大晦日、しかも「00年代さようなら」の日であります。
●明日から10年代が始まる。00年代はオシマイ。歴史の境目がやって来た。……21世紀の最初のディケイドはよかったか?楽しかったか?2001年は同時多発テロが起こり戦争が始まった。世界はちっとも平和じゃなかった。不景気もヒドかった。でもその2001年にボクは父親になり、今では家族四人と楽しく暮らしている。今日は、一昨年生まれたノマドヒヨコの従姉妹、カメちゃんまでウチにきてくれたし。ともかく、この十年で出会った音楽は、90年代に見劣りするコトなく実に豊穣であったし、きっと次の10年にもエキサイティングなシーンが生まれる事だろう。

●そんでさ、ボクはそんな大晦日を「ガキ使・笑ってはいけない」スペシャルを見て笑ってたいわけです。なのにリビングはワイフ&ノマドヒヨコが「紅白歌合戦」で爆盛り上がりなんですよ。ノマド「嵐早く出てこないかなー」とか。ヒヨコ「エクザイルいっぱいすぎるー」とか。ワイフ「AKBって72人もいるの?ならヒヨコでも入れるんじゃないの」とか。悔しいなあ一人で「ガキ使」見るの。

●なんか悔しいから、最近ありがちなジェイポップメガミックスCDで紅白気分を味わう。

DJ CAROLINE DAMORE「J-GIRLS CELEBRITY MIX」

DJ CAROLINE D'AMORE「J-GIRLS' CELEBRITY MIX」
●誰?この美人さん?帯コピーが「LA のセレブ DJ、ついに日本上陸!」って書いてある。モデル、女優、デザイナーとしても活躍する LA のセレブ DJ って触れ込みです……。とにかく、日本のDJカルチャーは、イマドキのジェイポップだけで十分クラブ対応な気分が味わえるという水準に至った、というコトを示しております。是々非々あるかもしれませんが、多分コレが10年代の価値観なのでしょう。と思って聴くのです。…曲名ラインナップ書いときます。

安室奈美恵 / WHAT A FEELING
黒木メイサ / Bad Girl
土屋アンナ feat. MONKEY MAJIK / GINGER
AI / IT'S SHOW TIME!!!
BoA / VALENTI
中島美嘉 / LIFE
DOMINO / ABC
Sowelu, EXILE, DOBERMAN INC. / 24karats -type S-
DOUBLE / Rollin' on
Lil'B / キミに歌ったラブソング
bird / SOULS (Peach Bossa Mix)
詩音 / Last Song ~secret of my heart~
RSP / Lifetime Respect -女編-
MUNEHIRO / again
Sugar Soul feat. Kenji / Garden
NaNa / SHOW GIRL
May J. / Story of Love
Miss Monday feat. YU-A / 君がくれたもの
西野カナ / MAKE UP
Tommy february6 / EVERYDAY AT THE BUS STOP
YA-KYIM / たぶんきっと
PUFFY / All Because Of You (DISCO TWINS Remix)
MISIA / 忘れない日々 -HEX HECTOR'S CLUB MIX-
LISA / tomorrow
SAWA / ManyColors
伊藤由奈 / 恋はGroovy x 2
So' Fly / LAST SUMMER
ERIKA / FANTASY
HALCALI / FLASH
中川翔子 / Shiny GATE
hitomi / Japanese girl
DJ Caroline D'amore feat. マリエ / Love Like This One

●なにげにゴージャスに聴こえるんですわ。ざーっとチェックしてみる。
アムロ80年代スタイルから、黒木メイサ。メイサちゃんは最近エッジーなR&Bに積極的にトライしてますよ。今度出るミニアルバム「ATTITUDE」もかなりトガってます。/そして土屋アンナ。近年の彼女のロッカーとしてのハジケぶりは痛快。2006年にアニメ版「NANA」のサントラをやった辺りからマジ注目。ロックアルバム「STRIP ME ?」は実はボクの密かな愛聴盤です。/AI はマチガイナイとして、BoAちゃん。今年アタマにベスト&アメリカデビュー盤を出してた。プロモがカワイかった。/SOWELU はイキナリエレクトロ路線にフってきた時があってビビったな。この曲は EXILE と組んだド派手でオトコマエなビッグチューンで好き。/birdみうらじゅんさんとのお子さんを出産。/詩音はクスリで手がウシロに回りました…。/西野カナ、今年のブレイクスルーアーティストだと思う。ミリヤテルマなどなど誰もが本格派 R&B を目指してた段階で、いち早くアジを薄めたジェイポップに着地しようとしたコトで日本の R&B は別の局面に入ったような気がする。/ TOMMY FEBRUARY6 、小気味イイエレポップ。西野カナのエレポップ風味をウマく繋いでます。/ つづいて YA-KYIM はハウシーなアプローチ。女性R&Bシンガー三人組。貫地谷しほり主演ドラマ「キミ犯人じゃないよね??」2008年の主題歌を担当してた時から気になってます。/で、PUFFY までもがダンスアプローチ。DISCOTWINSDJ TASAKA & KAGAMI)がテックハウスミックスに。/そんで MISIA HEX HECTOR ミックス。NYハウス。/SAWA ってコ、彼女は立派なエレクトロ女子で非常に気になってる。音源はシングル一枚しか持ってないんだけど。/伊藤由奈「NANA」出身ロック組だったはずだったけど、いつの間にかR&Bシンガーになってた。ハワイ出身だからそんな気分なのか?/ERIKA 様…。「パッチギ」の時はマジでホれてたのに…。/HALCALI。この曲はエレクトロファンクだな。好きだ。/そしてしょこたん。彼女のボーカルはエモだよある意味で。紅白の水樹奈々さんのパフォーマンスも見たけど、アニソンは結構エモかも。/でヒトミ姐さんの「JAPANESE GIRL」。やっぱアメリカ人のDJだから、バランスとって最後は「日本のオンナノコ」でシめてみたようだ。/あ、マリエもウタうたってるぞ。


●もう一枚イケルな。

DJ KAORI「DJ KAORIS JMIX III」

DJ KAORI「DJ KAORI'S JMIX III」
ディージェーケイリィー!のジェイポップミックスもう三枚目でした。DJ CAROLINE が女子声だけで染めてたのに対して男女メガミックスです。なにげに00年代を賑わせた顔ぶれが沢山出てきて、このテのCDは楽しいね。

m-flo loves MINMI / Lotta Love
BENI / Kiss Kiss Kiss (DJ Hasebe Remix)
AI / You Are My Star
JAY'ED / Everybody
FUNKY MONKEY BABYS / 希望の唄
安室奈美恵 / WHAT A FEELING
BIGBANG / ガラガラ GO !
May J. feat. DJ Kaori, Diggy-Mo, クレンチ&ブリスタ / Garden
Spontania feat. 伊藤由奈 / 今でもずっと
JUJU feat. Spontania / 素直になれたら
BoA / 永遠
lecca / 紅空
MINMI / アベマリア
Tokyo No.1 Soul Set + HALCALI / 今夜はブギーバック
青山テルマ / LOVE (DJ Kawasaki Remix)
DJ Kaori / S・A・Y・O・N・A・R・A
BIGBANG / My Heaven
黒木メイサ / SHOCK ー運命ー
宏実 / Yes
傳田真央 / 泣きたくなるけど
Crystal Kay / think of U
Tiara feat. Spontania / さよならをキミに...
清水翔太 / Diggin' On U
KG feat. MAY'S / With You ~君といつまでも~
SPHERE feat. 傳田真央 / 君といたい
童子-T feat. BENI / もう一度
Wise feat. 西野カナ / 会えなくても

●みんな大好き MINMI「LOTTA LOVE」。パーティチューンとして最高。/BENI ちゃんもハウシーにキメテマスね。DJ HASEBE の技。/AI も四つ打ち高性能ハウスチューン。「VIVA A.I.」の一曲目。/JAY'ED くんは最近気になるね。声好き。チェックしなくちゃ。/あ、ファンモンだ。連中が紅白で歌った「ヒーロー」、ウチのノマドヒヨコ、完璧にシンガロングしてた。/アムロはテッパンらしい。新譜聴きたい。/BIGBANG。韓国伝来組。ポスト東方神起になれるか?/MAY J. 、二回目だな。これはさっきも出てきたSUGAR SOUL のカバーじゃないか。彼女は ZEEBRA にも近いシンガーなはずなんだよね。まだちゃんと聴いてない。/SPONTANIADEF TECH 系から出てきたんだっけ? フューチャリング仕事が目立つよね。/ああ、SPONTANIA つながりで、JUJU か。イモウトが好きだって言ってた曲だな。/LECCA ってコは、ドラマ「ギネ」の主題歌のコか?本来はレゲエ系のシンガーなんだね。だから MINMI に繋ぐんだ。/およ?「今夜はブギーバック」を珍しいメンツがカバーしてるぞ。/でた、テルマちゃん。四つ打ちハウスだね。そしてケイリーのオリジナル曲。/BIGBANG、この「MY HEAVEN」って曲の方が好き。全然ヒップホップではないけど。/黒木メイサはコッチの方がメジャーでは?ベートーベン大ネタ使い。/ごめん、宏美さんと傳田真央さんは知らないんだ…。あとKGくんというシンガーも。/クリケイ。彼女の長いキャリアは一度まとめて聴いてみたかった。今年ベスト出したもんね。/清水翔太くんは、NY アポロシアターのタレントショーで活躍した子と聞いてる。今度彼もチェックしなくっちゃ。/童子-T。カレの位置づけってどんな感じ?/あ、また西野カナだ。しかもシメだ。この曲の真ん中でビブラートする彼女の声が好き。


●もう一発行ってしまいます。コッチはむしろ少々ヨゴレな選曲で楽しむテイスト。

DJ和「J-ポッパー伝説 2 - DJ和 IN WHATS IN ? 20TH MIX」

DJ和「J-ポッパー伝説 2 - DJ和 IN WHAT'S IN ? 20TH MIX」
DJ和はスゴい。このシリーズの「1」を聴いた時の衝撃ったらナイね。こんだけベタベタのジェイポップ、むしろカラオケボックス向きなトラックを見事にクラブでスピンするという。しかも彼は若くてこれらの曲に対して全然リアルタイムじゃないって事実もボクを驚かせた。すげえ。日本のクラブシーンはある意味で完全に成熟したわ、と思った。もはや洋楽を必要としないんだから。カレのイベント「日本式」にはいつか行ってみたいと思う。で、その驚異のトラックリスト。

DREAMS COME TRUE / うれしい ! たのしい ! 大好き !
奥田民生 / さすらい
YUKI / JOY
SPEED / Body & Soul
ウルフルズ / ガッツだぜ !!
Every Little Thing / 出逢った頃のように
キマグレン / LIFE
m.c.A・T / Bomb A Head !
ORANGE RANGE / 上海ハニー
氣志團 / One Night Carnival
T.M.Revolution / HOT LIMIT
平井堅 / POP STAR
PRINCESS PRINCESS / OH YEAH !
相川七瀬 / BREAK OUT !
LINDBERG / BELIEVE IN LOVE
JUN SKY WALKER(S) / 歩いていこう
いきものがかり / SAKURA
中島美嘉 / STARS
久保田利伸 / Missing
EAST END × YURI / DA.YO.NE
電気グルーヴ / Shangri-La
チャットモンチー / シャングリラ
PUFFY / これが私の生きる道
木村カエラ / リルラ リルハ
佐野元春 / 約束の橋
米米CLUB / 浪漫飛行
UNICORN / すばらしい日々
Whiteberry / 夏祭り
JUDY AND MARY / Over Drive
YUI / Rolling star
MOON CHILD / ESCAPE
L'Arc~en~Ciel / HONEY
DJ OZMA / アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士
GLAY / HOWEVER

●1987年から2008年まで網羅するジェイポップの至宝をスピン。
ドリカム1989年。やっぱドリはジェイポップを考える上で無視できないかも。/奥田民生1998年。この曲聴くとさすらいたくなる。/YUKIちゃん2005年。芸歴長いのにエバーグリーンな声だな。/SPEED 1996年。今聴くと爛れたディスコ/ハイエナジー感が刺激的。ヤベ SPEED 探しちゃいそう。/ウルフルズ1995年。今年解散しちゃったなあ。ファンキーギターがうまくつながってます。/ELT 1997年。ライブがヘタクソだとボク周囲の評判が悪い。そんなに?/キマグレン2008年。この一枚で最新。ボクこの曲好きだけどね。去年の紅白出てたよね。/そしてナゼかボンバヘッド!1993年。「ムチャして知ったホントのオレを」ホント無茶な選曲だ。/そっから21世紀オキナワミクスチャーロック2003年。でも最近はオレンジレンジ何してるんだろう?/氣志団2002年。昔千葉の友人を訪ねたらこの曲ガンガンカラオケで歌うのでちょっとヒイた。サビはカッコいいよ。でも語りっぽいトコロもマジでヤラレルとね…。/うわーTMR 1998年。繋ぎに無理がある、けど勢いはある。今は ABINGDON BOYS SCHOOL なんだよね。/平井堅2005年。クレジットよく見るとアレンジが亀田誠治。こういうディスコみたいなアレンジもするんだ…。/こっからバンドブームのガールズロック三連発。プリプリ1990年。相川七瀬1996年。リンドバーグ1992年。リンドバーグ再結成も今年の事件だった…。ウソ、事件ってほどじゃない。/ジュンスカ1989年。くーバンドブームすぎる。今は亡き原宿ホコ天出身だよ。/いきものがかり2006年。いきものも紅白でてたな。二回目?/中島美嘉2001年。リリックが秋元康でした。でもバラードはメガミックスにはツライ。/久保田利伸1989年。今聴くと彼はニュージャックスウィングだったのでは、と思える。/ダヨネダヨネ1994年。/電気グルーヴ1997年からチャットモンチー2006年、シャングリラ繋ぎ。無理矢理だけど。/そのまま女子ロック。PUFFY 1996年、カエラちゃん2005年。カエラちゃんも今年初紅白。/佐野元春1992年。80年代佐野は聴き直すとワリと発見がある。/一応再結成くくり? 米米CLUB 1987年。ユニコーン1993年。ユニコーンはマジで事件でした。/WHITEBERRY 2000年。彼女たちも今はもう立派な大人になってるだろうなあ…。/JUDY AND MARY 1995年。最近トリビュート盤でてない? /YUI 2007年。同世代の絢香が今夜の紅白でシーンから去るので、彼女には長く頑張ってもらいたい。/MOON CHILD 1997年。おおカッコよく聴こえるぞ!完全に見くびってたからギャップにビックリ。この一枚でイチバンの発見。/ラルク1998年。立派にナルシスティックで見事です。彼らの魅力をちゃんと知ったのは「機動戦士ガンダムOO」2007年の主題歌の時だった。遅過ぎ!…これで一旦DJプレイが終わる…と見せかけて…。/そしてアンコールのかけ声が。歓声の中からこの曲の爛れたギターイントロが響く。オズマ2006年。ダンスダンスダンス!そういえば彼ら紅白でモメたねえ。/そしてシメがグレイ1997年。この曲だけフル尺でプレイ。思い入れタップリ。やっぱスゴい選曲センスだよ。


●今度、今日出てきた音の関連音源をチェックしてみようと思います。


●それと、来年もよろしくお願いしまーす。


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●昨日でやっと仕事納め。今日はゆっくりと過ごしたい。

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●シモキタザワのミスタードーナツで読書。この前テレ朝のバラエティ「お試しかッ!」特番で、カンニング竹山とかU字工事がたらふくミスドのドーナツを食ってたので、ボクもどうしても食べたくなった…。ボクは明らかに甘党男子なんだよね。太るからガマンしてるけど。あと、コーヒーおかわり自由なのもイイね。正月はミスドで過ごすか。

●読書と言っても、今月号の「ガンダムエース」を読んでただけ。手を変え品を変え、ガンダム世界から無理矢理エピソードをでっち上げて毎月毎月供給してる雑誌。ビョウキがまだ重くて、会社の労務部でリハビリ通勤してた時、暇つぶしでこの雑誌を読んでたら、女性のセンパイにビックリされた。「ガンダムしか書いてナイのにその厚さ?ガンダムだけで毎月雑誌が成り立つの?!」…そりゃそうだよな、フツウはそう思うよな。でもさ、ボクはこの雑誌が創刊されてから全部購読しちゃってる熱心な読者で、そういうヤツがこの世に大勢いるんだよね。
●ああ、そうそう、今月はオモロい話題が載ってたよ

アムロ専用エルメス

安室奈美恵とガンダムのコラボ!!
安室=アムロ・レイつながりというダジャレのような発想をよく安室サイドも認めたもんだ。結果として、安室ちゃんの新譜に、安室奈美恵専用エルメスアムロレイのガンダムが戦うプロモが収録されてるんだって。うおおー見てエ!上のヴィジュアルは、雑誌から切り抜いてCDジャケットに使って下さいというモノ。安室ちゃんのノーマルスーツカッコいい!エルメスもパープル!そっかー安室ちゃんもアムロと一緒でニュータイプだったんだー。イカす!

