スイートポーヅ

1955年のギョウザ。「スヰートポーヅ」。
●この前、神保町でおいしいギョウザを食べました。「スヰートポーヅ」というお店。ギョウザにどんぶりメシ&みそ汁とおしんこ、ギョウザ定食770円。すごくオールドスクールな佇まい、食べログによると創業1955年といいます。むー!CHARLIE PARKER の死んだ年ではないか。ELVIS PRESLEY がメジャーと契約した年ではないか。とっても美味しかったので、また行こう!




神聖かまってちゃん

神聖かまってちゃんのライブ。11月13日@恵比寿ガーデンホール。
●ボクとしては初体験の彼らのライブだけど、演奏力とかで勝負するバンドじゃないから大きな期待はしてませんでした。でもでも、なんかヒドかったです。これバンドのせいじゃなくて会場のシステムの問題じゃないかな?音はバカデカイんだけど、ゴチャゴチャしてナニも聴こえないんですわ。同行してくれたライブ4回戦目の先輩に言わせても最悪とのコメントだった。実に残念。
●グダグダな進行やMCはこのバンドの持ち味なんだろうから、そこは気にならなかった。生き物としてのバンドメンバーは予想以上に奇妙で、ドラムみさこが直接のルックスに釣り合わないキュートっぷりを振りまきながらスットンキョウな声で微妙に間合いのズレたツッコミを入れたり、ベースちばぎんがコトノホカ冷徹かつ常識的に進行をグリップしようとしたり、キーボードmonoがことごとくスベリまくるMCで身が凍る気分を散布してるのに全然本人が折れなかったり(楽器の上にウイスキーの瓶をおいてストレートでラッパ飲みするってのは今回なかった)と実に楽しかった。そしてフロントマンの子現代の邪気を一身に集めて水銀中毒かダイオキシン汚染みたいになりながら、それでも生きてるんだよとデタラメに叫んでる。天使ってああいうことか、と思った。

DVD「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ!」

●DVD「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ!」
●そんな彼らを軸にした群像劇。周囲の無理解を背にしながらプロ棋士を目指す女子高生(二階堂ふみ)。5歳保育園児を抱えて昼夜の仕事を掛け持つシングルマザー(森下くるみ)。ホンモノのバンドマネジャー剣樹人さんまでが主要キャストとして登場してくる。簡単なコトで今いる場所から自分が吹き飛ばされてしまうような不安に追いつめられてる登場人物たち。そんな存在のドン詰まり感が息苦しい。神聖かまってちゃんの音楽が果たして彼らを救うのか?いや多分救えないんですよ、でもナニかが弾けるんです。「遠くにいるキミ目がけて吐き出すんだ!遠くで近くですぐソバで叫んでやる!」そう絶叫するバンドのライブと、ナニかに立ち向かう登場人物たちのカットバックに、なぜか感情が高まってボクは涙を流してしまうのでした。
●シングルマザーを演じた森下くるみは、10年程前にAV女優として活躍してた女性。愛くるしいロリータフェイスは雑誌などでしばしば拝見してました…うわこんなトコロで再会かよ。30歳という設定で登場した彼女のオーラは年齢に応じた変化で以前よりもグッと生々しくなってて、演出上の狙いであるトコロの人生全般に切羽詰まった気分をリアルすぎる程表現しておりました。彼女が出てたから泣けたのかな。…あ、一瞬忘れてたけど、彼女のエッセイ「すべては『裸になる』から始まって」はスゴくオモシロい本だった。

神聖かまってちゃん「つまんね」

神聖かまってちゃん「つまんね」2010年
「ロックンロールは鳴り止まないっ」と同じだけの存在感を放つアンセム「美ちなる方へ」が収録されてる。「出かけるようになりました 出かけるようになりました」のリフレインが感動的。自己肯定と解放、そして前向きな勇気。ヒキコモリが外に出るだけでナニが勇気だ?との批判もあるかも知れない。でもコレがあの破滅的なパーソナリティを抱きしめてるの子から発射されてるメッセージだという物語を意識すれば、すごく神々しい音楽に聴こえる。
●今回のライブで心動かす響きを持っていたのが、ここに収録されてる「いかれたNEET」。90年代だったら FISHMANS「いかれたBABY」。10年代はこのウタ。ドコにも繋がらない叫びが悲痛。

神聖かまってちゃん「8月32日へ」

神聖かまってちゃん「8月32日へ」2011年
●アルバムタイトルでシビレタ。終わらない夏休み。夏休みに閉じ込められてしまったのかもしれない。居心地がよすぎてソコからもう抜け出せない。誰も終わらせてくれないモラトリアム。永久に続く自分探し。永久に成熟しない。そんでこのバンドはひたすら人生を無駄遣いしています。ゼロスタートどころか、自業自得の強烈なマイナススタートです。だけどそのバンドを聴くボクら側が人生を無駄遣いしていないか、その保証はナニもない。
●映画の中でマネジャー氏は「彼らには好きにやらせてやりたいんです!」と主張する。長生きしないバンドかも知れない。いつ空中分解しても不思議じゃない危機をいつも孕んでいる。彼らはまたタダのニート、永遠の夏休みに戻ってしまうかも知れない。そこを重々理解しているからこそ、この一瞬をどう燃焼するかに全てを懸ける。それがスリルだし、彼らの今を追いかける理由になる。インディ時代から彼らのライブを見てるボクの先輩は真面目な顔してつぶやいてた。「彼らこの後どうなっちゃうんだろうな?」ホントに誰も分かってないかも。リスナーもマネジャーも本人たちも。
●カンケイないけど、神聖かまってちゃんの名物マネジャー剣樹人さんは、ボクのお気に入りダブユニット、あらかじめ決められた恋人たちのベーシストとしても活躍してる。それと「つまんね」と同時リリースされた「みんな死ね」はまだ入手できてない。コレだけインディからリリースされたのは所属レーベル・ワーナーの社長が突然自殺してしまったコトも含め、周囲がタイトルにドン引きしてしまった…というウワサがある。

