ゴールデン・ウィークに突入だ。今年は大型連休だ。
●旅行はしないが有意義に遊びたい!ヤンなきゃイケナイことを片付けたい!

初日は娘ヒヨコのバレエの発表会だった。
●ちゃんと頑張ってたと思うので、夜のゴハンはヒヨコの大好きなもんじゃ焼きにしたよ。太子堂バス停の近所のお店。もんじゃの焼き方を説明するのが面倒なのか「もんじゃの焼き方」を YOUTUBE にアップしてそれを参照せよ、と壁に QR コードをまで添えて書いてあった。なるほどねー。器用なヒヨコは独力で土手作ってうまく作るけどね。

「超音楽祭2016@ニコニコ超会議2016 - DAY1」シオカラーズが登場してた。
●ヒヨコのバレエとカブってたりなどなど諸々の事情で、今年も幕張メッセ参戦は見送った「ニコニコ超会議」。ソーシャルじゃ大勢の知人が現場にいたみたいだけど、行けば死ぬほど体力削がれるからね…。だから、気になるヤツだけニコ生配信で見てた。やっぱ気になるのは音楽系だよ。
●で「超音楽祭2016」アルスマグナのような2.5次元系ユニットから、GARNiDELiA みたいなアニソン系、アイドルグループとしては、アップアップガールズ(仮) 9nine から、アソビシステム三戸なつめまで。おまけに松崎しげるデーモン小暮が出演とな。そこに混じってメチャ気になるヤツが出る。シオカラーズ(SPLATOON)。こいつら、アーティストどころか実体のない二次元キャラ、しかもゲームに登場するワキ役キャラでしかないのだ。なのにこんなイベントに出てしまうとは。

●前提として Wii U ゲーム「SPLATOON」を紹介せねば。

「スプラトゥーン」スプラガール

今、ノマドが一番ハマってるゲームでもある、「SPLATOON」。
●イカから進化したキャラ「インクリング」たち(プレイヤー)がオンラインにてその場で4人組小隊(小隊=プラトーンにかかってる)を作り、ハイカラシティなる街を舞台に、カラーインクをブチまきながら(イカがスミをふくように)、広い陣地を自軍の色に染め上げたりして勝敗を決する「一人称視点シューティングゲーム」〜海外では「ファーストパーソンシューター = FPS」の名で知られるジャンルね。インクを直撃で浴びるとダメージとなってやられちゃう。だから結局は市街戦バトルゲームなんだけど、アメリカでメジャーな、ドン引きするほど激リアルな大量殺戮擬似戦争シュミレーションを、カワイイ日本スタイルにローカライズしたデザインになってる。結果的にオンライン・プレイヤーには外国人さんもいるよ。
●でご覧の通り、イカのキャラのデザインがカワイイ。イカとヒトと2形態に変身しながら戦うんだけど、イカの触手がロングヘアみたいになっててカワイイ女の子になっちゃう。男の子は触手を束ねてワイルドなチョンマゲ風。ゲームが進めば服装やヘルメットを強くてカッコイイものに買い替えることもできるし、武器も強くて個性的なモノになる。ローラーで床にインクをベッタリ塗りたくるタイプもあれば、息子ノマド好みの、長距離ピンポイント射撃用のスナイパータイプもある。これで世界に二人といない独自のイカを育てることができるのだ。…ちなみに息子ノマドはランクABCを超えて現在ランクS。最高位のランクS+を目指して奮闘中、熱くなりすぎて負けて半ベソかくほどの夢中ぶり。

●で、シオカラーズ。
●彼女たちは、我らがハイカラシティのアイドル。ゲームではプレイヤーに対して簡単なガイダンスをしてくれる存在。名前はアオリちゃんとホタルちゃん…実にイカらしい名前。で喋る言葉は完全に「イカ語」。画面に日本語訳が字幕でてくるけどひたすらホニャホニャ喋ってて意味不明。でもアイドルだから持ち歌もあったりしてBGMに使われてる…んだけどコレも「イカ語」で意味不明。しかし人気ゲームとあってこのイカ語CDサントラがリリースされ、ジョイサウンドのような大手カラオケにもイカ語のままラインナップされてる!

Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK

「SPLATOON ORIGINAL SOUNDTRACK - SPLATUNE」2015年
●職場のフシギ系女子がたまたまデスクにこのCD持ってて貸してもらっちゃった。ハードなゲーマーでもある彼女は余裕でランクSだそうな。平日でも朝までゲームしてるって。フシギ系ベールに包まれてる彼女の生態をちょいと垣間見てしまった。このCDのタイトルもイケてるね。「スプラトゥーン」「スプラチューン」だって。
シオカラーズだけでなく、架空のロックバンド SQUID SQUAD(あくまでイカに寄せてる)、OCTOTOOL、DJ OCTAVIO(この辺はタコに寄せてるね)と、凝りに凝った設定のアーティストたちの楽曲が2ディスクにたっぷり。シオカラーズの曲だけで6曲あるもんね。で歌詞チェックしたらご丁寧にワザワザ「イカ語」をカタカナに書き起こして掲載。ボクは耳だけじゃワカランけど文字で見れば意味わかる言葉になってんのかな、と思ってたんだけど、マジで100%「イカ語」で意味不明なカタカナの羅列ばっか。曲名だけが日本語に翻訳されてた。娘ヒヨコによるとニコニココミュニティでイカ語の解読研究がなされてるけど、その文法はさっぱりわからないとな。その一方で、息子ノマドは堂々とこのイカ語をカラオケで歌うけどな。

●で、ニコニコ超会議に、このシオカラーズが降臨。

シオカラーず5

●会場を波立たせるサイリウムの海の上、ホログラムっぽい仕組みで登場。初音ミクコンサート的な?二次元キャラバンド GORILLAZ が1998年に登場した時は、なんじゃこの2次元キャラショーは?せっかく DAMON ALBERN がウラで演奏/歌唱してるのに出てこねえのかよ、なんて思ったけど、もはや今となっては何の違和感もないね。キャラに感情移入できればそれで十分なんだよね。

シオカラーズ2

●立ち位置下手、黒髪のアオリちゃん。陽気で饒舌キャラ。

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●一方立ち位置上手のホタルちゃん。髪はシルバー、オットリしたマイペース系。

