●娘ヒヨコ(6歳になりました)が工作してたモンを拾ってスキャンしました。なんかイイ色。

ひよこのハート工作



さて今日は、小学一年生の息子ノマドが図書室で借りてきたとある本についての話。

「双子の星 - 宮沢賢治絵童話集5」

「双子の星 - 宮沢賢治絵童話集5」
●息子ノマドは、「双子の星」というタイトルから、大好きな宇宙にまつわる図鑑のようなモノをイメージして借りてきたらしい。しかしすぐギブアップ。ノマド「コレはムズカシすぎた。シッパイ」
●絵童話とはいいながら、いわゆる絵本とは言えるほど絵は多くなく、漢字混じりの文章は小学一年生には長過ぎるし表現も難しい。21世紀の都会生活しか知らないノマドには、宮沢賢治が生きた大正~昭和初期の風物は理解出来ないだろう。いろり、薪、神楽、蓑、白銅……。確かにコイツは難しい。

●しかし、せっかくの宮沢賢治だ。自力で読むのは無理だろうが、読み聴かせてやれば楽しめるだろう。この一冊に収録された4つの童話を、ベッドに入る直前の静かな時間に、ノマドヒヨコに読んであげた。「双子の星」は、双子座を象徴しているであろう、チュンセ童子とポウセ童子がトラブルに巻き込まれながらも、その清い心が報われるという物語。双子が話す美しい謙譲表現や尊敬語は、独特のテンポで書き綴られており、声に出して読むと、まるで少し複雑な音楽のように聞こえてオモシロい。


 「私どもの不注意からしばらく役目を欠かしましてお申し訳ございません。それにもかかわらず今晩はおめぐみによりまして不思議に助かりました。海の王様が沢山の尊敬をお伝えして呉れと申されました。それから海の底でひとでがお慈悲をねがいました。又私どもから申し上げますがなまこももしできますならお許しを願いとう存じます」(「双子の星」より抜粋)



その一方で、突然の意外な発見もあったのです。それは「やまなし」という短編の冒頭で見つけました。


二疋の蟹の子供らが青白い水の底で話していました。
「クラムボンはわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
「クラムボンは跳ねてわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
上の方や横の方は、青くくらく鋼のように見えます。
そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い泡が流れていきます。
「クラムボンはわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
「それならなぜクラムボンはわらったの。」
「知らない。」
つぶつぶ泡が流れていきます。
蟹の子供らもぽっぽっぽっとつづけて五、六粒泡を吐きました。
それはゆれながら水銀のように光って斜めに上の方にのぼって行きました。

(「やまなし」より抜粋)


「クラムボン」。この言葉は宮沢賢治による造語で、ココでは、蟹の兄弟が彼らから見てよく分からないものを差して言った言葉として使われています。結局読者にも、それがなんなのかは全然分かりません。フシギフシギの「クラムボン」


原田郁子、ミト、伊藤大助の3人からなる音楽ユニット、クラムボンの名の由来が宮沢賢治の童話にあったとは、ココで初めて知りました。偶然の発見にボクはちょっと興奮。うんうん、実にステキな言葉だ。クラムボンは、カプカプ笑って跳ねて飛んで、でもナニがなんだか分からない存在。彼らの音楽を形容するのに実に的確な言葉だと思う。


●早速、クラムボンの音楽が聴きたくなって、CD棚をゴソゴソ。

クラムボン「id」

「id」2002年
●現在のボク、看護師「のび太くんのママ」さんと最近イマイチ噛み合ない場面が多く、そんなこんなで会社のリハビリ生活に少々クタビレてたりもしてて、チョッピリ落ち込んでました。クラムボン4枚目のこのアルバムは、そんなボクにスゴく居心地のイイ場所を作ってくれる。少しカスレかかったウィスパーボイスから、裁縫糸がピンと張るようなピリリとしたテンションにまで、自由に行き来する郁子嬢のボーカルが、ササクレだったココロと神経にフーッと爽やかな風を吹き当ててくれる。ポストロックのように丁寧なエコーが響いていながらも、実はあくまで人力でプレイしてるような高いミュージシャンシップ。打合せの会話が混じったリハテイクをそのまま収録してしまうようなフランクさも、肩の緊張を抜いてくれる。
●しかし百凡の癒し系サウンドとこのバンドが全然別格なのは、どんなにシンプルにしてもテンポダウンしてもキチンと機能するグルーヴ感。パーカッション&ドラムの鳴りと絶妙な手数感、そしてベースとの呼吸の合わせ方が、精巧な竹細工のようにしなやかな弾力性を持っている。何回も聴いても聴き飽きないのは、サラリとしているようで、実は粘っこいこの人力グルーヴが機能してるからだ。
●メンバーそれぞれが、ソロ活動や別ユニット、他バンドへの客演&ツアーサポート、プロデュース業などにひっぱりだこになっているのは、その高い能力と個性、そして丁寧な音楽への敬意があるからなのかな、と思いながらまたリプレイしてしまうのでした。

クラムボン「JP」

「JP」1999年
クラムボンのファースト・フルアルバム。「id」にあったような、地に足が着いた自分たちのスタイルへの強い信頼感はまだなくって、ドッチかって言うと「若気の至り」でズムズム突き進む感じが瑞々しいデビュー盤。このバンドが元来持っているファンクネスは、コッチのアルバムの方ではほぼ直球のカタチで前面に押し出されている。ドラムはペタペタと響き、ベースもしなやかにウネリ、ピアノもグイッとスウィングしてる。既発ミニアルバムに収録されてた「パンと蜜をめしあがれ」の再録バージョンが、実に奥ゆかしくスウィングしてて、これまた何回聴いても聴き飽きない。


●ああ、クラムボン、もっともっと聴きたいけど、彼らのアルバムって中古屋で全然値崩れしないし、そのくせレンタル屋さんには取扱いがなかったりしてて実に入手しにくい!郁子さんのソロももっと聴きたいのに!そして癒されたいのに!もう!あー今日はカバー曲だけで構成されたアルバム「LOVER ALBUM」真心ブラザース「サマーヌード」のカバーを聴いて寝よっと!

クラムボン「LOVER ALBUM」


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♪できるかな?できるかな?携帯電話で、ドコまでできるかな?
●さてさてボクは、仕事を休職してから「携帯のカメラでナニがドコまで撮れるでしょうか?」というお題の中で、お花の写真をイッパイ撮ってました。それはそれはクソみたいにイッパイ。
●正直、仕事をしていた頃のボクにはお花や植物どころか、四季の移り変わりにも興味は全く興味がない人間だったので、まーそりゃ見つけるもの全部が新鮮で、それで「不審者」扱いされても、携帯写真を撮り続けてたのでした。これも病気の一つの症状か?
「携帯のカメラだけで撮る」というシバリは、単純に立派なカメラを常に持って歩くわけにはいかないというだけの理由だけだったのですが、もう最近では「携帯特有の安っぽい質感」「ピントが全然あわない」「フラッシュが焚けない」「動いているモノはろくに写らない」「シャッタータイミングが平気で2秒くらい遅れる」「撮れたモノをモニターしようにも、日光の中では全然細かいトコロが確認出来ない」などの携帯電話こそのハンディキャップが大好きになってしまいました。流行りのデジタル一眼レフもオモシロいんだけど、狭いキャパシティでドコまでイケルかという勝負が楽しい。それと、価値のない風景の中にオモシロいモノを見つけ出すという楽しみ。一眼レフ持って「さあ撮るぞ!」と意気込んでも、ホントにオモロいもんは突然来襲するので、やはり携帯の方が機動力に長ける。そんなこんなで夢中です。

●そんで、これからその写真をたくさん(ホントにたくさん、ウンザリするほどたくさん)お見せします。
●ワイフに言われました。「イッペンにドサッと出すんじゃなくて、毎日一枚づつにすればいいじゃん」それも一つの道理。しかし、それはしないのです。クソみたいにイッパイイッペンに出すことに意味があるのです。
大量にまとめて見せるってのは、「編集」の楽しみもあるってコト。「編集」つーとカタく聞こえますが、もっと感覚的に写真を配列してます。必ず2枚一組にしてるんだけど、イメージしてるのは二台のターンテーブル。DJが、レコードを選んでターンテーブルに乗せていく感じ。このレコードを2枚ミックスしてかけたから次につなぐのはこのレコード、同じ曲調でイクか、ここで気分を変えてみるか、テンポダウンか、むしろピッチアップか、つながりを感じながらスピンしてく感じ。今回は90組くらいだからかなりのロングプレイミックスです。あと、一枚一枚はクズだから束になってかかんないと見れたもんじゃないってのもあるけど。
●だから、カルーく流してください。ボクもカルく撮ってカルく並べましたから。よろしくです。



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「秋」は思ったより色彩に富んだ季節でした。スゴいグラデーション。
●この「携帯のカメラでナニがドコまで撮れるでしょうか?」というテーマは、夏に撮り始めたので、植物という被写体に不足することなどなかったのですが、秋~冬はサスガに植物くんたちには元気がない。だから今回は被写体をかなり拡大してますわ。だから今までの写真に比べると違和感があるかも。正直植物だけに特別な思い入れはないのも事実だし。
●そう考えてたんだけど、今撮った写真をそのシチュエーションを思い出しながら振り返ると、「秋」という季節は、スゴいグラデーションの季節でした。携帯カメラの能力では写し取れなかった(多分イイカメラを使ってもボクには無理)ですが、同じ一本の樹木、一本の枝で、スゴい幅のグラデーションで葉っぱの色が様々に変色しているのですよ。同じ色の葉っぱがナイってくらい。そして時間軸でのグラデーションもスゴい。一本の木を一週間かけて見てると、あっという間に葉の色が変わってあっという間に全部落葉しちゃうというコトに気付く。うわー先週撮影しててよかった、今週には葉っぱが全く残ってない、とか思いましたからね。いやー自然の営みは侮れないわ、こんな東京のど真ん中ですら。
●あ、ちなみにあまりにベタベタな季節モンはちょっと避けました。クリスマスイルミネーションとか、キレイなんだけど、ツマンナイじゃん。少なくとも携帯ではツマラナくしか写らないんです。


●ちなみに過去の写真はこちら。クソみたいにウンザリする量ですので気を付けて。

<7月分> http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080716.html
<8月分> http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-494.html
<9~10月分> http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-533.html


●先日はこのブログで、90年代オルタナティヴロックシーンで活躍し、見事再結成を果たしたバンド、DINOSAUR JR. について綴りました。そんでやはり去年再結成したUKのバンド THE VERVEについても語っちゃいました。
●今回も、やはり90年代オルタナティヴロックシーンに大きな影響を及ぼした伝説的存在、そしてやはりこの00年代に再結成を果たす事が出来たロックバンドを取り上げようと思います。

その名は PIXIES。
●彼らの再結成ツアーの様子にピッタリ張り付いたドキュメンタリー「LOUD QUIET LOUD」は、あまりにジンワリくる内容だったので、随分前に観たDVDだったのに、しばらく文章に出来ないほどでありました。…ぶっちゃけダイナソー THE VERVE のハナシはこのバンドの代わりのツナギ、このドキュメンタリーをみて味わった感情を整理する時間を稼いでたほどです。でも結局整理できないまま、見切り発車します。ボクの筆が足らないだけであって、このドキュメンタリーはとっても素晴らしいモノなので、必ず見て下さい。


ピクシーズ/ラウド・クァイエット・ラウド [DVD]ピクシーズ/ラウド・クァイエット・ラウド [DVD]
(2007/05/09)
チャールズ・“ブラック・フランシス”・トンプソンキム・ディール

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●DVD「LOUD QUIET LOUD」は、とある人物の言葉を引用して始まります。


「オレたちは、ただ ピクシーズ をパクっただけだぜ」 by KURT COBAIN


NIRVANA の中心人物にそう言わしめた伝説のロックバンド、PIXIES。

Pixies WIKI

●ハゲでデブで声がデカイリーダー、BLACK FRANCISを中心に、1986年のボストンで結成したオルタナティブロックバンド。パンクロックの枠をブチ破る変則的で緩急自在な曲展開と、ササクレだったギターサウンド、血管がブチ切れそうな BLACK の絶叫ボーカルがアクセントとなるクセの強いサウンドは、90年代のオルタナシーンに大きな影響を与えるが、1993年に解散、自らがシーンから見返りを受ける前にシーンを退陣してしまった。

●ボク自身がこのバンドにリアルタイムで追いついたのは、結果的にラストアルバムになった「TROMPE LE MONDE」1991年だ。

Trompe Le MondeTrompe Le Monde
(2003/05/20)
Pixies

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●邦題として「世界を騙せ」という言葉を乗っけられたこのアルバムは、91年段階のボクには、予想もつかない方向に目まぐるしく展開するハードなサウンドにひたすら幻惑されて、なるほどまさしく「騙されてる」ような錯覚に陥ったほどだった。実はキャッチーな仕掛けがたくさん埋まっている巧妙なポップソングで、それまでの PIXIES 作品と比べてもずっと分かり易いモンだったのに、ソレを理解するのには数年の時間がかかったほどだ。
●このアルバムに収録されてる「ALEC EIFFEL」(あのパリのエッフェル塔をデザインした建築家 アレクサンドル・ギュスターヴ・エッフェル「チビのアイフル」呼わばりする曲)を、エモの先駆者 GET UP KIDS がカバーしているのを聴いて、初めてこの音源をジックリ聴き直し、やっとこのバンドの本質が理解できた。そこまでこの PIXIES というバンドをボクは持て余してた訳だ。
●一度、その強いクセが放つ匂いに馴染んでしまえば、イビツなヒネクレ具合も、強引な曲展開も、耳をつんざく轟音も、「妖精(=PIXY)」のように愛らしいモノに思えて来る。ただし、「TROMPE LE MONDE」はバンドの最末期の作品。この頃のメンバーの感情は既に分解していて、決していいコンディションではなかった。



バンドは2004年、中心人物の BLACK FRANCIS の音頭で再結成ツアーをすることになった。
BLACK FRANCIS PIXIES 解散後、FRANK BLACK と改名してソロ活動をしていた。80年代の PIXIES に馴染みが薄かったボクにはコッチの名前の方がシックリくるほどだ。00年代に入ってからは、往年の PIXIES のナンバーもセットに組み入れるようになっていた BLACK は、PIXIES のオリジナルメンバーとも行動を共にするようになってた。ココから PIXIES 復活が実現するまでにはそれほど時間はかからなかったようだ。
●ギタリスト JOEY SANTIAGO BLACK のソロでギターをよく弾いていたし、インディでの活動やテレビ局に楽曲提供するなど、音楽活動を絶やすことはなかった。ドラマー DAVID LOVERINGなんと手品師になってた。ドラムも辞めちゃいなかったが、FRANK BLACK のソロライブの前座で手品を披露してたりしてたという。古き仲間が集まり、結集していく様子が DVD で語られていく。


ここで、PIXIES の過去音源をチェック。

Surfer Rosa/Come on PilgrimSurfer Rosa/Come on Pilgrim
(2007/04/09)
Pixies

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「SURFER ROSA & COME ON PILGRIM」1987/1988年
●彼らはアメリカ・ボストンのバンドでありながら、その才能を最初に理解したのはイギリスのレーベルだった。先日紹介した、飯島愛が愛聴していたというバンド COCTEAU TWINS や、80年代ゴスロックの巨人 BAUHAUS といったバンドが所属していたしていた 4AD というレーベルだ。このレーベルは路線を拡大して今もシーンに大きな影響力を持っている。イギリス人である彼らが大西洋の対岸で胎動しつつあった新しいロックシーンに着目して、アメリカ進出した最初期に、PIXIES は見出された。この時制作されたファーストアルバム「SURFER ROSA」とソレ以前にリリースしたミニアルバム「COME ON RILGRIM」が今ではセットになってCD化されてる。
●一曲目「BONE MACHINE」から、純度100%のパンク精神で駆動するパワーが、そのままパンクのフォーマットをブチ破ってしまった、異形の高テンション&脱臼型展開曲になっててシビレル。ギターの軋みと、BLACK のボーカルが狂気を振りまく。高速パンクチューンも搭載だが、なんだかちょっとクルってる。「BROKEN FACE」の疾走するビートの上で、裏声で「アハッ♥アハッ♥アハッ♥」と連呼してるのってブキミ。オマエの脳みそがブロークン。BLACK の絶叫は轟音ギターと相まって、まるでナニ言ってるんだか完全意味不明だが、なにやらスペイン語も混じってるらしく(彼はプエルトリコのガッコウに通ってた事があるらしい)、なるほど確かに意味不明なわけだわと納得するのでした。基本3分まで届かない、いや2分もいかない曲ばっかの逃げ切り勝負だが、「VAMOS」は最長4分越えの曲で、後のオルタナバンドが影響を受けたであろう、デタラメギターノイズ攻撃が長々展開される。80年代の整理整頓されたハイファイ時代(88年は BON JOVI が最盛期だった年)にあって、このロウファイ具合は非常識だったに違いない。

Songs About FuckingSongs About Fucking
(1992/10/28)
Big Black

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●このサウンドデザインの仕掛人は、またしても出て来ました、STEVE ALBINI その人である。その後、NIRVANA のセカンドなど90年代ロックの名譜を数々手掛けるプロデューサー。当時は自らのバンド BIG BLACK で代表作「SONGS ABOUT FUCKING」(ジャケに日本のエロ劇画を使った人でなし系発想でも目を引く)をリリースし、新バンド RAPEMAN(これまた最低な名前ですね)を立ち上げた頃。「ジェットギター」の異名を持つ彼の音源も是非聴いて下さいね。もれなく狂ってます。


DoolittleDoolittle
(2007/04/09)
Pixies

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「DOOLITTLE」1989年
●矢継ぎ早に繰り出されたセカンドアルバム。痛快に狂ってるパンクチューン「DEBASER」で幕明ける。BLACK の血管ブチ切れヴォーカルはホントイイ。「でぃべいさぁぁああ!でぃべいさぁぁああ!」 NIRVANA KURT COBAIN は、この曲をギターでつま弾いている時に「SMELLS LIKE TEENS SPIRITS」の着想を得たとも言われている。
●3分に届かない小粒ブリは変わらないが、山椒の如くピリリと辛い、いやビリビリに辛い絶叫が全編にわたって聴けます。でもその絶叫ぶりに耳が吸い付けられるのは、比較的にバンドサウンドが整理されて、轟音ギターという軸はブレずとも、それぞれのパートがコンガラがって混乱しないよう調整されてるから。
●ここからは、バンド解散まで付き合うことになる GIL NORTON がプロデューサーを務める事となる。サウンドの変化は彼の影響か。ソレまでは明らかにキワモノでしかなかった彼らの中にある、実はポップでキャッチーな部分を引き出すのに成功したと言えるだろう。「HERE COMES YOUR MAN」「MONKEYS GONE TO HEAVEN」はフツウにギターポップだし。 GIL NORTON PIXIES とのキャリアを踏み台にして、FOO FIGHTERSFEEDER、MAXIMO PARK のようなバンドを手掛けて行くようになる。


BossanovaBossanova
(2003/05/20)
Pixies

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「BOSSANOVA」1990年
「ボサノヴァ」というタイトルであっても、あのフツウのボサノヴァが聴けるはずがないのは別に説明しなくてもご理解出来ますよね。しょっぱなはイキナリ男気満点のサーフロックインスト「CARIBOU」で幕明けます。マジ予想がつかないよこの人たち。ササクレだったギターサウンドという軸はあっても、楽曲のバラエティは幅を広げ、親しみやすいポップチューンも搭載。バンド最大のヒット曲「DIG FOR FIRE」BLACK 曰く TALKING HEADS へのトリビュートソング)も搭載。 この曲を始め、タダひたすらブチ切れるだけじゃない BLACK が目立つ。もちろんブチ切れるだけの BLACK もいますけど。パンクの強い影響下から出発して、そこから発展的に90年代オルタナティブロックに進化した瞬間がここにあります。
●ココまで、丁寧にバンドの歴史を振り返ってみると、この次のアルバムになる「TROMP DE MONDO」は初期に比べてスゴく洗練されてて、計算されたポップさを備えてる事がわかる。新時代の音楽がココに用意され、NIRVANA などの次世代のアーティストに大きな影響を与えていく瞬間。しかしバンドは1993年に解散した。