DVD「サイタマノラッパーSR」

●DVD「SR サイタマノラッパー」
「劇場版 神聖かまってちゃん」の監督を務めた入江悠さんの長編デビュー作。埼玉県のヒップホップ少年のイタ苦しい青春。北関東の「8マイル」になれたのかな?エミネムの100倍ブザマで1000倍チンケなラッパーたちの悲喜こもごも。微妙にオフ気味な編集テンポがより寒さを際立たせる。人生ドン詰まり。
●ここにも元AV女優のみひろが出演している。役の設定もAV女優だ。故郷に戻ってみても好奇の目に晒されるだけ、しかしその無礼な視線を跳ね返す強さが凛々しい。そのカワイイ外見とはウラハラに恐ろしい罵声を浴びせて主人公たちを縮み上がらせる。ヘタレしか登場しないこの映画の中で、唯一毅然とした人物として描かれている。入江悠監督はAV女優に何か思い入れがあるのかな?ちなみにみひろ、なぜか志村けんさんに気に入られているのか「バカ殿」特番には必ず腰元の1人として出演している。





神聖かまってちゃん「美ちなる方へ」
●空っぽの郊外風景と空っぽの駅前広場と空っぽの電車と空っぽの空。「出かける」意味がある場所なのか全然わからないけど、ただ「みちなる方へ」進むだけ。



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「池ノ上ふれあいバザール」。商店街でフリマをしてたんです。
●下北沢のお隣の駅、池ノ上の商店街で、先週フリーマーケットをやってたんです。そこで娘ヒヨコと、休日の午後をブラブラ過ごして買い物をしてました。

池之上ふれあいバザール

●例によって掘り出し物が結構ありました。
三谷幸喜カントク「THE 有頂天ホテル」DVD300円とか。朝倉世界一の1992年のマンガ「アポロ」150円とか。東村アキ子「テンパリストベイビーズ」150円とか。吉田秋生「イブの眠り」全五巻125円とか。PRINCE の1981年のアルバム「CONTROVERSY」100円とか。

PRINCE「CONTROVERSY」

PRINCE「CONTROVERSY」1981年
●邦題が「戦慄の貴公子」。同時代の CHAKA KAHN のアルバムをこの前聴いてたんだけど、そこから比べちゃうと突然変異のような新しさがココにある。タイトでジャストでミニマルなファンクグルーヴに痙攣的なギターと両性具有的なボーカル。ホントに戦慄です。

吉田秋生「イブの眠り YASHA NEXT GENERATION」

吉田秋生「イヴの眠り YASHA NEXT GENERATION」全5巻
吉田秋生の代表作「BANANAFISH」の系譜に繋がるアクションマンガで、「YASHA - 夜叉 - 」
の続編にあたる作品…なんだけど、「YASHA」を読んでないから正直しんどかった。ただし、物語のバックグラウンドには、ハワイやポリネシア、沖縄の自然信仰が溶け込んでいて、微妙な隠し味になってる。

●個人的にチョー嬉しかったのは、中山康樹さんのジャズ評論を二冊100円でゲットできたこと。
「黒と白のジャズ史」(平凡社/定価1800円)と「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」(NTT出版/定価1700円)。中山康樹さんは日本のジャズ評論の第一人者で、とくに MILES DAVIS には非常に詳しく、そんで THE BEATLES BOB DYLAN などのロックや、桑田圭祐さんの音楽にも造詣が深い。非常に興味深い。これが100円ですわ!フリマの醍醐味だね。たまたま菊池成孔/大谷能生「M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究」を毎日ワクワクしながら通勤電車で読んでいるボクにはうってつけの発見。わーここはタップリとジャズが聴きたい。


ということで、CHARLIE PARKER を聴く。
●1940年代。ジャズの革命児。ビバップの創始者。通称「バード」。天才的アルトサックス奏者…でありながら、その実生活は麻薬とアルコールとスキャンダルだらけ、そしてあだ名の由来通り大好きなチキンだらけで、手っ取り早く言えばサックスを持ったチンピラ、36歳の短い人生を焼尽してしまったダメ人間であります。

CHARLIE PARKER「Bird On 52nd Street」

CHARLIE PARKER「BIRD ON 52ND STREET」1948年
●アルバムタイトルにある「52丁目」ってナニ?ビバップジャズのムーブメントが発生した場所は、ニューヨークの52丁目にたくさんあった小さなジャズクラブと言われております。普段はビッグバンドで白人好みのスウィングミュージックを演奏しながらも、いざ仕事が終われば夜な夜なこうした黒人クラブに集まって、サケとクスリにまみれて発狂したような強烈なアドリブプレイをゲームのように交換してたのがビバップの始まりです。
●そんな場所で演奏されてたワケですから、この時代の音楽にマトモな録音がキチンと残ってるわけではありません。この音源はバードの熱心な信者が個人的に録音してたモノ。そのワイルドすぎる録音状態は今の耳には大分強烈です。狭苦しいアングラクラブの喧噪や熱気がザリザリしたノイズの中にそのまま封じ込まれています。ドラムのドバドバとバードの奔放過ぎるサックス以外はナニがなんだかわかりません。しかし、そこも含めてビバップ!曲芸めいたアドリブの乱暴ぶりにひたすら浸るしかないのです。
●実は、ボクの父親は熱心なバードファンでした。ボクが幼稚園生~小学生だった頃、父親はこの手の最低な録音環境のLPをデカイ音で鳴らしておりました。ボクはそれがイヤでイヤで。ジャズといえばこのガサガサした録音と神経症のようにパラパラパラパラせわしく動きまくるラッパの音、この世で最も耳障りなジゴクの音楽と思ってました。このCDを聴いた瞬間、その当時の古い少年時代の印象がウワッと蘇りました…ボクにとっては昔も今も正しくバードビバップは死ぬ程耳障りで、世間のイメージとしてジャズがなんとなく身にまとっている洗練された気分とは程遠い凶暴さをキチンと備えていました。

CHARLIE PARKER「CHARLIE PARKER STORY ON DIAL VOL.1 WESTCOAST DAYS」

CHARLIE PARKER「CHARLIE PARKER STORY ON DIAL VOL.1 WESTCOAST DAYS」1946~1947年
●1940年前半あたりから評判を集め出したバードたちの新しいジャズの潮流ビバップは、録音物としては1944年あたりから登場。徐々に評判を高めてゆきます。そんで1945年の暮れ、バードとその盟友 DIZZY GILLESPIE のバンドは西海岸巡業を実施、これがビバップが初めて西海岸エリアで演奏された瞬間。そんで一行はニューヨークにフツウに帰る…はずだったのですが、バード本人は飛行機のチケットを払い戻して使い込んじゃう。マジで家に帰れなくなったバードは、そのままロスに居着いて一年以上もクラブで演奏するハメになったのです。ほら、バードってダメ人間でしょ。
●このCDは DIAL という名前のロサンゼルスのレーベルが録音したバードの演奏。レコードショップから進化した新興レーベルが、この居残りバードと約束して録音の契約を取り付けたのだ。5回に分けて行われたセッションだけど、初回はメンバーのドタキャンでほぼ不発。3回目は奇跡的な内容が収録できたけど、クスリで完全にラリってたバードレコーディング直後に精神病院へ入院。半年空けて行ったセッションでは、入院先のカマリロ精神病院の名前を拝借して「RELAXIN AT CAMARILLO」という曲を書いてきた。でも、スタジオ録音はクリアで明瞭。

