●今日の仕事の打合せで。
「弊社の技術チームがインドなんで、12月は早く終わっちゃうんです」
●えーと、アメリカ系外資さんとは思ってましたけど、技術部門はインドなんですかー。
●で、インドだけど、クリスマスのお休みはしっかり取るんですねー。
●インドに、クリスマスってあるんですねー。
●ま、旧正月って雰囲気でもない気がするし、そういうもんかー。
●という違和感を全部口には出さずに飲み込んでしまって。
「なるほど。それでは速やかに資料のご用意と契約書の準備に入らせてもらいます」
●と即答するボク。…ここ、もっとトーク膨らませた方がよかったかな?


●別の外資さんとの会話では。
「現場担当者ですか…実はその部門はハンガリーにアウトソーシングしてるもんでして」
●アメリカと日本とハンガリーで地球を三分割して業務を行っているそうで。
●ハンガリーじゃなあ…。問い合わせのしようがないや。


●さらに別の外資さん、日本法人の執行役員の方が大きな声で。
「はい!その点においては我が社にはオプティマイゼーションのスキルが蓄積されてますので、どうぞご利用いただきたい!」
●はーそうですかー!それはよかったです!と元気よく切り返しながら、ボクは横目で必死にスマホ検索。オプティマイゼーションってナニ?ん?最適化?微妙に文脈がわからない!


●急成長してる韓国系企業の幹部さんと会話した時には。
「ん?勘違いなさってるかもしれませんが、ウチは社内の風通しは全然良くないですよ。新規事業は完全にトップダウンで部下や周囲の意見は聞きませんし、一般社員がぬるま湯に浸らぬようにワザとイジメを流行らせてます」
●冗談なのか、本気なのか全然わかんない。超温厚な人なのに!
●別の場面でこの会社と打合せした時には、韓国の人がやってきた。この人がビックリするほど上品!日本人の方がエゲツナイ感じがする。


●知人N氏が先日上海出張に行ってきた。「空気がキタナい街でしたね!」
●重機などの建築機材レンタルが猛烈にダブついて、現地法人が火の車。
●公共工事や不動産投資ラッシュがいきなり後退してる上に、中国企業の不払いでもうグチャグチャ。日本人社員が疲弊しまくってたそうな。「日本から突然来てオマエらなんで上から目線なんだ!とおしぼりカオにぶつけられましたよ。尖閣諸島反日モードに気をつけろと言われてたのに、日本人が一番野蛮でしたよ」


●今年から異動で部署が変わってから、ホントにお付合いする人のタイプが変わった。
●マジで毎日ヘトヘトなんですけど。
●クスリも増えますよ。


●そんな夜に聴いてるのは。

TANK「SEX, LOVE  PAIN」

TANK「SEX, LOVE & PAIN」2007年
見事なアーバンR&B。ミディアムスローでオーソドックスなスタイルの安定感と、その中で声がノビノビと広がっていく。迸る水気と色気でもうビシャビシャ。日々の仕事で一滴残らずアタマを絞りきってしまったボクのカラカラな神経をザブザブとモイスチャリングしてくれる。ジャケのマッチョ感覚とはウラハラの繊細な歌唱が優しく作用する。はー。癒される。
●シンガーだけじゃなく、ソングライターやプロデューサーの顔も持つこの男 TANK。サードアルバムにして、全米3位を達成した彼の出世作。下積みの裏方仕事が多かったみたい。キャリアのキッカケはシンガー GINUWINE のバックコーラスとしてツアーを回った事とのことで、その筋に由来するのか GINUWINE と縁深いトッププロデューサー TIMBALAND がアルバムの最後に1曲だけ参加し、お得意のフューチャーファンクなリミックスを提供している。この未来派っぷりは TIMBALAND のノーマルな仕事であり昨今のアーバンシーンの標準規格なんだけど、このアルバム全体があまりにオーセンティックすぎて TIMBALAND が浮き立ち過ぎちゃってる。そのくらい保守本道。R&Bプロデューサーとしてはテッパンのチーム THE UNDERDOGS も本作に参加。クレジットをよく見るとやはり TIMBALAND 〜 MISSY ELLIOTT 筋(ていうか、筋ってなんだよ)の女性シンガー KERI HILSON の名前も。彼女も注目のアーティストですね。
●しかし、このジャケがイイわ。黒い肉体を誇示するポーズ。クビ太い!ウデ太い!手首には時計!半裸でも時計は外さない!で実はとっても繊細なんですよ。生粋のオリエンタルで、辛気くさい黄色い肌とヨタヨタのボティしか持ってないボクには、永久にアイデンティファイしようのない美学。最近ネットで「DARK SKIN」とか「DARK GIRL」って言葉がボクの中で目立ってて。アメリカ黒人の人たちが自分のアイデンティティを誇っている言葉みたい(そうじゃなかったらどうしよう…間違ってたらゴメンナサイ)。彼の肌は華麗なダークスキンだな。彼の声はまるで墨汁だわ。迸ってるわ。

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●下北沢の一番街商店街に。

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●この「NEW YORK JOE」という古着屋さんがあるんです。
●元々はおフロ屋さんだった場所で。たぶん「入浴場」=「NEW YORK JOE」ってことかな。お店の中にも銭湯の名残があります…床を見ると、どこが女湯でどこが男湯で、どこが湯船だったかもわかるほど。とても盛況の模様で、土曜日の1200時直前、ボクがヨガ教室に向かうために自転車でこのお店の前を通ると、オシャレな男女がオープンを待って行列を作っています。ボクはあまり買い物をしたことないんだけど…今度ちゃんと見に行こうかな。

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●そのお隣にレコードショップ「オトノマド」があるんです。
●オシャレな内観が気になるお店。でも、あまり買い物するコトはなかった…一回くらいかなーここでの買い物は。しかし今週のヨガ教室からの帰り道。珍しい事にこのお店がCD一枚100円セールをやってまして。6枚買ってしまった。600円なり。ブツとしてはホントにボロボロでしたけど。


