過去、90年代ロックの重要アーティストとして、ワタクシ個人の思い出思い入れも引っ括めて、いくつかバンドについて記事にしてきました。PAVEMENT とか SONIC YOUTH とか NIRVANA とか。そんでシリーズにしたいなーとか思ってたんだけど、すっかりサボってました。すいません。このままだと、90年代を総括し切る前に00年代が終わっちまう。

ですんで、今日は、DINOSAUR JR. を取り上げたいなーと思う訳です。
DINOSAUR JR

●90年代オルタナティヴバンドの中で、こいつらはそのルーズでユルーいライフスタイルで時代の空気を代表していました。バンドの中心人物 J. MASCIS は、ボサボサに伸ばした髪の毛をニットキャップに押し込み、ヨレヨレのネルシャツを重ね着、既存のギターヒーローにあるまじきメタボ直前のだらしない体型、インタビュワー泣かせのやる気レスな発言、完全に人をクったような不真面目さが、あの時代のだらしないグランジのイメージの生きたお手本として燦然と(?)輝いておりました。オマケにゴルフが大好きという、これまたアンチロックな趣味をご披露して、ゴルフを題材にしたプロモまで作った「肩すかし」の達人です。ボーカルにしてもモゴモゴやる気あるんだがないんだか不明なテンションでかったるそうに歌うわけです。こういうダルな人間がヒーローになってた時代が90年代オルタナティブなわけです。

岡崎京子「リバーズ・エッジ」(岡崎京子「リバーズ・エッジ」1994年)

●余談ですが、J. の典型的グランジファッションは、90年代バブル崩壊後のドレスダウンな気分に非常にマッチして、オトコもオンナノコもこの無造作なスタイルを身にまとったモノです。岡崎京子のキャリア末期の超名作「リバーズ・エッジ」1994年を読み返すと、主人公の少女がこんなカッコ(ニットキャップにルーズなジーンズ、ネルシャツやフード付きのダボッとしたコート)している事を発見できます。


DINOSAUR JR.「GREENMIND」

DINOSAUR JR.「GREENMIND」1991年
●しかし、J. MASCIS のかき鳴らすギターは全然ダルでもやる気レスでもありません。そのテクニックは驚異的でした。彼はギターボーカルであるわけですが、ボーカルではなくギターで歌うオトコなのです。ある意味 反則技の音楽表現へ走ったSONIC YOUTHPAVEMENT とは違って、DINOSAUR JR. の音楽は理解しやすいキャッチーさがあり、ノイジーなギターワークに華々しさがあり、その意味で古典的なハードロックを正統に踏襲しているバンドなんです。そして今だに劣化する事なくその瑞々しさを保っている。ボクが初めてこのバンドと出会ったのはこのアルバムなんですが、それから十数年経とうと、ダルいボーカルと鮮烈なギターフレーズは耳から離れていません。もうエアギターせずにはいられないほどの痛快さがココにあります。

DINOSAUR JR. (以下メンドクサイので「ダイナソー」と呼ぶ)はその後3枚のアルバムをリリース。奔放なギターサウンドと、ダルいボーカルを武器に趣きある作品を作り続け(1997年「HAND IT OVER」では大胆なホーン使いでファンの度肝をぬいたっけ)、1997年に解散。J. MASCIS は実質ソロのオレユニット J. MASCIS + THE FOG で活動。全然変わらない芸風で轟音ギターを鳴らしておりました。

J. MASCIS + THE FOG「MORE LIGHT」(J. MASCIS + THE FOG「MORE LIGHT」)

●個人的な記憶として思い出されるのはある時の大阪出張。仕事の合間に何の気なしに入ったレコード屋で、J. のギターと一発でわかる轟音を聴き「アレこれダイナソーじゃねえの?」と店員さんに確認した所、 J. MASCIS + THE FOG の一枚目「MORE LIGHT」2000年だったということが判明。速攻買いました。元々、J. MASCISドラムの腕もかなりのモノで、ギター、ベース、ドラムと全部自分でこなせちゃうオトコ。90年代の ダイナソー もかなりの雰囲気で既に J. のオレユニットでありました。


そんで、2005年、ダイナソー再結成。

DINOSAUR JR.DVD「LIVE IN THE MIDDLE EAST」

DVD「LIVE IN THE MIDDLE EAST」
ダイナソーの再結成ツアーを関係者のインタビューも絡めて収録したDVD。ココでボクは、自分の無知を思い知らされた。オリジナルメンバーのダイナソーは、J. とドラムの MURPH。基本的にそれっきりだと思ってたんだけど、ベースに LOU BARLOW というヤツがいたのですわ!え、コイツ、ダイナソーのオリジナルメンバーだったの!?


J. MASCIS の相棒、LOU BARLOW。
90年代オルタナロックの中で、LOU BARLOW も、知ってる人は知ってる重要人物である。SEBADOH という、とても殺伐としたギターロックバンドを率いつつ、LOU BARLOW'S ACOUSTIC SENTRIDOH というユニットでは、涙チョチョ切れのヘナヘナロウファイフォークを宅録で奏で、JOHN DAVIS というヤツと組んだバンドは、明らかに JON SPENCER BLUES EXPLOSION をパクったであろう、THE FOLK IMPLOSION という名前、それはそれはヤケクソなロウファイサウンドをかき鳴らしてた。下膨れのダル男 J. に比べ、神経質なメガネオタクという印象の LOU BARLOW には、サウンドの上でも接点を感じてなかったので、再結成として肩を並べてるのが意外に見えた。

SEBADOH「BAKESALE」

(SEBADOH「BAKESALE」)

LOU BARLOWS ACOUSTIC SENTRIDOH「Winning Losers A Collection of Home Recordings」

(LOU BARLOW’S ACOUSTIC SENTRIDOH
 「WINNING LOSERS: A COLLECTION OF HOME RECORDINGS」)

The Folk Implosion「The Folk Implosion (EP)」

(THE FOLK IMPLOSION「THE FOLK IMPLOSION(EP)」)

考えてみると、ボクは80年代のダイナソーをマトモに聴いた事がない。ここをお勉強。
ダイナソーの結成は1984年まで遡る。マサチューセッツ出身の J. MASCIS と LOU BARLOW は共にハードコアパンクバンド DEEP WOUND のメンバーで古い友人。大学の友達がドロップアウトしてレーベルを立ち上げ(それが80~90年代に活躍するインディレーベル HOMESTEAD RECORDS)、「なんか音を作ればリリースしてやるよ」と約束してくれたので、J. LOU やドラマー MURPH を誘って新バンドを結成するに至るのだ。
●そんでニューヨークまで出張ってギグをこなしているうちに、NYを拠点に活動していた SONIC YOUTH の連中がダイナソーに注目、自分たちのツアーに彼らを誘う。コレをキッカケにアンダーグラウンド世界で彼らは大きな存在へと脱皮して行くことに。レーベルも SONIC YOUTH と同じ大手インディ SST に移籍。キャリアは順調に進んでいた。
●しかし、1989年。LOU BARLOW はバンドを脱退、以前から進めていたサイドプロジェクト SEBADOH の活動に専念することを選んだ。バンド初期には J. の圧倒的な才能に感服していた LOU だが、キャリアを進める中で、自分の中にもアーティストとしてのエゴが発達してきたのだ。NIRVANA で有名になるシアトルのレーベル SUB POP SEBADOH は活躍して行くのでした。
●そんなことがあった後、ワーナー系列 BRANCO Y NEGRO からダイナソーはメジャーデビュー。ここからボクは LOU 抜きでこのバンドをずーっと聴いてきた訳ですわ。

●前述「GREEN MIND」でのメジャーデビュー以前に、ダイナソーには3枚のインディアルバムがある。そのウチの2枚は持ってるんだけど、盤質がワルいのか元々の音源がヒドいのか(多分その両方)、ムゴい音であんまし聴いてなかった。でもココで全部聴き直す事にした。

DINOSAUR JR.「DINOSAUR」

DINOSAUR JR.「YOURE LIVING ALL OVER ME」

DINOSAUR JR.「BUG」

「DINOSAUR」1985年
「YOU'RE LIVING ALL OVER ME」1987年
「BUG」1988年
●トモダチの立ち上げた HOMESTEAD からリリースしたのが1枚目の「DINOSAUR」。最初はバンド名に「JR.」はついてなかったんだけど、同名バンドがあったので、後から「JR.」がくっついたという。コレは実に殺伐としたパンクロックの亜種。録音がヒドいのを割り引いても、その後に輝くポピュラリティはまだない…。弾むベースと個性の強いギターがアクセントにはなってるけど、ボーカルメロディの存在感が全然ない。おぞましい爆発力があるのはわかるけど、制御不能の不穏さが拭えない。そのヤバさがそのまま裏返ってこの時期の魅力にもなってるのだけど。実はこの時期のバンドの雰囲気は、LOU BARLOW のバンド SEBADOH の方へ、内向きなテンションとして受け継がれて行ったような気がする。
●90年代のダイナソーを直接連想させるサウンドが鳴り出すのは、SONIC YOUTH との出会いから移籍した SST からリリースした二枚目「YOU'RE LIVING ALL OVER ME」&三枚目「BUG」から。この時期からギターが明確に歌い出す。どこかもっと広い場所に突き抜けるような痛快な気分が出現する。轟音度も上昇して、ボソボソボーカルながら、メロディもキャッチーになっていく。テンポも緩急のメリハリがつき、アレンジも多様化する。メジャーまであと一歩の段階だ。


最新のダイナソー。
DINOSAUR JR.「BEYOND」
「BEYOND」2007年
ダイナソー名義で10年ぶり、そんでオリジナルトリオの編成としては19年ぶりの新作。アレコレを全部乗り越えての「BEYOND」なのかな。ダイナソーは2005年オリジナルメンバーで再結成、ツアーまで始める。そしてこのアルバム完成にまで至る訳だ。
●で、内容は、イイ意味で全然変わらない。ギターの音が不釣り合いにデカクて、相変わらずボーカルはそのギターの音にかき消されそうで、でもメロディはキャッチーで、それ以上にギターフレーズの一つ一つがダイナミックにキャッチーで、どうしてもエアギターしたくなる衝動にかられる。着実なベースラインに耳をそばだてると、DVDで見た LOU BARLOW のベースを思い切りタテに立ててバチバチ弾くポーズが目に浮かぶ。伝説は今なお現在進行形である。

DINOSAUR J

DINOSAUR L

DINOSAUR M

●上から、J. MASCIS、LOU BARLOW、MURPH。2008年 READING FESTIVAL にて。

●このシリーズ、次に準備中は、やはり80年代から活動し後進に大きな影響を与えたオルタナロックバンド、PIXIES です。…と予告しちゃえば引っ込みつかなくなって、やるしかなくなるでしょう。ニーズがあるかどうかは別にして。

●過去の関連記事はコチラ。

2008.11.09 「『ROUGH TRADE』ロック30年の歴史。パンク発 PETE DOHERTY 行き」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20081109.html
2008.10.01 「90年代の伝説 NIRVANAとKURT COBAIN。ロックの神に捧げられた生贄」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20081001.html
2008.09.28 「成熟を避けて突き進む「音速の若者」SONIC YOUYH に今一度シビレル。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080928.html
2008.09.16 「SONIC YOUTH はドコから来てドコに行くのだろう?音速のスピードで。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080916.html
2008.09.08「PAVEMENT と STEPHEN MALKMUS にまつわるセイシュンの思い出」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-508.html
2008.05.18「00年代エレクトロを巡って、90年代80年代そして70年代まで旅をする」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-438.html
2008.04.20「80年代末から現在まで、UKのブラックミュージックを一気に俯瞰する」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-418.html
2008.04.05「放送室で溶け合った、60年代と90年代UKロック。ブリットポップの時代」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080405.html
2008.04.29「ボクは「FREE SOUL」がダイキライ。でも許す(←ナニ様?)」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-425.html
2007.10.22「『渋谷系』とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html
2008.01.06 「平成20年から平成元年を照らし出す。「バンドブーム」の記憶」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html
2007.12.14「1986年。少年がロックに目覚めた瞬間」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html

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ノマドヒヨコをスキー教室に送り出し、静かな時間を過ごした。
2泊3日志賀高原コドモスキー合宿 with 佐藤ひろみちお兄さん という企画にウチのコドモをブチ込みました。ウチは夫婦共に病弱で、ムカシは大好きだったスキーにはもう行けないカラダ……。で、コドモにスキーとか、雪遊びとかさせてあげられないのが不憫にも思えて、敢えて合宿に突っ込んだ次第。
パッと感覚的に食いつくヒヨコは「スキーいきたい!」とウレシいモードにすぐなってくれたが、前日はサスガに緊張しているのか全然眠れない様子。一方、未知の冒険に非常に慎重なノマドは「メンドクサイ」と迷惑顔でその気にさせるのに手こずる。しかし前日には、制作途中の「レゴ・モンスターダイノ」(←サンタさんのプレゼントをコツコツ作ってる)を丁寧に片づけて、「アシタはスキーだから、オレはやくねる!」と、とっとと準備モードに入った。

●ワイフは、インターネットのライブカメラで志賀高原の様子をチェックしたりして「あの二人ダイジョウブかな~」とか言いながら見とった。サスガにネットのライブカメラにコドモたちが映るのはありえナイじゃんと思ったが、ボクは特にナニも言わなかった。

そんで連中、今日帰宅。
ノマドは疲労の頂点で、ツアーバスを迎えに行ったワイフに悪態つきまくる荒れ様(ハッキリ言って将来コイツ絶対性格悪くなる、ボクのように…)。しかし、夕方カフェから帰ってきたボクが見る限りは、「ユキがね、オレのヒザより上までつもってた!」とそれなりに楽しんでた様子(再びセッセとレゴに取り組んでボクの顔も見ない素振りだが)。マイペースで団体行動がキライなコイツは、ずっとスキーをしていたかったのに、雪遊びとか様々なメニューに時間が細切れにされるコトに納得がいかなかったという。そんなにちゃんと滑れたのかよ?しかし連中に聞く所によると、スキー板の先端にキャップのようなものをつけて、左右の板を繋ぎ合わせ、自然とボーゲンのカタチに固定してしまう仕掛けがあるらしい。「それで、あしやスキーがこんがらなくなるんだよ!」その他、リフトとかゴンドラとかの装置ばかりがヤツの関心領域なのであった。リフトからウサギの足跡は見えたか?「それはなかったけど、ドウロに「シカにチュウイ」ってかいてあった」

ヒヨコは、持ち前の天然型社交性をふんだんに発揮して、10人組に分かれる子供班のマスコットとして可愛がられてきたらしい。小学校高学年から幼稚園生まで均等に分布する班の中で、最年少だったヒヨコは、同じく幼稚園生のアカネちゃんと意気投合。班のオネエちゃんたちは、2人のチビの名前をとって班の名前を「アカヒヨチーム」としてくれたらしい。手書きで書いた「アカヒヨチーム」の旗をもらってきて、「いちまいしかないのに、おねえちゃんがヒヨコにくれたんだよ!」と感動。「サマーキャンプもいきたいな~、スキーもいきたいな~」と今から既にノリノリである。どんだけスキーが出来たのかはよく分からんけど「ふってくるユキのカタチがイッコイッコゼンブちがうんだよ!」とまくしたてるようにしゃべってたから、十分楽しんだのだろう。


●今日はヒップホップの話題を。


KANYE WEST 新譜ゲット!

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(2008/11/25)
Kanye West

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KANYE WEST「808S & HEARTBREAK」2008年
衝撃の新路線でビビります。ジャケに必ず登場してたクマさんキャラもいなくなってしまいました。なんで~?
●カレの必殺ワザ45回転サンプルなどを駆使したデコラティブなトラックメイキングを期待すると、スパーンとスッこけます。タイトル通り、名機 ROLAND TR-808 を使ったと思しき、ゴツい鉄骨むき出しビートのシンプル攻撃。「808S」という表現には、エレクトロ採用で80年代風をちらつかせた気配も感じる。第二の衝撃は、ラッパーである彼が、歌いまくってること。T-PAINのロボボイス技で一気に注目されたプラグイン「AUTO TUNE」を使ってエフェクトを加えた大熱唱。ラップはアルバムの半分程度の存在感。ヒップホップ愛好家の中では賛否両論出るんじゃないか?この実験はスベルのか、新たなヒップホップ表現を切り拓くのか。
●タイトルのもう一つ、「HEARTBREAK」の謎解きは、KANYE のお母さんの死か。KANYE のお母さんは大学教授で退職後は息子のサポートに専念した。しかし58歳の若さで去年死去。死因は美容整形の合併症だったという。「オレはリリックの中で高級ブランドのことを歌ったりしてきたが、最も大事な人をハリウッドのせいで失った。オレがハリウッドに引越しさえしなければ、ママは今でも元気に生きてたはずなんだ」とラジオで語ったという。シンプルなビートに響く悲哀のトーン。内ジャケには、亡き母との仲睦まじい2ショットも。


なにげに感動したのは Q-TIP の復活作。

The RenaissanceThe Renaissance
(2008/11/03)
Q-Tip

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Q-TIP「THE RENAISSANCE」2008年
Q-TIP は1990年代初頭のニュースクール時代を、DE LA SOUL らと共に牽引した伝説のユニット A TRIBE CALLED QUEST のフロントマン。プロデューサーチーム THE UMMAH の中心人物でもあった。KANYE 出現以前ではサンプリング工芸の世界最高峰に位置してた男の一人。でも A TRIBE CALLED QUEST の解散(1998年)、そして初ソロ「AMPLIFIED」(1999年)の不振以来、存在感はどんどん薄れる一方。THE CHEMICAL BROTHERS の楽曲に参加するなど変わった活動もなくはなかったけど。
●そんで、いつ出るかと期待された新作がやっと発表された。まず安心したのは、ハナにかかった見事なナードラップが健在であること。オタク声の先駆である彼の軽妙なラップに、やっぱシーンの中で彼は独特の存在と思い知る。……オタクである事がシーンの中でトクかどうかは微妙だけど…でもボクがオタクだから親近感たっぷりでウレシいのです!マッチョ主義の支配するこの業界で、モヤシ文系である事の難しさよ!
●90年代のサンプリング全盛時代に比べて、あの時代のデコラティブなコラージュ工芸は期待できないが、奥ゆかしくも腰の据わったビート感覚とそれに絶妙に寄添うオタクラップは、トラックメイキングも自分でこなす彼ならではの妙技。サンプリング依存から脱出した末期 TRIBE の感覚も好きなボクとしては自然に受け止められる。一方で生演奏チックなファンクに乗って泳ぐ感覚も。THE UMMAH の盟友で今は亡き J DILLA A.K.A. JAY DEE の遺作トラック「MOVE」もファーンクで熱い。
●ゲストは、RAPHAEL SAADIQ NORAH JONES、D'ANGELO。いづれもクールで涼しい声を聞かせてくれる。NORAH が意外なほどヒップホップと相性がイイのが新発見。D'ANGELO の湿り気のあるエロイ声は相変わらず絶品です。


Q-TIP 復活記念というコトで、90年代ニュースクール時代を彩った音源に今日は注目。
ニュースクールと言えば、TRIBE も所属した NATIVE TONGUES POSSE をチェックすべきだが、POSSE の中心にいた DE LA SOULJUNGLE BROTHERS はいつしかシーンの中で地盤沈下して消息不明の感じだし、昔死ぬほど聞きまくったので、敢えてハズしてちと傍流を中心に聞く。

