ウチの娘、ヒヨコが字を読んでる。ビックリ。
●アニキのノマドは、比較的読書に抵抗がなくて、幼稚園の頃から自分なりにマンガや図鑑を楽しむオトコだ。漢字の仕組みにも興味を持ってるし、カードゲームの細かいルールも必死に読んで理解する。しかし、イモウトのヒヨコは書物にも文字にも全く興味がない。バカである。100%感覚のママに調子良く生きているので、文字を読む必要をテキトーにかわして生きている。
なのに!生まれて初めて真剣にホンを読んでいる。ビックリである。キッカケは「ウサギ」である。

ヒヨコは突然、ウサギを飼いたくなったのだ。小学校の遠足で、動物園のモルモットをダッコしてから、小動物が飼いたくてしょうがないとボクに訴えるようになった。それがいつしか「ウサギ」を飼うというコトになってしまった。あんまり毎日「ウサギかってウサギかって」とウルサいモンだから、「ヒヨコ、それでは自分でウサギの飼い方を本で調べてきなさい!パパはウサギのコトは全くワカラナイし、もし飼うとしてもお手伝いしないぞ。ヒヨコがいっぱい調べて全部お世話できるようになるなら考えてやる」と言ってやったのだ。
●そしたら、学校や図書館からたくさんウサギ関係のホンを借りてきて、熟読してやがるのである。そんでホンで得た知識をイチイチボクに説明しにくるのだ。「パパ、ウサギはね、ちゃんとトイレでオシッコするんだって!」「ウサギのゴハンは、アサとヨルの2かい!」……おお、コイツホントにホンを読んでやがる。今まで全く読めないと思ってたのに。

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さらには、読書で得た知識をメモ用紙に写し取って、冷蔵庫に磁石で貼付けるのである。

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「たべていいはっぱ。しろつめくさ。くず。おおばこ。たんぽぽ。」
「ちゅうい みみは、ぜったいつかまないこと。
 ぶらしや、つめきりは、うさぎようにしましょう。」

「うさぎのかうもの 1ゆかざい 2トイレ 3えさ 4かじりき 5きゅうすいき」

「そうじのしかた まず ぜんぶきれいに みずであらいます。
 そのつぎ たいようで しょうどくします。」

「たべもの(おやつは、たべすぎない)
 たべていいもの(じしんがあるもの)にんじん きゃべつ ラビットフード ぶろっこりい
 わからないもの とうもろこし りんご おれんじ きぬさや きゅうり ばなな かほちゃ
 ぜったいたべちゃいけないもの ちょうせんあさがお あさがお しゃくなげ
 きょうちくとう たけにぐさ ようしゅやまごぼう にちにそう」

●サスガにココまでされると、ボクも心を動かされる。しょうがない、そのツモリはホントになかったのだが、ウサギの飼育が現実的に可能なのか検討することにした。ヒヨコ、パパもウサギの本を読んでみるから、どれかイイ本を貸してくれ。「えーとね、このホンはハジメはエがおおいけど、アトはジばっかりだから、パパにぴったりだよ」…なんだよ、難しい部分は読めないなりにちゃんとチェックはしてるのかよ。くそーこのままだと、ヒヨコの熱意に負けて買ってしまいそうだよ…。

●一方で、「ヒヨコ、いちどでいいから、ハムスターちゃんがやってる、くるくるまわるヤツをやってみたい」とか言ってるのを見ると、やっぱバカだなあと思ってしまう…。

ハムスターがくるくるするヤツ ウチの娘(小学一年生)がチャレンジしたいモノ。




●今日はテクノだよん。

「WIRE 09 COMPILATION」

「WIRE 09 COMPILATION」2009年
電気GROOVE石野卓球がオーガナイズする国内最大級の屋内型レイブイベントも、1999年からスタートして、今年で11回目になりました。継続はチカラなり。スゴいねえ。
●で、この二枚組のコンピを聴いてます。もちろん現場・横浜アリーナまで行ける訳もないボクには、そのレイブの気分をこのCDでほんのり味わう訳です。……でも、昨今のエレクトロモノに耳が聴き慣れてしまったのか、最新型で王道、かつ直球のミニマルテクノはやっぱストイックかつ地味で少々ビターに聴こえる。ボヨボヨボヨボヨボヨン…とアシィッッドな低音が地鳴りを起こしてますが、あまりに一本調子でシンドイ。これがDJのセットに組み込まれてたら全然違って聴こえるんだろうけど、ユッタリした展開の1曲7分間一本勝負は、今のボクには苦いです。
●でも、テクノって、ホント国境を軽々と超えていく普遍的フォーマットなんだなーと、今一度改めて関心。ボケーッと聴いてると全部一緒に聴こえるけど、その参加アーティストの出身地は、ロンドン、ベルリン、フランクフルト、ストックホルム、ナポリ、パリ、アムステルダム、サンパウロ、そしてここトーキョーと、広く世界に散らばっており、世界共通言語になってる趣きです。
●日本からは、もう15年以上のキャリアとなったシーンの重鎮、KEN ISHII 田中フミヤ(二人のプレイはそれこそ10年以上前にはよくクラブで彼らのプレイを聴いたものだよ…新宿にあったリキッドルームとかでさ)、そんで石野卓球の高弟と見てた DJ TASAKA が参加。デュッセルドルフのアシッド大魔王 HARDFLOOR まで降臨してます。一方で、ブラジルのシーンを代表する GUI BORATTO とかに個人的には興味津々。イタリア・サルディーニャ島出身の DUSTY KID ってヤツも気になるし、ベルギーの JORIS VOORN ってヤツのトラックもハウシーな感覚が色気をまとっていてカッコよかった。

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安野モヨコさん、復活ののろし。
●2008年3月から、主だった執筆活動を休止してたマンガ家・安野モヨコさんが、宝島社の新聞全面広告でイラストを披露。とうとう復活の気配。

安野モヨコ復活広告


●以下、ネットで見つけた関連記事の引用です。

執筆活動をほぼ休止していたマンガ家の安野モヨコさんが、24日付の毎日新聞朝刊などに掲載された宝島社の全面見開き広告のイラストで活動再開した。安野さんは自身のブログで、「ドキドキしながらですが久々に依頼されてイラストを描きました。それで、また仕事に戻れそうだな、と思うことが出来ました」と約1年半ぶりとなる復帰への手応えをつづっている。 
 安野さんは、人気マンガ「働きマン」「さくらん」などの原作者で、体調不良を理由に08年3月、朝日新聞紙上の「オチビサン」以外の連載休止をブログで発表。09年に入ってからは、化粧品ブランド「シュウウエムラ」のボトルのデザインを手がけ、5月には大阪で個展を開催。ファンとの交流も励みになり、気力や体力を取り戻してきたという。
 安野さんは「休む前と同じようなペースで描くことは難しいですが、ゆっくりでも確実に進んで行ければと思っています。まずは『働きマン』の加筆修正と、1年半前から凍結中の短編集の作業を始める予定です」と活動再開を宣言。「長らくまってくださっている読者の皆さん、本当にありがとうございます。作業を再開しても単行本がお手元に届くまでは時間がかかってしまいますが、もう少しお待ちくださいね」とメッセージを送っている。
 新聞広告は、宝島社の企業PRで、「ガールズパワー」をテーマに、女性を描いたカラーイラストが見開きの左側1面に掲載されている。【栗原拓郎】


彼女の休養宣言は、ボクが自律神経失調症で休職していた時期になされたものだったから、とても親近感を感じた。彼女はボクより3つ年上、すごく近い世代と思っていたし、スゴいハードワーカーとも知られていたので、仕事のし過ぎで病気になったボクとしては、なんとなくボクと同じような事情で彼女も休みに入ったのだろうと感じていた。「働きマン」の主人公・松方弘子が、休載直前の「モーニング」の表紙でキャラに合わないクタクタ顔を見せていたのがとても象徴的だった。
●そんな彼女が、徐々に復活しようとしているのは、6月から復職して、現在カイシャ生活になんとか順応しようとしているボクにはとても励ましになる。カイシャでは気を張っていても、家に帰るとやっぱりめまいが起こって「ク~ッ、しんどーい」と床に転がって動けなくなってしまうボク。でも安野さんも「休む前と同じようなペースで描くことは難しいですが、ゆっくりでも確実に進んで行ければと思ってます」と言ってるし、ボクもうまく仕事と折り合いをつけていきたいなあと思う。…でも、安野さん、夫婦コミコミでもう十分稼いでるしな……印税で既に一生分稼いだでしょ……無理に復活しなくてもイイのにね。


●そんなんで、女子生き様系マンガを読む。

渡辺ペコ「キナコタイフーン」

渡辺ペコ「キナコタイフーン」1巻
●帯コピーが「望月キナコ、23歳、処女。AV監督やります!!」。色気ゼロ、モジャモジャアタマの女の子、キナコは21歳にしてフィルムフェスティバルの最優秀賞を獲得、早熟な映画監督としてキャリアを始める…はずが、空回りする気合いで現場の信頼を完全に損ない大失敗。オマケにプロデューサーに勝手に編集に手を入れられてブチ切れ。クリエイターとしての自我がスベルとメチャ痛々しいコトになるんだよねえ。そんで流れ流れてなんとアダルトビデオの制作現場に携わることになってしまった。撮影初日は生々しい濡れ場を目の前にしてイキナリゲロ。イケルのかオマエ!?
●それでもレンタルでAV山ほど借りてきて必死に研究するウチに、ボンヤリと一つの気づきに到達。「自分の中にあるものを形にして人様にさらすってのはさー、やっぱ股じゃないにしろどっか開いちゃってるんだろうし、セックスはしなくてもスゴく個人的で大事なものを不特定多数の他人にさらしているって意味では、ちょっと近いモンがあるのかな」…そしてチャンスはスグにやって来る。監督重傷につき急遽代打でディレクション登板!でもやっぱりコダワリが空回りでヤクザ屋さんに怒られる。AVはタフな現場だ。そんな日々奮闘の女子クリエイターの生き様。
●そんなキナコのその後を応援したいが、全然二巻がでる気配がない。渡辺ペコはそれなりの売れっ子のはずだけど、原案付きでスタートしたこの企画、評判悪くて打ち切りになった?

谷川史子「おひとり様物語」

谷川史子「おひとり様物語」1巻
「おひとり様」ってのは、単純に言いまして、「彼氏ナシ」である女子です。一歩踏み込むと「彼氏ナシ」だろうと平気な女子です。平気じゃなくても平気になっていく子、大分平気じゃない子、仕事で否応なく「おひとり様」な子、遠距離や同棲しててもすれ違いな子、いろんなケースの「おひとり様」を描く群像劇です。それにヒッカラマルのが、仕事だったり、結婚だったり、恋愛だったり、取り扱いのややこしいファクター。女子の人間関係は複雑でボクのような男子みたいに単純に出来ていません。ひとりかふたりか気にしたり、トモダチが何人いるのか気にしたりする、そんな女子から見ると、ボクは、「仕事」という名のオモチャに夢中になって一生ただ遊んでるだけのアホなコドモに見えるでしょう。基本的に、周りに誰がいるとかあまり重く考えてないしね…。ただ、こういうマンガが女子に読まれるというコトは、女子にも「おひとり様」が増えているってコトだよね。ボクには、どうぞ歓迎な事態でございますよ。

魚喃キリコ「ハルチン」2

魚喃キリコ「ハルチン」2巻
●本来なら恋愛出力ハイボルテージな作風で知られる魚喃キリコが、見開き2ページで一話完結のマンガを描いている(しかも雑誌「HANAKO」で)。しかもこれが100%乾ききったトンマな女の子・ハルチンのどーでもいい日々であり、唯一の友人チーチャン(美人で彼氏アリ)との際限ないボケツッコミで出来ているわけ。いいねー、このハルチンのマヌケぶりは!オカマとしょっちゅう間違えられてるし!トモダチだったら最高だよ!見てて飽きねえよ!
●そして番外編「ナナナン」ハルチン級のダメ生活を送る作者・魚喃キリコデストロイな酒の失敗談が炸裂で、あれーこの人ってスゴい美人さんだって話だったよなーでもこんなに酒乱だと手に負えねえなーとか思っちゃうのでした。チッ、ボクも酒くらい飲めるカラダが欲しかったよ。

安彦麻理絵「あたしのすべて」

安彦麻理絵「あたしのすべて」
魚喃キリコの盟友&酔っぱらい仲間であるマンガ家さんの、レンアイあれこれ短編集。あとがきにご本人が書いているのですが、「キナコタイフーン」に共通する感覚を見つけました。「『あたしのすべて』というタイトルからは、なんとなく「大股開き」なフンイ気が漂ってくるので、私は好きです。それはマンガだけではなく、映画とか音楽・小説・写真・ニンゲンの人柄とかまで、とにかく「大股開き」なものを愛しています」。この人も女性として、クリエイターとして、自分を人様に晒すコトを覚悟した人の一人なんだろうと思うのでありました。
●しかも、セックスについてもレンアイについてもアケスケに、ミソもクソもさらけ出してしまうこの本のエピソードは、むしろ女性の方が、自分をさらけ出すコトに対して大胆になれるというか、もっと突っ込めば、「ワタシのコトをもっと見て!」的願望がオトコよりも100倍強いのではないか!と確信させるモノでありました。言ってみれば超自意識過剰。裏返せば、輝く他人に対する嫉妬心も超強烈。安彦さんの場合、職場や教室でその自意識が満たされるコトはなく、全世界が注目してくれなきゃ!級まで行ってるような気がする。最後に収録されてる短編「あたしのすべて」で主人公が最後に満面の笑みで語るフレーズ、「あたし!インタビューされる人になりたかった」にボクは衝撃。オトコってナニか好きなコト(仕事?勉強?スポーツ?)に夢中になって、その結果、評価や見返りがついてくると思ってるじゃん?女性は、世間で高い評価を得るためにナニかをやる、って逆算で、モノを考えられるんだー、と素直に感心しちゃった。
●で、この表紙、タイトルにふさわしい「晒し」っぷりで見事ですが、安彦さん本人の下着姿ではありません。あとがきでは、この写真は安彦さんの友人 K.N. さんってことになってます。「アンタの脱ぎっぷりにはホントに感服させられたわー」K.N. って…やっぱ「キリコ・魚喃」かな……。ペチャパイ…。




この前、電車に乗り合わせた大学生風の女の子が、珍しくもCDプレイヤーを使っていた。
CDプレイヤーって珍しいよね!もうこの地上には、MP3プレイヤーしかないと思ってたよ。彼女は、カバンの中のCDプレイヤーの中身をスッと器用に入れ替えて、再びヘッドホンからの音に集中し始めた。しかもその顔のとても楽しそうなこと!音楽を楽しんでる顔って素敵だよね。
●そんな時、ボクは他人のCDに注目してしまう。一体ナニを聴いているのか。彼女がスッとCDを入れ替えるタイミングでシッカリチェックした。それは、日本のロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION でありました。おお!アジカン
アジカンなら、ボクの iPod にほぼ全てのアルバムが収納されている。彼女の笑顔のお相伴に預かりたいと思い、このバンドの音楽をボクも鳴らし始めた。


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「崩壊アンプリファー」

「崩壊アンプリファー」2003年
●爆音ギター。爆音。…爆音なのに、メガネ。ボーカルギターの後藤正文くんがメガネなんです。爆音とメガネ。この落差。アジカンの第一印象は、非力メガネと爆音ギターのアンバランスだった。当時はなぜかメガネロックが注目を集めてた時期で、先輩にくるり、そして同世代にサンボマスター、GOING UNDERGROUND などがいたんだよね。くるりはインテリめいた文学青年の佇まいを持ち独特の世界観を深めていった。サンボマスターは、不細工/田舎モノ/汗臭いと、メガネ以前の重いハンディキャップを負いながらも、そのハンデゆえに強くロックを燃焼させて独自の立場に作った。そんな連中に対し、アジカンはやや線が細い印象があったかも知れない。それでも親近感はタップリだ。ボクがメガネだからだ。
●爆音の壁に圧迫されるボーカル後藤くんの立場は、一見するとまるで「野比のび太」である。ギターの圧力にいじめられているようだ。「ドラえも~ん、ギターの音がジャイアンのようにいじめるよー!」初期のシューゲイザーとかはそういうテイストを大事にしてたけど……しかし実はアジカンはそのステロタイプに当てはまらない。ギター圧力にガッツリ押し込められても、実は後藤ボーカルは楽曲のイニシャティヴを絶対手放さないのだ。実は決して技巧的とは言えないギターはあくまで鎧のような役目を果たしてて、メロディが持つドラマチックな展開をガッチリ補強している。轟音と見せかけてメロディがキモのバンドなんですね。
●そんなアジカンの初音源ミニアルバム「崩壊アンプリファー」収録の聴き所。それは、ずばり「遥か彼方」です。この一曲がなかったら、このバンド完全スルーしてました。ホントはアニメ「NARUTO」の主題歌だったんだっけ?でもテレビじゃ見た事ない。しかし何かで一回聴いて、もうココロを奪われました。ド派手なギターに囲まれながらも、必死に叫んでその存在を知らしめるボーカルとメロディにこのバンドの魅力はあるのです。特にこの曲「遥か彼方」は若さ汁をまき散らして疾走する。これぞセイシュンです!
「生き急いで~ 搾り取って~ もつれる足だけど前よりずっとそう、遠くへ!
 奪い取って~ 掴んだって~ キミじゃないなら意味はないのさ、
 だから嗚呼~!遥か彼方!」



ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ソルファ」

「ソルファ」2004年
●実は、電車の中の女の子が聴いてたアルバムはコレです。その女の子はホントイイ顔してたんです。そういうのがボクにとってはスゴく重要なんです。それだけで、このアルバムがボクの中で特別になります。だってリアルじゃん…そういうのって。
●内容というと基本は前作の延長……「振動覚」「リライト」は相変わらずの強靭なギターパワーで近づくモノを全てハジキ飛ばしてます……なんだけど、そんな完成されたアジカンサウンドをほんのちょっとアップデートしようとしてる努力が見えます。ポイントは、轟音ギターとそうじゃないトコロのメリハリ。ギターにアクセントを持ちながら、実は演奏テクがそんなに追いついてなくて、技巧的なプレイが出来ないのが初期のアジカン。実はリフが単純。それでも一曲の中での展開にがんばって起伏を作ってる。それが印象的で、かつセンチメンタル。「サイレン」のようにテンションが徐々に熱く滾っていくのがイイね。「存在証明を鳴らせ!サイレン!サイレン!」


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ファンクラブ」

「ファンクラブ」2006年
●このバンドはとどのつまり「エモ」なのね、と一人で納得。アルバム後半に向け、轟音は徐々に鳴りを潜め、センチメンタルなメロディにフォーカスが集まっていく。ラウドじゃないとは言わないが、轟音ギターはセンチな感情を増幅するための道具であって、別にそれが目的じゃないと感じた。つーか、そんな方向にバンドが進化した。一曲目の「暗号のワルツ」はその名の通り三拍子ロックでワザアリ!ロック技巧とは別のベクトルで進化を目指すアレンジとエモセンチな疾走メロディこそ、このバンドの真骨頂と思い知る。


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「フィードバックファイル」

「フィードバックファイル」2006年
●アジカン初期シングル B-SIDE & OUTTAKES コンピ。後半のライブ音源がゴリッとしたロックとして機能してて楽しい。2004年~2006年のライブが5曲収録されてるけど、2004年の「ROCK IN JAPAN」@国営ひたち海浜公園のテイクが一番カッコいいかな。「アンダースタンド」で聴こえて来るオーディエンスのコーラスパート大合唱がダイナミック。もちろんパワー溢れる演奏も最高。


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ワールド ワールド ワールド」

「ワールド ワールド ワールド」2008年
●このアルバムもボクには重要です。「或る街の群青」を収録しているからです。そう、松本大洋原作のアニメ映画「鉄コン筋クリート」の主題歌です。フランス人監督が作ったクセして、このアニメ映画の風景は、東京の淀んだ空気の中で育ったボクにとっては見事に涙腺をヒットするほどの郷愁を掻き立てるシロモノ。そんな映画のエンドロールが巻き上がる中で流れてくるこの歌は、やっぱりボクの涙腺を見事に狙撃する。メランコリックなイントロからAメロがスタート、そこにザクッとラウドギターが割り込んで気合いを注入、ビートの疾駆が始まる。ボーカリスト後藤正文節炸裂の歌い上げる大サビが爆発してギターソロが天高く駆け抜ける。今んトコロこのバンドの最高傑作楽曲。群青色の街に暮らした事はナイが、深いブルーに沈む夕方の団地の群れを見るとジーンと来る。そういう都会のネズミのノスタルジーは、理解されにくいかなあ?
●このアルバムは心機一転原点回帰、轟音ギターのダイナミズムにもう一度真っ正面から立ち向かった印象。しかしタダの轟音であらず。ギターリフのアレンジやソロパートの技術など、ことごとくギターサウンドのパワーが飛躍的に進化してる。メロディも力強くなったが、例えそれを聴き飛ばしても、高速で疾走するツインギターの行き先を追って行くだけで最高に楽しめる。


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「サーフ ブンガク カマクラ」

「サーフ ブンガク カマクラ」2008年
●新しくボクの部下になった若手くんの一人が、茅ヶ崎出身でメチャメチャ地元ラブ!なのです。27歳になっても地元(親元)を離れず、一時間以上かけて新橋の会社まで通勤してます。仕事場でも先輩後輩が湘南エリアの出身と分かると、スグにツルんで一派を作り、草野球のチームまで結成してしまいました。もちサザンの大ファンです。他の部署の先輩でも、ワザワザ遠いあのエリアに引っ越して、毎朝サーフィンしてから出勤してくる猛者がいます。ボクの大学の恩師もズーッと大磯で暮らしているって言うし……。あの鎌倉~江の電~湘南エリアという土地には、ナニかの磁場があるのでしょうか。吉田秋生「海街STORY」を読んだ直後だから尚そう思える。
●このアルバムの収録曲は、みんなこのエリアの地名を冠した曲名を持ってる。「藤沢ルーザー」「鵠沼サーフ」「江ノ島エスカー」…。オマケにこの地名は全て江の電の駅名で、藤沢から鎌倉まで路線の順番に並んでいる。江の電コンセプトアルバム。なんでそんなに江の電に夢中?…あ、このバンドは藤沢の近くにある関東学院大学で結成されたんだ…。


●ちなみに、アジカンステキなジャケットアートは、中村佑介さんというイラストレーターの方が手掛けてます。…完全妄想だけど、女性であって欲しかった!だっていつもオンナノコがカワイいんだもん!



