毎朝カオを出してる会社診療所。今朝はナースさんたちが全員マスク。
●あのーソレッて、豚インフルモードってコトですか?「ええ、一応」身近な場所で、フェーズ5シフトだ。パンデミック直前だ。



ああ、ヒマだ。
●会社滞在時間は伸びきったが、あくまでリハビリだから、やるべき仕事はない。…コレ一種の拷問。デスクでマンガ読んでも雑誌読んでも新聞読んでもネット見ても、毎日9時間のヒマをつぶすのには限界がある。
●だから、最近は勝手に会社を出て街をブラブラしてる。今日なんか、近所のドンキホーテで安いヨガマットを買い、ツタヤ「ポニョ」のDVDの予約をし、カフェでコーヒー飲みながら雑誌を読み、公園でひなたぼっこまでして、ヒマを潰した。
●で、ガム噛みながら新橋の駅前をボケーッと歩いてたら、なんと、横尾忠則さんがママチャリに乗って目の前を通過していった!どおおおお!横尾忠則だよ!なんで新橋で、しかもママチャリ?ビックリしてガン見しちゃったよ。向こうも、なんかヘンなヤツに見られてるなあって顔してた。薄い色のジーンズに水色のジャケット、そしてあのボサボサロングヘアをポニーテールに束ねて青のハンチングを被ってた。絶対横尾忠則!見間違いじゃない!


●とまあ、そんなミクロな報告はおいといて……とにかく最近はヒマ潰しのために試写会に行きまくってる。
日比谷や京橋など試写室のある街は、幸い会社のある新橋から近くて、歩ける程度の範囲だ。散歩の延長で映画三昧。で、今日は最近観た映画のハナシをいくつか。



白黒つけないグレーな複雑さを、そのまんまで宙に放り出すような、不安定さがリアルでした。

dear doctor

「DEAR DOCTOR」6月27日公開。
●監督:西川美和。出演:笑福亭鶴瓶・瑛太・余貴美子・香川照之・八千草薫。若手女流監督として活躍する西川美和さんの長編第三弾。テーマは、過疎地医療。人口がたった1500人の村で、たった一人診療所を切り盛りする医者を、笑福亭鶴瓶師匠が演じる。しかし、彼は映画冒頭で失踪する。彼がこの村にどうやって来て、ナニをして、どうして去っていったのか。その秘密が回顧されていく。
●前作「ゆれる」では、山深い田舎から抜け出して、都会でカメラマンとして成功した弟(オダギリジョー)と、その田舎に残り家業のガススタンドを営む兄(香川照之)の複雑な関係が描かれていた。どっちが恵まれた人生なのか、白黒つけられない関係。グレースケールのように淡く変化する気分が確かに「ゆれる」というタイトルを象徴していた。

dear doctor

●今度は、その山深い田舎に、外からやってきた男が主人公だ。高齢者ばかりの無医村にふらりと住み着き、いつしか住民から絶大な信頼を置かれるようになった医者。住民一人一人の名前を覚え、わざわざ患者の家まで出向いて健康診断をする。都会から研修医としてやってきたボンボンの若者・瑛太は、地域に密着した鶴瓶の仕事ぶりにいつしか強くあこがれるようになる。しかし鶴瓶には秘密があった。誰も彼の経歴も正体も知らなかった。しかし彼は無免許医。ニセ医者だったのだ。
●ここにまたグレーなグラデーションが現れる。彼は犯罪者として逃亡した。警察も捜査を始める。彼は無医村問題に特別な意識を持ってこの村に関わったわけじゃなかったし、結果的には信頼を寄せてくれた村人を裏切った。しかし、彼がいてこそこの村の住民は自分たちの健康に安心を持つことも出来た。彼が医者としてやったこと、でも医者じゃなかったこと、医者になろうとした動機、医者を辞めて逃げた理由。映画を観る人は、その一部始終を見ていく。そして知る。ニセ医者は聖人にも悪人にも見えるが、聖人でも悪人でもない。ただの憎めない男だし、普通に弱い男だ。
何重にも重なった入れ子構造の白黒関係が、実に人間くさいグレーの色を作る。そして彼に関わった全ての人の心にグレーの色を残していく。西川監督の作品には深刻な問題であっても、それを「突き詰めない」ゆるさが残されている。それは監督が女性だからという言い方はしたくないが、監督の強いパーソナリティに由来している作風だと思う。
●一番印象的だったのが、研修医・瑛太鶴瓶へ抱いた強い尊敬の思いと、失踪を知った時の錯乱ぶり。そして刑事との会話の時に見せる、物事を白黒ハッキリさせたい若者らしさ、単細胞なイノセントさを、静かに卒業してしまった瞬間の表情。見ごたえがありました。

●ちなみに、根性の脱臼感フリーペーパー「風とロック」4月号のオダギリジョー超ゆるゆるロングインタビューで、彼は西川美和監督をライバル視してると公言。「同い年だし、ほんとにいい脚本書いちゃうから、それはもう腹立たしいんですよ。くそっ、こいつだけこんな才能持ちやがってって思うし。」だって。



サイバラ世界の原点が映画化。&生サイバラ目撃。

女の子ものがたりパンフ

「女の子ものがたり」今夏終わり頃公開。
●原作は、西原理恵子の同名マンガ。四国のドイナカ出身である彼女の少女時代をほのめかす半自伝的作品を映画化。出演:深津絵里・大後寿々花・森迫永依など。毒舌サイバラ泣けるサイバラ、二つの持ち味を使い分ける西原センセイの、一番の「泣ける」サイドがピックアップされました。そんで見事狙撃されました。不覚にも泣きました。
●決して裕福と言えない四国の田舎で、三人の少女が少しずつ成長し友情を育む物語。いつしか三人は、大人にならなくてはならない時期を迎えて、それぞれの人生の分岐点がやってくるのに気付く。その様子が切ない。誰もが心当たりのある、もう後戻りできない子供時代の思い出のお話。

女の子ものがたり3ショット

●監督の演出方針は、パッと見カワイイ(でも実はただのロウファイ)画風のサイバラワールドを重視した模様。3人の少女たちの衣装をはじめ、色の配置を細かく工夫、決して画面や物語が暗くならないように、アレコレ手を尽くしてデフォルメしている。サイバラ作品全部の中にちりばめられてる彼女の故郷の描写は、明らかにスゴいゲットーで、一体ホントにこんな場所が日本にあるのかとビックリするほどの場所のはず。だが、映画は敢えてそのリアリズム描写は避けた。主人公の親友を演じた少女たちは、ティーン誌のモデルを務める美少女で、貧困の悲壮感を感じさせない。それでもクライマックスは見事涙腺を狙撃されちゃうんだけど。

女の子ものがたり記者会見

●ボクの見た試写会は、出演者あいさつがあって、深津絵里さんたちと一緒に、サイバラさん本人もステージに登場した。おー、あれが生サイバラ。フシギな貫禄がある…つーか、無駄に笑わないし…目がギロギロしてるし…。およ、会場のスミの席には、サイバラマンガでいじられまくってる高須クリニックの高須院長までいるじゃん。

女の子ものがたり女の子ものがたり
(2005/04)
西原 理恵子

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●原作「女の子ものがたり」は、故郷を出たその後の彼女を描く「上京ものがたり」、完全ギャグモードで、仕事をつかんでいく様子を描く「営業ものがたり」と続く。ほんで、現在「毎日新聞」に週一連載中の「毎日かあさん」が、育児モードのリアルサイバラさんを描いている。いわば、サイバラサーガがどんどん更新中ってこと。

毎日かあさん 5 黒潮家族編毎日かあさん 5 黒潮家族編
(2008/12/13)
西原 理恵子

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●第4巻の「毎日かあさん」は単行本書き下ろし部分として、元夫で子供たちの父親・カモちゃんのガン死が描かれていてる。これまた号泣モード。最新刊の第5巻では、普段のギャグモードにもどりつつも、世界各地の海でカモちゃんの遺骨を撒く様子が書かれてて、サイバラさん独特の夫の弔い方が出てて興味深い。
サイバラさんちのお兄ちゃんは実にアクティブなケモノで、それに比べてウチのノマドはとっても貧弱。ワイフに「今日は学校でトモダチと遊んでらっしゃいよ」と言われて「ヤダ!バトスピのニューカードのケンキュウをするんだ!」って泣きそうになりながら抗議する。そこはそんなにムキになる所か?あ、あと、先日買い与えた辞書を使って、毎日わかんない言葉を調べてる。「らせんってなんだ?マキガイのようなうずまきってかいてある?」辞書でココまで盛り上がるって、オマエ変人だよ。
サイバラさんちの妹ちゃんは、とっても利口な子。ウチのヒヨコはハイパー天然のままで、軌道修正のしようがない。ピーはねハズカシイくせがあって、それがどうしてもなおらないの」何?そのクセって?「ギュウニュウをぐいーってのむと、そのあと、ぜったいプハ~ッっていっちゃうのとー…」それは、ゆっくり飲めばいいだけだろうよ。「あと、ジブンのこと、どうしても、ピーっていっちゃうこと」…ヒヨコ、自分のこと「ピヨ」とか「ピー」とか言ってるの、ガッコウでもやってるのかい?「そうなのー」マジ恥ずかしい…イジメラレね-か?で、ピーって言って他の子はなんか言う?「なんにもいわなーい」……じゃあ、いいんじゃねえの?そのままで。

いけちゃんとぼくいけちゃんとぼく
(2006/09/01)
西原 理恵子

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●今年はサイバラ・イヤー。原作絵本「いけちゃんとぼく」も映画化されるし、「毎日かあさん」はアニメ化されちゃう。そんでこの「女の子ものがたり」ビッグコミックスペリオールでは新連載もスタート。ノッテマス。

自虐の詩 プレミアム・エディション [DVD]自虐の詩 プレミアム・エディション [DVD]
(2008/03/14)
西田敏行中谷美紀

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●DVD「自虐の詩」
●原作は業田良家の4コママンガ。監督:堤幸彦、出演:中谷美紀、阿部寛など。死ぬほど幸薄い主人公・中谷美紀が、瞬間的にブチキレてちゃぶ台をひっくり返すパンチパーマのチンピラ阿部寛に、盲目的に尽くしまくる物語。その救いゼロ状態をひたすら笑い飛ばすしかないコメディと見せかけて、「幸せってナニ?」という問いを投げかける作品に仕上がってる。
●で、「女の子ものがたり」と同じく、主人公の少女時代、そしてそこで知り合った親友を回顧するシーンが重要な役割を果たしてる。貧乏で誰にも相手にされないモノ同士が、人間関係の最低ポイントで出会い、似たもの同士が持つ愛憎まみれた感情をぶつけ合う様子。その意味ではこの「女の子~」と「自虐の詩」は近い感覚で感動できる物件だと思います。



日本海軍潜水艦艦長に、現代日本に望まれてるリーダー像を見ちゃったかも。

真夏のオリオン

「真夏のオリオン」6月13日公開
●太平洋戦争最末期、日本海軍の潜水艦「イ-77」とアメリカ海軍対潜駆逐艦の死闘を描く海戦アクション映画。監修・脚色に福井晴敏さん参加が、ボクの引っかかりポイント。実は「亡国のイージス」「ローレライ」も観てないんですけど、彼が執筆している小説「機動戦士ガンダムユニコーン」がアニメ化されるらしいとのことで、こりゃチェックしないとなと思った次第。「ユニコーン」は久しぶりの宇宙世紀モノで、ザビ家の遺児ミネバ・ザビちゃんが16歳のヒロインとして活躍する物語。脇役でブライトさんも出てくるみたいだし、「逆襲のシャア」で活躍する戦艦ネェル・アーガマも登場する。注目!
●主演は、玉木宏。ドラマ「ラブシャッフル」からの流れで注目度アップ。彼がオキナワ上陸戦へ物資を供給する米軍艦艇を13隻も沈めた、才能ある潜水艦艦長を演じる。ココも重要な引っかかりポイント。彼は今見ていたい俳優!今年は手塚治虫70年代の傑作を映画化する「MW(ムウ)」の主演も控えてる。
●脇を固めるのが、CHEMISTRY堂珍嘉邦。当然俳優仕事は初めて、イケメンぶりをドアップでお楽しみ下さい。そんで平岡祐太くん、初めてちゃんと観た。「スウィングガール」のヘタレくん以来だな…イイヤツっぽいけど、ココリコ遠藤さんに見えるんだよね…。渋みが滲みまくるベテランクルーには、益岡徹、吹越満、吉田栄作など。ドランクドラゴン鈴木拓が、相方に負けじと真っ当に役者しているのも見所。

潜水艦戦の息詰まる困難さ、見えない敵との心理戦、潜水艦映画の醍醐味はたっぷり。
●個人的な発見は、その潜水艦艦長というポジションの特殊さ。玉木が劇中で語るセリフが「潜水艦は自由だ」。規律の厳しい海軍の気風の中、潜水艦だけはいざ実際に作戦行動に入ればその艦独自の判断で行動できるという特例があるという。というか、戦闘状態に入った瞬間で味方との細かい連携など不可能になるかららしい。
加えて、潜望鏡から外を覗く事が出来るのは艦長ただ1人。潜水すれば海図とコンパスだけが頼りでメクラのままに船を操る。100人のクルーは巨大な金属に包まれた狭い空間で全く外界から遮断され、自分の位置も敵の位置もよくワカランまま艦長の命令に従い、モーターを動かし、魚雷を装填し、舵を動かす。つまりクルーは自分の命を艦長の判断に全部委ねてる。誰もが艦長の一挙一投足にビリビリに注目している。そんな時、常にどこか余裕を残し、笑みをたたえて部下をねぎらう玉木艦長は、限界状態のリーダーとして見習うべき部分があると思った。だれもがヤベえ!って思うタイミングに「おう、メシだ!メシ食おう!」とか元気よく言っちゃうんだもん。
世界金融危機以降、来月来期の会社が見えなくなった経営者のあわてぶりはホント見苦しい。完全ヒステリー状態になってコストカットだけを叫ぶ。潜望鏡で外を見ているのは経営者だけ、社員には外が見えないのは自然の道理。「会社は今や危機にある!それをキチンと理解しているのか?」と社員に叫ぶ経営者はナンセンスだ。アンタほど危機を理解出来る立場はいないのに、都合の悪い事実の説明は省いて、負担だけを部下に強いる。ああ、自分の社員をこの人は信用してないんだなーと感じる。そんなリーダーは愚かですね。

●一方で、いつの間にかCDデビューしてたのね、玉木くん。

SLOW TIME(DVD付)SLOW TIME(DVD付)
(2009/04/22)
玉木宏

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玉木宏「SLOW TIME」2009年
声はもう、あの玉木声なんで。芯のシッカリした少し低め。で、音楽はレイドバックなアフターサーフ風の爽やか系。ファンの方には大事なアイテムなのかもだけど…音楽好きとしてはそんなに重要じゃないかも。



息子ノマドと行ったのは、あのアニメの実写版。

ヤッターマン

「ヤッターマン」公開中。
●コレは友人がチケットをくれたから、劇場に息子と二人で見に行った。まわりのお客は、ボクらみたいな子連れがメインかなという予想を裏切り、櫻井翔くん目当ての女子中学生が多かった…。内容は……ボクの職場の後輩の言葉を借りると、「三池カントク、ありゃヤリスギですよ!好き放題悪ふざけしまくってるだけじゃないですか!」えーそのー、ボクもほぼ同意です。でも怒ったってしょうがないじゃん。そのヤリスギを笑うべきじゃん。実際大爆笑したよ、ボクは。そんでノマドも大喜びしてたし。
●監督:三池崇史、出演:櫻井翔・福田沙紀(ヤッターマン一号・二号)・深田恭子・生瀬勝久・ケンドーコバヤシ(ドロンボー)など。ヤリスギ感丸出しのCGフル出力。ぶっちゃけ役者はこの映像の出来上がりがどうなるか100%不明なまま、グリーンバックで演技してるんじゃなかろうか。
生瀬さんの、目玉を終始ひん剥く勢いでテンションを上げてる「ボヤッキー」ぶりは超マッドで最高!シラフじゃ出来ねーよこんなこと!ってほどの勢いが超笑える。アニメよりもグッと饒舌で、しかも的確なボケ&ツッコミが小気味いいケンドーコバヤシ「トンズラー」もナイス。アニメ版よりも好き。
●そして話題のフカキョン・ドロンジョ様。映画前半戦で登場する「ドロンボーの唄」3ショットのダンスの、全然やる気がコモッてない表情が爆笑。野比のび太から未来少年コナンまでこなす大声優・小原乃梨子(本人のカメオ出演アリ!)のオリジナルドロンジョに比べれば、あの独特の高飛車&スレッカラシ感はなくって、むしろ設定通りの「永遠の24歳?」らしい、気分の変わりやすいワガママ娘にデザインされててチャーミング。結果としてアリ!あのドロンジョ・コスプレ、ドンキホーテで売ったらすごく儲かると思う。
●家に帰る時、息子と二人で誰が一番カワイかったか話し合った。「パパはヤッターマン2号だったな」「じゃあオレはアイちゃん!」結局、福田沙紀ちゃんが親子でお気に入りだったと判明した。

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バトスピ大好きノマド。
休日だと言うのに、コドモは非常に朝が早い。バカかと思うほど早い。休みくらい寝てろってのに、休みだからこそタップリ遊びたくて朝早く起きて来る。ウチの小学二年生ノマドはマジで朝早い。しかし一方で、超天然ムスメヒヨコは死んでるんじゃないかと思うほど深く眠って起きない。足して2で割れ。マジで中庸ってモノを重んじて欲しい。
●だが、自律神経失調症を患うボクも、睡眠時間の調節が苦手なのでなぜか5時半には目が覚めてる。結果、ノマドとボクがクソ早い時間からリビングに座ってる。すると、ヤツが提案してくる。「パパ、バトルしよ!」
●息子ノマドはカードゲーム「バトルスピリッツ」に取り憑かれている。日常会話で「ターンエンド!」といったゲーム用語を挟んで来る。しかし、トモダチの間では全く浸透してないこのゲーム、ヤツの相手をマトモにこなせるのは地球上でただ一人、ボクだけなのである。
●で、朝っぱらから二人でカードゲームで対戦。最近は最新カードを仕入れて過激な軍拡路線にあるヤツの手札があまりに強くてボクも勝てない。しかも一勝負の時間が伸びて、平気で一時間を越えるようになった。よくぞ集中力を切らさずにこの長丁場を戦えるモンだと我が子ながら感心する。この粘着気質は明らかにボクの遺伝なんだけど。

●そんで昼。
●ワイフとヒヨコが、ワイフの友達とランチをしに新宿へ出かけたあと、ノマドとボクは昨日のカレーの残りを二人で食いながら、バトスピカードのガチャガチャをしに行こうと合意した。下北沢の商店街にあるフツウの文房具屋さんの軒先に、バトスピガチャガチャがある事が最近判明したのだ。我ら父子は100円を握りしめ、ガチャガチャへと向かった。

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(100円で4枚のカードがゲット出来る。お互いの収穫は自慢しあうが貸し借りはしない。ライバルだから)

●そしてファーストキッチン。

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禁煙席のテーブルを二つくっつけて、カードを並べてバトル開始。
コレがなんと2時間半にも及ぶ長期戦。総合戦力に分のあるノマドの作戦に、ボクがドコまで抵抗出来るのかという勝負だ。しかもヤツはボクの手札を分析して強力な防衛戦を張っている。しかもボクがまだ晒してないカードの存在を警戒して、圧倒的に有利な情勢でも全面的な攻勢を仕掛けて来ない。完全にボクの手札が無力化したと確信するまでトドメを差しに来ない。一方でボクはさらに裏をかいてノマドを誘い込んで決定的なダメージを与えるチャンスを作る…。申し訳ないけど、かなり本気。その一方、ノマドの声がデカイので店内でメチャ目立ち、ハッキリ言って恥ずかしい。「ネクサス「決闘台地」をハイチ!」オマエ声デカイよ!………まさしくバトスピバカ親子。
●いつしか新宿に行ってたワイフとヒヨコも合流し、2時間半の死闘の末ノマドは家に帰っていった。でもボクは長い緊張の持続ですっかり疲弊して、もう店を立つ気にもなれない。今後、ゲームのやり方考えないと、病気を悪くしそうだよ…。


今日の音楽は80年代マイルスです。

You're Under ArrestYou're Under Arrest
(2008/04/01)
Miles Davis

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MILES DAVIS「YOU'RE UNDER ARREST」1985年
●とある旅番組をボケーッと見てた時。しかも、5分程度のミニ番組。MICHAEL JACKSON「HUMAN NATURE」をフュージョンカバーしたモノがBGMとしてかかってた。多分30秒程度のコトなんだけど。リード楽器ははトランペット。とても気になった。そういう時には聞いてみる。CMソングでも気になるヤツがあったら、そのスポンサーの本社に電話かけるモンねボクは(で、往々にしてCMに対する反応はとても速い。自分でネットで調べるよりも)。だから、この時も、テレビ局に問い合わせをしてみた。いやー絶対わかんないだろうなーと思ってたけど、問い合わせ担当の人が頑張ってくれて突き止めてくれた。メチャ時間かかったけど。
で、ビビった。なんと MILES DAVIS の演奏だったのだ。「えーマイルスなんですかー!そういうコトもやってたんですかーマイルスはー!」問い合わせ担当の女性は、ボクのオドロキの意味については全然理解してなかったようだけど、ボクが喜んでくれたと了解して満足げだった。もちボクも満足ですよ。ありがとうございます。ジャズの帝王 MILES DAVIS の知らない側面を教えてもらえたのだし、時代時代で芸風を常に革新した帝王のフトコロの深さを思い知る事ができたのだから。

●で、今週。このマイケルカバーを収録したアルバムを525円で購入した。おトク価格ー!70年代後半をドラッグ問題で台無しにしほぼ活動を止めていた帝王を、MARCUS MILLER ら若手フュージョニストが表舞台に担ぎ出したのが1981年「THE MAN WITH THE HORN」の時。多分このアナログもボクの部屋のドコかに埋まっているはずだが発見は無理だろう。でも、パリパリのフージョンじゃん!と思った記憶はある。
●そっから少し時間のたった1985年のアルバムがコレなんですが、帝王は前述の「HUMAN NATURE」(1982年)と CYNDI LAUPER「TIME AFTER TIME」(1984年)をカバーしている。最近のジェイポップカバーブーム(SOTTE BOSSE 的なアプローチ)とかよりも、このカバーの方がもっと露骨にえげつない。SOTTE BOSSE はある程度評価の定まったクラシックな楽曲をカバーしてるんだけど、MILES のカバーは近々のベタベタヒット曲をほぼリアルタイムの速攻でツバつけちゃってるんだもん。日本の今のタイミングで言えば、絢香ちゃんやエクザイルをカバーしてますって勢いじゃん。ある意味で帝王 MILES だから許される「老人力」って雰囲気すら感じる。いや、演奏自体は素晴らしいよ、だって30秒程度のBGMで耳に焼き付いちゃったほどだもん。ミニマルでスキマの多い印象の帝王のトランペットが、実に艶やかにメロディを奏でてるのは実に耳に心地よいです。
●最晩年にはヒップホップにまで到達する帝王ですから、「オレがイイと思ったんだ文句があるか!」というオレスタイル剥き出し根性はとても痛快です。この人はホント時代時代でスタイルが違うし、ホワイトアメリカに対して過激発言しまくるクセして、演奏が気に入ったら白人だろうと人種を問わずバンドに引き込む潔さもある。「オレは演奏のウマいヤツなら緑色の人間でも雇うぜ」というカッコいい言葉も残してる。
●他の楽曲は、フュージョンテイストとは言いながら、そこにはやはり帝王一流の張りつめた緊張感とスピード感、帝王を支える高弟たち、JOHN MCLAUGHLIN、JOHN SCOFIELD などの絶妙なプレイが殺気走っててキチンと楽しめます。変わり種では、声の出演という中途半端なポジションで元 POLICE STING が参加してる。これは単純にスタジオ見学しに行ったら、その場のノリで「オマエ、このフランス語のセリフ読んでみろ、オレ、ダミ声過ぎて読めねえから」というハナシになったという顛末らしい。

昨日、浜松町の駅前で信号待ちしてたら……おっ!このクルマは!