●今日はそんな激安価格で我が家にやってきたCDを聴いていたのです。

DR ROBERT「BETHESDA」

DR ROBERT「BETHESDA PART ONE」1995年
●80年代に活躍したイギリスのバンド THE BLOW MONKEYS の中心人物 DR ROBERT のソロアルバム2枚目。THE BLOW MONKEYS はまだちゃんと聴いてなくって、ファーストアルバムしか持ってないんだけど、JAZZ や SOUL のエッセンスをネオモッズ的美学でキチンと消化した見事なバンドという印象を持ってます。ちょうど同じ時期の THE STYLE COUNCIL と同じように。
●アイドル的容姿も含めて話題を振りまいたキラビやかな80年代を駆け抜けて、バンドは1990年に解散。家族とともに田舎に引っ込んだ DR ROBERT は4年間沈黙。やっとソロ活動を開始して鳴らした音楽は実に地味でフォーキーな内容になった。この2枚目のアルバムタイトル「BETHESDA」ってのは彼の個人スタジオがあるウェールズの地名。そこでアコースティックなサウンドを模索し始めたのだ。CDの帯コメは「究極の”なごみ”。時代の要望に応えて究極のフォーキーソウルだ」。温もりを感じさせるソウルの湿り気、彼のボーカルとオルガンアレンジが甘くて、疲れた神経をリラックスさせてくれる。時期的には90年代半ば。ソロになった PAUL WELLER「STANLEY ROAD」で最前線に復帰したのとシンクロしているように思えるし、ORANGE JUICE EDWIN COLLINS も1994年にソロを出してたのすらも同世代のシンクロした動きのように思えてきた。
●クレジットを見ると、1曲のゲストとして MICK TALBOT STEVE WHITE が参加してる。この二人、完全に THE STYLE COUNCILそのものじゃん。メインのレコーディングではドラムに ALAN WHITE 。つまり OASIS のニ代目ドラマー。しかも今初めて知ったんだけど、STEVE WHITEALAN WHITE は実の兄弟!このアルバムがリリースされた年に、PAUL WELLER の推薦で ALAN OASIS に加入する。オレのダチの弟なかなかやるぜ?80年代から90年代、わりと人脈がキチンと繋がってるのね。

TOM PETTY「FULL MOON FEVER」

TOM PETTY「FULL MOON FEVER」1989年
●今年の5月頃にこの人が気になってブログにも彼のバンド THE HEARTBREAKERS のコトを書きました(その記事はコチラ)。それからチョコチョコと気になってまして。ホントは直球で好きなジャンルの音楽じゃないんだけど、どうしてもヒッカカルものがある。実はソロ名義一枚目のこの作品では、一曲目の「FREE FALLIN'」がとっても好きで。アメリカ旅行行った時の MTV やネット動画で最初に知ったのかな?その後、韓国のヒップホップでこの曲をざっくり大ネタ使いしている曲を見つけ、その斬新な解釈に感動し、そんでこの曲がより好きになった。今回ちゃんと歌詞も眺めてみた。「FREE FALLIN'」は単純に自由落下なウタじゃなくて、ダメオトコの堕落のウタズルズルのダメさ加減を引きずる哀愁が、TOM PETTY のチンピラめいた風貌によく似合う。イギリス人の DR ROBERT と比べちゃうと、広がる心象風景のササクレ加減が違う。TOM PETTY の世界はカラカラに乾いてしまっていて、その地面のひび割れから音が鳴ってる。
●このアルバム制作の打合せをするために、TOM がプロデューサー愛 JEFF LYNNE(元 ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA)の自宅を訪ねたら、そこに ROY ORBISON GEORGE HARRISON がやってきた、というのが覆面スーパーユニット TRAVELLING WILBURYS 結成のキッカケになったという。その縁もあって、この「FULL MOON FEVER」にも GEORGE HARRISONROY ORBISON が参加しているという。TRAVELLING WILBURYS のアルバムも買わないとダメだなー。実はすでに500円で売ってる中古屋さんまでは見つけているんだよなー。




森山大道+荒木経惟「森山・新宿・荒木」

木曜日の夜は、新宿のバーで飲む。
●バーにあった、森山大道+荒木経惟「森山・新宿・荒木」がよかった…。
新宿。ワイルドサイドを歩け。

Daido Moriyama From Shinjuku



「メディアダーク」という言葉があるという。
●電話すら持ってない生活をしている人が、世界人口の30〜40%を占めている。

「マダガラ女子」という言葉があるという。
「まだガラケーを使っている女子」の意味。保守反動。余計なお世話な気もするけど。スマホ普及のスピードは確かにスゴくてボクの部署の仕事を一変させつつある。そんでボクも Android 携帯をゲットした。これで iPhone との二刀流。まだ全然イジってないので面白がれるのはこれから。むしろ設定がウザくて、ガラケーの方がマシ!と何度か思ったのも事実。

「つながり疲れ」という言葉があるという。
●ソーシャルにみんな気を使い過ぎ。同僚が「ソーシャルは露出狂と覗き見趣味の集まりだ」と吹聴してた。疲れたら黙ればイイ。ボクがブログをほったらかしてるのは、マジで忙しくて疲れてるダケだけど。

下北沢で、「B&B」という本屋さんを見つけた。
「BOOK & BEER」の意らしい。夜はビールが飲めて、作家さんを招いたトークイベントがちょいちょいあるという。雑誌「広告」の編集長を務めた博報堂ケトル嶋浩一郎さんが作ったお店らしい。

代々木八幡には、「R&B」という古本屋さんがある。
●コチラは「RYTHEM & BOOKS」という意味らしい。CDの取り扱いもちょっとある。MURO さんの ディープファンクなMIX-CDがいっぱい。白土三平の60年代のマンガを買ったよ。

「イヤミス」という言葉があるという。
「いやな気分になるミステリー」の略。湊かなえさんとか。ワイフのママ友が文庫本の貸借りをしてる。ボクもこの前「贖罪」を読んだ。湊かなえ作品は「告白」「少女」と合わせてコレで3冊目。

ドイツゲームというジャンル、「人狼ゲーム」というゲームがある。
●10枚程度のカードだけを使い、10人弱の人間が生身でトークを交わしながら進行するゲーム。「村人」の中に「人狼」が混じっている。人狼を見つけ出してリンチにかけろ!村の合議で毎日ダレカが殺される。人狼は嘘流言を用いて自分がリンチに合わないように立ち回り、人狼に認められた権限でさらに毎晩ダレカを殺すことができる。ドキドキする!と楽しく思ったら、一番最初にボクがリンチで殺された。