●ドキュメンタリー「LOUD QUIET LOUD」は、ギグとギグの間、ライブとライブの隙間の、バンドの表情を克明に記録して行く。「LOUD」の間にある「QUIET」の時間に、様々なドラマが浮き上がる。

バンドの紅一点 KIM DEAL との確執。
●もう一人の PIXIES は、女性ベーシスト KIM DEAL だ。PIXIES の解散は、リーダーである BLACKKIM DEAL の確執であったと、DVDの中では語られている。一番最初の PIXIES 結成の際には、メンバー募集告知でヒョロリとやって来た楽器未経験の女子であったが、キャリアが進むごとに、彼女は SONIC YOUTH KIM GORDON に並ぶ女性ロックアイコンとして世間の注目を集めていった。「GIGANTIC」など KIM がメインボーカルをとる名曲も数々。BLACK の脇で甘いコーラスを歌う彼女は確かにこのバンドに華を添えていた。しかし、これが BLACK のプライドを刺激した。
●さらに KIM DEAL PIXIES と平行して、自らのバンド THE BREEDERS を編成。双子の妹である KELLEY DEAL を招き入れ、その後「RIOT GRRRRL」と呼ばれるムーブメントへと発展する、女性ロックバンド群の中核を担うようになる。PIXIES 解散の1993年に発表したアルバム「LAST SPLASH」は、KIM GORDON & SPIKE JONZE が監督を務めたビデオでも話題になったシングル「CANNONBALL」が大ヒット。一気に時代の寵児になる。

●しかしそこから10年の月日が経ち、再結成 PIXIES に合流した KIM は、深刻なドラッグ中毒とアルコール中毒をやっと克服したばかりのボロボロ状態だった。双子の妹 KELLEY がツアーにことごとく随行、セッセと身の回りの世話をするのである。一度は時代のアイドルとなった女性は、今やジャンキーのオバハンになっていたのである。
●ツアー移動も、野郎メンバーと双子の姉妹は別々のバスに乗る。全員の同意で結集したバンドであるが、かつての確執は本当にまっさら消えたのだろうか。20代そこらの若者が雑魚寝する訳じゃない、40歳も過ぎた大人が長いツアーに出るのだから、男女別々のバスに乗るのは不自然じゃない。しかし、決して感情的な確執は消え去った訳ではないようだ。微妙なバランスの中で再結成ツアーはスタートする。

ただ熱狂に浮かれて叫びまくるには、大人になり過ぎてしまった「妖精たち」。
人はいつまでもピーターパンではいられない。ギターの JOEY はツアーと同時並行でバイト仕事のサントラ制作をセッセとこなす。マックのPowerBookで音源を作り、そして自宅の幼い娘とiChatするのが唯一の慰め。ドラムの DAVID はツアー中に父親を亡くして、ウツ状態に。酒量も増えてヤケクソ気味。酒こそは辞めているがチェーンスモーカーの KIM は声がガラガラ。かつてはやはりジャンキーになってた瓜二つの妹 KELLEYTHE BREEDERS 向けの楽曲を作っている。それぞれが別々の方向を向いている……ツアーバスは闇の中をひたすら走って行く。

●再結成したはイイが、果たして我々は歓迎される存在なのだろうか?そんな不安さえ抱きつつステージに立つバンドの面々。しかし、昔からのファンも、若いキッズも、再結成 PIXIES を熱く迎えてくれた。彼らも80年代に劣らない激しい演奏を繰り広げる。その実況音源がこちら。


PIXIES LIVE

「LIVE IN DETROIT - 11/22/04」2004年
PIXIES 2004年の再結成ツアーは、ミネアポリスから始まって全米各地を回り、最後にニューヨークでクライマックスを迎える。どんなバンドにとってもニューヨークは特別のバショらしい。そんなツアーの様子を2枚のCDに封じ込めたのがこの素っ気ないジャケの作品。曲名すら書いてない不親切なパッケージだが、4枚のアルバムをざっと網羅したセットで、数々の名曲が現場感タップリのテンションで演奏されてる。
●初期の代表曲「VAMOS」はデタラメギターソロ展開で8分間のロングプレイ。中盤の「BONE MACHINE」「CACTUS」「NO. 13 BABY」「VELOURIA」「 I BLEED」「CRACKITY JONES」辺りの流れ、そして「SOMETHING AGAINST YOU」「U-MASS」「PLANET OF SOUND」というパンクド根性な展開はもう最高。KIM も歌う時はかつてのガーリーな声を取り戻し、キュートなコーラスで BLACK の狂気を支える。ラストに向けてグングン盛り上がる「DEBASER」「TAME」と続き、アンコールは KIM のリード曲「GIGANTIC」伝説は死んではいなかった。

136px-Pixiesblackfrancis.jpg(デブでハゲの「妖精」 FRANK BLACK。2005年。)

●2005年、2006年もツアーを行った PIXIES だが、2007年、BLACKPIXIES の再結成は終了したと発表。アルバムも作るコトなくまた4人はバラバラになっていった。2008年、KIMTHE BREEDERS 6年ぶりの新譜を発表。FRANK BLACK は新バンド GRAND DUCHY のデビューアルバムの準備中とのこと。……… PIXIES 名義の新譜が聴きたかったな。


●ただし、このバンドの存在が90年代のオルタナティブロックに及ぼした影響は計り知れない。彼らの地元ボストンからは数々の後進バンドが生まれ、様々なアーティストが彼らに影響を受けたと語った。PIXIES の分派ともいえる THE BREEDERS は女性ロックアクトに道を開いた。90年代のロックシーンはこうして準備されたのだ。


●90年代のロックを総括する巡礼の旅はまだ続きます。次は誰を取り上げようかな…。



●過去の関連記事はコチラ。

2009.01.15 「THE VERVE。ジャンキーがクスリを抜いて王道へと歩んでいった道程」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-566.html
2008.12.30 「恐竜魂は絶滅せず。グランジロックの雄 DINOSAUR JR. の復活」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20081230.html
2008.11.09 「『ROUGH TRADE』ロック30年の歴史。パンク発 PETE DOHERTY 行き」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20081109.html
2008.10.01 「90年代の伝説 NIRVANAとKURT COBAIN。ロックの神に捧げられた生贄」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20081001.html
2008.09.28 「成熟を避けて突き進む「音速の若者」SONIC YOUYH に今一度シビレル。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080928.html
2008.09.16 「SONIC YOUTH はドコから来てドコに行くのだろう?音速のスピードで。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080916.html
2008.09.08「PAVEMENT と STEPHEN MALKMUS にまつわるセイシュン
の思い出」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-508.html
2008.05.18「00年代エレクトロを巡って、90年代80年代そして70年代まで旅をする」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-438.html
2008.04.20「80年代末から現在まで、UKのブラックミュージックを一気に俯瞰する」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-418.html
2008.04.05「放送室で溶け合った、60年代と90年代UKロック。ブリットポップの時代」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080405.html
2008.04.29「ボクは「FREE SOUL」がダイキライ。でも許す(←ナニ様?)」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-425.html
2007.10.22「『渋谷系』とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html
2008.01.06 「平成20年から平成元年を照らし出す。「バンドブーム」の記憶」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html
2007.12.14「1986年。少年がロックに目覚めた瞬間」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html


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今日も、芝大神宮に行った。お参りだ。吉川晃司のせいだ。


tokyo headline(ボクが読んだのはこの号じゃないけどね)

●フリーペーパー「TOKYO HEADLINE」ってのあるでしょ。道端によくおいてあるヤツ。アレに不思議なコラムがあってね。タイトルは「路地裏ダイヤモンド」。吉川晃司が、なぜか下町の路地を散歩しながら、アレコレ語るという内容。あの吉川晃司が、突然佃島のもんじゃ屋さんとかに行って、人生を語りながらもんじゃを食ったりするのだ。新作洋画の俳優インタビューとか国際ニュースに混じって、唐突に出現するこのコラムの存在感はかなり異端だ。
●ボクがたまたま目にしたのは「第54回(←わりと長期連載)渋谷区東~猿楽町 俺は人生が''賭け'' だな」という連載回。タイトルからして醸し出すオーラがヘンでしょ。「新年だから、ちょっと寄ろうか」冒頭から吉川が言う。そんで吉川とインタビュワーは代官山方面にある神社へ向かうのだ。以下引用。

「吉川は境内に入ると、手慣れた動作で手を水で洗って清める。日本人ならやり方ぐらい覚えとかなきゃと吉川の手元を凝視すると、『まず右手でひしゃくを持って水を汲み、左手を清めてから持ち替えて右手を清め、また持ち替えて左手で水を受けて口をすすぎ、最後にひしゃくを立てて残りの水を柄に流す』と手順を教えてくれた。」

●むむむむ…。ステージでバク宙を決め、高く足を挙げシンバルキックをかます、あのロックシンガー吉川晃司に、神社での手の清め方を教わってしまうとは……何とも複雑な気分だ。例えば「卓球の福原愛ちゃんが、スケボーで難しいトリックを軽々と決めてしまった」かのような、なんだかチグハグで腑に落ちないギャップに戸惑う。そんで「吉川にできんのにボクが出来ないのは悔しい」と感じ、是非自ら実践しないと気が済まなくなってしまった。


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この手を洗う場所って、今までの人生において完全にスルーしてたわ。
●手を洗うための用途があるというコトすら、忘れてたくらいだ。でも、今朝、やりましたよ、吉川晃司のいう通りに。「口をすすぐ」なんてのは、マジで生まれて初めてだ。しかも朝の空気と水はツーンと冷たくて、悔しいほど気持ちイイ。なるほど、コレが「清め」か。吉川晃司のおかげでまた一つ大人になりました。

●お賽銭は「十分にご縁がありますように」という きむお 説を採用し、基本額15円×カミサマ8体=120円。で、お参りの様式を正しく守って、いつも通り会社に向かった。そんで会社に着いてから気付いた。「あ、段取りだけに気を取られて、具体的にお願い事をイメージするのをすっかり忘れた」まあイイや、ボクは本来的に神頼みはキライでね。現世的メリットの享受を宗教に期待するのは、なんか野暮とおもえるのよ。「病気を治してくれ」と願うなんて、オコガマしいし図々しい。「清めて」くれればイイ。ああ、そう言えば神社の神職さんたちは、もう「節分」がらみの準備を始めてたな…。



●冬っぽい日本のロック。

スムルース「冬色ガール」2004年

スムルース「冬色ガール」2004年
●このバンド、どれだけ知名度があるのかわかんないけど(限りなく無名なんだろうか…)、ボクにとっては中古CD屋で見つけたら必ず買っちゃうバンドなんです(ゴメン、新譜じゃ買わない…)。これも50円で買ったシングル。でもギターボーカル徳田くんの伸びやかなボーカルと言葉見つけの感覚、歌詞に頻出する「のです」「のでしょう」という言い回しはなんか独特で、絶対リスナーのアナタを胸キュンさせるでしょう。不器用なオトコのおセンチパワーを爽快に歌い飛ばす気持ちよさ、ぜひ味わって下さい。

スムルース「ヒマワリサン」2003年

スムルース「ヒマワリサン」2003年
スムルース、インディ時代のミニアルバム。味のあるホッコリジャケデザインは、全作品リーダーの徳田くんが手掛けているそうです。このジャケに登場する幼稚園児&センセイには細かいプロフィールがあって、内ジャケに全員分解説されてる丁寧さがイイ。インディという身分の軽さか、歌詞の言葉選びにはより遊び心が自由に盛り込まれてて、ニコニコできる楽曲が詰まって6曲入り。

「踊ろう 僕と君と味覚と引力でダンスイングね 
 バラ色の人生バカ色 場所だけわきまえラヴラヴリー
 踊ろう ゴロゴロぐうらた
 大好きなおやつほうばってさ やんごとなき初期衝動
 世界と僕は君のもの

 バニラアイスの温度 溶かして冷やして
 日本シリーズと恋の行方かな
 裸足で空を踏んでブランコ空中散歩
 アクティヴスカートのスロー再生の巻
 夢だらけ穴だらけ こだわり青春半熟風
 プウプウ熱風熱烈レッツゴー
 わりと大胆

 踊ろう 僕と君と味覚と引力でダンスイングね 
 バラ色はいろいろバカ色 太る幸福のアテンションプリーズ
 踊ろう ゴロゴロぐうらた
 前向きなレコード聴いてさ 絶えることなき恋騒動
 世界と僕は君のもの」


●最近のスムルースは実は聴けてないけど、公式ページを見ると徳田くんはボクが知った時とは違って、おしゃれメガネさんになってて、webを中心に文筆業にも精出してる様子。いつの間にかメンバーが一人減ってもいましたが。

古本屋にタップリ本を売りに行ったのに、100円にしかならなかった。
●一軒目の古本屋では30円と言われたし、3倍以上と思えばイイかと妥協した。もう本を入れた紙袋が重くて、アタマがおかしくなりそうだったし。体力面で無理すると、パニックっぽくなるのはボクの病気の症状の一つ。

●そんで、手に入れた100円で、その場で目についたとある本を買ってしまった。一時期は映画化され話題にもなったが、もはや今さら感タップリの流行遅れの本。でもある意味ではタイムリーでもある本。


プラトニック・セックスプラトニック・セックス
(2000/10)
飯島 愛

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飯島愛「プラトニック・セックス」
去年のクリスマス、彼女が遺体で発見されたのは、皆さんご存知でしょ。あのニュースで意外だと思ったのは、彼女とボクは年齢が一つしか変わらなかったということだ。もっと年上だと思ってた。なんでだろ。彼女は若い頃からテレビや雑誌を賑わせてた存在だったから?でもこの本を読んで少し意見が変わった。彼女は早くから大人の一番トゲトゲしい部分と戦わなくてはならなかったからだ、と今は思う。

個人的には、彼女のAVも見た事もないし、単純にフツウの一芸能人としか認知してなかった。
●が、ボクと年齢も離れてない彼女が、ナンで渋谷の高級マンションで孤独死しなくちゃいけなかったのか、とても気になった。テレビ引退直前の出演番組では、明らかにヤバい雰囲気、つまりボクら病人の醸し出すダメなオーラが見えちゃってたし、彼女のナニかがドッカで崩壊してしまった感じがヒリヒリ伝わって来てた。だから、あえてこの本を読んでみる。


「プラトニック・セックス」、この本に描かれる彼女の人生を簡単にまとめてみる。


1978~1985年(小学生時代)幼い頃の彼女は内向的で、学校でも先生とコミュニケーションできないほどだったらしい。一方で父親はしつけに大変キビシく、体罰も辞さない強圧的なタイプ。毎日習い事に通わされ「姿勢が悪い」と長刀まで習わされていた。母親は夫の機嫌や世間体を極端に気にするタイプで、決して飯島の味方をする訳ではなかった。少なくとも彼女はそう思っていた。本当に幼い少女時代から、飯島は両親に極端な恐怖と不信、愛情の欠如を感じていた。
 小学4年生の頃、アニメ映画を友達と観に行きたいと思ったが、両親は絶対に許可しないだろうと考えた飯島は、無断で映画を見に行った。結果、両親から体罰を含めた激しい叱責を受けた。「中学になったら絶対に家出しよう」と誓った。

1985~1988年(中学校時代):受験勉強を強いられるが、志望校に彼女の希望は汲まれなかった。結局、区立中学校へ進学。1年生の頃は一生懸命勉強するが、どんなに努力しても好成績をとっても両親からほめられる事がなかった。

「私は、ただほめてもらいたかった。父に、母に、一言「がんばったね」といってもらいたかった」


1985年(12~13歳)新宿・歌舞伎町で遊ぶ事を覚える。500円ほどで朝まで踊れるディスコに入り浸り、家庭や学校に居場所のない少年少女たちと群れて遊んだ。万引き、カツアゲも常習だった。父親の体罰があろうと歌舞伎町へと繰り出した。家族の中で唯一の理解者であった祖父がこの年ガンで亡くなると、飯島の非行はさらにエスカレートした。

1987年(14~15歳):度々警察に補導され、両親に迎えに来てもらっていた飯島だが、とうとう母親は迎えに来るのを辞め、彼女は初めて留置所での宿泊を体験する。コレをキッカケに少年保護センターのカウンセリングを受ける。父親の激しい体罰は過激化し、彼女の家出癖も増々ヒドくなった。
 体罰/虐待で顔が膨れ上がった飯島に同情して、当時付合っていたボーイフレンド「タカちゃん」の両親が、同居を許してくれた。彼とラブホテルに毎日のように入り浸るようになるのもこの頃。

1988年(15~16歳):一応高校に籍は置いたが一ヶ月も通っていない。「タカちゃん」とアパートを借りて同棲生活を始める。セックスとシンナーに浸る日々。しかし、「タカちゃん」の父親が二人の暮らしぶりに業を煮やしアパートを解約。再び「タカちゃん」の実家で暮らすようになるが、ある日父子の諍いで警察が出動。実家に連れ戻されるのを恐れた飯島は、「タカちゃん」の家から姿を消した。
 「タカちゃん」の友人を頼るがレイプされかける。住む場所もないので友人宅を点々とするが、誰からも執拗にカラダを要求される。この頃から強い男性不信も芽生え始めた。
 湯島のカラオケスナックで3ヶ月ほど働く。初めての水商売体験。源氏名として「愛」と名乗るようになる。

1989年頃(16~17歳):謎の金持ち「石川さん」と出会う。彼は30歳代の男性だったが職業不明、しかし外車やショルダー携帯電話を持ちゴールドカードで豪遊をする金持ちだった。世田谷の自宅マンションに非行少女を集めていた彼に、飯島は接近して金ヅルとして利用していた。
 「石川さん」が保証人になり、目黒にマンションを借りる。そして六本木のクラブでホステスに。水を得た魚のように勤勉に働き、稼いだ金を存分に物欲へ注いだ。クラブの同僚で、その後親友となる「明美」に出会う。少し年長の彼女は飯島の憧れであり、彼女から、水商売の世界や高級ブランドの知識を得ることになる。

1990年(17~18歳):未成年である事がバレ、六本木のクラブは解雇、銀座のクラブに勤める。この頃彼女が使っていたお金は一ヶ月100万~180万円。しかし銀座のカルチャーには馴染めずほどなく離職。新宿のキャバクラの一日入店で食いつなぐ日々。
 「石川さん」経由で「信一」と出会う。「信一」は新宿二丁目でカラダを売る男娼だった(「石川さん」はバイセクシャルだった)。彼に惚れ込んだ飯島は「信一」が二丁目から抜けるために、絶対しないと戒めていた売春を始める。しかし「信一」に裏切られた事を知ると、二丁目でオトコを買う生活に。愛情に飢えながらその度に裏切られ、より人間不信に陥って行く悪循環。
 友人を訪ねニューヨークに一週間滞在。現地で知り合ったレズビアンの「麻理子」の案内で、ニューヨークの最先端のゲイ/クラブカルチャーに触れ、強くこの街に憧れを抱く。この街に留学する資金を得るのが、彼女がAV女優になる第一の動機になった。

1991年(18~19歳):男友達経由で、AV女優の吉村理沙に出会い、AV出演を薦められる。結果、AV女優としてプロダクションと契約。契約金は1000万円。豊胸手術も受ける。最初は3ヶ月だけの契約だったし、本人も「いつでも辞めてやる」というツモリだったので、撮影現場ではヒドいワガママで周囲を困らせた。実は彼女はビデオの中で「本番行為」はしていない。コレも彼女の要求を周囲が呑んだ結果だ。この頃、テレビ東京のプロデューサーに紹介される。飯島同様、ニューヨークに憧れていたディスコのDJ「トシ」と交際、同棲を始める。

