読書。徳川光圀、連合赤軍、戦争を知らない子供たち。

冲方丁「光圀伝」

冲方丁「光圀伝」(上下巻)
●この小説は、「イムリ」などの作品で知られる三宅乱丈によってコミカライズもされてるんだけど、あえて原作で読みたいなと思って。有川浩といい冲方丁といい、ラノベ出身からエンターテインメント小説のメインストリームに躍り出た才能にボクは今興味があるのです。で、心の準備ができたらラノベ本体にダイブする。
●とはいえ、ここで描かれる徳川光圀(=水戸黄門)は、印籠見せて事件解決の好々爺なドラマイメージを大きく裏切る、大胆不敵なカブキ者と描かれてる。「大日本史」編纂といった文芸振興の教科書的史実も、穏当な教養人とは言えない由来から動機が発生していることが生々しく描かれている。これが迫力満点。
光圀徳川家康の孫で、三代将軍・家光のジェネレーション。生年は1628年で、大坂夏の陣も終わって10年以上経った「戦後世代」という訳だ。長い長い内乱時代から脱した日本社会で初めて生まれた「戦争を知らない子供たち」。でも職業的戦闘員としての「武士」という性分は決して簡単に消えるわけではない。猛獣のように猛り狂う彼の情熱。彼の荒ぶる魂が葛藤や苦悶を経て成長していく様。戦国武将が幕府官僚へ移行していく時代の、最後の烈火。
●さて、現代日本の「戦後世代」はどうなんだ?民主党政権以前の第一次安倍内閣が、最初の「戦後世代」首相内閣だ。彼らは、血まみれの戦争がイメージできているのか?

山本直樹「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」1〜2

山本直樹「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」1〜2巻
連合赤軍の内ゲバ殺人、いわゆる「山岳ベース事件」を題材にした作品「レッド」は8巻まで行って、そこから改題。本格的な集団リンチが始まる。この1〜2巻、実時間にして1972年1月1日〜18日でもう5人死亡、6人目も処刑目前。「共産主義化を勝ち取る自己総括」という理屈を押し付けられ、その禅問答のような「総括」ができないものは全員でリンチ。つーか「総括」に成功したものはいない…「総括」に指名されたら絶対にリンチまで行く。意味のわからんリンチが延々に続く。
●彼らも「戦後世代」で、普通に年齢を重ねたら安倍首相と変わらない連中。戦争を知らないが、「革命」の「美名」のもと、その戦争を日本社会の内側でしでかそうとしてた。彼らはテロリストであろうとしたが、今世間を騒がす IS と同じなのか別物なのか。結局、暴力を内部へ向けて自壊していった彼らは、テロリストとしても未熟だったのかも。彼らの戦争は乏しい想像力と机上の空論でしかなかった。IS はもっと即物的なトコロに動機がある。連中は戦争を知っている。戦争がすでに目の前にある。宗教はさして大きな問題ではない。殺されたから殺し返す。憎くて殺したい奴を殺す。殺される前に殺す。誰でもいいから殺す。殺して殺して支配する。そこに「戦後」日本がノコノコ当事者ヅラで顔を突っ込もうとしてるとするなら、「戦後世代」総理の想像力の乏しさが露見したってことだ。そして、テロを輸入してしまうだろう。9月11日のニューヨークや、11月13日のパリのように、いつか東京が炎上する。



●無作為に、最近聴いた音楽。なんとなくガールズロック。

SPACIALTHANKS「SEVEN SHOWERS」

SPACIALTHANKS「SEVEN SHOWERS」2009年
●ジャケもカワイイが、音楽もカワイイ、キャッチーなポップパンクバンド。ボーカル/ギターの MISAKI ちゃんは当時18歳で声が若い!陽性エモの英詞メロディもいい感じ。2009年頃の「ITUNES STORE 今週のオススメ」みたいなコーナー(当時は新しいアーティストを見つけるのに役立ったが、いつしか消えてました)でフリーダウンロードした覚えがあったけど、真面目に聴いたのは今回が初めて。なにせ、これもワゴン売りで100円だったもので…。

TRICOT「おやすみ」

TRICOT「おやすみ」2013年
「おちゃんせんすぅす」爆裂マスロックぶりで海外にまで一気に名を馳せた女性トリオバンド+男性ドラマー。そのファーストアルバム「THE」からのシングルカット。アルバムのエンドを飾る、メランコリー漂う気分がいい感じ。鋭角的なマスロックアプローチは薄まってないけどね。カップリング曲の「ORANGE JUICE」「おちゃんせんすぅす」のインストトラックだった。これはこれで嬉しいアイテムだね。

チャットモンチー「CHATMONCHY HAS COME」

チャットモンチー「CHATMONCHY HAS COME」2005年
チャットモンチーは大好きなバンドなのだが、メジャーデビュー最初期のミニアルバムであるコイツをゲットできたのはつい最近のことだった。一曲目「ハナノユメ」はその後のアルバムと重複してるけど、あとは初めて聴く曲ばかり。青春ナミダちょちょぎれソングがテンコモリだわ。大人になる不安とか、去り行く学生時代への郷愁とか、そういう甘酸っぱい気持ちが詰め込んであったよ。
チャットモンチー、メジャーデビュー10周年ということで、「FOREVER EDITION」という名前のバージョンが今年発売されてるらしい。リマスタリング盤+当時のライブ収録とかとか。聴きたい…。