CHARLIE PARKER「CHARLIE PARKER STORY ON DIAL VOL.2 NEW YORK DAYS」

CHARLIE PARKER「CHARLIE PARKER STORY ON DIAL VOL.2 NEW YORK DAYS」1947年
●さて、やっとロスからニューヨークに帰ってきたバード。でも DIAL との契約はまだ残ってる。しかしこの人性根がチンピラですからそんなの無視してニューヨークの他のレーベルとサクサク録音を始めちゃうのです。DIAL はしょうがないので拠点をロスからニューヨークに移してまでして、バードの録音を企画します。これがこの音源。文字通り「鳥」のように空高く舞い上がるように自由なソロを展開しております。ちなみにバンドメンバーは、若き MILES DAVIS、ドラムに MAX ROACH、トロンボーンに J.J. JOHNSON、ピアノに DUKE JORDAN、ベースが TOMMY POTTER


●ついでに、最近気になるマンガ。ふと気づくと全部女性作家だ。
東村アキコ「海月姫」8巻。むーん、このマンガ、だんだんクサレ縁になってきたかも。「テンパリストベイビース」も読んだことだし、完結編が出た「ママはテンパリスト」に乗り換えるか。「主に泣いています」は連載でチェック中。久保ミツロウ「アゲイン!!」2巻。「時をかける少女」を3本まとめて見てからタイムスリップものが気になる。石井あゆみ「信長協奏曲」1~5巻。こちらは現代高校生が織田信長にすり替わるタイムスリップもの。オモロい。羽海野チカ「3月のライオン」6巻。南Q太「ひらけ駒!」しかり、女性の将棋マンガがイイ!末次由紀「ちはやふる」13~14巻。アニメも評判イイらしい。実写映画化も時間の問題か。杉田圭「うた恋い。」1~2巻。百人一首の当事者たち、在原業平小野小町、文屋康秀といった歌人の生活や恋愛をマンガ化。そもそも小倉百人一首自体が600年分の和歌作品アーカイブを整理選択した結果という事実に驚愕する。杉浦日向子「百日紅」上下巻。江戸・化政年間、葛飾北斎の日常をホワッと描く。変わらない日常を豊かに、粋に生きる江戸都市生活。カンケイないけど娘ヒヨコに「サルスベリの花ってキレイだよね!」と言われてビビった…だってボクはサルスベリの花なんて意識してみたことがない。もう一冊杉浦日向子「ゑひもせず」。江戸時代に心魅かれてる。でもこの作家、故人。下北沢のガレージセールで10円で買ったんです。西炯子「西炯子のこんなん出ましたけど、見る?」。この作家さん、最近本屋で異常に目立つ。気になる。

●今日は80年代から90年代、そんで00年代までにまたがる形で、「ミクスチャーロック」と呼ばれる分野のおハナシをしてみようと思います。

「ミクスチャーロック」ロックに対してファンク、ヒップホップなどの異種交配をしてみせた表現…そもそもその誕生の瞬間から異種交配で進化を続けてきたロックですが、80~90年代のアメリカにおいては一番の触媒になりえたのがヒップホップだったようです。さしあたり、RED HOT CHILI PEPPERS、そして RAGE AGAINST THE MACHINE という二つのバンドを軸にしてみます。

この前、テレビで映画「BECK」の放送をやってたでしょ。コレがキッカケ。

テレビで映画「BECK」の放送

●ボクは劇場で見てたのでスルーしてましたけど…意外なコトにウチのコドモたちがメチャ楽しんでたらしい。ライブシーンでは画面の前でヒヨコ小学三年生はジャンプしとったという。へー。ヒヨコのクセしてロックバンドに反応したのね。
●ヒヨコは、誰が好きなの?「タイラさん!」向井理が演じたベーシストですね。「でもさ、なんでハダカなの?」ハダカだよね確かに。アレは RED HOT CHILI PEPPERS のベーシスト FLEA を参考にしてるのよ。

RED HOT CHILI PEPPERS「IM WITH YOU」
RED HOT CHILI PEPPERS「I'M WITH YOU」2011年
●ということで、娘ヒヨコをヒザの上にのせて YOU TUBE で FLEA のパフォーマンスをチェック。最新アルバムのリード曲「THE ADVENTURE OF RAIN DANCE MAGGIE」のプロモでも、FLEA は上半身ハダカ&ハダシでファンキーなプレイを繰り広げております。ボーカル ANTHONY KIEDIS もマッチョでよいね。THE BEATLES「GET BACK」の故事にならった屋上ゲリラライブ。このオッサンたち興が乗るとパンツも脱いでポコチンをクツシタで隠すのよねー、と教えたらヒヨコ腹ヨジラセて爆笑してました。
●ギタリスト JOHN FRUSCIANTE が脱退して、なんだかスケールダウンな評価が漂う新作…ジャケが地味だからより一層テンションサガって見える。でもね、前作の2枚組が冗長でしんどかったのに比べれば、ズッとタイトに決まっててスゲエ楽しめる内容になってます。彼らなりの枯れ寂びるロックがなんともジューシー!枯れ寂びてるのにこのファンク高密度なドライブ感!最近ヘビロテです。

RED HOT CHILI PEPPERS「THE UPLIFT MOJO PARTY PLAN」

RED HOT CHILI PEPPERS「THE UPLIFT MOJO PARTY PLAN」1987年
●四半世紀も前にもなります、彼らのサードアルバム。ちなみにファーストアルバムは1984年まで遡る…もう30年近い活動歴を誇るバンドなのですよ。セカンドではファンク大統領 GEORGE CLINTON をプロデューサーに迎え、本格的なファンクを導入、白人としてのラップのスキルも当時としてはかなり進んだ印象でありました。彼らが登場した80年代のロサンゼルスでは、こうした文化交配の気配が濃厚だったのですね…ミクスチャーロックの中でロス~アメリカ西海岸という土地は1つの重要なキーポイントになっている感じがします。
●このアルバムは、今回脱退した JOHN はおろか、現ドラマーの CHAD SMITH もまだ加盟していない時代。オリジナルギタリスト HILLEL SLOVAK が参加した最後のアルバム…この作品の後に彼はオーバードーズで亡くなります。直球で性急なファンクネスが若い!なにげに SEX PISTOLS BOB DYLAN のカバーが仕込まれてるのもオモシロい。この後のアルバム「MOTHER'S MILK」でバンドは一気にスターダムにのし上がっていくのでした。

