HMV渋谷。夏草や兵どもが夢の跡。

IMG_0246.jpg

渋谷に用があったので、ちょっくら90年代の史跡を訪れてみた。

イギリス系レコード店チェーンHMV(ヒズ・マスター・ヴォイス)が日本で初めて出店したのが1990年の渋谷。当時のバイヤー太田浩氏(現タワーレコード)が、当時の最新型邦楽と関連洋盤をとりまぜて作った特設ブースのセンスが、そのまま「渋谷系」という音楽ムーブメントの発火点になった、ってのが定説ですわね。ええ、当時高校生だったボクもしっかりお世話になりました。ぶっちゃけ高額だったからそんなにイッパイは買わなかったけど。ヒヨッコだったボクにはオシャレすぎる、スノッブすぎるようにも感じた。しかしレコード棚、レコード店がムーブメントを作った、という意味で刺激的な現象でした。リアル店舗がオンライン店舗にヤラレつつあるこの時代に、ちょっぴりは回顧してもイイ話だと思う。

CD革命と輸入盤文化、そして大型店舗。
●ちなみにアメリカ系のタワーレコードは1978年から渋谷にお店を置いていました。再販価格制度(日本盤は小売価格がどこでも同じ)の外から、彼らが輸入音源を安い価格でドッカリ持って来たことは、若いボクには意味があった。とにかく安いことが大事(それは今でも変わらない)。海外から直輸入される盤は、日本のメーカーのフィルターを通さずダイレクト/オンタイムに海外のシーンを反映してたので、実にエキサイティングでもあった。
●一方、日本のメーカーによる宣伝PRが全くない輸入音源はホントに正体不明で、英語だけのジャケ情報も高校生には呪文に見えた。だから、ありとあらゆるチャンネルで音楽情報を入手しておかないコトには、その輸入盤接触チャンスを十分駆使するコトができなかった。ネット環境が未整備だった当時は、音楽誌/サブカル誌(故・スタジオボイスとか)/フリーペーパー/ファンジンがマジで重要なソースになってた。音楽誌隆盛の時代ってヤツだね。そしてなによりもリアル口コミ(非ネット口コミ)が重要だった。当時のアーティストの名前とそれを教えてくれた友人たちのカオが直接結びついて記憶されてるくらいだ。

そんでもう1つ重要なポイントが。それはCD革命。1982年に市場に登場したコンパクトディスクが、LPレコードを売上げシェアで初めて勝利したのは1986年のコト(のはず)。80年代末は、LPレコードの棚にCDを入れるため、ムダにタテ方向へ細長いパッケージで売られてたのを皆さん覚えてます?環境保護に積極的な STING「あのパッケージは資源のムダだからオレの作品はあんな売り方をしない」ってマジで議論してた時代がありました。渋谷系到来の時代は、完全にCDが圧倒的なシェアを占め、アナログは一部の数寄者の文化になりました。渋谷系コアがそのアナログ文化を新しい解釈で延命させたりしてましたけど。
●一方で過去アイテムが一気にCD再発化されました。60年代~80年代の旧譜がピカピカの新品として市場に再登場したコトは、この時代に強烈なインパクトをもたらしたとボクは思ってます。もっとこのヘン積極的に解釈されてイイはず。ココでHMV渋谷の売場(90年当時)を振り返ってみましょうか。「ポップス/ロック」というザックリなククリで全ての商品が「A~Z順」にソートされてる状況、しかも数十年前の音楽と最新型の音楽がゼンブ一緒に、新発売のピカピカ新型メディアに衣替えして、図書館の書架のように整然と並べられている、しかも2フロアブチ抜きのビックリするほど広大な店舗。今では当たり前の陳列方法ですが、若かったボクには衝撃でした。
●ソレ以前のレコ屋と言えば、個人経営ベースのちっこい面積、下手すりゃ楽器店併置、LPは重くかさばり、一枚一枚引っ張りださないとジャケも見えない、CDは別売場、全ジャンルでワンコーナー程度の規模。歌謡曲のカセットも売ってたもんね。ゴチャゴチャしてチンマリしてた。HMV渋谷という巨大店舗の迫力(当時のタワーもまだワンフロア展開だった)は、黒船に匹敵するインパクトだったと思うのです。

太田浩氏のブースが「渋谷系」を作った、とされていますが、ソレは一部しかモノを見てないような気がする。「渋谷系」音楽(PIZZICATO FIVE FLIPPERS' GUITAR)は、アーカイヴ参照感覚で過去の音楽遺産をサンプル/コピー&ペーストし自分たちの音楽を革新していった。その前提には、新メディア「CD革命」という状況と、広大な売場を「A~Z順」にソートする「ジャンル横断/時代横断」的陳列販売が無意識下で影響していた、とボクは思ってます。歴史と場所をフラットに超越して検索する音楽アーカイヴ。そんな位置づけで、HMV&タワーは90年代型の音楽の聴き方、時代感覚を下部構造的インフラとして規定したと思う。そんでボクは2010年にして未だにその影響下にあり、バラバラな時代のバラバラなジャンルの音楽を聴き続けているのです。


●「渋谷系」についてはコチラの記事で考えてみました。ご参考に。
 「渋谷系」とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html


●1990年のこのオハナシは、携帯電話もなかった大昔の出来事。ソコから20年隔たった今とあの時代の間には、インターネット革命とモバイル革命着うた、iTuneiPod、NAPSTAR WINNY、MYSPACE から YOU TUBE、ニコニコ動画、USTREAM がある。そこにも様々な物語があるはず。そして是非誰かにソレを物語ってもらいたいとボクは思っているのです。


IMG_0248.jpg

ちょっとハナシはソレルんだけど、ボクにはコッチの方が衝撃だわ。
クラブクワトロの階下3フロアが「BOOK OFF」になってた。…90年代のクワトロではイロイロなバンドを見たよ……80年代を牽引したパルコ文化「リブロ」含む)も、ココまで突っ込まれたかって気分になった。まー結局ココでも買物するけどね。250円コーナーでCD6枚買ったよ。


今日の音楽は SUPERFLY。

SUPERFLY「SUPERFLY」

SUPERFLY「SUPERFLY」2008年

SUPERFLY「BOX EMOTION」

SUPERFLY「BOX EMOTION」2009年
●この前の「僕らの音楽」 SUPERFLY THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「GET UP LUCY」をカバーしてた。「黙り込む黙り込む ゲットアップルーシー ゲットアップルーシー 憧れの森のなか 歩いてるけど眼は閉じたまま」生まれて初めて SUPERFLY をカッコイイと思った。だから今日は聴くんです彼女の音楽を。
●マジメに聴いてみると、イマドキのジェイポップには珍しいな、ハッキリと60年代~70年代ロックへの憧れを打ち出してる人なのね。ズバリ「1969」なんて曲まであって。まるでジャニス・ジョプリンになりたいかのような勢い。今のオンナノコは声が出るならR&Bをヤリたいと全員が考えてると思ってたよ。
じゃあ実際に70年代なヴィンテージサウンドなのか、というとそうではなくて、コレが本格的に00年代な高機能ジェイポッププロダクション。部品の個々を見てると、70年代風なアレンジやクリシェが散らばってて気持ちがノッかってるのは分かります。しかし、せっかくのエッジーなギターリフも、温もりあるオルガンも、ファンキーなブラスアレンジも、クッキリ音が分離してて整理整頓が行き届いているので、耳に馴染みがよ過ぎるのです。バンドなのにバンドっぽくなくて、グルーヴもジャストすぎるかも。だからボクにはやっぱりロックには聴こえず、よく出来たジェイポップに聴こえるのです。ミシェルガンみたいにガサツイてない、荒れてない。その代わり、見事にキャッチーなのも事実でして、楽しいのも事実。
「OH MY PRECIOUS TIME」「やさしい気持ちで」みたいな曲は、アレンジ構造はドゥーワップ気分を込めた60年代アメリカンポップスになっててオモシロいんだけど、デジャヴのように連想するのは本場のモノではなく、この時代の音楽を邦楽界でガッチリトレースしてきた桑田圭祐山下達郎の音楽。彼女はシングルのカップリングで KUWATA BAND「SKIPPED BEAT」もカバーしてるから、きっとその辺もキライじゃないんだろう。桑田圭祐ダイスキのボクには大歓迎だよ。
●ラーガロックなギターリフを、今どきのジェイポップに組み込んだ「誕生」も好き。70年代じゃあり得ない取り合わせだから。「恋する瞳は美しい」は完全なジェイポップとしてフツーに楽しいと思います。タフなノドが痛快なサビに元気よく突入する瞬間が実にキャッチー。……それと、彼女がカワイ子ちゃんかという問題については、パッと見は別に疑ってなかったんですけど、写真を見れば見るほどですね、撮り方で雰囲気の変わる娘なんだなと深く認識。マスカラの付け甲斐があまりないマブタ&マツゲとか、実はそんなに高くないハナとか。ホントはおチビさんらしいとか。でもね、味がある。味オシャレ。味があるコトは全面的にいいコトだ。


トータス松本「FIRST」

トータス松本「FIRST」2009年
SUPERFLY が所属してるのはタイスケって音楽事務所、つーのがクレジット見てて分かった。ふーん、ウルフルズと一緒じゃないか。トータス松本さんのソロ一枚目もウチにあったなあ、と思って探す。
●トータスさんは、我が家においては大河「龍馬伝」ジョン万次郎として有名でございます。娘ヒヨコは「ジョンまんじろう」「まんじゅうや・ちょうじろう(近藤長次郎)」がどうしても混同してしまうようです。「まんじゅうやまんじろうが一番あってるのに何でチガウの!」
ウルフルズとソロでナニが違うのってのは、実はそんなにワカンナイ。トータスさんはあくまでトータスさんで、ソコに小細工はナイ。ただ、ウルフルズのパブリックイメージが持っていた、陽気なロックンロールで突っ走っていくだけのスタイルは、もう確実に終わってるようだ。オープニングナンバー「明星」は新しい世界に突き出ていく爽快感が気持ちイイけど、全体のトーンはジワリと落ち着いたリズム&ブルース・アルバム。優雅なアレンジに包まれながらも野趣の薄れないシャウトには、グッと抑えたタメが出来て、結果音楽に陰影の立体感を作った。「僕がついてる」「花のように星のように」「夢ならさめないで」「涙をとどけて」「ミュージック」このへんがグッと来ます。

ウルフルズ「KEEP ON, MOVE ON」jpg

ウルフルズ「KEEP ON, MOVE ON」2007年
●結果的にウルフルズの最後のアルバムとなった11枚目。ソロと聴き比べてしまうと、どうしてもバンド末期の気分を意識してしまって上手く聴けない。実際そんなに元気なアルバムじゃないと思う。パブリックイメージに応えるようなロックチューン「情熱 A GO-GO」も少々スベリ気味。CMソング「泣けてくる」は、バンドでヤる音楽と、その後のソロの音楽の、中間にあるような作風で、トータスさんの方向性が過渡期に差し掛かってたコトを勘ぐりたくなる内容だ。




SUPERFLY がカバーした「GET UP LUCY」のオリジナル動画を付けておきます。



THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 1997年の曲です…カッコいいなあ。


それとね、そんなミシェルガンが大好きなオトコノコの動画も見つけました。
●コレマジカワイいわ。ロック英才教育。つーかコレこそがお見せしたかった。



●このギター(ウクレレ)の構え!3歳にして完璧にロックの本質を捉えてる。マッシュルームカットもモッズ魂が漲ってるようで実にカッコいい。
●ゴメン、カワイすぎるのでもう一曲!THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「GT400」を歌ってくれ!



