ボクの超極私的「SONIC YOUTH」物語、ひいては東京に暮らす小僧の90年代の物語。その続き、21世紀まで。
●先日、ボクなりの SONIC YOUTH 観を綴ってみたのですが、なんかやっぱり分かりずらい。難しいなあ。そして彼らの後半のキャリアは、もっと表現が難しい。でもその難題にまた敢えてトライします。前の記事へはココにリンクしておきます。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080916.html


Sonic1991.jpg

(1991年の SONIC YOUTH。メジャーデビュー直後の頃。)

ちょっとだけ前回のおさらい。それと少々、書き忘れちゃった事。
●バンド結成10年目にして初めてメジャー契約(GEFFIN)してリリースしたアルバム「GOO」。それとインディ最後の「DAYDREAM NATION」1988年。と、この二枚こそが「グランジ」、ひいては90年代オルタナティヴロックの引き金になったとボクは思います。「DAYDREAM NATION」の一曲目「TEENAGE RIOT」は永遠の名曲。10代の焦燥感をあれほどスリリングに表現した曲はありません。「GOO」はメジャーデビュー盤でありながら陰鬱で非ドラマチックな展開が無愛想。耳慣れない金属質&神経質なギターが、冷めも熱くもならず暗闇の中でひたすら疾駆し続けるような感覚。そのギターの中でボーカルはひたすら無気力。当時のハードロックを代表していた BON JOVIGUNS 'N' ROSES のような親しみやすいメロディもカッコいいギターソロも勇ましいファッションもナニもない、わかりやすいエンターテインメントを剥ぎ取ったロックの現象学的存在を見せつけられた思いに、高校生のボクはただひたすら衝撃を受け、これこそ究極のロックと悟ったのでした。

●次作の「DIRTY」は、ハリガネがビリビリ振動してるのを生々しく感じさせる剥き身のギター音が、ポップス楽曲の体裁さえ整えずにノイズそのものをぶつけてくる凶暴さで耳を貫く問題作。グランジという名でくくられる音楽の最高頂点がココにあります。プロデューサーにBUTCH VIG を向かえて制作。彼は NIRVANA「NEVERMIND」を手がけたグランジサウンドの開発者の一人。NIRVANA にとってもメジャーデビュー盤。しかも SONIC YOUTH と同じレーベル GEFFIN
●そもそも SONIC YOUTH の連中が、NIRVANA の潜在能力を評価してメジャー契約を何回も後押ししたというハナシもあります。そう、彼ら ASONIC YOUTH は、カセットテープ一本買うカネにも困るほどだった時期でも、全米いや世界中のアンダーグラウンド音楽にアンテナを張り巡らせ、そのバンドへの支援を惜しみませんでした。シアトルの若造バンド NIRVANA はこうして全国区のヒーローになったし、日本のロックバンド、少年ナイフ BOREDOMS を世界に紹介したのもこの頃です。



ボクが SONIC YOUTH のライブを観たのは3回。
●ボクはCDを聴くのは好きだが、ライブに行くのは実に希だ(仕事は別にして)。ナゼならチケット代が高いのと、仕事の性質上、急な用事が入ったりするのでスケジュールが全然読めないという事情からだ。それでも若い頃は何回かトライして、ライブのチケットを無駄にすること三枚目にしてギブアップ。ソレからは、当日券でもなければライブには行かなくなった。だから、同じアーティストを3回も観るってのは、ボクにとってはメチャレアなケースだ。ソレが SONIC YOUTH だ。

一回目はワイフと二人でNHKホール。
●このライブはよーく覚えている。結婚前のワイフがライブ終了後、決然とボクに宣言したからだ。「もう、コンサートには一緒に行かない」そんだけ SONIC YOUTH の音楽は強烈だったというわけだ。余談だが、同じ経験を映画でもボクはしている。「少年汽車に乗る」というカザフスタンの超地味モノクロ映画に連れて行って、「もう映画には一緒に行かない」と宣言された。広大なカザフの大地は白茶けた乾燥地帯なのだろうが、モノクロフィルムに於いては完全な白であり、結果字幕が80%以上読めないという代物だった。特にストーリーもないので字幕は必要ないとも言えたが、彼女はもう懲りたようだった。

●アレは多分まだ大学生だった1994年頃、アルバムにしてメジャー第三弾「EXPERIMENTAL JET SET, TRASH AND NO STAR」の頃だ。このアルバムは前作「DIRTY」に比べて音の感触をサラッと繊細にし、且つ音のスキマに配慮した意味で革新的だった。ノイズで時空間を全て塗りつぶす方向から、スキマを作ってギター一音一音の鳴りを意識している。それでいて緊張感は緩んでいない。シングルにもなった「BULL IN THE HEATHER」や、「TOKYO EYE」といった曲が好きだ。

Experimental Jet Set, Trash & No StarExperimental Jet Set, Trash & No Star
(1994/05/10)
Sonic Youth

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●それでもライブの内容は、「GOO」「DIRTY」の超グランジ路線で重量級のノイズが炸裂。連中はメロディを調子っパズレにかったるそうに歌ったら、とっとと間奏に突入し後は各々がフリーなインプロヴィゼーションに突入し、先が全く読めずいつ終るかも分からない音の冒険に出かけてしまう。お客さんをほぼ無視し、アンプとニラメッコしながらイロイロなツマミを操作して、フィードバックノイズを巻き起こす。特殊なチューニングを施されたギターをたくさん持ち替えて、床のエフェクターをカチカチ操作し続ける。そんで KIM GORDONベースを床に置いてソールがバカ高いハイヒールで弦をゴリンゴリンと踏みつける。その一方で THURSTON は弦とフレットの間にドラムスティックを挟んで、その上からガンガンギターを叩くのです。その間、観衆はそのノイズの音塊を前にして、ただその身を浸らせるしかない。こんな荒業、反則技が許されるんだ……なんて自由なんだ! ロックのお決まり事を全て放棄し、ひたすら轟音を追求する。それはどんなロックよりも過激で自由でカッコいいと思いました。ボクには人生を転覆させるほど驚異的で痛快な事件。ワイフのように予備知識ゼロで連れてこられた人間には、恐怖と忍耐との戦いだったでしょう。

二回目の場所は忘れた。友達と行ったか1人で行ったか?もう会社員だったから1996年頃。
●キャパは1000人強、オールスタンディングのハコ(リキッドルーム?いや違う…?)で、ノリが暴力的で客同士で乱暴にカラダをブツケ合う。ステージや最前列の柵によじ上ってダイブするってのもこの頃にはポピュラーになってました。1993年くらいには、マダそういう習慣はなかったのですよ。あの時に思い出深く感じているのは、名曲「TEENAGE RIOT」でフロア全体が大興奮状態になり、最前列のダイブがより一層激しくなる中、ボクのアタマの上に落ちてきたのが、学生時代のサークルの後輩だったこと。目と目が合ってお互いが「あっ!」と感じた瞬間には、第二波第三波のダイブ野郎が落下してきて二人はあっという間に引き裂かれる。結局声もかけず終いになっちゃった。まあ、声かけようにも名前を思い出せなかったんだけど。当然その後も音信不通です。

三回目は第二回フジロックです。1998年。
●第二回会場は、中央区豊洲、晴海埠頭の隣、ウォーターフロントでベイサイドです。ココのドコが「フジ」なんだとツッコミまくったモノですが、苗場に定着した今となれば、別にたいした事じゃありません。アレはアレでアクセスが格段に楽だから、またやってもらいたいと思うほどだけど、現在の築地市場の移転先として想定されてる候補地になってるんだって。世の中どんどん変わるもんだね。
SONIC YOUTH の演奏はよりエクスペリメンタルになってて、ノイズインプロビゼーションがバリバリ炸裂してた。SONIC YOUTH の音楽に馴染みのナイオーディエンスは少々当惑気味だったけど、そんなヤツらを尻目にノリノリに慣れる事に優越感すら感じてた(笑)。その後に続いた BECK、そしてトリの BJORK も最高だった。BECKBJORK もいずれみっちり語る必要のあるアーティストだと思います。

●当時はアルバム「WASHING MACHINE」1995年と「A THOUSAND LEAVES」1998年の頃。

Washing MachineWashing Machine
(1995/09/26)
Sonic Youth

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この青い洗濯機Tシャツ、もちろん買って着てました。今でもシモキタザワのロックTシャツ屋では、NIRVANAKISS のシャツと並んで売ってます。
「洗濯機」と名付けられたこのアルバムは、バンドの音の転換期となった重要作。今までのキャリアを一度全部漂白洗浄丸洗いした上で、積み上げられた技術を整理整頓し、もはやパンクの影響から遠く離れてギターノイズの可能性にどんどんノメり込んでいった作品。曲も巨大化して、名曲「THE DIAMOND SEA」19分越え。メランコリックなメロディを導入にフワリと俗世から離陸して、ノイズが円盤型の銀河のようにゆっくり回転する、美しい無重力世界に誘われます。型があるようでない、ないようである、確固たる様式とそれを逸脱するブレに美学を見出す「侘び寂び」の精神を、この時期の彼らの音に感じました。「侘び寂びソニックユース」時代の始まりです。

A Thousand LeavesA Thousand Leaves
(1998/05/12)
Sonic Youth

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「A THOUSAND LEAVES」もジャケこそはカワイイですが、内容は全然カワイクありません。「WASHING MACHINE」の路線をさらに突き進めて、全部の曲が緩慢なメロディとギターノイズ実験室になりました。日本語ライナーノーツの解説に「コレは全然売れないだろう。シングルになる曲もないしラジオでかけられる曲もない」的なコトが書かれてました。ポップミュージックの規格からどんどん逸脱していくわけですわ。ベースの KIM GORDON がギターを頻繁にプレイするようになるのもこの頃。トリプルギターのぶっとい巨柱ががそそり立ちます。10分前後の長尺曲「WILD FLOWER SOUL」「HITS OF SUNSHINE (FOR ALLEN GINSBERG)」「KALEN KOLTLANE」が聴き所でしょうか…。混沌です。



メンバーのサイドプロジェクトが活発化。
●結婚した THURSTON MOORE KIM GORDON の間に、1994年愛娘 COCO ちゃんが誕生。KIM はアパレルライン「X-GIRL」の展開を始めた頃で、自分の経験からか妊婦用のジーンズなんてアイテムまで出してました。モチうちのワイフが妊娠した時には購入して使わせてもらいましたわ。

THURSTON は自分のレーベル ECSTATIC PEACE ! を活性化(実は1981年からカセット流通でやってたんだけど、マトモにCDを出せるようになった)、自分のソロ「PSYCHIC HEARTS」を始め、アンダーグラウンドな作品をリリースしまくるようになる。例外を除いてジャケがみんな一緒だったから買いづらくて大変。だからココの物件はちょっとしか買ってない。

Psychic HeartsPsychic Hearts
(2006/03/14)
Thurston Moore

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●ノイズギター侍の LEE RANALDO は、アヴァンギャルド系のミュージシャンと様々なセッションを繰り広げている。地味なようでこの人の実験精神はスゴい。彼の愛器を一本お見せするが、スゴいでしょ、全部で18本弦がついてる。しかもフレットから離れてナナメに飛び出た弦を一カ所に束ねちゃってるよ。どうやって弾くの?
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KIM GORDON も自分のバンド FREE KITTEN を結成。PUSSY GALOREBLUES EXPLOSION JON SPENCER がやってたバンド)の JULIE CAFRITZBOREDOMS、OOIOO の女性ドラマー YOSHIMI、そして PAVEMENT のベース MARK IBOLT根性入った実験的ロウファイサウンドです。MARK はコレが縁なのか、最近の SONIC YOUTH のツアーでは、ギターを弾くようになった KIM の代わりにレギュラーベーシストとして活躍してます。

Nice AssNice Ass
(1995/01/30)
Free KittenYoshimi P-We

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●ドラムの STEVE SHELLY が作ったレーベルは、SMELLS LIKE RECORDS。BLONDE REDHEAD、CAT POWER、THE RAINCOATS、SENTRIDOH、OVERPASS、といった、へええ~っと感心するようなバンドにリリースのチャンスを与えてる。みんなよくやってるなあ。さすがアンダーグラウンドの帝王と呼ばれるにふさわしい活動ぶり。

そんでバンド本隊でもサブレーベルを発足。その名も SYR。多分 SONIC YOUTH RECORDS の略? CDシングルをシリーズでリリースしてるんだけど、メジャーでやる時以上に猛烈なアヴァンギャルドサウンドへ挑戦してる。ズバリな現代音楽のカバーに挑んだり(JOHN CAGE、STEVE REICH、YOKO ONO、GEORGE MACIUNAS など…後半はもう現代美術の人だね)と、ヤリタイ放題。SYR1から始まってSYR4まで買ってチカラ尽きました…。ついていけない…。この前ネットでチェックしたら SYR8まで出てた。ポストロックの重要人物 JIM O'ROURKE とのコラボもココで行われ、コレをキッカケに彼は2000年から2006年あたりまで正式な SONIC YOUTHの一員として活動しました。

SYR 4: Goodbye 20th Century [12 inch Analog]SYR 4: Goodbye 20th Century [12 inch Analog]
(1999/11/16)
Sonic Youth

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「侘び寂び」の完成から、ロックへの回帰。

NYC Ghosts & FlowersNYC Ghosts & Flowers
(2000/05/16)
Sonic Youth

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「NYC GHOST & FLOWER」2000年
●1999年、バンドはツアーの途中で、機材を丸ごと盗まれるという不運に見舞われるんです。さあ大変だ、コイツらの楽器もエフェクターも改造に改造を重ねた世界で一個のモノ、80年代から大事に使い続けたギターたちが全部なくなった。
●ほんで、連中は楽器作り/機材作り(楽器壊し/機材壊し?)から仕事を始めなくてはならなくなった。が、聴き手のボクには音がよりキレイに澄み切って、ノイズの鳴りがキラキラ輝いて聴こえるようになった。もしかしたらココからバンドに合流した JIM O'ROURKE の影響もあるのかな。メロディはさらに素っ気なくなり、完全にポエトリーリーディング、そして宇宙の果てから、または冥府の底から響いて来る深いギターの木霊。表題曲「NYC GHOST & FLOWER」はゆったりと始まりながら大気圏を突き抜けるテンションまで飛躍するダイナミックさに畏怖するのみ。

Murray StreetMurray Street
(2002/06/25)
Sonic Youth

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「MURRAY STREET」2002年
●ジャケのオンナノコのうち片っポは、THURSTON & KIM の愛娘 COCOちゃん。6歳になりました。
●しかしそんなホンワカな話題だけじゃない、またまたバンドには不運が。結成以来ニューヨークのロウワーマンハッタンを根城に活動してきた SONIC YOUTH。当時彼らの拠点となってたスタジオ、通称「ECHO CANYON」は、2001年の911テロで崩壊したツインタワーのご近所で、あの惨劇の後しばらく立入禁止エリアにされてしまったのでした。おかげで作業全面一時停止。MURRAY STREET ってのはグラウンドゼロ近所にあるスタジオが面してる通りの名前。
●ココんトコロの中では比較的落ち着いた作風で静かに聴ける(それでもやっぱり SONIC YOUTH だけどね)。「KALEN KOLTLANE」の続編に当たるのか、「KALEN REVISITED」のライブ演奏が特殊な緊張感を放っている。そして最後の曲「STREET SAUCE」では奇妙なポリリズミックビートがトコトコ鳴ってます。

Sonic NurseSonic Nurse
(2004/06/08)
Sonic Youth

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「SONIC NURSE」2004年
「音速の看護婦さん」がイメクラに登場したらどんな風になるんだろう。とバカな妄想を考えてしまった。そんな気分にもなるこのアルバムは久々にグランジ~オルタナティブロックアプローチの、ロック魂燃焼系音楽になってる。サイバーパンク文学の第一人者 WILLIAM GIBSON の同名小説からタイトルを拝借した一曲目「PATTERN RECOGNITION」から勢いが違うし、中盤「KIM GORDON & THE ARTHUR DOYLE HAND CREAM」「DIRTY」に収録されててもオカシくないササクレ具合。しかも本来「MARIAH CAREY & THE ARTHUR DOYLE HAND CREAM」というタイトルにしようとして、冗談が過ぎると変更させられた経緯までアリ。
●でもでも「どうしたんだ、SONIC YOUTH よ、丸くなったんか?」と心配するなかれ。彼らの中ではアバンギャルドは SYR のような自給自足インディレーベルで展開、メジャーはメジャーでやれる音を、と切り分けが出来てきたみたい。ちなみに JIM O'ROURKE はココまででバンド脱退。彼はサイド仕事が忙しくてもう手が回んなかったらしい。でも基本的に円満退社。「彼が望むなら永遠にバンドにいてもらいたかったよ」とは THURSTON の弁。



新次元に移行する SONIC YOUTH。

Rather RippedRather Ripped
(2006/06/13)
Sonic Youth

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「RATHER RIPPED」2006年
このアルバムの音には衝撃を受けた。結成25年目にして、そのサウンドの輪郭を変えようとしてる気配を感じる。ただならぬ変革への覚悟?気まぐれで単発的な実験?どういうつもりだろう。
まず第一に曲が短くなった。フツウで7分くらい、平気で10分越え、最高19分のバンドだったのに、今回は半分の曲が3分台。最高に長くても7分行かない。そして第二点、あのジワリと音をにじませる独特のエコー感覚を封印した。複雑な鳴りの中で空間を埋め尽くすノイズの共振は、ココにない。できるだけ基本的なギターサウンドだけで、シンプルな音像を目指してる。
●で、結果として、メチャメチャロックンロールになった。馴染み易いメロディに、キャッチーなサビ、00年代の若いロックバンドが夢中になったガレージリバイバルを、SONIC YOUTH なりに咀嚼した結果なのだろうか?普通に聴き易い。とかく難解なイメージのつきまとった彼らの音楽をベロリと裏返したような自然体のロック。
●でも一歩冷静になって考えてみよう。この人たち今年50歳になるのよ。それでこのロックはある意味立派。成熟を拒否するその姿勢。まさしく「音速の若者」なわけですよ。そんじょそこらの若造が喚くガレージよりも、クールで鮮やかにロックしてみせるという余裕。「WHAT A WASTE」とかスゴい爽快感だし、「DO YOU BELIEVE IN RAPTURE ?」みたいなタイプの曲は初めて聴く。マジ衝撃。

さて、このアルバムを持って、彼らは16年在籍したメジャーレーベル GEFFIN を離れる。
●今やイギリスのロックシーンの台風の目であるレーベルDOMINOARCTIC MONKEYS、FRANZ FERDINANDO などを擁する)との契約話もあったみたいだけど、彼らが選んだのはアメリカのインディレーベル MATADOR。設立は1989年、まさしく90年代のオルタナティブロックを体現したようなレーベルで、全盛期は PAVEMENT、GUIDED BY VOICES、SUPERCHUNK、LIZ PHIER など様々なアーティストをフックアップし、CORNELIUS PIZZICATO FIVE など優れた日本のアーティストを世界に紹介した。現在も CAT POWER、YO LA TENGO など SONIC YOUTH と体質の近いバンドを擁している。

再び野に下った地下の帝王が次にどんな音を発信するのか?新作は来年2009年春発売とアナウンスされてる。タイトルは「ETERNAL(永遠)」。まだまだボクは彼らを最高にカッコいいと思ってるし、彼らのような歳の取り方をしたいとさえ思っている。 50歳になった THURSTON MOORE の写真を張り付けて、このお話を終わりにします。

220px-Thurston_Moore_at_the_Brooklyn_Book_Festival.jpg

(THURSTON MOORE、1958年生まれ。50歳。イイ歳の取り方ってこういうコトじゃない?)