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トヨタ・スプリンタートレノ AE86型、通称「ハチロク」、マンガ「頭文字D」藤原拓海モデル(藤原とうふ店)じゃないか!1980年代の旧車なのにこんなにキレイに手入れしてて、しかもマンガと同じカラーリングとカッティングシールをバキッと決めててカッチョイイ!伊達だねえ!


さて。今週のボクは、銀座方面を散歩。
iPod の調子が悪いので、銀座のアップルストアに行ったら、もうバッテリーが上がっちゃってるとのこと。バッテリー交換に6000円強かかるという。そこでボク、「そんじゃ新しい機種にしちゃおうかな?」とつぶやいたら、店員さんすかさず、「古い iPod の引取りリサイクル前提で、新製品を買っていただけるのなら、価格を10%オフします!」だって。アップルストアってやっぱイイよ。マック系って量販店でもほぼ値引きされないから、どこで買っても同じだし、ビッグカメラのポイントが10%つくよりも、現金で還元の方がイイモンね。
●ということで、iPod Classic 120GB を衝動買いしちゃいました。そんな買い物して平気かよと思いつつ、アタマのスミから「定額給付金がそろそろ来るぞー!」という声が聞こえてきました。日本経済のために消費!これで、30000曲音楽が入れられるぞ!今まで6000曲しか入らなくて窮屈でしょうがなかったからなー。でも、ボクのマックに入ってる16000曲を全て iPod に同期させるのに、なんと12時間もかかった。夕方同期させ始めたのに、次の日の朝まで同期が終わんなかったもんね。こりゃビックリだね。USB 2.0 には限界があるかも。……そんな話を会社でしたら、そもそも前提として16000曲を入れる必要があんのか!と先輩に突っ込まれた。

Apple iPod classic 120GB ブラックApple iPod classic 120GB ブラック
(2008/09/10)
不明

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●銀座~東銀座の散歩スポット。この辺ってオモシロいお店や風景がヒョコッと登場するから好き。
例えば、この写真。歌舞伎座の裏側。

P10歌舞伎座

●ガードレールに、黒子さんのため?の衣装&足袋が洗濯して干してある。歌舞伎座ならではの風景。歌舞伎座も新しい高層ビルに改装されるそう。そしたらこういう風景はなくなるかもね。


こっちはフシギな薬局。一見ごく普通の薬局なのに…。

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●異常にムーミングッズが充実している。写真は窓際のショーウィンドーだけど、店内は半分が北欧雑貨で占められていた。ムーミン系のフィンランドもの、スウェーデンものなどなど。ムーミングッズでは、北欧の生地をつかったこの店オリジナルのトートバッグまで売ってた。
●お店のオバサンに聞くと、北欧趣味が高じて、薬局なのに北欧雑貨の方が取扱いが多くなってしまったと言う。買い付け旅行も頻繁に行ってるらしい。「スウェーデンはのんびりしててイイですよ~。でもお隣デンマークでは、のんびりさがなくなっちゃうんですよ」薬剤師のオジサンがサラリーマンに栄養ドリンクを売りながら、オバサンはムーミンを売る。フシギなお店だ。ちなみにミクロなマメ知識。ムーミンは英語名で、地元フィンランドでは「ムーミペイッコ」と発音します。コレはコレでカワイイ名前でしょ。
●このお店、「銀座薬局」の場所。:みゆき通りと晴海通りの間のブロック、時事通信社本社ビルの裏側。


東銀座と汐留エリアの中間に、マニアックな熱帯魚屋さん。

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●熱帯魚から不思議な金魚、デッカいウツボやリクガメくん、外国のカブトムシ、そんでスンゲえ種類の水草や珊瑚みたいな岩、クマノミが住む用のイソギンチャクまで扱ってるという、ハードコアなお店。マジでお店眺めるだけで飽きないっす。
●で、なぜか、二階にカフェが併設されてるトコロがとてもユニーク。本来は窓際にドでかい水槽があったようなんだけど、残念、今は水を抜いてしまってる。近所のオフィスのサラリーマンが心ゆくまでプカプカタバコをフカしてたので、呼吸器の弱いボクにはチとシンドかったが、なんとなく無造作に置かれてる本が、これまたマニアックな熱帯魚系書籍で、思わず目を奪われる。
●ボクが読みふけったのは、荒俣宏さんが書いたチョウチョウウオの博物学的な歴史をつづった本。太平洋の南海で採取された不思議な造形の魚をヨーロッパの博物学者がどう捉えたのかが、歴史を追って変わっていく様子を、博覧強記の荒俣さんが楽しいお話として読ませてくれる。写真もキレイ。

チョウチョウウオの地球チョウチョウウオの地球
(1997/06)
荒俣 宏中村 庸夫

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「パウパウアクアガーデン・銀座熱帯魚館」:中央区銀座7ー17ー14松岡銀七ビル 最寄り駅でいうと、都営大江戸線・築地市場駅らしい。区立銀座中学校から北に伸びる銀中通りと、築地市場駅から市場の反対方向へ歩いた道の交差点の近くです。



「サカナ」から「海」つながりってワケじゃないけど、今日の音楽は BRITISH SEA POWER。

Open SeasonOpen Season
(2005/04/04)
British Sea Power

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BRITISH SEA POWER「OPEN SEASON」2005年
●この連中はその名の通り、UKの4人組ロックバンド。ブリテン島南岸の街ブライトンのシーンから登場しました。ブライトンと言えば、ロンドンから見たら一番馴染み深い海水浴場で、きっと湘南~鎌倉みたいなイメージのある場所じゃないでしょか?ボク的には、モッズ映画「さらば青春の光」で、モッズ対ロッカーズの暴動乱闘(スティングがめちゃケンカ強い)が行われたバショとして印象深いっス。あと、NORMAN COOK A.K.A. FATBOY SLIM が2002年にここのビーチで仕出かした巨大パーティ「BIG BEACH BOUTIQUE」がスゴかったっけ。あれ、25万人くらい動員したって言うじゃん。そんなに人が集まったら、まともに音聴こえないんじゃないか?
●で、コレは、そんな街から登場したこのバンドのセカンドアルバム。ジャケのイメージと仰々しい名前のおかげで、ボクは完全に由緒正しいブリットポップ系のバンドだと思ってたのでした。実際このアルバムでは、英国的メロディがとっつきやすく、少しナルシスティックに響く声も、品のイイ演奏も予定調和的にブリットポップでとても安心出来る内容だったのでした。
●ところがどっこい、この時点でボクはコイツらの本質を全然理解してなかったと、他の音源を聴いて気付いた。


The Decline of British Sea PowerThe Decline of British Sea Power
(2005/01/25)
British Sea Power

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BRITISH SEA POWER「THE DECLINE OF BRITISH SEA POWER」2003年
●ジャケの気分は前述「OPEN SEASON」と全然変わんない彼らのデビューアルバム。しかし、聴いてみてぶっ飛び!おー同じバンドに聴こえませーン!とーっても野蛮でーす!ナニこのギター圧力!ガリガリバリバリなんだけど!このヤケクソなツインギターの乱暴狼藉は……この時代のガレージリバイバルの気分とも異質だし、当然ラウドロックやメタル、ハードコアやエモとも違う……そうだ、90年代前半のロウファイだ!アメリカンオルタナの一番ショッパイトコロの鳴り方に一番近い!
●痙攣気味のボーカルは轟音に沈み込んでて、メロディもメチャクチャヤケクソ。神経を引っ掻きむしるような焦燥感で心臓がバクバクしてくる。アルバム中盤にはブリットテイストのナイスメロディも出て来るけど(シングル曲「REMEMBER ME」とか)、ササクレだったギターのプレッシャーはなくならない。整理されない荒っぽさが、90年代育ちのボクにはいかに気持ちイイか、ハッキリと分からせてもらっちゃった。ガレージリバイバルといっても、当時の FRANZ FERDINAND とかにはリアルな乱暴さを感じられなかった理由がやっと分かったよ。あのバンドはスッキリと洗練されてて、それぞれの楽器音の粒立ちもハッキリ整理されてたからね。「ガレージ」という言葉で説明するバンドじゃなかったんだよ。
●そんで終盤の大曲「LATELY」に感動。なんと13分越え。曲が進むにつれ、美メロが流れ、ピアノが現れ、スケールが膨れ上がってギターノイズが沸騰する。素晴らしい。すんません、PAVEMENT「FILLMORE JIVE」を連想してしまいました。つまりはズバリ名曲です。

Do You Like Rock Music?Do You Like Rock Music?
(2008/02/12)
British Sea Power

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BRITISH SEA POWER「DO YOU LIKE ROCK MUSIC ?」2008年
「オマエはロックが好きなのか?」キミたち、なんちゅーコトをボクらに問いかけるのか?「当たり前ッショ、一生ロックして生きてくに決まってるッショ」とナンも考えずに即答出来るほど、若くもないし単純でもいられなくなってしまった35歳のボクには、ちとホロ苦い質問だよ。本当にロックが「好き」なヤツ、「好きだった」ヤツほど、この質問に答えるのを躊躇すると思う。この質問は「オマエのロックって一体なんなんだ?」と聞かれているのに同義なのだから。オマエみたいに調子よく適当に生きて年を食ったヤツに、胸張って「ロック」と言えるような細胞が数グラムでも残っているのか?自分に問う。むむむ。
●で、このアルバムのキーワードは「ネオ・シューゲイザーへの接近」。ササクレだったファーストのギタープレイはセカンドで鳴りを潜めて、そしてこのサードアルバムでは神々しいサイケ音響へと進化してヒリヒリと空間を震わせるに至る。コーラスやシンセとともに鮮やかなレイヤー構造を織りなして、ダイナミックなロックに結実する。セカンドの分かり易さは踏襲しつつ、音響的な厚みは豊かに膨らんだ。
●連中の年齢がいくつかなのかは、ボクは知らない。ただし、連中が「ROCK MUSIC」という時に、チッポケな後ろめたさも感じてないような強さが、音楽から伝わってくる。連中は王道であろうとしてるからだ。王道が覇道に繋がっているかは別の問題だが、ロックのド真ん中を歩こうとしてる度胸は感じる。


先日、管理者のみ閲覧可能のコメントを頂きました。
ご質問として、ワタシの職業はナニか?というコトを承ったのですが……申し訳ございません、諸般事情がありまして、職業についてはご説明ができないのです。プロフィールにありますよう、「音楽/映画にまみれ続ける仕事」でご容赦下さい。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。



昨日もワイフに怒られました。
●近所にあるギャラリー併設のカフェで、普通にコーヒーを飲みながら読書してたのです。ココまではいつものコトです。しかし、ひょんなコトから今週展示の作家さんとトークが弾んじゃって、その作家さんの知合いの広告アートディレクターさんとか、宇宙関係のお仕事してるシステムエンジニアの人とかがいて、オマケに全員同い年で、勝手に皆さんの輪に潜り込んで23時まで盛り上がってしまいました…。
●アート系のお話を思いっきり話したり、他業種の人から知らない分野の仕事を聞くのはとても楽しくて、心配するワイフからの着信にも気付かず盛り上がり過ぎてしまいました。そんで、家に帰って、怒りを通り越して沈黙するワイフに何度もゴメンナサイしました。病気が良くなりつつあって、なんかハイになる余裕が中途半端に出来て来てしまった…そんなコトしてると絶対痛い目にあるはず…ヤバいっす。


帰宅すると、ピラミッドがありました。

P4264402.jpg

●息子ノマド7歳は、テレビで見たスペシャル番組をキッカケに「古代エジプト文明」に最近凝ってて、ピラミッドが大好きです。時々「ヒエログリフ」とか口走ります。そんで、いきなりリビングにレゴピラミッドが建造されてるのです。
●今朝、アニメの時間に合わせて起きてきたノマドがボクに自慢。「このピラミッドはねー、中がメイロになってて、テッペンからビーダマを入れると、メイロを通って下からでてくるしかけなんだぜ!」へー。


午後はそんなノマドと本屋さんへ。
●息子はマンガ雑誌「ケロケロエース」を、父親であるボクは「ガンダムエース」を購入し、ファーストキッチンで向かい合い、飲み物を飲みながら互いに自分のマンガに読みふけりました。うむ、父子で共有出来る趣味があるってなんかイイな。ノマドは自分の雑誌の特集をボクに見せながら「バトスピのアタラしいエックスレアカードがでてるよ!」とか言ってるし、ボクは「ノマド、新しいガンダムがアニメでまた始まるらしいぞ、今度はガンダムユニコーンだ。あ、あとガンダム00は映画になるらしい」とか言ってる。ノマドの趣味や性格が、ボクに似過ぎているコトが不気味に思えるコトもあるけど、なんか今日は同好の仲間として楽しく思えた。

ケロケロエース(今月はバトスピカード44枚&緑色のコア15コのふろく付き)


それと、ノマドに国語辞典を買ってやった。
●最近は漢字も勉強するようになったノマド、テレビに映る漢字や熟語の読みや意味を知りたがる。だから、正確に答えるために辞書を使ってる。「この辞書という本には全ての日本語が入っている。コレを使えばノマドも全部の日本語を勉強出来るぞ」そんな説明をしたら、ノマド、いつしか自分の辞書を欲しがるようになった。じゃあ、本屋で小学生用の国語辞典を探そう。
●辞書コーナーを面白がるノマド。「うぉー!コレチョーでけエ!」それは「広辞苑」といって、言わば最強の辞書、辞書の王様だな。「コレはエイゴがかいてある」ソレは英語と日本語の辞書。フランス語やドイツ語、韓国語も中国語もあるぞ。そうだ、漢和辞典ていうのはな、漢字だけの辞典で、「あかさたな」じゃなくて「画数」で並んでいるんだ…。
●小学生用だと、フリガナが全部ついてた方がイイだろう。コレはさし絵も多いし、ことわざも収録されてるね。ノマド「『は』のコーナーがイチバンおおい…『わ』はすごくちょっぴりだな」『ワ行』「わ」しかないからな。コレでイイ?「おう!」

新レインボー小学国語辞典新レインボー小学国語辞典
(2005/03)
金田一 春彦金田一 秀穂

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●その後、ノマドは買物に来たワイフと共に先に帰宅し、ボクはカフェで読書を続けた。
そんでボクが帰宅すると、一番最初に目に入ったモノがコレ。

P1001311.jpg(ノマドピラミッド、逆さになって崩壊)

●ナニがどうしたか全然経緯は知らないけど、ノマド自慢のピラミッドはこの通り。コドモ部屋への搬送途中で事故が発生した模様。木っ端みじん。
●でノマドは? ワイフ「ベッドで打ちひしがれて、フテ寝してる」ヤツは泣き疲れて眠ってしまいました。ワイフに風呂の時間だと起こされても、まだグズグズ半ベソをかいてました。



今日の音楽は、また TODD RUNDGREN。

Something/Anything?Something/Anything?
(1990/10/25)
Todd Rundgren

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TODD RUNDGREN「SOMETHING / ANYTHING ?」1972年
●なんだよ、結局 TODD のテッパン盤に結局落ち着いているのかよーって感じです。先日、70、80、90年代の TODD のアルバムを聞いて、そのマッドぶりに笑いつつも、フツウにポップをやってるヤツはないのかしら…と思ったワケですよ。で、この TODD の初期出世作2枚組に手をつけました。ヒット曲「I SAW THE LIGHT」ソフィア・コッポラ監督の「ヴァージン・スーサイズ」でも大事な役割を果たす「HELLO, IT'S ME」が収録されてる、ロックの教科書通りのテッパン盤です。

でも内ジャケ見た瞬間に、安心しました。この人やっぱチトオカしい。

todd rundgren s:a

「片づけられない人」系の気分たっぷりの散らかった自宅スタジオ、キタねえテーブルの上にハダシで立って、モップと思しき棒の先にマイクをつけて、そんで「イエ~ェ!ピース!」と叫んでる。うーん、バカ。イカしてるバカ。
●スタジオの魔術師として、その後プロデューサー業を始めて名を挙げるんですが、そこで生まれる伝説をこの段階で暗示しまくってる。パンクのヤンチャ野郎 THE RAMONES がドン引きするほどの変人ぶりで連中を完全にねじ伏せたとか、ヒネクレ者で知られる XTC ANDY PARTRIDGE とバリバリに衝突しながら作ったアルバムが、結果 XTC を復活させる名作「SKYLARKING」に結実するとか。

彼のアタマの引き出しにはポップミュージックのヒントがイッパイ。
「I SAW THE LIGHT」もややその系統なんだけど、「WOLFMAN JACK」(←曲名だけでワクワクするね)とかは完全に60年代モータウンソウル!女性コーラスを背負って、二拍目四拍目にハンドクラッピンなリズムのアクセント。キラキラだわ!
THE BEATLES な気分もたくさんあるんよね。「マジカルミステリーツアー」前後の、ポップ感と実験感のブレンド具合がいいアンバイだった頃の気分。時々ちらつくキッチュなサーカス感覚も含めて。そうじゃなかったら、「THE REVOLUTION」みたいなチトギターの音が大きいヤツ。TODD が声張った時は JOHN 風のガナリ声に聴こえて、メロディラインは PAUL 風に聴こえる。「COULDN'T I JUST TELL YOU」という曲のコトね。
●シンセをフィーチャーしたインスト曲がもう登場してるし。この段階では、あくまでポップスでチャーミングに鳴ってるからご安心を。一方その逆ベクトルの塩辛いブルースロックもあったりして。さらに「LITTLE RED LIGHTS」という曲は、ゴツいハードなリフロックでちょっぴり LED ZEPPELIN。
●そしてメロウスタイル。AOR 的と言ってイイのかな…。ほんのりとソウルミュージックの艶があって、コーラスワークやホーンアレンジがゆったり奥行きを作ってて…少しセンチな感覚を仄めかしてて。「HELLO, IT'S ME」はそう言う種類の曲かも。で、ソレに準じる曲もイッパイある。でも、元々フリーソウルの趣味はボクとは合わないので、上に書いたような新しい発見の方が楽しかった。


今週、会社診療所でカウンセリング。メイドカフェトークで盛り上がる。
●センセイ「先週、今週はどうだった?」えー、マンションの管理組合の都合で資格講習を受けたんですよ。内容もよく分からない講習を、しかも秋葉原にある講習所というアウェーな場所で、二日もカンヅメ拘束されるってのは結構病気的に不安でした。でも、結果的に無難にこなせましてですね、で、達成感で気分もよくなったんですよ。そんで帰り道にメイドさんたちがチラシを配ってたのを見て勢いづいちゃって、そのままメイドカフェに行っちゃったんですよね。
●センセイ「ほう!それはスゴイね、どんな所なんだい、メイドカフェってのは?」 いやーオモシロイ場所でしたよ。カフェオレがおいしくなるように、メイドさんと一緒に魔法をかけましたよ、「おいしくなぁーれ!ミュンミュン!」って。センセイ「お金は安いの?」ぼく、キャバクラみたいなモンとイメージしてたんですけど、仕組みも雰囲気も大分違いました。単価は安いと思いますが…ホットケーキセット頼んで2000円でしたかね。センセイ「今度、機会があったら連れて行ってね」
●資格講習を受けて、メイドカフェに行く根性があれば、経過は順調だろうと思われたのか、ボクの会社滞在時間はさらに延長され、9:30~18:30になった。つまりウチの会社の就業規則が定める勤務時間と同じ時間になって、リハビリも最終段階突入だ、ということだ。メイドカフェでカウンセリングが盛り上がってリハビリ最終段階とは、なんとも愉快なもんだ。


秋葉原。この街は時代の境目を示す断層みたいなモンをさらしだしてる。
●資格講習で訪れた久しぶりの秋葉原は、なんか異様なテンションをむき出してて不思議な感じがした。巨大なヨドバシカメラつくばエクスプレスの駅が出来て人の流れが一変し、自慢の電気街は必ずしもこの街のメインストリートじゃなくなった。UDX をはじめ超高層オフィスがニョキーっと林立し、ピカピカの存在感を放っている。
●一方、かつては電気街の顔だった家電量販店たち、ラオックス九十九電気、サトームセンといったお店が姿を消したり、シャッターを下ろして無残な屍をさらしたままになってる。駅に併設されてた「アキハバラデパート」は、梅図かずお「漂流教室」のように建物全体が未来へワープしたかと思うほど、キレイにスッパリ切り取られて消滅してた。ここのお店の軒先は、かつて実演販売の聖地で、口達者なオジサンたちが、ユニークなカタチの包丁とかを巧みに操って素晴らしいプレゼンしてたんだけどな…。今はメイドさんがチラシ配ってる。
●でも、高架下の部品屋さん地帯が残っててよかった。でも少しスケールダウンしたかな…。超小規模のお店が高密度に集積し、細かい電子部品をザラザラ並べているあの場所。この気分は映画「ブレードランナー」ハリソン・フォードがうどんをすすってた未来都市ロサンゼルスに匹敵するサイバーパンクぶりだし、ウォン・カーウァイが見たら「天使の涙」冒頭の重慶マンションでのロケシーンを、この場所で撮り直したいと言うに違いないと思う。そんくらい特殊。誰か写真集としてココの記録を残して欲しいな。きっとこの手のパーツ屋さんは姿を変えて、ボクの知らないこの街の日陰に潜り込んで、より熟成されていると思う。