シオカラーズ4

●なんと、今回のライブでは既存曲だけでなく、二人それぞれのソロまで初披露!アオリちゃんは元気いっぱいの「トキメキ★ボムラッシュ」を、ホタルちゃんは奇妙に演歌バラードっぽい「スミソアエの夜」を熱唱!イカ語だけど!ウィキによると彼女たちはシオカラ地方のチビッコ民謡大会出身らしくて、ルーツは民謡なんだって。だから代表曲は「シオカラ節」。イカの民謡って…。
●でも、イカ語でも十分盛り上がるニコ生ユーザーたちの感覚って楽しいね。ニコニコ動画/生放送って、プラットフォームとしてユーザーが串刺しにされてるようで、実はユーザーはそれぞれの趣味嗜好で細分化された無数のクラスタの集合に分割されてる。横の繋がりが思った以上に薄い。でも、ニコニコ超会議のような場面においては、その多様性に対してユーザーたちはすごく寛容で、素朴に面白がってくれる。価値観の多様性と他者への寛容さが大事な時代に、この祭りは意味があるよね。
●その証拠として象徴的だったのが、この次に登場したロックバンド GREY のギタリスト HISASHI 氏が一曲目に演奏したのが、このゲームのメインテーマ「SPLATTACK !」だったってこと。超一流ミュージシャンが、さっと価値を共有して楽しんでくれる。そんなピースな気分がネット世界にもっと溢れればいい。


●ちなみに、息子ノマドが夢中になっている他のタイトルは、「スーパーマリオメーカー」通称「マリメ」
●せっせとオリジナルステージを作って、全世界のユーザーに遊んでもらってる。普通にアメリカ人やドイツ人がノマドのステージに足跡残してる。ノマドが大好きなニコ生のゲーム実況者さんにも数回取り上げられて、とっても喜んでた。MAC BOOK をリビングまで持ってきてその実況をボクラに見せるほどだった。ノマドの作るステージは性格極悪な激むずコースで作った本人でもクリアが困難。その他にも、このジャンルには「マリオシーケンサー」と言ってマリオがステージを歩くことでブロックが自動で楽曲を鳴らす仕掛けを作る人がいたり、「マリオ計算機」と言ってマリオの敵キャラやブロックパーツを初歩的な計算回路のように用いて2進法の計算をするという、恐ろしいほど不毛でマヌケで奇想天外な遊び方をしている人たちがいる。
●また、ノマドお気に入りのゲーム実況者さんは「SPLATOON」も嗜むそうで、この人がプレイするとニコ生で言いだすと、ノマドは慌ててリビングに駆け込んで WII U の電源入れてログインする。そうすると、リアルにこの実況者さんと一緒にプレイできるからだ。その実況を MAC で聞きながら、テレビモニターでゲームをプレイする。おいおいボクが報ステ見てんのにカットインかよー。しかし、ゲーム一つとっても、複雑な時代になったな…オモシロイ楽しみ方だとは思うけどさ。
ゲーム実況者さんって、今や芸能事務所がマネジメントしたりするようになって準タレントさん扱いだけど、意外なほど近くにもいるもんだ。職場のゲーム大好き同僚が兄弟で実況ユニットやってるそうで、アーカイブ動画は一本1000回くらいは見られてるという。アカウントの名前は死んでも教えない!って言われたけど。

●あ、あと「艦これ」こと「艦隊これくしょん」の提督もやってる。欲しいキャラクターがなかなかゲットできない時はメチャメチャ不機嫌だ。迷信以外のナニモノでもないが、欲しいキャラ(つまり艦船を擬人化した女の子)のイラストを手描きして枕元に貼っておくと、その子をゲットできるらしい…ノマド、そこで女の子の絵をホントに描いてベッドのそばに貼ってる…これ絶対将来ヤツの黒歴史になるわ。あ、フィギュアもあるし、キャラと同じデザインのパーカーとTシャツもヤツは持ってて普通に学校に着て行ってるよ。キモい?…まーボク自身もジオン軍のノーマルスーツ持ってるからね、人のこと言えないんだよ。


●音楽。アニソン系シンガー。

綾野ましろ「VANILLA SKY」

綾野ましろ「VANILLA SKY」2015年
「超音楽祭2016」シオカラーズ出演の前は、アニソン系アーティストが何組か出てて、最後にコラボしてた。GARNiDELiA、春奈るな、そして彼女、綾野ましろ。アニソン・ジャンルはまるで未開拓領域で、全然価値基準がわかんないけど、このコラボは三者の女性シンガーの個性がクールに溶け合ってて面白いと素朴に思った。で、早速このメンバーの音源を探してみたわけ。三軒茶屋 TSUTAYA のレンタル落ちコーナーにて90円で採取。
●この音源は綾野ましろさんのセカンドシングル。スクエア・エニックスのアーケード向けオンライン対戦型アクションシューティングゲーム「ガンスリンガー ストラトス」の主題歌で、同名アニメの主題歌でもある。ゲームとアニメはやっぱ相性が良いようで、ゲームをアニメ化するのか、アニメをゲームにするのか、お金稼ぎのチャンネルを増やす工夫としては目下最高の作戦みたいね。
●で、この曲「VANILLA SKY」はたっぷりのリリックをぐっとテンポよく詰め込んで、実にエモいメロディ&アレンジがドラマチックな楽曲。ナニ歌ってるか一度聴いたくらいじゃ全然わかんないが、毎週見るアニメのテーマソングとしては、決して聴き飽きないくらいな方がいいにちがいない。このアニソン界隈じゃ有名な MEG ROCK が作詞を担当、サウンドプロデュースは前述の GARNiDELiA の男性メンバー TOKU が担当。このあたりの音楽も聴きたいねえ。GARNiDELiA のパフォーマンスは、よかったからなあ。
●ちなみに、綾野ましろさんは北海道・洞爺湖町の出身で今でも拠点は札幌だって。「やっぱ東京でなくちゃダメだよね」という言葉に反抗してやろうと思ったそうで。そういう負けず嫌いな根性って好感持てる。じゃなきゃ、アニソンの世界に自分の場所は見つからないよね。



●早速、YouTube にライブの様子が上がっていたよ。
●シオカラーズ「キミ色に染めて」/「イマ・ヌラネバー!」/「トキメキ★ボムラッシュ!」/「スミソアエの夜」/「ハイカラシンカ」/「マリタイム・メモリー」/「シオカラ節」