●あとは、CDのバカ買い。ゆっくり休めるとなったらスグにレコ屋だ。今日は11枚買ってお勘定が4900円程度。平均で一枚450円以下ならナイスなコストパフォーマンスでしょ…と無駄遣いのイイワケをします。

実はちょっぴりうつ状態に入ってて、一日で何発も安定剤を飲んでる。久々に感情が激しく不安定だ。中途半端に休みで気が抜けると、一気に精神が崩れるってコトは今までもあった。やっぱキタな…って感じだよ。そんな時は家にもいられないからドーナツ屋に行くのだ。簡単なマンガしか読めないのも集中力が持続させられない証拠だ。

●そんな時は、ブレない音楽、王道の音楽のチカラを借りる。

U2「THE JOSHUA TREE」

U2「THE JOSHUA TREE」1987年
U2 が最も U2 らしかった時代のアルバムだと思う。「WITH OR WITHOUT YOU」でしょ、「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME」でしょ、「I STILL HAVEN'T FOUND WHAT I'M LOOKING FOR」でしょ。クソ真面目な BONO の体質がモロに炸裂した楽曲が目白押しだよ。あの張りのある声がグングン伸びまくる曲ばっかだよ。アナログしか持ってなかったのでCDで買い直した。i-Pod に入れたいんだもん。そんでココロがブレまくる今日この日を乗り越えようと思った。遡れば中学1年の頃から聴いてるアルバムだ。その昔、同級生のコバヤシくんがカセットにダビングしてくれたのだ。ボクの中では古典中の古典だわ。原点回帰でココロのブレを押さえる。
「BULLET THE BLUE SKY」って曲が好きだ。次作「RATTLE AND HUM」にライブテイクが収録されてるけど、ドチラも好き。不安を掻き立てるようなダウンテンポと不穏なギターの鳴りがクセになる。ココロがオカシクなってる時、この位の崩れた感覚がちょうどイイ塩梅だったりもする。むしろ元気ハツラツは聴けない。


●前回の記事で紹介した嵐のポスター、今日も撮影する人がイッパイで、とうとう警備員が1人ベタつきで立つ事となった。トラメガでお客を整理してる。「立ち止まらないでクダサーイ」、ホントスゴい。くそーこのフジのドラマ見るぞこのヤロウ!(←広告に負けました…。)


●先日は西のギャングスター 2PAC を発掘したバンド DIGITAL UNDERGROUND を紹介しました。
●今日は東のヒップホップリリシスト NAS を発掘したユニットを紹介します。

MAIN SOURCE「BREAKING ATOMS」

MAIN SOURCE「BREAKING ATOMS」1991年
LARGE PROFESSOR というMCがフロントマンを務めるニューヨークのユニット MAIN SOURCE のファーストアルバム。ココに収録されてる「LIVE AT THE BARBEQUE」という曲で NAS は初めてショービズの世界にデビューする。今やヒップホップ最高峰のリリシストとして名高い彼がシーンに登場する瞬間だ。当時の NAS はまだ二十歳前。天才は早熟でした。とは言いながら、何人かのMCがマイクをリレーするこの曲、ぶっちゃけどのヴァースが NAS のラップなのかボクにはよく分かりません。トホホ、情けない。
●この時代のニューヨークはヒップホップ界の新潮流、ニュースクールが台頭しつつある時期。NAS もその延長に位置するラッパーでしょうが、MAIN SOURCE もその時代の変革を推進する才能として機能してたっぽいです。……ボクの耳には微妙にミドルスクールからニュースクールへの過渡期を感じさせる質感もあるんだけど…。これは人それぞれの感じ方かな?この音源から聴こえるのは、ザラッとした質感のサンプルビート、ナニゲに太くて強いキック、時に速めのBPM、ファンク感溢れる疾走トラック。コレはミドルスクールの楽しみだよ。

ニュースクールは、ジャズなどの音源をサンプルしてストイックなトラックを構築し、文系体質なナヨナヨテイスト、または社会派のシリアスなメッセージをラップしました。DE LA SOUL、A TRIBE CALLED QUEST、GANGSTARR といった連中が代表選手でしょう。一方で、ブロックパーティを軸にして発生成長したヒップホップの古典派、つまりオールドスクールは享楽的なディスコテイストとパーティラップの側面が強いのでした。GRANDMASTER FLASH & THE FURIOUS FIVE SUGARHILL GANG を連想しといて下さい。
ミドルスクールってのは、多分ニュースクールという言葉が登場してから生まれた言葉っぽい気がします(ニューが登場してない時期に、自分たちをミドルと呼んだりはしないでしょ)。オールドとニューにジャンル分けしようとした時、そんなにザックリ分類できないよ、って連中が一杯いたので、そいつらをミドルと呼んだのですよ。RUN D.M.C. 、PUBLIC ENEMY、L.L.COOL J などですね。攻撃的な姿勢とソレを裏打ちする強力なファンクビート(時にロック、時にエレクトロ)、スピード感溢れるトラックが特徴的だとボクは思ってます。ヒップホップがザクザク歩いて行くスピードに落ち着くのはジャジーなニュースクール以降。ミドルは何気にBPMが速いです。EPMD しかり、MARLEY MARL のプロダクションしかり。サンプラーから弾き出されるスピード感とファンク感がミドルの楽しみであり、ボクの大好物であります。
DIGITAL UNDERGROUND もそれなりのスピード感を持つファンクでした。MAIN SOURCE は速いトラックと遅いトラックが五分五分。まさに過渡的存在。ジャズなサンプルセンスも見えますが、ファンクやレゲエからサンプルしてる方が多い。音だけならミドルっぽい。ラップのメッセージがニュースクールらしいけど、英語のワカランボクにはなんとも言えない。

そして LARGE PROFESSOR というオトコのキャリアがとっても過渡的。
MAIN SOURCE のその他のメンバーがカナダ・トロントから上京してきた連中だったのに対し、この「デカい教授」を名乗るオトコは生粋のニューヨークッ子。ヒップホップの滋養を思い切り吸い込んでますので、オールドもミドルもニューもないのです。実際、ミドルの大物 ERIC B. & RAKIM KOOL G RAP & DJ POLO、BIG DADDY KANE らのトラックを制作したと思えば、新世代ニュースクールの顔役たち、つまり NAS のファーストや C.L. SMOOTH & PETE ROCK にもトラックを提供してる。あげく、ジャズヒップホップを完成させる GANGSTARR DJ PREMIER にサンプラーの使い方を教えてあげたという伝説すらもがあるのです。さあ、時代の分水嶺をこの音源で確かめて下さいな。


嵐って、スゴい。

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●表参道の駅に、大きなポスターがあったんですよ。フジテレビのドラマの広告みたいなんですけど、5人全員揃ったカッコいい写真なんですよ。そしたら、そのポスターの前に人が群がってる。

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●分かりにくくて恐縮なんですけど、ポスターの前に、コレを撮影しようとする人が20人ほど溜まってるんですわ。スゲエ。乗換え客の多い夕方の時間帯、当然ポスターの前にはひっきりなしに人が歩いてて、キレイに撮影するのは無理なんだけど、それでも必死に撮影チャンスを狙ってるんですこの人たちは。嵐ってそこまでのパワーを持つ存在になってるんだ…。


今日の音楽は、久しぶりにヒップホップ。90年代初頭のね。
●00年代もドン詰まりの季節を迎えて、大昔の音楽を聴いてるコトがイイのかワルいのか? などと迷いも感じつつ、ミドルスクールとニュースクールのスキマに位置するようなサウンドを楽しむのです。

DIGITAL UNDERGROUND「SONS OF THE P」

DIGITAL UNDERGROUND「SONS OF THE P」1991年

DIDITAL UNDERGROUND「THE BODY-HAT SYNDROME」

DIDITAL UNDERGROUND「THE BODY-HAT SYNDROME」1993年
●このユニットは、ギャングスタラップの英雄 2PAC を輩出したってダケのポイントで語られてる気配があります。確かに、2PAC はこのバンドのバックダンサー兼ローディとして業界入りを果たしたのでありまして、ラッパーとして活躍するチャンスをココでゲットしました。ソロアルバムのプロデュースでもココの連中に手伝ってもらってます。でもそういう関心でコレ聴いても楽しくないです。だって 2PAC がナニやってるか全然ワカンナいんだもん。
●カルフォルニア州オークランドで結成されたこのバンドは、出身地的には見事にウェッサイなのですが、その音楽にはちっともギャングスタな気分がありません。むしろオモロ系ですわ。センターにいる男 HUMPTY HUMP奇妙なメガネとヘンなツケ鼻がトレードマークの変人です。レーベルは TOMMY BOY、DE LA SOUL とかが活躍してたトコロ。つまりは文系オモロラップ、ニュースクールに近いテイストがあるんです。

humpty-hump.jpg(ツケ鼻メガネの変人。オカしいでしょコイツ。)

ただしトラックは非ニュースクール。むしろミドルスクール。つまりドファンク。
●だってアルバムタイトルが「SONS OF THE P」だもん。「 P の息子たち」だもん。やっぱ P-FUNK。ズバリ PERLIAMENT/ FUNKADELIC 。もう P-FUNK カンケイをサンプルしまくって、メチャメチャ粘っこいファンクを鳴らしてます。2拍目と4拍目にぺったんぺったんスネアが入って、ソレはソレは粘っこいファンク。しかもコレが長い。永久に終わらないかも知れないってホド曲が長い。何か知らんけど、ラッパーやシンガーが大勢いて(クレジットを見ると20人くらい関わってる)、どんどんリレーして、長い曲は11分超えちまうのよ。ファンクは止まらない。ファンク・ドント・ストップ。GEORGE CLINTON 御大まで召喚してるし。ベースも野太いよ。オナカイッパイのファンクを堪能できます。

タダのツケ鼻と思うな。異能のファンカー。
●さーて、この DIGITAL UNDERGROUND というバンドを率いているのが、前述の HUMPTY HUMP。コレがタダの変人じゃない。コイツには複数の名前と別人格がある。変人 HUMPTY HUMP に対してフツウのカッコイイMC としては SHOCK G って人格がある。トラックメイカー(キーボーディスト)としては THE PIANO MAN という名義を使う。RACKADELIC という名義でマンガ風ジャケまで描く。実は多芸な人なのです。2PAC のファーストソロ「2PACALYPSE NOW」だって彼がプロデュースに加わってるし。
●それと優秀な才能をフックアップする眼力も見事。2PAC を発掘したのも立派。ムダに多いように見えるメンバーだけど、中には RAW FUSION というユニットを構成する連中もいる。コイツらの音源をゲットしたいと思ってるんだよなー。まだまだこの90年代初頭には掘り出すべきイイ音源が沢山あるんですよん。




クリスマスも終わり、街は年末モードへ。

P1001453.jpg

●虎の門を歩いてたら、カガミモチが売られてた。でかッ!そして高ッ!エクスペンシブね。「尺 \34000」だって。「尺」ってコトは、約30センチだよね。業務用だよねきっと。でもこんな不景気に買える値段なのかな?


フジファブリックのボーカルギター、志村正彦さんが亡くなりました。

フジファブリック「CHRONICLE」(よく見るとカワイいジャケだ…)

フジファブリック「CHRONICLE」2009年
●ということで、今日はこのバンドが今年リリースしたアルバムを聴いているのであります。……ボクはこのバンドの熱心なファンでも、よいリスナーでもないんだけども、そんな傍観者の立場から見ても惜しい事です。だって、亡くなった志村サンはとってもユニークなソングライターだったから。
●以前、ユニコーン/奥田民生のトリビュート盤に絡めて、ボクはこのバンドの音楽について書いてます。(コチラの記事)その記事と重複しちゃうけど、とにかく妙な違和感を感じるのよね。ボクの中のロックカタルシスを絶妙にカワすカッコで彼らの音楽は鳴ってる。ガツッとキメるトコロをキめてくれない。本格ロックではなくパチモンくさい。しかもそのパチモン感を意図的に演出してやがる。だからボクはいつもどっかで不完全燃焼になる。妙にムズムズする、居心地の悪い音楽。でも、それがゆえに目が離せない存在。
●…というイメージが、「CHRONICLE」以前のフジファブリックにボクが抱いていた印象。でもね、そんな偏見もまた裏切られた。「CHRONICLE」はこれまた別格の存在感を放った作品で、このバンドが底知れぬ潜在能力を持つコト、そして高速で進化しているコトをハッキリ示していたのですわ。骨太ロックを含むバラエティに富んだ曲調、甘く弱い声に仕込まれたセンチメンタルと毒の混じったリリック、ピコピコシンセからタフなロックギター。デタラメに要素が散らばってるようで、実はそれぞれがキラキラしてる。
●ロックとしてのドライブ感は間違いなく強化されてる。ギター圧力は全体的に高めになった。100%ガレージロック「ALL RIGHT」みたいなマッハビート&絶叫は新しい芸風だよね。「MONSTER」みたいなタフなリフロックも新味。元々からのおマヌケチャーミング感漂うテイストと直球ロックの絶妙なメリハリがガチッと決まった曲が沢山あってメチャ楽しい。「SUGAR!!」「MERRY-GO-ROUND」はそんな音楽だと思う。一方で、「ANTHEM」のようにスケールの大きな楽曲が登場したのも注目だった。「鳴り響けキミの街まで 闇を裂くこのアンセムが」。アルバムの最終楽曲「STOCKHOLM」も大きな広がりを予感させる曲だ。ダイナミックな表現がココから切り拓かれるはずだった…。
●というコトで、志村正彦さんと言う人は、仕事の半ばで亡くなってしまったわけです。コッから先が聴きたかったんだけどなー。非常に残念です。


●ついでといってはナンですが、最近聴いている日本語ロックを。

BASE BALL BEAR「C」
BASE BALL BEAR「C」2006年

BASE BALL BEAR「十七歳」

BASE BALL BEAR「十七歳」2007年
●傑作青春ロック映画「リンダリンダリンダ」で、主人公たちが結成する女子高生バンドの寡黙なベーシストが、このロックバンドの関根史織サンだったコトを知ったのが興味の発端。アルバム「C」はほぼリアルタイムで聴いてたのに一度売っちゃったモンだから、この事実を知ったアトにワザワザもう一度買い直した。「C」の内ジャケに登場する彼女の妙な存在感はCDを売ったアトも脳裏に焼き付いてて、映画と彼女のカンケイが判明した瞬間は「ヤベ!やっぱタダモンじゃなかったんだ!」とショックを受けたモンであった。いやマジで映画の中で不思議なポジションだったんだよ、だって香椎由宇とかペ・ドゥナとかと並んでんのに沈んでないんだよ、美人さんでもないのにさ…あ、なんか言い過ぎた…ただ、妙なフテブテしさが漂ってるような気がして…いや全然知らないんだけど。え、この人ユーロプログレが好きなの?スゲエ。
●ボクの会社の大先輩(師匠)の娘さん17歳が、高校の軽音楽部で BASE BALL BEAR のカバーバンドをやってるらしい。ボクの師匠は確かに職場で THE WHO「PINBALL WIZARD」を意味なく口ずさんでるようなオッサンなのだが、娘さんまでロック少女とは知らなかった。しかし17歳が「十七歳」のカバーとな? ただこのバンドが甘酸っぱい青春ロックを鳴らしたいのはよくわかるし、そのメッセージはキチンと青春当事者に伝わってるのも見事だ。
●まず、少々ナルシスティックにも聴こえるメインボーカル小出祐介くんの声にヒッカカル。キレのいいギターに絡んで、センチメンタルな青春の残像が、疾駆するビートの合間に浮かびは消え浮かびは消えを繰り返す。「キミ」と「ボク」だけが登場する物語がこれでもかと繰り出される。青春OB組のボクですらキュンとする。これに関根サンのコーラスが入るとなお胸キュン度アップ。いいねえ、「CRAZY FOR YOU の季節」まっただ中って。「C」から「十七歳」になると胸キュン度&ポップなメロディ度はさらに増量。関根サンがメインボーカルをとる「WINK SNIPER」がイイ味。
荒木飛呂彦「ジョジョ」ジャケを採用したシングル「BREEEEZE GIRL」など今年の音源は、悔しいコトにまだ聴いてない。あの「ジョジョ」ジャケも渋谷の大看板で見た時はヤラレタ~と思ったね。

「リンダリンダリンダ」と関根史織

(映画「リンダリンダリンダ」から。右から2人目が関根史織サン。)

関根史織

(関根史織サン近景。なんかイイ面構えだと思うんだよなー?)