●さて、この90年代を振り返るシリーズ、次回は90年代最大のロックアイコンである NIRVANA に挑戦しようと思います。このトリオが放つ音楽の凄まじいパワーと、最期にショットガンで自分の頭をブチ抜いた KURT COBERN の生き様が、今なおロックの伝説として人を、そしてボクを惹き付けているから。 またまた難しいだろなあ。

●この90年代聴き直しキャンペーン、シリーズ化してみます。今までのボクの音楽遍歴を振り返る過程です。過去に書いた関連すると思われる記事は下にリンクを貼っていきます。


2008.09.16 「SONIC YOUTH はドコからやって来てドコに行くのだろう?音速のスピードで。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080916.html
2008.09.08「PAVEMENT と STEPHEN MALKMUS にまつわるセイシュンの思い出」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-508.html
2008.05.18「00年代エレクトロを巡って、90年代80年代そして70年代まで旅をする」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-438.html
2008.04.20「80年代末から現在まで、UKのブラックミュージックを一気に俯瞰する」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-418.html
2008.04.05「放送室で溶け合った、60年代と90年代UKロック。ブリットポップの時代」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080405.html
2008.04.29「ボクは「FREE SOUL」がダイキライ。でも許す(←ナニ様?)」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-425.html
2007.10.22「『渋谷系』とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html
2008.01.06 「平成20年から平成元年を照らし出す。「バンドブーム」の記憶」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html
2007.12.14「1986年。少年がロックに目覚めた瞬間」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html

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自律神経失調症とのお付合い(その69)~映画、障害者作業所に住民反対」編
●金曜日のデイケアメニューは、映画鑑賞会だった。東神奈川駅前の神奈川公会堂という所で、精神保健福祉支援チャリティーと称して、精神障害者の作業所にまつわる映画の上映会が行われるということで、我々デイケアメンバー一行はマイクロバスに乗って会場に向かったのであった。

「ふるさとをください」監督:冨永憲治、出演:ベンガルなど、脚本:ジェームス三木。
ベンガル以外は全然知らない役者さんだったし、監督もテレビドラマ系の人みたい。正直全然期待してなくて、またヒドい居眠りをしたらどうしようと心配になったもんだ。
●主催は、NPO団体・横浜市精神障害者地域生活支援連合会(長い名前…。)という人たち。精神障害者が社会におかれている立場を一般の人へ啓蒙していく試みとしてこの映画が作られ、全国様々な所で上映会が行われているらしい。
●この団体の代表さんが最初に説明をしてくれたのだが、これから上映される映画は、実際に和歌山県のとある町で起こった出来事が下敷きにされており、ここに描かれるトラブルは全国で同じ事が同じように起こっているとのコトである。ヒトコトで言っちゃうと、精神障害者の施設が新しく設立されるにあたっては、地元住民は激しい反対運動を起こし、大きな摩擦が起こる、というケースを端的に説明する映画なのだ。

●映画の中で、いくつかのデータが紹介される。統合失調症(一昔前の言い方では精神分裂病)の原因は先天性、外因性などイロイロあれど、その発症率は世界中ドコでも同じく0.7%、140人に1人の割合で発生する。ま、人付き合いのよい人ならば、かなりの確率でこの病気にかかる人に出くわすくらいの数だ。
●もう一つのデータ。日本の精神病院に入院している患者の数は34万人。この中で、既に退院しても十分な状態となっているのに、家族が受け入れず入院しっ放しになっている人(これを社会的入院という)が、なんと10万人もいるという。先進国の中でもこの数はズバ抜けて高く、意味もなく8年とか10年、入院生活を余儀なくされている人がたくさんいるという。

「精神障害者地域作業所」ってのは、精神病院から退院した人たちが集まり、クリーニングやパン作りなどに従事し社会参加していく場所である。ココで彼らは仕事をし、お給料を稼ぎ、生活を営む。
●ところが、こうした施設が作られる際には必ずと言っていいほど、地域住民の反対運動に直面すると言う。「キチガイが30人もやってきて、なにか仕出かしたらどうするツモリだ?」「町の評判が落ち、商店街の売り上げや地価に影響する」「行政や自治体は無責任に認可を出して、ワリを食うのは住民だ」「障害者を差別するつもりはない、ただ不安だから施設を鉄条網で囲って欲しい」映画には、このような露骨なフレーズが出てきて胸が悪くなる。ベンガルはこの反対運動のリーダーを務める地域の顔役であり、施設の活動に理解を示す娘と激しく対立することになる。
●作業所設立の説明へと、地域を回ろうにも冷たい反応をとる住民。「土下座するなら話を聞いてやってもイイ」という言葉も出て来る。結果、ろくに住民への説明も出来ないまま施設は完成するが、摩擦は深まるばかり。ベンガルの娘さんの尽力でやっと住民と施設との話し合いが実施されるが、悪意ある住民は暴力団員を稼働して説明会をメチャクチャにする…。

●オハナシは、最終的に相互理解で住民のヒステリックな反応はなくなり大団円!というお決まりのハッピーエンドになるんだけど、まあ、ハッキリ言って気分の悪い映画です。人間の差別感情ってエグイなあって。
医療費削減問題の見地から言えば「社会的入院」(患者自身は退院出来るのに家族側に退院させられない事情がある)は解消されればそれだけ財政的負担が減るのだから、家族にはナントカ引き取ってもらいたいと考えてしまう。むしろちゃんと引き取れよ!って気分になるでしょ。でもそういうワケにもイカンのです。障害者がいる家ってだけで、近所から白い目で見られ普通の暮らしが出来なくなってしまう現実がある。
●例えば、障害者が悪気なく近所の子供にアイサツしたとする。コレがスグに子供にイタズラをしようとした!って話になる。デイケアのメンバーさんにもウマく呂律が回らない人は幾らでもいる。彼らの発音に子供がビックリしたら、もうソレで子供の親は「危ない!アソコの家に近寄るな!」って感情になるだろう。このように地域社会から障害者を持つ世帯は孤立し、実際に引越を余儀なくされてしまう事もあるのだ。だから、家族は患者を引き取らない。デイケアのメンバーさんにも、妻に離縁され子供にも会えない人がいる。イイ歳したオジさんが「十数年振りに息子が電話をよこしてくれた、今度会うことになったんだ!」と異常にはしゃいでいたのも、ボクは目の前に見た。
●そんな無理解な社会に、障害者が大勢集まって来る施設が出来る。そりゃもう大変だ。障害者の実態を知らない人はビックリするだろう。しかし、実家に帰れない彼らは一人暮らしで生きて行かなければならない。職場を探さなくてはならない。生活保護水準の暮らしを強いられているメンバーさんもいるから、マジでリアルにボクには響く。
●全国に数ある作業所はそんな彼らの受け皿になる場所だ。冷静に考えれば、彼ら障害者を完全に孤立させる方が危険である。障害に関して正しい知識を持つスタッフや似た境遇を生きる仲間に囲まれている方が、彼らの健康を安定させるし、もしもの事態にもフォローアップすることが出来る。コレがたった1人誰も知らない所で発作を起こしてしまったら?そしたら本当に事件を起こしてしまうかも知れない。
●確かに、精神障害者による凶悪事件は後を絶たない。つーか、凶悪犯罪した後で精神鑑定して無理矢理責任能力なしの障害者になるヤツが多過ぎなんだよ! しかし、そんな事件が起こる度、作業所の人々は外出を避けたりしなくてはならなくなるのだ。そんで、こういう動揺に障害者の人たちはとても弱い。痛んだココロの古傷が口を開けてしまう。ツラく苦しい気持ちに捕われてしまう。

………もう、だんだんマジで腹立ってきた。
●以前なら絶対見ない映画だったろうし、関心も持たない問題だったと思う。しかし、ある意味もうボクには他人事とは言えない状況になってしまった。ボク自身もドッチの人といったら、マイノリティのチームに入ってしまうのだから。デカイ意味で捉えれば、医療費削減問題だって、もはや直接ボクの生活の利害に直結する。
●だいたいがね、家の近所に適当な施設がナイから、ボクは横浜の精神病院まで往復4時間かけて通ってるんだぜ!病院行くだけで交通費1500円以上だ! なんで都心にキチンとした施設がないんだ?もうわかるでしょ、キチガイが集まる施設は、都心には作れないんだ!住民の意思で!ボクの病院はどえらくヘンピな各駅停車の駅からバスで20分かけて行く所にある。しかもバスの数は一時間に2~3本!そんな奥地まで行かなければ、キチガイを集める施設は作れないんだよ!これが日本の社会の現実だよ!


●すいません、つい熱くなっちゃって……。


話題を変えて……、デイケアに研修の学生さんが来てました。
●なにげにかなり最先端の精神医療プログラムを実践してるボクの病院には、イロイロな所から見学や研修の人々がやってくる。看護師さんになるための専門学校から来たオンナノコと会話しました。
●オンナノコ「4月から11月まで、ずっと色々な施設や病院をまわってインターンみたいなコトをしてるんです。今週はココでスタッフさんのお手伝いをしてるんです」へー。えらく実践的なガッコウだ。若い娘としゃべると楽しいなあ。「イヤイヤもうワタシ25ですから」じゃあ4大出て専門に入り直したんだ?……資格がナイと今は仕事もないのかな……でも医療現場の仕事も大変じゃん。「そうなんですよ、最近はフィリピンから大勢看護師さんがやって来たじゃないですか、実は彼女たちスゴく腕がイイんですって。負けちゃいそうです」ほー、フィリピン人の看護師さん?
フィリピンは、出稼ぎ労働者が主要輸出品目になってる「出稼ぎ大国」だ。日本でパッと思いつくのはフィリピンパブとかだけど、実は全世界の国々で、優秀なメイドさんとして雇われたり、中国やインド、アメリカなどの工場労働者として活躍してる。
●医師不足・看護師不足に苦しむ医療行政は、一昨年くらいから数千人単位でフィリピンから看護師さんを医療現場に迎え入れる政策をとってる。新聞記事では知ってたけど、実際に医療現場でそんな話題に触れたのは初めてだ。フィリピン人のスタッフと日本人のスタッフの間に摩擦とか格差とかあったりすんのかな? 腕は確かというのは安心な話だが、繊細な所でカルチャーギャップとかあるのかな?
イラクからEU諸国へ移住を希望する難民の9割を、今年はスウェーデンが引き受けたと言う。一昨日くらいの新聞記事かな? スウェーデンって人口1000万人弱で東京都より人口少ないんだぜ、そこにドカッと難民を受け入れる包容力って素朴に立派と思った。一方難民受け入れに超消極的な日本、しかし少子高齢化で深刻な労働力不足になる将来、どっかのタイミングでたくさんの移民を受け入れないと立ち行かないと思う。「上司が女性で気を使う」とかが雑誌の見出しになってるけど、「部下が全員外人で気を使う」時代が来るわけだ。職場の隅にメッカへのお祈りスペースを設けるとか、名前の発音が難し過ぎるからニックネームをつけるとか。あれ、ちょっと愉快? そんな中ゆとり教育でスポイルされた今のキッズは、移民との競争にも負けて低賃金労働に追い込まれ、ネオナチみたいな極右民族主義に走るかも…。


さらに堅苦しいハナシをもひとつ。すんませんね。
●スタッフさんの人数のヤリクリがつかず、この日は多部署から応援のスタッフさんまでが来てた。朝礼のアイサツで「心理療法課から来ましたイイツ(仮名)です、よろしくお願いします」。んっ?「心理療法課」?あのサッパリ正体の掴めない「分析的心理療法」に関わってる人かな?ちょっとイロイロ教えてもらおう。
●あのー、「心理療法課」とお聞きしましたけど、あの「分析的心理療法」ってナンなんです?小柄なメガネの女性イイツさんは意外な質問にビックリしながら「よくご存知ですね、分析的心理療法なんて」いや、今一応やってるんですよ。でもさっぱり意味がわかんない。もしよかったら一体どういう仕組みなのか教えてもらいたくて…。「すいません、ワタシちょっと専門が違うんです。ワタシは行動認知療法を専門にしてるんです」……行動認知療法……またまた難しい言葉が出てきたぞ……。

それはナニかと訪ねたら、キーワードは「学習理論」とのこと。
●例えば電車の中でパニック発作を起こしてしまった患者さんがいるとする。その患者さんは、パニック発作という強烈な経験と電車の中という条件を結びつけて覚えてしまうので、その後、電車に乗るだけでパニック発作が起こるかも知れないという恐怖に襲われ電車に乗れなくなってしまうという。「電車=パニック発作」というパターンを「学習」してしまったというわけ。
●で、そんな患者さんを治療するためには、この「学習理論」を逆手に取って、「電車に乗ってもパニック発作は起こらない」という経験を「学習」させて、不安を取り除く。これが「行動療法」。手を何回洗っても気が済まない潔癖性の人には、ワザと手を汚して10分間ナニかの作業をしてもらう。それで、手が汚れてても問題が起こらない事を「学習」してもらうという。
「認知療法」も大まかに言えば同じ原理で、人の視線が気になって駅前や広場等人が集まる場所に行けないという患者さんには、一緒に駅前に行って実際にコチラの事を見てる人の数をカウントし、そんなに誰もが自分のコトを睨んだりしてないことを実証させるという。「証拠探し」って言葉を使ってたかな。
●コレは1960年代のアメリカで考案された比較的新しい心理療法で、アメリカらしいプラグマチックな思想が反映されてる。イイツさんが臨床の現場に関わるようになったのは最近の事で、ずっと実験をしてた研究者だったという。「ネズミにストレスを与えてその影響を見るとかするんです」ネズミは泳げないから、ワザと小さい発泡スチロールの小舟に乗せ思い切りドキドキさせて、その心拍数の変化を計測したりするという。……人間にも応用できるんですか…ネズミをビビらせる実験が? 「まーある意味では。もちろん人間相手の実験もします。両腕に電気が流れる腕輪をはめて、クイズに失敗したら電撃を与えるとか」ソレってそのままテレビ番組の一コーナーになってるじゃないすか。
●で、「分析的心理療法」は?「それは100年も歴史がある古典的な手法なんで、専門外のワタシには全然わかんないんです」あー、あの、フロイトとか、そういう時代ですか。専門が違うと全然違うんですね。

ついでにもう一個聞いてイイですか?ラカンってどうなんです?
フロイト、ユング、この二人の後に出て来る有名な心理学者といえば、ジャック・ラカンじゃないですか。でもあの人カンケイの本は全部ケムに巻くよな禅問答みたいな話ばっかりで、意味分かんないです。アレって役に立つんですか?「ラカンですか……。岐阜大学にエラいラカン研究の先生がいます。ラカニアンっていうんですけど。でも、臨床的にラカンを使ってる人は多分日本にはいないんじゃないでしょうか」ラカンの地元フランスには、一部実践に使ってるグループもいるかも知れない、ラカンの娘婿さんとか。「でもアレはもう心理学というより哲学ですよ。もう別の所に行っちゃってます」イイツさんは言ってた。ああ、なんか大分勉強になった。ラカンは病気を治すのには使えないとな。


知らない事が多過ぎる。そして無知は危険だ。
●ボクは自分が病気になったもんだから、この世界にフラフラッと迷い込んできた。医者に通って病気の事、精神安定剤抗うつ剤の事を知り、精神科デイケアに通って似たような病気の人たちの暮らしぶりを知った。自立支援医療制度のような社会福祉行政の事も初めて知ったし、確定申告の医療費控除の仕組みも知った。精神障害者への社会的差別やそれと戦う人の運動を知った。心理学の実践や理論もサワリだけだけどアレコレ知る事ができた。ボクのような新聞をとってもいない人間が、医療費削減政策後期高齢者年金制度の事まで考えるようになった。でもこの世界はホントに奥深い。分からないコト、不条理なコトがいくらでも出て来る。
●ボクの「ねんきん特別便」のフィードバックが返ってきて、カウントされてなかった年金部分がキチンと修正されたが、ワイフは「特別便」すら来ない。フィードバックのお知らせに「配偶者の年金も確認しましょう!」ってデカく書いた紙が入ってたから、社会保険事務所に電話をかけた。そしたら「10月までに届くはずですから待って下さい」だと。あなた方が送ってきた書類に「配偶者の確認を」と書いてあるから電話してるんだ、それでただ「待って下さい」ってどういうつもりですか?「すいません、その紙を見ていないもので」アンタたちは、自分たちが配っている書類すら見ないで仕事してるんですか?そんな仕事ぶりだからユルいっていうんですよ!コッチは大金払ってるんだから、フザケないでマジメに仕事して下さい!久々に電話越しにマジ切れ。
●マジで、今の世の中、ボケッとしてるとホントバカを見る。世の中が複雑になり過ぎてて損得勘定も難しい。誰かがそんな世間の無知につけ込んで、甘い汁を吸っている。享受すべき権利を持つ人がないがしろにされている。無知は危険だ。無知は、他人を傷つけ、自分も傷つける。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

自律神経失調症とのお付合い(その68)~「「分析的心理療法ってまるでナゾ」編
●まあ、その前にコマゴマとした病気カンケイのコト。

その1。目隠しがウレシい。
●先日ボクを置いてハワイのヴァカンスを楽しんできたワイフとコドモたち。おミヤゲ各種をもらったが、一番ウレシかったのが、飛行機の中で配られる「目隠し」。コレをつけて眠るのが気持ちイイ。

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●病気になってから、照明に敏感になって夜は豆電球がついているだけでも眩しくてしょうがない。そこで寝室は真っ暗闇にするのが常となっていた。
●しかし、最近は更にこの「目隠し」をする。ナニがイイかと言うと、目が温まるのだ!自律神経失調症、ボクの場合は、全身の筋肉の緊張、とくに背中、肩、首周りのコリがツライ。そして「眼」もかなりツラくなるわけ。いわゆる眼精疲労
●今まで目を温めるために、枕をカオの上に置いたり(息苦しい!)、湯たんぽを乗っけたり(すぐ落ちる)、とイロんな小賢しいコトを試みてみたけど、コレが一番シックリくる。必要があれば、2枚重ねてダブルでつける。さすがに朝になるとゴムが食い込んで耳が痛くなるけど。おススメです。



その2。クソ眠過ぎる。特に午後3時。
●なぜか、午後3時になると深刻に眠くなる。それはそれはもう強烈に激しい睡魔で、ハンパじゃない。3時はデイケアが終る時間、1人で帰りの電車に乗ると、もう爆睡である。
●先日は、隣の女性にもたれかかって爆睡してしまい、その女性に「ちょっと…」と起こされた。しかし次の瞬間すぐに爆睡してて、またこの女性に起こされた。2回も起こされるって、どれだけ激しくもたれかかってしまったのだろう。
●で、眠らないように読書をしようとする。でも爆睡である。ボクは、電車の椅子に座りつつ、突然本を放り投げるように眠ってしまうらしい。隣に座っていた男性が「落とした本、オシリの下に置いときましたよ」と言われる事もしばしば。つーか膝の上では乗っからないみたい。
●小田急線の奥地から上り線でシモキタザワに帰ってくるのがボクの帰り道だ。しかし爆睡して起きれない。終点の新宿で目が覚めるコトが多い。一番極端な場面は、終点の新宿でも目を覚まさず、そのまま折り返しになった下り線に乗り続けたコト。そんでさらにシモキタワザを通過し、新百合ヶ丘駅まで行ってしまった。目が覚めた時は「あ、まだ新百合か~まだ眠ってられる」と錯覚し、しばらく下り線に乗り続けて、進んでる方向が反対だと気付いた瞬間は、マジビビった。
電車でも寝れば、バスでも寝る。シモキタザワから三軒茶屋までの短い行程で爆睡し、三茶を通過してふと気付いたらいつの間にか終点。環7沿いのワケ変わらん地点で降ろされて、途方にくれた。運転手さんに「アンタ終点だよ。間違えて折返し運行に入る所だったよ」と言われることはしょっちゅうである。
●そんで、あーこりゃ完璧にオカしいと思ったのが、先日映画の試写会で爆睡してしまったコト。結構楽しみにしてた映画だったのに、クライマックスを観ずして気付けばエンドロール。ハイパー自己嫌悪。ボクはイビキも激しいので、静まりかえった試写室で大イビキをかいてたとしたらどうしようと思って、逃げるように試写室を出た。

●臨床心理士チーさん(仮名)「そりゃね、クスリが残ってるんですよ」はあ。この「クスリが残る」というフレーズ、この病気界隈でよく聴く言葉。クスリの効果が強過ぎて頭がぼーっとする、眠気を感じるって状況を示す。仕事中や会議中、運転中にこうなるとかなり困る。
「unimogrooveさん、三食毎ごとにクスリ飲んでるでしょ」ええ。チーさん曰く3時は昼ゴハンで飲んだクスリが一番効くタイミング。回復期によくあるケースらしい。ほう。「ちなみに、お休みの日はどんだけお昼寝してます?」小刻みに1~2時間くらいを3回くらいッスカね。「ね、ソレは寝過ぎ!フツウの人はそんなに眠れない」
●今まではクスリがなくてはカラダの緊張を取ることが出来なかった。イライラも激しくなる。でも昼寝で6時間は眠り過ぎ、もはや、カラダが回復してきてクスリの量が多くなり過ぎたというのだ。ボク「でもやっぱり夜はうまく眠れないんですよ」チーさん「それはそれで夜寝る前の睡眠薬の問題。昼間の精神安定剤の量を見直すべきなのでは?」はあーあ。そうか、だからこんなに異常なほど眠かったのか。眠くてブログの更新すら出来ないほどだったもんね。食事後からあるタイミングになるとどうしようもなく眠くなるもんね。「カラダがよくなってる証拠ですよ。前向きに捉えるハナシです」
●……確かに、製薬会社に務める従兄弟にボクのクスリを見せたら「種類は一般的で特別なクスリじゃないけど、飲む量がハンパじゃない、こんだけ飲んだらフツウの人間はナニも出来なくなっちゃうよ」って言ってたもんな。ふーんなるほど、主治医のセンセイに、クスリの量の見直しを相談してみます。主治医のセンセイも、あともう少ししたら一種類クスリを抜くって言ってたもんな。