アジカン関連音源。NANO-MUGEN 参戦アーティスト。
アジカンは、2003年から自分たちでロックフェスをオーガナイズしている。それが「NANO-MUGEN FES.」。ストレイテナーとか ELLE GARDEN が常連として出演しているんだけど、外タレも積極的に招聘してて、自分たちより格上のアーティストとガンガン共演している。今年なんて MANIC STREET PREACHERS HARD-FI、スピッツや再結成ユニコーンまで招いている。
●そこで気になったニューカマーがいた。

清竜人「PHILOSOPHY」
清竜人「PHILOSOPHY」2009年
●ギターとピアノが凛々しいロックを奏でながら、どこかスモーキーな湿度を漂わせたハスキーボイスで、澄み切ったメロディを歌い上げる。でもそのリリックはどこか世間に冷めきってしまった絶望のトーンが一貫して響いており、声に漂うスモーキーな湿度はたちまち氷結して乾いた霜になる。「悲システム」の絶望ぶりはこの若さでどうしたモンだ?と思うほど。その一方で、絶望を裏返したような強いトゲが仕込まれている。今後、注目のシンガーソングライターかも。あ、ナマエはキヨシ・リュウジンと読みます。

少年ノマドとバッタ。
●先月の夏休みに、息子ノマド2年生は多摩川河川敷でバッタを大量に捕ってきた。ボクの実家の近所で、ババ(つまりボクの母)と一緒に捕ったのだ。「大きなバッタを7匹くらい捕ったわよ。本人は家に持って帰って飼うって言ってるけど」とババが電話で伝えてきた。うーむ、瞬間的にバッタたちが死ぬのが目に見える。ちょっとノマドに代わって。
「ノマド、どんなバッタが捕れたんだ?」「えーと、ショウリョウバッタと、ショウリョウバッタモドキと、オンブバッタと、オンブバッタモドキと、トノサマバッタ!」モドキってそんなにいっぱいいるのか?まあイイや、ヤツが図鑑で調べた結果だろう。「あのさーノマド、「キャッチ&リリース」というコトバがあるんだよ。サカナ釣りで、お魚を釣る。そしたら写真を撮ってスグにまた川や池に返してやるんだ。ノマドも、バッタさんを「キャッチ&リリース」してみたらどうだ?」ノマド「………」ボク「だって、バッタさんのエサがイッパイあるトコロに放してあげた方がバッタさんは長生き出来るじゃないか。ノマドの家じゃエサ絶対足りないぞ」
●そこでババがカットイン。「ノマド、もう声も上げずに泣いてるわよ」あーん、そうか…それじゃあ、ドッチでもイイからノマドに任すわ。

そんで、ノマドが出した結論。
我が家までバッタたちを連れてきて、ウチの庭にリリース。我が家の庭は日当り最悪、植木を育てる気にもなれない空間なので雑草でボウボウである。そこにノマドのバッタたちは飛んでいって、モリモリと雑草をカジリ出した。コレが楽しくてノマドヒヨコは感動。しばらくバッタたちはこの小さな庭に居着いてぴょんぴょん跳ねてたそうだ。ノマドもこの状況に満足してこの庭にナマエをつけた。「虫のらくえん」と。

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しかし、ある日、植木屋さんがやってきた。
●ボクもすっかり忘れてたが、隔月くらいのペースでウチのマンションには植栽業者が植木の手入れにやってくる。そんで、ご丁寧に雑草の草刈りをしていってしまったのだ。ノマド「ガーン!バッタたちがいなくなっちゃった!エサもなくなっちゃった!」友達にも、ウチには「虫のらくえんがある」って自慢してたのに…。ヒヨコも心配そう。「バッタさんたち、クサといっしょにシッポきられたりしなかったかな…」
●ある日スズメの群れがウチの庭にいっぱい集まってたので、ワイフがノマドを励ますつもりで「クサはなくなったけどスズメさんがイッパイ遊びに来てたわよ」と言ったらこれまた逆効果。「ノマドのバッタがスズメに食べられるー!」少年ノマドの心配は絶えることなく、なにかとイロイロタイヘンらしい。



●梅が丘の駅前で見つけた、気になる看板。

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●スーツの仕立て屋さんだ。イマドキ珍しいと思ったが、モッズスーツも仕立ててくれると知ったら一気に親近感がわいた。今のように私服でこなす職業から商売替えしたら、一つ奮発して、ココでモッズスーツを仕立ててもらうかな。スーツ着る職場は、モッズスーツなんて着ていったらダメなのかな?



●京王線池の上駅の近所の古本屋がリニューアルしてた。

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●つい一年前までは、営業しているんだかどうだかも定かじゃなかったお店だった。キタナいホンがウンザリするような並べ方で積まれていて、掘り出し物も見つからないような感じだった。だけど、この前たまたまこの駅の近くを歩いたら、看板が新しくなってることに気付いた。以前は店内に入ることも不可能じゃないかと思ったけど、今はキレイに本が分類され、店頭のワゴンもチェックしやすくなってる。韓国/朝鮮カンケイの本が充実してて、100円で文庫/新書も買える。CDラジカセからBGMまでかかってたもんね。生まれ変わったわ。だから、早速歴史カンケイの本を3冊くらい買ってみた。



でもさ読むのは、マンガ。祝日のマンガ生活。
●たくさんマンガを買って積み上げてたんだよね~。モリモリ読みます、コレを機会に。


さそうあきら「さよなら群青」

さそうあきら「さよなら群青」1巻
「俺たちに明日はないっス」「神童」「コドモのコドモ」そしてマンガ版「おくりびと」など、スローなユーモアを交えながら見事なディープインパクトをもたらす作品を描くさそうあきら。ボクは彼の作品をマークしてもう10年以上の時間が経ってます。さて、そんな彼が新作をドロップ。今度のテーマは、海と島と海女と少年。
●孤島で父親とたった二人で生きてきた少年グン。人間社会を全く知らない彼が、父親の死をキッカケに、海女が生きる離島の村にたどり着く。海にまつわる因習が色濃く残る漁師や海女の暮らしに力強い生命力が宿る。特に中学卒業で海女の世界に入った少女・の清らかさが少年グンのイノセンスと交わって眩しく見える。一方で、15年前に起きた事件が、少年グンの出現でこの平和な村の古傷を開いてしまった。彼の出生に関わる事件の正体はまだ定かではないが、これから大きな騒動が起こる気配。人間社会はなにかと騒がしいが、うら若き海女・岬の瞳と、その瞳が映す豊かな海の中が素晴らしく美しい。


五十嵐大介「海獣の子供」4

五十嵐大介「海獣の子供」1~4巻
●90年代が松本大洋の時代だったように、00年代が五十嵐大介の時代だったと回顧される時が絶対やって来る。そのくらいこの作家は重要人物。自然や大地への畏怖と敬意、不可知なモノへ心を開く姿勢。神秘に対する素直な気持ち。産業文明が地球環境を窒息させるほどのダメージを与えてしまう時代にふさわしい作風はこれからもっと重要になってくるはず、とボクは思ってる。
●ジュゴンに育てられた少年、海と空。そして彼らを介して海の大きな謎に接近していく少女・琉花。不思議な少年たちを巡って、大人たちが様々な思惑を胸に動き出すが、もっと巨大なスケールで大自然が動き出す。突然光に包まれて消える水族館の魚たち。光を放って海へと落下した隕石。死をも厭わず少年たちの下に集まる深海魚。点在する海洋民族に共通して伝わるウタと、クジラが口ずさむ「ソング」。まだ人類は海の秘密をナニも知らないし、自分たちが暮らす宇宙の秘密もナニも知らない。その底知れぬ不気味さを、五十嵐が素のままにすくい上げるように描く時、馴染み深い生き物たちもエイリアンのように謎めいた表情を見せてくる。誰も見たことがない海底の神秘をダイナミックな画力で描く意欲作。


五十嵐大介「カボチャの冒険」

五十嵐大介「カボチャの冒険」
●この五十嵐大介という人、一時期は岩手県の農村に移り住み、執筆と同時に農業に従事していた時期もあるらしい。その時の経験が生かされているのが、農業がテーマになっている「リトル・フォレスト」だったりする。この「カボチャの冒険」も飼い猫・カボチャと主人公の青年が農村で過ごす毎日を綴ったエッセイ的作品だ。
●都会育ちのボクは、人生のほとんどを集合住宅で過ごしてきたから、ペットらしいペットを飼ったことがない。記憶を遡ってもザリガニや金魚、カメ程度で、しかも一年以上死なせなかったこともない。当然イヌやネコにも縁がない。ほ乳類で初めて飼育した動物と言えば、長男ノマドである。だから、ボクにとっては、野山を駆け回るネコ・カボチャくんの野蛮ぶりは結構センセーショナル。だって野鳥やネズミを見事とっ捕まえて、少々イタブって遊んで、最後にバリバリアタマからカジリ食うのだから。ネコを可愛がっている人って多いと思うんだけど、ネズミを捕って食うトコロもカワイいと思ってるのかな?


羽海野チカ「3月のライオン」3

羽海野チカ「3月のライオン」3巻
「ハチミツとクローバー」羽海野チカが、次にトライしているのはプロ将棋の世界。将棋の実力でしか自分の存在証明が維持出来ない孤独な少年・が、川本家三姉妹(あかりさん/ひなたちゃん/モモちゃん)の温もりに触れて、その氷のハートを少しずつ溶かしていくという物語。
●しかし一方で、勝負の世界は過酷。この3巻では、後藤九段島田八段との戦いが中心になる。義姉・香子が不倫関係を結ぶ後藤に強力な敵愾心を燃やしながら、その手前に、島田八段に破れてしまう零。自分の慢心に恥じ入りつつも、いつしかその島田八段に戦士としての敬意を抱くに至る。いかに孤独であろうと、勝負は相手があって成立するモノであり、その意味で高度なコニュニケーション。勝負に勝つために、相手を打ち砕くためには、自分をどんな領域まで持っていかなくてはならないのか? それがどんな覚悟を必要としてるのか? こうして少年はまた一歩、大人になる。


柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」12

柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」12巻
●同じ将棋マンガでも、ムダに荒唐無稽でムダにハイテンションなこの作品。バカみたいに大コマ割り連発なのでサクサクと巻数を稼いでしまってます。あと、バカみたいに字がデカイ。さらには、半分格闘マンガになりかけてる。
●闇の将棋組織「鬼将会」の地下都市に潜入して、あっという間にザコを撃破したハチワン&メイドの受け師さん。さらにレベルの高いフロアへ進む様は、まさしくブルース・リー「死亡遊戯」の五重塔のようだ。それはそれなんですが、メイドの受け師さんとハチワンなんか勢い任せにキスしちゃいました。いやーワケわかんないねー。それと、メイドの受け師さん、巨乳に拍車がかかり過ぎ。イイのか、このままで?


末次由起「ちはやふる」1

末次由起「ちはやふる」1~6巻
●将棋マンガもニッチな世界だが、このマンガはなんと「競技かるた」を描く。「百人一首」のかるたを一秒以下の反射速度で奪い合う。札の配置に戦略がある。5人の仲間にフォーメーションがある。記憶力をフル出力すると脳がエネルギーを猛烈に消費して一日7試合のスケジュールをこなせば体重が3キロ減る。そんな「競技かるた」を巡って、キラキラする青春がある。で、不覚にも、その青春に感動しちゃうのである。
●序章の部分は、主人公・千早、小学6年生の時代。福井からの転校生でいじめられッコのから、百人一首の世界に引き込まれる。「日本で一位は世界で一位だよ」幼馴染みの太一も引き込んで、3人には特殊な友情が芽生える……そして第二巻からは、高校生編がスタート。身長167センチの美少女に成長した千早(←ボクと身長が変わらない)、高校進学をキッカケにかるた部を設立。
●その大味で見苦しくって暴走しがちな自己中心寸前のジタバタぶりは、その無自覚な美貌を全部帳消しにする勢いだが、かるたに対するテンションは誰よりも熱い。その感情の熱さがメルトダウンを起こして、明らかに頭数合わせでしかなかった仲間が化学変化を起こしていく。「肉まんくん」(←ひどいあだ名だ…)は勝利への貪欲さをムキダシにする。「机くん」(←学年2位のガリ勉くん、から由来するあだ名)はいつしか札配置とかるた獲得成功率の関係分析で千早を支援。「百人一首」に収まらず日本古典文学オタクのかなちゃん(←ジミに巨乳。文化系ニッチマンガに巨乳は必須なのか)は、袴履きで腹筋背筋のなさを補い、より戦闘的なかるたに目覚めていく。
●そして、福井に帰っていったのその後、京都の史上最年少かるたクイーンの出現と、物語は自由に枝葉を伸ばしていく。またまた目が離せない少女マンガが出来ちゃった。


日本橋ヨヲコ「少女ファイト」1

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」1~5巻
●うって変わって、今度はド直球のスポ根マンガだ。痛々しい青春マンガを描かせれば天下一品の日本橋ヨヲコ、その暑苦しさに敬遠しがちでさえあった。しかし、今回のバレーボールマンガは、メンバー全員が絶望的に傷ついているが故に、その絶望を仲間同士が補い合える優しさがある。キズだらけのノラネコたちが、その野生の気高さを保ちつつも、仲間たちだけには徐々に凍てついたココロを開いていくような、そんな青春。


武富健治「鈴木先生」7

武富健治「鈴木先生」5~7巻
●思春期イバラ道を歩むのは、当事者の少年少女だけじゃない。その少年少女を見守るプロである中学教師は常に生徒たちが巻き起こす思春期の暴風圏内のまっただ中。主人公・鈴木先生は神業的レトリックとなんか言いくるめられたような気がする的な論理で、その局地的暴風雨を食い止めてきたが、今度はそう易々と片づけられない状況になった。彼は、結婚前提の交際とはいえガールフレンドを妊娠させてしまい、その事実がクラスの生徒たちにバレてしまったのだ。今回は彼自身が問題の火蓋を切った張本人であり、クラス全員が彼を囲んで彼を裁くことになる。暴走する教室裁判、その行方は?
●すでに大人のボクにとっては「できちゃった結婚」などは日常の出来事である。結婚に伴う経済的社会的な負担や煩わしさを、敢えて引き受ける覚悟を作るトリガーは、今の世の中、妊娠くらいしかないのが事実。ボクの周囲はほとんどが「でき婚」である。…ボク自身は違うんだけどね…。だからナンの問題もない。しかしこのテの話は、多感な中学生に、少々強烈なインパクトを与えるんだわな。それはそれで健全なのかも知れないけど。
●今の中学生にリアリティを持って説明をさせるには、ややこしい環境がある。鈴木先生は安易に自分のフライングを非と認める訳にはいかない。生徒の中には「でき婚」の結果生まれた子供もいるからだ。先生が非を認めれば、その子の親も間違った行為をした大人になるし、自分が間違った行為の結果生まれた存在だということになる。
●加えて、今の中学生はマセガキなのだ。性交渉の経験がある子とない子がクラスに混在している。この二派では問題の受け止め方が全然変わってくる。未経験の子にとっては「婚前交渉」などもっての他!という立場もある。経験がある子にとっちゃ「避妊は技術」の問題である。うまくやればイイだけの話。ソレをさらにややこしくするのが鈴木先生の持論「オレは避妊しない」説(避妊するくらいならしない説?微妙…)。コレが中学生には「生でするのをどうやって我慢するか?」ってハナシに聴こえてくる。すると姉が風俗嬢の女の子カーベー「女だって、女だって生ガマンするの大変なんだよ!」おいおい明らかに暴走だろ!このタイトロープな綱渡り、どう捌くよ鈴木先生
●いやー、とても字の多いマンガなので読む方もタイヘンだが、激闘の末、教室裁判は無事着地。生徒全員と向き合ってお互いの立場を理解し合った……。しかし次なる敵は生徒じゃない。今度は職員室が戦場だ!家庭科の足子先生のメンタルヘルスが完全崩壊。凶暴な牙を剥いて鈴木先生に敵意を示す!全教師が顔を突き合わせてこの暴走をどう制御するか思案するが、策なくまま校舎には絶叫が響く。「鈴木のばっきゃろおおおお!鈴木のあほんだらー!」


鬼頭莫宏「ぼくらの」10

鬼頭莫宏「ぼくらの」9~10巻
●超巨大ロボット「ジアース」に乗り込む少年少女が、パラレルワールドからやってくる巨大な敵と死闘を繰り広げるSFマンガ。勝負に賭けられているのは、自分たちの地球。負けた世界は勝った世界の前に消滅する。そして、この戦いに臨んだ少年少女パイロットは、勝負の成り行きに関わらず死ぬ。今まで13回の戦闘をくぐり抜けた結果、15人のパイロットは13人が死亡して、残りは2人。一人一人の少年たちにソレゾレの家族とソレゾレの事情があって、それを抱きしめながら戦って死ぬ。中学生にのしかかる理不尽な運命を淡々と眺めるマンガ。悪趣味と言えば悪趣味だね。
●残された二人の戦士、ウシロマチは、死んでいった仲間の家族を巡る旅に出た。子供の死に無力だった親の姿は哀れにも見えるが、そこから何か一歩でも前向きに進んでいこうという決意を感じさせる顔も見えた。さあ、これでナニも心配することなく決戦を迎えることができる、と思ったら、これまた残酷なアクシデントが。中学一年生に過酷すぎる運命がどんどんのしかかる。


富沢ひとし「特務咆哮艦ユミハリ」4

富沢ひとし「特務咆哮艦ユミハリ」1~4巻
●その奇想天外な発想はもうちょっと評価されていいはずなんだけど、世間の理解をブッチギリすぎているのかメチャアンダーグラウンドな存在に留まっているこの作家さん。特に難解な世界観を持っていたこの作品は、なんかアレコレの事情で突然店を畳み込むように完結を迎えた。作者さんとしては説明してるように見える部分も、やっぱり理解不能です。この作品の大仕掛けは「時間戦争」というテーマ。未来人が後ろから糸を引いているように見えて、正直その実体がよく分からん。完結してもよく分からんのです。
●このマンガもパラレルワールド同士の存亡を賭けた戦いを描く。未来人のテクノロジーによって、様々な時間、時代、パラレルワールドを生きる世界たちが突然一つの世界に放り込まれた。各々の世界を生きる人々は、別のパラレルワールドを滅ぼすことで生き残るコトができるというシステム。しかし、その多種多様な進化発展ぶりがユニークすぎて意味不明すぎる。カッパ型巨人や戦国時代の村上水軍、巨大ツチノコのお姫様や、土偶の軍団、大型ゴリラネズミがやってくる。そしてそれに対抗するのが「特務咆哮艦ユミハリ」
「ユミハリ」こそ超ユニークな兵器だ。海上を走る蒸気機関車に牽引されている様々な機械が、有事の際には、鉄道のポイント接続の要領で組み替えられ、一つの大型戦艦に変形する。そして超特大の砲台が火を吹いて敵を粉砕するのだ。この奇才、次なる新作をお待ちしてます。


福島聡「機動旅団八福神」9

福島聡「機動旅団八福神」7~9巻
●日本が中国の勢力傘下に入り、ブロック化していく中、アメリカは最新兵器産業を使って代理戦争を仕掛けてくる近未来の世界。中国の最新兵器「福神」は絶対防御パワードスーツで、そのユーモラスでボヨンボヨンした樹脂のカラダはどんな攻撃にも耐えられる。カドが立ち過ぎてフツウの軍人になれない問題児たちがこの新兵器部隊に編成されたが、その戦いは混迷を深める一方。
●国情を憂う元自衛隊員が京都・金閣寺で核自爆テロを起こす。「福神」は核爆発にも耐えるが仲間はチリヂリバラバラ行方不明。衛生兵・中道晶は、なんだかワケも分からずプロパガンダでナイチンゲールに仕立てられ、おまけに暗殺されかける。しかしココでビビっては女が廃る。もう一度最前線に戻り、ハワイの軍需工場へ進軍するのだ。この戦いを終わらせるために!そしてその戦場でかつての仲間と再会する。メガネのヘタレのクセして頑固に自分の理想を曲げない男、名取に。
●戦争ってのに個人が楯突くには無理があり過ぎる。やれることなど微々たるもんだ。その理不尽さの中でも折れない信念を持つ。それは一見無駄に見えるが、最後はその信念が自分の身を救う。そして軍籍を離れた名取は、もう一度最前線に戻り、アメリカの生体改造サイボーグの秘密に迫る。