SUPERCAR「16:50 1997-1999」

SUPERCAR「16/50 1997-1999」1997~1999年
●師匠の娘さんは BASE BALL BEAR をカバーしてるが、かつての BASE BALL BEAR SUPERCAR をカバーしていたという。なるほどベースが女性ってのは同じ構成だわな。このアルバムはバンドの初期キャリア1997~1999年の時代に絞ったベスト盤。
●このバンドはキャリア後半でポストロック/エレクトロニカを大胆に導入するんだけど、この時期、デビューから4枚分のアルバムまではギターロックに徹しているとな。しかもシューゲイザーなスタイルに挑んでいるのが特徴という。…なるほど確かにギターへのノメり込みようと、メランコリックなボーカルはシューゲイザーだ…シューゲイザーは耳をつんざくギターノイズだけが大事なのではなくて、ギター音の奔流の中へと自意識が溶け落ちる瞬間の気持ちよさこそがキモだと思う。「TRIP SKY」などに見える陶酔感が気持ちイイ。一見やる気レスな中村弘二の歌唱も、イノセントに響くフルカワミキの声も、ギター音に溶けるような存在の儚さが実に気持ちイイ。
SUPERCAR は2005年に解散。ギター&作詞を手掛けていたいしわたり淳治チャットモンチーなどを手掛けるプロデューサーに転身。ベーシスト・フルカワミキはソロアーティストとして活動している。


iLL「FORCE」

ILL「FORCE」2009年
SUPERCAR のフロントマンで作曲家であった中村弘二が、バンド解散後に始動したオレユニット。その四枚目のアルバムだ。前述の SUPERCAR 初期ベストから一気に10年分飛躍したトコロにある作品。ボーカルはもはや意味蒸発気味で、ギターの存在感はあっても基本はエレクトロ駆動のロックになった。でもロックなんだよね。ダンスにもジャズにもならないロック独特の硝煙のニオイがどうしても鼻につく。「VICIOUS」あたりが気分だねえ。
●DVDのプロモ集も楽しみました。「KISS」という楽曲に2つのバージョン。一つは宇川直弘氏のディレクション。ワンカット押しで男女のベロチューをドアップで見せるアプローチ。もうひとつは、NY の異色バンド TV ON THE RADIO のフロントマン TUNDE DROWING (TUNDE ADEBIMPE)のディレクション。TV ON THE RADIO はエレクトロニカバンドとして超注目ですよ。でもプロモも撮るとは知らなかった。演出としてはスケッチブックに描かれたカワイい絵で素敵なおとぎ話を見せてくれるアプローチ。つーかコレ、多分ディレクションを発注してコンテが上がってきたら、ことのほかこのコンテに味がアリ過ぎて、実写化するよりこのまま見せた方がイイってハナシになったんじゃないか、って気がする。ソレくらいさりげないスケッチがホントカワイい。TUNDE DROWING YEAH YEAH YEAHS「PIN」という楽曲のプロモも作ってる。コチラはコマ撮りアニメーション。ぜひ YOU TUBE でチェックを。



自律神経失調症とのお付き合い(その114)~「ブレイクする。ブロークンする前に」編

「ほお!それはアナタが自分で決めたのですか? それが出来れば立派です。ビョウキになる前のアナタには絶対出来なかった事だ」
医者にホメラレた。…いや、たいしたコトじゃないんだけど。ただ、会社を半休しただけだ。ただ、確かにボクのような人間にとっては難しい事ではあるんです。ボクが自律神経失調症、うつ病まで追いつめられたのは、強烈なワーカホリック体質とストレスフル&不規則な生活を長年続けた結果なのだ。結局、仕事の関わり方に対して普通のバランスを取る事がとても苦手だ。
●そんで、ぼちぼちカラダが動くようになった今、またまた仕事に目一杯ハマり込んでる。残業を増やしてはいないが、とにかく会議が多く脳みそをフル回転させる時間が長い。気づくと6時間くらい打合せが積み重なってる。見えない正解、解けないナゾに向かって、知恵を振り絞るような作業。ゾウキンから最後の一滴まで水を絞るように脳みそを使うとクタクタになる。コレがヤバい。

その日の朝は、メチャ寒かった。ボクは極端に寝相が悪いので、その朝はゼンブフトンを剥がしてしまい、猛烈にカラダが冷えてしまってた。目を覚ました時には激しい頭痛と虚脱感で死にそうになってた。うわー気分サイアク…。朝風呂に浸かって体温を取り戻す。うう、なんとか暖まった。風邪引いたりしたらヤバいからな。どんなささいな病気でも、今のボクには精神崩壊のキッカケになりうる。
●……むむ。カイシャ行くのカッタルイなあ。調子は悪いが無理すれば定時に出勤出来る。ただ、クタクタなんだよね。昨日は8時間会議&打合せしたし、明日は12時間会議が積み重なってる上にナイーブなプレゼンもある。一方考えてみれば、今日はキモイ会議は夕方の3時間だけだ…。よっしゃ、今日はカイシャ夕方までサボるぞ。そんで医者と鍼灸行って、リフレッシュの為に時間を使う。ボクは風呂に浸かりながらそう決断した。

こんな判断をしたコトに、医者は「エラい!」とほめてくれたのだ。鍼灸のセンセイにもほめてもらったしね。鍼灸に行ったのは実は半年ぶりだったんだけど、カラダのコンディションもよくなってると言われた。きっと毎週通ってるヨガの成果だ。「ヨガは本当にイイ運動なのね。アナタみたいな人は急激な運動はかえってカラダに悪いと思ってたの。でもヨガはゆっくりだけど、シッカリ全身を動かすからね。首の筋肉とか背中の筋肉もムカシよりダイブ柔らかくなってるわ」ありがとうございました。コレでまた戦えます。「こらこらムチャしちゃダメよ!」

●本来は禁じられている「忘年会」的なお付き合いもボチボチこなせている。昨日も楽しみましたよ。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html


2009年、我が家のクリスマス。

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●ワイフが徹夜で作成した、クッキーのおウチ。スゲエ根性だ。

23日の天皇誕生日は、ワイフの実家でクリスマスパーティ。
●ワイフのご両親、ボクの両親、ワイフとボクと、二匹のコドモ。勢揃いでクリスマスパーティをした。このおウチにはノマドのダイスキな Wii があって、アレコレのゲームをノマドと共に楽しんだ。「モンスターハンターG」は初プレイだったので、ノマドから基本的な操作を教わって、無害で哀れな草食恐竜をザクザク斬り殺した。恐竜の死体からむしり取った生肉をコンガリ焼くテクニックも教わった。
●初代「スーパーマリオ」は子供の頃あんなにヤリ込んだのに、長いブランクの結果スゲエ下手になっててガッカリした。ジャックの豆の木の場所すらノマドに指南される体たらく。パパ現役時代はもっとウマかったんだよ!あ、信じてねえだろその顔!
「Wii SPORTS」ではノマドとガチンコでテニス&ベースボール対決をした。やっぱり初プレイだったので、ノマドに全然勝てない。本気振り絞っても勝てない。それでもかなりの接戦まで持ち込んでやったら、アイツ「オマエさん、なかなかやるねえ」とヌカしやがった。やっぱ21世紀生まれだけあって、あのオトコ(小学二年生)ゲームの飲み込みがやたら早いぜ……まるでマニュアルペラペラめくっただけで連邦軍の最新鋭モビルスーツを動かしたアムロ・レイのようだ。
●ちなみに翌日、Wii力み過ぎた腕&肩の筋肉がバリバリに緊張して体調を崩した。ボクは渾身のチカラをこめてコントローラーを振っていたのに、ノマドは手首の細かい動きだけで強烈なスマッシュやサービスエースを放つ。くそーマニュアルちゃんと読んで、あと二三回プレイしたら絶対勝てるはず。ニュータイプには負けないぞ。ランバ・ラルのように経験と度胸で戦う。

イブ。ノマド、悪ダクミを断念。
●先日、サンタの正体を暴こうと隠しカメラを仕掛けようとしていたノマドの計画についてお話ししました。その後日談。ノマド、あることに気づいた。「ねえ!ビデオのテープって何時間サツエイできるの?」そりゃ2時間程度が最高だろう。「ズコーッ!ソレじゃちょっとしかサツエイできねえ!」ノマドの就寝時間は9時である。9時からテープを回したんじゃ12時にも届かない。ノマドの野望はココで頓挫。それじゃ、12時に一回起きて様子を見てみたら?とワイフ。「…え。じゃ、ママいっしょにおきてよ」起きないよ、寝てるわよ。パパもその時間は寝てるよ。「じゃあオレ一人?…一人じゃコワい……」なんかイキナリビビリになったね…。結局ノマドは、早朝5時に起きてチェックする事にしたそうだ。まだサンタさんがいるかもしれないから。モチロンその翌朝は超早い時間から、ノマドヒヨコ兄妹が大騒ぎした事は言うまでもない。

ポケットモンスター ソウルシルバー
●ノマドがサンタさんからもらったのは「ポケットモンスター・ソウルシルバー」というゲームソフトだ。
●時流に流されないのがノマドの特徴だったが、最近はナニゲに友達の趣味志向が気になるらしい。ポケモン欲しいと言われた時は結構意外だなと思った。通信機能があるのか?マイDSを持って友達のウチに集合しミンナでプレイを共有したという。万歩計みたいなカプセルをDS本体とシンクロさせて、歩いた歩数でニューポケモンをゲットできるギミックがあるらしい。だからヤツは今日ずっと家の廊下を往復したり、足踏みをしたりしてる。うるさいなー。
シルバニアファミリー・森のみんなの学校
●ヒヨコは「シルバニアファミリー・森のみんなの学校」というキットをゲットした。実はこのキットは廃盤モノで現在は市場に流通してない。なのにサンタさんは入手してプレゼントしてくれたのだからスゴい。
●渋いセレクトをしたヒヨコ、デッドストックを発注するにあたり、彼女は彼女なりの対策をしてた。どんなお願いをしたのか友達に絶対口を割らなかったのだ。もしヒヨコの発注内容が周囲に知られてミンナがマネをしたら、サンタさんの北極基地在庫が底をつくとシンパイしたからだ。
●余談だが、このキットには生徒六人分の教科書まで含まれてる。ヒヨコはそれを自分で考えた時間割で配列しなくては気が済まないという入れ込みぶり。特に「図工」の取り扱いは最重要課題らしい。ヒヨコ、図工が一番好きなんだもんね。しかし、キミが文科相になったら日本は滅ぶかも知れない。
●一階フロアの教室にドリフの学校コントを連想するのは、やっぱボクが昭和のオールドタイプと言う証明か?

くらべる図鑑

●父親のボクからは、二人に図鑑をプレゼントした。「小学館の図鑑NEO+ くらべる図鑑」。なにげにベストセラー。ノマドに「この本オレのクラスでチョー話題。もってないのはオレくらいのもんだったよ」と言われた。
●ご覧の通り、色々なモノの大きさなどをセッセとくらべる内容。ヒヨコが大好きなカピパラちゃんもペンギンさんも、余裕でヒヨコの大きさを上回るカワイゲのナイデカさである事が判明。大人でも楽しめるウンチクが満載。


●ダークファンタジーマンガ読書その他。

荒川弘「鋼の錬金術師」1~24巻

荒川弘「鋼の錬金術師」1~24巻
●マンガの読み方をキチンと理解したらしいノマドが最近楽しんでるマンガ。暇つぶしに読んでみたら、まんまとボクもハマった。24巻3日で一気読み。つーか、アニメ画の甘さに騙されてたけど、ノマドに読ませるにはストーリーがエグ過ぎねえか? 錬金術の軍事利用で人体実験&大量殺戮するえげつなさとか、親の立場からすると刺激がキツいよ。「NO.1ダークファンタジー」ってのはマンガの帯コピー。目下ストーリーはかなりのクライマックスに突入中で、しかし解決されない伏線もまだ多くて(というか依然拡大展開中で)、終わりそうで終わらない……もう結論知りたいだけで読んでるんだけど。
●錬金術の基本原則「等価交換の法則」(=質量保存の法則みたいなもん?)というフレーズについて、ノマドのやつ「とうかこうかんのヒミツ…やっとイミがわかったよ」とブツブツ言ってたな。ホントにわかってるのかな?

八木教広「クレイモア」17巻

八木教広「クレイモア」17巻
●コッチはボクが勝手に楽しんでるマンガ。魔導の女剣士たちの死闘を描く物語…なんだけど、バランスを逸脱するほどのボスキャラがドコドコ出てきてヤバいかも。一時期の「ドラゴンボール」が、サイヤ人~フリーザ~魔人ブウなどなど、「敵キャラパワーの大インフレ」を起こして初期のホンワカ感(シェンロンにパンティを発注するマヌケ感)を完全に失ったような、そういうヤバさが匂ってきた。やり過ぎは何でもアブナいですよ。……「ベルセルク」の方はもう「大インフレ」を通り越す経済破綻状態になってますが、ストーリーバランスの崩壊を補ってあまりある戦闘の描き込みがハイボルテージで目が離せない。作者(&アシさん)が死ぬんじゃないかという画力ボルテージ(見開きイッパイの魔物オンパレード&血まみれ殺戮)は現代日本マンガ界の至宝ですよきっと。

幸村誠「ヴィンランドサガ」8巻

幸村誠「ヴィンランドサガ」8巻
「剣と魔法の物語」としてのファンタジーではなく、剣だけの世界、11世紀バイキング時代のお話。中世ヨーロッパの暗黒面(キリスト教ですら浸透してないもんね)に注目する渋さが楽しくて読んでます。しかし、今後イギリス&北欧にまたがる帝国を作るクヌート王子の活躍を追うと思ってたら、新章は主人公トルフィンの退屈な農奴生活になってしまった。舞台はイングランドからデンマークまでワープして、無気力に単純労働に従事する主人公は、金髪ボサボサロン毛で一見ダメな時期のカート・コバーン風にすらなってしまった。大丈夫かこの展開?


●我が家のカラオケ定番曲。

FUNKY MONKEY BABYS「ヒーロー/明日へ」

FUNKY MONKEY BABYS「ヒーロー/明日へ」2009年
●仕事が最近マジ忙しい。ブログすら更新する余裕がない。残業は増やしてないけど、会議だ戦略だのに猛烈にアタマを使う。そんな中、朝番組のヘビロテタイアップ曲である「ヒーロー」は耳タコすぎてでとうとう歌詞を覚えてしまった。「株はまた急落、のしかかる重圧」そんなリリックがマジで響く。今日も虎の門のドトールで「東洋経済」「日経ビジネス」を熟読してた。YAHOO ファイナンスもチェックしてる。もちろん自分のプロジェクトの実績グラフは毎日一時間かけて読み込んでる。ここ3年で仕事のスタイルが激変したよ。つーか、変えなきゃ負けるって危機感。かつてのセンパイたちはこんなスタイルで絶対仕事してなかったはず。しかし旧世代の成功経験に寄りかかってられるほど今の時代は甘くない。
●一方で、ヒヨコノマドはカラオケで癒しソングを歌ってくれる。「しあわせよーしあわせよーここにいておくれよー」アフラック!