その3。「プロジェクトP」と「司会」。
●ボクが通う「精神科デイケア」の部屋の隅っこには、「意見箱」という手作りの赤いハコが壁にかけられている。なにか普段思う事があれば、ココに意見を書いた紙を投函して、その内容についてメンバー全員で議論にかけられる仕組みになってる。そのいわゆる学級会のような話し合いの時間は月一回設けられてて、由来は分からないが「プロジェクトP」と呼ばれている。「P」って一体なんだろう?
●今月の「プロジェクトP」には3つの意見が寄せられた。第一の意見。「ソフトバレーボール交流大会に向けてキャプテンが必要ではないか」。クスッ、誰が書いたか一発で分かる。運動大好きでこの前のソフトバレー練習試合で大活躍したリシさん(仮名)に決まってる。リシさんはピンポンタイムでも毎回超燃えてるし、ボウリング大会は優勝しちゃうし、カラダ動かす事が大好きだ。「立候補いますか~?」という声に、ワザとおすまし顔して黙ってる。自分がやりたくてウズウズしてるくせに。ボクは笑いを堪えながら手を上げて「リシさんを推薦します。先日の練習を見ても実力的に一番適任です」。すると皆が一斉に拍手、リシさんちょっと得意そうに「いやいやしょうがねえな、では皆さんオレの特訓についてくるように」だって。
●第二の意見「横山光輝のマンガ『三国志』の4,5,11巻が抜けています。補充をお願いします」。コレも誰だか全員が一発でわかる。ボクである。このマンガを毎回シゲシゲと読んでいるのはデイケアメンバーの中でただボク1人であるからだ。「すいません、劉備玄徳が諸葛亮孔明を仲間に引き入れる『三顧の礼』のエピソードがちょうど抜けているんですよ、ソコだけでも補充してくだされば…」しかし「三国志」なんて1ミリも興味のない人にはナニも伝わらず、多数決で却下。ガクッ。長老ツエさん(仮名)は慰めるように「地区センターの図書室に行けば読めるよ」……お気持ちウレシいですが、地元民の皆さんと違ってボクには地区センターって言われてもチンプンカンプン…。

●第三の意見「入院患者は『司会』の担当を免除して欲しい」。
デイケアでは朝礼の前にクジ引きを行い、今日一日の「司会」を決める。「司会」はその日一日の朝礼や帰りのミーティング、食事のあいさつなどをする係だ。簡単なマニュアルがあって、一日スタッフが張り付いてサポートしてくれる。ボクも一度経験したが、些細で簡単なコトだ。「朝礼を始めます」とか「それでは頂きます」とか「皆さん掃除の時間です」とか言うだけなのだから。しかしメンバー30人前後の前で注目を浴びて発言をするのは、ココロを痛めてる人には実はかなり苦痛でハードルの高いコトである。しかし、それをこなすのもリハビリの一つであり、スタッフはきめ細やかなフォローをする。
●一方、「精神科デイケア」にはボクのように自宅から通院する人だけでなく、入院病棟から参加してリハビリをしている人もいる。当然病気はヘヴィである。この提案はヘヴィなメンバーから「司会」の負担を取り去って欲しいというものである。
●じゃ、免除でイイじゃん、という訳にはいかない。この問題には様々な人が挙手して意見を述べた。「『司会』の仕事はリハビリの中で大きな意味を占めている、社会復帰のためには敢えてトライすべきだ」という人もいれば「入院患者だった経験から言うと、アレは本当に辛かった、あの苦しみは他人には理解出来ない」という人も。リシさん「入院通院と限らずクジ引きの段階で『今日は体調が悪いので勘弁して欲しい』と言ってもらえれば免除ということにすれば」と言った。確かに患者一人一人の抱える問題や病状は全員千差万別なので、入院/通院というカテゴリーで線を引くのは非合理である。しかし、「体調が悪いから出来ない」と自分から言い出す事が出来ないのが、ココロを痛めた人々の現実である。そんなコトができるなら、こんな病院に世話にならずに済んでる。別のメンバーは「『司会』の負担は誰もが重いと思ってる、自己申告でやりたくないと言う権利を認めるのは甘えを生む」と言う。一方である女性メンバーが強い口調で主張した。「メンバー個人の能力はまちまちで、メンバー本人すらが正確に把握出来ている訳でもない(←この指摘は重要、本人が思うほど病気は軽くもないし重くもない、大体本人の自覚と周囲の評価は大幅にズレている事の方が多い。ココロの病気が他の病気よりも厄介であることの大きな理由だ)。コレは医師、デイケアスタッフ、メンバー自身が全体で個人個人の能力を配慮する問題で、一元的な線引きは出来ない、多数決でこの問題にシロクロつけるなら、私は棄権します」
ここで、当の「司会」さんが崩壊した。「プロジェクトP」の進行もその日の抽選で決まった「司会」の仕事なのだ。若くて色白の、ひな人形みたいなカオをした女性メンバー(ボクはひそかにひなまつりさん(仮名)と呼んでいる)は、この議論の緊張感に耐えられず、「ワタシもう出来ない、こんなのヤダ!」と叫んでホワイトボードの前に崩れるようにしゃがみ込んでしまった。フォローのスタッフさんは、速やかに彼女を抱きかかえて大きな椅子にゆったりと座らせて、「司会」の役割を完全に引き取った。「おっしゃるように、この問題は簡単に判断の出来ないモノです。コレはひとまず我々スタッフに預けていただいてよろしいでしょうか。時間を頂いて検討させて下さい……」



さて、本題。「分析的心理療法」。
●ボクは「精神科デイケア」チーさんとのカウンセリングだけでなく、毎週1セット50分の「分析的心理療法」というカウンセリングを受けている。しかしこの正体がよくわからない。
●担当カウンセラーは小柄な女性のゲーさん(仮名)。不安げなカオで話かけてくるのでコッチも不安になる。そんな辛気くさいノリで、初回にこう説明した。「このカウンセリングを、まず4回やります。そしてそこまでで一回総括して、その後の方針を考えましょう」はーい。

そんで出て来るゲーさんの質問がスゴい。ムチャ振り。
●2回目のことだった。「今日はunimogrooveさんのことをもっと深く理解したいと思うんですけど…、unimogrooveさんの生い立ちですとか、日頃考えてるコトとか、悩みですとか、最近観た夢ですとか、ナンでもイイから好きなコトを話してくれませんか?」…………。は?それもう質問じゃないじゃん。ナニを話せばイイの?「この質問って、フリとして、スゴいブン投げようですね。ビビりますわ」マジでそのまま言っちゃった。で、ホントに取り留めないハナシに終始してしまった。最後に「つーか、こんなんでホントに意味があるんすか。ハッキリ言ってボクの話完全に的外れじゃないですか?」

3回目も同じ。ゲーさん「どうぞ、今日もお好きなことを…」
●……あの、他の患者はこのカウンセリングでどんな話してるんですか?きっとフツウの患者さんは、自分の悩みとかツライ事とか、そういうのを切々と訴えるんでしょうか。でもボク正直、あんまし特に悩みとかないんですよね。
●そりゃ、眠れないとかカラダが痛いとか(肋骨の間の筋肉が、筋肉痛になるって想像つきます?ボクは毎朝そんな痛みで目が覚めるんです。ロッカン神経痛というらしいです。漢字はわかりません)、そういう物理的な不都合はいくらでもありますけど、そんな不都合に対してどう釣り合いをとって生活していくか模索するだけと割り切ってますので、特に迷う場面がないっつーか…。仕事復帰も先の事で現実味がないので、ウジウジ考えてもしょうがないし…。
ほんで、会話が途切れた。バツの悪い沈黙。オマケにボクは例の眠気で集中力が保てない。「……あの、ゲーさん、会話のキッカケをくれませんか?トークが始まらないです…」しかしコレはそういう戦術なのかマジでゲーさんは話題を誘導するリアクションを全くしない。困り果ててもうクダラナイ話ばっかり。「あ、そうだ、今週、親知らず抜きました!」カバンをゴソゴソあさって「なんか今日オモシロいもの持って来てないかなあ?あ、マンガって読みます?週刊モーニング?」デタラメ。もう来週はキャンセルしようかと本気で思った。これのドコが「分析的」なのか…?

4回目。話題の内容を考えて出向いた。
●カウンセリングでトークのネタ仕込みって!?なんかタップリ違和感感じながら部屋に入ったら、珍しくゲーさんから質問を切り出してきた。「今日は私からアレコレ細かい事を伺いますね、よろしいですか…」で、これがマジで細かくてビックリした。質問を覚えているだけ列挙します。

 ・「アナタの中で一番古い記憶はなんですか?」
 ・「どんなトモダチと一緒に遊んでいましたか?」
 ・「友人関係の中でイヤだと思っていた事は?」
 ・「当時夢中になっていた事がありますか?」
 ・「自分をどんな子どもだったと評価していますか?」
 ・「ご両親はどんな方でしたか?子供の頃の親子関係について思う事はありませんか?」
 ・「ご両親の仲はよかったですか、悪かったですか?」
 ・「思春期に入って、親子関係に変化は生じましたか?」
 ・「恋愛の経験についてお聞かせください」
 ・「奥さんとはどのような出会いを?どういう気持ちでお付き合いを始めましたか?」
 ・「結婚に至った経緯は?そこに迷いや戸惑いはありましたか?」
 ・「奥さんはアナタにとってどのような存在ですか?」
 ・「最近はどんな夢を見ますか?」


●冷静に振り返ると、他人にはツルッとしゃべれる性質の質問じゃないよね、かなり恥ずかしい質問ばっか。しかし治療者の守秘義務があって、この面談の内容は絶対他人に漏れないことになっている。ここでの情報はカルテに記載されないので、院長先生でも担当臨床心理士のチーさんでもココでの会話の内容に触れる事は出来ない。
●……とはいえ、数回ほどしか会った事のナイ人物にこんなプライベートの事をしゃべるのは恥ずかしいはず。しかし、ある意味無機的に質問をパシパシ飛ばして来るゲーさんの立ち振る舞いは、なんかロボットと会話しているような気分になって、どんなに恥ずかしい思い出や考えも、スムーズに引き出されていく…。必要最低限しか言葉を発さないゲーさんの存在はどんどん稀薄になって、なんだか自分に向かって言い聞かせていくような気分になってくる…。

5回目。4回目の質問の続きを再び語り続ける。
●一応4回で一区切りであったはずだが、しゃべり始めると余計な脱線までしてしまうボクは時間オーバーしてしまい、5回目まで質問がこぼれてしまった。相変わらずボクの少年時代、思春期の頃に関心を絞った質問攻めだ。ただ、最後の質問だけちょっと違った。

 ・「コレから、どんな自分になっていきたいか、希望や展望があれば教えてください」

●コレは、ハッキリしている。仕事に戻る事だ。休職して強く感じた事は、ボクは自分の仕事が好きで、自分のしてきた仕事、自分の作ったチーム、ソコで働く同僚(先輩&後輩)に、強い誇りとプライドを持っているということだ。ハードな仕事の渦中では、そんなコト1ミリも感じるヒマはなかったんだけど。いつだって逃げ出したくなるほどのプレッシャーに囲まれて生きてた。そんな場所に戻る事。それが今こんなに大切に思えるなんて、不思議と言えば不思議だ。
●しかし、このカラダのハンディキャップを負った今では、昔のように最前線に立ち、一日22時間働き続けるようなハイパフォーマンスは望めない。多分人事異動で閑職に回されるコトも考えられるだろう。それも覚悟できている。その中でも楽しみやヤリガイを見出す事ができると思うし、ある程度のパフォーマンスをこなす自信はある。ウチの会社は使えない人がイッパイいて今メチャメチャ業績不振だ。構造的に言って一部の超優秀な人物に、ダメな管理職オッサンがたくさんぶら下がってる会社。でもボクはそれを悲観しない。バカが多ければ多いほど、ボクの仕事は切れないのだ。周りが優秀過ぎたらイイ仕事回ってこないでしょ。バカが多い方がチャンスは多く回ってくるのだ。

さて、今後の展開。
ゲーさん「一通り、unimogrooveさんがどんな人なのかザックリ把握ができました。一口に言うと、幼い頃から非常に強い劣等感に悩まされていて、人と比べられるのが非常に苦痛だというコト。既存の秩序の中においては自分の立場や役割等に気を使い過ぎてしまうが、自分の裁量の中で環境をコントロールできる場所ではスムーズに自分の能力を発揮する事が出来るタイプ、とお見受けしました」はい、ご名答、正解です。特にコンプレックスの部分。

「で、今後ですが……、もし次回以降もこの面談を続けていかれるならば……」ゲーさんは言葉を丁寧に選びながら話し始め、そしてこう言った。「この部屋に入った瞬間に頭に思い浮かんだ事をお話ししてもらいます」????ゲーさんからお話を持ちかけるような事はしない。準備してもらった話題を話す訳でもない。「ふと頭に思い浮かんだ事をそのままお話してもらいます」あ、あー、その、ちょっと意味ワカンナいんですけど、部屋に入って思い浮かべた事って……、たとえば、あのボードに貼ってあるネームプレートの「大原」さんは一体誰でしょうとか、そんなことしゃべるんですか?「まあ、それでもイイです」なんも思いつかない時は…「ずっと黙ってても結構です」はああ。全然意味わかんね。
●すんません、これって「分析的心理療法」って言いますよね。この「分析的」って言葉ですけど、どうやら「分析」するのはボクじゃなさそうですね。ボクは「分析」される側で、ゲーさんが「分析」する側……。「一応そう言う事ですね」で、その「分析」の結果はどのようにボクにフィードバックされるのですか?「うーん、時々オハナシする程度ですかね」はああ。そんだけ?
●すんません、名前にコダワルようでアレですけど、「分析的心理療法」「療法」の部分、一体このカウンセリングでどのような治療効果が現れるのですか?「まあ、人それぞれですが、自己理解が深まったとか、イキヤスくなったという人はいますね」イキヤスイってのは「生き易い」………?「ただ、リラクゼーションとは違うので、一回の面談をして『ああ、気持ちよかった、サッパリした』ってのはナイですよ、むしろ疲れるというか。まあ、治療は年単位で行うものですから」治療は年単位!そんな長い期間をかけてやるんですか!!
●あのー、アメリカ映画で時々出て来る、患者さんが長椅子に横たわって、見えない角度からカウンセラーさんが話かけてくるヤツ、「精神分析」というんですよね、アレもこんなトークをしてるんですか?「まあ、似たようなもんです」はああ。……ついでに聞いちゃいますけど「精神分析」というとフロイトの名前が出てきますよね。あと「分析心理学」の学者ユングもいるじゃないですか。どっちかっていうと、ユングよりの手法なんですか?「あはは、いやユング派はあまり関係ありません。フロイトの精神分析の簡易版なんですよ」

●………。

ゲーさん、ボク、この面談、続けますよ。「えっ、続けますか?会社への復職は?」会社に通うようになったらココに来れるかどうか分かりません。でも目下具体的に会社に戻る話はまだ動いてないです。コトが動くまでは少なくとも続けます。やっぱり、なんのことやらさっぱり理解出来ませんが、そんな風に説明だけ受けて、ハイじゃあコレでオシマイ、ってのはボクの好奇心が許しません。チャレンジします。ボクはこのテの無駄な遠回りを躊躇しないタイプなんです。どうなるか全然わからないし、全然今の説明に納得はしてないですけど、やります。とにかく今後もよろしくお願いします。……なんか奥が深そうですね。楽しみにしてます。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

最近は、中国史の本をずっと読んでたんだけど、朝鮮半島の歴史に寄り道したくなった。


中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史

「中・高校生のための朝鮮・韓国の歴史」岡百合子
●半島の歴史を読もうというキッカケは、今読んでいる中国の「五胡十六国時代」の中で、朝鮮民族による大きな国家勢力「高句麗」が登場してきたからだ。「五胡十六国時代」ってのは、5つの異民族が当時の中国の政治的/文化的センター華北中原地域にドンドコ攻め入ってきて、十六個(もっと細かくカウントするとそれ以上)の小王国を乱立された時代だ。「三国志」の時代に漢王朝が滅んでから、隋帝国が再び中国全土を再統一するまで、400年間続いた混乱の世紀。
●朝鮮民族は「五胡」にはカウントされないが、中国の動向を注視しながら積極的に先進文化を取り入れ、大きな勢力になってく。高句麗今の北朝鮮エリアを中心に、南は現ソウル近辺、北は中国東北部(つまり満州)の半分を支配する勢いを誇ったという。コレが5世紀のオハナシ。
●日本では大和朝廷がゆっくりとそのカタチを整えてるくらいの頃だ。ご存知の通り、日本は様々な技術/文化を朝鮮半島経由で入手している。渡来人として技術者がやってきたり、仏教が伝わったり。明らかに先進国と後進国のカンケイですよ。

ただし、海で隔てられた日本と、歴代中華帝国と国境を接した朝鮮半島が歩んだ歴史は、そのタフさが全然違うね。
●中国を支配する様々な王朝は、朝鮮半島に様々な形で政治的/軍事的プレッシャーを与え、大きく領土を奪われたり、属国にされてしまったり。この大き過ぎる隣人との関係は、交易等のメリットはあっても、ソレを差し引いても割にあわない厄介なモンだったはず。
●一方日本は、ノンキに「日出づる国の天子より…」というノリの手紙を送っちゃう世間知らずだったのに、海という障壁で異民族の侵略を免れていた。マジラッキー。コレをこの本で思い知ったね。


朝鮮半島は、その3000年の歴史の中でタコ殴りにされてきた。
●中国の各王朝は重要拠点に出先機関を設置して常に監視下においてきた。北の大地からやってくる遊牧民国家(契丹、女真)が圧力をかける事もしばしは。一番ヒドいのは、モンゴル帝国/元王朝。半島全土を蹂躙し略奪の限りをつくした。当時の政権は首都を放棄して島に立てこもる。草原の民族モンゴル人は海戦は苦手だろうって算段。しかし、政権に見放された一般大衆は大変だ。黙って略奪されるわけにも行かず、山にこもってゲリラになった。血を血で洗う闘争が始まる。圧倒的なモンゴル軍は徹底的な侵略を繰り返し(主だったモノで6回、小さい侵略は数知れず)、その都度10万人単位の捕虜を連行していった。死者の数はもうわからないほど。最終的に完全属国化される。
「元寇」として日本にもモンゴル軍は2回にわたって対馬海峡を越えて侵略軍を差し向けたが、朝鮮半島の被害と比べれば、屁のツッパリにもなりませんよ。「元寇」に稼働された軍艦はみんな朝鮮の人たちが強制労働で作らされたモノだし、兵士も水夫も朝鮮の人。「神風」に流されてしまったのは、モンゴル軍とはいいつつ、その中身の大部分は可哀想な朝鮮人だったわけだ。言い方を変えれば、朝鮮民衆のゲリラレジスタンスと激しい反モンゴル感情が、日本への「元寇」をたったの2回に押さえ込んだとも言える。

エゲツない欧米列強の開国要求。
●日本にアメリカの軍艦が現れペリー提督が開国を迫ってきた時には、比較的穏当な交渉(内容は最低の帝国主義的不平等条約)が行われたが、その後に西洋列強の開国要求を受けた朝鮮では雰囲気が全然違う。最初にやってきたアメリカ船は、使節を務める朝鮮側の役人を監禁して、民衆に向けて銃を乱射。怒った民衆はこのアメリカ船を焼き討ち撃沈させちゃった。コレをうけてかヨーロッパ諸国は最新兵器にモノ言わせて海上から砦をドンパチ狙い撃ちにしたり、王家の墓を暴いて祖先の遺骨を人質に取ろうとするなど、スーパー強引なやり方で開国を迫る。
●日本でも「開国派 vs. 攘夷派」の議論が国を二分したが(大河ドラマ「篤姫」とかのノリ)、朝鮮王朝が「鎖国」路線の維持を選んだばっかりにボコボコにされてしまった事を考えると、日本の開国&政権交替(明治維新)&近代化スタートが恐ろしく神業的な奇跡のスムーズさで行われたのだったことを思い知る。
●で、さらに言える事は、最高にバツが悪いコトに、最終的には一番エゲツない野心で半島に襲いかかったのが、その大日本帝国だった事実だ。自分が押し付けられた不平等条約を、速攻で一番最初に朝鮮王朝に押し付けた。


日本と朝鮮半島の摩擦。
●20世紀の約半分を占めた不幸な植民地支配ももちろんだが、日本は朝鮮半島にとって、決して無難で温和な隣人ではなかった。室町時代に入ると「倭冦」が出現、朝鮮半島周辺でガンガンの海賊行為を行った。この本を読むと「パイレーツ・オブ・カリビアン」が生温く思える。500隻の大船団が突如海岸を埋め尽くし、海辺の集落を根こそぎ略奪していくのだ。しかも海だけじゃない。遡れる川があればガンガン遡って内陸でも暴れ回る。朝鮮政府は日本に「倭冦」取り締まりを再三要求するが、当時の幕府は戦国時代へ突入する頃で混乱しててナンも手が打てない。同時期に朝鮮は明王朝からも政治的プレッシャーを受け領土の割譲を要求された。ボロボロでしょ。