●Tシャツが、SONIC YOUTH ってのもサイコウです。クヤしいほどに。

スポンサーサイト

様々なレコ屋から、特売情報がツイッター経由でどんどん送り込まれている。

そんで見事にイソイソ買物に行ってる自分がいる。

●円高でスゴい枚数をアメリカに注文してるのに、さらにバカ買いしてるボク。まんまとヤラレテル。



むー。さすがに異動直前とあってナニかと忙しい…。アレコレに手が回らない。

その一方で、アメリカから続々とCDが到着してます。
●円高モードを受けてアメリカアマゾンに注文したCDがどんどん我が家に到着。うわー楽しい。サンディエゴ、ロス、ダラス、カンザスシティ、オクラホマ、ペンシルベニア、サウスカロライナ、全米各地からポコポコとCDが来襲します。やっぱ盤質は日本の水準からイクと激劣悪ですが「NO LONGER THE PROPERTY OF THE SAINT LOUIS PUBLIC LIBRARY」ってベッタリシールが貼られてるようなCDを見ると、はるばるセントルイスの図書館から我が家までこのCDがやって来てしまった奇縁に感慨深いものを感じてしまいます。
●それとね、封筒を開ける瞬間がタマラン。わざわざ封筒の中の匂いを嗅いでしまうんです。ホンノリアメリカの匂いがするんだよね。中古CDのカビ臭だってワイフは言うけど、そのカビも含めて、アメリカのレコ屋の匂いがボクは大好きだ。


最近気になるカワイイ女の子。

土屋巴瑞季

土屋巴瑞季ちゃん、16歳。
雑誌「CANCAM」の表紙を史上最年少に務めたオンナノコ。高校の期末テストを終えてそのまま表紙の撮影に行ったとな。スゲエよだって1994年生まれでしょ。OASIS のデビューと同い年?……余談だが「CANCAM」専属モデルでは舞川あいくちゃんも注目だ。ていうか、彼女が「POPTEEN」の専属だった頃から注目してます。


アンジェラベイビー

アンジェラ・ベイビー
●つーか、都内各所に看板ポスター展開してるよね、ワリとティーザー風な露出で。彼女メチャ気になるわ、カタコト日本語も含めて。香港から襲来するモデルさん。向こうじゃ女優さんもやってるらしい。「グラビア界の黒船」リア・ディゾンなんか比較にならない大物の上陸だと思う。チャイナパワー炸裂。


満島ひかり

満島ひかり
映画業界で今年の注目株話題沸騰ってハナシ。最新作「悪人」で重要な役を務めてるらしい。是非見なくては!もう一個気になるポイントが彼女の前歴。オキナワ出身のダンスポップユニット「FOLDER」のメンバーでした。三浦大地くんのボーイソプラノが好きだったねえ(パラシューター!)。変声期を迎えた大地くんが脱退、「FOLDER 5」と改称してパラパラ~ユーロビートユニットに変身した時には、ガッツリセンターを務めてました。その時はボーイッシュなショートカットだったな。


あなたの山下くん

あなたの山下くん。山下真弓さん。
●いきなり気分が変わって、ニコニコ動画のカルトスターです。体重計メーカーのタニタで営業をしてる女性です。少々無愛想なテンションで淡々と商品PRを務める様子と、絶妙なメガネ気分がややツンデレテイストで、奇妙なフェティッシュ本能を刺激します。彼女自身も然ることながらこの動画を作ってる人自身が、ニコニコ文化をガッツリ理解してるが故のインパクトです。あと現場に好き勝手を許すタニタの度量もヨシ。やー彼女が東急ハンズで販促してたら是非行きたいわ。


日本橋ヨヲコ「少女ファイト」7

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」7巻
●7巻の表紙は、黒曜谷高校バレー部キャプテン・犬神鏡子さんです。常に余裕のクールビューティ、ワキのラインが実にキレイです。バレーに燃える少女一人一人の胸に巣食うドス黒いトラウマを、片っ端から掻き回してムリヤリ浄化してきたこの物語、とうとうこの冷徹な女王の懐にもザックリ手を突っ込む。本来鉄面皮の彼女の表情が微妙に揺れる様子にココロが震えます。主人公・練の渾身の叫びに、思わずジワリ涙ぐむキャプテンの微笑みが実に可憐。うわーくるわ。
●この日本橋ヨヲコさんの作風って、本来は青春のトゲトゲを致死量の毒を以て描くサドマゾストロングスタイルで、その暑苦しさが実に苦手だった。なのに、この「少女ファイト」に関しては、過酷な宿命を描きつつも、ソレに報いる救いと浄化がより輝いていて、スゴく気持ちよく読める。こんなにトラウマ解決しちゃってイイの?と思うくらいに。
●そしてココ重要なんだけど、トゲトゲだった登場人物たちが、トラウマの浄化と成長を経てどんどんキレイになっていくのです。「狂犬」とあだ名された主人公・練ちゃんに至っては、すっかりカワイいオンナノコになっちゃって、オマケにバストまでふくらんじゃって、めっちゃチャーミングになりました。日本橋ヨヲコさんは女性作家なのに、その画風や質感(クッキリとした輪郭線!)は男心を的確に掴む見事なフェチ感覚を備えてしまってて(ムカシはそうじゃなかったはず!)、結果ボクはまんまとヤラレてます。


●名探偵は変人でした。

「シャーロック・ホームズ」

●DVD「シャーロック・ホームズ」
●夏休みのハイテンションな道楽生活に疲れた息子ノマドは、とうとう過労から熱を出して寝込んでしまいました。そんなヘタレ小僧のためにワイフがレンタルしてきたDVDがコレ。ベルヌ、江戸川乱歩の読書にまで到達したノマドには激ハマリであろうジャンルかも。ボクともどもコレは思い切り楽しみました。
●この映画の設定がユニークなのは、ホームズの相棒ワトソンくんが、ジュード・ロウ演じるイケメンであること。ホームズがむしろ野暮ったくて、常規を逸した変人に仕上がってます。爆笑するほどイカレテます。ホームズを演じた俳優さんはロバート・ダウニーJR. という人。実はあまり知らない…最近は「アイアンマン」を演ってる。この逆転設定に、ノマドは作品冒頭「ドッチがホームズか分からねえ!」と叫んでました。宮崎駿が監督を手掛けたアニメ「名探偵ホームズ」(登場人物がゼンブ犬)では、故・広川太一郎が演じたホームズこそが洗練された紳士で、ワトソンこそタダのオヤジって設定だった。ノマドが以前からビデオで楽しんでたのはコッチだったので、ギャップはデカかったに違いない。
●さらにイカしてるのは、ホームズ&ワトソンは天才的な観察眼と膨大な知識に基づく洞察力がハンパないだけでなく、強力なマーシャルアーツの達人って設定なのね。躊躇なく格闘戦に挑み、大男をボキボキに打倒します。
●監督はガイ・リッチークスんだ世界観で19世紀末の魔都ロンドンをザラリと描いていてクール。ジェントルなヴィクトリア朝時代のイメージを裏切り、場末の貧民街をリアルに描いているトコロが好き。そして変人ホームズが、この魔都を泳ぐように楽しみながら活躍するサマも好き。



●変則R&Bが楽しい。

TRUTH HURTS「TRUTHFULLY SPEAKING」

TRUTH HURTS「TRUTHFULLY SPEAKING」2002年
●今日聴いていたのは、激安ワゴン380円でゲットした女性R&B。2000~2005年頃は、ヒップホップ~R&Bのリズム実験が過激になり過ぎてヘンテコなトラックやビートがアホみたいに溢れたものでした。彼女のヒット曲「ADDICTIVE(FEAT. RAKIM)」はインドの映画音楽(信じられないほどのハイトーンでへんな節をつけて歌う例のアレ)をサンプルした奇妙なトラックが耳に残りまくってて、そんで思わず買ってしまいました。
●でもね、ヘンテコトラックはこの1曲だけ。このアルバムは DR.DRE 全面プロデュース、ドレ師匠「2001」以降の重心の低い G-FUNK マナーが貫かれてて、ナニゲに聴き応えがあるのです。トラックメイカーはドレ師匠、DJ QUIK、MEL-MAN などウエッサイなメンツ、そして TIMBALAND、R. KELLY、HI-TEK などが参加。這い回るベース、偶数拍にペタッペタッと打ち込まれる軽いスネアがダルくてイイ。ソコにスパイシーなボーカルがノッかったり、雰囲気重視の浮遊感ボーカルがノッかったり。ワリとイイ買物でした。
●でもさー、ボクは黒人さんにとってのセックスアピールのポイントがつかめないんだよねー。この TRUTH HURTS さん、気合いの入ったマユゲやポッテリし過ぎのリップ、シェイプされ過ぎの頬のライン、ガッツリ作り込んでますけど、コレイケテルのかなあ?内ジャケなんてドキツい半裸フォトもあって、フェロモンモンなお色気に自信があるみたいなんですけど、草食系のボクにとってはコワいだけです。

ADASSA「KAMASUTRA」

ADASSA「KAMASUTRA」2005年
TRUTH HURTS さんが仕掛けたインドモチーフのサンプルがもっとあったら楽しいなと思い、「カーマスートラ」と名付けられたこのアルバムを聴いてみました…けど、全然インドではありません、コレは「レゲトン」です。レゲトンが一世風靡したのは2004~2005年あたりかな。ズバリこのアルバムの時代だ。リズム実験の果てに、プエルトリコ系のアーティストが自分たちのラテンルーツとダンスホールレゲエを結びつけた。それがレゲトン。イギリスにとってレゲエは大きなインスパイアになったが、実はアメリカでレゲエが大きな影響力を持った瞬間ってそんなにナイ。レゲトンはそのレアな一瞬だったと思う。ヒップホップとダンスホールの交配種として独自進化したキメラ的存在。実にオモシロい。
ADASSA ちゃんはコロンビア系の両親の下、アメリカ領ヴァージン諸島というカリブ海の島で育ったという。実にレゲトン的なルーツ。ダンスホールレゲエの気分を直球で導入した重心の高いトラックの上で、スパニッシュのリリックを、アゲアゲのテンションとチョッピリの哀愁を交えて熱唱してます。

AKSENT「INTERNATIONAL」

AK'SENT「INTERNATIONAL」2006年
●本場のダンスホールルーラー BEENIE MAN がフックラインで色を添えるシングル「ZINGY」が絶妙なグルーヴでクール。レゲトン気分もなくはない。しかし彼女はブラックとチカーノのハーフとして生まれた西海岸ロス育ち。レゲトンはカリブ海から東海岸(またはマイアミ)エリアで発信されたスタイルだから、スパニッシュを器用に歌いこなすとしても彼女の音楽は厳密にはレゲトンにはならないな。トラックメイカーも西海岸系、THE JUGGANAUTS というチームが活躍してる。他に知ってるメンツとしては DJ QUIK。KOOKIE ってヤツはノルウェーのプロデューサーみたいだなあ。「KRUNK KRUNK」という楽曲は KRISS KROSS のチビッコヒッツ「JUMP JUMP」1992年のリメイク。うんコレ楽しい。

KAT DELUNA「9 LIVES」

KAT DELUNA「9 LIVES」2007年
●彼女はカリブ海/ドミニカ共和国育ち、そしてニューヨークでキャリアを起こした娘。で、これまたレゲトン風味なのです。フィーチャーアーティストに ELEPHANT MAN とか仕込んじゃってるし、ボーナストラックは代表曲をスパニッシュで歌い直したりしてるし。「WHINE UP」みたいな曲は実に楽しいね。
●ただし、ココで注目すべきは全ての楽曲をプロデュースしている RED ONE という男。チキチキと重心の高いリズム構築を施してレゲトン風味を出してるけど、ワリと四つ打ち感覚とベース圧力が強いのと優雅にシンセが鳴るのが個性的。コイツは北欧系、モロッコ系スウェーデン人というユニークな出自なんだけど、このアルバムの仕事の後で、これまた希有なポップシンガーに出会う。誰かというと…今をときめく LADY GAGAGAGA のファーストアルバムで数曲のプロデュースを手掛けるんですわ。
●レゲトン亜種としてこのアルバムがボクは以前から気に入ってたんだけど、GAGA のブレイクから逆算して、別の価値を見つけてしまいました。そんな前提でジックリ聴いてみると LADY GAGA の楽曲アレンジに繋がる気分が見えてくるんです。

自律神経失調症とのお付合い(その119)~「箱根に一泊旅行」
●週末に、箱根へ一泊旅行をしてきました。コレがなぜ自律神経失調症に関わるのか?実は、ビョウキがヒドくなって仕事を休職して以来、旅行らしい旅行に出るのは初めてだからだ。チッポケなコトだが、ボクには重要局面である。
●2007年2月に診断され服薬開始。2007年7月に症状悪化で休職。2009年6月に通院とリハビリをへて職場復帰。2010年6月イッパイで制限勤務の解除。そんで8月夏。ビョウキになって以降できなかったアレコレの事に少しづつ挑戦している。