●わざわざ、演奏は生バンドなんだ…。すげえな。ボクはホタルちゃん派だ。

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●失敗した…。MAC の OS を EL CAPITAN にアップデートしたら激遅になった。
●なにがアプリ起動速度40%スピードアップだよー。PCの起動そのものに数分かかるぞ。
●ボクの iMac 2011 mid じゃもうポンコツということか?
「クリーンインストール」すべし、とネットにあったので、やってたら丸一日かかった…。不毛。

●下北沢のお気に入りのカフェ、また一つクローズしてた。
●駅南口方面の「FREE FACTORY」。FREE WI-FI が便利だった。あーまた拠点を探さなくては。



PRINCE死去。
●衝撃のニュース。自宅兼スタジオの PAISLEY PARK のエレベータの中で彼は死体として発見された。数々の名作を生んだスタジオで、たった一人の死。57歳だった…早いよ…。
彼は天才。1978年のデビューからその最期までにリリースしたオリジナルアルバムの数はフィジカル/デジタル合わせて39枚。最後のアルバムは亡くなったその日に発売された。約40年弱のキャリアでその創作の才能は全く途切れることがなかった。巨星落つ。

PRINCE 3RDEYEGIRL「PLECTRUMELECTRUM」

PRINCE & 3RDEYEGIRL「PLECTRUMELECTRUM」2014年
●今となっては最晩年ということになった、ごく最近の作品を聴く。PRINCE が従えたバックバンドといえば80年代の THE REVOLUTION と90年代の THE NEW POWER GENERATION だが、ここでは 3RDEYEGIRL という女性ロックトリオが新たなコラボレーターになっている。それが興味を引いて、つい先月買ったばかりだった。

●で、内容がこれまた非常にタフなブラックロック/ファンクロックになっている。PRINCE は周囲の理解をブッチギる斬新なファンク解釈で80年代のポップミュージックを進化させた張本人で、そのファッションや立ち振る舞い(…よく「変態的」と形容されてた)、強烈なファルセットなどなどを武器にした希代の天才的パフォーマーであった。そして、その一方で超個性的なギタリストでもあった。奔放で激情的なギタープレイは、バラードをよりドラマチックに彩ったり、ハードロックで聴衆をキリキリ舞いにしてた。このアルバムにおいては、そのギターの才能がメインになって、アクの強いファンクロックとして結実してる。

白人女性三人を従える構成がすでに PRINCE らしい絵になる演出だが、これがただのお飾りとは言えない実力派。ベーシストは THE NEW POWER GENERATION 以来の古参の同志で、幾つかの曲では彼女たちにメインボーカルを任せたりしてる。インストの4曲目は彼女たちの作曲。普段は、全部作詞作曲演奏も全部自分一人、の PRINCE 殿下としては異例の事態で、殿下がこのコラボを本当に楽しんでいることがわかる。大振りなギターリフやソロの奔放ぶりは実に痛快。シッカリとしたタメが十分に作用してるベースとドラムのグルーヴが見事にファンクで、結果めちゃめちゃ暑苦しい。しかし、これが女性プレイヤーたちの存在感で、殿下ならではの洗練をキープしている。どこかユーモラスな雰囲気や、殿下の地元ミネアポリスの女性ラッパー LIZZO の参加もいい感じ。

Prince And 3rdEyeGirl

PRINCE & 3RDEYEGIRL の勇姿。カッコイイね。


せっかくなので、同じ路線のファンクロック、ブラックロックを聴いてみる。

EARL GREYHOUND「SOFT TARGETS」

EARL GREYHOUND「SOFT TARGETS」2006年
●こちらはブルックリンのロックトリオ。黒人ドラマーに白人ギタリスト、そしてジャケに写っている黒人女性ベーシストで構成されてるバンド。アフロでワイルドかつセクシーなベーシスト KAMARA THOMAS の存在感がカッコイイ。そんな黒人リズム隊が弾き出すファンクグルーヴの上で、白人ギタリスト兼リードボーカル MATT WHYTE がハードなギターリフを炎上させる。PRINCE というよりまず LENNY KRAVITZ を連想するロックだな。モダンなブルース感覚も混ぜ込んで疾走するロックに興奮。

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●ベースの KAMARA THOMAS がカッコイイ!彼女がメインボーカルをとる曲もある。


ROBERT RANDOLPH THE FAMILY BAND「UNCLASSIFIED」

ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND「UNCLASSIFIED」2003年
ペダルスティールギター奏者である ROBERT RANDOLPH がマジ家族である兄妹たちを含めたメンバーで組織したバンド。ボクがこのバンドを知ったのは、ブラックロックの文脈ではなくて、ジャムバンドの文脈だった。ジャムシーンって本来はカントリー/ブルースロックのミクスチャー系が中心であるはずなんだけど、ちょうど2000年以降は、ニューオリンズ経由のファンクバンドやジャズフュージョン系のバンドが存在感を出してきた時期で、ニュージャージー出身の彼らも、ファンクロックの粘り気を濃厚にしつつも、晴れた野外のフェスがよく似合う解放感たっぷりのサウンドで注目を集めてた。そんな彼らのデビューアルバムがこれ。ペダルスティールは、ギターのフレットをテーブルの上に寝せて、ある意味、和琴のように座って演奏するギター。これが実に冗舌で、中途半端なハードロックなんかよりも手数が多く、奔放でスリル満点。アドリブ的な演奏がどこまでも続いていく感じが正しくジャム。ボーカルの有無なんか気にならなくなって、ROBERT の明るいプレイに没入してしまう。へんな捻れやクセがない王道直球のグルーヴは彼の性格の素直さの反映なのだろうか?キャリアはゴスペルからスタートしてるってのも個性かも。