●そんでトドメが、最大の「倭冦」、豊臣秀吉の朝鮮出兵だ。大航海時代のヨーロッパ諸国の動きに注目していた秀吉は、明王朝を日本の支配下に置いてアジアの覇権を確たるモノにしたい(ムチャ!)と思ってたみたいで、朝鮮半島進出はその野望の一歩と言うのだ。両国の交渉役を務めた対馬の宗氏は、秀吉のムチャクチャを無難無難に収めようとお互いを刺激しないように立ち振る舞うが、そんなんじゃ双方の話が全然噛み合ないのは当たり前、結局秀吉は本気で朝鮮半島を血祭りにしてやると決断してしまった。
中世の朝鮮半島では文官に権力が集中し、武官は1ランク下と見下されていた。一方日本軍は全国統一直後でノリに乗ってる秀吉直下の戦闘部隊、鉄砲の精度や兵士の練度は格段の差があった。がために、日本軍はあっという間に首都を陥落、平壌まで攻め落とした。政権はシッポを巻いて逃げ出したが、しかし一般民衆はエラい!モンゴル軍を悩ませたように山にこもってゲリラに転身、戦闘は泥沼化した上にの援軍まで到着。日本軍の中心人物小西行長は、秀吉の要求文書を書き換えてまでしてと講和、停戦に持ち込んだ。
●しかし、日本軍が快勝してると錯覚してる秀吉は、再び侵略を指示。日本の大名の中でも誰も出兵したいと思ってないのに…。相手の朝鮮側は一回目の反省を活かして効果的に反撃、日本軍は半島南岸に食い止められる。そんな厭戦ムードの中で下された秀吉の命令は「殺した朝鮮人の鼻&耳をそいで持って帰って来い!」もうメチャクチャ。一般大衆を巻き込んだ愚かで無意味な殺戮が行われた。マジでこれではタコ殴りだよ。
徳川家康は、幕府を立てて朝鮮と国交を回復する際「自分は朝鮮出兵には関与しなかった」と訴えた。勝ち目のない戦争に巨額の投資は無意味との判断が家康らしいが、戦後処理の国交正常化のアリバイとして出兵を差し控えてたとしたら、ホントに彼は老獪な政治家だ。
●ともかく、20世紀の植民地支配だけでは、日本に対する朝鮮民族の感情は理解出来ない。中国から常に圧力を受け続けているのに、文化的後進国だったはずの隣人までにも間接直接のプレッシャーをジワジワ受けていたのだから。


日本は1868年の明治維新で政権交替、近代国家への道を踏み出した。ただし、この「近代国家」つー考え方には、当時のヨーロッパ列強がもれなく夢中になってた当時最新の流行「帝国主義」も含まれていた。維新の2年目には台湾出兵し、対外進出やる気満々モード。西南戦争のキッカケになった「征韓論」は明治政府の最初からポピュラーな考え方だったし、攻めるか攻めないかという議論じゃなく、いつ攻めるのがイイのかという議論だった。危険な隣人大日本帝国は、最初っからそのツモリだったわけだ。
●そこからは皆さんご周知の通り、日清/日露戦争を経て韓国併合「合併」でもなく「合体」でもない。「併合」という言葉。コレは、この時初めて作られた造語だという。対等な立場で二つの国が繋がる訳じゃないが、占領とか侵略とかいうネガティブな言葉も使えなかった中での、苦肉の造語。マスメディアの作る言葉は、時にナニかを丁寧に隠蔽する。
●併合直前に暗殺された伊藤博文は、戦後の長い間1000円札のオジさんとして日本人に親しまれてきたが、初代総理大臣である彼は、初代韓国総監でもある植民地支配の首班格だ。韓国/朝鮮の人々にとってコレはかなりムカつく話だろう。豊臣秀吉を英雄とする考え方も、彼らには受け付けられない。ジェノサイドの張本人だからだ。


戦後の分裂状態も朝鮮民族の悲劇だ。
ジョンイルパパ、金日成は、「白頭山のトラ」の異名を持つ反日闘争の英雄だったそうな。「抗日パルチザン」として中国国境付近を拠点に活躍した、ホンマモンの「将軍さま」だ。この頃の活躍は半ば伝説化されててホントのコトはよく分からない。後年「北朝鮮」国家元首になった金日成は、実は途中でソ連/中国などの共産主義国から送り込まれた人物と入れ替えられた別人、なんてウワサもある。
●民族自決のスジから言えば、朝鮮人主体の「北朝鮮」はもしかしたら朝鮮半島の正統政府だったかもしれない。しかし半島の共産主義化を許さないアメリカ/マッカーサー司令は、アメリカに亡命していた右派の軍人・李承晩を首班とした軍事政権を作る。そんで、ドンパチ。朝鮮戦争だ。マッカーサーは核攻撃すら辞さない強硬路線を貫こうとした。ヒロシマナガサキの後に、韓国語の名前の街が続くコトになってしまう可能性は、かなり高かったわけだ。

●その後の北朝鮮は、初期に土地改革を行うなど社会主義のお手本のような路線を行くが、やはり社会主義の典型政策・計画経済は早々に破綻し、オマケに中ソの関係悪化でドチラの支援ももらえなくなっちゃった。孤立無援になった北朝鮮は、個人崇拝路線で「将軍さま」=「神さま」体制を整え、パパからジョンイルへと権力を丁寧に引き継いでいる。そのジョンイルさまが、実は死んでるらしいとの報道が最近のメディアを賑わしているけど。現在は人口約2千万人に対して100万人の軍隊を持ち、核兵器の開発に意欲満点。立派な軍事政権だよ……。

●半島南部に成立した「大韓民国」は、その後しばらく民主化運動&軍事クーデターの繰り返しで実にキナ臭い国だったが、87年に民主的な総選挙で大統領が選ばれ、88年にはソウルオリンピックが開催された。スゲエスピードの民主化だ。過去のクーデターに関わる罪で元大統領が犯罪者として裁判にかけられるほどだから、見事な民主化といわざるをえない。中国もこのペースでオリンピックをキッカケに民主化が進むと思ってたのにな。アレはスゴく特別な出来事だったんだ。
●アメリカが反共産主義のために支援した軍事政権の中で、一番スマートに民主化に成功したのが韓国なのだと思う。イラクのフセイン政権、パナマのノリエガ政権、チリのピノチェト政権、南ベトナム…。どれもサイアク。左派政権ニカラグアには反政府ゲリラに武器支援してスキャンダルになった。パキスタンのムシャラフ大統領もこの前失脚した…大丈夫かよあの国核兵器もってるんだぜ。ボクは94年に初めてソウルを訪れてからもう7~8回あの国を訪れているが、洗練されたポップカルチャーとユースカルチャーを誇る素晴らしい国になった。


それでも民族的主体性を頑に守り続ける力強さ。
●人口4千万人の韓国と2千万人の北朝鮮が統一するためのコストとリスクは大変なモノだろう。100万人の軍人は武装解除に応じるだろうか、生活水準やライフスタイルの格差が強烈になった二つのカルチャーが、新たな階級摩擦になるのじゃないだろうか。なのに、彼らは南北統一を望んで止まない。朝鮮民族としての一体性を信じて疑ってない証拠だ。
●中華帝国からの圧力や侵略、文化的影響の中に、民族的アイデンティティを飲み込まれてしまう民族は歴史上数知れず。モンゴル帝国も、北朝鮮よりも北の僻地に発する女真族が打ち立てた清王朝も、速やかに中華化してしまう。今話題のチベットウイグル族漢民族の支配に甘んじ、そのアイデンティティを脅かされている。だから朝鮮民族が完全中華化してしまっても不思議はないはずだ。なのに、侵入者に対してはゲリラ戦術で立ち向かい決して退く事のないド根性、祖先を敬い民族性を保つチカラ、この粘り強いアイデンティティはドコから湧いてくるのだろう。日本に生まれたからなんとなく日本人、という我々にとって、ナニが違うのが考えるのは興味深い事だ。

自律神経失調症とのお付合い(その67)~「デイケア/小旅行でボウリング」編
●なんかすっかり久しぶりの「自律神経失調症」シリーズ。でも別に病気が治った訳ではありません。セッセと病院に通い、クスリをガブガブ飲んでます。
●しかし、ちっとも回復してないという訳でもなく、ココん所は久しぶりに会社に行って、看護師「のび太くんのママ」さんと今後の展開について相談なんてしています。リハビリの舞台を会社に戻す時期を探りつつ、以前失敗した反省を活かして今回はどんなカタチでリハビリ出勤するか、とかね。でもまだ具体的なプランにはほど遠いので、その話はまたいづれ。

「分析的心理療法」のカウンセリングもマジメに通ってます。
●どこがどのように「分析的」なのか今だサッパリ理解できない状況で、これもナニも書く事ができません。4回のカウンセリングで一回総括があるはずだったのですが、なんかズルッと5回目に持ち越されました。この最後のタネ明かしをしてもらわないと、ナニをしているのかちっとも理解出来ません。

デイケアは月&金の週二日ペースで通ってます。
●この前の月曜日は祝日だったので、昨日はちょっと久しぶりのデイケア。毎日来てる人から見ると、ボクは準レギュラーみたいなポジションで、デイケア歴が短くても毎日来ている人はもはや古参の常連さんみたいにノビノビと振る舞ってます。調理師免許を持ってたスポーツマン系イケメンのリシさん(仮名)は、ボクよりも後にデイケアにやってきたのに(で多分同世代)、もうみんなのムードメイカーになってます。
リシさんは見る限り明らかに体育会系で、肉体労働系の仕事をしてたらしく、週一のピンポンタイムでもすぐにコツを覚えて大活躍、先日のソフトバレーボール練習試合(他のデイケア団体とやった。大きくてとても柔らかいゴムボールでバレーをやる)では、本気のジャンピングサーヴが炸裂して、我がチームを圧勝に導いたのでした。


そんなリシさんが燃えそうな企画が。「小旅行/ボウリング大会」です。
●デイケアのメンバーにそれぞれ分担される係に「小旅行係」というのがあるのです。「小旅行」ってのは、半日かけて病院の外に出て映画を観に行ったり、プラネタリウムに行ったりと、少しだけ遠出をして、病院の外での団体行動をするというもの。行き先もスケジュールもツアーガイドも全部係のメンバーさんが行う。みんなをカッチリ仕切っていく段取りをなぞるという、こんなリハビリもあるんですよ。そんで今回は病院の最寄り駅からいくつか離れた駅のソバにあるボウリング場に行くことになってたのです。交通費/ボウリング代は病院負担、お昼ゴハンだけは自己負担。まー、ちょっとした遠足です。

ボクはその日、すっかりこのボウリングのコトを忘れてました。
●いつも通り駅前の送迎バス停留所に参上したら、デイケアの長老ツエさん「ああ、unimogrooveさん、キミはボウリング行かんのかい?」ボウリング?ツエさんのマージャン仲間のオバさんマージャンさん(仮名)「そうよ、今日は小旅行の日よ。アナタ、行くって事前申請した?」うわあ覚えてねえ…どっちだっけ? ホワイトボードに名前書くだけなんだよな…、今月はイロイロ催しがあってドレに名前書いたか分からない。
「病院に電話して確認しなさいよ、このまま送迎バスに乗っちゃったら、絶対小旅行行けないわよ。アタシたまたま日程表持ってるから、アナタにあげる」ありがとうございます!そんで早速その紙に書いてある電話番号に電話。で「はい、00ボウルでございます」おいおい、この電話番号ボウリング場の番号じゃん!す、すいません、あの病院の電話番号はご存知じゃないですか?古参メンバーさんは全員ソラで暗記してるのよね。慌ててその番号を携帯に登録して、電話する。「小旅行?ちゃんと登録されてますよ。待ち合わせは駅前のたこ焼き屋さん前だからよろしくお願いします」よかった…。でもツエさんマージャンさんたちは、小旅行行かないんだな…。ツエさんのカラダじゃボウリングは無理なんだろう。

●一時間後、駅前に集合した参加メンバーは、障害者手帳を持ってる人と持ってない人でペアを組む。神奈川県内の交通機関には、障害者手帳を持つ人とその介助者は半額料金にしてくれるというトコロがあるのだ。コレだけで交通費は半分になる。小刻みな倹約。ちなみにバスもイケる場合あり。
●電車で移動した郊外の町は、もはや横浜市ですらない場所で、土地勘のないボクには全然イメージ出来ない所だ。スーパー&レストラン&TSUTAYA併設の駅ビルと、駅前に BOOK OFF。あと横浜銀行。そんだけの町。うーむなんもない。なんにもないので、徒歩6分ほどのボウリング場(のテッペンにそびえ立つ巨大なボウリングピン)がよく見える。
●一階は大きなパチンコ屋。ニッカポッカさん(仮名)「おいおい、一階の方がオモシロいんじゃねえか」実際ニッカポッカさんココに打ちにきた事があるらしい。そんで、2階に広いボウリング場がある。


うーん、ボウリングなんてもう2年ぶり?
●前回のボウリングはよく覚えてる。立ち上がったばかりの新プロジェクトがうまく機能せず、チームリーダーのオジさんがいかに無能でムカつくか、若手スタッフ同士8人で超盛り上がったあげく、その勢いのママに歌舞伎町のコマボウリングになだれ込んで始発までガンガンやった。そんなに深く仕事した事なかった寄せ集めチームだったのに、アレで一気に結束したね。バカ上司に対する共通意識で連帯。
●そもそもボウリングって飲み会のついでに思わずノリで行っちゃうモノであって、大体深夜0時越えしてからやるもんだというイメージが強い。平日午前中にボウリングなんて生まれて初めてじゃないの?閑散としたフロアの端では高齢者向けボウリング教室とかやってる。しかし、ボクはボールのカラーリングがカワイクて一気に気分が楽しくなる。果物屋さんみたいじゃないか!

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参加者は既に「小旅行」幹事によって組み分けされてた。
●実力者のAランクから並のBランク、ヘタクソのCランク。ボクのボウリングの成績なんて誰にも言ってないのに、自動的にCランクに入ってるトコロが笑えた。非常に的確な分析。さらに下のDランクはスゴいコトに「ガーターなしレーン」というモノでボウリングをするのだ。初めて見たがビビった。
●係員さんの機械操作でガーターの溝がウイーンとせり上がって、そのままレーンの両サイドに壁としてそそり立つのである。これでボールはガーターすることなく、壁に当たっては跳ね返ってピンにブチ当たる。スゴい!こんなコト出来るんだ。
●この壁の反射を利用して、ビリヤードのようなボールの使い方であり得ない角度からピンを狙うって斬新じゃない?この「ガーターなしレーン」「必ずワンクッション」シバリのボウリングをしたらメチャオモシロいと思う。しかも壁はラバー素材で、ボールの回転を吸収変化させるので、ビリヤードのように正確にクッションしない。うーん、ますますスリリングでオモシロいと思う。ニッカポッカさんや、いつもニコニコバタコさん(仮名)などは皆こちら。
●ヘタクソCランクとガーターなしDランクはお隣同士のレーンで、レベルが格別に低いのでスペアが一つ出ればもう最高に盛り上がり、全員がハイタッチしてくれる。ああ、こんな和気あいあいにボウリングしたことがあるだろうか。

しかし、一方で自分のカラダで気付く事も。
●ボクは病気以前ボウリングをする時は、14ポンド~15ポンドの重たいボールを選んで使ってた。ヘタクソなので、腕の余計な動きでボールがヨレナイようにワザと重いボールを使うのだ。しかし、1ゲームこなしたら、指から手の甲の筋肉に力が入らなくなってしまってることに気付いた。もうこれで全然ボールが制御できないし、スコアもドンドン落ちていく。うわー、やっぱ腕のチカラもごっそり弱ってるんだ…。次のゲームは13ポンド、12ポンドとどんどん軽くして調整していった。ボウリングすら病気以前と同じには出来なくなってる。わりとショック。

●結果として、やはりスポーツダイスキ闘魂リシさんが優勝。二位はスタッフのチーフソザさん(仮名)。この人はボクがデイケアの部屋でコツコツ読んでいる横山光輝「三国志」の寄贈者でもあった。三位は、横浜市卓球選手権準優勝という経歴を持ち、いつもノースリーブのシャツで二の腕の筋肉を露出してるオタルさん(仮名)。演歌「小樽の女」のカラオケをこよなく愛する寡黙なこのオジさんは、指2本に入念なテーピングを施して臨戦。Cランクでボクと同じ組だったのに、1人でバッキンバッキンパワーボールを放ちまくって、ちょっとハニカミながらみんなとハイタッチする様がカワイかった。

●女子優勝者は「ガーターなしレーン」でプレイしたバタコさん。ガーターがあってもなくてもココは平等なのだ。それぞれがそれぞれの適応範囲で自分のやれる事をやり、周囲もそれを認める。そんな姿勢が爽やかだとボクは思う。来月の「小旅行」係でもあるバタコさんは、「今度の小旅行はズーラシアにします」と言ってた。わ、楽しみ!ボクは動物園や水族館が大好きだ。ズーラシアは遠いと思ってたけど、実は病院の最寄り駅からバスが出てるんだそうだ。ま、病院そのものが基本的に遠いんだけど。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html


有名人目撃情報。
●いつものように病院へ行こうと下北沢の駅前に向かう途中、見事な白髪と、モミアゲからアゴ、クチの周りを完全に包み込む立派なヒゲおじさんが、ママチャリに乗ってボクのいる方向に走ってきた。そのあまりに見事な白い髪とヒゲに一瞬見とれて…、そんで気付いた、柄本明さんじゃないか!
●ママチャリをふらふら~っとゆっくり漕いで来る柄本明さん、ピンクのストライプがタテに走る上品なYシャツをベロっと無造作に着崩して、そんで足はハダシに雪駄!素っ気ない表情でボクの前を通過していく…。カッコいい柄本さん…。
●一体ドコ行くんだろう、思わずママチャリの行方が気になるなあー、あっ!スズナリの方に行ったぞ!あらら、スズナリの前でママチャリを停めて、上演中の芝居のポスターをジッと眺めてる。うわあ、ホンモノの演劇人だ…スゲエ…。ここはマジで歩み寄って「握手して下さい、柄本さんのファンです」とか言っちゃおうかドキドキ。1分ほどポスターをじっくり眺めた柄本さんは、ママチャリを切り返してドコかへと飄々と走り去った。
●以前近所に住んでたトモダチが、柄本さん行きつけのダイニングバーが住宅街に入り込んだ場所にあるんだってコトを言ってた。ソコでたった一人遅い朝ご飯を食べたりしてるのを2、3度見たとか。



引き続いて、サル目撃情報。
●先日、ニュースで突然渋谷駅にニホンザルが現れて、オマワリサンたちが追っかけ回すという珍事があったの覚えてますか?そんで原宿方面に逃げて、結局捕まえられなかったってヤツ。

●あの見事な都会派おサルさんは、なんとあそこから西へ移動、我が家の近辺に出現したというのです。息子ノマドの小学校では、朝8時に目撃情報が寄せられると速やかに「安全情報」なるプリントを刷って配布、その日は全校児童の集団下校を実施したのでありました。その日の朝の情報で、午後イチには学校としての危機管理体制を組んで対応、鮮やかな裁きにお見事と言いたいのであります。

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●で、そのクソ丁寧なプリントの内容が、おサル一匹にココまで折り目正しく対応するのかよ、と感心するほどだったので、ちょっと中身を紹介しちゃいますね。


 警察は、すぐに、捜索していますが、午後2時現在つかまっていない現状です。
 学校では、以下の点について、指導するとともに、児童の下校に合わせて、教職員がパトロールしました。ご家庭でも十分に注意をお願い致します。
 
・サルを見ても、目を合わせない。大声を出したりしない。走って逃げない。(サルに刺激を与えない)
・サルと遭遇して、食べ物を持っているとおそわれることがある、食べ物を持って子どもだけで歩かない等気を付ける。

 <万が一、サルに遭遇して危険を感じたら>
   近くの大人に助けを求める。
   すぐその場を立ち去る などした後、
   近くの店や「こどもをまもろう110番」の家に助けを求める。
   
 ※ 自分で110番ができる時は、警察に通報する。
 ※ 保護者の方がお子さんから、サルに遭遇したことを聞いたら、すぐに警察に通報する。(場所を正確に伝える。分からなければ目印になる建物でもよい)
 ※ 警察に通報したら、その後、学校にもご連絡下さい。



●うーむ、「サル」という名詞を、「アナコンダ」とか「ベンガルトラ」とか「プテラノドン」とか「放射能で巨大化したタランチュラ」とかに入れ替えてみると、結構スリリングなパニック映画みたいな設定になる。なんか笑える。
●孤軍奮闘のニホンザルくんが都内のアウェイなサバイバルを続けているコトの逞しさと、そんなおサルにココまで鉄壁な防御態勢を整える人類の用意周到さが、日本はノンキな国でよかったよかった、と思えて微笑ましいっす。……えっ、おサルが都心までやってくるのも地球温暖化の影響? だとしたらノンキとも言えないのか…。



アメリカ保険大手の AIG という会社がピンチだそうで。そこで気付いた事。
●このニュースで気付いたんだけど、外資の保険会社ってみんな名前が「ア」から始まるのよ!アクサ、アフラック、アメリカンファミリー…。全部「ア」だよ、コレでもかってくらいに。

●ウチも掛け捨てで外資の生命保険やってるから、「ヤベ、直撃!? 倒産したらどうなるかな(どうやら倒産しないみたいだけど)」と思った。で、ウチの保険会社の名前を思い出そうとしたら、アヒルの声が聞こえてきたり、地井武男の声が聞こえてきたりすんだけど、肝心の会社の名前が思い出せない…。アレ?アフラックじゃなかったっけ?なんだっけ?……つーか考えてみると、全部名前が似過ぎてるよ!