人間ドックで居眠りした。
●腹部の超音波エコー検査。冷たいジェルをお腹にヌリヌリされるヤツ。腹式呼吸で、すってーはいてー、の繰り返し。ナースさんの心地よい発音と、呼吸のリズムがあまりに心地よくて爆睡した。ナースさんスゴくビックリしてた。「起きてください!眠っちゃ困ります!」

先日は今の部署の管理職の皆さんと新橋飲み。
●夜11時から朝5時まで飲んだね。ボクはウーロンハイ一杯だけ。でも3人の昭和のオジサンたちはハイボールをいっぺんに二杯づつ注文してガブガブ飲む。お勘定が心配なのでカウントしてたけど、50杯を超えたトコロでボクもワケ分からなくなった。で結局、お勘定が10000円ピッタンコ。マジで!安過ぎるよ!オニイさん絶対間違えてるよ!「大丈夫です、ウチ安いんです。ハイボール一杯100円ですから」うわ、いろはすと変わんないのかこのハイボール。

そんな愛すべき先輩が、とっても楽しいSFファン。
「宇宙空母ギャラクティカ」の話で盛り上がった!70年代のアメリカのテレビドラマシリーズで、ボクの記憶では日テレの日曜日朝5時台に放送されてたのです確か。めっちゃ早起きして見てたね当時はビデオなかったし。「ギャラクティカ」の続編やリメイク版があると教えてもらった。当時のヤツを今DVDで見てみたいなあ。

「宇宙空母ギャラクティカ」


70年代のハードSFといえば。「星を継ぐもの」シリーズを読んだ。

JPホーガン「星を継ぐもの」

JPホーガン「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」
月面で宇宙服を来た人間の死体が発見された…なんとその死体は死後5万年経過していた!そんなナゾから出発して地球外文明との接触と交流が描かれていく。星野之宣さんが手掛けたマンガ化作品の一巻を読み、たまらずその続き知りたさに原作シリーズ3部作を一気読み。ハードSFという触れ込みは、その物語の下敷きになる科学的根拠に目一杯分量を割くという意味のよう。音楽で言うトコロのハードコアという言葉の持つイメージだと、とかく表現が過激だと連想しがちだけど、実は違う。むしろすごくポジティヴで健全。ソコがこの作品の興味深いポイント。
●ボクがこの本を読んだのは実は去年で、まだ震災モードが薄らいでいない頃。70年代に描かれたこの小説には、人類が無尽蔵のエネルギーを開発して(原子力じゃないみたいなんだけどね)全世界の貧困問題や政治問題を全て解決して、単一政府による穏当な統治と科学文明の豊かな恩恵を前提に、全ての英知が宇宙開発の最前線に注がれてる世界が描かれている。アポロ計画が成功して宇宙が新しいフロンティアとして注目された時代が見ていた夢ってこんなコトかと思ったものだ。科学発展がそのまま人類の明るい繁栄を約束するという発想は、震災モード/反原発モードの中ではマヌケ寸前に見えるほど楽天的に思えた。
●ただし、作者は当然大マジメなのだ。ジックリジックリとサイエンスの論理を積上げながら壮大なストーリーを描く様子は、気合いという部分で真摯に人類の未来が明るいモノになるよう願っているコトを裏付けている。宇宙の彼方からやってきた異星人との交流も、ビックリするほど幸福に描かれる。ボクが今まで触れてきたSF作品世界では、異文化異文明接触は絶対摩擦や誤解で失敗して結局血みどろの結果に至ってしまう。しかしこの作品では、粘り強い交渉と前向きな信頼によって、地球人と宇宙人は文明を超えて固く結ばれる。…ああ、この作家は、安易に楽天家なのではないのだ、科学が犯すリスクや人間の愚かさを呑み込んだ上で、それでも明るい未来を自らのペンで作り上げようと務めた人なのだ。結果として、ボクはこのシリーズに勇気づけられた。放射能でこの国はダメになってしまうかもしれない、という不安の中でも、それでも前を向くコトを。
●蛇足だが、「ギャラクティカ」で意気投合したSFファンの先輩は、震災モード時は非常避難キットをバックパックに入れて、通勤時も毎日背負って過ごしてたという。今は手ぶらだけど。当時の心理状態を自分で「震フォビア」って言葉を作って説明してた。「震フォビア」って。使ってみたいこの言葉!


さて、映画を見たのですよ。ポスト・フクシマの。

「希望の国」

映画「希望の国」/監督:園子温
●知人からの評判で気になってましたこの作品、見ました…。日本のとある地方、静かな田舎町。ここで原子力発電所の事故が起こる。避難する人々、故郷に留まる人々、新しい状況に慣れてしまう人々。次の選挙で原発問題やエネルギー問題についてどれだけ真剣に考えている人がいるのか、ボクにはよくわからないが、どっちにしろもう逃げる場所がない。その事実が突きつけられている。そんな映画だと受け止めた。


「星を継ぐもの」とは裏表のデスペレイトな未来(=現在)。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」