ROBERT RANDOLPH THE FAMILY BAND「COLORBLIND」

ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND「COLORBLIND」2006年
●より知名度が上がったタイミングのセカンドアルバム。よりドバドバなファンクバンドに進化。ボーカルを中心にキチンと構成されたアレンジが分かりやすくなって、大先輩 SLY & THE FAMILY STONE みたいになっちゃった。実際に SLY STONE の楽曲「THANKFUL 'N THOUGHTFUL」をカバーしちゃってるし。
おまけにゲストも豪華。突進するハードロック・ゴスペル「JESUS IS JUST ALRIGHT」では、ミスター・スローハンド ERIC CLAPTON がギターボーカルで参戦。ブルースギターといぶし銀ボーカルで ROBERT と対決。泥臭いバラード「STRONGER」ではニューソウル系女性シンガー LEELA JAMES が見参。他にはドメジャー路線で売れてるジャム系バンド DAVE MATTHEWS BAND DAVE MATTHEWS自分のホーン隊を従えてやってきてる。
●加えて余談だが、「POWER OF SOUL : A TRIBUTE TO JIMI HENDLIX」2004年という文字通りのジミヘン・トリビュートアルバムで彼らは「PURPLE HAZE」をカバーしている。これまた物凄い火力の演奏でシビレますわ。


PRINCE…と言っても、この早すぎる死に反応しているのはボクより年長の先輩ばかりだね。
●ボクより年少、30代の同僚は「正直、プリンスって言われてもあんま知らないんスよね」だって。実はボクだって80年代の作品は完全に後追いだ。MICHAEL JACKSON と比べられるほどの天才だったけど、彼の芸風はエッジー過ぎて世間を当惑させることも多かった。ジャケ写が自分の全裸とか、ステージ衣装オシリが全部見えてますとか、名前を捨てた90年代とか、もはや奇行としか言えないよね…。
●しかし、その才能は重ね重ね言うけど天才的なアイディアの宝庫で、しかも彼はその宝庫を常に拡張し続けていた。今回はたまたま彼のギタリストとしての側面に焦点を当てて、連想した音楽を並べただけ。彼のファンク観/グルーヴ観、ビート解釈などなど、もっと多面的に彼の才能は注目されるべきだ。ただ、カタログが多すぎて、手に負えないんだけど…。もしかしたら、未発表音源が今後ゴッソリと発掘発表されちゃったりとか。あれだけの多作家、まだ在庫がイッパイあるはず。


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立派なパーティに出席したら、疲れちゃった。
スーツをパリッと着こなしたビジネスマン300人がグラス片手に談笑してるホテルの立食パーティ。
●知ってる人が大勢いるわけでもなく、手持ち無沙汰に突っ立ってるだけのボク。おまけにお酒飲めないんで手にはオレンジジュース。同僚が如才なく各所に挨拶に回って名刺交換してるのを見て、ホゲーって思う。大人になりそこねたボク…トホホ。
●お祝い事なのだから、その当事者の方にお祝いを言いたいだけだったんだけど、場違いだったのかなあ、ボクの存在は。なんだか、帰りの都バスでグッタリ疲れちゃって、ぐーぐー寝ちゃったよ。
●そもそも立食は苦手。気づけば何にも食べてない…ジュースだけ。お腹空かせて家に帰ったらワイフが「え!今日はパーティっていうからアナタのゴハンないわよ!」…トホホ。


●だから、今日は優しい声に癒されたい。

CHRISETTE MICHELE「I AM」

CHRISETTE MICHELE「I AM」2007年
●彼女のこと詳しくは全然知らないけど、この素敵な笑顔のジャケットだけで爽やかな気持ちになれるよね。基本は自作自演のシンガーソングライター、優しいまろやかさと少しだけの塩辛さが入り混じったチョコレートのような声がオーセンティックなR&Bトラックにフワリと乗っかって可憐。これは約10年前にリリースされた彼女のデビューアルバムで当時の彼女はまだ23〜24歳。若くてフレッシュだけど、安易な流行りに乗らない実直さがボクの気持ちを落ち着かせてくれる。
●エクゼクティブプロデューサーはアーバン界の大御所 ANTONIO "LA" REID。彼の相棒 BABYFACE も数曲でプロデュースを担当。他には SALAAM REMI、JOHN LEGEND、WIIL.I.AM がクレジットに見えるね。SALAAM REMI のトラックは品質間違いナシのビンテージ風味で美味。JOHN LEGEND の関った楽曲は優美なピアノバラード。フィーチャリングラッパーとして WILL.I.AM が登場した楽曲「BE OK」はリズムトラックに BOB MARLEY をサンプルしてアーシーに仕上げたファンクネスがクール

CHRISETTE MICHELE「EPIPHANY」

CHRISETTE MICHELE「EPIPHANY」2009年
●前作がほとんど CHRISETTE 自身のペンによる楽曲ばっかだったのに対し、ヨソ様の提供曲を多く歌ったセカンドアルバム。そのメインの楽曲提供者が SHAFFER SMITH さんという人物…誰だコリャ?と思ったら、NE-YO の本名でした。贅沢。彼はコ・プロデューサーとしても積極的に関わっている。
●結果的に、少々のモダンさが加わったトラックに、みずみずしい彼女の声が可憐に迸る。ミッドテンポでグッとタメたグルーヴが、ファーストの時よりも真っ直ぐに伸びるようになった彼女の声をクッキリと響かせる。ああ、優しいね。



●今日から始まったドラマ「世界一難しい恋」
●主演は嵐・大野智くんで、ヒロインは「あさが来る」波留ちゃん!ボクはすっかり彼女のファンになっちゃったよ。ホテルの社長と部下って関係からスタートする二人。さて今後どうなるのかな?よくわかんないや、こういうドラマ見慣れないから。
沢村一輝さん演じるライバルホテルの社長と大野くんが会うパーティ会場のロケ地に、横浜・山下公園に面した「ホテルニューグランド」が使われていた…関東大震災からの復興を受けて1927年に創業したクラシックホテルダグラス・マッカーサーチャーリー・チャップリンも泊まったという。窓から氷川丸が見えるんだよ。なんでわかったか?っていうと、この前ワイフと横浜に遊びに行って泊まったから。今年のお正月にね。

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「ホテルニューグランド」…二階に広がるフロアがまさにクラシック。窓から見える港の風景がキレイ。