で、目下アキバのエッジーな部分を代表するのは、パフュームもビックリの「コンピューター・シティ」の側面だわ。
●つーか、PCそのものよりも、PCにまつわるコンテンツとその周辺文化が、街の表面を膜のように完全に覆い尽くしたというか。世界標準言語「OTAKU」という大味な言葉じゃもうくくりきれない、多彩に分化したエッジーなカルチャーが、門外漢には見えない秩序で折り重なり、極彩色のグラデーションを織り成している。
●まー、そんなゴタクはどーでもよくって、とどのつまりは、中古ゲームショップとか自作PCパーツ店とかトレカショップとかガシャポン専門店とかアニメ美少女のビルボードとか初代ファミコン・スーファミのようなオールドスクール・ゲームのワゴン売りとか「同人女子向け」「男子向け」という言葉とか麻生首相のイラストを刷り込んだおミヤゲお菓子とか、一見さんにはちと理解が難しい価値観のバリアーが張ってあるようで、素人のボクは少々ひるんだのでありました。


なのに、メイドカフェ。
●自分をアウェーに放り出す感覚。ちょっぴりの冒険心。これは楽しい。ボクの全人生はそんなよそ見運転と脇道探検遠回りで全部出来ているような気がする。やんなくてイイってことに首を突っ込みたくなる。それが自分にとって苦行であったり、趣味や信条を裏切る場合でもやってしまう。コレはボクの性分。
メイドカフェに吸い込まれる瞬間は、完全に「おーオマエほんとに行かなくちゃいけねーのか」とビンビンに心の中の常識感覚が叫んでるんだけど、看板を見て「ボッタクリじゃねーよな」とかの最低限のチェックだけして、ボクは雑居ビルのエレベータに滑り込んでしまったのだ。

「ご主人様のご帰宅でこざいまーす!」
●広くない店内に10人ほどいるメイドさんが明るい声でお出迎え。うぉー、ひるむぜ、いきなり出鼻からメイドさんモード!「ご主人様、こちらへのご帰宅は初めてでらっしゃいますか」は、はい、そうです。マニュアル通りにテキパキお店の仕組みを説明してくれるメイドさんの顔が恥ずかしくて見られない。だって、マジでフリフリのメイドさんなんだもん。どこ見ていいのか…?「今日は雨の日なので、特別の雨の日用制服なんですよ!わたしも初めて着るのですごくうれしいんです」あー、だからリボンが水玉なのね、そっかー!カワイイねー!…ヤベえ!気圧される!コッチもテンション上げないと!キャバクラよりもテンション上げないと、ついていけない!「メイド」というキャラがカッチリ決まってるだけに、彼女たちのテンションは普通女子とは明らかに違い、ハイレベルにデフォルメされ、アンプリファイされてる!マジ真剣勝負!(←オマエ、本当にココが勝負のしどころなのか?)
●メイドさん「本日は、平日限定のホットケーキセットがオススメです!ソフトドリンクとホットケーキがセットになっておりまして、ご主人様の目の前で、メイドがチョコレートクリームでニャンコのお顔をケーキの上にお描きします!あと、お好きなメイドとチェキで写真も撮れます!」あっそー!それじゃ、それお願いしちゃおうかなー!(ボク、必死にアゲテマス)メニューを見ると、ソフトドリンクだけじゃなくちょっとしたお酒もあるし、オリジナルカクテルをメイドが目の前でフリフリしてくれるサービスもあり。料理はガッツリオムライス(やはりケチャップでメイドが絵を描いてくれる)やスパゲティもあった。

●店内を見渡すと、テーブル席には女性客もいるしカップルもいる。外人さんが物珍しげにキョロキョロしているのも見える。そこだけ見ると普通のカフェと同じレイアウトだ。しかし、ボクが案内された席はカウンター型で、男性ソロ客は全部カウンター席に座らされてる。カウンターを挟んでメイドさんとトークするのだ。驚いたのが隣の男性。普通に茶髪の今時風の若者なんだけど、カウンターに広げているのは大量のチェキ写真の数々。たくさんのメイドさんと彼が2ショットでニコニコしている。100枚は下らないぞ…アルバムにキレイに整理されてる…きっと常連さんなんだ…。彼はその後、ステージ上に上げられ、「本日でご帰宅(紛らわしいけど、つまりは来店という意味なのね)が200回になりました。メイド全員と記念撮影させていただきます!」と表彰されてた。めちゃうれしそうだったし、メイドさんとも超馴染んでる。
●メイドさんに声をかけて聞く。ねえねえ、200回も来てるってすごいよね、そんな常連さんがいるんだ?「200回は珍しくないですよ。2000回って人もいますから」2000回!彼女いわく、来店回数に応じてカードがお客には与えられるのだが、200回でクリスタル、1000回でプラチナ、2000回でブラックカードにランクアップするらしい。すげえ…。「ご主人様は今日初めてですから、ブロンズカードを差し上げます!」あ、ありがとう!
●冷静に見渡すと、メイドさんにフレンドリーに会話しているのは、一部のお客だけ。接客に不均衡がある……いや、そうじゃない……彼女たちメイドさんはメニューにあるサービスはカッチリアレコレやってくれるのだが、いわゆるキャバクラのような一対一接客はしないし義務付けられてもいない。彼女たちは毎日顔を会わせているような常連さんと、素の知り合い感覚で自由にトークしているまでなのだ。何もしないとホントに放って置かれちゃう。しかし、彼女たちの関心を引きつけるには500円支払ってピコピコゲームに興じるなど、サービスをアレコレ注文しないとダメだし、常連さんたちはそれに大金と時間を投下してフレンドリーな関係を積み上げたわけだ。これではキャバクラとコストパフォーマンスを比較できない。むむう。あなどれぬ。奥深い。

●すると、ボクが注文したホットカフェオレがやってきた。「砂糖とミルク、お使いですか?」あー、ミルクお願いします!…冷静に振り返るとカフェオレにミルクってオカシイぞ。「はーい、それではミルクをたーっぷり入れて、いっぱいおいしくなるように一緒に魔法をかけましょう!わたしが、『いっぱいいっぱいおいしくなーれ』と言ったら、そろって『ニャンニャン』って言ってくださいね!」やりましたよ。男ですから。胸張って。「ニャンニャン」を。チカラいっぱいね!
●ホットケーキは、チョコレートクリームでネコちゃんの顔を描いて仕上げるのだが、代わりに他の絵もお願いできるという。他の絵って?「ワンちゃんとか、ドラえもんとか、アンパンマンとか…」じゃあ、バイキンマンを。「えー、そんなのかけるかなー、わたし絵ヘタだから」全然オーケーだよ、メイドさんだから!上手上手!うわー死ぬほど甘い、甘くて胃モタレするくらいだー。

「えー、チェキをお待ちの unimogroove サマ、ステージにお越しください」うわー呼び出しかかった。今からメイドさんと2ショットで記念撮影だ。さっき女の子の写真が並んだボードを見せられて、どのメイドがお好みですかって聞かれたんだよね。でも写真じゃよくワカランから、質問してきたアナタをお願いします、って言っちゃった。なんかミニモ二っぽいチビっ子でいかにもメイドさんって感じだったし。おテテでハートを作ってにっこりスマイル!「チェキに描き描きしてから渡しますね」わー、ステージ上で記念撮影してもあんま恥ずかしくなくなってるー。どっか麻痺したかなー。家帰ってこのチェキをワイフに自慢げに見せたら、スゴく怒られたもんね。

●なんとこのお店のメイドさんたちは、時にライブ活動をしたりして、しかもそのステージをDVDにして販売までしている。店内に流れるアニメソング風のBGMも、実は彼女たちのオリジナル楽曲なのかも。2000回ものリピーターを持つほどの強い中毒性があれば、タレント的な活動までもっていけるんだろうなー。反対に言えばリピーターが常に満足できる企画を絶えずクリエイトしていかないといけないのだろう。
●それと、もう一つ大事なこと。ココのメイドさんたちは、多かれ少なかれメイドさんであることを楽しんでる。単純にメイド服を着させられてるのではない。系列5店舗131人所属の女の子たち全員に、一定水準のサーヴィスホスピタリティを浸透・教育させるのは、他業種では至難の業のはずだ。しかし、「メイド」というキーワードが彼女たちの自発性を奮起し自然と高いレベルの職業意識を作ってる。多彩な企画も自然発生的に浮かび上がってくるのだろう。すごいビジネスモデルだ。

●お客は一時間単位でお勘定となり、カラオケのようには延長できないようだ。このルールで一定の回転率を保つことが出来る。よく練られたシステムだな。ボクのフシギな一時間は終わり、退出の時が来た。出口ですれ違ったお客さんは、「おっ、○○ちゃん!久しぶり!」とメイドさんに声をかけていた。常連さんになって馴染みの女の子が出来たら楽しいだろうな。
●帰りのエレベータでは、メイド服を脱ぎ武装解除した女の子と乗り合わせた。明るく染め上げた金髪と黒基調のゴス系私服。さっきまでの高テンションと、このエレベータの沈黙のギャップは大きい。メイドさんのハレとケ。雑居ビルを一歩出れば現実世界。いやー、イイ体験をしたわー。



秋葉原の魔窟。CDショップですら面食らった。
●中古ゲームショップもガレージキットのフィギュアショップも、完全にボクにはアウェーだ。でもCDショップはホームのはず。と思ったら、そうじゃなかった。ハイパーショック。

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「ソフマップ音楽CD館」
●一階は普通のCDショップで、ジェイポップを定価販売してるだけ。しかし二階に上がってビックリした。そこは「ゲームCD」「アニメCD」「ドラマCD」というカテゴリーの専門売り場で、「美少女系メーカー別」とかいう秩序で棚が構成されてる。んんんっ!一体コレはナニ?紛らわしいことにゲームソフトと一緒に売ってるから、この「ゲームCD」がゲーム音楽を収録したCDだと飲み込むのにすごく時間がかかった。アニメといってもボクが知ってるタイトルなんてないから、全部同じに見えちゃう。難易度が高いです。
「ドラマCD」ってのは果たして一体ナニが入ってるのか…イメージするのにすごくテコズッた。CDには「ドMの方にオススメします!○○ラジオ」とか「妹にまとわりつかれて眠れないCD」とかの帯コピー。むむむ、全然内容が分からない。一度試聴させてもらえたらいいのにな…。「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」ってのは強烈だわな。新しいぞ「ヤンデレ」!サイコに病んでてデレデレしてるのか~。ジャケの女の子が包丁持っててイカス。ボクは一応病気ヤロウだから、リアルなヤンデレにも心当たりがあるけど、モノホンは怖いぞー。

●ボクは、メキシコシティの路上でLPレコードをダンボール売りしてたオッちゃんとも楽しくトーク出来たし、中国・広西チワン族自治区の地方都市で海賊版VCDを一枚10円単位で叩き売ってる店でも普通に買物してきた。フィジーのインド系家電店で、ガラスケースに大切にしまってある十数枚しかないCDを出してもらってボリウッドダンスミュージックのオススメを教えてもらったりしてきた。
●そんな経験を踏まえつつも、ぶっちゃけ、今までで一番理解を超えたCDショップに出くわしてしまったと感じた。ニューヨークのヒップホップ専門店で、巨漢のブラザーたちが大声で楽しげに店員さんとトークしまくる中、たった一人異人種のチビとしてレコードを選んでる時よりも、100倍緊張しちゃった。しかもトウキョウシティのど真ん中アキハバラでだよ。マジで意味がわかんないんだもん……まだケツが青いぜ。トホホ。

●じゃあさ、そういう場合、スルーすればいいじゃん、わからないならさー。
●でもスルーできないのがボクの性分。特売100円で売られてたCDを一枚買ってしまった。「ゲームCD」のカテゴリーに入る物件らしい。

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33rpm featuring SIMONGER「CANDY☆GIRL」2005年
●ふーん、うん、普通のエレポップだ。多分そんなに立派な機材は全然使ってないと思うのに、特別な違和感も感じない。エレクトロの感覚になれたボクらの世代は、その機材が安かったり古かったりしても、それを「味」と捕らえる耳を育てた。元はウィンドウズ・マシンのゲームだ、ゲームで音を聴いてた人にとってはより高音質に聴こえるに違いない。個性的で面白いとは言わないが、ジェイポップにはこういうのがあっても別にいいじゃん、という印象。
しかし、ビックリしたのが、このCDの内容でなくって、元ネタになったゲームの内容。

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「ワルイコトシタイ」2005年(廃盤)
●調べたら、コレ、エロゲームでした。100%エロ。ほわー。CDのジャケットにも歌詞の内容にも全くその気配はなかったのに、純然たるエロゲーム。女の子のイラスト一枚CDにはないのに。そんなに名作なエロゲームなの?わざわざサントラを発売しちゃうほどの物件なの?
●商品として企画するとき、お客がコレをレジに持っていくとき、どんな動機付けが作用してるんだろう。エロゲームのBGMをもっと聴きたいなーって思うのかな?いや、コレがエロを超越したエンターテインメントなら、それもアリだと思うけど、ネットで見る限りそんなに名作ってわけでもないみたい…。それでもマーケットとして成り立つインディシーンがあるのかなあ。アーティストやシンガーに特別な意味があるのかな?うーん、奥の深い世界だ。

同じ幼稚園出身で小学校のクラスメート、ユイちゃんが、なぜかヒヨコのファン。
ユイちゃんの告白。「ホントはまえからヒヨコちゃんともっとあそびたかったのに、ヒヨコちゃんのトリアイでいつもマケちゃってたから、あそべなかったの」…ヒヨコをめぐって「取り合い」?ヒヨコ、オマエはどんなオーラでトモダチを集めてるの?…でも「取り合い」ってニュアンスが、なんかおもちゃというか、モノ感覚だよな……。なんか、ペットっぽいんだよ、ヒヨコは。
●それと、スゴく気になることに、ヒヨコ自身には、誰と遊びたいなーという主体性は全くないんだよね…。来るモノ拒まず、相手が誰であろうとマイペース。時に性格のドキツい子も来るけど(6歳とはいえ立派に女子。ボクもビビるくらいの子もいる。)、全然意に介さないもんね。ただ、男の子にはてんで免疫がない。そこだけは安心です、パパとしては。

そんなヒヨコ、DVDで涙ポロポロ。

ウォーリー [DVD]

「ウォーリー」
ピクサー/ディズニー作品は、テッパンものとしてほぼマストでチェックしてる。ポンコツお掃除ロボット・ウォーリーと、最新鋭高機動ロボットで少々おてんば者のイブ(右手のハイパワーレーザーを乱射しまくる)の、カワイらしいラブストーリー。前半30分くらいは日本語とも英語ともとれないロボット語しか出て来ないので、画面から目が離せず、夕食が全然進まない我が家のキッズたち。
●デストロイな地球環境でセッセとムダにお掃除を続ける孤独なロボット・ウォーリーが、宇宙へ飛び出し繰り広げる大冒険に、ノマドはテンション上がりっ放し。でもクライマックスの大ピンチにヒヨコは無言で大粒の涙を流しまくってる。ハシを握りしめて茶碗を持ったまま、画面を眺めてポロポロポロポロ。結局ハッピーエンディングになるわけだけど、観賞後ヒヨコは「もうおなかイッパイ」。ソレはオマエ、「胸がイッパイ」のマチガイだろう。せめてお肉もう一枚食べなさい。



またまた、意味のワカラン場所に迷い込んだ。
●「刀剣博物館」、ヨガ教室…。最近は、自分に全く似つかわしくないトコロに、ボク自身を無理矢理放り込んでスリルを楽しんでいる。今週もそんなトライを一発かましてみた。

「甲種防火・防災管理資格新規講習」。という講習を、なぜか受けた。
●会社は休職扱いのクセして、クジ引きの結果、マンションの理事会活動二年目にセッセと勤しんでいるボク。さて、そのマンションの管理組合で「防火管理者」資格を持ってる人が必要になった。今まで資格を持ってた人が引っ越しちゃったのだ。そんな資格がこの世に存在したのも、そんな資格を持つ人がマンションに必要な事も初めて知った。で、先月の理事会にて、その場のノリと勢いで、この「防火管理者」の役、ボクが引き受けますって、言っちゃったんだよねー。

「防火管理者」ってなんですか? えーと、よく知らない。
●ナニも知らずに、テキトーに引き受けたので、ナンのタメの資格か全然わからない。そこでマンション管理会社の担当さんに聞いた。メールではこんなお返事が。

正式な業務につきましては、以下の通りでございます。
<防火管理者の仕事>
・消防計画の作成
・消火,通報および避難の訓練の実施
・消防の用に供する設備,消防用水又は消火活動上必要な施設の点検,整備
・火気の使用又は取り扱いに関する監督
・避難又は防火上必要な構造および設備の維持管理
・収容人員の管理
・その他防火管理上必要な業務

●わっ!やべえ!コレはメンドクサイぞ!とんでもないもん引き受けた!…と思ったら…。

避難訓練実施は、弊社がサポートさせていただきます。また、消火設備の点検は弊社の管理委託費内にて年に2回実施しており、設備の維持管理についても、消防設備点検の都度、理事会へご報告しております。3年に1回消防署へ提出する消防設備点検の報告書に防火管理者として内容をご確認いただき、ご署名・ご捺印いただきます。消防署へは弊社から提出します。

●あー、とにかく資格さえあれば、全部お膳立てはしてくれるのね。

<防火管理資格講習>
マンションの防火管理者資格講習には、甲種防火管理講習(2日間の講習)で、最終日に行われる試験に合格する必要があります。講習は、お近くですと、東京消防庁消防技術試験
講習場で、講習時間は9:00~17:00です。講習費用は、 テキスト代が4600円です。この費用は組合負担が通常です。

えー!講習が二日!しかも9時~5時!やっぱメンドクサイ!
●なんと二日も拘束され、最後にテストまであるという。ウザッ!二日も講習なんて、スピード違反で一発免停喰らった時以来だよ。まあ、お金は出してくれるというし、なんか別のところでも役に立つ資格かもしれないから、挑戦してみるか。加えて、近所の消防署で講習日の予約をする時に知ったが、4月からの法律改正で、「甲種防火・防災管理者資格」という仕組みに制度が変わり、「防火」に加えて「防災」がプラスされた資格にレベルアップしたらしい。火事だけじゃなく、地震災害やサリンテロまで想定に入れた資格になったという。ほよー。
●そんで、先日講習に行ってきました。ちなみに、講習場ってのは秋葉原だったのでした。

P1001300.jpg(これが東京消防庁消防技術試験講習場です。)

●4600円は受講代みたいなもんだと思ったけど、入り口でタウンページのような分厚いテキストを買わされた。4600円じゃ安いほどのボリュームだ!全三冊で「平成20年度版消防関係法令集」「消防計画の作成」「防火・防災管理の知識」。ぺらぺらめくってその瞬間思いっきりウンザリした。講義は260人収容の大会場。まるで大学の授業のよう。そして居眠りしていると、もれなくオジさんにつつかれて起こされる。うーん、タフ。
●一方で、講習場は全てのデスクにPCのモニターがあって結構ハイテク。パワーポイントでプレゼンテーション見せて講義はなされる。ホントはテストもこのモニターのタッチパネルで3択問題をするんだそうだけど、法律が変わったばかりなので手書きマークシートになっちゃってるとのコト。その代わりマルバツ回答なので簡単になったらしい。

P1001298.jpg(意外なほどハイテク)


授業は退屈だったが、ちょっと「へーっ!」と思ったウンチクがあったのでご紹介します。

・119番は近所の消防署で受けている?
実は違うんです。東京23区は大手町の消防本部、多摩地区は立川の防災基地で一括集約。だから、「駅前から右入ったコンビニの隣の焼肉屋だって!あんた知らんの!」と逆切れしてもしょうがない。まず「○○区の~」から始めないとオペレーターさんには意味が分からないのだそうです。ちなみに119番通報は一日約3000件。消防も救急も、あとスズメバチの相談とかもかかってくるって。

・消火器はどんくらいの時間使えるか?
5分?3分?いえいえ、15秒しかもたんのです。あっという間ですね。あと、白い粉が吹き出る粉末消火器はどんなタイプの火にも対応できる万能型ですが、なにぶん「粉」なんで、水みたいに染込みません。フトンなどは表面の火が消えても中の方で燃えてるかもしれないので、改めて水をかけないといけないそうです。

・ドアの窓に赤い逆三角マークがあるけど、あれってナニ?
アレ、気になるでしょ。ビル見上げると、必ずあるじゃん、あの三角印。アレは「ココが開閉可能な窓だよ」というコトを示すマークで、消防士の人はあの窓にめがけてはしご車をかけたりするらしい。しかも消防法であの三角マークの窓を一定の間隔で設けないといけないってルールもあるという。

・ボヤでも119番するの?
消防法では、ボヤ程度の出火を自力で消し止めたとしても、119番して消防署の人に来てもらわないといけないと決まってるそうです。交通事故と一緒で、消防署の検証と書類がないと火災保険も下りません。後日、消防署の人に来てもらっても書類は作れないし、保険も下りないそうです。

・消火器の使い方は知ってるけど、消火栓の使い方はわかんないんだけど?
あの消火栓には、二人用と一人用があるんです。ホースを現場に持っていって手元で水を発射できるタイプ(一人用)と、水の元栓バルブがホースの付け根にあって、ホースを持つ人と、バルブを開閉して水を出したりとめたりする人の分業をしないといけないタイプがあるんですって。一人用は20メートル、二人用は最大30メートルまでホースが伸びる。知らなかった!

