっぱプレイするとスゴいわ。時速300キロのスマッシュをバシバシかます2人。で、シクッた時に「ダイジョウブ!」と笑顔を見せるシオタがカワイいのよ!オグラ「ごめーん」って顔すんのがカワイいのよ!惚れました♥
●で、相手がデンマークのコワい顔したお姉さん。彫りの深さと漆黒の髪・瞳・ウエアが完全にゴス系で、ラケットを握る構えが完全にジェダイマスターに見える。ライトセイバーをヴンヴン振り回してるみたいで恐ろしい。同じ構えをしてるのに、オグシオはジェダイマスターにならないのは何でだろ? やっぱカワイいからか? デンマークの暗黒のフォースを見事ハジキ返して彼女たちは勝利したが、明日は世界ランク3位の中国ペアと対決だって。キビしー!




帰ってきた、サザンオールスターズ再聴キャンペーン。とうとうラス前です。

今週、サザンの最後のシングルが発売されました。まだ買ってないけど。
●定価で買うほど裕福じゃねえボクだから、レンタル落ち100円になるまで買いません。ともかく、30年お疲れ様。さようならーサザン。で今日ボクが立ち向かうのは、結果的にラストアルバムになった「KILLER STREET」正直ちょっとコレにはウンザリ。

サザンオールスターズ「KILLER STREET」2005年。
●ラストアルバム「KILLER STREET」2005年。
最後の超大作アルバム。コレがデカイ!まるでスターウォーズにでてくるデススターのようにデカイ。で、難攻不落だわ。だって。単純に2枚組29曲って分量ってだけでヒクってのに、40分弱のメイキング映像、豪華ブックレット&クワタ自身のセルフライナーノーツ完璧曲解説までついているんだもん。手に負えないよ!

クワタを聴け! (集英社新書 380F)クワタを聴け! (集英社新書 380F)
(2007/02)
中山 康樹

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●一方、副読本として読んで来た「クワタを聴け!」では、著者・中山康樹さん、このアルバムを酷評。「サザンによるサザンの縮小再生産」とも言うような勢いで、進化の止まったサザンをコキ下ろす。ボクはそこまでヒドい事言いたくないけど、確かにこのアルバムは巨大過ぎるワリに焦点が定まらない。オモシロい聴き所が掴みづらい。
●実はね「KILLER STREET」はリリースの瞬間ゲットしてました。発売直後のドームツアーまで行ってます。でもね、CDは1回しか通して聴けなかった。ライブでも新曲部分は盛り上がれなかった。なんだかマジ胃もたれなんだもん。正直、コレだ!って印象の曲も少ない。前作「さくら」に続き、サザン滅びの序章が聴こえてくる…そんな空気が漂っている。だから「活動休止」のニュースを聞いた時も驚かなかった。やっぱ、もうダメだって本人たちも気付いていたんだな…と感じたまでだ。
●しかし、ソレはソレ、今はココロを真っ白にして全ての偏見を消して音源に臨みます。


まず、ジャケからチェック。「キラー通り」ってのはご存知の通り「外苑西通り」の通称。
●簡単にいうと、原宿青山あたりの裏ッカワを走る道路。そのまま南に行けば西麻布そして広尾へ、北は国立競技場と東京体育館の間を抜けてから新宿と四谷の間、富久町まで。そもそもなんで「キラー通り」っていうんだろうね?それは今度タクシーのったら運転手さんに聞いてみよう。
●ほんで、神宮球場や日本青年館があるあたりに、「VICTOR」と書いてある窓のないビルがあるワケです。夜中深夜タクシー帰宅する度に、この建物とボンヤリ光る「VICTOR」の文字を眺めながら原宿方面に抜けて行くのを思い出します。スゲエ昔には「アルファレコード」のマークだったような…。とにかく、この建物は東京の中でも歴史のある大きなレコーディングスタジオってワケ。
●この「ビクタースタジオ」サザンの根城としてこのアルバムが制作されたってコトで、ビートルズがスタジオの前を通る道路の名をアルバムタイトル「ABBY ROAD」に使った故事をモジリ、彼らのスタジオの前の通りをタイトルにしたってコトですね。同じ横断歩道がモチーフだしね。

ビートルズのラストアルバムとなった「ABBY ROAD」

実質上ビートルズのラストアルバムとなった「ABBY ROAD」「LET IT BE」と比べて録音時期では「ABBY ROAD」の方が後)。それをもじった「KILLER STREET」サザンの最後のアルバムになるとは、妙な因縁を感じます。


DVDはね、撮りっ放しのナレなしMINIDV映像だけど、見応えあります。

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クワタ氏が、サザンの音楽頭脳として曲のイメージを明確に示す様子がスゴいです。細かいデティール、ニュアンスをメンバーやサポートミュージシャン、レコーディングスタッフに素早く具体的に機関銃のように指示して行くのです。ほおおー。やっぱ、クワタあってのサザンなんだなー。
●で、その指示に対してメンバーたちの反応するスピードも速い。ベースのフレーズ、ドラムの細かい強弱に注文がつくと、即座にそれ以上のアイディアを盛り込んでリアクションする。ギター小脇にクワタがハナウタを歌えば、スタッフがそれを即座に採譜する。クワタがコード進行をイジクれば、全員が自分の演奏に瞬間的に反映させる。まだ原型もない曲がその場でカタチと輪郭を得て行く瞬間。コレが30年もの積み重ねの呼吸なのかと思い知るわけです。
●ちなみに、いつのまにかギター大森が姿を消しました。脱退しちゃった…。なんで? 代わりに準メンバーという勢いで活躍するのは斎藤誠さんと言う人。クワタソロ「ROCK AND ROLL HERO」で大活躍したギタリストっす。


クワタ自身の曲解説も異例。

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桑田佳祐自身によるセルフライナーノーツがスゴく充実してる!自分の関わった作品の事について、ここまで逐一コト細かく語った事って今まであったろうか?しかもかなりマジトークのハグラカしなし。誰がどんなギター(ギブソンレスポールカスタムとか、フェンダー59年型オールドテレキャスターという名詞が出てくる)を弾いたか、Bメロのハラボーのプレイがイイとか、作り手らしい職人視点がスゴいです。つーか、こんくらいのガイドがないと、この29曲に押しつぶされる気分です。録音時期の幅も広く、1999年9月から2005年4月まで分布。3年も前に発表したシングルまで収録されてる。


さて、いざ音源と対決だ。CDをプレイヤーに乗せる。

●ディスク1。前半戦。

1曲目「からっぽのブルース」サザンのアルバム一曲目はいっつもギターが炸裂するハードなロックが多かったんだけど、今回はグニャグニャとしたブルースロック。クワタ氏自身のライナーによれば「サイケデリックなラーガ風のロック」とのこと。タブラまでがポコポコ鳴ってます。「ラーガロック」なんて言葉を普段から使ってるんだ…。仮タイトルが「CSN&Y」だったって逸話からも、span style="color:#FF0000">ボクが勝手にイメージしてた<重度なロックマニアなクワタ像が、まんまホンモノだったと感じれたコトにチョッピリ感動。でも曲単品としてはヒネクレ具合が絶妙すぎて、胃もたれするんです。

2曲目「セイシェル~海の聖者~」セイシェル諸島はインド洋に浮かぶ小さな島国。マダガスカルの北、タンザニアのトイ面、アフリカの仲間なんでしょね。クワタ氏ライナーでは、ハラボースワンプロック/デルタブルース風なピアノプレイが聴き所とはあるけど、そんなディープサウスのルーツ音楽を洗練させた70年代西海岸AORを、さらにジェイポップ化した自然讃歌。

3曲目「彩~Aja~」STEELY DAN の名譜タイトルを連想させる曲名で、そのイメージのままサビ前までは硬質なAOR風味が爽やかなんだけど、サビでキチンとジェイポップに着地する律儀な職人根性。シングルらしいですが、味が薄いのでボクにはどうでもイイ。

4曲目「JUMP」。ライナーにある通り、SLY & THE FAMILY STONE 後期を連想させるミドルテンポファンク。ファンク手法はサザンの強力な武器だったが、ココまで露骨に王道ファンクを鳴らしてみせたのは初めてじゃないか? 歌詞は中途半端な励ましソング。ボクに励ましソングは意味がない。元気の底が抜けてしまっている病人だからだ。ホント今の世の中、煮ても焼いても食えない励ましソングでイッパイだよね。ラップやレゲエの人までさ。そんなので励まされるヤツは最初っから痛んでないっつーの!