ワイフは横浜にある女子大の出身。このホテルを拠点にして20年以上前に通っていたエリアを探索。
山手の外人墓地西洋風のお屋敷を歩き、海の見える丘公園「コクリコ坂」の世界を夢想して、元町の商店街でちょっぴりオシャレなお買い物。中華街では、学生だったワイフがよく通ってたお店へ。20年ぶりというのにそのまんまの佇まいで残ってた…20年前と同じようにお値段もリーズナブル…だから学生だったワイフはここに来てたんだ。女将さんに「20年前と全然変わらないんですね」と声をかけたら「ウチはココで70年ヤッテルヨ!」と元気な返事。ホテルは90年で、中華の定食屋は70年。横浜、奥が深すぎるぜ。

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●山手の洋館カフェ「えの木てい」
港の見える丘公園には「コクリコ坂」と同じ旗が立ってた。

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中華街のシンボル・関帝廟
●そして元町老舗ブランド FUKUZO でシャツのお買い物。



こんな小旅行をしてみたのは、雑誌の影響だ。「ポパイ」2016年1月号。

ポパイ 2016年1月号

ボクは雑誌を買わない。マンガ誌は買うけど、ファッション誌は全く買わない。そもそもファッションに関心がないし。だから「ポパイ」にもお世話になったことがない。思春期の頃ですら、この手の雑誌と無縁のまま生きてしまった。申し訳ないけど「雑誌は人にモノを買わせる機械」だと思ってた。何にお金を使うべきか丁寧に指南する機械。何を着てどんな髪型にしてどんなカバンや時計を持ってどこでゴハンを食べるか。ボクは、その手の指南を雑誌に求めるのはカッコ悪いと思ってた。ちなみにテレビは「永遠に止まらないヒマつぶし装置」ね。ボク、そんなにヒマじゃないです。
●けど、この雑誌の、表紙のスミッコに書いてある短いコピーに心揺さぶられた。「もっとデートをしよう。そして彼女を笑顔にしよう。」デートって……何それ? 結婚生活も15年超えてるボクら夫婦、どんだけデートした?実は結婚前だってロクにデートしてない気がする…ボクは自分のことばっかに夢中で、仕事ばっかりしてたしね。このままでは一生デートしないかもしれない。あれれコレやばいかも?!なんか知らんが目からウロコの大ショック!即座にコンビニの雑誌棚からコレをピックアップしてレジに持って行ったね。
●残念ながら、雑誌の中身で提案されてたデートプランは全くボクの感性に引っかかるモンがなかった。結局ロクに読んでない。それでも、即座に横浜ツアーをワイフに提案し、コドモには留守番を言いつけた。「もっとデートをしよう!」しかも、この企画はワイフの学生時代を振り返るツアーであって、ボクの趣味は基本封印。だから!この横浜ツアーでボクはレコ屋に行ってない!これスゴイことなんです!ホテルもワイフの指定希望そのまま…実は高くてビビったけど。とにかく、この試みはボクの中では画期的な事件だわ!(すいません、普通の感覚では理解できませんよね)

この横浜ツアーを契機に、ワイフと二人で出かけるツアーを仕掛けている。
●2月に家族で大阪USJツアーに行ったが、その1日手前に夫婦だけ早乗りして京都デートをした。そんで3月末に夫婦だけの福岡ツアーをした。なんでいきなりこんなこと始めたのよ?と聞かれて「だって一人で見ても楽しくない気がして」と答えたら死ぬほどビックリされた。「あなた!今まで散々一人で好きな所に勝手に行ってたじゃない!そんなこと言ったの初めてよ!」あれ?やっぱそういう人間だったかな、ボクって。じゃあ、変わったんだ。

人生のコンバージョン・レート。
●最近のボクは、ネット広告にお金を投下してその効果を計るような仕事を始めてる。クリック・パー・レートとか、コンバージョン・レートって世界のアレだ。広告に接触したユーザーがボクらのサービスに到達する数を毎週計測して、さらに投下するお金の額を決めている。その効果たるや、ナカナカにしょっぱくて、えーこんなにお金出してるのにコレしかユーザー獲得しないのー?なんて感じたもんだ。今では、広告とはそういうモンです、という代理店担当の理屈に呑まれている。ただ、広告のメッセージがどのような作用をもたらして人々の行動を促すのか、リアルな人間の心の動きをイメージするコトは忘れたくない。エクセルと数字ばっかりの会議をしていても。
「モノを買わせる機械」であるところの雑誌「ポパイ」のメッセージに、ボクは今回見事に行動を促され、その世界観を転覆させられた。この雑誌のメッセージによって見事にコンバートされました。この世間には、あらゆるメッセージが横溢していて、どれを選択すべきかもうワカラン状態。その中で、出版不況で一番ヤバイ所にいる雑誌に、これだけ心を揺さぶられた。その経験がなんだか自分で気持ち良くて。とにかくソレが言いたくて。
●あ、あと、記事の内容に響くものはなかったけど、カワイイ女の子たちのデッカいオシャレ写真がパリッと印刷されてることの気持ちよさは目一杯感じた。これ、PCのモニタやスマホのインスタの画面じゃ伝わらない、素材感と面積感。印刷のよさ、紙の素材のよさ、作り手がスゲえコダワッてる意気込みを感じた。ヤンマガ週刊文春じゃ伝わらない、ファッション誌の意気込みよ。

古舘伊知郎さんが辞めた後の「報道ステーション」を見てみたけど…なんか気抜けした感じが…。別にあの人のことを好きだったわけじゃないけどね。
●一方で、フジテレビ「ユアタイム」というニュース番組、モデルの市川紗椰さんがセンターのキャスターを務めている。さすがにいきなりニュース番組を仕切るのは酷な仕事じゃないか?これ、視聴者としてボクはどっかで見慣れるのかな。となりにすわってるのが、モーリー・ロバートソンってのもすごいねえ…この人は個人的には好きなタイプだけど。主題歌は上原ひろみさんのピアノジャズロックだって。あ、ジャズロックってのはボクの言葉ね。彼女の音楽はどれも完全にジャズロック。熱量がハンパないから。彼女の新譜聴きたいなー。



三月末〜四月頭に、福岡へ旅行してきました。
●コドモの春休みに合わせてムリヤリ休みを取ったのに、部活だなんだで結局コドモは東京を離れられず、夫婦二人だけの旅行。福岡グルメを堪能、そして太宰府まで行っちゃいましたよ。

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太宰府天満宮。祭神は、あの、菅原道真。
●最近彼が活躍するマンガを読んでいるので、ここに来ちゃった。