1992年(19~20歳)テレビ東京の深夜番組「ギルガメッシュないと」にレギュラーとして出演。Tバックを売りにしたタレント活動は順調に推移した。契約金2000万を提示され、AV女優契約をさらに3ヶ月延長。「トシ」との同棲生活で、妊娠/中絶を経験。しかし多忙な仕事のため、ニューヨーク行きを強く望む「トシ」とのスレ違いが大きくなり、関係が破局。生放送すらスッポカすほど絶望する。そんな彼女を慰めようと家を訪れた友人に、さらに彼女は痛めつけられる。

「男友達は、私の彼が出て行ったことを知ると、当然のように覆い被さってきた。「やめて」といおいとする私の唇を強引にふさぐ。一瞬、信じられないと相手を疑ったけど、彼に一途だった私が、そんなことを忘れていただけで、私はそういう環境の中にいたことを思い出した。今までこうやって生きてきたのだ。
 …きっと今までだってそうだった。寂しさを埋めるために体を求めた。体だけでも求められている実感が欲しかった。愛する人に満たされぬ想いを、愛する人が彫った溝を、他の誰かで埋めようとしていた」



1995年(22~23歳):芸能人としての生活も軌道に乗っている頃、突然母親から連絡が。家を出て9年が経とうとしていた。コレをキッカケに、年に1~2回は実家に帰るようになる。
 過去の恩人であったが、金銭のコトで関係が破綻した「石川さん」が変死したことを知る。
 六本木時代以来の親友「明美」がこの頃結婚/出産。しかしほどなく離婚。主婦/母親になった「明美」と飯島との関係も微妙になる。

「欲しいものは何でも手に入れて華やかな生活を送っていたかに見えた明美。彼女が残した言葉は深く私に突き刺さった。『一番欲しいものは手に入らなかった』」


1996年(23~24歳)両親と和解。彼らも、自分の娘との関係をどうしたらイイか悩み苦しんでいたことを深く理解する。物語はココで終る。


●2000年に「プラトニック・セックス」は出版。翌2001年にはドラマ/映画化。一方、ゴーストライターの存在が雑誌などで取沙汰され、アッケラカンと本人も認めている。当然、書かれた事実の美化、都合のイイ解釈が入っているコトを織り込んで読まないといけない。

●しかし、本文には若き日の飯島が書き留めていた日記の断片のようなモノも紹介されてる。コレはさすがにライターのねつ造じゃないだろう。ここのフレーズが、彼女が死の直前まで更新していたブログの気分と全然変わらないのが、とても痛々しい。
●物語は肉親との和解で幸せに終わるのだが、実際の彼女は自分の抱えた問題を、結局最期まで解決できなかったのではないか? 今や故人となってしまった飯島の運命を知りながら読むと、この本はまるで遺書のようにも見えてくる。


「だれか、私のために涙を流せる男の人はいないですか
 みんな遊びで終っていく。
 愛してくれているのは、そのときだけ
 すごく寂しいよね。
 でもこの人なら、それでもいいって思える日、どこかにいませんか」

(1989年11月13日の文章)

「愛情ってどういうの。 愛してるってどういうことなの。
 愛してるからそばにいたいの。 愛してるからだかれていたいの。
 あの人は何を考えてるの。 あの人の瞳にはだれがうつっているの。
 好きな人のためなら何でもできるの。 好きな人のためなら何でもあげられるの。
 大人の男ってどういうの。 大人の男って何を考えているの。
 男の人ってだれでもいいの。 男の人ってだれでもだけるの。
 愛されたいからゆるせたの。 きらわれたくないからゆるせたの。
 遊びなんかで愛されたくないの。 遊びなんかでだきしめられたくないの。
 あなたにふりまわされたくないの。 あなたのことふりまわしたいの。
 どうして平気で泣かせるの。 どうして平気で笑ってるの
 どうしてふりむいてくれないの。」
   
(1990年2月8日の文章)

「時々、急に、寂しくなったりしませんか?
 理由は、恋をしているからとか、男に振られたからとか、
 忙しない毎日に身を委ね、ふと気がついた瞬間とか
 なんか空虚感が突然襲ってきたり、、、
 大好きな曲を懐かしく感じた時とき、思い出に縛られちゃって動けない事とか、、、
 ない?
 非日常でなく日常の中にポカンと穴が空いちゃっている感じ。
 ない?
 そんなときに、PCに向かう傾向有り、、、心配しないで、
 わたくし、かなり元気にやっております。
 ただ、もの凄い寂しがりやであります。だって寂しくねーか?
 一人じゃ生きていけないんだモン。」

(2008年11月30年ブログ「飯島愛のポルノ・ホスピタル」より)


自分の中にある空虚感に苦しんで、それを埋めてくれる人を必死に探している。誰かと繋がりたいという強烈な願望とソレが裏切られる壮絶な痛みにモガキ苦しんでる様子。あれだけ芸能界で成功し、金銭的にも成功していた人なのに、結局いつまでもこの呪いのような感情から自由になれなかったようですね…。「愛」という名を水商売の世界からもらいながら、結局本当の愛情に恵まれなかった人。なんか可哀想…。


同じ病人として飯島にシンパシーを感じつつ、二児の父親でもあるボクは、彼女の両親にも憐れみを感じる。
●飯島の両親は、内向的な少女だった彼女が、中学生になった途端に非行に走ったコトをどう思っただろう?突然の変貌と思っただろうか? しかし彼女の中では、親への絶対的不信感は小学校を卒業するまでの12年間、時限爆弾のように炸裂するのをジックリ待っていたワケだ。
●両親は、彼女に「正しく生きるスキル」を与えるために厳しく接していたはずだ。それは善意から出発していたのは間違いない。しかし、体罰を含めた指導は、結果的に彼女から「自尊心」を奪ってしまった。彼女は本来両親から感じるはずの「親しい者から大切にされる」という実感を、知ることができなかった。結果「自分を大切にする」コトも知ることも出来なかった。だから自暴自棄にオトコからオトコへ体を預けて毎日を過ごしたし、躊躇なく売春やAV出演へ突き進む。しかも大金で得たブランド品や取巻きの男の数で武装しなくては「自尊心」を保てなかった。
基本的には利発な彼女は、そんなコトは百も承知の自己分析済みだったはず。だからひたすら「愛してくれる誰か」を探し続け、それでも埋まらない「空虚感」に苛まされている自分の感情を書き残した。…これは医者が診断する意味で病気の名前がつくモノではないけども、でもやっぱり病んでいると思うのです。

●彼女の死後、ワイドショーのインタビューに応えた彼女の父親は、最後に娘に会ったのは2月のことだったと語っていた。彼女の実家は江東区とすぐ近く、財産はあっても芸能界引退/失業状態だった彼女、オマケに重い腎臓病まで患っていたのに、会う頻度はその程度のモノなのか……。「プラトニックセックス」に描かれていた親子の和解は、ライターがオチとして仕立てたフィクションなのか…。自分たちの「正しく生きるスキル」の外側で成功した彼女を、結局両親は理解してあげられなかったのか…。ボクは彼らを憐れむし、自分が自分のコドモに対してそういう親にだけはなりたくないと思った。




●ディスコカルチャーの中で、ユーロビートを浴びるように聴き、朝まで踊り狂っていた彼女が、そのイメージからはちょっと意外なアーティストの名前を挙げていたのが印象的だった。1990年、ニューヨークへ行った時に知り合った女性「麻理子」が愛聴していたというバンドだ。帰国してからも彼女はよくこのバンドを聴いていたらしい。

Heaven Or Las VegasHeaven Or Las Vegas
(2007/04/09)
Cocteau Twins

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COCTEAU TWINS「HEAVEN OR LAS VEGAS」1990年
「プラトニック・セックス」からの一節。ソーホーにあった「麻理子」の部屋を飯島が訪れた時のことだ。

「ふと、縦長の窓に目をやると横にはチューリップが生けてある。意外だったので気になった。それ以上にシーンとした部屋で薄く流れていたBGM。踊り狂っていたクラブ系の音楽とはかけ離れた、清らかで美しい曲。ー「こんな趣味があるんだ」
 『COCTEAU TWINS』
 優しく心地よいその曲のアーティストは私のお気に入りとなりこの時間を思い出す。刺激的なニューヨークで唯一の静かな瞬間だった。」


COCTEAU TWINS はスコットランド出身の女性ボーカルバンド。繊細なギターサウンドに ELIZABETH FRASER の澄み切った声を幾重にも織り重ねていくスタイルは、確かに心が浄化されるような美しさを備えている。北国の頬を切るような冷たい風に、ダイヤモンドダストが煌めくような景色。音が結晶しそしてくだけ散る。
●キャリアの最初期こそゴス路線を突き進んでたバンドは、80年代中盤からは音のレイヤーを丁寧に積み上げて、可憐な景色を織り上げることに専心した。飯島愛が渡米した1990年に彼らが発表したこのアルバムは、この路線の最終形態であり、商業的成功の最高点でもあった。
●その後、彼らは所属レーベル 4AD と関係が悪化、メンバーのドラッグ/アル中問題を抱えて低迷、2枚のアルバムを制作したが1997年に解散。飯島愛は、一番いい時代の COCTEAU TWINS を聴くことができたといえるだろう。
●80年代の COCTEAU TWINS は聴くべき音源がまだたくさんあるので、どうぞ皆さんもチャレンジして下さい。このバンドはジャケもとってもキレイだし。

「南風 わたしはわたし らしく跳ぶ」

●DVD「恋は五七五」で知った俳句。好き。そんな俳句を口の中で転がしながら歩くイイ気分。


仕事は楽しい。
●リハビリ出勤とはいえ、仕事っぽいモンをあてがわれて、それにアタマを使うのは楽しい。人に会うのも楽しい。休職する前には「このヤロウ」と密かに思ってた人ですら、再会がウレシい。人事異動で最近やって来た人はドナタサマなのか全然わかんないが、過去に世話になった先輩がソバに移ってきたりもしていて、愉快な気分だ。
●派遣労働打ち切りで困ってる人たちの中には、求人と求職のマッチングが合わなくて就業出来ない人たちがイッパイいるという。「仕事なんて選んでられる身分か!」という人もいるだろう。でもマッチングは大切だと思う。ボクは自殺行為のようなムチャクチャな働き方をして病気になったが、そこまでハマれる職業に就いたコトは幸運だ。働き方は変えるつもりだが、働く事自体は楽しい。やっぱ、ボクは根っからの仕事人間なんだな。
●ノマドたちと話をしてる時、ボクは「パパ、会社に遊びに行かないといけないんだ」と口走ってしまったコトがある。「あ、違う違う、会社に仕事しに行かないといけないのマチガイ!」趣味と職業が入り交じるボクの日常は、遊びも仕事も区別の線がハッキリしてない。ホントバカだね。

仕事はスゴくゆっくりやってる。
ムカシのボクなら、18時間くらいデスクとPCに向かってバリバリ格闘し、一晩で終らせたような資料作りを、ノラリクラリと2週間くらいかけてやるつもりだ。午前中に仕事Aを、午後に仕事Bを、と時間割も決めた。仕事Cもスタンバイが整ったが、仕事Aが完了するまでは、本格的には始めないつもり。
●コピーやプリンター、給湯室の場所の場所もわからないし、内線の使い方まで忘れてしまってる。社内LANのシステムもパフォーマンスが改善してて新しい機能が一杯ついてた。ただそれだけでワクワクする。そんな自分が愉快で楽しい。まるで、知ってるようで知らない世界、少しだけズレて存在するパラレルワールドに迷い込んだようだ。



●また、再結成バンドの話してイイ? しかも予告しておいた PIXIES じゃなくて、他のバンドなんだけど。


THE VERVE「FORTH」

THE VERVE「FORTH」2008年
●キタ!10年以上間をあけて発表された新譜!このバンド、ファーストからダイスキだったんだよね!だから、唐突だけど、語ります。この UK のシューゲイザー/サイケデリックロックバンド。

THE VERVE

●1989年、マンチェスター郊外で結成されたこのバンド。中心人物はボーカリストの RICHARD ASHCROFT。見て下さい、この面構え。ロングヘアにティアドロップなサングラス。そのフテブテしい態度は、松田優作さえ連想させる風格。独特のネバリが唯一無二の響きを持つその声からは、ナルシスティックな自己陶酔と自惚れと生意気と性格の悪さが滲み出てて、ロックスターとして最高(&友達だったら最低)。そんで「マッド・リチャード」とあだ名されるほどの見事なヤク中。エクスタシーのオーバードーズでツアーを潰したコトもある。でもそんなロクデナシだから出来る音楽がある。


VERVE「A STORM IN HEAVEN」

VERVE「A STORM IN HEAVEN」1993年
VIRGIN 傘下の メジャー内レーベル HUT と契約してリリースしたファーストアルバム。リアルタイムでコレ聴いた時はぶっ飛びました。一曲目の一発目の音、じょわわわぁぁぁああああ~ん!というギターのワンストローク、そして深い深いエコー、ポロポロとつま弾かれる音の一つ一つが、水滴が美しい波紋を描くように響き渡る。深い深い湖の底からゆっくりゆっくり湧き上がって来るかのようなコーラス。そして「マッド・リチャード」の雄叫び。確実なグルーヴ感と、ダイナミックでありながら繊細なノイズギターが巻き起こす波に、身をドップリ浸らせながら白昼夢を見るようにヤツが歌う。そんで激しい渦が巻き起こって、音響と色彩が入り乱れる亜空間に持ってかれる。ホンマモンのサイケデリックロックだと思った。だってホンマモンのジャンキーなんだもん。
●音響処理は、THE STONE ROSES などを手掛け、90年代初頭のUKサウンドの頂点を極めたプロデューサー JOHN LECKEYサイケデリックであると同時に、彼らの音楽は「シューゲイザー」でもあった。THE JESUS & MARY CHAIN、RIDE、SWERVE DRIVER、SLOWDIVE、そしてあの MY BLOODY VALENTINE らがカテゴライズされてた、「シューゲイザー」というサウンドの特長は、ボーカルをかき消すほどの爆音ギターノイズ。しかし、VERVE のギターノイズ、特にこのファーストアルバムにおける神業的リバーブ効果は、スロウコア、ポストロックといった他の潮流と合体して復活する00年代の「ネオ・シューゲイザー」の耽美的気分に近い。今のこのバンドだけを聴いている若い人には是非聴いてもらいたい。全然見え方聴こえ方変わるから。


THE VERVE「NO COME DOWN (B SIDES  OUTTAKES)」

THE VERVE「NO COME DOWN (B SIDES & OUTTAKES)」1994年
●コレもよく聴いたわ。特に神がかってるのは、1993年の GLASTONBURY FES. で演奏されたライブ音源「GRAVITY GRAVE」ブットいベースラインの上に、深いエコーに沈むノイズギターと酩酊するリチャードのうめきが9分間以上続く。この「重力の墓」と題された曲はインディEPのみで収録、オリジナルアルバムでは聴けないから注意。バッドトリップとはこのコトだわ~、重力に囚われて深く深く地中に埋め込まれてしまう気分になる。
●あ、ちなみにバンドの名前が、VERVE から THE VERVE になってます。老舗ジャズレーベル VERVE と名前でモメたからです。


●しかし、この辺で、もっと悪いヤツらと仲良くなっちまって、このバンドの音楽性は変化する。

THE VERVE「A NORTHERN SOUL」

THE VERVE「A NORTHERN SOUL」1995年
もっと悪いヤツらって誰だって? 同郷マンチェスターから登場したあの世界一有名なチンピラ兄弟ですよ。そう、OASIS!RICHARD ASHCROFT NOEL兄さんとマブダチ。GALLAGHER 兄弟は RICHARD にハッキリと強いリスペクトを表明している。
●そんなこともあってかなくてか、よくワカランが、とにかく UK はブリットポップ時代に突入、我らが THE VERVEシューゲイザーからブリットポップ路線に進路変更しようとした。リスナーとしての当時のボクはガッカリしたな。シューゲイザーそのものが大好きだったし、サイケ路線をハッキリ打ち出してた THE VERVE のオリジナリティも貴重と思ってたから。当時の評価はハッキリ言って失敗作。世間もそう見たはず
●しかし、この記事を書くにあたってこのアルバムを何回も聴いたら、だんだんスゴいアルバムだと感じるようになってきた。ブリットポップはイイもワルいも分かり易いポップさ、大合唱出来る取っ付きやすさが大事だったけど、その意味では「A NORTHERN SOUL」は全然ポップでもなく大合唱も出来ない。中途半端だ。しかしよく聴き込むと、ギターがスゴい。RICHARD ASHCROFT こそこのバンドの個性を形成してると思い込み勝ちだけど、ギタリスト NICK MCCABE の仕事がスゴい。コイツこそ、サウンドデザインの頭脳だと判明。ネチッコイ RICHARD のボーカルに絡み付くように、重密度のソリッドギターを緻密にかき鳴らし、ドラマチックに曲の輪郭を描く。大きな滝のような圧倒的なプレッシャーをかけて、ケミカルに染まったカリスマ RICHARDの背後に虹を描く。NICK のプレイには決して消えないサイケ魂がくすぶる匂いがする。NICK がいて初めて RICHARD は輝くのです!
●しかし、この RICHARD & NICK に摩擦と軋轢が生じ、バンドは一時解散状態になる。NICK がバンドを出てっちゃうのです。「FORTH」は再結成作と言われてるが、実は再々結成なんです。コイツらジャンキーはやっぱ社会性が欠けてるわ。


●しかし、まぐれ当たりの大ヒットが出てしまう。

THE VERVE「URBAN HYMNS」

THE VERVE「URBAN HYMNS」1997年
●さて、ココでクイズです。前作ジャケと今作ジャケには決定的に違うポイントが一個あります。ちょっとしたマチガイ探しです。よーく見て下さい。……なんかヘンでしょ。……まだよく分からない?……もうちょっと待ちましょう……もうわかった?……もう正解言っちゃおうかな……。……前のアルバムは四人の顔、今度のアルバムはジャケに五人写ってる!
NICK が抜けた後、バンドは元 SUEDEBERNARD BUTLER とかを雇って穴埋めしようとするがうまくいかず、結局幼なじみの SIMON TONG というヤツを入れる。そんでサードを作ろうかな~と思ったら、NICK が帰ってきた。だからこの時だけバンドは5人なのです。1999年にまたバンドがケンカ別れ解散するまで代打ギター SIMON くんはバンドに所属してたが、最新作では声がかからなかったようで、今はいません。
●そんな経緯を経て出来上がった音楽で、バンドは超特大ヒットをモノにしてしまう。アルバム一曲目の「BITTER SWEET SYMPHONY」だ。この曲でこのバンドを知った人も多いだろう。THE ROLLING STONES の楽曲のために収録したオーケストラの演奏をサンプルして、アタマからコーダまで、徹頭徹尾コレでもかというくらいループさせたこの曲、さすがに一度耳にしたらアタマから離れない中毒性があるし、反復から生まれるサイケ感も漂わせてる。
●当初真っ当な手続きでサンプル許諾を取ったのだけど、大ヒットした後、「オマエ、サンプルは一応許可したけど、あまりにもコスリ過ぎだわ。つーかコレじゃパクリ!」と突っ込まれ、作曲クレジットにストーンズの二人の名前 JAGGER/RICHARD を突っ込まれたというオチまである。
●この大ネタ使いがあまりにもキャッチーだったと再認識したのは、この曲を家でかけてた時。ムスメヒヨコが「パピポ、パピポー、パピポー、パピポー!」と歌い踊り出したのを見た。一応10年以上前の曲なのに、全然劣化してないのね。
●しかし、今までの THE VERVE の作風とはほとんど関係ない、マグレで出来たようなこの曲は、結果としてはバンドを不運にしたと思う。だって、他の曲と違い過ぎるんだもん。この後も「BITTER SWEET SYMPHONY」みたいなモンを期待されても、あんな荒技二度と出来ないよ。アルバムの全体の雰囲気はサイケ度やや後退、ブリットポップ化進行。最終的に、1999年、バンドは解散!このまま終ってたら、このバンドはタダの「一発屋」としてロックの歴史に記憶されるだけになっただろう。
●ちなみに、ソロになった RICHARD ASHCROFTは、2005年の大イベント「LIVE 8」で、やはりマブダチの COLDPLAY をバックに「BITTER SWEET SYMPHONY」を熱唱している。