プールに行ってみた。:これはこのシリーズ前回の記事で書きました(コチラ)。
飲み会、食事会に参加してみた。:異動を9月に控え、送別会などの会食が増えてる。先日深夜2時まで付き合ってみたのはジブンの中では実に感動だった。ビョウキ以前は毎週のように朝までワイワイしてたけど。
残業もボチボチ。:定時で帰ってた頃が懐かしい。今は22時を過ぎるのも珍しくない。終電帰りもある。昔のように一日20時間労働ってのは絶対にしないけどね。
映画の時間に間に合わなくてダッシュ。:カイシャ帰りに一人で観ようとした映画、時間がギリギリになり駅から猛ダッシュ。こんなに真剣に走ったコトなかった。しかも今月2回コレをやった(だが映画には間に合ってない。翌日以降両足が筋肉痛なのは仕方がない)。

そして新しい局面。「旅行」。
●本来は旅行がダイスキな人間なんですよボクは。海外も国内もアレコレ旅するのが好き。仕事の出張でも好き。しかしビョウキになってからは旅行ができなくなった。「どこか旅行にでも行って気分転換してくるとイイ」ワリと言ってしまいガチなこの言葉、うつ病の人には言ってはダメ、ってのがセオリーなのだ。
●気力も体力もゲッソリ落ちている人間に「旅行」は実に過酷だ。食事も睡眠も生活のリズムも一定に保つべき人間に激しい環境変化を強いる。飛行機の気圧変化でもナニが起こるか分からない。観光地を巡るなんてタフな行為は絶対無理。人ゴミだけで命取りになるんだから。時差、ああ致命傷になるかも。実家ですらキケン。
●で、ボクも旅行をヤメた。足が目に見えて細くなり、筋肉が削げ落ちたのがハッキリ分かる。駅まで歩く体力すら失った人間に、長時間の移動は無理。自動車の運転も無理。コドモたちはジジやババとともに遊びに行く(含む海外)が、ボク一人は家に残った。こんな状態が三年以上。

ワイフが企画。箱根一泊旅行。
●箱根という土地には何の思い入れもない。マジで「第三東京市」以上のイメージがない。「強羅絶対防衛線」とかのエヴァ用語でしか認知できない。後は彫刻の森美術館か。「でもロマンスカー一本だと思えば移動も楽でしょ」小田急沿線に住んでて実に幸いだった。「それにホテルに入ったらアトはダラダラ寝ててもイイから。温泉もプールもあるホテルだから、ドコかに観光しなくてもイイ」旅行という気負いを緩和する措置。これなら今のボクでもイケルと思う。ワイフと娘ヒヨコは先発。ボクは息子ノマドと男同士で移動する。
●ロマンスカーも人生で二回目くらいだな実際に乗るのは。小田原を過ぎた辺りの緑濃い風景を見て息子ノマドが叫ぶ。「なんかスゲエ田舎にきたぞ。ノーギョー!ノーギョー!」都会暮らしの21世紀少年には田んぼ自体が珍しい。箱根登山鉄道ではスイッチバック方式について語り合い、宮ノ下駅にて下車。そんで歩く事5分ほど。あ?ノマド、なんかアソコに「千と千尋の神隠し」に出てきた湯屋みたいな建物があるぞ?…と思ったらソコが我々の目的地だった。「富士屋ホテル」、創業1878年(明治10年)、和洋折衷様式が実にユニークな、クラシックホテルだった。ワイフはボクがこの建物を気に入るだろう、というトコロまで計算したらしい。ソレは実に正しい。

IMG_0218.jpg

「富士屋ホテル」…コドモたちはジジババに連れられて既にこのホテルには来たことがある。迷路のように入り組んで繋がるいくつかの棟を、ノマドヒヨコは得意げに案内してくれた。色とりどりの植物が生い茂る温室とか。ニシキゴイがエサをせがんで集まる池とか。湧き水が染み出る場所に小さいカニを発見したりとか。天井が無駄に高くて、ジャパニーズバロックな意匠がアチコチに仕込まれてるレストランとか(もうちょっと突っ込んだ表現で言うと「日光東照宮」的な気分)。温泉を利用した温水プールもクラシカルなデザインで楽しかった。ほとんど貸し切り状態で今年二回目のプール体験。セーブして泳いだから筋肉痛はない…。

IMG_0210.jpg

●夜はヒヨコ提案の「怖いハナシ大会」「アタシが司会をつとめます!順番に怖いハナシを言ってガマンできなくなった人が負けです!」部屋中の電気を消して懐中電灯だけを灯し、会談を話す人がソレを握る。しかし持ちネタを持ってるのはボクだけで、その渾身の超常体験を情感込めて披露したらコドモグウの音も出せないほどビビってしまいました。「ホントに怖いハナシは禁止なの!」ヒヨコはその晩ママにしがみついて寝ました。

IMG_0233.jpg

箱根登山鉄道。風が爽やかで気持ちよかった。緑も目に優しい。そんで箱根湯本。実にオールドスクールなおミヤゲ屋さん街でありました。もちろん購入したのは「第三東京市土産」「エントリープラグ」型パッケージがバカバカしくてナイスです。「ATフィールドクッキー」ってのもくだらなくてよかった。

IMG_0240.jpg


次なる試練は、異動で職場の環境がガラリと変わるコト。人間関係が一新され、新しいパートナーと新しい仕事をする。ボクに用意されてるタスクはそれなりなモンで、今まで誰もやってなかったポジションだからやりこなせるかは実に微妙。さてさて、この好調をそのままに、9月の環境変化に対応できるだろうか?

●現在のクスリのセットは、かなり減ってココまでの量になった。
デパゲンR 200mg / ムードスタビライザー 朝食時1回
メイラックス 0.5mg / 精神安定剤 朝食時1回
ロプヒノール 1mg / 睡眠導入剤 就寝時1回 
・これに、胃腸薬、尿酸値を下げるクスリの二種類。頓服用に鎮痛剤も持ち歩く。ココまで減薬したぞ。

●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20100126.html



●電車の中で読んでたのは、「文芸春秋」今月号掲載の「芥川賞」受賞作品。

赤染晶子「乙女の密告」
●舞台は京都の外国語大学。女子大生たち=「乙女」が、風変わりなドイツ人教授に課せられた「アンネの日記」の暗唱を触媒にして、アイデンティティ獲得に至る様を、ユーモアタップリに、でも鮮やかに描いてました。
「乙女」の社会はヤヤコシイ。「乙女」の社会に生きるためには、非「乙女」を排除するその行為を通じて自己の「乙女」性を外に立証しなくてはならない。その時にスケープゴートにされる非「乙女」にその根拠は必要ない、「乙女」にあるまじき噂があればイイ。真実は「乙女」に無意味。主人公・みか子は、理不尽な噂によって「乙女」社会から排除される。女性はホントに残酷だ。
●そんなマヌケな「乙女」社会に「アンネ・フランク」の物語が共振する。ユダヤ人として追いつめられた彼女と、一般のオランダ人を区別するのはなんなのか?歴史の大罪ホロコーストと女子大生のフワフワした自意識の摩擦が、奇妙な縁で結びつく仕掛けが実に知的でオモシロい。堅苦しいコトを気にする審査員には不謹慎に見えたよう、でも悲劇に散った14歳の少女も乙女であったはずで、ソコを苦しみながら通過したその足跡は、大過去になろうとしてるあの戦争を身近に感じさせる。

舞城王太郎「ビッチマグネット」
●去年下半期の芥川賞候補に挙がりながら「該当作なし」という結果で落選した作品。こと石原慎太郎はケチョンケチョンにしてたね。でも審査員の中ではコレを推す意見も多く、結局雑誌に全文が掲載されることになった。コレも去年リアルタイムで読んでた。舞城作品は初めての経験で、でも実にオモシロかった。
●彼はライトノベルの作家になるんだろうか?初期「ファウスト」で活躍したんだよね?創刊時の文芸誌「ファウスト」の評判はスゴいモノだったが、実はボクには全然オモシロく思えなかった。うわ読みづらい!やべえ時代について行けない!ボクはラノベと聞くと少々の落伍感と後ろめたさを感じずにはおれない。アレが2004年のコト。今ではラノベ業界も成熟と分化(サブジャンル化と勝ち負け組分化)が進んで、もっとスゴいコトになってるに違いない。
●結果として「ビッチマグネット」はオモシロかった。笑った。読みにくいと思った文体が、慣れると微妙なグルーヴ(脱臼感含む)を作って実に軽快に進んでいく。こういう文章が書きたいと思った(ムリだけど)。オハナシとしては、突飛な設定など何一つない、姉弟の数年間の物語がカチャポコと紡がれるだけ。「ビッチ」=ヤヤコシイ女子に見事食い込まれる脇の甘さが天才的なオトウトくんと、そんな彼を引いたり押したりして眺める主人公の姉の思考を描いて、「空気の読み合い」で微妙なコミュニティ感覚を共有したりできなかったりしてる20歳代の感覚をつかず離れずに客観視していく気分が楽しかったのだ。しかしコレがラノベか?と言えばなんかズレテル気がするんですが?チガウっぽいんじゃない?


●さらに読書のハナシ。

山本直樹「レッド」4

山本直樹「レッド」4巻
●今月の文芸春秋の他の記事も読みました。「みんなの党」渡辺喜美のインタビューが全然オモシロくなくて爆睡した。イイ眠りだった。中国で現在多発しているストライキに関するルポはオモシロかった。80年代の開放路線以降、ナニゲに中国にはストライキの権利が認められてない。資本主義大国として走り出した中国には、労働者を巡る摩擦が発展地域を中心に苛烈になってる。非合法と知りながら若者はストに走る。そんな連中がどんなヤツらかを突き止める。
●今の工場労働者、出稼ぎ労働者の中心は「80后(バーリンホウ)」、つまり80年代生まれの若者たち。「一人っ子政策」の中、大切に育てられ存分に甘やかされた世代。教育投資も十分に受け、ネットと携帯電話を駆使して世論を操作する術も知っている。中国が迎えた「ジェネレーションX」たちだ。そんな連中がストを仕掛ける。
●しかしスト首謀者の素顔は、世間知らずで折れやすいイマドキの若造。報復解雇を恐れて半ベソをかく。文春のライターさんは「天安門事件を経験し、今も投獄を覚悟しながら地下で民主化運動を続けているタフな40代、50代の中国人に比べると、私が直接取材した「80后の英雄」はずいぶん線が細い気がした」と結論する。オッサンは常に若者を斜に構えて判断する。
●そんじゃ日本の60年代~70年代の若者がどれだけタフな活躍をしたのか?学園紛争が下火になり孤立化していく若い運動家が過激なテロに走る様子を、淡々としたオフビートで描くこの作品。銀行強盗で資金を稼ぎ、公安の尾行をまきながらアジトを点々とする若者たち、テロリストとしては実にアマチュアな活動ぶりがノドカだった段階はいつか終わってしまい、とうとう同志を処刑するに至る。内ゲバ開始、この4巻で2名を殺害。ナニと戦う為に彼らは集まったのか。作者・山本直樹は意図して描いていると思うけど、彼ら70年代の運動家は十分に線が細い。


ノマドの読書大冒険。
●我が息子ノマド小学三年生がべルヌ「海底二万マイル」を読んでるというオハナシを先日ここに記しました……で、意外とサラリと読みこなしてしまいました。
●どうだったノマド?「地中海と紅海は、同じ種類のサカナが住んでるんだよ!」ほう、そうなのか。それで?「陸地でワカレてる海に同じサカナがいるのは、ホントは地下でつながってるから!ノーチラス号は海底を調査して抜け穴のトンネルを発見したの!」ネモ船長そんなコトしてんのか。今はな、スエズ運河ってのをムリヤリ作って地上でつないじゃったんだけどな。「それとクック船長はサンドイッチ諸島で死んだ!」細かいハナシが書いてあるんだなあ。でもクック船長はハワイで死んだはずだよ…あー検索してわかったんですが、サンドイッチ諸島はハワイ諸島の旧称なのでした。じゃあネモ船長はハワイで死なないのか?「ノーチラス号に入ってこようとした先住民がいたけど、ハッチの手すりに電気を流してビリビリにした!」そんなかわいそうなコトしてんのかー。