たつやくんとマユミーヌ「まねきねこダックの歌」

(たつやくんとマユミーヌ「まねきねこダックの歌」2009年)



ノマドはここ最近、クリスマスに向けて悪ダクミをしてます。
「サンタさんに、かくしカメラをしこんでやる。正体をみやぶってやる!」ノマドはイブの夜にビデオカメラを回して一部始終を撮影したいと考えているのです。おいおいノマド、そんなコト言って、ノマドの所にサンタさんが来なかったらどうするんだ?サンタさんは世界中の子供たちがナニを欲しがってるかわかるんだよ。ノマドが今言ってるコトもゼンブ聞いてるかも知れないんだぞ。サンタさんが悪ダクミを見抜いて、ウチだけ来なかったらどうするんだ?ヒヨコあわてて叫ぶ。「ヒヨコはナニもいってないよ!ノマドだけだよ!」ノマドだけプレゼントがジャガイモになってるかも。「なんでジャガイモなんだよ!?」サンタさんは悪い子にはジャガイモしかよこさないのさ。「オレいいもん、そのジャガイモをおいしく食べるね」よし分かった。パパはアトは知らんぞ。「ヒヨコはナニもいってないよ!ノマドだけだよ!」
●ノマド、この計画をコトバに出すのは危険と思ったらしく、紙とエンピツで詳細をメモる事にした。今度は1人モクモクと紙に文字を書き付けている。ソコにもうヒトコトボクがコメント。ノマドいいのか?紙に計画を書いちゃったら、もう動かぬ証拠が残ったというコトだぞ。今のオハナシをサンタさんが聞かなかったとしても、その紙をサンタさんが見たらオシマイだぞ。「ヘイキだね!」強がるノマド、そのくせしてメモを小さく折り畳んで、あわてて追加で書き込んだ。「サンタクロースは読むな!ひみつ!」そしてコドモ部屋に走っていった。「オレのマクラの下にかくしたからもうダイジョウブ!コレでサンタさんには見られない」
●先日もドコにカメラを置いたらうまく撮影できるか研究してるようだった…。そして1人こうつぶやいた。「サンタのナゾをといたら、きっとノーベル賞モンだぜ!」


ヒヨコの読書。「ぞくぞく村のおばけシリーズ」。

ぞくぞく村のミイラのラムさん

「ぞくぞく村のミイラのラムさん」
●ヒヨコ小学1年生のマイブームは、学校の図書室にある「ぞくぞく村のおばけシリーズ」。人間に見えないぞくぞく村には愉快なおばけの社会があるという。「きゅうけつきなのにイレバの人だとか、ときどきブタになっちゃうオオカミ男が住んでるの」ボクも楽しく読ませてもらいました。寒がりの透明人間は、いっつも厚着してて結局透明になれないとか。その奥さんは村一の美人さんらしいが、誰もソレを証明出来ないし反論もできないとか。ミイラのラムさんは風呂に入る度に一時間かけて包帯を外し、一時間かけてまた包帯を巻く。そんなハナシ。
●最初はヒヨコ一人が静かに楽しんでたのに、いつの間にか友達たちがつられて読むようになってしまい、結果ヒヨコのクラスでは「ぞくぞく村」が大流行中。図らずもトレンドセッターになってしまったヒヨコでした。



今日聴いているのは「ファンカラティーナ」と呼ばれたスタイルの音楽。
●つーか。コレ死語じゃね? 誰も知らないか、誰もが忘れたコトバじゃないでしょうか? 00年代も終わろう時に、誰が注目するでしょうか?こんなコトバに引っかかる自分がホントアホに思えてブルーになる。ボクより若い世代には意味不明だと思うし、年上のロックリスナーの人には価値のナイジャンルに思えると思う(あー言われてみればそんなのもあったっけなー的な?)。そしてかく言うボクですら全然リアルタイムではない。しかし敢えてコレにトライする。
「ファンカラティーナ」といえば、やっぱ「FUNK-A-LATINA」って綴るんだろう。80年代のイギリスで生まれた、ファンクやラテン音楽を取り入れたポップスやロックを指すコトバのはず。WIKIPEDIA ですら出てこなかったけどさ。

なんで「ファンカラティーナ」か?その時代的位置づけ。
●イギリスにはモッズ的な美学がある。でボクはモッズを黒人音楽に対する敬意と愛情の美学だと思うのですよ。そんで、白人としてのアイデンティティとロックミュージックに、異文化としての黒人音楽をハイブリットさせることでイギリスのシーンは活性化してきた。これがボクの音楽史観ね。
●ご存知の通り、モッズは60年代のユースカルチャー。70年代に入るとモッズブルースロックに移行しました。THE SMALL FACESSTEVE MARRIOTTHUMBLE PIE 始めたみたいな。…転じて、90年代のアシッドジャズ。それ以降にドラムンペース/トリップホップ/UK ソウルといった英国産ブラックミュージックが続きます。
●あれ、じゃあ、80年代にはナニが起こってたの?…その空白を埋めるのが「ファンカラティーナ」だとボクは思った。だからソコを掘り進めるのです。

●一応以前にこんな記事も書いたんでご参考に。ここで取り上げた音楽もきっとしっかり「ファンカラティーナ」だと思う。CULTURE CLUB とか WHAM ! とか。
「1984年状況。MTV革命、英国の侵略、黒人&白人音楽の邂逅について。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20090810.html


●じゃあ今日の音源、行きますか。まずはギターポップでファンカラティーナ。

ORANGE JUICE「YOU CANT HIDE YOUR LOVE FOREVER」

ORANGE JUICE「YOU CAN'T HIDE YOUR LOVE FOREVER」1982年

ORANGE JUICE「RIP IT UP」

ORANGE JUICE「RIP IT UP」1982年

ORANGE JUICE「THE ORANGE JUICE」

ORANGE JUICE「THE ORANGE JUICE」1984年
ファンカラティーナって言いながら、このバンドはパッと見ファンクでもラテンでもない。フツウにギターポップだ。グラスゴーに連綿と続くインディギタポシーンの系譜だ。初めての音源は POSTCARD RECORDS からリリースしてる。リーダーの EDWIN COLLINS は声が THE SMITHS MORRISSEY を連想させるし、髪型もオデコを見せるヘンテコなリーゼント風。ギターもリリカルでシンプル。
●でもね、実はしっかりベースがうねってるんです。時々差し込まれるホーンにファンキーさが宿ってるのです。オマケにセカンドアルバムからは、アフリカ・ジンバブエ出身の黒人ドラマーが加入。その黒さは気になり出したらもう無視できないモノになるのです。聴き流せばそれまでだけど、実はリズムがアナドレナイ。
●ヒットシングル「RIP IT UP」は、ファンクなカッティングギターにブンブン唸るベース(ROLAND TB-303 を使ってる!)が実に強烈なアクセントになってる。あくまでポップスとしてチャーミングなメロディがあり、ブラックミュージックとは言えないんだけど、ホンノリシッカリ黒い。ディスコの疾走感を持つ曲もあったりするし、前述の黒人ドラマーさんがボーカル取ったりしちゃう。アフリカ人独特(アフロアメリカンじゃなくてね)の塩辛さが薄く乗った声にシビレマス。セカンドは名譜だね。
●1985年にはバンドは解散。その後 EDWIN COLLINS はソロに転向。ボク個人のリアルタイムでは、1994年に HEAVENLY からリリースしたソロアルバムを聴いてた。位置づけは渋谷系、THE FLIPPER'S GUITAR みたいなギターポップのルーツ。その本質が独特の黒さにあるってのは、その時は気づかなかったな…。似た傾向のバンドとして、HAIRCUT 100 も挙げられるかも。
●あれ、たった今アマゾンでこのバンドを検索したら激高だぞ? ボクは400円程度で入手したのにな。


ファンカラティーナのラテン面を代表するユニット。

MATT BIANCO「THE BEST OF MATT BIANCO」

MATT BIANCO「THE BEST OF MATT BIANCO」1984~1990年
MATT BIANCOMARK REILLY という男が中心になってるユニットで、その80年代の活動を総括したのがこのベスト盤。打ち込みシンセ主体でバタ臭いラテンビートを叩き出す連中の音楽は、ファンカラティーナのラテン側面が一番強調されてる物件と思う。
●正直、88年頃の音は中途半端な積年劣化で、90年代以降のダンス耳に出来てるボクにはダサく聴こえる。むしろ84年の音楽の方がウラに入って楽しい。古いジャズボーカルのスタイルや、キッチュなスパイ映画のサントラみたいな気分を、チープなシンセで無理矢理デザインしてる。コレが耳に新鮮。ラテンを軸足にジャンル横断的なアプローチを軽やかにやってる。よし、コイツらのファーストアルバムを探すぞ。
MATT BIANCO「ANOTHER TIME - ANOTHER PLACE」

●MATT BIANCO「ANOTHER TIME - ANOTHER PLACE」1993年
MATT BIANCO「WORLD GO ROUND」
●MATT BIANCO「WORLD GO ROUND」1998年
●80年代という時代に咲いた徒花とも見えるファンカラティーナですが、この人は例外的に音楽スタイルが全くブレない。90年代のコレらの音源でも、得意のラテン芸風一本押し。で今だにソレで活動し続けてる。MARK REILLY 自身がラティーノだって事実だけじゃ説明出来ない頑固さがあるね。 立派です。
「WORLD GO ROUND」は実は日本盤だけのリリースで本国では聴かれてない。日本じゃ時々CMソングにもなるのにね。他にもドイツ盤だけのリリースとか特殊な活動をしてる。イロイロな事情があるらしいな。

BASIA「LONDON WARSAW NEW YORK」

BASIA「LONDON WARSAW NEW YORK」1989年
●この美人さんは、MATT BIANCO にファーストアルバムの時だけ参加してたシンガーだ。本名は BASIA TRZETRZELEWSKA。スゲエ名字。全然発音の仕方がわからない。実はポーランドの出身なんだって。なるほど、だから「ロンドン/ワルシャワ/ニューヨーク」だ。
MATT BIANCO の初期音源で、元気のイイコーラスやチャーミングなボーカルを聴かせてくれてる彼女だが、1985年にはユニットを脱退。一緒に脱退したDANNY WHITE をプロデューサーにしてヒットさせたセカンドソロアルバムがコレ。MATT BIANCO ほどは振り切ってないけどアレンジのラテンテイストはかなり濃口、UK ブルーアイドソウルの気分も濃厚。元気印だった MATT 時代よりも少々落ち着いたテンションで、レンジの広い美声を聴かせてくれます。


ソウルとケルトと結合。マジかよこの食い合わせ。

KEVIN ROWLAND  DEXYS MIDNIGHT RUNNERS「TOO-RYE-AY」

KEVIN ROWLAND & DEXYS MIDNIGHT RUNNERS「TOO-RYE-AY」1982年
●一曲目のタイトルでビックリするのよ。「THE CELTIC SOUL BROTHERS」だもん。ケルトでソウルなブラザーってあり得るの?!一方はヨーロッパの辺境に住む不思議な民族、一方はアメリカに渡ったアフリカ人たち。食い合わせが悪そう!このムリヤリな折衷感覚は完全に80年代ニューウェーブだわ。ファンカラティーナかどうかは微妙でも、黒人音楽とのミクスチャーでブーストされた奇妙なロックと言えるはず。
●実際奇妙なギクシャク感が満載。ファンキーなホーンがブガブガ大ハシャギするのに、アイルランドの民族楽器フィドル(バイオリン)もキコキコすっごくウルサいんです。あークレジット見るとフルートやバンジョー、アコーディオンまでいるぞ。しかしそんなの構うもんかと違和感まき散らしてお祭り騒ぎはドカドカ続く。流浪の民ジプシーの気分すら連想させる。オマケにリーダー KEVIN ROWLAND の神経質なボーカルがコレマタ耳に引っかかる。イイもワルいも引っ括めてインパクトは強烈。
●このバンドの一番のヒット曲が、ココに収録されてる「COME ON EILEEN」。言わばこの曲だけの一発屋といっても過言じゃないかもね。そしてこの曲だけが、ギリギリスレスレでこの異文化凸凹合体を奇跡的成功でカッチリ組み上げてる。……でも、この曲以外のダメ合体も皆さんチェックしてみて下さい。好き嫌いを超えた次元で、ある意味での蛮勇に敬意すら感じるから。そんでイギリス人の黒人音楽への錯覚倒錯ぶりも透けて見える。重要史料ですよん。


モッズ発パンク経由、至ブリットポップそして王道の英国音楽へ。

THE STYLE COUNCIL「OUR FAVORITE SHOP」

THE STYLE COUNCIL「OUR FAVORITE SHOP」1985年
スタカン、そんで PAUL WELLER の音楽は十分にファンカラティーナ的とは思うんだけど、ハッキリ言ってそんな狭いククリでは捉えられないほど巨大な存在だ。ボクがこの文章で説明しようと考えてる、60年代から一貫して現在まで続く、イギリス人が抱く黒人音楽への敬意を完全に体現してる人物だから。
パンク革命の噴煙の中から衝撃的に登場した THE JAM は、ネオモッズのスタイルを打ち出し英国の伝統に敬意を表した。若きソングライター兼シンガー PAUL WELLER はパンク様式には収まらない黒人音楽への偏愛を、新バンド THE STYLE COUNCIL で華やかに開花させる。その後ソロとして迎えた90年代ではブリットポップの王者として後進から尊敬される存在に。そして現在も、ブレないモッズ魂を抱いてシーンに君臨する…。彼こそホンモノのモッズですよ。
●このアルバムは THE STYLE COUNCIL のセカンドで、一番の代表作かも。誰でも聴いた事のある「SHOUT TO THE TOP」を収録してるし。ロックをベースに、ジャズ、ソウル、ダンス、様々な様式の音楽を吸い上げ、優れた美学の下に統合されてる。そんでその美学こそモッズ。そして彼らの活躍がアシッドジャズを準備したんじゃないかとボクは本気で思ってる。日本の渋谷系すらもが深い影響下にあると思うよ。
●全然聴き飽きないアルバムだし、PAUL の奥さんになる黒人シンガーDEE C. LEE のメインボーカル曲などなど聴き所も多いけど、一点に絞るならやっぱ「INTERNATIONALISTS」だなあ。1985年の巨大イベント「LIVE AID」でこのバンドがパフォーマンスしたのがこの曲。高速疾走するビートに合わせ、鍵盤奏者 MICK TALBOT が自分のオルガンをブッ倒す勢いでバックンバックン揺すぶりながら演奏するシーンがメチャ印象的。歌詞も世界市民的で反人種差別的。「肌の色に惑わされない目を持ってるなら オレたち誰もが同じだってコトもわかるだろ オマエが望む権利は万人にも与えられるべきだ さあアトはオマエ次第 自由はなによりも大事だろ 誇りを持って立ち上がれ インターナショナリスト!」燃えるわ、ナニかがボクの中で。
●黒人女性シンガー DEE C. LEE についてチョッピリ豆知識。彼女は WHAM ! のバンドに加わることでキャリアを起こし、その後スタカン仕事に関わる。このバンドが消滅した後は、アシッドジャズ系のアーティストとコラボしながら、ソロ活動もしてる。彼女自身が、黒人音楽と80年代ファンカラティーナ、そして90年代を結ぶタテ糸になってるワケです。ちなみに PAUL WELLER との結婚生活は1988年から1994年まで。二人の子供を設けました。


こちらもスタカンと同じ傾向のバンド。そこにニューロマンティクス風味も。

THE BLOW MONKEYS「LIMPING FOR A GENERATION」

THE BLOW MONKEYS「LIMPING FOR A GENERATION」1984年
●ブラックスーツに身を包んだユニークなジャケ写が80年代ニューロマンティクスの気分を象徴してるけど、アナログ所有枚数3万というヴァイナルジャンキー/ソウルフリークのリーダー DR. ROBERT がそのR&B愛をふんだんに盛り込んだ UK ブルーアイドソウルになっております。
DR. ROBERT の声は甘く柔らかい。ジャケ写じゃワカンナいけどイケメンさんでもある。だから素朴にルックス先行のポップスとして聴こえるけど、アレンジに仕込まれたファンク風味はかなりのモンです。うねるベース、ねばるバスドラ、粋なホーン。モッズの魂がコッテリです。ホントに THE STYLE COUCIL と同じ感覚で聴ける。スローに決めれば怪しく爛れたジャズボーカルになるし、テンポアップすればラテンアレンジも出てくる。インド風味まで出てきてビックリ。引き出しの多さが際立つなあ。これでファーストアルバムなんだから立派なモンだ。発表当時は全然売れなかったらしいけど。
●このバンド、キチンと聴くのは今回が初めてで、ブレイク作のセカンドとかはまだ入手できてない。ちょっともう少し掘り込みたいトコロです。ファーストはアナログで300円だったけど、セカンド以降はいくらで買えるかな? 1990年にバンドが解散したアトの DR. ROBERT は、前述した PAUL WELLER の奥さん DEE C. LEE SLAM SLAM というユニットを作って、よりハウシーなダンスミュージックに挑戦します。PAUL WELLER のソロ移行にも貢献したそうな。


アンディ・ウォーホルのプロモビデオに注目。

CURIOSITY KILLED THE CAT「KEEP YOUR DISTANCE」

CURIOSITY KILLED THE CAT「KEEP YOUR DISTANCE」1987年
彼らはね、完全にアイドルです。モデル上がりのイケメン4人組ですもん。80年代後半ともなればファンカラティーナなアプローチは普通のダンスポップスだって採用します。ニューロマンティクスのような過剰な自己演出&グリッターなメイクなんてしなくても、ソウルフルでダンサブルなアプローチができる時代になりました。あ、ちなみにヘンテコなバンド名は「好奇心もホドホドに」という意味のことわざです。
●ボクがそんな彼らに注目してる理由は、晩年のアンディ・ウォーホルにプロモビデオを撮ってもらったという事実があるから。ボクはウォーホルには弱いんです。高校生だったボクは、彼のポップアートにハマり、彼の退屈なアングラ映画を見、彼が発掘した THE VELVET UNDERGROUND を聴き、メディアをまたいで活躍したウォーホルを神のように崇拝してました。その延長でこのCDも楽しく聴くわけですよ。
●さてウォーホルが撮ったプロモビデオってのが「MISFITS」という曲のモノ。このアルバムの一曲目。ボクは探して12インチシングルまで入手したです。発表当時1986年にはマクセルカセットテープのCMソングになってました。……とは言いつつ、実際にこのプロモビデオを全編見られたのはホントごく最近。技術革新ってウレシいね、YOU TUBE で初めて発見したんですわ。そんで見たら爆笑!ニューヨークの街を歌い踊る4人の後ろにウォーホル本人がテクテク歩いてる。意味わかんね。必要ないし。笑える。このマヌケ加減がウォーホルの真骨頂です。基本的に彼はボケで、常にツッコミまちなんで。
●80年代ポップスとしても、素朴にボクは好きですよ、彼らの音楽。乾いたスネアとファンキーなベース、軽快なテンポに涼しいボーカル。よく見たら、SLY & ROBBIE がリズム隊を担当してる曲もある。聴き所は「DOWN TO EARTH」「ORDINARY DAY」ってトコロでしょうか。



