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2010.08.01 アフロ先輩。
●ツイッターを眺めてると、フジロック行ってる人たちのつぶやきが実に楽しそうでうらやましい。
●昨日は隅田川花火大会、地下鉄には浴衣のオンナノコたちがイッパイ。実にいい感じ。
●そんでボクは、夕方から深夜まで仕事。音楽聴きながらPCに向かっとった。
●アレコレやってて気づくと午前3時。
●ビョウキになる以前は、コレが当たり前の仕事の仕方だった。うわーなんか久しぶり。
●徐々に体調がよくなってるんだろうな。こういう事が1つ1つ出来るようになってくコト。


一方で、先日、娘ヒヨコのバレエの発表会もあったのだ。
●ヒヨコはバレエが大好き。絶対に練習を休みたくないとダダをこねたり、不本意に遅刻してしまった時には泣きわめいてパニック状態になるほどのイレコミぶり。誰もが縮み上がるスパルタのセンセイを全く怖がらず、注意されても「センセイに直してもらったらもっとうまくなるじゃん!」と喜ぶほどなのだ。超前向き。アホちゃん寸前の前向き志向だ。ジブンの演目だけでなく、他人の演目の振りまで覚えて、練習で欠員が出れば、そのスキマを埋める代打まで買って出るほどなのだ。ほーそこまでがんばってるのか、ヒヨコ立派だぞ。

つーことで、そのガンバリにボクも期待をして、発表会に臨んだのだが。
●ヒヨコが周りの子供に比べてうんとチビなのは知ってたつもりだった。カオが丸くてカラダもポチャポチャ系だってのも知ってた。しかし、バレエ教室に通うようなオンナノコたちは、一般レベルと比較してグンとスタイルのイイ子たちばかり。全員がカリカリのスレンダー体型で、背が高く手足がほっそりして長い。幼稚園や小学一年生の子であっても、あらこの子は美少女になるわと先行きが読み込めるくらいだ。この集団に混じると、ヒヨコはスゴい違和感を放つ。ボクはビックリした。
●予備知識がなければ、お姉さんグループの中に1人幼稚園の子が混じってがんばってるわねー、と見える。しかし実際はチガウのだ。全員が同世代なのだ。小学1~3年生で編成されたチームで、二年生のヒヨコはむしろ中堅ポジション、後輩や年下も一杯いるのだ。なのにこの「凹」な存在感はなんなのだ?手っ取り早く言えば「チビでチンクシャ」。ヒヨコは身長が他の子と10~20センチくらい低く、死ぬほど幼児体型。動きは遜色ないがゆえに、より一層違和感が引き立つ。
●その後に続く中学生たちの演技を見た。去年の発表会でも目を引いたハーフ(クォーター?)の少女はより大人びて、去年はまだ許されてなかったトゥシューズを履いて実にキレイになってた。ヒヨコにはこの上がりはもう無理メなんじゃないの?…ホッソリした立ち振る舞いのキレイな子になってもらいたい、と思ってバレエを始めさせたのにな…。本人努力よりも遺伝形質が先行。山岸涼子「テレプシコーラ」を思い出しちゃった。バレエって残酷な世界ね。
●それでもヒヨコには存分にバレエを続けさせるもんね。だってヤツ自身がバレエ好きなんだもん。もっとガッツリインナーマッスル鍛えて、オンナを磨きなさい。以前と比べれば、ヒヨコだってお姉さん体型にちょっとは近づいてるんだからね。去年は足がつかなくて無理だった一輪車だって乗れるようになってきたしね。
●ヒヨコ本人の感想「スゴッくドキドキした!だって、カレンちゃんのパパがヒヨコのことジッと見てるんだもん!」次々とパートナーを変えて踊る今回の演目では、自分のママパパだけでなくパートナーの関係者も自分のコトをジッと見るってコトに本番で気づいたらしい。つーか、オマエあんなに真剣に踊ってる中で、お客がドコでナニ見てるかが分かるの?「カレンちゃんのパパはまん中に座ってた。カノちゃんママとハナちゃんママは並んで座ってて、パパとノマドはハジッコ、その隣にミーちゃんのパパ」…うわ正解。実際カレンちゃんのパパは確かに顔が恐いと思う。しかしなんなんだその俯瞰の余裕は。なんか底知れない部分も感じるんだよねヒヨコには。