消火栓(これは1人用タイプです。)


●あと、売店をチェックしました。なんもないツマンナイ店でしたが、ゆるいグッズがあったのでご紹介。

P1001306.jpg

●ゆるいTシャツ…。そして消防庁のキャラクター・キュータくんシャープペン。ピーポくんの方がカワイいな。
●あと、トミカのミニカーがいくつか。当然全部消防車。あとはクソ真面目な法律テキストだけ。消防にまつわる資格っていっぱいあるのね。危険物取扱いウンチャラとか…。


P1001308.jpg(右が「防災」左が「防火」。)

●さてさて、二日間の講習の結果、見事資格取得に成功しました。そんで自分にゴホウビ。
●秋葉原という街を訪れたのは、カレコレ3年ぶりくらいだったかな。そんで結構ビックリしたのは、ホントにごくフツウにメイドさんが道を歩いているというコトだ。わー世界の AKIBA!外人さんもビックリのジャパニーズオリジナルサブカルチャーの拠点だ。
ココまで来たら、攻めるしかないでしょ。そうですよ、行きましたよ。ええ、その通り。アキバと言えば、メイドカフェ。講習終わり、ソロで飛び込み一見さん入店ですよ。スゴかったです。まー、詳しい顛末は後日報告します。帰宅後、速やかにワイフに報告したら、チョー怒られたけど。



●音楽のハナシも一応するのだ。

453px-Prince_by_jimieye.jpg(殿下、今年で御年50歳。)

今日は、PRINCE 人脈を聴く。
PRINCE は勤勉だ。とにかく作品が多い。切れ目なく常に作品をリリースしている。同じく80年代を活躍したスーパースター MICHAEL JACKSON がタダの奇人変人系ゴシップ量産マシーンになり、借金返済のためのせっかくのオークションもドタキャンする奇行でカッチリファンを失望させてくれるのに対し、78年のデビュー以来、PRINCE はとにかくセッセと音楽を作り続けてる。名前を変えたり(というか読めなくなったり)と、至近距離でお付き合いしたら多分 MICHAEL と変わらないほどのコマッタちゃんのような気がするが、殿下はアーティストとして常に現役。コレはエラい!
●だから、彼のCDを買う時は、どうしても戸惑ってしまう。「コレ、既に持ってるんじゃねえ?」ヘタすると二枚買い三枚買いしてしまうボクだ。彼くらい多作になると、持ってるのがドレでまだ聴いてナイのがドレか分からなくなる。FRANK ZAPPA も同じ理由で買うのが怖い。つーか、ZAPPA は実際に同じアルバムを2枚買っちゃったことが2回ある。
●そんなわけで、ちゃんと確認した上で、彼のアルバムをLP二枚組で買った。むしろ「コレ持ってなかったんだ、自分でビックリ!」と思って買いそろえた、という物件だ。

PRINCE「1999」

PRINCE「1999」1982年
●おいおい、コレは殿下の超代表作じゃねえか、ソレ忘れてどーすんだよ!自分でもそう突っ込んでしまいました。「1999」の7インチシングルだけ持ってて、アルバムは持ってなかったのよん。だから持ってた気になってた。さあ、キチンと聴いてみよう。
●この時代の殿下はやっぱスゴいな。作詞作曲は当然、99%くらいの割合で自分一人で演奏もしてる。ホントに混じりっ気ナシなオレ世界だわ。一部コーラスだけ他人に依存してるけど、その女性コーラスには殿下プロデュースでデビューする LISA & WENDY とかがいる。

●そんでLP二枚組のボリューム。でも全然長く感じない。確かに一曲一曲は7分~9分とかあったりすんだけど、のっぺりとした軽量級ファンクがあんま長さを感じさせない。スピード感は別にして、殿下のファンクはドコかハウシーなんですよねー。モチロンこの82年という時代にハウスミュージックなんて概念はないはですが。ハウスが単調に聴こえないように、殿下のファンクも奇妙な中毒性を持ってて耳に馴染んで聴き飽きたりしない。もちろんハウスと違って基本が生弾きだから、聴けば聴くほど味も染み出る。ブラックロックなギターが呻いたり、チョッパーベースが弾んだり、ピッチを揺さぶる奇妙なシンセが紫の煙を吹きまいたりと、仕掛けがたくさん。
●基本的にたった一人の作業で録音された、実験室培養の粘菌のように不気味なヌメリけのある楽曲群の中で、表題曲「1999」だけはなぜか突き抜けた開放感がある。だから大好き。歌詞を読むと、実は「審判の日」がやってきて破滅から逃げ惑う人々を尻目に、パーティしまくろうぜと煽るバカ騒ぎ讃歌。1999年なんて時代はもう過去の一ページになってるのに、ドン詰まりの世紀末感を殿下流に逆解釈したこの曲は、911テロ以降ずーっと世紀末の延長戦が続いているこの世界には全くお似合いなのである。


THE TIME「PANDEMONIUM」

THE TIME「PANDEMONIUM」1990年
PRINCE 殿下の高弟によって組織されたファンクバンドの4枚目のアルバム。ニュージャックスウィングの気分も横目で感じながら繰り出す、殿下直系のスピードファンクが痛快。ボーカルも変態チックで師匠の味そのままだし、エレキギターがうめくブラックロック風味もあり、実に充実した内容。結局彼らが、80年代型ファンクバンドの最後の存在だったのかもしれない。この年を境目にヒップホップがブラックミュージックを支配し、バンド形態のブラックミュージックは一部の例外を除いて姿を消してしまう。

THE TIME は、半ば PRINCE 自身がでっち上げたバンド。後にバンドの中心人物となる MORRIS DAY PRINCE が全部の楽曲を制作し、適当なシンガーをあてがうつもりでいたユニットだったのだ。それが1981年の頃。前述のアルバム「1999」を用意している頃に、そんなサイドプロジェクトまで動かしてたのかよ!スゲえな殿下は!そんな経緯で探し出したバンドが殿下のお膝元ミネアポリスで活動してた FRYTE TYME というバンドだった。ボーカリストは、後にソロデビューする ALEXANDER O'NELL。結局彼自身はバンドを脱退し、MORRIS DAY 自身がセンターに立つ事によって THE TIME が誕生した。

●このバンドのメンバーは、それぞれほぼ全員がアレンジやプロデュースを手がけられる本格派のミュージシャン。とくに注目すべき存在として、キーボーディスト JIMMY JAM とベーシスト TERRY LEWIS がいた。そう、つまり、後の鉄板ヒットメイカーチーム、JAM & LEWIS が所属していたのだ!
THE TIME殿下のツアーに同行して前座を務める。そんで三枚のアルバムもリリースした。しかし、肝心の JAM & LEWIS の二人がある時大ポカを仕出かしたのだ。THE S.O.S. BAND のプロデュース仕事に少々精を出し過ぎてしまった二人。殿下のツアーの前座をいつも通り務めるはずが、天候トラブルで現場に到着出来ず完全スッポカシ!「オマエら、バイト仕事とオレとの本命仕事とドッチが大事なんだ!?」とブチ切れた殿下に、クビを言い渡されてしまう!
●しかし才能ある二人が抜けて、バンドは急速に衰え、1985年に解散へ。じゃあこのCDはなんだというと、1990年の再結成盤。JAM & LEWIS殿下の下から独立後、マジでブレイクしてしまったので、殿下も態度を丸めて再結成&自作アルバムにフィーチャー。それが「GRAFFITI BRIDGE」1990年。GEORGE CLINTON から MAVIS STAPLES まで招いて作った同名映画のサントラで、THE TIME も何曲かプレイしている。でそのついでに出来たのがこの THE TIME 名義のアルバムという訳です。


JANET JACKSON「RHYTHM NATION 1814」

JANET JACKSON「JANET JACKSON'S RHYTHM NATION 1814」1989年
●いきなり失業した JAM & LEWIS は本気でプロデューサー業に励むハメになった。しかしココでイキナリ幸運を掴む。MICHAEL JACKSON の末妹、JANET JACKSON がシカゴの殿下のライブで観た THE TIME の演奏をいたく気に入り、二人にプロデュースを依頼してきたのだ。ソレが結実したのが1986年の「CONTROL」。見事ビルボート一位達成。タダの兄貴の七光りアイドルとされてた彼女を一気にホンマモンのアーティストにのし上げた。彼女は満足のあまり、ソレ以前の作品を自分のキャリアから抹殺した。コレがアタシの真のデビューよ!

●で、その次に繰り出したのが、このトータルコンセプトアルバム。もち参謀は JAM & LEWIS。彼らは徹頭徹尾R&Bのプロデューサーで、ヒップホップのプロデューサーであった事はないが、ココで駆使されたおびただしいサンプルコラージュ、ドラムマシーンの饒舌な連打、SF感覚満載のキーボード、PRINCE 譲りのブラックロックアプローチは、90年代のR&B/ヒップホップの様々な要素をことごとく先取りしてた。ビデオクリップやダンスまで一貫させたイメージ戦略は硬質なビートをより鋭角化させて、リアルタイムのボクの耳はマジ戦慄したものですわ。「1814」という数字の意味は今だ持ってワカランけど。

●ボクは、この作品で生まれて初めて「INTERLUDE」ってモノを聴いたのです。今でこそヒップホップ系の連中はクサルほど「INTRO」「SKIT」「INTERLUDE」「OUTRO」とか言って小賢しいトラックを挟んでは内容の薄さをごまかすのだが、その先駆がコレのはず(?)。8つの「INTERLUDE」で曲間の継ぎ目をよりドラマチックに演出する手法は、高校生のボクには目からウロコの発明だった。ボクはガッコウの放送室のポンコツミキサーでオリジナルのミックステープを作って遊んでた頃だったから、コレをキッカケに効果音CDとかノイズだとかエフェクト加工とか曲間のアレンジに様々な実験をするようになっちゃった。

●ボクは宇多田ヒカルのファンだが、キッカケはデビュー曲「AUTOMATIC」ではない。JAM & LEWIS がプロデュースした「WAIT & SEE ~リスク~」から大好きになった。完全に JAM & LEWIS 入り口で彼女の世界に入った。その後、JANET JACKSON が来日した時の会見で、「ウタダヒカル?知ってるわよ、とても才能のあるシンガーだって JAM & LEWIS から聞いてるわ」と発言したのを聞いた。日本人としてちょっと誇らしく思えたな。

宇多田ヒカル「WAIT  SEE ~リスク~」




娘ヒヨコ6歳1年生の一言ボケ。
「ピヨ、ポテトチップスの「おすし」あじがたべてみたいの!」………「おすし」味…。…………ていうか、それ、「うすしお」味のコトいってんのか? ワリと難易度の高いボケで、理解に時間がかかったわ。



自律神経失調症とのお付き合い(その92)~「息をするのを忘れてる」編
●先日のヨガはよかった。運動やカラダを動かすコトとすると常に翌日激しい筋肉痛が起こって大変なのだが、ヨガの翌日は運動した後の確かな疲労感は残りつつも、痛みは感じずに済んだ。今のボクにとっちゃコレは偉大なコトだ!

さて、ヨガは「呼吸」を大切にしている。
●カラダを動かすのと、呼吸をうまくシンクロさせる体操なんだな、という印象が強く残った。オマケに不思議なイメージを思い描いて呼吸をするのだ。センセイ「胃の中に空気を送り込むようにして……次は胃から先に繋がる十二指腸、小腸、大腸、内臓全体に空気を送り込んで……今度はアタマの方に空気を送り込むようなイメージで……」

そんなヨガのスタイルを学んで、一つ発見があった。ボクは、時々「呼吸をするのを忘れる」。
●今まで無自覚だった。けど、ハッキリと自分にヘンなクセがあることに気付いた。コレが昔からなのか、自律神経失調症になってからなのか、よくわからない。ただ、ボクは物事に夢中になると、息を止めてしまってるコトがあるのだ。
●電車の中で、考え事をする。映画の事を考えたり、音楽の事を考えたりしてる。このブログにダラダラ書いているような事を始終考えている。仕事のコトも考える。ワリと名案も浮かぶ。そんな時、自然と息が止まっている。外から見ると、ボケーッとしているように見えるけど、その瞬間ボクは自分のアタマの中に深く潜っていて、クロールで息継ぎをするように、フツウの世界に浮かび上がって呼吸をするのだ。
●ボクは以前から「いっつも、ため息ついてばかりだよねー」と指摘される事が多かった。別にヤなコトがあるわけでもないので、自分では心当たりがないんだけど。でもやっと意味が分かった。止めてた呼吸を復活させる時、無意識にソレが深呼吸になるのよね。で、口から「はぁ~」とため息が出て来るわけだ。
●こうしてキーボードに向かって指を動かしている時だって、クッと息を止めている事がある。階段を登り切るのに息を止めたりする。ゴハンを口の中にかき込む時も息を止めてる。別に長い時間じゃない。10秒強かな? でも息を止めてしまう。「寝食を忘れる」という言葉があるが、呼吸を忘れるってコトもあるんだ…。皆さんはあります? 呼吸するのを忘れるコト。

このクセに気付いてしまってからは、自分の呼吸のペースが気になって仕方がない。
●息を止めないまで行かなくとも、スゴく浅く呼吸をしてる事がとても多い。肺の2割程度しか使わないような息の仕方。深く長く物思いに耽ってる時は、こうして浅ーく呼吸しているんだな。ダメだ、ダメだ、もっと目一杯肺を使って呼吸をしよう。だって生き物は空気がないと生きていけないのだ。リズムもメチャクチャだ。規則正しいテンポをキープ出来ない。呼吸の才能がボクにはないらしい。………コレを読んでる人は、コイツ深刻に狂ってるなーと思うかも。息ぐらい自然にしとけよ!ボク自身そう思う。

呼吸のコトを考え出すと、周りの空気のコトも気になり出す。
●冷静に考えると、ボクを囲む環境の空気は、明らかにヘボい。ガードレールを指で触ればススで黒くなるような国道沿いとか、掴まる吊り革すら足りてないほどギュウ詰めラッシュの小田急線とか、マドはデカイが非力なボクでは絶対破れない強化ガラスで完全密閉された29階のボクのオフィスとか、ヤニの匂いが壁に染み込み切ったニコチンモクモクの狭苦しい喫茶店とか、まるで空気ゼンブがウンコちゃんのように劣悪ではないか。
●鼻にチューブ突っ込んで酸素ボンベを担いで生活するか? 以前ぜんそく発作を起こして酸素マスクをつけられたことがある。「うぉ、テレビでよく見るヤツのホンモノじゃん!」と思ったっけ。ぜんそく発作起こしてる状態では「ああ、ナイスな酸素だぜ!」と味わう余裕なんてないんだけどね。


●今日のハナシはあまりにアホ臭くて、理解出来ない方もいるでしょう。ちっと最近疲れてるからなー。多分そのせいなんで、あんま気にしないで下さい。ただ、息はしないより、した方がいいと思います。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html



雑誌「AERA」の表紙に、なぜか RIAM GALLAGHER が登場。

あえら20090427(「猿の惑星」を一番最初に連想しました。)

●へー、今こんな髪型なんだー。床屋でナンて言ったらこういう髪型にしてくれるのかな?いやー今段階ではマネしたくないけどね。なんか微妙だから。ファンの若い子はマネすんのかな?

自律神経失調症とのお付き合い(その91)~「初めてヨガに挑む!」編
●今日の午前中、生まれて初めてヨガに挑戦した。そしてその結果、クッタリ疲れたのか午後に爆睡。目覚めてみるとカラダのアチコチが痛い。うーん、ただ一発目の感触としては悪くない。うん、楽しかった。

午前10時。お気に入りのカフェの二階に、ヨガ教室はあったのだ。
●シモキタザワはナマケモノの街なので、ワンサカある商店街も10時前では全部クローズしてる。フツウの店でオープンは11時、遅ければ13時、14時の店もある。人気のない休日の静かな商店街をサクサク歩くのは新鮮だ。
●常設の教室ではなくて多目的スペースを曜日借りしてるみたい。そんなに広くない…20畳程度の広さ?「こんにちわー」と声をかけるとカーテンの向こうから「ちょっと待ってくださーい」…あ、着替え中…申し訳ない…。2分待ったらスマートな女性が出てきた。年齢はボクよりも上だと思うけど、笑顔も声も明らかにボクよりヘルシーで若々しい。「unimogrooveさんですよね!」あ、ボクの名前をもう覚えてくれてたんだ……センセイには電話で予約する時に、ボクは自分の病気のコトも休職のコトも全部細かく説明しておいたのだ。


なんで、オマエがヨガなの? と、思うでしょ。ボクもそう思う。でもアレコレ考えたのよ。
●このヨガ教室のブログには 090 で始まる番号とドコモのアドレスが書いてあった。携帯に直電してアポ取る仕組みみたい。しばらく留守電ばっかだったが、3日目にやっと繋がった。「あのー、ボクは自律神経失調症を患ってまして……ヨガにはナンも知識がないんですけど、なんとなく今のボクには向いているのではないのかと勝手に思った次第で……」電話の向こうのセンセイはハキハキと応対してくれたので、ボクは自分のカラダがいかに不甲斐ない状況になってるか子細に説明したのだ。
自律神経失調症を患ってから、ボクのカラダはマトモに動かない。社会復帰のためには、コレを打開する必要がある。そもそも元々体力に自信はないし運動経験もないボクである。カラダ動かすのは大キライ。ただ、休職するほど病気の症状が極端に進んだ結果、マジでカラダが動かせなくなってた。こりゃ困った。


具体的に言うと、休職直後は、駅まで往復10分の道程を歩くことができなかった。
●駅前商店街まで到達したら、2時間ほど休憩して体力を回復し、それで家に帰る。これが最初期のリハビリ。極端な時には400メートル歩いて気分が悪くなり、その距離を移動出来ず家族にクルマで迎えに来てもらったほどだ。今はシモキタザワのカフェに異常に詳しくなったが、それは休憩場所(避難場所)として当時のボクには超重要情報だったからだ。
●リハビリが進み、今は歩行距離が格段に伸びた。毎朝、駅一つ分前に下車して、浜松町~新橋を徒歩通勤しているし、電車やバスを利用してある程度フツウに移動出来る。しかし、まだ限界がある。ボクにとっては新宿駅南口(小田急線)から伊勢丹までは危険距離で、雑踏のストレスも加えれば十分遭難する可能性が高い。六本木駅からヒルズエリアも危険距離だ。絶対バスを使う。渋谷はタワーレコードが限界点で、NHKホールまでは到達しないだろう。ロフトまで往復して帰宅後寝込んだという実績もある。
●そんな訳で、ボクには出来ないことがまだたくさんある。まず行列に並べない。長時間立ってられない。買物もなんとなくブラブラチェックは無理。ジョギングは複数の医者から禁止されてる。自殺行為だとさ。東京マラソンの松村邦洋になってしまう。

下半身はマダいい、上半身のリハビリはもっと難しい。
●下半身つまり足は毎日使うので、歩くだけで筋力の回復に繋がる。しかし上半身は、日常生活で負荷をかけるチャンスがない。筋力や持久力は衰えたままで回復しない。腕もスゴく細くなった。ヒドい肩コリと背筋の痛みはまだ克服出来ない。
一昨年の段階では、ボールペンが握れなかった。握力が失われてて、無理すればヒドい筋肉痛に襲われる。指のスジがツる。ボクにとってはPCのキーボードを叩く方が10倍自由だ。今は「宅建資格」の勉強を通じて、やっとボールペンは操作出来るようになった。
●しかし、調子に乗って筋力を鍛えようとダンベル体操をしたら地獄の苦しみを味わった。腕の筋肉痛を通り越して、ヒドい肩コリと背筋の痛み、頭痛まで引き起こす。鍼灸のセンセイ曰く「そんなムチャ出来るカラダじゃないわよ!」結果ボクのやれるコトはラジオ体操だけである。
「水泳はどうか?」と薦められたことがある。悪くないと思った。ボクはカナヅチではない。しかし、一度だけ挑戦して、15mでもうダメだと悟った。平泳ぎで大きく水をかいだだけで、二の腕、脇の下、ロッコツまわりの筋肉がツッた。こんなトコロに筋肉があったのかという場所の筋肉が、ビキビキにツリまくって、死ぬほどウンザリした。ああ、もしコドモが溺れても、ボクはコドモを助けられないだろう。夏の川遊びでお父さんが溺れ死んじゃうニュースを連想した。あのお父さんたちも、自分の水泳能力が極度に落ちているコトに気付いてなかったに違いない。


それでだ、「ヨガ」だ。

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(2007/12/01)
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●ワイフの実家の皆さんがニンテンドー Wiiヨガをやってると、ワイフが言う。コドモたちもジジババのウチにある Wii は大好きだ(我が家は基本ゲーム禁止)。ふーん、ヨガねえ…。確かにヨガはカラダをユックリ動かすので無理な負荷をかけないかもしれないし、それでいて全身を射程距離に入れた運動だ。コレはボクの救いになるかも知れない。
●しかし、コナミのジムや、エグザスのスタジオに行って、ヨガのクラスにこのボクが挑戦出来るか?タダでさえナニが起こるかワカランカラダだ。30人ぐらいのスタジオの中で、ボクが足ツって悶絶しててもインストラクターのセンセイは助けてくれるだろうか?よしんば助けてくれても30人のセッションを中断させるのはこっ恥ずかしいのでヤダよ!不安でやる気になれない。

そしたら、記憶のスミから、シモキタのカフェで見つけたヨガのポストカードが出てきた。
●とあるカフェでポストカードを手に取った覚えがある。残念ながら紛失したが、コレが趣味のイイカードだった。世田谷区によくあるような小さな並木の遊歩道、生い茂る立木と逆光で受ける太陽、そしてそのスミにひっそり奇妙な姿勢で倒立する女性。そんでハジッコに小さくURL。一見ヨガ教室のフライヤーには見えなかった。
ヨガ教室の広告ならもっとダイエット効果とか健康美容効果を羅列すればいいものを、ヨガ~!と押し付けがましくないバランスに好感が持てた。こういうセンスのよいモノを作れる人なら、信用できるような気がする。よし、あの教室を探そう!……ネットを検索してセンセイのブログに到達するのは簡単だった。

●電話で話した所によると、フリーの立場で様々な場所にクラスを持つセンセイは、小規模クラスで最大8人程度しかイッペンに相手をしないという。センセイとの距離が近いのはボクにとっては安心だ。センセイに自律神経失調症の知識がどれだけあるのかは計りかねたが、細かく相談に乗ってくれるような気がする。でもボクはホントにヨガの知識がないのだ。ボク「あのー、ジムで履くようなスニーカーとか用意した方がイイんですか?」センセイ「うふふ、ヨガは裸足ですよ、靴下も履きません」

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(ボクのヨガに関する全ての知識はこの本の内容だけ。「嫌われ松子の一生」で自我崩壊寸前まで追い込まれた中谷美紀さんが、ホウホウのテイでインドに逃げ出しヨガの修業をするつもりが、パスポートを盗まれたりと珍事件に巻き込まれまくる紀行エッセイ。賢く真面目な彼女の文章が、オマヌケな事件に出くわした時の動揺を丁寧に説明する様子自体が妙にオカシクて、ボクはクスクス笑っちゃった。そん時は自分がヨガをするハメに陥るなんて思っても見なかったけど)



クラスの開始時間。10時15分。
●他のメンバーさんは、50歳代の男性と女性、ボクと同い年くらいの茶髪の女性、そしてショートヘアのオシャレな20歳代の女性。ボクを含めてたった5人。男性はややメタボだが快活でアイサツの声も大きい。ショートヘアの女性はロハススタイルを実践しているようなヘルシーオシャレのオーラを発していた。そうなのだ、健康産業は健康に興味津々な人がマジョリティで、健康をゴッソリ損なった人はマイノリティなのだ。明らかにこのメンバーの中でボクが一番ヨボヨボである。病気になる前もジムに通ってたことがあるが、深い疎外感を感じてた。センセイが醸すアットホームな気分がボクの救いだ。ヨガマットをはじめとしたグッズは全部教室で貸してくれる。ホントに身一つでイイのだ。


思った以上に解剖学的な解説をつけてくれるセンセイのヨガクラス。
「今日は骨をイメージした内容にしてみましょう」センセイ小学生向けの人体図鑑を開き、筋肉や骨格のページを開いては、ポイントになる関節や骨について話をする。「フツウ皆さん骨盤と言ってますが、骨盤は二つの尾てい骨が間の仙骨とセットになってるモノです。仙骨はその先についてる尾骨と一緒で脊髄の最後のブロックでもあります。この仙骨と尾てい骨を別々に動かすことは出来ませんが、股関節をウマく動かすことで、脊髄経由で伝わる神経の流れを良くすることができます。股関節をよくイメージして今日は動いてみましょう」おおお、ヨガってのはもっと不可思議な専門用語が出てきて神秘主義っぽいモンだと思ってた。実に明快な解剖学的知識から出発するのね!こりゃオモシロいわ!