イギリスのドリカム。と見せかけて、実はアングラファンク上がり。

SWING OUT SISTER「ITS BETTER TO TRAVEL」

SWING OUT SISTER「IT'S BETTER TO TRAVEL」1987年

SWING OUT SISTER「GET IN TOUCH WITH YOUSELF」

SWING OUT SISTER「GET IN TOUCH WITH YOUSELF」1992年
●一枚目にはヒット曲「BREAKOUT」が、二枚目には「AM I THE SAME GIRL」(← BARBARA ACKLIN のカバー!)が収録されてます。日本でも大ヒットした曲だから、皆さん聴いた事あると思います。こんなCDならブックオフで絶対100円で見つかりますし、実際そんな値段で入手しました。自分を洋楽マニアと考える人なら、こんなセルアウトにどんな価値があるんだ、と思うような物件だと思います。男性二人&女性ボーカルという布陣が、日本のドリカムとカブる印象さえありました。
●時代的には、アシッドジャズが始動した時期です。アシッドジャズの成果をうまくメジャー市場にすくい上げたといってもイイかも。90年代風ジャズファンクの駆動感をベースにキャッチーなメロディが乗っかる高性能ポップス。この二作はプロデューサーが前述の CURIOSITY KILLED THE CAT とダブってもいます。PAUL STAVELEY O'DUFFY という人物ね。ただし、ボクが注目したいのは、洗練されたこのポップスとメンバーの出自のギャップ。
男性メンバー二人は、過去にいくつかの重要なバンドに関わった人物です。まずドラムの MARTIN JACKSON。彼はパンクバンド BUZZCOCKS HAWARD DEVOTO が次に作ったニューウェーブバンド MAGAZINE に参加してた男です。大胆なシンセ使いと奇妙なサウンドバランスにインパクトのあるバンドでした。つまりコイツは完全なポストパンク野郎です。その後 THE CHAMELEONS というバンドに加わったアトに SWING OUT SISTER を結成。一枚目のアルバムだけで脱退してしまいますが、90年代には THE DURUTTI COLUMN の録音に参加したりもしてます。
●そして、キーボーディストで音楽面の大黒柱である ANDY CONNELLコイツは伝説の暗黒ファンクバンド A CERTAIN RATIO に加入していました。70年代末ポストパンク期のマンチェスターに登場したこのバンドはいち早くファンク/ダンスの要素を音楽に組み込み、ブリストルの THE POP GROUP 一派と並んで最前衛のニューウェーブサウンドを鳴らした連中です。… A CERTAIN RATIO はスゴいです。本来陽性のモノであった黒人音楽を渾身の悪意で歪め、ダークなグルーヴを噴射しました。彼らの音楽をコールドファンクと呼ぶ人もいます。凍てつくファンク。暗黒のファンク。ハッキリ言って、この事実だけでボクは SWING OUT SISTER の評価を180度裏返してしまいました。こんなアブナい連中がどうしてこんなにポップな音楽やってるの?という興味が湧いたのです。今ココに鳴るポップスの影に、狂気のファンクが宿ってる。コレが SWING OUT SISTER のオモシロさなのです。
●ぶっちゃけ、イギリス黒人音楽の楽しさは、その誤読と確信犯的失敗にあるわけですよ。ホンモノの黒人音楽を聴きたければアメリカのソウルミュージックを聴けばイイ。イギリスの白人が黒人音楽を自分たちなりに咀嚼解釈したズレやユガミがオモシロいのですよ。異形のファンクから出発して洗練されたポップスに到達した彼らの音楽は、結局ドコまでもブラックミュージックに成りきらないままで、そして独特のユニークさを持ち続けてるのです。


ファンカラティーナと90年代が接続した瞬間。

FINE YOUNG CANNIBALS「THE RAW  THE REMIX」

FINE YOUNG CANNIBALS「THE RAW & THE REMIX」1990年
●英国白人二人組と黒人シンガーという組み合わせのバンド。SWING OUT SISTER と同じフォーメーションかもしれない。シンガーがカワイい女の子からは虫類顔の黒人男性 ROLAND GIFT に変わったというだけ。白人二人組の出自も要注意なので最初に報告しておきましょう。彼らは2トーン系スカバンド THE BEAT のギター&ベース。この時代の UK スカは、ポストパンクから枝分かれした重要なジャンルなので今後また取り扱いたいと思ってます。そして UK レゲエも。
●1989年のアルバム「THE RAW & THE COOKED」をリミックスした楽曲をコンパイルしたのがこのアルバム。1990年ともなると、すでにリミックスという概念が普通のモノになってますね。モチロン元の音源もかなりイイです。人間離れしたファルセットボーカルと乾いたトラックの質感で、80年代R&Bとしてガチの名盤となってます。音のスキマ感と抜けがよ過ぎるスネア音が、THE NEPTUNES すらを連想させるのですわ。スネアにインパクトがあり過ぎて、ヘッドホンからヒドく音が漏れてしまい、ボクは電車の中で怒られたコトがあります。
●90年代のブラックミュージックとしてハウスやヒップホップが台頭してきた時代。リミキサーには JAZZIE B NELLEE HOOPER の名前が。NATIVE TONGUE 一派の女性ラッパー MONIE LOVE がラップを乗せてるヴァージョンも。80年代ファンカラティーナはやっと90年代のブラックミュージックに到達/接続しました。表現の当事者に黒人さん達が大きく関わるようになるのも90年代的特徴。シンガー、ラッパー、リミキサー。アシッドジャズ以降のUKシーンは、イギリス黒人自身による自己表現へと大きくシフトチェンジしていくのです。

FINE YOUNG CANNIBALS「THE RAW(「THE RAW & THE COOKED」1989年)



ファンカラティーナの進化の道程。ネオアコ/ボサノバ、ジャズ、ドラムンベース。
●さて、今日もクダラナくて長い文章を書いてきましたが、次に紹介するのが最後のアーティストになります。そんな彼らは、80年代英国音楽としてど真ん中の「ネオアコ」からキャリアを起こして、最終的に90年代の英国音楽「ドラムンベース」にまで到達してしまった、そしてその意味でハイブリット音楽であるファンカラティーナの本質を貫いたようなアーティストだと、ボクは位置づけています。その名は EVERYTHING BUT THE GIRL

EVERYTHING BUT THE GIRL「EDEN」

EVERYTHING BUT THE GIRL「EDEN」1984年
ボサノバってのは、ブラジル生まれのアコースティック音楽だから、80年代イギリスのネオアコースティックシーンにスムーズに取り込まれたコトは至極自然です。ついでに言えば、ボサノバモダンジャズにも接近した様式だから、ココで鳴る音楽も実にジャジー。そんなハイブリット/ファンカラティーナ物件。
TRACY THORN という女性シンガーと BEN WATT というソングライターによる二人組ユニット。そんでこのお二人はご夫婦でもあります。名前の由来はとあるお店の看板。「女の子以外は何でも(売ってます)」って意味らしい。小粋なボサノバにオシャレな装飾をマブし、TRACY の低い声をシットリと聴かせるスタイル。
●80年代のDCブランドブームに沸く原宿で、ショップの店員「ハウスマヌカン」がBGMに選んでたという、ムカシムカシのオシャレ音楽、って先輩から聞いた。特にファーストのこのアルバムはネオアコとしては鉄板盤だとのこと。実際劣化しないキラメキがあるし、ボクにとっては初めて聴いた20歳の頃からずっと聴き飽きないCDになっています。

EVERYTHING BUT THE GIRL「IDLEWILD」

EVERYTHING BUT THE GIRL「IDLEWILD」1988年
●80年代終盤の彼らは、TRACY の味わい深い低い声をフルに生かした、アダルトオリエンテッド・ミュージックになりました。ボサノバやネオアコの様式を軽やかに脱皮して、UK ブルーアイドソウルの色が濃くなったしっとりポップス。ジャケはなんかカッコワルいね…バカ夫婦のイタい2ショット写真になってるよ。

EVERYTHING BUT THE GIRL「THE LANGUAGE OF LIFE」

EVERYTHING BUT THE GIRL「THE LANGUAGE OF LIFE」1990年
ジャズフュージョン~AOR の辣腕プロデューサー TOMMY LIPUMA を召喚。カレのホーム・ロサンゼルスで録音してより洗練されたスタイルへ。JOE SAMPLE、MICHAEL BRECKER など一流フュージョン野郎が結集。ベテランサックス奏者 STAN GETZ は生まれたてのボサノバに一早く注目してモダンジャズに取り込んだ巨匠。そんな連中のサポートでマジキラキラしてます。

EVERYTHING BUT THE GIRL「WORLDWIDE」

EVERYTHING BUT THE GIRL「WORLDWIDE」1991年
●ヒットシングル一曲目の「OLD FRIENDS」に代表されるシンセ&デジピアノ使いで、前作を踏襲するキラキラ増幅路線。音数も多くないシンプルな構成なのにアレンジの薄さは感じない。ネオアコ上がりのジャズアプローチを通過した高機能ポップスという位置づけか。相変わらず TRACY の声はナイスな低音ですが。

EVERYTHING BUT THE GIRL「AMPLIFIED HEART」

EVERYTHING BUT THE GIRL「AMPLIFIED HEART」1994年
●いつになくロックっぽいジャケになりました。ベリーショートまたはカリアゲの TRACY に、ムサい胸毛を晒す BEN。90年代のロック状況を受けたのか、シンセ色後退、バンド演奏の生々しさを敢えて強調したザラザラの質感。ウッドベースの弦がぶるーんと震える響き。生ストリングスのゴージャス感。ギターの音もよく聴こえる。
●ただし、最後のボーナストラックに不穏な予兆が見えるのです。「MISSING (TODD TERRY CLUB MIX)」。コレが完全なクラブミュージック仕様。ココに次作の大変身が予告されてた。

EVERYTHING BUT THE GIRL「WALKING WOUNDED」

EVERYTHING BUT THE GIRL「WALKING WOUNDED」1996年
●さて、コレは発表当時かなり話題になった問題作ですわ。突如として、彼らはハウス/ドラムンベースに転向するのです。リアルタイムの感覚ではマジビビった。なんてったってネオアコの大御所だからね。それがナゼ最先端のクラブミュージックへ? BEN はこの作品に絡めてこう語った。「ドラムンベースは、21世紀のボサノバだ」ボサノバ(BOSSA NOVA)というコトバは本来「新潮流」という意味。つまりニューウェーヴだ。90年代のイギリスで生まれた新潮流ドラムンベースに乗っかる事は決して矛盾ではない…。しかし大胆な変身だった。
●基本はセルフプロデュース。しかし一部でセンスのイイトラックメイカーの名前も見える。ボクが気になるのは HOWIE B だ。独特のヒップホップセンスをハウス/トリップホップ的音楽に取り込み、ユニークな音像を構築する。一時期の BJORK にトラック提供して話題になったっけ。クラブミュージックに接近した時期の U2 の背後にも彼の存在がある。…それでもTRACY THORN の声はどんなトラックに対しても落ち着いた存在感を保ち続けている。ソコもオドロキのポイントだった。
●現在の彼らは、ネオアコから一万光年離れたディープハウスの世界にいる。BEN WATT が病気を患った事でオリジナルアルバムは00年代に入って一枚も出せてないが、彼はハウスシーンの真ん中でDJ/トラックメイカーとして大活躍らしい。TRACY THORN はソロシンガーとしての活動を。本当の「新潮流(=ボサノバ)」を求めて、ネオアコからディープハウスまで。時代に対してシナヤカに反応していくのも、モッズの美学である。モッズは、MODS、つまり MODERNS の略だ。モダンであり続ける為には最先端であり続けなくてはならない。イギリスのシーンが常にオモシロいのはその躍動感に根拠があると思う。


●このアトのUKシーンについては、こちらの記事にも書きました。まだ書き足りないけど。もしよろしければご参考に。
「80年代末から現在まで、UKのブラックミュージックを一気に俯瞰する。」
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-418.html


我が家のクリスマスツリー、見参。

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●娘ヒヨコが隣にいるから分かりやすいと思いますが、ウチのツリーはくそデカイです。テッペンのパーツを含めると2mを超える。身長103cmのヒヨコの2倍。こんだけデカイとオーナメントをどんなにつり下げても多く見えない。フツウに見えるでしょうけど、量にすると結構大変なモンになってますよ。


20歳前半のスタッフと話したい。
●二年の休職を経て復帰した職場。元から100人超の大所帯セクションだけに、ボクが休職してた間にも、大勢の若手スタッフが採用されワサワサ働いている。しかし、ボクはそんな彼らの名前と顔が全然わからない。向こうからすれば10年以上年長のボクは軽々しく口を聞けない管理職のように見えるらしく(実際セクションリーダーはボクの同期だしね)、会釈程度のアイサツしか交流がない。他の幹部も、自分の班以外のスタッフを把握しきれてない気配もある。
●でもそれじゃ不健全だろう。たとえ、雇用形態が派遣や請負でも、組織を構成するスタッフの特徴や志向は全員知っておかないと。20歳代は転職/離職率もスゴく高い。それまでに投下した有形無形のキャリア育成コストをムダにしないためにも、人的交流は活発にした方がイイ。そして若手のモチベーション維持や、先の見えるキャリア形成ヴィジョンに配慮した仕事のさせ方を工夫するべきだと思う。現場最前線のトラブルをいち早く察知するにも、上司が「ハナシのしやすいオッサン」であるコトが大事だ。報告を怖がってトラブルを隠される方が100倍困る。

というのは屁理屈で、要はとにかく若い子と仲良くしたい。
●今週はアレコレ新しい会議にカオを出す場面が多かったので、若手スタッフの分科会にもワザワザ顔を出して話を聞いた。「悪いけど、みんな名前を教えてくれない?トモダチになってくれよ」へんなヤツと思われたかな?なんだか笑われたよ。
●ボクはこんな人間なので、話のトッカカリはキホン音楽トークだ。今のコはオトコもオンナも実にオシャレだし、自分の好みをファッションで自己主張するのが実に得意。フツウに着こなしてるシャツやジャケットに、ロックやパンクのモチーフを折り込んでるし、好きなバンドのTシャツやキャップを身につけてる。ソイツを見つけて声をかける。みんな始めはビックリするけど、仕事以外の接点が見つかると笑顔で自分の話をしてくれる。仕事トークじゃ10年のキャリア差で話題がどうしても膨らまないが、ファッションや音楽において立場は平等だし、ボクも教えられる事が多い。グッと親近感を得られる。
●今週は「CBGB」と大きく刺繍されたジャケットを来てるオンナの子がいた。「CBGB…ニューヨークの有名なライブハウスだね?」「えっ!知ってるんですか?」「NY パンクの重要拠点じゃないか…キミはパンクが好きなの?」タイトなブラックジーンズにハイカットのスニーカー、デッカいニットキャップ。立派なパンクっ子じゃん?「パンク好きです!でもまだまだ詳しいわけじゃないんですけど」


そんな若手スタッフの何人かが口を揃えて「好きです!」というバンドがある。ELLEGARDEN だ。


ELLEGARDEN「ELLEGARDEN BEST 1999-2008」

ELLEGARDEN「ELLEGARDEN BEST 1999-2008」
ELLEGARDEN をボクが察知したのはもうキャリアの後半、2005年だった。オリコンインディチャートで DEF TECH のデビューアルバムが猛威を振るいまくってた時。DEF TECH のミリオンセラーに注目してたんだけど、その少し下に、DEF TECH に匹敵するロングセラーアルバムがあるわけですよ。ナンじゃコリャ実はすげえぞ?それが ELLEGARDEN「RIOT ON THE GRILL」だったんですわ。コレは見事なパンクだ…、と思った。このベストを聴いてもその印象は変わらない。痛快なギターロックと甘さの残るボーカル、少しセンチメンタルな歌詞。もっと早くから聴いていたかったバンドだったなあ。
●若手スタッフたちにとってこのバンドがどんな存在に見えてたのか?英詞も駆使するこのバンドを入り口に、洋楽邦楽両方のロックを聴くようになった、と言ったオトコノコもおりました。きっとセイシュンの音楽として彼らの記憶にとどまるバンドになるんだろうな~。その思いは彼ら自身が自分のコトバで語るだろうし、ボクにそれを代弁するコトはできない。世代が違うから、聴こえ方も違うだろうな。