RAGE AGAINST THE MACHINE「RENEGADES」

RAGE AGAINST THE MACHINE「RENEGADES」2000年
●さて、また映画「BECK」に戻ります。ヒヨコお気に入りキャラ2位は桐谷健太扮する千葉。バンド「BECK」のラッパー。このキャラ造形が参考にしてるのは RAGE AGAINST THE MACHINE のフロントマン ZACK DE LA ROCHA です。さあヒヨコ、このバンドも YOU TUBE でチェックしよう。ZACK は千葉よりもっとアタマがモジャモジャだよ、アフロ通り越してドレッドだよ。ヒヨコにわかる表現で言えば「パイレーツオブカリビアン」のジャック・スパロウ風だよ。
●1992年デビューと RHCP に比べればかなり後発のバンドだけど、やっぱりロサンゼルス出身。崩壊気味のジャンキー家庭に育った RHCP のメンバーとチト違うのは、幼い頃から過激な政治思想と異文化闘争に触れて育ったことか?ZACK はメキシコ革命に関与した芸術家を父に持ち、ギタリスト TOM MORELLO はケニヤ独立の闘士~初代国連大使を父に持っている。バンド自身も過激な政治的主張を扇情的なラップとファンキーなリフロックで展開。
●2000年に一時解散する際にリリースされたこのカバーアルバムでは、人種越境的で反抗美学を漂わす選曲で実に興味深い。オールドスクールヒップホップと初期パンクを取り上げて、彼らのルーツを的確に示す姿勢がシビレル。AFRIKA BAMBAATAA、ERIC B & RAKIM、EPMD…。そして MC5、THE STOOGES、MINOR THREAT、DEVO…。しかも全てが重低音が実にビターなファンクに仕上がっててたまらんですわ。終盤に大胆解釈の THE ROLLING STONES「STREET FIGHTING MAN」と、BOB DYLAN「MAGGIE'S FARM」が…原曲と全然違うぞ。プロデューサーに RICK RUBIN が参加…RED HOT CHILI PEPPERS もこの20年くらいは彼がプロデュースしてる。

AUDIOSLAVE「OUT OF EXILE」

AUDIOSLAVE「OUT OF EXILE」2005年
ZACK DE LA ROCHA が脱退してフロントマン不在となった RAGE AGAINST THE MACHINE は、シアトルグランジの大御所 SOUNDGARDEN のボーカリスト CHRIS CORNELL を招いて新バンドへと改組する。それが AUDIOSLAVE。これは彼らのセカンドアルバムで、やっぱりプロデュースは RICK RUBINRAGE AGAINST THE MACHINE + SOUNDGARDEN というアイディア自体が RICK のプランだったらしい。あ、ご存知かと思いますが、RICK RUBINBEASTIE BOYS のファーストも手掛けた男。
SOUNDGARDEN 自体は好きなバンドだった…NIRVANA のブレイクで注目を集めたシアトルグランジのシーンの中でも独自のポジションを保持してた貫禄ある存在だった…。けど、音楽の性質としては、ワリと70年代ハードロックへの古典回帰復みたいな姿勢で、ヒップホップやファンクを貪欲に咀嚼した RAGE AGAINST THE MACHINE のスタイルとはあまり関係がナイのよね。攻撃的でキレのイイ ZACK のラップが、粘り気のあるハードロックボーカルに置き換わって…正直フツウになっちゃった。ボーカリストを除いてバンドメンバーはみな同じなのに、こんなにもフツウになっちゃうなんて。2007年に RAGE AGAINST THE MACHINE が再結成すると、ほぼ自動的にコチラのバンドは消滅してしまいました。

JANES ADDICTION「RITUAL DE LO HABITUAL」

JANE'S ADDICTION「RITUAL DE LO HABITUAL」1990年
●このバンドは RHCP とメンバーの交換関係があったのでピックアップしてみました。80年代後半、ロサンゼルスのシーンから登場した彼らは RHCP とも近い存在で、FLEA が彼らのアルバムに参加することも。そんでこのバンドのギタリストが RHCP に参加した時期もあったのです。
●実は RHCP からギタリスト JOHN FRUSCIANTE が脱退したのは今回が初めてではありません。1992~1999年の間、彼は麻薬中毒とうつ病で活動ができなくなっていました。その中継ぎ的存在として、このバンドのオリジナルギタリスト DAVE NAVARRO RHCP に参加。… DAVE 在籍時の RHCP は賛否両論…本人たちの中でも微妙な評価。DAVE 参加のアルバム「ONE HOT MINUTE」は実際異色の出来映えであります。ボクはワルイとは思わないけどね。
●このバンドは厳密にミクスチャーロックとは言いづらいかもしれない。スタイルの交配という観点ではそれほど意識的ではない。しかし確かに独特のグルーヴを備えており、90年代のオルタナティブロックを準備した存在、という言い方は間違っていない。90年代の重要野外フェス「LOLLAPALOOZA」を主宰したことでも有名。

FISHBONE「TRUTH AND SOUL」

FISHBONE「TRUTH AND SOUL」1988年
RED HOT CHILI PEPPERS と同世代/同郷ロサンゼルス出身のミクスチャーロックバンド。けど、ミクスチャーとはイイながら、彼らはヒップホップを自分の音楽に混ぜ込もうとはしてない…実はラップを大胆に組み込んだ先駆は RED HOT CHILI PEPPERSRAGE AGAINST THE MACHINE であって、その後定型化するラップメタルもこの2つのバンド以降のおハナシになります。FISHBONE を始め80年代に活躍したミクスチャースタイルは、スカやレゲエ、ソウル、ファンク、そしてパンクをうまく加工したモノが主流。特に FISHBONE はボーカリスト ANGELO MOORE 自身が黒人であって、全裸でサックスを吹き鳴らす様がとてもカッコイイのであります。
●このヘンの時代(というか80年代)には「黒人がロックする」というコト自体が奇妙に見えるという考え方があって、わざわざ「ブラックロック」なんて言葉があったりもしました… LIVING COLOUR がそんな範疇に組み込まれてて、BAD BRAINS「黒人なのにハードコアパンク」という実に不思議な扱いを受けてました。そんな時代に、白人コミュニティで育った ANGELO MOORE は自分の肌の色(黒人)と音楽的嗜好(白人)のギャップに苦しみアイデンティティクライシスに陥った時期もあったといいます。ロックは「白人が黒人から様々な音楽的エッセンスを搾取するフォーマット」という側面があって、実はその逆「黒人が白人のエッセンスを搾取する」構造にはなりません。ELVIS PRESLEY の時代から今日まで、その傾向は変わっていないと思います。

