●年末の大そうじをしようと思ったら。
●カオスがより深まって、もう気が狂いそうになる。
●200枚以上のCDを実家に預かってもらって、
●マンガや本、雑誌を、300冊ほど処分すべく部屋の外に出したんだけど、
●その程度の数じゃボクの部屋はなんにも変わらなくて、もう途方に暮れた。
●積み上げられた雑誌やCDの山がバサーッと崩れて、ケガしそうになる。
●舞い上がるホコリもすさまじい。
●もーヤダ。

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●というトコロまで記事を書いて、昨晩そのまま寝てしまった。
●ワイフに手伝ってもらって、古本屋さんに紙袋にして4つ分の古本を売っぱらって、やっと精神が安定した感じ。1755円也。
●12月はホントに仕事が苛烈で、生活が不規則になった上に、最近はクスリも抜いてしまうコトが多くて、マジで自律神経が完全に故障してしまっていた。カラダ中が痛い。
●でも、昼メシに下北沢でワイフと一緒にタイカレー食べたら、ちょっと気分が落ち着いた。



●とにかく一応なんとか仕事納めして、お休みに入ったので、ゆっくり落ち着いた音楽でも聴けばイイのに、自分の趣味とは違う物件を聴いている。
えーとね、AKB48だよ。


AKB48「恋するフォーチューンクッキー」

AKB48「恋するフォーチューンクッキー」2013年
●名古屋から東京の実家に帰省している妹からメールがあって。「カナメからのリクエストでAKBときゃりーぱみゅぱみゅの曲が欲しいの。持ってたらCDに焼いてきてもらえる?かわいい姪っ子のためにお願いね!」カナメちゃんは我が子ノマドヒヨコの従姉妹にあたる女の子。まだ幼稚園生。ワイフやノマドヒヨコは妹の帰省のたびにカナメちゃんとその弟カケルに会っているけど、ボクは仕事の都合でほとんど会ってない。従って伯父サンらしいコトは1ミリもしたコトがない。
●ソコの負い目がボクにのしかかって、実家に行く前日の夜、せっせと中古CD屋さんをめぐってバサバサとAKBのシングルを買い集めた。まあ、AKBのシングルは1枚100円で買えちゃうからたいしたコトないんだけど。
●で、カナメちゃんに一番受けたのが「恋するフォーチュンクッキー」。この2013年日本最大のダンスアンセムに、彼女もハマっていたというワケだ。ネットに素人さんによるこの曲の振付け動画がワンサと出てきたのは、従来のニコ動系「踊ってみた」のハイテックなパフォーマンスや、海外渡来のブームだった「DO THE HARLEM SHAKE」(←つーか振付けじゃないし)とは異質のメジャー感のある展開だったような。パパイヤ鈴木さんによるこのダンスは、第一印象ではヘタレ指原への最適化を目的としたかに見える微妙なユルさが漂っていて、曲調も含めてあまりキレが感じられなかった。ところが、その狙いは「指原が踊れるなら日本人全員が踊れる」という逆説が仕込まれていて、AKB本体〜公式運営サイドが醸すハードルの低さに触発されたのか、様々なバリエーションの動画が生み出された。
●2012年より小中学校の体育の授業にダンスが必修科目に組み込まれたということで、ダンス市場が活況となるかも、という見込みを立ててる人は、ボクの周囲には結構いた。でも、現役小学生ヒヨコに聞くと「ダンス?そんなのやってないよ」とのこと。いまいちピンとこない…生徒も先生もヒップホップダンスなんて手に負えるのだろうか?そんなダンスを巡るギャップに見事ハマったのがこのシングルだったのだろう。実はストリングスアレンジが70年代後半フィラデルフィアのシグマサウンドやサルソウルの気分を模した感じが真っ当にディスコだし、あんまりテンポが速くない感じもあの時代のディスコ感を正確になぞってる。公式MVで「48」をかたどったネオンサインのセットが出てくるけど、アレはニューヨークの伝説のディスコ「54」からインスパイアされてる気がする。
秋元康大先生による、ちょいちょい前向きなリリックも世間のムードにハマったのだろう。「人生捨てたもんじゃないよね あっと驚く奇跡が起こる / 世界は愛で溢れているよ 悲しい出来事忘れさせる 明日は明日の風が吹くと思う」そもそもこの曲でセンターを務める指原莉乃には、その個性的なキャラでテレビやシングルでソロ活動を始めるもスキャンダルでHKT48に電撃移籍、今後のキャリアは絶望的かと思われていた矢先の、総選挙大逆転1位でこのシングルのメインを務めるコトとなったという物語がある。周囲が心配になるような頼りなさが、かえって彼女に助力しようという気持ちを集めたのかも知れない。そんな彼女のラッキーさは、MVにも巧妙に表現されてる。今や彼女の強力なホームとなった福岡の街中を占拠して5000人のエキストラがこの曲を踊るという演出が採用された。福岡ドームを背景に、5000人と踊るAKBはかなり壮観なモノですよ。
アイドルと地域/コミュニティが結びついて相互作用で両者が盛り上がっていく構造は、今年の大ヒットドラマ「あまちゃん」でも描かれたモチーフ。結果、黒岩祐治神奈川県知事(元フジテレビ・キャスター)本人が踊りまくる神奈川県バージョンや、「あまちゃん」にもフィーチャーされて全国区の知名度を集めつつも東日本大震災の津波被害からいまだ復興の途上にある岩手・三陸鉄道バージョン、ボクのヨガの先生の故郷・秋田県横手市バージョン(先生の知人が出まくってるらしい)などなど、無数の集団が動画を作った。IBMサイバーエージェントCBCラジオ那須どうぶつ王国といった企業もの、タイやシンガポール、ロンドンといった海外もの、そして無数の素人さんによる「踊ってみた」…女子大生の思い出作りや、結婚お祝いVTRだったりと成り立ちも様々…と、無限のバリエーションは見てて飽きないほど。なんかこっちも楽しい気分になる。
それと、日本人は、みんなダンスがヘタクソってこともわかる。世間にのどじまんはいても、踊りじまんはまだいないみたいだ。ヘタクソでも踊ってイイ!というコトを堂々とこの歌は分からせてくれた。踊るアホウに見るアホウ、同じアホなら踊らにゃ損!ということだ。