THE HIATUS「TRASH WED LOVE」

THE HIATUS「TRASH WE'D LOVE」2009年
「ハイエイタス」って発音するんだよね?なんかラテン語由来のコトバっぽいツヅリだな。実はこの単語には馴染みがある。英語版 WIKIPEDIA で調べものをしてるとよく出てくる単語だったから。辞書的な意味では「裂け目」という意味らしいけど、バンドが一時活動休止とかするときにもこの「HIATUS」という単語を使ってる。だから、ELLEGARDEN が活動休止したアトに、ボーカル&ソングライターの細美武士が新しく作ったバンドの名前がコレと聞いて、「そのまんまやないけ!」とツッコミたくなった。
東京事変の現メンバーや元 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT までが結集したスーパーバンド。気色悪いジャケのワリには、ピアノを随所に配置したスタイルも導入して洗練度アップ。キャッチーで甘さの残るメロディは ELLE 時代そのままで、実に楽しいパンクロックだ。この前出したニューシングルも聴きたいな。


パンクロックまみれ。
●さて、職場で20歳代のスタッフと話してると、みんなパンクがとっても好きだってコトに気づいた。しかも日本のパンクバンドね。だからボクも長く放っといてたジャパニーズ・パンクのCDを聴く事にした。


POTSHOT「POTSHOT A GO GO」

POTSHOT「POTSHOT A GO GO」2000年
POTSHOT は日本のパンクバンドでもかなり早くからスカコアに注目してたバンドらしい。具体的には1995年頃。トロンボーンとトランペットを担当するメンバーが常駐してるのも立派だわ。シンガロングできる簡単かつ耳に残るメロディが痛快だな。あ、ドラムが元 JUN SKY WALKER(S)小林サンだ……ヤバい、目の付けドコロが昭和だ。


SNAIL RAMP「MR.GOOD MORNING !」

SNAIL RAMP「MR.GOOD MORNING !」1998年
●こっちも1995年に結成されたスカコアバンド。POTSHOT 同様シンガロングしやすくて、チャーミングなメロディが楽しい英詞パンクだ。シンプルなトリオ編成だけど、ドラムのアクセントがしっかりスカコア


BACK DROP BOMB「MICROMAXIMUM」

BACK DROP BOMB「MICROMAXIMUM」1999年
●地下鉄炎上!格闘技系マッチョなバンド名とはウラハラに、偏差値高めなミクスチャーパンク。ヒップホップからビッグビート、そしてスカ&ダブテイストまで引っ括めて爆走&炎上する高性能ロック。ギター圧力もバッチリ。


BACK DROP BOMB「DIVERSIVE AUDIO EP」

BACK DROP BOMB「DIVERSIVE AUDIO EP」2004年
●ジャケが好き!ダブ鬼神 LEE ''SCRATCH'' PERRY「SUPER APE」を連想させる巨大ゴリラが大暴れの図を、持ち前のサイバーテイストに描いたコトにグッジョブ。オールジャンルなクラブミュージックへの気配りを感じさせるミクスチャーサウンドはメタリック圧力も含めてかなり強力。シングルながらリリース当時からの愛聴盤。

●…偶然にも、レゲエ/スカのエッセンスが溶け込んだパンクばっかだった。パンクとレゲエの相性の良さってナンだろう?


●ハナシは全然変わって…。

●テレビでキムタク主演の映画「HERO」をやってた。ご存知の通り、キムタク演じる異色の検事が裁判を舞台に活躍するおハナシ。この映画に何回も登場するのが「正義の女神」像。コレが裁判所のロビーに置いてある。目隠しをして天秤を握る女性の立像だ。

正義の女神

(こんなヤツ。東京地裁に現物があるのかなと思ったが、ホントはないらしいよ。)

●そんなの見たんで、あるCDのジャケットを思い出した。

METALLICA「...AND JUSTICE FOR ALL」

METALLICA「... AND JUSTICE FOR ALL」1988年
●ほら、「正義の女神」だ。縄でガンジガラメにされちゃってるけど。大事な天秤も壊れちゃった。なんてったって METALLICA だからね。しかもオルタナ革命以前の、純粋なスラッシュメタルだし。メチャオールドスクールだな。
●ドアタマ一曲目の典型的スラッシュメタルチューン「BLACKENED」は、ナニゲに思い出深い1曲だ。このアルバムがリリースされた次の年1989年、ボクは高校に進学した。ウチの高校は「新入生歓迎会」と称して、一日ホールを借り切って様々な部活がパフォーマンスをする。吹奏楽部とか合唱部のパフォーマンスは退屈だったのだが、ロックバンドが登場した瞬間はなんか楽しくなった。そんでですね、「民族音楽研究部」という名前になってたいわゆる軽音楽部の先輩がイキナリ登場してカバーしたのがこの曲だったんだよね。演奏が上手いとか下手とかは全然わからんかった、だって原曲よりも先に聴いた演奏だったんだもん…でも思い切り耳障りな爆音を悪びれもせずブチ鳴らす快感は、小僧のボクには楽しかったな。わー高校生ってなんか楽しいんだなーって素朴に思った。

●あ、たった今思い出したけど、高校三年生になった時、ボク自身がこの「新入生歓迎会」の実行委員長になってたわ。イロイロな部活の連中と香盤の打合せをしたり、ホールの人と照明やPAの打合せをしたり。リハスケジュールとかも作ってたな。あーパンフレットまで作ったような気がする。20年近く前のコトだけど、今の職業とそんなに離れてないコトをしてたんだなー、と懐かしい気持ちになった。

我が家にグッピーの赤ちゃんが来た。

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●息子ノマドのトモダチ・テンタくんは、図鑑大好き、恐竜の名前をたくさん覚えちゃう系の男の子である。もちろん生き物も大好きである。ノマドとテンタくんは休み時間に小学校の裏側にある「オタマ池」に冒険に行く仲間だ。「オタマ池」にはハチがいるので大変危険らしいが、オタマジャクシがいっぱい住んでいるといわれている。まあボクにはわからない、21世紀少年たちの世界が、ソコにはあるわけだ。
●そんなテンタくんが、ジブンが育ててるグッピーがたくさん子供を生んだので、ノマドに5匹も幼魚を分けてくれた。グッピーは意外と丈夫な生き物らしいので、放っとかれてもしぶとく生きるが、共食いもしちゃうので赤ちゃんは隔離した方がいいらしい。確かにしらす干しよりもチッポケだ。マジでミジンコと変わらない。既に一年以上飼っている金魚のコメちゃんと同じ水槽に入れたら、すぐに喰われるだろう。
「オレのペット!」とゴキゲンのノマド。グッピーの観察をするぞ!と水槽とにらめっこ。ヤツの報告によると、グッピーの赤ちゃんは1分間に64回シッポを動かしたらしい。…そんなもん数えてたのか…ヨクやるよ。



TOM WAITS はジャイアンと思ってた。「ボエェェェ~!」 でも違った。

TOM WAITS「USED SONGS 1973-1980」

TOM WAITS「USED SONGS 1973-1980」1973~1980年
●ドラマ「不毛地帯」のエンドテーマに使われてる TOM WAITS の楽曲が気になって。「TOM TRAUBERT'S BLUES (FOUR SHEETS TO THE WIND IN COPENHAGEN)」って曲ね。ストリングスオーケストラを背負って、あの独特の唸るような太く低く野卑でムサくてケモノ臭い声でウタを歌う。そんな曲が流れる中、シベリアの収容所の風景をカメラがジワーッとゆっくりズームインしていくと、唐沢寿明サンが虚無的な表情を浮かべて1人立ち尽くしている…。アレが印象深くてねえ。いったいどんな人がどんなつもりで選曲したんだろう?スゲエセンスだな。結局原作小説もゼンブ読んじゃったし。で、TOM WAITS の方はベスト盤を入手しちゃった。
TOM WAITS といえば、ボクの中ではジム・ジャームッシュとかの映画でノソッと出てくるオッサンというイメージであり、メチャクチャヘンテコな音楽を吐き散らかす怪物というイメージだ。先日も触れたレーベル ISLAND に1983年から1999年まで所属してた TOM前衛ロウファイスタイルで暴虐の限りを尽くした。ボクが初めて触れた TOM の音源は ISLAND 移籍第一弾アルバム「SWORDFISHTROMBONES」。完全オレプロデュースの変態アレンジがかなりビター。もうCDウォークマンのヘッドフォン流し聴きとか不可能なのですよ、あまりにヘンテコ&耳障りで。だから、ある意味でジャイアンのリサイタル状態。「ボエェェェ~!」
●1985年のアルバム「RAIN DOGS」からヒットした曲「DOWNTOWN TRAIN」もね、ボクは ROD STEWART のカバーで聴いちゃったのよ。でコレがスゴくイイ曲で、歌詞もジワリとくる内容で、ゼヒ原曲を、と思って聴いたら実に野蛮で!ナニこのブッ壊れ具合は?みたいな。1992年の「BONE MACHINE」も話題になったけど、もう試聴の段階で恐れおののいたね。……すいません、まだボクがコドモだったんです。当時二十歳前のコトですよ…。ISLAND ってポイントで見れば、80年代前半は BOB MARLEY 商売が成功終了(いや BOB 死んじゃうからね)した時点で、次のヤマっ気のあるアーティストは誰だよって気分があったと思う。U2 を発掘したのも78年くらいでしょ。

●ところがだ、70年代、ISLAND 移籍以前の TOM は、全然印象が違うのよ。つまりこのベスト盤が網羅する1973~1980年、レーベルは ASYLUM に所属してた時代。ロスのクラブシンガーとして歌ってたトコロをフックアップされてデビュー。そしてこの時代はオレプロデュースではなく、BONES HOWE という人物に面倒をみてもらってた頃なのね。
●そうすると、ビックリするくらいオーセンティックなオケに乗って歌ってるわけですよ。声はモチロンアレですよ。「ボエェェェ~!」ですよ。でも、TOM 自身のピアノとスモールジャズコンボでしっとり聴かせるんですわ。彼がやってきた場所、場末のクラブで酔っぱらい相手にウタを歌う、そんな現場感が漂う気分に支配されてる。ISLAND 時代ばかり聴いて完全キワモノ扱いしてたけど、ASYLUM 時代から聴き始めてたら全然印象変わって見えただろうな、この人。目からウロコ。
●それと、歌詞がイイんだ…。実にホロ苦いんだわ…。酔っぱらいのヨタ話にしか聞こえないレベルのチッポケな夢や希望、実にスケールのちいさい恋愛とかを、タップリの愛情を込めて歌うんだわ。人生ポッキリ折れてる人の悲哀とか、ナンも始まっちゃいないのに既に終了しちゃってるような人の悲哀が滲むのよ。ダミ声でナニ言ってるかワカンナイくらいだけど、多分彼が歌ってたバーやクラブには、人生終了組の酔っぱらいがイッパイいて、彼のウタに涙してたに違いない。で、彼自身も酔っぱらって、一生ナニも始まらないままヨタ話を歌っていくと思ってたに違いない。だから彼は「酔いどれ詩人」と呼ばれるんだろう。「ボエェェェ~」声は酒ヤケの声なのだ。
●そして、「TOM TRAUBERT'S BLUES (FOUR SHEETS TO THE WIND IN COPENHAGEN)」だ。1976年の「SMALL CHANGES」というアルバムに収録されてる。ボクは今回ちゃんと歌詞を読んでみて、「不毛地帯」のようにダイナミックなビッグビジネスを描くようなドラマには、実は似合ってないと思ったな…。もっと日の目を見ないような名もなき人たちのためのウタに聴こえる…。ちょっとだけ拙訳でリリックを紹介。

 お月サマに恨みはナイが、もうボロボロに傷ついて。
 オレは、今までしこたまムシリ取られてきたんだよ…。
 おやすみまた明日な。あ、フランク、ちっと2ドルばかし貸してくれよ。
 マチルダと踊りに行くんだ…マチルダとワルツを…マチルダとワルツを踊るんだよ。
 
 先の見えないこの道で、オレは無実の犠牲者だ。
 あの兵隊どもにはウンザリしている。誰も言葉が通じねえし、誰もが痛んじまってる。
 そんでオレのステーシーはズブ濡れときた。
 マチルダと踊りに行くんだ…マチルダとワルツを…マチルダとワルツを踊るんだよ。」


TOM WAITS「SMALL CHENGES」

(TOM WAITS「SMALL CHENGES」1976年。「TOM TRAUBERT'S BLUES (FOUR SHEETS TO THE WIND IN COPENHAGEN)」収録。ジャケはストリップの踊り子さんの楽屋。TOM はこういう場所からやってきた詩人だ。)

TOM WAITS「RAIN DOGS」

(TOM WAITS「RAIN DOGS」1985年。「DOWNTOWN TRAIN」収録。今の耳ならスッと聴けた。やっぱ名曲。)



●ココから先は、より意味のわからない話題ですのでご勘弁を。ボク自身はオドロキと感動でドキドキしたんだけど、それがうまく伝えらえない…。



「手話」の世界にビックリしたんです。
●最近仕事で絡んでる人と雑談してて、ふと出たトーク。とある雑誌編集者の女性なのだが、趣味で「手話」の勉強をしているのだという。へーなんか意外っすねー、仕事忙しいのによくそんなヒマが。

「実は高校生の頃から勉強してて。『手話部』だったんですワタシ」お!そんな部活があるんですか。「それで、文化系のインターハイみたいなのに出場して、ワタシ優勝しちゃったんです」ええ!全国一位ってコト?ソレマジでスゴいんじゃないですか!?「で、なんとなく学校出てからもずっと勉強してるんです」大人になってからも?それじゃ、もう完璧に会話できるとか?「いやいや手話通訳士ってほどにはイケなくて。いつか資格取ろうと思ってますけどね」手話通訳士?そんな資格があるんだ?全然知識のナイ世界だわ。最初ノッテなかったんだけど、この話題なんかオモシロくなってきた!

●あのーホントに申し訳ないコトに、ボクは耳の不自由な人に会った事がなくて、全然わかんないんだけど…そもそもなんで手話なんです?「ワタシ高校が福祉科のクラスだったんですよ。それで美術の先生が聾者の人で。その先生とコミュニケーションしたいなと思って始めたんです」その先生、発声発話は出来ても、自分の声も生徒の声も聞こえない。授業では生徒に指示は出来ても、生徒から先生に話しかけるには工夫が必要になるという。「でもね、そんな先生がちゃんと話をしようとする時、生徒はみんな一生懸命聞こうとするんです。あの先生がいてくれて、結構考え方変わったと思う」へー。

「手話」の仕組みを「表意文字」と考えてみる。
●あの、日々感じてたギモンを聞きますね。手話って、「あいうえお」といった音に正確に対応し互換関係を持つジェスチャー、つまり「表音文字」的な表現も当然あると思うんだけど、基本的には、名詞や動詞など、単語そのものの意味を一発で表現するジェスチャー、つまり漢字のような「表意文字」で作られてるような気がするんですけど?ボクの当てずっぽうな見解、合ってます?
「そうですよ、例えばunimogrooveさんはコレ」彼女は、ボクの本名漢字四文字を、ソレゾレの漢字に対応させた四つのジェスチャーでパッと表現した。そのスピードにビックリ。彼女は自分の名前やいくつかの言葉もアレコレ素早い動きでサクサクッと表現。ヤベエ、ホンモノじゃん。彼女の名前の最初の文字は「浜」。コレを右手の甲を左手でスリ上げるジェスチャーで描写。「海岸に波が乗り上げる様子」を表しているらしい。わ、マジで漢字っぽい。音にリンクせず意味だけを描写してる。なるほど「表意文字」。中国語が発音出来なくても漢字の意味でニュアンスを察知できる仕組みと同じだ。音声を媒介せずに意味/イメージだけを伝えるシステム。
●そしたらさ、手話教室ってのは、この漢字っぽい「表意文字」をひたすら沢山覚えていくってスタイルなワケ?だって中国語は数万種類の漢字を覚えるというじゃん。手話も膨大な量の表現があるでしょう。「うーん、基本は先生と生徒でひたすら会話するんです。ソレを繰り返し訓練していく」あー英会話教室みたいなモンだ。納得。「そして絶対にしゃべっちゃダメ。だから10人以上教室にいてもすっごく静かなんです。無音です」へー。

日々クリエイトされてる「手話」言語。
●でも、新しい言葉はどんどん生まれてくるでしょ、ソレはどうやって対応するの?例えばニュースの言葉で「事業仕分け」とかさ。「NHK の手話ニュースが大事なんですよ。聾者の人はみんなアレを見てますから、新語はアソコで知る仕組みになってます」じゃあ、手話ニュースのスタッフは、毎日新言語を発明開発してるってワケ!超クリエイティブ&責任重大!スタッフが会議で「このコトバはこうやって表現しよう」とか考えてるのかな?「んー、ソコはわかんないですけど、スタッフは全員手話が完璧な人たちなんですって。で、なんとなくこんなカンジ?って相談してるみたいです」彼女の友達の手話通訳士さんが番組で働いてるとな。アナウンサーにも個性があって、見る人が見ると、この人は早口だなー(つまり手数が多い)と思うようなこともあるという。へー!へー!
●それと、隠語みたいなモノもあるそうだ。「女性の場合、生理とかあまりおおっぴらに話したくないじゃないですか。ソレはカタチを変えて女性同士だけで通じる隠語にしちゃうんだけど、男性にもわかるくらいに認知が広がっちゃったら、またソレに変わる新しい隠語が自然と出来てくるんです」すげー!言語生成の瞬間って、なんかスリリングじゃないすか!手話ってボクが思ってた以上に弾力性のあるシステムなんだ……翻って、一般の言語もきっと素晴らしく弾力的に出来ているんだろう、認識されないレベルで。ソシュール

●しかも手話は音声を必要としないシステムだから、実は音声媒介システムを使うボクら健常者とは、世界の見え方捉え方が全然違うかもしれない。「ちょっと違うトコロもあるのかな?……そう言えば、聾者の人は平気でしゃべってる人の間を通り抜けていきます。なんの躊躇もなく」それは、音声を意識してないから、音声でヤリトリしている人間の位置関係には意識を払わないってコトかな?…ちょっと待って、逆に言えば、音声で会話する時ボクらは必ずしもキッチリ向かい合っているわけじゃない…声の聴こえる範囲の距離ならナナメを向いてたり耳だけで聴いてたり…そうか、音声のヤリトリ関係は視覚で認知できる位置関係だけでは定義付け出来てないんだ!だからそういうギャップが出来るのかも!「そうなんですかね…?でも映画とかでも、遠慮なくスクリーンとお客の間に入っていくんですよね…」
「でも、手話で話している人がいたら、割り込みは絶対しません。必ず誰かの発言が終わるまで、みんなが待つんです」手話は視覚イメージだから、視線を一人に固定しないと意味が伝わらないということ?「途中でナニかしようと思うと、ちょっと待って今私が話してるから、ってセンセイに怒られるんです。エチケットなんでしょうね。実際、意味が混乱しちゃってワケ分かんなくなるんです」…複数の発言者のメッセージをキョロキョロしながら読み取るのは難しいモンね。なんかスッゲー勉強になりました!