FAITH NO MORE「THE REAL THING」

FAITH NO MORE「THE REAL THING」1989年
●ボクの覚えている限りでは、イチバン最初のラップメタルとして一発ヒットを放ったのがこの連中。「EPIC」って曲ね。そんでその中途半端なアプローチでスグに消えた泡沫バンド。ラップといえばラップ?89年だからそう聴こえたのであって、今の水準じゃキツいです。この時期のフロントマンは MIKE PATTON。その後様々なユニットで奇天烈なパフォーマンスを繰り広げて話題になるボーカリスト。

LINKIN PARK「METEORA」

LINKIN PARK「METEORA」2003年
RHCP RATM から出発したヒップホップとロックのミクスチャーが、ラップメタルとして高度な洗練を果たした1つの頂点がこの作品ではないでしょうか?メチャハードなリフロックに、専属のターンテーブリストがスクラッチを施して、ボーカルとラッパーが交代でスリリングにマイクをリレーする。KORN、LIMP BIZKIT90~00年代ニューメタルの流れがココでカチッとした様式に結実した感じがします。この後に JAY-Z との歴史的コラボアルバム「COLLISION COURSE」2004年、そして音楽的頭脳 MIKE SHINODA のヒップホップユニット FORT MINOR「THE RISING SUN」2005年のリリースが続きます。あ、ちなみに LINKIN PARK南カリフォルニアの出身ね。


ファンク/ヒップホップとは別系統のミクスチャーロック。レゲエ。

SUBLIME「40OZ. TO FREEDOM」

SUBLIME「ROBBIN THE HOOD」

SUBLIME「40OZ. TO FREEDOM」1992年
SUBLIME「ROBBIN' THE HOOD」1994年
ミクスチャーロックの文脈の中で、SUBLIME は忘れちゃイケナイ存在ですね。やはり南カリフォルニア~ロングビーチエリアから生まれたバンドで、レゲエとパンクの様式を独自の解釈で結びつけた重要な存在です。西海岸のカラリと乾いた陽気を連想させるリズムのヌケの良さ、サーフカルチャーやスケーターカルチャーとの相性の良さが滲み出るレイドバックな気分。RHCP もスケーターから支持されてシーンから登場した気配がありますからそういう意味では同じ土壌から発生した音楽。いわゆるスカコアとはまた別のスタイルがココからスタートしています。ご注目あれ。
●しかし、メジャーデビュー盤「SUBLIME」1996年がリリースされる直前、バンドのフロントマン BRADLEY NOWELL ヘロインのオーバードーズで死んでしまうのです。うわー残念。今回ピックアップした音源はメジャー以前のインディ音源。グダグダしたロウファイぶりがなかなかにビターなので、メジャー盤を聴いてもらってからコチラに入った方が無難な気がします…気合いの入ったパンク魂をお持ちの方はどうぞコチラから。

long beach dub allstars「wonders of the world」

LONG BEACH DUB ALLSTARS「WONDERS OF THE WORLD」2001年
●さて、重要人物をドラッグで失った SUBLIME のメンバーはその後どうしたか?地元ロングビーチエリアのミュージシャンを集めて新バンドを結成。これまた爽やかなレイドバックチューンを、WILL.I.AM をゲストに招いて発表したりしています。このスタイルの音楽は、SLIGHTLY STOOPID といったバンドもプレイしてます…そちらもチェックを。


●関連動画。




●RED HOT CHILI PEPPERS「THE ADVENTURE OF RAIN DANCE MAGGIE」
●夕刻のベニスビーチがイイ感じ。



●RAGE AGAINST THE MACHINE「RENEGADES OF FUNK」
●黒人文化史の偉人の名前が目一杯出てきます。ココに登場する固有名詞は全部ベンキョウしましょう。



●FISHBONE「FREDDIE'S DEAD」
●実は CURTIS MAYFIELD のカバーです。



●SUBLIME「WHAT I GOT」
●西海岸のワルガキどもの、ホノボノライフです。



●LONG BEACH DUB ALLSTARS「SUNNY HOURS FEAT. WILL.I.AM」
●西海岸のワルガキどもの、ホノボノライフ、その2です。



●RED HOT CHILI PEPPERS「WARPED」
●JANE'S ADDICTION のギタリスト DAVE NAVARRO 在籍時の RHCP のシングルです。異色なのは分かると思いますが、ダメってホドでもないでしょ?ただし、なぜか化粧が濃くなってるんだな。そこがキモイ。

●いつのまにか、ブログのカウンターが20万を超えておりました。ビックリ。
●何のコンテンツにも情報にもならない文字の羅列なのに。


●うーん。チビチビと、安定剤や睡眠薬の分量を調節しようとしてます…が、上手くいってません。
●気力/体調ともに、実に不安定。


「コクリコ坂から」を見ました。
●先週で公開はおしまい、そこに駆け込むように劇場へ足を運びました。新宿バルト9では実にディープなレイトショー、23時55分スタートでタクシー帰り前提。コドモが観るのを望まなかったので、ボク一人がこんな時間の映画館で1人っきりジブリを観るハメになった…映画館ではお客はたったの5人、贅沢なセミ貸し切り状態になったのでした。