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それから90分間ほどセッションは続いた。
●一つ一つの体操のバリエーションはとても説明しきれないので割愛するが、センセイの指示は簡潔でリズムよくカラダを動かせた。チルアウトなBGMをバックに、センセイは細かく矢継ぎ早に指示を出す。「ハイこの姿勢で3回呼吸、1回…2回…3回…。そしたら両手を天井に向けて掌は外側に。で、右手を上にして腕を交差、指と指を絡めて…そのまま右に倒す…その時、肩甲骨が床を転がるのを意識して…胸骨を内側に引っ込めて、肩甲骨が広がって行くのを感じて下さい…」
●漫然とカラダを指示されたように動かすのではなく、常に筋肉や骨格の動きを自分の意識で追跡するよう指示される。丹田から真横に線を伸ばした辺りの骨盤の位置を意識して…、胃から十二指腸、小腸大腸へと呼吸を送り込むように…、首の下にある甲状腺がスーッと伸びるのを感じて…、奥歯の力を緩めて、さらに奥歯の裏、アゴ、首のチカラを緩めて…。この感覚は、ボクの経験だと「自律訓練法」やピラティスによく似ている。
「自律訓練法」は自己暗示で手足の緊張を解除する心理療法のテクニックだが、その時に右腕、左腕、右足、左足と、緊張を解きほぐすために意識を集中させる。カラダの特定の部位に意識を集めていくのはヨガに似ている。しかし、慣れればもっと細かい筋肉を調整できるが、一本の骨、一回の呼吸まで厳密に操作するヨガのような厳密さはない。
ピラティスは、以前仕事関係で簡単な講習を受けたことがある。ピラティスは厳密さで言えばヨガを上回るほどだったかも知れない。腹筋の中の奥にある右から斜めに走るナントカ筋にチカラを入れろなど、素人には理解不可能な指示がバシバシ出て戸惑った。だが、ピラティスは明確に筋肉トレーニングを目指していたが(アレはバレエダンサーや器械体操の選手のトレーニングとして考案されたんでしょ)、ヨガは筋肉に困難な負荷をかけようとしなかった。目指すのはリラックス。筋肉からいかにチカラを抜くかを指示された。ストレッチのようなポーズでも、筋肉を伸ばすのではなく、呼吸で弛緩させるようなイメージを感じた。

●呼吸に意識を集中させていると自然と目をつぶって、センセイの指示を耳だけで捉えてしまうのようになるのだが、ふとセンセイのポーズを見ると、おそろしく洗練されたキレイな姿勢でビックリする。人間、姿勢だけココまでキレイに見えるか、と思ったほどだ。身長はボクと同じくらいのはずのセンセイが、ズッと長身に見える。手足が真っ直ぐってセクシーだわー。
●一方ボクは普段から姿勢がクシャクシャに悪いオトコで、グレン・グールドのように猫背の姿勢でピアノを弾く様子とかをカッコいいと思ってる節もある。そんなヤツなので、今日のセッションでは真っ直ぐ立つだけの行為が出来なくて衝撃を受けた。両足の親指とカカトをつけて立つとグラグラしてしまうのだ。

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(カナダのクラッシックピアニスト、グレン・グールド。1932~1982年。天才とも奇才とも言われた。多分その実態はかなりの変人。)


クラスが終わると、センセイがドリンクを振る舞ってくれる。
「グレープジュースで割ったノニでーす!ノニはスゴくカラダにイイんですよ!」ノニタヒチ原産の果物で、緑色の汁を薄めて飲むのがレギュラーだ。一部の健康マニアの間ではスゴく評判がイイ。が、コレが死ぬほどマズい!かつてボクも仕事先で知り合った人に薦められたのだが、とても飲めたシロモノではなかった。申し訳ないことに大瓶一本頂いちゃったのに、一口も飲めずにダメにしてしまった……後で知ったが、なんと大瓶は2万円以上する高級品だった!
●でもグレープジュース割りはフツウに飲めた。十分に薄めてくれたのだろう。本来高価なノニジュース、そう簡単にサービスで振る舞えない。「ワタシはノニ毎日飲んでますよ!苦手って人もいますけどね。そういう方はむしろカラダにオカしい所があって、カラダがノニを受け付けないってコトも考えられます」あーボクはまさしくそのケースだ。ドコもカシコも自信を持ってオカしい。

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(センセイおすすめのブランドのノニジュース。ノニにも色々なブランドがあるみたいで…。)


●次回のヨガは、ゴールデンウィーク明けだ。カラダの虚脱は否めないが、今までやったスポーツの中でイチバンの手応えを感じた。もっとヨガに詳しくなりたいし、もっとカラダを自由に動かせるようになりたい。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html

ヒマだ…。会社にいてもやることがない…。
●なので、昼のワイドショーばっかり見てる。そんで、しょーもない告白をしてしまうのだが、「おもいっきりドン」「ミヤネ屋」に出てくるニュースキャスターの、丸岡いづみさんが最近気になってしまっている。今までは淡々とニュースを読んでるだけだったのに、今の番組のMC、中山ヒデさんミヤネさんは、ニュースを読み終わった彼女を必ずイジクルのです。そこでポロリと素の彼女のキャラが出る。いやたかが20秒程度のやりとりなんだけど。この前なんて、ミヤネさん「マルカワさーん」って名前間違えられて、「マルオカですー!」と突っ込んでた。ちょっとフクレた顔がかわいかったです。

まるおか(一体ボクはナニしてんだ?むなしい…。けど丸岡さんはアリだ。)



●ということで、たびたび会社を抜け出して、勝手に試写会とか行ってる。


鈍獣

「鈍獣」
●脚本・工藤官九郎、出演:浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリア、真木よう子、南野陽子。かつて芝居として書き下ろされたクドカンのホンを今ノリノリのキャストで映画化。なんだかだんだん笑えなくなってくるけどラストはホッコリできる一流のコメディ映画。おもろい!

鈍獣2

●とにかくまず北村一輝マッドです。つーか実質上の主役です。ド田舎のヤンキー上がりで地元でホストをしてる。ダサいリーゼントにデタラメな全身タトゥー、あげくなぜかおでこに「肉」って文字が刻み込まれてる。キン肉マン…。どこでも見たことのないような、スットンキョウな声を出して、見苦しい&暑苦しい演技を大展開。爆笑。

鈍獣3

浅野忠信も、今まで見たことないスタイルで攻めてきます。激カッコ悪い。この人、基本的に何しても全部カッコいいので、カッコ悪くするのには演出もスタイリストも苦労したんじゃないだろうか……だから、衣装からセリフから挙動から何から何まで猛烈にカッコ悪くしてる。で、猛烈にカッコ悪くして、やっと普通の人の水準まで降りてきて、その上で彼自身がうっすらと、かつ確実にマッドをほのめかしてる。これも見所。

鈍獣4

真木よう子さん。今世間で大注目ですね。「週刊真木よう子」は見なかったんだよな~。ぼくの「真木よう子」体験は、西川美和監督の「ゆれる」だな。完全に美人オーラを消し去って、幸も薄いし運もない救いゼロの女性を演じてました。今回は、東京からド田舎にやってきた女性編集者として、作品中で唯一正常な人間というポジションのはずが、やっぱ微妙に狂ってます。メガネが激ハマリです。メガネ萌えです。

鈍獣5

予想外のハジケブリ南野陽子さん。二代目「スケバン刑事」&少女鉄仮面伝説&鋼鉄ヨーヨー&セーラー服&ポニーテール&「ナンノこれしき!」で、中学生時代のボクのウブなハートは見事に彼女に狙撃されてしまいました。そんな淡い思い出があるもんだから、時は流れて見事なアラフォーになった彼女の現在はマコトにほろ苦く、時にイタイ存在にもなってしまう…。で、これまた彼女の役どころは、北村一輝の愛人20年という幸薄い&男運最悪&ちょっとバカという、極めてイタイ、イタ過ぎるポジションなのです。でも、そんなイタイ役をなんともイノセントに、天然ぶり炸裂の女性として演じることで、どこか明るく救いのあるキャラクターに仕上げてて、見事ワザアリなのです。

●監督は細野ひで晃さん。グループ魂関連の映像を作ってた人で、ホンペンは今回がデビュー。これからマークしないといけない才能かも。



インドのリアルを、ダニー・ボイルが撮る。


スラムドッグ

「スラムドッグ$ミリオネア」
●去年度の米アカデミー賞は「おくりびと」の話題でモチキリだったが、最優秀作品賞は、イギリスの監督ダニー・ボイルが撮ったこの作品だ。
●舞台はインドの最先端都市ムンバイみのもんたがニヤニヤしながらたっぷりタメて、「正解!」と叫んでたあのクイズ番組のインド版に、スラム上がりの青年が最高賞金目前まで勝ち上がる。まともな教育を微塵も受けたことのない主人公が、なぜことごとくクイズに正解できるのか?彼はイカサマをしているのか?それとも本当に真実を知っているのか?その種明かしはゲットーのタフなリアルをサヴァイヴする知恵が、机上の教養を上回るという奇跡。飛躍するインド経済の生命力と、巨大な格差と社会矛盾が激しく軋むスラムの現実を、主人公と彼の兄、初恋の少女が疾走していく。

ボクの中でのダニー・ボイルといえば、音楽の使い方がとにかくイイ監督。
●とくにイギリスのダンスカルチャーを反映した気分が絶妙。ユアン・マクレガーがクラブにたむろすジャンキーを演じた「トレインスポッティング」「未来を選べ!」というメッセージが印象的)では、UNDERWORLD「BORN SLIPPY」が神々しく響いてたし、ディカプリオがタイの極秘リゾートでヤバい体験をする「ザ・ビーチ」でもトランス系のテクノが南国の妖しい暗黒を増幅してた。実際監督本人も音楽が重要なインスピレーションになると言ってるらしい。

「ザ・ビーチ」サントラ「ザ・ビーチ」サウンドトラック
「トレインスポッティング」サントラ「トレインスポッティング」サウンドトラック

●今回も、インドの巨大都市ムンバイの混沌としたスラムにうごめく生命力と躍動感を、ボリウッド・ダンスミュージックが彩ってくれる。音楽のスピードに合わせてカットのスピードが加速し、手持ちカメラが揺さぶられ、登場人物は疾走する。ダニー・ボイルの本領発揮。だからサントラも大注目。

スラムドッグ$ミリオネア [Soundtrack]「スラムドッグ$ミリオネア 」サウンドトラック

●サントラを手がけたのは A.R.RAHMAN という人物。ボリウッドムービーの大作曲家で、映画会社の人は「インドの坂本龍一」とたとえた。いや、教授の映画音楽のキャリアを上回る仕事量だよ、きっと。彼が手がけたボリウッドサントラは一億枚以上、カセットだと2億本も売れてるというし、あの「ムトゥ踊るマハラジャ」の豪華絢爛ミュージカルを手がけたのもこの人だ。あのバタ臭くイカガワしい音楽に当時のボクは強烈なパンチを食らった思いがある。
「ムトゥ」からもう14年が経過、彼の音楽はさらにアップデートされ、ダンスミュージックとしてもっと洗練された。複雑なタブラビートをダブ処理してトランシーにしてるけど、インドのバタ臭さは脱臭されずに強烈な個性として光ってる。一番最初に連想したのはブラジル・リオのゲットーミュージック、バイレファンキ。野蛮と洗練がコンガラがり、清濁混ぜ合わせになって疾駆する様は、急速に発展するムンバイ、そしてインドという国を象徴しているよう。
●映画を見てる段階ですぐ予想がついたけど、やっぱりクレジットには UK エイジアンのシンガー M.I.A. の名前も。彼女は厳密にはバングラデシュ系だけどね。ハスッパでクセのあるザックリラップが A.R.RAHMAN の高速ビートの上で踊る。サントラCDには M.I.A. の楽曲をエレクトロクラッシュの重鎮 DFA がリミックスしたモノも収録されてる。

ムトゥ 踊るマハラジャ「ムトゥ 踊るマハラジャ」サウンドトラック

この映画は、2重3重の意味でグローバリズムを象徴している。
米アカデミー賞のトップを、非ハリウッド作品が獲るというケース自体が珍しいらしい。これはイギリス映画だからね。しかし作品の根幹をなす「クイズ$ミリオネア」というテレビ番組が既に、グローバリズムを象徴している。あれは元々イギリスの番組だが、フォーマット販売という形態で全世界のテレビ業界に広まった。日本ではみのもんたが司会をしたが、インドでも大人気番組だったらしい。フォーマット販売ではルールからセットの形態、CGのデザインまでがカッチリ契約で定められて、万国共通の品質になってる。だからこの映画も、全世界の人が一目でルールを飲み込むことが出来る。グローバリズムのなせる業。
●さらに、この映画は、ボリウッドと言われるほどの成熟した映画文化を持つムンバイ&インド国内で全てのロケを行い、主人公以外の全てのキャストもボリウッドから調達している。イギリス映画といいながら、ほとんどインド映画だ。そして英語普及率の高いインド映画市場を直接狙えるポテンシャルも持っている。内容はまさしく現代インドこその物語になっているのだから。既存先進国だけでなくインドのような新興国市場すらを射程距離に置いたマーケティング戦略が覗ける。まさしくグローバリズムだ。



イギリス社会の中の UK エイジアン。
「スラムドッグ$ミリオネア」の主役デーヴ・パテルくんは、イギリス生まれイギリス育ちの UK エイジアンだ。彼は自分の祖先の母国を始めて訪れ、もっとこの国を深く見てみたかったと語ったという。インドは旧イギリス領の植民地。UKで「エイジアン」と言えば、それはインド・南アジア系を指す。ボクら極東の黄色人種「オリエンタル」というらしい。
●UK エイジアンは、ジャマイカ系黒人さんと変わらないほどの存在感でイギリス社会に浸透しているようだ。UK エイジアンというと、ボクが一人旅でヨーロッパ方面に行って、ヒースロー空港でトランジットするために空港バスに乗った時のことを思い出す。バスの運転席には、恰幅のいいシーク教徒のオジサンがデーンと座ってた。なんでシーク教徒とわかるのか?だってドでかいターバンをアタマに巻いてたから。真っ白で長ーい口ひげもスゴイ!おおおっ!初めてのイギリス、出迎えてくれたのはインド系のオジサンなのかよ!
しかも、車内アナウンスがメチャクチャなの。英語が分からんボクでもこりゃスゴイ訛りだわと明確に感じたもん。「ホニャホニャハニャハニャ、テルミナル・ワン!」ターミナル1に到着したと言いたいらしいが、周囲のイギリス人が「うおおっ」とどよめいたほどだったから、マジでスゴイ訛りに違いない。



そんな彼らが、イギリスの中でオリジナルの文化を生み出している。

ASIAN DUB FOUNDATION「RAFIS REVENGE」

ASIAN DUB FOUNDATION「RAFI'S REVENGE」1998年
●ボクが UK エイジアンのパワーを初めて認識したのはこの一枚だった。当時仲良くしてたミュージシャンの友達が「絶対に聴け!」と太鼓判を押して薦めてくれたのを覚えている。彼からは PHOTEK の12インチ「U.F.O / RINGS AROUND SATURN」GASTA DEL SOL「CAMOUFLEUR」などの神盤をリアルタイムで教えてもらってたので、このレコメンも全幅の信頼を置いて速やかに購入、そして一聴してぶっ飛んだ。
●当時はドラムンベースとビッグビートの全盛期。ASIAN DUB FOUNDATION はインド大衆音楽にあるような高速パーカッションとロックバンドのダイナミズムを合体させて、ビッグビートに引けをとらないハイパワーを放電、そしてやはりインド風の奇妙奇怪なリズムでドラムンベース、いやそれ以前のジャングルが持っていた野蛮さを弾き出した。そしてボクが特に驚愕したのはMC DEEDER ZAMAN のラップ。え~っコレが英語かよ!とビビるほどにグシャグシャに訛ったイントネーション。英語の分からないボクでもその不恰好さは明確に理解できる。ヒースローの運転手さんと同じ。ジャマイカのパトワも、グシャグシャに訛った英語であることは常識だけど、彼の英語はそのパトワをさらに歪めて超高速化したモノだった。
●なんか知らんが、レゲエとエイジアンは相性がイイらしい。ジャマイカにもインド移民はたくさんいて大きな民族グループになってる。そんでレゲエアーティストとして活躍してる人もいるわけです。例えばダンスホールのベテランDJ、SUPERCAT とか。だから、DEEDER ZAMAN のラップもレゲエっぽくて当然。でもそれが超高速化すると一際スゴミがでるね。なんちゅー言葉じゃ!とビビりつつ、歌詞を読むと実にパンキッシュなメッセージが機関銃のように乱打されてて、さらにもうひとビビりしたです。

ASIAN DUB FOUNDATION「PUNKARA」

ASIAN DUB FOUNDATION「PUNKARA」2008年
●今のところこのバンドの最新作がこれ。ボクが衝撃を受けた MC DEEDAR ZAMAN は前述のアルバムとその後の一枚で脱退しちゃって、しばらくMC不在の時代もあったんだけど、このアルバムでは2MC体制を整備。DEEDER のユニークさにはどうしても適わないんだけど、ロックバンドとしては洗練されて、バングラビートの要素をたっぷり滲ませつつも、よりパンキッシュに変貌。なんと IGGY POP を召喚して、彼の THE STOOGES 時代の代表曲「NO FUN」を演っちゃったりしてます。


UK エイジアンの生み出した音楽「バングラビート」。

FUN-DA-MENTAL「EROTIC TERRORISM」

FUN-DA-MENTAL「EROTIC TERRORISM」1998年
UKエイジアンという存在が、自己主張し始めた、その先駆者が彼らだ。1992年にデビュー、インドの民俗音楽を最新のダンスビートと化学反応させたスタイル、「バングラビート」を開発する。リーダーの AKI NAWAZ(パキスタン系)はレーベル NATION を立ち上げ UK エイジアンのアーティストを多々フックアップ。ASIAN DUB FOUNDATION も彼によって発掘された。
●ボリウッドムービーノリが全開のジャケがご愛嬌な、1998年のセカンドアルバム「EROTIC TERRORISM」では、当時イギリスを揺るがしていたビッグビートやドラムンベースの成果も取り込んで、バリバリハードなビートを弾き出してる。そして UK エイジアンというマイノリティの立場を、政治的メッセージも込めて激しく叫んでる。だって、このアルバムの内ジャケ、「世界人権宣言」を引用しつつ死体写真が並んでるだもん。これが中心人物 AKI NAWAZ のスタイルで、結果彼らは「UK エイジアンの PUBLIC ENEMY」と呼ばれるようになった。

FUN-DA-MENTAL「THERE SHALL BE LOVE !」

FUN-DA-MENTAL「THERE SHALL BE LOVE !」2001年
●このアルバムでは、ビッグビートの凶暴な喧噪はナリを潜めてる。ダブを連想させる粘るベースとタブラビートで、より深い「バングラ」表現を狙ってる様子。ロッキンな激しさは後退したけど、パーカッシブなリズムのテンションは衰えてないし、独特のインド風節回しコブシ回しが炸裂しまくって、スパイシーなエスニックムードはかなり高いです。
●終盤に登場する8分越えの大曲「ALL-SEEDING HEART」では、インド古典音楽の巨匠 USTAAD HASSAN SHAGGAN と共演。74歳という高齢を感じさせないダイナミックなボーカリゼーションがたっぷり堪能できます。他にも南アフリカ(インドと共に旧大英帝国の植民地)のミュージシャンともセッション。反骨のグローバリズムがココにあります。
●日本盤のボーナストラックは、THE JESUS & MARY CHAIN JIM REID によるリミックスを収録。元祖シューゲイザーによるベース増強&マシーンビート&不穏なギターが火花を散らしてます。

自律神経失調症とのお付き合い(その90)~「ヤバいとダメダメ。二つのモード」編

春が来て、暖かくなってるはずだよね?でも、寒い。
●フツウに弁当をベンチで食ってたら、なんか寒くなってきた。歯がカチカチなるほど寒くなってきた。うう、こりゃアカン、早く会社のデスクに戻ろう……でも、寒い。このオフィスは冷房かけてるのか?寒い寒い。そしたらソバのデスクの女性がと声をかけてくれた。「どうしたの?」
●ボク「うーんと、なんか寒くないですか?」その女性は、じーっとボクの顔の真ん中を3秒くらい見た後でヒトコト。「ううん。今日はね、とっても暖かい。」……うーん、やっぱそうだよね、今日はホントは暖かい日のはずなんだ…天気予報でもそう言ってたもん…「というコトは、ボクの感覚がオカシくなったってコトですね…。」あー、コレは「ヤバいモード」に入ったってコトだ!