灰原薬「応天の門」5巻

灰原薬「応天の門」5巻
●官職に就く以前の若き秀才青年・菅原道真が、イケメン歌人&作中では検非違使として警察官みたいな仕事をしている在原業平とタッグを組んで、魑魅魍魎が跋扈する宮廷政界の陰謀に対峙していくバディ系クライムサスペンス。今回の表紙に出てる非常に PALE な顔色の人物は悪玉の藤原基経。これがナカナカ面白くて。学問にしか興味がない道真が、嫌々ながら怪事件の捜査に引っ張り出される中、徐々に藤原氏を中心とした政争に巻き込まれていく模様…。歴史的事件に「応天門の変」という出来事があるっぽいんだけど、ネタバラシになったら野暮なので敢えて検索してません。
岡野玲子のマンガ「陰陽師」では、死後完全に妖怪大魔王になって京都に怪異を起こす存在になっちゃう道真。アンチ藤原氏の立場で太政大臣まで出世しながらも政敵の策略で失脚。そんでこの太宰府まで左遷されてしまったという顛末は社会の授業でお馴染み。現場・太宰府で知ったのは、その左遷で彼は完全に引きこもりになり太宰府政庁から一歩も外に出なくなってしまったこと、そんな生活が悪かったのか左遷後2年で死んでしまうこと。イジケ過ぎだろう!太宰府の九州ライフも楽しんでくれよ!当時の福岡は外国文化摂取の最前線基地だったはず…遣唐使廃止を提言した張本人とはいえ、自分は散々中国の文献で勉強しただろう。なんか残念だぜ。
●ちなみに、大宰府政庁天満宮とは全然別の場所。天満宮は、道真の遺骸が葬られた場所に建てられた。なにやら、遺骸を積んだ牛車の牛が突然動かなくなったモンだからその場に彼を埋葬しちゃったという。だから、境内のそこかしこに牛が置いてある。ナデナデすると頭が良くなる、と言われてて、どの牛も磨かれたようにテカテカ。

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●最寄駅・西鉄太宰府駅からの参道にはお店がいっぱい。名物は「梅ヶ枝餅」というあんこたっぷりのおまんじゅう。抹茶と一緒に食べるとめちゃおいしい。「宝物殿」には道真直筆と言われる掛け軸があったり。立派なエスカレーターを昇った先にある「九州国立博物館」は迫力満点の現代建築だが、常設展の内容でいえば、全然別の場所にある「福岡市博物館」の方が福岡史のリアルを伝えてる感じがする。まー「国立博物館」って「ショッパイ」内容がグルリと一周回ってジワリ楽しい場所かもなー。皿とか壺とかばっかがたくさんあってもねー。

●下の写真は、天満宮参道にある、隈研吾デザインのスターバックス。お店の中までこのノリで柱がいっぱい。

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今回の福岡ツアーでも、地元のレコ屋さん12軒を巡って、50枚くらいの音源を買ったよ!めっちゃ豊作だった。楽しい街だ福岡は!



●でもね、その前にね。
●2月に大阪に旅行に行って、ホントにたくさんのパンク系のCDを買っちゃったんですよ。
具体的に言うと、50枚くらい。どんどん聴かないと、消化不良になる…。


●そんな中、パンクって、殺伐としたイメージがあるけど、実はそうでもないかなーと思ったんです。
●きっと、パンク革命そのものの実体は、一種のロックンロール・ルネサンス。
ただ単純に、ロックンロールが好きで、大騒ぎするのが好きなだけ。
●無駄にガリガリした音を出したり、無駄に叫んでみたり、ってのは時代が変わる中で出てくる特徴で。
最初っから全部が全部、トゲトゲしい音楽になってたわけじゃない。

●頭の悪いガキンチョでもわかるレベルでウキウキ踊れる音楽を、ヒッピー上がりのオッサンから奪回する運動ですわ。マリファナも愛と平和もどーでもいい。マトモな仕事もなければ楽しい週末もないオレらがノレる音楽を誰か鳴らしておくれ!って衝動だと思うのですわ。
●しかし、サッチャー政権レーガン政権が貧乏人を貧乏人に固定化するキツイ状況を作っていくにつれ、おそらくパンクは徐々に攻撃的になっていき、いつしか様式化していくのです。


●ここに並べるパンクロックは、様式化が進んで固まってしまう前の、フランクな気分が漂う時代の物件。

THE VIBRATORS「PURE MANIA」

THE VIBRATORS「PURE MANIA」1977年
●ロンドンで結成された初期UKパンクバンドのファーストアルバム。シンプルな4ピースバンドとしてズムズムと突進するロックンロールを鳴らしてます。もう素直なロックンロールですわ。特別上手くもないボーカルを速度とギターリフでごまかしてます。でも、この時代の牧歌的にすら聴こえるパンクロックが、むしろ純真に聴こえて愛おしいのですわ。それは、先月書いた記事(コチラ)でも紹介した、999RUTSTHE VAPORS も一緒。で、割とバンドの命は短く終わってしまう…だってそんなに実力もあるわけじゃないからね。しかしこのバンドに関しては「一発屋」と言われながらも、オリジナルのドラマーが未だにこのバンドの名前で活動してるらしいっすよ。このアルバムに収録されてる楽曲「STIFF LITTLE FINGERS」をそのままバンド名に拝借して活躍した連中もいるくらいですから(バンド STIFF LITTLE FINGERS もシーンの中で重要になるのですよ!)、みんなに愛されたロックンロールだったんでしょう。

