GW奈良/飛鳥ツアーの続きの話を。
●先日、飛鳥エリアの古墳/史跡巡りのレンタサイクル旅を書きましたけど。
●もう少々、アレコレな場所に行きましたんで、そのヘンを書かせていただきます。


事前準備の段階において、ボクは奈良をナメテタと思い知らされました。
●例えば、京都、大阪、神戸、のように見どころがフツウに集中してると思ってました。
●ところが全然チガウ!飛鳥エリア、奈良公園、平城京跡、法隆寺、薬師寺、唐招提寺、その他あれこれ、が広大な奈良盆地に散らばっておりまして効率よくパラパラ回るのは困難!なのでありました。ウチには自動車という足はない。ひたすらJRと近鉄を駆使してセッセと移動する他ないのです…関東育ちのボクには近畿日本鉄道ってのもかなり新鮮な体験だったんですけどね。

●よって、行程としては
 1日目…飛鳥エリア
 2日目…奈良公園〜奈良ダウンタウンエリア
 3日目…法隆寺斑鳩エリア  
      にポイントを絞り込んだのであります。


●そんで、奈良ツアー後半の拠点にしたのは「奈良ホテル」。すげえクラシックホテル。

奈良ホテル

奈良ホテル2 奈良ホテル3

創業100年。和洋折衷様式の威容に圧倒。奈良公園の目の前にドでかい敷地を構えた大物です。綺麗な赤絨毯と高い天井。天皇陛下はじめ皇族の方から、海外の要人、チャールズ・チャップリンアルバート・アインシュタインがここで宿をとったといいます。ラウンジにはアインシュタインが弾いたというピアノも飾ってあったな…。正直お値段も張るんですけど、GWに対する準備が遅かったのでココしか空いてなかった…それでも本来4人家族のトコロを3人部屋にムリヤリいれてもらったカッコ。http://www.narahotel.co.jp/index.html
 

●広大過ぎる奈良公園は、ピンポイントしかチェックできない…。

東大寺1

●しかも、東大寺は、まるで浅草寺の仲見世商店街みたいに混雑してて、ワリと辟易。テキ屋さんもすごくたくさんおったしね。そこにヒヨコがことごとくヒッカカルからなかなか前に進まない。

東大寺2

●それでも、東大寺南大門金剛力士像、運慶&快慶作は、コドモたちの予想を上回る迫力だったようで大喜び。シカセンベイにぎりながらカメラを構えるノマド。「うぉー!スゲエ!ジョジョ立ちじゃねえか!」歴史の勉強に出てくるモノを実物で見るってやっぱ大事。

東大寺3

で、大仏さま登場。「わおー!デカイ!これはデカイ!」ヒヨコびっくり。「こんなにデカイと思わなかったわー」大仏殿もデカいし、その中の大仏様もデカイ。

東大寺4

●一方で、大仏様が座っている巨大蓮の花びら(レブリカ?)が一枚、手元で鑑賞出来る場所が。
●蓮華座の1パーツまでにタップリと紋様が描き込まれてるのはスゴいが、本当のデティールまで覗き込んでみると意外とチャチくてカワイらしい。ノマド「これならオレでも描けそう」と笑う我が家一同でありました。

東大寺5 東大寺6

「柱くぐり」も挑戦。大仏殿の柱の一本に穴が空いてるんですよね。これをくぐると「無病息災」のご利益があるらしい。この穴の直径は大仏様の鼻の穴と同じ、という話にヒヨコまたしても感動「でかーい!」。大行列で30分くらい並びました。

東大寺7
東大寺8

●コドモだけならカワイらしいモノですが、ワイフが突然「ワタシも挑戦する!」と言い出しました。いやーアンタ20年前なら大丈夫だったろうけどもうムリでしょオシリがつっかえるでしょ。という制止の声は聞きいられず、ワイフはだいぶ見苦しいやり方でムリヤリ突破したのでした。「あー、なんか体のアチコチをぶつけた」


興福寺の国宝館でイケメン阿修羅を鑑賞。
鎌足の息子で時の権力者であった藤原不比等が作らせた藤原氏の氏寺。五重塔は奈良市街の各所から見えて楽しいが、金堂などが完全工事で全く見られなかったので、さしあたり併設の国宝館を見学。

興福寺

●大小さまざまな仏像が並ぶ様、とくに身長5m超の千手観音などが空間余す事なく並ぶ様子は、まるでモビルスーツの格納庫のようでもあって(ゴールドに輝く千手観音はさながらクワトロバジーナ搭乗機・百式のよう)、ボクも楽しい。
●なかでも見どころは、国宝「乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)」の一体である「阿修羅像」。奈良時代8世紀にしてこの写実力!シリアスな少年の表情と細くて繊細な腕がやっぱスゴい。ボクの世代でいうと「キン肉マン」のサブキャラ・アシュラマンが重要なんだけど、あんなに大味な存在ではないのですよホンモノは。

阿修羅像

阿修羅がそのメンバーに含まれている八部衆は、インド由来の神々を仏教の体系に組み込む為に設定されたモノで、そのデザインがいわゆる仏像チックでないのはその成り立ちが理由。
●下のトリオトコは、その八部衆の一人「迦楼羅(かるら)」。なんとなくクリクリおめめがユーモラス。迦楼羅ガルーダの翻案。ヒンズー教の最高神・ヴィシュヌ神を背中に乗せて飛ぶ巨鳥で、その名はインドネシアのガルーダインドネシア航空にも残っているメジャーなキャラ。バリ島ツアー経験もある我がコドモにもお馴染み。こんなトコロでお久しぶりにコンニチハとは。

迦楼羅像

●奈良公園の中には、もちろん春日大社とか、奈良国立博物館とか、正倉院とか、行ってみたいトコロがイッパイあったが、マジで広いので断念。コドモの集中力とボクの体力が切れる前に退却。あとはひたすらシカと戯れた。
●ヒヨコにとっては奈良公園のシカこそがこのツアー最大のトピックスであった。しかし、まー大勢の観光客に倦んだ気配のシカたちは想像以上にヤサグレてて、全然シカセンベイを食べない、見向きもしない。広島・宮島のシカと全然違ってカワイゲがない。仕方がナイからノマドは自分でシカセンベイを食べてた。売店のオバちゃんによると、アレって米ぬかで出来てるんですって。ノマドいわく「んー。味もナニもないけど、食えないコトもない」食わないでいいよ!