そんでテンポよく次のホンに移ったのです。江戸川乱歩。

江戸川乱歩「空飛ぶ二十面相」

江戸川乱歩「空飛ぶ二十面相」
●ある日、DSポケモンの長時間プレイをママにたしなめられたノマド。ゲーム以外のコトをしなさい!と言われて偶然手に取ったのがこの本。実はコレ、ボクが何年か前に古本屋で見つけ、表紙イラストがあまりにキッチュ過ぎて思わず買ってしまったシロモノなのです。しかし表紙に満足して内容は全然気に留めてませんでした。そしたらノマドが勝手に読み始めた。本人も予期せぬテンションでハマった。ボクが会社から帰ってきて風呂に浸かってたら、ノマドわざわざ風呂場に来て「空飛ぶ二十面相、チョーオモシレえ!」と報告していった。べルヌに劣らずクラシックな世界観だけど、オマエ意味分かるの?
●で、コレこそ爆読み!ノマド2日で読破しました。小学三年生がホントに理解できたんだろうか?しかしパラパラとページを見てみると、確かにノマドの大好物であろうキーワードがテンコモリであったのです。地球に衝突するかもしれない彗星。彗星の飛来にリンクして出現したカニ怪人。そのカニ怪人がなぜか古い仏像を強奪。小林少年と明智小五郎。フランス製の小型プロペラを背中に装着して、空を飛ぶ怪人二十面相。わー実にコドモだましな展開が目白押しではないか。コレ「名探偵コナン」をテレビで見慣れてるノマドにはちょうどイイ素材だったのかも。

「まんが電気学入門」

で、もう一冊ヤツは本を読んでる。「まんが電気学入門」
●ボクの実家に遊びに行ったノマド、100円ショップで磁石を買ってもらったらしい。タダの磁石ですよ、U字のヤツと、おはじきみたいなカタチをした、レイゾウコにくっつけるヤツ。
●しかしノマドこれまたヘンなコトを言いだした。「磁石で電気を作れるんでしょ!作り方教えて!」会社帰った瞬間に、こんなコト言われるとマジ疲れますよ……あーオマエ電磁誘導のコト言ってんの?そんなコト誰が言ってた?「パパがくれた本にのってた」そんな本を与えただろうか?多分、銅線をグルグル巻きにしてコイルを作らないといけないと思う…。翌日「オレの持ってる銅線はみんなカバーがついていてダメみたいなんだ…パパどうしよう?」パパもわからないよ。…とにかくこの数日ノマドは磁石に夢中である。「今日、棒磁石買っちゃった!」とか意味のわからない自慢もする。その勢いで、渋谷の「電力館」図書室からこんな本まで借りてきてしまったのだ。
●しかもコレ難しい!マンガだと思ってナメてたら実に難しい!抵抗値計算とかジュールの法則とか回路図の読み方とかが書いてある!これは中学や高校でやる話じゃないか。ノマドこれは意味分からないだろ!「うん全然わかんねえ!だからパパが読んでオレに教えて、磁石で電気を起こす方法を!」うあーカンベンして。パパは真性の文系人間なんだから。
●今日のノマドはこれまたへんなオネダリである。「今週のプール教室ガンバルから、電流計買って!オレのおとし玉でもいいから!」電流計?そんなに磁石で電気を作りたいのか。つーか電流計ドコで売ってんだよ。PCの前、男二人でアマゾン検索したがプロ仕様しかない。もしオマエがコレで測るほどの電流を発生させたらネモ船長が追い払ったハワイ先住民みたいにビリビリ感電するわ。ノマドオマエは一体ドコに行こうとしているんだ?


ノマドはサマーバケーションを満喫中だが、ああ、ボク自身は暑過ぎてバテテます。
●夏バテで抵抗力が落ちてるのか、ものもらいのような違和感を右目に感じております。だから目薬を差そうと思ったら、ソレが口に入ってしまった。うわスゴく苦い!意表を突いて実に苦い!目薬の味生まれて初めて知った。アレ一本を一気飲みしたら吐くね。

だから、激しい音楽を聴けない…。00年代の「メソメソロック」を聴く。

ATHLETE「TOURIST」

ATHLETE「TOURIST」2005年
●00年代前半はロックンロールリバイバルとかガレージリバイバルとかダンスパンク~ダンスロックとか、騒々しい音楽が流行ってたような気がするが、ちょっと引き目でモノを見ると叙情派や耽美派なロックバンドも大勢いたコトに気づく。代表格は COLDPLAY だ。00年代にドデカくブレイクした重要なアーティスト。連中の音楽は尖ってもいなければウルサくもない、しかしエモーショナルで繊細だった。あの気分は、まさしく00年代前半の雰囲気、テロと戦争に揺さぶられた憂鬱を正しく反映していたのだと、今振り返ると思ってしまう。(COLDPLAY の音楽についてはコチラの記事へ
COLDPLAY に先行していたのは、多分 TRAVIS RADIOHEAD だ。90年代から活躍する彼らは、ブリットポップの喧噪に負けず自分たちのシリアスな表現をコツコツと深化させてた。彼らの作った文法をより分かり易くしたのが COLDPLAY だったとボクは勝手に思うのです。そんでね、この系譜をボクは勝手に「メソメソロック」と呼ぶのです。繊細な文系青年が可憐にギターを鳴らしファルセットでゆったり歌う。メソメソと。
●そんで今日聴いているバンド ATHLETE はその「メソメソロック」のフォロワーにあたる存在、だと勝手に位置づけている。アスリート=運動選手、とか言っちゃって、音楽のテイストは深刻に文化系だ。1ミリも体育会系ではない。マイナー調のピアノとギターが深いエコーにフワフワと浮遊しながら、メソメソと歌うボーカルを優しく包む。全体的にヒンヤリとした触感が清々しい。「TOURIST」は彼らのセカンドアルバム。タイトルで言えるほど連中はツーリスト=旅人なのだろうか?ヒキコモリっぽい感じがする。けど、ココロもカラダも弱ってる今はその線の細さが心地よい。

ATHLETE「BEYOND THE NEIGHBOURHOOD」

ATHLETE「BEYOND THE NEIGHBOURHOOD」2007年
●さて、COLDPLAY が「VIVA LA VIDA」で旺盛な生命力を歌っちゃう2008年の一歩手前。メソメソロックもメソメソダケしてもいられない状況がこのヘンにあったらしい。なんちゃってツーリストだったこのバンドが「ご近所様サマを超えて」という名のアルバムを発表する。ヒキコモリがオウチのドアを開けて外の世界に出るようになりました。ホンのちょっとだけギターがタフになって、ビートが勇ましくなって、繊細な声はメジャー調の明るいメロディを朗々と歌うようになる。リアルな旅に出るつもりにもなったのか「TOKYO」という名のシングルも放つ。「アイアムトキオ~」ってフレーズはイマイチピンとこないが、彼らなりの汗と血の沸き立ちを感じさせるロックになってる。

THE STILLS「LOGIC WILL BREAK YOUR HEART」

THE STILLS「LOGIC WILL BREAK YOUR HEART」2003年
●コチラも完璧なメソメソロックフォロワーです。叙情派なギターサウンドがシューゲイザーなみにキラキラするメリハリがキレイです。COLDPLAY が好きなら絶対気に入ると思う。でもね、COLDPLAYATHLETE がイギリスのバンドだったのに対し、コイツらはカナダ・モントリオール出身。カナダって不思議な国だなー。UK バンドだと思ってたらカナダのバンドだったってコトが結構多いね。叙情派ロックバンドとして過去の記事(コチラ)で紹介した THE DEARS を連想させる。

THE STILLS「WITHOUT FEATHERS」

THE STILLS「WITHOUT FEATHERS」2006年
●ファーストである前作から3年の時間を空けてリリースされたセカンドアルバム。ジャケがキレイだね…。さて、ATHLETE 同様コチラのバンドもメソメソしてるだけにはいかない状況があったらしい。ビート感覚が微妙に逞しくなり、ギターが勇ましく70年代カントリーロックなフレーズをズンダカ鳴らす場面が出てくる。COLDPLAY のようなスケール感のある澄み切った洗練、というよりは、人の温もりと手触りの確かさが伝わるサウンドデザインに近づいた感じ。クラフトマンシップに乗っ取った工芸感覚が、カナダのアートロックの世界には匂う。ソレはカナダのインディ界を代表する大所帯バンド BROKEN SOCIAL SCENE のメンバーが一曲で参加している所も関係するんだろうな。カナダ…気になる国だなあ。


最近、娘ヒヨコ小学2年生の一人称が変わってきた。
●まわりの誰よりもチビで赤ちゃんぽいヒヨコは、アタマも赤ちゃんなのか、最近まで自分のコトを「ヒヨコ」と呼んでた。「ヒヨコはメロンが大好きなの!」とか。ソレが徐々に「アタシ」に変わりました。「アタシはプリンが大好きなの!」とか。チョッピリの成長。
●しかし2010年、現代女子の一人称マジョリティは「ウチ」なのです。すでに小学校低学年でほとんどの娘が「ウチ」と名乗ります。…しかしヒヨコはこの「ウチ」という言葉に抵抗があるようで、全く使いません。ボクも「ウチ」ってあんま好きくない。「ウチ」なら「ヒヨコ」のママでイイや。

トートバックを作るヒヨコ。ことのほか器用にミシンを操る。

●夏休みの自由研究で、トートバックを作るヒヨコ。ことのほか器用にミシンを操る。ヒヨコアタマ悪いけど手先は器用なんだよね。指でモノを考えるタイプだね。



●怒濤のマンガ読書メモ

諌山創「進撃の巨人」1

諌山創「進撃の巨人」1~2巻
●コレ最近マジ注目。突如出現する謎の巨人たちが、人間をつかまえてガリガリ頭から齧る物語です。まさに「逆アリエッティ」。人間から隠れて暮らす小人アリエッティの物語はいい話になりましたが、巨人に怯え城壁都市に引きこもる人間文明は既に絶滅寸前になってます。
●作者の諌山創さんは23歳の新鋭で、ぶっちゃけ画はそんなに上手じゃない気がします。でも、巨人たちの不気味な迫力と人間の圧倒的な非力、そして登場人物たちが残酷に巨人に喰い殺されていく様子が実にヒリヒリしてて、実にタマランです。カリッと手足が噛み潰されるんですわ。表紙の大巨人1カットで、もう目が離せなくなったですもん。

荒川弘「鋼の錬金術師」26巻

荒川弘「鋼の錬金術師」26巻
●あれれ、終わりじゃないのかよ!連載終了がネットニュースで超話題になってたから、この最新刊で完結だと思ってたよ。うわ空振り感たっぷり。残念。恐怖大殺戮の大仕掛けもワリとハンパだったような気が…。ワイフの感想「戦ってただけだった」

八木教之「クレイモア」18

八木教之「クレイモア」18巻
●コレも戦ってただけだった。いくつかのボスキャラたちが、それ以上のボスキャラたちにバキバキに殺られて、主人公たちは周りで右往左往。パワーのインフレ芸に改造人間の悲哀がかき消され気味です。つーか一旦仕切り直し、目の前のピンチからとっとと逃げれ。

柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」15

柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」15巻
●コチラもパワーのインフレ芸がどんどん加速中の暴走将棋マンガ。メイド服の「受け師さん」の棋力もインフレしていくが、体型もどんどんプニプニインフレしていくのがむしろ心配。敵「鬼将会」の中枢「谷生」が出現。最終ボスキャラの影だけ見えた。

幸村誠「ヴィンランドサガ」9

幸村誠「ヴィンランドサガ」9巻
●主人公・トルフィン、デンマークの農村で奴隷ライフ継続中。11世紀イングランドの王位争いという本線から離れ過ぎてます。どうすんだろ?華奢な美少年クヌート王子は、ワイルドかつ残酷に成長し、血を血で洗う覇道を着々と歩いているのに。