チャットモンチー「きらきらひかれ」

チャットモンチー「きらきらひかれ」2012年
チャットモンチー二人体制期に入ったばかりの時期のシングル。アルバムとしては「変身」の時期。疾走するギターロックが勇ましい「きらきらひかれ」がいつもよりもパンキッシュ。カップリングの「カリソメソッド」 ASIAN KANG-FU GENERATION 後藤正文の作曲提供&ボーカル参加。こういう共演ってこのバンドじゃ珍しい気がした。これも100円だったっけ。

JOAN JETT THE BLACKHEARTS「ALBUM」

JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「ALBUM」1983年
●いきなり80年代物で恐縮。JOAN JETT のソロ3枚目のアルバム。THE RUNAWAYS のセンセーショナルな活動でガールズロックの先駆を切り開いた女傑が、バンド分裂後のキャリアを実直に積み重ねてる時期。ボクとしては、ザラついたギターロックで SLY & THE FAMILY STONE「EVERYDAY PEOPLE」をいたなくカバーしてるトコロが一番好き。

JOAN JETT THE BLACKHEARTS「GLORIOUS RESULTS OF A MISSPENT YOUTH」

JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「GLORIOUS RESULTS OF A MISSPENT YOUTH」1984年
JOAN JETT 自身が鬼才プロデューサー KIM FOWLEYと共作した THE RUNAWAYS の代表曲「CHERRY BOMB」を一曲目からセルフカバーしてる。JOAN にとって THE RUNAWAYS は最悪な解散の仕方をしてるはずだ。でもこの曲を取り上げてるってことは、JOAN 自身がこの段階で過去を客観視できるようになったのかな。この曲が元来持っていたパンク魂はそのままだし、彼女がこのアルバムに叩き込んでるザラつきもパンク由来であることには間違いない。
THE RUNAWAYS の短かった栄光と混乱をボーカル担当の CHERIE CURRIE の視点で描いた「ランナウェイズ」って映画があったはずだ。主演がダコダ・ファニング。あれが観たいな。

NENA「FEUER UND FLAMME」

NENA「FEUER UND FLAMME」1985年
1982年の一発ヒット「99 LUFTBALOONS」で知られるドイツのバンド。これはそのヒットからちょっと経った時期のアルバム。邦題「ウーマン・オン・ファイヤー」。ドイツ語は全然わからん。もっとポップロックな感じと思ってたのに、予想以上にシンセポップ色が強い…これが1980年代風か。キャリアしょっぱなのビッグヒットがデカすぎたのか、その後の活動はシリスボミで1987年にバンドとしての活動は終了。その後は NENA 本人のソロワークがコツコツと続くも、その影響はドイツ以外には響いてないらしい。「99 LUFTBALLONS」は2002年と2009年にリレコーディングされてるらしいので、そいつが聴いてみたい。

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●だいぶブログの更新をサボってしまった…。
●仕事でかなり煮詰まっていたもんで…ホントに余裕がなかった。

初めてオフィスでパニック発作起こしそうになったよ。今まで会社では一回もやったことなかったのに。
●その気配がある日はすぐに「お休みします」メールして家で寝込んでいるのが通例だったんだけど。しかしそんなこと言えないほどの業務量がのしかかった瞬間があって。
●部次長が「この文書、ちょっと修正してくんない?」って言われただけなんだけど、そのワード文書がいったいどこにあるのかわからなくなって、そのまま頭の中がグリッジノイズでガリゴリガリゴリ。「ちょ、ちょ、ちょっと待って、待ってくだ…」メンタルが不安定な場面で出まくるドモリも連発。ますます焦る。「少し、時間、ください…いま、パニック気味になってます…」ぐうう。
●そしたら、部次長、すっごくビックリしたようで、「え!大丈夫!部長に報告するか?医者呼ぶか?どうしたらいい?」露骨に取り乱していて…ああ、ボクがヤバいモードに陥ると、周りの人はこんなに驚くんだ。初めて知った…うちのワイフだけなんだな、何が起こっても普通にしてるのは。

少々重たいプロジェクトを5つくらいパラレルで回してたんだわな。1つ以外は全部チームリーダー。担当者がボクだけってのも一件。サブに回った一件も、見るに見かねた先輩が申し出てくれてリーダーのポジションを交代してもらった次第だ。でも、これが大変な救いだった。そんなんで、なんとかやり切れるかどうか。結果的には、少なくとも一番重たいモノ以外は、確実に決着がつくところまで持っていってた。