SHAM 69「THE FIRST THE BEST AND THE LAST」

SHAM 69「THE FIRST, THE BEST AND THE LAST」1978〜1980年
●ロンドン郊外のハーシャムという街で結成された四人組バンド。ここの地元のサッカーチームが1969年に地域リーグで優勝した故事が、そのまま SHAM 69 というバンド名になってるという。サッカーの応援歌のような、みんなで一緒に歌える明快なメロディがイイ!これがその後「シンガロング・スタイル」と呼ばれるようになって、パンクの様式の一つになるオイ!オイ!と掛け声を合わせる「オイ!パンク」の元祖とも呼ばれてるらしい。
●怒涛のハードなパンクギターが迫力を持っててバンドのパワーに疾走感を加えているが、やっぱり、このバンドの味は、ボーカルの JIMMY PURSEY 味のあるキャラ?とダイナミックなメロディなんだろうな。地元賛歌の「HERSHAM BOYS」や労働者階級のキッズに向けた「IF THE KIDS AER UNITED」「THE COCKNEY KIDS ARE INNOCENT」などなど、名曲がいっぱいある。
●今、曲名の中で「COCKNEY」=コックニーという言葉が出たから言及しておこう。このコックニー「ロンドンの下町言葉」なんて言い方で訳されてることが多い。その時アタマに留めておくべき大前提は、この国が厳然とした階級社会を維持してきた歴史だ。この国では階級でしゃべる言葉がハッキリと違う。上流階級の言葉と庶民階級の言葉が全然違う。現代日本でイメージする単純な方言という理解では解釈できないニュアンスが込められている。ただ、パンクにおいてはその正式とは認められない言葉を話すコトが誇りとして受け止められてる。COCKNEY REJECTS なんてバンドもいるくらいだからね。もちろん今回の買い物でこのバンドもゲットしたよ。
●でも、やっぱりパンクバンドはどうしても短命なのか、結成後3年目の1980年には分解、1988年以降に再結成を果たすもシンドイ状況みたいね。

ANGELIC UPSTARTS「THE EMI YEARS」

ANGELIC UPSTARTS「THE EMI PUNK YEARS」

ANGELIC UPSTARTS「THE EMI YEARS」1980〜1982年
ANGELIC UPSTARTS「THE EMI PUNK YEARS」1980〜1982年
●1977年にイギリスのシェフィールドで結成して80年代に活躍したパンクバンド。アンチファシズム!社会主義的労働者階級支持!を叫んでた連中と聴いてたから、どんだけ過激だろうと思ってたけど、男臭いロックンロールが汗臭く突進する愚直なサウンドで耳障りな感じはない。殺伐とした空気はなくて、バンドの中心 THOMAS "MENSI" MENSFORTH兄貴カリスマにみんなで浸ろう!って感じ。スローなナンバーで朗々と歌うスタイルとか、パンクバンドとしては珍しいよね。キーボードのアレンジにアイリッシュ風味もある。レゲエアプローチもあるよ。
●で結構な頻度でレーベルを変えた彼らの、EMI 所属時代の楽曲を集めたのがこの2枚のコンピ。上の「THE EMI YEARS」が2002年のリリースで、下の「THE EMI PUNK YEARS」が1999年のリリース。で内容の半分が重複してる。だから買うときはチョイと迷ったけど、残りの半分は紛れもなく聴いたことない曲だったからね、しょうがない、結局買っちゃった。

STRAY CATS「STRAY CATS」

STRAY CATS「STRAY CATS」1981年
50年代のロックンロールのスタイルをそのままに再現しようとした、80年代ネオロカビリーの代表選手、そのファーストアルバムですわ。コテコテのリーゼントに、グレッジのギター、アップライト・ベースと、ここまで直球で古典的ロックンロール回帰というのコンセプトを決め込んで、しかもそれがUK全国チャートでもてはやされるのは珍しい現象だったはず。ロックンロールのルネサンスが時代の要請であったことが、彼らのブレイクで証明されるのです。日本語版WIKIに「ロックンロール草創期のスター、エディ・コクランが使用していたギター、グレッチ(6120)を自ら愛用し、ロックンロールに必要不可欠なある種の『とろみ』を残すギタープレイはまさにセッツァーの代名詞」って書いてある。「ある種の『とろみ』」って…思い入れタップリすぎる表現がタマラン。そして音源を聴きながらもその「とろみ」を追いかけてしまう。ちなみに日本の横浜銀蠅のデビューも1980年とほぼ同時期。世界同時ロックンロール回帰。
ネオロカビリーのムーブメントは、パンクとは常に隣り合わせで進行。いつしかサイコビリー(ガレージサイケ+ロカビリー)ゴサビリー(ゴス+ロカビリー)などのサブジャンルで交流をかわすようになり、固定ファンを抱えたジャンルに成長。そんで今でも、バンドの中心人物 BRIAN SETZER は第一線でビッグバンドを率いてロックンロールを続けているのでした。

NIKKI THE CORVETTES「NIKKI THE CORVETTES」

NIKKI & THE CORVETTES「NIKKI & THE CORVETTES」1980年
●初めてアメリカのバンドが出てきた…おまけにガールズバンド。実は STRAY CATS もアメリカ出身なのだけど、母国じゃ全然売れず拠点をイギリスに移してやっとブレイクしたのでした。コッチは、デトロイトのバンド。古典中の古典、オリジナルパンクバンド MC5 のお膝元だね…リーダーの NIKKI CORVETTE はその MC5 のコンサートを見るのを禁じられて16歳で家出しちゃったそうです。で、アレコレあって、ロスのガレージロックレーベル BOMP ! RECORDS からデビュー。「THE RAMONES と THE RONETTES の合体」なんて言われるのもむべなるかな、少年ナイフ PUFFY すら連想させるキュートでガレージテイストなロックンロールがとっても楽しい感じ。というか、そんな極東の国・日本のポップスまでに、キチンとパンクの成果は浸透しているってわけですわ。パンクって偉大!

●動画も探してみました。
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●NHK朝の連ドラ「とと姉ちゃん」、主題歌:宇多田ヒカルときたか…。


おそ松さん

●アニメ「おそ松さん」、6人兄弟の区別がやっと出来るようになってきたなーと思った頃に最終回。
●でもうちの娘ヒヨコはアニメ初めて見た時にいきなり「この人、進撃の巨人のリヴァイ兵長と同じ声だね!」と看破。マジかよコイツ耳良すぎないか?!