Jazzmatazz, Vol. 1Jazzmatazz, Vol. 1
(1993/05/18)
Guru's Jazzmatazz

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GANGSTARR のMC、GURU のプロジェクト「JAZZMATAZZ」
●この90年代前半で猛威を振るったのは GANGSTARRのトラックメイカー DJ PREMIER の妙技だったろう。百万回聞いても聴き飽きないループを目指すかのような、ジャジーに練り込まれたトラックは一世風靡して、NAS、JERU THE DAMAJA などの MC も彼のトラックを採用して世に出た。
●でもココでは、ウラに回って彼の相棒である GANGSTARR の MC、GURU に注目。一見地味な存在感の彼だけど、ヒューストンにいた DJ PREMIER の才能をいち早く察知してNYに連れてきたのは彼の審美眼だ。
●で、彼は本業 GANGSTARR とは別に JAZZMATAZZ というシリーズを走らせてる。第四弾まで出てるこのシリーズで彼が挑んでいるのは、ジャズをキーワードにくり広げる異種格闘技戦。1993年に発表した第一弾では、アシッドジャズの余波の残る時代、DONALD BYRD、N'DEA DAVENPORT、ROY AYERS とコラボ。1995年の第二弾では、RAMSEY LEWIS、BRANFORD MARSALIS、そして JAMIROQUAI と組んでいる。ジャ~ズ…。

Jazzmatazz, Vol. 3: StreetsoulJazzmatazz, Vol. 3: Streetsoul
(2000/10/03)
Guru's Jazzmatazz

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GURU「JAZZMATAZZ, VOL.3: STREETSOUL」2000年
●時間をおいて発表された第三弾は、SOUL、R&B に接近した路線になる。コラボの相手は、ANGIE STONE、MACY GRAY & PHARRELL、BILAL & JAY DEE、ERYKAH BADU、THE ROOTS、KELIS、そして CRAIG DAVID JUNIOR REIDなど。大御所では ISAAC HAYESHERBIE HANCOCK。R&BからUKソウル、レゲエやジャズ、ファンクまで俯瞰するスタンス。GURU 本人は決して出しゃばらず、豪華ゲストのパフォーマンスを自らが楽しんでる感じ。根っこにあるジャズヒップホップという彼のスタイルはブレてないけど。

Jazzmatazz, Vol. 4: The Hip Hop Jazz Messenger: Back to the FutureJazzmatazz, Vol. 4: The Hip Hop Jazz Messenger: Back to the Future
(2007/06/11)
Guru's Jazzmatazz

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GURU「「JAZZMATAZZ, VOL.4: THE HIP-HOP JAZZ MESSENGER: BACK TO THE FUTURE」2007年
●さらに時間が空きました。いきなり副題が長くなってる。ゲストは今ドキ感とかもうカンケイないぜ的なセレクション。アシッドジャズシンガー OMAR、元 SOUL II SOUL
CARON WHEELER
、白人サックスプレイヤー DAVID SANBORN、フュージョン時代のビッグネーム BOB JAMES まで参加。このヘンのロートル組から、SLUM VILLAGE、BLACKALICIOUS、RAHEEM DEVAUGHN なメロウヒップホップ~R&Bな連中、VIVIAN GREEN、DIONNE FARRIS などオーガニックめな女性シンガーなどに声をかけてる。LAURYN HILL のダンナ DAMIAN MARLEY までも参加。 表現は今風にアップデートされてるけど、あくまでやはり縦軸はジャズ。一曲目から「ジャズ」の連呼。DAMIAN '' JR. GONG'' MARLEY とのコラボにダンスホールとジャズヒップホップの結合という新味を見る。


One for AllOne for All
(1990/12/06)
Brand Nubian

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BRAND NUBIAN を抜けたオトコ、GRAND PUBA のソロ。
BRAND NUBIANニュースクール時代の幕開けを NATIVE TONGUES 一派とともに担ったグループ。アフロセントリックなファッションも時代を反映してる、3MC&2DJというユニットでした。1990年のファースト「ONE FOR ALL」のジャケのイチバン前に座ってるメガネくんが、BRAND NUBIAN の中心人物 GRAND PUBA。実はオールドスクール時代からの芸歴を持つベテランだった。そんで、この一枚でイキナリ仲間と決裂&脱退。90年代はソロで突っ走る。

Reel to ReelReel to Reel
(1992/10/21)
Grand Puba

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GRAND PUBA「REEL TO REEL」1992年
●トラックもMCもほぼ自分で全部こなしちゃう PUBA くん。グループを未練なく抜ける度胸は、自分の実力への確たる自信か。この人のラップは、スキマのナイ密度感をある程度持ちながらも、実はユルユルのノリでヘロヘロフロウしていくトコロに味がある。敢えて言えばワキがアマイ、言い換えればおチャメです。つーか、実は今のシーンにこんな存在はいない。これぞオタク文系。レゲエ風もアリ。シメは THE BRAND NEW HEAVIES を従えてのジャズファンク。

20002000
(1995/06/16)
Grand Puba

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GRAND PUBA「2000」1995年。
●1995年にして「2000」とは気が早い、なんて思ってたかな。ランボルギーニ・カウンタックに手をついて、未来派野郎を気取るけど、相変わらずワキのアマイフロウにニンマリできます。BPMを落としてトラックに大人の落ち着きが備わったかと思ったら、一曲目からヘタクソな「LALALA I LOVE YOU」の替えウタラップに脱臼。BRAND NUBIAN の旧友 SADAT X を迎えてキビキビしたマイクリレーが心地いい。


続きましては、LEADERS OF THE NEW SCHOOL の登場。
ブチ切れキャラの代表格として名を馳せる BUSTA RHYMES を輩出した事で永遠に記憶される3MC1DJのユニット。NATIVE TONGUES POSSE の一角を占めるが、活動期間は短く1990年~1993年。BUSTA RHYMES は一人立ちして自分のクルー FLIPMODE SQUAD を結成する。

A Future Without a Past...A Future Without a Past...
(1991/06/28)
Leaders of the New School

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LEADERS OF THE NEW SCHOOL「A FUTURE WITHOUT A PAST」1991年
●さて、「ニュースクール」とか「オールドスクール」とか言ってるけど、一体ヒップホップと「学校(スクール)」にナンの関係があんだよ?と思う方もいるでしょう。
●実は「SCHOOL」という単語を辞書で引くと「学派、流派、流儀」という意味もあることが分かる。1989年に登場した DE LA SOUL たちは、自分たちの音楽を「新流儀」と打ち出して、旧世代との決別を図ったわけね。パーティミュージックであり、街角のアンちゃんのオレ自慢に終始するコトバ遊びのラップミュージックを「旧流儀」と区別し、DE LA SOUL のような大卒インテリの文系オタクは新しい表現を切り拓こうとしたんですね。
●でも、コイツらは何となくホントの「学校」を曲の題材に持ち込んで、そのヤンチャっぷりを炸裂させる。このアルバムのヒットチューンは「CASE OF THE P.T.A.」だもん。サーカスのように賑やかなトラックのカラフルさも楽しいッス。各MCの住み分けもメリハリつけてエンターテインメント!

T.I.M.E.T.I.M.E.
(1993/10/07)
Leaders of the New School

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LEADERS OF THE NEW SCHOOL「T.I.M.E.」1993年
●メンバー一人一人のキャラ立ちがより一層際立ってきたセカンド。しかし、なるほど、やっぱ BUSTA はスゲエや、コイツだけを聴いてみたいという気持ちになるホドの存在感。ラップのスキマに「ウハハハッハーハ!」とか呻いてるコイツは一体ナニもん?的な気分になる。ソロになるヤツはなるべくしてなるんだなと実感です。

●ホントはもっとたくさん、90年代ヒップホップ仕入れて聴いてるんだけど、今日はココまででおしまい。ふう。最近は音楽ブログらしいこと全然書いてないから、やっと自分の中でバランスが取れた。
クリスマスの朝。
●早朝。6時30分。もはや大事な習慣になった朝風呂にボクがゆっくり浸かっていると、コドモ部屋からデカイ声が聞こえてきた。息子ノマドが叫んでる。「あっ!ヒヨコ!おきろ!プレゼントだぞ!」「うわっ!デケえ!」叫んでる叫んでる。
●ドタドタと走る音がして、息子が風呂に浸かっているボクに報告してきた。「パパ、プレゼント、スゲエでかかった!オレのむねのところまであった。で、ハコをもったら、シャララ~ってオトがして、たくさんブヒンがはいってるみたいだった!」ノマドがサンタさんにお願いしたのは、「レゴクリエイター・モンスターダイノ」というキット。ティラノのような恐竜がモーター駆動と歯車でノシノシ動くタイプ。よかったな、注文通りの立派なレゴをサンタさんは届けてくれたようだな。
二回目に風呂にやってきた時には、その巨大なハコを抱えて登場。うわ、マジでデカイ。ノマド、デカイのはわかったけど、風呂に持って来たら大事なプレゼントが濡れちゃうから、ちょっと外で待ってて。パパ、すぐ風呂出るから。

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●しかしマジでデカイ、「レゴクリエイター・モンスターダイノ」。組立てマニュアルが三冊もあるぜ。

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ヒヨコも遅れてリビンクに出てきた。サンタさんから来たプレゼントは、「夢ひよこ」ちゃん。そしてオマケに「夢ハムスター」ちゃんまでついてきた。「カワイい~!ノマドのがおおきいから、ヒヨコにはサンタさんオマケしてくれたのかな?」去年は「夢ねこ」ちゃん&「夢こねこ」ちゃんがサンタさんから贈られてきたので、「夢」シリーズどんどん増えてます。

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「モンスターダイノ」、本来は9歳から12歳用のキット。7歳になったばかりのノマドに組めるかな、これは手伝ってやるか。と思ってたら、ワリと自分でチクチク細かい部品を探して組み上げていけるので、放っといてみた。26日などは、ワイフが買物で家を空けてる数時間、全く同じ場所同じ姿勢でレゴに取り組み続け、オナカ中央部のモーター駆動歯車部分を見事に組み上げ切った。そんで「なんかアタマいたくなってきたから、オレちょっとねる」とか言って自室に昼寝しにいったそうだ。オマエどんだけレゴに集中し続けてたんだ?
●この日は公文教室があったので、「ノマド、アタマ痛いなら公文休む?」とワイフが聞くと、ノマド「クモンにしゅうちゅうすれば、アタマイタいのはわすれてきえるからヘイキ。ウチかえっても、レゴにしゅうちゅうすればアタマはいたくなくなる」ワイフはこのセリフに、仕事でも遊びでも、集中し始めたら完全に没入して周囲が見えなくなるボクの体質を強く連想したそうだ。「やだわーこのコ、ホントに誰かにそっくり。へんな病気になったら困るわー」




自律神経失調症とのお付合い(その80)~「デイケア/クリスマスパーティ」編
横浜の精神科デイケアでも、年末の恒例行事、クリスマスパーティが行われました。

●ボクは、もはや週一回しか行かなくなってしまった精神科デイケア。そんな中でも変わらず静かに暮らし続けるデイケアメンバーさんたち。12月に入ると皆さんは、自由時間を利用してセッセとクリスマスパーティの飾り付けを作成し始める。いい年したオジさんオバさんたちが、輪にした色紙を繋いでカラフルなクサリ飾りを作ったり、折り紙を使ってサンタさんやツリーの画を描いたり……ってのはワリと不思議な風景だったなあ。

で、当日。カウンセリングのスケジュールを変更して、敢えてパーティに参加。
デイケア室は、クリスマスムード満点。広い部屋にツリーが2~3本立ち、マド、ドア、壁面の全て、そして金魚の水槽までにクサリ飾りがつけられてる。そんで人数分のキラキラ三角帽子が用意されてる。ボクもブルーの三角帽子をかぶってパーティ気分満開!
午前中は、全員でパーティの準備。特製メニューとしてミネストローネとシーザーズサラダを料理組が調理。買い出し組は、シャンメリー(シャンパン風の炭酸ジュース?)とかお菓子をスーパーまで買いに行く。ゲーム準備班は、余興の仕込みを小部屋に入ってコソコソ行う。ボクは記録班で、家庭用ビデオでその準備風景を撮影。軽くメンバーさんに声かけて「メリクリ!イェーイ!」とかのコメントを撮る。一番カワイい女性スタッフ・ワーマさんがサンタさんコスプレしてて、彼女をレポータに仕立ててイロイロな人に声かける。
●新参メンバー・ミドリメガネさん(仮名/ヘンテコな緑色フチのメガネをかけてる20歳代の男性)もレポータ役として、全身トナカイさんツナギを着て汗だくでインタビューするが、空気が1ミリも読めない特殊な才能がフルに発揮されて会話が成立しない。コレも病気の一つの現れだろうけど、空気が読めない事がハッキリしてるというコトは、コッチもミドリメガネさんの空気を読まないでイイという意味で、かえって付き合いやすい。言ってる事がワケ分かんない場合でも多少シカトしたって相手の機嫌を損ねる恐れがないからだ。「トナカイスーツ、オレ似合ってますかね~?」ああ、最高に似合ってます、もう今日イチバンの人気者ッスよ、と流す。

ランチタイムからパーティがスタート。
●テーブルにクラッカーが配られ、みんなで鳴らす。一斉にパーン…じゃないトコロがミソ。どうしてもタイミングがそろわない。みんな勝手にフライングしたり、鳴らし方が分かんなかったり。そんでシャンメリーで乾杯「メリークリスマス!」。古参メンバー・ホームベースさん(仮名/カオがカク張ってて野球のホームベースみたいな40歳代の男性。天然おトボケキャラでみんなに愛されている)は、ミネストローネを3杯もオカワリし、シャンメリーをジックリ堪能し、イチゴのショートケーキをものすごく時間をかけてユックリ食べてた。「ケーキなんて滅多に食えないもん、ゆっくり食べなきゃ」とウレシそう。

そんでプレゼント交換会。500円程度のプレゼントをみんなで持ち寄る。
●ああ、こんな本格的なクリスマスパーティなんて今までやったことがあるだろうか。プレゼント交換だぜ。そんなコトやってる自分にビックリしちゃう。朝イチでスタッフさんに手渡しておいたプレゼントが机の上に並べられる。スタッフ・ソコさんがマイクでアナウンス。「さて、実は皆さんのショートケーキのお皿のウラに、番号が書いてあります。ソレがプレゼントの当選番号でーす!」へえ、粋な演出だね、ホントだ、ボクのお皿のウラには「29」って書いてある。
●ゆっくりじっくりケーキを味わってたホームベースさん、お皿の裏側が気になるが、ホントにゆっくり食べてるからケーキが半分も残ってて裏が見えない。お皿を少し斜めにして一生懸命番号を覗こうとしたばっかりに、大切に残してたイチゴがお皿から転がってっちゃった。周囲大爆笑。
●結局、ホームベースさんがゲットしたのは目覚まし時計。遅刻常習者のホームベースさんに、ニッカポッカさんやリシさんが「アンタにピッタリだ!」と冷やかしまくる。ボクは、ホームベースさんの時計に電池を入れて時間設定してあげた。目覚ましも今あわせちゃいましょうよ、何時に起きます?ホームベースさん「あー6時半かな?」ニッカポッカさん「そんな早い時間にオマエが起きれるわけねえだろう!」みんなツッコミがキビシ過ぎるよ。あ、ボクはカワイいマグカップをゲットしました。
ボクが投入したプレゼントは、マンガ文庫「三国志」11巻。デイケアには横山光輝「三国志」が30巻ほぼ揃っているのに、諸葛孔明登場の部分だけ抜けてる!「三顧の礼」も「水魚の交わり」もナイ!だからそこだけピンポイントで購入してプレゼントにしちゃった。当たった人には申し訳ないが、デイケアの「三国志」文庫に寄贈してくれというメッセージだ。見事引き当てちゃったのはデイケアの長老ツエさん。少しガッカリしながら、三国志に興味がある女性メンバーさんが盛り上がってるのを見て「アンタにこのまま渡すから、読み終わったらデイケアの本棚に入れといて」と言ってた。

孔明フィギュア 天才軍師・諸葛孔明。まさかフィギュアがあるなんて。


最後のパフォーマンスは「スペシャルゲストショー」。
●サンタコスプレのスタッフ・ワーマさんに、何スかコレ?と尋ねても「いや、スペシャルです」としか答えない。なにかなーと思ってたら、デイケアの男性スタッフ3人が、銀ギララメラメの激タイトワンピースを来て登場。バストに風船入れてニセ巨乳、パツキン&アフロのヅラで三人揃ってダンスダンスダンス。すね毛わき毛全開で最高キタナいけど、顔面だけは完璧メイクでマスカラパチパチ! そんでシャウトするのは、矢島美容室「ニホンノミカタ - ネバダカラキマシタ」。わーこの曲楽しいわ。実は作曲 DJ OZMA じゃん。アンコールではメンバーの半分が立ち上がってみんなでダンスしてました。「パオ!パオ!パオ!」

ニホンノミカタ -ネバダカラキマシタ-
(矢島美容室「ニホンノミカターネバダカラキマシタ」2008年)

そしてシメ。スタッフさんからメンバー人一人へのメッセージ。

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●長靴のカタチをした紙を開くと、スタッフ7人の方々から一人一人向けのメッセージが書かれていました。コレにはちょっと感動しちゃったかな。だって、もう週に一度、いや月に2~3回しか行かないボクにすら、細かいエピソードを添えて丁寧にメッセージを書いてくれている。コドモたちが幼稚園や小学校でやってるようなコトを、今自分がやってもらったコトに、こそばゆい照れくささと、ココロのこもった扱いにウレシくなる気持ちがこみ上げる。
●ココ、精神科デイケアに集まってくる人たちは、何らかの原因でココロを病み、その病気のおかげで居場所(仕事や家族、住む場所すらも)を失い、最後にココに辿り着いた人ばかりだ。そんな人たちにとって、自分たちを一人の人間としてキチンと見つめてくれている人々がいるというコトがいかにウレシいか、想像すると胸が熱くなる。


デイケアの女性スタッフが事務所の奥に隠れて涙を拭ってた。
●デイケアのプログラム進行は、基本的に患者が主体となってて、スタッフさんの役割はあくまで補助だ。調理実習のメニューだって素案は患者が決めるし、遠足やゲーム大会の内容も、スタッフの力を借りつつも患者が主体となる。
●しかし、このクリスマスパーティは、特別メニューの献立から、余興の準備と進行、そして込み入ったパフォーマンスまで、例外的にスタッフさん主体で行われる。たった7人しかいないスタッフで、40人以上のココロのナイーブな人たちを相手にするのだ。それはそれは大変な事だろう。息子の幼稚園の学芸会をヤリ切ったセンセイたちが舞台裏で号泣していたのを思い出した。本気で誠実に仕事するってホントに大変だな。


●ボクは自分の職業がダイスキだし、いつだって本気で取り組んで来たつもりだった。でも ボクはボクの職業世界の中でしか生きてこなかった。狭い世界だ。仕事を休んで自分が世間知らずだったと思い知らされた。ココでまた問われる。一体、仕事の価値ってなんだろう?病気のために生活保護水準まで追いつめられた人々をちょっとづつ励まして行く仕事の価値って、どう評価すればイイのだろう?
●仕事がナイ、失業者が増える、給料は上がらない、未来が描けない、そんな時代に突入する今、「仕事」とはなんなのか、考えなくてはならないのかもしれない。その価値を測るのは、扱うカネの額か?ギャラの大きさか?関わる人の数か?ヤリガイとかか?自己実現ってヤツか? ホリエモン小室哲哉も絶頂を極めそして地獄に転落した。けなげに働いて来た派遣労働者がクリスマス前に路上へ放り出される。
●なんだかよくわからなくなってきた。ただ言いたいのは、デイケアにまつわる人々の存在はもっと高く評価されるべきってコトなんだ。でもそれはボクが今までしてた仕事とは質が違い過ぎて、どう考えたらイイがマジでよくわからない。なので、今日はいきなりだけど、コレでおしまい。