●そんなヒヨコ、ガッコウで育てているトマトが大きく実りました。

ガッコウで育てているトマトが大きく実りました。

●コドモもトマトも大きく育つ夏。



40歳でカイシャを辞めたアフロ先輩。
●ボクには、音楽趣味において、たった1人「お師匠さま」的な存在がいる。ブラックミュージックの歴史について、とくにソウル、R&B、レゲエ、ジャズの世界観を、アメリカ黒人が受けてきた人種差別を引っ括めて、アレコレ説明してくれた人だ。ココではこの人をアフロ先輩と呼ぼう。このアフロ先輩に出会わなければ、ボクの人生はまるで質の違うものになってた。そのくらい強い影響を受けた。

●初めて会ったのは15年前。社会人一年目の新入社員研修。その日のカリキュラムは「先輩社員の仕事ぶりを聞く」みたいなテーマで、10人ほどの先輩が各部門から集められてた。ソコに明らかにヘンテコな人が混じってたのだ。だってアフロなんだもん!アフロに無精ヒゲ、そしてオーバーオール。明らかに社会人のカッコじゃないわけです。オマケに動きが不審。そもそも大幅遅刻で研修会場にやってきた上に、目もカオも真っ赤なのだ。午前中だってのに明らかに酒を飲んでるのだ(後日この日のコトを聞いたら「徹夜仕事が終わって研修まで時間が空いてたからビール飲んでマンマと居眠りして遅刻」とのこと)。やっべー、この人気になる!もう目が離せない!もう研修の内容なんてアタマに入ってこない、ずーっとこの人のコト見てた。

●入社2年目の異動で、ボクはこのアフロ先輩と同じ部署になった。デスクもお隣だ。社歴は1年しか違わないのだが、先輩は1浪2ダブで人より長く学生やってたため年齢はチョイ上。しかしそれだけでは説明できない貫禄がある。アブラッこい顔はなんだかジミヘンみたいだし、セブンスターをモクモクさせてガラガラ声で落語家みたいな話し方をする。怖い人かなー?最初は怖ず怖ず聞いた。センパイ、なんでアフロなんすか?「あ?コレはアフロじゃねーよ」いやーアフロでしょ。「オレのパーマとホンモノのアフロってのはチョイと巻き方が違うんだな。オレも一応社会人だからね」イヤそんな微妙な配慮は誰も理解できません。つーかやっぱりソウルミュージック的なモノがお好きとか?「アレ?キミそういうの興味あんの?」いやフツウにロックとか聴いてるだけなんですけど、ベンキョウしたいなと思ってて。

●そんなんで、ボクとアフロ先輩はしょっちゅう飲み屋に行く仲になり、濃厚な音楽トークその他アレコレを語り合った。…厳密には語り合ったのではないかも。アフロ先輩が一方的に語ってた…しこたま酔っぱらうと無限ループで同じ話題を繰り返すからなー。ブラックパンサー党の活動や、黒人自身がレーベルを起こすコトの意味、SAM COOK、JB、CURTIS MAYFIELD の偉大さ、ジャマイカの音楽史とラスタ思想、80年代東京のネオモッズシーン(センパイは単数形の「モッド」というコトバを使う)、ブラジル・トロピカリズモ運動、オリジナル盤が持つ付加価値、LPレコードの溝のテカリから演奏展開を予想する術、70年代のヴィンテージ機材の魅力、落語/立川流の素晴らしさ、千葉ロッテマリーンズの素晴らしさ(ここら辺から意味不明だった)……アフロ先輩自身は多分覚えてないが、大変な情報量を口伝で教えてくれた。まー完全に酔っぱらいのヨタ話なので丁寧な説明になんかなってないけど、イチバン大切な「熱さ」が伝わった。「とどのつまりはジェームスブラウンに、地球は串刺しってワケよ!」そんなフレーズばっか。