映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」/総監督:庵野秀明
●公開2日目に、家族四人で見に行ったよ。ワイフは少なくとも内容に不満だったなー。ワイフにとってはミサトさんがマンションでぷはーっとヱビスビール飲むとか、委員長がお弁当を作って鈴本に渡すとか、そういう生活の場面が大事だったようで、そんな日常がサードインパクト以降のカオスに吹き飛ばされた14年後の世界に1ミリも存在しなかったのが納得できなかったようだ。
●娘ヒヨコ9歳は、マリちゃんの乗るヱヴァンゲリヲン8号機のピンクカラーが気に入ったらしい。
●長男ノマド11歳は普通に「え、これでオシマイ?続きは?もう30分たった?」時間感覚が圧縮されるほど内容にノメり込めたようだが、結局それでどうなったの?という放り投げ出されぶりに戸惑っている。それはボクも同じ感想だ。
また収集のつかない大風呂敷を広げてしまったなー。これでまた物語が空中分解しなければいいなー。それがボクの感想。2号機の宇宙戦闘とか、独眼竜アスカとか、巨大戦艦ヴンダーの出現とか、シンジとカヲルくんの連弾シーンとか、個々のシーンに反射的にトキメク。そんなショットとしての興奮は「旧劇場版」の量産型エヴァシリーズ対2号機の壮絶な戦闘シーンにも感じるけど、結局「旧劇場版」は失敗だったんじゃないかと思えるボクの印象は覆らないのと同じで、「Q」の本質的な評価は微妙なまま。
前作「破」は主人公シンジの力強い成長を描いている。TVシリーズや「旧劇場版」の貧弱さを克服する姿勢が頼もしいと思った。TVシリーズ〜「旧劇場版」が世に出された1995〜1997年の日本は、阪神大震災、オウム真理教事件、バブル崩壊で心理的にズタズタにされていた。世界が自分に強いる理不尽な仕打ちに泣き叫ぶ主人公シンジの様子は、確かにあの時期の日本社会とシンクロしていた。それを再構築して新しい展開を提示した2009年の「破」は、911テロ〜イラク戦争やリーマンショック、アジア近隣諸国の目覚ましい台頭などなど価値観の激しい変動の中でいつのまにか鍛えられた日本人の様子を見せられたようで、ボクは心から感動した。シンジは自分の強い意思決定で、自分が持つ力を最大限に振り絞って、自分が救いたいと望んだ少女を決死の覚悟で救い出す。ただ運命や周囲の思惑に翻弄されてきたヨワいシンジはいなくなったのだ。
●ところが「Q」は再びシンジを虚無の中に突き落とす。自分の行為が引き金となり世界は破滅した。自分が救おうとした少女は結局救われていなかった。しかもその事実を知らないまま彼は14年間も眠り続けていた。世界は一変していた。また逆戻り…今までの成長は全部否定された。この虚脱感。しかし、混迷のただ中にいるのは主人公の彼だけじゃない。周囲もまた混乱している。今までは仲間だった少年少女/登場人物全員が2つの陣営に別れて互いに戦う。これが庵野秀明監督が提示する、2012年現在、ポスト・フクシマを前提とした「ヱヴァ」世界のカタチなのか。前述「希望の国」の登場人物が原発事故を指して「これは戦争なんだ!」と叫んだのを連想する。フクシマ以降のカオスは「戦争」状態なのか。そして物語は続く。

●劇場で買ったパンフレットから、気になった言葉を引用。
林原めぐみ(アヤナミレイ役):「破」で破れきったんだなーというのが第一印象ですね。
宮村優子(式波アスカラングレー役):監督が「アスカはプロの傭兵なんだ」っておっしゃって。武将とも言ってたかな?…プロの傭兵で武将で眼帯ですよ。
三石琴乃(葛城ミサト役):私が思うに、この14年間に沢山傷つき涙も枯れ果て、そして乗り越えて、心の中では消化したつもりになっていたのに、シンジくんの姿を見た瞬間、ぐっとこみあげてきたんでしょうね。…でもね、いきなりシンジくんにあんな冷たいことを言ったらシンジくん心を閉ざすに決まっているじゃない。「ミサトどうしたの?」って思いながら、それもできないくらいに大変なことが14年間にあったんだな、と想像しつつ演りました。
山口由里子(赤木リツコ役):まず、リツコが生きてて良かった、というのが第一印象。…リツコっていつ殺されてもいいところにいるんじゃないかと。…リツコはオンナを捨てられない人。だからそれだけにね、変な話、死んじゃうかもって思うんですよ。


大阪の生命力。

「黄金を抱いて翔べ」

映画「黄金を抱いて翔べ」/監督:井筒和幸
●現在公開中のこの映画も、先日観てしまった。あるお付合いからの必要で観るコトになったのだけど、これがオモシロい。直球にワイルドなクライムムービー。アウトローが集まって銀行の金庫破りに挑む。妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝口淳平、西田敏行、チャンミン(東方神起)。加えて青木崇高もイイ。そして舞台は大阪。
●リーダー格を務める浅野忠信のツクリ込み様がスゴい。普段はトラック運転手を務める男の、粗雑なガニマタ歩き、無骨な五分刈り、汗が乾いたような明るい笑顔と、ソレと同居する躊躇のナイ暴力。実は犯罪への動機付けなんてほとんど説明されてなくて、ただソコに金塊があるから奪う以上の論理はナニもない。西田敏行のダメオヤジぶりもイイ。大阪のルーズでルードなオッチャン。
●井筒和幸監督の大阪への思い入れとは。思えばナイナイ主演「岸和田少年愚連隊」も、そして古くは紳助竜介主演の「ガキ帝国」1981年も、大阪が舞台。そしてワイルド。ちなみに「パッチギ!」は京都だった。でもワイルド。


1970年代の妻夫木聡。

「マイ・バック・ページ」

映画「マイ・バック・ページ」/監督:山下敦弘
「黄金を抱いて翔べ」で影あるワケアリの男を演じた妻夫木聡が、ここではナイーブな週刊誌の記者を演じる。ココでの繊細な演技が実に鮮烈だったので、そのまま井筒組での妻夫木を観たいとボクは思った。過激派の若者・松山ケンイチと対峙するジャーナリスト…1969年の東大安田講堂紛争をイントロにして、徐々に時代がシラケていく70年代を二人の若者が漂流していく。青春がクシャリと音を立てて終わる瞬間が見えた。泣けた。そしてコレが実話をベースにしていることを今知り、また驚いている。
●監督・山下敦弘は、ぼくにとっては「リンダリンダリンダ」「天然コケッコー」。高校生の瑞々しい姿を描くコトに長けた才能。もっと他の作品を観たいと思っている。左翼運動家取材のイロハを教える妻夫木の先輩記者を、古舘寛治という役者が演じている。実にキマジメな演技…片足を引きずる歩き方まで含めて細心の注意を払った動きが印象的。ボクは、この役者を、下北沢の駅前劇場?で、城山羊の会「新しい橋」(山内ケンジ作・演出)という芝居で観ている。その時もスゴいと思って、この名前がアタマにインプットされていた。
●そしてエンドテーマ。真心ブラザース+奥田民生BOB DYLAN「MY BACK PAGES」をカバーする。独自の日本語詞も含まれていて、これも強い印象を残す。「白か黒しかこの世にはないと思っていたよ 誰よりも早くいい席でいい景色がみたかったんだ 僕を好きだと言ってくれた女たちもどこかへ消えた あああの頃の僕より今の方がずっと若いさ」