5曲目「夢と魔法の国」。「夢と魔法の国」と言ったら、ディズニーランドでしょ!ボクも好きですよ。ワイフもコドモも大好き。この曲はそのファンタジーを歌うかと見せかけて、せっかく休み取って遊びに来たのにマナーの悪い客にムカムカ腹を立てるオヤジの気持ちを、100倍位大げさなギターロックでウダウダ呻き続けるモノ。サウンドの狙いは NEIL YOUNG & CRAZY HORSE の轟音ロック。それをある意味しょーもないほどミクロな怒りを増幅するのに使った根性曲がり。

6曲目「神の島遥か国」サザンは色々なアプローチで沖縄にまつわる楽曲を作って来てて、そのどれもがイイ曲ばっかなんだけど、ポップソングとしてまとめたオキナワアプローチとしては最高の出来。で、この2枚組の中で最高の出来でもあるかも。ニューオリンズのセカンドラインファンクが、沖縄民謡BEGIN 島袋優が三線で参加)へと変貌、クワタのデタラメラップも含めて陽気で楽しいし、サビのキャッチーさも劇的な展開でダイスキっす。

7曲目「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~」サザン25周年記念シングルとして2003年リリースの曲を、2年も空けてアルバムに入れ込むのって無理があるんじゃない? クワタ氏曰く「70年代初頭のアイドル歌謡曲といった風情を持ったこの曲は、尊敬する筒美京平さんの洋楽へのオマージュを、さらにサザンがオマージュする」という曲らしい。こうして昭和歌謡の遺伝子は、キチンと21世紀ジェイポップの細胞に組み込まれ生き残っていくのだった。そんなウンチクを無視すれば、「海&夏」抱き合わせ、パブリックイメージ通りの王道サザンチューンです。

8曲目「山はありし日のまま」。今回2曲ボーカルをとったハラボーの歌唱一曲目です。NORAH JONES が狙ってる DOWN TO EARTH 路線を目指してオルガン&ピアノが渋く鳴るのですが、でもハラボーのお母さんオーラが放射されると、どうしても子守唄的な和風ノスタルジア気分でイッパイになってしまう。そんな癒し曲ですわ。

9曲目「ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~」。ソロ前作「ROCK AND ROLL HERO」的なテーマの続編の趣が流れる。「負けそうになったら おまじないはいつも Rock'n Roll Superman」。ロックが絶頂期にある時、こんなウタは歌われなかったはず。かつてのロックは絶対負けないから。なのにいつの間に負け犬の為の音楽になったのか。ロックは無敵じゃなかったのか? ライナーで説明されなきゃ気付かなかったけど、ストリングスアレンジが T.REX を目指してるそうだ。T.REX はグラムでありサイケでありソウルだから。後で後期の T.REX を聴こう。

10曲目「BOHBO NO.5」。このアルバム最強のパーティチューン。炸裂するブラスアレンジにハードロックギター、密度濃いリズム、オルガン/ピアノも実はいい仕事。「マンピーのG★SPOT」~「HOTEL PACIFIC」系のライブ映えする曲ね。つまり結局は「サザン再生産」。このアルバム、王道サザンのイメージをナゾるだけの「サザンによるサザンのパクリ」が目立つんです…。ボーボくんとかいうへんなキャラも登場してきたね。このテの悪ふざけにも飽きて来た。

11曲目「殺しの接吻~Kiss Me Good-Bye~」。うって変わってマイナー調ジャズ。イメージは NINA SIMONE だそうだ。妖しいサイコサスペンスな歌詞。

12曲目「LONELY WOMAN」。80年代風ブルーアイドソウルを狙ったこの曲が、クワタ氏のこのアルバム一番のお気に入りという。クワタ氏曰く「ひとり HALL & OATES」ふーん。ドラムはローランド808の打ち込みとのこと。ライナーが詳しくて興味深い事がイロイロわかる。

13曲目「キラーストリート」。アルバム表題曲でありながら。一分強のインスト小品。切ないアコースティックギターが響く物悲しい気分は、イタリア映画のサントラを狙ってるとな。マカロニウエスタン「殺人通りの死闘」と勝手に映画を妄想してみる。

14曲目「夢に消えたジュリア」。この曲の狙いはクワタ氏曰く「昔のテレビ『夜のヒットスタジオ』の雰囲気をサザンで再現しよう」とのこと。ストリングス&ブラス隊含めて34人編成のゴージャスセッティング。クワタの日本歌謡曲遺伝子がドクドク脈打っている。かつての歌番組「ベストテン」「トップテン」などは全部こうしたビッグバンドがバッグで全てのアーティストの演奏を担当してたんだよね。今この手法を取ってる番組は、多分「紅白歌合戦」しかない。もちろんジェイポップアーティストはこうしたビッグバンドには依存しないが、演歌歌手さんは自分のトラックを彼らに今でも任せてる。

15曲目「限りなき永遠の愛」。ディスク1を締めくくる美しいバラードについては、クワタ氏の言葉をそのまま引用しよう。『ロックンロールとは悲しみを大声で歌ったものである』誰かがそんなことを言っていた。同感である。所詮人が音楽に向かう衝動なんて、ある種の『哀しみ』がベースになっていると、私自身、身をもって知っている。今でも私は淋しい時、ギターを手に取る。いい歳こいた、こんなオッサンがである。そして癒される時もあれば、場合によって涙が頬をつたうこともある。普段は人目を気にしつつ、意外と大ざっぱに振る舞っているこんなオッサンですら、である。」サービス精神満載のお祭りオトコ桑田佳祐の秘めた心情吐露。どんなにオヤジになってもセンチなココロは忘れちゃいけないよ。ソレがクリエイティヴの源泉なのだから。


●ディスク2。後半戦。

1曲目「ごめんよ僕が馬鹿だった」。直球のタイトル通り、浮気がバレたオトコがトコトン彼女に謝るマヌケな顛末を楽しいポップチューンにまとめた曲。「いつも本気-honkyって口じゃ言うけれど ただ男って馬鹿だから夢見ちゃうのさ 淫らな誘惑には負けるから」この歌詞にはどうしょうもない真理が含まれていて、この世のオトコは全員1人残らず馬鹿なのだ。

2曲目「八月の詩」。サザンサウンドに 60年代のトッププロデューサー PHIL SPECTOR は重要な影響を与えている。この曲もズバリ彼の編み出したアレンジ手法「ウォール・オブ・サウンド」が採用されている。とはいえ、このPHIL SPECTOR、世界のポップ史に巨大な足跡を残す偉人と見せかけて、相当な変人としても有名。オーバーダブをキチガイのように繰り返す、ステレオの時代にモノラルにコダワルってのはまだ音職人としてマシ、音楽の意見で対立した JOHN LENNON を拳銃で脅す、気に入らない音源はテープを持って雲隠れ、麻薬はもち常習、2003年に殺人事件を起こしてる。アメリカンショウビズ、業が深いぜ。

3曲目「DOLL」。ギター音で構成した奇妙なループとチープなリズムトラックが印象的なこの曲は、クワタ&エンジニア衆だけで制作したプログラミング音楽。ブツブツ女の子が聞き取れない言葉を呟いてるのがこれまた不思議。へんな曲だけに、気になっちゃう。

4曲目「別離」 。イントロが70年代シグマサウンドかと思うような、カッコいいフィリー風ストリングスアレンジで、タイトルと裏腹な華々しさが気持ちイイ。終始ステレオの間を舞い上がる弦楽器に、喉越しサッパリ涼しいねーと爽快感に身を浸す。昔のソウル風に低音を抑えて腰高にミキシングしたという工夫も効果満点。

5曲目「愛と欲望の日々」。映画「大奥」の主題歌、ということで、依頼を受けたクワタがパッと発想したのは70年代ディスコティークの退廃グルーヴ。愛欲と権力闘争が渦巻く「大奥」は、妖しく回転するミラーボールの中で淫らに踊る男女の駆け引きにカブるという。お江戸デカダンスと東京アンダーグラウンドの合体。しかもクラブシーンならぬ、キャバクラシーン的な爛れ感。というコトで登場するのが、サザンお得意のラテン歌謡グルーヴ。このアプローチもやり尽くしてるっちゃーやり尽くしてるけど、それとは関係なく「大奥」が観たくなって来たのは正直な気持ち。

6曲目「Mr. ブラック・ジャック~裸の王様~」。はい、このアルバムで2番目に好きな曲です。セルフライナーによると、ブルース進行というルールとギターリフ、メロディだけ決めて練習もせず一発勝負のセッションをそのまま採用。ウタ入れを含めても録音時間なんと20分。野蛮なセッションの息づかいがリアルです。間奏に流れ込む瞬間に「間奏!」って叫ぶクワタがまたカッコいい。この間奏の後半だけにオーバーダブで打ち込みパルス音を挿入。でもよりロウな感じになってて実にカッコいい。曲の途中でスネアのスナッピーが切れたらしいが、セッションは続行。だから前後でスネア音が変わってるそうな。

