●風邪だ…。完全に風邪引いた。だめだ。

●ということで、この土日、フトンの中でずっと過ごしてました。
●クスリをガブガブ飲んで、なんとかヒトココチ。明日は会社にイケルだろう。

●そんで、フトンの中で何してたかというと、ひたすらポッドキャスト聴いてました。

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TBS ラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」
●つい先日、インドネシアのクラブミュージック・ファンコットについて記事を書いたら、大学時代からのサブカル友達 K くんから「ウィークエンドシャッフルのポッドキャストをぜひチェックしてほしいです!」との熱いメッセージをいただきました。実はこのラジオ番組、ジングルにファンコット使ってるんですわ。せっかくの週末なのに散歩にもイケナイし、iPadにイヤホン突っ込んでダラダラ宇多丸さんのシャベリでも聞いてるかーと思ったんですけど。
ヤバい。ヤバ過ぎる。

この宇多丸さんのアイドルシーンに対する敬意と知識、丁寧な洞察が刺激的過ぎる。
●今月から公開してる映画「DOCUMENTARY OF AKB48 - NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?」と、その前作である「DOCUMENTARY OF AKB48 - SHOW MUST GO ON 少女たちは傷つきながら、夢を見る」を、ホットすぎるニュースである「峰岸みなみ丸刈り事件」に関連づけて解説していく。「総選挙」をはじめとした AKB48 独自のシステムは、メンバーたちに強い負荷を与えて演出する「残酷ショー」の性質を持つと喝破(そして「少女たちは傷つきながら、夢を見る」ではソレが見事に描かれていた)。周辺でそれを楽しんできた宇多丸さんサイド(彼らは自分たちを「BUBKAチーム」と呼びます)は、峰岸みなみを丸刈りまでに追い込んだ責任は誰のモノなのか?オレらもソレに加担していたのではないか?しかしオレらは彼女たちにそんなコトを望んでいたのか?と自問する。ココには1986年「岡田有希子自殺事件/享年18」の記憶が前提になっており、もはや自傷行為ともいえそうな峰岸みなみの丸刈りに同じモノを嗅ぎ取ってる。

●23日の生放送は、OAでチェックしちゃった。ラジオじゃなくてアプリ radiko で聞きました。宇多丸&秋元康直接対談が放送されたんですわ。秋元康氏は宇多丸の映画批評を全スタッフに聞かせたとのコトで、そんな縁から敢えてこの番組への出演を受けたという。モチロン「峰岸みなみ」事件の話題も避けずに秋元はインタビューに応えていく。

●あの事件を取り上げて宇多丸は聞く。「周りのオトナがコレをイイと思ったのか?それは世間の常識と離れているのでは?」…ボクは峰岸みなみという20歳の若い女の子が自分の行為について思い詰めるコトは予想できる…しかし、ソレをそのままにネットに晒した周囲の体制に強い違和感と疑問を感じた。なにしろアレはAKB公式チャンネルで公開されたのだ。
秋元氏もこの事態を知ったのは YouTube で全てが公開された後だったという…もちろん、メッセージをネットで公開する、その際に少々髪の毛を短くする、程度の報告が上がっていた。しかしあんなアウトプットになるとは思っていなかった。秋元氏自身がその場にいたら彼女を止めただろう。そう前提した上で「問題は、スキャンダルとの対峙の仕方。そうまでして反省の意を見せたかったコトの難しさ」を語る。峰岸みなみ本人にとっては気合いを見せる思いだっただけだったかもしれない。そしてハードコアなファンにとっては「その気合いやヨシ」という場面もあるかもしれない。しかし AKB48 を知らない人には奇異に見える。ニュースが大きくなったら、何をしても何もしなくても結局炎上。あの峰岸事件の直後、心配した初期メンバーが自発的に彼女の周りに集まり、彼女を囲んでにこやかな写真を撮った。同僚としてのサポートの気持ちだったのだろうが、コレに「反省していないのではないか」という意見が出る。AKB48というシステムが世間にメッセージを投げる事の困難さ。コレに秋元康ですら正解を持っていない。

峰岸みなみ丸刈り事件

高橋みなみ、篠田麻里子、峰岸みなみ、板野友美、前田敦子。この写真に2ちゃんねる「実は全然反省してない」「今回もまた茶番だったか」と反応。

「そもそもで、恋愛禁止はそんなに罰されることなのか?」それはちょっと違う…と秋元氏。
AKB48 が従来のアイドルと違うのは「ファンの身近にあるアイドル」ということ。スキャンダルに対して周囲のオトナが完全に情報をコントロールすることが従来のアイドル。そこには不可視の領域があって、超然たるイメージを周囲が作ってきた。恋愛スキャンダルが起きようと、周囲のオトナが鎮火させてきた。でも AKB48 はメンバー個人が google+ を使う時点で既に全てダダ漏れ。これだけSNSが発達していれば、あらゆる場面で様々なコトが表面化してくる。そんな時代に全てを管理するのが大事なのか?それはワカラナイ。
秋元氏いわく「恋愛禁止条例」は一つのネタ。恋愛する時間なんてないくらい活動に没頭することになる。でもホントに好きな人が出来たらしょうがない。そんなコトはメンバーに話している。ただ、どうしたら今まで応援してくれたファンがどう許してくれるのか?それは考える。それぞれのケースでペナルティの内容が違うのは、あくまでそこへの配慮。「ただ…もう…万策尽き果てた。メンバーに任せると自分の中のアピールも出てくるし、ナニやっても狙ってるように思われちゃう」戦略家として名高い秋元康、とはいえ彼も人間。全てを掌握してはいないし、全ての動きをプランしてるわけじゃない。その限界を吐露。彼は80年代おニャン子クラブの時代から、アイドルの構造に揺さぶりをかけてきた。そしてその構造解体によって吹き出すリスクに対峙すべく、今も必死に思案している。



●この「宇多丸&秋元康対談」の後には、しまおまおの人生相談に映画評論家・町山智浩さんが出てきて、ツイッター炎上でトホホな目にあった思いを語ってた。結構前からサブカル K くんに町山さんのコトも薦められてたので、アレから何冊か読んだです。「超大国の三面記事的真実 USA カニバケツ」とか「キャプテンアメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢」とか。


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●さて、「ウィークエンドシャッフル」の別の放送回には、BASE BALL BEAR 小出祐介が登場。
●彼は、年間で500ものアイドルソングを愛聴するアイドル「在宅リスナー」であるとのことで、彼の音楽視点から2012年のベストアイドルソングを紹介してくれました。うーん、また新しい音楽世界が目の前に開いた気分。
●このヘンの楽曲を、YouTube チョイ見程度でアレコレいうのは実は気が引けるんだけど(ダウンロード購入はしましたよ)、あくまでメモ程度のツモリで列挙しておきます。紹介順も番組OA内とは関係ないです。

乃木坂46「制服のマネキン」

乃木坂46「制服のマネキン」2012年
●注目すべきはこの歌詞。サビに気になるフレーズ。「恋をすることはいけないことか?キミの気持ちは分かってる 感情を隠したら制服を着たマネキンだ」「どんな自分を守っているのか?ボクは本気で好きなんだ その意思はどこにある?制服を着たマネキンよ」もちろんリリックは秋元康。恋愛禁止を掲げつつも、そのルールと少女の内面で起こる葛藤をすでにこの歌で描いている。アイドルの宿命をメタ視点で描いた注目作。
●ちなみに、このグループで気になる子は、MVでセンターを担うショートカット美少女の生駒里奈ちゃんと、クールボブな橋本奈々未ちゃんです。

℃-ute「悲しきヘブン」

℃-ute「悲しきヘブン」2012年
●個人的にハロプロ系は、モーニング娘。1999年後藤真希加入〜「LOVEマシーン」から2001年「ザ☆ピ〜ス!/でっかい宇宙に愛がある」のアタリ、そして周辺ユニットにはかなり夢中になりました。アイドルポップスに、ディスコファンクやオイ!パンクまでを忍び込ませた数々のギミックにシビレタもんです。でももう今のハロブロは全然ワカラン。ボクの TUMBLR のタイムラインではハロプロがかなりアクティブなので、現在のモー娘。第9期10期11期が活躍してる気分や、その他のユニットがガンバッテルのはなんとなく知ってるけど、音楽は全く聴いてない。
●だからこの ℃-ute を聴くなんてマジで初めて。でもコレはカッコいいと思った。小出祐介いわく、全編におよんでハーモニーがベッタリついていることが実に素晴らしい。これがかなり高度。さすがつんく♂さん。このグループでは前衛は鈴木愛理ちゃんと矢島舞美ちゃんが担ってるらしいけど(ボクが知ってる顔も彼女ら二人だけ)、ここで鈴木愛理ちゃんのワキに立つのはミッドローレンジを担当する岡井千聖ちゃん…全然知らない子。この二人がパワーロックボーカルで疾走する様が実にスリリング。ちなみにこの曲は「会いたい会いたい会いたいな」のカップリング。小出さんも細かいトコロまでチェックしてるなあ。
●ちなみに、小出氏によると、姉妹ユニット(といっていいのか?)Berryz工房「LOVING YOU TOO MUCH」もよかったとのこと。シングル「CHA CHA SING」のカップリングだが、両曲ともタイのベテラン男性シンガー、トンチャイ・メーキンタイのカバー。原曲と聴き比べたトコロ、見事元ネタを超えているとのことです。
●同じ事務所アップフロント系列として注目は、アップアップガールズ(仮)「チョッパー☆チョッパー」もよいらしい。170BPMの超ハイスピード EDM。