さて、今日はクリスマスイブです。

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●ヒヨコのイチバンのお気に入り、ベリーちゃんも「サンタさん仕様」に衣替えです。

ノマドは、サンタさんを迎えるにあたって、こんな注意書きまで。

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「子どもべやは、1935へ、へんこう」ボクらの寝室の入り口に張り紙。

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「1935 / ぼくはレゴクリエイターモンスターダイノをください」コドモ部屋の前に張り紙。
●実は、コドモ部屋にノマドヒヨコが毎日寝るようになったのは、今年になってから。去年のクリスマスは、親子4人でボクらの寝室で寝ていたのだ。そこでノマド、サンタさんへ、コドモの寝る部屋が今年変わっている事を告知しないとプレゼントが間違って配送されると考えたらしい。注意深いオトコだ。部屋番号「1935」の由来は不明。


娘ヒヨコの口から意外なコトバがでてビビった。
「パパ、ベツレヘムってしってる?」おおおっ、ヒヨコのくせに渋い地名知ってるじゃねえか?イスラエルの土地だな。なんでそんな街の名前知ってるの?「ようちえんで、センセイがイエスさまのタンジョウビのオハナシのほんをよんでくれて、ベツレヘムがでてきた」
●ほうほう、どんなオハナシだったの?「えーとね、マリアさまのオナカにアカちゃんができてね、ベツレヘムのマチでうまれそうになって、ウマのオウチをかしてもらって、イエスさまがうまれたの」そうだな。博士も出てきただろ。「うん!そう!キレイなホシがみえたから、3にんのえらいひとがやってきた」東方の三賢人ってヤツだな。
●そんで、そのイエスさまの誕生日がクリスマスなんだよな。「じゃあ、おたんじょうびのロウソクをたてないと!」でもイエスさまが生まれたのは2000年前だから、(紀元前4年に生まれたので)ロウソクは2012本いるな。「ええ!そんなにロウソクないよ!どうしよう!」でもクリスマスは世界中でロウソクに火をつけるだろうから、ヒヨコが一人で2000本もロウソク立てなくていいよ。「じゃあ、ヒヨコは5ほんだけたてることにする」

そんでアレコレ、イエス・キリストの奇跡のコトについてコドモたちと話した。目の見えない人が視力を得た事、足のなえた人を癒して歩けるようにした事、水の上を歩いた事、数個のパンで数千人の飢えを癒した事、死んだ人を甦らせた事。そして、最期には殺されてしまうんだけど、3日後に復活したという事。「へー、イエスさまスゲエ!」とノマド。
●別にキリスト教徒じゃないボクでも、イエスのことについてはこの程度の知識がある。「ジーザスクライスト・スーパースター」って言うだけあって、やっぱ有名人なんだよ。

でも「聖書」ってヤツをマジメに読んだことはない。
●昔、学生の頃、最初の「マタイ伝」を踏ん張って読んだが、そのあと3回同じハナシが繰り返される(他の福音書「マルコ伝」「ルカ伝」「ヨハネ伝」のこと)と知って挫折した。あの堅苦しい文語調はホント息苦しくて完全にギブアップだった。


そんなボクに、伯母がある本を贈ってくれた。

三浦綾子「旧約聖書入門」/三浦綾子「新約聖書入門」

三浦綾子「旧約聖書入門」/三浦綾子「新約聖書入門」
伯母は、60歳くらいになって洗礼を受け、自分の意志で信仰の道に入ったクリスチャンだ。なぜキリスト教なのか?という理由はわからない。信仰の問題は一番個人的なモノで、他人がどうこう言うスジのモンでもないでしょう。ただ、病気でひたすらボケーッとして生きている今のボクにはちょうどイイと思って贈ってくれたのだと思う。この休職生活で、日本神道や仏教の本を読んでたボクなので、キリスト教のコトを知るのも悪くない。

三浦綾子さんという作家については、ナンの知識もない。
●ああ「氷点」を書いた人なんだ…ググってみて初めて知った。99年に亡くなるまで、たくさんの病気に生涯苦しめられたようで、その闘病の様子がこの2冊の本からも滲み出ている。またそれ以上に、時代に釣り合わないほどに強い性格を持った女性なんだなあという印象を持った。いや、信仰が彼女を強くしたのか?
●一方で、戦前に小学校教師を勤めていた人でもある。終戦に際して、軍国主義教育からGHQ主導の民主主義教育への大転換を経験し、職を辞した。戦前価値観の崩壊とその後に到来したニヒリズムが彼女を揺さぶったのは間違いない。結核を患う中でプロテスタントの洗礼を受けたのは、明日をも知れぬ不確かな時代(&自分の健康)の中で、信仰に価値を見出したからなのか、と想像する。


「新約聖書入門」は楽しんで読めた。
●「キリスト教」という宗教はさておいて、イエス・キリストという人物個人は、非常に痛快なカリスマで、既存秩序の欺瞞を暴き出すヒーローだ。数々の超常現象的な奇跡の真偽には興味はない。しかしそんなモノを抜きにしても十分彼は強力な「革命家」だ。
イエスを目の敵にしてたのは、頑迷なユダヤ教徒だ。聖書に出て来る、パリサイ人とかサドカイ人とかいう連中や律法学者たちは、ユダヤ教社会の中でのマジョリティで、型破りな行動で支持を集めるイエスを危険視した。 彼らはイエスを貶めようと議論を吹っかけるが、ことごとく論破される。例えば、日曜日に病人のなえた腕を癒したイエスに、守旧派は攻撃しようとした。日曜日つまり安息日は、神に祈る日であって働いてはいけない、何もしてはいけない、というのが彼らの法律だ。そこにイエスは一発「安息日に善を行うのと、悪を行うのと、命を救うのと、殺すのと、どちらがいいか」安息日のために人があるわけではない、人のために安息日はある。
●一方イエスが庇護したというのが、税金取り立て人とか、多民族との混血(サマリア人と呼ばれる人々)とか、姦淫を犯した女性とか、病人(病気は前世の罪の反映と考えられてた)とか、いわゆる社会の中で蔑まれている人々であった。下流の人々にこそ救いの手を差し伸べたのだ。
黒人さんたちが、涙を流しながらゴスペルを歌う様子が連想される。キリスト教はアフリカ系の彼らにとっては征服者の外来文化だが、その思想は彼ら社会的弱者を守る内容なのだ。しかし当時のユダヤ守旧派にとっては、これは世界観の転覆である。イエスは過激派だったのだ。
●そんなイエスは、既存秩序にしがみつく者たちに命を狙われるようになる。隙あらば彼が律法を破っている証拠を掴んで罪人に仕立て上げようとする。で、ご存知の通り、彼は十字架にはりつけられ、殺されてしまう。イエスは、人々の愚かさを一身に受けて、その彼らの罪をあがなうために自ら殺されるよう仕向けた、とされてる。過去から現在、そして未来永劫まで続く人類の愚かさと罪に対して、自分の命を担保にしたわけだ。

一方で「旧約聖書入門」には、少々ビックリした。神サマがこんなにコワイなんて。
●ココに登場するエピソードも有名なモノが多い。「アダムとイブ」に始まり、「ノアの箱舟」「バベルの塔」「十戒(モーゼの出エジプト)」などなどビッグな逸話が目白押し。ただし、一読して感じたのは、ココに登場する神サマは、コワイ!常にコワイ!
●ヘビにそそのかされたばっかりに、「知恵の実」を食ってしまったアダムとイブは楽園を追放されてしまう。最近はメッキリ悪いヤツが増えたなあと思ったら、大洪水を起こして全生物を死滅させてしまう。バベルの塔をおっ建て始めた人類を不遜として、その建造物をぶっ壊し、お互いの言葉を通じなくさせてしまう。堕落した都市、ソドムとゴモラは業火に焼かれてしまう。信心深い男アブラハム「あなたの愛息子を生贄に捧げ丸焼きにしなさい」とか言う。しかし、この件は、アブラハムが本気で息子を殺す瞬間に天使がストップをかける。「あなたが神を畏れる者であることを知った」…いやいや、でもさ、ドッキリの仕掛けにしては悪趣味すぎないか?
「神の子」イエスが、寛容なカリスマだったのに対し、「神サマ」自身はなんだか猛烈にコワイぞ。さらに、「十戒」や「律法」といったルールを人間に伝え、それを遵守するように命ずる。イエスを追い詰めた頑迷なユダヤ人主流派は、あまりに神サマを畏れるあまり、「十戒」の本質を離れ偏狭な社会を作ってしまった。でも彼らがビビるのも当然とも思える勢いで、この神サマはコワイ。
●コレが日本やインドみたいな多神教社会なら、コワイ神サマもいれば、優しい神サマもいるって感じにうまくバランスを取るところだが、一神教で神サマ一名じゃあ、バランスの取り様もないからね。


コワイ神サマと、愚かで罪深き人類。それが滅ぼされずに済んでるのは、イエスが自分の命を捧げることで釣り合いを取ったからだ。イエスはえらい。神サマはコワイ。よってキリスト教の世界観では、神サマと「罪人」としての個人の関係が絶えず意識されることになり、「神サマ視点から見て、オレはアリ?それともアウト?」と思考するのが一般の感覚になったのだろう。この延長に「じゃあ、そんなオレってナニモン?」という近代的自我の思想がキリスト教ヨーロッパ文明に一番最初に芽生えたのは偶然じゃないのではないかと勝手に推測してみちゃったり。
日本のような思想風土は、神サマ目線で自己を客体化しなりなんかしないでしょ。どっちかってと、イエ単位、ムラ単位の集団の一パーツとしての人間という見方が支配的で、イエやムラの過去の延長を未来まで継続することが大事だったりしてたはず。神サマは、そのイエやムラの起源(祖先)であったりして、それを継続させることが神サマと個人の主だった関係だったり。例えば、お盆みたいな習慣とか。天皇家だってその感覚を現代に体現するシンボルだよね。


余談だけど、学生時代、友人に「ものみの塔」(A.K.A.「エホバの証人」)の信者がいた。
「ものみの塔」は、キリスト教の一分派で、聖書至上主義な人たちらしい。以前テレビドラマにもなったけど、事故にあった息子に対して輸血を許さず、結果死なせてしまった家族の話題で有名になった。輸血は「人は人を食べてはならない」という禁忌の延長なのだという。輸血すれば、現世の命は助かるが、やがてやってくるはずの神の国に入ることができなくなる。だから親は輸血を拒否した、ってケースだったと思う。
●友人エムくん(仮名)は、自分の信仰を隠しもしなかったし、自説を堂々と説いてボクをビックリさせた。輸血がなんでダメかと教えてくれたのも彼だった。彼は生物の授業に出てくる進化論「なに言ってるんですか、バカバカしいウソですよ、誰が太古の時代までさかのぼって検証したというのですか」と言ってはばからない。聖書至上主義であるので、聖書の記述(この場合、「創世記」)に矛盾する進化論は彼らにしたら間違いなのである。「でもさ、聖書も所詮誰かが書いた本だろ、それが全面的に正しいってのはどうなの?」ぼくは素朴にそう言った。そこにエムくん「あの生物の教科書だって誰かが書いたものでしょ。あれが全面的に正しいというのも筋が通りません」なるほど、そうか。彼は暴力には加担できないという理由で、体育の授業も柔道だけは見学を貫いていたし、見事なまでに信仰生活を大切にしていた。ぼくは信仰の内容には同意しかねても、信仰する行為に異を唱えるのはフェアじゃないと思うので、一徹したモノを持つエムくんにはある意味敬意を感じた。
●そんな経緯もあってか、その後一人暮らしをするようになってからは、彼ら「ものみの塔」の布教活動(親子連れでピンポーンってやってくるじゃないですか)にも、ヒマがある限り付き合ってあげたものだ。決して同意はしないんだけど、好きなことをタップリとしゃべってもらって帰ってもらった。冊子もたくさんくれるので、よく読んだ。今はもうしないな、なんだかんだ言って、結局ぼくのやってることは冷やかしでしかないから、彼らにも失礼だと思う。……エムくん、今はナニやってるだろうな?やっぱり同じ信仰の人と結婚するのかな?


ハナシは変わって、紅白歌合戦の予習(多分見ないけど)。

キマグレン「ZUSHI」

キマグレン「ZUSHI」
●今年初登場組のブレイクアーティスト、神奈川・逗子をベースにした男性二人組ユニットだ。今年の夏にはヒット曲「LIFE」が街中からよく聴こえたもんだ。夏気分一杯のこのアルバムを、寒い今聴くのはズレた感じだが、ニューカマーにふさわしいフレッシュさは、朝の通勤電車の中でも元気に聴こえた。
●ぱっと聴いて感じたのは、DEF TECH に似てるって印象。ラップと歌の境目を越えていくメロディと高揚感あふれるサビやコーラスの気分、、日本語詞・英語詞が切れ目なくつながる感覚が、ジェイポップにより接近した DEF TECH って感じ。DEF TECH はハワイのロコカルチャーを背負ったハワイアンレゲエ(ジャワイアン)という斬新な様式を軸足にして、ライフスタイルもひっくるめて主張の強い音楽を鳴らしていたが、キマグレンは、特別な気負いなくラテンからソカまで様々なリズムでビートを織り成し躍動する。しかし両者に共通するのはアコースティックギターのアフターサーフな感触。なんたって湘南育ち、これが彼らの音楽を一番音楽をウェットにしている要素。シズル感の肝だね。

「泣きたくて、笑いたくて、ホントの自分 ガマンして伝わらなくて
 言いたい事、言えないけど、ココにいるよ
 泣きたくて、笑いたくて、ホントの自分 ガマンして伝わらなくて
 君は君のために生きていくの」


●リリックだけ見ると、ロスジェネ以降世代の典型的閉塞感がギュウ詰めなんだけど、でも音楽は痛快。しなやかにリズムに乗って日々を乗り切るセンスとスピード感を備えつつも、どこか未来や将来に醒めきった絶望と哀愁から逃れられないのが、この世代の気分なんだろうな。
   
ヒヨコ作品「うさぎ」

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●素材:軍手一個、マジック。シンプル・イズ・ザ・ベスト


●やああ、コレ期待のDVDでした。

DVD「スターシップトゥルーパーズ3」

●DVD「スターシップトゥルーパーズ3」
●第一作「スターシップトゥルーパーズ」は、ぼくの映画遍歴の中でもベストテンにランクインされる快作ですわ。監督はポール・バーホーベン。「ロボコップ」とかを撮ったベタベタのハリウッドアクション映画人間。若い頃は完全なアンチハリウッドだったボクも、この異常なほどの大風呂敷大戦争スペクタクル&ズタズタの残酷表現スプラッターパニック表現には、大爆笑してしまったのでした。
●第一弾の衝撃は忘れられない。一秒単位一万人くらいのスピードで人が死んでるトンデモ加減と、昆虫型エイリアン「バグ」の大挙強襲&殺戮っぷりは、恐怖を通り越してスガスガシサさえ感じるほどですわ。「ああ、コイツ死ぬ、死ぬ、死ぬ~」とかハラハラして見てると、お約束どおり絶妙なタイミングでえげつなく殺されるのです。敵は知能のカケラも見えない大型昆虫で、死を微塵も恐れずにひたすら特攻。しかも軍隊アリのような超大群でやってくる。どんなにマシンガンをぶっ放しても、硬い外骨格はなかなか破れないし、足一本吹っ飛ぼうがかまいもせず、残った足で人間の体を八つ裂きにする。既存のエイリアン映画は、姿を周到に隠し、ジワジワゆっくり少しづつ人を殺すが、この映画にはそんな奥ゆかしさは微塵もない。スカッとします。

その第三弾「3」が登場。ポール・バーホーベンは製作総指揮にポジションを移して。
●この映画はSF小説の古典、ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」が原作なんです。ぼくは原作未読なんだけど、この本が「機動戦士ガンダム」の元ネタになっているというハナシはよく聞かれる。どこら辺が元ネタなんだよ?といいますと、「モビルスーツ」という発想の原型がココに登場してくるからです。人型戦闘メカが投入され不利な戦況を転覆するという筋書きがあるそうだ。映画では「マローダー」と呼ばれるこのメカが、「3」にしてやっと登場してくる。ココが今回の見所なのであります。まー見て下さい。強かったです。殺戮ぶりもナイスです。
●今回の見所は、これまた皮肉たっぷりな対バグ戦争へのプロパガンダ。軍隊の総司令官がスター歌手として国威発揚のヒットナンバーをシャウトしてる。タイトルは「IT'S A GOOD DAY TO DIE!」。ヒットチャート驀進中の模様。軍国主義ファシズム国家をこれほどバカバカしく大真面目に描く様子も、実に秀逸で笑える。是非、「1」「3」続けてご覧下さい。あ、「2」は凡作でした。見ないでいいです。


ガンダムOO

さて、現在進行形の「ガンダム」はどうでしょう。
「機動戦士ガンダムOO」セカンドシーズン、言うまでもなく、全部見てます。尻切れトンボな印象だったファーストシーズンに比べ、やっとキャラに感情移入も出来てくるほどの余裕も出てきた。基本的に鉄面皮だった主人公たち、以前は冷酷な戦闘マシーンでしかなかったのが、じんわり人間くさい匂いが漂ってきたからだ。それぞれの戦う事情ってのが見えてきたというか。
●今、ワイフとの間で注目なのが、サジ・クロスロード君。ファーストシーズンまるまる使って、ノンキなラブコメ気分をストーリーの主流と全く関係ない所で振りまいていたこの青ビョウタンが、セカンドシーズンでは、これでもかと言わんばかりの逆境に追い詰められてるのが、なぜかサド気分を掻き立てて気持ちイイ。毎回「ヌルイヤツだな、もうこのまま泣き喚いて死ね!」ってくらいの感情がわく。お姫様マリア・イスマイールもカマトトぶりやがって、ナニもしてねえじゃねえか!と突っ込みたくなる。ワン・リューミンのお嬢様が「意地汚い小娘め!」とひっぱたかれたのに、すぅーっと快感を感じたのはボクだけではなかろう。「OO」はサド心をくすぐる仕掛けで一杯だ!
●そしてもう一人の爆笑キャラが「ミスターブシドー」。そりゃねえだろ!そのネーミングは!プロレスラーかお前は!マスクは1000歩譲って認めても、あの陣羽織はトンマすぎる。誰か突っ込め。「それ、どこで買うんですか?和柄系もイイカゲン盛りを過ぎた頃なのに…」とか。
●今回は、思い入れを感じるモビルスーツがなくて悲しい。ティエレン・タオツーのような愛すべき不細工さ(しかも不細工なのにピンク色)がイイのに…。アヘッドは、四ツ目の赤いボディでエヴァ弐号機を連想させるが、ジンクスシリーズに比べてメリハリがない。水中用モビルアーマーも巨大な洗濯バサミのようでオモロくなかった。新型は今週の放送で秒殺されちゃったし。敢えて挙げれば、ルイスのサイボーグな左腕。華奢だけど握力がスゴイと判明。義手萌え。


マンガのガンダムも佳境。

安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」17巻

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」17巻
「ララァ編・前」と題された今回の単行本には、名エピソードがイッパイ。映画で言えば第三弾「めぐりあい宇宙」に突入した所。再び宇宙に上がったホワイトベース、スレッガー中尉&セイラさんのコアブースター2機と、カイ&ハヤトガンキャノン2機(+α?)という映画と同じ編成で、ジオン軍に立ち向かう。ココでのアムロくんは、もはや鬼神の如くの覚醒っぷりで、メチャメチャ強い。敵の新主力モビルスーツ、リックドムをこともなげにバキバキ落としまくる。コワいコワい。コンスコン中将の名言「12機のリックドムが5分で全滅…?」が出る。
●そして、サイド6を舞台に交錯するさまざまな人間模様。ミライさんは過去のフィアンセ、ヘタレのカムランと再会。そこにスレッガーさんがイイ感じに挟まる。ミライさんにビンタ一発はたいて「この人は本気なんだよ、わかる?」THE ORIGIN でのスレッガーさんは今後もキャラ立ちまくりで、所詮素人部隊のクルーたちを、プロの職業軍人としてグイグイ引っ張って行く。原作アニメの10倍カッコいい男になってるね。で、ブライトさんもちょっぴりジェラシー。
アムロは、2つの大きな出会い。父親でガンダムの開発者、テム・レイとの再会。ご存知のようにアホになってました。そして、もっと大きな出会い。ニュータイプ少女ララァ、そしてシャアと偶然の遭遇。


雑誌「ガンダムエース」では「ソロモン編」がスタート。

GUNDAM A (ガンダムエース) 2009年 01月号

●なんと、THE ORIGIN 作者・安彦良和は、アニメ制作当時、カラダを壊して末期のガンダムにはほとんど関われてないらしい。だから「実は今だにちゃんと見てない」というほど。そんな中で感じたのは、あまりにも説明不足でエピソードが押し込まれ過ぎだというコト。視聴率低迷から本来想定してた放送回数を削られたコトと、「富野カントクのクセ」が原因と安彦氏は分析。「あの人は5話くらいでガルマを殺そうとしていましたからね」だって。
●だから、自分の中で唐突だなというポイントを、当初独立した章立てを考えてなかったソロモンの戦いを一本立ちさせて、キチンと描こうとするわけだ。ソロモンの司令官ドズル・ザビは、連邦軍との戦いに真っ直ぐだったが、月面都市グラナダのキシリアと、要塞ア・バオア・クーのギレンは別のプランをそれぞれ描いており、が故に最期の兄妹殺し合いに繋がって行くわけだ。そこがつまびらかにされる予定。楽しみです。



今日の一枚。女優さんの余技と言うにはマニアックでよし!