●ホームページで確認したら、AIG系列の会社は、アメリカンホームと、アリコジャパン、AIGスター生命、AIU保険。全部「ア」または「A」で染めてます。つーか一つの系列だけでこんなに保険会社あったんだ。しかもスゴいでしょ、ホントに「ア」ばっかでしょ。コレで山手線ゲームやったら、ちょっとだけ盛り上がるかも?



「バック・トゥー・ベーシック」として新しく音楽と向き合う事としたボクは、ルーツ回帰として、自分の過去によく響いた音楽を選んで聴いていこうと、先日決意したのでした。


●ほんで、世界で一番好きなロックバンドはナニか?と聞かれたら迷わず「PAVEMENT です」と答えると先日書いたんだけど、、今日は世界で一番カッコいいと思っているロックバンドについて語ります。そのバンドの名は「SONIC YOUTH」。もう最近はズッーっと SONIC YOUTH 聴いてます。

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(SONIC YOUTH 2005年。KIM GORDON、THURSTON MOORE)

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●どんくらい好きかというと、壁の全てが本とCDで埋まってるというのに、無理矢理天井にポスター貼っちゃってるくらい。しかも1990年のツアーポスター。ああ、ワタクシ16歳、シックスティーンの頃のモンです。このバンドを知った頃のモンだから、もう何年ボクの部屋に貼られ続けているのだろうか。


しかし、NYアンダーグラウンドの帝王と言われるわりには、SONIC YOUTH って分かりづらい音楽らしいのよ。
●8年くらい昔、出版社に勤める先輩に、SONIC YOUTH についての思いのタケをガーッと語ろうと思ったら、「オレ SONIC YOUTH 苦手なんだ」と出鼻をくじかれた事があった。「オレって『物語』で音楽を聴くのよ」むっ、さすが文芸担当編集者、なんかスゴいコトを言うぞ。
「バンドや音楽って一つの『物語』だと思うのよ、ほら、ジョンレノンが殺されちゃうとか、カートコバーンが自殺しちゃうとか。作品の外にこぼれ出るアーティストの生き様も引っ括めて、オレらって音楽聴いてると思うのよ。だって、シドヴィシャスだってあんな激しい死に方(&殺し方)しなけりゃ、オレら普通のチンピラとしか思ってなかったはずだぜ」むむー確かにそうだ。
●そこんとこ行くと、SONIC YOUTH って掴みドコロがないバンドだと言う。無冠の帝王ってか。確かにメンバーは仲良し夫婦が軸になってるし、芸歴は長いが起伏もなく淡々とマイペースだし。「多分、キミにはバンドのスゴさがわかってると思うんだけど、オレにはちょっとね」

●こんな会話を久しぶりに思い出したのは、このバンドは、1981年の最初のリリースから2008年の最新関連音源まで、四半世紀を軽く超えるキャリアを順番バラバラで聴いても全部同じに聴こえるコトに気付いちゃったから。イヤイヤ、ホントはスゴく進化や実験があるんですよ!でもその変遷をつぶさに追いかけても、この文章を読んでるアナタには、絶対に伝わらないし、ハナシとして全然オモシロくないと、ハッキリわかっちゃった。


●だから、バンドの歴史を詳しく知りたい人にはこのバンドの伝記本「ソニック・ユース・ストーリー」をお薦めして(実際チョーオモシロかった)、SONIC YOUTH にまつわるボクの個人史を語ります。ボクなりの『SONIC YOUTH 物語』です。

Trees Outside the AcademyTrees Outside the Academy
(2007/09/24)
Thurston Moore

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THURSTON MOORE「TREES OUTSIDE THE ACADEMY」2007年
●コレは、SONIC YOUTH の中心人物でギタリストの THURSTON MOORE が、自らが主宰するインディレーベル ECSTATIC PEACE からリリースした最近のソロ。このレーベルはアバンギャルドなノイズミュージックなどを中心に取り扱ってきたので、最初はチェックしてたけどとうのムカシにギブアップしました。全部同じジャケで中身も全部似たようなノイズものばかり。しかし、コレは、彼が十数年ぶりに比較的フツウのロックをソロでやった!という意味で、ファンには一大事件になってしまったという代物。
●ここには、彼のギターへの繊細な愛情が集約されております。マイナー調の切ない基調の楽曲の中に、虚飾を極力削ぎ落として、つま弾くギターの一音一音に丁寧な思いを込めた、彼なりのブルースが鳴っております。彼のギターは、そして SONIC YOUTH のギターは、冷たく冴え渡っている日本刀のような光沢が乗っています。6本の針金がヒリヒリと振動し、冷たく乾いた音が、淡いエコーの中でジワリと滲みながら暗い空間の中に響くのです。もし SONIC YOUTH を未体験でドコから入ってイイのやら見当もつかない人は、このソロ作から入ってもイイかも知れません。


THURSTON MOORE は、ボクの中では世界で一番カッコいいギタリストです。
●ジャケ写などご覧いただくと雰囲気伝わるかと思いますが、なんか「永遠のギター青年」というか…。190センチはあろうかという長身と、無造作に伸ばしたボサボサの髪の毛、比較的にストラップを長めに構えて大きなギターを丁寧に振り回します。うーん、その佇まいだけでシビレマス。

thurston moore

(「EXPERIMENTAL JET SET, TRASH AND NO STAR」の内ジャケより。)

●しかし彼のギターは、一般的な意味で技巧的だったり、メチャテクニカルだったり、高速プレイがスゴかったり、ましてや歯で演奏したり、ギターをステージに叩き付けて破壊したり、火をつけたりはしません。彼の関心は、このギターという楽器から、どんな音が引き出せるのか導き出せるのか、このただ一点に集約されてます。
●そのためには、ギターを改造したり、特殊なチューニングを開発したり(一時期 SONIC YOUTH チューニングとしてマネする人までいた)、打楽器のようにドラムスティックで叩いたり、アンプと向き合って器用にフィードバックノイズを作り出したりします。時々ギターを足で踏むってのはやってましたね、ライブの時に。まー結果として、SONIC YOUTH 関連の音源は、非常にノイジーで、即興性が強く、非常に不定形で、なんだかワカラン騒音のカタマリになってしまいます。
しかし実はその広大なノイズの海に、大きく砕ける波、小さく震える波紋、突風から凪へ次々に変化する空気の流れ、爆発から静寂まで大きなレンジで振幅するテンション、恍惚と興奮と恐怖と疾走感、さまざまな感覚が思いっきりたっぷり溶け込んでるわけです。これがポップミュージックとしてのロックの形から逸脱したりしなかったり(いや…逸脱しきってる方が多いかな…)するわけですから、メチャスリリングな訳です。……この雰囲気に乗れないと、SONIC YOUTH はマジで理解できません。極言すると、四半世紀この人たちは、コレだけを追究して他の事はなんもやってないからです。


SONIC YOUTH は、現代音楽のサークルから生まれたバンド。
80年代初頭。音楽シーンは70年代末のパンク革命第一波の激震を受けて、その混乱から新しい秩序に向かう時期でした。パンクは、SEX PISTOLS が生み出したシンプルさとスピード感と攻撃性をさらに研ぎすまし、ハードコアの時代に突入します。パンクの震源地だったロンドンとニューヨークでハードコアバンドが次々と登場し、ロサンゼルスにも強力な磁場を持つハードコアシーンが成立しました。

●ハードコアがパンクの様式を研ぎすます運動だったのに対し、パンクの実験精神を信奉し、過去のロックの因習から離れて他のジャンルの音楽とハイブリット化していくベクトルも出来ました。ニューウェーヴ/ノーウェーヴの流れですね。今どきの言葉でいえばポストパンクです。アフリカンミュージックのダンス感覚を奇妙な形で取り込んだ TALKING HEADS や、レゲエ/ダブの感覚を暗黒のフォースで圧縮処理してしまった THE POP GROUP 関連のバンドなどなど。A CERTAIN RACIO も暗黒のファンクに魂を売ったバンドだったでしょう。ジャズとパンクのハイブリットとしては LOUNGE LIZARDS とか JAMES CHANCE & THE CONTORTIONS のようなバンド、JOHN ZORN のような前衛ジャズプレイヤーが登場、BRIAN ENO が編んだ名作コンピ「NO NEW YORK」経由で半分ブラジル人 ARTO LINDSAYAMBITIOUS LOVERS も出現します。最新のテクノ機材を用いたテクノポップバンドも有象無象発生しました。

STEVE REICHLA MONTE YOUNG など70年代までの現代音楽の成果がアンダーグラウンドシーンにまで浸透してきたのもこの頃で、何人かの若者が一見難解なこの種の音楽とパンク精神を重ね合わせた音楽に取り組みました。その中の一人、GLENN BRANCA というオトコが、大勢のエレキギターを集めて(ボクの持ってるCDでは10人)ひたすら全員にカリカリカリカリンと同じフレーズを(例えば15分くらい)繰り返させるような音楽をやっとりました。いわゆるミニマリズムってヤツね。その10本のギターが織り成すそれぞれのグルーヴが、徐々に大きなうねりになって膨張していくという仕組み。パンクの実験精神が炸裂してる現場。「象牙の塔」に閉じこもってるかのように見える現代音楽を、80年代初頭のニューヨークは KNITTING FACTORY のようなアンダーグラウンドなハコで轟音でブチ鳴らしていたのでした。

Symphony No. 6 (Devil Choirs at the Gates of Heaven)Symphony No. 6 (Devil Choirs at the Gates of Heaven)
(1994/04/08)
Glenn Branca

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(ボクの持ってる BRANCA 作品。代表作なのかどうかというのはちと分からない。)

●そんな場所にタムロし、GLENN のグループでギターをかき鳴らしてたのが、その後 SONIC YOUTH を結成する若き日の THURSTON MOORE と彼のガールフレンド KIM GORDON、そしてよりフリーなギターを得意とする LEE RANALDO だったのです。だから彼らには、誰にも負けない強靭なパンク精神とそれに基づく旺盛なインディ精神、実験精神が最初から備わっており、一方でいわゆる単純な意味でのロックのカタルシスに全然影響されない特別な審美眼が育っていったのです。この三人を軸にバンドは1981年に結成。ドラマーは何人かの交替を経て、1986年に現在のドラマー STEVE SHELLEY が加入しました。彼の地味ながら正確で硬質なドラムテクニックも、SONIC YOUTH の音楽の重要な要素となっています。

●長々書きましたけど、結局何が言いたいかっつーと、要するにこのバンドは、80年代の超ヒネクレモノカルチャーから出発したバンドで、MTV が牽引する当時のメジャーのポップス/ロック、ましてや当時のヘヴィメタルやハードロックとは全然違う育ちにあるというコトです。



そんで話はイキナリ1990年。
●東京都下在住の高校生がこのバンドに出会います。ボクのことです。あの天井に貼ってあるポスターと同じジャケットのCDを見つけるのです。

GooGoo
(1990/06/15)
Sonic Youth

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SONIC YOUTH「GOO」1990年
●金がなかった当時のボクは毎日のようにレンタルアコムに通って(当時 TSUTAYA はまだなく、ギリギリ YOU & I が生き残っていた)、CDをレンタルしてはカセットテープにダビングしてました。そんで、今月の新譜コーナーのハジッコに、この「音速の若者」と名乗るバンドを見つけるのです。ジャケは黒いサングラスをかけた2人の男女。ハジッコに綴られた英語は「I STOLE MY SISTER'S BOYFRIEND. IT WAS ALL WHIRLWIND, HEAT AND FLASH. WITHIN A WEEK, WE KILLED MY PARENTS AND HIT THE ROAD.(アタシは姉さんの彼氏を盗んだ。それは全てが旋風のように激烈で一閃のことだった。その週の内に、アタシたちは両親を殺し、そして路上へと旅立った…)」くっ、クール……。このジャケに惚れ込んだ。だからポスターを今でも部屋に貼ってるんだな。

この一枚でボクのロック観が転覆しました。コペルニクス的転換てヤツです。
●最初に言っちゃうと、このアルバムはバンドの長いキャリアの中ではダメな物件です。もっとスゲエのが前にも後にもあります。オマケに本人たちも気に入ってないらしいです。それでも意味があるのは、コレが彼らにとって初めてのメジャー盤だからです。インディでザックリ数えても6枚アルバムを出してた彼らはそのまんまでも十分やっていける実力を持っていましたが、80年代ロックの中で黙殺されてるアンダーグラウンドシーンに注目を集めるため、敢えてメジャーと契約する道を選びました。だから、極東の一都市に住む少年の手元にも彼らの音楽が届いたのです。そんで駄作とは言われながらも、このCDに16歳の少年は胸を射抜かれるような衝撃を受けたのです。

GUNS 'N' ROSESAEROSMITH、BON JOVI といった80年代風のハードロックに慣らされた耳を、SONIC YOUTH はことごとく裏切りまくりました。ダイナミックなヴォーカルもないし、ドラマチックなメロディもないし、派手なギターソロもないし、そもそも熱い燃え滾るテンションがない。ハードロックに必要不可欠な要素がなんにも入ってない。既存のロックにいつのまにか刷り込まれてた無文律を全部無視逸脱した音楽をやってたのです。
●ボソボソとやる気のなーいボーカル、淡々としたリズム、イマイチ構成のハッキリしない展開、全体的に冷えきった感触。それでいながら、今まで聴いてきたどんなロックよりも凶暴で禍々しいギターノイズの応酬が待っていたのです。THURSTON の正確なカッティングに LEE のフリーキーで呻きや叫びのようにも聴こえる奔放なフレーズ、それを KIM の太いベースと STEVE のクールでタイトなリズムが支える。時にリズムも消え失せて、キリキリと耳を絞り上げるようなノイズ音だけが3~4分響き渡る。それはナニかの感情(ロック的な怒りや憤り)が爆発するようなノイズではなく、宇宙の果てのような由来不明の地点からやってくる、純然たる100%のノイズなのです。耳をつんざくためだけに練り出された無感情のギターの咆哮。まさしくクール。この瞬間、ボクの中で全てのハードロックが古くさく、芝居がかったバタ臭い陳腐なモノになりました。音楽的に本当にヘヴィなのは、このヒンヤリと冷えきった場所から放射されるギターノイズだと確信したのでした。

●当時放送部であったボクは、お昼の校内放送でこのCDを轟音で連日鳴らしました。全ての教室でスピーカーの音量をゼロに絞られましたが。THE VELVET UNDERGROUND 「HEROIN」とかとメチャ相性がよく、「WHITE LIGHT, WHITE HEAT」などと一緒にプレイしたもんです。まー、アレは若気の至り、聴き手無視の嫌がらせのようなモノです。


次のアルバムで、ボクの確信は世間の常識となりました。グランジロックの到来です。

DirtyDirty
(1992/07/21)
Sonic Youth

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SONIC YOUTH「DIRTY」1992年
コレは歴史的にも NIRVANA「NEVER MIND」1991年とともに90年代ロックの新しい幕を開ける超重要作になったモノです。もう一番聴き込んだ SONIC YOUTH アルバムですわ。そしてこの二枚には共通点があって、二枚ともプロデュースを BUTCH VIG という人物が手がけているというコトです。が故に本来セルフプロデュースが基本の SONIC YOUTH にとっては、少々毛色の違う音に仕上がってます。しかし時代を転覆させる音とはこのこと、より音の輪郭がハッキリして、ザラザラした音の表面が耳を削り落とすかのような勢いがあります。一歩先には何が待ってるか分からない曲の展開とヘッドホンを埋め尽くすノイズのカタマリ、そんなものと根性比べをしてるような気分にもなるくらい。一歩引いてみると、なんで我慢しながらワザワザそんなもん聴いてるんだ?とも言えますが。


でも時代は変わりました。
GUNS 'N' ROSES が数々の狼藉の末に機能停止/仮死状態に陥ったのを最後に、80年代ハードロックは死滅。一気に古くさいオールドウエーヴになり、今まで我が物顔でCD屋さんの売り場の中心を担っていたハードロックは、「HR/HM」という専門コーナーに追いやられて「プログレ」の隣に行ってしまいました。そして新時代の音楽、グランジ/オルタナティブロックが天下を獲るのです。

●ベルリンの壁崩壊、東西ドイツの統一、ペレストロイカ~ソ連崩壊、湾岸戦争、昭和天皇の崩御~「平成」時代の始まり、非自民党内閣成立(細川護煕首相)と、80年代と90年代の境目は、世界史的な激変期でした。一方では音楽の世界も、イギリスのマッドチェスター/レイヴムーブメント、日本のバンドブーム/渋谷系、アメリカではグランジ/オルタナティブロックへの転換と激変。ボクらは、それを全て重ね合わせて新時代の到来と新世代の息吹を感じていました……。ボクらの時代がやってきたと。


1992年に大学進学したボクの、過去音源めぐり。
●ボクが大学時代に在籍したサークルは7つくらいあって、オモシロそうなトコロにはイロイロ首を突っ込んでいたモノですが、その中の一つに、学祭でライブコンサートを企画運営するサークルがありました。ブレイク前の YELLOW MONKEY とか、イカ天キングの FLYING KIDS とか、実はワリと硬派なネオモッズだった SHAMROCK とか、アシッドジャズとリンクした MONDO GROSSO とか、…あと和製シューゲイザーの SECRET GOLDFISH とか(記憶に自信ない…)、ま、イロイロなバンドを招いたモノです。
●ヴィジュアル系からマンチェ系までありとあらゆる趣味趣向を持った人々が集まってたので、地下の部室は、誰のかよくわからんCDと、先輩のふかすモクモクのタバコで一杯でした。そのヤニ臭い部屋に、SONIC YOUTH の一番最初のEPが転がっていたのです!なにしろオリジナルは1981年、当時でも結構レアでした。アレは一体誰のCDだったんだろう?持ち主が分かれば断って借りる事も出来たのに、ソレもワカランから、結局聴けず仕舞い。実際にそのEPを12インチで入手したのはそれから10年後くらい…。高かった…。コレ今でも忘れられない思い出。(←小さい事でクヨクヨする性格がよーく象徴されてます)

Sonic YouthSonic Youth
(2006/03/14)
Sonic Youth

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(SONIC YOUTH「SONIC YOUTH」1981年。メンバーの顔が若い!THURSTON なんて中学生みたいだよ!)


SONIC YOUTH を知ってからは、このような過去音源を買い漁る日々が続きます。「SONIC YOUTH と書いてあったら見た瞬間必ず買う(メンバーの課外活動含む)」を自らに掟を課してたくらい。

●基本的にアヴァンギャルドから出てきた人たちだから、もう初期サウンドは凄まじいギターノイズの拷問ですわ。THE STOOGES のカバーを本家に迫るテンションでバリバリ弾き出す他(「CONFUSION IS SEX」1983年)、当時ノーウェイヴシーンの女傑として知られた LYDIA LUNCH (TEENAGE JESUS AND THE JERKS) を迎えて爆音&絶叫対決を繰り広げたり「ブレアウィッチプロジェクト」もビックリのアメリカンゴシック世界をエレキパワーで放射するなど大暴れ(「BAD MOON RISING」1985年)。高テンションでありながら、ハードコアパンクのような様式とは無縁な彼らの音楽は、騒音のカタマリとして「ジャンク」と呼ばれるようになる。
●でも、「ジャンク」ってのは、ちょっと的を外した呼称だと思うんです。彼らのノイズは全てがキチンと制御され計算された上で放たれている「音楽」だ。いかにギターを思ったように爆発させるコトができるか、人を不安にさせる音を出すコトができるか、彼らは丁寧に研究研鑽して正確に「演奏」しているのだ。完全な無秩序としてのノイズを掻き立ててるワケじゃない、彼らのノイズはジャンクではなく、緻密な芸術なのだ。

●その技術が長いキャリアで成熟され、いつしか独特のポップさ(あくまで完全アヴァンギャルドと比較しての程度の話だけど)を備え始める。基本は一気聴きするとゲンナリする負のパワー満載だけど、馴染みやすいメロディが備わって来る。音も成熟する。今回聴き直して気付いたけれど、ノイズとはいえ、彼らの音には一貫した美学があり、一貫したリリカルなギターの鳴りがある。時にそれが細かい宝石が小川のように流れて行くような錯覚さえ感じる。そう!SONIC YOUTH のギターに宝石のセセラギを聴け!聴こえてくるまで100回聴く事!