●魔法が解けた RICHARD ASHCROFT

RICHARD ASHCROFT「ALONE WITH EVERYBODY」

RICHARD ASHCROFT「ALONE WITH EVERYBODY」2000年
●ソロになった RICHARD の一枚目のアルバム。正直ガッカリしたので、3枚出てる彼のソロはコレ以降聴いてない。うーん、一言でいうと、フツウのロックシンガーになっちゃったのよ。NICK MCCABE のギターを失っては、彼の醸すオーラは半減してしまう。かつての狂気は「NEW YORK」ただ一曲だけにしか感じない。ロックとしては悪くないよ。でも、最初期のトチ狂った VERVEと比較すると、気が抜けた炭酸飲料のよう…。
「URBAN HYMN」で生まれた佳曲「THE DRUG DON'T WORK」では「クスリはもう効かない。アレはオレをダメにする。でもオレはきっとキミとちゃんと向き合う事が出来るようになるだろう」と歌ってた RICHARD。彼にとっては結婚を経て子供も生まれた時期。クスリを抜いて真っ当な人間になろうとしてたのかも知れない。キャリアの曲がり角。


THE CHEMICAL BROTHERS「COME WITH US」

THE CHEMICAL BROTHERS「COME WITH US」2002年
●このアルバムのトリを務め、シングルカットもされた曲「THE TEST」では、フィーチャリングシンガーとして、久々にイイ仕事をしてる RICHARD くん。ケミカル楽曲の中でもボクの中ではかなりハイランク。プロモビデオも含めてこの曲は傑作。暗い水中にフワフワ漂うオンナノコがシロナガスクジラに飲み込まれて迷い込むフシギ世界。キャッチーに展開するケミカル兄弟ならではの取っ付きやすさに、RICHARD の甘ったるい声がウマく絡まって、曲は疾走して行く。彼の声はスロウな曲でこそネバリ気が立つかと思ってたが、高速ビッグビートにこれだけ相性よく機能するのは痛快。ケミ兄弟か本人か、機能させたヤツもスゴい。


そんでオハナシは、THE VERVE の現在に戻ってきました。「FORTH」、11年ぶりの新作。
●オリジナルメンバー4人が集結した復活作。最初は、ぶっちゃけドコを聴けばイイのかわからなかった…。ボクの中の THE VERVE がココには見つからない。サイケでも、シューゲイザーでもない。フツウのロックなのだ。こりゃ戸惑った。駄作なのか? だから何回も聴いた。そして結果到達した答え。
●……つーか、これはフツウのロックではなくて、王道のロックなのではないか。クスリを抜いてシラフになって、大人になって、小細工なしの勝負をしに出たわけだ。去年のサマソニ来日ライブでも披露された冒頭2曲「SIT AND WONDER」「LOVE IS NOISE」をジックリ聴いて、思わず連想してしまったのは、90年代末以降の U2 だ。相変わらず NICK MCCABE のギターは圧倒的なパワーで時空を支配する。でもそこにはトリッキーなプレイや小手先ワザがない。深いエコーで単音をパーンと長くならすプレイは U2 のギタリスト THE EDGE のプレイを思い起こさせる。そして RICHARD ASHCROFT の粘っこいボーカルは、BONO の放つタフな色気と同系列だと気付く。かつてジャンキーだった男が、真摯に叫んでいる。

「LOVE IS NOISE, LOVE IS PAIN, LOVE IS THESE BLUES THAT I'M SINGING AGAIN, AGAIN, AGAIN, AGAIN, AGAIN, AGAIN ……愛はノイズだ、愛は痛みだ、愛はブルースで、ソレをオレは何度でも何度でも歌い続ける……」


RICHARD は今後、次のソロ作の準備に入るとの情報もあり、THE VERVE は再び長い冬眠に入ってしまうのかも知れない。しかし、流行りやスタイルに左右されないブットいロックを鳴らしてくれるなら、ボクは何年でも待ちますよ。


●予告した PIXIES はちゃんと準備中です。PIXIES も味をしめるとクセになるバンドだけど、そのクセを言葉に定着させるのは難しくて…。

自律神経失調症とのお付合い(その83)~「胃カメラ&1年半ぶりの我がデスク」編


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浜松町から会社のある新橋まで、一駅分を歩いて出勤するボク(体力作り)。
●その徒歩ルートで気になる存在があった。芝大明神という神社さんだ。年明けから毎日大勢のサラリーマンの人々が、ココを訪れ、本殿の中に入ってお辞儀している。中でどんな儀式が行われているのか、そもそもどういう動機付けでココにみんな来ているのか、全くもって不明である。気になる。
本来、初詣とか、そういう伝統行事がダイキライなボクである。コドモのお宮参りさえボイコットして、ワイフと実家のジジババだけで行かせてしまった人間である。でも今日は、リハビリの新段階に進む記念すべき日であり、懐かしきスタッフたちと大手を振って会えるようになる日である。そんな日は、このテの神様に、祓い清めてもらうのはいいコトではないだろうか。そういうコトで、ガラにもなく出勤前にこの立派な神社に立ち寄り、お参りする事にした。日本神道のカミサマは「清め」のカミサマだ。「これからリハビリが最終段階に入ります」と報告し、この穢れ切ったココロとカラダをチョッピリでも「清めて」もらえればイイ。
●写真右を見てもらえばわかるが、祀られてるカミサマがたくさんいてスゴい。天照皇大御神、豊受大御神を筆頭に、事代主命、大国主命、倉稲魂命(ここら辺意味不明)、そして菅原道真、源頼朝、徳川家康(ああ、この辺も神様扱いなんだ)と、まさしくオールスターズなメンツ、しかも後2人のDFとGKがいればサッカーの布陣にも見えてくる並びに感心する。
●巫女さんがせわしく動き、たくさんのサラリーマンが吸い込まれて行く本殿入り口は、一体どんな秩序で仕組みが決まってるかわからないので、近づかなかった。戸惑ってると、目の前で一人のオジさんが洗練された動きで、目の前の賽銭箱に小銭を入れお参りをこなした。ああ、ああやればイイのか。本で呼んだ通りだ。「二拝二拍一拝」
お賽銭は、小銭全部を入れてやろうと財布に指を突っ込んだら、なんと25円しかなかった。ゴージャスでメジャー級のカミサマ8人に25円。8分割して一人につき3円強。す、すいません、手持ちなくって…。金額は低いが、柏手はラウドに打ったツモリだ。パン!パン! とにかく、よろしくお願いします。これからボクがやることを「清めて」下さい。おそらく十年以上ぶりの初詣であった。


でもなぜか今日は、胃カメラの検査がある。
●人間ドックの結果が出たら、再検査の赤マークがイッパイついてしまってた。なぜボクはこうもトコトン不健康なのだろうか。気がめいる。中性脂肪やコレステロール、γ-GTPなどの値がダメで「軽度の脂肪肝」との話。尿酸値も高いのでクスリを飲んで押さえてる。バリウム検査で胃に異常ありとのことで、胃カメラでの再検査をしろと言われた。そんでその検査の予約がとれた日が、たまたま今日だった。

胃カメラには苦い思い出がある。アレはボクが20歳、大学生の頃。
自分で企画したイベントで下手を打って大赤字、100万円の請求書が送りつけられてきた。この時は負債をハジキ返す事に成功したが、大人に騙されたり見捨てられたりと踏んだり蹴ったりだったので、ヒドいストレスから胃潰瘍になって一ヶ月ほど寝込んでしまった。
●で、胃カメラを初めて体験することになった。それはもう最低の気分だった。「おえー」っとボクが真剣にモガイているのに、お医者さんはボクにモニターを見せて「ああ、ココだよ、穴が開きかけちゃってるね、ああ、こりゃイタイわ、ここも赤くなってるよ」とノンキに解説する。素人メには内臓の表面は全部赤く見えるから、申し訳ないけどアナタの説明は1ミリもわからない。黙って早く終らせてくれ。
●その日。ボクは自分の潰瘍を起こしてる内臓の写真をもらい、その写真をフトンで眺めているウチに、コレをTシャツのデザインにしたらオモシロいんじゃないかと考えた。Tシャツのオナカの部分にオナカの中の写真がプリントされてるってオモロいじゃん。しかも胃カメラの写真なんてそんなに馴染みないし。ボクはこの思いつきで、仲間数人を集め、バカTシャツを作るサークルを立ち上げ、たくさんのTシャツを作っては、学祭やクラブイベントで売った。……コレが15年ほど前の胃カメラの思い出。

●15年ほど前の胃カメラはぶっとくて、飲み込むのは苦行以外の何者でもなかったが、この月日の流れで医学は進歩し、快適に検査出来る胃カメラが開発されてるだろうとボクは信じてた。しかし、会社診療所の検査室にあった胃カメラは、15年前と全然変わらない堂々とした太さのママで、ベッドに横たわったボクの前にエラそうに垂れ下がってた。ああ、この15年の医学の進歩はこの苦行を全く緩和しなかったのか。
●喉の奥からワケのワカラン音がゲロゲロ鳴って、涙チョチョ切れ状態の中、胃カメラはボクの消化器系の中へ潜航して行った。黒い胃カメラには5センチおきに白いマークがあって、何センチカメラが入っていったかわかるようになってる。涙ポロポロのボクの目の前には70センチと書いたマークが見える。つまり胃カメラの先頭はボクの内臓約70センチの地点まで到達。おえーっ!
●今回の女医さんは無駄事は一切口にしないが、胃カメラをグリグリねじりながら、注射器のようなモノで胃カメラの根本に液体を打ち込んでいる。胃カメラに打ち込まれた液体は、そのままボクのオナカの中でジャーッとシャワーのように振り撒かれてるようで、胃の内側が冷たくなる。しかもハンパな量じゃない、そんなにブチ込まれたらオナカがタプタプになってしまう……。この感覚、イチバン近いのは「浣腸」……。オシリの穴にブチ込まれるのと、内臓に直接ブチ込まれるのは、なんか似てる……もしやこんな感覚を愉しむマゾマニアがこの世界にはいるのかも知れない、と連想して、ああボクは浣腸でもコレでも気持ちよくなったりするマニアではないコトが実感出来てよかった~と思った。
●結果検査後全然タプタプになってなかったのが不思議だったが、液体(タダの水)をブチ撒いた後、胃カメラがまた全部吸引してしまうそうだ。それでもおえーっ!には変わらないけど。胃カメラがスポーンと引き抜かれた後、自分でもビックリするほど大量の唾液(なのか?ホントに)が口からドバドバ出てきてウンザリした。

●診察を受ける。とにかく専門用語だらけでちっとも理解出来なかったが、胃酸が強過ぎて食道に逆流し「バレット上皮」って状態を作ってるらしい。ほら意味わかんないでしょ。おまけに胃壁のアチコチに「出血性びらん」というのが出来てて、十二指腸にも軽い炎症があるそうだ。あげく「粘膜性腫瘍」とかいうモンまで発見された。米粒以上大豆未満と説明された。「こういう腫瘍がね、将来がん化したりするもんなのよね」……今ツルッとシレッとセンセイ発言しましたが、「がん化」ってどういうことですか?「いやいやまだそんな大げさなモノじゃないけど、今後は毎年胃カメラ検査を受けて経過を看るようにね。あまり大きくなるようなら組織を取って検査しないといけないから」毎年胃カメラ……おえーっ!
●結果、今度は胃酸を抑えるクスリを服用することになった。クスリがまた一つ増えた…。もう長生きしねえなボクは。財産は作らずトットと使い切ってやる。看護師「のび太くんのママ」がムダに慰めてくれる。「そんなに特別スゴく悪いわけじゃないのよ、よくあるパターンよ、ウチの会社には数十人くらいこんな症状を持ってる人がいるわよ」全社員1500人のウチの数十人じゃ、やっぱレアってコトじゃん!


休職以来、一年半ぶりの我がスタッフルーム、我がデスク。
今週、初めて自分のデスクに戻ってイイという許可が下りた。今までは、職場に入る事で精神的ショックなどを感じたり対人関係で感情がぐらついたりする事を心配されてたのだ。まあ、フツウはそういうモンなんだろうから従ってたけど、ボク自身にはナニも影響しない。だって、ココでの仕事はダイスキだったんだから。
●今度与えられたデスクは「29階」で、リハビリはそこで行われるのだが、今後は業務により近い内容の作業をするので、必要最低限の荷物を6階分室スタッフルームにあるボクのデスクからアレコレ持ってこないといけない。
●そんな訳で、踏み入れた懐かしのスタッフルームだが、とりわけナニかの感情が沸き起こる訳でもないのが正直なトコロ。久しぶりのカオもたくさん見たが、みんな元気そうだしセッセと仕事してるので、あんまりボク一人がワクワクしてもしゃーないし。話したいコトは多々あるが、ゆっくり話すのはホントに全部リハビリが終ってからにしよう。後輩たちが声をかけてくれるのがウレシいが「この部屋はボクには不健康な場所なんだとよ!」と言って切り上げた。知らない新入りもイッパイいると聞いたが、果たしてホントに知らないヤツなのか、ボクが忘れてしまったヤツなのか区別がつかない。おいおい一人づつチェックしていくか…。幹部の大先輩たちも声をかけてくれるが、休職前と全く変わらないテンションで接してくれるのがウレシい。「オマエのデスク、キタねえからナントカしてくれよ!」ナニゴトもなかったように接してくれるのがイチバン楽だ。
●今日は、デスク周りの荷物を整理するだけで終った。膨大な資料が置かれたままだった。ホントに強制終了シャットダウンしたように職場から引きはがされたから、一年半前のグラフデータや会議資料がそのまま残されている。こんなモンもはや役に立たないから、内容も見ないで全部捨てたらサッパリした。ボクが握り込んでた CD-R も後輩に「オマエが今度から管理してね」と全部渡しちゃった。仕事は極力軽量化。今日出来る仕事もドンドン明日にまわす。そして昼メシは昼にちゃんと食う。一年半前とは真逆の生活を実践する日がとうとうやってきた。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html
今日は成人の日。鍼灸のセンセイのトコロで、ハタチのオンナノコと話をする。
●明日からリハビリも新ステップに入るので、コンディション調整のために鍼灸治療に行った。そしたら、新しいアシスタントのオンナノコがおった。センセイ「このコね、春までちょっとコッチで預かってるの。ボイストレーナーの先生がお得意にいてね、その先生の生徒さんなの。ね、カオルちゃん!」「ハイ!カオルです。よろしくお願いします!」ボイトレしてるだけに声の通りはスゴくイイのだが、紹介されてるその瞬間、ボクはうつ伏せで全身に鍼を刺され、電流を流されている状態なので、クッションに顔を埋めててカオルさんの顔が見えない。あー、すんません、おカオ見えないけど、ヨロシクです。
カオルさんは、なんとロックバンドのリードボーカルで、今春メジャーデビューが決まってるという。新潟出身で、故郷でロックバンドを組んでたそうな。その時の音源をネットに公開してたら、メジャーレコード会社のディレクターの耳に留まって、一気に契約&上京。一年くらいシッカリ準備をしてバンドデビューする。ほう!スゴいね。ボクは相変わらすうつ伏せでカオルさんの顔は見えないのだが、音楽トークに花が咲く。

●へー、ネットで新人発掘かー。MY SPACE で聴かせてたの?「マイスペも出してんですけど、あんまりイジってなくて…。ソレじゃなくて、なんかインディ系の音源を集めてランキングで紹介してるサイトがあって、そこで結構いいランクにずっと上がってられたんです」そのサイトは「AUDIO LEAF」というらしい。不勉強で初めて知った。読者のご参考のため、ここにリンクしときます。
●どんな音楽なの?「うーんと、ポップロックっていうか…エルレほどコアじゃなくて…」ELLE GARDENキミらの世代の基準音楽なんだ…きっとボクにとっての BOOWY や NIRVANA みたいなモノなのだろう。15歳も年が違うとシーンの見え方も全然違うんだろうな…。キミが書くの、詞曲?「いや、曲書きが一人いて、ソイツが全部やるような感じで」好きなアーティストは?「宇多田ヒカルさんです」ん?ホントはR&B志向?「そういうワケじゃないけど…もう彼女は別格というか…」確かに彼女は天才だよね。この前のアルバムとかプログラミングまでほとんど自分で全部やってるもんね。たいしたコトない内容の詞なのに、ニュアンスの込め方がスゴいから聴けちゃう。

ELLEGARDEN「RIOT ON THE GRILL」 ELLEGARDEN「RIOT ON THE GRILL」

(エルレをボクが一番最初に知った時の一枚。超ロングセラーだったような気がする。海外進出も果たす器だったが、2008年惜しまれつつ活動休止。)

宇多田ヒカル「HEART STATION」 宇多田ヒカル「HEART STATION」

(紀里谷のダンナと別れて、一時傾倒してたゴス路線から帰還、今回は実にシンプルで小細工のないトラックで風通しがイイ。マジで本人が単純な機材とピアノだけで作ったような潔さを感じる。メロディの乗っかり方とニュアンスの込め方は変わらず天才的。ボクはかなりのウタダ支持者ですよ)

●洋楽は聴かないの?「あまり自分からは積極的には……強いて言えば、PARAMORE とか…」いきなり PARAMORE かい!?確かにあのバンドはオンナノコボーカルだったっけ。ポップロックって言うけど、実はちゃんとパンク/エモ志向じゃん…。ボクの周りにはポロッと PARAMORE の名前を出す人間ってほとんどいないからちょっとビックリしちゃった。
●施術が終って、服を着てロビーに出てきて、会計カウンターの中に美少女を見つけた。新潟北国育ちだからか肌が白い。カオルさん?やっと顔が見えた。こんなにカワイいとは思わなかった。ガンバってね「はい!名刺とか持ってないんですけど、今後もよろしくお願いします」アナタはタレントさんだから名刺はいらないでしょ、カオが名刺。じゃねー。

●家に帰って、PARAMORE の音源をチェックした。ボクの「なんとなく買ったけど聴いてないCDの山」に埋まってた。

PARAMORE「ALL WE KNOW IS FALLING」

PARAMORE「RIOT !」

PARAMORE「ALL WE KNOW IS FALLING」2005年
PARAMORE「RIOT !」2008年
エモってまだボクの中ではキチンと整理されてないロックのジャンルで、こと最近の物件は正直追いついてない。ゴスエモもいるし、ハード過ぎるエモ(スクリーモ)とか、スロウコアエモとか、ピアノエモとか、エモ自体がもう多岐に分化しちゃったので、ツカミドコロがない。
●それでも、この PARAMORE ってバンドを聴きもしないのにエモと認知してたのは、所属レーベルが FUELED BY RAMEN だったから。このレーベルには、FALL OUT BOY がおり、PANIC IN THE DISCO がおり、LESS THAN JAKE がおり、以前は JIMMY EAT THE WORLD YELLOWCARD がいた。ボクにとっては、FALL OUT BOY 以外は全部結構お気に入りのエモバンドだ。レーベルの名前もヘンテコ(FUELED BY RAMEN =「ラーメンで満腹」)なので目をひいた。
●実際、エモオンナノコボーカルってワリと珍しいのでは? ボーカル HAYLEY WILLIAMS は弱冠二十歳で(カオルさんと同じじゃねえか)、AVRIL 以降のロックアイドルと混じってしまいそうだけど、結構ザックザックと起伏を作るダイナミックなギターサウンドと爆発力ある曲展開は、まさしくエモの典型で、よくぞこの骨太なサウンドを気丈に乗りこなしてるもんだと感心するのでした。二枚目になると曲調にバリエーションの広がりも出てきた感じ。この時グラミー最優秀新人賞受賞。
エモは少々メソメソした軟弱男子ボーカルの方が実は個人的に好みなのだが、カオルさんのような娘が聴く音楽なんだと思うとソレだけで価値を感じる。今のキッズがリアルに楽しんでる音楽をキチンと知りたい。