●その他、ボクがかき集めたAKBシングルは、「さよならクロール」2013年、「ギンガムチェック」「真夏のSOUNDS GOOD!」「GIVE ME FIVE!」2012年、「EVERYDAY、カチューシャ」2011年。
●ぶっちゃけ、音楽的なギミックが淡白に聴こえるAKBモノはボクにはモノ足りないと思ってた。ももクロモー娘。もボクにとっては音楽のギミック部分でヒッカカル。だから基本的にスルーしてきたAKB。それでも世間でキチンと鳴っているのかこのヘンの曲はボクの耳にもキチンと入ってきている。「さよならクロール」「真夏のSOUNDS GOOD!」「EVERYDAY、カチューシャ」はそれぞれの年の夏アンセム。遥か昔に卒業したかに思える前田敦子も去年の夏アンセム「真夏のSOUNDS GOOD!」でフツウに純白ビキニでダンスしてる。ティーンのアイドルたちにとって、一年の時の流れはきっとホントに大きいものなのだろう。MV監督をチェックすると豪華でビックリ。「さよならクロール」蜷川実花が、「真夏のSOUND GOOD!」樋口真嗣「EVERYDAY、カチューシャ」本広克行が担当。ちなみに「フライングゲット」の格闘シーンを含めたMVは堤幸彦。日本映画のど真ん中ばっかだね。
「GIVE ME FIVE!」AKBメンバーが楽器を持ってバンドで演奏するという体裁。「けいおん」を通過した今ロックバンド女子にはなんだか萌えを感じるボクには、今回注目の買い物。フェンダームスタングで武装する高橋みなみはクールだね。実は卒業ソングだって気づいたのは今が初めて。そんで意外なほどブラスアレンジが厚いってのも初めて知った。