7曲目「君こそスターだ」。なんかクワタソロ「波乗りジョニー」とデジャヴして聴こえるんだけど…。いや、ドコが似てるって訳じゃないんですが。でもやっぱ「サザン再生産」だと思う。CFタイアップ&アテネ五輪応援ソングという位置付けということで、サビ15秒から発達した曲。だからサビだけ抽出すると痛快で超前向きな曲調。なんだけど、丁寧にリリックを追ってみると、実は「ボクらはスターになれる!」と思い込んでいた青春の季節を懐かしむ、どこか物寂しいリリック。サザンの青春は終ったのかな…。

8曲目「リボンの騎士」。ブラックジャックに続いてリボンの騎士……。クワタ手塚治虫ファン? 多分関係ないな…。今作2曲目のハラボーボーカル。メロウなピアノとチープな打ち込みループにメランコリックに響く彼女の声。「私の濡れた秘部に挿入て」とキワドい歌詞を歌わせるが、どんなリリックでもイノセントに歌唱してしまうのが彼女のフトコロの深さ。

9曲目「愛と死の輪舞」。ボードヴィルスタイルのキャバレージャズ。ライナーによると GEORGE MARTIN ごっこがしたかったとな。途中で3拍子に変調する所なんてズバリ後期 THE BEATLES っす。でもそれだけ。

10曲目「恋人は南風」。クワタ氏のライナーを引用すれば「60s風サザンソウルのこの曲は、来チャスブラザースやウォーカーブラザースとか、本場のソウルを自分達なりに加工したブルーアイドソウルの人たちの曲が、当時の日本に輸入されて、それがごこかのGSがさらにまたパクっちゃったみたい…」とのこと。憧れの原型をねじってねじってねじり切って、完全なサザンサウンド=ジェイポップに引きずり下ろす作業ってのを、いつもクワタ氏はトコトン追究している訳ですな。でも曲としては凡庸…。かつてサザンが大躍進した80年代には、博覧強記の洋楽知識と、遺伝子に刷り込まれた歌謡曲センスのハイブリットをこなせる天才はクワタしかいなかったのだけれども、90年代以降は純粋洋楽志向のキッズ(渋谷系)が堂々とシーンを闊歩するようになって、00年代のサザンはオールドウェーブになってしまったのかも。

11曲目「恋するレスポール」。ライナーでぶっちゃけてますが、ソロ作「ROCK AND ROLL HERO」のコボレ楽曲だったそうな。サザン流にポップスとして味を薄めても、ゴーゴーダンスなクラシックロック的デティールは、「ROCK AND ROLL HERO」だけじゃなく KUWATA BAND すら連想させる。本気出せばもっとイタナいオヤジロックになる。

12曲目「雨上がりにもう一度キスをして」。この曲だけ雰囲気違うなーと思ったら、録音開始時期が1999年だって。もはや「さくら」~「TSUNAMI」時代じゃないか。6年も寝かせた曲まで引っ張り出すほどサザンはピンチだったのか?もはや自己革新能力を失ってしまったのか?滅びの音が聴こえるのよ。

13曲目「The Track for the Japanese Typical Foods called "Karaage" & "Soba"~キラーストリート (Reprise)」。ヘンテコなシンセが誘導するテコテコテクノポップをベースに、ビクタースタジオのソバにある「丸屋」というソバ屋さんの唐揚げ定食が素晴らしくウマいことクワタが妙なラップで歌う。多分、毎日のように出前を取ってたんでしょう。「丸屋」は、これまた有名なラーメン屋「ホープ軒」の徒歩一分の所にある…と歌詞で叫んでる。ボクは、友達がホープ軒のコッテリラーメンを食って腹を下したというハナシを聞いて以来、この系列のラーメンを食った事がない。…全然関係ないねこのハナシ。でもこんくらいバカっぽく突抜けた曲の方が「サザン再生産」楽曲より楽しいっす。

14曲目「FRIENDS」。8分24秒、サザン史上最長の楽曲。岸谷五朗から、彼が率いる劇団ユニット「地球ゴージャス」への書き下ろしをお願いされて制作したものという(ちなみに岸谷サザンの事務所メイト)。で、スゲえプログレッシブな工夫があるのかなと思いきや、その期待は50%程度しか応えてもらえなかった。抑制したボーカルの涼しい序盤に始まり、確かに4分過ぎから大合唱コーラス&ロック魂各パートソロ交換へと激しく展開するんだけど、そこまで。もっと爆発してほしかった!

15曲目「ひき潮~Ebb Tide~」。とうとう最後の曲。切ないアコギとストリングスにコーラスが、別れのラブソングを色添え。別れのウタにも一種の乾きが漂うのは、クワタが歳をとったセイか?昔はもっとアブラッこかったよね。でも、そんな無常観は成熟ととってもいいんじゃない。波の音のSEでコーダ。



ふうう、疲れた。お次はこの前後に発表されたアルバム未収録曲。


「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~ : 雨上がりにもう一度キスをして : OH!FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~ : 恋人は南風 : 経験II」

●「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~ / 雨上がりにもう一度キスをして / OH!FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~ / 恋人は南風 / 経験II」2003年
サザン25周年記念シングルってことなんだけど、5曲中3曲がアルバムに吸収されました。オマケに、「ドクダミ・スパーク」ってのは50秒ほどのインタールードみたいなモンで、100%天然のドクダミを使った清涼飲料水のCMソングになってます。「ビックリするくらいマズい!強い臭みもバッチリだね!吐くまで飲もう!」だって。もう一曲の「経験II」はギターロックだけど時々来襲するどうしょうもうない下ネタソング。


「彩~Aja~ : FRIENDS : 夢見るアニバーサリー」

●「彩~Aja~ / FRIENDS / 夢見るアニバーサリー」2004年
●アルバム未収録は「夢見る~」1曲。癒しのハラボーボーカル。サザンの活路は実はハラボーにあるんじゃないか? 既存サザンとは全然違うアプローチの可能性が広がる。だって風味堂とかとコラボしてんだよ!でも活動休止になってから言っても遅いってか。


「愛と欲望の日々 : LONELY WOMAN : イエローマン~星の王子様~ (LIVE at デイファ有明) : ラチエン通りのシスター (LIVE at デイファ有明)」

●「愛と欲望の日々 / LONELY WOMAN / イエローマン~星の王子様~ (LIVE at デイファ有明) / ラチエン通りのシスター (LIVE at デイファ有明)」2004年
●ライブヴァージョンを二曲搭載。シングル「イエローマン」は打ち込み主体のビッグビート風でビビり、気に入りもしたが、ライブではフツウのバンドサウンドになってて残念。「ラチエン通り」は古過ぎてイメージすらできない。今聴かせる曲かな?


「BOHBO No. 5 : 神の島遥か国 : ブルーライトヨコハマ : リンゴ追分」2005年

●「BOHBO No. 5 / 神の島遥か国 / ブルーライトヨコハマ / リンゴ追分」2005年
●アルバムに収録された前半に対して、後半は日本大衆歌謡史ビッグチューンのカバー。しかし「ブルーライト~」は安いテコテコダンスミュージックにされちゃって、原曲の持つ湿り気をさっぱり完全脱臭してしまった。そんなことして意味があるカバーか?歌ってるハラボーもどうしたらイイか分かんない感じ。こんなのは松浦亜弥島谷ひとみがやればイイアプローチだって。
●一方クワタが挑戦するは、美空ひばり「リンゴ追分」。ジャズコンボのクールな演奏で泥臭い昭和の匂いは拭い取られたが、クワタの塩辛いボーカルから立ちのぼるブルースを、より輪郭を浮き立たせる結果に。このカバーは大成功。お見事!