そしたら…ここで取引先が一つ倒産しやがった。「破産」の恐ろしさを思い知らされた。
●その日は朝7時から一日中社外をアレコレ回ってて、ヘトヘト状態の夕方18時最後の打合せがその会社の定例ミーティングだった。でもなんだかへんな気配。社長が改まった態度で突然話題を切り出した。「今週、弊社を清算しました。債務超過で破産です。裁判所から破産手続開始決定が出て、管財人も選任されましたので、この管財人に会っていただけますか」コーン!固い石が脳天に当たったかのような衝撃。当然、取引先の破産なんてボクには初めての経験。なんの情報を聞き取ったらいいかもよくわからん中、根掘り葉掘りとにかくアレコレ聞きまくって、すんません、上司に連絡がしたいんでこれで失礼します!
●上司の留守電やメールに第一報を入れつつ、会社に戻って4年前からの契約書を読み返し、破産時の契約解除条項などなどをチェックする。ウチの会社の金銭的ダメージと他社への信用毀損ダメージを勘案する。そもそも「管財人」ってなんだよ?とか思って必死にググる。「破産手続」検索。「債権者会議」検索。「事業清算」検索。上司からガンガン電話が入り始める。もっと細かく説明しろ!と言われても、ボクも事態の全容がまだ飲み込めてなくて。
管財人との面会ってヤツも緊張した…。弁舌鮮やかで物腰も柔らかいが、こっちの事情なんて最初から聞くつもりもないスッパリとしたドライさが冷酷にも思えた。管財人曰く、今までの契約書なんて100%無意味の紙切れ同然とのこと。いつも顔を合わせている社長や、初めて会う共同経営者の人は、借りてきた猫のように黙ったまんま。で彼らに応対するのがボク一人。この手の破産処理はスピード勝負で翌週には裁判所が方針を決定するらしい。とにかく時間がねえ!知識もねえ!法務部&経理部に駆け込んでにわか勉強!
さらにめんどくさいのが、複数社の共同事業なので、このパートナーさんたちにどうお話を入れるかという問題。とりあえず年に一回着るか着ないかのスーツ&ネクタイを身にまとい、第一報を入れに先方オフィスに出向く。破産はボクのせいというワケじゃないって意味での同情はあっても、最低限守るべき撤収ラインは確保してほしいとデカイ宿題。ここにあの冷酷な管財人との落とし所があるのか?
●夜中に先方社長と携帯電話で会話、管財人の前じゃ話せないトークを聞き取り、お互いの陣営で落とせる妥協点を整理する。社長は管財人がその方向に持っていくべく説得してください。ボクは弊社内とパートナーさんの同意を明日一日でまとめあげます!
●結局、ボクの狙い所とほぼズレない妥協点を、管財人が「合意書」として提案してきて無事調印の運びへ。「合意書」弊社捺印済みのバイク便発送時間まで気を遣ったわ。こちらは誰の顔を潰さずに、出血も最低限度ですますことに成功。管財人との細かい事務の取り決めまで整えて、一旦ミッション終了。最後の終戦処理は年末まで続くが、事務を抜かることがなければOK。ここ二週間のピンチは無事スウィープできた気がする。部長から「ナイス・クローザーっぷりだったな」との言葉。コレほめられたんか?


●それが先週前半までの出来事。ここまで来てやっとブログに向き合う余裕もでてきたかなと…。
●と思ったら、一番動きの鈍ってたプロジェクトで事態の激変発生。ショックで寝込んで会社も1日休んだほど。
●もう、先が読めない。これからボクは何すんだろう?


●読書。そんなドタバタの中でも本を読んでた。読まないとやってられないというか。

有川浩「海の底」

有川浩「海の底」
●ヒヨコが我が家の「雑誌であろうとマンガであろうと、本ならなんでも買っていい、レシート持ってきたら全部精算してやる」制度を利用して、ボクと一緒に下北沢ヴィレヴァンで買った本。この人「図書館戦争」の原作者だよって言ったら興味を持ったみたい。「巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を食べている!」いわゆる怪獣パニックSF小説。おもしろそー!と手に取ったヒヨコは、2日で読破。この作品の関連作「塩の街」「空の中」もすぐに買ってきた。同じ有川浩でも「三匹のおっさん」はさすがにペンディングしたみたいだったけど。
●ボクも読みました。物語の舞台になってる横須賀って街に興味が湧いた…実は横須賀って行ったことがないなあ。こいつは「大人ライトノベル」(著者・有川浩さん自身の言葉)ということで、ラノベの大海をただ呆然と眺めるだけだったボクがこの海に漕ぎ出すキッカケになるといいなと思う。そしたら、長男ノマドが読み漁る「真正ライトノベル」世界も理解できるのかもしれない。まあ、まずは、少なくとも、娘ヒヨコと登場人物の品評などをトークするのは楽しい。


●音楽。

TOTO「TOTO IV」

TOTO「TOTO IV」1982年
TOTO の代表曲「AFRICA」「ROSANNA」が収録されてるアルバム。いわゆる典型的な80年代型アダルトオリエンテッドロックだ。これを東松原の古本屋さん「瀧堂」で500円で見つけて、聴いている。うーん。懐かしい。「AFRICA」ってホントに好きな曲だ。
●実は、ボクの個人音楽史でいえば、この音源はだいぶ古い地層にある物件。最初に聴いたのは30年近く前の中学三年生の頃だと思う。もう今更なんでコレ聴くの?ってくらい、散々聴いた。まあ、アナログLPでしか持ってないから、CD買って ITUNES に収めたかっただけだったかな、買った瞬間の動機といえば。
●でも、今はこれを何回も聴いている。このCDを買う以前から持ってたLPは、約30年前に祖父の形見分けとして入手したものなのだ。一方、そんな祖父の姿を思い出す出来事がつい最近あった。ワイフが「この人、あなたの親戚じゃないの?」ととあるブログを発見。それは、ボクの祖父自身は登場しないまでも、祖父の先代先先代(つまりボクの曽祖父とそのもう一代前の…なんていうの?)が起こした事業と、それに関わった人物の、明治大正時代の様子を細かく調べて文章にしたものだった。誰がどんな動機でこんなのをネットに書いたんだろう?ただ、これをキッカケに、薄れてしまっていた北海道の祖父の思い出がフワッと吹き出てきたのだ。