AKB48「GIVE ME FIVE!」

AKB48グループが紅白を独占してるって批判に関して。
●今年の紅白歌合戦のラインナップを見ると、AKB48、SKE48、NMB48と、同系列グループが3組出場するという。ジャニーズもいつも通り大勢いるよ。嵐、SMAP、TOKIO、関ジャニ∞、SEXY ZONE。コレに加えて EXILE 系列が入ってくる。EXILE 本体と三代目J SOUL BROTHERS、そして E-GIRLSこの寡占状態はいかがなものか?という批判がややネット上に出てる気がする。
しかし、オリコンチャートを見てもこの三派閥ばっかがセールスを独占してることになってる。年間ランキング40位までを見てみると、AKB系列(前述三組+ HKT48 & 乃木坂46)が15曲を占めてる。ジャニーズ勢は、嵐を筆頭に17曲がランクイン(KIS-MY-FT2が大きな存在感)。ここに EXILE 系が2曲。残り6曲が他のアーティストとなるが、20位までとなると17位のサザン「ピースとハイライト」しかいない。40位まで含むと、ゴールデンボンバー東方神起、アニソン系の水樹奈々+TM REVOLUTION LINKED HORIZON、そして「あまちゃん」からのスピンオフ「潮騒のメモリー」が入ってくる。 このヘンは実際に今年の紅白にほぼキャスティングされているから、ある意味で、紅白ラインナップは正確に今の市場を反映してしまっているわけだ。実際、ボクの姪甥カナメカケル姉弟は「恋チュン」だけでなく EXILE でも踊りまくるし。「ら〜いじんさーん!」あ、ダンス必修化で直接メリットを享受するのはきっと EXILE だね。
さて、一部のアーティストにここまで市場が集中するってのは確かに特殊な状況かも知れない。80年代末から音楽を聴いてるボクにとっても不思議な状態だ。しかし、音楽に対する多様性が狭まったといえば、そうとも言えない。インディシーンはどんどん新しい才能を輩出し、今までにない回路/動画サイトやネットレーベル、ソーシャルメディアでのプロモーションで流通を始めている。洋楽情報もネットでよりダイレクトに情報が伝わるようになったし、過去のカタログやアーカイブも容易に到達できるようになった。ボクにとって音楽シーンは、実は全く退屈にはなっていない。確かに、音楽に興味がない人にとっては、見えない領域が広くなった。リテラシーがなければ、音楽が鳴っている場所に到達出来ないから。しかし、ボクは別にそんな人たちに気を使う必要はないので、ただ貪欲に、様々な音楽に触れて楽しむのみ。そして、ボクにとっては、AKB48 だって結果的に疎ましい存在でもないわけだ。十分に面白がれる。しかも100円程度で。
だから、今の音楽がオモシロくないという人は、気を付けた方がイイ。音楽をオモシロがる能力がないだけかも知れないのだから。


で、突然ですが、PERFUME です。コンサートに行ったんです。

Perfume 4th Tour in DOME 22LEVEL322

「PERFUME 4TH TOUR IN DOME "LEVEL3"」@東京ドーム12月25日。
PERFUME ってのは不思議なモノで、CD屋さんにおいてアイドル売場には置かれないのだ。アイドル売場にはAKBももクロモー娘。系、そんで E-GIRLS SUPER GIRLSでんぱ組INC. BIS までがいて、ジャニーズ関係もあって、韓流まで置かれたりもするが、PERFUME は置かれてない。PERFUME と、AKB48や他のアイドルを区別するものはなんなのだろう?あ、ちなみに彼女たちも紅白はキチンと出演しますよ。
●その答えは見つかってないが、とにかくクリスマスの夜に会社の同僚たちと東京ドームへ。クソ忙しい場面でもあったが、半ばムキになって会社を脱出し、18時という異常に早いスタート時間になんとか滑り込んだ。思えば超久しぶりの東京ドームだ。三塁側スタンドのファウルポールの側からアリーナを見下ろす席。いいねえ。
ライゾマティクス真鍋大度さんのテクノロジーを駆使したステージ演出が楽しみだった。ステージ中央にドンと据えられた半円ドームに開演イキナリのプロジェクション演出が炸裂し、球面を生かしたクールな同心円グラフィックがテンションを上げる。大きくアリーナに突き出した3本の花道に三人が登場して大歓声。彼女たちのポリシーは、ステージは三人だけでこなすコト。バンドやダンサーに依存しないコト。この原則を忠実に墨守して、4万3000人に対峙する。クールなピンヒールとエッジーなダンスで大群衆に立ち向かう。あまりに広くて音響が散漫になりがちな東京ドームの割には、四ツ打ちのキックがドンドンと腹に響いて気持ちイイ。「SPENDING ALL MY TIME」では、カンヌライオンで披露された人体へのリアルタイムプロジェクションマッピングも見事に炸裂。それと、巨大化した PERFUME の三人が、お客さんをつまみ上げるという映像演出も。アレはその場にいるお客さんをいつのまにか3Dスキャンして、そのCGをスグにステージ演出に生かしちゃったというワザだね。スゲエ、やっぱカッコいいわ。
●ただ、ここまでは今まで観てきたDVDと同じ。一方でDVDで描かれなかった部分もしっかり味わった。彼女たちのMCトークが異常に長いのだ。これきっとDVDだと編集されちゃってるでしょ。でも最初のMCだけで20分しゃべってたもん。スタート時間が早いのもコレのせいか?つーか、とにかくあーちゃんがスゴい。マジで異常なハイテンションで思いつくままにトークを繰り広げている。他の二人とあんまり打合せしてないのか、ツッコミも機能しないので暴走するままだわ。決して標準語に呑み込まれない濃ユイ広島弁を駆使しながら、フツウにドームの客イジリを軽妙にこなす様がスゲエ。この場にいる4万人の中であーちゃん自身のテンションが一番高く、その彼女のハイテンションに4万人が牽引されてしまう。スゲエ。
●基本的に前半はアルバム「LEVEL 3」からの楽曲で展開するけど、後半は全キャリアを包括するベストチューンが繰り出されて楽しい!「コンピュータシティ」「エレクトロワールド」「ワンルーム・ディスコ」「ポリリズム」が炸裂。「チョコレート・ディスコ」のベースがマッシヴに硬度増強されてて超クール。