「コクリコ坂から」

●知人の評価が最低だったので、どんだけヒドいか?と思ってたけど、まー普通に楽しみました。
●凛とした女の子が、下宿の家事を一手に切り盛りしてて、颯爽と学校に通ってて、海で亡くした父親のことを常に慕ってて、好意をよせた男の先輩にハッキリと気持ちを伝える。なんかとっても単純明快だぞ。全部が直球じゃないか。ストレート過ぎるぞ。1963年の横浜はこんなにもシンプルだったのか?……いやいやそうじゃない、2011年のボクらの生活がメンドクサすぎるのだ。原発までが爆発しちゃう時代だ。そのヤヤコシさをジブリは批判しようとしてるのだ。
●主人公の少女・海ちゃんはキチンとしまくってる。健全過ぎる。非の打ち所がない。朝目を覚まして、フトンたたんで身支度して髪の毛を三つ編みにして。その身のコナシだけで、意志の強さが伝わるわ。彼女の強さの根拠は、おいしいゴハン。このコは毎日おいしい料理をテキパキ作ってる。その目的は実にシンプル。日々の生活をしっかり生きるコト。その原則に忠実だからこそ、健全になれるんだよなー。お釜でゴハンたいて目玉焼きたくさん焼いて、下宿のみんなで「イタダキマス」する。買い物も洗濯もお金のやりくりも彼女の仕事。そこから制服に着替えて高校へ歩いていく。
●彼女の高校の講堂が取壊しの危機に直面している。この講堂のあだ名が「カルチェラタン」「千と千尋」の湯屋や「ハウル」の動く城に匹敵するような、ユカイな空間。今回のジブリはココが描きたいんだ!ってのが伝わってくる。秘密基地のように魅力的な文化系の部室が数々ひしめき合う魔窟。海ちゃんが暮らす女性だらけの下宿と違って、ココは生活から少し遊離した男の子の世界。太陽の黒点を必死に観測したり、実存主義やニーチェの哲学について思索したり。学園紛争まではイカナイ、ほどよい湯加減もちょっと牧歌的。
「コクリコ坂から」は結局、しっかりファンタジーになってる。魔法もオバケも小人も王蟲も出てこない。けど、現実感が薄まるほど健全過ぎる女の子が、男の子の夢想空間と出会うという意味でファンタジーになってる。1963年はもう半世紀も昔の大過去で、ノスタルジーも感じない。かろうじて山下公園と氷川丸、マリンタワー(1961年開館)がチラリと見えるから横浜だって感じるけど、それがなければ外国だと思うかも。そして、別にとりたてて面白がる程のスジもない。気持ちのイイ人たちが、(物質的には貧しくとも)シンプルで気持ちのイイ暮らしをシッカリ生きている。そして、今の日本には、ソレが実に大切なことだった、という今さらながらのメッセージになる。


実は、映画をもう一本観た。「モテキ」。
●1人でレイトショー23時55分スタート、じゃサスガに時間が余るでしょ。だからその前にもう一本映画を観てたんです。一日に二本立て続けに観るって、大昔の「二本同時上映」以来初めてじゃないかな。しかしこの「モテキ」、「コクリコ坂」の正反対の映画だったな。

映画「モテキ」

現代日本は、なんでこんなにクソみたいに記号と情報が溢れて、ヤヤコシイことばかりになってるんだろう!
●ボクはコレ、身悶えしながら観ました。主人公・フジがまるで自分のコトのように思えて…。彼の部屋が大量のマンガとCD/レコードに囲まれてて、そんで下北沢の街の風景がたくさん出てきて。登場人物の全員が iPhone いじってて、twitter のポロンという着信音が何回も響いて。そんでメガネで。これじゃボクの生活そのまんまじゃないか!(あんなにカワイイ女子たちとは無縁ですけど)
●しかも、画面から滲み出てくる主人公のサブカル人生遍歴がめちゃめちゃシンクロして。枕元にある「まんが道」愛蔵版とか。床に落ちてる日本橋ヨヲコ単行本とか。ネットで鑑賞するももいろクローバーZとか。突然 Perfume が登場する本気のダンスパフォーマンスとか。そしてそのラストカットが BJORK「IT'S SO QUIET」のMV演出(スパイク・ジョンズ監督)のパクリになってるとか。飲み屋のカベに本多劇場系列のスケジュールが貼ってあるとか。毛皮族の江本純子さんの芝居のビラも貼ってあるとか。主人公が泥酔するカラオケ館の一階ファーストキッチンには一時期毎日ボクは通ってコーヒー飲んでたとか。ディスクユニオンのバッグとか。ナタリーとか。DOMMUNE とか。スターバックスとか。バックステージパスとか。FISHMANS とか岡村靖幸とか在日ファンクとか TOKYO NO.1 SOULSET とかが普通にBGMやライブシーンに登場するとか。曽我部恵一バンドとか。ピエール瀧とか。TM NETWORK「セルフコントロール」が実はキライじゃないとか。なぜか下北沢駅前ガード下で水中、それは苦しいジョニー大蔵大臣がアコギ片手に「安めぐみのテーマ」を絶叫してるとか。「神聖かまってちゃんもちゃんと YOU TUBE でチェックするから~(号泣)」とか。憎き恋敵の部屋に飾ってある JACKSON BROWNE のファーストアルバムとか(ちょうど先月400円でLPを買ったトコロだったよ)。エンドテーマが「今夜はブギーバック(SMOOTH RAP)」とか。もうカンベンしてくれーボクの過去をホジクリ返すようなコトはヤメてくれー。
●で、深く反省するのです。主人公もボクもアホみたいにこんな情報と日々戯れてるから、女の子に決定打カマせないのだよーと。勝手に情報や記号をかき集めて勝手に人生ヤヤコシくコジラセてしまっている!実に愚かだ。なんであんなにカワイイ子のオッパイに手を置いてナニもできないのかー!なんであんな愚かな言葉を彼女に浴びせてしまうのかー!身悶えしながら観てた。実は精神安定剤を途中で飲みながら観てた。確かに爆笑映画なのだが、自分を爆笑してるような気分になってくる。自嘲映画だわコレじゃ。
●つーか、この映画観にくるヤツで、主人公・フジを普通に他人として笑える人間はいるのだろうか?レイトショーニ本観終わって家に帰って、ワイフに「ホントにボクと結婚してくれてどうもありがとう」って言ってしまったよ。…即座に「まだ安心してイイ段階かなんてワカラナイわよ」って即座に返されましたけど。

久保ミツロウ「アゲイン」

久保ミツロウ「アゲイン」1巻
●映画「モテキ」が大驀進中の久保ミツロウが新作をドロップ。暗黒の高校三年間を終え卒業式を迎えた主人公が、タイムスリップで高校入学式にワープ&高校生活最初から再スタート。かつて気になってた応援団の女子団長を巡って、彼の青春が変わり始める…。もしかしたらイイ感じの青春をゲットしちゃうかも?
高校3年間が終わって、その瞬間からまたやり直し、なんて個人的にはムリです!またやるの?もう一回なんてとてもムリ!未来を知ってるから上手くやりこなすとか考えられない。神様がやってきて「過去のどのタイミングにでも連れて行ってあげるから、やり直しなさい」と言っても「スイマセン、ムリです。どの場面もギリギリでしのいできたんです、もう一回だなんてホントにカンベンして下さい」とボクは返してしまうだろう。悔いはイッパイあります、でも、なんとか「まだマシ」なトコロで止まってるんです。もっとヒドいコトになってた可能性の方が高い。やり直しなんて考えられません。