「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~ : BREEZE : 太陽に吠える!!」2006年

「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~ / BREEZE / 太陽に吠える!!」2006年  
●大作「KILLER STREET」から一年置かずにリリースされたシングル。「DIRTY OLD MAN」=「汚いオヤジ」。自虐のつもりなのか、クタビレ具合がかなり濃く漂うリリックは、サザンを支えきれなくなったクワタの悲鳴か。しかしサウンドはやっぱり王道の爽やかなサザン再生産。サザンというフォーマットではもう進化不能とクワタ自身もとうとう観念するのかも。ここでリリックを一部引用。この侘びの境地にだけこの曲を評価する。耳触りがいかにジェイポップでも、コレはクワタのブルースなのだから。
 
 「哀泣き笑い 時代は流れた 強者達の夢の跡 
  あの日の熱い僕はもういない 燃え尽き…死んだはずさ
  いい人だねと皆に言わせて 無邪気に道化を演じてる
  妬みと見栄の虚しい毎日 今宵も…泣いてホロリ
  泣き濡れた墨は 惨めな DIRTY OLD, DIRTY OLD MAN
  夢のような過去が 巡るよ MERRY-GO, MERRY-GO-ROUND …」


●カップリングの「BREEZE」JACK JOHNSON 的なアフターサーフをイメージしてたらしい。確かにクラシックなフォークロックとは違う新味がある。脱力したボーカルとレイドバックしたヨコ揺れグルーヴは、今までのサザンにはないモノ。
●その一方で「太陽に吠える!!」は完全にドラマ「太陽に吠えろ」70年代サントラグルーヴ、つまりは大野克夫「太陽に吠えろ」「傷だらけの天使」「寺内貫太郎一家」などのサントラを手がける。元ザ・スパイダーズで、沢田研二ソロ楽曲の多くも作曲してる)のマネをしてみようという代物です。で、たしかに暑苦しいオルガンが気分を出してます。ラウンジDJが大野克夫再評価してる時、なぜ一緒にサザンを再評価しないのだろうか?とボクは時々不思議に思う。確かにレアグルーヴじゃないよ、大セールスを挙げるシングルだから。だけど誰も注目してないと言う意味ではレアグルーヴ。志あるDJは、サザンをフロアへスピンしてみて下さい。



●ちょっとおさらい。ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてます。
 ・第一期:1978年~1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
 ・第二期:1982年~1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
 ・第三期:1986年~1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
 ・第四期:1989年~1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
 ・第五期:1995年~2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
 ・第六期:2000年~2008年 クワタソロ活発化、そして大作「キラーストリート」…。

●よって余す所は、2007~08年のクワタソロと、最後のシングル「I AM YOUR SINGER」のみとなりました。長かった~!アルバム未収録曲をディグするだけで大変だったからね。このシリーズは次回で結末。こんなにシンドイのはもうイヤだから、シリーズもの企画は今後ヤメます。

●過去の関連記事はこちらに。
 「サザン再聴、その8」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080801.html
 「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
 「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
 「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
 「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
 「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
 「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
 「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html


●くそ暑い。でもセッセと病院に通う。ボクが通う横浜の病院は本当に郊外にあるから、目を凝らすと木にセミがへばりついているのがスグに見つかる。カメラに写ったのは一匹だが、この木にはアブラゼミが5匹もいた。

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●そんで休みの今日。足が筋肉痛で、一歩も動きたくない気分だ。トイレに行くのも億劫。コレも昨日の「健康体操」のせいだ。

自律神経失調症とのお付合い(その64)~「デイケア/健康体操」編
●この日はまたしても車中爆睡で、乗り換え駅を降り逃した。気付いたら本厚木すらを通り越して、聞いた事もない駅にいた。不眠気味で朝4時には起きちまうから、電車の中で爆睡してしまう。寝るべき時に寝られず、寝るべきじゃない時に眠くなる。

●そんな遅刻で滑り込んだこの日の「精神科デイケア」午前のメニューは「健康体操」という代物である。当然事前知識はなんもない。ナニが起こるんだ? 運動療法士というこれまた初めて聞く肩書きのセンセイがやってくるという。見たら首から手ぬぐいを下げたガッシリしたオジさんだ。簡単に形容するとアニマル浜口さんのようである。白髪混じりの五分刈りで、ニマッと笑うとスキマだらけの前歯がのぞいてオバケのように見える。
●みんながイスで丸く輪を作って一人一人座るフォーメーションを取る。デイケアのメニューにはそれぞれ机&椅子配置のフォーメーションが決まってて、メンバーさんは全自動でそのフォーメーションを作る。新参者のボクにはそれが理解出来てないからいつも困惑させられる。でもイスに座ってやる運動ならたいしたコトないだろう……。アニマル先生「さあ今日もよろしくお願いします。はい深呼吸からやるよ~」……。

とナメてかかったら、ボロボロにされた。
●最初はイスに座ったまま「腕まわして!肩まわして!首まわして!」という程度だったのが、「はい、前に正拳付き120回!右60回左60回だから大丈夫だね!」「イスを後ろ向きにして、そこで腕立て伏せ!20回!そこから休まずスクワット20回!コレを5セット!」ぐおーキッツー!ボクは面食らって隣のバタコさん(仮名)に聞く「毎回こんな事してるんですか?」「ええ、本気でやるとキツいですよ。出来なかったら手を抜いて下さい」確かにマトモについて行けてる人は少ない。大型メタボ体型のガンダムさん(仮名)は「ハイ自分のつま先触って!」の段階でハラが邪魔してヒザ下すら手が届かない。回りのご高齢グループの人も、イスでグッタリくつろいじゃってる。ボク「スクワットマジつらい!」バタコさん「unimogrooveさん、スクワット深過ぎ!ソレは大変!」くそ、加減ってモンがわからない…。アニマル先生「はい、最後は空気イス!ラジオでサザンがかかってるね、この曲が終わるまで頑張ろう!」FM横浜、ほぼフル尺で「勝手にシンドバット」OA。こんなにサザンの曲が長いと思った事なかった。


アニマル先生の鍼灸治療。
●この横浜の精神病院では、申請すれば鍼灸治療も受けられる。保険はきかないが東銀座まで通っているセレブ系鍼灸院に比べれば5分の1の価格だ。時間は20分程度と決まっている。東銀座は症状に応じて先生が納得いくまでやってくれるんで2時間くらいは当たり前。時間単価は実はあまり変わらないのだが、とにかくこのリーズナブルな鍼灸もチャレンジしたかった。で、その施術者ってのが、このアニマル先生なのだ。
●スタッフさんに聞くと、「ハナシは通してます。エレベータで2階まで行って下さい」と。2階?実はこの病院の中って今だ全容が掴めずナニがドコにあるんだか分からない。入っちゃいけなそうな場所もあるし…。当然2階にナニがあるかなんて全然知らない…。
●2階は、リハビリセンターみたいな場所だった。緑色のカラーで統一されたトレーニング器具が一杯の部屋。若い女の人が、おバアちゃんに向かって体育会系な大声でテキパキ指導してる。「はい、もう一回腕にチカラ入れて…そう、そして足を立てて…そうすれば腕が楽になるでしょ、足で立ててるってコトよ、この姿勢でイタいとこある?じゃあもう一回最初から!」よくわからないけど、ベッドから車椅子に自力で乗る訓練みたい。一方ではやはり車椅子のオバアちゃんの膝関節を無言で丁寧にマッサージしている人。運動療法士というのは、こういう仕事をする人なのね。

●すると部屋の奥からアニマル先生コワい笑顔でやって来た。「鍼やってみたいってのはアナタ?普段から他の所で通ってるんだって?横浜?藤沢?」いや銀座です…「そりゃ高そうだな!ソコに比べたらココは格安でしょ。まあやり方は全然違うかも知れんが、試しに体験ってトコだな」とニマッと笑う。
●アニマル先生の施術は確かに全然違うモノで、へえ~っと感心してしまった。東銀座では短パン一丁にされて、十本二十本とブスブスさされて全身鍼の山のようにされる。でソコに電気を流してパルス攻撃だ。ボク「あのシャツとかズボン脱いだ方がイイっすか」と聞くと、先生「そのままでいいよ、めくりながらやるから」ほう、なんかライトだな。で実際Tシャツの襟口をモソモソ探って鍼を刺していく。刺してる場面はボクの視界の外(背中&腰&ふくらはぎ)なので、途中まで気付かなかったのだが、アニマル先生は大量の鍼を刺しっ放しにするんじゃなくて、一本の鍼を使ってツボを一個ずつ刺していくのだ。プスッと鍼を刺しては、ソレを筋肉の奥に送り込み、ネジネジひねって刺激する。細い鍼がボクの肩の筋肉の中でしなって肩甲骨の裏に潜っていくのを感じる。快適である。イタ気持ちイイってヤツ?