自律神経失調症にかかってから、不思議な感覚に襲われるコトがある。特に「温度感覚」がおかしくなることは実にポピュラーなケースだ(ボクの場合はね)。
●錯覚なのかよくワカランが、寒くなったら、もうどうしようもなく寒いのである。どんなに厚着をしてもフトンをかぶっても風呂に入っても、汗をダラダラ流してても、寒くて寒くて手やアゴが震えるのである。こうした病気によるヘンテコ状況を、なんとなくボクは「ヤバいモード」と呼んでいる。
●この「ヤバいモード」から、ホンマモンのパニック発作や極端な気分障害に進んでしまうのが「ダメダメモード」だ。「ヤバいモード」はあくまでカラダや神経のトラブルである。しかしその異常事態にアタマやココロがパニクったらダメだ。それが「ダメダメモード」だ。「ダメダメモード」になれば、激しく凹む、言葉が通じない(ワイフの言ってることが理解出来ないし、ボクもワイフに自分の意志を伝えられなくなる)、感情がなくなる、ただ寝るだけ、などなど、文字通りの「ダメ人間」いや「ダメ動物」になってしまう。

「ヤバいモード」は避けられないが、「ダメダメモード」は意識の持ちようで回避できる。
●つーか、足掛け3年この病気と付き合ってきて、経験値を積んできたのか、回避出来るようになってきた。昔は「ヤバい」も「ダメダメ」も不可分であって、必ずセットになって襲いかかってきた。今はカラダのトラブルとアタマ(ココロ)のトラブルを分割して認識出来る。「ヤバい」が迫ってきたら、「ダメダメ」に陥らないための方策を考えることが出来る。たとえ「ダメダメ」になりかけてても、なりかけてる自分のダメージの度合いを認識することが出来る。
●今日は速やかに社内診療所のベッドを借りて一時間仮眠をとり、そのまま早退してきた。家に着いて「ヤバいモード」だとワイフに報告すると、「でも言葉が通じるから平気ね」と言われた。フリースを着込んで、ベッドで休憩。危機はなんとか回避だ。
●でも復職したら簡単に早退なんて出来ないし、大変になるだろうなー。まーそん時また考えるか。

●あと、具合が悪くなる前に、今日はまた一つのトライを自分に課してみた。「ヨガ」のレッスンに予約を入れてみたのだ。「お試しコース」だけど。ま、このハナシは実際に体験してみてから報告します。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html


今日の音楽。なぜか TODD RUNDGREN。

TODD RUNDGREN「A CAPPELLA」

TODD RUNDGREN「A CAPPELLA」1985年
●いやー、年度末セールで105円だったからさー、なんとなく買っちゃったよ。そしたら、ことのほか奇妙な音楽でオモシロかった。なんたってタイトルが「アカペラ」でしょ。声がポイントなんだろうなー、と思って聴いたら、ポイントどころか、人間の声(多分 TODD 本人の声だけ)と手拍子しか使わずに全ての音楽を作ってる。
●もちろん、一人でウタを歌ってるなんてコトじゃないですよ。気の遠くなるような多重録音と最初期のサンプラーを駆使して、インドネシアのケチャダンスのようなリズムトラックをたった一人の声で作ってる。アホか…。スゴい根性だ。しかもそのワンコンセプトだけでアルバム一枚分の楽曲を作っちゃった。で、それが実験的で小難しい表現になるかと見せかけて、結構ポップに仕上がっちゃってるのがコレマタスゴい。「ちょっとアタマのイカレたポッププロデューサー」というのがこの人の今までのイメージだったんだけど、少し訂正。「ホントにアタマのイカレたポッププロデューサー」ということにしよう。

TODD RUNDGREN「NO WORLD ORDER」

TODD RUNDGREN「NO WORLD ORDER」1992年
●これも105円だった。コレは発売当時にヘンな話題を呼んだコトを覚えている。特殊なハード規格「CD-I」というモノでリリースすることを想定して作られたアルバムなんです。「CD-I」「I」「インタラクティヴ」という意味で、どういう仕掛けか全然ワカランが、リスナーが音源の構成をプレイヤーでアレコレいじくることができる規格らしく、テンポを変えたり、コーラスやギターパートを抜いたり入れたり差し替えたり出来るというモノだったらしい。結果的に全然普及しなかったから完全に正体不明だけど。「マルチメディア」という言葉が流行ったあの時代らしい発明だね。
●ほんで、「アタマのイカレたポッププロデューサー」我らが TODD は速攻でこの新しいオモチャに飛びつき、このニューメディアのための楽曲を作っちゃった。シンセサイザーもMIDI音源楽器もサンプラーの先祖のような機材にも、いち早く飛びついてきた TODD らしい。マッドサイエンティストみたいだね。
●しかし今の耳で聴くと、かなりイタいシンセサイザーポップスにしか聴こえないのが残念。初期テクノの手法とポップスをうまく絡めようとして、おまけにラップっぽく早口言葉のような歌詞を並べ立てるんだけど、2009年から見るとどうしようもなくタダのダンスポップだわ。
●ただし「CD-I」という新技術を駆使して「アーティストがリスナーに自分の楽曲の最終形を編集させる」というコンセプトは90年代初頭の段階では完全にアヴァンギャルドだと思うし、00年代の現代では実際にリスナーが既存曲を改変してネット上に発表しているわけだから、TODD が時代を10年以上先取りした発想を持ってたのは間違いない。で、このアルバムを「CD-I」で聴けない一般リスナーのために、同じ楽曲のミックス違いをわざわざ収録し、そのリミックスに「1.1」とか「1.2」のような、PC の OS やアプリケーションみたいなナンバリングまでしてる感覚も、1992年当時では明らかに飛び抜けた感覚だと思う。


つーか、フツウの TODD RUNDGREN が聴きたいんですけど。
●この人は、あの人気コンピ「FREE SOUL」がその音源だけで一枚CD作っちゃったほど、メロウでフリーなソウルも出来る人のはずなのですよ。やっぱソレを聴こうよ。ヘンなのじゃなくてさ。だから70年代の音源も入手したわけさ。

TODD RUNDGREN「INITIATION」

TODD RUNDGREN「INITIATION」1975年
●…と思って買ったのに、やっぱ違った。最後の曲が36分もあるってどういうこと!コレじゃプログレッシヴロックだよ。多分当時最新鋭であったろうシンセサイザーが、ひたすらピヒャーラララーと鳴り響くのですよ。彼としてはシンセサイザーの限界に挑戦していたに違いない。もちろんドラムもギターも全ての楽器を TODD が一人で演奏してます。
●で、その36分の大曲「A TREATISE ON COSMIC FIRE」は、アリス・ベイリーという20世紀前半に活躍した神秘主義思想家の著書からタイトルを拝借してて、それぞれの楽章の名前にはサンスクリット語の言葉が用いられている。コレって…ヨガで言うトコロの「チャクラ」の名前かも…?シンセ音が、竜巻のように荒れ狂いオーロラのように揺らめくインスト楽曲。あー、とにかくブッ飛んでます。
●当時 TODD が同時並行させてたロックバンド UTOPIA も、初期はキーボーディストが3人いたというから、TODD のシンセへのハマりようはハンパないモノがあったようだ。そして、そのシンセの音が、彼には神秘主義の音に聴こえてたみたいね。シンセ神秘主義者。やっぱイカレてる。

●でも前半(LPならA面)にはポップな曲もあるから安心して下さいな。シンセは目立つけどね。特に一曲目「REAL MAN」。メロウ心がちょっぴり嗅ぎ取れる。でも二曲目「BORN TO SYNTHESIZE」はボーカルをシンセ機材で加工しまくった TODD のシンセ宣言。三曲目「THE DEATH OF ROCK AND ROLL」は完全ハードロックだけど、裏返せばこのテのハードロックはシンセの前に死に絶えるという皮肉が込められてるように聴こえる。

今日はチョーメンドクサイことを考える。
●社会に何も貢献しない文章なので多分アナタには100%無益な上に、非常にわかりづらい物件を扱います。ヒップホップというタームで、イギリスとアメリカ黒人音楽の付き合い方を考える試みです。「あーダメだコリャ」って人は、速やかに撤収した方が短い人生の貴重な時間を有意義に使えます。そんな予告付きで今日は行きます。


トリップホップ。イギリスが直接ヒップホップを移入しなかった不思議。
●先日、風邪にうなされながら、PORTISHEAD を聴いていた。そこで考えたこと。トリップホップってフシギな音楽ジャンルだなあ。トリップホップとはヒップホップの変形したモンと考えてもイイんだろうけど、反対に言えば「正統派のヒップホップはイギリスに根付かなかった」ってコトだよね?コレって不思議なコトじゃない?

トリップホップと、アメリカのヒップホップの明白な違い。それはラップ。
トリップホップの連中はラップをしない。コレが不思議だ。ラップという技術はアメリカのニューヨークで発生してから、80年代~90年代初頭にかけて全世界に広まった。誤解曲解もあったけど、世界中の誰もが「ラップ」という、言葉遊びを音楽に乗せる手法に挑んだ。ここ日本、台湾や韓国のような極東地域までにそれは広まった。でもでも、同じ英語圏なのに、イギリスはその影響をダイレクトには受け止めなかった…。ジャズ、モッズ、ノーザンソウル、レゲエと、黒人文化に尽きない憧れを抱き続けたイギリスなのに。コレが不思議。

PORTISHEAD.jpg(トリップホップの代表格、PORTISHEAD。)


トリップホップに潜むヒップホップ魂。
●しかし、トリップホップの連中に志がないわけじゃない。WIKI を読むと、PORTISHEAD の連中は「自分たちがトリップホップの中にくくられるのは納得がいかない、そんなことをいうヤツはヒップホップの基本が分かっちゃいない!」的なことを言ってるらしい。
●……ほんで、よーく聴いてみると、確かに PORTISHEAD のトラック(特に初期)は、実によく出来たヒップホップトラックなんですよ。ホコリをかぶったような古臭ーいサンプルを、アレコレうまーく配置してあの独特の雰囲気を作り上げている。スクラッチも出過ぎず引っ込まずで、シッカリした存在感を出してるし。カチッと決まったループ感は薄いけど、ソレはそれだけ細かくトラック作りに神経を使った証拠でしょ。ちょっと見方が変わったわ…。トリップホップは、ただのなんちゃってヒップホップではない。でも!でも、ラップはしないんだよねー。


●イギリス人がラップを全くしなかったかと言うと、そうとはいえない。でもヒップホップとラップは別々に輸入されたような節がある。アシッドジャズ系の連中にはラップ的なモノに挑んだが、トラックにヒップホップの成果を取り込みつつも基本はジャズファンク~フュージョンをプレイした。テクノ系の連中にも自分のトラックにラップを乗せたモノがいたが、わりとスグに廃れた。速すぎてラップ不可能だった。

●そんで、トリップホップ。連中のトラックは、わりと厳密にヒップホップだったかも知れない。しかし、ラップをしない。PORTISHEAD とともにブリストル発のこの音楽を牽引したユニット MASSIVE ATTACK は自分たちのトラックの上にポエトリーリーディングを乗せた。実際、この時期、ポエトリーリーディング&ジャズという文脈も注目されてたからなあ…。それと、彼らにはレゲエ/ダブの影響も強い。MAD PROFESSORと一緒にやった盤もあったもんね。

No Protection:Massive Attack Vs. Mad Professor

MASSIVE ATTACK 近辺からキャリアを起こし、ボーカルを彼らのアルバムで披露した TRICKYも、基本はモゴモゴボソボソとドスの利いた声でささやくだけだった。つーか、彼の声じゃ日常会話にも不自由しそうだし、明らかにラップに向く声じゃないよね。TRICKY PORTISHEAD と同じで自作では積極的に女性ボーカルを採用した。とにかく、魂はヒップホップなのに、彼らはラップせず、歌を歌った。なんで?ぼくはマジでわからない。

TRICKY「MAXINQUAYE」

TRICKY 衝撃のデビュー作。「MAXINQUAYE」1995年 長い間タイトルが意味不明だったんだけど、最近やっと分かった。TRICKY が4歳の時に自殺してしまったお母さんの名前が MAXIN QUAYEというんだって。苦労人だよ。)


レーベル「MO' WAX」と JAMES LAVELL。新しいヒップホップ観。
アシッドジャズ期のイギリスには、様々な新興レーベルが立ち上がった。アシッドジャズの語源にもなっちゃった「ACID JAZZ RECORDS」(1988年)、その「ACID JAZZ」からノレンワケしたように生まれた「TALKIN' LOUD」(1990年)。この2つは名DJ GILES PETERSON の立ち上げたレーベルだね。トリップホップの元祖とも言われてるDJチーム COLD CUT が立ち上げたのが「NINJA TUNE」(1991年)。テクノ系まで広げると数限りない。

レーベルのマーク

●中でも異彩を放ったのは、JAMES LAVELLE がなんと18歳で立ち上げたレーベル「MO' WAX」(1994年)だ。この人、生年月日でいうとボクより一つ年下(74年生)なので、当時は本当ビビッた。ボクがボンクラ大学生やってる時に、イギリスにはレーベル立ち上げて活躍してるヤツがいる!とマジで思った。彼は15歳にしてすでにパーティをオーガナイズしてたんだって。
●しかし彼が本質的にスゴイのは、全世界に目を向けて多くの才能をフックアップしたコト、そして結果としてアメリカとは全く異質のヒップホップ観を打ち立てたコトだ。まず前者を語ろう。JAMES の功績で重要なのは、日本が誇るターンテーブル侍、DJ KRUSH を全世界に紹介したこと。そしてアメリカ西海岸のサンプルウィザード&世界屈指のヴァイナルコレクター、DJ SHADOW を音楽シーンの表舞台に引っ張り上げたこと。ロンドンのクラブシーンにいながら、ユーラシア大陸の逆サイド、そして大西洋の向こう側の果てまで目が行き届いていたコトがスゴイ。ほんでこの二者、KRUSH & SHADOW には音楽上の共通点があった。ラッパーなしで成立してしまうヒップホップの可能性を切り開こうとしていたことだ。彼らの音楽は、アブストラクト・ヒップホップ(抽象的ヒップホップ)、ダウンテンポ、スモーキンビーツなどと呼ばれ、新時代のジャズ耳を育ててたイギリスのヘッズに熱狂的に迎えられた。彼らの二枚のアルバムが、ヒップホップの表現世界を一気に拡大したのだ。その拡大解釈ヒップホップが、トリップホップと言い換えられた、と考えてもイイんじゃないのかな?

dj krush(DJ KRUSH「STRICTLY TURNTABLIZED」1995年)

DJ SHADOW_Endtroducing(DJ SHADOW「ENTRODUCING.....」1996年)


このころの典型的「MO' WAX」サウンドを聴いてみる。

ATTICA BLUES「ATTICA BLUES」

ATTICA BLUES「ATTICA BLUES」1997年
「MO' WAX」全盛期の典型的なトリップホップサウンドだと思われるのが、この一枚。二人のトラックメイカーチームに、ボーカリスト(エジプト系の女性という話)を合わせたユニット。カッチリしたトラックに弦楽器がキレイに差し込まれ、少しエキゾチックな女性ボーカルが虚空を舞う。もちろんラップはない。ATTICA BLUES の頭脳でもあるメンバー D'AFROポエトリーリーディングのチームも組織してたので、やろうと思えば MASSIVE ATTACK なスタイルもこなせるのだろう。気分としてはクールなジャズっぽい雰囲気も。ユニットの名前もジャズに由来してるからね。
●60~70年代のフリージャズ期に活躍したサックス奏者 ARCHIE SHEPP の超名曲から、彼らはユニット名を拝借してる。申し訳ないけど、この名前を借りちゃったのは彼らにとってあんまりよくないことだと個人的には思う。だって元ネタがスゴすぎるんだもん。彼らは自分たちでハードルを一気に上げちゃったよ。すさまじい灼熱の超過激ジャズファンクである ARCHIE SHEPP 「ATTICA BLUES」の前には、どこの誰だって名前負けするわ。彼らの華麗でヒンヤリとした音楽は悪くはないが、あの超絶ジャズファンクとどうしても比較してしまうので、損な気分になる。最悪コレは聴かなくてもイイから、ARCHIE SHEPP 版は、絶対に聴いてください。じゃないとアナタの人生がつまらないモノになる。そんくらい重要。

Attica BluesARCHIE SHEPP


●ちょっと脱線したけど、「MO' WAX」からリリースされたアブストラクト~トリップホップものを他に挙げよう。
●女性DJ&トラックメイカー ANDREA PARKER もかなりダークでスモーキンなビートをゆっくり回転させてた。LUKE VIBERT もアルバムを発表している。彼は WAGON CHRIST 名義でテクノをやったり、PLUG 名義でドラムンベースをやったりする多才な人だ。内容は確かすごくアブストラクトだった。BEASTIE BOYS のキーボーディスト MONEY MARK の最初のソロもココでリリースされた。あれはヒップホップとは言わないかも…。元 ULTRAMAGNETIC MC'S のメンバー KOOL KEITH の変名 DR. OCTAGON のアルバム(&とインストのダブアルバム)を出してもいる。彼は筋金入りの本格派オールドスクーラーでありながら、超変態系で知られるラッパーだ。DJ SHADOW にも近い西海岸アクト、BLACKARICIOUSもフックアップされた。ココからいわゆる「西海岸アンダーグラウンド」の系譜が始ったといっても過言じゃないと思う。日本系だと、MAJOR FORCE 関連の物件を出している。ああ、忘れちゃいけない、JAMES LAVELL 自身のユニット U.N.K.L.E. がいたわ。あれは完全なトリップホップだね。

PSYENCE FICTION_UNKLE


トリップホップが、アメリカ/NYに逆噴射。イルビエント。
DJ SHADOW などの新感覚クリエイターがアメリカ西海岸にネットワークを張り巡らせて、新たなヒップホップを作り始めた頃、ヒップホップの首都NYでは、ヘンテコリンなシーンが発生していた。その名も「イルビエント(ILLBIENT)」アンビエント・ミュージックをもっとイルでチルにした感じと言えば分かりやすい?分かりやすくねえな。とにかく、ヒップホップという名にくくるには、あまりにもアブストラクトで不定形なスタイルが出来てしまった。その首謀者 DJ SPOOKY THAT SUBLIMINAL KID はこう言う。「オレに二枚のレコードをよこしてくれりゃ、アンタに銀河を作ってやるよ」ターンテーブルを操って、フワフワのエコーとトリッピーな電子音、そして腰に響く重低音とビートを繰り出す。まさしくトリップホップがアメリカ本国に逆噴射したような音楽なのだ。もちラップはなし、インストトラックで勝負。そして結果、宇宙が見える。

DJ SPOOKY THAT SUBMILINAL KID「SONGS OF A DEAD DREAMER」

DJ SPOOKY THAT SUBMILINAL KID「SONGS OF A DEAD DREAMER」1996年
●彼の最初のアルバムっすね。ノンストップミックスで、ダブダブのエコー銀河が33RPMのスピードで回転している音響宇宙。キラキラ瞬く星々の海に飲まれて、ちょっとした宇宙酔い。この人大のSF好きでもあって、このコズミックなサウンドデザインは完全に狙いなわけです。この後、DJ SPOOKY KOOL KEITH ともコラボしたりして、ヒップホップの裏街道を歩いていく。「イルビエント」は、トリップホップ・アメリカ版、とボクは勝手に位置づけています。



さてさて、イギリスの中で、正統派ヒップホップは何をやっていたか?
     「BIG DADA」
普通にヒップホップのトラックでラップをするヤツが、イギリスに全くいないわけじゃなかった。ここで注目するのは、前述のレーベル「NINJA TUNE」の傘下、「BIG DADA」。1997年設立のレーベル。今なおコアな音楽を発信しているこのレーベルは、純度の高いヒップホップを鳴らそうとしていた。……しかし、ブッチャケ初期モノは地味だ。


TY「AWKWARD」

TY「AWKWARD」2001年
●これは義弟 ken5 くんからもらったもの。彼はもうボクにくれたコトすら忘れてるんじゃないかな?
●ともかく純粋ヒップホップ00年代になるまでイギリスに登場しないってのは、やっぱ不自然で不思議だと思う…。で、内容は実に地味だ。ラップは腰の据わったフラットなテンションだが、時に空気をスコーっと抜くような軽さを感じさせる。トラックも堅実すぎて派手な部分は何もない。これが2001年モノとは思えない。90年代前半のジャジーなヒップホップに質感は一番近いと思う。A TRIBE CALLED QUEST GANGSTERR の時代…。
●しかし、サンプルの万華鏡のようなきらびやかさはない。むしろダーク。ギターとか、一部のベースは、生で弾いてるんじゃないかな…?その意味ではアシッドジャズっぽいね。一曲だけ、UKエイジアン(インド風)の意匠をもじったトラックがあって、それだけ耳に新鮮だった。


ROOTS MANUVA「BRAND NEW SECOND HAND」

ROOTS MANUVA「BRAND NEW SECOND HAND」1999年
●コレもトラックは実に地味だ。打ち込みで組んだループに少々のダブ処理をしている。ただし、ラップには引っかかるモノがある。独特のスゴミのあるザラザラした低音。それが、ダンスホールレゲエをちょっぴり連想させる。調べれば、やっぱり、彼はジャマイカ移民2世だった。(ちなみに TY はナイジェリア移民2世。)


ここで、イギリスになぜラップが根付かなかった理由について仮説を立ててみる。
ダンスホールのDJイングが、ヒップホップラップのヒントになった、というのは音楽史の定説である。イギリスにとって旧植民地であるジャマイカは移民も多く実に馴染み深いモノで、レゲエも早くから(60年代)イギリスに移入されてた。イギリス人がヒップホップのラップに興味を示さなかったのは、ダンスホールレゲエのDJイングに早くから親しんでいたからなのではないか? そんで、イギリス国内でレゲエのDJイングは独自の進化を遂げた。ドラムンベースのMCとしてラガスタイルが採用され、あの特殊なビートに彩を添えていたのだ。