ひめキュンフルーツ缶「iの奇蹟」

ひめキュンフルーツ缶「iの奇蹟」2012年
●アルバム「恋愛ミラクル!!」収録曲。今日まで知らなかったよ彼女たちのことなんて。愛媛県のご当地アイドルグループなんですって。ボクも一時期(2004年頃)注目していた愛媛県ベースの青春パンクバンド・ジャパハリネットを仕掛けたプロデューサーが、地元の活性化を狙って起こしたプロジェクトらしい。
小出裕介さんいわく、この楽曲は、ある意味で00年代邦楽ロックのようなアプローチをしているという。喩えればアジカンのような。ガリッとしたギターロックではないけど、その青春の刹那的感覚が透き通った女子ボーカルを通してクールに響く。「恋愛対象のタブーなキミだけど それでいいんだ 人生をキミにかける ボクは決めた キミと滅ぶ!」アイドルとの奇妙な距離感から「キミと滅ぶ」までの覚悟に昇華させるそのファナチックさがキラキラしてる。
●シングル曲「恋の微熱」も今どきのエレクトロ〜EDM感覚が反映されててついでにダウンロードしちゃった。

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ESPECIA & ナンブヒトシ「GOOD TIMES」2013年
●こちらは大阪・堀江を拠点に活動する女子6人組。つーか、ニューレイヴ風80年代カラーリングを通り越して、大阪のオバちゃん風一歩手前のギリギリな色彩感覚、どことなくバブル再来を願ってるような、もっと手っ取り早くいえば、無意味にケバ過ぎる!とツッコミドコロ満載なトコロがたまらん。あれ?堀江って大阪の中でもオシャレ地帯じゃなかったっけ?
●実際の小出裕介さんオススメは「ナイトライダー」って曲で(「ナイト2000」?ことごとく80年代だな)、その80年代末期〜90年代初頭のアーバンファンク感覚があえてイイ感じという評価。でも同じアーバンファンクなら、このナンブヒトシさんというラッパー(詳細不明)をフィーチャーしたこちらの方がよりファンキーに聴こえちゃったので。音楽サイト OTOTOY でフリーダウンロードできちゃったし(コチラ)。
●あ、レーベルはつばさレコードなんだ…。川島あいのトコロだね。

FAIRIES「ONE LOVE」

FAIRIES「ONE LOVE」2012年
●こちらはシングル「WHITE ANGEL」のカップリング。小出さんマジで研究範囲が広いなあ。3分弱の小品で、小出さん自身も言及してるんだけど、アウトロがなくって唐突に終わるのが残念。クレジットが外人さん3人で、おそらくストックとして持ってた楽曲を3つ合わせて編集したのかもと予想。でもコレが00年代以降の KYLIE MINOGUE 風エレクトロ四ツ打ちハウスでクール。かつて SPEED、安室奈美恵、DA PUMP、w-inds.、三浦大知を世に送り出した名門プロダクション、ヴィジョンファクトリーが送り出す7人組。

●ココから先は、ボクの個人的な関心で。

E-GIRLS「THE NEVER ENDING STORY」

E-GIRLS「THE NEVER ENDING STORY」2013年
●こちらは EXILE の所属事務所 LDH が送り出すガールズグループだね。もちろんコレは映画「ネバーエンディングストーリー」主題歌で、KAJA GOO GOO の元ボーカル LIMAHL が歌ったあの曲。やっぱりダンス能力がハンパないです。でも人数が多すぎてなんだかワカラン。ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」のタイアップ曲。

私立恵比寿中学「仮契約のシンデレラ」

私立恵比寿中学「仮契約のシンデレラ」2012年
●宿願の紅白出場を果たして今後どうなっちゃうのか?のももいろクローバーZの妹分という予備知識だけを耳にしつつ、その陳腐な学芸会級のライブを見て舌をまいたのは確か去年6月頃でした。でも確実に存在感は増しているし、ホントにアナドレナイです。幼さと生意気さが入り交じった感じもさすが中学生って感じ。カップリング「放課後ゲタ箱ロックッロールMX」前山田健一プロデュース。ハイスピードEDM。この中村祐介風ジャケの「サブカル盤」だけに収録されてる「結果オーライ」たむらぱんの楽曲提供。ここもポイントね。ボクが気になってるメンバーは、鈴木裕乃ちゃんかな…年齢に釣り合わないおマセな背伸び加減が立ち振る舞いにちょっと滲み出てるように思えて、そのアンバランスさが興味深かったから。

SUPER★GIRLS「EVERYBODY JUMP !!」

SUPER★GiRLS「EVERYBODY JUMP !!」2012年
●コチラはエイベックスが全国オーディションを行って募ったガールズグループだね。実は、タワーレコードのフリーペーパー「BOUNCE」が、2012年の50枚を選出した時にこのアルバムを8位にしたのですわ。邦楽だけに限れば第二位の位置づけ。えーそんなにハイランクなの!ぶっちゃけ、聴き所が一体ドコにあるのか今だにワカッテナイ物件。王道といえば王道なんだけど、保守反動とも言えるしね…。
●でも他のグループには見つけられなかったカワイ子ちゃんもここにはちゃんといるからヨシとするか(なにがヨイのか?)。名前だけ言っときますと、宮﨑理奈ちゃん田中美麗ちゃん荒井玲良ちゃん順不同ってコトでヨロシク!

RHYMESTER「WALK THIS WAY」

RHYMESTER「WALK THIS WAY」2010年
宇多丸さんの本業を忘れちゃいけませんね。この人RHYMESTER の一員として日本のヒップホップを牽引してきた傑物であって、ただのアイドルおたくではないのです。シングル表題曲を担当するは最近その名前が目立ってきたプロデューサー BACHLOGIC。彼のメジャー感あるトラックを拝聴するのは初めて。そこを独特のメリハリで言葉を配置する2MCのスキルは確実でカッコよさ満載。ライブ音源で KICK THE CAN CREW「マルシェ」を鮮やかにカバーしてるのもヨシ。
●とはいえ、最近この手の日本語ヒップホップから遠ざかってるからなー。ちゃんとチェックしておかないと。




●関連動画。

●℃-ute「悲しきヘブン」。ライブでも確実に機能する高い技術。



●E-GIRLS「THE NEVER ENDING STORY」。前半のダンスも見もの。

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2013.02.24

●風邪だ…。完全に風邪引いた。だめだ。


「ビスキューイパンがたべたい!」と娘ヒヨコがいうので、下北沢のカフェに二人でお茶。

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●普段は元気のヒヨコが珍しく熱を出して学校を休んだら、その日の給食においしいビスキューイパンが登場したそうで。ヒヨコは自分だけがビスキューイパンを食べ損ねたのがとても納得イカナイようで、ヒトツキ経ってもまだモガモガ言ってる。聞くと、下北沢のカフェにビスキューイパンがあるのでソコに行きたいと。
●ボクはビスキューイパンがなんだかよくわかんないし、厳密にこのパンがそのビスキューイパンなのかもよくわかんないんだけど(だってお店ではチョコクッキーパンってかいてあったぞヒヨコよ)、ともかくこのパンを二つ食べてヒヨコは実に満足げだったので、今日はいい日になったと思ったのでありました。まるい顔がまるいモノを食べてると、共食いみたいにみえるよ。



●先日、DAVE MATTHEWS BAND について記事を書いたので(コチラ)。
このバンドがよく結びつけられて語られる、ジャムバンド系の音楽を聴いてみるのです。

●ホントはね、ボクの中では、今から紹介するジャムバンドたちと DAVE MATTHEWS BAND はやや位置づけが違うのです。ブラックミュージックの都会的洗練も丁寧に組み込んでる DAVE MATTHEWS BAND と比べると、今日のバンドはみんなわりと田舎臭くて、フツウのカントリーロックに聴こえかねない印象があるからです。でもソコにジャムバンドたる理由と根拠がある、という向きで文章が書けたらいいなと思います。そんで結果として、DAVE MATTHEWS BAND と同じ地点に到達すると。そこはあくまでジャム/ライブであって、CD聴いてるだけじゃ理解できないかもしれないんだけど。