奈良公園シカ1 奈良公園シカ2


斑鳩の里・法隆寺も。
JR奈良駅から電車で15分程度で、JR法隆寺駅にはつくけど、そこからホントのお寺まではバスで20分くらいかかるということで、そんなにラクチンな移動ではない。バスは一時間に3本だけ。乗りのがしたからといってバスじゃなくて歩こう、なんて思ったらすぐバッテリーが切れます。ナニブン、境内そのものもとても広いし。ボクらは法隆寺だけに絞ったけど、周辺を囲む多くの古寺名刹を訪ねようとしたらそれなりなド根性が必要です。
●とはいいながら、駅の改札出た瞬間に、いきなり強力なゆるキャラがお出迎え。なにこれ?カキ?なんでカキ?…あ、「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」!…遠いよ…。

法隆寺1

●さすが世界最古の木造建築。近世の華美な装飾がなにもないので、よりシックな印象がつよい。
●下の写真は、かの有名な「夢殿」ね。奈良時代天平年間に立てられた八角形の建物。聖徳太子の姿を模したという「秘仏救世観音像」が限定公開中ということでワクワクしたのだが、土門拳撮影の写真の方が大迫力だったので個人的にはなんか落胆してしまった…。一方「金堂」にある「金銅釈迦三尊像」は教科書でお馴染み過ぎる物件で、ホンモノ目撃にマジテンションが上がる(ボクだけ)。仏像は想像よりも小さかったんだけど、金堂内部は周囲の壁面から天井まで様々なデティールにいたるまで実に細やかな装飾が施されて圧巻。「仏教」という当時は最先端の外来ファッションを積極的に取り入れて完全な空間プロデュースを行おうとした意気込みが1400年の時空を超えて伝わってくる。

法隆寺3

金銅釈迦三尊像(金銅釈迦三尊像)

百済観音(百済観音)

法隆寺が所蔵する国宝や重要文化財が一堂に展示されている「大宝物殿」「教科書で見た!」物件のオンパレード、あの「玉虫厨子」推古天皇の所持品…のホンモノがボンと置いてあるとビビるね。
●特に感動したのが「百済観音」。高さ2m超の長身は、ひょろりとした印象にもっと高いようにも思える。そもそも法隆寺の仏像はみな一様に面長で、奈良公園方面で見た低重心のデップリとした安定感とは違う印象。その中でも、より一層のギャップを感じさせるこの観音さま…一目見た瞬間で、なんか強い親近感を感じた。ナニかよく知ってるモノに似てる気がするんだけど…。ん〜なんか、ちょっと猫背?
●そうか、この観音サマ、巨神兵と、エヴァンゲリオンに似ているんだ!この細身具合、猫背具合、まさしく巨神兵エヴァマンガ原作の巨神兵は空中を飛行する時に巨大な後光を放つ。エヴァがサードインパクトを起こした瞬間も頭上に大きな同心円が描かれる。カヲルくんのエヴァMARK.6「劇場版:破」のラストで後光を背負って搭乗したもんだ…。

巨神兵オーマ eva 6-500x500

(マンガ「風の谷のナウシカ」より巨神兵の後光。それとエヴァMARK.6)

法隆寺4

「百済」からの連想で、この法隆寺の境内を囲む白い土壁を見て、韓国・全州(チョンジュ)で見た伝統家屋を思い出してしまった。全州には白い漆喰が綺麗な古い民家群の密集したエリアがある。近所のお寺では韓国のテレビ局が時代劇を撮ってて、エキストラの人たちが民族衣装を着たままで休憩をしていた…楽しい風景だったね。遣隋使〜百済〜斑鳩という文化の伝播ルートに思いを馳せるのでありました。



●さて、奈良の旅のBGMを。

EXPLOSION IN THE SKY「HOW STRANGE, INNOSENCE」

EXPLOSION IN THE SKY「HOW STRANGE, INNOSENCE」2000年

EXPLOSION IN THE SKY「THE EARTH IS NOT A COLD DEAD PLACE」

EXPLOSION IN THE SKY「THE EARTH IS NOT A COLD DEAD PLACE」2003年

EXPLOSION IN THE SKY「ALL OF SUDDEN I MISS EVERYONE」

EXPLOSION IN THE SKY「ALL OF SUDDEN I MISS EVERYONE」2006年
2〜3本のギターがゆらゆらとゆらめいて、静かに淡い陽炎が立ちのぼる。歌詞は全くない。しかし寡黙かといえば否、ギターたちが織り成すレイヤーは優雅で繊細で十分すぎるほど能弁な叙情を響かせる。短くて5分長ければ13分というゆったりとした時間軸で紡がれる音世界は、カタチを定めずに寄せては返す波のようで、夢のように朧げで優しい。沈黙と饒舌の豊かな矛盾が、このバンドを圧倒的にユニークにしている。
●この音楽をジャンルで示すならば。シューゲイザーか。折重なるギターのレイヤーが時として圧倒的なノイズの壁として立ちあがるから。サイケデリックか。バンドの名が示すように、まるで大空が爆発するかのような風景を見せてくれるから。ポストロックか。ポップというには複雑過ぎる構成を楽曲に持たせるから。スロウコアか。ジックリとした動きの中に感情の高まりを盛り込むから。ジャムバンドか。オースティンという土地柄を連想させる人肌の温もりと、人力でしか表現できない叙情を緻密なバンドアンサンブルで紡ぎ上げるから。
歴史都市の中にいて、歴史がナニかを語りかけてくれることはない。この歴史の中でこの場所を生き死に通過していった無名の人々の大きな沈黙があるだけ。その大きな沈黙の中にナニかを聴き取るのは全て想像の力。大きなギターノイズの奔流の中に身を浸して、その音の粒子たちが舞い上がる様子に耳を傾けながら、法隆寺のやや黄みがかった土壁を眺めたり、奈良公園の奥の人気のない雑木林を歩いたりする時。自分自身がその歴史を織り成す無名の沈黙の小さな粒になることに、なぜか不思議な安心感を感じる。


SOUNDTRACK「FRIDAY NIGHT LIGHTS」

SOUNDTRACK「FRIDAY NIGHT LIGHTS」2004年
●叙情的な表現が特徴的な EXPLOSION IN THE SKY は多くの映画やテレビ番組のサントラに使われているという。この映画、邦題「プライド 栄光への絆」のサントラでは14曲中11曲がこのバンドの楽曲。長尺曲の中で表現を全うするこのバンドにあっては、2分程度しかない小品ばかりしか収録されていないが、その深いリバーブに沈むギターの音は実に美しい。その他 BAD CAMPANY、DANIEL LANOIS などが参加。一流プロデューサーとしても有名な DANIEL LANOIS のギターも凛とした美しさを放っている。


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●今朝の「あまちゃん」、とうとう春子さん starring 小泉今日子さんが、歌声を披露した!
「潮騒のメモリー」、作詞:宮藤官九郎/作曲:大友良英・Sachiko M
●1986年にヒットした曲、という設定の架空の楽曲。この曲がドラマの中で重要なカギになっていく。
●歌詞が聴き取れなかったけど、なんだか今後の展開の伏線が仕込まれてるかのような…。
●ということで、土曜の朝からテンションが高い。
 http://www1.nhk.or.jp/amachan/rel/0513.html