PERFUME「LEVEL 3」

PERFUME「LEVEL 3」2013年
●当然彼女たちのニューアルバムは予習しておきました。いつも通りの中田ヤスタカプロデュースで、いつも通りの硬質なエレクトロトラック。イントロ部分にあたる「ENTER THE SPHERE」からシングルヒットになった「SPRING OF LIFE」の流れが、アルバム向けにアレンジされ直されててフロア仕様の強力キック&ベースへ換装されてる。より硬質でジャストなビート感とスクエアなシンセの鳴りの中に、80年代のエレポップ90年代のアシッドテクノ00年代のチップチューンといった、シンセフェテシズムの様々なレイヤーがコッソリたっぷり差し込まれてて、その上で高性能なジェイポップとしてキッチリ偽装されてる裏切りが、ボクとしてはタマラン気分になる。「SPRING OF LIFE」というタイトルなんて、デトロイトテクノの古典 DERRICK MAY (RHYTHM IS RHYTHM)「STRINGS OF LIFE」をどうしても連想しちゃうもんね。アシィィッド!「PARTY MAKER」「SPENDING ALL MY TIME」といったダンスチューンもライブではクールだった。「ポイント」はリズムアレンジが完全に90年代ドラムンベースLTJ BUKEM 主宰の LOOKIN’ GOOD レーベルみたいな洗練されたドラムンベース。懐かしい。
●ドームのライブを見て思ったのは、昔の楽曲に比べてボーカルへの加工が薄くなったのかな?という印象。正直、「ポリリズム」前後の彼女たちの音楽は、誰が歌っても同じじゃないかと思うほど過度にボーカルがエフェクトされてたし、結果それが強烈な個性になってた。ふと気づくと、今の PERFUME はそこまで深いエフェクトを必要としてない。当然今でも、エフェクトも口パクも必要なのだろうと思うけど、生身の人間のニュアンスを剥ぎ取る必要はなくなってる。トラックが強力になった分、彼女たちの人間としての存在感を強調しなければ、ジェイポップとしてのバランスが崩れてしまう。PERFUME はダンスミュージックではなくて、ジェイポップなのだから。
●ジェイポップ側面が強い「未来のミュージアム」は、ドラえもん主題歌とあってカナメカケルにとってもポピュラーらしい。ハッピーなダンスチューンに分量たっぷりのリリックをギュッと押し込んだ「だいじょばない」のハイテンポ感は新型のジェイポップ感覚でクセになる。ラストトラック「DREAM LAND」はライブのオオトリを神秘的に飾った可憐な曲。ビートのスキマにオリエンタルなシンセフレーズが響く。ジェイポップ。