アニマル先生マッサージだけの施術もやってるらしく、どうやら卓球大好きスマッシュさん(仮名)の施術の時間とボクの時間がダブってしまったようだ。スマッシュさんは卓球のプレイと同じくセッカチな所があるようで、決められた時間が狂うと困ってしまうタイプみたいだ。「ああ、もう診察の時間になっちゃう!どうしよう!」アニマル先生「先に診察いってらっしゃい、終わるまで待ってるから」スマッシュさん「そしたら先生のお昼の時間になっちゃうでしょ」「はっはっは!昼飯の時間なんてあってないようなモンよ。仕事が終わるまでメシなんて食わないよ」結果、スマッシュさんのマッサージの時間は大幅にズレた…。その後一体どんなマッサージが行われたのか分からないが、午後のスマッシュさんはデイケア室のソファで寝込んでしまった。微動だにしないスマッシュさん…。なんか心配。なにがキッカケで具合が悪くなるのか分からないのが我々病人の性質…。


午後は「創作活動」でウチワ作り。
ウチワの骨組みが配られて、各々が自由に紙を張り絵を描くという課題。和紙や色紙、絵の具やクレヨン、ステンシルなどが用意されてて、好きなように作ってイイとのコト。ボクはこのテの工作は得意なので、サラサラリと「ポニョ」ウチワを作ってみた。ヒヨコノマドが喜ぶかと思って。ステンシルでイルカを刷り込み、蔓草のステンシルを波や海藻に見立てた。ポニョはフリーハンドでクレヨン一発描き。裏面を描こうと思ったら、紫の絵の具がデカくシミを作ってたので、逆手にとってクラゲの絵にしてしまった。スタッフワーマさん「unimogrooveさん、絵ウマいんですね」ふふん、テキトウにサラサラやるのはいいんですよ。反対にソレ以上の事はできないんですけど。
●そんで出来上がったのがコレ。裏表。

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●コレをコドモたちに見せると、異常に発奮して自分たちも作ると言ってきかない。たちまち画用紙イッパイにポニョ世界を描いてしまった。


ノマド作品。ポニョと妹たち。クラゲや父親フジモトが乗る潜水艦、ポニョの魔法で現れたデボン紀の古代魚&三葉虫たちがウヨウヨ泳いでる。

ポニョ絵のまど


ヒヨコ作品。コレはポニョが一番最初に家出を仕出かすシーン。黄色い小窓から抜け出して、小さい妹たちをおいてポニョは旅に出る。クラゲにのって広い海に出る。その窓の脇に蠢いていた三葉虫もちゃんと描き込みました。よく細かい所まで観てんなー。

ポニョ絵ひよこ


●くそ、ボクよりウマいな。ソコで今日は絵の具を用意して、ボクと同じやり方でウチワ作りをやらせてみた。

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コレも結構ナイスな出来になった。うーん、パパ負けたわ。ノマドヒヨコの方がウマい。

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●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

●我が家のコドモたちが超楽しみにしてた「崖の上のポニョ」。今日昼の回に観に行きました。

ポニョチケット

●ニート父さんの特権で平日昼間を狙うと、六本木ヒルズの劇場もスカスカ、すっごく見やすい席を確保。予告編で流れる「鷹の爪団」を初めてノマドが見て釘付け。ヒヨコはコワい映画の予告ごとに「コレみるんじゃないよね~」と毎回大声で確認するのでクドい。ヒヨコトイレちゃんと行ったか? 前回は「ラブベリ」の一番いいシーンでトイレに行きたいと言い出し、見事間に合わなかったんだから。


本編の出来は………、もう直球でした。
●徹頭徹尾ポニョポニョしまくる愛くるしい振る舞いに、終始ワイフはウルウル状態だったらしい。確かにヒヨコ級の子供の立ち振る舞いをメチャメチャ細かく観察して、「ねむーい」とか「だーいすき」とか「やーだ」という直球の感情を表すデティールがメチャ作り込まれてる。そのチャーミングさは、子供より子供を育てる親を狙撃するんすわ。やっぱポニョはウチのヒヨコにそっくりだよ!ポップコーンを買ってもらえなくてご機嫌ナナメのヒヨコのホッペをつまんで「眠そうなポニョと同じ顔してるぞ」と言ってしまった。

●で、その「そうすけ、だーいすき、そうすけにあいたーい」という幼い衝動だけで、禁断の魔法を稼働し大津波と共にやって来る少女ポニョの直球な感情が、遮るモノなどナニもない超自然的パワーとして思い切りダイナミックに描かれる。マジで未だかつて「海」というモノをこんな感覚で描いたものなど誰もいないだろう、生々しいイキモノとしての海。海がサカナでサカナが海、そこに住む生き物と海との境目がなくなる世界。海そのものが生きてるんですわ。そんな大津波の上、隆起し崩れる波頭の上を、オンナノコがツッタカツッタカ走ってくる。スゴい。

ポニョが人間になってやって来たら、宗介の町はほとんど水没、海は表情は一変して異次元空間となる。水面近くを悠々と泳ぐデボン紀の巨大古代魚、ポンポン船を魔法で拡大して、そんな海に漕ぎ出す幼い二人の冒険。「ノマド、あんな大っきなサカナが泳いでる海に出て行けるか? プール教室もうちょっと頑張らないとな」

ポニョの父親フジモトやお母さんグランマンマーレ(イチイチそのテのキャラが登場する度にノマドが大声で解説するからハズカシい「パパ、ポニョのママだよ!」)はスゴく謎深い存在だけど、ちっともその由来にはナンも触れないし、ポニョが使ってしまったドでかい魔法がいかなるピンチを世界にもたらすのか(父親フジモトはソレをメチャ焦ってるんだけど)ちっとも説明しない、そんでそんなコトはお構いなしにストーリーは爆走する。
●しかしフジモトはとにかくヘンテコなオジさんだし、マンマーレは優しいお母さんと、一発で分かる。子供にはそれだけの情報で十分。宮崎アニメはいつからか説明的な部分を全部すっぱ抜いて、もうこの世界はこういう作りになってんの!的な強引さがどんどん膨らんできてるような気がする。そのかわり確かにそんな疑問を圧殺する映像のプレッシャーがメチャ高密度になってる。「千と千尋」も「ハウル」も意味ワカンネエったら意味ワカンネエことばかり、しかしそれがどうしたこのヤロウ!という気概が画面から迸る。(世界観が理屈っぽいのが多過ぎンだよ最近は!例えば「デスノート」!)で、終わった時、解釈の自由な余地が子供の心のスキマにイッパイ出来てるわけである。「ポニョのママは、みんなアワブからうまれたっていってたよね」とヒヨコ。「アワブ」じゃなくて「アワブク」な。そんでセリフは「泡」だったけどな。でもヒヨコ、それで正解だ。


●前売りチケットの半券をヒヨコに渡したら、シゲシゲと眺めて「キップまだあったー。またみにいけるね」だって。そこにノマドがエラそうに「ちがうよ!もうアシタまででギリギリだよ!」。ナニ言ってんだキミたちは。チケットは一回きりだよ!こいつらどうもDVDやHDDと区別がついてないんだよな。


●一度、不審者と間違えられかけて、ヤメましたー、と宣言した携帯電話カメラの植物接写シリーズ。実はヤメてませんでした。未発表モノがうんざりするほど貯まったので、季節が完全に過ぎ去る前にお蔵出ししておきます。見ると、その量にアナタも確実にうんざりします。
●何につけて、夢中になると極端な量に走ってしまうのは、ボクの悪いクセで病気の元でもあります。今度こそ本当にオシマイです。

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●最後の一枚は、ヒヨコが作った「菊のハナ」。中央に「きく」と書いてあります。でも最初は間違って「くき」と書いてあったので訂正させました。


●オセロが大流行の我が家。

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●コレが我が愛娘、ヒヨコ。

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●ヒヨコ。ブサイクでもイイ、オンナは愛嬌。愛嬌さえあれば生きて行ける。


今日はマンションの理事会。
●80%ニートのボクにもボチボチやらなくちゃいけないことがある。なんたって理事長だからね。でも管理会社の人たちやマンション住民の人たちと交流が出来てナニかと楽しいモンである。息子娘をマンションに住ませて自分は別の場所に住んでいるオーナーのオジイさん達とのトークは新鮮で、明らかに自分の親世代よりも上の、人生の大先輩と会議で意見を交えるのはオモシロい。
●目下の議題は、来年のマンション部分改修工事の規模を定めることだが、叩き上げの元経営者リタイア組と見えるマチカさん(多分70歳オーバー、アイスココア好き)は「戦争世代のワシらには、この程度の痛みやサビでワザワザ大金かけて塗り直すというのは、抵抗があるんだよね。組合費の無駄使いはイカンよ」と先月からこの主張を繰り返している。
●このマチカさんの考えを覆すのが、今日のボクの任務。この改修工事はマンションの資産価値を確保維持するためのモノで、この2~3年でマンション市場が供給過多になる中では、全面的に実施してたほうが結果的に売却の際にメリットになるはずと説得する。「近所で二カ所新築マンションが建築中です。聞いたことのないデベロッパー、ゼネコンですし規模もウチより小さいと思いますが、大きな視点に立てば今実施中の下北沢地区小田急線地下化事業が地価にどんな影響を及ぼすか予想がつきません。今回を逃せば次の大規模改修は6~7年後、地下化工事も終わって状況は一変してるでしょう。その前に手を打った方がトクです」管理会社のスタッフさんもかなりの熱で、コレでもかってほど細かい見積書を作って説得にかかった。2時間の会議でマチカさん陥落。「わかった、わかった、それでマンションがピカピカになるってワケね、よしやるか」
●この程度の会議ならこなせるのにね。いつになったら仕事させてもらえるんだろう?でも、「あわてない、あわてない、ひとやすみ、ひとやすみ」。