そこで、さっそく小泉今日子さんのベストを入手。

小泉今日子「K25 〜 KOIZUMI KYOKO ALL TIME BEST」

小泉今日子「K25 〜 KOIZUMI KYOKO ALL TIME BEST」1983〜2007年
●デビュー25周年記念盤。実は去年デビュー30周年を迎えてる。彼女は「スター誕生」のオーディションで芸能界入り、デビューは1982年。同期には堀ちえみ、石川秀美、松本伊代、早見優、中森明菜、シブがき隊などがいる…んだけど、今挙げた他のヒトに比べての現役感がハンパないコトに気付きマジビックリ。キャリアを今なお更新中といえばこの中ではキョンキョン&本木雅弘さんくらいか。
「あまちゃん」劇中では、「山口百恵と松田聖子が同時に活動していたのは1980年だけ。この時期がアイドルの黄金時代なの!」春子さん STARRING 小泉今日子さんが熱っぽく語るシーンがある。そんな松田聖子のフォロワー世代として「聖子ちゃんカット」を搭載してデビューした小泉今日子。つーかこの時代は全員が「聖子ちゃんカット」であって、先ほど挙げた同期生も「あまちゃん」劇中の過去の春子さんも完璧に同じ髪型をしている。しかし、デビュー二年目にして周囲に無断でカリアゲショートカットにイメチェンして話題に。このへんからタダモノではない空気を出し始める…。
たぶんキャリアの完成期に突入したのは1985年「なんてったってアイドル」の瞬間でしょう。この当時小学5年生だったボクの個人史においては、一番ビビッドに輝いていたアイドル。正直、ピンクレディ百恵聖子もピンと来ない、でも彼女のカリスマはボクにはドスンと響く。つーか、「あまちゃん」のオカゲでその事実にボク自身が目覚めた。ああ、ボクは「キョンキョン世代」なのだ。
●ちなみに、1985年は秋元康が仕掛けたおニャン子クラブ出現の年でもあって、そして同年のメガヒットである「なんてったってアイドル」リリックも秋元康が担当している。この段階で、すでにアイドルのメタ解釈/メタ演出に確信的であった秋元氏の先見がスゴいと思う。

「なんてったってアイドル」

●そんな「なんてったってアイドル」を鳴らしていると、娘ヒヨコが「春子さんの声だ〜!」と反応する。この曲、作曲がなんと筒美京平、編曲が鷺巣詩郎「エヴァ」サントラ!)だった。筒美京平キョンキョンにたくさん楽曲提供していたことは今回初めて知った。アニメやサントラ仕事で認識してた鷺巣詩郎が80年代には膨大なアイドル仕事をしていたことも今回初耳。「恋をするにはするけどスキャンダルならノーサンキュー イメージが大切よ 清く正しく美しく!」ただの人形には留まらないと表明、自己演出アイドルのイメージを打ち出した最初のアイドル。

「木枯らしに抱かれて」

●同じ頃のヒット曲が懐かしい!「艶姿ナミダ娘」1983年「ヤマトナデシコ七変化」1984年これも筒美京平だった。「迷宮のアンドローラ」1984年やはり筒美京平そしてリリックが松本隆。このコンビが1987年「水のルージュ」も手掛けている。「THE STARDUST MEMORY」1984年は映画「生徒諸君!」の主題歌だったな。これは THE ALFEE 高見沢俊彦の詞曲提供。高見沢さんとキョンキョンは縁が深くて度々クレジットに彼の名前が登場してくる。やはり高見沢詞曲提供の「木枯らしに抱かれて」1986年の大胆なアイリッシュトラッドアレンジは、当時からボクはお気に入りだった。

「あなたに会えてよかった」 「月ひとしずく」

●90年代にも彼女の佳曲は多い!「あなたに会えてよかった」小林武史が作曲編曲を担当。リリックはキョンキョン本人。彼女は90年代に入ると自分で作詞も手掛けるようになる。1994年の「月ひとしずく」は詞曲に井上陽水/奥田民生のコンビが参加。コレは当時かなりアガった!UNICORN を前年に解散した奥田民生がソロで復帰したその年の仕事に小泉今日子、ということでスゴく注目したし、この仕上がりの延長に井上/奥田コンビによる PUFFY「アジアの純真」1996年があると思うと本当に重要曲。ちなみにボクは奥田経由で PUFFY にはだいぶハマり、今に至るまでほとんどのアルバムを買い集めて聴いている。90年代アイドル不在期において、ボクにとってのアイドルは PUFFY だったわけだ。



 




さて、80年代アイドルを語ったのだから、やっぱ、2013年現在のアイドルシーンにも言及せねば。

まずは、スクリーモ路線が炸裂する彼女たちのアイドルケモノ道。

BiS「IDOL is DEAD」

BiS「IDOL is DEAD」2012年
●彼女たちは最近は常々気になる存在でして。ももクロブレイク以降のアイドル・アンダーグラウンドを見回すと、彼女たちのムチャな戦略は無視できない。シングルのジャケではいきなり釘バットで武装しコチラを睨みつけてるし、初期プロモビデオ「MY IXXX」でいきなり「森の中を全裸で疾走」という演出を選択してるし、もう無謀としか言えない。コンセプトが「新生アイドル研究会」=「BRAND-NEW IDOL SOCIETY」とのことで、つまり彼らの活動はあくまでアイドル研究の実践であって、転じてアイドル活動ではないってことらしい。アイドルという媒体を客体視し、そのオルタエッジに挑戦する姿勢。だからイチイチのアクションが過剰で危険。
●ということで、先日のニコニコ超会議2でのミニライブも見に行っちゃった。つーか、彼女たちのライブが見られるってのが、ニコ超に行く大きな動機のひとつになってたね実は。…で、実物を見てみると、ワリとフツウにライブしてて、ちょっと拍子抜けしちゃったんだ…ネットでの評判の方が過剰だったのかな?あー思ったよりフツウにアイドル風で、フツウにかわいいんだなと。ぶっちゃけ、彼女たち自身がカワイイ女子だって思った事はなかったから、意外だった。ただし、絶叫系パフォーマンスの楽曲はたしかに迫力があった。やっぱ正統派とは言えない。
●さて、このアルバムはエイベックスからのメジャー盤で、今までのインディシングルも再録してる物件。で完全にロックアルバム。完全にスクリーモ。タフなギターロックに絶叫系ボーカル。アリガチなエレクトロアプローチすらあんまりナイね。プロデューサーは松隈ケンタという人物で、完全にロック畑のヒト。「OUR SONG」という楽曲は大沢伸一(MONDO GROSSO)のカバーなんだけど、原曲のエレクトロ感覚をなんとシューゲイザー系ロックに変換してしまった。いやいや、イチイチ技ありだわ。