八木教之「クレイモア」16

八木教之「クレイモア」15~16巻
●剣と魔法のファンタジー・コアとしては「ベルゼルク」に次ぐ最右翼的作品が、新段階へ。人間を喰らう妖魔と戦うために作られた半人半妖サイボーグの女戦士たち「クレイモア」。その一派7人が、裏切りに復讐するため自らの「組織」に向かってレジスタンスを始める。それがコレまでのお話。
●しかし、ある疑いが起こる。そもそも「妖魔」を作り出しているのが「組織」なのではないか?半人半妖サイボーグである我々は、別の戦争目的で作られた兵器なのではないか?「覚醒者」「深淵の者」と呼ばれる超能力モンスターたちも含めて、この大陸は外界で行われている戦争に対して準備されている新兵器の実験場なのではないか?世界の構造に関わる事実に到達する主人公・クレアたち。
●一方で、「深淵の者」と呼ばれる強力なモンスターの周りでは不穏な動きが同時進行中。大陸西部を制圧しているリフルは、打ち倒された「深淵の者」ルシエラを都合良く復活できるか、奇妙な実験を始める。一方で、かつて北部を支配し、クレアたちを打ち破ったイースレイは、大陸南部を放浪して、組織の放った新兵器「深淵食い」に命を狙われる。人体実験で生まれた非道のサイボーグたちが殺し合いの連鎖を無限に繋ぐ。


弐瓶勉「バイオメガ」6

弐瓶勉「バイオメガ」1~6巻
●メガ級では済まない規模のバイオハザードが地球全土を襲って、全人類がゾンビ化。国家よりも強い権力を握った企業体が独善的な人類改造計画を力任せに進行中。そしてソレを阻止するのが、高性能 AI 搭載の漆黒のバイクを駆る人造人間。闇と光の激しいコントラストとハイスピードな展開、そして弾ける臓物と脳髄の量に、何回読んでもついて行けない。「最厳重警備隔離施設」とか「公衆衛生局巡回査察員」とか「技術文化遺産復興財団」とか「大陸繋留索」とか「逆相写像重合体」とか「複脳式弾体加速装置」とか「左断吏官」とか「復物主」とか「常害工都」とか「示現構成体」とか「思念束」とか全然ワケ分かんないんだけど!ただ読んでるだけだと、その迫力に勢い負けする。
●5巻と最終6巻に登場する<復物主>は、全長48億キロメートルに及ぶ円筒状の構造物で、そこには地球とは完全に独立した生態系と文明が芽吹く世界だった。ある意味で「風の谷のナウシカ」のような深い世界観。そして旧世界の確執を乗り終えて、新世界の文明が叡智を繋いでいく。4回くらい読み返して、やっとこのデストロイな作品に救いが見出せた。


奥浩哉「GANTZ」25~26巻

奥浩哉「GANTZ」25~26巻
●これも漆黒のサイバーパンク。大阪激闘編がとうとう完結。妖怪ぬらりひょん星人が無限の変態を繰り返して回復する底知れぬ生命力にガンツメンバー全員が絶望しかけつつも、最後はチームワークの一斉攻撃でトドメを差すことに成功する。一体何巻単行本を割いてこの大阪編を描いたのだろう?長過ぎるよ!
●しかもこの謎の装置「GANTZ」は、地球人によって開発された技術だった?ドイツのガンツ工場にフリーライターが潜入&目撃。一般市民に知られることなく戦われてきた対宇宙人戦争のルールはいつしか完全に破られて、世界各地で同時多発的に白昼堂々の戦闘が始まっている。ガンツを研究してきた中学生メンバー西は一週間以内にカタストロフィが到来すると予言。そして次の戦場はローマ。歴史的美術品や石像が敵性星人として襲いかかる。20世紀初頭のイタリア前衛美術、「未来派」の作品までモンスターになって殺人の限りを尽くす。


林田球「ドロへドロ」13

林田球「ドロへドロ」12~13巻
魔法・ミーツ・サイバーパンクのデストピア描写がまさしく「ドロへドロ」。魔法世界の権力者「煙」が殺されて社会秩序は一気に崩壊、低級魔法使いのゲリラ集団「十字目」が天下を獲る。しかし、「十字目」のボスは今だに正体不明で、もうナニがなんだか分かんなくなってきた。栗鼠、会川、カース、壊、カイマン……ヘンテコなネーミングの人物たちが物語の軸になるのは間違いないが、彼らの過去と因縁がよく見えないのは、ニカイドウの時間魔法が絡んでいるらしい?そんでその時間魔法はコレから仕掛けられる?


カネコアツシ「SOIL」8

カネコアツシ「SOIL」8巻
●あーこれこそマジもうワケ分かんねえっす。無味無臭のニュータウン「そいる町」で起こった怪事件は、ヤヤコしい超常現象を起こしまくって、とうとう町全体を異次元空間に放り出す。町の中の人々はこの異次元から脱出不可能になり、町の外ではニュータウンはただの野っ原に変貌した。虚しい脱出への試みはスベリまくって出口なし。一匹狼の刑事・横井は、フツウのやり方でナイ方法でこの謎に迫るが、コレがホントにフツウじゃないので意味がわからない。「くそっ!自我が邪魔だ!」と叫んで自分の舌を割く。ドイツ語文献の焼け残りを地図に見立てて走る。一体どこにいくのかもうワカラナイ。


松本次郎「フリージア」

松本次郎「フリージア」11巻
●ワイフにはよく言われる。ボクの選ぶマンガは、どれも極端だと。世界観が殺伐として容赦なく人が死ぬ。脳髄が弾け散るまでブン殴られたりズタズタのボロゾウキンのように撃ち殺されるモンばかり。その正反対で、テレビドラマの原作になるようなヌルい内容のモノも読む。しかし、その中間が欠落しているらしい。2つのカテゴリーで考えれば、この「フリージア」は明らかに前者だ。今日紹介しているマンガの半分もそういうマンガだと思う。なんでそんなモンばっか選ぶのか、と言われても理由は分かんないけど。
●最近の焦点は、デッチ上げられた若き世襲政治家・田中慶太の心の闇と、彼を「敵討ち執行法」に基づいて合法的に仕留めようとする執行事務所側の駆け引きだ。幼い頃に母に捨てられた PTSD が極端なフラッシュバックを起こすと殺人だってやってしまう田中のデストロイな性質。一方、彼が制度変更しようとしている「敵討ち執行法」の権益を守りたい者の暗躍。そして主人公・は、より深い狂気をクールに彷徨いながら、自分を包んでいた妄想を一枚剥ぎ取って、近いウチに確実に行われる殺人ゲームの気配を感じている。


安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」19

安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」19巻
●そろそろ新しいアニメシリーズ「機動戦士ガンダムユニコーン」の話題がチラチラ出てきたね。久しぶりの宇宙世紀もの、時代は U.C. 0096。一年戦争(U.C.0079)から17年後の世界。ドズル中将の遺児ミネバ・ザビがヒロインとして活躍する内容に、今からワクワクだ。
●で、この19巻は、そのドズル中将が命を落とすソロモン攻略戦の序章部分。アムロのガンダムはマグネットコーティングという新技術を施されてさらにチューンナップ。ミライさんとスレッガー・ロウのラブロマンスも収録。そしてドズルの名セリフが炸裂。「オレは軍人だ。ザビ家の伝統を創る軍人だ。無駄に死んだりはせん!いけゼナ!ミネバと共に!!」


西島大介「ディエンビエンフー」4

西島大介「ディエンビエンフー」4~5巻
●1966年、グリーンベレー部隊と北ベトナム正規軍が全面衝突。ベトナム戦線、健全に泥沼化へまっしぐら。4巻の目玉は「山岳の50人」。モンタニャード(山岳民族)と呼ばれた少数民族・チャム族は、現代ベトナムのマジョリティ・キン族から圧迫され山に追いつめられた歴史を持つ。それを米軍が利用して最凶のゲリラ部隊に仕上げた。絶望と復讐心だけが彼らを殺戮へ突き動かす。「北?南?アメリカ?どっちが勝ってもチャム族は報われない。山岳に生まれたクソみたいな人生……殺るだけ殺って死ねりゃ本望」
●5巻の目玉は、重傷を負って戦線を離れていたティム・ローレンスが復帰。より冷酷で正確な殺人マシーンと化しての再登場。その生い立ちにクローズアップ。しかし100%の無垢&全裸で戦うベトコンの「お姫さま」にはどうしても敵わない。彼女は「絶望の外にいる」から。そんなティム絶体絶命の危機に立ち塞がるのは、アメリカン忍者ジャジャマル。ここにもタフな生い立ちが。さあ、そして「お姫さま」とグリーンベレーの対決もそろそろ本気の最終決戦か?
●この物語は、日系人カメラマン・ヒカルの視点から描かれてたはずなのに、彼は戦闘の当事者にはなりえない。殺人の技術もなく、ただひたすら敵のカリスマ「お姫さま」に憧れるだけの存在。ただ、彼の現実感覚が火薬臭と死臭で見事に狂ってきているのは確実。この先に彼の未来はあるのかな?


幸村誠「ヴィンランド・サガ」

幸村誠「ヴィンランド・サガ」6~7巻
●11世紀のイギリスも戦争のまっただ中だ。ヴァイキングの時代、全ヨーロッパは殺戮と略奪に飢えた北欧人に恐怖した。イギリスはこのヴァイキングの一派デーン人に王権を乗っ取られ、デンマーク王国のスヴェン王がイングランドを支配するに至る。戦で死ねば天上の宮殿ヴァルハラに召されると信じていた戦士たちの時代、命がとても安い。乱暴者が徒党を組んで好きなだけ殺戮を楽しむ。強い者だけが正しい。主人公の少年・トルファンは野蛮な武士団の頭領トルケルに決闘を申し出る。歴戦の猛将に対して、小柄な少年にチャンスはあるのか?
●そしてもう一人のキーパーソン、クヌート王子。まるでオンナノコのように華奢で幼いこの少年が、支配者として目覚める。今の時代のクヌートといえばドイツで人気者のシロクマちゃんだが、史実で読めば、この王子は後年、イングランド、デンマーク、ノルウェーの三国を束ねる広大な北海帝国を築き上げる。権謀術数渦巻く権力の中枢、父スヴェン王との確執が今後のストーリーの中核をなすみたい。


岩明均「ヒストリエ」5

岩明均「ヒストリエ」3~5巻
●さらに時代をさかのぼって、古代ギリシャの時代。アレクサンダー大王の書記官として仕えたエウメネスという男の生涯を描く。とか言いながらも、そのエピソードはまだティーンネイジャーの所までしか進んでない。遊牧民族スキタイの血を引きながら、ギリシャの裕福な家庭に育ち高い教育を受ける。しかし突然奴隷の身分に落とされて人身売買。黒海の果てに連れて行かれる予定が、ひょんなコトから自由人として未開人の集落に落ち着く。そこで武芸を磨きながら戦略家としての才能に目覚め、あのアリストテレスとも知合いに。で、とうとう、マケドニア国王フィリッポス2世にたどり着く。フィリッポス、隻眼の王。新興国マケドニアは彼の下、急速に成長し始める。エウメネスのマルチカルチュアルな出自が、激変する環境への対応力をさらに研ぎすます。激動の時代をしなやかに生きる秘訣がココにある。


山口貴由「シグルイ」13

山口貴由「シグルイ」13巻
●さてコチラは江戸時代。藤木源之助&伊良子清玄の決闘へ向けてクライマックスへと昇りつめるか、と思わせて、この巻は一旦小休止。カメラを少しフォーカスアウトさせて二人の決闘を用意立てる周囲の状況にスポットを当てる。
●時は徳川家光の治世、舞台は駿府城。この城主は家光の弟、徳川定長。幼い頃から才気に溢れ容姿端麗であった彼は、将来の将軍職と謳われながら、結局はそうなることが出来なかった。がゆえに、性格は残忍になり凶悪な暴君に成り果てる。将軍の実弟という身分に、良識ある家臣もその暴走を食い止められない。封建社会の身分秩序のために、優秀な人物が理不尽な殺人すら躊躇なくやってのける。この狂気を前提にして、因縁の決闘は準備される。巻末、定長が命じる。「此度の武芸、真剣を以てせしむべし」!凄絶な殺し合いまでカウントダウンが作動。


丸尾末広「パノラマ島綺譚」

●作/江戸川乱歩・画/丸尾末広「パノラマ島綺譚」
大槻ケンヂもその影響を受けていると自らカミングアウトしてた(このマクラ、あまり箔がつかないね)古典名作が、カルト作家・丸尾末広によって劇画化。大正デカダンス、そしてジャパニーズ・ゴスの美学が結晶。
●貧乏作家の人見広介「巨万の富を用いて、地上の楽園を建設する」という妄想に取り憑かれていた。そんな人見と瓜二つの容貌を持っていた学生時代の友人、菰田源三郎がぜんそく発作で急死。その知らせを聞いて人見はある策略を実行する。紀州の一大資産家であった菰田とすり替わり、復活したと周囲に思い込ませるのだ。そしてその試みは成功し、壮大なパノラマ島建築が始まる。計算され尽くした人工美は圧倒的で、そこで誰もが爛れた享楽を貪る。そこにあの名探偵、明智小五郎が姿を現す…。
●以前、美輪明宏さんが言ってたような気がする。青年時代の美輪さんは晩年の江戸川乱歩と知遇があったそうな。絶世の美少年であった美輪さんに、乱歩「君の腕を切ったらどんな色の血が流れるのだろうか?」と尋ねたそうな。返して美輪さん「私の血は虹色です。目が潰れますよ」。クールな会話だ。

高橋ヒロシ「WORST」22

高橋ヒロシ「WORST」22巻
これにて、第二部完結。鈴蘭高校の先輩たちが卒業式を迎えました。バカをやるもムチャをやるもココでオシマイ。ケンカケンカで明け暮れて鍛えたド根性で、タフな世間を真っ当に生きていきます。そういう意味で、ケジメのしっかりついた男たちなのであります。主人公・たちの出番はゼロ。今後はたちが3年生になって活躍していく。
●現在は「WORST 外伝」が店頭に出てます。この町の重要な不良グループ「武装戦線」がいかに誕生したかを物語るエピソード。「武装戦線」のシャツとかジャケットってカッコいいんだよね。レザーにドクロのマーク。商品化されてるので時々若いスタッフが着てるんだよ。「ソレイイね!」「ええ、7代目武装モデルです」とかね。この本には多分、「WORST」「クローズ」(そして「クローズZERO」の世界)を横断するキャラクターのカメオ出演みたいのもあるんだけど、パンパンに膨れ上がったこの世界の歴史や人物相関図はボクのハードディスクからこぼれ落ちてる。そこまですくい取ると多分かなり楽しいはず。


宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」6

宇仁田ゆみ「うさぎドロップ」5~6巻
●死んだ祖父の隠し子6歳を、独身男子30歳が引き取って育てる!冷淡な親戚一同に大見栄切ってみせたモノの、リアルな育児は大変で……。そんなキッカケで始まったこの物語、5巻から始まる第二部では10年の月日が流れたその後のハナシ。隠し子だった6歳のりんちゃんは16歳の美少女に成長し、保育園メイトだったワンパク小僧のコウキは、少々荒れた中学時代を通り抜けて、ジャニーズっぽいイケメンになった。30歳だったダイサクは前髪の後退が気になる40歳。コウキの母親・二谷さんはシングルのまま40歳超えて、まだキレイなままです。
●多感なお年頃のりん&コウキの微妙でもどかしい距離感が、甘酸っぱい思春期ラブストーリーになっちゃってます。荒れてた頃のコウキが抱えてた問題、そしてりんが感じていた感情。そして高校生になってそれを克服しようとする二人の関係。一方ダイサク&二谷さんは、子供たちの感情の向きで、自分たちの好意をカタチに出来ないジレンマを抱えてる。大人も子供もそれぞれタイヘンなお年頃です。
●ボクはこの作家が描くクッキリとした輪郭線が好き。そしてその輪郭線で描かれるオンナノコが好き。男性の登場人物は、ちょっとブッキラボウで単純なタイプが多いけど、この人にとってのイイオトコってそういう人を差すんだろう。


吉田秋生「海街 DIARY 2 - 真昼の月」

吉田秋生「海街 DIARY 2 - 真昼の月」
●こちらも微妙な家族の絡み合いを繊細に描く物語。美しい鎌倉の街を背景にしながら、幸、佳乃、千佳、そして異母姉妹としてこの家に引き取られたばかりの、すず13歳。この4人姉妹の生活を瑞々しく描く。今回は、サッカージュニアユースで活躍するすずと、病気で片足を失ったチームメイト裕也の交流、そして10年間没交渉だった姉妹の母親と、長女・の関係を描く。さすがベテラン、吉田秋生。オトコのボクには説明出来ない、女性の持つ業のような部分を、平和のように見える生活の折々に忍び込ませる。
●家族は一番小さな単位の社会であり、その社会で起こる摩擦は外から見えにくいが故に恐ろしい。分かり合うことのできない母と娘の関係と、分かり合えないとはいえ、自分の母もまた誰かの娘だったことは理解できる、大人としての視点。父親の不倫が姉妹の家庭にヒビを入れたのは事実だが、その結果生まれた子供である、すずには何の罪もない。そして今、自分自身が既婚男性と不倫をしているという事実。入れ子構造のように、女性の業が折重なっているように見えて、その繊細なレイヤー構造にタメ息をつく。たとえこのマンガに登場するような人に出会ったとしても、ボクのような無粋な人間は、人間関係をこうも繊細に眺められないだろうな。人間関係に対してどうしても単純化/原則主義に陥ってしまう悪いクセがある。
●あ、あと、このマンガを読むと鎌倉に行きたくなる。もっと自由にカラダが動かせるようになったら、持久力がついたら、コドモたちを名跡に連れて行ってやりたい。


岩岡ヒサエ「土星マンション」4

岩岡ヒサエ「土星マンション」1~4巻
●地球に人類が住めなくなった時代。地上から35000m上空に建造された、土星の輪ッカのように惑星を取り囲むスペースコロニーに文明が移行した世界が舞台。下層/中層/上層の三階級に区切られた格差社会の最底辺で、少年ミツは亡き父親の職業に就く。それは、コロニー構造物の外壁に出て、太陽光を取り込む窓をキレイに磨く仕事。強い大気の流れと激しい気圧の変化、そして命綱一本で落下を防ぐ危険な業務。厳しくも頼もしい同僚たちに囲まれ、ミツは徐々に成長していく。そんな優しい物語。
●強烈な宇宙線に身を晒す「窓拭き」の仕事は、時に免疫障害を引き起こす。ミツに仕事のイロハを教えてきた影山さんが、カラダを壊して仕事を辞める。父親アキ「窓拭き」の作業中に命綱を残して消息を絶った。この職業に誇りを持つモノとしては悲しい瞬間。この出来事に、仲間たちとミツは少なからずショックを受ける……。一方で、非合法に地上へ降下しようとしているソウタ&ニシマルさん一派に不穏な動き。ミツを地上降下パイロットに仕立てちゃうかも。


矢沢あい「NANA」20

矢沢あい「NANA」20~21巻
●この作品についてワイフと二人で話してた時、目からウロコの見事な指摘をされた。「もうあのマンガついて行けない!だって、レンが死んだら全員がカップルをスライドさせてラブシャッフル状態じゃない!」………そうか、確かにその通り。ボクはずっとこのマンガを、ロックバンドを描く作品だと思ってて、そんでイツまで経ってもロクなバンド活動を始めないこの連中にイライラしてたモンだ。しかしソレはマンガの読み方として大失敗。と、ワイフに喝破された。結局のトコロ、コレは小さいサークルの男女グループでチマチマ相手を入れ替えてはチチくり合うだけのマンガなのだ。そして女子の多くは、バンドの活動よりもソッチの方が重大な関心事なのである。
●今までのストーリーにおいて、そしてバンドの音楽的な側面でも重要人物だったギタリスト・レンは、壮絶な事故死を遂げる。さてさてこれからが大変だ。シンとの関係に行き詰まっていたレイラに会うために、レンは車を走らせ事故に至った。そのレイラを兄妹的な感情と愛情をない交ぜにしながら見つめるリーダーのタクミ。一方タクミとの子どもを身体に宿すハチは、ナナとの友情が徐々にスレ違っていくのを食い止める事が出来ない。取り乱すハチをサポートしていたのは夫タクミでなく、かつての恋人ノブ。そしてノブの今の恋人はそんな二人に複雑な視線を向ける。ナナは恋人であったレンの死に完全に自我を見失う。強い信頼でナナと結びついていた精神的支柱ヤスはそんなナナにナニができるのか懊悩する。しかしヤスの恋人ミューはそんな二人に熱い嫉妬を感じずにはいられない。ドミノ倒し的人間関係崩壊。
●ただし、結局の所、読むのをヤメられない。徐々に明らかにされていく将来の仲間たちの姿。そしてこの仲間たちがどうやってバラバラになっていったのか、という成り行き。それが気になってコレからも読み続けるだろう。