●北海道で明治から続く企業を経営していた祖父は、三代目社長にありがちな(?)道楽三昧の多趣味な人物で、孫のボクはその祖父に素朴に憧れていた。カメラが趣味で、数十台を所有し、レンズも無数にあった。暗室のような部屋をわざわざ増築し「秘密基地だぞ!」といっては孫たちに自慢してた(この増改築が一回二回じゃないのがすごかった)。油絵も描くし、白土三平のような劇画も読んでた。西欧近代美術の画集もいっぱいあった。当時は珍しかった海外の文物が飾ってあるのも面白かった。昔は8ミリフィルムカメラで家族の様子を撮影もしてたらしい。レコードもたくさん収集しては立派なオーディオで聴いていた。こっそり祖父の秘密基地に忍び込むのは、帰省した時のちょっとした冒険だった。従兄弟たちにとってはかくれんぼの絶好の場所みたいだったようだけど、ボクにとっては大人の趣味を垣間見ることができるとても興味深い空間だった。まー小学生だったボクが色々なモノをベタベタ触るのを祖父は危なっかしく思ってたようで、見つかると追い出されたもんだったけど。
そんな祖父は、ボクが中学生の頃、68際で亡くなった。葬式で、親戚が北海道に集まると、ボクは主がいなくなった暗室&秘密基地に忍び込んで、祖父のレコードコレクションをチェックした。几帳面な性格だった祖父らしく、レコード棚の整頓っぷりは半端なかった。一枚一枚も美品だった。祖父から趣味の部分を濃厚に引き継いでいる叔父に相談をして、このレコードを分けてもらえるようにしてもらった…その時に持ち得た音楽知識をフルに用いて、価値があると思えるモノを選び抜いた。KING CRIMSON「THE COURT OF THE CRIMSON KING」、THE BEATLES「ABBY ROAD」、THE ROLLLING STONES「TATTOO YOU」「SOME GIRLS」、VAN HALEN「1984」、ROXY MUSIC「MANIFESTO」…そして TOTOTOTO の分かりやすさは祖父にとっても心地よかったのか、TOTO はファーストアルバムから5枚目の「ISOLATION」まで揃ってた。このへんをゴッソリ譲ってもらったというわけだ。葬儀もひと段落したところで、祭壇の前で遺されたレコードの一枚の中から THE ROLLING STONES「SYMPATHY FOR DEVILS」を再生してみた。伯母がこの音楽はなんなの?と聴くので「ストーンズの悪魔を憐れむ歌って曲だよ」と説明したら、ややドン引き…「でも、変わり者だった父さんにはちょうどいいかもね」
●ちなみに、この時に快く形見分けしてくれた叔父は、NEC PC-8801 というマシンをいち早く購入。小学生だったボクに初めてパーソナルコンピュータなるものの薫陶を施してくれた人物だTHE ROLLING STONES 最初期の7インチシングル「COME ON」を自慢げに聴かせてくれたのも覚えている。叔父本人はもう忘れちゃってるだろうけどね。

●祖父の一族についてブログを書いた人物は、全く正体不明のまま。しかし、ああいうやり方で、個人と時代を記録しておくことは大切だと思った。なにしろ面白かったからね。北海道の様々な書誌や当時の新聞資料に当たったりしている。ボクも自分のルーツを明らかにするために、こういうことにチャレンジしてみたいと思った。



●動画。
●TOTO「AFRICA」




新垣結衣主演のドラマ「掟上今日子の備忘録」が楽しい。
西尾維新原作小説のドラマ化。一度眠ると一日の記憶が消えてしまう女性が名探偵として活躍するお話。彼女は毎日朝起きて、昨日の自分が自分のカラダにマジックで書き留めた「掟上今日子は探偵」という言葉で自分の役割を知り、普段から会っている周囲の登場人物たちと、初めて出会う経験を毎日繰り返し、そして依頼された事件をその日のうちにスピード解決する。そして「今日はいい日だった!」と微笑む。どうせ全てを明日には忘れてしまうのに…と問われると「だからこそ今日に悔いを残したくないんです」。彼女のイノセントな笑顔は、毎日を初めての世界として受け止めるフレッシュさで輝いてるようで。そんでメガネがかわいい。

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●しかし最近テレビの調子がおかしく、いつもみたいに CHROME CAST で HULU が見られない。最近のガッキー渾身のヒットドラマ(ボクの個人的見解)が見られないので軽くイラつく。
●それ以上に、日曜でも休日でも各所から電話やメールで仕事の問い合わせが来るのがもっとイラつく。作らないといけない書類がタップリあってイラつく。

●ワイフが最近、三ツ矢サイダーの「三ツ矢梅」とかいうモンにハマってる。ボクにはとても美味いと思えない。

●ハロウィンでお菓子配り係に誘われた息子ノマドは、AMAZON で赤いパーカーと黄緑のウィッグを注文。なんの仮装なのか?と聞いたら、ボーカロイド GUMI の楽曲「マトリョシカ」(Pはハチって人)の動画に登場する衣装なのだそうな。

GUMI の楽曲「マトリョシカ」

●こんなんでいいのかノマド。おまけにこのキャラ女の子だぞ…。というわけでノマドはズブズブと順調に自分のサブカルチャーにのめり込んでいる。よしよし。深くハマっていけ。


●さて、ボクが注目しているのは、このユニット。

TK FEAT TK UMABI #RUN

TK FEAT. TK「#RUN」2015年
●今の所、YOUTUBE のみでしか視聴できないけど、このエレポップがいい!小室哲哉(TK)と、気鋭のビートメーカー TOFUBEATS(T)&実力派シンガーとしてブレイクした神田沙也加(K)。全部あわせて TK FEAT. TK日本中央競馬会のサイト「UMABI」http://umabi.jp/)のテーマソングとしての書き下ろし楽曲だ。「競馬」というモチーフから導かれた軽快なエレポップ感覚が今時 EDM とちょっと違うし、イントロも出走のファンファーレみたいだし、なんかニヤリとさせる演出がいっぱい。神田沙也加さんのボーカルもメロディも全盛期コムロサウンドを連想させる。ミュージックビデオもかわいいよ。そっちは小島藤子ちゃんが出てる。
●これ、CD発売はおろか、配信すら決まってないみたいなんだけど、カチッと世に出してもらえるといいな。