SCARLETT JOHANSSON「ANYWHERE I LAY MY HEAD」

SCARLETT JOHANSSON「ANYWHERE I LAY MY HEAD」2008年
「ヴァージン・スーサイド」「ロスト・イン・トランスレーション」を経て、今や立派なハリウッドセレブ女優さんになってしまった彼女がCDデビュー。しかしマニアックな事に、ほぼ全曲 TOM WAITS のカバーで固めてしまったカワイゲのないアプローチで度肝を抜く。ぶっちゃけ歌がウマい訳でもなさそうなトコロを逆手に取って、もうそんな技術の問題とはカンケイない次元にワープしにかかった作戦勝ち。原曲と聴き比べまではしてないけど、聴き比べてもそんなに意味ないような、雰囲気モノ物件。日本で言えば、宮崎あおいが遠藤賢司のカバーアルバムで歌手デビュー的なインパクト?
DVD「かもめ食堂」を観る。

かもめ食堂かもめ食堂
(2006/09/27)
小林聡美片桐はいり

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舞台はフィンランドの首都ヘルシンキ。日本人女性がたった一人で営む小さな食堂をめぐり、様々な人々が集い、そして美味しいコーヒーを飲む。ある意味ただそれだけのオハナシだけど、ソレで十分な暮らしが心地いい。出演:小林麻美・片桐はいり・もたいまさこ。
●ヘルシンキの夏は、ホントに日が長くて、午後11時でも日本の夕方4時くらいの明るさがある。つまり「白夜」寸前ね。緯度的にヘルシンキ自体は白夜にはなり切らないんだけど。大きな窓から日光が店中に差し込む「かもめ食堂」は、隅々まで明るく、白木のテーブルがマブしいくらい。北欧ならではの洗練された食器やコーヒーマグの色、調理器具のステンレスの輝き、マリメッコっぽい明るい基調の衣装。病気になってからというもの、アホのようにカフェ巡りをしているボクには、最高にい居心地のイイお店に見えた……。あの大きな窓に面した席で、本を一日中読むとか、とっても素敵…。これぞ本格的カフェムービー。カフェ好きのカフェ好きによるカフェ好きのための映画だね。

この映画をキリリと引き締めているのは、小林麻美の身のこなし。
●合気道に習熟してるって設定はあるとしても、キッチンの中におけるムダのナイ動きが、カフェにアリガチな弛緩しきったタルいムードに張りとテンションを与える。コレがイイ。素早い包丁さばき、香ばしく焼けるシャケ、愛情込めてゆっくり注ぐコーヒー。メリハリのある動きと表情が、料理シーンをスゴく美しいモノにしている。そう、ちょうど北欧デザインの食器と同じくらいに洗練された料理シーン。長い芝居に遅い展開、それでもソレを味とするテンションを、小林を頂点に3人の女優のトライアングルがバキッと極めている。


ボクもフィンランドを旅行した事がある。2000年だったかな(また旅行ハナシかよ)。
●目的は、そう、「ムーミン」。フィンランドといえば「ムーミン」以上の重要物件はないでしょう。ワイフもボクも、結婚する前かたそれぞれ原作小説を昔からしっかり読んできた人間。フィンランドへムーミンに会いに行こう!というアイディアはすぐに合意された。まだコドモも生まれてなかったしね。

ムーミン谷の彗星 (講談社文庫 や 16-2)ムーミン谷の彗星 (講談社文庫 や 16-2)
(1978/10)
トーベ・ヤンソン下村 隆一

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(ボクのフェイバリット・ムーミン小説。あの平和なムーミン谷に彗星が落ちて来るらしい!その天変地異を前にして、我らがムーミンとその仲間たちが冒険の旅に出る!ワクワク)

●フランクフルト経由でヘルシンキ着、一泊の後、特急電車を現地で手配して、トゥルクというフィンランド第二の都市へ。小田急ロマンスカーのように鼻先がトンガッた超特急で3時間ほど西側に進んだトコロにあるバルト海沿岸の街。差し当たり日本で言うとこの名古屋?でも超地味で緑の多い場所だった。映画「かもめ食堂」の中で深い深い森のシーンが出て来てコレがまたとても美しいのですが、コレを観て連想したのが、この特急電車の車窓風景。時に開けた草原となり、時に深い森となり、小さな町が現れ、そしてまた森に入っていく。ちょうど THE CHEMICAL BROTHERS「STAR GUITAR」のPV(ミシェル・ゴンドリー監督)みたいだったりもして。

その先には、憧れの「ムーミンランド」が!
●バルト海に面した街トゥルクに宿を取り、さらにバスで北上。入り組んだ海岸線に面した町、ナーンタリという所に着く。ココに、なんと「ムーミンランド」なる代物があるのです!知ってました?

フィンランド1

(ナーンタリの慎ましやかなメインストリート。カワイい色のお店が建ち並ぶ。もちろんムーミングッズもイッパイなんだけど、日本製品が逆輸入されてて、ボクらには買うものがあまりなかった……)

●コレがもう最高!ディズニーランドユニバーサルスタジオのような大げさな仕掛けは何一つなく、むしろそのユルさは「日光江戸村」級。アトラクションなぞ皆無で、パーク内をムーミン一家のキグルミさんがウロウロ。真っ白な肌とキレイな金髪の子供たちがムーミンママに抱きしめられて最高にウレシそう!簡単な売店と食堂と、子供向けのお芝居をする小さな劇場、そして三階建てのムーミンハウス。ヘムレンさんのお家もあったかな。まーそんなモンしかない!もう最高過ぎてたまんない!

フィンランド2

(さあさあ、ここが「ムーミンランド」。ムーミンのお家があるぞ!)

フィンランド3

(いた!ムーミンママ!子供たちの一番人気はとにかくママでした!みんなママの膝にカオを埋めるのです。ちなみに、ワイフは理想の女性像として臆面なくムーミンママの名を挙げます)

フィンランド5

(ムーミンパパと、ワイフの2ショット写真。ムーミンパパは一見無職のボンクラに見えますが、実は冒険家という肩書きがあるのです。若き日の彼の冒険は、原作小説で読んでね)

フィンランド4

(原作では気難し屋のヘムレンさんも、ここでは優しい人気キャラ。見て下さい、このオンナノコのウレシそうな表情!)

フィンランド6

(このパークのほぼ唯一のアトラクション、ムーミン劇場。よく見て下さい、ムーミン、カオに木の枝が引っかかって「前が見えないよ~」と困ってます。アホです。しかし子供に大受けです)


そして再びヘルシンキ。
映画に出てくるように、港町で、トロリーバスが走ってて、露天の市場が賑わっていて、古めかしい19世紀風の建物が町中立ち並んでいる街。改修工事してる建物を見たんだけど、ガワ部分だけキレイに保存して、中身は完全にコンテンポラリーなビルディングに改造しちゃってるのよ。ああ、こうやって街並の景観を維持するんだと納得。

ヘルシンキ2

当然、CD屋巡りをする。コレはボクにとって「旅のマスト条件」なのだ。
●トロリーバスは環状線になってて、まずはソレを一巡り。その車窓から3つ4つのCD屋/レコード屋を発見する。コレは不思議なボクのクセで、国内外問わず、初めて来た街をちょっと歩くだけでも、なぜかレコード屋を発見できてしまう。あ、あの雑居ビルの三階に、あ、この本屋の二階に、とかね。下のお店は結構デカめの「FREE RECORD SHOP」。中古も扱っててかなり便利だった。

ヘルシンキ3

CD屋での印象は、以前このブログでもつづったアイスランドの気分とは随分違った。
●アイスランドは、人口30万人のミニ国家だったが、CD屋では自国語のCDが売り場の半分を占めていた(以前書いたアイスランドについての記事へリンク)。一方、フィンランドは人口520万人で、国土は日本とほとんど変わらない面積を持つ。同じ北欧、そしてずっと大きい国なのに、フィンランド語のCDの存在感はとても薄い。ちょっとしかないし、オッサン向けの懐メロっぽいモノばかりだ。映画「レニングラード・カウボーイズ」のようなヘンテコロックグループもあったが、あの手のバンドの50年代風ロックンロールは、日本で言えばグループサウンド的懐メロとして解釈されてるようで、内容は最悪だった(でも買ったけど。珍味のガレージロックだと思えば聴ける)。あ、フィニッシュ・ヘヴィメタルはスゴいってハナシはあるけど、ボクの興味の対象外だったのでチェックしなかった。でもそんなに存在感なかったよ。

フィンランドジャケ5 SLEEPY SLEEPERS「PAHIMMAT」1998年

(上記のヘンテコロック。もう見た目で「ヨゴレ」な感じするでしょ。イタイッす)


●しかし、この国のCD売り場が面白いと思ったのは、必ずしも英米音楽だけに占拠されてるわけではないことだ。つまり、ヨーロッパ各国の音楽がほぼ均等に揃ってるというコト。コレって興味深いことだ。
●売り場を見渡しながら、ボクはイメージしてみた。大きな地球儀に乗ってフィンランドの上に立つ。そんでヨーロッパを見渡してみる。すぐ左には広大なロシア。古都サンクトペテルブルグ(旧名:レニングラード)は超ご近所。そんで逆サイドはスウェーデン。その向こうにデンマーク、ドイツがありフランスがあり、そしてやっとイギリスがある。アメリカは大西洋の向こう。フィンランド人の世界観では、英米も重要だが、同じように他のヨーロッパの国も重要な存在感を持っているのだろう。
結果、ポップス大国スウェーデンや、ドイツ、フランスなどのCDがたくさん売っているのだ。だからここでは、欧州各国語のヒップホップを探した。UKのモノ、フランスのメロウなモノ、デンマークのモノ、スウェーデンのヒップホップはドスが利いててゴツい!スペインのファンクロックってのもあったな。ドイツ語と思って買ったものは、実は在独トルコ系移民でトルコ語のヒップホップだった。コレがこの旅最高の掘り出し物。

gt200306112.jpg KARAKAN, ERCI E. & DA CRIME POSSE「CARTEL」1995年

(イスラム風民族音楽サンプル満載、聴きなじみない言語のラップ、BPM速めの疾走感と、本当にユニーク!それでいて絶妙マイクリレーに「Bボーイ」とか「DJ」とか世界共通のコール&レスポンス大合唱など、ヒップホップの成立要件100%満たしてる)


●しかし、イロイロな国のヒップホップがあるのに、肝心のフィンランド語のヒップホップが見つからない。店員さんに聞いてみた。「アイム・ルッキングフォー・ヒップホップミュージック」店員「……イングリッシュ・ヒップホップ?」ボク「ノー!フィニッシュ・ヒップホップ」店員さんは、東洋人のメガネ野郎がワザワザ遠くからやって来て、この国のヒップホップを聴きたいと言ってるコトに感動してくれたらしい。パッと笑顔を見せて、早口の英語でまくしたてた。
「この国のヒップホップを探しているのかい?こりゃビックリしたな。イヤイヤ、ゴメン。この店にフィンランド語のヒップホップはないんだよ。でもね、他の店で置いてあるトコロを知っている。店の名前と、あと地図を書いてあげよう。もしワカンナかったらの時のタメに、ボクのメアドも書いておくね。必要なら日本に送ってやるよ」多分、そう言ってたように思える…。もうちょっとボクに英語ができたらな…。でも音楽は言語を超える。同じ趣味を持った異邦人に、フレンドリーになってくれた彼に出会えてとてもウレシい気持ちになった。彼が書いてくれたメモを手に街を歩く。

●さて、さっきの店員さんに教えてもらった店は、ヘルシンキの中心街とはいえ、少しウラブレたさみしいエリアにあった。店名は「THE FUNKIEST」。古い建物の一階にあったその店のドアを開けたら、ちょっとドキッとした。客もスタッフも全員スキンヘッドのBボーイ。みんなシャツのスソからタトゥーが見えます。そんな連中が、ドアを開けたボクの方を一斉に振り向いて、マジマジとボクを眺めた。ボクはヤセッポチで背が低くメガネをかけた髪の毛の長い東洋人。つまり、ハイパー場違いな雰囲気。

ヘルシンキ4

(「THE FUNKIEST」外観。マジ小さいので、自力では絶対発見できなかった。しかし、この周囲には、ナカナカ渋いレコード屋が多くジャズや60年代ロックなどもイイ値段で買えたのだった。)

●NY行った時も、それはそれはデカイ黒人さんばっかのヒップホップ専門店でモリモリ買物したじゃないか。NYの連中はさすがコスモポリタン、黒人さんたちは客も店員も陽気で、東洋人が一匹紛れていても歯牙にもかけなかった。…しかし、フィンランドの中では今だアンダーグラウンドであるヒップホップカルチャー、その店でボクは相当場違いらしく、視線こそ合わさないが、ソコにいる全員がボクの動向に注目してるのがハッキリ伝わる。

●狭い店内に雑然と並べられたエサ箱。その中に大量のヒップホップの12インチ。完全なヒップホップ専門店。サクサクっとエサ箱を見ても、フツウのアメリカのヒップホップしかない。アレ、ハナシと違うなあ。
●背中に視線を思い切り感じながら、ワザとデカイ声で店員さんに聞いた。「フィンランド語のヒップホップを探しているんだ。どこにあるだろう?」白い肌に、金髪を短く刈り込んだ目つきの悪いお兄さんは、無言でカウンターの脇の小箱を指差した。そこにはCD-Rで焼き込んだ自主制作盤(つーかソレ以前的存在、ジャケが手書きモノクロコピー)が20枚ほどあるだけ。うわー、これしかないのかよ。マジでシーンが未成熟なんだなあ。

●それでも何枚か抜いたよ。一番ヒドいのはマジでヤケクソなコピージャケで、音も悪い。フィンランド語のラップは、本来はラップに向かない言語を無理矢理ビートに嵌め込んだ感じが非常にギクシャクしてて、その奇妙な違和感と、一方でそのチグハグさを見事解決してラップとして成立させてるトコロが面白くもあった。一生懸命探した価値があった。何品かご紹介。

フィンランドジャケ3 ALEX STREET BAND「PRESENNTATION OF」 1999年

(ジャケは完全にヒップホップだと思ったのだが、聴いてみたら時代遅れのアシッドジャズだった)

フィンランドジャケ2 MEMMYPOSSE「KAHVA KAHVASTA」1999年

(コピー用紙をハサミで切って、CD-R の中にツッ込みました、という根性の自主制作盤。)

フィンランドジャケ1 SEREMONIAMESTARI「OMIN SANOIN」2000年

(フィンランド・ヒップホップでは一番の収穫物。関連シングルまで買っちゃった)

フィンランドジャケ4  SEREMONIAMESTARI さん本人近景。

(レコ屋にいたBボーイもこんな人たちばかりだった。ゴツいんだよホント)



●ボクがフィンランドを旅したのは2000年。もうシーンも大分変わっただろう。北欧全体のポップミュージックも日本にたくさん情報がもたらされるようになって、理解も深まってる。もっと新しい北欧シーンについて知るにはコチラの本をおススメ。雑誌「COOKIE SCENE」が作った本だから、メタルもヒップホップもないけど、エレクトロニカからポストロックまで網羅したイイ本です。ご参照を。

クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ [北欧POP MAP Iceland、Norway、Denmark、Finland編 (クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ)クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ [北欧POP MAP Iceland、Norway、Denmark、Finland編 (クッキー・シーン・ミュージック・アーカイヴ)
(2007/09/21)
クッキー・シーン編集部

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(2007/09/21)
クッキー・シーン編集部

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先日はノマドの小学校で「お米の収穫祭」。
●1年生の長男ノマドの小学校には、スミッコにビオトープがあり、田んぼとしてイネを育てている。そこで 「収穫祭」と称して「脱穀~精米~オニギリにしてみんなで食べる」という催しが行われた。ふーん、コレっていわゆる「食育」ってヤツじゃねえの?
●土曜日のお休みの日、催しは自由参加なので、ノマドには出る気もやる気も微塵もない。朝はモソモソレゴブロックでオリジナルロボットを作って過ごしてる。ノマド、今日のお米のヤツ、行かないのか?「うん、いかない」相変わらず消極的なヤツだな…。絶対面白いから行ってみろよ。


ノマド、ちと聞け。お米は日本にとって一番大事な食べ物なんだ。
●今の日本は、世界中からイロイロな食べ物を買って送ってもらっている。でもお米だけは、日本の中だけで全部作れるようにしているんだ。なぜなら、世界でも日本はお米を一番大切に食べる国だからだ。
中国でもお米は食べるが、決してソレだけじゃない。あの国は小麦もイモもイッパイ食べる。ラーメンも餃子の皮も肉まんも小麦で出来てる。韓国もお米好きだが、人の数が日本の3分の1程度でその分少ない。タイベトナムもお米好きな国で、ビーフンとかフォーといった料理はお米で出来てるが、昔タイのお米を日本が買ったら、種類が違って美味しくない事がわかった。インドはカレーライス食べてると思ってるだろうが、小麦で出来たナンで食べてる方がメインだ。つまりだね、日本のお米は世界でも特別なんだ。
●日本にお米の作り方が伝わったのは、3000年くらい前(実はもっと前らしい)の大昔で、中国や韓国から来た人が教えてくれた。今じゃ全部を機械でやったりするけど、昔の人は全部人の手でイネを作ってた。あの草のカタチしてるイネからどうやってお米を取り出すか、ノマド知ってるか?それを今日、センセイが教えてくれるってワケだろ?コレは行くしかねえだろう。………こういうことから自分の国のコトを知るのが、コドモには自然でないかい?教科書とかだと、マジメに伝わんないだろ。「愛国教育」とか四の五の抜かす前の基本だね。



●ということで、一年生ノマドにまだ幼稚園のヒヨコをオマケに付けて「収穫祭」に参加することになった。
●催しの主体は「BOP」の先生たち。「BOP」とは以前にも記事で書いたが(その記事へリンク「ベース・オブ・プレイング」の略で、放課後の校舎設備をコドモの遊び場として開放する制度。レギュラーの学校の先生/職員とは別立てで、「BOP」専属のスタッフさん達がいる。こういうのにガンバッテルのは我が世田谷区の特徴でもあるらしい。
●しかしある意味、この行事は学校カリキュラムとは関係ないアンオフィシャルなモノ。で、参加者はたった20人ほどしかいなかった。しかも「保護者同伴」のはずが、ボク以外はみんなボランティアスタッフのお母さんお父さんだけ。なんだ、やる気マンマンなのはボクだけかよ。
●ぱっと見渡すと、見覚えのある子供たちもいる。ノマドと同じ幼稚園出身の、アスちゃん、ユリエちゃんだ。病人としてヒマを持て余すあまり、学校行事にことごとく参加してるボクは、彼女らから見てもお馴染のオジサンになってる。「ノマドクンのパパだ!」親御さんとはほとんどしゃべったことないのに、彼女らとはツーカーに話せる。「よう、アスちゃん、ユリエちゃん、コンニチハ!」

お米の「脱穀」なんてボクも初体験だよ。
●田んぼから刈り取られたイネは、数週間かけてよーく乾燥させた上で、次の作業に入れる。なるほど、確かに刈り取ったイネを束ねて干してる風景は見たことあるなあ、テレビかなんかで。100%都会育ちのボクにとっても新鮮な知識だ。
●で、稲穂からモミを取り外す作業「脱穀」からスタート。割り箸をゴムで束ねたモノで、稲穂をハサみ、モミをしごき落とす。子供たちみんな夢中。生真面目なユリエちゃん、運動センスが抜群なアスちゃんはどんどん器用に作業を進める。ヒヨコも思った以上にたくさん作業を進めるので感心してたら、本来器に受けるべきモミを、床にぶちまけていた。ヒヨコ!勘弁!それじゃ意味ねえだろ!