BiS「IDOL」

BiS「IDOL」2012年
●メジャー移行直前に HMV のレーベルからリリースされたワンコインシングル。定価は500円だけど、AMAZONだと3450円もするのね。ボクは幡ケ谷ブックオフにて200円で採取したよ。メンバー交代が激しいのでこの時期は3人。このどうしょうもないジャケが本当にヒトを食ってる。ゴスロリ通り越して KISS 風メイクまでいっちゃダメじゃん。
●彼女たちのウィキにこのシングルをめぐる「IDOL騒動」なる事件が詳しく書いてある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/BiS)てっとりはやくいうと、このリリース直前に公開した楽曲「アイドル」PVが、彼女たちのロック路線を大きく逸脱するフツーの王道アイドルソングだったことで、ファンが激しく動揺したという顛末。しかし、フタを開けてのシングル楽曲「IDOL」は、今までのロック路線をさらに上回るハイテンションなメタルリフ搭載のスクリーモな内容、おまけにマキシマムザホルモンみたいなエキセントリック意味崩壊リリックが炸裂。英語みたいに聴こえるけど全然日本語だし。今までのBiSらしい素晴らしいデストロイなキラーチューンであって、王道転向は自作自演のブラフであったわけ。実際、ニコ超でのミニライブもシメはこの曲の絶叫だった。そんでカッコよかった。今後も彼女たちには無謀なロック路線を継続してもらいたい。…ちなみに、フヌけた王道系楽曲「アイドル」もボートラ扱いでこのシングルには収録されてる。コッチは本当にどうしょうもない曲。




でんぱ組は、チームラボとギークなギミックで拡張中。

でんぱ組 inc「キラキラチューン/SABOTAGE」
でんぱ組 inc「でんぱれーどJAPAN/強い気持ち・強い愛」

でんぱ組 inc.「キラキラチューン/SABOTAGE」2012年
でんぱ組 inc.「でんぱれーどJAPAN/強い気持ち・強い愛」2012年
●結局見逃してしまったんだけど、彼女たちも先日のニコ超でパフォーマンスを披露してたという。秋葉原に生息するこのギークガールズ6人組も、存在感がドンドン増しつつある。BEASTIE BOYS や小沢健二のビックチューンをカバーするセンスが90年代育ちのボクみたいなリスナーを狙撃するに違いない…今の若いヒトはこのカバーをどんな風に聴くのかな?
●去年、彼女たちがチームラボと組んで行った、スマホ/twitter経由のインタラクティブライブが以前から気になってるんだよね。このアイディアをもっと拡張したらオモシロいコトになるに違いない。




アプガの「DO THE HARLEM SHAKE」に爆笑。

アップアップガールズ(仮)「チョッパー☆チョッパー/サバイバルガールズ」

アップアップガールズ(仮)「チョッパー☆チョッパー/サバイバルガールズ」2012年
●彼女たちのパフォーマンスはニコ超で見ることが出来た。B級感タップリな運営コンセプトとはいえ、かなりの場数経験値を踏んで来たと思わせる安定したステージングは貫禄のメジャー感を放ってた。振付けもちゃんとしてたし。さすがアップフロント所属。このシングルは、BASEBALL BEAR 小出祐介も2012年の重要シングルとして名前を挙げてたハイスピードダンスチューンで、ライブのキメドコロでも重要な役割を果たしていた。
●彼女たちがボクの中でヒットしまくったキッカケは、先ごろネット動画で流行った「DO THE HARLEM SHAKE」を彼女たちが公式チャンネルで発信していたことだ。アメリカのDJ、BAAUERによる粘着質系ヒップホップスタイル=トラップの楽曲「HARLEM SHAKE」に合わせてバカサワギをしまくるこのムーブメント。全世界から YOUTUBE にバカバカしい動画が上げられてた中、彼女たちの動画はおそらく日本で一番見られてた「DO THE HARLEM SHAKE」なんじゃなかろうかと勝手に思ってる。トラップのノリはベースのBPMが遅くて、速いテンポが好きな日本人にとってはイマイチのりづらいタイプの音楽。というか白人だってそんなに得意じゃない。そんな難しいノリに合わせて万人が百者百様のアプローチを見せる部分を観察鑑賞するのが「DO THE HARLEM SHAKE」のオモシロ味。そこでいうと、彼女たちのノリはナカナカのこくまろ風味で、しっかりファンクしててタマランのです。スローなベースに合わせてる子もいれば、痙攣的に高速テンポを拾ってる子もいるし。しかも4〜5本も上げてる。明らかに調子に乗ってる。ボク的にはエディション2が大好きです。




未来世紀ブラジルは群馬に到来していた。

リンダⅢ世「未来世紀 eZ zoo」

リンダⅢ世「未来世紀 eZ zoo」2013年
●これはかなりシビレマシタ。群馬県ご当地アイドル、しかも全員在日日系ブラジル人。なんだか日本語も苦手な感じ。そんで平均13歳くらい?すげえニッチなアプローチに爆笑しました。そんで楽曲もスゴい。なんとバイレファンキ風。そのスカスカなエレクトロ感に、舌っタラズでナヨナヨした日本語ボーカルが乗っかって、だいぶこんがらかったコトになってます。ダンスもだいぶゆるい。もうつっこみどころ満載で今注目度がボクの中でグングンアガってます。群馬県内のヤマダ電気などでライブ展開中の模様。





●他にもね、ちゃんとチェック出来てないけど気になる連中がいっぱいいるんです。
●いやー本当に忙しいね。





NHK朝の連ドラ「あまちゃん」が楽しくて、朝早起きになった。
●かわいいよね、能年玲奈ちゃん。
●そして、小泉今日子さんがスゴすぎて。かつて最強のアイドルだった貫禄が滲み出てる。
●キョンキョンの全盛期の音楽を聴き直したいなあ。

●そもそもワリと80年代オシなこのドラマ、ちょいちょい挿入歌で懐かし80年代がかかる。
YMO「君に胸キュン」とか、もう3回くらい使われてる。
●だから、今夜はこんなの聴いてる。

高橋ユキヒロ「SARAVAH !」

高橋ユキヒロ「SARAVAH !」1978年
●これ、高橋幸宏じゃなっくて高橋ユキヒロ名義なんです。しかも帯のあおりコピーが「人気ドラマー高橋ユキヒロ(サディスティックス)初のソロアルバム!」。つまり、まだ、YMO以前なわけです。YMO以前において、サディスティックミカバンドサディスティックスでもって彼は十分なキャリアを持つミュージシャンだったわけです。
●とはいえ、実はYMO始動はこのアルバムと同じ年。共同プロデュース、鍵盤演奏/ブラス・ストリングスアレンジに坂本龍一が参加、そんでベースは細野晴臣と、完全に座組は整った状態であります。しかし、テクノ前夜にしてそんな気配はここには1ミリもありません。オシャレでオーガニックなシティポップ。鈴木茂、高中正義、加藤和彦、斎藤ノブ、山下達郎、吉田美奈子などなど、豪華なメンバーがこの色男のダンディズムに彩りを添えるのであります。
●これは確か下北沢で420円で買ったんだっけな。