小室哲哉「DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST 2」

小室哲哉「DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST 2」2011年
●そんで、改めて小室哲哉という人物と、この前激安ワゴンで見つけたこの音源が気になった。少し前のコムロさんソロアルバム。CDの帯コメが気になったから買ったのさ。「僕がまだ20世紀でやり残していたこと、今やるべきこと、そして今後に書き留めていたいこと」。あれだけ仕事しておいて、まだやり残してることがあるのかーと思ったが、フィーチャリングアーティストを見てなんとなく「やり残し」+「今やるべきこと」ってのがボンヤリわかった。コムロさん、ヒップホップをきちんとやっておきたいのかも!だって、KREVA、ZEEBRA、VERBAL、そして米クリーブランド出身のラッパー KRAYZIE BONE まで招いているんだよ。AAA のメンバー日高光啓 A.K.A. SKY-HI も達者なラップを披露。とにかくだいぶ本気。
●この人は、シンセポップに出発して、ユーロビートからドラムンベース、トランス、エレクトロ〜 EDM まで、80年代以降のダンスミュージックフォーマットは大概手を出して、それなりの成果を出してる。しかし、ヒップホップだけは自分のモノに出来てない。MARC PANTHER の少々痛いラップを GLOBE に採用してるが…アレはイケてないでしょう。しかし、ヒップホップ/R&Bのトレンドが昨今 EDM 側にどんどん接近している時期、この場面でもう一度シッカリヒップホップに向き合うべきと考えた、そんな風にボクは考えてる。
●ただし、コムロさんはトラックメイカーではなく、シンセサイザーを駆使したコンポーザー。クラブでプレイをしてもDJはやらない…全部シンセ演奏だ。そのためか、シンセフレーズの自己主張やコードの転調がナニゲに饒舌で、肝心のラップがうまく機能していない気がする。ラップのフロウとシンセ演奏がうまく混じり合ってないのだ。だから聴くのがちょっとシンドイ。おー天下の小室哲哉にも苦手分野があったとは。自分自身のボーカル曲とかも収録してる。それは普通にシンセポップだね。
●ちなみに、これは「2」じゃないですか。「1」はというと1989年リリースだって。22年ぶりの続編だ。

安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ「TRY ME」 安室奈美恵「BODY FEEL EXIT」

安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ「TRY ME 〜私を信じて〜」1995年
安室奈美恵「BODY FEEL EXIT」1995年
コムロサウンド全盛といったら、やっぱアムロちゃんとの仕事だろう。で、聴く。これもフリマで一枚100円だった。
●で冷静にクレジットを見たら、「TRY ME 〜私を信じて〜」にはコムロさんの名前はなかった。あースーパーモンキーズ時代はコムロプロデュースじゃないんだー。スーパーモンキーズ、または安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ名義では7枚のシングルとそれをまとめたアルバムがあるが、この段階ではコムロさんは関与してない。「TRY ME」のヒットを受けて、初めてエイベックス・MAX松浦氏が二人を引き合わせる。そしてコムロ+アムロの第一弾になるのが「BODY FEELS EXIT」ってわけだ。

「TRY ME」は今の耳で聴いても、ピキピキと神経質にシンセが弾みまくるし、ガバみたいにハイスピードで、ハッキリ言ってだいぶ狂ったサウンドだと思う。プロデューサーはイタリアのユーロビート職人 DAVE RODGERS。ああ本物だったんだ。それじゃしょうがない。この狂ったサウンドをド真正面から力強く受け止めて乗りこなした、エキゾチックなオキナワ美少女ボーカリストの登場に世間は圧倒されたってワケだね。なるほどー。ちなみに DAVE RODGERS2000年前後に大流行したパラパラブームに対しても大量の音源を供給。どれもこれもブーティでハイスピードで奇形的とも言えるサウンドだった。来日ライブパフォーマンスもやってたな。ボクどっかのパラパライベントで見たもん。

●で、ユーロビート路線があと2枚リリースされて、登場するのがコムロ初プロデュースシングル「BODY FEELS EXIT」。今ではウィスパーボイスの印象の方が強いアラフォー・アムロちゃんであるが、ハタチ前の彼女は攻撃的で爆発力のあるハイパワーボーカリスト。これでもかというほどの強靭なダンストラックを相手にしても、一ミリたりともブレない主役の存在感が逞しい。で、コムロサウンドの魅力は、どんなにアゲアゲのダンストラックであろうと、どこかで憂の気分を漂わすコード感があって、切なさや寂しさを伴っているコトとボクは思ってる。どんなにパワフルなボーカリストであろうと、実はリリックの中で孤独や葛藤にさいなまされている。バブル期〜崩壊の女性たちは、社会的な強さを身につけたようでいて、実はその強さと従来から変わらない脆さの狭間に戸惑っていた。安室奈美恵、浜崎あゆみ、華原朋美…実は楽曲でも実人生でも強さと脆さのバランスに迷ってるシンガーがコムロさん周辺にはたくさんいたような気がする。コムロさんには関係ないが、この時代の女性像としては、AV女優からテレビタレントに転身するも孤独死してしまう飯島愛も象徴的だと思うよ。で、コムロさん自身にもいろいろなコトがあって…そして今がある。