きゃりーぱみゅぱみゅ「ぱみゅぱみゅレボリューション」

きゃりーぱみゅぱみゅ「ぱみゅぱみゅレボリューション」2012年
●姪っ子カナメのリクエストは、AKBだけじゃなくて、このハラジュクカワイイひいてはクールジャパンの美学を一身に引き受ける立場になってしまった20歳の女の子の音楽だ。PERFUME と同じく、中田ヤスタカがプロデュース、作詞作曲を一手に引き受けている。一気にワールドヒットになったデビュートラック「PONPONPON」は希望に進む音楽だ。「あの交差点でみんながもしスキップをして もしあの街の真ん中で手をつないで空を見上げたら もしもあの街のどこかでチャンスがつかみたいのなら まだ泣くのは早いよね ただ前に進むしかないわいやいや」奇矯なファッションを好むフリークスが正当な権利を掴むことができる、特殊磁場空間となった原宿のストリートに自己実現の道筋を切り拓いた彼女のキャリアは、日本各地の孤立した少女/少年をどれだけ勇気づけたことだろう。
「オリーブ少女」が死語になって久しい2010年代、女子はAKB風のヒエラルキー競争社会で、選挙だじゃんけんだセンターだキャプテンだその他アレコレのド根性を必要とするゲームのルールの中で自分のポジションを必死に確保しなくてはいけなくなった。しかもそれは基本的に男子視点からの評価に軸足をもつ価値観なのだ。ところが、きゃりーはそのゲームから逸脱してルールを自分で作るコトに成功した。だれも寄せ付けられない/寄せ付けない独自のセンスで世間を圧倒した。これほど痛快なコトはない。もしかしたら、ある女子から見れば憎いほどの存在なのかも知れないけど。
中田ヤスタカは、PERFUMEきゃりーの仕事をどのように区別しているのだろうか?ローティーンの頃からアイドルを目指してステージパフォーマンスの技術を研鑽してきた高い性能を持つ PERFUME の三人には、限界ギリギリのスペックまで出力させてハードなエレクトロ武装に耐える試練を投げ与えているような気がする。ライブでも十分堪能したが、ゆるいMCトークに比して、彼女たちのダンスはマジで高機能。3時間ぶっ続けで、ピンヒールで、あの広い空間で、最後までセットを余裕で踊りこなす。一方で、きゃりーには基本ベタオリしてる気がする。エレクトロベースでありながら、きゃりーの世界観を拡大/補完するためのトラック作りに徹している気がする。PERFUME に見えるような、ダンスミュージック由来の引用を露骨に振りまく行為が全然見えない。むしろどれだけオリジナルに見えるかに腐心しているようでならない。シンガーとしてのスキルもおそらく PERFUME よりもツタないはずなのに(PERFUME はかなり訓練されてるから、本気出せばスゴい気がする)、ボーカルの持ち味を深いエフェクトで改変するようなコトはしてない。
●最新シングル「もったいないとらんど」なんて、中田ヤスタカの他の仕事、PERFUME は当然の事、CAPSULE でも COLTEMONIKA でも MEG のプロデュース仕事でも全く聴いたコトのない、オモチャ箱をひっくり返したようなアレンジ。めちゃめちゃ楽しそうだ。

「もったいないとらんど」




●こんだけアレコレ書いておきながら、本心では、テクノ聴きたいんだよねー今は…。

●PERFUME「SPRING OF LIFE」の元ネタ、には聴こえないけど、
●とにかく傑作クラシック、DERRICK MAY (RHYTHM IS RHYTHM)「STRINGS OF LIFE」1987年。





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●高校時代の同窓会があって、懐かしい仲間に会う。
●女性はみんな立派なママになってる。今回も1歳のバブバブくんが登場した。
●ホントに久しぶりの顔も登場したが、話を合わせるのにちと苦労した。フツウならこなせるはずの負担だが、先週の仕事がホントにキツかったのか、激しい虚脱でカラダとココロが重過ぎる。


この同窓会で、友人の死を知った。…うつで自殺したのだ。
●元うつ病患者として、他人事とは思えない。
これで、ぼくの周囲で、うつで死んだ人間は3人目。
うつは、死に至る病。


●医者に言わせれば、ボクは大成功例らしい。見事うつから生還した。
●社会復帰してキチンと働いている。残業もするし、プロジェクトも背負う。
●脱出が困難な洞窟から、なんとか這い出るコトが出来た希有な例。

●とはいえ、本人にしてみりゃギリギリだよ。
●いつ再発するのか、爆弾を抱えている気分だよ。
●うつは、ココロの病気だと思われているが、ボクに言わせればそうじゃない。
●ボクの場合、自律神経のバランスが崩壊しているから、トラブルは物理的な現象として現れる。
●カラダ中の筋肉が緊張して激しく痛む。目ん玉をエグリ出したくなるほどの頭痛。悪寒でアゴや指が震える。いつまでも抜けない疲労感。眠いのに眠れない。そんな物理的な痛み苦しみと毎日向き合っている。
●そんな物理的な痛みや苦しみが、ジワジワと冷静な判断を削ぎ落していく。