岩明均「ヒストリエ」6

岩明均「ヒストリエ」6巻
●マケドニア王子アレクサンドロスのスクールライフ、先生はアリストテレス。後に世界を征服するヒーローとその側近は、この時期みんなクラスメイトでした。

山岸涼子「テレプシコーラ・第2部」4巻

山岸涼子「テレプシコーラ・第2部」4巻
●コレもひたすら踊ってただけだった…つーか第2部になってから「ローザンヌ国際コンクール」の細かい段取りを微に細に描写するだけになってしまった感じが残念。しかし主人公・六花ちゃんが高熱で途中棄権。次巻こそ新展開がありそうな気がする。
●ワイフは「ダ・ヴィンチ」連載でコレをマークしてる。シャイなワイフは立読みなんて恥ずかしくて出来ない、という不思議な価値観の持ち主だが、「ダ・ヴィンチ」はご丁寧にこのマンガのページだけ紙の大きさが違うので、速やかに立読みできてウレシいらしい。「ダ・ヴィンチ」さんはお金と手間暇かけて、スピーディで快適な立ち読み環境を用意してしまっている。
●ちなみに、バレエを実際に習ってるヒヨコは「テレプシコーラ」「ペプシコーラ」を混同していたらしく、炭酸の飲み物が出てこない内容にガッカリ。そもそもヒヨコにとってバレエとは踊るモンであってマンガで読むモンではないらしい。字読むの苦手だし。でも細かいコトを言えば、ローザンヌはスイス/フランス国境のレマン湖に面した街。対岸のフランス側にはミネラルウォーターの街エビアンがある。炭酸は入ってないが。
NHKが今年放送した「第38回ローザンヌ国際コンクール」の特集を知人が録画したDVDで見た。日本からは3人が最終決選に出場。その他はブラジル、オーストラリア、アメリカ、スペイン、アルゼンチンなどなど。中国人はスゴく一杯いた。多分一番多いような気がする。マンガにも描かれてるが、近年は男子の出場者がどんどん増加しているという。バレエを女々しいと思う状況はどんどん変わっているのだ。実際、今年の最終決選は歴史上初めて男子が女子を数で上回ってた。ボクは古典バレエよりもコンテンポラリーの方が見てて楽しい。動きが奇妙で、でも高度に洗練されてるからだ。華やかな衣装を着ないのでヒヨコには物足りないみたいだけど。

かきふらい「けいおん!」1

かきふらい「けいおん!」1~2巻
●とうとう手を出してしまった「空気系」マンガ何も起こらない、何も進まない、小さな世界でちまちました出来事を淡々と描く。本来なら興味ない分野です。ここでも女子高生の女の子たちがマッタリと日々を過ごしているだけです。ただし!たまたま入った古本屋で気づいてしまったのです、表紙の少女が構えてるギブソン・レスポール・ギターが実にリアルに描き込まれてるってコトに!ああギターのボディがテカテカ。オンナノコとギターってなんてフェティッシュな組み合わせなんでしょう。朔ユキ蔵「少女、ギターを弾く」ってのもありましたねえ…アレは成人向けマンガでしたけど。
●しかし読んでみるとホントにナニも起こらないのね。そもそも楽器演奏しないし。せっかくのライブもスゴくあっさり終わらせちゃうし。いつの間にか一年たって、二年生に進級してるし。コレが「空気系」か。スゲエな全然読み応えないな。でもそんなもんかなあ高校生活って。ボクも放課後は放送室に引きこもって音楽ばっか聴いてたような気がするなあ。むしろコレはリアリズム?
●でもさ、彼女たち(バンドの名前は「放課後ティータイム」っていうんです)の演奏がどんなモンなのかは、メチャ気になるよね。想像するよね。カワイイと見せかけて実はタフにガレージだったらクールだなあとか。ボクはアニメの方を見てないんで、ソコは全然ワカンナかった。今日、YOU TUBE で検索してやっと演奏が聴けた。



●放課後ティータイム「GO! GO! MANIAC」
●ふーん、しっかりアニメソングだけど、音はしっかりバンドサウンド風で、結果実にイイと思います。ベースもギターもキーボードも、全部の楽器の自己主張がハッキリしてる。それぞれのパートを担当する女の子たちの顔が見えてくるような気分。アニメのテーマにしっかりとフォーカスが決まってるプロダクションですわ。ハイテンポで高密度なリリックはアニメソングとしては高機能なのかな?多分アニメファンにも刺さるツクリなのでは。

「ごめん ゆずれない ゆずらない 縦・横・斜め SWINGING AROUND
 好きな音出してるだけだよ GIRLS GO MANIAC
 あんなグルーヴ こんなリバーヴ 試していきたいんだ ずっとずっと」

「こんなリバーブ試していきたい」ってフレーズが好き。一回聴いただけじゃナニ言ってるか分かんなかったけど。




桜高軽音部「DON'T SAY LAZY」
●彼女たちのバンドはツインボーカルなんだよね。前の曲はレスポールギター少女平沢唯チャンのロリータボイスが楽しいヤツだったけど、コッチの曲はしっかり者のベーシスト秋山澪チャンが艶っぽいお姉さんボーカルを披露しててナニゲにカッコいい。唯チャン&澪チャンが歌い分ける曲もあってワクワクしちゃう。うーん、ココまでアニメキャラに入れ込んでるってコトは十分ハマってるってコトだな。


●それと、アニメはスゴいなあと思ったのが、二次創作の奥行き。「けいおん」メンバーのライブシーンを編集して、YMO を演奏させてる人がいる。なるほどセルアニメってこういう編集の素材になりうるのね。実に秀逸なので是非ご覧下さい。



YMO「DAY TRIPPER」(THE BEATLES カバー)
●なんかウマいコト合わしてるんですよ!ボーカルのリップも良くできてるわ。



YMO「TECHNOPOLIS~RYDEEN」
●ドラムのカウントから一発目のボーカルで笑う!キーボード琴吹紬チャンのアグレッシブなプレイと、ドラム田井中律チャンのタイトなリズムにシビレマス。…でも、このオンナノコたちの苗字、全員 P-MODEL のメンバーをもじってるんですって。YMO よりむしろ P-MODEL か…。渋い。

ツイッターが「おすすめユーザー」なんて機能を付け加えたから。
●テキトウにペタペタフォローを増やしたんですけど、さすがにつぶやきが増え過ぎてワケ分かんなくなってきた。ダメだ数が多過ぎると。オモロい人をジックリフォローした方がイイや。
●で、政治への不満をブチまいている人からフォローをハズしている。「ツイッター改革派」という名前を付けてる人がいるが、つぶやきだけで日本が変わるだなんて思うのは、あまりにノンキ。ネットニュースや他人のつぶやきに噛み付いてるだけなんだもん下品だね。そんなPCの前にかじりついてるヤツより「ライジングサンなう」だけの人の方が好き。
●ぼくが楽しんでるのは、中国人のカワイイ(と妄想できる)女の子をボンヤリフォローするコト。言葉の意味は100%ワカラナイケド、漢字の羅列だけなのにキャピキャピしたニュアンスは不思議と伝わってくるのが楽しい。
●一方で同時にフォローしているイギリス人DJたちは、セッセと世界各地を巡業してるって気分のツィートだけど、英語で140文字じゃちと味気ないね。結果、漢字文化圏の方が情報圧縮率が高いって事がわかった。
●あ、ボク自身は全然つぶやきません。DOMMUNE「いぇーい!この曲サイコー」って言うだけです。


今週は、3D映像技術のベンキョウをしてる人にあった。
●10年以上の親交があるこのイソロー先輩42歳は、死ぬほどガンコモノなのだがソコが信頼できるので一時期ドップリ仕事を一緒にしていた。新技術へのアレルギーがハンパじゃないが、一方で自分が納得すればトコトンまで突き詰める。テープレスのデジタル撮影/編集作業フローを構築し4年も前から地上波放送で実践してたりしてる。
●で、最近は「3D映像技術」の勉強をしてるという。しかしテンションは予想取りアゲインストだ。「生まれて初めて3Dテレビのデモ見た時はね、なんじゃコリャと。全然オモシロくない。カキワリが何枚も積み重なってるだけに見えるんだよ」
●しかしイソロー先輩に言わせれば、コレは撮影/演出の失敗で、この技術に相応しい内容をとらないとダメだと。「今度、水着のオネエちゃんを撮ってみようと思うんだ。風景を撮るより、具体的な対象物をジックリ撮る方が効果的だと思う。阿修羅像とか仏像でもイイと思う」でもソコにエロの要素を入れるのがアザトクてナイスですね。ニューメディアってアダルト産業から発達しますからね。メーカーの人に言わせると不快感を生む禁じ手がいくつかあるらしいが、なぜ禁じ手なのか、近日実際にアレコレ撮影してみて自ら検証するとな。

さて、イソロー先輩は、自分のテレビを地デジ化しない。
「ボクはギリギリまでブラウン管でイクね」なんでです?「この前カイシャのデジタルテレビでDVDを見たのよ。そしたら、DVDの画像がメチャメチャ汚く見えるのよ。唖然としたね。ボクの膨大なDVDコレクションは全部台無しになってしまうのかと。全部ブルーレイに買い替えろと言うのかと」キマシタねガンコモード。そうそうイソロー先輩はこれまた屈強の映画マニアだったのだ。最近の物件はブルーレイで買ってるが、昔のDVDでしか味わえないものもあるという。「ボクはスタートレックシリーズが大好きなんだけどね、アレを荒れた映像で見なくちゃいけないのなら、ブラウン管で十分だね。結局ブラウン管がイチバンいい」イソロー先輩は宮崎駿監督を例に出す。「ナウシカ」ブルーレイ版が近日発売らしいが、これがDVDより価値があるのは画質ではないらしい。現行DVDは監督の意向と関係なくテレビモニター用に色を補正し、コマ落ちミスなどの修正も施してある。しかし監督コレが納得できない。だから今回のブルーレイ版は84年公開時のフィルムを忠実に再現、コマ落ちミスすらそのままでリリースするという。コレは実はフィルム至上主義。
●でもそのロジック、ボクは自分の趣味の範囲でよく聴きますよ。それってアナログレコード至上主義と一緒ですよ。CDはダメだ、アナログでなければホンモノは味わえない。音楽マニアにアリガチなロジック。レコードプレイヤーがブラウン管に置き換わっただけですよ。
●きっとボクの息子の世代は、DVDも地上波デジタルも、フィルムも3D映像も、そして YOU TUBE 的なネットのロー画質も、CDも着うたフルも、電子書籍もリアル紙書籍も、平気で同列に楽しむ感覚を身につけるんでしょうね。ボク自身は、ぶっちゃけパッケージメディア依存の呪縛から自由になれてない。映画会社の後輩からは「このネット配信の時代、そんなに苦労してまでよくCD集めなんてできますねえ」って言われちゃった。(オマエの映画が映画泥棒にネット配信されますように)。しかしそれでいてメインの出力機器は iPod。まさしくネジレの時代を生きてます。


アメリカアマゾンへ注文してたCDがバラバラと届き始めました。ウキウキ。
●マーケットプレイスの中古注文だから、全米各地から封筒が送られてくる。イリノイ州とかネブラスカ州とか。で、封筒の中身の匂いを嗅いじゃうの。あーアメリカの匂いがホンノリ~。キタねえレコ屋独特のカビ臭も心地よい。レシート的なモノに「THANK YOU UNIMOGROOVE !」とボールペンで書き殴ってくれてる人もいる。
●「丁寧に送ります」とか言ってるのに、日本みたいなプチプチ包装なんて全然しないで、地元新聞にバリバリと包んでるだけ、ってのもご愛嬌。よく見るとCDを挟んでたボール紙が、レコードジャケットを切り刻んだモノだった。ジャズのLPだったのかな…いくら要らないからって、LPのジャケットザクザク切っちゃうって発想は思いつかなかった。ある意味でオシャレ。