●こっから本題。
でもね、小室哲哉よりも、ずっと興味津々なのは TOFUBEATS の方ですわ。

TOFUBEATS「FIRST ALBUM」

TOFUBEATS「FIRST ALBUM」2014年
●最近のコムロさんが一番注目しているサウンドクリエイターが、この TOFUBEATS くんだ。コムロさんの中には日本のデジタルシーン史観があるようで…まず YMO は別格として、TM NETWORK〜小室哲哉が第一世代。浅倉大介が第二世代。中田ヤスタカが第三世代。そしてこの神戸出身&インターネット出身24歳の、TOFUBEATS が第四世代なのだという。ボクも彼が大好き。ネットレーベル MALTINE RECORDS DJ NEWTOWN として活動してた頃、そして盟友・オノマトペ大臣との名曲「水星」で、ボクの心はもう彼に鷲掴みされてる。
●これは去年の彼のメジャーデビューアルバム。おまけに初回限定版、ディスク2でインストトラックも聴けるヤツ。発売即座に買いました。けど、本当に好きなアーティストは、このブログでは即座に紹介できないのですわ。自分の感覚を客観化できないから。今でもあまり客観視できてないけどね。そのくらいの名譜ですよコイツは。でもリリースから一年位たった今のタイミングでこれに触れてみる。

TOFUBEATS の音楽は、ダンスミュージックでありながら、ダンスフロア不在のポップ感がある。
●インターネットのネットレーベルを活躍の舞台に選んだ彼は、ダンスフロアの現場感の中から自分の音楽感覚を養ったわけではない。ネットに無数に散らばる音源ソース全てが彼の滋養になっていて、その音楽そのものに没入している。そこにはクラブのフロアを盛り上げるアゲアゲ機能主義的な発想から遊離した自由がある。ジャンル越境的でフォーマットのお約束からも自由になってる。音楽制作の動機は日本語ヒップホップだったと聞いたが、その日本語ヒップホップの文脈からも自由。ボーカリストとしてのキャパも少々頼りないがそんな気負いからも自由。ダンスミュージックであることは間違いないけれども、お決まりのアゲアゲフォーマットとは無縁の楽しさがある。そしてその自由は根源的なポップネスに収斂され、全てが「音楽」への愛情に向けられている。
●そこを自覚してか、彼はこのメジャーデビューに際してはより自分のポップネスに意識的で、ここには高機能ジェイポップが満載。アイドルグループ・東京女子流のメンバー新井ひとみをフィーチャーした「COME ON HONEY !」の楽しいパーティソングが、アイドルポップスとグラマラスなライトディスコが見事に結合してるのもワザアリ。ある意味でダンスクラシックになった「ナンダカンダ」でお笑い以外にも足跡を残した藤井隆がボーカルを担う「ディスコの神様」も、いつもいつもパーティや「音楽」そのものに関心が収斂する TOFUBEATS のリリック傾向のど真ん中を貫く多幸感ダンスチューンがナイス。彼は「水星」のリミックス版に今田耕司 AKA KOJI-1200 をサンプルさせてくれとよしもとに交渉したけどそん時は素人が何言ってんだ的な対応をされたらしい…結局使えたみたいけど。神聖かまってちゃんのフロントマン・の子をフィーチャーした「おしえて検索」は彼のやや神経質でピリピリした持ち味をきちんと反映したエレポップトラックを用意してる。そしてアルバムのクライマックスは、あのバブルレジェンド森高千里をフィーチャーした「DON'T STOP THE MUSIC」。コムロサウンドの内面に強さと脆さを併せ持つ女性ボーカリストとは全く異質の、アッケラカンと内面の葛藤を白痴的に放棄しました、と宣言した稀有なアイドルが、10年以上の専業主婦生活を乗り越えて、全くのブランクも感じさせないボーカルを聴かせてくれる。そしてここでもリリックの内容は TOFUBEATS の関心のど真ん中「音楽」讃歌になってる。BONNIE PINKい をフィーチャーした楽曲はピアノメインのスローナンバー。ダンスミュージックではありません…彼女のイメージの延長にある素朴なトラックとその中で艶めく声という構造を尊重。
TOFUBEATS 自身のボーカルは、それはそれで味がある。ヒップホップ上がりだからフロウに偏りと揺さぶりがあって、結構味のあるラップになってる。歌ってみても、彼の低めの声はそれなりに聴けちゃう。とっても味のあるメロディックなラップが一曲あるなーと思ったら、それは RIP SLYME PES さんのラップだった…。MALTINE の盟友 OKADADA がフィーチャーされてる曲もある。
彼の音楽愛に収斂していく内容のリリックやモチーフは本当に何回も繰り返されてて、本当に音楽好きなんだなと思わせる。これもボクにとっては魅力。名声とかお金とかじゃなくて、音楽が好きなんだ!ってステートメントがここまでハッキリしてるってうれしいよ。

TOFUBEATS「STAKEHOLDER」

TOFUBEATS「STAKEHOLDER」2015年
●ミニアルバム〜シングル?扱いで出てきた音源。ゲストが華々しい前作に比べると少々地味目の感は否めない。でも表題曲「STAKEHOLDER」「君と利害関係したい」と粘っこく歌う TOFU くんのボーカルがサイコでいいかも。シットコム風のジャケ写も最高。


●でね、8月のことなんだけど、TOFUBEATS にゆかり深いイベントに行ったのですよ。
MALTINE RECORDS 10周年記念イベント「天」 @ 代官山UNIT。