●うつをはじめとしたココロの病気は、カラダの内側だけで起こるモノではない。
●周囲の人々との関係に強く影響を受ける。家族…仕事…友人…医師たち。人間は一人では生きていけないから。
●反対に、周囲の人々に問題が残れば完治は難しい。もう患者は不可逆的に変質しているのだ。それを周囲は認めなければならない。壊れている人間の故障部分を理解しなければならない。元に戻らない事を本人も周囲もハッキリと覚悟すべきだ。

●完全復帰だなんて、冗談ではない。ボクは、多くのモノを捨てた。
●壊れた部品は元には戻らない。多くの人間関係やキャリアのチャンスが失われた。趣味や信条すらも変質した。経済的損失も大きかった。
●それでも、なんとか生き残った。



●ボクはこのブログの過去記事で、自分が味わった自律神経失調症〜うつ病の経験を書いているので、メンタル関連の検索でココに到達する人も少なくないようだ。
●そんな人たちにとって、ボクは助言をするような立場ではない…それは医者の仕事で、ボクにはムリだ。
●自死した友人のことを思い浮かべて、そんなことを考える。たとえ彼女に対してナニかをするチャンスがあったとしても、ボクにはナニもできなかっただろう。病気のただ中、そして病気の周辺では、真っ当な理屈は通用しないからだ。全てが歪んでいるからだ。
●彼女は、そんな歪んだ世界から目をそらし、沈黙の深海に深く浸って、そのまま戻って来なかった。


●そんで今でもボクは安定剤を飲む。アレがボクの主食だ。クスリを抜きたいだなんて思った事がない。ボクは今後もずっと不良品だからだ。その不良品がどこまでイケルか。ただそれだけだ。





●音楽。

KINGS OF LEON「ONLY BY THE NIGHT」

KINGS OF LEON「ONLY BY THE NIGHT」2008年
●このジャケはなんなんだろうな?ボクが心療内科に通院してた頃に受けたロールシャッハテストの紋様にも見える。
●そもそもこのバンド、個人的には2003年のデビュー盤からチェックしてるのだが、最初はもっと性急なガレージロックだったような…それこそ THE STROKESTHE LIBERTINES が登場して00年代のガレージ/ロックンロール回帰を鳴らしていた頃に、アメリカ南部からそのカウンターのように現れた存在だったはず。WHITE STRIPES にも繋がっていくアメリカ独特の泥臭さは最初から含有していたものの、若さとスピードがはち切れんばかりに瑞々しかったイメージがあったんだけど。
●ところが、なぜかこのアルバムでは、アメリカンロックとして泥臭すぎて、どちらかといえばトッツキにくいほど。ちらり聴いただけではツカミドコロに迷う。分かりやすいスピードもギミックも、アンセミックな大サビもなくて、実に渋い内容。実直といえば実直。スッパリ言えば地味。iTUNE FESTIVAL でライブ配信を見たんだけど、かつてのワイルドな長髪の若者たちはいなくなり、全員がボロいネルシャツが似合うオッサンに変貌しとった。アメリカ人はフケルのが早いのか。
今年の同窓会で仲間たちは全員40歳を迎えた。「40にもなればそれぞれイロイロあるよな」そんな会話を吉祥寺の居酒屋でタコサワつまみながら語る。この音楽に分かりやすい痛快さや洗練はないが、年月を積み重ねたロックの重たさがジワジワと染みてくる。どこか大味なスキマも、じらすようなローテンポも、ブッキラボウに見えて真摯なボーカルも、今のボクにはシックリとくる。

kingsofleonitune.png

●この写真が iTUNE FESTIVAL 2013 での KINGS OF LEON の勇姿。暗いライブハウスの中では、渋さがより一層の煮詰まり感を出してしまって正直ツラかった。ただし、コレはアメリカンロックなのだ。その音楽の鳴り響く場所を、遠く広がる荒野とハイウェイ、そして乾燥した青い空を想定すれば、彼らの音粒のスキマには少々ホコリっぽい風が気持ちよく吹き込んできて、大地に直結した生命力を運んできてくれるコトがわかる。結果として、今夜は彼らのゴワゴワした指が鳴らす音楽が、ボクの神経を優しく慰めてくれる。


●動画
●KINGS OF LEON「CLOSER」



●KINGS OF LEON「USE SOMEBODY」




●ここ最近必死になってた仕事に、今週ようやく決着がついた。
●思い返してみると今年の2月から関わってたのか。長い時間をかけたなー。
●なんとか、無事に終わったというトコロか。また新しい人々に出会い、新しい経験を得た。