そんな流れから、BOB DYLAN のよき翻訳者、THE BYRDS。

THE BYRDS「THE BYRDS PLAYS DYLAN」

THE BYRDS「THE BYRDS PLAYS DYLAN」1965〜1971年
BOB DYLAN の音楽はボクにとっては取っ付きにくい。クセの強い節回しと声、ギター一本ムキダシの音。この前深夜にやってた彼のドキュメンタリー映画「ドント・ルック・バック」を観て、より強くそう感じた。1965年のイギリスツアーに密着したこの映画、若くて瑞々しい青年 BOB DYLAN の様子を生き生きと切り取ってる…一方で、イケ好かないヤツなのねという印象も受け取ったけど。
●ドチラかと言えば、BOB DYLAN の音楽をボクが受け取ったのは、他人のカバー経由であることの方が多かった。「LIKE A ROLLING STONE」をボクが始めて聴いたのは中学一年生13歳の頃で、それは桑田圭祐率いる KUWATA BAND によるカバーだった。U2「RUTTLE AND HUM」には「ALL ALONG THE WATCHTOWER」のカバーが収録されてる。そして前述の真心ブラザーズ+奥田民生
●そして一番の紹介者・翻訳者として大きい存在感を放つのが、やっぱりこの THE BYRDS だ。60年代後半に活躍した西海岸フォークロックの中心的バンド。華麗なコーラスワークとリッケンバッカーの12弦ギターによって甘く彩られた BOB DYLAN 楽曲は、本人の演奏よりもずっと魅力的だと思える。このアルバムはそんな BOB DYLAN カバーを一枚にまとめたモノだ。「MR. TUMBOURINE MAN」「THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN'」、そして「MY BACK PAGES」も収録されている。
●このCDの解説を読むと、THE BYRDS BOB DYLAN の縁は思った以上に深いもののようだ。1964年、まだ THE BYRDS という名前も決まってなかった若いバンドはその段階から BOB DYLAN のカバーに挑戦し始めていて、そして BOB DYLAN 本人もそんな彼らのリハに居合わせ、その大胆なカバーを面白がっていたという。中には自分の曲と気付かなかったモノもあったそうな。THE BYRDS の音楽は当時最新型のロックミュージックの体裁をまとっていたが、メンバー自身は完全にカントリー/ブルーグラス出身で、その丁寧なアプローチに気難しい詩人も武装解除したようだ。そして1965年に発売された THE BYRDS のデビューシングル「MR. TUMBOURINE MAN」は全米・全英でナンバーワンに。BOB DYLAN 本人にとっても初めてのビッグヒットになる。BOB 自身もこの1965年に電化、MIKE BLOOMFIELDS や AL KOOPER をバックに従えてフォークロックに挑む。「時代は変わる」
●蛇足だが、BOB DYLAN の映画「ドント・ルック・バック」、ホテルの部屋でギター一本で歌う JOAN BAEZ の姿が印象的だった。エキゾチックな美少女…そんな彼女が BOB 本人に対して BOB のカバーを聴かせている。そしてコレがまた美しい。BOB DYLAN の演奏そのものに対しては、ちょうど最近ディズニーランドに遊びに行ったワイフが「なんでウエスタンランドみたいな音楽を聴いてるの?」と批評した。これがアメリカンルーツミュージック

THE BYRDS もう一枚。

THE BYRDS「THE NOTRIOUS BYRDS BROTHERS」

THE BYRDS「THE NOTRIOUS BYRDS BROTHERS」1968年
THE BYRDS はオリジナル楽曲においても十分な価値を持つバンドなので、他のアルバムもシッカリ集めてしまってる。1965年にリリースされたアルバム「MR. TUMBOURINE MAN」「TURN! TURN! TURN!」も立派だが、幻惑的なサイケデリックアレンジを施した「8 MILES HIGH」が印象的な「FIFTH DIMENSION」ボクにとってはもかなりの愛聴盤だ。このアルバムは彼らの5枚目で、サイケデリックのククリに捕らわれない自由で高度なアレンジが施されてる。
●一曲目の「ARTIFICIAL ENERGY」(人工エネルギー!)からホーンがビシッと決まって気合いが入るし、ムーグシンセサイザーが各所で積極的に用いられてサイケの極彩色を効果的に噴射している。ラーガロックアプローチの「SPACE ODYSSEY」は同年公開のキューブリック「2001年宇宙の旅」に由来しているに違いない。「DRAFT MORNING」では奥ゆかしいフォークロックに激しい銃撃の効果音がカブる。ベトナム戦争がこの時代に影を落としている。
●ちなみに、バンドの初期から活躍してきた DAVID CROSBY がこのアルバムのレコーディング中にバンドを去る。この時期には既に十分すぎるほどクスリでラリッていたのだろうか?横柄なエゴを主張するだけでなく、ライブ中に、ケネディ暗殺事件についての自説をブッたり世界の政治家にLSDを配ろうと主張したりと、デタラメし放題になってしまった。結局、DAVID はバンドを解雇。ほどなく、CROSBY, STILLS & NASH(そして時々 YOUNG)というフォークロックのスーパーグループを結成して活躍するも、80年代はヒドいドラッグ中毒でヨタヨタになる。一方 THE BYRDS はこのあと GRAM PERSONS を招くことでカントリーロックにシフトしてルーツ回帰へ舵を切る。



●追記:yuccalina さんからおススメされたドイツのテレビ番組に出演した THE BYRDS のライブ。
●「8 MILES HIGH」NEW VERSION とな。気合いの入った13分超の熱いジャム!



意外なほどジンワリと効いた映画だった。

DVD「ロッキー・ホラー・ショー」

「ロッキー・ホラー・ショー The Rocky Horror Picture Show」1975年
●ボクが毎週楽しみにしてる海外ドラマ「glee」に、この古典的名作「ロッキー・ホラー・ショー」をパロッた回があったのです。いつものメンバーたちがこの作品のミュージカルナンバーを歌いまくるも「あの不謹慎なミュージカルを高校生が学校で演じるのは如何なモノか」という圧力がかかって、結局公演は中途半端になりました、というオチ。でもね、実はこの映画をボク見てません、だから意味がワカランかった。70年代カウンターカルチャーの中でカルトムービーになったという逸話は知ってても、内容を知らないから、そのパロディとしてのオモシロさも、世間が煙たがるほどの圧力も理解出来てませんでした。やっぱ教養として見ておかなきゃダメね、と思ってDVDを借りてきたのです。
●で見てみて。奇妙なフリークスやジェンダーフリーなキャラクターが大勢出てきて、常識人の主人公カップルを混乱に陥れる。グラムロック時代のミュージカルとして、グリッターな賑やかさは確かにマチガイナイ。はー、アメリカ人はコレを映画館で見て、コスプレしてお約束の間の手入れて、騒いで踊って楽しむのね…。やっぱやっぱ経年劣化の陳腐さは感じちゃうけど、ほえー、って感心した気分にはなったのです。
●ただし、怪人フランクン・フルター、セクシーなトランセクシャル、男も女のオッケーのオネエキャラが圧倒的で。これがどうにもこうにもクセになるほどの味を放ってて、映画が終わっても強烈なイメージを残してる。オネエってこうだよねってイメージを完全にヤリ切ってて、そして現代日本のテレビで活躍する数々のオネエ芸能人がソレをキチンとシンクロしまくってる事に、素朴なオドロキと感動と感じる。見れば見るほど魅き込まれる。
DVDのジャケットにも登場してるけど、もうちょっと画像つけますね。