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(PARAMORE のボーカリスト、HAYLEY WILLIAMS。ココではキンパツだけど、オレンジに髪を染めてる写真もあった)

え、そんで、カオルさんのバンドは一体なんて名前のバンドなのかって?
●気になるでしょ。でもナイショにしちゃいます。ヒミツ~。もし売れたら、ボクは有名人とコッソリ知り合いってコトになってイイ感じじゃん。デビュー盤がリリースされたら、シレッとココに紹介してると思います。敢えてヒントを出せば、「カオルさんの生まれた年」
マイスペで試聴した所、確かに PARAMORE 風なエモっぽくもあって、ボクがイメージしてたポップロック(カワイいカオルさんの顔からプリンセスプリンセスみたいなモンをイメージしてた)よりももっとハードで、しかも多少の悲壮感漂うゴス要素も含有。プロフィール写真は、彼女の黒髪が妖しく光ってて、会った時の明るさとは全然違う印象になってた。オンナノコは変わるわ。
詰め込んだ歌詞が饒舌でアニメソング的なモンに相性がイイかも(例えば「ガンダム」とか。UVERWORLD「儚くも永久のカナシ」 を連想しちゃった)。かつメロディの難易度は高くて、彼女のポテンシャルを超えてる瞬間もアリ。ウラ声まで高域に展開して行く時に無理が出てる。ボイトレで克服してくれ。

UVERworld「儚くも永久のカナシ」 UVERworld「儚くも永久のカナシ」

(今週の放送から変わっちゃったけど、去年までの「機動戦士ガンダムOO - セカンドシーズン」の主題歌でした。ドラマ「働きマン」の「浮雲CROSSING」といい、ボクの好きなテレビの主題歌にナゼかよく出て来る。あともう少しで好きになっちゃいそうで悔しい)

売れるかな?どうかな?誰にどんな風に売るかだな…確かにオンナノコボーカルでこの分野やってるバンドは少ない気がする。インディ臭を残してヘンに薄めない方がイイか?BASEBALLBEAR みたいなトコロ目指して。いや、敢えてグッとメジャーサウンドにすべきか?HIGH AND MIGHTY COLOR のようなボジションにつけられたら最高だろう。アレはミクスチャー系入ったラウドロックだけど、カオルさんのバンドもヘヴィ度は変わんないし。

HIGH and MIGHTY COLOR「辿り着く場所」 HIGH and MIGHTY COLOR「辿り着く場所」

(男女のツインボーカルだったハイカラ。女子ボーカリスト、マーキーちゃんは、一部でアイドル化し男女両方の支持を集め、映画の主演までこなしてしまったのに、ドリカムの中村正人とイキナリ歳の差結婚してバンドを脱退。うーん、もったいない。)

昨日テレビをつけたら、「世界一受けたい授業」にオノ・ヨーコが出てた。
でんじろう先生の実験を楽しんで見てたコドモたちには、後半登場してきたこのヘンテコなオバさんの言ってる事に関してはピンとしてなかったようだ。そこでジョンレノンとキスしてる写真がパネルとしてセットに大きく出てたので、その写真をジャケに使ったLP「DOUBLE FANTASY」を見せてやったら「あーおんなじだー!」と喜んでくれた。

Double FantasyDouble Fantasy
(2000/09/22)
John LennonYoko Ono

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(JOHN 生前の最後のアルバムだね。「STANDING OVER」と「BEAUTIFUL BOY」が入ってる。1980年)


オノ・ヨーコ「IMAGINE」をテーマに講義をしてたので、「IMAGINE」を聴かせたがコドモたちには全然響いてない。そこでグルーヴィーなヤツをスピンしてみた。「INSTANT KARMA」と「POWER TO THE PEOPLE」そしたらノマドヒヨコはリビングで激しくダンスを始めた。バレエをかじってるウチのコドモたちはダンスをフリーに踊る事に抵抗がないのだ。さあ、ダンスの時間だぜ!「GIVE PEACE A CHANCE」にはリズムに合わせて、鈴やカスタネットを打ち鳴らす。ガチャガチャのカプセルの中にBB弾をザラリと入れて即席のマラカスを作ってシェイクする。ボクのDJミキサーからは、リビングの様子が見えるようにレイアウトされてるので、そこからコドモを煽る。さあ、もっと騒げ!

Shaved FishShaved Fish
(1990/10/25)
John Lennon

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(JOHN ソロ期のシングルベスト。「SHAVED FISH」ってカツオブシのコトなんだって!収録曲の中では「COLD TURKEY」が一番好きなんだけど、アレはドラッグソングだからコドモたちにはマダおあずけ)

パスト・マスターズ Vol.2パスト・マスターズ Vol.2
(1998/03/11)
ザ・ビートルズ

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(後期 THE BEATLES のシングルベスト。ムカシの「ポンキッキ」ってやたらビートルズ使ってなかったっけ? 子供に向いてんだよ、ビートルズは)

●あまりにノリノリなので、THE BEATLES「PAST MASTERS VOL.2」から有名曲を連発した。「DAYTRIPPER」「REVOLUTION」「PAPERBACK WRITER」「WE CAN WORK IT OUT」(もうジョンじゃなくてポールじゃん)…。シメはチルアウトで「ACROSS THE UNIVERSE」「LET IT BE」。ボクも一緒に踊ったが、やっぱコドモの方がイキがいい。病人のボクは息切れしてしまって床に倒れて動けなくなってしまった。でも、コドモが音楽を楽しんでくれるとウレシいな。ボクはもうライブもクラブも行けないカラダだが、ココでコドモと一緒に踊れればそれで十分だ。



ハナシは変わって……ヒマを持て余しているボクは、またヘンテコなコトを始めた。
●ボクは、ポコッとヒマな時間が出来たりすると、こう考えるよう心掛けている。「今日は、普段の自分だったら絶対しないことをやってみよう、今やってみなかったら多分一生しないであろう物事に触れてみよう」
●で、突発的に自分でも予想がつかないコト、時には全くナンも興味のないコト、何でこんなコトしてんだよと自分でツッコミたくなるコトをする。で、ホントにオモシロくなかったりもする。一方オモシロかったりもする。まあ、そんなこんなでボクはいつも遠回りな人生を選んでる。ワザと蛇行運転するような感じ。「病気で休職」そのものが大いなる蛇行運転で、実はコレがボチボチオモシロい。

そんで、休職中のヒマモードの中で、様々なマイブームが起こり、過ぎ去って行った。
●ブログに書いた事もあるが、あまりにもくだらなくて書けないような事もある。サザンのアルバム未収録シングルを全部集めたコトはブログには書いたが、実は同時並行で松任谷由実の全アルバムも集めた。コレは全くオモシロくなかった。地球儀の球面をトレーシングペーパーに写し取り、経線と緯線を入れ替えたメルカトル図法の世界地図を作ったら大陸はどんな歪み方をするだろうという実験は、トレーシングペーパーをPCにスキャンしたトコロまでやって挫折した。予備知識なくシモキタザワの小劇場に当日券で飛び込んで知らない劇団の芝居を見るのはオモシロかった。実はコーヒーが嫌いなのに個性派カフェ巡りを繰り返して最近胃が痛くなってきた。長年放っといてた親知らずを抜いたら最高にイタかった。囲碁のルールを覚えようとしたが、相手をしてくれる友人が地球上にいなかった。

で、先週からハマっているのが「宅建」の資格試験の勉強である。「宅地建物取引主任者」である。
●なぜ「宅建」か?自分でもよく分からん…。ボクの職業に不動産取引など1ミリも関係はない。契約がどうのこうのも最高にめんどくさくてイチバン嫌いな仕事だ。資格試験の勉強とはいっても試験を受けるかどうかなんて決めてない。ただ、マンションの管理組合の理事長を一年こなし、副理事長として2年目の理事会参加をしている中で、「実は不動産取引のイロハを知ってると、イロイロ有利かもしんない」と思い至った。つーか「法律に無知だと、業者の言いなりになるしかない」と悟った。多分今手を付けなければ一生手をつけないだろうと思った。で、本屋で分厚い参考書を買った。

宅建教科書 宅建完全攻略ガイド1 2009年版 (宅建教科書)宅建教科書 宅建完全攻略ガイド1 2009年版 (宅建教科書)
(2008/12/18)
ヒューマンアカデミー

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「2009年版 宅建 完全攻略ガイド1」
●厚さが3センチくらいもある。500ページ強だ。「ガイド2」もやんないとダメらしい。今週のボクは、大学ノートを一冊買い、毎日1単元ごとに内容をノートにまとめてる。ボクが生まれて一度も書いた事のナイ漢字や聞いた事もない言葉使いがたくさん出てきて、とにかくソレを丸暗記する。
●ドアタマは「民法」の勉強で、契約の仕組みを細かく細かく説明してる。「債権/債務」「制限行為能力者」「法定代理人」「心裡留保」「瑕疵」「顕名を欠く」「催告」「追認権」「表見代理」「無権代理行為」………。完全に漢字の書き取り練習をしているような気分になる。日常会話では絶対使わない言い回しを使って問題は出てくるから、ヘンに柔らかく噛み砕いて理解するのをヤメて、その法律用語の言い回しをひたすらノートに写し取って、指とアタマに覚え込ませる。
まだ、オモシロいかどうか全然わからない。オモシロいかどうかわかるまではヤメられない。オモシロくないと途中でわかっらたらヤメるだろう。でもユーミンのレコード収集は全部集め終わるまでオモシロいかどうかよくわからなかった。もしかしたら最後までやるかもしれない。何年かかっても。


●今日見たDVD。

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(2007/12/21)
細山田隆人蓮沼茜

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●DVD「恋は五七五」
●愛媛・松山市で毎年行われている、「俳句甲子園」を題材に高校生の青春群像を描く爽やかな作品だ。俳句なんて全く縁のナイ連中が寄せ集められて、ギクシャクしているウチに、ウチに秘めた恋心や友情が、いつしか自然に五七五に変換されて出力されてくる。漢字すらママならない帰国子女の少女ハルコは、海外から退屈な田舎に引っ越してきたコトに不満で、ナニゴトにもやる気レスだった。それが、彼女から一番遠いはずの日本語表現で、いつしかノビノビとしていくのが気持ちイイ。
●主人公ハルコを演じたのは、関めぐみ。どっかで観たことある娘だな…と思ってたら、映画版「ハチミツとクローバー」で主要キャラ・山田あゆみを演じてた娘だった。スラッと伸びたキレイな足と、意思の強い目つきが印象的。
●脚本/監督は荻上直子。完全に偶然だが、先月観た「かもめ食堂」を撮った女性監督だった。(その記事へリンク)おまけに、これまた偶然で、荻上直子の最新作品を先週観た。

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めがね(3枚組) [DVD]めがね(3枚組) [DVD]
(2008/03/19)
小林聡美

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●DVD「めがね」
●ボクは、めがね男子なので、タイトルが「めがね」と言われたら見るしかない。もたいまさこ、小林聡美と、出演者が「かもめ食堂」と似たメンツだなと思ってたけど、監督まで一緒とは思ってなかった。
●まさにチルアウトムービーだった…。「かもめ食堂」チルアウトだったが、今回はさらにルーズでチルだ。そしてまたしても要所要所で美味しそうな料理がイッパイ出て来る。美味しいモノを丁寧に撮る監督さんだ。女性らしい感性ってヤツ?
舞台はナンにもない南の島。そこにつつましやかに存在する民宿「ハマダ」。主人公・タエコ小林聡美)は特に意図する事なくソコを訪れたのだが、「ハマダ」を巡る不思議な人々のペースに揺さぶられて、少々当惑気味。宿の主ユージ、近所の高校教師ハルナ、そして春になるとドコからともなくやってくる謎のオバさん・サクラ。サクラが考案した「メルシー体操」なるヘンテコな運動を毎朝やってのんびり暮らす、そんな彼らの得意技は「たそがれる」コトなのだ。そしてタエコも徐々に自分なりの「たそがれ」方を見出して行く。
サクラを演じるもたいまさこの超然たる演技に圧倒。「メルシー体操」を毎日踊り、物物交換で、極上のかき氷を客に振る舞う。そして夏になるとどこかへと姿を消す…。「かもめ食堂」にてヘルシンキでカフェを開く小林聡美ブレない女性だったが、「めがね」サクラブレないどころか観音サマのようになってた。「ブレない」ってのは、オトコに当てはめると頑固で硬直的な感じになるが、女性に当てはめると、しなやかで弾力的で、何でも受け止める包容力を感じさせる。この作品はリラックスして楽しんだ。
●カントク、荻上直子、1972年生まれ、ほぼ同世代、どんな人かもっと知りたいな。


自律神経失調症とのお付合い(その82)~「さらば、癒しの小部屋」編
●年明けも平和に「癒しの小部屋」で暮らしているボクでした。本社ビル31階にある人事局のフロアにある、ちいさな打合せスペースだ。10月から3ヶ月ココで通勤訓練をして、随分居心地もよくなってしまってしまってた。ああ、ココって役員のがイッパイいるフロアだから、暖房も高め設定で、ヌクいんだよな~。


ほんで、一昨日、朝イチで、人事部長に呼び止められた。
「あのさ、オマエ、来週から29階だから」…へ?はあ。
その20分後に今度は労務部長が。
「えー、来週から29階ってのは、診療所から聞いてるだろ」…はあ、聞いてません…。でも、あの、つまり、それってリハビリのステップを次に進めるという事ですか?

「29階」とはボクの所属部署のあるフロアだ。激務時代のボクは6階分室のスタッフルームだけに入り浸っていて、局長始め幹部がウジャウジャいる「29階」にはほとんど近寄らなかった。実はボク用のデスクがあったらしいけど、一度も利用した事がないし、ドコにあるかも知らない。
●しかし、次のステップであり、復職までの最終段階である「オーダーメイド・リハビリ」は「29階」にて、連休明けから行われることになったのだ。おおおお!キタよ!どーん!ヤマが動きました!
「なんだ、聞いてなかったのか」労務部長。診療所の「のび太くんのママ」さんとは別件で朝結構話したんですけど、その話題は出なかったです…。ああ、今日の夕方、診療所でカウンセリングがあるから、そこで詳しい事が出るのかな…。部長「とにかく、そういうことで。明日、29階の連中にアイサツと今後の打合せをするってハナシだ。よかったな」…あ、ありがとうございます。



で、夕方のカウンセリング。
●診療所のカウンセラーは、ボクが週一で通ってる横浜の精神病院の院長先生だ。「最近はどう?」…アレコレアレコレ説明して、そんで最後に「今朝、人事部長と労務部長から、来週から29階でリハビリだって言われたんですけど」
●そう言った瞬間、センセイは、ズッコケジェスチャー。「あれ、もう知ってるの?あー順序が違うんだよ、もう…」あれ、ボク、ヤバい事言いました?「まあ、キミのせいではないけど……今日の面談で、私が次のステップへ進めると判断したら、正式に動き始める段取りだったんだ。まあ、イイや。大丈夫でしょう!婦長「のび太くんのママ」を呼んで具体的な相談をしよう」

このセンセイが年末に息巻いていた、ボク用の「オーダーメイド・リハビリ」がやっと具体的に動き出す。

●ボクのケースは、通常の患者さんのケースと違い、体力など基礎的な身体能力の回復が遅れているが、業務遂行に必要な事務処理能力や集中力、ある程度の自己管理能力は回復しているとされてる。よって、本来ならポピュラーな業務遂行能力を高めるための単純作業を通して、復職訓練を積み重ねる必要はないらしい。むしろより実戦に近いポジションで復職訓練をしつつ、体力面を注意深くケアする方がイイという。つまり普通の人の復職過程と逆のカタチをしているらしい。

●例えばルームメイトくんは、体力面/健康面でボクのような問題は全然抱えてない(病気発症から今日に至るまで)。ボクみたいにカラダ中が痛いとか肩が懲り過ぎるとか睡眠がメチャクチャだとかヘタするとぜんそく発作を起こすとかはナイ。一方でヤバい病気そのものは多分ボクの症状を上回ってるが、リハビリの結果、既に彼はそれを克服している。多分これが通常パターンで、本来の職場復帰の手前として、単純作業のみを扱うセクションで最終段階のリハビリを行っている。先日31階に久しぶりに顔を出してくれたルームメイトくんは「いやあ、マジで仕事がナイっす。元から仕事がない部署なんですね。ヒマでヒマで」とぼやいていた。彼の本来の部署は、会社の中核事業の中長期戦略計画を練るエリートセクションなので、仕事の質が物足りな過ぎるようだ。

●のび太くんのママを入れて、センセイとボクは、この「オーダーメイド・リハビリ」の意図をもう一度確認し、現行1000~1700まで伸びていた会社滞在時間を一旦1000~1500に縮めて様子を見ることとした。で二週間ごとに滞在時間を見直し、最終的にフルタイムで勤務が出来るようになったら復職となる。
ボクの新しい身元引受人になるのは、本来の所属セクションの上司だ。リハビリの意図は伝えてあるが、それを受けて実際にどのようなメニューを組立てているかは、センセイ「のび太くんのママ」もマダ知らない。だから、「オーダーメイド」と言いながら、ボクはこの段階で全然リハビリがどうオーダーメイドなのかはさっぱりワカラン。翌日、ボクの所属部署の人たちと会わないとナニもイメージできない。



昨日、昼12時。「29階」に降りて、今後の打合せをする。
●看護師「のび太くんのママ」に引率されて訪れた「29階」は、ボクのいない間にレイアウトが大改造されてて、元から馴染みが薄いのにより一層ワケのワカラン雰囲気になってた。休職してほぼちょうど1年半。完全にウラシマタロウ状態。机のレイアウトだけじゃない。度重なる人事異動で顔ぶれもかなり変わってた。
●それでも、直属の女性上司N女史は、全然変わらない表情でボクを迎えてくれた。「unimoちゃ~ん、やっと来たわね~。よかったわ~」N女史は、ボクのココロが壊れ始めているのを、ボク自身よりも先に察知したほど観察眼に優れた知的な女性だ。だから休職以前半年にわたって周囲に隠していた健康問題も、ボクは彼女にだけはキチンと報告・相談していた。
●ボクが休んでいる間にいつのまにか昇進してるし、その仕事面の辣腕ぶりは増々際立ってる一方、女性としての身だしなみも常に完璧(&投資額もハンパじゃない)にしてるのは以前と全く変わらず(ちなみに学生時代は読者モデル経験までアリ)。つまり最強のアラフォー。彼女から見れば、ボクはオタクで変わり者の弟のような存在らしい。変人スタッフがチームに加わるとスグに「あのコはきっと、unimoちゃんと気が合うわ」という。最近配属された新入社員にもそういうコがいるらしい。「今度紹介するから。きっと気が合うわ」早速また言われた。