●まずは、このバンド。実は、美容院で、髪の毛切ってる時に知った音楽。
MOE「STICKS AND STONES」
MOE.「STICKS AND STONES」2008年
●まずは、このバンドの音楽を知ったキッカケを。そういうの、ボクは必要以上に大事にしてますので。著しい話の脱線でしかありませんけど…えーあの、ホントに全然関係ナイんですけど、ボクは、髪の毛は限界まで伸ばす、年に2回しか切らない、というケチな習慣を持ってます。つまりね、半年に一回しか美容院イカナイんです。
●それでもコチラにとっては信頼すべき美容師さんてのはとても貴重なのでコロコロとは変えられない。いつも決まったオネエさんにお願いしてるのです。しかし半年も間が空くと、行き付けの美容院にも様々なコトが起こってまして。なんとその美容師のオネエさんは独立して別のお店を作ってました。ボクはシツコイ性格なので、わざわざオネエさんが開いた新しいお店を聞き出して、そこに出向いたのであります。渋谷・公園通りを登ってBEAMSへと脇道に入った方面。うわここらへん来るの何年ぶりだろ…と思ったですよ。
●マンションの一室を改装したサロン。床のラグが趣味のいいアメリカンフォークロアで、ちょっとおデブなフレンチブルドッグがお店の中をよちよち歩く、なんだかアットホームな空間。ワンちゃんが人懐こ過ぎて、ボクのヒザに登ってそのままお昼寝。そんなお店。ボクには最高にイイ気分。以来ここ3年くらいココに通ってます。
●さて、ここのお店は iPod や PC の iTune をオーディオに直結して、BGMの音楽を鳴らしているのでありました。実は最近のカフェなどでも既にアリガチな仕組み。もう膨大なCDをお店に積み重ねる必要はないのであります。で、ボクはボクで「今かかってる曲はナンですか?」って聞くんです。実はスゴい頻度でボクは様々なお店でこの質問をします。気になる音楽があればホントに根掘り葉掘り。みんな Macbook の画面を眺めて曲名を答えてくれます。ここの美容師さんもそうでありました。しかも聞く所によると、コチラでは iPod に音楽を詰める作業を知人にお願いしているのというのです。そらそうだ、選曲に自信がある人にお願いしちゃった方が確かに手間も省けるよね。つーかそんな仕事が成立するなら、ボクが受けたいかも!お好みに合わせてイロイロな音楽を調達するのです!お店の雰囲気とか店長さんのキャラを見て、こんなんどうですか?って提案するって楽しそうですね!
●ほんで、そんな美容院で知った音楽がこのバンドのこのアルバムであります。これに収録されてる「ZOZ」という曲に、プログレちっくな変拍子がイイ塩梅に仕込まれてて楽しかったのです。パッと聴いた感触は70年代モノ?と思わせながらまるっきり最近の録音であった、という裏切りが実に痛快であります。で、そのまま渋谷タワーレコードで購入するにいたります。
●MOE. というバンド、1989年結成、キャリアは既に20年選手、オルタナ時代をくぐり抜けた90年代後半以降に輪郭をハッキリさせていくジャムバンド・シーンで高い評価を得た彼ら。オーセンティックなアメリカンルーツ(カントリー&ブルースなどなど)音楽をベースにしたユッタリとしたグルーヴと、とっても風通しのイイギタープレイが実に気持ちイイ。大らかで実にピースフルな質感、おそらく野外の広いステージで聴いたらなんと気持ちイイことでしょう。それでいて大味になり過ぎないきめ細やかさも兼ね揃えてる。ステキです。一曲目の「CATHEDRAL」は、ブルーな出勤時に敢えて大音量で聴いたりしてます。朝日にマッチするキラキラな楽しさがあるのです。
●この音源を知ったアタリで(実はもう一昨年くらいのコトなのですが)、ボクの中に突如ジャムバンドブームが起こるのです。そこでチョイチョイ買い集めていった音源を、いくつか紹介します。

GRATEFUL DEAD「AMERICAN BEAUTY」

GRATEFUL DEAD「AMERICAN BEAUTY」1970年
ジャムバンドといえば、とりもなおさず GRATEFUL DEAD のコト、と誰もが言う。1960年代のサンフランシスコで生まれたロックバンドで、フラワームーブメント/ヒッピーカルチャーのアイコンとして名高い存在。レコードセールスの部分で大成功する場面はなかったが、精力的なツアー活動と、興に乗れば8時間だって演奏し続ける奔放なライブパフォーマンスで分厚いファン(デッドヘッズと呼ばれる人々)を獲得。サイケデリックロックの王者として長く君臨する。…と、教科書的な紹介もできるんですけど。でもね。
スタジオ盤の彼らは、すんごくフツウなカントリーロックの佇まいを地味に見せるだけで、そのあまりにデカイ武名に直接結びつくビックリするような仕掛けがナニもナイ。いやこんなコト言ったら「オマエなんも分かっちゃいないねアホめ死ね」って怒られるかもしれない。でもね、マジでフツウなんですよ。拍子抜けする位。コイツは比較的最近に入手…レンタル落ちを300円で買ったヤツなんだけど、他のアルバム「AOXOMOXOA」1969年とかを聴いた時も同じ印象を抱いた。
●ただね、やっぱこのバンドはライブこそが真価なのかも知れない。同時期のライブ盤「LIVE/DEAD」1969年の演奏とかは全然表情が違う。スタジオアルバムではフツウなカントリーロックに聴こえる楽曲には、自由な即興演奏を膨らます余地がふっくらたっぷり用意されてて、そこからダイナミックな演奏へと花開いていく。インプロビゼーションこそ命。ジャムセッションこそ命。だからこそ、ジャムバンドと呼ばれるワケだということ。納得。DAVE MATTHEWS BAND の記事にも触れたが、ライブ演奏をテープ収録するテーパーがその音源を交換する文化が根付いていったというコト、そしてツアーの全部に帯同するほどのコアなファン(デッドヘッズ)が大勢いたコトは、つまりスタジオアルバムではバンドの音楽の本質には到達できないぞ、だからライブは全部見逃せないぞ、というコトが前提になっているのね、とボクは解釈している。ライブが本質ってなると、もはや書斎派のリスナーであるボクには永遠に追いつかない音楽ッてコトだなあ。
●ちなみに、このバンドのキャラクター(なのかな?)にデッドベアって名前のくまちゃんがいます。膨大な種類とスゴく多彩な模様が印象的で、コレクターもいるって話。実はボクも20匹くらい持ってて、今では息子のベッドの枕元に並べてあります。首にはタグがついててそのくまの名前(基本はバンドの曲名に由来してます)と、誕生日(その曲が演奏された年月みたい)とエピソードまで書いてあります。でも、ボクはそのタグの意味が最初わからなくって全部捨てちゃったんだよね…とほほ。初期バージョンはプレミアまでついてて入手が困難!

PHISH「JOY」

PHISH「JOY」2009年
GRATEFUL DEAD はヒッピーの時代が完全に終わった80年代においても精力的にライブ活動しておりましたが、中心人物の JERRY GARCIA が1996年に世を去るコトでとうとう活動が終わります。そんな彼らと深くオーバーラップする事でシーンの主導権を譲り受けたのが、この PHISH というバンド。1983年に結成。GRATEFUL DEAD を第一世代とすれば、PHISH は第二世代。MOE. は第三世代かも。そんな感じがする。
●でも、やっぱり佇まいはオーセンティックなカントリーロックと同じに見えてて、90年代にはその存在のユニークさは気付けなかったです。ボクがこのバンドの音源に触れたのは「FARMHOUSE」2000年の頃。その後「UNDERMIND」2004年リリースを経て彼らは解散します。…と思ったら、実は2008年に再結成してて、そんでこのアルバムを出してた。これもレンタル落ちで300円だったねえ。
●で、相変わらずのフツウな佇まいは、そのまま肩のチカラを抜いて聴ける気楽さになってて、その音楽は大空に散らばり気持ちよく溶けるようなピースフルなオーラを振りまいている。ロックに極端な過剰さとかしかめっ面の意味深さとかを要求しないでおれなかった20歳代とは違って、アラフォーぶっこいてやや疲れている今のボクにはちょうどイイ湯加減なのはマチガイナイ。まさしく「JOY」
●終盤に登場する13分超えの大曲「TIME TURNS ELASTIC」は、その名の通り、時間がやわらかく伸縮自在になっていくような陶酔感を感じさせる。ここにはいわゆるジャムバンド的なインプロビゼーションの妙技、激しく展開するプログレッシブさ、コスミックなジャケを連想させるようなサイケデリック感覚が、豊かなレイヤーをなしてキラキラしてる。ジャム!
●ちなみに、このアルバムのプロデュースは STEVE LILLYWHITEDAVE MATTHEWS BAND とも深いつながりのある人物。ジャムバンドシーンにおいて、重要な影響を持っているのかも。