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いちいち動きがオオゲサで、的確にイカレてて、結果、スゲーチャーミング。
●この怪人の居城にさまよい込んでしまった一般女子は若き日のスーザン・サランドン。見事倒錯の世界に引きずり込まれて、貞操観念を完膚なきまでに破壊されます。ボクにとって彼女はリドリー・スコット監督「テルマ&ルイーズ」1992年の痛快な主演が印象的で。
●そんで、怪人フルターに撲殺されるヤカマしいロックンローラーとして MEAT LOAF が登場する。


怪人フランケン・フルターがボクの中でじわじわキてるのは。
彼のイメージが、70年代グラムロック期の LOU REED とダブるから。
●この頃の LOU REED は、ゲイっぽい発言もしてたから。この下の写真も雰囲気でしょ。

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●だから、最近の LOU REED を今日は聴いている。
●ボクは LOU REED が大好き。THE VELVET UNDERGROUND もその後のソロも。
●そして今日に至るまでのキャリアも。

LOU REED  METALLICA「LULU」

LOU REED & METALLICA「LULU」2011年
THE VELVET UNDERGROUND の頃、つまり60年代の LOU REED はナイーブで甘い顔つきの美少年。DAVID BOWIE IGGY POP とつるんでジャンキーやってた70年代はグラムロック。そして80年代以降は酸いも甘いも噛み分けて、見事なほどのロックオヤジとして成熟。実にクール。マジでこんなオッサンになりたいというロールモデルですよ LOU REED は。さすがに最近は一気に老け込んだというか、マジでジジイっぷり出しまくり(今年70歳だし)。そんなジジイが、なんと METALLICA とコラボですよ。ナニやってんだジジイ、いきなりヘヴィメタかよ!ビビりますよこの展開は!そんな衝撃で迎えられた2枚組の大作。素朴にこのコラボ、コワいわ。打合せとかに混じったら緊張で声1つ出せないわ。
●ね、下の写真見てよ。これじゃコワいでしょ。

LOU REED  METALLICA

なんでこんな異種格闘技戦みたいなコラボが成立したのか?
METALLICA が「ロックの殿堂」入りを果たした記念ライブで、ステージに LOU REED を引っ張り上げて共演をしたそうな。THE VELVET UNDERGROUND の名曲「SWEET JANE」「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」をメタルアレンジで演奏。そこで意気投合した両者がコラボをしようという気分に。METALLICA は大先輩が積上げてきた数々の名曲をメタルカバーしましょう的な提案をしたそうだけど、LOU REED は全然違うアイディアを持ってきた。19世紀ドイツの歌劇を現代版として復活させたいというのだ。しかも歌詞はもう出来上がってると。これをジャムって作ろうぜ。先輩…なんか難しそうですけど大丈夫っすか?
「LULU」の下敷きになったのは、フランク・ヴェーデキントという劇作家が描いた2本の戯曲「地霊」「パンドラの匣」。19世紀初頭のベルリン/パリ/ロンドンを舞台に、欲望に身を任せてブルジョワ的道徳を乗り越える魔性の女性ルルが、多くの人々と激しい恋に落ちる様を描いているという。情欲や嫉妬、裏切り。そしてルルジャック・ザ・リパーに心臓を切り裂かれる。この物語を、LOU REED はイツモ通りの渋みを利かせまくったポエトリーリーディングで描き、METALLICA が完全武装の鋼鉄リフロックで彩る。リハもデモ収録もない、最初のジャムからテープを回し、その即興的パフォーマンスをそのままダイレクトに使う。METALLICA 自身もこんな制作手法は始めてだったらしい。
結果、ヘヴィメタルなどなどのイメージとは関係ない、強力な推進力を持つ爆音グルーヴが浮き立ってきた。そもそもで言えば、LOU REED の音楽はシンプルなロックンロールの力で見事なグルーヴを生み出してきてる。THE VELVET UNDERGROUND「WHAT GOES ON」は大好きな曲だ。3つのコードとシンプルなブギだけでグルーヴがメチャメチャドライブする。METALLICA もカバーする「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」の原曲はシューゲイザーのノイズグルーヴ駆動だ。1984年のアルバム「LIVE IN ITALY」はビンテージ・スポーツカーのようなグルーヴで全編が貫かれてる。そんな LOU REED は今回 METALLICA のパワーグルーヴを援用することにした。ビンテージ・スポーツカーどころでなく、大型特殊工事機械のグルーヴだけど。そして曲が長い。最大19分以上の楽曲もある。無限に反復されるかのようなノイズの奔流は、ジャーマンプログレまで連想させる。主人公ルルが、混沌と狂気のグルーヴを胸に秘めてベルリンの街を妖しく歩く…。

LOU REED もう一枚。

LOU REED「THE RAVEN」

LOU REED「THE RAVEN」2003年
LOU REED のソロはほとんど持ってる、つもりだったけど、コレが抜けてるってコトに最近気付いた。ので買ってみた600円だったからね。こちらも2枚組の大作。エドガー・アラン・ポーの物語詩「大鴉」(原題「THE RAVEN」)にインスパイアされた内容らしい。彼の伝記「ルー・リード/ワイルドサイドを歩け」(ピーター・ドゲット著)で知ったが、彼はロックンロールでドフトエフスキーの名作「カラマーゾフの兄弟」を超える表現を生み出したいという志で音楽の世界に入ったという。彼の文学志向はこの根っコの部分から出発してるのね。キャバレー風ジャズをへなへな歌う LOU REED がちょっと意外だったです。