親子DVD鑑賞会。「EARTH」。

アース スタンダード・エディションアース スタンダード・エディション
(2008/06/27)
地球

商品詳細を見る


「コンダクター・渡辺謙」というクレジットは結局意味が分からなかったけど、英BBCが数年かけて撮り貯めた動物の感動映像は大迫力で、ノマドヒヨコはまんまと息を飲みながら画面に食い入った。
●衛星写真を高速再生して、乾期の大地に雨期の湿原が出現する様子を映し出したり、ロシア山中の森林の季節の移り変わりをやはり高速再生して一年の表情を見せるなど、マジで手間暇かけた映像は圧巻だ。

●ロシアの広葉樹林で、カモのヒナが巣から初めて這い出すシーンにヒヨコ大爆笑。5メートルはあろうかという巣穴からヒヨコ同然の赤ん坊が、飛び立つつもりで完全に自由落下する様子がマヌケでしょうがないらしい。翼に成り切らない羽根を一生懸命広げても結局はアタマから地面に激突。でもフカフカの枯れ葉がヒナドリのカラダを抱きとめて、赤ん坊どもはママの後ろについて行くのである。
●赤ちゃんならなんでも食いつくヒヨコは、ゾウの赤ちゃんにも感激。乾期のカラハリ砂漠から内陸の湿地帯まで数百キロを移動するゾウの群れ。ライオンに襲われたりと様々なピンチに「コワいコワい」と逃げ惑う。ヒヨコが逃げたってしょうがないでしょ。
●絶滅寸前のアムールトラは、野生にはもう40頭しかいないという。「ノマド、ノマドの学校の一年生よりも、地球全体のこのトラの数の方が少ないとさ」そして地球温暖化で北極の氷が減り、急速に数を減らしているホッキョクグマの様子も紹介される。広い北極海を飲まず食わずでひたすら泳ぎ、やっと見つけた陸地で狩りに挑むクマ。しかし相手はセイウチの群れ。漂流の疲労と飢えで体重が半減したクマには手に余る獲物。結局狩りは失敗し、群れの前で力尽きてクマは餓死する。

●最後のナレーションでは「現在のペースで温暖化が進めば2030年でホッキョクグマは絶滅する」とのこと。ノマドに一言いう。「2030年ってコトは、ノマド28歳くらいだよな。ノマドはそれまでにイッパイ勉強して地球を救う方法を考えること。じゃなければ、シロクマは絶滅するぞ」ノマド「おし!エコだぞヒヨコ!トイレのデンキつけっぱなしはダメだぞ!」気合いが入ったらしい。

●ボクが小学生の頃には、「ノストラダムスの大予言」つーのがあって、1999年に地球は滅びることになってた。当然子供だからボクは真に受けてたし、80年代東西冷戦下の核軍拡競争はいつか火を吹いて全地球を焼き尽くすだろうと本気で思ってた。1999年、ボクは27歳になってて、その時地球は滅びる。頭の中に常に破滅の不安が刷り込まれていたもんだ。実際予言は大ハズレでノンビリ新世紀がやって来てしまったが、2001年9月11日にそんなトボケた気分は吹き飛ばされるコトとなった。ああコレが21世紀か、新しい戦争の時代だ。この年ノマドが誕生。こんな時代に子供を生むなんて。
●ボクの世代の「ノストラダムスと核戦争の恐怖」にあたるものが、ノマドヒヨコ世代にとっては「今の地球温暖化の危機」なのだ。自分達がなんとかしないと地球は滅びる。そんな刷り込みをさせてもらった。地球の運命はオマエの肩にかかってるのよ。死や破滅の恐怖が、良く生きる為、運命と闘う為の動機付けになるとボクは思う。とにかくオマエの時代は生易しい時代じゃないんだ。クレバーにそしてしなやかに生き残れ。



ちなみに、我が家は今空前のオセロブーム。
●ヒヨコでも勝負できるから、家族四人でチーム戦をしたりしている。ボクには独自の「オセロ理論」ってのがあって、そいつをセッセとノマドに教授している。四隅付近のマスは「ブキミゾーン」といって置く時はスゴく注意しないとスミッコを取られるぞ。序盤は中央の16マスだけで戦って極力外に出ない。相手が外に出たらすかさずハジッコを取って、そこを足がかりに「ハジッコ帝国」を作り上げろ。うんぬんうんぬん。しかしそんなコーチングにも関わらず、油断した結果ババに 60対4 という惨敗を喫してショボンのノマド。
●一方、コドモが寝静まった後、地下の倉庫へのゴミ出しを賭けて夫婦でオセロ対決をしてたりもしている。ちなみに今晩は、61対3 でボクの勝ち。ノマド、ママのほうが無様な負け方してるから安心しろ。


さて、8月になってしまいました。病気を患い休職生活が始まって一年以上が経過…。
●で、ひとつ、スローガンを立てるコトとしました。

あわてないあわてない

「あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。」by 一休
「無理するな」と大勢の人がボクに言うが、ナニが「無理」なのかボクにはわからない。それは昨日のブログでも書いた。……この「無理するな」ではイメージがつかないのなら、なんか考え方を別の視点から見直さないとな~と思ってたら、風呂の中でこのフレーズが湯気のように湧き上がってきた。

●オールドスクールの70年代アニメ「一休さん」は、利口な少年僧が足利幕府3代将軍義満をも舌を巻くトンチと機転とユーモアで、様々な事件を解決するオハナシだ。この言葉は、CMに入る直前のQショットで出てくるお決まりの文句。うん、これだ。この気分が今のボクに一番しっくりくる。
●少年僧「一休さん」よりも、実在した一休さんの方が実は猛烈なヒップスター。戒律で禁じられた飲酒肉食はおろか、オンナノコ方面もかなり活発。70歳代にして盲目の旅芸者の娘にスゴい勢いで入れこんで、あまりの惚れ込みようのあまりスカトロプレイすら躊躇しなかったという。

●ま、ボクにスカトロ趣味はないが、とにかく「ひとやすみ、ひとやすみ」はイイ。もう一年休んでるし。ありとあらゆることに、力まないことにする。



帰ってきた、サザンオールスターズ再聴キャンペーン。

●先日、精神科デイケアカラオケでナニを歌えばイイのだろうと苦悩して体調まで崩しかけたボクであるが、結局しばらくカラオケクラスには顔出さないと臨床心理士の人と打合せをしたので、カラオケ地獄の不安からは解放されノンビリしている状況です。カラオケ一つとっても力んでしまうボクの悪い性質が出てしまったケースね。でももうそんなコトでアタマ悩ませるのヤメますから。
●あの時「ナニ歌えばイイんだ?」と悩みながらiPodで聴いてたのは、やはり敬愛する桑田佳祐&サザンオールスターズであって、その曲の難易度の高さにますますボクのアタマは混乱するのでありました。

●さて、もはや自分の中でもカッタルくなってきたこの「サザンオールスターズ再聴キャンペーン」。そろそろ活動停止前の最後のシングルが発売されちゃうとあって、決着だけはつけようかなーと、再びCDの束に向き合うことにしました。今まで辿ってきたのは結成1978年から2000年まで。

●過去の関連記事はこちらに。
 「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
 「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
 「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
 「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
 「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
 「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
 「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html


●ちなみに、ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてます。
 ・第一期:1978年~1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
 ・第二期:1982年~1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
 ・第三期:1986年~1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
 ・第四期:1989年~1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
 ・第五期:1995年~2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
 ・第六期:2000年~2008年 クワタソロ活発化、そして大作「キラーストリート」…。

●前回のこのシリーズでも描いたけど、第五期(1995~2000年)からサザンの音楽が調子悪くなってきてる感じがするんですよ。評価が難しい。確かに「TSUNAMI」は300万枚売った。でもアルバム「さくら」の内容はパッとしない…。活動休止の遠因もこの時期にあると思う。それに続く21世紀のサザン&クワタもやはりナカナカ微妙。だからこのシリースを進められなかった…。とにかく、どうなるかわかりませんが、今回も中山康樹「クワタを聴け!」を副読本に、悩みながらCDと向き合おうと思います。

クワタを聴け!