TREY ANASTASIO「TREY ANASTASIO」

TREY ANASTASIO「TREY ANASTASIO」2002年
●コイツは誰か?といいますと、PHISH のギタリスト/ボーカリストであり、重要なソングライター。コレはそんなヤツのソロアルバム。PHISH としてのバンド活動の他、活発なソロや別ユニットの活動も熱心にやってるオトコなのです。まーそんな前提をおきつつ、ボクのジャムバンドに対する素朴な疑問をココで投げかけてみます。
ジャムバンドのコトを調べようとアレコレ検索すると、イロイロなジャンルのごった煮という話がでてきます。 サイケデリックロック、ファンク、プログレッシブロック、ブルーグラス、ジャズフュージョン、ブルース、カントリー、フォーク、ワールドミュージック、エレクトロニカまで呑み込むジャンル越境的な音楽だと。ただし、今のトコロ、GRATEFUL DEAD PHISH の音楽はそこまでなんでもかんでもブチ込んだ音楽には聴こえない。何回も言ってますけど、フツウのカントリーロックな佇まいが基本姿勢じゃないですか。つーか、この表現はちょいと欲張り過ぎなんじゃないの?よくわかりませんよ。
●というボクの戸惑いに、この人のソロはわりとクッキリと答えを与えてくれます。PHISH を離れるとこの人は容赦ないジャンル越境の挑戦と冒険を仕掛けます。このアルバムでは大勢のブラス隊を引き連れて、ハイスピードなジャズファンクを鳴らします。リズムは複雑でアフロキューバンなテイストさえ呑み込んでます。タフなリフロックを鳴らせば CREAM みたいなカッコよささえ漂います。そもそもが超絶テク系のギタリストさんでもあるので(じゃなきゃ即興演奏が命のジャムバンドはこなせないよね)、芸の幅が非常に広い。
●他の活動では NEW YORK PHILHARMONIC と共演したり、PRIMUS のベース LES CRAYPOOL THE POLICE のドラム STEWART COPELAND(どちらも超絶テク系ミュージシャンですね)とユニットを作ったり。DAVE MATTHEWS とは、DAVE MATTHEWS & FRIENDS という名義で共演してる。ジャムバンド系の人脈関係〜ピープルトゥリーも目を離しちゃイケナイね。

SIM REDMOND BAND「TEN 」
SIM REDMOND BAND「TEN TIMES AROUND THE SUN - VERY BEST OF SIM REDMOND BAND」1999〜2009年
●こちらもジャムバンド系のアーティスト。やはりカントリーロック風の佇まいを持ちながらも、わりとリズムやグルーヴにはふくよかなミクスチャー感覚が最初から忍び込んでて、ピースフルなレゲエ/カリビアン/アイランドサウンドの気分が漂ってたり。ニューヨーク州の山の中の出身なのにね。女性シンガーが前に出てくる場面もあるツインボーカル体制が、どことなく JEFFERSON AIRPLANE を連想させる。このベスト盤は10年分のキャリアとアルバム7枚分のハイライトが詰まってる。


●今日紹介したジャムバンドたちは、ロックサイドからのアプローチだったけど、ジャズサイド、ファンクサイドからのアプローチによるジャムバンドも大勢いる。別の場面で、そんな音源も紹介したいものです。


●関連音源。あえてCD音源で。ライブの雰囲気はご自分で探した方がいいと思って。









●Eテレのドラマ「glee」シーズン2が終わっちゃって、ひとまず地上波放送がなくなっちゃった。
「glee」で取り上げられた音楽を、どこかでまとめてみたいな。

●Eテレ「スコラ 坂本龍一音楽の学校」アフリカ音楽を取り上げてる。ポリリズム、複雑な多重リズムの由来を、ジャングルの中での様々な鳥や動物が別個のリズムでたくさん鳴き続けているトコロに結びつけた解釈に、なるほどメチャメチャ納得してしまった!



●読書の時間。

黒田夏子「abさんご」

黒田夏子「abさんご」。芥川賞受賞作品。
芥川賞が発表されたら必ず「文藝春秋」でチェックするようになってどのくらいたっただろう?かつてのボスが「芥川賞くらい全部読んどけ!」と言ってたのを真に受けたのが最初のキッカケだった。結果的には、コレは自分でもナニゲに気に入ってる習慣だ。だって、フツウに生活してたら絶対に巡り会わない書き手や文章に出会えるんだもの。
●今回の「abさんご」も素晴らしかった。ぶっちゃけ、素晴らしく読みにくい。その読みにくさを乗り越えていくと、その独特の文字/言葉のの選び取り、カンマの配置、不思議なリズム感などなどにこちらの感情が共鳴、声に出して読みたくなる衝動さえ抱き始め、白く濃いもやの中を手探りに歩いていくような世界への没入感に到達できる。日本語の可能性の素敵な奥行きにタメ息をつく思い。
●作者の黒木夏子さんは、すでにニュースで話題になってますが、お年が75歳。遅い小説家デビューってことになってるけど、同人誌を舞台にずっと文章を書いてきた人。作品の流麗さがあまりに鮮やかなので、センス一発で書きこなしてるかのような気分すら感じてしまうけど、実は何度も推敲を重ねて納得いくまで突き詰める結果、作品が一本仕上がるのに十年かかるという!年齢を重ねた分だけの研鑽がこの独特の優雅さが溢れる文体を作り上げてると納得。作品「abさんご」に描かれてる人物は、もしかしたら黒田さんご本人なんだろうか?と思ってしまうような、印象のダブりさえも感じる佇まいにもシビレル。

黒田夏子(黒田夏子さん)


●今回は直木賞もチェックしたい。朝井リョウ「何者」。この人はあの「桐島、部活やめるってよ」の著者。23歳。
●病院のロビーで週刊文春を読んでたら、人生相談コーナーで「23歳の同い年で活躍している朝井リョウさんに嫉妬しています。会った事もない人に嫉妬する私はおかしいでしょうか?」という質問を見つけた。23歳はそういうお年頃なんでしょうね。「27歳でジミヘンもジャニスもカートも死んだのに、オレはまだ何者にもなってません!」と酔っぱらってコボすヤツにボクはよく会います。
「桐島」はまず映画から見たい。原作者も若いんだけど、映画「桐島」でも若い才能が活躍してるんです。この映画をプロデュースした枝見洋子さんという女性はなんと制作会社への入社一年目でこの企画を立ち上げ、原作権の獲得から監督の指名まで携わったという。で、今年のテレビ業界のATP新人賞を受賞している。だから、DVDレンタル開始日が待ち遠しかったんだけど、やっぱり一瞬で全部貸出し中。明日もビデオ屋に行こう。


伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」

伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」
円城塔芥川賞で知った作家さんです。そんで芥川賞という接点がなければ縁がなかったかも。この人もこの人で独特のとっつきづらいスタイルを持ってるもんですから。伊藤計劃さんは既に故人で、その伊藤さんが遺したプロローグを円城塔さんが引き継いだというカタチのダブルクレジット。1878年を舞台にしたサイバーパンク。わお!と思える有名な人物が次々と登場して大活躍します。伊藤計劃さんも読みたい。


山口昌子「シャネルの真実」

山口昌子「シャネルの真実」
誰もが知ってる偉大なデザイナーなのに、その出生は誰も知らない知られちゃいけない。生前の本人が虚実入り交じった証言を遺し、時には伝記作家が書いた文章を封印させたりもした。そんな謎多きシャネルの生涯を探るルポ。実は彼女は極貧家庭の出身で少女時代のほとんどを孤児院で過ごしたという。そして第二次大戦下では対独協力の疑惑も。女性が女性らしく、しかも男性に依存せず独立して生きる、という人生をたった一人で切り拓くということの苦難と、そのタフさを備えさせた厳しい生い立ち、に畏怖。

小田急線、下北沢駅周辺。とうとう地下化します。

3月23日に、下北沢駅周辺の小田急線が地下化します。

来月23日から、地上線路は使われなくなり、踏切と線路の撤去が始まります。

●ここから街の景色はどんどん変わっていくでしょう。今の下北沢を写真に収めておこうかな?ウザいと思ってた踏切も、サヨナラが決まるとなんだか愛おしい存在に思えてくる。
●そして、注目の線路跡地利用と、補助54号線という意味のナイ道路計画で商店街の多くが立ち退きを強要される問題が、より目に見えるカタチで迫ってきます。さて、どうなることやら。