1人でモンモンと考え事してると、あまりヨクない気分になるので。
今日は家に帰ってきて、夕食終わりの食器洗いをしました。
●ワイフがビックリしてる……普段のボクは全然家事を手伝ったりしないから。

ボクはボクで、普段は近づかないキッチンで新しい発見をする。
●牛乳パックを開いて乾かしたもの20枚以上が輪ゴムで束ねてある。ナニに使うのコレ?「小学校に持っていくのよ。ベルマークがついてるの」ベルマークってまだあるんだ…。
●あれ、このまな板は…大学時代の親友カズの結婚式でもらった引き出物だよね?「スゴく長く使わせてもらってるわよー」あー彼とも長く会ってない…。随分不義理をしてしまってるねー。また自己嫌悪。



「時をかける少女」、3本いっぺんに見ました。

大林宣彦カントク版「時をかける少女」

大林宣彦カントク版「時をかける少女」1983年
「時間旅行パラドックスもの」でコドモを楽しませようと思ったワイフがレンタルしてきた物件。筒井康隆原作、大林宣彦監督「尾道3部作」原田知世デビュー、というポイントも含めて見どころあるだろー、安心してコドモに見せられるしねー、なんて思いながら、ボクら夫婦にとっても懐かしのこの映画を見てみた。
●しかし!サスガに80年代の時代感覚は21世紀少年少女たちにはキビシいらしい。尾道の情緒溢れ過ぎるロケーションが、東京暮らしのコドモたちには江戸時代や明治時代くらい遠い世界に感じられたようで、途中でニンテンドーDSをやり出す始末。しかしある意味しょうがない。ストーリー展開が遅過ぎて、本編スタート30分経過しても、ドキドキする場面が現れない。……後半はコドモたちもキチンとストーリーに食い込めたけどね。尾美としのりさんの存在感が奇妙な磁力を帯びていて、イイ感じ。当時17歳の原田知世さんも可憐…実はボク昔からショートカットのオンナノコがタイプなもので……。
●地図帳で尾道の場所を指差してコドモたちに解説する。この映画監督さんは、この街で3本の映画を撮った。そのうちの一本は、男の子と女の子のココロが入れ替わっちゃうおハナシだ。「えー!そのDVD借りてきて!」ヒヨコさっそく食いつく…80年代映画のスローペースにツイテいけないクセして。ノマドはどうする?大好きなアスちゃんとココロが入れ替わっちゃったら?「マジ?(真剣に悩んだ上で)…しばらく学校休む」でも見た目がアスちゃんになってるからウチには帰って来れないぞ、アスちゃんチで休めよ。「えー!じゃあ家出する!」

細田守カントク版「時をかける少女」

細田守カントク版「時をかける少女」2006年
●さてさて、21世紀アニメ版「時かけ」「サマーウォーズ」細田守監督&マッドハウス。テンポが速い。本編開始9分でド派手にタイムリープ。おしとやかな原田知世と違って、主人公のマコトちゃんは跳ねたり飛んだり泣きわめいたりと、少年のような活発さで実にチャーミング。オンナノコの描かれ方は80年代と00年代じゃこうもチガウのね。コドモ二匹はハートをガッツリワシ掴まれました。ヒヨコ、リビングでぴょんぴょんジャンプしてタイムリープの練習してたもんね。
「よかった、オマエがバカで。タイムリープを悪事に使われたら大変だった」的なセリフがある。息子に聞く。ノマドならこの能力をどんな悪事に使う?ノマド小学4年生「宝くじ!アタリ番号を調べて過去に行く!あと競馬!レースの結果を調べる!高校生クイズで全問正解を覚えて優勝!」おまえ瞬間的に思いつくのねワルイなー悪事に使えるなーダメだね時間旅行の資格ナシ。ヒヨコ小学3年生「んーんー!えーとえーとえーとえーと、プリン100回たべる!100回ねぼうする!100回ディズニーランドいく!」ヒヨコはバカだねー時間旅行の資格アリかもね。

谷口正晃カントク版「時をかける少女」

谷口正晃カントク版「時をかける少女」2010年
細田守カントク版「時かけ」で、主人公マコトの声を担当した仲里依紗が主演女優としてこの作品に再挑戦。今回の主人公は、大林版の主人公の娘にあたる設定。自分の母親の代わりにタイムリープ、1970年代に旅立つ。よく動く仲里依紗さんの表情が実にチャーミングで。かつて原田知世さんが演じた「芳山和子」は安田成美さんが、尾美としのりさんが演じた「ゴロウちゃん」は勝村政信さんが担当。全員がイイ感じに歳をとっております。70年代に生きる若者を中尾明慶青木崇高が好演。
●チョイ役で柄本時生という若い俳優さんが出てる。この人、ドラマ「Q10」でも見かけた。実は柄本明さんの息子さん。柄本さんは下北沢界隈に在住&出没する上に「妖怪人間ベム」にも出演しているから、コドモからも注目の的。「エモトさん!」とヒヨコも夢中です。



原田知世さんカンケイで音楽。

松任谷由実「VOYAGER」

松任谷由実「VOYAGER」1983年
大林版「時をかける少女」DVDには、原田知世さんによる主題歌「時をかける少女」、それと「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」2曲のクリップが収録されてる。二つともユーミンの提供楽曲ね。17歳の知世さん、ぶっちゃけウタ下手。か細いウィスパーボーカルを味として飲み込めというのか…これはサスガにキツいなあ…コレで成立するのか80年代アイドルポップスは?AKB48 の方がずっとマシ?
●つーことで、ユーミン本人による「時をかける少女」を聴こうと思ってアナログを引っ張り出す。コレ下北沢レコファンで200円で買った。ユーミンが優れたボーカリストだと思ったコトは今までなかったけど、原田知世バージョンと聴き比べると大幅に安心できる。ユーミン本人も自分で歌っておかないと安心できなかったんじゃなかろうか。ちなみに2010年版はいきものがかりが担当、実直なジェイポップでちゃんと今どき感覚。一番よいと思った。「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」ユーミンご本人の安心バージョンが聴けてやっと気持ちが落ち着いた。
ユーミンには「VOYAGER~日付のない墓標」というシングルもある。小松左京原作のSF映画「さよならジュピター」1984年の主題歌。ボクにとっては「時かけ」よりもコチラこそがリアルタイム体験で、小説も読んだし映画も見に行った。地球に接近するブラックホールを、木星を爆破するコトで軌道修正させようと挑むお話。あの頃のボクは小松左京が好きだったのかな…「日本沈没」「復活の日」「首都消失」とかをよく読んでた。しかしナゼかアルバム「VOYAGER」にはこの曲収録されてません。ガッカリ…それが聴きたくてコレ買ったのに。今回の「時かけ」で初めて意味が出来ました。
●ちなみに。ジャケの中で泳ぐ赤い水着の女性は、ユーミンご本人。内ジャケ見るとネタばらしがある。ユーミンの水着なんてレアだよね。