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続いてモミをスリ鉢でする。「もみ摺り」だ。
●モミガラを砕き、中の玄米を取り出す作業だ。普通のすりこぎ棒を使うのではなく、軟式野球のボールを使うのがユニーク。スポーツ少女のアスちゃんは、誰よりも大きな音を立ててバリバリモミガラを砕く。見事。握力に乏しいノマドヒヨコに比べて100倍頼もしい。ユリエちゃんもしっかりやってる。
●ヒヨコは、モミガラの中から出てきた白い米粒を見て、「わあ~!ちっちゃいオコメ、カワイイ!」と声を上げる。ボランティアのお母さんスタッフが、「まあ、そんなコトを言うアナタがカワイイわ」。ヒヨコ、うれしくてしょうがない。さっきの失敗も既に忘れている。三歩歩くとモノを忘れる体質はニワトリのようだが、これがぼくのつけた珍名に由来しているのだったら、ゴメンナサイというしかない。

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米とモミガラを分離するには、米を残してモミガラだけを息で吹き飛ばす。庭に立ち、米の入った皿にフーッと息を吹きかけると、細かいモミガラがぱあっと舞い散る。子供たちもボクも、アタマ中カラダ中モミガラだらけになって夢中で作業。ふと気づくとノマドの姿がない。利発なアスちゃんが報告。「ノマドくんパパ、ノマドくん、ソトでボーッとしてるよ」…さぼってんのかよアイツは…と思ったら、きれいな玄米の粒をサラサラいじくり、砂に字を書くように、人差し指で字を書いていた。「のまど…ひよこ…あすみ…ゆりえ…」息子ノマドの悪癖は、時と場所をわきまえずに突然マイワールドに没入することだ……残念ながらぼくの子供時代と同じ性質なのだが。
アスちゃんは活発少女だが、とっても飽きっぽいのも事実だ。ノマドはマイワールドに没入し、ヒヨコは作業の邪魔しかできない。ふと気づくとしっかりモノのユリエちゃんとボクしか作業してない。つーか、ボクが気張らないと、全部作業が終わらないよ!一番汗かいたのは結局ボクだったと思う。スタッフのお母さんも「ノマド君のパパさんが一番の活躍ですね!」…活躍するつもりはなかったんですが…。

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最終過程は、取り出した玄米を白米へと「精米」する。
ガラスの小瓶に米を入れ、割り箸で上から突く。突く、突く、突く。本来病気であるボクは、この行程でギブアップ。ヘトヘトで途中で撤退。カフェで休憩しないと、カラダがおかしくなる。その後、白米にしたものを、炊飯器で炊いてオニギリにし、みんなで食べてこのイベントはおしまい。
●学校から家に帰ってきたコドモたちは、アルミホイルに包まれた小さいオニギリをボクに持ってきてくれた。ピンポン玉程度なのだが、全収穫を参加者で配分したら、一人分はこの程度にしかならなかったという。それでもこのお米はおいしかったし、コドモたちも「すっげーたのしかった!」と喜んでくれた。

校長先生も途中参加でやってきた。ぼくはこの人が好きだ。
●さっきも触れたように、「BOP」のスタッフと通常の学校職員は重複していない。なのに現れた校長先生は、自発的に休日出勤してきたわけだ。この先生、夏休みのプール教室でも、いつの間にか子供たちの脇で一人スイスイ泳いでいるという人。なんかその飄々とした佇まいにボクは好感を持っている。
●ノマドの入学式に際し、校長あいさつでいきなり「イケコさん」という指人形を登場させ、ドン引きする周囲を意に介さず、ウソンコ腹話術を披露しきった瞬間から、こういう脱臼感覚はボクの好みだと感じた。ノマドの最新情報によると、校長室には「イケコさん」だけじゃなく「イケコくん」もいるという。イカスぜ。「ノマドの父です。来年は妹もココにお世話になります」思わずちゃんとご挨拶しちゃった。




●最近は、音楽ブログのはずなのに、音楽のコトなんてちょっぴりしか書いてねーじゃないか?という後ろめたさを常に感じている。イヤイヤ、音楽自体はクソみたいにたくさん聴いているのよ。しかし、むしろ量が多過ぎてアタマの中で整理消化できないみたいな…。

●で、いいわけのように、一枚、最近(でもないのが事実)発見した物件を。


CAMILLE「MUSIC HOLE」

CAMILLE「MUSIC HOLE」2008年
「機動戦士Zガンダム」の主人公、カミーユ・ビタンは、自分の名前がオンナノコのようで、それをコンプレックスのように感じていた。このCDの主役は、ズバリ「カミーユ」という名を持つフランスの女性シンガー。
●バレエとボサノヴァにハマって過ごした青春時代を経て、ジャズクラブで歌い、ニューウェーヴ系バンドなどでも活動していた彼女が、その才能を認められてデビューしたのが2004年。女優さんとしても活動してるみたい。イギリス人プロデューサー MAJIKER とコラボするようになったセカンド以降はアヴァンギャルドさが増して、そんでこの3枚目。初めての英語楽曲アルバム。
●ここでは、最小限のピアノと打ち込みを除いて、ほぼ全てをボーカリゼーションだけで楽曲を構成するというコンセプトを貫いている。BJORK「MEDULLA」が同じコンセプトで作られてるが、アソコまで頑なじゃなくて、もっとポップでチャーミング。ヒューマンビートボクシングと多重コーラスに乗っかって、CAMILLE のボーカルが躍動する。ちょっとだけ前衛なジャズボーカルって感じ?ゴスペルのような高揚感もアリ。パーカッションに、水面を叩く音を採用したり、ユーモアあふれる仕掛けにニンマリ。過去に遡ってフランス語の作品も聴きたいな。

日本語ヒップホップで気になる音源に出会った。

Shing02「歪曲」

Shing02「歪曲」2008年
●ファーストアルバム「緑黄色人種」1999年での登場は衝撃的だった。「オレはブラックでもホワイトでもないが、ただのイエローでもない」そんな独特のポジションから繰り出されるライムの内容があまりに特殊。まるで文学青年がラップするかのような不思議な詩世界。この作品では、まるで時代の流れに逆行するかのような頑なさで、あの最初の衝撃をより増幅させている。何かが「歪曲」している状況を批判しているのか?何かを「歪曲」させようと企んでいるのか?ジェイポップ市場の中で大きな商品となった日本語ヒップホップの中で、彼のアンチ・ポピュラリティな態度は、異端中の異端に見えた。
●メロディックなフックと、わかりやすい流行の言葉、若者の共感を呼ぶメッセージ。チョッピリの不良っぽさ。コレが今の日本語ヒップホップの位置だと思う。でも Shing02 の音楽には、今挙げた4つの要素が全部ない。トラックは純邦楽の要素を織り交ぜた人力グルーヴが主体。そこに乗っかるのは、作家志望文系青年が丹念に織り上げた固い日本語の羅列。ココで言うBボーイのBは「ブンガク」のBだわ。上・下と二曲に分割された大曲「美獣」は、総尺20分超えで、ラップどころか、ポエトリーリーディングすら飛び越えて、完全な朗読劇になってる。

緑黄色人種 SHING02



コレと、息子ノマドの宿題が、ボクの頭の中で結びついた。

ひばり

小学一年生のノマドの宿題に「音読」というものがある。
●我々が暮らす世田谷区は、国語教育に思い切りチカラを入れていて、「国語」という教科とは別に「日本語」という教科がある。その「日本語」や「国語」の教科書を眺めると、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」にはじまって、現代詩までが収録されており、生徒は意味もわからずソレを繰り返し「音読」するのである。とくに日本語のリズミカルな気分を大切にしているようで、谷川俊太郎の楽しいリズムを持つ現代詩などは、それを聞くボクらも気分がよくなる。
●ノマドたちは、親に自分の選んだ文章を読み聞かせ、その回数に応じてセンセイからかわいいシールをもらう。シールがたくさん集まると、小さな賞状をもらう。コレがうれしくて皆が一日に何回も同じ文章を読み繰り返す。最終的には完全に暗誦してしまうほどだ。

「音読」宿題に、悪文が登場。
●ワイフにノマドが文章を読み聞かせるのは、我が家では夕方の普通の風景であり、来年小学校に上がるヒヨコですら「はやくオンドクしたいなあ」とよく言っている。しかし、最近はどうも調子がおかしい。ノマドが読み間違えたり、つっかえたりする。そこをワイフが指摘する。中途半端にプライドの高いノマドは「ママ、じゃましないで!ちゃんとよんでる!」とわめく。ワイフも「よめてないわよ、もう一回ソコ読んで!」モチベーションを失ったノマドはすぐふてくされて半ベソをかく。これが3日連続でつづいた段階で、ボクもさすがにイラッと来た。「うるさい!二人とも一度黙りなさい!」
●ワイフには、「あんた、まず一回黙って、ノマドの好きなように最後まで読ませなさい。一行一行ストップされたらノマドだって荒れるに決まってるだろ!」そしてノマドへ。「ノマド、落ち着いて、最後までパパに聞かせなさい。まとめて気づいたことを後でいうから」
●うまくいかない原因は一読させて判明した。今までは比較的短い韻文詩で、日本語のリズムを重視した素材が選ばれていた。だいたいは話し言葉で書かれ、「ですます」調だった。しかし、今回の素材は、教科書10ページにおよぶ散文で、「だ、である」調の書き言葉。しかもワザと狙ったように、テンポを脱臼させるリズム感でつづられている。
●ノマド、これは今までの音読と違う。大人用の言葉使い「書き言葉」で書かれている。今までは「話し言葉」で書かれたものばかりだったし、それはノマドが普段からしゃべってる言葉と変わらないけど、この「書き言葉」はノマドがいつもしゃべってる言葉とは違うんだ。だから難しい。「しろくまはそのばにひざまつき、ゆきをながめていた」。ノマド、言葉の意味は判ると思うが、「ひざまつく」とか普段使ってる言葉か?「ながめていた」「ながめてた」じゃ雰囲気や意味が変わっちゃうんだぞ?コレは、ノマドがお兄さんになるためにワザと用意された難しい音読だ。だからママは細かく注意もするが、それはしょうがない。いつもの音読と違うんだから。わかったか!
●それと、カッコでくくられた部分は、登場してくるシロクマの言葉だ。だからココだけ「話し言葉」になってる。でもオマエ、このカッコの言葉が誰の声かわかってないだろ。例えばコレは誰がしゃべってる?「このくまさん」オマエ、教科書のイラストのくまさん指差しても意味ねえよ。くまの赤ちゃんか、お母さんくまか、突然現れたオスのくまか?「…わかんない」 だろー。そこまでわかって読まないと、読んだウチには入んないよ。だから、ママのいうことをちゃんと聞いて正確に読みなさい。そんでワイフ、枝葉末節の部分で注意してるだけじゃ、揚げ足取ってるだけにしかなんないの!全体の質の違いを把握して、アンタ自身が問題意識を持ちなさい。以上!


ここで Shing02 の話に戻る。
黒人の言葉遊び的な習慣が音楽的な価値にまで昇華されたのがヒップホップという表現手法だ。ヒップホップはアメリカ黒人のライフスタイルやファッションまでひっくるめた総合芸術となり、90年代以降、世界中のポップミュージックに影響をもたらした。日本語でラップがされようと、ヒップホップのスタンスは、若者の気分を代弁するポップカルチャーで、そんな観点から作られた楽曲が日本でたくさん売れている。
●でも、Shing02 はヒップホップのフォーマットは借りつつも、目指す場所は、日本語の持つ文学的表現とリズム的表現の最先端が結合する臨界点。かつて LOU REED は言った。「オレはロックンロールでドフトエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』をしのぐようなモノを作り上げたい」Shing02 の狙うところもそういうコトなのかもしれない。

●で、ノマドの「書き言葉」音読。つまり、何が言いたいかというと、堅苦しい言葉を選んでライムとフロウを構成する Shing02 と、書き言葉をうまく声に出してリズムをつかもうとするノマドの宿題は、実は同じ方向をむいているのではないか?ということ。
●ノマド、音読の宿題終わったら、パパの部屋に来てくれ。「なーにー、パパ?」 ノマド、今からかける音楽を聴いてみてくれ。ノマドの音読練習の先の先には、こんなことをしている人がいるんだよ。そんでアルバム「歪曲」を大音量でプレイ。機関銃のようなラップと床を振るわせるビートに直撃されたノマド、宿題に疲れた様子が、たちまち笑顔に変わって、小刻みに足でステップを踏み出した。どうだ、日本語をこんなふうにして読み聞かせる人がいるんだ。難しい言葉をスゴイスピードでしゃべってるから、ナニ言ってるかわかんないだろうけど。でもカッコいいだろ!「うん!…でもホントはおもいついたことをメチャクチャにしゃべってるんじゃないの?」違うよ、一生懸命作文して、うまくリズムに乗るように工夫しているんだよ。コレを「ヒップホップ」というんだ。
●ヒヨコも部屋に駆け込んできて、踊りだした。「ヒヨコ、なんだかおどりたくなっちゃった!」そうか、ノマドヒヨコがお兄さんお姉さんになって、もしこんな音楽をやりたいと思ったら、もっとたくさん聞かせてやるよ。

ヒヨコネタ、その1。お肉で泣きべそをかく娘ヒヨコ5歳。
●先日、カレー鍋の残り物でカレーうどんを作り、ワイフとヒヨコがランチとして食べた。すると、ヒヨコ、悲痛な声で「…おニクがない…」ワイフは、お肉入ってるわよ、溶けちゃっただけで、栄養はしっかり入ってるんだから、とフォローするも、ヒヨコ5歳は声も立てずに大粒の涙をポロポロこぼす。そんなに肉が大事なのか!

ヒヨコネタ、その2。ワイフが困り顔で「ヒヨコにビニールハウスを説明して」という。
●娘ヒヨコ5歳が言うには、大好きなイチゴを毎日食べたいから、イチゴの木を買ってきて欲しいとのこと。……あー、ヒヨコ、イチゴは基本的に春にだけ出来るもので、一年中あるわけじゃないんだよ。ビニールハウスという透き通ったおウチの中を、ストーブで暖めて春みたいにしてこそ、やっと出来るわけよ。「ストーブ?ヒヨコ、やけてるイチゴはいらないよ」…イチゴの実を焼くんじゃなくて、お部屋の中を暖めるの。「あ、わかった、あのビニールでトンネルみたいな形してるおウチのことね」そうです。
●そしてもう一点、イチゴは木になる果実じゃなくて、どっちかってと、草だわ。草っぽいモノの中に実ができる。「…クサ?ジメンのうえにイチゴはできるの?そしたらスイカといっしょで、スイカにつぶされちゃうじゃん!」スイカの隣にイチゴを植えたらそうなるかも知れないなあ…普通はありえないけど。

ヒヨコのアタマの中は、「知恵の実」を食べ追放されてしまう前のアダムとイブが住んでいた楽園が広がっているのかもしれない。
●そこらじゅうに美味しい果物がなってて、お菓子で出来た家に住み、スポンジケーキのベットで眠る。実際そういう夢を毎日のように見てるらしい。ヒヨコは今んトコロ、超大天然でアタマも悪い。それは「知恵の実」を食べてないからなのだろう。「知恵の実」を食べるコトがイイコトか、このまま大天然として生きるのがイイのか、どっちがイイのか少々微妙なキモチになる。



先日テレビで、ピクサーのアニメが放送されてたので、家族みんなで見た。

Mr.インクレディブル [DVD]Mr.インクレディブル [DVD]
(2006/06/16)
クレイグ・T・ネルソンホリー・ハンター

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「MR. インクレディブル」
●アメコミで大活躍するようなスーパーヒーローたちが、その活躍のやりすぎで訴訟まみれになり、そのスーパーパワーを隠して暮らす羽目になったご時世。奥さんのエラスティガールは、過去のキャリアをさっぱり捨て、専業主婦として3人の子育てに満足してる。が、主人公 MR. インクレディブルは、今の身分に納得がいかない。いつかまた華々しく活躍したいと夢見てる…。そんな彼のココロの隙に、悪の陰謀が付け入り、彼を罠に陥れる。しかし最終的には、家族が一丸になって悪玉をやっつける。ノマドヒヨコには最高のエンターテインメントだったらしく、ハラ抱えて爆笑してた。
インクレディブル夫婦は、アメリカの典型的な夫婦なので、「行って来ますのチュー」を自然にこなす。我が夫婦も結婚してそろそろ10年たつところだが、この長きにわたって「行って来ますのチュー」を毎朝の習慣にしている。会社のトモダチには「キモイからヤメろ」と笑われてる習慣だが、ヒヨコはテレビを見て「パパとママみたい!」とはしゃいでた。