●小田急の公式ページはこちら。
http://www.odakyu.jp/company/business/railways/four-track-line/3/

我が家は新聞をとることにした。昨日から東京新聞がやってきてる。

東京新聞をとる

スキーは16年ぶりだったが、ボクが新聞をとるのは17年ぶりだ。大学四年生の就職活動以来、新聞とは無縁。
●あんなモンわざわざ金だして読むほどのモノじゃない。正直、会社に行けば一般紙からスポーツ紙まで全部チェックできるし、実際チェックするのが仕事だった時期もあった。だから、わざわざゴミになるだけ、紙資源のムダ、と思って我が家が新聞をとるコトはなかった。二年前くらいの娘ヒヨコは「新聞紙」という言葉を知らなかったので「あの、あの、ジジが時々読んでる大きな紙!」とか言ってたよ。コドモたちの学校工作の材料に使ったりするのがメンドクサかったね。学校社会じゃどこの家庭も新聞はデフォルトで購読してると思ってやがる。我が家のコドモは新聞より前にネット検索を知った世代だよ。

●しかし。思うことがあって。
最近は LINE が毎日ニュースを送ってくるでしょ。あれにイラッとする瞬間がある。アソコから、ニュース記事のリンクを踏むと LIVEDOOR のニュースポータルに飛んで、妙にくだけた記事の要約に辿り着く。ご丁寧に「ざっくり言うと」というフレーズまでついてる。LINE にざっくり要約されないとニュースも読めんのかオマエは!って言われてるような気分になった。冷静に考えると、LINE のニュースも YAHOO! トピックス記事の選択に思想やジャーナリズムはない。広告媒体としてのクリック回数至上主義しかない。そりゃダメ。いかにマスゴミと叩かれていようと新聞を購読して、記事の裏表を読み取る訓練が必要だ。いやいや、ボクが訓練するんじゃなくて、コドモたちに読ませ、訓練させるのだ。時事問題に強くなって多様な世界観と様々な情報ソースに触れておかないと、情報弱者になってしまうからね。流言やデマにダマされちゃうよ。

なんで東京新聞かって?
一番安いから。実は友達が勤めてるから。そんで、記事の選び方にクセがあるから。一応、東京ローカルという体裁があるから、地域の奇妙なマニアック情報が出てくる。4月1日のエイプリルフールには必ずデタラメな記事を大マジメに書いてユーモアのセンスを見せつける茶目っ気もスキだ。新聞は無味乾燥のように見えるけど、結構ナカナカに人間クサい。読み手側が勝手に偉そうだとか、デカイシステムだ、と思い込んでるから、過度な期待を裏切られた時に「マスゴミだ!」みたいな印象を持つコトになる。新聞はマスプロダクト製品じゃない。結局、アソコで字を書いてるヤツも人間なのだ。だから、一番その人間クサさが匂う新聞を選んだ。

●息子ノマド、さっそくジャパネットたかたの全面広告にヤラレル。「ルンバが今日だけ4万円なんだよ!買わないとダメだよ!」こんなベタな広告に食いつかれるようじゃダメだ、もっと広告に慣らしとかないとダメだな。

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「ざっくり言うと」こんな記事しか読まないヤツと思われたくないし、コドモにもそうなって欲しくない。
●付け加えると、読売コドモ新聞も購読することにした。コレは週一で、結果一番安いから。娘ヒヨコでも読めるだろう。

「首相官邸」が妙になれなれしく LINE TWITTER でメッセージを投げてくるのも、なんか違和感を感じる。北朝鮮の核実験もつつがなくメッセージを送り込んできてるが、「オレらちゃんと仕事してるんで情報もキチンと把握してますよ」アピールのように見えて、なんかヘンな感じがする。



●さて、ここのところ、ヘビロテだった音楽を。

DAVE MATTHEWS BAND「UNDER THE TABLE AND DREAMING」

DAVE MATTHEWS BAND「UNDER THE TABLE AND DREAMING」1994年
●2月アタマのプロジェクトは、自分の中じゃかなりキツくて余裕のない状況が長く続いてた。2007年に病気でカラダを壊して以降は、極端なハードワークを避けてきたし、正直アレコレを真っ正面に抱え込むのがコワいと思うようになってる。それでもやらなきゃイケナイ時はあるし、今回がその場面だった。
●労働時間も伸びるし、安定剤も増えるし。神経が目に見えてわかるほどピリピリしてて、丁寧にオペレーションしないとブッ壊れそうになってた。ブッ壊れるってどうなるか?また二年くらい会社を休むことになる。…そんなテンションだと音楽も聴くモノを丁寧に選ぶ必要がある。そんで行きついたのがこのバンドの音楽だった。ロックバンドのカタチを取っているようで、より多様な音楽を内包して、そんで都会の洗練をクッキリと切り取ってるようなタイプの音楽。無理に扇情的にならず、不必要にダウナーでもなく、心地よいテンションを継続するための音楽。
●このCDは、このバンドのメジャーデビューアルバム。コレがリリースされた1994年頃に、大学生として2年連続アメリカ旅行をしてたボクは、ホテルのケーブルテレビでこのバンドの音楽ビデオを見てた。「ANTS MARCHING」という曲だ。爽やかなソプラノサックスとバイオリンがひらひらと活躍する曲だ。そんでサックスとバイオリンはこのバンドの重要な個性。アリのように働く都市生活者をちょっと皮肉った歌詞とビデオは、当時まだサラリーマンじゃなかったボクにとってあまりピンとこなかったんだけど、まー今はどっぷり身も心もサラリーマンなんでねー。毎日アリのように働いてるのは事実だけど、昔ボンヤリと抱いてたイメージと違うのは「毎日が同じコトの繰り返し」なんてコトは起こらないってコト。毎日新しい敵が現れてボクを苦しめる。油断のスキもありゃしない。毎日スリル満点で退屈したコトがない。毎日限界まで追いつめられる。それがボクのサラリーマンライフ。

DAVE MATTHEWS BAND「BEFORE THESE CROWDED STREETS」

DAVE MATTHEWS BAND「BEFORE THESE CROWDED STREETS」1998年
●このバンドのメジャーでのサードアルバム。もうちょいこの DAVE MATTHEWS という男を説明すると、実は南アフリカ・ヨハネスブルグ生まれ、父親の仕事の事情でアメリカやイギリスで少年時代を過ごし、故郷の高校を卒業すると、兵役を拒否するために渡米する…それが1986年のこと。その後ヴァージニア州シャルロットビルのローカルシーンでバンドを結成。メンバーは当地のジャズシーンで活動してたミュージシャンで、デビュー前からサックスプレイヤーとヴァイオリニストを備えていた。このバンドがあまりロックっぽくないのは、そのメンバーの由来によるのかもしれないし、コスモポリタンな育ち方をした DAVE MATTHEWS の性質によるのかもしれない。
●だからドラムもベースもなかなかにネバツくファンキーさを持ってるし、サックスが醸し出すジャズのようなスムースさも持ってるし、フィドルのように響くバイオリンと DAVE 本人のアコースティックギターはトラッドフォークみたいに聴こえる瞬間もあるし(バンジョーが効果的に鳴ってる瞬間もある)、ラーガロックみたいな中近東風のフレーズが飛び出したりするし、とてもジャンル越境的な音楽性を持っている。それも単純に様式を折衷するというコトでなく、非ロック由来のミュージシャンシップが内在してる技術がたまたまロックバンドっぽい枠にハマってる感じというか。ゲストも多様でユニーク。ALANIS MORISSETTE がボーカルで2曲に参加。現代音楽の分野で活躍する四重弦楽奏ユニット KRONOS QUALTET が参加してる…このユニット、STEVE REICH から JIMI HENDLIX までをレパートリーにして、BJORK から ALLEN GINSBERG、ASTOR PIAZZOLLA などと仕事してる連中でメチャ注目。
●そして、旺盛なライブ活動でも有名。ライブ盤の数がハンパなく「LIVE TRAX」というシリーズだけでネット配信版含めて22本もリリースされてる。この意味で2000年代から存在が目立つようになるジャムバンドシーンともシンクロしてる。さらに彼らのジャムバンドっぽい性質を象徴してるのが、テーパーの存在を許してるコトGRATEFUL DEAD の時代からジャムバンドシーンでは、ファンの私家録音ライブ音源が好事家の中で交換されたりしていた。これらのライブ音源を収録する人間がテーパー(TAPER)と呼ばれており、録音行為をテーピング(TAPING)という。このバンドは、ファンが自由にライブを録音する事を認めており、一時期はライブPAに直接結線して音源収録までさせてたという。とはいえコレを営利目的に利用するのはダメ。ファンの間で「交換」するってのがお行儀なのよね。ナップスターから始まるピア・トゥー・ピア技術の登場で、この手の音源も大分交換されてたような気がする。この手のユニークなポリシーを持ってるバンドを他に探すとすれば、THE BLACK CROWS だね。
●さて、メジャーデビュー盤「UNDER THE TABLE AND DREAMING」、そして次の「CRUSH」、そんで本作「BEFORE THESE CROWDED STREETS」は、U2 などの仕事で知られる大御所プロデューサー STEVE LILLYWHITE と組んで制作されてる。しかし4枚目で彼とバンドはモメまして、収録音源はお蔵入りしちゃうのです。しかし、インターネットの普及と前述のナップスターの登場で、2001年にこの音源が流出しまして。結果的にこの音源は「THE LILLYWHITE SESSIONS」という名前のブートレグとして世間に広まってしまうのです。STEVE との仕事をチャラにして作り直したアルバム「EVERYDAY」が商業的過ぎるという批判もあって、こんなコトになっちゃったらしい。ちなみに去年リリースした現状の最新スタジオアルバムで、STEVE とバンドは復縁してる。