円高モード、より加速かも。

●円高モード、より加速かも。もう一回ドサッと注文しちゃおうかな。


でも下北沢のレコ屋でも買ってるのよ。
●ツイッター経由でセール情報がガンガン来るんだもん。「300円以上の中古品5枚まとめて買うと1000円オフ」とか。ガシガシ買っちゃうね。ホントに300円で5枚選んだら、割引コミで500円になっちゃうじゃん!
●でもやっぱ安いのはそれなりにリスキー。この前 THE SMITHS のファースト買ったら中身のCDだけが「MEAT IS MURDER」だった。え!コレ THE SMITHS の別のアルバムじゃんしかも持ってるよコレ!特にコイツはダブり買いしちゃって既に二枚持ってるんだよ!あーもう完全に「THIS CHARMING MAN」とか「HAND IN GLOVE」を聴くつもりになってたのに!お店にスグ電話をかけたら、系列店から在庫取り寄せて交換しますって言ってくれた。THE SMITHS のファーストはなかなか値崩れしないから、400円台で買えるのはレアなので、この程度のトラブルはしょうがないのかも。
●そんで交換した時に、ついでに買った UB40 のファーストが、これまた中身違いだった。二回連続かよ!カンベンしてよボクも二回連続はさすがに人生で初めてだよ。おいおいコレじゃボクが怪しいクレーマーみたいじゃナイの!でもさ、UB40 は1980年のファーストじゃなきゃダメなんだよ、90年代に近いのはダサイんだよ。コレも速やかに交換。


THE SMITHS「THE SMITHS」

THE SMITHS「THE SMITHS」1984年
●やっぱイイねえ THE SMITHS は。高校生の頃カセットで聴きまくってた。このアルバムの収録曲で、シングルにもなった「HAND IN GLOVE」は、60年代のアイドル歌手 SANDIE SHAW がカバーしたバージョンもカッコいいのでご注目を。彼女は既に十分オバさんでしたが、MORRISSEY が熱烈なファンだったのでこのコラボが実現。THE SMITHS をバックにガッツリ歌ってます。



SANDIE SHAW バージョンのオリジナル12インチを15年前に国分寺のレコ屋で目撃したんだけど、2800円もしたんで買わなかった…。しかし以来一回も現物を見た事がない。あの時買うべきだったなあ。



先日から引き続いて、レゲエに注目してます。特にUKレゲエ。

UB40「SIGNING OFF」

UB40「SIGNING OFF」1980年
●レゲエをアレコレ聴いてたら、このバンドに到達してしまった。パンク革命~ポストパンク期にはイギリス人自身が様々なアプローチでレゲエという音楽に接近したが、彼らはその中でもより直球に、しかし同時に実にポップでメジャーに、レゲエを掘り込んだ連中だ。
●60年代までイギリスの植民地だったジャマイカからは大勢の移民がやってきていたし、レゲエもモッズ期からイギリスで聴かれていた。しかし70年代に起こったレゲエの進化(BOB MARLEY の登場、ダブ技術の革新などなど)は最先端のムーブメントとしてイギリスのキッズを夢中にさせたに違いない。そんな気分の中で発生したパンク革命は、70年代までの既存ロック/ブルース観を根本から破壊し、新たなインスピレーションとしてレゲエ/ジャマイカ音楽に注目した。パンクスたちはレゲエの反抗音楽(レベルミュージック)としての性質、ユニークなグルーヴをモリモリと自らの滋養にしていったのだ。THE CLASH のミクスチャー路線、2TONE スカ、THE POP GROUP から派生するブリストルシーン、ON-U SOUND。その影響は80年代ニューウェーヴシーンに広く及ぶ。
●コチラ、UB40 のファーストアルバムは、ワリとストレートなルーツレゲエ/ダブスタイルなのに、バカ売れしてチャート二位までブレイクしてしまった。なんでだろ?今聴くとマイナー調でドンヨリとしたウネリが、実に不機嫌な匂いを醸し出してる。ジャケは黄色地の書類ですが、よくみると実は失業保険の申請用紙。バンド名の由来は’’U’’NEMPLOYMENT ’’B’’ENEFIT」申請フォーム40、なんだって。ほら、苛立つ労働者階級の若者の不機嫌な顔が見えてくるでしょ。爽やかとは言えないボーカル ALI CAMBELL の声、ムサいホーンの音、ズンズン突き込むベースのグルーヴ。町の不良がタムロって冷ややかにニヤついているが、目は全然笑ってない、そんなルードな気分がクール。

UB40「LABOUR OF LOVE」

UB40「LABOUR OF LOVE」1983年
●さてさて。バーミンガムのチンピラ集団だった UB40 は、一作目でブレイクして一気にトップバンドに成り上がり、自らのレーベル DEP INTERNATIONAL を設立する。そんでオリジナルアルバムを出しつつ、自分たちが愛するレゲエチューンをカバーするシリーズを作っていく。コレは2、3、4弾まで続いてるらしい。初回のコレは、1969年から1972年までのレゲエをカバー。THE WAILERS から、JIMMY CLIFF までを網羅。JACKIE MITTOO が数曲で参加してたりも。明るい曲が多いので前述「SIGNING OFF」から比べると格段にポップになってしまった。彼らの最大のヒット曲「RED, RED WINE」(オリジナルは NEIL DIAMOND、UB40 はロックステディ期のシンガー TONY TRIBE のバージョンをカバーした)も収録されてます。この曲は結果的に全英全米でトップを取っちゃうんです。
●アルバムのライナーに彼らのレゲエ観が覗ける一文が書いてあったから引用してみます。
「ここに選ばれた楽曲たちは、ある時代を体現している。最初のスキンヘッドムーブメント、黒人のキッズはルードボーイで、ヒッピーだけが長い髪を生やしていた頃。レゲエがレゲエという名で初めて認識された時代を体現している。その時レゲエはまだ警察や社会学者、テレビ局に見つかっていなかったし、左翼や自由主義者、パンクスやラスタ信者によって声高に主張されてもいなかった。レゲエはまだただのダンスミュージックで、多くのDJをニッコリさせていただけだった」

UB40「LABOUR OF LOVE II」

UB40「LABOUR OF LOVE II」1989年
●つーか、ファースト買ったらコレが入ってた。このヘンは大分時代が下って、音が薄っぺらくなってしまってます。選曲も一時代のレゲエにフォーカスを合わせるのではなく、R&Bやポップスをレゲエ化してるようなアプローチもあります。メジャー感たっぷり。でも普通。毒にも薬にもならない…。つーか文句言うなら聴くなよ。
●この次のアルバム「PROMISES AND LIES」1993年で、連中は ELVIS PRESLEY「(I CAN'T HELP) FALLING IN LOVE WITH YOU」をカバー、世界中でバカ売れする。当時のボクは完璧なセルアウトだと思ってたけどね。



●昨日は、職場の後輩たちと深い時間まで語り合ったのですよ。
●楽しかったなあ。あんなにスカッとしたコト最近なかったわ。


夏ダブ、熱レゲエ。

DRY  HEAVY「FROM CREATION」

DRY & HEAVY「FROM CREATION」2002年
●暑い。暑過ぎる。コレは地球温暖化なのか?「エヴァ」の第三東京市のように、一年中セミが鳴きつづける街になってしまうのか?
●こんな日は、ヒンヤリ冷えたダブが最高。鉄骨むき出しのドラム&ベース、スキマに黒く広がる空間をビリビリ震わせるエコー。凍てつくダブサウンドで耳からカラダを冷やす。イイね夏ダブ。
●と思ってこのCDを選んだつもりだったのに、熱い!熱い!熱レゲエ!でした。のたうつベース、ブットいドラム、コレはイイ。しかしコレにドカドカおかずが乗っかる。テンコモリでね!ロックギターがむせぶ。女性ボーカルがワイルドに歌うし、男性ボーカルは地に足がついたディージェーイングを披露。土と埃と汗と日光がワサーッと耳に注ぎ込まれる。なんだこの祝祭空間は。なんだたくましい生命力は。全然涼しくならない。むしろ暑苦しい。バンドが一丸となって火の玉のように回転する。音と音のスキマから熱風が吹いてくるよ。怒濤の前半戦、そしてトラック10の THE DOORS カバー「RIDERS ON THE STORM」は熱で時空が歪むよ。
DRY & HEAVY 四枚目の、そして今のトコロ最新のアルバム。折り目正しく70年代ルーツレゲエ、そして全盛期の BOB MARLEY & THE WAILERS みたいなロック気分も折り目正しく搭載してる。しかし丁寧にマナーをなぞっただけとは全然言わせない、現在進行形のリアル感に満ちあふれてる。気分で言っちゃうとね、ガサッとしてんのよ、ガサッと!生のママの音を現場の空気感ごとガサッとマイクに放り込んで、その乱暴な無骨さをそのままCDに焼き付けた感じ。レゲエの世界ではミキシングエンジニアがアーティスト並みの扱いを受けたりするけど、そんな職人ワザはここでも見事に炸裂。正式バンドメンバーとしてラインナップされてるエンジニア内田直之氏の名前はシッカリ覚えておかないと。


DRY  HEAVY「FULL CONTACT」

DRY & HEAVY「FULL CONTACT」2000年
DRY & HEAVY ってのは、ドラムの七尾茂大 A.K.A. "DRY" とベースの秋本武士 A.K.A. "HEAVY" の二人組が軸になってるんです。レゲエの世界には、やはりドラマー&ベーシストのデュオ SLY & ROBBIE とか、プロダクションチーム STEELY & CLEVIE みたいなスゲエ二人組ってのが存在してる。それを連想させつつ、日本のレゲエ/ダブ界隈では彼ら DRY & HEAVY が圧倒的な存在感を放ってた。ところが。2001年にこのタッグは分裂。ベース秋本はバンドを脱退するのです。
●実は前述した「FROM CREATION」はベース秋本が脱退して、ドラム七尾が他のバンドメンバーと編み出した作品。三枚目のアルバムであるコチラの物件は、厳密な意味での元祖 DRY & HEAVY がまだ継続してた時期のモノ。ボーカリスト含めバンドサウンド全体で勝負している「FROM CREATION」に比べて、「FULL CONTACT」はドラム&ベースによりフォーカスが集まる音響デザイン、そしてエコー度ダブ度も格段に高い。正確なビートを刻むドラムの音粒は、エコーが結露して冷たく湿っている。ギターもキーボードもダブの水煙に輪郭が滲む。このシズル感がタマラナイ。
●しかし、ゴツゴツしたベースがドスドスと腹を打つ。まさにフルコンタクト。ボディブローがドスドス刺さる。汗に光るゲンコツ。コレが独特の熱を放つ。熱風を放つ。ふー全然涼しくならない。でも元気がでるぞ。



「ソリッドな笑いだね」
●40歳代のマジメな先輩と昼メシ食ってたら、なぜか話題がマルクス兄弟のハナシに。普段は静かな人だから、そんな王道スラップスティックを愛してただなんて意外でビックリした。「昔ガクセイの頃、あの早稲田のACTミニシアターでね、昔の映画をよく見てたんだよ。ソコで見つけたんだよね、マルクスブラザースを」うわあスゴいっすね、ボクはマルクス兄弟をちゃんと見たコトはないんです。チャップリンはさ、なんかこう、ペーソスとかアイロニーとかが忍び込んでるでしょ。バスター・キートンもそう。ヤツらはチガウんだよ、完全に笑いだけ。」モンティパイソンは友達がハマってて、よく見たんです。でもぶっちゃけ意味分かんないのがイッパイで。「アレはちょっと違うんだよね。マルクスブラザースはね、あれは、ソリッドな笑いだね」くーっ、「ソリッドな笑い」という言葉が実にクールだと思いました。「ソリッド」という形容詞、ここぞという場面で使えるように心掛けます。



●いやあ、21世紀は便利だ。80年代においては座席40人のミニシアターに出向いてやっと到達できた超古典が、検索一発でサクッと動画で出てきます。

●センパイ「あの頃は、誰も知らないオレだけが知ってる、ってコトが大事でね」わ、ある意味で見事に80年代ですね。「でも、情報を手に入れるのが本当にタイヘンだったんだよ。好きな音楽や好きな映画をもっと知りたいと思っても、全く手段がない」…ネット以前はマジで大変でしたよね。ボクは90年代組ですけど「スタジオボイス」ガン読みしてました。アレが教科書だった時代があった。「オレは、そんな情報をどこからゲットしてたか思い出せないんだよなあ」…そしたら「シティロード」ですか?「ぴあ」以前から存在してたタウン情報誌で「東京ウォーカー」に滅ぼされたサブカルイベント情報の重要ソース。ボクが大学生だった時までギリギリ生き残ってましたけど。「うーん、思い出せない」じゃあ、やっぱ口伝ですかね。ナニゲに一番重要だったのは、カッコイイ先輩が直接教えてくれたものだった気がしますもん。

円高だよん。1ドル=85円台だよん。
●為替を日々チェックするボク。ナニを狙ってるかって?海外にCDを注文するタイミングだよ。アメリカアマゾンに30枚近く注文したよ。もちろん全部マーケットプレイスの中古品。一番安いのは1セントだよ!0.85円だよ!日本円で二万弱だけど、CDの価格だけなら5000円程度。送料がやっぱかさばってるけど、日本じゃ2000円以上するアイテムばかりをディグしたつもり。ベイエリア・ハイフィーからアトランタ・クランク、LAハードコア~エモ、シューゲイザー系ロックまでを網羅。ふふふ楽しみ!