今回のぼくの注目ポイントは、スーパーヒーローを廃業した MR. インクレディブル の職業だ。彼は、医療保険会社に勤めている。
●筋骨隆々の巨体を狭いブースに押し込んで、彼は保険金申請に来た顧客と面談する。相手は年金暮らしのおばあちゃん。「この保険が下りないとワタシこまっちゃうのよ~」インクレディブル「しかし、この契約内容ではお金はお支払いできないんです」……かわいそうなおばあちゃん。そこでインクレディブルはコッソリ保険申請の抜け穴を耳打ちする。
●そんな彼のところに、イッセー尾形のような小男が現れる。彼の上司だ。上司はインクレディブルが顧客に保険金を支払いすぎると非難する。おばあちゃんが異常に申請の抜け穴に精通してることにも不満と疑惑を感じている。「我々会社が向き合うのは顧客じゃなく、株主だ!」そんな口論のあげく、このイッセー尾形インクレティブルはぶん殴り、見事失業する。
●…ボクが初めてこの映画を見たのは、どっかの海外出張での機内ビデオだったが、その時は、このシーンが示している意味を半分も理解してなかった。


アメリカの医療保険システム「HMO」のスゴい実態。

シッコ [DVD]シッコ [DVD]
(2008/04/04)
マイケル・ムーア

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「シッコ」
「ボウリング・フォー・コロンバイン」で名を挙げた、あのお騒がせジャーナリスト、マイケル・ムーア監督が、アメリカの医療保険制度の歪みにメスを入れるドキュメンタリー。コレを見て、アメリカの保険業界の体質を知り、衝撃を受けた。アメリカ、マジでスゴイ国だ。狂ってる。
●医療保険には「国民皆保険」という発想がある。国民全員が健康保険に加入し、その医療費を税金でまかなうという制度。主だった先進国がコレを採用しているのに対して、アメリカにはコレがない。代わりにあるのが「HMO(健康保険機構)」という仕組み。国民は自らの裁量で、自由意志の元、保険会社と契約し、その契約に応じて病院での負担額を自費と保険料で折半する。

●まあ、この説明だと、「ふーん」程度の話じゃないですか。でも…。
●さっきのインクレディブルのケースを思い出してください。保険会社は顧客ではなく株主の方をむいている。本来の保険サービスで出て行くお金は、保険会社にとって「損失」であり、顧客への保険金支払いを絞れば絞るほど「利益」が上がる。保険業界では、病人の保険申請をハジけばハジくほど、優秀なスタッフとして出世する。申請否認件数が多いスタッフには特別ボーナスが支払われる。否認率10%キープは従業員のマストのノルマ。
●つまり、アメリカでは、病気にかかったら最後、保険会社に裏切られて、破産するほどの医療費を自己負担する。当然保険に入れない人もいるわけで(3億人の人口のうち、5000万人が無保険)、そんな貧乏人から順番に死んでいくというシステムが出来上がっている。無保険者の年間死者数は18000人。スゴイでしょ、ムゴイでしょ。

映画には、このシステムの被害者がぞろぞろ登場してくる。
電気ノコギリで、中指と薬指を切り落としちゃったオジサン。医者が言うには「中指接続は600万円、薬指は120万円です。どうします?」オジサン、中指とはサヨウナラしたそうだ。自損事故を起こした女の子、意識不明のまま救急車で病院に担ぎ込まれた。で後日、保険会社からの連絡。「事前申請なしでの救急車の使用は契約違反」。血まみれの中、救急車呼ぶ前に、携帯で保険会社に電話しろと? 体重90キロの女性「太りすぎのため、保険は適応できません」身長190センチの男性「やせすぎのため、保険は適応できません」。あげくの果てには支払能力のなくなった入院患者を、大病院がホームレス保護施設までタクシーで運んで捨てて行くという。本人には何にも説明なしで、最後の言葉は「お大事に」だって。点滴ブラ下げたまま途方にくれてるおばあちゃんとかが、路上で保護される。
●保険会社は、とにかく契約書の重箱の隅をつついて保険金支払いを否認する。たとえ正しい申請であっても、特別に「アラ探し」専門チームを組織して絶対に認めないよう努力する。以前そんな仕事に関わってた男性が告白する。「州によっちゃ、既往症がないとしても、既往症を隠すために過去通院をしなかった可能性がある、として支払いを突っぱねるコトが出来る法律もあるんだ。あんな仕事から抜けられてよかったよ」

マイケル・ムーアは、様々な国とアメリカを比較する。
●デトロイト在住のある女性は、病院に用がある時は、橋を一つ渡ってカナダに行く。カナダに内縁のパートナーがいると偽って、カナダの医療サービスを受ける。カナダ「国民皆保険」を採用してて、基本的に医療費の自己負担はゼロだからだ。
●一方カナダ人は、橋一本隔てた隣国アメリカに一日行くにしても、旅行者保険に加入する。アメリカで医者に厄介になると大変なことになると知ってるからだ。ハワイでゴルフをしてたカナダ人のオジサン、プレーの途中で筋を切った。アメリカの病院に行ったら240万円かかるという。急いで母国に帰って無料の手術を受けた。ぼくも以前ハワイで高熱を出し3日寝込んだ。陽気な日系アメリカ人医師がホテルまでやってきてタンマリ薬を置いてった。そんでお会計5万円。旅行保険に入ってたから、保険料のみの出費で助かった。
イギリス「国民皆保険」。制度発足は1948年。終戦直後、ナチスの爆撃でロンドンが焼け野原になってた時代だ。それから一貫して医療費はタダ。保守党の女帝サッチャーですら、この制度をいじろうとはしなかった。フランス「国民皆保険」。出産した女性には、週2回のヘルパーが家を訪れ、ベビーシッティングどころか、頼めば料理・洗濯までしてくれる。この国は少子化対策にもチカラを入れている。

ムーアご一行は、マイアミからボートでキューバに向かう。
●目的地は、アルカイダのテロ容疑者が収監されている「グアンダナモ米軍基地」。911テロの核心を握る容疑者の健康管理は重要案件で、ここの収監所は最先端の医療施設を整えている。テロの容疑者が厚遇されてるのに、一般国民が医療サービスを受けられないってどういうこと?
●一歩はなれてキューバ国内を歩くと、こちらも「国民皆保険」ムーアに同行した呼吸器を病む女性は思わず涙を流す。「アメリカじゃ120ドルの薬が、ココじゃ5セントよ。カバン一杯に詰めてもって帰りたいくらいよ!」仮想敵国と信じ込まされてきた国の方が優れた医療制度を持ってたコトの衝撃。日本に当てはめたら「北朝鮮に行ったらニートが生活保護で大金持ちになった」ってくらいのインパクトか?


じゃあ、なんで、アメリカは「国民皆保険」を導入しないのか?
「国民皆保険」という制度は、アメリカ人が大アレルギーを起こす「社会主義」政策を連想させるらしい。コレをキッカケに、国民の自由を奪う社会主義政策が次々と実施されたら大変だ。今はどうか知らないけど、少なくとも50~60年代のアメリカ人にコレは有効なプロパガンダになったようだ。税金をたっぷり搾り取り、劣悪な医療を国民に押し付ける、そういうイメージが喧伝された。確かに「国民皆保険」を採用している国は、基本的に所得税も消費税も高税率というイメージはある。
「健康保険機構」という歪んだビジネスに先鞭をつけたのは、歴代大統領の中で一番ダークなイメージの強いニクソンさんだ。「オレは医療問題に興味はねえ」「いや、コレは新しい事業モデルです」「ふん、そりゃ悪くないな」そんな会話の記録テープも残ってる。
「国民皆保険」導入に着手しようとしたのは、クリントン政権下のファーストレディ、ヒラリー夫人だ。しかしこの時も様々な圧力でつぶされた。今でこそ、女性初の米国大統領一歩手前まで行った立派な政治家だが、あの当時はタダのファーストレディで、そんな彼女が政治にでしゃばる事に反感を感じる人も多かった。保険業界はロビイストを使って金をバラマキ、当のヒラリーさんも莫大な政治献金を受け取っちゃって、尻すぼみに収束した。
●次期大統領バラク・オバマさんは、「国民皆保険」政策を公約の一つに掲げている。「イエス、ウィ・キャン!チェンジ!」どこまでオバマさんがあの大国を変えられるのか。



それはそれで、さて、マイケル・ムーアは信用に足るオトコなのか?
●お騒がせのセンセーショナリズムで名を挙げた彼の表現は、強烈な皮肉とユーモアで彩られたエンターテインメントで、冷静なジャーナリズムとは質が違う。ある意味での誇張もあるだろうし、大げさな演出もあるだろう。優秀なテレビ屋は、退屈な素材を面白おかしく飾り立てるヤツだ。ムーアのおっさんも所詮同じ人種でその腕前は超一流。
●例えば、この作品でムーアは無視するのだが、ホントのトコロ「国民皆保険」が100%ハッピーな制度でもないわけで、それなりの問題点を抱えてるのが事実。イギリスの「国民健康サービス」は財政破綻寸前らしく、イギリスに住むワイフの友達は、妊娠・出産に臨んで周囲から同じアドバイスを何回も受けたと言う。「イギリスで赤ちゃんを産むのは勧めない。日本に帰った方がイイ。そっちの方がマシなサービスを受けられる」

ただし、彼が全作品を通じて一貫してやっていることは、アメリカ人に外の世界のことを知らしめるというコトだ。彼の主張の裏テーマは「アメリカ人は、自分の国が世界最高だと思っているが、実はヨソの国のことなんて何も知らないバカばっかだ」というモノだと思う。アメリカ人の多くは、自分が戦争を仕掛けたイラクがどこにあるのか知らないし、イギリスや日本の場所も知らない。最近本屋でよく見る本に「アメリカ人の半分はニューヨークの場所も知らない」ってのもあるじゃん。

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
(2008/10/09)
町山 智浩

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●そんな状況を前提に、「ボウリング・フォー・コロンバイン」では、銃規制問題で銃を持たないカナダの事情を詳しく紹介する。今回の「国民皆保険」というテーマでも、諸外国の制度とアメリカの制度を比較した。アメリカ人よ、世界をキチンと見ろ、自分たちの常識がおかしいと疑う感性を持て。世界の多様性に目を向けろ。ムーア監督の主張は、ショッキングな手法にまぎれて見えづらいけど、この意味で一本の筋が通ってる。
●ぼくも彼のこの態度には同感だ。無自覚にグローバリズムを推進し、世界同時金融危機を引き起こしたアメリカ市場万能主義を、思い切り反省してもらわないと困る。テキサス育ちの金持ち坊ちゃん大統領は、典型的な世間知らずのアメリカ人だ。アテネオリンピックの話題で、ギリシャの首都アテネを、ジョージア州の学生街アセンズ(英語では両方とも「ATHENS」と同じつづりになる)と勘違いしやがった。
●マイノリティ出身のオバマさんは、現在シカゴを拠点にしているが、そもそもは特殊なロコカルチャーを持つハワイ生まれ。彼は白人と黒人の50:50のハーフなのだが、なんと彼の生まれた時代には人種をまたいだ通婚が法律で禁じられていたという。そんな事情から少年時代はインドネシアで暮らしたことも。そんな彼の育った環境から吸い上げた、アメリカの常識・非常識感覚に冷静になれるセンスに、ぼくは大きく期待する。



話を元に戻すようだけど、じゃあ、日本の医療保険制度ってどうなってるの?
●ネットでペロペロ見ても難しくてよくワカラン。そんな時に思い出した人物が。ボクの至近距離に医療のプロがいるじゃないか。そう、もうおなじみの看護婦「のび太くんのママ」さんだ。早速質問をしてみる。あのー、全然関係ない話なんですけど…ちょっと聞いていいですか?
「シッコ?うん、ワタシも見たわよ。日本の国民皆保険はよく出来た制度よ。でもどんどんほつれが大きくなってるけどね。色々ニュースでやってるじゃない?」あー、高齢化で膨れ上がる医療福祉費を年間一定の割合で削減するとかナントカ……あれもこのハナシとつながってたんですか。意味わかってなかった。なんかヨーロッパは窓口負担がゼロっぽかったけど、日本は3割患者がお金を払いますよね。それでも「国民皆保険」なんですね?ボクは、アメリカ型なのかヨーロッパ型なのかもピンと来なかった…。
「のび太くんのママ」さん曰く、日本は、税金というカタチではなく、健康保険料という名目で医療保険を成り立たせているのよね。お給料から天引きされるでしょ。それがウチの会社の健康保険組合にいって、病院からの請求に対して支払いをしてる。この、アナタみたいなサラリーマンとその家族が入るカタチを「社会保険」っていうの。自営業者の人たちが入るのは「国民健康保険」。この場合は窓口は市区町村。保険料を滞納してしまうと、保険証を取上げられてしまうとかってハナシもあるでしょ。そうすると、アメリカみたいに一旦は全部自費負担になって、すごくお金がかかることになる。
●あとね、保険組合は、各企業、各市区町村でバラバラに存在してるから、サービスもそれぞれ微妙にバラバラ。大きい企業や税収の多い地方自治体は、人間ドックがタダとか、小学生以下の子供は医療費タダとかになる。でも小さい企業や破綻しちゃった自治体じゃそうはいかないわよね。中小企業が自社の健保を解散させて「協会けんぽ」に移行させるってニュースもあったでしょ。…はーなるほどね、会社ごとに保険の内容が違うし、健保を維持する体力もマチマチってことか。それははじめて知った。
「国民皆保険」が日本で確立したのは1961年のコト。誰もが貧しく助け合いのココロを持ってた時代。現代においてこの制度を作るコトが出来るだろうか?自分が病気になれば、得した気持ちになれるが、自分の払った保険料が他人のためにダラダラ使われるのはいかがなものか?この「国民皆保険」の本質に納得ができてこそこの制度は成り立つのであって、「オレは病気になった事がない。だから保険料は払わない」なんていうモラルハザードが蔓延すれば即座に破綻する。アメリカのような極端な格差社会では、金持ちが貧乏人の肩代わりするなんてゴメンだという本音でコトが進まない訳で、もしオバマさんが「国民皆保険」を導入すれば、アメリカの大富豪は資産を海外に移して、支払い義務を回避するだろう。コレが「のび太くんのママ」の総括であった。


あとですね、病院の領収書。じっくり見ても、さっぱり意味がわかんなかったんですよ。
●ボクが病院に払う金額は書いてあるけど、他は「点数」になってるんですよね。コレ謎です。「これはね、1点を10円と考えればいいの。この点数に応じて、お医者さんから会社の健保に請求がくるわけよ」病院の領収書なんか持ってる?と聞かれて、横浜のデイケアの領収書を見せた。

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診察料で60点、精神科専門療法で708点、合計で768点(一番左側の列)。つまり、この日の医療費は7680円ってコトね。えー高い!デイケアでボケーっとして、給食食って、先生と2~3分話して、それで7680円!「でもあなたは、自立支援医療制度を利用してるから、自己負担額は10%になってて770円。端数は四捨五入。あとの70%は健保、20%は制度利用で公費=税金よ」…はー医療にゃ金がかかりますね!
「だから、「飲みスギってカラダに悪くない?」とか言って、クスリたくさんもらってるのに飲まない人っているでしょ。あれは大変な医療費の無駄使いなのよ」目の前のお財布にはそんなにヒビかないけど、そのクスリには高額な保険料が支払われている。それがチリツモで、財政難につながってくわけ。「最初からもらわなければいいのに」…ソレは素人には判断つかねえだろう…と思った。


●世の中の仕組みを一つ一つ知るボク。35歳にもなって、いかに世間知らずか思い知らされる。


自律神経失調症とのお付合い(その79)~「新ステップは最速で年内」編
●今日も「のび太くんのママ」さん。まー昨日のハナシの続報です。
●退社時間になったので、会社から上がろうと思って、診療所にあいさつだけしに来た所、「ちょっと待合室で待っててくれない?」と呼び止められた。んー?なんだろう?

●いつもパタパタしてる「のび太くんのママ」さんは、4~5人いるナースさんや産業医さんをテキパキ仕切ってて、次々来る患者さんにお節介なくらい声をかけてる。「00さん顔色よくなったわね」「部長、忘年会でもお酒はホドホドですよ」病気以前のボクは極端なワーカホリックだったと思うが、この人も、ヒトのコト言えないほどのハイテンションなワーカホリックだ。産業医の若い男性のセンセイも、診療所事務室のベテラン保健士さんも、もちろんナースの皆さんたちも、この人の言う事には逆らえない。昨日も書いたが「口答えすれば100倍返し」だと全員が知ってるからだ。
●そんで20分ほど待たされて、やっと「のび太くんのママ」さんの仕事に一区切りがついたらしく、いつものカウンセリングルームに通された。

「昨日のハナシなんだけど、すぐに次のステップに進むなんて思ってないよね?」ええ!ええ!昨日のハナシをこれから根回しするんだから、そんな簡単な事じゃないのは当然ですよね。もう1月でも2月でも、いつでもイイですよ。もう今さら焦るようなモンでもないし。
「でもね、まだ未確定だけど、早ければ再来週にはスタンバイできそうなの」はあ!年内ッスか?エラく早いじゃないですか!つーか早過ぎ!「ちょっと待ってね。根回しアレコレ調整中なのは確かなの。だから保証は出来ない。でも年末年始連休をハサんじゃって新しい所に行くより、年内に一日二日でもイイから新しい所に顔出す方がイイの」
●今の状況のママの認識で年末年始を過ごし、年明けに新環境に投入されるより、休み前のうちに少しでも新しい環境に触れて、連休中にじっくりココロの準備をした方が、スムーズに移行できる。ゴールデンウィークの過ごし方に失敗して一回目の通勤訓練に挫折した経験のあるボク。年末年始の過ごし方も、ノーマル時より一層注意深く行動しなくてはならない。そして新環境への適応という意味でも、ジブンの中でシミュレートする時間として連休を有効に使うべきだ、というコトらしい。

あららら。早過ぎて拍子抜けだわ…。
●半ば絶句気味だったボクに「のび太くんのママ」さんは「あくまで調整中。まだ未確定。どこの部署に預かってもらうかもコレからよ。でも局長、局次長にハナシを通せばワリとスグに決まっちゃったりするのよ。だから、すぐその時は来るかも知れない。それなりの覚悟はしておいてちょうだい」あ、そうか、覚悟だよな……全然知らない人たちの中に放り込まれるんだから。わかりました。動き出したら加速度は高いってコトですね。了解です。なんなりと如何様にも対応します。覚悟完了です。

●ちなみに、ルームメイトくんも、現場投下はほぼ内定。コレも時期未定だが最速では来週のどっかから出撃。お互いに「やったね!」と笑う。ワサワサする年末だぜ。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html




自律神経失調症とのお付合い(その78)~「オーダーメイド・リハビリ」編
●当事者のボク自身がなんだかよく理解できないので、説明しづらいんですけど…なんか、復職に一歩一歩近づいているらしい。先週から紆余曲折あって、周りの医者たちが、その気になってるっぽい…。

まず、池尻大橋の心療内科。このセンセイは常にボクの味方。
●前回のこのシリーズで、減薬したとお伝えしたばかりですが、続け様にもう一段階減薬することになった。えっセンセイ、イケちゃいますか?ちょっと早いような…。センセイ「イケるでしょ!調子良さそうだし」…異常に楽観的なんですけど。結果的に、現状:朝食時デパス1錠(0.5mg)+メイラックス1錠(1mg)&夕食時デパス2錠(1mg)+メイラックス1錠(1mg)が、今後:朝食時デパス1錠(0.5mg)+メイラックス1錠(1mg)&夕食時デパス1錠(0.5mg)+メイラックス1錠(1mg)になる。夕飯の時のデパスを半分にしたわけ。センセイの目標は、精神安定剤をメイラックス1種に一本化、デパス全廃である。デパスは即効性に長けるクスリだが、メイラックスは効果がロングにキく。センセイ曰く「薄皮を剥くように」ちょっとずつ、でも確実に減らす。