DAVE MATTHEWS BAND「STAND UP」

DAVE MATTHEWS BAND「STAND UP」2005年
●さて、ちょい時代を空けましてのメジャー六枚目のアルバム。なぜかヒップホップ〜R&B畑で活躍してるプロデューサーMARK BATSON というオトコを起用してる。DR. DREEMINEM、SNOOP DOGG とかと仕事してるオトコですよ。意外だなあ。でもバンドの印象は全く変わらず、むしろ、より高密度な音の引き締まりを感じるほど。ただし、ストレートなジャムバンド系の音とは雰囲気が違う…そもそもこのバンドのアルバムはどこか高度に洗練されてて、土臭いライブを重んじてる他のジャムバンドがその雰囲気をそのままアルバムに吸い込ませようとしてる姿勢とは微妙に立ち位置が違うような気がする。熱心なファンから見ると、STEVE LILLYWHITE の時代の方がずっとイイコトになってるみたいだけど。


●関連動画「ANTS MARCHING」




●関連動画「THE LAST STOP(LIVE IN CHICAGO)」



なぜか、群馬県川場村という場所でスキーをやってきた。

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今回の旅行の企画者は、長男ノマド11歳だ。
●群馬県川場村には、世田谷区の保養施設「なかのビレッジ」がある。ココがナイスな場所だとノマドが主張。ヤツは去年夏の林間学校でココで一泊二日を過ごしてきたのだ(つーか世田谷区の全ての小学校がココを利用してる)。「星がスゲえイッパイ見える!」「リンゴ畑がイッパイある!」100%都会生活者の我がコドモたちは、ワイルドネイチャーあふれる田舎の土地ににキョーレツな憧れがあって「川場村には信号が三つしかないんだぜ!」とかいうポイントにメッチャ魅かれるのである。結果、今回の旅行の目的は、この川場村で夜空をもう一度眺めるコトと、スキーをやるコトとなった。上越新幹線・上毛高原駅から送迎ワゴンで30分で、「なかのビレッジ」に到着。ココからさらにバスで30分、川場スキー場に到着。
実はボク、スキーは16年ぶりである。最後にスキーしたのは新入社員の年。高校〜大学時代は毎シーズン何回か滑ってたけど、仕事に就いてからはそんなヒマはまるでなかった。コドモとワイフは最近ジジババたちとスキーしに行くようになったのだが、それでもボクだけが日程あわず棄権。「パパはスキーが出来ないに違いない」という不本意なイメージまで熟成されてきたので、ココで一発イイトコロと奮起した。…でもサスガに長いブランク、ホントに出来なくなってても不思議じゃないと思ったけどね。
●川場スキー場は緩斜面中心の初心者に優しいコース。広いゲレンデをワイドに使ってパラレルをサクサクと滑る。おっ?ナニゲにちゃんとイケルもんじゃん!娘ヒヨコも「パパ、思った以上にちゃんとスキー滑れるんだねー!」と感心してくれた。ただ、持久力が足りなかった。無謀にどこまでもボーゲンで突っ込んで行くド根性スキーで、中級コースも乗り越えて行くノマドヒヨコのコドモパワーが現役の強さを見せつけてくれる一方、技術と経験でリードしてるはずのボクがハアハア息切れ起こして追い詰められてる。シンドくてしょうがない。ヒザとモモの筋肉がガクガク。午後の時間ともなると姿勢の制御が出来なくなってきて、無意味にコケる。宿からのお迎えバス時間に間に合わすために、レンタルスキーをバタバタ返却してバス停まで走ったら、もうゲロ吐きそうになってた。甘いソフトクリームと熱い紅茶をイッペンに摂ってなんとかヒトココチ。
●川場村の夜空は確かにキレイで、北斗七星とカシオペア座、オリオン座とこいぬ座の一等星プロキオンがパキパキに輝いていた。寒くて寒くて、落ち着いて見てられなかったけど。

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●都会ッコのノマドには、つららだって新鮮!「ロンギヌスの槍だぜ!」


●今週見つけたヒップなアイドル音源、からのインドネシア産ダンスミュージック。

9nine「イーアル!キョンシー feat 好好!キョンシーガールズ」

9nine「イーアル!キョンシー feat. 好好!キョンシーガールズ」2012年
9nineは、女優としても立派に活動してる川島海荷ちゃん含む5人組のアイドルグループ。群雄割拠のシーンにおいてはすでにボチボチの活動歴にはなるけど、明確なポジショニングがイマイチで、ちょっぴりザンネンな存在でもある。所属事務所はレプロエンターテインメントというシッカリしたトコロ(新垣結衣ちゃんとかいます)なんだけど、なまじシッカリしすぎて、大胆なブランディング、つまりはアザトイB級感が演出しきれてない気がします。
そんな彼らが、かなり斬新でB級感に振り切ったアプローチでこのシングルをドロップしてきて、思わず唸った。テレビ東京のB級感全開ドラマ「好好(ハオハオ) ! キョンシーガール〜東京電視台戦記〜」の主題歌であるこの楽曲、なんとインドネシア産のクラブミュージック、ファンコットを採用してるのだ。いやー、アイドル業界はホントにスゴイよね。過激な差別化のためならキッチュなローカルミュージックだってガッチリ援用する。マジで侮れない。だから目が離せない。
ファンコット(FUNKOT、またはファンキーコタ FUNKY KOTA)は、本来はハウス/トランスから派生したダンスミュージックなんでしょうけど、インドネシア独自のファンク解釈が加わったせいなのか、テンポがアホみたいに超高速化されてて、そのヤリスギ感が笑えるほどキッチュな味わいを出している。結果的にスゴく饒舌になったビートの連打が音楽の重心をスゴく上に設定して、祭り囃子のような上下運動のアゲアゲ感を作り出す。そんで、欧米のポップミュージックやブラックミュージックとは別の文脈に由来する独特のグルーヴをひねり出してる。
●ココに中国妖怪「キョンシー」という、これまた奇妙なテーマ素材が加わって、この楽曲はだいぶマヌケなノベルティチューンになってる。だいたいキョンシーって、今の若者たちは知らないでしょ!そのツッコミに対しては、この曲の中ですでに開き直ってて「海荷の知らないエイティーズ!霊幻!幽幻!来来再来ブーム到来?そんなの知らない!仕方がないから戦うよ!」そうだよね、80年代だから知らないよねー仕方がないよねー。確か香港映画の「霊幻道士」の方がメジャー感があった(今検索して知ったけど、プロデューサーはサモハンキンポーじゃないか!)んだけど、台湾映画の「幽玄道士」にはテンテンちゃんというカワイイ子役少女が出てて、個人的にはソッチが好きでした。十数年前の「あの人は今?」的特番で、成人したテンテンちゃんがキレイなOLさんになって台北で暮らしてるのが紹介されてたっけ…と思ったら彼女、今は日本の芸能界に進出してて現在松竹芸能所属じゃないか!
●で、家でコレを聴いてたら、娘ヒヨコが反応して、ぴょんぴょんキョンシーのジャンプをはじめた。あれ?ヒヨコ、キョンシー知ってるの?「うん、どう森(「とびだせどうぶつの森」の略)の前に流行ってた!ホンモノは見たことないけど、みんなぴょんぴょんしてたよ!」ああ、そうなの…。