Confusion Is Sex/Kill Yr. IdolsConfusion Is Sex/Kill Yr. Idols
(1995/02/28)
Sonic Youth

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(「CONFUSION IS SEX」1983年。録音状態は最悪で確かに CONFUSION(混乱)。でもこんなセックスゴメンです。つーかタダのSMプレイです。そんくらい凶暴なテンションで KIM 嬢が絶叫する THE STOOGES カバー「I WANNA BE A DOG」はマジスゴいです。)

Bad Moon RisingBad Moon Rising
(1995/04/25)
Sonic Youth

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(「BAD MOON RISING」1985年。ジャケが「ブレアウィッチ」風って感じしない? LYDIA LUNCH 参加の「DEATH VALLY 69」はライブでも必殺チューンとして大活躍してた。初期の大名曲。)

EVOLEVOL
(1994/09/27)
Sonic Youth

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(「EVOL」1986年。つくづくジャケが凶悪だねえ。このコワいお姉さんが LYDIA LUNCH。それでも「STAR POWER」など KIM が淡々と歌う耳馴染みのイイ曲も入ってるんだよ。)

SisterSister
(1994/10/11)
Sonic Youth

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(「SISTER」1987年。一曲目「SCHIZOPHRENIA」に、次作に続く青春ロックの匂いがホンノリ感じられますが、基本はノイズ魂ド根性です。気合い入れて聴いて下さい。)


ハナシはうって変わって、1994年、ワタクシ初めての渡米。
SNOOP DOGG を語った記事でちと触れたのですが、この年初めてボクは単身で海外旅行に挑戦、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルの、西海岸三都市をめぐりました。ロスのCATVで SNOOP DOGG の登場にショックを受けた後、飛行機で飛んだサンフランシスコでは、チカラの限りCDを買いました。トラムに乗ってシスコ中心部から向かった先はバークレーという街。カルフォルニア大学バークレー校があり、つまりはとっても魅力的な学生街があり、ボクの大好きなレコ屋古着屋古本屋がたくさんあるという塩梅。アメリカ行ったら大学探せ、コレボクの中の鉄則です。
●で、ほぼ偶然の結果立ち寄ったのが、西海岸で超有名なレコードショップ AMEOBA MUSIC。その真価を知ったのはかなりあとの事ですが…。とにかくココで激買い!40枚くらい買ったかも。

250px-InsideAmoeba.jpg(AMEOBA MUSIC サンフランシスコ店の店内)


そんで、ココであのロウソクジャケットを購入する。

Daydream NationDaydream Nation
(1993/11/23)
Sonic Youth

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SONIC YOUTH「DAYDREAM NATION」1988年
傑作です。この時点で最先端をいくサウンドを鳴らしながら最高にキャッチーです。ポップとアヴァンギャルドの天秤の中心を見事見つけた瞬間。ハードコアにもヘヴィメタルにも依存しない様式から出現した新しい形態のロック、つまり90年代アメリカンロックを支配する「オルタナティブロック」が世間に認知された瞬間ですわ。青春のキラメキと焦燥感が、疾走するリズムと咆哮するギターで瑞々しく輝く様が、年をとればとるほどマブシイっす。一曲目の「TEENAGE RIOT」で感涙。30歳代って涙もろくなるね。この作品の成功をキッカケにバンドはメジャーへの切符を手にし、前述の「GOO」~「DIRTY」へと繋がって行く。

●一方、この名譜の直後、CICCONE YOUTH という別名儀ユニットで、超脱力サウンド& MADONNA の超脱力カバーを披露して(CICCONE ってのは、MADONNA の本名のミドルネーム)、にわかファンをズッコケさせるというユーモアも秀逸。

The Whitey AlbumThe Whitey Album
(2006/03/14)
Ciccone Youth

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(CICCONE YOUTH「THE WHITEY ALBUM」1988年。ジャケは MADONNA のドアップ写真。THURSTON のやる気のナイ「IN THE GROOVE が超マヌケで最高です。)


●ボク個人としてはこの時点で、一枚目のアルバムから始めた過去音源巡りが一通り終り、新譜とリンクするリアルタイム聴きが始まる。


ここから先は、次回へ。
●ここまでの SONIC YOUTH (1981~1992年)が、NYアンダーグラウンドのノイズアヴァンギャルド集団から、全米を揺るがすオルタナティブ/グランジロックの旗手への、洗練の過程とするならば、次に続く時代(1992~2008年)は、再びアヴァンギャルドへの回帰というベクトルでバンドは進化していく。コレは逆行ではなく、深化であり成熟である。メジャーのフィールドにいながらにして、最前線の音楽表現を切り開く孤高の存在になっていく。
●ボクは、結成直後からメジャー直前の間を「ノイズ・ソニックユース」、ロウソクジャケットから90年代初頭までを「グランジ・ソニックユース」、そんでそれ以降のこのバンドを、ボクは尊敬を込めて「侘び寂び・ソニックユース」と呼ぶ。重ねて言うが、キーワードは成熟である。彼らは、侘びて寂びたのだ!このオハナシの続きはまたドコかで。


●この90年代聴き直しキャンペーン、シリーズ化してみます。今までのボクの音楽遍歴を振り返る過程です。過去に書いた関連すると思われる記事は下にリンクを貼っていきます。

2008.09.08「PAVEMENT と STEPHEN MALKMUS にまつわるセイシュンの思い出」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-508.html
2008.05.18「00年代エレクトロを巡って、90年代80年代そして70年代まで旅をする」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-438.html
2008.04.20「80年代末から現在まで、UKのブラックミュージックを一気に俯瞰する」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-418.html
2008.04.05「放送室で溶け合った、60年代と90年代UKロック。ブリットポップの時代」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080405.html
2008.04.29「ボクは「FREE SOUL」がダイキライ。でも許す(←ナニ様?)」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-425.html
2007.10.22「『渋谷系』とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html
2008.01.06 「平成20年から平成元年を照らし出す。「バンドブーム」の記憶」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html
2007.12.14「1986年。少年がロックに目覚めた瞬間」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html


今朝も朝イチ7時から、カードゲーム「バトルスピリッツ」で勝負。
●元々どうしても朝早く目が覚めてしまうボク。するとノマドが起きてきて朝飯前から「バトスピやろうよ~!」とせがんで来る。しょうがないので3回ほど勝負。
●冷静に考えれば、相手は小学一年生、多少は手加減してやってもイイはず。なのに、全然手を抜かないボク。本気でねじ伏せるボク。将棋でもオセロでも五目ならべでもUNOでも神経衰弱でも常に本気勝負。で、圧倒的に勝つ。「バトスピ」でも勝つ。
●最後の対決は、戦略的に自分のライフポイントをギリギリまで削って、残り一個になってから大逆襲を仕掛けて戦況を転覆、あっという間に形成逆転でノマド即死。あと一歩で勝てると思ってたノマド、クチビル噛み締めて涙がこぼれ落ちるのを必死で我慢。リビングの床に倒れてタオルケットで顔を隠した上でシクシク泣いてる。「悔しいと思う事はカッコ悪い事じゃないぞノマド。本気でやってるから悔しいんだ。手抜きでやってたらどんなに負けても悔しいなんて感じない。本気だから悔しくてしょうがないんだぞ!」とエラそうな事言ってみる。

でも娘ヒヨコには、手抜きして上げてしまうのがパパの習性。
●あららハサミ将棋、パパ負けちゃった~!とか言ってたら、ノマドに「パパはヒヨコにはサービスしてあげるのにノマドにはしてくれない!」と泣いて抗議されたコトもあったっけ。と、とにかく男と男の勝負は別モンじゃ!


敬老の日。だが、別になにもしない。カフェでマンガ読んでる。

盆堀さん (BEAM COMIX)盆堀さん (BEAM COMIX)
(2007/09/25)
いましろ たかし

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いましろたかし「盆堀さん」
●これは、ユルーいマンガだねー。本格的にユルいわ。およそマンガの主人公足り得ない人物(大幅にダメ人間)が、一切活躍する事なく、無為のママでそのまま終る短編群。なんか知らんけど、川釣りのデティールについてだけは素人理解不能ってくらいに細かく描いてるけど、あとは何事も起こらない。作者さんは、釣りがダイスキみたいなんだけど、釣りが好きな人は「何事も起こらない」というコトに対して普通の常人より耐久力が強く備わっているのかもしれない。釣り糸を垂らし、ひたすら待ち、だもんね。コレが無為自然の境地なのか。

今日は「中秋の名月」という日らしい。ヨク知らないけど。
●ボクはそんな季節行事にトンと興味がないので、関与しなかったが、ワイフとコドモたちは、お月様にそなえる白玉ダンゴを目一杯こさえてました。食べ物に目が無いヒヨコは「ムゲンにいっぱいツクル!」と息巻いておりました。ノマドは、ダンゴをピラミッド構造にしたいのだけど、どうしてもヌルリと滑ってダンゴが積み上がらないとモガイておりました。見た目マズそうだけど、タレを付けたら美味しかったです。

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一方で、今日は近所の幼稚園のバザーもありました。
●トモダチのユウタくんを誘う約束としていたので、風邪気味のノマドも無理矢理駆り出して行ってきました。もちろんお買い物や手作りコーナーに燃えたのはヒヨコの方です。ちなみに写真はヒヨコの自作、ストローで顔の描いてある袋を膨らます仕組み。得意になってプクプク膨らまして、今晩早速破れました。

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●ヒヨコが40円のパンダちゃんヌイグルミなど、よけいなモンをサクサク買うのに対し、ドンクサイノマドはナニも変えず、ゲームも出来ず仕舞い。見るに見兼ねて、本屋さんで今月号の「月刊ケロケロエース」を買う事にしました。全部連中のおこづかいでヤリクリ。感覚的に即座に使い切るヒヨコと、熟慮してタイミングを逃すノマドの性格の違いがココに出る。

ケロケロA (エース) 2008年 10月号 [雑誌]ケロケロA (エース) 2008年 10月号 [雑誌]
(2008/08/26)
不明

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●今月号の「ケロケロエース」には特別付録、カードゲーム「バトルスピリッツ」略して「バトスピ」のスタータキット(カード44枚他解説DVDなどイロイロ)がついて来る!コレ今月から放送開始のアニメと連動してサンライズ&バンダイ(カードダス)で仕掛ける新商品らしい。ノマド早く「パパ早く説明書読んでよ」と急かすが、やりたくてなんかクソ小賢しくてちっともルールが分からない。

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●しかし「ケロケロエース」熟読一時間&アニメ30分鑑賞(アニメでも他人がやってるの見るのが一番分かり易い)で、「よし、ノマド、全部わかったぞ!」一度やり方が分かったらコッチのもんだ。思わず半日ノマドとヤリ込んでしまった。スタータキットってフツウ1200円以上するから、マンガの付録480円でリーズナブル!とか言って買ったのに、夕方には「10月には2種類のカードセットが出るらしいぞ!ノマド、誕生日プレゼントコレがいいんじゃないか?」とボクが提案する始末。ワイフ「なんで2種類両方買うコトになってるの…?」片方づつでカードの属性が違うんだよ、白と紫の系統と、赤と緑の系統が揃ってないとバランス悪いだろ?……ヤバい、ボクがハマりそうです。


一方、懐かしのゲーム「UNO」もウチで流行ってます。
精神科デイケアでボクが他のメンバーさんとやってるので、すっと馴染んでしまった。余談だが、ダイヒンミンのルールを仕切ってるメンバーのトランプさんは、理系的戦術でトランプもUNOもスゴく強くて、オセロは驚異的に強いことが分かった。下手すると全滅させられる。

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ここで大活躍したのが意外にもヒヨコ。オセロも将棋も五目並べも神経衰弱も、全部ミソッカス的存在でしかなかったヒヨコが、50%運で左右されるUNOにおいては驚異的な強さを発揮、初めてゲームでノマドを圧倒したノマド、ヒヨコに8連勝されて半ベソ)。作戦を練り込んで仕掛けるノマドを、完全に無策で気分だけでカード出してるヒヨコの方が勝っちゃうのが不思議だね。
●ちなみに、「バトスピ」もヒヨコはノマドに付き合わされてたけど、早々に飽きたようで「パンダちゃんがオシッコいきたいっていってるから、トイレいってくるね」とか言って場から逃げ出した。


●今週、イロイロな人からメールいただきました。超久しぶりな方からまでもらったりして。この場でお礼いたします。コバヤシ、東北沢の食堂でメシ食う約束はどうなったんだろうか?
●バンバちゃん、わざわざミュージカルのお誘いありがとう。今回は行けないけど、またランチでも。
●オダ、ちゃんと仕事できているのだろうか?いきなり「unimogrooveさんが住んでるシモキタでネタになる店ありませんかね?」との電話。ボク「でいつまでに情報欲しいの?」オダ「明日取材です!」……。そんで結局その日の夕方おいしいアイス屋さんでアイスを食った。でもこれじゃ美味しいアイスに盛り上がってるだけにしか見えないぞ。これホントに仕事か?確かに美味しいお店だったけど。

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●一応お店のインフォメーションを。
「天狗ゼリー/サムライアイスクリーム」北沢2ー10ー11北沢ビル1F
●ネーミングがスゴいよね。イミなく店頭にはキノコの形のテーブルセットがあって、店員さんの帽子もキノコの斑点が。スーパーマリオかよ!アイスでワンアップかよ!でもタルト生地に乗っけて食べる栗アイスとか、マジでおいしかったです。7月出店のできたてホヤホヤです。

ヒヨコのくまさん一家の図。
●たまたま、くまさんの形をしたクッキーがあった。ヒヨコは、とてもクッキーが食べたくて我慢が出来なかった。しかし、クッキーのくまさんがカワイそうで、どうしても食べられない。彼女なりに深く葛藤した結果、形見としてくまさんの絵を描いて、それで食べる事にした。

●で、これがそのくまさんの絵。

ひよこのくまちゃん一家

●くまさん一家、全部年齢設定が決まってて、アタマの上に年齢が書いてある。22歳のお姉さんから、ヒヨコノマド世代の6~5歳児、そんで0歳のハイハイしてる赤ちゃんまでいる(左から三匹目)。おまけにペットとして、ねこ&ねずみ&いぬ。くまさんは、全員デザインの違う衣装を着ているのがミソ。

●たかがクッキー食べるのにこんな段取りが必要なのかと、つい微笑ましくて絵を見ながらワイフと笑っていたのだが、ヒヨコ5歳には重要な問題だったようで、突然シュンと静かになって、終いには無言でポロポロ涙を流し始めてしまった。くまさん一家を食べちゃった罪悪感は、大人が思うより大きかったみたい。ヘンに笑っちゃダメだね。


さらにヒヨコ好みのDVD鑑賞会。

DVD「魔法にかけられて」

「魔法にかけられて」
ディズニーのアニメ&実写合体映画。ディズニーのメルヘンチックなアニメ世界から、現代のニューヨークに放り込まれてしまったヒロインが、現実世界で引き起こすラブコメディ。「シンデレラ」「白雪姫」「眠れる森の美女」を巧妙にコラージュしたヒロインが、ニューヨークにポッと出て来ると、なんと違和感タップリか。すぐ歌うし、すぐ踊るし、鳥や動物とお話しちゃうし、愛する王子様が助けにくるのを素朴に待ってるし。
●そんな彼女が、世界一世知辛い街NYで出会ったのが離婚問題担当弁護士。言わば愛あふれるはずの結婚生活のダークサイドを象徴する存在。自身もバツイチで6歳の少女を男手で育てている。それがいつしか、無垢なヒロイン・ジゼルのペースに引っ張られて、愛に目覚めちゃう。うーん、どっちかってと大人向き?

●でも、セントラルパークをドカッと使って100人単位のダンサーを駆使したミュージカルシーンは大迫力。メイキングでは、そん中で踊ってるオジイさんが「ワシはメリーポピンズでも踊ってたんじゃ」「ワシらはウエストサイドストーリーじゃ」とか言ってるからスゴい。アメリカのショービジネスは層が分厚いなあ。
●ちょっとトンマな王子様や、悪い女王様、その手下のオジさんなど、ディズニーアニメにそのまま出て来るような顔した役者をリアルに集めるのもたいしたもんだ。もちろん主人公ジゼルは、トンチキな大天然ぶりを見事に演じ切って最高。
●ヒヨコかたずを飲んで画面を見つめてたけど、オマエにもディズニー級の大天然になる素質はタップリあるんだよ、ママの遺伝を中心に。くまさんクッキーを泣きながら食べるなんて、実に最高じゃないか。もう行くトコまで行ってみてくれ。父は行く末が楽しみだ。ちなみにノマドは超理屈っぽくて皮肉っぽいヘソ曲がり確定。申し訳ないがコレはボクの遺伝だろう。

親知らずを抜いた。
●ボクの親知らずは4本健在であった。ところが、出勤訓練で会社に通ってた(今年3月~4月)頃、ヒマつぶしで受けた歯科検診で、その4本がもれなく虫歯になってることが判明した。アタマも神経もオカシくなったボクは、歯までオカシくなったらしい。
●しょうがねえし、ヒマも十分あるので全部直すか!とい思い、スケジュールもキチンと作ってたのに、5月梅雨入りでぜんそく発作を起こし、自律神経失調症も悪くなり通勤訓練はストップ。そのままダラダラと放っといてしまった。

で、最近、アイスを食べると奥歯がキーンと痛むようになってきた。
●こりゃ困った。虫歯を放っといたらホントに歯が痛くなってきた。つーことで、先週会社診療所に出向いた時、ついでに歯科の予約を取ってきたのだった。ウチの会社便利だ。歯医者まであるんだもんね、おまけにタダだもんね。で、今回は2本を二回に分けて抜こうというハナシになり、早速1本目が抜けた。

この親知らずが、スゴくかわい気がなくて、笑える。

P1000643.jpg

●ノマドの乳歯がポロポロ抜けてる昨今、ヤツの「自分の乳歯」コレクションと、ボクの親知らずを比較してみた。わ~、キタナいー!もう放つフォースの色まで違う。ノマドの歯がハンソロ船長のファルコン号なら、ボクの歯はダーズベイダーのデススターだわ。ノマドのハがホワイトベースなら、ボクの歯はドズル中将の宇宙要塞ソロモンだわ。ヒヨコ「ノマドのハは、あかちゃんだけど、パパのハは、オジイさんのハだね!」ヒヨコ、「オジイさん」ってのは言い過ぎじゃないかな…、ジジ(ぼくの父)の歯は、歯槽膿漏と歯周病で勝手にポロポロ抜けてるんだよ。それよりはマシよ~。



「ビッグコミックスピリッツ」が気合い入っている。
●去年(今年?)あたりから、講談社「ヤングマガジン」に大きく部数を開けられているっっぽいマンガ誌、小学館「ビッグコミックスピリッツ」が気合いのモデルチェンジを図ってきた。

P1000638.jpg

見て下さい、この豪華付録。昨今ファッション誌の付録攻撃は各誌シノギを削る常套手段になってますが、マンガ週刊誌でこのテの付録は珍しいね~。しかも内容がナニか?っていうと、「環境に配慮して」という意味不明のフレーズを理由に盛り込んで休刊した小学館「ヤングサンデー」の人気連載を、「スピリッツ」に移植するために、今までのエピソードのおさらい本がついてきたのだ。
●移植されてきたのが、ドラマ化もされたピカレスクハードボイルド、詐欺師の世界を描いた「クロサギ」(黒丸/夏原武)、書道部というニッチな舞台にフォーカスを当てた文化系女子高生萌え青春コメディ「とめはねっ!」(河合克敏)、異星人の女戦士とカラダを共有する事になっちゃったフツウの男子高校生が宇宙を巡る陰謀に立ち向かうSFアクション「鉄腕バーディ」(ゆうきまさみ!)。さらには、コレ絶対映画化されると予測的中の「イキガミ」(間瀬元朗)、ヤグザ社会への潜入捜査を命じられた警察官の生々しい極道渡世「土竜の唄」(高橋のぼる)が投入された。やー、気合い入ってますわ。「ヤングサンデー」と「スピリッツ」を合体させての「ヤンマガ」総攻撃って訳だもんね。

●新連載もたくさんブチ込んでる。イデオロギー主張が暑苦しいエコ推進マンガ、「ココナッツピリオド - 地球温暖化を止めるウサギ」(山田玲司)とか、エロマンガ界から突然襲来してイキナリビッグネームになった朔ユキ蔵の、やはりジワリとくるスローエロ新作「セルフ」「オメガトライブ」のSFアクションからベクトル変更面舵180度のホームコメディ「かもめ☆チャンス」(玉井雪雄)。ここで最注目は、三島衛里子「高校球児ザワさん」野球部員として男子に混じって練習に汗する女の子、ザワさんの、なんてことのなーい日常をそっけなーく短く描くだけの連載。でも、寡黙でまだ全てが不明なザワさんの生態に、決して沸点には至らない低テンションの萌えが発生、どうしても目が離せなくなってる。

●でも最高に注目なのは、ここ数年例を見ないほどカオティックなグルーヴと禍々しい磁場を放つ、笑ってイイのかも解らない怪作、長尾謙一郎「ギャラクシー銀座」。もう最高にヤバい。まさにマンガ界の APHEX TWIN。この連載をヤメればどれだけ紙資源のムダ節減になるだろうと思いながら、このアバンギャルドの行き先を銀河の果てまで一緒に観に行きたいと思わせる闇の深さ業の深さ。チェックしてない人、単行本を即座に読んで下さい。緊急です。