●大きな仕事を終えると、いつも寂しくなる。
●プレッシャーで吐きそうになるほど追いつめられたりするのに、祭りの後はいつも虚しい。
●そんで、また次の難関に、自分から飛び込んでいく。


さて、映画を観たよ。「かぐや姫の物語」。ネタバレ含みますよ、ご注意を。

かぐや姫の物語

●最高にクソ忙しいというのに、わざわざ時間を作って映画館に行ってしまった。娘ヒヨコ小学5年生に請われたからだ。ヒヨコに行きたいと言われると、100%断れない。ボクは娘に対してデレデレの父親なのだ。
●一方で、今回はワイフが参加しない。息子ノマドも反応しない。基本的にジブリ右派な我が家は、ジブリ系全面肯定〜公開直後にキッチリ劇場に出向くのがスタンダードなのだが、その急先鋒であるはずのワイフがアンチ高畑勲なのだ。「火垂るの墓」がとにかくダメらしい。あのバッドエンドがダメらしい。「となりの山田くん」「ぽんぽこ」もスルーだそうだ。だから今回は全く興味なし!と断言された。結果として、今回の「かぐや姫」は娘ヒヨコとボクの父娘デートになったのであった。

●で、泣けた。ぼろぼろ泣けた。

光る不思議なタケノコから現れたかぐや姫は、一年もせずに赤ん坊から思春期の少女に成長する。
●竹取のジジババがかわいがる赤ん坊の姫を見ると、かつてのバブバブだった娘ヒヨコの幼い頃が思い出されてタマラン気持ちになる。あの丸くてカワイイおしりや、たどたどしいしゃべり方、近所のガキンチョと夢中になって走り回る様子を見ると、ヒヨコオマエもちょっと前までチビッコだったのになーなんて感じ入ってしまう。で、隣席に座るヒヨコをみると、わざわざチャイルドシートを持ってきて座席を底上げしてる…あ、オマエまだ十分チビッコだね。まだまだパパのチビッコでいておくれ。まだパパのそばにいておくれ。

「姫の犯した罪と罰」。
●映画を観終えた後に、ヒヨコが質問してきた。「結局、ヒメは、どんな悪いことしたの?」そうだね…今回のコピーは「罪と罰」だったね。結婚したいって言ってきた人にムチャブリして、一人死んじゃったね。「死んじゃったね。あんな死に方すると思わなかったね」姫の無理難題に応えるべくツバメの巣を取ろうとして墜落、ツボの中にカオ突っ込んでそのまま死んじゃうのだ、一番線の細いイマドキ風な青年だったのに。「死んじゃうのはヤバいよね」
●でも、なんであんなムチャブリしたんだと思う?そもそもで一番まずかったコトは、姫は月からわざわざ地球にやってきたのに、その動機を忘れちゃったことだね。姫は、映画の中で歌を歌うね。「鳥虫けもの草木花 咲いて実って散ったとて 生まれて育って死んだとて 風が吹き雨が降り水車まわり せんぐりいのちがよみがえる せんぐりいのちがよみがえる」この歌を、月にいた頃から知ってたよね。禁断の地とされてた地球から帰ってきた人からこの歌を聴いていたという。月には「鳥虫けもの草木花」が全くいないんだよ。だから姫は「鳥虫けもの草木花」の命に溢れた地球に触れたくて地球に降りてきた。だけど、そんな豊かな自然とは切り離された貴族社会に組み込まれて「高貴な姫君」になってしまった。これが姫の失敗で、姫の罪だよ。
そして不本意な生活をしてしまった。自由に外を出歩く事もできない生活。そして不本意な習慣に寄添った。マユゲを抜き、歯を黒く染めて、貴族の男性にソッケナイ態度をとって。そして、不本意なカタチで月に帰らなければいけなくなった。こんな辛い思いをするのが、姫の受けた罰。ただし、月の人たちは、うれしいもかなしいもない、感情がない人たちみたいだね。ヒヨコは月で暮らしてみたいか?「ヒヨコは地球の方がイイ。あんなアタマがイボイボのブッタ風な人はキモイし、みんな半透明でヤダ。生き物がたくさん生きてる地球がイイ」

「あと、最後の方の、トトサマはダメなヤツだった」とヒヨコ。5人の求婚者にムチャブリをして蹴散らした武勇を聞いて、時の帝が姫に手を出した。「あの翁にも高い位を授けよう」そんな知らせに大喜びする翁は、姫の価値を高めるコトと自分の立身出世が一緒になってしまっていた。最初は素朴に姫の幸せを願っていただけだったのに。娘ヒヨコが発した、愚かな父親、の指摘に、ちょっとドキッとしたボクであった。