DJ JET BARON「FUNKOT ANTHEM」

DJ JET BARON「FUNKOT ANTHEM EP」2013年
●さて、こんなキッチュな音楽をプロデュースしてるのが誰か?というと、日本には好事家がちゃんといて、このインドネシア産音楽ファンコットをベースに活動してる人がいるのです。レオパルドンなるテクノユニットがこの分野の第一人者で(つーか、他にファンコットやってる人は知らない…)、この中心人物、高野政所 A.K.A. DJ JET BARON さんが 9nine のシングルも手掛けてる。
●個人的には、ボクはこの人たちのブログを結構前からブックマークしてまして(彼らのブログはこちら「レオパルドンのイルカがせめてきたぞ」)、その猛烈なユニークネスをめっちゃリスペクトしておりました。そもそもは、思いきりハードコアなテクノ(当時オランダ方面にガバ GABBA というスラッシュメタルのようなテクノシーンがありました)にバカバカしいアニメネタをサンプルして織り込む、ナードコアというスタイルの音楽を第一世代として担った人たち。ボクは90年代のサブカル雑誌「クイックジャパン」の特集でそのシーンの存在を知り、チョイチョイこの辺の音源に接触しておりました。SHARPNEL というユニットの「SHARPNEL vs PROJECT GABBANGELION」1998年という名譜があります。
●ということで、元来からこの人たちには強力な雑食性と絶妙な編集センスがあるわけで、世間のスノッブな価値観では捉えらない感覚が光ってるワケです。そんな彼らがインドネシアの奇妙なダンスミュージックに到達したというのだからスゴイ!ハッキリいって日本でどうやったら本場のファンコットを聴けるのか全然分からなかったのですけど、YouTube とかで聴こえてくる音は強烈なパワーを感じました。フィラデルフィアの辣腕プロデューサー DIPLO がブラジルのゲットーミュージック、バイレファンキに注目したのとシンクロする感覚だと思いましたね。ちなみにインドネシアは80年代のワールドミュージック発掘時代にもダンドゥットというスタイルの奇妙なポップミュージックで注目を浴びてました。
●この音源は、ネット限定配信で EMI ミュージックジャパンからリリースされてる物件で、ナゼだかマイアミベースみたいなジャケになってます。実際、饒舌なビートの連打で重心が高いとは言いましたが、野太い重低音ベースがエグいのも事実で、現在世界中で鳴らされてるベースミュージックの一種ということもできます。イギリス人女性の攻撃的なラップを備えた表題曲や、ジャーマントランスのヒット曲 BELLINI「SAMBA DE JANEIRO」ファンコットカバー、滝廉太郎「古城の月」エピックトランスファンコットに仕上げた珍曲も搭載してます。これで600円はオトクすぎる!


そんで、イギリスのファンキーなダブステップの世界へ。
「RIDDIM BOX - EXCURSIONS IN THE UK FUNKY UNDERGROUND」
VARIOUS ARTISTS「RIDDIM BOX - EXCURSIONS IN THE UK FUNKY UNDERGROUND」2010年
●ボクの大好きなイギリスのレーベル SOUL JAZZ RECORDS が送り出す、ポストダブステップのコンピレーションです。本来は再発系レーベルだった SOUL JAZZ現在進行形のシーンに本格的にコミットし始めたのがこのダブステップの世界。彼らは「BOX OF DUB」シリーズ、「STEPPA'S DELIGHT」シリーズなどのコンピを2007年から繰り出して、このシーンの最前線を伝えてきました。そんなダブステップが一区切りついてきた2010年代のトッカカリに、このレーベルは「FUNKY、ファンキー」というキーワードを用いて、次のシーンの様子を切り取ってきました。ココに前述のインドネシア音楽、ファンコットがシンクロして聴こえてくるのです。
●つんのめるような寸止め感をグルーヴにワザと漂わせるダブステップの鬱屈たる佇まいから進化、よりシナヤカでグラマラスな立ち振る舞い、粘り着くような高密度ビートに宿るファンクネスを特徴とする新しいスタイルがココに聴こえてきます。アルバムタイトル「RIDDIM BOX」に嗅ぎ取れるように、ココにはジャマイカ由来のダンスホールレゲエ感覚があるし、90年代のジャングル、ドラムンベース、00年代のUKガラージ、グライムのレイヤーも織り込まれてます。デトロイトテクノアシッドハウスレゲトンクンビアなどの音楽も溶け込んでます。
●コレら様々な地域や時代の音楽を援用して貫かれている美学はナニかといえば、「ファンキー」または「ファンクネス」という言葉に着地します。ココでボクは「ファンクネス」を、一撃一撃のビートを微分的に積み上げてその一瞬の快楽を無限に反復するミニマリズムと定義しておきます。フツウのポップミュージックが、前の4拍から次の4拍へ、前の小節から次の小節へ、前のメロディから次のメロディへと、時間軸と共に楽曲が展開していく構成を前提として楽しむフォーマットとするならば、「ファンクネス」は、その一瞬の前も後も関係なく、その目の前の打撃/ビートだけで成立し、行き先も分からず次の一撃を打つコトだけで推進するフォーマットであります。その意味では、同時代の地下イギリスとインドネシアで鳴っている二つの「ファンクネス」は同じモノを目指してて、地球を串刺しにするようなシンクロニシティにボクは震えるような感動を感じるのです。

「FUTURE BASS」
VARIOUS ARTISTS「FUTURE BASS」2010年
●前述「RIDDIM BOX」とほぼ同じタイミングでリリースされたコンピ。ここでもポストダブステップ状況の中での新しいタイプのファンキーなダンスミュージックが鳴っております。ぶっちゃけ、アーティスト単位の名前ではほとんど把握できてない感じ…。比較的有名なのは FOUR TET とか?「STEPPAS DELIGHT」シリーズにも登場していた LD、RAMADANMAN とかはマジでカッコイイ。
「RIDDIM BOX」の方のアーティストもチェックしておくと、ダブステップの中心的レーベル HYPERDUB の創始者 KODE 9 や、2ステップの貴公子と謳われた MJ COLE が活躍してる。あと気になるのは TUBBY T、NB FUNKY、GHOST ON TAPE、CRAZY COUSINZ とか。

「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2008-2009」
「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2006-2007」
VARIOUS ARTISTS「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2008-2009」
VARIOUS ARTISTS「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2006-2007」
SOUL JAZZ RECORDSダブステップにコミットした痕跡がこのシングル集に収められてます。ダブステップのオリジネイター DIGITAL MYSTIKZ SKREAM、KODE 9、そして RAMADANMAN、GOTH TRAD、WARRIOR QUEEN、LADYBUG の顔が見えてます。
●このシングル集は純然たるダブステップコンピじゃないから、ミニマルファンキーなテクノや、ストイックなエレクトロニカも混じってます。12インチ音源だから1曲の尺も10分くらいあったりしてスゴく長いし。ディスク3のボーナスミックスCDがカッコいいですわ。コレらの音源がスキー帰りにハマった関越道のソリッドな渋滞イライラを、クールにチルアウトしてくれました。




●動画「FUNKOT ANTHEM」。




●さて。久しぶりにブログ更新します。

2月アタマのプロジェクトはなんとか無事終了。
●半年間かけて準備して、最後はもはや「祭り」ってくらいの混乱ぶりでピークを迎えて。いつのまにか実質上のプロジェクトリーダーになってて(最初はそんなつもりじゃなかったのになあ)、パートナー関連5社全ての調整に奔走しましたよ。今だに自分の仕事を客観化できてないけど、目の前に上がってきた数字は結構な成績だし、「社内報で大きく紹介するから明日までに原稿を」とか「メディアで紹介されるから公式サイトからリンクアウトしろ」とか「コンテンツ再利用のための権利処理はどうなってる?」とか各所からの問合せがナニゲに切れなくて、事後処理も結構メンドクサイ。

今回の仕事では facebook が大活躍した。
●なにしろ、プロジェクト全体の意思決定が数社の合議で決めなくちゃイケナイってのが今回のプロジェクトの最大のミソでして。これを週二回の会議でこなそうとしても全然はかどらない。会議自体も6時間とか平気でやるんですよ。でも案件が多いのと、各社のポリシーや仕事のスタイルが意外なほど違っててちっともペースが加速できない。
●そこで、facebook グループをたくさん作って、各課題の意見交換や議論、確認をオンラインで当事者全員24時間常に行えるようにした。エンジニアがソースコードの相談をしたり、各社の契約内容を調整したり、グラフィックやアートワークの確認をしたり。リアル会議の日程調整やオフィスへの入構手続きまで、全部ここで相談することに。むしろフツウのメールはほとんど使わなかったです。
●グループにパートナー側のスゴくエラい人が実は入ってたりしてるので、どうにもスタックして動かない案件を「私が引き取ります」とポツリカットインしてくれると、マジでホッとする。直メールをしづらいようなポストの人がグループでヤリトリを眺めててくれるのは助かった。メールよりもくだけた表現でヤリトリできるのもよかった。ワリと感情をアラワにしてコメントすると、みんながソレを汲んでくれるような雰囲気もアリ。
●ただ、誰がいつこの投稿を読んだか、メンバー全員にわかっちゃうのが、メンドクサイ。この相談を読んでるのに、なんでオマエ対応してないんだ?みたいなツッコミを受ける。しかもソレが24時間体制。別件で海外出張に行ってる人までが時差かまわずコメントしてくるのでチェックが怠れない。覚悟なくチェックして「既読」のアリバイが出来ちゃうのも困りもの。マジで一時期 facebook がコワかった。実は昨日もボクが問合せの投稿を読んでなかったため、「なぜアイツはリアクションを返して来ないんだ」というコメントがびっしり書き込まれてて焦った。確かに急ぎの案件だったのですよ、携帯にも8件着信があったし。でも昨日のボクは代休消化でお休みだったのですよん。