松任谷由実「スユアの波」

松任谷由実「スユアの波」1997年
●時代はグッと下った90年代後半。このアルバムに「時をかける少女」に関係ある曲が収録されてる。「時のカンツォーネ」「時をかける少女」のリリックをほぼそのまま流用しつつも、完全に別のメロディに乗っけた楽曲。「時をかける少女~愛は輝く舟~過去も未来も星座も超えるから抱きとめて」この有名なサビの詞はそのまんま。しかし楽曲/メロディが全く違うので、非常にモドカしい気分になる。

原田知世「撫子純情」

原田知世「撫子純情」1984年
原田知世さん本人のアルバムも聴いてみた。「なでしこ」って漢字で書くと「撫子」っていうんだ…。坂本龍一プロデュース、詞曲提供に大貫妙子、白井貴子、来生えつこ、康珍化、などなど80年代の才能がドコドコ投下されてます。でも100円くらいで買えました。値段に釣り合うかのように、内容は…やっぱキツいです。
●重要シングル曲は「天国にいちばん近い島」。もちろん彼女の主演で制作された同名映画の主題歌。そんで大林宣彦監督作品です。ニューカレドニアです。…でも見てない…オモシロくなさそう。主題歌聴いてもボク的にはピンと来ない。裏返せば、当時はホントに彼女本人のパワーが重く評価されてて、そのパワーに乗っかった映画や音楽がメチャメチャ量産されたっつーコトですかね。AKB48 ならナンデモアリ的な今の気分と同じで。

松任谷由実「SURF  SNOW」

松任谷由実「SURF & SNOW」1980年
●さて、またまたユーミンです。原田知世さんを考えるのにあたっては、「尾道3部作」「時かけ」だけでは足りません。「ホイチョイ3部作」「私をスキーに連れてって」1987年&「彼女が水着に着替えたら」1989年もとても重要です。時代はバブル!トレンディなリゾートへゴー!サーフ&スノー!ってワケです。この後起こった空前のスキーブームで、大のスポーツ嫌いのボクですらマイスキーを購入してしまったほどですよ。この時期の知世さんは成人して髪の毛もロングヘア。
●でもこのアルバム自体のリリースは、映画の公開年に比べて大分先行してて1980年。「時かけ」よりも原田知世さんのデビューよりも早い時代。アルバム収録曲「恋人はサンタクロース」はバブル崩壊後もスキー場ではヘビロテだったので(今でもそうなのかな?)、90年代なイメージすら感じるんだけど、ホントは古い曲なんですね。
ユーミンサーフィンとスキーへの思い入れは本当に大きなモノのようで、彼女は今でも苗場プリンスホテル「SURF & SNOW」というシリーズイベントを仕掛けてるし、一時期までは逗子マリーナでも同じようなコンセプトのショーを展開していました。わざわざリゾート地でステージを企画するなんて当時としてはかなりエッジーなコンセプトだったと思われます。前述の「スユアの波」もジャケに写ってるのはサーフボードですしね。70年代後期のアダルトオリエンテッドロック~リゾートロックの気分が伝播して、こういう表現に着地したのかな…。結果的には、甘くレイドバックしたポップ感覚がほどよくレトロで、居心地のよいカフェのような優しさで耳にフィットします。

サヨナラCOLOR~映画のためのうたと音楽~

ハナレグミ、クラムボン、ナタリーワイズ「サヨナラCOLOR ~映画のためのうたと音楽~」2005年
●これも原田知世さんの印象的な仕事。竹中直人さん監督・脚本・主演映画「サヨナラCOLOR」で、彼女はガンに冒されたヒロインを演じています。キレイな海が見えるロケーション…そんな海岸で原田さんが竹中さんと一緒にオシッコするシーンがあるんです…スゴくドキッとした…文字で書くとドン引きするかもしれませんけど、ソレが美しく見えてしまうほどロマンチックなのです。
●ご存知、SUPER BUTTER DOG(永積タカシ=ハナレグミ)の同名曲からインスパイアされたのがこの映画。このサントラでは、ハナレグミ人脈として、クラムボン、ナタリーワイズBIKKE、高野寛など)が結集してキラキラしたトラックを共作しております。スチャダラパーのラップから、竹中直人さんの口笛、原田知世さん本人のコーラスまで収録。実にチルアウト。そんで再録「サヨナラCOLOR」には故・忌野清志郎さんが参加。この翌年に清志郎さんはがん発症を発表する。「サヨナラからはじまることがたくさんあるんだよ」

竹中直人「竹中直人のオレンジ気分」

竹中直人「竹中直人のオレンジ気分」2011年
原田知世さんとカンケイないけど、もう一枚。竹中直人さんが今年リリースしたカバーアルバムにも「サヨナラCLOR」が収録されてます。竹中さん本人のボーカルを脇で支えているのは、ハナレグミクラムボン原田郁子さんたち。スチャダラパーも参加。世を去った忌野清志郎さんを意識したのか、RCサクセションの楽曲を3つもカバー。まるで「サヨナラCOLOR」サントラの続編のようなアルバム。フィッシュマンズのカバーも感動的。


●関連動画。



●原田知世「時をかける少女」
●大分ヤバいでしょ、このボーカルの不安定加減。しかしウタは下手でもカワイイ。それはマチガイナイ。



●いきものがかり「時をかける少女」
●娘ヒヨコがリピートしまくってる。このバージョンが一番安心する。一番立派に歌えてるよ。



●松任谷由実「恋人はサンタクロース」
●「わたしをスキーに連れていって」…たかがスキーに恥ずかしいほどハシャギまくってる…コレがバブル。
●アルバムを通して聴くとイイ感じなんですよ。この曲が少し違和感を作っちゃってるけど、それはユーミンのせいじゃないし。



●ハナレグミ&忌野清志郎「サヨナラCOLOR」
●こりゃ、神がかってる。



●竹中直人「いい事ばかりはありゃしない」
●RCサクセションのカバー。「カネが欲しくて働いて眠るだけ。」