●ユキヒロさんキッカケで、ジャパニーズ・シティポップを聴くのです。

加藤和彦「ガーディニア」

加藤和彦「ガーディニア」1978年
フォーククルセダーズ、サディスティックミカバンドで60年代末〜70年代のシーンを牽引してきた加藤和彦には多くのソロアルバムがある。その中でこのアルバムになにかトピックがあるとすれば、作詞家・安井かずみとのパートナーシップが始まったということか。1977年に結婚した二人は以後、作詞:安井/作曲:加藤のコンビで多くの作品を手掛ける。竹内まりあ「不思議なピーチパイ」飯島真理「愛・おぼえていますか」もこのコンビの作品だ。
●さて、このアルバムも完全無欠のジャパニーズ・シティポップスであります。世界的に盛り上がりつつあったAOR、アダルトオリエンテッドロックの流れ。とくにボサノヴァ濃度が濃い。ボサノヴァ風の貧弱ボーカルとスウィンギーなメロウネスがシック。参加ミュージシャンは、坂本龍一、高橋幸宏、鈴木茂、斎藤ノブ、そしてベースに後藤次利。このヒトは、ボクのようなアラフォー世代にとっては、<80年代アイドル、とくにspan style="color:#0000FF">おニャン子クラブへ多くの楽曲提供をしてたコトで有名。そんでとんねるずへもたっぷり楽曲提供。この時代においては気鋭のフュージョンベーシストだった。
●このアルバムの3曲目である完璧なボサノヴァ「気分を出してもう一度」は元ピチカートファイブ・野宮真貴さんのソロアルバムでカバーされてるらしい。そっちはまだ聴いたコトないけど。この時代の音楽は90年代渋谷系にも影響を及ぼしているんだね。

加藤和彦「マルタの鷹」

加藤和彦「マルタの鷹」1987年
●だいぶ時代が下りました。今作のテーマは「フェイクジャズ」とな。二曲でパリ録音のオーケストラアレンジを試みているけど、後は当時全盛だったシンセサイザー・フェアライトCMIを駆使した打ち込み作業で骨格を構成しているとな。でも結果的にはピコピコした印象は全く嗅ぎ取れず、見事に爛れたジャズ空間を醸し出してる。洒落たホーンソロパートが実にダンディ。結果的に仕上がるこの空気は琥珀色の円熟を成してて、かの有名な同名小説〜ハンフリー・ボガート主演の同名映画のハードボイルド美学を見事に体現している。ちなみに、このハードボイルドなジャケは金子國義

加藤和彦「ボレロ・カリフォルニア」

加藤和彦「ボレロ・カリフォルニア」1991年
安井かずみとの最後の共作であり、加藤にとっても最後のソロ名義アルバムとなった作品。安井はこの頃に肺ガンを発症、1994年に病没する。加藤はその後、市川猿之助のスーパー歌舞伎や映画のサウンドトラックを手掛けたり、サディスティックミカバンド(三代目ボーカルに木村カエラ)再々結成なども行うが、2009年に自殺する。
ここで鳴る音楽のポイントは「ITALIAN GRAFFITTI」1974年で AOR の始祖となった男 MICK DE CALO とガッツリタッグを組んでいるコト。完全ロサンゼルスレコーディングで、現地のミュージシャンとジャジーな世界に浸っております。1991年ともなればダンスミュージックのデジタルな質感がメジャーになってたはずで、このオーガニック過ぎるスタイルは当時の感覚であっても少々アナクロに聴こえてたような気がするけど、ご本人的にはこの直前にやってた二回目のサディスティックミカバンド(ボーカルは桐島かれん)で打ち込みに飽きてたそうで。だから全面アナログ。あえてレトロ。前作「マルタ」でパリ録音をしたので、今回はアメリカ・ロス。ビッグバンドや爛れジャズ、パチクサいラテン歌謡に耽溺するのであります。
●ちなみに、今日とりあげた3枚の加藤和彦作品は2008年の紙ジャケリマスターで、エンジニアはオノ・セイゲン。彼は自分名義の作品も多くリリースしている。彼が手掛けたコムデギャルソンのサントラがスゴすぎて、もう見逃せない。

鈴木慶一「SUZUKI白書」

鈴木慶一「SUZUKI白書」1991年
高橋幸宏さんとは、THE BEATNIKS というユニットで不定期に活動している鈴木慶一氏。もちろん MOONRIDERS の中心人物ってことで有名なんですが、ここではまず1991年にリリースされたソロを。実はソロ名義はこれが初めてらしい。…とはいいながら、実はボク自身は、MOONRIDERS鈴木慶一さんの音楽も今までほとんど触れた事がない…ニューウェーヴ風味のポップを朗々と歌う慶一氏の微妙なボーカルに、まだあまり馴染まない。とはいえ、わざわざ台北レコーディングを仕掛けて、現地のユニークな女性コーラス&オリエンタル風メロディを組み込んでるトコロがエキセントリックな珍味でオモロい。さらには THE ORB によるチルアウトなリミックス14分超まで仕込んでて。あなどれないなあ。
●このCDは、下北沢一番街商店街のレコ屋オトノマドにて、激安ワゴン100円セールで採取。まーこっからをとっかかりにして。

MOONRIDERS「BIZARRE MUSIC FOR YOU」

MOONRIDERS「BIZARRE MUSIC FOR YOU」1996年
●これもオトノマドにて100円で採取。バンド結成20周年記念アルバムらしい。このバンドとなると、鈴木慶一さん一人のイニシャティヴだけじゃ収まらない。白井良明というユニークなギタリスト/アレンジャー/プロデューサーがいるわけだし、岡田徹というキーボーディスト、鈴木慶一の実弟であるベーシスト鈴木博文、その他のメンバーそれぞれが個性的な仕事をしている。…が故に、MOONRIDERS の個性はこの一枚だけじゃ当然掴みかねるワケで。実際、作風も楽曲単位で全然違ってるので、ワケワカラン。ホームレスのおっちゃんのことを矢野顕子と共に歌った「ニットキャップマン」(作詞は糸井重里)とか、実際とらえどころがない…。長いキャリアを持つこのバンド、今後機会があれば引き続き研究していきます。


●ついでに、もう一枚、日本の AOR。

寺尾聡「REFLECTIONS」

寺尾聡「REFLECTIONS」1981年
●収録曲「ルビーの指輪」はこの年の音楽賞を総なめ。「ベストテン」「トップテン」では10週以上の連続1位を獲ってしまうほどのメガヒットとなった。当時小学生だったボクもこの頃のこの曲の勢いは覚えている。だって毎週飽きるほどこの曲がかかるんだもん。結局は、ズバリ昭和歌謡って感じの暗いウタというイメージが強くて、そんなにスキになれない。
●しかし!ヒット当時の解説や、Amazonのレコメンドを読むとこのアルバムが日本の AOR の代表作ということになっててビックリ。ああ、これは洋楽のエッセンスたっぷりと解釈されてたんだ。だからあんなにヒットしたんだ。あんなにレンジが狭いメロディをブツブツとつぶやくように歌うローテンションにそんな価値が含まれてたなんて。へー。あ、作詞は松本隆さん!へー。
●あの頃は石原プロも全盛だったし、「西部警察」はカッコよくて毎週見てたし、クールなニヒリズムを気取った刑事役を演じてた寺尾さんもスキだったけど、この曲はスキじゃなかったし、今回聴き直してもその印象は結局覆らなかった。でも、その後の、枯れ寂びた風格が滲み出る演技、とくに映画「博士の愛した数式」での活躍は素晴らしいモノで、森永の棒アイスを頬張るCMなんかもボクは大好きであります。