●姫の身の回りの世話を焼くまるっこい女の子がかわいらしかった。したたかでしっかり者で。「女童」という名前。「おんなわらし?」読み方がワカラナイ…。家に帰ってワイフに聞いたら「それはね、めのわらわ、って読むの」。さすが文学部国文学科卒業。万葉集や日本書紀を勉強したのはムダになってないね。ヒヨコが映画のあらましをワイフに説明すると「虫愛づる姫君、って人もいるのよ」とひとこと。「堤中納言物語」に登場するワンエピソードだね。やっぱ「かぐや姫」はワイフのテリトリーだわ。

女童

(こいつが「女童」。つーか、パタリロに似てる?)

●結局、「かぐや姫」オモシロかった?ヒヨコ「んー。微妙!」そうか。じゃあ「風立ちぬ」は?「あれはオチがなかったー」オチね…アレは、オチは自分で探しなさいってコトだよ。でもねヒヨコ、ジブリは、子どもの時にしかワカラナイ見方、大人になって初めてわかる見方、イロイロな見方があるし、どうせこれから金曜ロードショーとかDVDとかで何回も観るコトになるから、今すぐ全部ワカラナイのでイイんだよ。何回も見返していくと、いろんなことがわかるんだよ。


●音楽。

二階堂和美「いのちの記憶」

二階堂和美「いのちの記憶」2013年
●ここで、二階堂和美さんの登場。彼女のイノセントな歌唱と、確かな言葉選びは、1000年以上も前からこの国で語りつがれてきた、不思議な少女の物語を締めくくるにふさわしい。迷いなく凛とした線を引くように描かれるメロディは、「竹取物語」原典の絵巻物のかなづかいのように洗練されている。四季の移り変わりで生滅を繰り返す生命の逞しさを、輪廻する人生の繰り返しに結びつけるかのような印象は、彼女が現役の尼僧であることも関係しているのかな。
●ちなみに、「竹取物語」絵巻物は、国立国会図書館のデジタル化資料としてネットで閲覧出来る。便利な世の中ね。

竹取物語

(かぐや姫が、月からの使者とともに空へ旅立つシーン。映画も意外なほど原典に忠実)

yanokami「yanokami」
yanokami「yanokami」2007年
●これは、矢野顕子と電子音楽家レイ・ハラカミのコラボレーションユニットによるアルバム。矢野顕子といえば、高畑勲監督作品「となりの山田くん」で主題歌「ひとりぼっちはやめた」を提供している。「となりの山田くん」ジブリの黒歴史扱いになっていたとしても、この「ひとりぼっちはやめた」はボクにとって見事な名曲で、この数年来 iPodプレイリストの常連から外れたことはない。
●一方で、この希代のシンガーにエレクトロニカのトラックを提供するレイ・ハラカミ彼は2011年に40歳の若さで急逝してしまった。彼の淡いエレクトロニカは叙情的といえば聞こえはイイが、ちょっと地味といえば地味。だから彼の生前にボクが彼の音楽に注目する事はなかった。ただ、この矢野顕子とのコラボレーションは、その温もりと浮遊感がイノセントな歌唱と相まって実に豊かな風景を描く。
「かぐや姫」と二階堂和美がキッカケになって、急遽この二人のコラボが聞きたくなった。レイ・ハラカミの突然死は、このコラボに妙な暗さを差し込んでいるが、それを割り引いても価値がある。この夢心地の感覚は、もしかしたら月の世界の側で鳴っている音楽かも知れない。
●それと、THE DELFONICS「LA LA MEANS I LOVE YOU」のカバーが収録されている。コッテリとバタ臭い古典R&Bの鉄板名曲を、地上30センチ上空でフワフワするような軽やかさで料理する見事なワザが気持ちイイ。

TICKLES「OLD NOTE AFTERWARD」
TICKLES「OLD NOTE & AFTERWARD」2013年
●この流れで、日本のエレクトロニカアルバムをもう一枚。ちょっとしたキッカケでとある人からススメてもらった音源。ノーボーカルでストイックなエレクトロニカだけど、温もりも十分込められている。仕事がタフな時こそ、チルアウトが必要。少し多めにクスリを飲んで、こんな音楽を聴いてゆっくり眠りたい。




●二階堂和美「いのちの記憶」




●yanokami「気球にのって」




●矢野顕子「ひとりぼっちはやめた」