先週。看護婦「のび太くんのママ」さんとのすれ違いに納得がイカない。
●看護婦「のび太くんのママ」さんのススメで「出勤時に一駅分(浜松町~新橋)歩く」というのを自分に課している。確かに気持ちイイ。暖かい電車の中から地下街を抜けて生温い会社の暖房の中に入る、コレだとアタマがボケーッとしたまま。一度冷たい空気にカオをさらして、日光の中を15分も歩くとスカーンとアタマがクリアになる。もうヤメられないほどの快感。足腰も丈夫になって、長距離歩行にも自信が持てるようになった(いやそれでもフツウのヒトから見ると全然衰弱してるんですけど)。
●オマケに「のび太くんのママ」「帰りも歩いたってイイのよ」という。そうですねー!だから積極的に寄り道した。浜松町、新宿、中目黒など。カフェで休憩というのは欠かせないんだけど。結果的に、先週一週間は、「ボク上出来じゃん!健康的な生活が出来たぜ!」と達成感満点だったのだ。
●先週金曜。「のび太くんのママ」からメール。「一週間を振り返ってナニをしたか報告して下さい」おお、いきなりの急発注。ナニが狙いなのか? でも書きましたよ、特にセッセと体力作りのために色々な所を歩いた事を。でも会社の去り際はなんだかヤな感じ。「今週はテンション上がり過ぎてるから、気を付けるように」ピシャっと言われた。え~っ?「のび太くんのママ」さんの言う通りにヘルシーに過ごしたのに…納得いかない…。


横浜の精神病院のカウンセラー・チーさんにもグチった。
●月曜の午後半日だけ通っている横浜の精神病院デイケアで、カウンセラーのチーさんにもグチった。もう「のび太くんのママ」さんには納得いかないんですよ。あの人にボクは振り回されてます。口答えしようものなら100倍返しですし。電話で「のび太くんのママ」さんと連絡を取ってるチーさんも、あの人の脅威は認識しているのだが「あーわかりますーあの人キビシいですよね~。まーなんとかウマく流していきましょう~」と毒にもクスリにもならないアドバイスでお茶を濁すだけ。ああ、どうしたらイイんだよ。


そんで一昨日。一時間「のび太くんのママ」と対決&意外な展開。
●朝出勤したら、いきなりカウンセリングルームへ連行。「週末はゆっくり過ごせた?」……テンション上がり過ぎと言われましたから、おとなしくしてました。確かに疲労からか、週の後半に肩首背中の痛みを感じたので、鍼灸治療にも行きましたし…。「ふんふん…」
●なんかヤな感じ。よし!ちょっと対決モードで行くぞ!「あのー、ボク少々違和感感じてるんです。先週は健康作りで色々歩いたりと活発に動けて「イケテる!」って思ってたのに、「のび太くんのママ」さんはそう思ってないですよね?何でです?ボク、イケテません?」「あなた、一回遅刻したでしょ」は?「マンションの住民トラブルで理事として相談を朝受けたって言ってた日、15分遅刻したでしょ」……遅刻?あれ、ボク遅刻してました…?確かに出がけに管理人さんから相談事を受けて、その場でトラブル住民さんと話し合いをしました。アレも冷静にこなせてジブン的には満足だったんですけど……すいません、ボク、遅刻してたんですか。気付いてませんでした…。「マンションのトラブルをキチンと解決できたのは結構な事。けどアナタの今イチバン大事な事は、決まった時間に会社に出勤する事でしょ!」あ…マジで気付いてなかったです…(だってたった15分でしょ!とは死んでも言えない「時計が見えてないほどにテンションが上がっちゃってるのよ。トラブルがあるならあるで、辻褄を合わせるように行動できなきゃダメでしょ!いくら健康作りだからって、遅刻してまで歩く必要ないでしょ。ね、アナタ、まだ周りが見えてないの」……確かに一駅徒歩なんてやらなきゃ余裕で定刻に出社してた。ぐう。やられた。

「それと、金曜日に書いてもらった一週間の報告書、アレもたくさん書き過ぎ」書き過ぎってそんな…わざわざ細かく書いたのに…。「アレはアナタがテンション上がり過ぎてる証拠。前はもっと冷静に書いてたはず」…言いがかりとしか思えない……。「それに、会社滞在時間外の事ばっかり書いてて、会社の中でナニをやってるか全然書いてナイじゃない!」えっ!それは「のび太くんのママ」さんがイロイロカラダを動かしていけって言ってたから、ソコを中心に書いたまでで…。「大事な事はね、会社の中で今後仕事できるようになるためのチカラを養う事なの!ただ、会社でボケーッとされてるんなら、横浜のデイケアでもドコでもイイでしょ!」
●ボク「いや、ただボケーッとしてると言われちゃうのはちょっと……今回の通勤訓練始める時に言ったように、時間をもてあそぶ事なく自分なりにテーマを決めて、本やマンガや雑誌を読んでます。この前だって、「読売ウィークリー」が廃刊になっちゃったということで、今の出版業界についてイロイロ調べたりしたし、「めざましテレビ」のフリーペーパーを見つけた時「のび太くんのママ」さんにも見せましたよね)も、このテのフリーペーパーの仕組みってどうなってるんだろうと考えたり。そんで全部ブログへ思った事をアップしてるんです」「じゃあ、ちょっとその文章を見せてくれない?」イイですよ、メールで抜粋してお送りします。
●で、いくつかの記事をコピペして送った。あんまりマニアックな内容だとキツいだろうから、時事性の強いヤツで最近の記事を5件ほど…。そしたら即座に返信が。「件名:うわっ」「本文:unimogrooveさん こんなに長い文章をいつも書いているの?読むのに時間ちょうだいね」まーそうだわな、自分でも思うし、コレを今呼んでるアナタもそう思ってるでしょうけど、ボクのブログの文章はムダにクソ長い。ただ書き散らしてるだけだからなあ。


なんと、このブログが「吉」と出た。
●翌日。「あなた、スゴいわね、あんなに大量の文章が来るとは思ってなかったわ。ブログって普通長くて十数行でしょ。アレにどんだけ時間かけてるの?」一日2~3時間くらいです。記事の内容次第で何日か時間をかける場合もありますし、一気に一日で書く事も。「最近できるようになったの?」いや、ブログの真似事は2003年から初めてますから、もう6年近くの習慣ですかね。「休職してからは?」ヒマなんで、ソレばっかやってる時期もありました。「はあああ」ん……なんか問題でも?「アナタは、病気であろうとなかろうと、このくらいの文章を書く集中力は常に備わってたというコトね」……集中力…っていうのかな…ボクにとってこの程度の作業はナンの苦でもないので…。……つーか「のび太くんのママ」さん、驚き過ぎじゃない?

「フツウのメンタルの患者さんにとって、仕事に戻るにあたって大事なのは、通勤できる体力と、仕事を遂行する集中力なのよ。それが回復したら復職できるってわけ。アナタは、カラダが衰弱してて体力が損なわれている。それは毎朝歩くとかして補おうとしている。そして集中力。コレをどう回復させるかってコトが難しくて私達は悩むんだけど、アナタに関しては、集中力はもう見事に機能してるコトがこの文章の量と質でわかったわ」はああー!そう解釈しますか!?すいません、ボクにとってはこのテの作業は完全に個人的な趣味の延長で、取るに足りないモノと思ってたので、ことさら報告するまでもないと思ってました…(ブログをそのまま見せたら、悪口書いてるのバレちゃうし!)。「ちょっとこの件は、カウンセリングに来る横浜の院長先生と相談するわ」あらら、なんかイイ方向にハナシが転がり出したぞ。


そんで、今日。院長先生のカウンセリング。
●院長先生「婦長「のび太くんのママ」のこと)から、キミのブログのことについてイロイロ聞いたよ。たくさん書いてるみたいだから、まだ全部読んでないけどね」はあ。「ただ、ここまでの作業ができるということは、元の職場に比較的近い仕事を何らか始めた方がいいんじゃないかと思うんだ」はああ…?「コレはね、ちょっと異例なケースなんだよ。言わば、キミ専用のオーダーメイド・リハビリだ」はああ。微妙に言ってる事がよくわからない。だって標準的なリハビリもよく知らないんだから。
●でもそこを、ムリヤリ噛み砕いてボクなりに解釈してみます。一般的にメンタルの患者さんは、ココロが痛んでてもカラダはさほどに痛んでないから、通勤訓練は雑作もなくクリアできる。会社に8時間滞在する事なんて基本的には問題ない。だから時間をかけてココロを治し、仕事に耐えうる集中力も備わったら、後は数週間の通勤訓練でならし運転をしただけで、職場復帰が出来るようになる。しかしボクはナゼか逆だ。ある程度の業務に耐えうる集中力、事務処理能力、想像力といったココロの機能は、ブログを検証した結果、かなり回復している(というかほとんど壊れてない)コトがわかった。しかし体力が著しく衰弱したまま。簡単に体調を崩すし、カラダの不自由も今だ引きずっている。だから順序が逆になる。ココロはある程度治っているのに、カラダが治らないからいつまでも通勤訓練が終らない。で、消耗してしまう。「本来仕事に振り向けるべきエネルギーを、ブログに注ぎ過ぎてしまっている」とまで言われたし「コレだけのエネルギーを持ちながらムダに休職させるのは、会社にとってももったいないコトとも言える」とも言われた。へえ。

「だからだね…、トライ&エラーというか、いやエラーはないな。トライ&トライというか…」先生ジブンの口の中で呟いた後、こうボクに告げた。「今後各所と調整して、キミの元々の職務に近い仕事をあてがおうと思う」おー!なんか急展開!あのー具体的には何の仕事ですかね?「キミの元々の仕事がなんなのか、ボクは正確には把握してないから、それは婦長とこれから相談するよ」時期は…?「うん、受け入れ先の部署の都合もあるからそれもこれからだね。早めがイイかい?」そりゃもちろんです!正式な勤務ではない?「あくまでリハビリの一貫、正式な復職はさらに先の経過を見てから」8時間働くんですか?それとも今みたいに3時終わり?「いやソレはない。最初はもっと短い時間から始める」ふーん。なんか新しい展開が見えてきたぞ~。


カウンセリング後、「のび太くんのママ」と話す。
「どうだった?」いやー、新しい展開過ぎてよくわかんないですけど、先週から昨日までブログとかのお話を色々した結果が、いい向きの風になってくれたようですね。「ホント、色々ハナシ出来てよかったわ」珍しいほどの満面の笑顔。
●でも、どうやら「オーダーメイド・リハビリ」とか言って異例の措置みたいですから、人事だ労務だ受け入れ部署だ、各所の調整が大変ですよね。もうボクの意向とか希望とかなんてグダグダ言う余地はないと思います。だから、つまり、ボクの身を全部「のび太くんのママ」さんに完全にお預けします。「のび太くんのママ」さんが描く筋書き通りになんなりと動きます。全部お任せして何でも言う事を聞きます。「うん、もう根回しはちょっとづつ始めてるから、しばらく待っててね」年明けでもなんでもイイです!今はいつでもどこでも行ける体力&健康作りに専念します。よろしくお願いします!


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html

もうクリスマスです。

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我が家には、ハロウィンが終ったそのすぐ後からクリスマスツリーが登場してます。
●ワイフはこのような季節のイベントを異常に大切にしますし、クリスマスたるやその頂点とも言える大イベントなので、大変です。写真は我が家のツリー。超巨大で高さは2メートルほど、ボクの身長を軽く超えて天井につっかえる物件です。ワイフがボクに黙ってアメリカから取り寄せたものです。ウチの狭いリビングには甚だ邪魔なのですが、文句は言えません。夫婦の力学です。しかし、こんなデカイものをこの狭いマンションのドコに普段格納しているんだと不思議になるほどです。そんで、ひな人形もどっかに格納されてるんだよな…フシギだ。

そんなクリスマスにちなんだアニメをコドモと共に見ました。

ポーラー・エクスプレス [DVD]ポーラー・エクスプレス [DVD]
(2005/11/25)
トム・ハンクスノーナ・ゲイ

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「ポーラー・エキスプレス」
ロバート・ゼメキス監督のフルCGアニメ。「サンタさんってホントにいるのかな?」と不信を感じるようになった主人公の少年。浮かない気分で迎えたクリスマスイブの夜、彼の家の前に巨大な蒸気機関車が現れた!「THE POLAR EXPRESS」。北極点へ向かう超特急。車掌が大声を上げる。「ポーラーエキスプレス、間もなく発車します!……乗るか乗らないか?ソレはキミ次第……」ナゾカケのような車掌の言葉に、不安を感じながらもパジャマのままで少年は列車に乗り込んだ…。車掌「幽霊はいると思うか?」返答に窮する主人公の前に、息子ノマドが口走る。「ユーレイはいないけど、サンタはいる!」
●時にジェットコースターのような勢いでスリル満点の運行をするポーラーエキスプレスに、ウチのキッズは大騒ぎ。そして、終着駅・北極点に存在する巨大都市の絶景。小人さん達がこの町で、全世界の子供たち向けにプレゼントを生産してる。地球上全ての子供の動静を観察する監視カメラ管制センターもあった。「ノマドヒヨコ、ワルい事するとゼンブサンタさんに筒抜けだわ」というと急に背筋を伸ばす娘ヒヨコ。
●クライマックス、小人さん達の大歓声を浴びながら登場するサンタクロース。興奮に湧く小人さん達に遮られてサンタの姿がよく見えない。主人公が「うーん、見えないよ」と困ってるシーンでは、ヒヨコも立ち上がって、角度を変えてサンタさんを見つけようとする。ヒヨコ、オマエが動いても見えないモンは見えないって。ヒヨコが立つとパパも画面が見えないから座ってて下さい。もう夢中になり過ぎです。

●車掌のサイゴのセリフ。「行き先は関係ないんだ。大事なのはキミが乗ると決めた事だ」一歩前に出る勇気。ソレが明日の日常を塗り替えるのよね。楽しい映画だった。CGはチト時代遅れに見えるけどね。日本語吹き替えで見たから、声色を変えて5役を一人でこなしたトム・ハンクスの妙技はチェックしなかったけど、ソッチも大人だけで見れば良かったな。



話題は変わりまして、毎朝の「一駅分の徒歩」。
体力作りのために、浜松町から会社のある新橋~汐留まで歩いている毎日。歩いた事のナイ場所を散策するのは楽しい。汐留のイタリア街と呼ばれるブロックは、建物のカタチが凝っているので広告写真の撮影スポットになってるらしく、早朝からモデルさんやカメラマンがバサバサ写真をとってる風景もよく見る。

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(今朝はコートに身を包んだモデルさんが自動車に手をかけてる様子を撮影してた。代理店、スポンサー、アートディレクターと思しき胡散臭いカッコしたオジさんなどなど…)


ほんで、やっぱり気になるカフェを発見したので、会社の帰り道によってみる。

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「CAFE HARVEST」
●場所:浜松町駅前文化放送本社ビルの脇道(ビル左側)に入って行くとなんとなく見つかる…すいません、説明しきれない。港区浜松町1ー8ー6。
●オーガニックに拘ったパンやコーヒー、モーニングセットから夜の貸し切りパーティまで多様な用途に対応する柔軟さ。テーブルには、なぜか常連さんの女性が書くブログ風の文章が置かれてて、お客とお店の距離が近い感じ。実際店員さんは実にフレンドリーで「お店のユニフォームTシャツのデザインを募集してるんです。アイディア採用者には5万円の旅行券!お客さんもナニかイイデザイン思いついたら描いてみて下さい」だって。オーナーさんはファンクロックのバンドマンで、インディからCDも出してるそうです。


ほんで、またフリーペーパーを読む。

銀座百点

「銀座百点」
「一九五五年四月二十二日第三種郵便物認可」という表記を創刊時期と見れば、超老舗のフリーペーパーだ。銀座8丁目のオモチャ屋さん博品館で見つけた。フリーでゲットしたけど、一応値段表記がある。263円。発行/銀座百店会。銀座の奥ゆかしさをタップリ感じさせる品のイイ文章がタップリ。基本的に話題は銀座の街に関わる事ばかり、昔の銀座、今の銀座。誇りの高さを感じさせる。

でもこの号で一番オモシロかったのは、ニュースキャスター安藤優子さんのインタビュー。
●大学在学中の二十歳の時に、テレ朝のプロデューサーにスカウトされて女性記者に。(しかもボクと同じダイガクだった!)サークルのテニスラケットを持って国会取材に行って「凶器持ち込みはダメ」と怒られたり。ポーランドに送り込まれて民主化のヒーローワレサ氏(後の大統領)のインタビューを撮れとのムチャ振りも。モルジブでは取材トラブルで当局に勾留され領事館に助けてもらうとか。女性がキャスターを務めるのが珍しい時代ゆえに受けた無理解を押し返した根性。画面じゃ気になんないけどもうこの人50歳なんだよね。元気だな~。
で一番恐れ入ったのは、毎日画面に出てるのに、この三年大学院に通ってて、修士課程終えて博士課程に入ったという話。マジ!よくそんな時間が作れるな!昔、超高級フィットネスクラブ(年会費200万!)のピラティス・トレーナーの女性と仕事をした時、クライアントに安藤さんがいて、毎朝7時から1時間ミッチリとピラティスしていくという話を聞いた。もう7,8年も前だから今はどうだか…でもピラティスの認知が広がる何年も前からこのトレーニングに注目してた段階ですでにスゴいし(ピラティスを日本に普及したのは渡辺満里奈じゃないか?)、毎朝一時間運動タイムを作る根性がスゴい。「出来る人は、時間をムダなく使うんですよね」とトレーナーさんも感心してた。
キャスターとしてのキャリアを積んで、今ではデスク原稿にダメ出しするほどの立場。「怖いおばさん」と自嘲。イチバンヤバいフレーズは「成り行きが注目されます」なんですって。略して「成り注」原稿。問題だけ一方的に指摘して、結論は「成り注」。いつでも使える便利な言葉。でもそれじゃあ、ただの言いっ放しだろう、という発想。言葉の重みを知ってる人の思考だね。ボクも成り行きに注目するのは今後やめます。

ちょうど同じ名字の女友達が、政治記者として永田町で活躍してるのを思い出した。この前会社で新聞読んでたら、そのコの署名記事を見つけた。政治のコトは全然わかんないけど、みんな頑張ってるなあ。
ボクも50歳になったら、勉強始めようかな…。もうその頃には窓際部下なし管理職だろうし、安藤さんみたいにはバリバリ仕事してないだろうから、ゆったりと学究生活なんて優雅だなと。