●わ、書きかけの記事をアップしてしまってた。
●一旦引っ込めました。こんな失敗するなんて、やっぱチョイと疲れ気味。


今日は、忌引きでカイシャをお休み。ワイフの祖父のお葬式に行ってました。
●埼玉県深谷市で、盆栽職人をしていた祖父。享年98。大往生といえる立派な長寿。亡くなる直前までシャキシャキと自力で歩いていた足腰の強さは本物。火葬の後に残った遺骨が太すぎて、骨壺の中に入り切らないほどだった。納骨するのに骨壺の中身をグイグイ押し砕くなんて初めて見た。三回も押し砕いて、やっと収まった。

夕暮れの深谷の風景はとても綺麗だった。大きく広がるネギ畑と遠くに見える赤城山。
●都会育ちの娘ヒヨコは、どこまでも続く畑が珍しいらしく、移動の車中でひたすら「ネギ!ネギ!」と叫びまくってた。「ネギ!ネギ!ダイコン!ネギ!」ヒヨコはネギ嫌いじゃなかったか?「明日からネギたべる!納豆にネギ入れる!」

ふっかちゃん

●そんな深谷市のマスコットがコチラ。「ふっかちゃん」。アタマにネギが生えている。駅前にいたので写真に撮っちゃった。ゆるい。ゆるい。
●駅前には、渋沢栄一の銅像まであった。なんで渋沢栄一なんだろう?と思ってウィキを検索したら、深谷は彼の出身地だった。


●書きかけだった文章はまたいつか、別の機会で。

●結構、ブログ更新を怠ってましたね…。仕事が忙しかったからね。

●腰がイタい…。
●今日のヨガ教室でちょっとおかしくしたかな?
●普段やり慣れてるはずのポーズなのに、カラダがメチャメチャ痛かった。仕事でよっぽど緊張してたのね。リラックスできたかなあ。

●疲れてるようだなー。安定剤でも飲もう。



しんどい時には、ヒップホップの推進力が、ボクの背中を押す。
●ココしばらくは、ヒップホップを聴きまくってた。ヒップホップのビートが練り出すパワーがクタクタのボクのカラダを動かしていた。ループミュージックであるヒップホップのバックトラックは、その反復の中、永久に解決を先送りすることで音楽としての強い推進力を持つ。決して着地せずに次のループへ次の小節へとリスナーを引っ張っていく。

●中毒性が強くて強烈な音楽。ボクは、ヒップホップが好きだ。それが嬉しくなる本。

長谷川町蔵×大和田俊之「文化系のためのヒップホップ入門」

長谷川町蔵×大和田俊之「文化系のためのヒップホップ入門」
●メガネのボクは、人類を大まかに仕分ければ明らかに文化系で、でもヒップホップが好き。そんなポジションの人間、またはまだヒップホップを好きになっていない人を想定して、軽い対談方式で、ヒップホップの歴史に沿ってその音楽の特徴や他の音楽との違いを分かりやすく説明している本。特にサウスのシーンがどのように勃興していったのかの解説は、スッキリしててよかった。

この本をキッカケに、ウェッサイ〜ロサンゼルス・コンプトンのラッパー THE GAME を聴く。

THE GAME「THE DOCUMENTARY」

THE GAME「THE DOCUMENTARY」2005年
「文化系のためのヒップホップ入門」の著者・大和田俊之氏は慶応大学の准教授、世代はボクのちょい上で、アメリカ文学、アメリカ音楽史が専門の研究者だ。そんな大和田氏、ジャズやソウル、ブルースと、網羅的に黒人音楽を研究しているのにナゼかヒップホップには長くノることができなかった。しかし、ある時このアルバムをゼミ生に薦められてとうとう開眼!これで「ヒップホップ耳」が出来てしまったという。
●ほー。そんなに印象的なCDだったっけ?とか思いながらコレを聴き直すことに。今は亡き下北沢レコファンにて100円で買ったヤツだから、今まであまりマジメに聴いてなかった。基本的にこの人完全なレペゼン西海岸、ロサンゼルス・コンプトンのゲットーあがりな真性ギャングスタ体質。しかし、ボクが若い頃に通過したギャングスタのスタイル、90年代Gファンクとは微妙カンケイない聴こえ方がする。だからスルーしちゃってたのだ。
●無名のラッパーであった THE GAME をフックアップしたのは DR. DRE。彼は西海岸ギャングスタラップの創始、N.W.A. の中心メンバーで音楽的司令塔の役割を果たし、自身のソロ「THE CHRONICLE」と高弟 SNOOP DOGGY DOGG のファーストでGファンクというジャンルを確立した男。70年代由来のファンク快楽を直接ヒップホップに落し込み、ドラッグと犯罪/弛緩と緊張が混在するギャングスタの生活を描写。世界最大の自動車都市ロサンゼルスの風土を反映したドライヴミュージックとしても高度に洗練された様式を完成。ヒップホップの首都ニューヨークとは一線を画すこのスタイルで音楽勢力地図を一瞬で塗り替えてしまった重要人物だ。ところが黄金の90年代を通過しての1999年、アルバム「2001」で DR. DRE は作風をガラリと刷新。90年代Gファンクとは無縁とも思える、「微分ファンク」とも言うべき、ミニマル音響に特殊な中毒性を宿したスタイルへと芸風を更新したのであった。で、THE GAME のファーストアルバムであるこの作品は「微分ファンク」に移行した後の DR. DRE 仕事であって、つまり分かりやすーい西海岸風味は味わえない。イントロ明けに鳴り出す、低い重心から空間を寸断するビートが粘着質に響く「WESTSIDE STORY」00年代「微分ファンク」の典型スタイル。THE GAME と彼が加入する事になったクルー G-UNIT の頭領 50 CENT の二本マイクがこのトラックの上で注意深く言葉を配置する。クール。アルバム序盤はこの「微分ファンク」を基調に、シングル曲「HOW WE DO」などを硬派にキメていく。
●中盤からは外部トラックメイカーのド派手な演出でアゲアゲモード。制作陣はインターコースタル、西/東/南と散らばっている。SCOTT STORCH、JUST BLAZE、KANYE WEST、COOL & DRE、TIMBALAND、HAVOC とテッパンのクオリティを保証する匠がカラフルなトラックを投入している。特に JUST BLAZE はオノレの芸風で実にイイ仕事。N.W.A. のクラシック「GANGSTA, GANGSTA」ネタを印象的に使う「NO MORE FUN AND GAMES」は見事にブットいファンクネス。そこから続く楽曲「WE AIN'T」では、DRE 師匠にフックアップされたという意味で THE GAME の兄弟子筋にあたる大先輩 EMINEM が、彼の重要な芸風である偏執狂的トラックを持参して合体。 終盤のシメは「微分グルーヴ」系に西の客演王 NATE DOGG と現行R&Bの女帝 MARY J. BLIGE が降臨して、クールな歌唱でフックに色気と湿り気をモイスチャリング。