自律神経失調症とのお付き合い(その113)~「ヨガの忘年会~飲み会禁止令を越えて」編

ボクは、基本的に、あらゆる飲み会&パーティを禁止されてる。
●回復してきたビョウキをまたコジラセてしまう、再発してしまう最大のキッカケは、アルコールのお付き合いだ。アルコールと精神科のクスリは実に飲み合わせが悪いコトもある。しかしソレ以上にヤバいのが、飲み会で急激にテンションが上がったり下がったりするコトだ。お酒はソレを促進するしね。

自律神経失調症の気分障害、うつ病による「うつの波」や「そうの波」は、感情のテンションがうまく維持&コントロールできないのが問題なのです。素人さんから見ると想像しづらいほどヘンテコで実にビョウキ的。
●飲み会で、ガーンとハイテンションになる。そりゃ気の置けない友達や同僚と飲めば楽しいに決まってる。周囲も「コイツは元気になったんだ」と錯覚するほどにもなる。が、実は感情的エネルギーを使い果たして、その後ボロボロになり翌日は立てない/ふとんから出られない、みたいなコトになったりする。反対にハイが止まらなくなり眠れず、不眠症を再発させるキッカケになる。規則正しい生活習慣が壊れる。
●反対に、上司やクライアントのお付き合いなど気を使う場面もヤバい。上司にとっては激励のつもりが、長時間の緊張で「うつの波」を呼び込むキッカケになる。感情的エネルギーを消尽し寝込むハメになる。一度緊張が始まると、そのドキドキがいつまで経っても止まないって現象も起こる。家に帰っても眠れない。不眠症再発。ヤバい。
●そういうコトで、非常に不義理なコトだが、心配してくれる同僚や友人にもボクはほとんど会わないし、食事もしない。カワイい後輩の結婚式にも出席しない。そんであらゆる場面において、一滴もアルコールを飲まない。


なのに、ヨガ教室の忘年会に出るって約束しちゃったのだ。ピンチ。
●やーボクヤバいんですよー、って言って断るつもりだったのに、センセイや周囲の生徒さんたちにアレコレ言われて、その場の雰囲気で「出席」にされてしまった。「こじんまりとした立食のパーティですから」うわー立食!実は立食も危険だ。体力が衰弱しているボクは2時間も立ちっ放しでいる自信がない。出席するメンバーって言っても、25人の内、ボクが話したことがあるのは2人しかいない。完全なるアウェーじゃないか!……うわー具合悪くしそう…。

で、昨日がそのパーティ当日でした。
●ボクとしての頼みの綱は、ヨガ教室で最初に仲良しになったファッションデザイナーのユキサンだ。ヨガ教室暦1年以上で、他の曜日のクラスの人も知ってる、オマケに死ぬほど人懐っこい性格(だからボクもすぐ仲良くなった)。だから、この人にくっついてれば、人見知りでヤバいテンションになるコトを防げる!ボクは待ち合わせまでしてユキサンと行動を揃える事にした。じゃなきゃユキサン、遅刻の常習犯だからパーティに来ないかも知れないし。そんで、確かにユキサンにはイントロダクション部分でうまく雰囲気作ってもらって助かった。パーティの気分自体を作っちゃうほどのムードメーカーになってたし。
●でもね、ユキサンのチカラを借りつつも、予想以上にうまくイケました。実は、ことのほかボク自身がヨガ教室で目立ってたんですよ。「1、2回ご一緒した事ありましたよね」って話し掛けてくれる人が沢山いて、マジで超ビックリな展開だった。コッチは全然覚えてないのに……しかし冷静に考えればそりゃそうだ、明らかに違和感丸出しの存在だもんボク。ボサボサ頭でヒゲ面メガネで見るからに不健康なオトコ。オマケに瞑想の時間にイビキをかいて爆睡するという悪癖まである。結果、ボク自身の知らないトコロで、周囲の女性たちから「あの人いったいどんな人?」という関心を集めてたのだ。「なんでヨガされてるんですか?」「いっつも気持ちよく寝てますよね?」アレコレ楽しく話し掛けてもらいました。ボク自身は人間の構造がボケなので、マヌケポイントをツッコンでもらい、実に快適でした。

ヨガ教室のパーティに集まる人種とは?
●会場になったレストランは、菜食主義にのっとったイスラエル料理のお店。メシはマジでウマかった。乾燥トマトとアンチョビをタップリスパイスで炒めたようなヤツをペンネみたいなヤツの上に乗っけて食べたら最高。ベイクドポテトと見せかけて実はナガイモだったりとか、見た事のない野菜が混じった炒め物とか。ドリンクは4種類くらいの果物が入った不思議なお茶。それとファラフェルっていう料理が印象的。写真見てわかるように、汁気の多いモスバーガーと比べても100倍くらいカジルのが難しいカタチ。女性はフォークで上から具を食べて、十分小さくなってからカジってました。ガワはピタみたいな感じで、中にはヒヨコマメでできた揚げ物みたいなのが入ってました。

ファラフェル(ファラフェル。説明聞いたけど詳しい事は不明)

●で、そんな超健康志向なお店にヨガなんてやってる人種が集まったら、ヘルシーオーラが眩しくて、ボクのような不健康人間は日光に晒されたカビのように死ぬしかないと思ってました。……でもね、ヘルシーとかそんなの関係なくて、結構オモシロい職業してる人たちが多くて話が楽しかった。アラサーからアラフォーの自立した職業を持つ女性はオモシロい。
ユキサンもデザイナーだけど、カバンのデザイナーさんがいた。インターネットで受注生産するパン屋さんがいた。ネット専門のお花屋さんもいた。仕入れの時間は朝4時だって。エアロビインストラクターさんはチャキチャキ姐さんでした。そしてマンガ家さんも。恥ずかしがって自分の作品とかは教えてもらえなかったけど、アシスタント時代のお話を聞いた。えっあの大先生ってそんな人?とか。男性マンガのジャンルもアシスタントとしてシッカリやってたそうで「二日徹夜して、マージャン牌の模様だけを書いてました」えっ、アレ全部手書きなの?!「一萬」とか「二萬」とか超メンドクサイじゃん?!


最近、仕事が楽しい。
●「禁じ手」であったパーティも無事突破したコトもあり、徐々にカラダが普通の社会生活に馴染んできたという手応えを感じる。約二年の休職生活をくぐり抜け、復職して半年が経過。まー相変わらず余裕は全然ないけど、最近は仕事も楽しくなってきた。
●ボクは仕事にノメり込み過ぎてビョウキになった、重度のワーカホリックなのでハマり過ぎは禁物。しかもこの不景気、業績はサイアクに悪い。しかしピンチであればそれなりに燃えるのも本心。結局アレコレ仕事のプランを考えるのは大好きなのだ。毎日毎日グラフや資料を読み込んで、頭をヒネッてマーケ分析。そんでそれを戦略戦術に反映させるプランを考案実行する。ビョウキ以前に感じていた仕事への「ワクワク感」が胸の中によみがえってきた…。
一方で、一緒にリハビリしてた人たちの中にはまだ調子を取り戻せていない人もいる。社内診療所でハッタリと出会った女の子、てっきり最前線の現場でバリバリ働いてるモノと思ってたのに「ワタシ、また休んじゃってるんです…」あらそうなの…。かつて人事部の片隅で共に通勤訓練をしてたルームメイトくんも、ウワサによると時々調子を崩してカイシャを休むという。9年下の後輩に至っては、現場復帰は果たしても。以前とは性格がガラリと変わってしまって、うまく声がかけられない。変わり者のSちゃんは消息不明。……ボクだってなにかと不自由は沢山あるし、周りのスタッフにも迷惑をかけてるトコロもあるけど、ニコニコ笑って仕事が出来る事をシアワセと思わなければならない、と思うのでありました。


●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-557.html



晩秋/初冬の BOB MARLEY。
●なぜかレゲエだ。しかも王道のレゲエだ。なってったって、聖人 BOB MARLEY だし。今週は ISLAND 時代の中期を聴いてた。

BOB MARLEY  THE WAILERS「RASTAMAN VIBRATION」

BOB MARLEY & THE WAILERS「RASTAMAN VIBRATION」1976年
●タイトルにも折り込まれた「ラスタ」って言葉はジャマイカ特有の信仰ですね。レゲエって言えばラスタってほどイメージが結びついてますが、ジャマイカ人全員がラスタってわけじゃありません。ラスタは人口の10%程度。ラスタの多くは都市生活者ではなく、田舎で共同生活を静かにしているって感じでもあります。ラスタにとって都会はバビロンですから。
●しかし、そのラスタの視点から BOB は力強く波動を送ってきます。神・ジャーへの愛を訴え、その福音であるレゲエの強さを訴え、システムの暴力によって息子を殺された母親の悲哀を歌い、人種差別を糾弾し、不条理に満ちた世界に戦いを挑みます。レゲエ特有のオットリとした表情とはウラハラに、塩辛い BOB の声は強いメッセージを叫んでいるのです。

BOB MARLEY  THE WAILERS「EXODUS」

BOB MARLEY & THE WAILERS「EXODUS」1977年
ラスタ信仰はジャマイカ土着の古い宗教ではなく、比較的最近に成立した新興宗教。100年程度しかその起源を遡れません。だからキリスト教の聖書にイロイロなモノを依存してる部分もある。「EXODUS」はズバリ旧約聖書の有名なエピソード「出エジプト記」のコト。モーゼが海を2つに割って、ユダヤ人をエジプトから脱出させたおハナシ。ラスタたちは、奴隷貿易の結果、故郷アフリカから連行されてきた自分たちの存在を、旧約聖書にあるような放浪の民ユダヤ人と重ねて考える気配が強いのです。BOB 自身も熱心な聖書の読者でありました。
●表題曲「EXODUS」の強靭なファンクネスこそスゴい。レゲエというカテゴリーとは無関係にこの唸るベースとパワフルなリズムは聴く者のタマシイを揺さぶる。そのグルーヴに乗って叩き付けるように歌う BOB はまさしく聖者のようであり、正真正銘のカリスマに見える。これに続く「JAMMING」にも同様のファンクが匂う。一方で優しさが漂う曲も。「WAITING IN VAIN」「ONE LOVE」という名曲も搭載。多分、BOB MARLEY & THE WAILERS のアルバムとしては一番コレが好きかも。

BOB MARLEY  THE WAILERS「KAYA」

BOB MARLEY & THE WAILERS「KAYA」1978年
「KAYA」ってのは、この場ではガンジャ、マリファナの隠語でございます。そりゃもうホンマモンのラスタですからガンジャは大好物です。彼らはハーブって呼んだりします。自然を尊ぶラスタは、自然に大地から生えてくる大麻を神の恩恵と考えているからこそ吸うのです。もうその意味では野菜と同じ。一方人間が作った白い粉は完璧なマガイモノ。絶対に認めません。そのテの差し入れがあっても BOB は仲間に吸うな!と戒めたといいます。
「KAYA」の音源は、前作「EXODUS」のセッションと一緒に録音されたモノからお蔵出しされた物件です。「EASY SKANKING」「KAYA」とユルいテンションで始まるのでノンビリした印象が強い。「SATISFY MY SOUL」って曲もそういう感じかな。アジテイターとしての BOB はココにはいないけど、愛情や平穏を愛おしむ気分が漂っててリラックスできる。「IS THIS LOVE」やアコギが響く「TIME WILL TELL」の優しさが実に心地いい。「SUN IS SHINING」の切なげな叫びもイイ。



聖人 BOB の音源を聴く上での注意事項。ポイントは「ISLAND」
BOB MARLEY は皆さんご周知の通り、ジャマイカのポップミュージック「レゲエ」を全世界に認知させたスーパースター。でもさ、一人でスターになったわけじゃない。ボクはここでヤシの木マークの「ISLAND」というレコード会社に注目します
BOB のCDには大まかに2種類あります。世界デビューする前の時代の BOB。世界デビューした後の BOBで、メジャーなのはもちろん世界デビューした後の BOB じゃないすか? 時代にして、1973年から脳腫瘍で死んじゃうまでの1981年。で、この重要な時代のCDには、所属レーベルである「ISLAND」のマーク(ヤシの木マークです)か、BOB 自身のレーベルのマーク「TUFF GONG」(真ん中に六芒星がついてます)がついてます。ある意味で、これが正典ですわ。

Island Records.svg

●で、この「ISLAND」ってカイシャがナンボのモンだというハナシですが、実際「ISLAND DEF JAM」と改称されて、現在は巨大なレーベルに進化してます。後から合体された DEF JAM はヒップホップの歴史に金字塔を打ち立てる金看板だし、ISLAND にも重要なロックアクトがイッパイ所属してます。ELTON JOHN から KEANE、アメリカ名義の UTADA までがその傘下におります。ムカシは U2 だっていたんだし!
●でもさ、この会社は今でこそ超メジャーみたいな顔してますが、実はジャマイカで立ち上げられた超インディレーベルだったんです(ヤシの木マークだけにその片鱗が残ってる)。1959年、イギリス系ジャマイカ人(つーか、この頃のジャマイカはまだイギリスの植民地)だった CHRIS BLACKWELL というオトコが創始。レゲエをメインの商売に据えておりましたが、70年代にビジネスを国際化。この白人の戦略に基づいて BOB MARLEY は世界に売り出されたのです。そして本格的に世界的ブレイクを果たしたのが、ちょうど「EXODUS」の時期でありました。
●このときよく言われるのは、CHRIS BLACKWELL が世界のリスナーにフィットするように、BOB のレゲエサウンドをロックに接近させた、って逸話。ボクは厳密なレゲエ純粋主義者ではないし、聴いてる分野も偏ってるので、その影響関係も善し悪しも解説しきれませんけど、耳で聴けばわかるチガイには引っかかります。細かいコトを言うと、普通のレゲエに比べてギターが出しゃばる場面が多過ぎるし、70年代のトレンドであったダブ加工の影響が少な過ぎるし、ドラムももっと明白にスネアを打ち、乾いた音であるべきです。ぶっちゃけたハナシ、サウンドだけで言えば、BOB MARLEY はレゲエの世界では異端なのでは?と思うことすらあります。