21世紀の幕開けはクワタソロ!しかし…コレはサザンの音楽じゃないか。

桑田佳祐「波乗りジョニー : 黄昏のサマー・ホリデイ : MUSIC TIGER : PRIDE の唄~茅ヶ崎はありがとう~(LIVE IN 大阪城ホール)」

桑田佳祐「波乗りジョニー / 黄昏のサマー・ホリデイ / MUSIC TIGER / PRIDE の唄~茅ヶ崎はありがとう~(LIVE IN 大阪城ホール)」2001年
●この表題曲、何の文句がつけられようか。夏の爽やかさとワクワク感が、躍動感あるピアノに誘われてやってくる。もう王道のサザンポップスですよ。
●……でも、ボクが愕然としたのは、「桑田佳祐」というソロアーティストの立場と、サザンオールスターズの一員という立場を丁寧に住み分けていたクワタ氏が、「ソロで王道のサザン」をやってしまった、というコト。サザンの音楽頭脳であり最強のフロントマンである彼が、自分一人でサザンをやれちゃうと言ったらバンドの存在意義ってなくなっちゃう…!もうこの段階で、サザンというバンドがクワタ氏の音楽性を制約するお荷物になり始めてるという印象が、活動停止を目の前にした今からは透けて見えてしまう。最高のサマーチューンなのに、切なく聴こえちゃう。

●三曲目収録の「MUSIC TIGER」フジテレビで放送してた「桑田佳祐の音楽寅さん」関係の曲。思えば豪華な番組だと思ったけど、結局あんま見た記憶がない。だって仕事で忙しかったんだもん。で、半ば即興的に組み上げたロックンロールで、ミキサーコンソールからブースのクワタへの会話なんかも交えてラフな気分で始まる痛快曲。共に番組MCを担っていたユースケ・サンタマリアがヤケクソな間の手を入れて楽しそう。ゆるくてイイです。


桑田佳祐「白い恋人達 : 踊ろよベイビー1962 : あの素晴らしい愛をもう一度~アミダばばあの唄<MEDLEY>」

桑田佳祐「白い恋人達 / 踊ろよベイビー1962 / あの素晴らしい愛をもう一度~アミダばばあの唄<MEDLEY>」2001年
●コドモが出来るまでは、クリスマスなんて面倒なイベントとウザがっていたボク。ま、たいてい仕事してて(しかも年末故にクソ忙しい)チャラチャラ遊んでる連中には敵意&殺意を感じてた。だからこういうクリスマスソングには反射的に無視をしてしまうのが当時のボクだった。
●しかし、コドモもクリスマスプレゼントを楽しみにするようになった近年、ある事がキッカケでこの曲が大好きになってしまった。2年くらい前の平井堅コンサート@東京ドームである。ピアノ伴奏&平井ボーカルだけで、この曲がカバーされた。平井堅の持ち味であるファルセットがドコまでも透き通ってドーム全体に響き続けるのは本当に感動的だった。その瞬間は曲名すらわからず「コレは平井のオリジナルじゃないのは確かだけど、誰の曲かどうしても思い出せない!」と苦悩(そのくらいアレンジ&ボーカルパフォーマンスが原曲と違ってた)、思い出すのに一週間くらいかかった。そんで後日仕事で訪れた京王線の終点駅・橋本の路上で、なぜかアタマの中の電球がピコンと光るように曲名がひらめき、橋本駅ビルにあるレコファン橋本店に駆け込んだ。橋本にレコファンがあるって事にも感動だった。クワタバージョンは、平井堅の澄み切ったファルセットとは違うシャウターなボーカルで、それはそれで味はある。でももう一回平井堅バージョンが聴きたいな。

●このシングルの三曲目は「あの素晴らしい愛をもう一度」のカバー。フォーククルセダーズの名曲ですね。庵野秀明監督「ラブ&ポップ」のエンディングで使われた、主演三輪明日美のド下手カバーが大好きで、その一曲の為にサントラ買いました。「ごくせん」仲間由紀恵もこの映画がキャリアの出発点だったはずです。ずばりルーズソックスな女子高生役で。センセイじゃないよ。
●その名曲をカントリーウエスタンなアレンジで明るく決めた後にメドレーで出てくるのは「アミダばばあの唄」。この曲知ってるか知らないかで世代試される。「オレたちひょうきん族」に登場した明石家さんま扮する悪役アミダばばあのテーマソング。基本はウタがヘタクソなのをそのままネタにしてさんまさん本人が歌ってたんだけど、詞曲はクワタ氏ってのはワリと当時から有名だった。この前800円でさんまさんが歌う7インチシングルが売られてて、買うか買わざるか30分逡巡して我慢した。「タケちゃんマンの歌」も売ってたがコレも苦慮の結果我慢した。


そんで3枚目のソロアルバムが登場。

桑田佳祐「ROCK AND ROLL HERO」

桑田佳祐「ROCK AND ROLL HERO」2002年
●なんというタイトルだろう……。陳腐…。21世紀にもなってロックンロールがヒーロー足り得るか? 当時2002年は「911テロの余波→戦争へ突入」という気分なので、ボクはこのアルバムをあまりマジメに聴いてなかった。あの戦争の前に、ロックはナンも出来なかったじゃないか。
●ただ、今冷静に聴き直して、この愚かなほど直球のアルバムタイトルは、クワタ氏自身が自分のロックを、自分のクリエイティビティの根幹を成すロックの精神を、恥かしげもなく今一度世間にブチ晒す覚悟が込められていたんだ、と理解できた。それはCDのケースを開いた瞬間に分かる。

rnr hero

●CDにプリントされてるのは「ROCK AND ROLL HERO?」という文字。ハテナマークがついてるんだ。彼自身が「ロックがヒーローになり得るか」「自分が憧れてきた過去のロックスターのように、自分もロックヒーローになり得るのか」大いに迷い悩んでいる様子がココに明白に現されてる。
●よって、このアルバムは、ジェイポップの王者になったサザンのボーカルが、余芸でロックスターを気取る遊び気分という性質ではなく、サービス精神でセッセと楽しく働いてきたら意図せずジェイポップの頂点を極めちゃったクワタというオトコが、今一度「オレにとってロックって本当はナンなんだよ、ナンだったんだよ」というオヤジ心の迷宮巡りをする内容になってるわけです。コレは若くて自分のロックに不安もブレもない青年には理解できない心境なんです。「ドント・トラスト・オーバー・サーティ」って言うでしょ。サーティどころか四十を過ぎたオッサンが、ロックにもがく生き様のドキュメントって訳ですよ。

●一曲目「HOLD ON (IT'S ALRIGHT)」から BOB DYLAN スタイル(クワタにとって紛れもなく BOB DYLAN こそ最高の ROCK AND ROLL HERO でしょう)で塩辛く喚くブルースロックでは、自嘲自虐めいた酔いどれオヤジのデタラメ説法が無限ループしてるような醜さを晒される。

 「縁がありゃ僕のステージを観て頂戴 老後の不安に苛まれし御同輩
  年柄年中愛を唄いてナンボ LIFE GOES ON, I'M DREAMING ON
  大きなバストを目で追う僕がいる 都市の片隅に本当の僕がいる
  人間は欲望に負けた己を庇ってナンボ LIFE GOES ON, AND THE THRILL IS GONE」

●そんで二曲目ではタイトル曲「ROCK AND ROLL HERO」。あれだけ憧れたアメリカ(とアメリカンミュージック)が、未曾有のテロの前で迷走していく様子を愛憎まみれた気持ちで眺め、そしてそのアメリカに翻弄される我が国日本の姿勢を憂うメッセージソング。

 「米国は僕のHERO 我が日本人は従順な PEOPLE
  YES, I'M GOING TO KEEP MY FAITH IN YOU ALL THE TIME
  安保ってくれよ LEADER 過保護な僕らの FREEDOM
  YES, I HOPE YOU'LL BE ALWAYS THERE FOR ME ALL THE TIME
  AH, 国家を挙げての右習え 核なるうえは GO WITH YOU
  暗い過去も顧みずに ついて行きましょう…WELL」


●デタラメでネジくれた根性が、自責の気持ちで日本を沈没させるような気分。それでもロックは鳴る。クワタの細胞DNAの中に刻み込まれたロックが回転する。喚き軋み叫び呻く。そしてビートは死ぬまで続く。