今日は、幕張メッセで THE PRODIGY が大騒ぎしているハズなんだよ。

WARRIORS DANCE FEST

●最近のロッキンなエレクトロアクト、HADOUKEN ! も出演するらしいんだ。ちょっと気になる。しかしボクはビョウキになってからライブもフェスも行けなくなってしまったので、「いいなあ、観に行きたいなあ」と思ってもしょーがない身分なのだ。だから気分だけでも味わうためにCDを聴く。


THE PRODIGY。「ビッグビート」を体現する男たち。
●今日紹介するユニットとしては一番長く活動している彼ら。1990年からレイヴシーンのど真ん中で扇情的なビートを繰り出していた連中だ。その音楽がダイナミックなロックミュージックに接近するのは1996年のこと。「FIRESTARTER」「BREATH」という特大シングルが炸裂。ブリットポップ旋風吹き荒れるイギリスのシーンの中、ロックのお株を奪うような激しいビートとキャッチーなリフ、パンクなスタイルで、ダンスシーンから殴り込みをかけたカッコになった。翌1997年のアルバム「THE FAT OF THE LAND」でこの大味なダンスミュージック「ビッグビート」を確立する。


THE PRODIGY「ALWAYS OUTNUMBERED, NEVER OUTGUNNED」

THE PRODIGY「ALWAYS OUTNUMBERED, NEVER OUTGUNNED」2004年
●しかし、あまりにも巨大なセールスとインパクトを作った「THE FAT OF THE LAND」以来、その重圧でしばらく身動きができなくなっていた THE PRODIGY。オリジナルメンバーの一人でダンサーの LEEROY THORNHILL は脱退してしまうし、音楽的頭脳の LIAM HOWLETT も次なる路線に迷ってたっぽい。だから、このアルバムにはバンドのフロントマン KEITH FLINT & MAXIM REALITY が参加してない。LIAM がたった一人で制作してしまった。
●その代わり、ゲスト陣は豪華である。なぜか女優 JULIETTE LEWIS が超パンキッシュなボーカルを披露してる。彼女はこの経験で味を占めて、JULIETTE & THE LICKS というバンドまで結成しちゃいました。世界一早口MC の TWISTA がマシーンビートにラップを乗せる場面も。変態オールドスクーラー KOOL KEITH も参上。そんで最後には OASIS LIAM & NOEL GALLAGHER 兄弟まで参加してます。

THE PRODIGY「INVADERS MUST DIE」

THE PRODIGY「INVADERS MUST DIE」2009年
●前作「ALWAYS~」が、LIAM のソロ活動っぽい側面を持っていたのに対して、この最新作は、ボーカルパフォーマンスに KEITH & MAXIM の二人だけを配置する布陣、本当の意味でオリジナルメンバーが結集した10年以上ぶりのアルバムになった。ゲストらしいゲストは2曲で素晴らしいドラムを披露している FOO FIGHTERS & 元 NIRVANA DAVE GROHL のみ。全体的にテンポアップしてより凶暴度が増強。「ビッグビートここに健在」と宣言している様。ワンパターンと言われようとも、この乱暴な感覚はやっぱ生活にハリを与えるかも知れない。



FATBOY SLIM。ダンスとロックのチャーミングな邂逅。

BIG BEACH FESTIVAL 09

FATBOY SLIM こと世界一愉快なDJ、NORMAN COOK も今年デカイイベントを日本で打ったんだよね。彼が地元 BRIGHTON で行っている巨大イベント「BIG BEACH BOUTIQUE」横浜八景島シーパラダイスに移植、「BIG BEACH FESTIVAL 09」が開催された。フェスには大沢伸一田中知之まで参加してて、きっと楽しかったに違いない。


FATBOY SLIM「YOUVE COME A LONG WAY, BABY」

FATBOY SLIM「YOU'VE COME A LONG WAY, BABY」1998年

RIGHT ABOUT NOW, THE FUNK SOUL BROTHER !
CHECK IT OUT NOW, THE FUNK SOUL BROTHER !
ライアバウナウ!ザ・ファンクソウルブラザー!
チェキラウナウ!ザ・ファンクソウルブラザー!

●目一杯リピートさせて耳に刷り込むサンプルフレーズが最高にキャッチーな「THE ROCKAFELLER SKANK」を収録しているセカンドアルバム。この曲や「RIGHT HERE, RIGHT NOW」「PRAISE YOU」などの名シングルが彼のポジションを不動のモノにした。この次のアルバムの頃、やっぱり幕張メッセで彼のパフォーマンスを観に行ったモンだ。会場がドデカ過ぎて、あんまり音がヨクなかったんだけど。
●ミュージシャン上がりのベテランさんである NORMAN だが、サンプルセンスやターンテーブルセンスは天下一品で、そのサンプル万華鏡やジャンル横断主義は、モッズ、レゲエ、スカ、ファンク、ヒップホップ、テクノを併呑してる。そんで大切なコトは、パンク魂の赴くままに怒りをぶちまける THE PRODIGY と違って、あくまでハッピーにダンスすることに集中していること。実際 NORMAN は性格のイイユーモア溢れる人物らしい。

FATBOY SLIM「PALOOKAVILLE」

FATBOY SLIM「PALOOKAVILLE」2004年
●この辺で NORMAN の曲作りの姿勢に微妙な変化が。今までは声ネタやサンプルのループで楽曲を構成してきた FATBOY SLIM というプロジェクトだが、ココに来て自分の手引きベースや生演奏楽器を採用するようになったという。声ネタも使わないではないが、アメリカ・オークランドのラッパー LATEEFBLUR DAMON ALBARN を召喚するなど、歌モノにコダワリを見せている。BOOTSY COLINSSTEVE MILLER BAND「THE JOKER」をカバーしてたりってのも聴き所。その曲調のチャーミングさってのにはブレはないのですが。
●しかし、FATBOY SLIM としてのレコーディングはここで一旦一区切りしたのか、2006年にベスト盤をリリースしてからはミックスCD程度の活動に落ち着きつつある。2009年に DAVID BYRNE との共作でアルバムをリリース準備していると言われてるが、内容はイメルダ・マルコスに関わるコンセプトアルバムというから、どっちかっていうと DAVID BYRNE の色の方が強いのかなーと思ったりも。

BEATS INTERNATIONAL「LET THEM EAT BINGO」

BEATS INTERNATIONAL「LET THEM EAT BINGO」1990年
NORMAN COOK が長い音楽キャリアの中で様々なユニットを作って来たことは有名だ。ギターバンド THE HOUSEMARTINS のベーシストからキャリアを起こし、FREAK POWER というファンクバンドを率いた時期もある。最近はTHE BPA (BRIGHTON PORT AUTHORITY) というユニットもスタートさせてる。この人つまりはとっても飽きっぽいのね。 BEATS INTERNATIONAL というユニットはダブやレゲエのエッセンスをサウンドの軸にしてて、結果として FATBOY SLIM の驚異的な雑食性の基礎になるキャリアになった。
●さすがに無数のサンプルで分厚いレイヤーを作る FATBOY SLIM の過剰な情報量には敵わないので、20年近く前のこの音源に古さを感じるのは否めない。でもテンポアップされたダブミュージックにはすでに後年のチャーミングさは備わっていて、ヒット曲「DUB BE GOOD TO ME」の足を一歩一歩踏みしめるような太いビートはかなり気持ちイイ。この頃は当時の有名女性タレントさんをボーカルに据えてるってのもユニーク。



UNDERWORLD。映画「トレインスポッティング」のその後。
「トレインスポッティング」のメインテーマ、「BORN SLIPPY NUXX」1995年はあの90年代の気分を代表する時代のアンセムになってしまった。シンプルな四ツ打ちビートに、一本調子な KARL HYDE のボーカル。一瞬神々しいほどの深いエコーのピアノが静寂の中で凛々しく響き、そして強力なビートが呼び込まれる。トランシーでもあり、ストレートなテクノでもあった。初期の代表作には名曲「REZ」がある。アブストラクトで繊細な電子音の集積のような曲で末期レイブ時代の集大成みたいな存在だ。だから実は彼らの音楽をロックと結びつけて「ビッグビート」と呼ぶには多少の躊躇がある。それでもコアなテクノに比べたら実にキャッチーな彼らの音楽は、FATBOY SLIM と同じくらいのチャーミングさがあるような気がするので、ココでご紹介。

UNDERWORLD「BEAUCOUP FISH」

UNDERWORLD「BEAUCOUP FISH」1998年
●抽象的でクールなジャケアートは、グラフィック集団 TOMATO のクリエイティヴ。UNDERWORLDTOMATO のパフォーマンス部門みたいな位置づけだったはず。で、TOMATO は デザイン仕事を本業にしながら(日本でポピュラーなのはテレ朝の画面のスミにちらつく長方体CG)、UNDERWORLD のライブ VJ や DVD の編集までやってた。
●そんで、その UNDERWORLD + TOMATO による実に傑作なライブDVD「EVERYTHING, EVERYTHING」でプレイされてた曲がココには目立つ。DVD収録曲の半分以上がこのアルバムの曲です。ラスト曲「MOANER」の強烈な盛り上がりはライブの最高の見せ場だが、その興奮はダイレクトでこのCDでも楽しめます。アシィィッドなブリブリビートから、スーッと忍び込んでくるシンセリフが徐々に存在感を増し、耳をつんざく躁状態ムキダシのテンションに膨張していく瞬間がまさしく神。

UNDERWORLD「A HUNDRED DAYS OFF」

UNDERWORLD「A HUNDRED DAYS OFF」2002年
●前述のDVD「EVERYTHING, EVERYTHING」の制作中、メンバーの一人 DARREN EMERSON がユニットから脱退した。UNDERWORLD は、80年代においてはエレポップバンドの性格が強いユニットだったが、1991年の彼の加入でテクノユニットへの進化を遂げることができた。脱退した DARREN は自分のレーベル「UNDERWATER」と設立する。コレってやっぱ UNDERWORLD の名前をもじってるんだよね。
●さて、彼の脱退はユニットのサウンドを一変させるかもと心配されたが、ワリと無難な変化に落ち着いたアルバムになった。でも印象は少々地味。ハウシーな質感が強まり、サンバっぽい意匠が散りばめられた感じ。ヒット曲「TWO MONTH OFF」(100日休暇とか2ヶ月休暇とか、休み過ぎだよキミたち)がまさしくパーカッシブなサンバビートがジワジワ盛り上がっていく象徴的なトラック。もう1曲よく街で聴こえてたのが「DINOSAUR ADVENTURE 3D」。コッチの方が昔からの UNDERWORLD っぽい。その後、2007年にもアルバム出してるけどその辺はまだ聴いてないです。



「ビッグビート」と言えば、ケミカル兄弟を忘れちゃならない。
●1995年のTHE CHEMICAL BROTHERS の登場は痛快なモンだった。何しろ、連中のルックスがカッコ悪かったからだ。メガネのオタクロン毛と、深刻な天然パーマ野郎の二人組が、当時活躍してたどんなロックバンドよりもロッキンでタフな音楽を弾き出し、シーンを焼き尽くしたのだから。世間が彼らに注目した時には「テクノ界のレッドツェッペリン」などと呼ばれたものです。しかし、最近の彼らは別のレベルに進化しようとしてるみたい。

THE CHEMICAL BROTHERS「PUSH THE BUTTON」

THE CHEMICAL BROTHERS「PUSH THE BUTTON」2005年
●この5枚目のアルバムが一番ゲストボーカリストを大勢フィーチャーした作りになってる。ヒットシングル「GALVANIZE」では、元 A TRIBE CALLED QUEST Q-TIP が小気味イイラップを披露。モロッコ音楽をサンプルしたビートに彼のナードなフロウがよく似合う。そんな Q-TIP ANWAR SUPERSTAR といった NY のヒップホップ関係者を招いているせいか、ヒップホップにも接近しているような気がする。インスト楽曲「SHAKE BREAK BOUNCE」ケミカル版バウンスビートで完全にヒップホップトラックですわ。
●その他新人アクトにもキチンと色目を使ってフックアップ&有効利用。BLOC PARTY の黒人フロントマン KELE OKEREKE のセクシーなシャウトを。アメリカのバンド TRESPASSERS WILLIAM のシンガー ANNA-LYNNE WILLIAMS のサイケデリックな女子ボーカルを。男女ツインボーカルのロックバンド THE MAGIC NUMBERS は丸ごと召喚されてキラキラチューン「CLOSE YOUR EYES」を演奏している。常連組では THE CHARLATANS のボーカル TIM BURGESS が二度目のゲスト出演。元からの持ち味だけど今回はサイケ面が強いかも知れない。

THE CHEMICAL BROTHERS「WE ARE THE NIGHT」

THE CHEMICAL BROTHERS「WE ARE THE NIGHT」2007年
占星術めいた神秘主義の怪しい霧が立ちこめる気分。そこへ召喚されたのはニューレイブシーンの代表選手 KLAXONS 。この未来から来た野蛮人のコーラスがサイケデリックでクール。トーンはロックテイストから離れて、よりテクノ寄りに接近したのかな?でもなんだか今回はそこかしこに呪術的な匂いがする。
●今回のヒップホップトラックは「THE SALMON DANCE」だ。元 THE PHARCYDE のラッパー FATLIP がチャーミングなラップを披露する。でも今回はテックな装いを取り戻したケミカル兄弟の得意のビッグビートの中の箸休め的存在だ。

自律神経失調症とのお付き合い(その107)~「青空ヨガ」編

●シルバーウィークの予定はなにかあるかって?ナンもないです。多分カフェでコーヒー飲んで、ホンを読む程度。つーかさ、ホントは月曜~水曜はカイシャで仕事しようと思ってたんですよ、祝日カンケイなくレギュラー通り。ま、ウチの職場、毎日営業はあるしミンナ仕事するし、以前はボクもそれがフツウだったし。
●で、聞いたわけですよ。会社診療所のカウンセラーのセンセイに「シルバーウィーク、仕事しちゃってイイですか?」そしたら一秒も間を置かず「あはは、そりゃナイねえ!」あ、ナイんですか…ワリとイケルかなーなんて思ったんですけどねー。「まだ早いですね、休日出勤は」ああ、そうですか。議論の余地なしっすね。
オマケに残業も基本的に禁止なんですよ。一、二時間程度はしちゃってんだけどね。ソレを心療内科のセンセイに言ったら「あらー!まだダメよー!それ始めちゃったらまた元に戻っちゃうでしょ」とのコト。「骨折した人が、やっと骨が繋がったトコロでイキナリダッシュの練習を始めるようなモノよ。シルバーウィーク、オトナシくしててください」おー怒られたヨン。
●実際、ボクの実感と言えばどうか? 正直、やっぱり疲れやすいのは事実で、木曜金曜は実際クタクタになってる。家に帰ると気分も乱れてアタマの考えがまとまらない。ヨガもムキになりすぎると筋肉痛を起こしてカラダ中が痛む。相変わらず自由に繁華街を歩けるとは言えない…注意深く体力をセーブしないと調子を崩しそうだ。
しかし一方で仕事は楽しい。会議でも自由に発言ができるし、そのアイディアがよければ採用してもらってる。周囲もボク自身も一瞬ビョウキを忘れるくらいだ。来月12日の体育の日に仕掛けるイベント準備で、ボクはセッセと会場の設備設営スケジュールや警備体制の整理、保健所/消防/警察への申請作業を取り仕切ってるんだけど、このカウンセラーの判断でこの祝日イベントの現場にボクがいられないコトになっちゃった。ソレを会議でミンナに言ったら「そうかオマエ、制限勤務なんだっけ、すっかり忘れてた…アイタタタ」「あ、そうなの!オマエのビョウキってまだ治ってないんだ、知らなかった」と先輩たちのリアクション。「診療所は人事部とも繋がってますんでスタンドプレーすると厄介なんすよねースイマセン」でも、役所だって祝日は動かないんだし、ギリギリまでボクがやれるコトはやりますんでダイジョウブです。

実は、一瞬ビョウキを忘れるさせるくらいの自己主張がないとね、と思ってる。
●元々ボクはある意味で仕事には遠慮も我慢もしないので、言いたいことがあればそれなりにモノを言う。だから今でも「オマエ、カタワモンだろ!一人前に仕事できるようになってから口をキケ!」的なツッコミがあって当然なコトも、ある程度は言っちゃう。「現場の事情知らないでモノ言っちゃいますけど、ココ修正した方がよくないスか?無理?」上司先輩が並ぶ幹部会でも、部下後輩との打合せでも、比較的好きなコトを言ってしまう。別にムリに我を通すほどのハナシじゃなくて、議論を交わす、意見を述べるという体裁だから、そんなに大げさじゃないんだけど。
●反対に、ビョウキのハンデにちょっとでも遠慮して「ボクちんビョウキで申し訳ない立場ですから、ハジッコで黙って見てます」なポジションに入ってしまったら、周囲はボクにナンの仕事をやらせたらイイかサッパリ分からなくなって、完全に「コワレモノにつき取扱注意」にしてしまうだろう。だからネタで「やースウジがキツすぎて、クスリが増えますわ」くらい言っといた方が取っ付きやすいと思うのです。(←違う?やっぱ気を使わせちゃってる?)


さて、そんなシルバーウィークの初日、「青空ヨガ」なるモノに参加してしまった。

「青空ヨガ」

●週一度通っているヨガ教室では、3ヶ月に一度、近くの大きめな公園に集まって、野外でヨガをするってのをやっている。それに今回初めて参加してみた。レッスン料1000円とレギュラーよりオトクだし。
●いつもは借りてるヨガマット、この時は自分で持参というコトなので、ドンキホーテで購入。一番安いヤツで1250円程度。アディダスのジャージ上下、バッグにタオルとレジャーシートを詰めて、いざ公園へテクテクである。参加者は10人程度。そんくらいのこじんまりさがボクは好きである。

で、コレが意外なほど、メチャいい感じなのでありました。
●場所が変わるだけでやるコトは変わんないのである基本的には。でもかなり気持ちよかった。フツウにレジャーシートの上にヨガマットを敷き、その上に裸足になってスタンバイ。センセイの指示で座禅風に座って合掌、それから仰向けに地面に横たわる……。
●で、この地面から見上げる景色が意外なほどキレイでビックリしたのであります。6mほどの木立が折重なるように枝を伸ばし、ソレが空の眩しさをほどよく遮る。その緑の濃さにハッとする。ヨガはカラダの中に意識を集中するので、目をつぶってしまいがちだけど、ココは目を開いて木々の枝葉をじっくり眺める。フツウの生活のナカでこんなにマジマジと木の枝を眺める事ってないよ。しかも地表10センチ強の高さから眺めるなんてさ。
●そして音。葉が風に揺れる音、どこかでカラスや犬が鳴いている、遠くのテニスコートでボールが弾ける、静かに通過する自転車。チルアウトサウンド。センセイの声も今日はうまく聴こえない。実にいい感じであった。


ヨガと座禅に近いモノを感じる。主治医おススメの読書。

いい加減に生きる―スピリチュアル仏教のすすめ33

大下大圓「いい加減に生きる - スピリチュアル仏教のすすめ33」
●クリニックの主治医のセンセイが薦めてくれた本なので読んでみた。薦められなかったら多分絶対読まないタイプの本だけど。「スピリチュアル仏教」とは言いながら、新興系宗派ではなくむしろ超オーセンティックな真言宗のお寺の住職が著者。この人が立派な実践家で、12歳で出家、高野山で修行してスリランカに仏教留学したその道のエリート。既存の枠組みを踏み越えて、積極的なボランティア活動を仕掛け、ホスピス運動やNPO活動、お寺での宿泊研修、臨床活動、まちづくりまで手掛けている。
●話の内容は、見事な説法を聞いてる気分でそんなに楽しくないが(イイ話満載なのですけど、ボクはソレを楽しめるほど人間がキチンと出来てません)、一個だけ気になったポイントがある。「座禅」の意味である。
「現代社会は、待つことのない社会です。…子育て、学校教育、友人関係、仕事まで、無駄な時間を削り効率よく時間を使うためにありとあらゆる工夫が施されています。…ゲーム感覚です」確かに。ことボクの生活は超ハイスピードだった…今日起こった出来事を明日の仕事に速攻で反映させないと、それで命取りになるような仕事だし、そのためには残業も徹夜も辞さない生活スタイルが当然だった。ゲームってのも納得出来る。以前、息子ノマドが友達と将棋をするのを見ていた時。年上の友達にノマドは結果として勝つのだが、それはノマドが賢いからではない。友達くんはゲームで将棋を覚えたので、生身の相手が長考するのを待てないのだ。結果、集中力が持続できなくなった友達くんは、PSPをいじりながら「ノマドはやくやれよー」と急かしまくり、ジックリ考えて駒を進めたノマドに負けてしまった。「待つ」というのは、実は現代社会で重要なスキルである。日本人は電車が2分遅れただけでストレスを感じると言う。そんな民族は世界中にドコにもいない。
「わたしたちにはいま、立ち止まる時間、待つ時間が必要なのではないでしょうか。…歩く目線やテンポで物事を考えることの大切さを感じます。…曹洞宗道元禅師の教えに「只管打座」というものがあります。何も考えないでただひたすら座る(座禅)。「座った後はどうなる」と詮索するのではなく、座る時間をつくること」日常の生活の中に、非日常の時間を作る、座禅はその非日常に位置づけられる訳です。で、ソコでは効率とか効果とか意味を考えない。「理屈を並べる前に、とにかく一度座ってみることです」