THE GAME「DOCTORS ADVOCATE」

THE GAME「DOCTOR'S ADVOCATE」2006年
●セカンドアルバム。タイヤが2つから4つに倍増。ジャケはあんまり変わってないね、とは言いながら、THE GAME の周辺はかなりの激変。本来は同志であるはずの G-UNIT 頭領 50 CENT との確執が表面化。THE GAME G-UNIT を脱退し激しく対立するに至る。結果、DRE 師匠のレーベル AFTERMATH からも移籍。THE GAME DRE 師匠とモメタわけではないので、再びプロデュースして欲しかったようだし、実際ある程度の作業もあったようだけど、正式には師匠がこのアルバムに関わる事はなかった。
●とはいえ、ファーストで関係を作った外部の豪華プロデューサー、SCOTT STORCH、JUST BLAZE、KANYE WEST、HI-TEK が集合。さらに SWIZZ BEATZ、WILL.I.AM. なども新規参入で実に多彩なプロダクションが楽しめるになった。ダンスホールレゲエの傑作 JUNIOR REID「ONE BLOOD」1990年を大ネタ使いした「IT'S OKAY (ONE BLOOD)」がガツンと響く中、続いて登場する地元讃歌「COMPTON」「REMEDY」のスネアの鳴りが東海岸風で興奮。「LET'S RIDE」「TOO MUCH」 SCOTT STORCH 制作で、特に後者はストリングス使いがクールで実に男臭い。「WOULDN'T GET FAR」ではサンプル工芸家 KANYE WEST がキラビやかなコラージュを構築。一方 SWIIZ BEATZ はワンアイディアで押し通す独自の芸風でアゲアゲ気分を演出。
●後半は、懐かしの90年代Gファンクの濃度がにわかに高まる。SNOOP DOGG、XZIBIT、THA DOGG POUND など西海岸を代表する狂犬たちが集合し、R&B の色気を迸らせながら、チルでイルなファンクをクールに響かせる。

THE GAME「LAX」

THE GAME「L.A.X.」2008年
●子供が二人。実子?…依然として DRE 師匠との恊働を望むも実現せず。結果としてもはや常連となった豪華布陣がトラック提供。基調としては R&B 濃度が上昇中のような気が。NE-YO、CHRISETTE MICHELE、BILAL、RAHEEM DEVAUGHN、LATOYA WILLIAMS、KEYSHIA COLE と、ややオーガニックなテイストに偏ったシンガーが大勢参加して色添えをしてくれている。RAHEEM DEVAUGHN 参加の「TOUCHDOWN」 CURTIS MAYFIELD をサンプルに使いながら独特の浮遊感を演出。続く「ANGEL」では COMMON が登場してフックを歌い上げる。KEYSHIA COLE がフィーチャーされた「GAME'S PAIN」もシズル感タップリの R&B として仕上がっている。かなりキャッチーになった印象がある。
●とはいえ、ハードなヒップホップも十分に搭載。DRE 師匠とともに N.W.A. の主要メンバーとして活躍した ICE CUBE と合体した「STATE OF EMERGENCY」WU-TANG 軍団からの刺客 REAKWON との対決「BULLETPROOF DIARIES」、サウスの帝王 LIL WAYNE がダミ声でフックを唸る「MY LIFE」、アトランタのヤンチャクレ LUDACRIS もイイ味を出しており、聴き所多し。

THE GAME「THE R.E.D. ALBUM」

THE GAME「THE R.E.D. ALBUM」2011年
●悲願叶い、DRE 師匠がアルバム参加!…といいながら1曲だけへの客演、そしてイントロ、インタールード、アウトロでナレーションするだけの関わりで終わってしまいました。一方で、EXEC. PRODUCER のクレジットに THE NEPTUNES の PHARRELL WILLIAMS が登場!THE NEPTUNES のプロダクションが大好きなボクとしてはこれも事件なのですが、よく見ると1曲にしか関わってない…ほとんど名義貸しみたいな感じがするんですけど。
●しかし、DRE 師匠参加曲「DRUG TEST」のマシーンファンクな駆動力は圧倒的パワーでアルバム前半のピークになってるし、PHARRELL 制作曲「MAMA KNOWS」 NELLY FURTADO 召喚の華麗なサビフレーズとピアノが波立つ華麗なトラックで、アルバムの品位を高く保つ要になってる。とにかくメジャー感がハンパなく高まっている。
●そこで存在感を放っているのが 1500 OR NOTHING というプロダクションチームとそこのメンバー MARS という男。MARS GAME 本人とともに CO-EXEC. PRODUCER にもクレジットされてるほど。LIL WAYNE らと GAME が対決する「MARTIANS VS. GOBLINS」では実にタイトなトラックを披露し、中盤においては BIG BOI、E-40、LLOYD などの達者なアーティストを効果的に操っている。終盤の「CALIFORNIA DREAM」の45回転加速なサンプル使いもチャーミングで実にワザアリ。
●メジャー感たっぷりといえば CHRIS BROWN。彼がダイナミックにサビを歌う「POT OF GOLD」は空気を完全に変えてしまうよ。「PARAMEDICS」でド派手に登場してくる YOUNG JEEZY のダーティサウスなひしゃげ声もメジャー。マイアミ出身の制作チーム COOL & DRE もイイ仕事。LIL WAYNE DRAKE が効果的にハジけるトラックを準備。実にラップ達者な若手 KENDRICK LAMAR が活躍する「THE CITY」も彼らの制作。
●この段階になってくると、実はライバル G-UNIT の方が完全に野暮ったく見えてくる。ストリート上がりの迫力がそのままメジャー感をまとうと無敵だね。


●ヒップホップ談義はつきないし、他にも報告したい事はあるけど、一旦おしまい。