●4曲目「影法師」では JOHN LENNONクワタに憑依する。もうイントロ一発目の「ベイベェ~!」JOHN LENNON の、混乱した人生を一言で表すようなシャウトが響く。モノマネではないのですよ、憑依するのですよ。5曲目6曲目と聴き進めるほどに、70年代ロックの輝かしい遺産のクリシェが透けて見える。どんどん加速度を増してクワタは自分のロック体験の核心へダイヴしていくのだ。深く深く…。

●そこで登場するのが、シングルになった「東京」。気分をガラリと一転させ、空間をガッと引き締める。正直この曲は最初全然理解できなかった。言っちゃえばこのアルバムで一番キャッチーじゃない曲だもん。ロックですらない。で、なんだ?と何回も聴いてやっと分かった。クワタは歌謡曲のエッセンスを自分のロックに取り入れて独自の音楽世界を作り、結果的にはソレがジェイポップのスタンダードになった。この曲は「ロックに歌謡曲を取り込む」のではなく、「歌謡曲/演歌をロック化」する実験なんだ。完全にメロディ/歌詞世界は演歌、しかしロックギターとタイトなドラムが空間を刻み続ける。世界でクワタにしか出来ない「プログレッシブ演歌」なのだ。そういう意味でやはりこの曲がこのアルバムで最高のハイライトだ。クワタ自身このアプローチは全キャリアの中でココでしか試してない。正座して「日本のロック」を拝聴せよ。

●得意の下ネタソング「JAIL ~奇妙な果実~」が痛快かつ下品に鳴りますが、タイトルだけにはクワタが敬愛する悲劇の女性シンガー BILLIE HOLIDAYの影が見える。「東京ジプシーローズ」もハイテンポかつビターなロックナンバーでありながら、歌われるのはとある売春婦の物語。サザン世界にはイノセントな女性/母親像としてハラボーの存在が燦然と輝いているが、クワタソロ世界にはダークで不幸な女性が棲んでいる。

●10曲目にしてホントに題名通りの「どん底のブルース」が、楽しく朗らかなサザンでは絶対に出来ない、ドス黒く救いのないブルースを超シンプルなアコギ&マンドリンで響かせる。こんなに真っ暗闇な曲はやはりクワタのキャリアにはない。「人間なんて嫌だ」とまで叫ぶなんて。

 「いつもドンパチやる前に 聖書に手を置く大統領がいる 神の名におき正義に酔いしれて
  隣のあの娘が輪姦されて 綺麗なサンゴが汚されても 戦争に赴く基地は安保られる
  嗚呼 みんな見て見ぬフリをして 本当は知っている
  この平和の裏に 愚かな過去があったのを
  嗚呼 人間なんて嫌だ 歌おうどん底のブルース 嗚呼人生なんてショーだ 誰に捧ごう
  もう人間なんて嫌だ 笑おう奈落の底で 愚痴肴に今日も飲もう」


●続く「夏の日の少年」も、スタイルは THE BYRDS を連想させるカントリーロックだが、かつての清らかなクワタ少年が今の自分を見てどう思うのかと言う歌詞にのせ、自虐をほのめかせて薄汚い自分の有様を晒す。アルバム「ROCK AND ROLL HERO」はどんどん「HERO(英雄)」からは遠ざかっていくが、薄汚れたオヤジが鳴らす等身大のロックは、流血さえも伴いながら確実に鳴っている。
●締めくくりの最終曲「ありがとう」は、ロックの毒気がすっかり抜けて漂白されてしまった抜け殻のクワタの姿。ハラボーがつま弾くピアノは、どこか学校唱歌を連想させて、オヤジロッカーは若く優しい母親の元へと、風に吹かれるようにトリップしてしまった。「ロックはヒーローたるか?」という疑問は人それぞれの答えがあるだろうが、この果てしない問いに、もがきあがく行為自体が英雄的行為とも言えないだろうか?



●この時期のシングル&関連曲

桑田佳祐「東京 : EBOSHI RADIO STATION Hits from Coast to Coast (DJ SHANTI) : 可愛いミーナ」

桑田佳祐「東京 / EBOSHI RADIO STATION ''Hits from Coast to Coast'' (DJ:SHANTI) / 可愛いミーナ」2002年
●このシングルは、アルバム「ROCK AND ROLL HERO」に先行してリリースされたモノ。「EBOSHI~」は疑似ラジオ局を装ったインタールード的な50秒。ハードなロック演歌「東京」から甘く優しいラブソング「可愛いミーナ」に切り替えるのには、このクッションが必要なのでしょう。「可愛いミーナ」はやはりサザン的なチャーミングな曲で、「波乗りジョニー」のような、>ソロ/サザンの境界が曖昧になってるクワタの内面を暗示してるよう。


桑田圭祐「TOP OF THE POPS」

「TOP OF THE POPS」(素敵な未来を見て欲しい / 光の世界 / ヨイトマケの唄(LIVE))
●クワタのソロキャリアを総括した2枚組ベスト的アルバム「TOP OF THE POPS」には、オリジナルアルバムにもシングルにも収録されてない曲が何曲か収録されてる。ここで挙げるのは下記の3曲。

「素敵な未来を見て欲しい」
●作詞クレジットが、桑田佳祐&サザンオールスターズ応援団になってる。サザンのファンクラブ会員からネット経由で歌詞を募集して、それをクワタが編集したという企画曲だ。アリガチっちゃーアリガチのアプローチ。出来上がりもアリガチな仕上がり。フツウのクワタソングですね。

桑田佳祐 & 奥田民生「光の世界」
おおおっ!とくる2人のコラボでしょ!ドキッとするでしょ。コレはクワタがかなりの頻度で参加してるAIDS 啓蒙イベント「LIVE ACT AGAINST AIDS(AAA)」第一回1993年度のテーマソング。……でもこのビッグネームのタッグとしては、スケールを大きくし過ぎて密度感の薄い作品になってしまった…。民生の声もそんなに有効に響いてないし。この失敗を乗り越えて、1994年度版テーマソング、桑田佳祐&MR.CHILDREN「奇跡の惑星」という名曲への結実に繋がってる。

桑田佳祐「ヨイトマケの唄(LIVE)」
●オリジナルはあの美輪明宏さん、1966年ですよ。「ヨイトマケ」ってのは、昔々アスファルトもコンクリートも希だった時代、地面を平らにする為に重しを滑車で引っ張り挙げてドッスンドッスン突き固める土木作業員の人たちのコトで、やや蔑むニュアンスを含んだ言葉だった。「貧しい土方」という言葉も歌詞に含まれてて、放送禁止になってしまった過去を持つ。「土方」という言葉は今でもテレビでは使わない言葉だし。でも「ヨイトマケ」って言葉はもうこの歌でしか日本語に残ってないんじゃないのかな。
●この放送されない名曲は多くのカバーバージョンがあり、槇原敬之、大竹しのぶ、泉谷しげる、米良美一、大西ユカリなどが取り上げてる(大竹しのぶってレコード出してたんだ…)。クワタのバージョンは、クセをあまりつけずに歌詞をジックリ含んで聴かせるようなボーカルになってる。そう、この曲は7分近くあるフルコーラス全歌詞を聴かないとホントの意味が分からない歌だし、今の時代には馴染まない言葉も多いから。

●ボクはこの曲を聴いたのはクワタバージョンが最初だけど、やっぱ美輪さんの原曲を聴いてこその「ヨイトマケ」だ。ハッキリ言ってブっとんだ。カバーにはない、凄まじいパワーがある。美輪さんのステージでも2回ほど生で聴いた。美輪明宏というシンガーはシャンソンこそが専門分野だ(別にオーラ診断が本職じゃない)。シャンソンは、いや美輪さんのシャンソンは、一曲が一つの芝居、一人の人物の全生涯を歌い切るテンションのモノ。外来音楽であるシャンソンでそんな世界観を会得した美輪さんは、この「ヨイトマケの唄」で日本版シャンソン(様式ではなく、登場人物の全生涯を一曲の中に歌い込めるという意味で)を実践したのだ。あの人を見くびってはいけません。みんなオーラをもらいにステージを観たり本を読んだりしてるかもしれないけど、下手すると吸い取られる場合もあるんだから。そんくらいの魔力はあるよマジで。

美輪明宏「白呪」1975年
(美輪明宏「白呪」1975年)


●さて、続いては事実上のサザンラストアルバムとなった超大作「KILLER STREET」となるんだけど、これも凄まじい分量を持つモノだから、次回に回します。こりゃラストシングル発売までには間に合わないな。…でも力まないのがテーマだから。そこはユルく。今日はココまで。