ボクは昔、2回ほど座禅修行の現場を見学させてもらったことがある。そん時はチーッとも意味がわかんなかった。なんで座ってんの?45分も微動だにせず。そんなコトしたら、ボクはすぐ寝ちまうわ。当然実践してみようなんて考えもしなかった。アレは特殊な信仰心とか深い哲学的前提がないと意味がないもんだと思ってた。ところがだ、その正体は「理屈を並べる前にただ座れ!」実にシンプルだ。
●ヨガをやるようになってからは、そんで今回の青空ヨガを体験してから、このシンプルな仕組みが自然と理解出来るようになってきた。ボクにとってのヨガは、衰弱した体力を回復するリハビリスポーツという位置づけだったが、仕事に戻って躁鬱の振幅が激しくなってきたボクには格好のチルアウトな時間として機能し始めた。チルアウトだけが目的なら、座禅でも同じ効果を得ることが出来ると思う。
会社で仕事をワサワサやってる時のハイテンションと、家に帰ってからのローテンションのギアチェンジが、実はウマくいってない。ハイのまま家に帰ると感情が高ぶっててツマランことでイライラする。コレをクスリでオトすってのもあまり健康ではないわな…まあ、実はデパスくらいの軽いヤツをアドリブで飲んじゃってるんだけど。出来れば、会社と家の間でチルアウトできる時間が作れるとイイ。カフェでコーヒーを飲んで本を読むのはイイチルアウトになる。会社とも家族とも関係ない時間が必要なんだわなー。


あと、一個めんどくさい事情が。主治医が変わっちゃう。
●現在隔週で通ってる心療内科のセンセイが10月でクリニックから抜けてしまうコトになった。ボク、このオバさんセンセイとは気が合ってたんだけどな……多分、心療内科や精神科って、医者とソリが合わないと全然ダメなんだよね…ボクも一回ダメ出しして「センセイ、チェンジで!」ってお願いした事あるし。
●ボクの通ってるクリニックは、大きな入院設備(ヘビー級の重症患者さん向けらしい)のある精神病院の分院的位置づけなんです。で、ボクが以前センセイの一人にダメ出しした結果、この本体の精神病院の院長先生が担当になってくれたのです。嵐のファンで、趣味で東京マラソン走っちゃう、声の大きなオバさんセンセイ。で、やっぱ臨床の最前線にいたいという気持ちでクリニックの診察を今まで続けてきたんだけど、とうとう院長の仕事が重たくなってきてクリニックには来れなくなってしまったらしい。「本院に来てくれれば診察は続けられるけどね、ウチの病院は遠いのよ」休職中に通ってた横浜の病院に比べれば近いけど、今は仕事帰りに通院する立場、往復で半日潰れる距離を通うのは現実的じゃない。
●おまけに、このクリニックでは、夜の診察をするセンセイが一人もいなくなる。院長先生は自分の裁量権で、ホントは6時半でオシマイのトコロを8時まで診察してくれてたので、ボクにはスゴく都合がよかった。しかし院長先生以外でそんなコトする人いないワケですよ。他の人は5時に上がっちゃうよ。院長先生がいなくなるってコトは、もうこのクリニックには通えない、別の病院を探せ!ってコトなのです。ボクにとっては初めての心療内科だったこのクリニック…医療事務や薬剤師のオバさんたちとも仲良くなったのに。

心療内科/精神科は、今はドコも繁盛し過ぎている。
●時代のせいなのか、ドコもこのテの病院はスゴく混んでいるらしい。都内の大病院とかでは2時間以上待って診察5分とかザラにあるハナシ。ボクは、あのテの大学病院スタイルは絶対にイヤだ。受付、診察、検査、処方、お会計とたらい回しにされてく感覚にイライラする。「10番の窓口にこの書類をお持ち下さい」と言われて、床の矢印に記された順路を歩くのはゴメンだ。ボクは回転寿司ではないのだ。
よってコジンマリしたクリニックが希望なのだが、診察方法にも注文がある。アリガチなのが、カウンセラーがコンディションを聴き取って、医者(ドクター)が処方をするという分業スタイル。コレがボクはキライだ。
●患者の数をこなすという意味では効率的で、横浜の病院がこのスタイルを採用してた。しかし、この場合も医者の診察時間は長くて5分、短ければ2分である。カウンセラーにどんなに切々と事情を話しても、カウンセラーとドクターのコミュニケーションはカルテのメモでしかないので、全然ボクのリクエストがドクターに届かない。会話はコレだけ「うん、経過は順調だね、クスリは前回と同じで。以上!」コレが実にイラつく。今のクリニックはドクター自身が20分以上も時間を割いて患者のハナシを聞いてくれるのだが、このスタイルは、実はワリとマイノリティらしく、院長のコダワリとして続けてたモノだったらしい。加えて言えば、カウンセリングと診察では別料金で、カウンセリングのみだと保険が利かないクリニックもある。予約診療で特別な時間を作ってもらうのも保険が利かない場合が多い。保険利かないと8000円とか軽くイクね。
●院長先生の知ってるクリニックを教えてもらうつもりだが、どこもバショが不便。もうちょっと都心にイイ病院がないかなあ。メンドクせえなあ。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html

ノマドに、バトスビ挑戦者、現れる。
●先日、クラスメートのタクくんとカードの交換をしたノマド。6年生のお兄ちゃんがハマっている影響でタクくんはバトスピを始めたという。よかったねーノマド、同じ趣味のトモダチが見つかって。
と思ったら、今日、我が家に突然の来訪者が!なんとそのタクくんのお兄ちゃんが、ノマドにバトスピ勝負をしにやってきたのだ。しかもだよ、カレ、ほぼ初対面なのに、オトウトのタクくんを連れて来ないで、ソロでやってきた。……ノマドも、普段はバトスピ相手が父親のボクしかいないオトコ。多分タクくんお兄ちゃんも、オトウトしか勝負の相手がいなくて物足りなかったのだろう。どうしても他流試合がしたくてしょうがなかったに違いない。ワイフはそんなに大きな子を招いた事がナイからアタフタしたらしいけど、さすが6年生、実に分別のある礼儀正しさでプレイを楽しんでいったらしい。そんでカード交換をして、ノマドはまた新しい強力なカードをゲットした。コドモってヘンなコミュニティを作るのね。


カンケイないハナシにすっ飛ぶけど、タイ・プーケット、ヒヨコの思い出写真。
●先月旅行に行ったプーケットのリゾートホテル、広いプールの片隅にあったこの物体。娘ヒヨコ、コレを一目見て「あ!きんいろのロディだ!」

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ノンフタル酸ロディ:RODY 青目 (ブルー)(こちらがホンモノのロディちゃん。)

●確かに似てると思う。


さて、このタイ旅行ではノマドがボク向けにCDのおミヤゲを買ってきてくれた。
●珍しい国に旅行に行った知人や親戚は、現地のCDをボクへのおミヤゲとして買ってきてくれる。コレは実に嬉しい。そんで、おミヤゲを買う方にとってもコレは楽らしい。ボクはどんな物件でも基本喜んで聴くから。
●そんで、ワイフの提案でノマドが今回のタイ旅行のおミヤゲを選んでくれたらしい。空港のおミヤゲ屋さんで、カレが三秒くらいで選んだCDだ。この内容がホントに意味不明で実に刺激的だ。


STYLERS:UNFORGETTABLEEVERGREEN

うーん、タイトルが読めない…。
●ハジッコに「時代楽唯忘的旋律」と漢字が書いてある……英語では「UNFORGETTABLE EVERGREEN」とも……。「PLAYED BY STYLERS」と書いてあるから演奏してるバンドの名前はこのスタイラーズってヤツらか?内ジャケにはグループサウンズかと思うような衣装をきた5人組のオッサンの写真が。
●ジャケに写っているのは、中国の楽器、二胡であり、中国琴なのでありますので、たぶんというか、やっぱりというか、内容は中国の懐メロインスト楽曲満載なのでした。もしかして中国やタイではテッパンものの名曲集なのかも知れないけど、100%古典にコダワルほどエッジが立ってもいなくて、かつ中途半端にシンセやマヌケなリズムボックスまで使うので、ボクにとってはタダひたすらデストロイなステロタイプ・モンドチューンでしかありません。そのマヌケさ加減をクスクス笑うのみ。


タイのおミヤゲCD2009

コッチは完全に読める文字がない……。
●このイケメンさんはタイでどういうポジションにいる人なのだろうか?ノマドは完全に無作為抽出で選んでるから、ヒントがまるでない…。蝶ネクタイにタキシードだし、なんか超オールドファッションなシンガーにちがいない。シビレルねえ。
●聴くと、甘い声で優しいバラードを歌っている。コレがホントにタイ語なのか自信がないが、メロディだけ聴けば古いタイプの中国語ポップスも連想させる内容。特にマイナー調のムダに大げさな哀愁テイストとか。エコーの深いシンセとスネア、シンプルなバンドサウンドはシティポップス志向だったりもして(でも要所で差し込まれるギターは演歌風)。ボケーッと聴く分には害はない。マジメに聴くと時間と人生のムダだけど。


さて次はトルコの音楽だ。コレはボクの両親がトルコで買ってきたおミヤゲだ。
●他のイスラム社会はわからないけど、トルコは実にポップミュージックの発達した国だ。独自の美学で独特の進化を果たしたダンスミュージックを持っている。


TARKAN「KARMA」

TARKAN「KARMA」2001年
●カレこそ文字通りの「トルコのスーパースター」。現地では「ポップスのプリンス」と呼ばれている。多分、アメリカなら JUSTIN TIMBERLAKE のポジション。日本なら……堂本光一? ボクは今から10年前に一人旅でトルコに遊びに行ったが、その段階ですでに彼の国のトップスターとして君臨してた。CD屋のオニイさんに「トルコのダンスミュージックを教えて欲しい」とたずねて、一発でこの TARKAN のアルバムを推薦された。だから、このアルバムは、ボクにとってトルコ土産としては意外性のないアイテムであった。むしろ最新盤を買ってくりゃイイのにナゼか中途半端に旧譜を買ってくるとはヘンなハナシだなと思った。
●10年前にはネットも WIKIPEDIA もココまで普及してなかったが、今では検索すればこのトルコのアーティストについても詳しい英語の記事が見つかる。彼はドイツ生まれのトルコ人。以前在独トルコ人ヒップホップを買ったコトを思い出した。ドイツには随分とトルコ人移民がいるんだなあ。1991年、19歳の頃から活動開始、セカンドが200万枚の大ヒット。オマケにヨーロッパ全土でもヒットが飛び火し、史上初めてトルコ人パフォーマーが欧州市場に認められた例となる。今では、ドイツ、オーストリア、ブルガリアにルーマニア、ロシア、アゼルバイジャン、ドバイ、イギリス、そしてアメリカまでその活躍の舞台を広げているという。
●オリエンタル・テイスト全開!シーケンサーで組んだ打ち込みリズム(ややトランス入ってます)とタブラやディジリドゥーまで動員したパーカッシブなビートが実に珍味。21世紀標準のダンスミュージックに中近東のエキゾ風味が絶妙に合体してスゲエユニークな音楽を作ってる。そこに、哀愁漂うジプシー・ギターやアコーディオンが色を添える。その上をマイナーラインのメロディに乗って切なげに絞り出すように歌うセクシーボイス。踊れるのに切ない。この不思議な塩梅がトルコの音楽の醍醐味なんだろうな。


Ebru G?nde?「EVET」

EBRU GUNDES「EVET」2008年
●意思の強そうなトンガッたマユゲとマスカラタップリのマツゲ。見た目以上に低い声で、やはりマイナー調のメロディを哀愁タップリで歌う。彼女は悲恋のウタばかり歌うシンガーらしくて、ダンスビート抜きのバラードもアルバムの半分くらい収録。それでも、独特のリズムが日本人好みのオトナシいバラードにはしない。パーカッシブな体質はトルコ人にはマストなんだろうか。
●で、この女性のナマエも早速ネットで検索して英語のわかりやすいプロフィールに到達した。そしたら、10年前にこの人のCDをボクが買っていた事が判明した。女性の10年は長い。印象まるで変わっちゃってるもんね。以前はアイドルポップスが聴きたいと思ってこの娘のCDを買った。今はかなり貫禄ついちゃって、アイドルとはいいづらいもんね。女優さんとしても活躍してるみたい。

ebru-gundes/Sen Allah’?n Bir L?tfusun

(10年前に自分で買ったCD。ほら、昔はこんなにチャーミングな女子だったんだよ。)

日曜日の朝、息子ノマドは早起きだ。
●7時からはじまるアニメ「正面突破バシン」をいち早く見たいからだ。カードゲーム「バトルスピリッツ」に100%乗っかったアニメで、そろそろ物語はクライマックスに差し掛かっている。ボク自身は見てないから分からんけど、因縁のラスボスの正体が徐々に明らかになり、最後の対決まであと一歩みたいだ。
おいおい、最終回かよ!これまで集めてきた大量のカードはムダになるのか?と親のボクは不安になったのだが、今月号の「ケロケロエース」の特集記事によると、新しいシリーズが始まるらしい。もっと対象年齢層を上に設定したアニメにモデルチェンジされる。多分、仕掛け側のバンダイは、ポケモンに夢中な小学校低学年を購買対象と見積もっていたのだが、実際にバトスピキャンペーンを転がし始めたら、メインのゲームプレイヤー層が小学校高学年&中学生だったと分かってしまったらしい。ハッキリ言ってこのゲームのシステムは複雑だよ。ノマドの年齢じゃ本来ややこしすぎる、だからココに来て路線変更だ。
●実際、ノマド以外でこのゲームが好きだという子は、みんな年長のお兄ちゃんがいる子ばかりだ。先日ウチに遊びに来てくれたクラスメートのタクくんは、お兄ちゃんの影響で遊び始めたらしい。ノマドは滅多に見つからない同好の仲間の出現が嬉しかったらしく、お互いのカードの交換会をしてた。タクくんは、ビックリするほど強力なカードをノマドにくれた。「ノマド、こんなスゴいカードもらっちゃってダイジョウブなのか?ノマドは代わりにナニを上げたんだ?」「えーと、翼竜アイバーンとか。」そんな弱いのでイイのか!最初期の最弱カードじゃないか!「はじめてみたってタクくんいってた」……タクくん、おそらくゲームを始めたのが遅かったから、アニメでよく登場する基本的なカードが珍しかったのかな?

●ノマドはノマドで、最新カードを入荷した。それに対抗してボクもニューカードを仕入れたけどね。
バトルスピリッツ 構築済みデッキ 白銀の機神
「構築済みデッキ・白銀の機神」ノマドがおこづかいで買ったヤツ。

バトルスピリッツ 構築済みデッキ 紅蓮の稲妻
「構築済みデッキ・紅蓮の稲妻」ボクが大人げなく対抗して買い足したヤツ。


●週末はたくさんバトルしました。親子で。タクくんがくれたカードが効いてて強い。マジでガチ、マジで五分。そしてボクがねじ伏せるとノマドマジで泣く。



なんか今日は日本語ラップに浸ってたい。
●この前、日本のニューウェーブの歴史が、日本のヒップホップの歴史にまで直結している事がわかって(ソレに絡んだ記事はこちら)、その後のヒップホップの流れも辿ってみたくなった。

スチャダラパー「CAN YOU COLABORATE ?」
スチャダラパー「CAN YOU COLABORATE ?」
スチャダラパーは1988年、日本初のクラブミュージックレーベル MAJOR FORCE からキャリアを起こして、20年以上の長きに渡ってシーンをサヴァイブしてきたユニットだ。デビュー同時期に NY で起こったニュースクール・ムーブメントと連動して、ハードコア路線から逸脱する「おもろラップ」のスタイルを確立。時代によってはそれがアゲインストだったりもしたが、日本にヒップホップを普及させる大きな推進力になった。ボーズのラップは、コミカルな言葉選びや飄々としたフロウで聞き間違いが出来ないほどの個性を放ってるし、ビートメイカー・シンコのトラックは今だ重要な存在感を持ってると思う。
●そんでこのアルバムは全三昧組。CD二枚は様々なコラボレーションで生まれた楽曲がいっぱい。電気GROOVE から RIP SLYME、ALFA、NIGO、CORNELIUS、アルファ、かせきさいだぁー、TSUTCHIE、グループ魂などなどなどとタッグを組む。日本版マスロックバンド SLY MONGOOSE との合体ユニット THE HALLO WORKS 「今夜はブギーバック」をリメイクとかもする。

●三枚目のDVDはスチャのプロモビデオ集。本人コメンタリーがメチャオモシロい。最初期のディレクターはソラミミスト安齋肇さん。カメオ出演が実は豪華でした。ワハハ本舗のウメちゃん/佐藤さん、ASA-CHANG(巡礼)、高木完、ECD、ラッキー池田などなど……。小沢健二までチラッと写ってた。コレはコメンタリー聞かないと絶対にわかんなかった。結局全員トモダチなんだけど。
●そして東芝EMI時代はあのタケイグッドマンが監督として登場。もう手作り感とゲリラ感が革命的に満載ボーズ「これ許可とってねえし(笑)怒られたら、卒業制作なんです~学生なんです、って言う」。そう、タケイグッドマンは90年代の映像作家としてボクには(多分ボクの学生時代の仲間にとっても)ドでかいインパクトを与えた人物だ。この人は8ミリフィルム以降、AVID、FINAL CUT 編集以前の時代、とんちアイディアとMINI-DVデジカム(または HI-8!みんな知ってる?)、それとビデオミキサーみたいなモンでビックリするようなシロモノを作ってた人。マネしようと思えばマネできるかもしれないロウテクな演出にスゴく親近感が持てて、でも秀逸な一発アイディア芸のオドロキ&細かさにビビる仕掛け。
●そのタケイ演出最高潮がシングル「大人になっても」。メンバーの写真を大量に撮影し、ソレを切り抜いて10センチ大の人形にする。その人形を、自宅リビングに組み込んだオモシログッズの山の中で、パラパラコマ撮りの要領で動かすという。切り抜き作業はタケイ氏の奥さんからボーズの弟まで稼働した家内制手工業スタイル。「やれるかどうか、と考える前にまず始めるって感覚」ボース
「アクアフレッシュ」のワンカット全編長回しもワザアリ。江ノ島水族館を借り切って、三人が水槽の間を跳ね回るプロモだが、実は微妙にカメラの撮影スピードを早くしたり遅くしたりしている。画面的には早回しになったりスローになったりするのね。しかし、撮影スピードが変わってるのにラップの口の動きがズレナイ。ということは、撮影スピードの変化に合わせてラップのスピードも変えないとイケナイのです。だから三人は突然2倍速になったりゆっくりになったりする音楽に合わせて現場でラップしているという。……芸が細かい!