局長も合流して打合せ。
ウチの局長も女性で、社内でスゴい政治力を持つスーパーウーマン。実はボクが新入社員の頃、現在のN女史のポジションを勤めていたのが局長。だから、つかず離れずで、なにげに12年以上の腐れ縁でもある。「お久しぶりね」はい、おかげさまで大分ニンゲンっぽくなってきました。あ、今フツウに言っちゃったけど、上司一同微妙ヒイテる。「……もうお子さんも大きくなったでしょ」はい、休職してる間に息子が小学生になり、春には下の娘も入学式です。「一番カワイい時期に一緒にいられたね」確かに仕事ばっかのボクは父親として機能してなかったので、休職した事で滑り込みセーフしたトコですね。「ま、あわてずに、スロースタートでね」はい。
N女史から指示された実際の業務メニューは、イロイロ細々あるのだが、基本的に完全に元の仕事の延長にあるモノだからそんなに抵抗はない。差し当たり、PC/モバイル系コンテンツの発展的見直し案を考えつつ、日々の業績をマーケティングっぽく分析してくれるとウレシいと言われた。抵抗はないけど、ワリと高度なタスクかも…。
●昔はマーケ分析の資料作りでいつも終電まで残業してたっけ。データを深読みするのって、統計的な発想とはカンケイない「勘」「コツ」が必要なんだよね~。コッチも客も人間だからね、消費行動にはリアルな生活感覚に則した動機付けがある。そこを読むのは「勘」。しかしそのボクの「勘」は大幅に鈍ってるような気がする。まあ仕事の感覚を思い出すイントロダクションとしてはイイ訓練だろう。
●一方モバイル系コンテンツはボクが立ち上げたようなモンだし、後輩がキチンと整備してるからラクチンなはずだ。どちらの仕事も期限は設定しないしノルマもないとのこと。あくまでリハビリなので。さらに現場スタッフと会ったり使ったりしてもイイし、立ち入りを禁じられていた6階スタッフルームへの出入りも解禁された。あくまで軸足は「29階」で、という前提で。ふう、やっと自分のデスクに帰る事が出来る。



さて、31階の、このお部屋ともお別れだ。

P2000748.jpg

最後なので念入りに掃除をした。毎朝手伝ってた新聞の労務カンケイ記事のスクラップ作りに使ってた文房具たちを全部片づけ、「癒しの小部屋」の張り紙も捨てた。カレンダーも去年のモノなので丸ごと捨てた。フロアのスミッコで拾ったクマさんだけは、「29階」に連れて行こう。


人事局の皆さんにお礼のアイサツ。
「10月からココにお邪魔してリハビリをさせて頂いてきましたが、来週からリハビリの場所を29階にことになりました。短い間ではありましたが、こんなヒョロイ病人の面倒を見て下さりありがとうございます」労務部長他、フロアの皆さんにご挨拶。
「あのー、実はボクは入社して十数年、現場しか知らずに来たので、『リハビリを人事局で』って言われた時は、ぶっちゃけそんなコワそうなトコロでリハビリなんて無理!と思ってたんです。でも実際にココに来たら優しい人たちばかりで…。ホントにありがたい気持ちでイッパイです」おう、ココに異動希望ならいつでも待ってるぞ!と副部長が言う。最後は皆さんの拍手で送り出してもらった。なんかこういうのってイイね。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html

今朝、目の前で自転車に乗った人がスッこけた。
●大きなダンボール箱を後ろに縛り付けてたのが重過ぎたようで、バランスを崩してスッテンコロリン。ダンボールの中も全部ブチマケてしまった。「あ、大変、荷物拾ってあげないと…」と近寄ったら、なんとその積み荷は大量のスケベ本。フードを被ってカオも見えないスケベ本の持ち主は、このかなり恥ずかしいコレクションをあわててかき集めてる。……これは敢えて見て見ぬフリをするのが武士の情けか…と、そのままスルーしてしまいました。しかし、この人、朝っぱらから、スケベ本担いで何してたんだろう?



殺伐としたマンガが好き。スパスパ人が死ぬようなヤツ。
●ただの悪趣味ととってもイイです。ただ、マンガって今となっては疑似リアルからイチバン遠いメディア。実写映画やCGを駆使した疑似リアル表現よりも、人力の匂いが商品になっても残るマンガは、個人的な破滅妄想を表現していても、ソレが作家の妄想の外にこぼれ出る事がない上で安全。一方その個人的な思考実験としての純粋な残酷さが、読むモノのココロにリアルに響くから価値がある。


シグルイ 11 (11) (チャンピオンREDコミックス)シグルイ 11 (11) (チャンピオンREDコミックス)
(2008/08/20)
南條 範夫

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山口貴由「シグルイ」11巻
この作家さんは、完全に「血」に魅入られた男です。本人はこれを「武士道」と言うのかもしれませんが。「武士とは死ぬ事と見つけたり」。「死狂い」まくって早11巻です。9~10巻で展開した、主人公・藤木源之助と宿敵・伊良子清玄の仇討ち決闘が、関係者多数の生首や臓物がベトベト飛び交いつつも、引き分けに終わった所で終了。11巻では、ガマガエルのような容姿を持つ異形の剣士・屈木頑之助と、彼の身体障害を逆手にとった脅威の殺人技がメインに語られます。敵の両足を一気に切断し、あげく顔面を削ぎ落とす恐るべき剣法を執念で編み出した、彼の歪んだ欲望はどこに到達するのか?

覚悟のススメ 5 (5) (チャンピオンREDコミックス)覚悟のススメ 5 (5) (チャンピオンREDコミックス)
(2007/07/20)
山口 貴由

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●この「シグルイ」のヒットで、山口貴由さんの過去ワークスが再評価され、再発も盛んです。まあ、ボクは基本的に全部初版で持ってますけど。とりわけ山口流「血」の美学が、どこまでマジなのか分からない右翼思想と入り混じって結晶した名作「覚悟のススメ」は、愛蔵版チックに装丁されて再リリース。未読の方、絶対読んで下さい。「死狂い」度はコッチの方が高いかも知れません。
●臓物ぶちまけグログロ系の「覚悟のススメ」を、無謀にもアニメにした人たちがいます。たしか WOWOW で放送したのかな。つーか地上波じゃ深夜でも無理だと思う。この前、そのVHSの一巻を300円で入手して夜中に一人で見ました。鮮血飛び散りまくり、化け物に踊り食いされた人間が、その内臓の中から、体液に溶かされながら這い出てきます。こんなのコドモに見せられないよ!


GANTZ 24 (24) (ヤングジャンプコミックス)GANTZ 24 (24) (ヤングジャンプコミックス)
(2008/10/17)
奥 浩哉

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奥浩哉「GANTZ」24巻
●この作家さんは「物語りたい人」であるよりも「描きまくりたい人」なのでしょうか。誰も見たことない、見ちゃいけないような限界状態を、もっともっとと求道者のように追い求めている。そんでホントに誰も想像の及ばないゲログロ表現満載のSF戦闘シーンを延々と描き続けてます。
●地球を舞台にヒッソリと行われている宇宙人同士の代理戦争に巻き込まれた主人公たちが、ワケも分からず殺人ゲームに挑まされるこの作品。ゲームのルール(コレやると死ぬ、アレやると死ぬ的なオキテ)はうすうす分かっても、誰が何の意図で主人公たちを戦いに送り込んでいるのか、そんで主人公たちが対峙する敵は一体何なのか、24巻まできてもサッパリ謎は明かされません。ただひたすら、とびっきり残忍なやり方で、敵味方が殺し合い、臓物を撒き散らし、四肢を断ち切られてまくってます。ゲロゲロです。
●そんで、なんだか最初のルールが徐々に破れてきて、一般人まで巻き込んでの殺戮が始まった最近の「ガンツ」大阪・道頓堀を舞台に妖怪軍団(型宇宙人?)との死闘が始まってもう単行本4冊目。最強のボスキャラ・ぬらりひょんが、もうこれ以上勘弁してって位に最強で立ちくらみがします。どんだけ強力な攻撃を浴びせても、読者の想像を常に超えてグチョグチョと変態を繰り返し、100倍返しで逆襲してきます。もし現場にいたらとっくに正気が壊れてます。もう理屈なんて考えなくていいから、果てしなく戦い続けてくれって感じです。


バイオメガ 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)バイオメガ 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
(2004/11/05)
弐瓶 勉

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弐瓶勉「バイオメガ」1~5巻
●これも、全然説明の足らない無愛想なSFアクションです。つーか筆者は説明してるつもりでも一読では全然ついて行けない。そんでアホみたいにスケールがでかくなります。「メガ」どころか「ギガ」、いや「テラ」級です。暗黒からか細い灯りへの深いグラデーションに彩られたハードボイルドなペンタッチが、人間をゾンビ化するウイルスに汚染された全地球をドス黒く染めてます。
●その地獄絵図の中で活躍するは、超人的な戦闘能力を持つ合成人間と人工知能搭載の漆黒の大型バイク。彼らが地球を危機に陥れた巨大組織に挑戦、猛烈なハイスピードで冷酷無比な殺し合いを展開。敵も全員半分ゾンビ半分サイボーグのようなグログロ人間で、合成人間が発砲する超正確な射撃の前に、バッコンバッコン脳髄を弾け散らせます。ああ、なぜスキ好んでこんなマンガばっかりボクは読んでいるのでしょう…。
●4巻以降においては、なんだか分からんけど、宇宙空間に放り出された巨大構造物の中で未知の「ネオ人間」ともいうべき人々と、主人公ら合成人間が接触。ここにも渦巻く敵組織の搾取と陰謀に、どんどん突撃しまくるのであります。


ベルセルク 33 (33) (ジェッツコミックス)ベルセルク 33 (33) (ジェッツコミックス)
(2008/10/24)
三浦 建太郎

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三浦建太郎「ベルセルク」33巻
●なんかエラい待たされた感のあった単行本です。この作家さんも前述の奥浩哉とある意味同じで、「物語りたい人」であるよりも、「描きまくりたい人」でありたいのでしょうか。描き込みのテンションが高過ぎて、いやドンドンハードルが上昇してしまっていて、もう限界パンパン状態になってました。主人公ガッツと仲間たちが、軍事港湾都市に侵入してクシャーン帝国の大軍&大ボスと大暴れ(&ほぼ皆殺し)をするのに、単行本4巻以上も費やしてしまっていた最近の「ベルセルク」。何千人と押し寄せる妖魔の軍団を細かく描き込み、巨大なクリーチャーをドコドコ登場させ、次から次へとボスキャラが出て来る。テンションだけは高いけど、明らかにバランスを逸脱しててこの後どうなるの?的な不安でイッパイでした。
●さて、新展開の33巻。ガッツ一行はやっと当初の目的通り、船に乗ってエルフの住む島へ向かう、しばしの平和な旅へ。つーか、船一隻入手して海に出るだけのために、大都会一個が焼き尽くされるほど激しく戦わなあかん事態ってのが既に異常じゃねーの。
●一方、オハナシの中心は、ガッツの宿敵グリフィス率いる「鷹の団」になります。かつてはガッツも加わっていた理想を追い求める騎士団 「鷹の団」。今やその正体は「使徒」と呼ばれる魔獣の群れに成り果てたのですが、東方から大軍で侵攻してきたクシャーン帝国軍に怯える人民の前にはまさに救世主。自分の魔力を制御出来なくなったクシャーン大帝は、なぜか大巨人に変身&ご乱心(先日の紅白歌合戦の小林明子の巨大バカ衣装とクシャーン大巨人モードが一瞬ダブって見えました)。この世ならぬ者たちの壮絶な死闘が始まります。多分、この戦いも単行本3冊くらいは軽く稼ぐでしょう。そんでウンザリするほど血が流れるでしょう。


CLAYMORE 15 (15) (ジャンプコミックス)CLAYMORE 15 (15) (ジャンプコミックス)
(2008/12/04)
八木 教広

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八木教広「クレイモア」15巻
「ベルセルク」の不在感の中で、急伸長してきたファンタジーアクションの最右翼的作品。ワリとシッカリ作り込まれた設定と、女性剣士たちを主人公に据えた感覚が、鮮烈でクール。そして残酷。
妖魔と人為的に合体された、人であって人でない女性戦士集団「クレイモア」。妖魔狩りのエキスパートとして治安を守る彼女たちの使命は、今や自らの妖力を暴走させて「覚醒者」と呼ばれるモンスターに変貌した仲間たちを殺すコトへ移行。その上、さらに強大なチカラを身につけた「深淵の者」たちのパワーバランスが崩れて世界はヤバい事になってます。クレイモアを操る「組織」を脱走した主人公・クレアたちは、更なる秘密へと刻々と近づいている模様…。半妖半人の人造強化人間クレイモア開発の核心には、思った異常に深い陰謀が隠されてるかも。
●マッチョなパワーで全てをぶった切る「ベルセルク」の主人公・ガッツに対して、女性剣士クレイモアたちの戦いは、無駄を削ぎ落とした洗練とスピード感がキモ、そして切れ味がキレイ。一部のファンにはツンデレキャラとして萌えの対象になるのかも知れないけど、戦闘用人造人間の彼女たちは、ツンツンはしても絶対デレデレはしないと思う…。ただし、彼女たちにのしかかる運命が、どの作品よりも残酷。時に仲間を斬り、陰謀に裏切られ、部品のようにすげ替えられる。脱走を果たしたクレアたちは自分たちの未来を切り拓けるのか?


フリージア 10 (IKKI COMIX)フリージア 10 (IKKI COMIX)
(2008/06/30)
松本 次郎

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松本次郎「フリージア」10巻
犯罪被害者が加害者に対して「敵討ち」が法律で認められてる時代。その「敵討ち」を代理執行する殺人のプロの物語。主人公・の同僚にして、その主人公に敵愾心を剥き出しにする男・溝口は、9巻にて狂気に飲み込まれ、との心理戦の果てに、今巻にて陰惨な最期を遂げる…。
●一般人を巻き込んだ溝口の不祥事をキッカケに、「敵討ち執行法」体制が批判にさらされる中、物語は野党の新進若手政治家にクローズアップ。周囲のイメージ戦略によってねつ造された偽物のカリスマ・田中慶太はココロの闇を抱えつつも、堕落と退廃と混乱にまみれた社会の中で世間の注目を集める。
●一方、「敵討ち」コーディネイターにして、謎多き女性・ヒグチは、この田中「敵討ち」執行のターゲットにすべく暗躍を始める。新しい戦いと流血へと、空気がサザ波立つ感じ。次巻、執行開始か?


ダズハント (ヤングガンガンコミックス)ダズハント (ヤングガンガンコミックス)
(2005/05/25)
筒井 哲也

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筒井哲也「ダズハント」
●作家さんについては何も知らない。作家個人がネットに発表した作品をスクエニが出版。マンガ界にもそういう回路でチャンスをゲットする人がいるんだな。「オタリーマン」程度ばっかじゃ困る。この人みたいに正統派も評価されないと。
●物語は「ダズハント」という名のゲームを巡るクライムサスペンス携帯電話とGPSを駆使して、秘密に行われる暴力のゲーム。ネットによって吸い寄せられたゲーム参加者は、それぞれの位置を知るGPSを見ながら、それぞれの持つ携帯電話を奪い合う。力づくで、様々な武器や卑劣な手を使って。戦場は微弱な携帯電話の圏内。携帯ゲットの上で所有権の移行をホストに連絡。携帯一個で現金10万。10人倒せば100万円。流血も殺人も厭わない。都会の中に開放された獣性。これが「ダズハント」
●主人公は、うだつの上がらないサラリーマン。上司にいつも怒鳴られ、成績も上がらない。その鬱屈とした感情が、ネットでふと知ったこの暴力ゲームへと彼を掻き立てる。主人公の中で甦る過去の危うい感覚。そして、最期に、このゲームの全貌が明らかになる。
「フリージア」「ダズハント」に通じ合うポイントは、今の日本社会の司法制度が、国民の一般常識と乖離し、犯罪被害者の感情を汲み取ってないという鬱憤から立ち上がった表現ということだ。「デスノート」もその延長にある発想から出発してる。「法律じゃ埒があかねえから、手っ取り早くオレが殺す」的な気分が、こんなマンガの裏側にある。
●そんなこんなで、結果として今の日本は随分と死刑制度推進に積極的な社会になったもんだ鳩山前法相は、最近じゃ一番死刑執行にたくさんハンコをついた男じゃないの?)。が、今年から始まる「裁判員制度」が、国民の感情を正確に司法に反映する機能を果たすかは、甚だ微妙な気がしてならない。世界金融危機以降、アメリカの社会制度のマネッコを必死にしてる日本の姿が一層無様に見えてきた。


ホーリーランド 18 (18) (ジェッツコミックス)ホーリーランド 18 (18) (ジェッツコミックス)
(2008/07/29)
森 恒二

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森桓二「ホーリーランド」18巻(完結)
●我が平和な文化系ヴィレッジ、シモキタザワを不良の巣窟として描き、路上のケンカ「ストリートファイト」と、それを通じて友情や信頼を通い合わせる少年たちの物語。これもとうとう18巻にて完結。イジメラレっ子でヒキコモリだった主人公が天才的な格闘センスに目覚め、「ヤンキー狩り」と周囲から畏怖されるファイターに成長、その中で様々な仲間に出会い、人間的にも成長して行く。暴力のマンガだけどコレは人が死なない。人を殺さない。
●主人公が最後に立ち向かうのは、シモキタザワのクラブ界隈にドラッグを持ち込み荒稼ぎをしていく「キング」一派。凶悪な用心棒を打ち破り、敵味方に分かれていた親友との戦いと友情の回復を経て、とうとう一派の首領キング本人と対峙する。キングが駆使する中国拳法は主人公にとっては未知の格闘技。素手でビール瓶を正確に切断する脅威の実力。しかし、街のキッズの信頼を全身に背負って最後の勝負に挑む。
「ベルセルク」の筆者・三浦建太郎とは高校時代からの友人であるこの作家さん、なんと三浦さんチに住み込んでマンガを二人で描き込んでたというからスゴい。作品の随所で格闘技のウンチクを自分の体験を交えてナレーションとして解説するのが、読者の中で話題になってた。名付けて「森節」とも言われた独特の言い回しは、その格闘理論の正誤真偽、そして「エラそうなコトいうけど実際オマエどれだけ強いのよ」的な議論をネット上で巻き起こしていた。そもそも実況席での解説者のようにナレーション風の解説を作者が挿入するって時点でマンガとしては荒技だわな。
●そんな周囲に説明するように、最終巻のあとがきでは、「身長は183cm、体重は95kg、ボクシングとグローヴ空手をやっていたことがあるので、格闘技に関しては普通の素人以上にはそこそこわかっているつもりだ」的なコトを書いている。ヤサグレテた高校~大学時代は、マジでストリートファイトしてたりもしてて…。これはネットでのインタビューで知った。彼の時代のシモキタザワはマジで荒れてたらしいし、マンガ家のキャリアに行き詰まってた頃も繁華街で荒れまくってた時期があるっぽい。
「ホーリーランド」は路上の青春群像として完結し、ホントの聖地になりました。作家・森桓二さん自身が鬱々と感じていた青春時代のルサンチマンは、主人公たちの成長と共に昇華されたでしょう。次回作に期待です。


WORST 21 (21) (少年チャンピオン・コミックス)WORST 21 (21) (少年チャンピオン・コミックス)
(2008/10/08)
高橋 ヒロシ

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高橋ヒロシ「WORST」21巻
現行不良マンガシーンで最高のカリスマを放っている作家・高橋ヒロシが描く、壮大なる「鈴蘭高校」叙事詩。前シリーズ「クローズ」のさらに前の時代が、小栗旬&三池崇史による映画化でノリに乗ってます。DVD「クローズZERO」も見ました。ただ単純に本気で殴り合うだけの映画、だけどそのコブシに青春の意地が乗っかってます。次作「クローズZERO II」(ゼロでツーって矛盾してない…?)も今年準備されてる。リンダマンといった重要キャラが登場するなど「クローズ」本編との連続性も微妙にあるけど把握しきれない…。「II」はもっと微妙に本編と絡んで来るという。