アフロ先輩と一緒に仕事をしたのはたったの2年間。今思えば仕事については全くモノを教わった覚えはナイ。ただヒトコト、特徴的な労働観をよく語ってた。「こんなオレに世話やいてくれて仕事を教えてくれた、この現場の人たち、イトーさんやオータさんヤコーさんアベさんたちには義理がある。だからちゃんと仕事する。職人としてな。しかしカイシャにはそんな義理はナイ。コレは契約だ。オレとカイシャは対等で、ドチラが上か下かなんてない」アルコールが入って初めて出てくるヨタ話だったけど、多分アフロ先輩の本音だったと思う。先輩はキャリアアップとか出世にはホントに微塵も興味がないようで、ボクが異動して別の部署に移った後も、10年以上同じ部署で同じ仕事を働き続けた。本当に義理堅いのだ。ボクはやっぱりフツウのサラリーマン、キャリアに対してそれなりの色気がナイとは言えない。新しい人たちと新しい付き合いが始まり、アフロ先輩と飲み歩くコトはなくなってしまった。
●3年前だろうか?アフロ先輩が別の部署に異動した。初めての異動じゃないか?今までと全然違う仕事に戸惑ったりしてないかな?廊下であった時に聞いてみた。「ああ、かえってヒマになったよ。外に出るコトも減ったし」なんか元気がなくなったように思えた。でもボクは酔っぱらった先輩ばっか見てたからな。気のせいか。

●先月、珍しくボクのデスクがあるフロアに、アフロ先輩がいた。廊下で立ち話してたのだ。あ!アフロ先輩、お久しぶりです!「いやあ、どもども、unimogroove くんにもタイヘンお世話になりました」…ナンですかイキナリ?「オレさ、今日でカイシャ辞めるのよ」えー!ナンすかそれ!「で、アイサツまわりしてんの」…マジスか!?それミンナ知ってるんですか?イトーさんとかオータさんとか昔一緒だった人たちは?「だからアイサツまわりしてるんだよ~いやータイヘンだね」じゃあ今たまたまココで会わなかったら、ボクはアフロ先輩に会えないままお別れだったんですか!あぶねー!カンベンしてくださいよー!
●一体どうしちゃったんですか?突然カイシャ辞めるって。「う~ん突然ってワケじゃないんだよね。オレ今年40歳になるのよ。だから辞めるの」ワケ分かんないけど、アフロ先輩が言うと不思議に聞こえないのも事実。そうなんですか。「45歳くらいになると、仕事の中身って管理業務とかだけになっていくでしょ。オレホントにそんな仕事がやりたいのか?と思うワケ」アフロ先輩がそんな仕事してるトコロ確かに想像つきません。「45歳になってそんな仕事を始めて、その時「やりたくねー」と思ってもやり直しきかないでしょ?だから、今のウチに一度辞めて、もう一回最初から始めてみようかなと」でも、この次ナニやるか決まってるんですか?「決まってないんだなーコレが!」うわーやっぱり!「飲み屋のマスターやってるかもって、さっき言われた」うわーリアルにやってそう!
●でも、ボク的には、このカイシャはアフロ先輩みたいな人も働いていられる、ってのが救いだったんですけどね。最近は世知辛いコトばかりだから…。アフロ先輩が辞めちゃうと正直サミシいです。先輩自身は、多分ドコに行っても多分平気でしょうけど。「まーケッコンもしてないし、オレ一人ならどうにでもなる気がするんだよね」アフロ先輩、ケッコン方面、全然やる気ないですもんね。「違うよオレはやる気あるんだけど、ご縁がないのよ」女子アナの○○さんと結婚するとか、無茶な妄想ばっかだったじゃないですか。

アフロ先輩、がんばってください。ボクはまだ、サラリーマンとして、この場所で出来るコトを模索していきます。ナニがあるかワカラナイケド、まだヤリ切った感じはないんです。


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