●ここで仮説を立ててみる。イギリスに移入されたヒップホップは、ビートミュージックとして受け止められたが、抽象化されたカタチで昇華され、トリップホップアブストラクト・ヒップホップへと進化した。しかし、すでにラガMCがダンスフロア(レゲエ風に言えばサウンドシステム)を賑わせていた状況で、ヒップホップスタイルのラップは特に刺激的には見えなかった。イギリス黒人のマジョリティはジャマイカ移民系で、アメリカ黒人とは出自が違う。彼らがラップをしようと思えば自然とラガっぽくなる。そしてどうせやるならレゲエか、レゲエを始祖に持つジャングル/ドラムンベースをやるだろう。
一方白人パフォーマーは、ラップをやりきるスキルが黒人に全く追いつかなかった。日本語でラップするのは日本人が一番得意だ。そりゃ当然。だから日本語ラップは健全に成長した。しかし、同じ英語で勝負したら、白人も日本人も黒人さんには絶対にかなわない。初めての本格派白人ラッパー EMINEM が登場したのが1998年だから、アメリカ白人にとっても本当のラップはハードルが高かったくらいなのだ。
●イギリスにおいて大きく支持を集めた初めての白人MCは、THE STREETS だろう。彼の登場は2001年。しかも彼はヒップホップではなく、UKガラージ~グライムでラップした。この段階で、アメリカ産ヒップホップとは完全に区別された、イギリス独自の進化の系譜が出来上がっていたのだ。


新世紀に進化する UK ヒップホップ。ROOTS MANUVA。

ROOTS MANUVA「RUN COME SAVE ME」

ROOTS MANUVA「RUN COME SAVE ME」2001年
●この仮説を実証してくれるのが、このアルバムだと思う。ココにヒップホップの強靭なビートと、レゲエ/ダブの獰猛なベース、そしてエレクトロがギラツく音空間が広がっている。そして、ヒップホップラップと、ジャマイカ訛りのパトワと、MANUVA 自身の造語が入り混じっている。アメリカ発のヒップホップとジャマイカ発のダンスホールレゲエがイギリスという風土で化学反応を起こした完全なハイブリット・ヒップホップだ。ヒップホップラップが根付かなかったイギリスだからこそ出現した突然変異的音楽。おまけに益々レゲエを連想させる事実だが、このアルバムには「DUB COME SAVE ME」(2002年)なるダブアルバムまである。全曲エコー強化のトラックで、レゲエ色の強いラップも聴ける。

ROOTS MANUVA「DUB COME SAVE ME」



ROOTS MANUVA「AWLFULLY DEEP」

ROOTS MANUVA「AWLFULLY DEEP」2005年
●個性的なラップを聴かせる MANUVA だが、トラックメイキングも全部自分でこなすらしい。「ファースト(「BRAND NEW SECOND HAND」はチルするつもりで作ったが、セカンドからはフロアを転覆するつもりで作った」とのコト。今作ではより傍若無人にビート&ベースが暴れ回っている。純粋にエレクトロ仕様で未来派の気分も。そしてコチラにももちろんありますよ、ダブアルバム。「ALTERNATELY DEEP」(2006年)というヤツ。どうぞご賞味ください。

ROOTS MANUVA「ALTARNATELY DEEP」


正統派ヒップホップは根付かなかったイギリスだが、メインストリームでは「グライム」ヒップホップに代わるゲットーミュージックとして独自の進化を遂げている。コレはコレで非常に面白い現象だ。正統派ヒップホップのコアであった個性派レーベル「BIG DADA」は、今ではグライムの先駆者 WILEY が所属しているし、グライムがアメリカで特殊進化したボルチモアブレイクス・シーンの看板アーティスト SPANK ROCK ともディールを結んでいる。ブラジルのゲットーミュージック、バイレ・ファンキを世界に紹介したDJ/プロデューサー、DIPRO もココに籍を置く。UK ヒップホップ~新型ゲットーミュージックを牽引する「BIG DADA」の動向は目が離せない。



00年代のトリップホップ。TRICKY はどこに行く?
PORTISHEAD が3枚目を出すのに10年もかかっちゃったように、トリップホップ組にとっての00年代は、逆風の時代だったかもしれない。MASSIVE ATTACK でさえ手堅くリリースを続けるも、マンネリ感はどうしても否めない…。ところが、トリップホップの超重要人物 TRICKY だけが少々様子が違う。

NEARLY GOD

トリップホップ旋風が吹き荒れて、一躍時代の寵児となった TRICKY。別名義 NEARLY GOD を名乗り「オレってほとんど神かも?!」とまで調子に乗ったこの野郎は、時間が経つにつれ、だんだんそのトリップホップというレッテルがウザくなってきた。そこで気分一新、ポーンと活動拠点をNYに移してしまうのだ。厳密にはわからないけど、1999年あたりかな?

●そんな時期の前後に作られた作品を紹介。

TRICKY「BLOW BACK」

TRICKY「BLOW BACK」2001年
●アメリカ系のレーベルに移籍して気分一新のつもりか、トリップホップ・ファンから見たら全然望んでない方向性へ一気にワープしてしまった問題作(かな?)。つーか、あまりの変貌ぶりに、当時は音楽雑誌とかに完全無視されたような気がする…。ジャケ通りのモクモクなスモーキンビーツをゆっくりゆっくり回転させるのかなーと思いきや、RED HOT CHILLI PEPPERS のメンバーを召還して、完全なミクスチャーファンクロックを鳴らしているのだ。当時初めて聴いた時は仰天&大爆笑!この路線は誰も望んでねー!けどカッコいいー!TRICKY の曲じゃなくて、もはや、RED HOT CHILLI PEPPERS FEAT. TRICKY というノリだわ。
●とは言いつつ、そこまで針を振り切ったロックスタイルはあくまで2曲(インパクトは強烈だけどね)。トリップホップ・スタイルの曲もキチンと健在だが、以前の息が詰まるような密室感は薄れて風通しがよくなった。彼が全幅の信頼を置くようになったラガスタイルMCの HAWKMAN が縦横無尽の大活躍。静のイメージが付きまとうトリップホップに躍動感を与えている。以前まで公私共のパートナーだった女性ボーカリスト MARTINA ちゃんは、完全に無視されてブリストルに置いてこられちゃったようで、もう前のアルバムからいないし、今作ではR&Bテイストの強いシンガー AMBER SUNSHOWER がボーカルを担当、ゲストとして ALANIS MORISSETTECYNDI LAUPER まで呼んじゃってる。完全アメリカ化。あ、なんと日本語曲もあったわ。とにかく、非イギリス化が著しい。

●そんで2003年。イタリア人女性ボーカリストとコラボしたアルバムを出してたんだけど、全然売れなかった。ボクも存在すら知らなかった。調べる限り超酷評されてる感じ。スゴイことにパンクレーベルの老舗「EPITAPH」からリリースされてるぞ。この辺で一回、TRICKY は音楽業界から引退しようとしてたらしい。

TRICKY「KNOWLE WEST BOY」

TRICKY「KNOWLE WEST BOY」2008年
TRICKY、初心に戻る?タイトルにある「KNOWLE WEST」ってのは彼の生まれ育ったブリストルの町の一角の名前。レーベルはUKロック旋風でノリに乗る「DOMINO」ARCTIC MONKEYS、FRANZ FERDINAND などが所属)からのリリース。しかも、プロデューサーには TRICKY とともに、元 SUEDE のギタリスト BERNARD BUTLER の名前が入ってる!
●しかし、彼の初心回帰が単純な「トリップホップ回帰」となるわけじゃないらしい。むしろオルタナ化した?「BLOW BACK」で会得したバンドサウンドスタイル(生っぽいドラムとイタナイブルース感でドロドロ)がガツンと1曲目から炸裂。ファンク系ミクスチャーロックも数曲搭載。昔の TRICKY からは想像がつかないほど変則的で高速化しているトラックは、分かり易いヒップホップのビート感を持ってて生命力に溢れてる。ラガMCも活躍してるし。むしろ近年のヒップホップのなんでもアリ拡散状態が、TRICKY サウンドさえも奇妙に感じないほど進んでしまったというべきか。
●でも、強烈なバスドラのキック&ベースのウネリはこのアルバムの重要な聴き所だよな。曲のスタイルやテンポと関係なく、このコダワリはブレない軸になってる。一撃入魂の大型ビートがローリングサンダー作戦並みの絨毯爆撃でダンスフロアを焦土と化す。


トリップホップというジャンルは、90年代のとある段階でその使命を果たしてしまった感があるけど、各個のアーティストは、ヒップホップを拡大解釈してトリップホップを開発した時のように、今だにヒップホップイギリス的突然変異イノベーションを続行している。TRICKY はその重要な一人だし、グライムというサウンドもそのパフォーマーもきっとそのツモリのはずだ。


●イギリスの黒人音楽への憧れはホンモノだと思うが、ふと歴史を振り返ると、ブルーアイドソウルネオモッズ、2トーンなど、必ずしも直球で黒人音楽を導入したわけじゃないケースが実は目立つことに気付いた。今回トリップホップを考えて思い至った発見だ。この目線からイギリス音楽を眺め直すとオモシロいかもしれない。
●そして、同じ視点で日本のヒップホップシーンを見返してみれば、日本ならではの独自性が浮き上がるはずだ。今後、そんなポイントから日本語ヒップホップを聴いてみたいと思う。


リハビリで電車通勤をするようになってから、ずーっと気になるモンがあったのよね。
●それがこれ。「参宮橋」の駅のホームにどーんと見える看板なのです。

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「刀剣博物館」? ナニソレ? 英語で「THE JAPANESE SWORD MUSEUM」。うーむ。一体どんな所なのだろう。電車がこの駅を通過する度に、コレが目に入る。気になって気になってしょうがなくなってきた…。


●で、我慢出来ず、行ってみた。


●ハッキリ言って、日本刀に興味も関心もないのです。ただ、人生、効率よく一直線に走ると全然オモシロくない。ボクはこのテのムダ足を自分に課して、ヘンテコな空間に自分を放り込むのが好きなのです。そして、他人とは共有できないオモシロさかも知れないけど、意外とそれなりに楽しんじゃえるのです。

●能書きはどうでもイイや。建物の外観がコレ。昭和モダニズムな香りが漂う、実に古くさい質感。窓が少なく、結構デザインに工夫がされてる。あと20年経ったらもっとイイ味が出るだろう。そんで、渋く書かれてます。建物のドテっパラに。「刀剣博物館」と。

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しかし、全然期待してなかったのに、日本刀、スゴくカッコよかったんです。
●これ、写真撮影禁止だし、よしんば撮影可能でも、その美しさはカメラに収められないので、もう実際に現場行って下さいとしか言いようがないんだけど、ビックリするほどキレイなんですよ!

●まず最初の一本目でビックリしちゃった。まるで冷えた金属に空気中の湿気が集まったかのような、白いモノが刃の部分にスーッと光っているのです。ドライアイスに冷やされた食器にうすーく細かい氷の結晶が集まるように……いやもっと繊細で可憐で上品に、あるはずのナイ冷気が刃を美しく曇らせているのです。うわ、キレイ…。
●で、ビビったコトに、このヒンヤリと光る70センチほどの「太刀」が平安時代末期のモノなのです。エーッ!1000年前じゃん!1000年もの間、この美しい光沢を維持してるとは……。他にも鎌倉時代、室町時代などなど、数百年の時間を経て光を放ち続ける刀がたくさんある。思わず息を飲む…。なんか不思議な世界。


この場合の「不思議」って、単純に工芸品が劣化せずに現代まで残ってるコトの素晴らしさとは違う。
●「日本刀」ってのは、第一義的に「殺人武器」として製造されたモノ。なのに、その「殺人」という目的に向けて機能の純度を研ぎすました結果、美術的価値を持つほどに洗練されてしまった。それがユニークで不思議。
●トルコの美術観で見たアラビア刀は完全に装飾品になってとてもゴージャスだったけど、武器としての機能は失われてしまってた。西洋の刀剣は骨董品には見えたけど、美しいとは思えなかった。しかし数百年の歴史を経た「日本刀」はあくまで殺人機能を損なわず(触ればマジで指が切れる)、その機能の高さが美しさの根拠になっている。刃身にサンスクリット文字を彫り込むなどのギミックを施した物件もあったが、ハッキリ言って野暮に見えるくらい。刀身そのものの美しさがたまらない。不思議だ。

●実際に目の前にある「太刀」や「刀」が何人の血を吸っているかは分からない。大切に扱われて実戦投入されなかったかも知れない。でも「日本刀」は、他の国の刀剣と違い実用から離れた虚飾で美術品になった訳じゃない。あくまで「殺人への機能美」がそのまま純化して魅力となってる。それがボクをゾクゾクさせる。
●一方で、素人には完全に意味の分からない鑑賞美学が独自に発達してて、解説が全然意味不明。


刀剣

●コレは博物館の売店で買った絵はがき(80円)。キャプションが書いてあるのだが、難しくて理解不能!


重要文化財 太刀 無銘 福岡一文字 長さ二尺五寸五分(77.27㎝)鎌倉前期
備前国の福岡一文字と鑑せられ、腰反深く細身で小鋒に結ぶ太刀姿は優美で品格がある。丁字乱れの華やかな刃文はこの時代としては珍しく貴重で、地刃の出来も抜群である。


「小鋒」?「丁字乱れ」?「地刃」? 全然意味わからない。チンプンカンプン。
●そこで、「刀剣博物館」のホームページでアレコレ調べてみる。

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●よーく見ると、刀の表面には、こんな多彩な模様がうっすらと見えるのだ。特に「杢目肌(もくめはだ)」という模様は、現物でみるとビックリする。殺人機能を増すために鉄と鋼を何度も何度も鍛錬した結果、こんな不思議な紋様が浮き上がるのだ。しかしマジで目を凝らさないと見えないほどに繊細な紋様、ある意味メチャマニアックな美学なわけで、それが一部の好事家(というのかな?)の中では一つの権威として育ってしまっている!スゲエ!


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●そして、ボクが感動した刃の輝きがコレ。「焼き入れ」という過程の瞬間、金属の硬度の差がこうした模様を浮き上がらせるという。その模様を「刃文」と呼ぶらしい。で、この「刃文」の境目を「沸(にえ)」(写真左)とか「匂(におい)」(写真右)と呼んで、鑑賞のポイントとするらしい。ほえー。奥深い。ボクはこの白い光沢に「冷気と湿り気」を感じたのだけど、古人は「熱と香り」を感じたってのが、オモシロいね。


金属の光沢を一時間ばかり眺めていたら、だんだんそのカッコよさがジクジクとカラダに染み込んできた。
●シモキタザワにはシルバーアクセサリーのお店があって、ドクロなどのゴツい意匠を施したブレスレットやリングが一杯ある。アレを連想してしまった。美しい金属を身につける……今の若者がシルバーアクセを身につけるように、昔のサムライも美しい金属を身にまとうのは男伊達を上げるモンだと思ってたに違いない。ボクがもし武士だったら、長さは72センチくらいで細身のヤツがイイ…、そしてツバやサヤや握りの部分に渋いアクセサリーを……なんて夢想する。
●いや、値が張るからな、もしかしたら高級腕時計の感覚かな? 刀をサヤから出して眺めるのって、オメガのスピードマスターをショーウィンドーで眺めたり、お店の人に頼んで腕にはめさせてもらったりって感覚と同じだわ。オトコのコとして、きっと同じドキドキだよ。


「刀剣博物館」HP。マニアックな日本刀に関するウンチクが満載で勉強になる。
 http://www.touken.or.jp/
●アクセス:渋谷区代々木4-25-10 小田急線参宮橋駅徒歩10分
      駅改札を左に曲がり、マクドナルドの角を右に曲がる。あとは説明不能。
      ちなみに、お客は外人さんの方が多かった。



●この博物館の近所に、これまた品のイイカフェを見つけた。

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「隆龍 RYU-RYU」
●場所:渋谷区代々木4ー20ー10 「刀剣博物館」に行く途中にあります。
●ここは、単純なカフェではなく、「苔盆栽」というカテゴリーの小さなカワイらしい盆栽を展示販売しているお店。その余芸でコーヒーを出しているって感覚。苔のボールに小さな草花が生えてる。器もちゃんとした作家さんが作ったモノで、凝っててとてもチャーミング。

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●紅葉がちょこんと生えてるモノもあったけど、タネから2年かけて育てたという話。うわー手間かかってるわ。「植物を消耗品と思っている方や育てる気持ちのない方にはお売りいたしません」とのお断り書きもアリ。納得。静かな癒しスポットでした。

息子ノマド、CMソングが気に入った。
「細マッチョ!ゴリマッチョ!細マッチョ!ゴリマッチョ!」ノマドが歌ってます。松田翔太くん&中村獅童さんが踊ってるスポーツドリンクのCM。ご存知、黄金のディスコクラシックス、VAN MCCOY「HUSTLE」の替え歌ですね。今彼のお気に入りです。ノマドは自分のこと「細マッチョ」だと思ってますが、やせっぽちの「ガリマッチョ」です。いやマッチョでもねーな。
●そのくせして、妹ヒヨコには、「ヒヨコは、おなかもかおもマルいから、まるまっちょだ!」と命名。うーむ、「まるまっちょ」癒されるフレーズだ…まるまるナデナデしていたい…。ヒヨコ自身も「まるまっちょ」が気に入ったらしく、兄と共に「まるまっちょ」バージョンをシンガロングしてます。

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(2005/09/22)
ヴァン・マッコイ

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息子ノマド、ドリフに爆笑。

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●先日、TBS の特番でドリフ「8時だよ!全員集合」3時間半スペシャルが放送されてた。そこで、「パパが小さい頃見てたテレビで大好きだったんだよ」とか言いつつ、録画してノマドに見せてやった。そしたら見事ヤツのツボに激ヒット。ノマド大爆笑!あまりに爆笑しすぎてぜんそく発作起こした。ワイフがあわててクスリ飲ませてたもん。
チョーさんが「おいっす!」と会場に叫ぶと、ノマドもテレビに向かって「オイッス!」とコール&レスポンス。ヒゲダンスカトちゃんの「へっブシュ!」も、意味なくヤカンがアタマに落ちて来るとかも、小学生には見事にヒットするのね!ドリフは時代を越えてるわ。言語すらもカンケイないもん。志村&仲本がひたすら相手を投げ飛ばしたりケリ飛ばしたりしてるだけだったりのコントだったりするし。ボクは、ドリフ見て笑うんじゃなくて、ドリフ見るノマド見て笑っちゃった。

「ドリフの早口言葉」がファンキーでスゴい。
●音楽にあわせてドリフやゲストのアイドルが「生麦生米生タマゴ!」と叫ぶ、みなさんご存知のアレだけど、実は音楽が生演奏だったのよね!しかもコレが疾走するファンクでカッコいい!で、ファンクに合わせて身を揺する出演者一同のノリは、完全にゴスペル感覚!神父の衣装を着てるチョーさんは、「レディースエンドジェントルメーン、ディスイズ、ハヤクチことば~!」とシャウトして、打合せナシでソロプレイをバンドに指示するジェームスブラウンのように、「よし!加藤!」と早口言葉に挑戦するメンバーを指名する。
●この時のチョーさんはノリノリで、マイクを振りながらエアギターならぬエアベース(チョッパー)やエアボンゴとかしながらフロアとメンバーを煽るわけ。マジカッコいい!アレは早口言葉を成立させるより、前後でどれだけファンキーに振る舞えるかが勝負なのね。高田みづえ松田聖子岩崎宏美も、短くディスコステップを踏みセンターに踊り出る。沢田研二の動きのキレのあるダンスも最高だったが、郷ひろみは70年代から完全に郷ひろみで、21世紀に至るまでテンションが全然劣化してないコトに衝撃。
●アイドルの歌のコーナーも、全部バンドの生演奏なんだよなー。コントが弾けてセットが崩壊すると、後ろにバンドが控えてるのが見えて、ノマドが「あ、オンガクタイがいる!」と発見を報告。でそのまま演奏が始まって、西城秀樹とかが登場してくるんだよ「ローラ!」って感じにね………つーか、あの大道具の撤収も鮮やか!スタッフがササッと駆け抜けて、崩れ去ったセットをキレイに舞台袖に滑らせていくんだよね。そっかーコレ全部生放送なんだよなー!スゲエよ!今のテレビにコレできるかな?