奈良県、飛鳥の里。
●なんて、豊かな風景。

奈良1

ゴールデンウィークは、家族4人で3泊4日で奈良/飛鳥ツアー。
●四方を取り囲む青い山並み。起伏の豊かな土地と、その起伏に沿って柔らかい曲線を描く田畑と畦。雑木林、鳥の声、春の風。そこかしこに流れる澄んだ小川。豊かな山々からこの盆地に向けて美しい水が注ぎ込まれている。古代の日本人がこの土地を首都に選んだ理由がよくわかる。レンタサイクルを軽快に飛ばし、頬に気持ちの良い風を感じながら、そんなことに思いを馳せる。息子ノマド(小6)、娘ヒヨコ(小5)、ワイフ、そしてボクは、今年のゴールデンウィークを、こんな場所、奈良/飛鳥で過ごしたのでした。


飛鳥の里は、自転車がよく似合う。
飛鳥で自動車は野暮だ。一部のドメジャースポットを除けばパーキングが圧倒的に足りないし、多少気の利いた場所を訪れようとすれば、道が狭くて周囲の邪魔になる。とはいえ、サスガに歩いて巡るには広過ぎる。だからレンタサイクル。

明日香レンタサイクル

●こちら現地大手の「明日香レンタサイクル」。ボクは宿から借りたので一台700円。フツウにお店で借りれば1000円。追加で200円払えば飛鳥周辺に散らばる複数の営業所で乗り捨てもできる。まー見事なほどにスタンダードなママチャリで、微妙なハンドル〜サドルの位置関係の結果、立ちコギができない!しかし、スポーツタイプやマウンテンバイクは、スカートの女性にはシンドイなどなど考えると、カゴまでついてるこのママチャリこそが老若男女全体に向けた一番のユニバーサルデザインなのだな、と思い至った。


で、飛鳥の奇石めぐり。
飛鳥には、不思議な石造物が点在している。造形がユーモラスでワイルド、目的や用途がよくわからないピンボケた感じ。仏教伝来によって洗練される以前の、太古の日本の精神世界が奇妙なカタチをさらけ出しているようで、オモシロい。

こちらは、亀石。(奈良県橿原市内膳町1丁目2−12)
●自動車では入れないような脇道に、コイツがいきなりドスンと鎮座している。唐突でオカシイ。

亀石1

亀石2(2点ともヒヨコ撮影)

●ウットリと午睡してるかのような、のんびりとした表情がカワイらしい。まー1500年くらい午睡し続けてるんだろうけど。

亀石3

●こちら、亀石のとなりにあるおミヤゲ屋さん。カメづくし。ヒヨコ「水族館のおミヤゲ屋さんみたい!」水族館にもこんなにはカメグッズ集まってないわ。

続いて、猿石。(奈良県明日香村平田)
●これまたユーモラスかつワイルドな造形。猿とはいいながら、なぜかキャプションでは「僧(法師)」「男」「女」「山王権現」と書いてある。「山王権現」はゴシック建築にくっついているガーゴイルみたいにみえるし、おまけにチンチンまるだし。エボシを冠った「男」はいいけど「女」はなんかすごく気持ち悪いぞ。

猿石15「女」「山王権現」

猿石14「僧(法師)」

猿石11「山王権現」

猿石13「男」

猿石12「女」(猿石関連、全てヒヨコ撮影)

猿石は、欽明天皇陵、立派な堀を巡らせた前方後円墳のワキ、吉備姫皇女王墓の敷地内にある。このへんを歩くと古代の天皇の名前に数々出くわす。ちなみに欽明天皇は、聖徳太子の祖父にあたる人物で、聖徳太子が支えた女帝・推古天皇の父親でもある。吉備姫は、この欽明天皇の孫であり、大化の改新で活躍する中大兄皇子=天智天皇の祖母にあたる人物。

猿石16

欽明天皇陵の手前にある猿石への案内の看板がカワイイ。ヒヨコ「さるいし、って書いてあるんだ。最初、うるさい、って書いてあるかと思った!」猿石そのものは、この看板のオサルさんほどカワイくない。

ニ面石。(奈良県高市郡明日香村橘532)
●この石は、聖徳太子が生まれた場所、といわれる橘寺の境内にある。岩の左右にふたつの顔が掘り込まれており、それぞれが善悪を示している。左写真のトガッた顔が「悪相」、右写真のまるい顔が「善相」

ニ面石1

ニ面石2 ニ面石3

亀石、猿石、二面石の造形は、なかなかにユカイだ。ハニワや土偶とも違う味わいがあって楽しい。連想したのは、韓国・済州島でポピュラーな石像トリハルバンだ。作られた目的がよくワカランという部分も同じ。もしや飛鳥時代に日本へやってきた韓国系の渡来人たちが、こうした造形に関わってたのかもね。

トリハルバン(トリハルバン)

●ちなみに、トリハルバンには、女性がその鼻を触ると子宝に恵まれるという言い伝えがある。出張で済州島を訪ねた際に「まさか冗談でしょ」といいながらボクは鼻をナデナデ。そしたら見事第二子ヒヨコを授かってしまった。

酒船石。(奈良県高市郡明日香村岡)
●竹林に囲まれた小高い丘を登ると、ぽつり現れるのがこちら、酒船石。意味不明用途不明の溝が70年代超古代文明ブームの時には、オカルトめいたトンデモ遺跡みたいな取り扱いも受けてたような。

酒船石1

酒船石2 酒船石3

その近所に、新しい遺跡が登場!亀形石像物。(奈良県高市郡明日香村島庄)
●こちらは、2000年に発見されたばかりの新しい物件。酒船石がある丘のふもとに位置してる。

亀形石像物1

●雨どいのような部分から中央の石皿に水が注ぎ込まれ、そこから上澄み部分の水だけが、左側の亀形の大皿に注がれるという仕組み。さも何らかの祭祀に使われたような感じがする。この施設は、中大兄皇子の母親、斉明天皇の時代に作られた模様。大化の改新前後に活躍した女帝、斉明天皇(a.k.a.皇極天皇。彼女は二回天皇になっている)は強い権力を持っていたのか、こうした大工事を多くやらせたらしい。