クローズZERO スタンダード・エディション [DVD]クローズZERO スタンダード・エディション [DVD]
(2008/04/18)
小栗旬山田孝之

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●ただ納得出来ないのが、黒木メイサの登場。つーか、彼女が悪い訳じゃない。カラスのガッコウ「鈴蘭高校」シリーズには「クローズ/外伝/WORST」全てを通して、オンナノコは全く描かれない。ボクがカウントした限り、キチンとカオを描かれたオンナノコは1カットしかないはず(しかも写真の中の少女という設定)。ココは女人禁制、野郎だけの聖地なのだ。
●一方で、作者が尊敬するロックバンド THE STREET BEATS のライブシーンがふんだんに収録されてて感激。動いてる映像初めて観た。高橋氏のマンガは背景に無数の落書きが書かれてる。最近はウチワっぽいトモダチの名前で占められてるけど、「クローズ」時代は敬愛するロックバンドの名前(他には横道坊主とか)が目一杯描かれてたモンだ。その一番の代表格が THE STREET BEATS 。80年代末のバンドブームを潜り抜けて今だ地道に活動するビートパンクのベテラン。サントラ聴きたいな。
●そんでハナシを戻すけど、映画「クローズZERO」から7年後の時代が21巻の「WORST」。ここでも最高の山場。鈴蘭高校一年の番格を決める「壱年戦争」で、主人公・月島花に破れた天地寿。別の高校に転校し傭兵を雇い逆襲を企んできたが、その因縁に決着の時が訪れた。鉄壁のチームワークを誇る「花組」武装戦線/鳳仙学園などの連携で天地の極悪戦略はことごとく頓挫。そして、天地の頂上タイマンの舞台が整う…。とうとう火蓋を切った、お互いの生い立ち、そして生き様をぶつけ合う壮絶な殴り合い。そしてそれを乗り越えたトコロにあるものは…。
「ホーリーランド」はケンカを扱いながらも格闘技マンガだった。「路上」という空間における特殊な戦闘を、綿密にシミュレートする思考実験。しかし、「WORST」のケンカに技術はない。ケンカはここではコミュニケーション言語だ。パンチとキックでしか伝わらないメッセージがあるという希望がある。もう一歩踏み込めば、全員バカだから、パンチとキックでしか会話が成立しないという清々しい開き直りがある。



●今日の音楽。

Surrender to LoveSurrender to Love
(2003/03/25)
Kindred the Family Soul

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KINDRED THE FAMILY SOUL「SURRENDER TO LOVE」2003年
●男女2人組のR&Bユニット。フィラデルフィア産のメロメロネオソウル路線でござんす。「THE FAMILY SOUL」と名乗るように夫婦コンビなんだって。ニュークラシックソウル~オーガニックソウルといったこのテの文脈の中で、実は男女デュエットってレアだよね。デビューのキッカケは何かの映画祭で彼らパフォーマンスを観た、やはりフィラデルフィア出身のシンガー JILL SCOTT がフックアップしたコト。そんでソニー傘下のレーベル HIDDEN BEACH からリリースした一枚目がコチラ。
ERYKAH BADU のように雰囲気だけでモクモクオーガニック臭をまき散らすほどの深みとコクはないけど、奥さん側が牽引して行くソウル歌唱がオーソドックスに力強くて頼もしい(時にゴスペル風)。バックトラックもほぼ小細工なしのバンドスタイル、メロウなエレピやオルガンが波立つヴァイブレーションが気持ちイイっす。後半に出て来るヒップホップファンクもグッド!内ジャケの飾り気ない夫婦育児風景スナップもイイ感じ。……マンガはデストロイでも、音楽はピースなモノがいい。


「篤姫」総集編、見ちゃったよ。
●年末年始のテレビでマトモに見たのは、これしかないなあ。

●キッカケは、同期の女の子から、原作本/宮尾登美子「天璋院篤姫」を借りたコト。
●彼女のセクションは特殊な事務部門で、エンターテインメントコンテンツとは関係ない仕事をしているが、会社としてはエンタメ業界の一角を担う企業な訳なので、「もっとヒットコンテンツの勉強をすべき」と主張して自分の蔵書を会社に持って来て貸出しをしているのだ。「20世紀少年」とか「デスノート」とか「医龍」が全巻揃ってた…。カッチリした貸出しノートが出来てるのが事務屋カルチャーな匂いがしてオモシロかったが。
●マンガが中心の蔵書であったが、ボクはほぼマンガに関しては既に自分でチェックしてしまった物件ばかりだった。が、この大河ドラマの原作だけはノーマークだった。そもそも大河ドラマなんてフツウなら全然興味ないし…。しかし「篤姫」は近年まれに見るヒット作だったし、宮崎あおいは確かに注目の女優だったので、借りて読んでみる事にした。

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)
(2007/03/15)
宮尾 登美子

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新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)
(2007/03/15)
宮尾 登美子

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実は、ドラマと原作の落差は大きい。
ドラマは、より分かり易く誇張して描いているので、原作には登場しないシチュエーションがわんさと出て来る。そもそも、暎太くん演じる小松帯刀という人物が原作には登場しない。原田泰造大久保利通も登場しない。勝海舟坂本龍馬も登場しない。篤姫は、幕末という激動の時代に揺さぶられた人生を送るが、果たして「江戸城無血開城」という偉業を成し遂げた重要人物だったかというと、原作ではそこまで突っ込んだ解釈はしていない。むしろ、不安定化する政情の中で運命に翻弄されていく女性で、ハンパない忍耐を強いられながらも、その運命にホンの一矢報いるために、その利発さをちょっぴり発揮するというテンションだった。

彼女にのしかかるストレスはハンパない。
●ドラマを見た人はご存知の通り、篤姫島津家の四番目の分家の娘だった。そのローカルでアットホームな環境から、島津宗家の養女にフックアップ、当時の日本で第二の勢力を誇る大大名の姫君教育を受ける。それが一区切りついたら、江戸に上がって将軍家輿入れのための再教育。様々な根回しを経てやっと大奥に入れば、俗世とは乖離した特殊な文化が彼女を圧迫する。やっとの思いでその大奥を掌握したと思ったら、「公武合体」皇女和宮がやって来て、京朝廷文化と江戸大奥の熾烈な摩擦が始まる。あげく実家の薩摩藩が江戸幕府転覆のために進軍して来る。フツウの人間なら神経がどうかするわ。江戸城を出て、華族として存続を許された徳川家の一員として、やっと静かな晩年を迎える事が出来る。立場がレベルアップするごとに、彼女には過酷な運命が待っている。その苦難をなぞる小説だった。


ドラマは「総集編」ながら大分楽しんでしまった。
●タイトルの中での宮崎あおいクリムト風のCGに包まれてとてもキレイ。

一番の存在感は、ボクん中ではダントツで、堺雅人扮する13代将軍徳川家定だ。
痴ほう的とも楽天的とも言える能天気な笑顔と、幕府の最高権力者とは思えない軽く高い声で、この人物を描いた堺雅人という俳優に心服。小説では病弱で知能障害もあった哀れな人間として描かれていたが、ドラマでは人を食ったようなスットンキョウな奇行と、そんなウツケモノを敢えて装うクレバーな一面の対比がとても痛快だった。彼は、暗殺の恐怖と為政者としての重圧、そして信頼出来る者が誰一人いない孤独から、ウツケモノを長々装ってきたが、篤姫との出会いでその精神のササクレを少しずつ癒し、徐々に彼女にココロを開いて行く。夫婦として同衾しながらセクシャルな行為は全くなかったが、二人だけで興じる「深夜の五目並べ」が、清らかな美しい愛情表現として、ココロの交流を象徴していた。

●ドラマの中で、婉曲な男女の愛情表現を象徴する「碁盤を挟んでの交流」を、篤姫と結んだもう一人の人物が、暎太演じる小松帯刀だ。ボクはこの人物が幕末の混乱期にどのような活躍をしたのか、そして実際の篤姫とどのようなカンケイにあったのか知識は全くないが、互いに良き伴侶を持ちながら、生涯を通じて良き友人であった男女の表現は、実に現代的な男女カンケイの反映に見えた。恋慕の気持ちはあってもそれはあくまで最後まで隠し通し、一方でお互いが相手の立場を慮って助け合う。史実から逸脱しているとしても、この二人のカンケイはドラマとしては現代感覚としての重いリアリティを持っている。

そんで主役・篤姫を演じた宮崎あおい。
撮影時の実年齢で22歳。そんな彼女が12歳から49歳の女性の生涯を描き切る。実は大河ドラマ史上最年少の主役抜擢でもあったらしい。彼女の撮影後のインタビューによると、実年齢の2倍を超える晩年を演じるよりも、実年齢よりも下の、薩摩の田舎で過ごした少女時代を演じる事に工夫を凝らしたという。篤姫の力強さは、ティーンエイジの少女時代に培われた。下級武士など様々な階級の人々に接し、大自然の中で奔放に過ごした時代があってこそ、波瀾万丈な事態にも対応出来る力が備わった。
そこで彼女は口を横イッパイに伸ばして笑う快活な少女を努めて演じた。放送当初「あの笑顔がウザイ」との声もあったが、彼女の意図としては、過酷な運命に翻弄されて笑顔一つ許されなくなるその後の篤姫とのバランスをとるために、敢えて満面の笑顔を振りまいたという。その後大奥に入って以降、冷徹な判断で難局を乗り越える篤姫から笑顔は消えて行く。江戸城の武装解除、大奥の解散を申し渡す篤姫の表情は、まさしく武士の表情だ。だからこそ、成人してから僅かにかいま見せる笑顔に、大きな説得力が宿る。若い彼女に底知れぬ才能を感じさせるエピソードだと思う。


幕末という政治情勢。徳川慶喜の「大政奉還」。
島津斉彬篤姫を将軍家に嫁がせた理由は、改革派と目されていた一橋慶喜を次期将軍に擁立するよう工作するためだった。しかし、実際に篤姫が面会した慶喜は、養父・斉彬が言うような英明な人物には見えなかった。最終的に篤姫は、幕政刷新/新政府樹立のために、相手として組み易い慶喜を将軍に据えた方が倒幕に際して有利になるだろうと、斉彬が考えていた事を悟る。
●これが史実かどうか知識はないが、慶喜擁立が成功していれば、「大政奉還」はもっと早く実現していたかも知れない。徳川最後の将軍は、明らかにやる気レスで、鳥羽伏見の戦線からも早々軍艦で離脱してしまう。そんで早々謹慎を決め込み朝廷へ恭順を表明、ノンビリ余生を過ごすのだ。彼はその後写真趣味にハマって、荒廃した江戸城の様子を撮影したりして、77歳の長寿を全うする。
外国の最新鋭艦隊による軍事的圧力と、朝廷からの攘夷を迫る政治的圧力に板挟みになって、完全に機能不全に陥っていた徳川幕府に政権担当能力はないと見切って、即座に解体すべきが最良と判断した慶喜は、大局を看破した天才だったのか、ただの無責任だったのか。しかし、ハッキリと機能不全に陥っている自民党政権をどうする事も出来ず足踏みを続ける麻生首相よりは潔いとも言えると思う。


19世紀は帝国主義列強の世界分割の時代。日本のラッキーは幕府/朝廷の二重政体だった事。
●なし崩しにアメリカなどと不平等条約を結んだ日本は、明治政府への政権交替で急速に西洋型の近代国家へ脱皮していく。徳川幕府に対して、朝廷というオルタナティブな政体/権威を従来から備えていた、言わば「二重政体」という特徴を持っていた事が、日本のラッキーな状況だったとボクは思う。幕府から朝廷がイニシャティブを引き継ぐ事で、政権交替のための内戦は最小限に留められたし、政治的空白を作らず改革へのスピードも速くすることができた。薩長同盟だけの単独行動ならこの反乱に正統性の裏付けは乏しく、日本はもっと深刻な内戦状態になっただろう。そして西洋列強の介入で分裂に追い込まれてたかも知れない。
●政権交替がスムーズに進んだのは良かったが、「脱亜入欧」がスローガンとなり、なんと見事に自らが帝国主義国家になってしまったのは誠に残念な行き過ぎだ。結果として西洋列強と競うように、朝鮮半島、中国へ進出していくことになってしまった。近代国家へのモデルチェンジに失敗した朝鮮王朝、清王朝は、政権内の各派閥に列強の手先が食いつき、その国土はモノの見事に列強のクイモノにされた。しかもこのエリアで一番エゲツなく立ち回ったのが日本だったというのが実に皮肉だ。


ボクは、たまたま、ハワイの歴史に関する本も読んでいる。ハワイも日本とほぼ同時期に帝国主義の荒波にもまれた文化圏だ。で、ご存知の通り、アメリカ合衆国50番目の州になる。政治的アイデンティティを失いつつも、豊かな文化を後世に遺そうとしているこの島の人たちの方法は、欧米帝国主義の野望から逃れたのに、自分がそのまま帝国主義者になってしまった日本とは実はウラオモテだ。このハワイのオハナシは、また後日考えたいと思う。



●音楽のハナシ。をしないと、ブログの主旨がブレるので。


Flowers in the DirtFlowers in the Dirt
(1990/10/25)
Paul McCartney

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PAUL MCCARTNEY「FLOWERS IN THE DIRT」1989年
●こりゃまた、随分中途半端な時代のポールだね~、って自分でも思う。80年に JOHN LENNON が殺されたショックで、ポールはソレまで活発に活動してたバンド WINGS を解散、ツアー活動を自粛してしまう。誰でもブチ切れたファンに殺されるのはイヤだからね。そんでレコーディング&リリース活動だけに留まってたのがポールの80年代だ。
●ただし、さすがのポール、ただボケーッとしていた訳じゃない。STEVIE WONDER「EBONY AND IVORY」1982年をコラボ。MICHAEL JACKSON とは「GIRL IS MINE」1982年「SAY SAY SAY」1983年をコラボする。でコレがことごとくヒットする。そんでここでの目玉は、ELVIS COSTELLO とのコラボだ。11曲の共作を行い、2曲は COSTELLO のアルバム「SPIKE」に、4曲がこのアルバムに収録されてる。ヒット曲「MY BRAVE FACE」も二人の共作で、Bメロからサビへの導入などは、もう COSTELLO の曲にしか聞こえなくなって来る。

●個人的には、1989年はボクが高校一年生だった時期、実は THE BEATLES を意識するようになって初めてリアルタイムに聴いた FAB 4 の曲だったわけですよ。高一のボクに THE BEATLES の価値を説いたのは、後期のサイケ側面に異常にコダワッてたナツエスくん(仮名)と、前期のアイドル側面にキャッキャとハマってたローリー(仮名)というオンナノコであった(コレ、過去の記事で書いたハナシです)。で、「MY BRAVE FACE」ローリーのフェイバリットソングだったわけね。ローリーは今だワイフと友達付き合いが続いているが、ボク自身はもう15年くらい会ってない。でも今だにこの曲を聴くと彼女の顔を思い出すのですよ。
●実際にアルバムを購入したのは、先月 BOOK OFF の250円コーナーにて。COSTELLO がバックにいたなんて今回初めて知った。レゲエにも挑戦してるし、THE BEATLES 時代を思わせるメロウなポップソングも聴ける。

映画「レッドクリフ」は結構ヒットしたようですね。でもちと不満…。
ボクは、この映画、実は試写会で見たんです。あれはまだ夏の頃…。試写状を見た瞬間、「おっ!赤壁の戦いが映画化か!」と感動、病気をおして、半蔵門の試写室まで足を運んだのです。で立派なパンフレットまで配られてワクワクしてたら、映画会社の人のごあいさつに衝撃。「このたびは、レッドクリフ<第一部>の試写に来てくださりましてありがとうございます…」んっ?<第一部>?試写のお誘い状にも、この立派なパンフレットにも、どこにも<第一部>なんて書いてねえじゃん、なのに、今この上映直前に「このお話は途中で終わります、続きは<第二部>で…」ってそりゃねえじゃん!ガクッ。

レッドクリフ

これ、試写室でもらったチラシ。ね、どこにも「第一部」なんて書いてないでしょ。TVスポットも途中から小さく「PART1」の文字が挿入されたって感じだった。ずるい。
●結果として、「あれ~」って気分を引きずりながら見たもんだから、途中で爆睡してもうた。病気のおかげで上映終了まで集中力が持続しなかったのよ…すいません。結局、肝心の「赤壁の戦い」は描かれたのかどうか、ぼく知りません。

●監督はジョン・ウー。「男たちの挽歌」で名を上げ、ハリウッドに進出したバリバリの香港ノワール野郎。ニコラス・ケイジ「フェイスオフ」、トム・クルーズ「ミッション・インポッシブル2」で、大味なアクションを撮りまくってた男。今回は、曹操率いる80万人の軍隊とか、2000隻の艦隊が登場するなどスケールは超ド級でござんす。あきれるほど大げさな演出が炸裂しまくる。CGもフル稼働だろうが、無数のエキストラを使った一糸乱れぬ布陣編成と用兵技術にはホントに舌を巻く。諸葛亮孔明が指示した陣形が、鮮やかに組み上げられる様子にはマジで圧倒。

この作品を観てて連想したのは、北京オリンピックの開会式。
●あのセレモニーの演出は、ウー監督とも同世代の映画監督チャン・イーモウだった。ボクは、初期のチャン・イーモウが描く、つつましやかな中国農村の悲喜劇が大好きだった「赤いコーリャン」など)が、最近は予算もCGもふんだんに盛り込んだ大作志向に走ってる。チャン監督といいウー監督といい、中国人監督は、低予算なら低予算なりにキチンとした芸術作品を作ることができるのに、いざ巨大予算を握ると、とんでもないほどの大げさ演出に爆走してしまう傾向があると思う。あの開会式の、ビックリ仕掛け満載の巨大マスゲーム&CG挿入コミの花火演出(&口パク唱歌パフォーマンス)は、確かにスゴイと思ったが、一方で人の数に任せて大技チカラ技を繰り出す趣向は、中国人の国民性に深く関係しているのでは?と思った。大体、そもそも1800年も前に、80万人も稼働させて戦争するっていう曹操の発想からして「大きいことはイイことだ」的な大味加減で、それは中国共産党毛沢東思想(ずばり「人海戦術」な建国初期の産業振興政策とか)にまで浸透していると思う。


キャスト、最近は「武将萌え」という言葉があるらしいが、女子的には十分萌える要素たっぷり。
諸葛亮孔明金城武の知将・周兪トニー・レオン。ウォン・カーウァイ監督「恋する惑星」以来のタッグかな。少々の汚しメイクで、戦乱の世を生き抜くたくましさが漂っている。若き呉王・孫権を演じるチャン・チェンは、エドワード・ヤン監督「カップルズ」などでローティーンの頃から活躍してた子役上がりの台湾人俳優。風格漂う大人になってた。悪役の魏公・曹操は、チェン・カイコー監督「覇王別姫 さらば我が愛」で、今は亡きレスリー・チャンが同性愛的な思いを寄せる男を演じたチャン・フォンイーが務める。つまりだね、開放政策以降の中華圏映画を鮮やかに彩ったスターが結集してるってことよ。おまけに中村獅童まで登板。の武将・甘興を演じている。さながら鬼軍曹のようなポジション。本来は端役の予定が、現場でウー監督がいたく彼を気に入り、出番を増やしたらしい。確かに気合が入っている。



横山光輝「三国志」

一方で、横山光輝「三国志」を読破。
●横浜の精神科デイケアに、ほぼ全巻そろっていたマンガ「三国志」をやっと全部読み終えた。ふう、すごく時間がかかったよ。なにしろ、登場人物がすごく多いのに、顔の区別がつかないメリハリのないキャラ設定。淡々としたコマワリと、ワンパターンな戦闘描写。イイマンガとは言えない。同じく「三国志」を取上げた王欣太「蒼天航路」の方が大胆な解釈が入って、劇画的躍動感は100倍だ。しかし、あくまで原典に忠実であろうとした横山版「三国志」話のディテールにはムムッと思わせる場面も多々ある。