先日地下鉄乗ってたら、目の前にピーコさん(おすぎさんの兄弟)が座ってた。
●フツーに「週刊現代」読んでた。…でもサスガにオシャレな着こなしでした。足や腰のラインがクッキリ出る真っ黒のパンツは、やっぱ常人じゃ穿けないと思ったです。


親子でテレビの「サマーウォーズ」観てました。
●何回観ても楽しいなあ。コドモたちも大興奮。凶悪人工知能「ラブマシーン」が怖いらしくて、二人のガキンチョはパパママの寝室で眠る事にしたようです。ノマド「オレ、コワいユメ見そうだから、ママのベッドで寝る!」
「サマーウォーズ」のケンジくんと「アリエッティ」の翔少年は、同じ人(=神木隆之介)が声をやってるんだよ、と言っても、コドモたちにはピンとこないらしい。連中は声優さんが誰とかカンケイないんだよね。ケンジくんはどこまでもケンジくんだし、ナツキ先輩はナツキ先輩、キングカズマはチョー強えーヒーローだ。


昨日は六本木で恐竜体験。

地球最古の恐竜展1

「地球最古の恐竜展」@六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリー
●現在森タワー52階で、恐竜展をやってるのですよ。しかも2200までオープンしてるのですよ。コレにノマド小学三年生が目をつけた。そこで夏休みのイベントを設定、昨日は近所のキッズ/ノマドのホーミーたち(チッチ、エート、ハヤト)+ヒヨコとワイフとホーミーのママたちがお誘い合わせの上、夜の六本木に繰り出した。
●そんでボクまでが合流。平日なのに仕事切り上げて参上。夏休みのコドモサービスなんて発想じゃない、ボク自身が化石を見たい!コドモだけで行くなんてズルいのだ。ボクも存分に古代の動物に思いを馳せる。ノマドやべえなコレ!ティラノと同じ大きさのワニがいるんだって!ノマド「パパ、ケイタイ貸して!オレ化石の写真撮る!」パシャパシャ!コイツ勢い余ってモニター映像を動画収録まで始めてしまい、学芸員のお姉さんに「ダメですよ」とたしなめられてた。

IMG_0162.jpg

●我が子ノマド。ボクと趣味が合う。アガってます父子ともども。


今回の個人的注目ポイントは、コイツ。
●上に貼付けましたフライヤー、ココにキモイ生き物が描かれてるでしょ。

地球最古の恐竜展

●拡大しました。キモ!背中にだらしなく毛が生えてて、足の付き方がフツウの恐竜と違ってて、目鼻のつき方も爬虫類っぽくない。コイツはナニモノか?
●コイツの名前はエクサエレトドン。3億年前に出現した「ほ乳類の祖先」なのです。哺乳類型爬虫類(単弓類)の一種。三畳紀後期には南半球に広く分布し、やがて哺乳類に進化する。化石の解析によると、恒温性動物で全身に毛を生やし、子どもは親の世話を必要としたという。このブサイクは生意気にも哺乳類の特徴を先取りしてました。
●つまり、ジュラ紀白亜紀などの恐竜全盛期の手前にして、哺乳類は早々に地球に出現しており、他の生物と共存していたのだ。恐竜絶滅を通り越して、初めて哺乳類が登場するという、ボクの少年時代の歴史観はとっくの昔にオールドファッションのようで、恐竜も哺乳類もワニのような非恐竜な爬虫類も、ズッと昔から一緒に暮らしていたのが最近の見解のようです。なるほどねーふむふむ。

IMG_0170.jpg

●だからといって、コイツをムリヤリカワイイキャラにしようとするのはいかがなものかと。ノマド「チョーカッケー!コレ買ってイイ?」ダメだそれは搾取ってヤツだ、写真撮ってやるからソレで納得しろ。「でもエートは買ったよ」マジかよ…コレはバッドセンスだと思うよ。

IMG_0165.jpg

●記念スタンプを押すノマドとそのホーミーたち。男子は恐竜が好き。8歳でも36歳でも。



●読書メモ。歴史っぽいの、攻めてます。地球の歴史だけじゃなく、むしろ人間の歴史。

塩野七生「ローマ人の物語/最後の努力」

塩野七生「ローマ人の物語/終わりの始まり」
塩野七生「ローマ人の物語/迷走する帝国」
塩野七生「ローマ人の物語/最後の努力」
徹底的な低成長社会にズブズブハマり込む現代日本の気分を重ね合わせて、ローマ帝国の衰亡を眺める。うわコレ楽しい!英雄が活躍する物語よりも、凡才がすったもんだして組織を台無しにしていく様こそ、迫真のリアリティが楽しめるね。哲人皇帝マリウス=アウレリウス=アントニヌスからスタートする没落の歴史は、外敵の侵入に場当たり的な対応、イタリア本国の産業空洞化、地方経済の疲弊、巨大官僚組織の暴走/機能不全とモラルハザード、ビジョン無き増税、73年間に22人もの皇帝が入れ替わる継続性のない政権運営……。うぉーメチャメチャ黄昏れ国家ニホンを連想させます。コンスタンティヌス帝がキリスト教を振興、民族と文化の多様性を却下して、ヨーロッパの美しい古代世界は終わります。さあ、最後の破局がはやく読みたいぞ。


長谷川公昭「ファシスト群像」
●中公新書の古本を100円でゲット。1920年代のヨーロッパ(「紅の豚」の時代)は、ムッソリーニとヒトラーが台頭しつつある時期でした。しかしコイツら二人が特別だった訳じゃない。ロシア革命が成功して共産主義政権が出来ちゃった事にビビった連中は「国家協同主義」という言葉を掲げてヨーロッパ全土でファシズム運動を起こした。フランスでもイギリスでもオーストリアでもスペインでもハンガリーでもルーマニアでもポーランドでもアメリカでも、ファシストは登場し世論を煽り、「改革」を叫んで不寛容な主張を激しく叫んだ。ナチズムの暴挙に対応できなかったヨーロッパ諸国は、同じ質の狂気を国内に抱えていたというコトを深く納得。
●今のトコロ、ウチのコドモはこの時代に続く陰惨な戦争をハッキリ理解していない。「日本がセンソウをしてた」コトは知ってる。しかしヤツらにとっては、あの戦争と坂本龍馬の時代や織田信長の時代は同じカテゴリーに入ってしまうのだ。大過去過ぎて、今に繋がるリアルを認識できてない。いつかキチンと教えなければ。


J.M.トムソン「ロベスピエールとフランス革命」
●これも古本で100円。現在では一番無難で安心な政治システムとされている「民主主義」も、出来立てのホヤホヤ時点においては実に危なっかしいシロモノだったと思い知る内容。この本の主人公・ロベスピエールは、「ベルサイユのばら」的なロマンチシズムとナポレオンの英雄伝説の中間地点で、革命政府のリーダーを地味に務めた人物。しかしタダの地味ではない。陰惨な思想闘争で同志を粛正殺害していく血塗られた独裁者なのだ。「民主主義」を突き詰めるあまり、変革のスピードを緩める現実主義者を殺しまくる。これは内ゲバだ。ルイ16世もマリーアントワネットもギロチン送りにしたが、人民代表の議員たちも大勢ギロチンに送った。革命裁判を開いて数千人単位でセッセと死刑執行を繰り返した。最後は自分もギロチンに散るんだけど。
●ド田舎の貧乏弁護士アガリであったロベスピエールは、多分坂本龍馬のように義憤に燃える志士だったに違いない。しかし人一倍カタブツだった彼は自分の情熱を恐怖政治に振込んでしまった。「フランス革命戦争」という名の内戦で、数十万人が殺されてる。コレだけ聞くと日本の明治維新はメッチャ無難に進行した政権交代だったと感じる。
●「民主主義」が当たり前と思ってる我々の前には今、現代中国の政治体制、イスラム文化圏の政治体制がある。自分たちの原理原則を相対化しなくては、その外にある価値観を理解できない。今一度「民主主義」の出発点を読み返す事は意味があると思う、その名を掲げるグループが政権与党である今ならなおさら。


井上勲「日本の時代史20/開国と幕末の動乱」

井上勲「日本の時代史20/開国と幕末の動乱」
「龍馬伝」をカゾクで楽しみにしてるボクは、やっぱ活字でもこの時代をフォローしたくなっちゃってる。でもコレ読むと、誰かが筋道の通ったプランを握ってたわけじゃ決してなく、マジで場当たり的な状況の中、アクロバチックな折衝と妥協と抗争で明治維新が着地したと思い知る。あぶねー!やっぱこの国はいつでもノープラン。明治維新に、理念や思想はないもん。市民革命でも民主主義革命じゃないもん。コレは権力の再配分だもん。
●でも同じホンの中で、アジア地域に明治維新が評価される状況ってのも解説されてるのですよ。中国の近代化の重要局面である「辛亥革命」は、孫文はじめコアメンバーがみんな日本への留学生だったんですね。日本は中国の革命運動のアジトだったのです。フランス革命を参考にするよりも、明治維新を参考にした方がイイ、これがアジアに相応しい近代化のカタチだと、考えた人たちが多かったというのです。
●でもね、コレ単純に素敵なこととは言えないよ。明治維新当初、中国当局はコレを変革とは捉えず、謀反を起こした将軍を天皇が粛正しただけ、と考えてたらしい。「アレ?コレなんかスゴいんじゃない?ヤバいんじゃない?」と周囲が思い出したのは、維新後30年近くが経過した日清戦争の時。東の島国が西洋にカブレタだけだと思ってたのに、我が清王朝が負けちゃったよ、コレはヤバいんじゃナイの?参考にしないといけないんじゃないの?つまり、日本の対外帝国主義が実力を伴ってきて初めて明治維新は評価されたのだ。アジア国家同士の噛み合いでやっと評価が進むなんて皮肉過ぎる。満州事変の時期までイクと、明治維新はむしろ批判の対象になる。中国がとるべき革命モデルとはチガウとされる。毛沢東の共産主義運動が動き出す時期のことだった。


●今日の一枚。またまたダンスロック。

FOALS「ANTIDOTES」

FOALS「ANTIDOTES」2005年
●先日このブログで書きました「ニューレイヴ」コチラの記事)と近い、ダンスロックなポジションにありながら、圧倒的なユニークさで超然とした存在感を放つこのバンド。最近イチバン聴いてます。聴く者の気持ちを急くようなバランスの悪いスピード感、パキパキと細かく鳴るギターが神経質に響く奇妙な緊張感、線がホソイが痙攣するように歌うボーカルの不敵な華奢さ加減、なんか他に比較するモノが見つからない。ポストパンクとか安易に言いたくないほどユニークだわ。
●ワルガキ度が高いニューレイヴのシーンに比べ、かなりの高偏差値気分が漂ってるなと思ったら、主要メンバーは名門オックスフォード大学をバンドの為に中退したようなヤツらなんだって。ボーカルの前髪ヤロウ、YANNIS PHILIPPAKES とかがそんな秀才くん。
●オマケに詞もシュールっぽい。「CASSIUS」ってキョクが超カッコいい(そしてプロモも実にクール)んだけど、内容が全然わからん。カシアスって古代ローマ人によくある名前みたい。カシアス・クレイって言ったら、偉大なチャンプ、モハメド・アリの本名だよね。でもソレを連呼されても、そして生肉(ハツ?)をぶら下げられても意味分かんないんだよね。