亀形石像物2 亀形石像物3

●左右の写真を比べると、周囲の地表から比べるとだいぶ深いトコロから発見された遺跡だとわかる。そのへんの経緯を、地元ボランティアガイドのオジサン(紫ジャケット)から伺った。
「ワタシはね、別に歴史の専門家ってわけじゃなくて、普段はサラリーマンしてます。あんま専門的なコトを聞かれてもアレなんでそこはご容赦願います。で、ここは前はグラウンドでね、オイチャンの頃には明日香村にあった幼稚園3園合同の運動会をやってたんやね。今では幼稚園は3つ残ってるけど、3つあった小学校は1つだけ。高校はナイ。そこからみんな外にいくんやね。…そんなんで、町おこしでこのグラウンドにハコモノ作ることになってやな…あっこにある奈良県立万葉文化館な。で、ここは駐車場になる予定だったんや。そこで工事の前に試しに掘ってみたら、コレが出てキタ。向こうのトイレのあたりから掘ってみたら、この石垣が出てきて、そこをたどったらコレがでてきた。元々はあのコンクリのあたりが地面だっだからだいぶ掘ったわな…」
●せっかくの休日なのに、地元の為にボランティアを買って出て、自分の思い出をおり混ぜながら遺跡の説明をしているこのオジサンに、なんとなく親近感を感じてしまった。自分の育った土地へのリスペクトだね。

鬼の雪隠/鬼の俎。(奈良県高市郡明日香村野口)
●これもだいぶマニアックな場所にあるなあ。自動車じゃ入りたくない道、遊歩道風に整備はされたが以前は細い農道でしかなかったような場所に突然置いてある。ヒヨコ「せっちんってなーにー?」トイレである。「俎」はまな板である。かつてココに住んでいた鬼が、旅人を捕らえてはこのまな板で捌き、おいしく食べた後はこの大きなトイレで用を足したという。さあ、ヒヨコもせっかくだから記念にココでおしっこしていきなよ。「えー!?ここでどうやってやるの…?」

鬼の雪隠/鬼の俎2「鬼の雪隠」

鬼の雪隠/鬼の俎1「鬼の俎」

●実は、この二つの巨石は、古墳の中に設けられた石室を構成していた石だった。「俎」が床部分。「雪隠」が天井から周囲の壁を構成していた。しかしいつしか古墳の盛り土がなくなり石室は剥き出しになってしまった。そこに石室を解体してナニかに使おうと考えたヒトがいたのかも知れない。ところが手に負える重さじゃなかったので、バラしたまではよかったが、丘からゴロリと転がり出した所でもう動かせない。結果、この二つは距離にして50メートルほどしか離れていない所で放置されているというワケだ。…ヒヨコ「なんだ、ホントはトイレじゃないんじゃん」一安心。

鬼の雪隠/鬼の俎3(現場にあった図解)

ここのソバにあるのが、天武天皇/持統天皇陵。
●このコンモリとした雑木林が、古墳なのだ。まーこのへんはそんなノリの古墳や史跡がわんさとある。細くうねるカントリーロードを歩いて、こんな誰も注目してないスポットを探訪。実際なにかができるわけでもなく、宮内庁の仰々しい看板があるばかり。

天武天皇/持統天皇陵1

天武天皇/持統天皇陵2

天武天皇は、中大兄皇子=天智天皇の実弟であり、そして政敵でもあった。天智天皇の死後、壬申の乱を起こして政権を奪取している。同じ場所に眠る持統天皇は彼の妻。ここにも女帝がいる。古代日本には多くの女性天皇がいる。前述の推古天皇、斉明天皇=皇極天皇、持統天皇、そのあとも元明天皇、元正天皇、孝謙天皇=称徳天皇がいる。江戸時代にも2人の女性天皇がいたという。女性天皇って、この時代にどんな存在だったんだろう?
●現在、ビッグコミックオリジナル中村真理子「天智と天武」というマンガが連載されている。コレ、気になっているんだよな。中大兄皇子=天智天皇がダークな悪役として描かれていて、オモシロい。天智天皇持統天皇は、コドモたちにとっては小倉百人一首の歌人としてもポピュラー。歌に詠み込まれてる天香具山がすぐソバにあるってのもオモシロいことだった。

●さらには、高松塚古墳、石舞台古墳などのドメジャースポットも制覇。

石舞台古墳

高松塚古墳

●キレイに再現された高松塚古墳の円墳をみて、ヒヨコはひとこと「プッチンプリンみたい!」


さて、こちらは超マニアック!艸墓古墳。
●宿の女将さんに「古墳を巡ろうと思うんです」と言った瞬間に、懐中電灯を握らされて「ここは穴場よ!」と薦められた場所。飛鳥エリアからもはや逸脱した、桜井市というトナリマチに存在する。とはいえ、この奈良盆地には本当に見どころが広く散らばっているので、この桜井市もナメテはイケナイ。
●しかししかし、この艸墓古墳(くさはかこふんと読みます)はマジでマニアック。地元の人しか知りえないような場所にあった。JR/近鉄桜井駅からレンタサイクルで南へ真っ直ぐ10分弱、どなたかさんの玄関にしか通じてない一見私道のようなちいさな坂道を登ると、下の写真のようなちいさな標識を見つけることができる。ここから、本当にそのどなたかさんのオウチの庭先へ勝手に踏み込んでいくかのような感覚。「え、こんなトコロ入っちゃっていいの?」ってマジで思いますし、実際そのオウチのご主人が庭掃除をしてたので「お邪魔します」「お騒がせします」なんてアイサツしながらその古墳に近づくのです。

艸墓古墳1

艸墓古墳2

で、到達するのがこんな風景。
いきなり穴があいてます。そう、この古墳、石室に勝手に入れるのです!うわヤバい、これじゃまるでインディ・ジョーンズじゃん!俄然テンションがあがるコドモたちとボク!しかし、小学校6年生だけどかなり小柄な息子ノマドと比較しても小さな穴、大人がくぐろうとすればかなり身を縮めなくてはなりません。

艸墓古墳3

●しかし入口はセマイが、奥に進むに従いやや広くなっていく仕組み。全長13メートルと説明看板には書いてあったかな?この堅牢な石組みの間を進みます。

艸墓古墳4

そんで到達するのがこの石棺の前。これまた大迫力です。午前中のウチにココへ入ったので、ナニゲに日光がうまく差し込んでいましたが、奥の方は、確かに宿の女将さんの懐中電灯が活躍。真っ暗闇です。この部屋で天井の高さは2メートルほど。身を屈める必要はありませんが、棺が大きいのでそのワキに入るのがギリギリの狭さです。
●この棺、右奥のスミが盗掘者によって穴が空けられており、その中を覗き込む事ができました(それこそ懐中電灯がなければ全く何も見えませんが)。小石がコロコロ転がってるだけでした。しかし分厚いフタとがっしりとした棺。説明看板によると、この石棺を作った後に、石室を組み上げ、その上に盛り土を積上げて古墳としたそうな。ああ、中から作っていくもんなのね。
●結局、コドモたちにとっては、他のメジャーな史跡よりも、このマニアックなインディ・ジョーンズ体験が一番楽しかったそうです。そりゃそうだよなあ、入場料も係員もいない、ただの穴がいきなり古墳なんだもんなあ。これはボクもビックリした。