生放送だから、ハプニングもそのまま垂れ流しだったからね~。
●思い出すなあ~。イキナリ番組始まると、会場の照明がダウンしてて完全な真っ暗闇。復旧するまで、声だけでチョーさんが繋いでるとか。「オイッス!」 あと、セットのスミッコで火事が起こってるとか。コントのカンケイない所でモクモク煙と炎が見えて、ドリフのメンバーが「アレヤバいんじゃないの?」とかアドリブでいじくってんだけど、でもコントをヤメないの。そんでスタッフがあわてて消火したような気がする。今のテレビの水準だと、生放送中止&お客さん緊急避難でしょ。てか、ソレをしなかったら後日新聞で死ぬほど叩かれるし、番組も打ち切りだよね。昔のテレビはおおらかだったよー。

●豆知識でノマドに大事なこと言っといた。「この人たちね、オモシロいコトやってるけど、ホントはロックバンドなんだよ」「えー!」なんてったって、THE BEATLES 武道館公演の前座だもんね。

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「ドリフの早口ことば」「東村山音頭」「ヒゲのテーマ」など、70年代ドリフコント全盛期のレパートリーが満載の2ディスク。ちなみに『赤盤』は、もっと前の時期のオールドスクールなドリフでイッパイです。)


ノマドは、トム・クルーズのパニック映画「宇宙戦争」も楽しんでた。

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H.G.ウェルズが1898年(つまり100年以上も前!)に書いたSF古典「宇宙戦争」スピルバーグが現代アメリカに復活させたCG炸裂ハリウッドスタイル。コレもテレビでやってたから見せてみたら、やっぱりノマド大喜び。「うおおードキドキする!」一方ヒヨコは「こわーい!みたくなーい!」とわめいてコタツの中に潜りそのまま寝てしまった。

●ノマドたちは、これからゆっくりイロイロな古典や名作に一個一個出会って行くんだな。そう思うと、自分がかつて古典や超定番の名作に出会ってドキドキした感動を思い出し、そのドキドキを目一杯味わえる連中がうらやましく思えちゃったりもした。ボクがドリフに夢中になったのも、H.G.ウェルズの原作小説を読んだのも、今のノマドと同じ小学生の時だったからな。そしてやっぱり「うおおードキドキする!」と思ってたよ。



今日の一枚。PAUL SIMON のリズム趣味は品がいい。

The Rhythm of the SaintsThe Rhythm of the Saints
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Paul Simon

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PAUL SIMON「THE RHYTHM OF THE SAINT」1990年
●この人はやっぱりフォークデュオ SIMON & GARFUNKEL のキャリアが目立っちゃうけど、ソロキャリアでもオモシロいコトをしてる。オーソドックスなフォークシンガーのイメージとはウラハラに、リズムやビート、グルーヴの実験にアレコレ取り組んでる人、という印象をボクは持ってます。
●ある時、仕事場の送別会で珍しくお酒を飲んで、ちょっぴりセンチになりながら深夜の銀座からタクシーに乗った時のコトだ。1975年のヒット曲「50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER(邦題「恋人と別れる50の方法」)」が聴こえてきた。AMラジオの狭いレンジで流れて来る、この曲のドラムはとてもタイトで正確で、お酒の効果もあってか「……あれ、この曲、ヒップホップだわ!」と思った。BECK「ODELAY」でやったようなループコラージュに聴こえるのですよ。PAUL SIMON もトーキングブルース風に歌うしね。そこからこの人の見方が変わった。
●そんな視点からソロ作品をチェックしてみた。そしたらオモシロい。例えば1986年のアルバム「GRACELAND」。ココでは南アフリカでレコーディングにトライしてて、地元ミュージシャンと交流してる。アパルトヘイト政策がまだ健在の南アフリカ。ね、気合い入ってるでしょ。

●そんで、このアルバムでは半分以上がブラジルでレコーディングされている。クレジットにはよく分からない楽器の名前と、ポルトガル系の難しいツヅリの名前がイッパイ。一曲目の泥臭いサンバのリズムは、ブラジル北東部(ノルデスチ)の音楽中心地、バーイア州サルバドールの広場でフィールドレコーディングされてるし、他の楽曲でも複雑なリズムがコレでもかと押し寄せて来る。
●しかし、典型的なブラジル音楽に染まってしまってるかというとそうでもない。ボサノバとか連想しちゃった人はゴメンナサイ、そんな曲は一つもない。正直、クレジットを熟読して初めてブラジル録音と気付いたが、音だけ聴いただけではどこの国の音楽だか判然としなかったくらいだ。PAUL SIMON のチャーミングな声とメロディが、楽曲をスゴくポップに仕上げてるからこその前提だが、サポートミュージシャンの出自が実にコスモポリタンで、よって見事な無国籍ワールドミュージックになっている。
●キーボードとサックスにはフュージョンジャズの最前線にいた BRECKER BROTHERS、コーラスには南ア・ズールー族のコーラスグループ、ドラムにはキューバ系、プエルトリコ系、「恋人と別れる50の方法」のドラムを演奏した STEVE GADD、そんで元 BEATLES RINGO STARR までが参加。アメリカンルーツ界からは、J.J. CALE、プログレ界からは、ZAPPA KING CRIMSON に関わった ADRIAN BLEW 、そしてアフリカのマラウイからもギタープレイヤーが召喚されている。そうそう、ポルトガル詞の部分ではバイーアの伝説的シンガー MILTON NASCIMENTO が共作クレジットされている。豪華なメンツだねー。
●結果として、何回聴いても聴き飽きない。ブラジル録音のグルーヴに、ニューヨーク録音で様々な彩りを添えて、世にもユニークなハイブリットミュージックが出来上がっている。まさに「聖者のリズム」です。

ピカピカの一年生、ヒヨコ。
●近所のママさん情報「ヒヨコちゃん、朝、学校行くとき、スキップしてたわよ」。……。そこまで、小学校が楽しいのか。結構ビビる子も多いのに、オマエ全然不安がないのな。その底なしのポジティブシンキング、誰の遺伝だろう?明らかにボクではないはず。
●ヒヨコ、学校楽しいのか?「ショウガッコウ、すごくたのしい!あとねオトモダチもいっぱいできたのー!」ヒヨコは、童謡にある「♪一年生になったら、友達100人できるかな?」に真剣にトライするつもりなのだ。「ほんとはもっととおくのセキのコともおはなししたいのに、あそびのジカンがゼンゼンないんだよ!」…まあ、遊びに行く場所ではないからなあ。「なんで、こくごとさんすうがいっぱいあるのかな?ヒヨコ、おんがくとずこうがスキなのに」…キミは、勉強にはあまり関心がないみたいね。


今年の年度から「ゆとり」教育が終わる。
●1月ごろ、マクドナルドでコーヒー飲んでたら、隣の女子高生たちがぼやいてた。「ウチラって浪人できないんだよね~」なんで?「だよね~。来年から「ゆとり」終わっちゃうから、ウチらが浪人したら、ウチらより勉強してるコと一緒に受験でしょ、ヤバいよね~」そうかー、ここに一つの時代の切れ目があるんだー。そりゃ不利だよな、スタンダードが変わっちゃうのは彼女たちのせいじゃないからなー。

「ゆとり」は小学校でも終わる。二段階に分けて「ゆとり」から新教育要綱に移行する、というプリントが学校から配られた。それによると、まずは「算数・理科」から時間数&内容が変わる。理数系重視路線なのね。そんで、2年の時間を空けて、全ての学科で「ゆとり」脱却が行われる。この辺で、小学校で「英語」がスタートするはずだ。5・6年生の話だからまだよくワカランけど。

●さて、今年の「算数・理科」で何が変わるんだ?って話。プリントには他にも「追加される学習内容」が列挙されているのだが、コレによると、一時期話題になってた台形の面積計算が復活するという。まーこんくらいはやってもらわんとねー。
●一番衝撃的だったのが、6年「理科」に「太陽・月」と書いてあったこと。んっ?ちょっと待て?日本の小学生は「太陽・月」を今まで学校で習ってなかったのか!?おいおい、空見りゃ一番最初に見えるモンを扱わないで、一体「理科」は何を教えていたんだ?すげえな「ゆとり」って……やっぱ、子供の教育は親がカチッと見ておかないとヤバいね。トンでもないモンがスコンと抜けているかもしれないんだから。

●1・2年生の我が子たちは、「理科」がまだないので(「生活科」と称して「理科・社会」が合体してる)、目下「算数」だけが変わる。ヒヨコに支給された「お道具箱」には、兄ノマドにはなかった「さんすうつみき」や単語帳のような「たしざん・ひきざん」短冊が入ってた。兄貴ノマドは「かけ算九九」が今までより早く始まるらしいので、早速自主練習を始めさせた。「九九全部言えたら、新しいバトスピカード構築デッキ買ってやる」と言って。モノで釣るな?でも一応何とか5の段まではスムーズにクリアしたんよ。が、そのあとが続かないなあ。インド人は19の段まで覚えるらしいので、「10~12の段のかけ算も覚えたら、もう一個構築デッキ買ってやる」とも言ってある。本音は早く覚えて欲しい。ボクもバトスピのニューカードを見てみたいから。


ボクはボクで勉強の季節。
●会社でヒマを持て余しているので、セッセと資格の勉強なんかしちゃってる。

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●コレ見てよ。話題の「東大生のノートはかならず美しい」からインスパイアされた「ドット入り罫線」ノートがもう4冊目に突入。そして500ページ超に及ぶテキストをやっと丸ごと制覇(持ち歩きに不便なので3つに切り分けてしまった)。

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ヒューマンアカデミー

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●ナニを勉強しているかと言うと「宅地建物取引主任者資格」略して「宅建」である。まー生まれて初めて書いた漢字/熟語がいっぱい出てきたね。「抵当権」「賃貸借」「法定相続分」「免許の欠格事由」「営業保証金制度」「専属専任媒介契約」「37条書面」「クーリングオフ制度」「宅建業者の報酬額の制限」「市街化調整区域」「遊休土地転換利用促進地区」「特定行政庁」「都道府県都市計画審議会」「縦覧に供する」「第二種特定工作物」「建築主事」「中間審査の申請」「構造計算適合性判定」「2項道路」「第一種中高層住宅専用地域」「算出容積率」「法定乗数」「建ぺい率の緩和」……。さーて、どんだけアタマに入っているコトやら…。

宅建教科書 宅建完全攻略ガイド2 2009年版 (宅建教科書) (宅建教科書)宅建教科書 宅建完全攻略ガイド2 2009年版 (宅建教科書) (宅建教科書)
(2008/12/18)
ヒューマンアカデミー

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●そんで明日からはテキスト二冊目に入る。「民法」の基本のキを扱ったので、今後はさらに突っ込んでいくらしい。「都市計画法」「建築基準法」のサワリをやったので、次は「宅地造成等規制法」「農地法」「国土利用計画法」が出て来るらしい。あとは不動産にまつわる税金のハナシ……などなど。最近はこういうのに知的好奇心を掻き立てられる。あー世の中の仕組みってこうなってたのねー的な感動がね、あるわけよ。

●しかし、ボクの職業でこんな知識が役立つ場面はほぼ100%ないわけで、資格試験を実際受けるかどうかも怪しいモンだ。しかも「宅建」は倍率で9分の1くらいしか合格しないらしいし。マジで純粋な教養として面白がっている。飽きたら止めると思う。


もう一つ気になってるのが「管理会計」というキーワード。

美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!
(2008/02/01)
林 總

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「管理会計」どころか、「会計学」のカの字も知らんボクだが、カネの仕組みを知りたいという欲求がモクモク出てきている。世の中不景気だーなんだーとコウルサい時代になったが、「要はカネで辻褄が合えば文句はないんだろ!」という発想に至る。ハッキリ言ってドンブリ勘定の商慣習がまかり通ってる我が業界では、「カネの辻褄合わせ」がアタマに入ってるだけでかなり有利になれるような気がする。最近は大学の教科書みたいな「会計学」の本を立ち読みしているし。あー、簿記3級の勉強もしてみるかな。


●勉強している時には、超オバカな音楽を聴く。

おしゃれ番長 feat.ソイソースおしゃれ番長 feat.ソイソース
(2008/11/12)
ORANGE RANGEソイソース

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ORANGE RANGE「おしゃれ番長 FEAT. ソイソース」2008年
●またまた100円で買った激安ワゴンシングル。グリコポッキーのCMソングで、オンナノコがポッキー握ってダンスしまくる曲だ。「ホレたぜ 街角エンジェル ブクロでハイレグゲット オシャレバンチョー カナリつぼ ハニカミポリスメン あこがれパイナポ」リリックも超意味不明。しかしフィルターをカブセたロボ声&軽量級エレクトロビート&重低音キックがイマドキ風でスキ。M-3でリミキサーを務める DEXPISTOLS も本邦エレクトロアクトとして注目株だし。
ORANGE RANGE は全然興味がないバンドになったが、「FEAT. ソイソース」という言葉がつくとどうも気になる。前は「DANCE2」って曲でこのソイソースが登場した。そん時もグリコポッキーのCMソングで、エレクトロなダンスロックで超ナンセンスなヤケクソビートだった記憶が。一体誰?ソイソースって。もっと日の当たる場所で活躍して欲しいな。

ORANGEORANGE
(2007/07/25)
ORANGE RANGEソイソース

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「DANCE2 FEAT. ソイソース」収録のアルバム。シングル「イカSUMMER」のカップリングには「DANCE2 (KAZAMI REMIX)」 が収録されてて、コレがよりエレクトロになっててイイ。)


P4064327.jpg

サクラ満開。「ピヨッピー!」と叫んでた娘ヒヨコが入学式を迎えました。
●週末は完全にダウンしていたヒヨコもボクも、なんとか風邪から立ち直り、なんとか入学式に出席ができました。あらららら~。豆大福のようにモヨモヨの丸顔で、アニメ声で、自分のコト「ピヨはねえ、○○なの!」と言ってしまうストロングスタイルの大天然なのに、コイツが小学校に行ってしまってイイんだろうか。ウサギ語とか言って、語尾になんでも「プ」をつける口癖(「ウサはニンジンがすきなんでプ!」)というような珍妙な習性は、幼稚園のウチになくなるモンだと思ってたら、まるで健在のままこの日を迎えてしまった!ヤバいんじゃないか…?少し不安…。


●で、学校へ出発する瞬間。
おいおいおい!コレは「メイドコスプレ」じゃねえか!

P4064233.jpg(入学式にコスプレなんて聞いたことがない!)

●ヒヨコの衣装がオカしいぞ!どーなってんの!ワイフ「ネットで買ったんだけど……遠くから見れば気にならないでしょ」近くから見れば明白にコスプレだろ!ヒヨコ「ホントは、エプロンもあるんだプ!」ほれ!やっぱ100%メイドコスプレじゃねーか!なんで入学式でメイドさんなんだよ!ビックリだよ!
●ワイフ「ヒヨコ、風邪で寝込んじゃったから試着するチャンスがなかったのよね~一回試着すれば直しも出来たけど」それにしてもアンタ、ボクが卒園式の時ネクタイしなかっただけでスゴい大騒ぎで非難したのに、当の主役においてこのツメの甘さはどういうことよ!

●しかし、イザ教室に入っていったヒヨコ、そのメイドルックがお世話係の6年生や同級生から大好評で「カワイいー!名まえもヒヨコちゃんていうの?カワイいー!」なんとメイドコスプレで、ツカミはオッケーになったのである。ナニが吉と出るのが分からないのが人生……まさにセ・ラ・ヴィ。
●一部上級生は、兄ノマド経由でヒヨコの情報を知ってたらしく「ヒヨコちゃんじゃん!」と迎えてくれた。なんでノマドは5年6年みたいな高学年にカオがキクんだろう?帰り際も「ノマドくんバイバイ」と6年生のお姉さんたちが声をかけていった…。本人に聞くとノマド素で言い放つ。「だってオレかわいいもん。かわいいとなかよくしてくれる」パパはオマエの、無邪気なんだか腹黒いんだかワカランところがちょっと不気味だわ。


入学式も二度目だと安心して見守れる。そして期待のお楽しみもある。
●実は、コドモたちが通うこの小学校の校長先生が、オモシロくって夫婦で大注目なのだ。去年のノマドの入学式では、祝辞アイサツにおいて、「イケコさん」という指人形をハメて超マヌケな腹話術(になりきってない…先生がウラ声で話してるだけ)を披露し、そのギャグともサービスとも言えない一発芸の暴発&ダダスベリに、必死で笑いを噛み殺したのを覚えている。しかも、その後のノマド情報では「こうちょうしつには「イケオくん」がいるらしい」とのこと……我が家ではタダモンじゃないぞこの人は!という評価なのである。

●さて、今年の祝辞アイサツ。ドコに「イケコさん」を隠し持っているのか?さては秘蔵の「イケオくん」の登場か……ワクワクして様子を見てると……祝辞のあるポジションで、先生、小脇の大きな生け花の影からヘンなモノを出してきた!なんだアリャ?
●それはノートPCのようなカタチをしてて、でもナニかの部品が糸でつり下げられているだけで……ナニがナンだが分からない? そしたら、先生、全会場のハテナ?な空気を察して「コレはちょっと小さいね、ミンナにちゃんと見えるように大きいのも作ったからね!」と言って、スタタタと体育館スミまで走り、壁に張った紅白幕をまくり上げる。この段階でワリと異常。あわてて他のセンセイが必死に紅白幕をまくり上げるの手伝ってるんだもん。初めての保護者の方々はポカンとしてるけど、もうボクは笑いを噛み殺すので必死。校長先生、毎年別ネタで勝負すんのかよ!スゲエ!

●そんで、当の校長先生、紅白幕と必死に苦戦して、倉庫から不思議な工作を引っ張り出してきた。ソレがコレ。

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●校長先生「みなさーん、見えますかー!この宇宙に今、円盤が飛んでいまーす!この円盤が今から不思議な飛び方をしますから見てて下さいねー!」円盤…!今年のネタは「円盤」だよ!つーか、円盤だけに、文字通りに飛び道具だよ。しかも円盤はご丁寧に豆電球仕込みで光っている……先生、仕事しないでこういう工作ばっかしてんのかな…。いやボスが泰然としているのは組織が有効に機能している証拠、上層部がジタバタしている会社こそ今はヤバいのだ。

●さて、「円盤」。糸でつり下げられてて振り子のように動いているだけ。なのだが、校長先生がハンドパワーのように右手をかざすと、くるりっとヘンな方向にねじれ回転した。「もう一度いきますよ!」くるりっとねじれ回転。「はい!スゴかったでしょ!これで円盤のお話はオシマイ。これから小学校ではこんな楽しいことがイッパイあります。みなさんよろしくね!」えー!オチないじゃん!ボケたおしかよ!スゲエ!スゲエよ先生!1年生当事者は完全ノーリアクション。会場全体には苦笑と戸惑いの空気。ボクは笑い噛み殺しすぎて涙が溢れちゃったよ!

●あとでヒヨコに聞く。パパ遠くで見てたから校長先生が何してたかよく分かんなかったんだけど、あの円盤はどうなってたの?ヒヨコ「んー?センセイがじしゃくでエンバンをうごかしてただけだよ」……ああ、そういうことだったの……先生、ヒヨコごときにトリックを見抜かれるんじゃ、芸の浅さはかなり深刻だよ…。

●でも、その先生の心意気、コドモを預ける立場としてはある意味安心ですよ。シニカルになるのは簡単で、バカでもコドモでも出来る。時代と社会に絶望してカッコがつくと思ってるヤツもいる。でもこれからの地球の未来を支える子供たちには、ユーモアに裏打ちされた希望が大切なのですわ。たとえソレがスベッても、へこたれない根性もね。


微熱と胃のムカつきにウナサレながら、聴いているのは PORTISHEAD 。
●病気の時には、この程度くらいホドよく病んだ音楽がちょうどいい。女性ボーカリスト BETH GIBBONS の声が、頭の中でネバネバと糸を引きながら悪夢を繭で包んで溶かしてしまう。そんな気分。


DummyDummy
(1994/10/17)
Portishead

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PORTISHEAD「DUMMY」1994年
●デビッド・リンチ監督の描くような悪夢の世界に迷い込んだようだ…。ベルベットのカーテンを背にしてキャバレー・シンガーが悲しい歌を歌ってる。チープな照明に照らされた安いステージ、場末のキャバレー、無人のフロア。誰も聴いてないのに歌う悲しいシンガー。「誰も私を愛してくれない…本当のこと…あなたのようには愛してくれない…」メランコリックに響くワウワウギターとフェンダーローズ。ウイスキーをストレートに飲んだかのように身体が火照る。壊れたラジオが電波を拾い集めて、古い音楽から削り出されたサンプルの断片をまき散らす。ああ、シンガーはマネキン人形だった……ターンテーブル仕掛けで動くカラクリ人形……彼女の心臓はシーケンサーで、BPM90でビートを鳴らしてる。回る回る回る、全てが回る、ターンテーブルの上に乗って全てが輪を描いて回る。めまいと吐き気が止まらない。

PortisheadPortishead
(1997/09/30)
Portishead

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PORTISHEAD「PORTISHEAD」1997年
●悪夢はまだ続いている…。マネキン人形が倒れて粉々に砕け散る!でも歌声は止まない…砕けたマネキンの頭蓋から古びたスピーカーが転げ落ち、そこから擦れた声が響いている。暗闇の中に深く大きな穴がある……ひざまずいて穴の底を覗くと、そこは大きなオーケストラピットだった。穴から立ちのぼるカビの匂いと、亡霊たちが奏でる弦楽器とシンバル。規律正しく演奏する亡霊すらもがターンテーブル仕掛けの操り人形。床は生温かくて結露に湿り、手足が滑ってもう立ち上がれない。全身から汗が噴き出る。心臓の鼓動と重低音ベースがシンクロして、上下左右の感覚がなくなる。鼓膜の内側でギターが鳴り響く。床に横たわって高い天井を見上げると、シャンデリアが振り子のように大きく揺れている。蜘蛛の巣まみれのシャンデリア…規則正しく規則正しく、シーケンサーが刻むビートと共に、シャンデリアは揺れる。高い天井に歌は響く。めまいと吐き気はまだ止まらない。

ThirdThird
(2008/04/28)
Portishead

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PORTISHEAD「THIRD」2008年
●悪夢の質が変わった……古い配管が破れて高音の水蒸気が吹き出た。白い煙と強い熱に目を開けていられない。部屋の温度はどんどん高くなる。喉が焼け付くように熱い。金属が真っ赤に光って溶け落ちる。心臓の鼓動はどんどん早まり、重低音はもう凶暴な本性を全く隠さない。尖ったビートの牙が肉に食い込み激痛が走る。こめかみに錆びたネジを捻り込むかのような、容赦ないリズムの拷問。その向こうで安いガットギターを引っ掻く音がする…死に逝く者への鎮魂歌を奏でるように。歌声が聴こえる…ターンテーブル仕掛けの天使の声。しかしビートは地獄の業火。地面は割け、その下には溶岩の流れが見える。吹き上がる熱気。皮膚が焦げる匂いは吐き気を催す。
●ああ…「MACHINE GUN」の掃射が始まった。天使の美声の下で殺戮が始まった。BPM105のペースで悪魔の機銃が凶弾を連射する。一発で人間の頭蓋を打ち砕く破壊力。重低音テロが人民をなぎ倒す。ターンテーブル仕掛けの天使は、人々を救わない。死を悼むために涙することもあるかも知れないが、世界を焼き尽くすビートの業火の上をただ漂うだけの彼女には、何もできることはない。密室に始まった悪夢は、今や全世界に拡散して戦慄と恐怖を振りまいている。めまいと吐き気は止む気配がないが、睡眠薬が引き起こす不自然な眠気が、ボクを暗黒の深淵に突き落とす。
PORTISHEAD は自分たちの狂気を隠すことを止めた。世界の病みと歪みを、憎しみと悲しみを込めて、音として放射するようになった。トリップホップは、バッドトリップの媒体になった。


娘ヒヨコから、胃腸系の風邪を伝染されて、ワタクシ完全に寝込んでます。
●凹みます。うーん、イロイロな意味でまだカラダが追いつかない…。

ヒヨコは、今や危険な病原体なのですが、なんか、それでも癒し系です。
●オシリに座薬を突っ込まれると、虚脱してうつ伏せのまま身動きがとれず、かぼそい声でヒトコト、「ヒヨコ、オナカとオシリがピヨッピーになっちゃった…」
●行きつけの小児科に行くと、ロビーがイッパイだったので、病院の外で待っていたらそこには満開のサクラが。散り行くサクラにヒヨコキレる。「どうしてキレイなおハナからサキにオトしちゃうの!」