ギャラクシー銀座 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)ギャラクシー銀座 1 (1) (ビッグコミックススペシャル)
(2008/03)
長尾 謙一郎

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ギャラクシー銀座 2 (2) (ビッグコミックススペシャル)ギャラクシー銀座 2 (2) (ビッグコミックススペシャル)
(2008/07)
長尾 謙一郎

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●収入が激減しても、「スピリッツ」「ヤンマガ」「モーニング」だけは毎週欠かさず買い続けるボクはアホかもしれないけど、読売新聞を毎日読むより世間のリアルがわかるような気がするぜ。でも微妙にマンガ週刊誌も近年値上げ傾向なのがムカつく。ガソリンよりもバターよりも牛丼よりも、マンガの値上げが一番ピンチ。

●昨日に引き続いて、「バック・トゥ・ベーシック」路線により、PAVEMENT 関係の音源をモソモソ探ってる。

●日本で行われたライブのブート盤とかもCD棚のスミッコから発掘されたりもして、なかなか懐かしかったが、一番の感動は、一番最初に聴いたこのバンドの E.P.だ。

Watery, Domestic [12 inch Analog]Watery, Domestic [12 inch Analog]
(1994/08/19)
Pavement

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PAVEMENT「WATERY, DOMESTIC」1992年。
●この4曲入りシングルの12インチを聴かせてくれたのは、大学時代に出入りしていた放研もどきサークルの女の先輩ノリピーさん(仮名)だ。学年が2つ上だったこのノリピー先輩に、20歳前のボクはホントにイロイロな音源を聴かせてもらって、ものすごく勉強させてもらった。EVERYTHING BUT THE GIRL、THE MONOCHROME SET、ST. ETIENNE、BLUR の1ST、ジャーマンプログレの CAN(コレはノリピーさんの彼氏に聴かせてもらったんだっけ)などなど。このことにボクはメチャメチャ感謝している。
●以前に、この放研もどきに入った動機はココに使いこなされてないオーディオ&ビデオ機材がたくさんあるから、と書いたが、オシャレでスレンダーなノリピー先輩に憧れてというのも隠れた本音だった(コレわりとアリガチな展開でしょ!)。しかし当時生意気だったボクは、結局その感謝の気持ちをきちんとノリピーさんに伝える事のないまま、今や音信不通だ。年を経る事に、ノリピー先輩へ当時のお礼を伝えたい気持ちが強くなる。あの頃の出来事が水面に波紋を描くように、今の人生にどんどん大きく影響している事がハッキリ感じられるようになったからだ。

PAVEMENT のファースト「SLANTED AND ENCHANTED」1992年と昨日紹介した「CROOKED RAIN, CROOKED RAIN」1993年の間にリリースされたこのシングル。まずジャケがヒドくて笑った。だってコレ他所様のレコードのジャケットにメチャクチャなイタズラ書きをして自分のモノかのように使ってるんだもん。ウラジャケもヒドいよ。モトから書いてある文字をマジックで塗りつぶして、曲名を自分たちのモノに書き換えてる。このセンスだけでもう最高に気に入った。

WATERY,DOMESTIC

(細かくて見えないでしょうけど、表ジャケのニワトリ「ジムくん」に関するクレジットだけは原文を残してる。このバカ丁寧さもさらに笑える。)


●聴けば、イキナリ耳をつんざく目一杯のノイズ。ただ嫌がらせのタメだけに鳴ったそのノイズが終れば、地引き網を引っ張りながら演奏してるかのようなカッタるいダレダレの演奏が始まる。辛気くさくモゴモゴと呟くようなボーカルと、ゴリゴリしたギター、無愛想なベース。3曲目の「LIONS (LINDEN)」は今でもボクにはクールに響く重要な曲だ。ベースがモギもぎモギもぎと呻き、聴く者のリズム感を確実に脱臼させる。ここから始まって1999年の事実上の解散までボクはこのバンドに丁寧に付き合うことになった。ライブも行ったし、新譜が出れば速攻で買った。ファーストだけでクビになったヤク中のヒッピーオジさんドラマー GARY YOUNG のソロまで買った。コレは100%ムダな買物だったが。(↓これまたバカなジャケでしょ)

HospitalHospital
(1994/10/25)
Gary Young

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ロウファイシーンのど真ん中から出現した PAVEMENT だが、キャリアを重ねるごとに演奏も音質も洗練されていったのは事実だ。ジャケを見るだけでなんとなく分かる。1枚目の「SLANTED AND ENCHANTED」1992年とラスト作「TERROR TWILIGHT」1999年じゃ全然気分が違うでしょ。見てよ一枚目のこのヤケクソ加減。もう中身も耳障りザリザリの名盤だよ!

Slanted & EnchantedSlanted & Enchanted
(1992/04/17)
Pavement

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Terror TwilightTerror Twilight
(1999/06/08)
Pavement

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●ジャケが落ち着いていくとともに、バンドの持ち味は、単純に録音技術の粗末さとか技術の拙さといった表面的な問題から離れていった。人の期待を愉快に裏切る脱臼メロディ展開、ロックのダイナミックさを周到に避けてロックスターにアリガチなカッコ付けを拒絶する不完全燃焼型おフザケ心、そして時に意外なまでにセンチメンタルな哀愁を無骨なサウンドで奏でるなど、バンドは成熟した。ボクは成熟した PAVEMENT も大好きだ。20世紀も終ろうという時、ホントにヘタクソなロウファイサウンドは完全に淘汰されてた。90年代に、粗末な宅録が世界に流通するインディネットワークが進化したのはサブカルチャーには歓迎すべきことだったが、やっぱり長く生き残るモノは基礎がしっかりしてるのだ。


そこでだ、イキナリ解散だ。
●少なくともボクにとっては。でも本人たちにとってはそうでもなかったみたい。1999年のパフォーマンスはメチャメチャトゲトゲしくて、特にメロディメイカーの STEPHEN MALKMUS と他のメンバーの摩擦がヒドかったらしい。このバンドはサウンドだけが変なのではなくて、メンバーが全米のバラバラの地域に散らばって暮らしているとか、事務所やマネージャーがなくて全部事務はドラムの STEVE WEST がやってたとか、バンドの仕組み自体もヘンテコリンなのだ。メンバーそれぞれも各個のプロジェクトを始めたりとか(ベースの MARK IBOLT は、KIM GORDON (SONIC YOUTH) YOSHIMI (BOREDOMS) らのユニット FREE KITTEN に参加してる)、なにかと落ち着かない。STEPHEN MALKMUS はイラツいていたのだ。
●1999年にバンドは機能不全に陥り、2000年には雑誌のインタビューで STEPHEN MALKMUS は言い放つ。「PAVEMENT はとっくのとうに終ってんだ!なんで STEVE (WEST のこと。なんてったってドラマー兼マネージャーだからね) がソレを言わないのか不思議なくらいだ!」


で、STEPHEN MALKMUS のソロデビューだ。


Stephen MalkmusStephen Malkmus
(2001/02/13)
Stephen Malkmus

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STEPHEN MALKMUS「STEPHEN MALKMUS」2001年
●見て下さい。コイツが、PAVEMENT の首謀者だ。人を喰ったかのようなおフザケ感覚とシニカルなセンス、どこか手抜きでやる気レスで煮え切らない PAVEMENT の体質をデザインしたヤツの顔だ。PAVEMENT の他のメンバーは、ハゲのバカ面とかメガネオタクとかとっつあん坊やみたいな顔してるが、司令塔のコイツは中途半端にイケメンでイケスカない顔だ。こんなスカシたヤツが、ダメ人間連中を仕切って皮肉っぽいバンドの持ち味をモクモクと吐き出していたワケだ。
●ボクは大好きなバンドを滅ぼしたコイツが一気に嫌いになって、発売当時速攻で買ったこのファーストソロも1回しか聴かずCD棚の肥やしにしてしまった。内容は末期 PAVEMENT の延長再生産にすぎなくて、わざわざバンドを潰すほどのモンじゃねえじゃんと、とても憤ったもんだ。そんで今日、数年ぶりにもう一度聴いて、やっぱし印象が変わらず「コイツはイケてねえ」と感じた。


リアル・エモーショナル・トラッシュリアル・エモーショナル・トラッシュ
(2008/04/18)
スティーヴン・マルクマス&ザ・ジックス

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STEPHEN MALKMUS & THE JICKS「REAL EMOTIONAL TRASH」2008年
●そんで、ヤツは今年もソロを出した。実は21世紀に入ってヤツのソロはもう4枚目だ。2、3枚目は全部スルーしてきた。 でも今回は何となく買っちゃった。なんでだろ?タイトルの「REAL EMOTIONAL TRASH」に引っかかったのかなあ。ゴミ貯めの中から這い出てきたようなサウンドでシーンに登場し、そんで20年経とうというのにまだ「ゴミ(TRASH)」のウタを歌ってる。
●ボクが90年代ロウファイに果てしないシンパシーを感じているのは、自分が「ダメ人間」であるというコンプレックスを共有できるような気がしたからだ。で、ボクの「ダメ人間」度は年を経てさらに磨きがかかり、もはや病気になって社会から転落する寸前だ。……で、イケスカない皮肉屋の STEPHEN MALKMUS も未だにゴミの中で這いずりまわってる…。時代は2008年だぜ、気付けばロウファイオルタナティブロックも死語同然で、周りの若造はエレクトロ混じりのダンスロックエモゴスに夢中だよ!そんな今、オマエがどんな音出してるのか聴いてやる!そんな気分だった。

したら、良かった。
いい意味で変わってない。強いて言えばヘヴィになった。ヤツ独特のユニークなメロディで勝負。そして、ゴツゴツしたイビツにねじれたギターも健在だ。一曲目なんて、前述の「LIONS (LINDEN)」を連想したわ。BLACK SABBATH ばりの捩じれたヘヴィギターリフが下っ腹にゴーーンと響く。表題曲「REAL EMOTIONAL TRASH」は、ヌルヌルと始まるブルージーなメソメソ哀愁ロックかと思ってたら、そのままジャムジャムの混沌としたインプロヴィゼーション状態に突入し、そんでそのまま加速して疾走ロックにシフトチェンジ、アウトロはメランコリックに着地。息つかせぬ展開で10分越え。もうちょっと乾燥冷却したら SONIC YOUTHになっちゃうよ。
スキマの多い歌詞に長めの間奏。クレジットに「& THE JICKS」というバンド名が出てきたのは、音自体にバンド感がドカッと前に出てきたからか?ファーストソロから「THE JICKS(THE DIRTY JICKS)」は内ジャケにクレジットされてたけど、今回は全面に出てる。しかもドラムとベースが女性なのね(内ジャケに意図不明のコスプレで登場)。女声コーラスが入るととてもイイ感じ。PAVEMENT にはありえない味だしね。……なんか大昔の友達と仲直りができたような気持ちになれた。


大きくハナシは前に戻って、ノリピー先輩のハナシ。
彼女はある大手レコード会社が組織していたインターカレッジのサークルに所属していた。アメリカのカレッジラジオを日本に移植することを目指した団体だ。入会するには幹部との面接試験が必要とのコトだったが、ボクはノリピーさんの勧めでボクはこの団体に入会し、素晴らしくエグイ活動で身をすり減らし、素晴らしくエグイ仲間たちにモミクチャにされる事になるのだった。そこでのオハナシは、またまたイロイロありすぎるので今は説明しませんが(今後も永久に説明しないかも)、ボクの人生の大きな転機となったその団体での経験に、最初の道筋を作ってくれた、ただそれだけのためだけでも、ボクはノリピー先輩に深く深く感謝したいと思っているのでした。ノリピーさん、マジで、ありがとうございました!

昨日、今日は、シモキタザワの街はお祭りである。

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●お神輿が登場し、大勢の大人がエッサエッサと街を練り歩く。子供神輿も出て、昨日はノマドも神輿を担いだ。しかし身長不足のノマドは上級生の肩の高さと釣り合いが取れず、神輿を担ぐツモリが、神輿にぶら下がってしまったという。そんで、これは手に負えないと退却を決め込み、太鼓を引っ張る幼稚園チームのヒヨコの所に逃げてきた。根性ナシめ。


一方神社には出店が出て、ノマドヒヨコは金魚をゲットしてきた。

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●瞬間的に網は破れて、ハイ残念!だったそうだが、金魚すくいのオジさんは2匹の金魚を哀れな兄妹に授けてくれた。この前までカブトムシのカブひめが住んでいた虫カゴに今は水が入れられ、新しい我が家の仲間が泳いでいる。
●名前は早速決まっていた。フツウの金魚はノマド担当で命名「ニイニイ」。人魚姫から由来してるらしい。ヒヨコ担当の金魚はおなかポッコリでポニョを連想させるスタイル。直球で「ひめちゃん」という名前にしたそうな。



音楽を聴くのをヤメて、約2週間経過。「禁断症状」が出てきた。アタマが狂いそうになる。
「音楽中毒生活」ってのは、マジでシャレではなかった。ボクは日常生活の中でこの15年以上常に音楽を鳴らしてきてた。常にCDプレイヤーまたはiPodを持ち、通勤通学など一人の時には常に鳴らしてきた。コレを絶って二週間、さすがに限界に達した。アタマが破裂しそうなパニック状態に陥ってしまう。外界からの刺激がダイレクトに脳みそに入ってきて、アタマを混乱させるのだ。やっぱ、ボクは音楽なしでは過ごせないのだ。「音楽中毒」なのだ。今日はそんなハナシ。


人間が音楽を聴く動機ってのはイッパイあると思う。
●しかもこの多メディア時代、ライブの現場から「着うた」まで、音楽が耳に注ぎ込まれるチャンネルは膨大に膨れ上がった。でも、聴く人間の意識ってナニ? モチベーションってナニ? オシャレっぽいから。流行りだから。癒されるから。カッコいいから。踊りたいから。アーティストの生き様に感動したから。ライフスタイルに直結してるから。カラオケがうまくなりたいから。教養だから。
●………でも、マイノリティかも知れないけど、自分の身を守るために音楽を聴くって人もいるわけよ。


●池袋近くの木造アパートで一人暮らしを始めた頃は、ボクのステレオの音で隣人とトラブルになった。午前2時とかに平気で爆音を鳴らすボクが全面的に悪いんだけど、するとお隣さんはスゴい勢いで壁を蹴り飛ばしてくる。ドーンドーンドーン!するとやっぱムカつくじゃん。でボクも壁を殴り返す。そんな壁の殴り合いが2ヶ月にわたり20回くらいあったかな~って頃、玄関のドアに「殺す」と張り紙されて「あら、ホントに殺されるかも」と思い、速やかに引越をしたなんて事も。結局その「殺す」のお隣さんがどんな人だか全く分からんかった。
●ちなみに次の部屋は西新宿の鉄筋マンションの最上階(4階)でお隣は言葉の通じない中国人(引越当日「この棚オレにくれ」と身振りで主張してきた。丁寧にお断りした)。部屋数が多くない建物だったが、ボク以外の住民は全て外国人か新宿方面キャバ/風俗系のお姉さん。夜系の暮らしの人にはボクの騒音は邪魔じゃなかったらしく快適に暮らした。やや治安が悪いのが難だけど。下の階に空き巣とか近所で不審火とか普通に深夜帰宅するだけで警察に職質とか。

なーんで、夜にデカイ音を出してたか?というと、ボクはこの10数年、音楽ナシじゃ眠れなかったのだ。
●最近はコドモに遠慮してヘッドホンで聴いていたが、コドモが3歳くらいの頃までラジカセでガリガリのロックを平気で鳴らしてた。なぜか? 翌日に控えている仕事やモロモロの心配事がアタマの中でモヤモヤ動き出し、不安でアタマがイッパイになって眠るどころじゃなくなってしまうからだ。ソレをかき消す為に音を鳴らす。すると速攻で眠れる。2~3曲の間に熟睡。通勤通学の際も仕事場直前まで聴き続ける。早朝のタクシー出勤でさえも。「働きマン」スイッチオン!バトルモードに入る直前まで、タフな仕事と心配事から意識を反らし続ける。
結論。ココロの内面から湧き上るノイズから耳を塞ぐために、ボクはひたすらラウドな音楽を耳にブチ込んでいたわけだ。


内面のノイズだけではなく、外からのノイズに対しても音楽は遮蔽力を持ってることがわかった。
●ボクは家にいる限りはずっとステレオを鳴らしていたのだが、ソイツを止めてから、コドモのわめき声がウルサくて耐えられなくなった。ヤツらが生まれて以来、どんなに耳元で夜泣きされようと全くウルサく感じた事がなかったボクだが、初めてウルサく感じ、アタマがパンクして、家から逃げ出してしまいたいほどになった。いや、コレ当然のコトながら「病気系」の現象だけど。で、実際に読みかけの本を6冊くらい持って家を出て、静かな喫茶店でひたすら読書にひたった。「8時で閉店なんです~」と無愛想な店長に言われなければ、ずっと家に帰らなかっただろう。

「精神科デイケア」のメンバーさんの中で、ボクが密かにパンク少女と呼んでる女の子がいる。
●彼女はアタマ金髪、タイトジーンズにパンキッシュなTシャツと、異常なほど色白な事以外は下北沢シェルターの前にタムロしてるパンクキッズと変わらない20歳前後の娘なのだが、あのやわ~いデイケア生活ですら負担で一日どころか半日も滞在していられない。もちろん他のメンバーさんとの会話はゼロだし、スタッフさんでも限られた女性スタッフとしかしゃべらない。それもヒソヒソ声。
●なんで彼女のコトを引き合いに出したかと言うと、彼女は胸から下げた iPod とヘッドホンが絶対に外せないタイプの人なのだ。チッコイカラダをソファの上に横たえて、ナニもない中空を眺めながら、iPodから流れてくる音楽に合わせて口の中だけでウタを歌ってる。外から見ると口パクパクしてるだけだけど。ああ、この人は外界のノイズからこうやって身を守っているんだ……。


音楽は、人間の感情を代弁し代替し代謝する作用がある。
●言っとくけど、今日のハナシはボクが勝手に考えてる事なんで、マジにとらないで下さいね。ボクが通ってる病院には「音楽療法」なるプログラムまであって、イロイロ理論と実践があるらしいけど、そんなモンとは関係ないハナシだから。

●ボクは他人から見ると、パッと見非常におとなしくて温厚な人間と受け止められるらしい。デイケアの人々からも直接そう言われる。実際ある側面においてはまさしく正解だと思う。
●でも人間にはイライラしたり、ムカついたりすることは無限にあるでしょやっぱし。そんな時ボクは「音楽よ、ボクの代わりに怒ってくれ!」と呟きながら超ヘヴィな音楽を聴いたりする。「音楽よ、ボクの代わりに泣いてくれ」と呟きながら超切ない音楽を聴いたりする。言語化されない抽象芸術(言語化されてても外国語ならただの音)である音楽は、混乱した感情をそのまま昇華して代謝する。こうして過激なハードワークや苛烈なプレッシャー、そしてそこから生じる不安や動揺からボクは自分の身を守っていたらしい。こんなでやっとフラットで冷静な自分を確保する。自分の感情を客観化することも出来る。無意識に選ぶBGMが、ボクの抱いている感情を反映しているのだから。

しかしコレを止めたら大変だ。湧き上がる根拠不明の不安が、アタマの中を黒煙で完全な真っ暗闇にしてしまう。そんでコドモの声ごときでパニックに陥り家から逃げ出す始末。名のつかない複雑な感情の渦がボクの理性を巻き込んで、冷静さを押し流しちゃうのですよ。クワバラクワバラ。恐ろしい。



で、結局ボクは、音楽をもう一度聴き始めるコトとした。
●CD一つ聴くのに、ここまで理屈っぽい思考が必要って時点で、ボクは自分がオカしいんじゃないかと少々不安になるが、まーマジでアタマオカしいんだからしょうがねえー。しかし情報洪水で堤防決壊したCD棚(未聴盤約600枚!)からナニを聴くべきかが問題だ。


●そんな時、ある音楽誌を読んでたら、ソコに転職したボクの元部下のオンナノコが、ボクがその子に推薦したCDを編集後記で紹介してくれてた。プッ!彼女早速CD探して聴いたんだな。「ボクが仕事に煮詰まった時に聴く時の音楽なんだ」といって勧めた曲が収録されてる。それはこのCD。


Crooked Rain, Crooked RainCrooked Rain, Crooked Rain
(1999/06/23)
Pavement

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PAVEMENT「CROOKED RAIN, CROOKED RAIN」1994年
●90年代中盤に起こったロウファイという美学を代表したロックバンドだす。「美学」とか言っちゃったけど、むしろ「反美学」出来るだけ乱暴に演奏し、出来るだけ粗雑に録音し、出来るだけフニャフニャな音楽を目指したムーブメントだ。産業化された高品質ロックビジネスを、真逆の超低品質音楽で皮肉りつつ、アリガチな様式化を回避するために、荒削りな未完成品をそのままで放り出す感覚が新鮮だった。
PAVEMENT はそんなシーンの中心にいながら、そんで練習不足、調整不足、気合い&気負い&やる気不足でありながら、実は絶妙なアンバイのハナウタメロディがキラリと光るポップスを奇跡的に成立させていたバンドだった。1999年の解散までに6枚(内1枚は編集盤)のアルバムをリリースしたが全部持ってるし全部愛聴したもんだ。
●人を喰ったような冗談めいた曲や、奇妙奇天烈なメロディラインで聴く者を混乱させる諧謔精神と、なんの気負いもない脱力スタンス、どこかイビツでハジッコがほつれているというか、屋台骨が崩れかけてて大きく傾いてるようなサウンドは、学生時代から駆け出し社会人の頃の、人より不器用が故にいつも劣等感に苛まされていたボクの心象風景にピッタリフィットした。ボクは世界で一番好きなロックバンドはナニか?と聞かれたら迷わず「PAVEMENT です」というだろう。