一方で、「ろうかとんび」のスタイルも大事だった。
「ろうかとんび」ってナンだよ?と最初は思った。これは今のボス(50歳代中盤)がボクらにやたら説く仕事のスタイル。彼は、アメリカ留学でMBAも取ってるし見た目もグッと若いんだけど、仕事の仕方がビックリするほどドメスティック。ボクら個々人の仕事の内容にはほとんど口を出さないしあまり関心もない模様(プロジェクトの内容も多分半分も知らなかったと思う)、そんで一日の大半を会社の中をウロウロしてエラい人と雑談して過ごしている。ぶっちゃけ違和感を感じた。いったいドッチを見て仕事しているんだと。ボクらは消費者の方を向いて仕事しないとイケナイのに、会社の中しか見てないのでは?ただ彼はこのスタイルを「ろうかとんび」と呼んで、会社の廊下を動き回ってキーパーソンと会って話すことに価値があると、億面なく主張するのだ。
●しかし、今回はボク自身がこの「ろうかとんび」に徹するコトで仕事をすすめる場面が多かった。プロジェクト遂行のために、全く別部門の先輩たちが持つコネクションから権利交渉をする場面があった。失敗すれば、別部門にも迷惑がかかる。彼らにしてみればリスクはあれど自分のメリットにはならない仕事、百害あって一利なし。もうコレはコチラの誠意を見せるべくひたすらその別部門に日参して、アレコレ説明をつくしたり、分からないコトを根掘り葉掘り聞きまくって、交渉が成功するよう必死に作業した。毎日その部長のデスクをボクが訪ねるので「あー、今日は部長16時戻りだよー」と他の先輩が気を使ってくれるくらいまでになった。別のセクションの同僚にメールを送っても全然リアクションがないなーと思ってデスクを訪ねると、毎日 OUTLOOK に未読メールが140件くらい貯まってるのがわかった…彼は同時並行で10のプロジェクトのメンバーに加わってるのだ。そこで隣のデスクの女性の連絡先をもらって、その同僚がデスクに戻ったら連絡をもらえるようにした…平気でそれが23時くらいになるんだけど。デモ機の挙動とかキモのアートワークは、全部肉眼でチェックしてもらって、一個一個確認を対面で刈り取った。キモイところはとにかく会って話す方が早いと考えた。それが朝9時であろうと夜中0時であろうと。
●今回のプロジェクトが終わって、ボスと二人でメシを食う場面があった。この人が日々ナニをしているのかが、その時わかった。結局プロジェクトのデティールは最後まであまり分かってなかったボスだけど、この人は日々ボクが社内でアレコレ動いている周辺部署の幹部に会って、ボクの仕事ぶりや評判を聞いて回ったり、フォローをしてまわってたのだ。というか全ての部下が日々の業務で向き合っているセクションやグループ会社の幹部に会ってまわって、仕事が円滑に進んでいるか確認してたのだ。さらにはボクの健康状態が気になって、診療所のセンセイのトコロまで訪ねていったという。そんなことしてたんですか!?実際、現在のクリエイティブに自分がツイテいけないのは、この人シッカリ自覚しているようでして、個々人の若いプレイヤーにアレコレ干渉しない、その代わり、プレイヤーの仕事が高く評価されるように、ひたすら社内プロモーションするのが自分の使命と考えているらしい。なにしろボクらのチームはまだ一年しか経たない新設部署、いぶかしげに思う人もいれば、やっかむ人もいる。チームを守るためにも必要な行為だ。ああ管理職ってこんなこと気にするんだーと感心した。一方で、管理職にはなりたくないもんだーとも思った。



●で、久しぶりの休日。

「会田誠展 - 天才でごめんなさい」

「会田誠展 - 天才でごめんなさい」@森美術館
●11月から開催されてたこの展覧会、2月に入ってやっと行くことができた。22時までオープンしてるのもウレシかった。美術館ってことクローズが早いからね。
会田誠を知ったのは「巨大フジ隊員vsキングギドラ」の頃だから…1993年なのか!意外と付き合いが古い!当時ボクは大学生で、日本のポップアート(と当初は捉えてたけど、結果的にもっと突っ込んで「オタクアート」と呼ばれるようになったっけ)がザワザワしはじめる時代だったと記憶してる。村上隆「DOBくん」で登場したり、小沢剛「地蔵アート」「なすび画廊」で登場したり。1999年の「日本ゼロ年展」@水戸芸術館にこの世代の作家が勢揃いしたのを、特急券買ってワイフと見に行ったのも覚えてる。大竹伸朗とかヤノベケンジとか。
●画集は買って読んでてもホンモノに触れるのは久しぶりというか、その後生まれた傑作には初対面。ホログラムフィルムを素材に用いた「切腹女子高生」の過剰なグリッター感は、今まで見てた印刷物じゃ伝わらないパワフルさがあったし、「滝の絵」(フライヤーに使われてるスク水少女の群像)もデティールを見れば見るほどあきれるほどのバカバカしい描き込みがあって笑える。ご丁寧に厚ぼったいカーテンで隠された「18禁コーナー」もあって、「巨大フジ隊員」「食用人造少女美味ちゃん」シリーズ、「犬」シリーズがソコに収められてた。会田ファンとしてはクラシックの位置づけにあるこの作品たちを、今さら「18禁」扱いってのも不思議だが、「ワリと直球にサディスティックな少女偏愛嗜好」という、ナカナカに一般市民社会じゃ鼻ツマミなモチーフに躊躇なく手を突っ込むクソ度胸は、マチガイなく芸術家・会田誠のスリリングな魅力の一面であって、そこを強調しようという演出なら十分納得ができる。
「戦争画RETURNS」シリーズと呼ばれる、これまた「過剰過ぎるナショナリズムやワザと捻った第二次大戦史観の微妙な感情」にズボリ手を突っ込むスリリングな作品群も一同に会してて圧巻だった。日の丸とかチマチョゴリとかゼロ戦とか、血液で描かれた「天皇陛下万歳」の文字とか。そんで画集では伝わらなかったデティールにも感服。原爆ドームとパルテノン神殿を同時に描いた荘厳な作品「題知らず(戦争画RETURNS)」は画面が幾何学的なモノグラムのパターンで覆われてて特殊なクールさを備えてるんだけど、よく見たらそれはビニール製の安っぽい昭和風テーブルクロスの模様でしかなくて「すげーチープな素材!」とシビレたり。そもそも立派な屛風画のような重厚な趣きを持つ「戦争画RETURNS」シリーズ、裏側を見れば全部ボロボロ粗大ゴミ級のキタナいふすまや障子の枠をムリヤリ使っててビックリ。傑作「紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)」も、ゼロ戦の空襲で燃え上がるニューヨーク市街の下地にわざわざ日本経済新聞が使われてるのを実物で発見。あのゼロ戦が攻撃しているのは、ニューヨークだけじゃなくて高度資本主義経済全般だったのね。悪趣味満載のクソマンガ「ミュータント花子」も全ページ展示。独自の戦争史観とヤケクソのエロ表現でドロドロの怪作も今回のイベントで復刻されたという…ボクは10年くらい前に購入してましたけど。いやいや見どころ満載。
●今回のために用意された新作2点。「ジャンブル・オブ・100フラワーズ」は一流の美少女妄想オブセッションが華麗に花開く大作。まだ未完成とはいえ、まばゆいキラキラ感は本当にパワフル。そして「電信柱、カラス」。震災と津波に襲われた街のグレーな空を切り取ったシリアスさが、ツーンとした緊張を背中に感じさせる。苦笑失笑爆笑のブラックユーモアにニヤニヤするこの展示の中で異色を放つ存在だった。

シャンブルオブ100フラワーズ切腹女子高生

「ジャンブル・オブ・100フラワーズ」部分 2013年/「切腹女子高生」2002年

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「題知らず(戦争画RETURNS)」1996年