●今日も息子ノマドに「バトスピ」負けた…。カードも一枚とられた…。完全にヤキがまわったというべきか…。



週刊誌「読売WEEKLY」廃刊、雑誌業界も非常事態だね。

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会社にペロっと置いてあった「読売WEEKLY」。表紙に「最終号」とデカイ文字。
「週刊読売」として創刊されたのが1952年。半世紀以上の歴史に終止符。新聞社系列の雑誌なのだから体力あるだろうと思ったけど、新聞自体も今はピンチの時代なのか。テレビ主要キー局も赤字転落する時代、日本のメディア状況はホントに激変の時代に入ってるみたいね。
●ご臨終を迎えるこの雑誌が、最期に「がんばれ総合週刊誌! - 週刊誌という「文化」の未来」という特集を組んでる。各ライバル雑誌の編集長からのコメントまでもらって、この業界の苦境を訴えている。90年代半ばをピークにして後は右肩下がり、2001年に「週刊宝石」が廃刊し、この「総合週刊誌」というカテゴリーは徐々に衰亡の道を歩んでいるようだ。60年代から80年代まで、テレビや新聞が網羅できなかった情報(芸能スキャンダルからスクープ調査報道、そしてヘアヌードまで!)をカバーして時代をリードした「総合週刊誌」。しかしバブル崩壊~90年代で、読者層の世代交替に対応できなかったのが命取りのキッカケと分析してる。実際、バブル以後世代のボクとかから見ると、オッサンくさい雑誌だぜと思ってたのは率直な印象。「総合週刊誌」を一番楽しんでたであろう団塊の世代は一斉に定年を迎えてしまったし、存在感は薄くなるばかり。
●一方、女性誌は読者の年齢層からライフスタイルまで、細かくセグメンテーションしてマーケティングを絞り込むのが常識の時代。「キャンキャン」から「アネキャン」と、親切にエビちゃんのようなモデルまでがお引っ越ししていく。広告スポンサーもPR対象が見えてて出稿しやすいのでは。「東洋経済」「ダイヤモンド」などの経済専門誌も、部数は10~20万部と「総合週刊誌」の足下にも及ばないが、コアな読者を掴んでいるが故、手堅い広告出稿を得られるという。「総合」というカテゴリー自体が、多様化した時代にそぐわなくなったのだろう。


でも、ぶっちゃけ、もう雑誌、買わねえッス。
●ボクの中にあるオリジナルのテーゼの一つに「雑誌は人にカネを使わせる機械である」というのがある。雑誌読んでると、コレを着ろ、コレを食え、ココに行け、ココで遊べ、このCDと映画とテレビと本をチェックしないと時代に遅れる、コレがイイ男イイ女のお手本、などなど一方的な情報が押し付けられて、非常にウザイのですよ! 黙れ雑誌!「SPA!」は特にダイキライだ!ヤツらは特集に「ボクらの~」ってフレーズをつけたがるが、その「ボクらの」の中にボクを勝手に入れるな!オマエと友達になった覚えなんてないぞ!………すいません、ムキになりすぎました。
●でもボクはホントに雑誌いらず。ファッション誌とか全然読まない。シモキタザワを歩いている方がリアルだもん。音楽が好きでも音楽雑誌は買わないな。フリーペーパー「BOUNCE」とネット(YOU TUBE & MYSPACE、WIKIPEDIA)で十分だし、レコード屋の店頭が一番リアル。サブカル雑誌もムカシは夢中だったけど、一巡りしちゃって飽きちゃった。アンディ・ウォーホル特集とか今さらされても、伝記本2冊作品集2冊既に持ってるし、年下のライターの書いたモンには興味持てないよ。アルファブロガーの文章読んでる方がズッと早いし。それに雑誌で少しカジるくらいなら、文庫や新書、単行本でカチッと勉強するわ。
ただし、マンガだけは買うね。悔しいけどココだけは今のマンガ首相と一緒だよ。マンガは世を映す鏡。時代への風刺は「鳥獣戯画」の時代からタイムリー感が勝負、連載のスピード感覚は時代のスピードとリンクしてる。そして単行本よりコストも安い。ニュースはネットで読めるがマンガは読めない。

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(「鳥獣戯画」動物の戯れと見せて当時の世相を皮肉る描写が満載。日本マンガの始祖。)


でもさ、昨今のフリーペーパー天国も異常だと思うのよ。

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●最近はカッチリ電車通勤してるから、駅のフリーペーパー置き場が気になってしょうがないのよ。クソみたいに多いでしょ。今はとにかく全部ピックアップしてひたすら読んでるね。内容というより、どういうシステムのビジネスモデルなのかが気になって。
●とあるフリペ(面倒だから略します)は、グルメ紹介と携帯を使ったクーポンサービスが半分、もう半分が携帯大手のカタログになってるとか。女性向け情報フリペとみせて、エステ情報経由で全てエステ~美容整形~脂肪吸引&シリコン豊胸の広告に直結。就職活動マニュアルだと思ったら、就活グッズのパブ広告ばっかし。ギャルファッションフリペと見せかけて、内容の90%は「高収入バイト(つまり風俗)」の求人広告。「一日大3枚保証!」「ウチはトークだけ!おサワリのサービスはありません!」とか。

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ボクが宇宙一キライなテレビ番組「めざましテレビ」までがフリペ配ってんだよね。
●テレビ局なのに、テレビ局が相手をするような大企業の広告はウラ表紙などだけで極少数で、小口グルメ系のパブ記事がメイン。フジテレビ本体の営業部隊が動いてスポンサーを集めているとは思えない…。どんなチームが作ってるんだ?番組出演者がコラムを書いているが、多分番組スタッフはちょっとしか関与してない。編集/出版のプロが番組のネタを追取材/再構成してる。持ち出しでこの規模のフリペを作れば5千万くらいかかるって誰かから聞いた。フジはどうやってこういうビジネスモデルをデザインしてるんだろう?

リクルートの「R25」。アレは確かに大発明だった。内容全てを完全パブ記事で塗り固めてるけど、読者もそれしか求めないという両者了承の共犯関係を作っちゃった。「だってタダだし、そういうツモリで読めってコトでしょ」って誰もが黙認してるじゃん。最近は増刊号までバシバシ打ちまくって儲けまくってるんだろうな。で、そのフォロワーがスゴいコト。種類が多過ぎてもう把握できない。
●そして一連のフリペが、一昔前のフリペと決定的に違うのが、携帯やネットとの連携機能を必ず備えているというコト。フリペ自体は無料だが、新メディアへの導入機能を持たせる事で、有限の広告誌面に無限のネット広告という奥行きを持たせている。スポンサーはソコも織り込んで既存フリペよりも高い金額を出すのだろう。だからバブル期でも成立しなかったフリペ媒体がココまで隆盛を極めてるのだと思う。

ネット広告という媒体には「ロングテール」という考え方があるという。
●マスメディアは膨大な量の対象に効率よく大量の情報を一気に流す事が出来るが、ネット広告には、超ミクロなニーズに対して超ミクロなフォローを可能とする技術がある。マニアックなアイテムでもチャチャッと検索すれば、消費者は的確に自分の欲しい商品に到達できる。店頭在庫に握っておくにはリスキーだが、ごく少数の人々には必ず引っかかる細かい物件、セールス成績順棒グラフのハジッコにひたすら長く続く売上げぺったんこの商品リスト部分を、恐竜のシッポに見立てて「ロングテール」と呼ぶらしい。
フリペ&ネット広告のコンボ攻撃は、「ロングテール」の発想でピンポイントな広告出稿のコツを得た新時代のスポンサーのニーズをウマく掴んだんだろう。今まで広告なんて考えた事もなかった「ロングテール」な飲食店が、「ぐるなび」に登録しちゃって「ホットペッパー」にクーポン出しちゃって「L25」のパブ記事に出稿しちゃったりするんだろう。そんとき、マスメディアは完全に置き去りだ。特にフツウの雑誌は利害が見事に激突するだろうな。
●でも、これはあくまで広告の延長にあるビジネスモデルで、売り手の論理であって買い手の立場の思考ではない。消費者はいつかこのカラクリに飽きる瞬間が絶対に来る。出版文化には、フリペやネットの無料情報に押し流されない、確かなアイデンティティとコンテンツクオリティをなんとか保持し続けて欲しい。じゃなければ、日本の活字文化は破滅する。マジでマンガだけの世界になる。


そんな中、ちょっとオモシロいモノ見つけちゃった。コレもフリーでゲットしたんだけど…。

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一見、コレ、カッコいいファッション誌かと思うでしょ。でも違うんだよ。このモデルさんの着てるのは下のウェア。

作業着カタログ

スゲエ普通の作業着なんです。コレは工事現場から町工場、自動車修理工場とかで働く人たちの作業着のカタログ。外人モデルとカッコいいロケシチュエーションから、実際の商品の落差がスゴいでしょ。もうオモシロくって一日中楽しめたよ。

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入手したのはコチラのお店の前。作業着一筋の専門会社みたい。軍手とか安全靴まで売ってるもん。
●ココでボクは想像しました…。……自社のカタログに不満のある若手社員が、モンモンと考えたあげく上司に直訴。「部長!お願いします。来シーズンのカタログ、オレに作らせて下さい!少し予算はかさばりますが、売上げは伸ばしてみせます!」若いセンスでファッション誌に負けないカメラマンとモデルを起用。作業着のイメージを覆す斬新なレイアウトで勝負…。かつてそんな挑戦があったんだろな。ミクロだけど立派な「プロジェクトX」だよ。自社商品を愛し、ソレをよりよくプロモートしたいという志がビシビシ伝わってきて、ボクの胸を熱くした(←100%当てずっぽうの妄想なのにアツくなれるボクってアホ?)。

で、さらにOLさんの制服カタログもあるの!

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●申し訳ないけど、ハッキリ言って完全に「制服萌え」物件なんですけど!OL系イメクラすらを連想するわ。(←コラコラ)ボクの周りにこんな制服着てる人全然いないから、よりグッとくる!モデルさんカワイいし。合コン希望!モチ制服のママで。
●ドコモショップとか、銀行の窓口のオネエサンと話してると、不思議となんかウキウキしてくるのって、制服のチカラだったのか…。制服恐るべし。コスプレ恐るべし。


ちなみに銀座のオモチャ屋・博品館に行ったら、リカちゃんまでコスプレしてました。

リカちゃんコスプレ

●クリスマスのカタログから抜粋。一番左のミスタードーナツ×ダブルネームリカちゃんがヒップだなと思ったけど、女子高生リカちゃん・グレーカーディガンのソデの長さが、ちょうど手でクシュッと握ってしまうくらいのバランスにデザインされてる所が、今ドキJK(女子高生)風なデティールギミックで絶妙。イカす。
「バトルスピリッツ」で息子ノマドとマジ勝負。

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「バトルスピリッツ」って知ってます?「遊戯王」とか「ポケモン」みたいなカードゲームの新製品で、9月からバンダイがガン押しで売り出してるヤツ。連動アニメもガンガン放送中で、我が家の長男ノマド7歳が見事ハマりました。
●最初は「ケロケロエース」の付録についてた44枚のスターターキット。コレがこの前の誕生日プレゼントで3倍に増え、ガチャガチャブースターも引っ括めて増殖中。ボクは他のゲームを知らないのであんま違いがわかんないんだけど、既存のカードゲームにはない「コアシステム」という独自のルールで、「コア」と呼ばれる宝石のようなコマを、戦略的に手持ちのカードへ配分することで、カードの強い能力を引き出したりする事が出来るのが特徴みたい。正直こんなチマチマした遊びなぞしてられるかよ!と最初は思ったが、ワイフにはルールが全く理解不能なので、ボクが必死にマニュアルを読解してノマドにつきやってやる事にした。

●しかし、カードが増えるにつれ、膨大なバリエーションを持つカードの特殊能力をノマドは深く理解するようになり、ふと気付くとボクが全然勝てなくなってしまった。だってアイツずーっと自分のカードコレクション眺めて、名前や特殊能力とか暗記してるんだもん。でガチンコで負ける。くそ!また負けた!悔しい!ノマド「正面突破トータルッ!」(←アニメの主人公が叫ぶ決め台詞。わりと意味不明)と超得意げ。
●ヤツはアニメも真剣に見てるから、アニメの中で紹介される、複数のカードを連鎖的に使う戦術もインプットされててマジで強い。そんで、ボク、マジで悔しい。



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そういう時、オトナってホントにキタナいね。ノマドに隠れて自分用にカード買い足しちゃった。すでに20枚くらい買い足しちゃった。ノマド垂涎のレアカードも入手(ハジッコの光沢カード)。ホント卑怯なオトナ。父親としてホントに大人げないですけど、しかしこのまま負ける訳にはイカンのですよ!
●日曜は4回やって2勝2敗。昨日は1回やって秒殺を食らう。負けたらボクは買い足したカードをノマドに奪われる掟。今日は辛くも2勝(マジでギリだった。ゲーム終って30分くらい虚脱してしまった)負けて悔しいノマドは半ベソ。しかしボクには思いつかない劇的なコンボ攻撃でボクの最強カードを倒した場面があったので、その健闘を称えて一枚だけいいカードをあげた。マジで男と男の真剣勝負。



先月で7歳になったノマド。小学校のクラスメートを招いて誕生日パーティを開いた。
「オンナノコもよぼうかな~?」誰を招くか考えるノマドが呟く。おっ?ノマド気になるオンナノコがいるのか?「うん、トナリのセキのサクラちゃん」入学式で見たカワイ子ちゃんだ。品が良くて背が高くて(一方ノマドはクラス1のチビ)アタマのイイ娘だね。まあダメ元で誘ってみたら。
●そしたら翌日「サクラちゃん、いってイイかママにキイてみるだって!」え、ノマド、それって脈ありかよ?……そして夕方、サクラちゃんのママさんからワイフにメールが。「パーティお邪魔します。サクラは今手編みでマフラーを作ってます」なにー!ノマドデカしたぞ!ダメ元でもチャレンジしてみるもんだなあ。パパも子供の頃から、もっと積極的にオンナノコにアプローチするんだったと今深く後悔したわ。オンナノコ1人だけじゃバランス悪いから、サクラちゃんの仲良しミハルちゃんも誘うことにした。

そんでパーティ当日。
●夕方、家に帰ってみると、子供9人が家全域で暴れ回っている。ママさんたちも6人ほど。どの子供がどのママさんと対応してるか全然わかんなかったけど、それなりに社交。「ご主人、お帰り早いですね」なんて言われて「まあ、イイ加減な職業なんで…」とアタマを掻く。
●ノマドを始めヤロウ共はボクのベッドの上でタタカイごっこ。一方注目のサクラちゃんは、ヒヨコと一緒にお化粧ごっこ。ノマドお前本命の娘フリーにしてどうするよ、ちゃんとケアしろよ!ヒヨコがいなかったら彼女ノーフォローじゃねーかよ。妹ヒヨコは1年生のお姉さんに丁寧にマニキュアを塗ってもらい満足げ。ノマドがフリーにするならパパがフォローに回ってやるよ、というツモリで「サクラちゃん、オジさんにもマニキュア塗ってくれない?」とお願い。「えーノマドくんのパパ、お化粧してイイの?」「ああ、オジさんの仕事テキトウだから、マニキュアくらいは大丈夫」ボクのキタナい爪に、彼女は丁寧にマニキュアを塗ってくれたよ。今も微妙にピンクとパールの光沢が爪に残ってる。パールぐらいならある意味アリか?とマジで思った。

宴もタケナワな場面で、出席者のミンナにノマドパパからお返しを。「バトスピ」カード5枚組セット!
●ハッキリ言って全然普及してない「バトルスピリッツ」、このままだとノマドはボク以外の人間と戦うチャンスがないので、普及活動としてお友達に配ってみた。もちろん5枚程度じゃゲームはできないんだけど、イントロダクションにはなる。物珍しさに目を輝かせる小学一年生たち。たちまちその場でカード交換会が始まって、ノマドがあれこれカードの解説をしてる。「このスピリットはね、トクシュコウカでアタックのときBPが2000アップするんだ!」多分ナニも伝わらない解説。ヒヨコはカードの絵柄がカワイいだけが価値基準なので、勇ましいカードを欲しがる男の子と交換をしまくってた。
●後日「バトスピ」カードをもらった友達が「テレビみたよ、バトスピカッコいい!」と言ってくれたらしく、ノマドはいたく興奮してその事をボクに報告してきた。親友ユウタくんもルール全然わかってないけど、ムリヤリ付き合ってくれるようになったし。
●今月は、どっかで「バトスピ」の公開大会があるらしく、12歳以下の部門でエントリーするか検討中である。その時はボクのレアカードも全部貸してやろう(タダであげはしない)。


●ちなみに、サクラちゃんの手編みマフラーはホントに立派なものだった。独力で「指編み」したモノだという。サクラちゃんのお母さんもアーティスティックな趣味の人で、洋裁から編み物、マンガ/イラストまでと実に手先が器用で何でもこなしてしまうらしい。今度はノマドがサクラちゃんの家にお呼ばれしたので、その辺のスゴい所、よく偵察するようにと命じたのでした。



あと、コドモたちの秋の工作展覧会。まず、ヒヨコの部。

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「こんなことがあったらな」という空想がテーマ。ヒヨコが描いたのは「アイスクリームがソラからふってきたらタノシイな」という画。アタマヨワい発想…。落下傘部隊のようにコーンに乗っかったアイスが降ってきます。こんなに落っこちてきたら、食べきれなくて溶けちゃうじゃん、とツッコンだら「ゼンブキャッチするからへいきなの」だって。

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左は、拾ったドングリで額縁を飾ったキノコの画。右は親子共作の金魚すくいです。
●展覧会に行くと、お父さんと子供が一緒に工作を作るというのがウチの幼稚園の定番です。限られた時間と材料でお題の作品を作るのですが、正直、クラスでイチバンオモシロいのを作りたくなるのがボクの性分です。少なくとも3位入賞は絶対にしたい(あー別にランキングはつきません。あくまでボクの主観的な見方です)。お題は「お祭りの屋台にあるもの」。みんなは焼きそばとかたこ焼きを作ってます。綿菓子の子もいたな。「ヒヨコ、どうする?」「ヒヨコはキンギョがイイ!」…屋台とはズレているが、お祭りの出店に金魚すくいは必須だろ!しかも誰ともカブラない。よし、二人でキンギョ作るぞ!
●箱の周りに竹ヒゴで立てられてるキンギョはボクの制作。すくわれるハコのなかのキンギョはヒヨコの制作。キンギョをすくうポイはワイフが作りました。ちょっと時間たりなかったな…20分じゃ限界がある。自己採点で2位です。

PB222634.jpg(夢中で制作に没頭する父と娘。)


ノマドの小学校展覧会。

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●上は、「クジラの口の中はどうなっているんだろう」というテーマで描いた画。
●ある意味「崖の上のポニョ」っぽいな。浮き島の上に家が一軒立ってて、ノマドはソコに生活している。家の脇にはわき水が湧いてて家に繋がってるとな。設定が細かい…。そんでたくさんの昆虫と一緒に暮らすんだそうな。
●下は「シャボン玉遊び」というテーマの画。ノマドのシャボン玉は全部線路で連結されてて、往来が可能なのだという。で、それぞれのアワの中に都市機能が分化してるらしい。これ、オマエが家で勝手に描いてるスゴロクと同じじゃないか?「チガウよ、ゴールないもん」あ、そう。

●立体作品も制作。「メイサイのドラゴン」

メイサイドラゴン

●迷彩カモ柄が好きなノマド(ボクも好きでミリタリー系の古着をよく着ます)ですが、ドラゴンの塗装に失敗したから、ムリヤリ後付けで「迷彩」ってコトにしたのがよくわかる作品に仕上がりました。ぶっちゃけ他の誰よりも不気味な作品でした。
●しかしこの不気味ドラゴンのトナリに、やはり意味不明な物体があったので紹介します。

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「オオアルマジロ」!素晴らしくニッチな題材のセレクションに敬服だが、結局造形的には収拾がつかなくなって、ナニがなんだか分からなくなってしまいました(彩色は的を外してないけどね)。でもソレに関する作者のコメントが最高で、「なんべいにすんでいるからむずかしかったです」生息地はあんまカンケイなくね?!この子オモシロい、今後注目キャラとして追いかけていきます。