●元部下のオンナノコがどんな真意で、このクタビレた音楽を聴いて、わざわざ誌面に紹介したのかはボクの知る由ではないが、ボクは「バック・トゥー・ベーシック」ということで、このCDから新たに音楽を聴き直し始める。


●ちなみに、アルバムタイトルの「CROOKED RAIN」ってのは「ネジ曲がったヨコ殴りの雨」って意味だ。集中豪雨のキビシい昨今、人生ズブ濡れの方には是非聴いてもらいたいと思います。


「ハリー・ポッター」シリーズ読破。
●最近ナニやってるの?と幾人かに聞かれてこう答えた。「ハリー・ポッター」を読んでいると。するとたまたまなのかその質問をした人はみんなこう言った。「一巻だけ読んだけど、続きは読む気になんなかったね~」&「まー映画で十分かな」。否、それはとても惜しい事をしている。

●久しぶりに訪れた会社で看護師「のび太くんのママ」さんがそんな人の一人だった。「最近はナニしてるの?」ハリー・ポッター読んでますよ。「あー、アレは最初だけしか読まなかったな~」ボクはこう言った。「もう5巻以降はスターウォーズ並みですよ。壮絶な魔法戦争で死人もボロッボロ出ますよ。謎解きも難解になってきて、最終巻は全巻全ての伏線が結集する仕掛けですよ」



「ハリー・ポッター」シリーズを全部おさらいしてみましょうね。多分読んでる人少ないと思うから。


「ハリー・ポッターと賢者の石」

第一巻「ハリー・ポッターと賢者の石」は、不遇な少年ハリー・ポッターが突如「キミは魔法使いなのだよ」と告げられ、巧妙に一般社会から隠された不思議な不思議な魔法社会の中に入っていく物語。全寮制の魔法学校ホグワーツには、珍奇な習慣や個性溢れる友人や先生(校長ダンブルドア、なにかとハリーをいじめるスネイプ先生など)に出会うハリーの姿が生き生きと描かれ、そんで学校の中に潜む謎解きに立ち向かう事となる。
●こうした学園青春もの、ファンタジーものは、実は我が家ではワイフが専門だ。ワイフはテレビの「サブリナ(SABRINA THE TEENAGE WITCH)」シリーズを夢中で観るタイプなのだ。で、ボクは「お子様向きだわ」と一巻で一回挫折した。確かに丁寧な世界観には感心した。クィディッチという架空の魔法スポーツを描いたり、魔法社会の様々なしきたりや、一般社会とのカルチャーギャップを描いたり。魔法使いは普通の人間の生活習慣に疎く、その普通の人間の前に姿を現すときは、普通向けに配慮した積もりが超ヘンテコな不審人物になってしまう。楽しいファンタジーだけど、全部読むのはシンドイわと。



第二巻「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は、実は唯一原作で読んでない。


「ハリー・ポッターと秘密の部屋」

●ボクもこの段階では「映画で十分」と思っていたからだ。幼い一歳のハリーを襲い、ハリーの両親の命を奪った、史上最凶の魔法使いヴォルデモート卿(一時期魔法社会を恐怖政治で支配し、その失脚後も「名前を行ってはいけないあの人」と魔法社会の禁忌になってるほど)との因縁が徐々に明らかになっていく。



ボクは第三巻でこのシリーズの印象を変えた。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」である。


「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」

多分、原作&映画ともにシリーズ最高の出来映えだと思う。魔法社会の犯罪者を監禁する驚異の刑務所アズカバンの幾十もの魔法をくぐり抜け、ある囚人が脱獄した。凶悪な殺人犯シリウス・ブラック。ここでハリーは自分の出生のナゾへ近づいていく。ヴォルデモート卿の攻撃を受けながら生き残った唯一の人間であり、しかも反対に彼を返り討ちに会わせ失脚させたというハリー。しかし当時一歳のハリーに自分の身にナニが起こったのかは分からない。両親がどんな人物かも分からない。新任のルーピン先生や脱獄囚シリウスとの出会いでそのナゾが徐々に解き明かされていく。そして天涯孤独だったハリーに暖かい結末が待っていた…。
●これは、かなり高度な推理サスペンスになってて、しかも魔法社会という異質なシチュエーションがその推理の複雑さに輪をかけている。ホグワーツ魔法学校は脱獄囚シリウスに動揺するが、ハリーたちはある疑問にたどり着く。彼は本当に凶悪犯なのか? そしてハリーは亡き父ジェームスの思い出を、親友であったルーピン先生とシリウス・ブラックから知らされる…。ハリーのルーツに迫る一冊。



第四巻「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」。ココから物語の分量がグッと増え、上下巻構成になる。

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」

第三巻の出来映えが良過ぎたので、ちと冗長になったコレはオモロくないのでは?と思い長年本棚の肥やしにしていた。トピックはハリーの甘酸っぱい初恋。そんで、フランスとブルガリアの魔法学校の三校で競う魔法競技会の選手に選抜されちゃったハリー。コレまた奇想天外な競技会で、イキナリドラゴンと対決させられたり、水中人の暮らす湖でゲームを競ったり。知力体力時の運で勝ち残るハリー
●一方で、かつてヴォルデモート卿の下で恐怖政治を実行した魔法使い集団「死喰い人」が露骨なテロを引き起こす。ヴォルデモート卿復活の準備が整いつつあるのだ。そして競技会の最終戦に紛れ込んでハリーの前に姿を現すヴォルデモート卿。二度目の対決に辛くも生き残ったハリーだが、史上最凶の魔法使いも完全復活を遂げたのだ。



第五巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」は、このシリーズ第二のピークだね。


「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

ヴォルデモート卿は完全復活した。しかし当局である魔法省はコレを認めない。ハリーの世迷い事と一蹴するのだ。まさに「不都合な真実」から目をそらす大衆心理。ハリーの理解者であったはずの魔法大臣までが態度を翻して未曾有の危機を隠蔽する。いや彼自身が魔王復活を信じたくないのだ。「私の任期にそんな事が起こるはずがない…大体証拠はハリーの目撃証言だけ」ハリーはデマゴークとして批判され、ホグワーツ魔法学校には当局から監視官として憎たらしい女性魔法使いが送り込まれる。結果としてヴォルデモート卿魔法省が、両側面からハリーを攻撃するのだ。日々監視と弾圧を受けるハリー。そんな危機に一番頼りになるはずのダンブルドア校長はナニもしてくれない…。
●一方で、ハリーの証言通りヴォルデモート卿復活を信じたレジスタンス「不死鳥の騎士団」が登場。強烈な個性を放つ手練の魔法使い集団は、まるでジェダイマスター。親友ロンの家族やルーピン先生、そしてハリーの名付け親だったシリウス・ブラックも合流してハリーを匿う。一方学校では、当局の弾圧を逃れ自警団「ダンブルドア軍団」がハリーを中心に組織される。頼りない級友たちだが、あまりに理不尽な当局の仕打ちに立ち上がった有志だ。
●非合法集団となった「不死鳥の騎士団」「ダンブルドア軍団」の隠密行動は、魔法省の奥深くに眠る予言の間に行き着く。そこで「死食い人」集団との正面衝突。血に飢えた凶悪な魔法使いと本気の魔法戦闘。そして最後に駆けつけるダンブルドア校長とヴォルデモート卿の一騎打ち。大切な人が命を失ったこの戦闘で、魔法で幾重にも防御された秘密基地「魔法省」は半壊。やっと魔法大臣は迫り来る危機を認識するのだった…。


第六巻「ハリー・ポッターと謎のプリンス」最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、是非とも一気読みをお勧めする。2巻の間にはビシビシに伏線が絡まり合って間隔を空けるとハナシがコンガラがる。最終巻は全巻の伏線の総決算だ。
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
●第六巻は、ダンブルドア校長とハリーの個人授業を軸に展開していく。それは、ヴォルデモート卿の生い立ちを辿っていく旅である。人間社会の孤児院で育った美少年トム・リドルは、ホグワーツからの入学連絡まで、自分が魔法使いである事を知らなかった。厄介者のハリーをいじめ抜くダドリーおじさんの家で暮らしてきたハリーと同じだ。しかし自分に特別な力が備わっている事は理解していた。強力な魔法技術を持ち、その不遜さ、虚栄心、猜疑心を膨らませていったリドルは、永遠の命を得る為に恐ろしい禁忌の呪文で自分の魂を分割した。全ての魂を破壊できなければ、リドル=ヴォルデモート卿は不死である。その不死の力を以て魔法世界を支配するのだ。
●生い立ちの似たハリーリドルの、その後の人生の違いが浮き彫りにされる。ハリーリドルも、普通の人間(魔法使いはマグルと呼ぶ)との混血児だ。しかしリドルはその過去を隠し「純血主義」「血統主義」を押し出し、自分を頂点とする独善的なヒエラルキーを構築した。ここには人種差別的なエリート意識が仄めかされている。そしてそんな偏見に魅せられる魔法使いも少なくないのだ。
●一方でハリーは、マグル好きな魔法一家のロン、両親ともマグルハーマイオニー、巨人族との混血ハグリット、不器用なネビル、変人のルーナ、そしてさまざまな魔法生物(屋敷しもべ妖精、ゴブリン、ヒッポグリフ、ケンタウロス、学校を彷徨う幽霊たちなどなど)とも親交を結び、深く深く友情と信頼の意味を学んできた。ハリーと比較すれば、傑出した魔法使いでありながら孤独な人生を歩んだリドル=ヴォルデモート卿の半生は哀れさえも誘う。しかし、ダンブルドアの捜索の中でも明らかにされない魔王の謎はまだ深い。
●しかし魔王を打倒するためのダンブルドアとの旅は、陰惨な事件で断ち切られる。ヴォルデモート卿の策略と、入学時からのライバルだった純血主義者のドラコ・マルフォイ(父親のルシウス「死喰い人」)の働き、そしてシリーズ一貫してハリーを憎んできたスネイプ先生によって、ダンブルドアは殺されるのである。


「ハリー・ポッターと死の秘宝」


●最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」では、ハリーと親友ロン&ハーマイオニーは最終学年にてホグワーツ魔法学校をドロップアウトする。ダンブルドアの遺志を継ぎ、分割されたヴォルデモート卿の魂を封じ込めた「分霊箱」を探す旅に出るのだ。しかしコレはタダの宝探しではない。ダンブルドアは勿体付けてヴォルデモート卿の全てをハリーに明かさずママに死んだ。なぜ校長は全部を打ち明けてくれなかったのか。謎めいた言葉と、不思議で役に立ちそうもないモノを3人に相続して、消えていなくなった。そんなダンブルドアハリーは苛立ち、あてもない放浪と逃亡の旅を続ける。
●しかし、この旅の過程そのものが、ダンブルドアの狙いだった。ヴォルデモート卿と対峙するにあたって、ハリーに最後の覚悟と勇気と知恵を授けるプロセスなのだ。それは教えられるモノではなく、自ら掴み取るものである。コレは全シリーズで一番陰鬱で退屈な冒険かも知れない。しかし少年が戦士として成長するために絶対必要なイニシエーションなのだ。
●後半は、我らが愛して止まなかったホグワーツ魔法学校を舞台に、最後で最大の魔法戦闘が繰り広げられる。巨大な魔法要塞でもあるこの学校の防御システムが動きだし、志ある先生生徒が迫り来る「死喰い人」と激闘を繰り広げる。「死喰い人」は禍々しい魔法生物まで駆り出して学校を破壊、愛すべき仲間たちが次々と命を落とし、ハリーの胸を焦がす。なかでも、シリーズを通して重要な役割を果たしてきたある人物の死に、作者は丸々一章を捧げている。その謎めいた行動に秘められた真意にハリーと読者は感動する。そして、ヴォルデモート卿との最後の決戦。魔力の大きさでは勝ち目はない。しかし、敵が知らない多くのモノをハリーは学び取った…。



シリーズ全編通して読めば明白だが、ハリー自身は「野比のび太」級のただのメガネだ。
●たいして運動神経も良くないし、魔法のセンスもイイわけじゃない。学校の勉強も並程度で、ルックスもよくないし、モテない。マトモに出来るっちゃー魔法のホウキの操縦くらいだ。のび太だってアヤトリと射撃という特技があるからね。よって、次から次へと迫り来る危機に対しては、ほとんど偶然の成り行きでギリギリで切り抜けてるだけ。ボクがヴォルデモート卿に殺されずに済んでるのはマジただのラッキー。ハリー自身も、ヴォルデモート卿もそう思ってた。

でもそれは偶然じゃないわけよ。確かにキッカケは偶然かも知れない。しかし魔法世界で出会う様々な人々に対して誠実に付き合う彼の性格は、地味ながら強い友情や愛情を集める。親友ロン&ハーマイオニーを始め、信頼に足る絆をどんどん築き上げる。その信頼の蓄積が彼をピンチから救うし、友情と絆の大切さを思うばかりに、時として火事場のバカ力を発揮する。ヴォルデモート卿に殺された両親からも特別な愛情を注がれ、ソレが故の強力な呪文で幼い彼は命を取り留めるのだ。
●最初から傑出した魔力を持っていた超エリートのヴォルデモート卿には、このテの感覚は理解できない。孤高を好み、周囲を恐怖で圧倒し服従させる。校長ダンブルドアは、この性格の違いにハリーの勝ち目を読んでいた。そして成長したハリー(最終巻は17歳)は、全てを自覚し、最後のクソ度胸で立ち向かう。魔王には理解出来ない領域で、魔王を大きく凌ぐ力を発揮する。子供向けのファンタジーにアリガチと言えばオシマイだが、この物語は、ある平凡な少年が、信頼と友情そして愛に包まれて、逞しい戦士に成長し、巨大な恐怖に打ち勝つ過程を描いている。



●そして「ハリー・ポッター」では、普通の人間社会(マグル社会)と変わらないクダラナイクソッタレな現実が、少年の目線からキビシく批判されている。

●重ねて言うようだが、魔法使いの中にある「純血主義」「血統主義」は、まさしく現代の人種差別や民族問題と重ね合わさる。マグルと魔法使いの通婚は珍しくなく、マグルとのハーフは大勢いる。希にマグルの家族に突然魔法使いの子供が生まれることもある。ハリーの女友達ハーマイオニーや、ハリーの亡き母親リリーがそうだ。が、純血主義者は彼らを「穢れた血」と呼ぶ。ヴォルデモート卿復活以降はマグルの混血を、魔王の手に堕ちた当局が検査監視する事態になった。そしてハリー殺害の暁には「民族浄化」が行われ、慎ましく世を忍んでいた魔法使いが一般社会を侵略し、マグル社会を支配していただろう。カスピ海ヨーグルトをキッカケに、静かな長寿国として有名になったコーサカスの高原国家グルジアが、民族問題と大国の干渉で一気に内戦へ突き落とされたのは皆さん周知の事実でしょう。丁寧に隠蔽されているが、中国少数民族が中央のイデオロギー教育でその多様性を保持出来ない状況、そして広がる経済格差で負け組に突き落とされていく状況と、同じじゃないだろうか。
一方で知性のある魔法生物への差別偏見も著しい。しもべ妖精は、裕福な魔法使いの屋敷で奴隷労働に従事している下等生物だが、感情も理性も人格も持ち合わせている。その不当な扱いにハーマイオニーは彼らの権利を認める署名運動を始めるなんてエピソードもあるのだが、最終巻ではかつてハリーが救ったしもべ妖精の活躍で仲間はピンチを切り抜けるのだ。

●魔王復活に対して、当局の対応が後手後手に回るどころか、ハリーをデマゴーク呼ばわりして、魔法省の権威を転覆するテロリストと認定した第五巻のエピソードは、もう目も当てられない。マスコミも当局発表を信じてハリーを公然と批判した。政府の隠蔽体質や情報操作のテクニックは鮮やかで、ハリー魔法省から送り込まれた魔法教師に、拷問に近いような体罰を強いられた。そして魔法省内部でヴォルデモート卿が大暴れする事態に至って、やっと当局は見解を覆す。
●第六巻は、この魔法大臣が失脚し、新たな大臣が紹介される所から始まる。しかし政権が変わったとはいえ、彼らのやり口は変わらない。ヒステリー反応のように、ちょっとでも怪しげな人物を片っ端から逮捕監禁し、恐怖の監獄アズカバン送りにしつつ、ハリーには魔法省に時々顔を出して、魔王復活をいち早く察知した英雄が魔法省と連携しているというパフォーマンスを演じてくれと要請するのだ。もちろんハリーはこの提案を一蹴する。「少年には世間の大局が見えてない」と大人は言うだろうが、細分化された官僚主義が社会改革を阻んでいるのが今の日本の現状でしょう。社会保険庁問題は誰が大局を見ていたのか?道路特定財源行政は誰が大局を見ていたのだろうか?


大人のウラ読みはココまでとして……。結局一番大事なのは友情だ。
●第六巻で行われたハリーへのダンブルドア校長の個人授業は、この前提から始まった。この授業で見知った事は、全て親友ロンとハーマイオニーと共有しなさいと。そしてその指示通り敵ヴォルデモート卿の生い立ちと弱点を巡る旅を、ハリーは2人と共有しより絆を強くした。隠し事のナイ仲間、彼らはその信頼を受けて、ダンブルドア亡き後の困難な旅をハリーと共にする。ハーマイオニーは家族から自分の記憶を消し去り、ロンは魔法で自らの傀儡を作って家を出た。家族を捨てて命を賭けた旅に出た。
●ノマドヒヨコが将来この本に触れてくれるなら、そこまで心底付き合える友人を作る意味を学び取ってもらいたい。そしてそんな同士がいるからこそ、人間はどんな強敵を前にしても勇気を持って戦えるのだと。


しばらく更新をお休みしてました。
●ワイフとコドモのハワイ旅行の間、ボクは実家で寝泊まり。そこで、とある実験を自分に課してみたのです。それは「NO PC & NO MUSIC」タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE」のパクリっぽいですが、意味は真逆です。一切音楽を聴かず、一切PCに触らない。普通なら欠かす事のできない、ボクの大きな生活の要素を排除したらどうなるかという実験です。

で、どうだかって言うと、結構平気です。むしろ、PCと音楽がストレス要因になってた可能性まで感じました。PCに関しては、物理的に肩凝り&眼精疲労&頭痛の原因になる恐れがあるという意味で。

そんで音楽。まさしくボクの趣味生活の中心であり、仕事以上の存在でもあった音楽鑑賞を完全に封印するというのは、ボク個人ではかなり画期的挑戦。今現在も全くステレオを鳴らしてませんし、iPod も全く触ってません。で、これが楽。……というか、音楽を聴く事自体が負担というよりは、あまりに膨大な量に膨れ上がってしまった音源(CDからアナログ、ダビング、ダウンロード購入系など)を処理しきれなくなり、それが負担になってしまった、という次第。
●今現在、CD/アナログの購入は基本的に禁止して久しいのですが、それでもCD259枚、アナログ71枚の未着手在庫があります。これだけでもかなりオナカイッパイなのに、CD購入を禁じたボクはCDレンタルの道に走ってしまったのです。何カ所かのビデオ屋さんのサービスデイを狙い、割引料金で入手した音源はなんと320枚!………今自分で数えて呆れ返りました。とにかく、その600枚近い音源に埋もれて、完全にアップアップになってしまいました。

レンタル320枚は、3ヶ月くらいかけての枚数ですが、やっぱ正気の沙汰じゃないでしょ。ボクの「何事にも極端に走る」という性格上の欠陥が火を吹いて爆発した感じですわ。いやー、やっぱまだ病気治ってないわ。
●しかし「もうこの600枚には無理して手をつけない」という判断を下した点は、かなりの進歩。病気に対してかなり客観的ポジションに立ててる証拠。それに、こんだけの音源をチョロチョロ聴いても全然耳に入ってこないもん。コレはただのエネルギーの無駄。せっかくのCDも、流し聴きしたってオモシロくないし、そもそも流し聴きの出来ないような濃ユイ音楽ばっか集めちゃってるし。そもそもそういう聴き方は音源に対して、アーティストに対して失礼!聴くなら襟を正してキチンと立ち向かうべし。

●よって、しばらく音楽から離れて、自然にコレ聴きたい!と思えるようになるまで、音楽に近づくのをヤメます。ブログタイトルは「音楽中毒生活」ですが、現在「中毒」が進み過ぎて、このままでは耳がジャンキーになってしまいますから。