●さて、今回の飛鳥ツアーの拠点となった宿をご紹介。

サンチェリー

ペンション・サンチェリー
●奈良県桜井市桜井203-4 http://www.adbest.net/sun.html
●今回のツアー企画はワリと思いつきが遅かったのでGW事情の中でメジャーなホテルはすでに満室だったのです。そこで、かつて大学で国文学(万葉集とか)を専攻してた我がワイフが、学生時代のゼミ旅行で訪れたコチラのペンションを思い出したのでした。さすがに20年近く前だからなあ…まだやってるかしら?と思ったけど、往時と全く変わるコトなく健在でありました。部屋もバッチリ空いているとのこと。JR/近鉄桜井駅徒歩2分、駅の目の前。
●本来の定石ならば、近鉄飛鳥駅周辺を拠点とした方が観光には便利でしょう。でそこからに東側に広がる史跡を巡るのがフツウ。で、この桜井はさらにその奥にあります。今回われわれは言わば飛鳥の裏側から攻めたわけです。これもワイフがかつて学生時代に経験したレンタサイクル旅行で、自転車という足さえあればこの裏表の逆転は特に不利にはならないという確信があった上での選択でした…結果としては、20年分ボクらは加齢していたので自転車だけじゃキツかったけど。
●毎晩の夕食はボリュームのあるフレンチのコース。学生さんの合宿拠点なのか、ちょっとした練習スタジオから合唱の声も聴こえてました。かつては写真館だったとか、郷土史に一家言ありそうなご主人がいらっしゃるとか(残念ながら今回は直接お話を聞く事はできなかったです)、自家製パンを販売してるとか。なんだかとてもユニークな宿。とりわけ気に入ったのは、二階ロビーのこの蔵書。

サンチェリー2

壁イッパイに日本史の本が並んでおります。なぜか手塚治虫のマンガも大量に。
●ボクはここで夜中に土門拳の仏像写真集を眺めておりました。土門拳の迫力はすごくて、その後実際に見た仏像をしのぐほどの写真でありました。

土門拳の仏像

土門拳が仏像の撮影を始めたのは1940年のことだという。第二次大戦の最中だ。その苦しい時代に家族を養いながら、ナゼわざわざ仏像写真ナゾを取り集めていたのだろう?経費も旅費もすべて持ち出しで、発表や出版のアテもロクにないのに、彼は寺を訪ねては仏像を撮っていた…。あの厳しい時代をどのように乗り越えたのか、本人自身も良く覚えてないらしい。
●土門本人の回想によると当時の彼には3つの選択肢があった。徴用工として軍需工場で労働に従事するか。一応の職業カメラマンとして戦地の報道写真を撮るか。赤紙一枚で前線に一兵卒として送り込まれるか。赤紙は拒めないとして、前2つさえも土門は拒否し続けたそうだ。理不尽にこき使われるのを良しとしない、彼の気質なのだろう。そんで仏像だ。戦地で働く写真家仲間からは非国民と面罵されることもあったそうだ。
戦争が長引き、自由な言論や表現ができなくなる一方で、彼は仏像たちの表情の中に、戦火の日本人の心象を見出していた。さらには終戦後こそ、焦土と化した日本に対して誇りを取り戻すためにも、日本人が古来から引き継いできた仏像の価値を見出すことに必死だった。土門拳とはそんな写真家だった。
●おまけに、彼は今でこそ高名な写真家だが、当時はお寺から撮影を疎まれることもしばしば。いざ撮影となれば丸一日何時間も粘り続けるし、納得がいかなければ翌日また寺にやってくる。東京で現像した上でもう一度撮影を申し込む場面もあったようだ。暗い仏閣の中では露光時間は30分にもなるらしい。大変なことだ。そんな活動は彼の人生の中で20年以上続いたという。
●いつかまとめて、彼の写真と文章を読んでみたい、と思ったのでした。




飛鳥の里の静かな夜にあう音楽。
●桜井の宿の夜は静かだった…。 

BROKEN SOCIAL SCENE「FEEL GOOD LOST」

BROKEN SOCIAL SCENE「FEEL GOOD LOST」2001年
「BROKEN SOCIAL SCENE」…こんな名前のバンド名だから、さぞ荒廃した風情を醸しているのだろうと思う向きもあるかもしれない。実際、ボクもこのバンドの音楽に対しては、今までも殺伐としたギターノイズの奔流という部分だけを注目して聴いてきた。しかし、本質はそうではなかった、と夜更けの飛鳥で思い直した。
かつては一国の首都として繁栄を極めた明日香の土地が、人口6000人程度の静かな農村になった…それをただの荒廃と呼べばイイのか?時の流れの重みの中で丸みをもって落ち着いた遺物たちの佇まいに、その前を静かに通り過ぎていった多くの無名の世代たちの優しい思いを感じ取る。カナダの大所帯バンドであるこのバンドは、そもそもが独立した活動を持つミュージシャンたちの集合体、コミューンのようで、バンドの形態もアレンジも曲によって全然チガウ。そしてボーカルがほとんどない。押し付けがましい自己主張がない代わりに、様々な楽器が豊かなレイヤーを織りなして、不定形のグルーヴを優しくさざ波立たせている。無名の人々が積み上げた歴史の厚みを人肌の温もりでもって感じる。

BROKEN SOCIAL SCENE「YOU FORGET IT IN PEOPLE」

BROKEN SOCIAL SCENE「YOU FORGET IT IN PEOPLE」2002年
●トロントを拠点にするこのバンドを、音楽ジャンルの言葉で説明すれば、90年代オルタナティブロックとシカゴ音響派に繋がるポストロックの延長とカナダ的解釈と言うことができる。2枚目のアルバムになるこの作品では、オルタナの帝王 SONIC YOUTH ばりのギターノイズを放射するロックチューンもある(というか、ボクが大好きな SONIC YOUTH に似ているからこそ、ボクはこのバンドを聴くようになった)。あいかわらず寡黙とはいえボーカルが役割を大きくしており、乾いたスネアがパスパスと駆動する様もインディロックの本道。ただ、ここで愛らしいドリーミーなアレンジがソコカシコに仕込まれている事を見逃してはイケナイ。

BROKEN SOCIAL SCENE「BEE HIVES」

BROKEN SOCIAL SCENE「BEE HIVES」2004年
●前作「YOU FORGET IT IN PEOPLE」の B-SIDE 編集盤アルバム。ロック色が後退しドリーミー具合が前作よりも向上。ポストロック的な再編集も加わっている。それと神々しいシューゲイザーも大増量。前作と重複する曲「LOVER'S SPIT」は、ソロでも活躍する女性シンガー FEIST がボーカルを務めるドリーミーなスローバージョンで、前作本作ともに甲乙付け難い仕上がりに唸る。

BROKEN SOCIAL SCENE「BROKEN SOCIAL SCENE」

BROKEN SOCIAL SCENE「BROKEN SOCIAL SCENE」2005年
●荘厳なギターのフィードバックノイズに分厚いホーンアンサンブルが合流して、強い生命力を感じさせる3枚目のアルバム。ファーストアルバムの、太古の記憶に身を浸すような夢心地から遠く隔たって、このアルバムでは大勢のメンバーが持てる力を結束して、躍動するスピードと歓喜の音壁を築き上げる。現在を生きるためのパワー。