MALTINE天

●ネットレーベル MALTINE ROCORDS が主宰者 TOMAD 氏によって設立されたのが10年前の2005年。それを記念して、MALTINE を代表するアーティストたちが UNIT の三フロアで同時並行にバッキバキにプレイする一日。ここに TOFUBEATS も出演するというので見に行きました。楽しかった。
そもそもで、MALTINE って存在の不思議さに言及しておこう。主宰の TOMAD は現在25歳。それで設立10周年ってことは…つまり、このレーベルなんと彼が15歳、高校生の頃に立ち上げた代物なのだ。まだニコニコ動画もなかった時代に、自分たちの仲間が作った音楽を世間に発信するために、思いついたのがネットレーベルという形態だったのだ。
音源は基本すべてダウンロードで配布されて、しかもそれが全部無料。その学生時代からの運営方針を維持して現在でもフリーダウンロード方式を採用している。今回はたまたまイベントだけど、そのイベントだって MALTINE 主体では今までまだ数回程度しか実施してないはず。最近は物販なんても始めてるけど、その商売っ気のなさは「意識高い系」ヤング起業家が跋扈する最近においてピュア過ぎて不安になるほど。音楽への純粋さに混じり気なし。
●でも、彼の美学の元に、いまや世界中から若きクリエイターが作品を提供してフリーで公開している。インドネシアからヒューストン、オーストラリアのタスマニア島まで、そのカバー領域は本当にネット経由全世界。この MALTINE に音源を提供し、そしてメジャーに舞台を移した TOFUBEATS すらが「彼はものすごいキレモノ」と評する人物が TOMAD だ。いったいどんな男だろう。
●今でこそ、YOUTUBE やニコニコ動画、SOUNDCLOUD といった音楽配信プラットフォームが多種多彩に存在しているが、そうしたインフラがなかった当時のネットレーベルは、単純に音楽配信の場ではなく、レーベルという名の通りレーベル主宰者の一貫した美学がリリース作品全てに貫かれて、非常に個性豊かだった。この見事な個性が MALTINE は圧倒的に面白いんだよね。SOUNDCLOUD にはありとあらゆる音楽があるけど、一貫した美学の個性が備わってるわけではないよね、だってアレはサービスなんだもん。MALTINE には独特の美学あり、その美学が実にクール。あっというまにボクは惚れ込んだね。
●東京少年 TOMAD と神戸少年 TOFUBEATS がどうやって知り合ったかは知らないけど、彼ら MALTINE 人脈は日本各地に居住地が散らばってる…ネット世代の感覚で結びついてるんだろう。別名義 DJ NEWTOWN としての MALTINE 初登場は2008年頃かな? TOMAD も若いが TOFUBEATS も現在24歳。1990年生まれだから18歳頃に楽曲発表したということか。イベント「天」で活躍した MALTINE 初期からのアーティスト OKADADA、DJ WILDPARTY も盟友のような関係らしい。

●で、イベントも超楽しかった。
クラウドのほとんどが20代前半〜10代含む?という若さで、四十を越えたボクがいていいのか?ようワカラン気分。でも、久しぶりのクラブ遊びの気分、汗だくで踊ってビールやヴォルヴィック飲みまくって、轟音の中ワメイて全然友達と話通じなくってノド痛くなる感じ、めっちゃ久しぶりだった。

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●最初はフロアの遠くから眺めてるだけにしとこう、なんて思ってたんだけど、いざ TOFUBEATS 登場となると一気にお客が前に流れ出し、その勢いで何気に最前列のすぐ後ろまで突き出されてしまった。もう女の子も男の子も元気に踊るので、ボクも楽しくなっちゃって踊るしかない。
TOFUBEATS も煽る!「昔の曲しかやらないぜ!わかんないヤツはツイッターでもみとけ!」きゃー!メジャー音源はうっちゃって MALTINE の過去音源をラウドにプレイ!ブースの上に立ち上がって、歌いまくるし、サックスと同じ感覚で演奏できる ウインドMIDIコントローラー WX5 を吹きまくったりと大活躍。バックのモニターにもアニメネタ含めニヤリとさせるVJも展開してアゲアゲですわ。

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●ライブ終盤には、名曲「水星」を二人で作った盟友・オノマトペ大臣が乱入。本業では大阪でサラリーマンをしている大臣は副業禁止が故に、「水星」のヒットで得たお金を受け取ることができない。そこで TOFUBEATS は本来大臣が得るべきの配分額を一銭も手をつけずにプールし続けているという。厚い友情だね!もちろん「水星」会場全体でシンガロング。泣けるぜー!(下写真、右が TOFUBEATS、左がオノマトペ大臣。)

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●翌日。やっぱり予想通りに足腰痛くなってました。TOFUBEATS だけじゃなくて他のパフォーマンスまで欲張ってたら再起不能になってたかもね。


●さて、MALTINE RECORDS の音源もここでチェックしなくっちゃ。
MALTINE に関しては今までもこのブログでいくつか音源を紹介してきたけど、TOFUBEATS という視点から紹介はあまりしてこなかったなー。

MP3 killed The CD star ?

VARIOUS ARTISTS「MP3 KILLED THE CD STAR ?」2010年
●ということで、5年前に編まれたコンピアルバムを聴く。タイトルはもう分かりますね。80年代MTV時代到来を皮肉った THE BAGGLES のヒット曲「VIDEO KILLED THE RADIO STAR」の故事にちなんでるわけですよね。ネット時代において、CD は MP3 に駆逐されると宣言。そんでその予言が5年後の現在マジマジに世界の音楽業界全体を揺さぶってるんだからスゴイ。ネット世界の片隅で発信された学生の妄想が目下全世界を覆っております。ちなみに、噂に聴くと、このコンピはリアル媒体でもリリースが検討されたという。しかし、「空っぽのCD−R&楽曲DLコードのセット」という形で販売して「あくまで MP3 をダウンロードしてCD-Rに焼いてください」というジョークで固めようとして。で、流通を拒まれたって経緯があるらしい。コレもすごい発想でしょ。
●一曲目のパジャマパーティズ「MP3」という楽曲がすでに象徴的。ヤケクソ気味のエレクトロビーツ&ボーカルが若すぎる。リリックがいいんだよね野心たっぷりで。「MとPと3を持って外へ出ようぜヒキコモリ!歩いていこう!街へ出よう!スティーブジョブスの言う通り!ダンスする!ダンスする!あの子とダンスする!」乱暴だけど世界を転覆してやろうという生意気な鼻息の荒さがパンクと同じ硝煙の臭いがする。
●ここに TOFUBEATS の音源が収録されている。正確に言うと TOFUBEATS FEAT. DJ NEWTOWN 名義。この二つの名義は結局同一人物だけど。で、この楽曲「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」が傑作。ネット世代のダンスアンセムとして、何回も繰り返されるタイトルのフレーズが、彼の音楽愛を象徴してるようで。汗だくで踊り明かした夜の終わりに軽い疲労と恍惚感を優しく包むようなメロディが感涙もの。そしてこの曲はメジャーデビュー盤「FIRST ALBUM」にも再収録されることになる。