「CASSIUS IS OVER !
  CASSIUS AWAY !
  CASSIUS THESE DAYDREAMS, THESE DAYDREAMS, OKAY !
  CASSIUS AN ACCIDENT !
  CASSIUS AN ACCIDENT !
  ACCIDENT ! ACCIDENT ! ACCIDENT !」
 ……やっぱ意味わかんね。

2010.08.01 アフロ先輩。
●ツイッターを眺めてると、フジロック行ってる人たちのつぶやきが実に楽しそうでうらやましい。
●昨日は隅田川花火大会、地下鉄には浴衣のオンナノコたちがイッパイ。実にいい感じ。
●そんでボクは、夕方から深夜まで仕事。音楽聴きながらPCに向かっとった。
●アレコレやってて気づくと午前3時。
●ビョウキになる以前は、コレが当たり前の仕事の仕方だった。うわーなんか久しぶり。
●徐々に体調がよくなってるんだろうな。こういう事が1つ1つ出来るようになってくコト。


一方で、先日、娘ヒヨコのバレエの発表会もあったのだ。
●ヒヨコはバレエが大好き。絶対に練習を休みたくないとダダをこねたり、不本意に遅刻してしまった時には泣きわめいてパニック状態になるほどのイレコミぶり。誰もが縮み上がるスパルタのセンセイを全く怖がらず、注意されても「センセイに直してもらったらもっとうまくなるじゃん!」と喜ぶほどなのだ。超前向き。アホちゃん寸前の前向き志向だ。ジブンの演目だけでなく、他人の演目の振りまで覚えて、練習で欠員が出れば、そのスキマを埋める代打まで買って出るほどなのだ。ほーそこまでがんばってるのか、ヒヨコ立派だぞ。

つーことで、そのガンバリにボクも期待をして、発表会に臨んだのだが。
●ヒヨコが周りの子供に比べてうんとチビなのは知ってたつもりだった。カオが丸くてカラダもポチャポチャ系だってのも知ってた。しかし、バレエ教室に通うようなオンナノコたちは、一般レベルと比較してグンとスタイルのイイ子たちばかり。全員がカリカリのスレンダー体型で、背が高く手足がほっそりして長い。幼稚園や小学一年生の子であっても、あらこの子は美少女になるわと先行きが読み込めるくらいだ。この集団に混じると、ヒヨコはスゴい違和感を放つ。ボクはビックリした。
●予備知識がなければ、お姉さんグループの中に1人幼稚園の子が混じってがんばってるわねー、と見える。しかし実際はチガウのだ。全員が同世代なのだ。小学1~3年生で編成されたチームで、二年生のヒヨコはむしろ中堅ポジション、後輩や年下も一杯いるのだ。なのにこの「凹」な存在感はなんなのだ?手っ取り早く言えば「チビでチンクシャ」。ヒヨコは身長が他の子と10~20センチくらい低く、死ぬほど幼児体型。動きは遜色ないがゆえに、より一層違和感が引き立つ。
●その後に続く中学生たちの演技を見た。去年の発表会でも目を引いたハーフ(クォーター?)の少女はより大人びて、去年はまだ許されてなかったトゥシューズを履いて実にキレイになってた。ヒヨコにはこの上がりはもう無理メなんじゃないの?…ホッソリした立ち振る舞いのキレイな子になってもらいたい、と思ってバレエを始めさせたのにな…。本人努力よりも遺伝形質が先行。山岸涼子「テレプシコーラ」を思い出しちゃった。バレエって残酷な世界ね。
●それでもヒヨコには存分にバレエを続けさせるもんね。だってヤツ自身がバレエ好きなんだもん。もっとガッツリインナーマッスル鍛えて、オンナを磨きなさい。以前と比べれば、ヒヨコだってお姉さん体型にちょっとは近づいてるんだからね。去年は足がつかなくて無理だった一輪車だって乗れるようになってきたしね。
●ヒヨコ本人の感想「スゴッくドキドキした!だって、カレンちゃんのパパがヒヨコのことジッと見てるんだもん!」次々とパートナーを変えて踊る今回の演目では、自分のママパパだけでなくパートナーの関係者も自分のコトをジッと見るってコトに本番で気づいたらしい。つーか、オマエあんなに真剣に踊ってる中で、お客がドコでナニ見てるかが分かるの?「カレンちゃんのパパはまん中に座ってた。カノちゃんママとハナちゃんママは並んで座ってて、パパとノマドはハジッコ、その隣にミーちゃんのパパ」…うわ正解。実際カレンちゃんのパパは確かに顔が恐いと思う。しかしなんなんだその俯瞰の余裕は。なんか底知れない部分も感じるんだよねヒヨコには。


●そんなヒヨコ、ガッコウで育てているトマトが大きく実りました。

ガッコウで育てているトマトが大きく実りました。

●コドモもトマトも大きく育つ夏。



40歳でカイシャを辞めたアフロ先輩。
●ボクには、音楽趣味において、たった1人「お師匠さま」的な存在がいる。ブラックミュージックの歴史について、とくにソウル、R&B、レゲエ、ジャズの世界観を、アメリカ黒人が受けてきた人種差別を引っ括めて、アレコレ説明してくれた人だ。ココではこの人をアフロ先輩と呼ぼう。このアフロ先輩に出会わなければ、ボクの人生はまるで質の違うものになってた。そのくらい強い影響を受けた。

●初めて会ったのは15年前。社会人一年目の新入社員研修。その日のカリキュラムは「先輩社員の仕事ぶりを聞く」みたいなテーマで、10人ほどの先輩が各部門から集められてた。ソコに明らかにヘンテコな人が混じってたのだ。だってアフロなんだもん!アフロに無精ヒゲ、そしてオーバーオール。明らかに社会人のカッコじゃないわけです。オマケに動きが不審。そもそも大幅遅刻で研修会場にやってきた上に、目もカオも真っ赤なのだ。午前中だってのに明らかに酒を飲んでるのだ(後日この日のコトを聞いたら「徹夜仕事が終わって研修まで時間が空いてたからビール飲んでマンマと居眠りして遅刻」とのこと)。やっべー、この人気になる!もう目が離せない!もう研修の内容なんてアタマに入ってこない、ずーっとこの人のコト見てた。

●入社2年目の異動で、ボクはこのアフロ先輩と同じ部署になった。デスクもお隣だ。社歴は1年しか違わないのだが、先輩は1浪2ダブで人より長く学生やってたため年齢はチョイ上。しかしそれだけでは説明できない貫禄がある。アブラッこい顔はなんだかジミヘンみたいだし、セブンスターをモクモクさせてガラガラ声で落語家みたいな話し方をする。怖い人かなー?最初は怖ず怖ず聞いた。センパイ、なんでアフロなんすか?「あ?コレはアフロじゃねーよ」いやーアフロでしょ。「オレのパーマとホンモノのアフロってのはチョイと巻き方が違うんだな。オレも一応社会人だからね」イヤそんな微妙な配慮は誰も理解できません。つーかやっぱりソウルミュージック的なモノがお好きとか?「アレ?キミそういうの興味あんの?」いやフツウにロックとか聴いてるだけなんですけど、ベンキョウしたいなと思ってて。

●そんなんで、ボクとアフロ先輩はしょっちゅう飲み屋に行く仲になり、濃厚な音楽トークその他アレコレを語り合った。…厳密には語り合ったのではないかも。アフロ先輩が一方的に語ってた…しこたま酔っぱらうと無限ループで同じ話題を繰り返すからなー。ブラックパンサー党の活動や、黒人自身がレーベルを起こすコトの意味、SAM COOK、JB、CURTIS MAYFIELD の偉大さ、ジャマイカの音楽史とラスタ思想、80年代東京のネオモッズシーン(センパイは単数形の「モッド」というコトバを使う)、ブラジル・トロピカリズモ運動、オリジナル盤が持つ付加価値、LPレコードの溝のテカリから演奏展開を予想する術、70年代のヴィンテージ機材の魅力、落語/立川流の素晴らしさ、千葉ロッテマリーンズの素晴らしさ(ここら辺から意味不明だった)……アフロ先輩自身は多分覚えてないが、大変な情報量を口伝で教えてくれた。まー完全に酔っぱらいのヨタ話なので丁寧な説明になんかなってないけど、イチバン大切な「熱さ」が伝わった。「とどのつまりはジェームスブラウンに、地球は串刺しってワケよ!」そんなフレーズばっか。

アフロ先輩と一緒に仕事をしたのはたったの2年間。今思えば仕事については全くモノを教わった覚えはナイ。ただヒトコト、特徴的な労働観をよく語ってた。「こんなオレに世話やいてくれて仕事を教えてくれた、この現場の人たち、イトーさんやオータさんヤコーさんアベさんたちには義理がある。だからちゃんと仕事する。職人としてな。しかしカイシャにはそんな義理はナイ。コレは契約だ。オレとカイシャは対等で、ドチラが上か下かなんてない」アルコールが入って初めて出てくるヨタ話だったけど、多分アフロ先輩の本音だったと思う。先輩はキャリアアップとか出世にはホントに微塵も興味がないようで、ボクが異動して別の部署に移った後も、10年以上同じ部署で同じ仕事を働き続けた。本当に義理堅いのだ。ボクはやっぱりフツウのサラリーマン、キャリアに対してそれなりの色気がナイとは言えない。新しい人たちと新しい付き合いが始まり、アフロ先輩と飲み歩くコトはなくなってしまった。
●3年前だろうか?アフロ先輩が別の部署に異動した。初めての異動じゃないか?今までと全然違う仕事に戸惑ったりしてないかな?廊下であった時に聞いてみた。「ああ、かえってヒマになったよ。外に出るコトも減ったし」なんか元気がなくなったように思えた。でもボクは酔っぱらった先輩ばっか見てたからな。気のせいか。

●先月、珍しくボクのデスクがあるフロアに、アフロ先輩がいた。廊下で立ち話してたのだ。あ!アフロ先輩、お久しぶりです!「いやあ、どもども、unimogroove くんにもタイヘンお世話になりました」…ナンですかイキナリ?「オレさ、今日でカイシャ辞めるのよ」えー!ナンすかそれ!「で、アイサツまわりしてんの」…マジスか!?それミンナ知ってるんですか?イトーさんとかオータさんとか昔一緒だった人たちは?「だからアイサツまわりしてるんだよ~いやータイヘンだね」じゃあ今たまたまココで会わなかったら、ボクはアフロ先輩に会えないままお別れだったんですか!あぶねー!カンベンしてくださいよー!
●一体どうしちゃったんですか?突然カイシャ辞めるって。「う~ん突然ってワケじゃないんだよね。オレ今年40歳になるのよ。だから辞めるの」ワケ分かんないけど、アフロ先輩が言うと不思議に聞こえないのも事実。そうなんですか。「45歳くらいになると、仕事の中身って管理業務とかだけになっていくでしょ。オレホントにそんな仕事がやりたいのか?と思うワケ」アフロ先輩がそんな仕事してるトコロ確かに想像つきません。「45歳になってそんな仕事を始めて、その時「やりたくねー」と思ってもやり直しきかないでしょ?だから、今のウチに一度辞めて、もう一回最初から始めてみようかなと」でも、この次ナニやるか決まってるんですか?「決まってないんだなーコレが!」うわーやっぱり!「飲み屋のマスターやってるかもって、さっき言われた」うわーリアルにやってそう!
●でも、ボク的には、このカイシャはアフロ先輩みたいな人も働いていられる、ってのが救いだったんですけどね。最近は世知辛いコトばかりだから…。アフロ先輩が辞めちゃうと正直サミシいです。先輩自身は、多分ドコに行っても多分平気でしょうけど。「まーケッコンもしてないし、オレ一人ならどうにでもなる気がするんだよね」アフロ先輩、ケッコン方面、全然やる気ないですもんね。「違うよオレはやる気あるんだけど、ご縁がないのよ」女子アナの○○さんと結婚するとか、無茶な妄想ばっかだったじゃないですか。

アフロ先輩、がんばってください。ボクはまだ、サラリーマンとして、この場所で出来るコトを模索していきます。ナニがあるかワカラナイケド、まだヤリ切った感じはないんです。