TOKYO NO.1 SOUL SET「TRIPLE BARREL」

TOKYO NO.1 SOUL SET「TRIPLE BARREL」1995年
スチャダラパーは、自分たちのクルーを組織し、それを「LB NATION」と呼んだ。AFRIKKA BANBAATAA ZULU NATION DE LA SOUL NATIVE TONGUE がイメージにあったに違いない。「LB」には、ナオヒロック&スズキスムース、クボタタケシ率いるキミドリ、大阪出身の脱線3、千葉の四街道ネイチャー、ギターバンド・ホフディラン、文学ラッパー・かせきさいだぁーなどが所属してた。ヒップホップというジャンルからも余裕で逸脱するカオ揃えだ。タケイグッドマンもかつては THE CARTOONS というユニットで活動していたが、演奏以外になぜかコントをやってしまうヘンな連中として知られていた。
TOKYO NO.1 SOUL SET はそんな「LB NATION」の重要メンバーだった。そんでヒップホップから自由に逸脱する感覚も実に「LB」的だった。ボーカリスト BIKKE のリリックはひどく抽象的な文章で、音楽に合わせて棒読みしてるように聴こえる。バンドには渡辺俊美というギタリストがいて、サビを朗々と歌い上げ、ライブではかなり大胆にギターを鳴らした。トラックメイカーの川辺ヒロシだけは、現役のクラブDJであり、レアグルーヴを繋ぎ合わせたループを見事に組み上げてた、ココだけがヒップホップに見えたなあ。「MORE BIG PARTY」という曲のサビが THE KLF「THE JUSTIFIED AND ANCIENT (ALL BOUND FOR MU MU LAND)」のまんまパクリ替えウタだったのは、ご愛嬌なのか当時誰も指摘してなかったような気がする。
●つまりはド直球の「渋谷系」。しかしなぜか所属レーベルは、あのロックギタリスト CHAR さんのハードロック系レーベル「江戸屋レコード」。学生時代に仲間がイベント出演交渉に電話をかけたら、レーベルの人に「そんなアーティストはウチにいません!」とスゴい剣幕で怒鳴られたと言ってた。コレは彼らにまつわる笑える個人的思い出。


TOKYO NO.1 SOUL SET「真昼の完全試合」

TOKYO NO.1 SOUL SET「真昼の完全試合」1995年
●こちらはDVDのプロモーションビデオ集だ。元はVHSでリリースされたモンがDVDで再発されたモノ。VHSでは持ってたんだけど、月日が流れるままに劣化するのを食い止められないのが心配だったが、たまたま知人がコレをボクにくれた。ラッキー!その知人曰く「たまたま入手しちゃったんだけど、コレを面白がる人が unimogroove さん以外に思いつかなかった」。ボクは希少動物か?
●さて、スチャダラパーのビデオを多く手掛けたタケイグッドマン氏が、ココでは全編監督として活躍している。ココでの重要なオモシロさは、映像に音楽をしっかりシンクロさせようとする部分だ。TOKYO NO.1 SOUL SET のプロモでは、トラックのループ感により絡まる編集を施してる。一小節ごとに何回も何回も短いカットをループさせ、半ば陶酔感さえ感じさせる。よりデジカム度が上がって、よりリズムシンクロ主義が上がってる。ライブビデオでは、LB の連中が拠点としてたシモキタザワのライブハウス・スリッツ(現・CLUB Q)での撮影が出て来て、当時を知る者としては懐かしい。


さて、1995年は日本のヒップホップにとって重要な年だ。この年に世代交替が一気に進む。

TOKYO NO.1 SOUL SET の代表曲に「黄昏'95~太陽の季節」というのがある。シングルにもなったし前述の「TRIPLE BARREL」の一曲目にも収録されてる。この曲のプロモ、DVDのエンドロールみたいな位置づけで、画面イッパイにクレジットが流れてくる。まるでそれが青春映画のエンドシーンみたいだった。スチャや彼らが牽引してきた、言わば「文化系~インドア系」ヒップホップの時代が「黄昏」を迎えたのを象徴していたようにも思える。
スチャダラパーにも名曲があって、「サマージャム '95」ってのがある。1995年の「5TH WHEEL 2 THE COACH」というアルバムに収録されてる。このアルバムは「おもろラップ」路線におけるスチャダラパーの最高傑作だと思う。「サマージャム '95」は徹底した意味なし余談レベルトークを、夏の火照りにポワーッとしながらダラダラ展開していく曲。メッセージもレンアイも登場しない。ダラダラ。ダラダラがゆえにとってもピース。「みんなそそのかされちまう。ついつい流されちまう。結局アツさでまいっちまう。夏のせい?」メロウで甘く脱力なトラックが晩夏の気配も漂わせて、能天気なリリックがメランコリックにも聴こえる。ココにも一種の「黄昏」気分がある。
●ジェイヒップホップがお茶の間に一気に浸透した EAST END × YURI のブレイク(「DA.YO.NE」「MAICCA~まいっか」)も1994年&1995年の出来事だ。そこから日本のヒップホップは大きく舵を切るコトになる。

「5TH WHEEL 2 THE COACH」

(「5TH WHEEL 2 THE COACH」 英語の慣用句で、意味は「蛇足」。とてもスチャらしい。)


時代は、「文化系~オタク系」から「不良系~体育会系」へ。
●1995年というタイミングでジェイヒップホップの新世代が台頭し始めた。アメリカのヒップホップの影響を直球で受けた、もっとハードコアでワイルドな若い世代が出現したのだ。1995年には、KING GHDDRA、MICROPHONE PAGER がアルバムをドロップ。RHYMESTER も頭角を現す。翌1996年には、BUDDHA BRAND、SHAKKAZOMBIE がメジャーデビュー。ECD 主催による伝説的イベント「さんぴんCAMP」日比谷野音で開催される。時代はガラリと入れ替わり、一気にハードコアヒップホップが時流を掴むのである。そんでこのヘンのハナシはまた別の時に。



●ちょっとヨコミチにそれるけど、ちょっとした珍品。小室哲哉製ヒップホップ。


MOON TRAP : MARC PANTHER「LUNA XXX THE EARTH」

MOON TRAP / MARC PANTHER「LUNA XXX THE EARTH」1995年
●これはフジテレビが仕掛けたオリジナルミュージカル「月が地球にKISSをする」のためのサウンドトラックというシロモノ。プロデュースが小室哲哉。シンセのプログラムや MARC PANTHER の楽曲の作曲を手掛けている。MOON TRAP ってのはこの舞台のキャストで、ヒップホップのスキル(ラップ/ボーカル/ダンス)でオーディションされた連中。フジテレビのプロデューサーさんがロックミュージカル「HAIR」1969年を意識して、ヒップホップでミュージカルを作りたいとライナーノーツで熱く語ってる。その段階でもうイタい気配が。オッサンが訳知り顔で若者文化にカオを突っ込んでるダメな感じ。この人、作詞までに関わってる。
●さて、小室哲哉は海外のミュージックシーンをうまく日本市場に移植して数々のヒットを飛ばして来た。1995年は彼の音楽の全盛期。しかし!彼はヒップホップだけはモノにできなかった。実はこのCDはリアルタイムで聴いてたんだけど、その段階でもうイケテナイと思った。ラップはまあこの際はおいといて、トラックが死ぬほどオモシロくないんですよ。サンプルを全く使ってないのはこの時代としてはあり得ないほど味気なく聴こえたし、サンプル時代が終わった今に聴いても、無味乾燥な印象でしかない。唯一の救いはキックが強いコト。うーん、ヒップホップのトラックに血と魂を通わせるのは、特別なファンクネスが必要らしい。そしてコムロにはそれがない。
globe 結成はこの次の年だが、MARC PANTHER のサムさはこの頃から立派に健在です。


土日の習慣は、近所の喫茶店でコーヒー。
●一時期カフェ巡りが楽しかったボクだが、最近は180円でコーヒーが飲める色気のナイカフェに通っている。価格に釣り合ったあまり美味しくないコーヒー。イマドキの風潮にモロ逆らって「オール喫煙席」。セマッ苦しくて窓のない客席では、ヘビースモーカーな皆さんが遠慮もなくモクモクさせてる。もはや壁がヤニでやや黄ばんでいる。スポーツ紙と一般紙が数部置かれていて、ソレをミンナが代わりばんこに読んでいる。そんなバショで午後をタップリ過ごし、マンガ雑誌や本をゆっくり読むのが好き。
ココが気に入っているのは、iPod で好きな音楽が遠慮なく聴ける事。ボクのよく行ってたコダワリのカフェはみんなBGMにもこだわってて、その店の特徴になってたりしてた。ソコで聴く音楽の楽しみもあるんだけど、裏返せば自分の聴きたい曲を iPod で聴くと少々微妙な感じになる。「ウチは音楽のボリュームを大きくしてますんで」とわざわざマスターが断ってくれる店で、ソレから耳を塞ぐようにイヤホンを耳に詰め込めるって、一種の挑戦だよね。だから自分で聴きたい音楽が決まってる日はコダワリのない店に行く。

何度も通ってると店員さんや常連さんのカオも覚える。
●薄手の派手柄セーターとゴールドのネックレス、そして深紅のルーズなパンツという、ハイレベルなコーディネートがギラつくオジさんは、てっとり早くヤ○ザ屋さんなオーラを醸し出して、その大味な鼻の穴からマイルドセブンの煙をフカシ出す。時々、似たようなオジさん同士で人生相談めいたトークを交わしている。相手がスナックのママさん・非番バージョンである場合もある。
●カイシャの先輩で近所に住むHさんが、スポーツ紙の競馬面を真剣に読んでいる場面もよく見る。狭い店内なのに、お互いの読むモノに集中し過ぎて気付かない事もあった。
何人かいる店員さんの中で一番注目しているのは、20歳代前半の中国人のオンナノコ。大きい黒目と長いまつげ。高い鼻が少し上向きで鼻の穴が目立つ。この鼻から少し空気が抜けているのか、日本語のイントネーションがふわーっと脱力気味で、「はりかとうこさいましたー」「おかえしにしゅうへんてーす」と濁点が全て抜けて聞こえる。会話らしい会話は全然したコトないが、彼女と半日デートしたら多分ボクは癒されると思う。



●さて、今日の読書は、ドス黒い内容の本だった。


野中広務・辛淑玉「差別と日本人」

野中広務・辛淑玉「差別と日本人」
野中広務という政治家について、ボクはまったく知識はなかった。小泉旋風の中でリタイアした古いタイプの自民党政治家というイメージでしかなかった。当然、この本の重要なポイントである「彼が被差別部落の出身者」であることなんて、初めて知った。「被差別部落出身者」という出自を明らかにしながら、一時期は官房長官を務めるなど日本政治の中枢にまで食い込んだオトコは、この世で彼しかいない、そんな新聞のコピーを読んで、速攻で喰いついてしまった。そんなオトコが、在日コリアンの論客である辛淑玉という女性と対談をする。
野中広務は大正14年生まれの83歳。戦前の軍国主義教育を受けて育ち、第二次大戦の最末期に6ヶ月だけの従軍経験もある。京都府の現南丹市園部町出身。中学生の時、同じ学校の連中が「アイツは部落の人間だよ」と自分の噂をしているのを聞いて、初めて自分が「被差別部落」の人間であることを知った。戦後、成人して大阪で働いていた頃、手をかけて同郷の後輩の進学の世話をしてやってたのに、その後輩がやはり「あの人は地元じゃ部落の人だから」と噂するのを聞いて激しくショックを受ける。コレをキッカケに故郷に戻り、町会議員の立場から政治の道へ入っていく。
●東京でずっと暮らして来たボクにとって、「被差別部落」の問題、同和問題ってのはとても縁遠く、ピンとこないテーマだ。だから、この本に出てくる、差別にまつわる様々なエピソードは初耳のモノばかりで死ぬほどウンザリした。エセ同和とかヤミ専従問題とか、辛さん側から出てくる在日社会の問題、そしてオキナワ問題、日の丸・君が代問題、従軍慰安婦問題、ハンセン病問題、などなど、日本のダークサイドが目一杯ほじくり出される。ボクなんぞが手がつけようのない闇の深さなので、もうココでは触れません。皆さん各々でこの本を読み、この国の暗黒のフォースを味わってください。
●そんで野中さんは、自民党の中でコレらの問題に間接直接に関わっておりまして、その立場からアレコレ意見を示している。保守政治家としての現実主義ってのがソコにはあって、彼の行動様式は「理念追究」じゃなくって、辛さん曰く「もめごとの処理」って感じなんです。トラブルや意見の相違があるバショへ行って、ソイツをドッカのバランスにオトし込むプロフェッショナル。クリーンな入札で「機会の均等」を図るんではなく、キタナい談合で「利益の均等」を図るタイプ。しかしその手腕で中国/北朝鮮外交のキーパーソンにもなってたりしてる。従って同和問題でも、解放同盟のようなラディカルな運動とは違うアプローチで迫る。
●一方、そんな野中さんが今かなりコダワっているのが「戦後未処理問題」と彼が呼ぶモノだ。最近の保守陣営のイメージとはウラハラに、野中さんはハッキリと「我が国が他国を侵略したんだ」と明言する。「中国にも日本が軍隊を送ったんで、中国が日本に軍を送ったわけではないわね。また北朝鮮に関して言えば、他の国とは平和友好条約なり国交樹立をしたのに、唯一取り残しておると。その国を「悪の枢軸」みたいに呼んでいる。どうも、自らが戦後問題の処理をしようという意欲に欠けているのではないか」あら、実に意外な発言。今の民主党より突っ込んだスタンスじゃないですか?
●彼が言う「戦後未処理問題」ってのは、旧日本軍が中国大陸に遺棄した化学兵器の処理問題。強制連行者の問題、原爆被災者の問題、従軍慰安婦問題、中国残留孤児問題(「日本軍が、日本が遺棄してきた日本人」と彼は呼ぶ)、そして在日コリアンへ地方参政権を与えるという運動までカバーしている。この外国人参政権問題では野中さんかなり叩かれたと自分で言ってますが。へー、なんか意外な発見が多かったな。あの戦争にダイレクトに関わった世代として、完全に尻拭いをして日本を次世代に渡したいと思ってるんだなー。

●前々から気になってた広告。

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雑誌「文芸春秋」の、駅売店でのポスター。
なんでさー、手書きタッチなの?しかもまんま習字風じゃん?オレンジとか完全に習字のセンセイの添削風でしょ。このネット時代に、敢えて超ロウテクの広告クリエイティブを選ぶ理由と狙いってナニ?……でさ、根本的に誰が書いてんの? 編集長? 毎月編集長が「おおお!スゲエコピーを思いついたぞ!オレの筆と硯を持って来い!」と叫んでて、そして何回か半紙に書き殴って、「よっしゃ!コレだ!コレを印刷しろ!」「ウィッス!頂きます!」というような儀式があるんかなー?


●さて、ハナシは全然変わりまして…。


●えーとですね……先日の記事(コチラ)では、ホント珍しくポリティカルな話題をしてしまいました。その続きにあたるハナシにしたいんだけど…そうなるかは自信がないです。もうちょっと普遍的なハナシにしたいんですよホントは。


今回の衆院総選挙は、「ネット選挙」って性質があるんじゃないのかな?
●4年前には普及してなかった技術が吹き荒れてる!とにかく YOU TUBE がスゲエ!選挙関係の動画がテンコモリになってる!この動画系のサービスをフルに活かして、今までカオの見えなかった政治家、候補者がジブンの肉声でジブンの持論を展開している。へーウチの選挙区で立候補するあのポスターのヒトってこんなシャベリ方するんだー。しかもシャベリが下手ー!ナニ言ってるかワカンナい&ツマンナい!…というコトで実に楽しい発見がある。
●しかし、公職選挙法の規定で、選挙公示以後はネットでの自由な発言は禁止されてるらしい。でも実は今回は結果的に、法律の弾力的解釈で自民党/民主党ともにネットでの情報発信を公示後も積極的に行ったそうだ。「特定候補者を取り上げなければ選挙運動にあたらない」ので選挙運動ではないという言い分で。

●8月25日の読売新聞ではこんな記事が。抜粋引用。


 今回の衆院選で劣勢が伝えられる自民党は、民主党を痛烈に批判するいわゆる「ネガティブ・キャンペーン」をホームページ上で展開、18日の公示後も更新を続けている。
 ホームページで見られるのは、「みなさん、知っていますか―十人十色の民主党」「民主党さん本当に大丈夫?」「民主党=日教組に日本は任せられない」などのタイトルが付き、民主党を厳しく批判する資料だ。これらの資料は、党公認候補の事務所や、演説会で配布したりしている。
 ネット上では、新しい動画CMも公示後に流している。
 自民党の広報担当者は「民主党の政策は突っ込みどころ満載だ。こうした問題点をそのままにしておくわけにはいかない」と強調する。公職選挙法との関係については、「政党の通常の政策、政治活動で、問題ない。候補者の名前は出さないよう、十分気を付けている」と話す。
 一方、民主党も今回の衆院選から初めて、全国を遊説する党三役の動きを写真とともに連日ホームページで「ニュース」として更新し、演説の内容も載せている。同党広報担当は、「党の政治活動の一環で、問題ない」と話す。自民、民主両党とも、「特定候補者を取り上げなければ選挙運動にあたらない」との解釈で、積極的なネット活用が目立つ。


●実際、自民党のホームページの「民主党研究」というシリーズは大分オモシロかった。民主党のホームページよりも詳しく民主党のコトが説明されてて、「へー」という話もあれば「この程度ならボクにとって問題はない」という話もあった。この公職選挙法って法律は、そのうち少し変えた方がイイと思う。


「政治」的コミュニケーションの有り様は、時代で変わる。
現代を「ネット」の時代と見立ててみる。今回の選挙では、職業的マスメディアと間接代議制民主主義を、ネットメディアが醸し出す直接民主主義気分が補填していく雰囲気があったと思う。で、この方向性はこれからも発展していくだろう。誰もが世間にヒトコト物申す事を可能にしたテクノロジーは、究極の「政治」的コミュニケーションの状況を準備する。誰もがネットを利用するし、誰もがネットを無視できない。
●一転遡って、約70年前。第二次世界大戦が吹き荒れた時代は、究極の「政治」的コミュニケーション、「戦争」が最新の流行だった。コレは団塊ジュニアであるボクの祖父母の時代であり、先日このブロクで紹介したマンガ「この世界の片隅で」の時代だ(コチラ)。
●そんでだ、ボクの父母の世代、つまり元祖・団塊世代の時代にも、ある意味で究極の「政治」的コミュニケーションの形態が世間を席巻してた。この時代の流行は、「革命」というキーワードだ。ボクはまたしてもマンガでこの時代の気分を感じる。


山本直樹「レッド

山本直樹「レッド 1969~1972」1~3巻
●エロ路線を軸足に独自のシュールなワールドを形成して、もはや日本マンガ界の重鎮となってしまった山本直樹。そんな作家が、ビックリするほどタフな題材を取上げてマンガにしている。それがこの作品。サブタイトルにある通り、1969年から1972年の極左運動、しかも赤軍派周辺を取り上げているのだ。意外!
●とはいいつつも作者には、彼らの極左主義イデオロギーを細かく噛み砕いて運動の根拠や方向性を説明するような事には 100% 関心がなくてですね、20歳そこそこのごくフツウの学生君が、ナニがなんだかワケも分からず過激な政治活動にノメり込んでいく様子を、アンチドラマチックに、オフビート気味に、ただ淡々と、カッコツケもせずに描写してるだけなんです。もう目線が冷たいったらないね。
●作者の冷たい態度をハッキリと象徴しているのが、ワンエピソードごとの最後に出てくるナレーション風ト書き。テロを含む極左運動に没頭する若者たち一人一人に対して「岩木 この時22歳 長野県■■駅で逮捕されるまであと247日」「高千穂 この時21歳 群馬県山中で死亡するまであと198日」というように、時限爆弾みたいな破滅のカウントダウンをくっつける。オマケに、内ゲバなどで死んじゃうキャラクターには、殺される順番にナンバリングがされてて、その数字が終始アタマにくっついている。コレが実にシュールでイイ味出してます。
●そんなトーンなので、一体ナニが彼らを過激な違法活動に駆り立ててるのか?実はちっとも理解出来ない。ソコの前提がスッポリ抜けてる。ナニを目指しているのか、ナニが目的でナニが見返りなのか、作者は全く説明しないし、登場人物は読者を放っといてズンズンと自分たちの運命をヤバいトコロにセッセと運んでいる。東大紛争が終結して、一気に全共闘運動が熱を失っていく中、そして「シラケ」が徐々に世間を覆う中、登場人物は躊躇なく法律を踏み越えて過激化し、仲間同士の殺戮に向かって突っ走っていくのです。
ただ、言える事は、彼らのボキャブラリーが実に政治チック。「半合法部で痴漢事件が発生しました。闘争の中であってはならない行為です。思い当たることのある者は自己批判してください」20歳代そこそこの若モンが仲間同士のトークでこの堅苦しい言葉使い…。そんで得意げに彼らの時代の政治用語をあーだこーだしゃべる。これは今の女子高生が使うギャル語のように当時の流行だったに違いない。


●そんな彼らが一番大事にしている言葉が「革命」
●ボクが「革命」を、ある意味究極な「政治」的コミュニケーションと考えるのは、「革命」には実体がないから。この60年代の若者たちにとって、「革命」は社会正義とか冒険精神とか義憤とかロマンとかファッションとかイカしたポーズとかの意味が強くって、リアルなモンとしては全然ピンとキてなかったような気がする。ある意味の理想主義が生み出した幻想。ココロの内側にあって想うモノ。そんなモンに非合法で関わって命を賭けるなんてスゴいよね。だからある意味で究極。そう思う。
●だって、この時代においても直近なリアル革命なんて、1917年の「ロシア革命」くらいでしょ。しかも21世紀の今から眺めちゃうと大幅にスベった感じがしてるし。1789年「フランス革命」ですら、つぶさに見ると結構ヤバい。コレはまた別で語りたいテーマだけど。


でもでもでもさ、この「革命」を過去のモンと葬り去るのはチト早いのよ。
●政治的無関心が日本人の標準になって久しい昨今ですが、60年安保から70年安保の10年間はユースカルチャーと政治運動が絡み合ってた。そんでですね、この時代の若者ってのが、民主党のリーダーの世代(&自民党の中堅世代)なんですよ。例えば、鳩山由紀夫は現在62歳、1969年には22歳。菅直人も現在62歳で、1969年には22歳。岡田克也は現在56歳で、1969年には16歳。小沢一郎は現在67歳、1969年には27歳そしてこの年に初当選(←小泉ジュニアより若くして当選してる!)。まさか、連中がこの政権交替を「革命」だなんて思ってるなんてコトはないと思うけど、あの時代の心性を持った人たちが今の日本を握っているのです。
●ボクは別にソレが悪いとは思ってない。だけど、連中の政策が、理想主義っぽく聞こえたり、ホントに実現出来るのかな~と不安に思っちゃうような聞こえ方をするのは、世代の気分がそうさせてるのかも知れない、とチョッピリと思ったのでした。モチロン、国政は若造テロリストの夢想とは違うので、ジックリ取り組んで物事を実現させてもらうコトを強くお願いしますけど。



●シラケの時代のBGM?