●ここまで来て、MALTINE で紹介されている DJ NEWTOWN 名義の音源を紹介してみる。

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DJ NEWTOWN「FLYING BETWEEN STARS (*SHE IS A GIRL)」2008年
BONNIE PINK さんの声がみじん切りでサンプルされてる気がする痛快なエレクトロハウス「FLYING BETWEEN STARS (SEIKAN-HIKO)」がキラキラ過ぎる。そもそもでこの DJ NEWTOWN という名義の由来は、彼が神戸の新興住宅地出身だから、ということらしい。ニュータウンの郊外生活とネットが彼のリアリティ。ココから全ては始まった。あ、ジャケがグリッジ気味すぎるけど元からこういうデザインなんでご心配なく。

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DJ NEWTOWN「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」2009年
アニメのセリフをカットアップするナードコア風味は初期の MALTINE 音源に一貫してる隠し味。そこからつまみ上げたツンデレ少女(惣流アスカ?)のセリフをイントロに、深いトークボックス風エフェクトでニュータウンの憂鬱を歌い上げる、耳に優しいスローナンバー。クールなメランコリーにうっとりする…。日本語ヒップホップに憧れてたという TOFUBEATS らしく、BUDDHA BRAND + SHAKKAZOMBIE の合体ユニット = 大神「大怪我」の勝手リミックスも収録。

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DJ NEWTOWN「DANCE WITH YOU」2009年
「2005」という曲がイイ!TOFUBEATS 流の2ステップ。軽妙に洒落たビートが心をウキウキさせるね。さらには、めっちゃ痙攣的な声ネタみじん切りサンプルを駆使した高速ハウス「SILKY HEART」は、サビフレーズの「24時間ずっと…」で検索したら堀江由衣さんという声優さんの同名アニソンに到達。アニソンまで研究して素材使いしちゃうのね。その一方でアメリカのミドルスクール系ヒップホップグループ DAS EFX の勝手リミックスは実にデフです。「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」のリミックスもタップリ。ニュータウン……。

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DJ NEWTOWN「CUTEGIRL(.JPG)」2009年
●ブレイクビーツハウス「SWEAT & TOUGHNESS」のサビフレーズにしつこくサンプルされてる「願いは地球を変えるよー」っていう女性ボーカルが気になって、これまた検索してみたら時東ぁみ「SWEET & TOUGHNESS」って曲のサンプルだった…すげえなアイドルポップスまでも研究してるのか。別にシングル曲でもないのに…あ、浅倉大介さん提供曲だった。それと2ステップ佳曲だった「2005」がここではドエラくマッシブなアシッドハウスにリミックスされてる。909 STATE ってヤツの仕業だ。808 STATE の名前を堂々とパクるセンスもヨシ!

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COCOP FEAT. DJ NEWTOWN「MOSAIC」2010年
COCOP って人がどんな人でどういう位置づけなのかよくわかんないけど…女性のフィーチャリングシンガーかな?とにかく「2005」のリミックスがここでも満載。2ステップ風味を残した楽しさが様々な解釈で改変されてる。「2005」って MALTINE が設立された年だよね。「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」のリミックスや、最後のエレポップ楽曲「わたしはアイドル」でロリータボイスを披露している様子が可愛いな。これが COCOP さんの個性かなー。

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DJ NEWTOWN「SWEET DAYS, SWEET MEMORIES」2011年
●メロウなテンションで始めるとみせかけて、徐々にアクセルを踏み込んでいく展開。3曲目で登場するフィルターハウス「FRIDAY K.I.S.S.」のサンプルネタは、どうやら80年代アイドル早見優「少しだけ FRIDAY KISS」って曲らしい…なんてところからネタを拾うんだ…すげえよホント。多幸感が催眠的な「空をかけぬけて」、アシッドなダブステップ「BREAKMYBEAT」と後半にかけて多彩な芸風が分裂症気味に炸裂しまくる。


●その後、彼は、TOFUBEATS FEAT, オノマトペ大臣「水星」2012年を自費流通させて世間の注目を浴び、自主制作アルバム「LOST DECADE」をメジャー流通させる。このアルバムタイトルもセンスがいい…彼の人生は全部「失われた10年〜20年」にカバーされちゃってるから。そしてとうとうメジャー契約へ。その一方で「LOST DECADE」のリミックスアルバムはやっぱり MALTINE にまるっと公開されてる気前の良さも健在。

MALTINE RECORDS は絶えずリリースを更新し続けている。雑誌「SWITCH」の別冊扱いで全部「MALTINE」特集のムックも出てるはずだ。これもゲットしないとね。




●動画もつけます。どれも TOFUBEATS による「音楽賛歌」。
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