王欣太「蒼天航路」01 王欣太「蒼天航路」1巻


●映画「レッドクリフ」は、金城扮する諸葛亮とトニー演じる周兪の友情と絆に重きを置いているが、横山版「三国志」では、諸葛亮と周兪の関係を、同盟と見せかけた策略の仕掛けあいとして描く。
諸葛亮が発案した大胆な中長期戦略プラン、魏・呉・蜀の三国鼎立で中華全土のパワーバランスを保つという構想を実現させるためには、成立間もないの代理として、呉を魏にぶつけるというのが必須条件。反対にに恭順してしまえば、三国鼎立のプランは崩壊しドミノ的にの軍門に下る他ない。そこで諸葛亮は自ら使節として王室に接触、巧妙な外交手腕で嫌戦気分すらあった呉に対魏戦争を決断させる。しかし周兪諸葛亮の狙いを見透かし、その才能を危険視して暗殺さえ試みる…。蜀・呉の最高の頭脳が、水面下でつばぜり合いをしながら、最強の敵・曹操軍を迎え撃つ。この知略戦は、映画以上にスリルがある場面だった。

「三国志」と言えば、「桃園の誓い」によって結ばれた、劉備・関羽・張飛の義兄弟がメインだが、正直このトリオには、ボクはそんなに魅力を感じない。横山版「三国志」の主人公は、間違いなく諸葛亮だ。あやふやになった漢王朝の正統性にはとっとと見切りをつけ、実勢に合わせた軍事バランスで中国文化圏を再編成する(つまり三国鼎立)発想は、有史以来基本的には中央の正統王朝を頂いて来た中華文明、しかも始皇帝以来400年の盤石な統一を保って来た中国の歴史から見ると、容易には到達できない斬新かつ過激な発想だ。
●しかも、歴史的重要拠点を含む北部を支配する、南部沿岸地帯にて急成長したに対して、未開発地帯だった西南部山岳地帯~四川盆地に拠点を作るという発想もドラスティックだ。外敵の進入を防ぐ自然の要害がある一方で、開発の伸びシロも大きい。中華文明が及ばない東南アジア方面まで自ら遠征し、当地の諸民族を教化するということまでしている。西部の辺境地帯の豪族とも連絡し、共闘する場面もある。彼の発想は、中華文明の枠を飛び出し、拡大させるまでに至っていたということだ。


中華の大地を三分割した諸葛亮はスゴい。でも再統一のプランはあったのか?
横山版「三国志」で、諸葛亮「北伐」と称して何度も何度も執拗に領内へ侵入しては、古都・長安へと軍を進める。迎えるは、曹操亡き後の最高の知将・司馬懿。このオトコの子孫がその後クーデターを起こしてを滅ぼすに至るが、それは「三国志」の時代の後の事。
●しかしこれがどうしてナカナカうまくいかない。必ず不慮の事態が生じて途中で頓挫する。基本的な戦術ミスをして補給ラインを断ち切られ、作戦遂行に決定的なダメージを与えた若き武将・馬謖を、軍規に則って涙しながら処刑したのもこの頃(「泣いて馬謖を斬る」)。最後は、自分の寿命までを読み切って、自分の死後の撤収作戦までプランしてから息を引き取る(「死せる孔明、生ける司馬懿を走らす」)。諸葛亮の死後、ほどなくによって滅ぼされる。

諸葛亮が君主と仰いだ劉備玄徳は、一応王朝の血筋を引くモノとされてるが、わらじ編みを生業としてた平民出のオトコで、ぶっちゃけタマタマ名字が王家と一緒なだけでその真偽は甚だ怪しいモンだ。しかし、関羽・張飛・趙雲といった名将を従え強力な軍閥を率いていた劉備は、領土こそ持たないが、混乱した時代を動かすキーパーソンになると、諸葛亮は考えたに違いない。多分自分じゃ1ミリも信じてない「漢王朝の血筋」というプロパガンダを押し進め、今だ細々と存在はしていた漢王朝に半ば並立するカタチで旗を掲げさせる。同じ名字のよしみで世話になってた劉表の封土を奪い取れとそそのかしたりもする。
「三国鼎立」状態においても、「漢王朝の血筋」という要素が再統一の有効な手段だったと思っていたに違いない。明らかに小人物であった劉備の息子・劉禅を押し立てたのも、正統性を主張する重要なアリバイであったからだ。
●ただし、古都・長安を攻略してココにの首都を移し、劉禅新生漢朝皇帝を名乗らせる事で、諸葛亮自分がデザインした「三国鼎立」の軍事的均衡バランスを、再統一へ動かすことができたであろうか?北伐成功以降の戦後処理に、彼がドコまで明確なプランを持っていた事か?
●例えば、「呉」の国。彼らは中原文明とは離れた地点で発達し、華南地域の開発を独力で果たした。だから連中は自衛戦争はすれど、中原エリアの軍事闘争に積極的に関わろうとしない。蜀&呉は一応同盟関係だが甚だ消極的で、きめ細かい連携は取れたためしがない。オマケに「三国鼎立」プランの確立のために、諸葛亮孫権「皇帝」を名乗る事を認めている。今さら王朝の臣下になれと言って聞く気配はない。
●そして強敵「魏」曹操はあくまで「漢王朝」の有効性を、諸葛亮と同じ目線で評価していたので、政治的に散々利用しながらも滅ぼそうとはしなかった。その意味で曹操はモノのわかった頭脳の持ち主だったと思う。の最後の皇帝を廃位し、自ら「皇帝」を名乗ったのは息子・曹丕だ。の拠点・許都までは、長安からさらに東へ遠く進軍しなくてはいけない。つまり、多分、再統一は無理メの勝負。諸葛亮自身の寿命と共に衰亡していくには、政権維持能力を持つ人物に欠けていたから(晩年の諸葛亮は、に人材が乏しい事を多々嘆いている)、北伐が成功しても中華文明の再統一はほぼ不可能だったに違いない。


中華文明の分裂状態とローマ帝国の崩壊の符号。
●中国史をロングスパンで見ると、「三国志」の混乱時代はマジで些細な事件。この「三国鼎立」をキッカケに、以後400年間、中華文明は分裂状態に陥る。辺境民族の侵入に洗われてより強烈なカオスに巻き込まれる。そんで6世紀の隋帝国の出現まで乱世の時代が続くのであります。
●一方、「三国志」の時代、2~3世紀にかけて、ユーラシア大陸の逆サイドの巨大文明、ローマ帝国も存続の危機を迎える。やはり辺境民族の侵入に苦しめられることになる。今、塩野七生「ローマ人の物語」で、このヘンの時代を読んでるのでタマタマこの共通点に気付いた。この奇妙な符号は偶然なのか、必然なのか?
●そして、もう一つの関心。この混乱の時代に対してその時代の人々がとった行動は? 混迷を深める今の日本&世界にも繋がるモノがあるような気がしてならない。このヘンの検証はまた後日。

塩野七生「ローマ人の物語 終わりの始まり」塩野七生「ローマ人の物語 終わりの始まり」

新年、明けましておめでとうございます。
●今年もダラダラ駄文を書き重ねていきますので、よろしくお願い致します。


ノマドがサンタさんからもらった「レゴクリエイター・モンスターダイノ」が完成しました。

P1012929.jpg

●結構迫力満点でしょ。
●途中、左右対称のパーツをウマく正対称に組めなくて、そこだけボクが修正したので、100%独力とは言えないけど、基本的にはヤツ自身が自分の力で組み上げました。立派立派。コイツは、乾電池バッテリーと二つのモーター、そしてリモコンを搭載したキットで、スイッチを入れれば、モーターの回転を歯車とカムに伝えてノッシノッシと歩くのです(バックも可)。そして、別の操作で口を大きく開き、腕を交互に振ります。「キシャー」っと小さな声で叫ぶ装置もついてます。
●モーターを包む胴体部分は、ボクでもナニを作ってるのかサッパリだったけど、足や腕、シッポを作り出す頃になると、ノマドは俄然やる気がでてきて、「コレからハをつくる!コレはハグキのブヒン!ハはとんがっててマジいてえ!」とか、腕を胴体につなげる時も「ああ、これでウデが上下するのか」とか、ホントにわかってるのかわかってないのか、ブツブツ呟きながら作るのでした。

そんでリモコンに電池を詰めて、初めての運転。叫び声を上げながら、ダイノはガチャガチャ歩き出しました。口は思った以上に大きく稼働し、鋭い歯と赤い下が丸見えになります。
そこで、ヒヨコがのりこんで、ピンクのウサちゃんをダイノにかじらせました。完全に肉食恐竜に捕食されたアワレな小動物なのだが、ヒヨコ的には、母親犬が赤ちゃんを安全な場所に運ぶように、優しいダイノちゃんがウサちゃんを運んであげているという設定なのです。……そうは見えないけど。

P1012935.jpg

ね、完全に食い殺されてるでしょ。
「今日はダイちゃんとねたい!」(ノマドの中では既に名前がダイちゃんに決定されたようです)というノマド、コドモ部屋のベッドに移動する際も「じゃ、いこうね!」とペットに声をかけるように扱い、巧みなリモコン操作で廊下を歩かせて行きました。



自律神経失調症とのお付合い(その81)~「2009年、年始の展望」編
●っと、その前に、一応ボクの病状と、復職への進捗報告を。

●毎朝の「一駅手前から徒歩通勤」で20分以上のウォーキングをするようになって時間も立ちました。フツウの人間並みとは言えないが、大分体力が回復してきた。会社帰りに新宿や渋谷で寄り道もできるようになった。10月段階では、このテの寄り道すら「命取り」になりかねないほど体力が不安定だったし、去年9月では400メートル歩いて立ち往生状態になり、家族にクルマで迎えに来てもらったほど、体力が衰弱してた。
毎日ある程度の運動が加わる事で、睡眠時間も安定してきた。夜何度も目を覚ますことはなくなり、連続7時間くらい睡眠が持続するようになった。これも最初は3時間以上睡眠が持続できない上に、予想もつかないタイミングで突然睡魔が襲ってきてアタマがクラクラになるとかしてたのに。よい傾向だ。あ、でも睡眠薬は依然2種類常に飲んでるけどね。

●一方で、朝目を覚ますと全身の筋肉が緊張し切ってバリバリになってるという傾向は変わらない。腰や肩の激痛で目が覚めるのもしょっちゅう。腕や足が筋肉痛状態。朝風呂は、このバリバリになった筋肉を緩和させるためのアイドリングの段取りで、これなしでは、カラダが起動しない。「自律神経失調症の人が朝に弱い」という傾向は、ボクの場合においては「全身が痛くて動かない」という感覚だ。
「自律神経失調症」は最近は別名「仮面うつ病」と言い換えられたりするけど、目下ボクの悩みは「気分がローだぜ、ブルーだぜ、そんで世の中全てにやる気レスだぜ」とかそんなモンじゃなく、「毎朝脇の下の肋骨のスキマが筋肉痛になってイタすぎるのでマジどうにかしてくれ」という感覚だ。コレがリアルです。「うつ病でなんとなくカッタルくなって、お寝坊さんになっちゃった」とか、イメージだけでモノ考えないで下さいね。激痛なんですから。

そんで、結果として、毎日寝る前に「葛根湯」を飲む事にしました。
ボクとしては、この病気になって初めての漢方経験です。……あーでもコレって漢方に入るのか?ズバリ「ツムラの葛根湯」だし。でも心療内科のセンセイによると、「葛根湯は、カラダを温めるし、筋肉の緊張緩和、肩コリ改善の効果もあるから」とのこと。少し熱めの白湯にといて、ゆっくりお茶を飲むようにマグ一杯分を寝る前に飲むコト。ふーん。
●世間知らずのボクは、センセイからこの説明を聞き、納得したフリをしてたんだけど、一個わかんないコトがあった。それは「白湯ってナニ?」ってギモン。……恥ずかしいのでワイフに聞いた。「タダのお湯のコトよ!そんなコトも知らないの!?」それでは、お湯と白湯の違いはナニ?「違わないわよ!」あーそうなの、また一つ大人になったわ。あ、効き目は多少ある気はする。気のせいかも知れないけど。しかも効果は肩限定。腕や腰、足には効かない。


オーダーメイド・リハビリは、結局年明けに。
●前回の記事に書いたように「年内に次のステップへ」ってハナシを聞かされてたけど、やっぱり根回しに時間がかかって年明けに持ち越された。でも最初から期待してなかったから、別に動揺はない。イレギュラー対応だし急遽の判断だったので、準備に時間がかかるのは当然だ。
●看護師「のび太くんのママ」さんから、人事部長へハナシがまわり、部長判断で「ボクの性質や向いてる業務を一番理解しているのは、元の現場の上司だろ」というハナシになったそうな。そんで、ボクの所属する現場セクションの直上司、局長、局次長に案件は引き渡され、おおまかなプランも既に出来上がっているそうなのだけど、当然のごとく年末はクソ忙しいので、関係者とボクが顔を合わせて打合せするヒマが微塵もない。そりゃボクも病気になるまでは毎年徹夜コミで元旦の朝まで働いてたし、そのハードさ加減は容易に想像がつくので納得だ。
●むしろ「年末に一日だけでも」なんて主張してた「のび太くんのママ」さんが状況をわかってなかった。彼女は医療のプロだけど、ボクの現場の最前線の過酷さ加減はボクの方が100倍理解が深い。年明けのいつにミーティングが取れるかもワカラナイという対応に「のび太くんのママ」さんは不満げだが、ボクだって仕事バリバリしてた時は、2週間先の自分が何してるかなんて1ミリもワカンナかったもんね。明日明後日の仕事をどう成立させるかだけでもう必死なんですから、彼らにとって来年の事なんかワカルはずがない。どんなに周到な準備をしても平気でチャブ台がひっくり返るのが当たり前、むしろひっくり返ったチャブ台にどう即座に対応するかという反射神経が問われる仕事だから。

●ちなみに我がルームメイトくんは見事31階の「癒しの小部屋」から卒業し、「次のステップ」に進んで行きました。先月第三週だったかな。カレの場合は予定通りの既定路線だったので、そのスケジュールピッタリの門出。ソコからボクは一人暮らし。別に寂しくはないけど、ちょっと退屈になった。

P2000748.jpg

(ボクの生息地「癒しの小部屋」。本社ビル31階・人事局にあるパーテーションに囲まれた小さな打合せスペース。「いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり」というフレーズは、人事部の人もグチたれにこの小部屋にやって来るから、ボクが書いた。癒しが必要なのはボクらだけじゃないってコト。クマさんは、その辺に打ち捨てられてたから、拾って上げた)


ということで、立場が宙ブラリンのまま正月休みに突入。
●正月休みというと、ノンビリ出来てイイ感じと思わせといて、コレがナカナカキモイ。つーか危険。会社に通うという生活リズムが崩れるので、コンディションがそのまま崩れるキッカケになる。ダラダラ寝正月をすると、たちまち元の木阿弥に戻りそうな感じ。だから起床時間は平時と変わらず6時半。さすがに9時に外に出たりはしないが(シモキタザワの街は早くとも11時になるまで店が開かない)、日中必ず外出してはカフェで読書に浸る毎日。テレビは極力見ず、PCも押さえ気味。

年賀状も危ない。
去年、一日6時間かけて年賀状を書き上げたのだけど、ソレで1週間くらい寝込みました。もう集中力を使うとその倍返しで疲労が押し寄せるというか。最近はその現象を「脳みそがバーストする」って呼んでますけど。だから、今年は一日8枚程度づつ、カフェで読書するスキマで作業していきました。デザインはスグにイメージ出来たけど、素材作りに一週間かかり、プリントにもテコヅッタので、例年通り、絶対元旦には届きません。メアドのわかる人には、メールをしました。手書き作業が「脳みそをバーストさせる」ようなので、今回はオンラインを活用。PC操作は手書きに比べれば数段楽なので。それでも今のボクは腱鞘炎にもなったかのような右手の筋肉痛に苦しんでおります。

年明けは、1000~1700へ会社滞在時間を延長。そして、「次のステップ」の受け入れ先の準備が整い次第、関係者打合せの上、フロアも移動して新しいリハビリに入ります。内容はまだ全然わからないので、その内容にあわせて滞在時間を再調整。多分、また1000~1300とか1400に逆戻り、数ヶ月かけてコレを1000~1800まで持って行くのでしょう。多分、実際の現場復帰は順調に進んで春先かな。しかも順調に進めばのハナシだけど。



このシリーズも80を超えたので、まとめページを新たに設定します。それがこのベージね。ここに、新規記事のリンクをまとめて行きますのでよろしくお願いします。

●12/27:自律神経失調症とのお付合い(その80)~「デイケア/クリスマスパーティ」編
  http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-554.html
●1/10:自律神経失調症とのお付合い(その82)~「さらば、癒しの小部屋」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-562.html
●1/13:自律神経失調症とのお付合い(その83)~「胃カメラ&1年半ぶりの我がデスク」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-565.html
●2/06:自律神経失調症とのお付合い(その84)~「疲れた。今週はリハビリ停止だ」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-576.html
●2/10:自律神経失調症とのお付合い(その85)~「のび太くんのママとマジ激突」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090210.html
●2/21:自律神経失調症とのお付合い(その86)~「10時~17時」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-582.html
●2/28:自律神経失調症とのお付合い(その87)~「脚本家・一色伸幸さんもうつ病だった」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090228.html
●3/17:自律神経失調症とのお付合い(その88)~「デイケア最終段階」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-593.html
●3/31:自律神経失調症とのお付合い(その89)~「さよなら、精神科デイケア」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-603.html
●4/14:自律神経失調症とのお付合い(その90)~「ヤバいとダメダメ。二つのモード」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-612.html
●4/18:自律神経失調症とのお付合い(その91)~「初めてヨガに挑む!」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-615.html
●4/22:自律神経失調症とのお付合い(その92)~「息をするのを忘れてる」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-616.html
●5/16:自律神経失調症とのお付合い(その93)~「機は熟したね、復職を認めます」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-629.html
●5/17:自律神経失調症とのお付合い(その94)~「ムードスタビライザー」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-630.html
●5/22:自律神経失調症とのお付合い(その95)~「復職日程決定」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-633.html
●5/31:自律神経失調症とのお付合い(その96)~「ヨガ爆睡」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-639.html
●6/3:自律神経失調症とのお付合い(その97)~「とうとう最前線復帰」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090603.html
●6/14:自律神経失調症とのお付合い(その98)~「チューリップが咲いた」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090614.html
●6/17:自律神経失調症とのお付合い(その99)~「ビョウキが治っちまうよ」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090617.html
●7/1:自律神経失調症とのお付合い(その100)~「下血にショック!」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-652.html
●7/9:自律神経失調症とのお付合い(その101)~「イボ痔は一生治りません」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090709.html
●7/19:自律神経失調症とのお付合い(その102)~「16時からの飲み会に参加」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090719.html
●7/29:自律神経失調症とのお付合い(その103)~「久々に沈んだ&クスリの飲み合わせ」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090729.html
●8/2:自律神経失調症とのお付合い(その104)~「ヨガ個人教室」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090802.html
●8/19:自律神経失調症とのお付合い(その105)~「冷えと、むくみと、むずむず脚」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090819.html
●8/29:自律神経失調症とのお付合い(その106)~「行方不明だった後輩 S と再会」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090829.html
●9/20:自律神経失調症とのお付合い(その107)~「青空ヨガ」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090920.html
●10/4:自律神経失調症とのお付合い(その108)~「ここで卒業もアリ?」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-776.html
●10/16:自律神経失調症とのお付合い(その109)~「新型インフル、マジでコワい」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-780.html
●10/23:自律神経失調症とのお付合い(その110)~「終わる?と思ったけど通院は続く」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20091023.html
●11/9:自律神経失調症とのお付合い(その111)~「床ゆれ」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20091109.html
●11/15:自律神経失調症とのお付合い(その112)~「赤坂の病院で初診察」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20091115.html
●12/6:自律神経失調症とのお付合い(その113)~「ヨガ忘年会~飲み会禁止を越えて」編
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-834.html


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html