和幸「ひっぴいえんど」
和幸「ひっぴいえんど」2009年
「カズコウ」と読みます。フォーク・クルセダーズ、サディステック・ミカ・バンド加藤和彦と、THE ALFEE坂崎幸之助がタッグを組んだユニット。60年代~70年代の音楽シーンを最前線で眺めて来た生き証人である加藤が、1974年デビューとやや後輩の坂崎を誘ってプレイするのは、あのフォークの時代の総括。一曲目で表題曲の「ひっぴいえんど」は、伝説のロックバンド「はっぴいえんど」をもじってると見せかけて、ヒッピーとしての中途半端なセイシュンを終わらせる瞬間を迎える若者のウタ。切ないメロディがちょっと BOB DYLAN 風のフォークロックに乗っかってる。ちょっと歌詞を読んでください。

「髪が長いだけで嬉しかった 座り込んだり 叩かれたり 叩いたり
 石をなげても なんか半端で あいつらなんかには伝わるでもなし
 そんな毎日が 何故か不思議で うきうきしていた

 でも 終わりだよ でも 終わりだよ 
 はやく おいでよと 社会が待ってる
 もう ひっぴいえんど もうひっぴいえんど」

●大人になれないヤツがテロリストにはなったが、大部分の連中は、ヒッピーな自分にキチンとお別れしたらしい…。ヒッピーにならなかった人もいるでしょうし。ちなみにボクの父親は、まるでノンポリな学生として、髪の毛も伸ばさず、着たきりの学ランを来て過ごしてたそうだ。「なんかソレっぽい場所に行ったりしたの?」とボクが聞くと、「そういや、うたごえ喫茶に行ったなあ!ロシア民謡をみんなで歌うんだわ」と言ってた。うーん、カッコ悪い。60年代末で「うたごえ喫茶」は既にオールドファッションだったはずだ。ま、そんなハナシはどうでもヨクて、とにかくこの世代は、マズはちゃんと一区切りして大人になる段取りを受け入れた。
●……じゃあボクの世代は?いやいやボクは?ぶっちゃけ、30歳代真ん中にしてアタマん中まだコドモ。こういうのを「幼形成熟」とか「ネオテニー」って言うんでしょ?中途半端な人生だよ。
●オリジナル楽曲もイイけど、あの時代を象徴するようなカバー、遠藤賢司「カレーライス」、かまやつひろし「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」、岡林信康「自由への長い旅」がイイ。
ヒヨコの夏休み。
●ヒヨコのこの夏イチバンの思い出は、ゾウさんと遊ぶことが出来たコトです。プーケットのリゾートには赤ちゃんゾウさんのラッキーちゃんとリリーちゃんがいて、背中に乗ったり、肩を叩いてもらったり、あの長い鼻にギュッと握手してもらいました。ヒヨコがこうしてゾウと戯れている時、ヘタレのノマドはあんな巨大動物には近寄れないと逃げ回っていました。

P8275184.jpg ハナでまきまきっと握手。
P8265172.jpg 肩をトントンと叩いてくれる。

●この体験がとても楽しかったのか、タイのおミヤゲショップでヒヨコはゾウのヌイグルミを買ってもらった。お気に入りでコレなしでは眠れないウサギのベリーちゃんが、このゾウさんの背中に乗って遊んでいます。

P8265155.jpg ベリーちゃんは当然、タイまで同行。


そんなヒヨコの自由研究。
●最近、裁縫の楽しさを知ったヒヨコは、ママに型紙の部分で手伝ってもらいながら、ほぼ独力でウサギのヌイグルミを作ってしまいました。

P1001411.jpg

●最後の仕上げに、リボンやビーズのネックレス、ブレスレットまでつけてもらってとってもデコラティブなウサギさんになりました。
●なんか、思った以上に真っ当なツクリになってしまって、まるで親が作ったようにみえるので、ヒヨコには制作マニュアルを作ってもらいました。

P1001414.jpg ぬいぐるみのつくりかた

P1001412.jpg 型紙からパーツを切り出す作業

P1001413.jpg 綿を詰めてカオを作る作業。

●新学期が始まり、クラスでは自由研究の発表会があったそうです。ヒヨコはなんて発表したの?「ウサギのヌイグルミをつくりました、イチバンタイヘンだったコトは、ジをかくことです、っていった。」えー!ウサギのヌイグルミじゃなくて、説明書の字が大変だったの!それでみんなはなんていうの?「ハクシュしてつぎのひとのはっぴょう。」えー、ツッコミもなしかい!



そんなボクは娘ヒヨコ小学一年生に、チャットモンチーを聴かせている。

チャットモンチー「告白」
チャットモンチー「告白」2009年
●このアルバムからの先行シングル「ヒラヒラヒラク秘密の扉」がダイスキだ。正確に言うと、娘ヒヨコの歌うこの曲がダイスキだ。このバンドのボーカル橋本絵莉子の半ばスットンキョウな、どこか幼さの漂う高い声が、6歳とはいえそれより一回り幼く見えるチビヒヨコの舌っタラズな声と実に相性がイイ。そんで何度もヒヨコにこの曲を聴かせ、歌詞をひらがなに全部書き換えてプリントしたりして、立派にこのウタを歌えるように仕込んだ。で「ねー?ヒヨコ、チャットモンチー歌ってよ?」とお願いしてるのだ。パパのリクエストを受けて、ヒヨコは陽気に歌ってくれる。結構密度濃く言葉が折り込まれてる曲なのだが、我が家で一番ウタが上手いヒヨコは要領よく歌ってくれる。リクエストをしなくても、風呂で一人歌ったりしてる。そんでボクは癒される。
●作詞は3人のメンバーがバラバラに担当しているようだが、背伸びしない等身大女子の言葉選びはユニークでチャーミング。それを作曲担当の橋本キャッチーな爆発力を持つメロディと伸びのイイ高音で加速発射し、高く高く気持ちイイ場所まで放り投げてくれる。「8cmのピンヒール」「ハイビスカスは冬に咲く」「風吹けば恋」を聴いてると楽しいし、その隣に娘のヒヨコがいてくれたらもっと楽しい。


DVD「チャットモンチー レストラン デザート」

●DVD「チャットモンチー レストラン デザート」
●2006年、2007年、2009年と、3枚のアルバムに対応する時期のライブをちょっとづつ収録。…ごめんなさい、正直彼女たちのルックスとかには興味ありませんでした(それにそのルックスを売るヴィジュアル戦略もあんまなかったじゃん?)。でもDVDで動く彼女たち、オフショットの彼女たちを見てたら、なんかちょっぴりカワイく見えて来ちゃった。やっぱボーカル橋本絵莉子の不思議少女な存在感は、女子の皆さんから見ればアホかと突っ込まれるでしょうが、なんだか小動物のように気になってしょうがない。そんでもって、小動物のように見えるけど、予想以上にキバとツメが尖ってて、カワイイカワイイしようとすると流血のダメージを負うのも分かっちゃった。もう目が離せない。
●もひとつ、オモシロ企画。ドラム高橋久美子が筋金入りの「歴女」であることを披露している。岐阜・犬山城を訪れ、織田信長の甲冑を身にまとって城見物。そのあまりにマヌケなルックスに、チャットモンチー関係なく周辺から記念撮影をお願いされてる。ますますアナドレナイ。


チャットモンチー「耳鳴り」

チャットモンチー「耳鳴り」2006年
●ぶっちゃけこの段階では、このバンドは多分売れないだろうなと思ってた。ファーストシングル「恋の煙」はそれなりの期待で聴いたのですよ。でもあまりに華奢な印象だった橋本のボーカルに、ガレージというには中途半端なササクレ具合。ホンモノのロックには到達してないって感じた。むしろレコーディング技術でなんとか成立させてるサウンドだと思ったですよ。
●でも、DVD「チャットモンチー レストラン デザート」を見ると、このファースト前後2006年当時のライブ(@新宿LOFT)が収録されてて、結構な演奏パワーを持ってた事がわかっちゃった。華奢と見えてたボーカル橋本のパワーがスゴい。コレでホレました。ハート持ってかれました。
「恋の煙」はさておき、「恋愛スピリッツ」の絶叫ガレージぶりは確かにホンモノ。未熟なツッコミドコロは探せばいくつもあるけど、徳島から自分たちのキラキラを信じて東京に出て来た甘酸っぱさは間違いなくホンモノなのです。


●ということで、今日の気分は女子ロックだ。


さてさて、ココからまた、ボクの昔話が始まります。90年代のガールズロックシーン。人呼んで「ライオット・ガール(RIOT GRRRRL !)」

90年代の「ライオット・ガール(RIOT GRRRRL !)」ムーブメントとは。
「ライオット・ガール(RIOT GRRRRL !)」ってのは、90年代前半のグランジ革命とほぼ時を同じくして起こったムーブメント。フェミニズムとパンクロックが合体して過激なメッセージを発射した女子ロックバンドが数々登場し、野郎に負けないド根性でヘヴィなオルタナロックをバリバリに鳴らした。「RIOT GRRRRL !」と綴る気分が、「がるるるるるる!」って感じでイメージ伝わるでしょ。カワイゲもヘッタクレもなくって、スキあらば野郎の喉笛噛み切るわよ!って勢いがあった。その一方で等身大のオンナノコを飾り気なくロックで歌うスタンスもあったりと、広いレンジで女性アーティストが活躍した時代。そんな気分を今回顧してみる。


●元祖的存在でもあり、代表選手でもあるバンドは、あのTHE PIXIES から分派した連中。


THE BREEDERS「LAST SPLASH」jpg

THE BREEDERS「LAST SPLASH」1993年
●英語で「BREED」という単語は、<(動物が子孫を)つくる、(子を)もうける、産む>という意味。だから THE BREEDERS ってのは、ある意味「女子ロック」としてはストレートなネーミングでクールだと思う。ちなみに「BLEED」<血を流す>の意味。ストーンズのアルバム「LET IT BLEED」「血を流せ!」的な意味だ。
●さて、そんなナマエを持つバンド。元祖オルタナバンド THE PIXIES の紅一点メンバー KIM DEAL がサイドプロジェクトとして、自分の双子の妹 KELLEY DEAL を誘って活躍したモンです。THE PIXIES のメインボーカル FRANK BLACK は血管ブチ切れの絶叫シンガーだが、ソレを脇からサポートしてポップに着地させる KIM のコーラスは結構イイ味を出してて、何気に際立って聴こえてた。そんなことで彼女にファンの人気が集まりバンドのパワーバランスが崩れてしまったのが THE PIXIES の分裂/活動休止の真相っぽい。
●そのザラリとクールなコーラスがセンターに移動し、しかも同じ声の双子ボーカルで少々の脱力テンションを歌ってみせたら、なかなかのオルタナアルバムが出来てしまった。このアルバム収録のヒット曲「CANNONBALL」は時代を象徴するような脱力&やりっ放し系サウンドデザインが絶妙なバランスで成り立ってる。まさに90年代クラシックス。しかもプロモも話題になった。黒くて大きなボールが街中をゴロゴロ転がるマヌケVTR。確かカントクを SONIC YOUTH の紅一点 KIM GORDON が務めたはず。その意味でも、オルタナロック界のカリスマ女子が結集した印象が強かったのです。このヒット曲のおかげで THE BREEDERS こそ KIM の本命バンドになり、THE PIXIES の活動は完全に機能不全に陥ってしまう。
●ドラムは男なんだけど、ベースは JOSEPHINE WIGGS という女性で、その後 BEASTIE BOYS のレーベル GRAND ROYAL から THE JOSEPHINE WIGGS EXPERIENCE 名義でアルバムをリリースする人物。当時のロウファイな気分と、アンチドラマチックな冷えたテンションがクールな仕上がりでおススメ出来ます。
●もうヒトコト付け加えれば、双子のイモウト KELLEY DEAL はその後見事なジャンキーへと出来上がってしまい、KIM DEAL 自身は立派なアル中になるのでした。


BELLY「STAR」

BELLY「KING」

BELLY「STAR」1993年
BELLY「KING」1995年
THE BLEEDERS のオリジナルギタリストで、「LAST SPLUSH」の時には既に脱退してた TANYA DONELLY が結成したバンドがコレ。彼女は、THROWING MUSES というバンドで80年代中盤のカレッジロックシーンから活躍しており、THE PIXIES が所属してた 4AD のレーベルメイトでもあった。この辺の人脈はみんな絡まって繋がってるのです。でも、BELLY はゴリッとしたオルタナロックというには幾分ポップで柔らかく、少し冷めたボーカルとメロディが、レーベルのセンパイ COCTEAU TWINS さえ一瞬連想させるほどだ。一見地味なんだけど、ジックリ聴くとその詩情がジンワリ伝わる。


VERUCA SALT「AMERICAN THIGHS」

VERUCA SALT「AMERICAN THIGHS」1994年
●当時は「第二の THE BREEDERS」的な評価もあったな~。女性ボーカル&ギター二人をセンターに置いて、後ろのリズム隊を男性が務める編成。少し歪んだギターをミドルテンポでズルズル響かせながら、二人の女の子がどこかユウウツなメロディを歌う。NINA GORDONLOUISE POST という娘がパーティで偶然知り合って意気投合。詞曲はお互いが出し合って歌うスタイル。NINA のアニキをドラムに誘い、ベースはオーディションで決めた。そしてそのままメジャーデビュー。そんなファーストアルバム。ちなみにバンド名は「チャーリーとチョコレート工場」に登場するヒネクレタ金持ち娘の名前をとったとな。


PJ HARVEY「RID OF ME」

PJ HARVEY「RID OF ME」1993年
●このアルバムは、ボクの中では「ライオット・ガール」うんぬんを抜きにして、90年代前半のロックシーン全体の中で最重要音源の五指に入る傑作と信じてます。プロデュースは数々のグランジアルバムを手掛けた STEVE ALBINI。彼らしいササクレだったガリガリの音像が、シンプルなロックトリオの演奏を恐ろしくリアルに響かせる。荒っぽくビリビリ振動するギター/ベースの弦が、聴く者の耳たぶを鮮やかに切断してしまうような響き。そしてそのソリッドなバンドサウンドに沈むことなく、ハリのある PJ の声、叫びが聞こえてくる。ガムシャラに喚くのではなく、ハラから振り絞るように響く彼女の声は、殺風景なノイズの嵐の中で実に凛々しく、ヒリヒリする焦燥感でヤケドしそうな位で、そしてナゼかセクシーだ。
●やはりこの時代の女性シンガーソングライター LIZ PHIAR がドッカの雑誌のインタビューにこう答えてたのを覚えてます。「今の時代(90年代)の女性アーティストの活躍は、結局マドンナが切り拓いてくれたモノだと思う。彼女が世間の波風を一身に受けて、ワタシたちに道筋をつけてくれた。ワタシは彼女が運転するモーターボートの後ろに座って「イェーイ!」って言ってるだけよ。ただ、PJ HARVEY だけは、全然別の方向にたった一人で泳いでいってる」


PJ HARVEY「STORIES FROM THE CITY, STORIES FROM THE SEA」

PJ HARVEY「STORIES FROM THE CITY, STORIES FROM THE SEA」2000年
●オンナの業を過激なコトバで焼き尽くす彼女の芸風は、完全にアメリカンスタイルと思ってたんですけど、実は PJ 、イギリス人でした。知らなかった…。今回レコーディングもロンドンでやったっぽい。ただジャケに写ってる夜の都会はどこなんだろうと思ったから、クレジット読んでて初めて気付いた次第です。出身はイングランド南部のドーセット州。実家でもチョコチョコ録り足してるみたい。なんとなくニューヨークが似合う女性だと思ってたんだけど。
●この時期は、完全に自分プロデュース体制に移行。よりシンプルなサウンドに自分の声を乗せている。この一枚前「TO BRING YOU MY LOVE」はすこしオーバープロデュースだったのに比べ、簡素が故のクールな気分と潔いカッコよさが漂ってる。それにしたって、彼女がムリ目の手強いオンナってコトには変わらないけど。そりゃジャケの立ち姿見ればもう分かるでしょ。ヘンにナンパなんてしようモノなら鼻血出るまでビンタされそう。


DAISY CHAINSAW「ELEVENTEEN」

DAISY CHAINSAW「ELEVENTEEN」1992年
●このアルバムもオルタナティブロック勃興の瞬間には極めて重要な存在感を放った作品です。グランジのグランジたる要素を余すことなく詰め込んでる。その極端に歪んだギターサウンドも十分90年代です。このグランジ度の高さからアメリカンだと思ってたけど、実はコイツらもイギリス人でした。ブリットポップ以前はこういう狼藉者がイギリスにもイッパイいたんだな。
●ソレ以上に重要なポイントは、ボーカル KATIEJANE GARSIDE ちゃんの存在。完全に不思議少女だね。ザリザリ歪んだギターのブリブリ歪んだベースがブチ鳴らす音のオリの中で、正体不明のケモノが超音波で呻きながら跳ね回ってる感じ。フラットに言えば少々クルってます。随分昔だから記憶がオボロゲだけど、彼女ロングヘアーをイロイロな色に染め上げたり、スキンヘッドにしちゃったりしてた記憶があるんですけど。というコトで、このバンドを WIKI で調べたら、ONE LITTLE INDIAN RECORDS の所属でした。つまりだ、BJORK と同じだっつーことだ!不思議少女需要が高かったのねえ。


L7「SMELL THE MAGIC」jpg

L7「SMELL THE MAGIC」1991年
●この連中は、最初はシアトルグランジの名門 SUB POP から登場したガールズ4ピースロックバンドだ。NIRVANA と同門ということで、オルタナ度は高い!学生の頃、ボクが初めての海外一人旅でシアトルまでフラフラと出向き、SUB POP 直営店とかを見て回りながら発見したCDだ。まず面構えがコワいよな…あと腕が太い!パンチが強そう!当時の日本のガールズバンドは、プリンセスプリンセスとかだったから、当時のボクには彼らがスゴくタフでクールに見えた。
SUB POP って多分そういうバショだったんですよ……SUB POP の頃の NIRVANA もムダにメタリックだった……この L7 のロックはメチャ重心が低くて、声がザリザリで、圧力は高いけどテクニックとか二の次で、首のスジがおかしくなるまでヘッドバンギングしまくるだけの音楽だわ。今冷静に考えれば、フェミニズムを標榜しながら、野郎どもよりも100倍マッチョで完全に男性化しとったかもしれない。


L7「THE BEAUTY PROCESS TRIPLE PLATINUM」

L7「THE BEAUTY PROCESS: TRIPLE PLATINUM」1997年
●さて、レーベルは STASH RECORDS というトコロに移籍し、少々のメンバーチェンジもありましたが、相変わらずサウンドはゴリゴリで(いやもっと強化されたか?)、メチャクチャ無愛想。メロディもキャッチーなフックもなくって、タダひたすらゴリゴリ、そして呻くようなボーカル。根性ハンパないです。
●どんくらい根性入っているのかというと、こんなエピソードが。あるフェスで、客に泥を投げられたコトに腹を立てたリーダー、ムカッと来てそのままジブンのパンツを下ろし、あげくタンポンを引っこ抜いて「アタシのタンポンでもくらいな!畜生!」と客にブン投げた。まさしく「ライオット・ガール!」。スゴいでしょ。
●ちなみに、このアルバムからオリジナルベーシストが脱退して、BELLY のベーシストが参加してます。ホント、アレコレで人脈がつながってんだよなー。



狭義の意味においては「ライオット・ガール」という言葉はフェミニズム運動と固く結びついている。
●80年代末~90年代前半の時代のフェミニズムは「第三世代」と言われていて、いわゆるセクシャルハラスメントやドメスティックバイオレンスを社会問題として浮き彫りにした頃。日本では、田嶋陽子さんのようなフェミニストがテレビ番組に登場して「うるさくてコワい女の人」というイメージを作った時期。しかしジェンダー社会学のようなアプローチが出て来たり、同性愛やトランスセクシャルの問題にまで理論的な検証がなされた実り多い時代でもある。ちなみに「第二世代」は60~70年代のウーマンリブの世代。「第一世代」は女性参政権などの基本的人権の男女平等を叫んだ世代だすよん。
田嶋陽子さんは様々な討論番組でアグレッシブでアジテイティヴな発言を繰り広げたが、ある意味で「ライオット・ガール」はそんな動きと大きくリンクしてた運動だった。そしてその拠点はワシントン州オリンピア。シアトルのあるワシントン州で第二の都市だ。次に挙げるバンドは、そこの出身。