BOB MARLEY & THE WAILERS と THE WAILERS は違う。
●ココでちょいお話を戻して。世界デビューする前の BOB MARLEY THE WAILERS というグループを作ってました。レゲエにおいてグループと言えば、おおまかに言ってボーカルグループであって、バンドではありません。オケはスタジオ専属のハコバンが面倒みてくれましたし、他人のオケを使い回してウタを乗せたりもするのがレゲエの世界。THE WAILERS BOB PETER TOSH、BUNNY WAILER というシンガーのトリオ編成。
●3人組がキャリアを起こしたのは60年代真ん中で、ジャマイカ音楽産業の先駆 COXSONE DODD がオーナーを務めた STUDIO ONE を舞台に活躍を始めました。ココで狂気のプロデューサー LEE ''SCRTCH'' PERRY とも知合い、コラボもしてます。彼のバンド THE UPSETTERS との相性は抜群で、その音源には本来のレゲエが持つヒンヤリとした冷たさが宿ってます。音響的には洗練とは程遠い劣悪環境ですが、不穏な破壊力は明白に増幅。ボクにとってはコッチの方がレゲエっぽく聴こえるのです。オマケに、世界デビュー後のアルバムに収録された有名曲が、既にこの時代に書かれてたコトも分かります。
●しかし、CHRIS BLACKWELL が関わるようになってから、ボーカルトリオの間には不協和音が響くようになり、世界デビュー翌年には PETER TOSHBUNNY WAILER もグループを脱退してしまいました。熱心なラスタだった BUNNY は世界デビューどころかツアーで飛行機に乗るのも絶対カンベンという人ですから。これでボーカルグループとしての THE WAILERS は滅び、シンガー BOB とそのバックバンド(&コーラスチーム I THREE)として編成された BOB MARLEY & THE WAILERS が地滑り的に成立したのです。

BOB MARLEY  THE WAILERS「AFRICAN HERBSMAN」

BOB MARLEY & THE WAILERS「AFRICAN HERBSMAN」
●結局のトコロ、「ISLAND」盤は入手が容易で聴きやすくなってるんですが、ソコに依存し過ぎると BOB MARLEY の全体像を見損なう恐れがあるのです。今日 ISLAND についてダラダラ書いたのはそんなコトが言いたくて。
●でコイツが、LEE PERRY とのコラボを集めた編集盤。60年代の THE WAILERS がよく分かる重要音源。ISLAND 以前はアルバムパッケージの時代ではないので、網羅的に聴くのが難しいのですが、その中でもコレは秀逸なコンピです。ゼヒおススメ。PETER TOSHBUNNY WAILER もそれぞれ重要なソロキャリアを積むのでソッチもフォローして下さい。



BOB の家族。コドモは全員で13人。
BOB MARLEY & THE WAILERS の重要なメンバーで、コーラスグループ I THREE の1人だった RITA LEE という女性が BOB の正妻ってコトになってます。しかし、結婚生活にザックリ感覚だった BOB はアレコレいろんな女性に手をつけて、イッパイ子供をこしらえました。正妻 RITA のオナカから生まれた子が全部で5人(その内二人は BOB のタネではないのですが)。その他8人の女性がそれぞれ一人ずつ子供を生んでます。で、そのうち7人までがミュージシャンとして活躍してます。


ZIGGY MARLEY  THE MELODY MAKERS「CONSCIOUS PARTY」

ZIGGY MARLEY & THE MELODY MAKERS「CONSCIOUS PARTY」1988年
ZIGGY MARLEY RITA から生まれた BOB の長男です。ジャケのあどけない表情はまだ彼が二十歳だったからかな。見事なドレッドがお父さんの面影を連想させますが、ボーカルスタイルもなんとなく似てます。そんで THE MELODY MAKERS ってのも実は ZIGGY の兄弟姉妹ばっかです。ZIGGY のお姉さんである、CEDELLA、SHARON、弟の STEPHEN が所属してます。お母さんの RITA まで参加してます。
●翌年のグラミー(レゲエ部門)まで獲っちゃうヒットになった本作は、プロデュースを TALKING HEADS のドラマー&ベーシストである CHRIS FRANTZ & TINA WEYMOUTH 夫妻が担当。別ユニット TOM TOM CLUB でも知られる二人組です。NY でハイブリットなニューウェーヴ・ファンクを鳴らしてた連中が、その音楽的ルーツである BOB MARLEY の子供たちをプロデュースするなんて不思議な逆転現象にも見えます。でもその結果、コアなレゲエ様式にハマり込まない風通しの良さがポップに聴こえてイイ感じです。80年代後半のワールドミュージック状況も受けての影響も入り込んでます。最終トラック「DREAM OF HOME」のアフリカンチャントな気分がスゴく好きです。


BOB の息子には、アメフトの選手になったヤツもいます。
BOB はサッカーをこよなく愛し、プライベートでもツアーの空き時間でもよくサッカーをしてたそうです。腕前もなかなかなモンだったそうで…。ただそのサッカーのケガが命を縮める結果になるのですが。
●だから運動神経の良さは遺伝なのでしょうか。アメフトの選手になったのは ROHAN MARLEY ってヤツ。でもコイツの選手のとしてのキャリアにボクは興味がない。コイツが結婚した相手が重要。THE FUGEES の紅一点パフォーマーだった LAURYN HILL とコイツは結婚したのです。しかも今調べてたら、既に5人も子供作ってるし。


LAURYN HILL「MTV UNPLUGGED NO. 2.0」

LAURYN HILL「MTV UNPLUGGED NO. 2.0」2002年
THE FUGEES 時代の LAURYN HILL はヒップホップの女闘士でした。スゴく勝ち気で男性ラッパーにフリースタイルで噛み付くくらいの気性の荒さがあったといいます。しかし、THE FUGEES がアルバム「THE SCORE」でブレイクした1996年、BOB の遺児 ROHAN に出会い、ワリと速やかに妊娠しちゃうと、メロリと皮が剥がれ落ちるようにそのトゲトゲしい印象は消えてなくなり、ソレはソレは美しく変身したのでした。当時の雑誌インタビューは LAURYN の性格がマルくなった事へのオドロキを詳しく伝えていたし、グラビアの表情は観音菩薩のようなアルカイックスマイルさえ漂って見えました。元から美人さんだしね。
●第一子出産を経て放ったソロアルバム「THE MISEDUCATION OF LAURYN HILL」1998年は、素晴らしいオーガニックソウルアルバムになりました。カワイイ赤ちゃんザイオンくんに向かって歌う「TO ZION」はマジで感動的です(ジオン公国とツヅリが一緒なんだよね…)。
●で、完全お母さんモードになった彼女はグッと仕事を減らしてしまいました。THE FUGEES の盟友 WYCLEF JEAN ですら「連絡が全然取れない、このインタビュー読んだら連絡くれよ」なんて発言してたし。そんな訳で、まとまった音源としては最後のアルバムがこのライブ盤って訳です。
●とはいいつつ、ボクはこのアルバムがイイとはあまり思ってない…。CD二枚組の分量なんだけどイマイチ散漫&冗長。MCも完全収録なんだけど、最長12分もダラダラしゃべってんだよ!英語わかんないボクにはキツいわ。オマケにトチッたトコロもまんま収録してる(ゴメンナサイと苦笑する LAURYN とお客の拍手)。
●それでも、アコギ一本だけで朗々と歌い、時にラップする彼女の声は低く深くマロヤカで耳に優しい。BOB の遺伝子は彼女を媒介にさらに拡散し、彼女自身の音楽も変えてしまった。このライブでは感極まって歌いながら泣きむせぶシーンまで聴ける。ゆっくり準備中といわれてる次のソロを楽しみにしつつ、このピースフルなライブを聴くのでした。

Lauryn Hillアフロでか!(ローリン、アフロデカ過ぎ!)



大人なノマド。
ウチのコドモは基本8時にはベッドに入る。それがルールだ。「世界まるみえテレビ特捜部」とかを最後まで見て、ワイフが「8時になったよー、コドモは寝てー」と声をかけた。すると息子ノマド8歳、ナニを思ったか一言シャウト、「オレはもうコドモじゃねー!」……なにソレ!あはは!オマエはちいこいコドモだよ!ちいこいちいこいノマドちゃんだよ!オマケにクラスでも一番チビじゃんか。いきなりナンのつもりだよ!あははは!
そんなノマドはヘタレのクセして自意識過剰でとてもアマノジャク。ワイフがナニかを提案してもまず否定から入る。二けたの足し算(例/48+26)って、繰り上がりの数「1」を筆算のスミにメモると間違いが減るでしょ?でもワイフがそうアドバイスしても、ソレは赤ん坊のやるコトだとガンと拒否するのである(で、結果として間違える)。オセロに勝つと猛烈に尊大になるし(8歳児に負けるワイフも問題だ)、負けるといつもポロポロ悔し泣きである。誰にこの性格似たんだ?…当然このボクである。ウンザリする。

加えて、息子ノマドは、大のカッコツケしーでもある。
●カードゲーム「バトルスピリッツ」が大好きなノマド。しかしこのゲーム、ちとルールが難しいと見えて、イマイチ小学生に浸透しきってない。だからゲームの相手にいつも困ってる。だからノマドは父親であるボクと勝負するしかなーい。
●ところが最近、同級生のタクくんが「バトスピ」愛好家であることが判明した。そこでノマドは、タクくんと勝負しようと思って彼のオウチに電話をしたのであった。電話の相手は快諾し、すぐさま我が家に来てくれると言ってくれた。……ところが、我が家にやってきたのは、小学5年生の男の子。
●誰? なんで? ワイフびっくり!5年生ともなると背も伸びて迫力満点、2年生のチビッコを迎えるつもりでいたワイフは、想定外の来客にビビったのであった。…実は、この5年生くんは、タクくんのお兄さん、ユウくん。ノマドは、タクくんのウチに電話したのだが、電話に出た相手がクラスメイトのお兄さんだとは気づかなかったらしい。しかも、タクくん以上にユウくんは真剣な「バトスピ」フリーク。多分オトウト相手の勝負に物足りなさを感じてた彼は、オトウトのトモダチから「バトスピしようよ」と誘われて、ホントにうれしくて我が家にやってきたのだった。ユウくんは、小学校の生徒会長を務める礼儀正しい少年で、後輩の面倒見もイイらしい。だからノマドとも普段から面識があったワケで、ユウくんは自然にノマドが自分に「バトスピ」対決をオファーしてきたと考えた。
●さて、一方のノマド、兄弟を勘違いして誘っちゃったにも関わらす、フツウに応対して年長のお客をもてなした。あまりにシレッとしてるノマドに、ワイフは「最初からお兄ちゃんを誘うつもりだったのかしら、ワタシだけ勘違い?」とますます戸惑う。「オニイちゃんがきてホントはビックリした」とノマドがやっと認めたのは、ユウくんが帰って数時間経った夕食ドキ。ノマドはノマドでヘンなトコロでカッコツケしーなのである。

●ちなみに今週行われたマラソン大会の順位も、プライドが邪魔してか、ヤツは絶対教えてくれない。今朝やっと白状したトコロによると30位。中の下ってトコだね。ちなみにイモウトの1年生ヒヨコは? 彼女はイイワケのつかない大差で全学年中の最下位でした。ひとつ前の子からも100m開けられて、ダントツのビリ独走。センセイに伴走されつつ、沿道で声援を送るお母さんたちに余裕の笑顔を振りまいて、堂々ゴールしたそうな。ソレはソレでワイフはガックリ落ち込んだのでした。



ボーイとガールの微妙なカンケイ。
●なんだか似たナマエのバンドを見つけたので、ちょいとその3枚をご紹介。

BOYS LIKE GIRLS「BOYS LIKE GIRLS」

BOYS LIKE GIRLS「BOYS LIKE GIRLS」2006年
「オトコノコはオンナノコが好き」…実に自明の理である。そんな思いを、00年代風のエモサウンド/ポップパンクで大熱唱。小気味イイパンクサウンドをバックに、伸びのイイハイトーンボイスでセイシュンの甘酸っぱいメロディを精一杯歌います。あのポーンと突き抜けたメリハリ感あるメロディは、エモとしては実に高性能&超典型的。…パンクが得意でないボクはエモのリスナーとしても二流三流だけど、これはそんな素人でも楽しいと思った。
エモって文字通り「エモーショナル」なロックって意味だよね。その源流は90年代後半からジワッと発生してたってハナシだけど、00年代のエモ隆盛は間違いなくこの時代を代表するムーヴメントだったのでは。メソメソヘコむわ…って気分も、オッシャ!アガるわ!って激情もダイナミックに盛り込んでドラマチックに展開するポッピュラーセンス、そんでその目的に奉仕するが故に様式分化して、スクリーモからピアノエモとバラエティ豊かに進化したのも00年代の象徴的事件じゃないでしょうか?

GIRLS AGAINST BOYS「FREAKONIA」

GIRLS AGAINST BOYS「FREAKONIA」1998年
「オトコノコに対抗するオンナノコ」…というバンド名を名乗りながら、ムサくるしいオトコ4人組のバンドだ。ハードコア/エモの大源流と言われるパンクバンド FUGAZI の関係者が結成した90年代のオルタナティブロックバンド。90年代全部をしっかり活動した上での、90年代サイゴのアルバムである本作は、パンクロックスタイルにインダストリアル風味を盛り込んだ、ダークでグルーヴィーなデジロックの側面も持ってる。
●アレンジやサウンドプロデュースには細かい工夫もミクスチャー感覚も取り込んでるけど、00年代のエモ感覚から見ると、メロディのダイナミックな展開が全然ないのでちっともオモシロくないかも知れない。ただね、ボクは90年代のオトコだから、違和感感じないのです。…結果として今現在も経年劣化してない名曲はメロディも含めてしっかりした曲ばっかだと思うけど、90年代はメロディをないがしろにするのが一つのファッションだった時代だから。
オルタナロックはせっかくボーカルが歌っててもギターの音がデカ過ぎたりしてたし、ロウファイシーンはメロディ以前に録音として成り立ってないボロボロ加減が重要だった。ポストロック/音響派はボーカルパートがないもんね。これ、テクノ&ハウスヒップホップというダンスミュージックがサブカルチャーとして台頭した時の気分だと思う。ダンスミュージックは完全にグルーヴに従事するモンだったし、音楽的革新はロックじゃなくてダンスの分野でこそ活発だったと思うし。…メロディ回帰って、90年代視点から見ると反動にも見える瞬間がある。
●とはいいつつも、ぶっちゃけ、GIRLS AGAINST BOYS が90年代の音楽を代表出来るほどよく出来た音楽をやってたとまでは言わない。だってボクは RIOT GRRRL 系のガールズバンドと勘違いして買っちゃったくらいの中途半端な物件だから。

BOY MEETS GIRL「REEL MUSIC」

BOY MEETS GIRL「REEL MUSIC」1988年
「オトコノコはオンナノコに出会う」…このユニットは、ソングライターチームで実際の夫婦でもあった男女二人組。「WAITING FOR A STAR TO FALL」という大ヒット曲を放った80年代的一発屋的なイメージが伴う連中です。30歳~40歳程度の皆さんは絶対聴いた事のある曲ですわ。…でも聴かないと絶対思い出せないし、こんな人が歌ってたなんて知識は全然ないと思う。新橋の古本屋で300円で購入。その程度の価値。
●アーティストというより、裏方のライターチームだった彼らは、WHITNEY HOUSTON のナンバー1ヒットを書いたり、BETTE MIDLERDENIECE WILLIAMS の曲を手掛けたりしてる。そんな下積みを経てやっとデビューできた職人さん。作風は、ブラック/ホワイトの境目なく軽快なダンスポップを量産するタイプ。実にクリアなシンセ使いを前提に、華麗なサックスパートが実に華麗なシティポップス。ハイトーンな男女のボーカルが楽曲を分担するスタイルも洗練されてます。ダンスに徹する時はハイエナジーの匂いまでしてきます。
●そんな彼らの音楽は、80年代に極まれるこのツヤツヤしたハイファイサウンドの到達点のようなポジションにも見える。……しかし、ある意味では90年代のシーンはココからの大反動だったと言えるのでは。ブラックミュージック側から見れば、白人ライターがR&Bを書くなんて状況から離脱する為に濃ユイヒップホップ環境が進化したわけだし、ロック側は「オルタナティヴ」を自称して、サウンドバランスを欠いたデザイン、非ポップ的なメロディ展開、より極端に振り切れるアティチュードにまっしぐらになったんだと思う。……図らずも3つのディケイドの傾向と潮流が見えました。



円高、微妙な潮目?
●昨今の円高ドル安局面、日本経済には大きな痛手というが、昨日今日で少し揺り戻しが来たみたいだ。日経平均は368円も急伸して9977円と一万円台目前。そんでドルは86円台まで行ったのに、今は88円台まで戻してる。
●…で、ボクとしてはどうする?と考える。そうだなーココで買うか。ナニ買うかって? アメリカ AMAZON でCD注文だよん。ドル安は底値を打ったと見て、この円高恩恵を受ける為に急遽ドルで買物。……オマエ、結局 CD ばっかだな……って呆れた人もいるかしら。でも、送料コミで800円前後の買物は楽しい。本体価格は2ドル程度だよ。日本円で176円だよ。サクサク二枚注文。日本じゃ買えない激安値段。ルンルン。
●でもさ、円高って言ってもさ、ポンドはそんなに安くならないんだよ。ホントはイギリスからCD買いたいんだけどさ。ポンドは、今年一月の120円台ってのがスゴかったね。それを思うと、今の146円台は買えない。………CDの買物から世界経済を見る、っておハナシでした。