SLEATER-KINNEY「THE HOT ROCK」

SLEATER-KINNEY「THE HOT ROCK」1999年
●このバンドは、「ライオット・ガール」震源地・オリンピア出身。バンドとしては後発組だけど、ホンモノのシーンの空気をよく吸って1994年に結成されました。元からメジャー指向が薄く、全てを自分たちで準備する D.I.Y.精神がとっても旺盛だったこの街のシーンは、手作り発行のミニ雑誌(いわゆる ZIN ね)などで情報交換や理論武装が行われてた。この音源は KILL ROCK STARS という名のインディレーベルからリリースされてる。もちろん地元オリンピア発で左翼/反戦/フェミニズムという政治的主張を振りかざすタイプのレーベルらしい。オリンピアの元祖「ライオット・ガール」バンド BIKINI KILL KIM GORDON のサイドユニット FREE KITTEN、デブ猛女 BETH DITTO 率いる THE GOSSIP がこのレーベルに関わっていた。
●女子三人組ですが、ギター二本でベースレスという編成。無理矢理音を歪ませたりはせず、シンプルな鳴りで折重なるようにリフを刻むギターに好感を感じる。それでもインディの荒削り感、作り込まないそっけなさはグランジ/オルタナの収穫を十分引き継いでてボクとしてはスゴく楽しい。もっと他の音を聴いてみたいと思わせる……が、2006年に惜しまれつつ活動休止に入る。


LE TIGRE「THIS ISLAND」

LE TIGRE「THIS ISLAND」2004年
●オリンピアの「ライオット・ガール」を最初から牽引していたバンドは BIKINI KILL という連中。徹底した D.I.Y.精神と過激すぎるハードコアパンクで突っ走ってました。ボクも彼らの最盛期のCDをリアルタイムに聴いてましたが、まじでハード。パンクがそんなに得意じゃないボクには何回も聴くもんじゃないと思えた。そんな彼らの活動時期は1990~98年まで。
●この BIKINI KILL のスタイルに、ちょびっと反省したのでしょうか? 中核メンバー KATHLEEN HANNA はニューヨークに移って新しいユニットを作りました。それが LE TIGRE。 結成は1998年、当時のニューヨークは「エレクトロクラッシュ」の時代。チープな打ち込みビートで駆動するダンスパンク/エレクトロに参入。そんでメジャーでリリースされた最初のアルバムがコレ。
女の子二人のカシマシいボーカルの耳障りの悪さが、やっぱりライオットなパンクなんだけど、全体的なトーンはもっと享楽的でチャーミング。チープなピコピコ駆動ビートがマヌケですが、リミックスワークとかには相性がイイのか、そんな12インチのシングルもよく見かけました。
●ジャケのセンターにはエラそうに野郎メンバーもいるじゃないか、両手に花じゃないか、と一見感じますが、ご心配なく。このイケメンの彼、なんと女性です。だから彼女。どういうわけかおヒゲも生えてますがネットで調べる限り女性です。ハッキリとレズビアンである事をカミングアウトし、レズビアンの活動家としても活躍中です。



新宿南口のルミネ、建物の横っ腹に掲げられてたコピー。

「わたしの毎日に魔法をかけて。ルミネカード」

●魔法をかけてもらえないと、毎日が窒息しそうなシンデレラちゃんが世間にはイッパイいるんだなーと思うと、ちょっと切なくなる。あと、ボクもちょっとだけでイイから魔法希望。もう少しカラダがフツウに動くようになるだけでイイから。



ノマドヒヨコも「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」をみてきました。
●ノマド、冒頭に登場する「エヴァンゲリオン仮設5号機」に感動し、レゴブロックでコレを再現する!と意気込んで帰ってきました。そんでコレがノマド版「仮設5号機」

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●右がホンモノの仮設5号機。気分伝わる?このノマドマシンは下半身が単三電池のモーター駆動で、リモコン操作で前後左右に動き回る仕掛け。結構本格的でしょ。しかし…。
●ノマド、ある日の平日、誰もが眠っている早朝に一人で起きて来て、初めての起動実験に臨んだ。エヴァンゲリオンは常に暴走する可能性があるので、この実験は慎重に行われなくてはならない。アニメ本編でも零号機の暴走で綾波レイは重傷を負ったのでした。ノマドの実験でも悲劇が。電源スイッチを入れ、リモコンのレバーを前に倒した瞬間。バキッと音がなって、上半身がバラバラに分解し、下半身のモーター部分だけが分離して廊下の向こうに走っていってしまったそうだ。……ボクが目を覚ましたら、崩壊したノマドエヴァの残骸だけが床に散らばっている。ノマドどうしたのコレ?「きどうじっけんシッパイ!」  


娘ヒヨコも意外なほどエヴァにハマってる。
●ヒヨコの第一の関心は、オンナノコたちのファッションである。就職希望はファッション業界である彼女らしい方向性だ。しかし微妙なコトをボクに聞くのよね。

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●ヒヨコ「パパ、なんでレイちゃんのフクにはオッパイ隠しがないの?」あ?「アスカちゃんのフクにはオッパイのトコロにオッパイ隠しがついているのに、そんでマリちゃんにもついているのに、レイちゃんだけナイの。かわいそうじゃん。レイちゃんのフクだけフルイのかな」……そう言われれば、アスカのプラグスーツにはヌーブラ的なブラパッドみたいなデザインがある…マリのプラグスーツはゴツいラインでカラダの線がもっとワカラナイように出来てる……でレイだけは、確かにラインがハッキリし過ぎてる。ソレがブラパッドの有無に起因してるなんて事、ボクは今まで考えてもみなかった。
●ブラパッドのことなんてオトコのボクがつけ心地を知るはずがないし、その有無の意味など答えようもない。あー、ワカランですヒヨコさん。でもプラグスーツはエヴァとシンクロするために作られてて、その下に下着をつけるのは難しいみたいだね。

「ヒヨコ、もっとパパとエヴァのおハナシしたいのー!」なんのハナシがしたいの?
「あのさー、シンジくんのお父さんのマネして!」え、碇ゲンドウ司令のマネ…?突然のリクエストだね……ボクはテーブルにヒジを立てて手を組み、そこにアゴを乗せて命令口調にしゃべる。「現時刻をもってエヴァ3号機を破棄、第8使徒と認定する!」「シンジ、戦え!戦わなければオマエが死ぬぞ」「エヴァ初号機のパイロットを放棄、システムをダミープラグへ切り替えろ」「(一人芝居で)ダミープラグは赤城博士の許可がなくては…」「かまわん!今のパイロットよりは役に立つ」「(やはり一人芝居で)父さん!ナニをしたんだ父さん!ヤメてよ!父さん!」キャハハハ!ヒヨコバカ受け!「パパもう一回やって!」え、もう一回?何度もやれるもんじゃないよタダの勢いなんだから…。「現時刻をもってエヴァ3号機を破棄、第8使徒と認定する!」結果何回もやらされた。



結局「サマーウォーズ」、見れてないんだよね。
エヴァのキャラデザインを手掛けた貞本義行さんが、やはりキャラデザインを手掛けているこのアニメ映画。評判によるとメチャメチャいいらしいんだけど。大量テレビスポットで主題歌はかなり刷り込まれた。


山下達郎「僕らの夏の夢/ミューズ」

山下達郎「僕らの夏の夢/ミューズ」2008年
「零戦が空を飛ぶ はるかな時代から 僕らがここで 出会えることも きっと決まってた」15秒スポットじゃ聴けなかったAメロパートのリリックがハッとさせる。「サマーウォーズ=夏の戦争」という時、やっぱりあの夏の記憶がどうしてもつきまとうんだな。映画のエンディングでこの曲聴いたら泣けちゃうかも。
●それと、カップリングに「アトムの子」のライブバージョンが入ってるのもウレシい。鉄腕アトムはボクにとってもオールドスクール過ぎるが、ドラえもんと双璧をなす、楽天的未来観を象徴するアイコンだ。「地球温暖化」という破滅への時限装置が作動した現在には、もっと聴かれなくちゃいけない曲。そしてホントに元気になれる。「いつでも百万馬力で みるみる力がみなぎる」!ちなみに、原曲の「鉄腕アトム」主題歌はリリックが谷川俊太郎
●20歳代前半のスタッフとこのシングルのハナシをしてたら、「曲はスゴくイイんですけど、ご本人のルックスがあんなだったなんて……ちょっとショックでした」え?達郎さんのカオ知らなかったの?「テレビとか全然出ない人だし、カオを隠してるのかと思ってました。そしたら裏ジャケに写真が載ってて…」別にあの人、自分の容姿を隠す人じゃないよ。昔はちゃんとセンタージャケに自分の写真を出してたし…テレビは出ないけど。ま~、生まれて初めて見るとしたらショックを受けてもしょうがないかもね…あのロン毛と厚ぼったいマブタはね、奥さんが美人なだけに落差が激しいよね。


山下達郎「SONORITE」

山下達郎「SONORITE」2005年
●今さらゲットした、4年前リリースの達郎さんアルバム。とはいいながら一応最新。コレ以前のアルバムはココからさらに7年遡るというのだから、メッキリ寡作になっちゃったという感じです。こりゃ若い人がカオを知らないのも納得出来る。
●改めて聴くとスゴいウェットなボーカルとシズル感タップリのアレンジに圧倒。デカい音で聴くとホントスゴいや。映画「東京タワー」リリー・フランキーじゃなくて黒木瞳&岡田准一の方ね)の主題歌「FOREVER MINE」めざましテレビのテーマソング「太陽のえくぼ」とかがなんか懐かしい。「KISS からはじまるミステリー」ではラップパートにケツメイシ RYO を召喚して00年代の時代感も摂取。A.O.R. の匂いが強いと思わせて、ソレを通り越して黄金の70年代メロウソウル、60年代アメリカンポップス、50年代ドゥーワップなどなどの膨大な音楽アーカイブを連想させるアイディアが満載。さすが博覧強記の達郎さん。リリックを奥さんが手掛けた「忘れないで」は演歌/歌謡曲に聴こえるが、一曲目「MIDAS TOUCH」はクールな80年代風ファンクだし、「ラッキーガールに花束を」も軽快なサビがキラキラでマブしいです。あと、半分以上の楽曲で、基本の楽器を全部自分でプレイしちゃってる所もスゴい。ホント立派です。


竹内まりや「BEGINNINGS」

竹内まりや「BEGINNINGS」1978年
達郎さんの奥さん・竹内まりや、デビューアルバム。彼女が23歳、慶応大学在学中の作品だ。当時のライナーノーツを読むと完全にアイドルシンガー扱いで、実際ジャケ写がとってもカワイイ。当時のニューミュージックを支える超一流作家からの提供曲がザクザク。加藤和幸、安井かずみ、細野晴臣、杉真里、大貫妙子、そしてもちろん山下達郎も。4曲がロサンゼルスレコーディングというのもかなり豪華だよね。ミュージシャンは当時の LA を代表するプレイヤーばかり。LEE RITENOUR、JIM KELTNER、その後 TOTO を結成する MIKE PORCARO などなど。アイドルのデビュー盤としては異例の豪華布陣で期待度の高さがハンパない。
●デビューシングル「戻っておいで・私の時間」が高橋幸宏さんのドラムでほんのりディスコ。実はこの時点で YMO 以前ってのが時代を感じさせる。LA 録音楽曲はどれも折り目正しくシティポップス。ちょっとオールディーズ風味も入ってます。後半はセンチメンタル・シティ・ロマンスというバンドがトラックを担当。ただ、この時代の松任谷由実を聴いてても同じコトを感じるんだけど、やっぱり歌謡曲の影がコッソリ忍び込んでいるのがミソ。弱点と見るより、邦楽としてぬぐい去れないドメスティック感覚を評価してみたい。この感覚、コトバじゃ説明出来ないんだけど。
●しかし、あんまりなアイドル仕事に、自分の本来の志向とズレを感じた彼女は1981年に一旦活動休止。キャリアを作詞作曲専業に切り替えて、河合奈保子「けんかをやめて」のヒットで実力を証明。1982年に山下達郎さんと結婚したのでした。シンガーとしての復活は1984年になります。



腰が痛い…コシが……トホホ。
●土曜日、ヨガ教室で新しいポーズが出てきました。絶対伝わらない気がするので説明するのも面倒なのですが、仰向け姿勢で、右ヒザを脇の下にくっつけるほど胸に抱え込み、一方で左足は真っ直ぐに伸ばすというポーズです。とにかくあり得ないほどにタテ方向へ股関節が開く姿勢です。センセイの見本を見ただけで「ムリムリ、死ぬ」と思ったのですが、上から丁寧に押さえ込まれて自分でもビビるほどの見事股関節全開モードへ。センセイはやっぱコツをツカんでいるのか、さほどチカラもかけず、ボクもそれほど抵抗なく動けたのですが、やっぱヤラレてました。翌日・日曜日の朝、猛烈な腰痛がボクの肉体に一斉攻撃を仕掛けて来て、身動き出来なくなりました。情けなくて泣きそうです。
●イタいよー!コシがイタい!さらに細かく言うと、背中から出発してオシリの中を通り、モモに繋がる筋肉がイタい!痛みで目が覚め、朝っパラから一人モガイておりました。ありとあらゆるクスリを飲み、風呂で腰と足を温め、「自律訓練法」で筋肉の緊張を緩和するなどなど、必死の思いで腰痛と闘いました。……闘ってないな…終始負けてました…我慢できず泣き言ばかり…イテテもう最悪。タイ・プーケットから帰国したばかりのワイフにとっては、腰痛に呻く貧弱なダンナのおかげで、バカンス気分の余韻も一瞬で消し飛ぶウンザリな状況だったにチガイありません。


しかし、選挙へ。
●この腰痛で選挙行くの無理?と一瞬心配したほどなのですが、午後2時になってやっとユックリなら立って歩くことができるようになりました。そこで、コドモ2人を従えて投票へ。
ボクは「選挙」をコドモたちに身近に感じてもらいたいと思っているので、どんな選挙でもコドモを引率します。投票所はヤツらの小学校の体育館なので、連中にも抵抗はありません。最近は、ボクの指示で投票用紙への記入もヤツらにやらせてます。「今日の選挙は、3枚書くことがある。国会議員になってもらいたい人の名前と、応援したい国会議員のグループ(つまり政党)の名前、そんで、裁判官の一番エラい人たちにマルバツをつけるコト(実際にはマルはつける必要がなかった)」ヒヨコにはナニ書いてもらおうかな?「でもヒヨコ、「子」のジしかカンジかけないよ」…小学一年生に政党名とかは難しいか…ノマドは見よう見まねで前回書けたんだけどな…じゃあ、漢字を書くのはノマドでいいや。ヒヨコはマルバツ担当で。「あ、コドモのたかさのバショもあるよ!」コドモはホントは投票出来ないの。ココは車椅子の人用の場所。


そんでだ、政権交替らしい。
「24時間テレビ」イモトアヤコの120キロマラソンをテレビの前でハイテンションで応援するノマドヒヨコ。「イモト!イモト!」とコールしながらチャブ台の周りを走り回る。おまえらナンの義理でそこまで入れ込んでるの?ウルサいから座って応援してくれよ。と思ってたら、時間切れで開票速報特番へ。で、序盤から決定的に民主党フィーバーだ。チンチンジャラジャラ確変状態だ。ドル箱ザクザクだ。すげえすげえ。あっという間に政権交替が確定し、麻生首相は完全グロッキー状態で目がドンヨリだ。ノマドヒヨコ、麻生さんチームがスゴい勢いで負けてるよ…。「でもアソウさんは、ジがよめないヒトだから、ニンキなくなっちゃったんだよ」とヒヨコ。おお、オマエえらそうなコト言うな6歳のくせに。オマエも漢字の勉強しなさい。
●さて…ボクはあらゆる選挙を20歳の頃から一度もキャンセルしたことがないというのが、一つの自慢だ。大分チャランポランな人間なのにそういうトコロは生真面目なんです。でも、そんなルールを自分に課すキッカケになった事がある。ボクが20歳になる直前、1993年7月の総選挙で、1955年以来初めての非自民党政権/細川内閣が成立したのだ。コレはワリと痛快な事件であった。ああ、テッパンのように見える自民党も、崩れる時にはバラバラッと崩れる。そんでそのテッパンを崩すのは、国民誰もが一発は握っている「清き一票」らしいのだ。そして、別に崩すコトが唯一の投票動機てなわけではないんだけど、今回は崩れるとイイなと思ってたし、そんで実際に崩れた。


ボクなりの、今回の選挙のミカタ。
●2007年にブレイクした年金記録スキャンダルで思い切りズッコケた自民党は、参議院で大幅に議席を減らし、第一党の座を民主党に譲り渡した。いわゆる「ねじれ国会」のスタートだ。このイレギュラーな状態での政権運営に的確に対応する術を見出せなかった安倍&福田首相は、ビョウキ寸前になったり、他人事のように立場を放り投げたりと、自民党旧来の既存システムでの内側でしか機能できないコトを露呈してしまった。フツウの状態で立場を与えられればそれなりの成果を挙げられた人材だったかもしれない。しかし、派閥や族議員などの党内力学に意思決定を規制されるリーダーでは、敵対的野党と、大胆な妥協を含む建設的議論を握る事ができないわけだ。
●本来は選挙管理内閣の色合いを帯びて登場したはずの麻生首相は、就任直後に発生してしまった世界金融危機に対応するために、解散を先延ばしにした。その事自体は悪いことじゃなかったと思う。北朝鮮のミサイル危機や新型インフルエンザなどの難題に頑張ってアプローチしたし、定額給付金やエコポイントなどユニークな景気対策もイッパイ打ち出した。……ただ、自民党にはダメ人材がイッパイいるコトも判明してしまった。主要閣僚が原爆失言とか意味不明なバンソウコウとか酒酔い会見でどんどん失脚する。そんで首相本人がとても漢字が苦手らしいコトまでバレてしまった。より重要な事は「小泉改革」の生んだ問題点を明確に定義付け出来ず、「改革路線」の修正に説得力を持たせられなかった。例えば、郵政民営化への反動騒動(鳩山オトウトが辞職に至る)といった顛末が「ブレ」と呼ばれるようになってしまった。コレも党内力学をリーダーが制御し切れないシステムの限界だと思う。
●結局、自民党「ねじれ」を自力で克服する事ができないらしいし、「小泉旋風」という過去の遺産を功罪含めて克服できないらしい。それなら、一度「ねじれ」を矯正しなくてはならないし、「小泉」遺産を客観視できる立場のグループに政権を渡さなくてはイケナイ。もし自民党が中途半端な少数与党で生き残ったら、政治のこう着状態はさらに続いて、このヤバい足踏み状態は日本社会をホントにダメにしてしまう。


で、民主党。この連中のポテンシャルは全然わからない。
●ぶっちゃけ、自民党と同じだけのヤバい匂いがする。そんで自民党と同じ機能不全を起こすようになったら、もう日本社会に救いはナイ。すでに社民党国民新党という、イデオロギーとしてはかなり異質なグループと連立協議をしないといけないってポイントからしてヤバい匂いがしている。議席300超というスーパーパワーを持ちながら、このミニ政党と連立しないと参議院で過半数をキープ出来ないとは皮肉な事態だ。衆院で圧勝しつつも、参院には引き続き「ミニねじれ」が残るわけ。なんで亀井静香が出しゃばるの?自民党よりも完全保守じゃん?
あと、気になったのは年齢。小泉郵政選挙の時には「小泉チルドレン」として、ヒラリーマン大蔵ゆかりタンさつきタンピンク井脇など珍キャラクターがイッパイ登場した。今回も民主党から大勢の若手議員が誕生する。ニュース番組では「小沢ガールズ」って名前を使ってた。で、この新人が20歳代30歳代ばっかなのね。こんなに若いとサスガに不安かも。弁護士やジャーナリスト上がりが多いという民主党陣営はそれなりに法律/政策の勉強家が多いというけど(例えばミスター年金・長妻昭さん、彼の前歴は経済誌記者)、こんなに多いとそうじゃないのも混じってるでしょ(例えば、参議院には横峰パパがいる)。どんくらい不安かは、多分連中自身がイチバン認識しているだろうから、頑張ってくださいとしか言えないけど。
●一方で、議席を激減させた自民党は、大物の落選劇ばかりが報道されてるが、実は将来の体質改善のための新世代若手がゴッソリ落選しているのがむしろヤバいとボクは思う。反麻生勢力の筆頭だった中川秀直さんでさえ、今回は比例復活ギリギリセーフだったほどだし。ボクに言わせれば本当にいなくなって欲しかった人は全然いなくなってない。もう一度自民党が政権を取る際に、またはこの野党時代の中で、組織の体質改善&新陳代謝を達成しなくては行けないのに、実は生き残ったメンツが古い体質の人間ばかりのような気がする。ヤバい。実にヤバい。


小沢一郎さんら民主党幹部がムカシから主張するように、日本をアメリカやイギリスのような二大政党政治へ移行させたいというのなら、むしろコレからが本番だ。政権奪取前夜の民主党は、なんでも泥仕合に持ち込んで与党をノイローゼ状態にしてきた。コレからは、政権党として成熟しつつ、議論を深める相手として自民党をも成熟させないといけない。コレはすげえ難事業だ。でもやってもらわないと困る。せめて一年間は真っ当にこなしてもらって、来年の参院選まで今の追い風を持続してくれ。来年の参院選で民主党が議席を減らして「逆ねじれ」状態になったら、また日本社会は空転を始める。悪夢のシーソーゲームだ。マジでそれだけはカンベンしてくれ。