キルラキル

ネットフリックスでアニメ「キルラキル」も全部見たよ。息子娘と楽しく。
●ストーリーが荒唐無稽でヤリ過ぎ感満載で大爆笑大興奮の傑作ロボットアニメ「天元突破グレンラガン」が大好きだった我が家。その「グレンラガン」で原作/監督を組んだ中島かずき&今石洋之が再びタッグを組んだ作品がこの「キルラキル」。これ話題になった2013年の放送からずっとチェックしたかったんだー。やっと堪能できた。ネットフリックスありがとう。
「生命線維」なる素材で作られた「極制服」で日本中の学園支配を目指す本能字学園生徒会長・鬼龍院皐月と、父の死と「生命線維」の関係を探る流れ者の女子高生・纏流子の激しい戦いがストーリーのタテ軸。わざと昭和風のバタバタした手書き二次元アニメにこだわった演出、「グレンラガン」の段階から萌芽が見えてたユニークなタイポグラフィ遊びがメチャメチャ過激化して、もはや読めない寸前、読ますつもりもない領域に入ってるトコロ、脇キャラがことごとくありえない難読名前「満艦飾マコ」「蟇郡苛」「蛇崩乃音」「猿投山渦」などなど(でこの珍名を過激なタイポ表現で面白がる)と、ツッコミどころ満載。
●で、その「生命線維」で作られたセーラー服「鮮血」と主人公・流子が合体すると、これまた実に際どい露出の半裸コスチュームに。これも実際とってもヤリ過ぎ。タイトル「キルラキル」は KILL じゃなくて「着る」がポイントで、敵も味方も武器はみんな衣装に関係するし、それがことごとくヘンな衣装というか武装というか。変身シーンは男女とも意味なく裸になる。ここにワイフがすっごくしかめっつら。いかがわしいアニメをオッサンが楽しんでる、という客観的には申し開きようのない状況が非常にアゲインストだったぜ。
●ちなみに、キャラクターデザインはよしおという人物。ボクにとっては、ももいろクローバーZ+KISSのコラボ楽曲「夢の浮世に咲いてみな」のMVアニメのキャラデザでももクロをカワイく描いた人物。「キルラキル」のヒロインたちもみんなカワイイよ。

神衣鮮血

●このアニメの文字演出は、デザインとグラフィックの総合誌「月刊MdN」でも特集されたらしい。ウィキによるとフォントワークス社ラグランパンチUBって書体だって。


●ドラマもアレコレ見てるんだけど、ちょっとそれは後日にして。
●あ、ヒヨコが、HULUで「臨床犯罪学者火村英夫の推理」を見まくってた。和製「シャーロック」だって。これ一部で、主演の斎藤工くん窪田正孝くんのBL的深読みが話題になっとったね。


●マンガもうんざりする量を読んでる。つか読み切れてない。

沙村広明「波よ聞いてくれ」

沙村広明「波よ聞いてくれ」1〜2巻
これ久々のクリーンヒットマンガ!気持ちいい笑いがテンポ良く続くナイスなヴァイブス。ここで言うところの「波」はサーフィンを連想させる海の波でなくて、ラジオの「電波」。札幌のFM局を舞台に、口は達者だが性格はドキツイお姉さんが、自分の意図と関係なく突如ラジオのパーソナリティにデビューしてしまうお話。本来ファンタジー世界で陰惨なお話ばかり描いているこの著者が「誰も死なない」作品を目指すと公言している。このノリ、絶対誰も死なない。

荒木飛呂彦「ジョジョリオン」10〜12巻
ストーリーの展開遅そすぎ!まるまる単行本1冊分を使い切って、スタンド使い一人との戦いを描くペース。謎だらけの物語なのに、戦闘のデティールに注意が傾いて、謎の全容が分かんなくなる。でも記憶を失った主人公・東方定助の本当の名前が「空条仗世文」だったことが判明?!他のジョジョ・シリーズとつながる重要な固有名詞が登場ッツ!

山本直樹「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」3巻
●ひたすらに淡々と連続リンチが続く。あまりにオフビートに。連合赤軍事件の本質ってこんなに空虚で不毛でうすら寒いものなのか…?

ヤマザキマリ/とりみき「プリニウス」3巻
●異色マンガ家コンビが描く、古代ローマの博物学者・プリニウスの人生。博覧強記っぷりでウンチクが止まらないプリニウスが魔都ローマを離れて、ポンペイに入る。不吉な出来事を暗示する予兆が次々と発生。ウェスウィウス山噴火まであと一歩。

貴家悠/橘賢一「テラフォーマーズ」16巻
●内部分裂が訳わかんない方向に飛んで行ってついていけない……まーストーリー本線は別に継続中だからいいけど。映画版「テラフォーマーズ」には元AKB篠田麻里子が出演してるらしく、先日の高橋みなみ卒業公演で軽く告知してた。

幸村誠「ヴィンランド・サガ」17巻
●非道の略奪ヴァイキングから改心した主人公・トルフィンを過去の罪が追い詰める。彼らの航海はアイスランドからロシア内陸河川経由のギリシャ。前途多難すぎる…。でも昔読んだヴァイキングの研究書によると、バルト海から黒海経由イスラム文化圏まで彼らは交易ルートを広げてたみたいね。川がいっぱいあるからね。

吉田秋生「海街Diary - あの日の青空」
●四人姉妹それぞれが独立の気配…。これ読んで意味なく江ノ電乗りに行きました。江ノ島の駅の周り一人で散歩。あ、映画はまだ見てないんだな。是枝裕和監督、綾瀬はるか/長澤まさみ/夏帆/広瀬すず夏帆ちゃんってもっと注目されるべき女優だと思うんだけどな。

中村真理子「天智と天武」9巻
中大兄皇子=天智天皇と、大海人皇子の異父兄弟確執は、なんとBL的昇華へ到達して、結果天智崩御。ストーリーはポスト天智帝の政争へ。壬申の乱まであともう一歩。
●たまたま、梅澤恵美子「額田王の謎 - 『あかねさす』に秘められた衝撃のメッセージ」という本を読んだ。中大兄皇子の妃でありながら、大海人皇子と公然と不倫宣言するような和歌を万葉集に残した女流歌人・額田王。ややトンデモ史観かもだけど、藤原氏主導で編纂された「日本書紀」「古事記」の裏読み、またはそこでは無視された「万葉集」の内容から、天皇家による中央集権国家以前の、諸豪族連合内の闘争関係を、この女流歌人や同時代の女帝たち王女たちの存在に結びつけて描き、出雲系豪族〜物部氏/蘇我氏〜実際は天皇家をしのぐ歴史と権威を持っていた勢力を巧妙に歴史の傍流に追いやった、という主張を展開している。突き詰めると、アマテラスは神の第一の巫女であり、その血族の女性が王権の正統性を担保する必要があった…額田王はその女性の一人だったと。ふーん。
●でも、このマンガにおいては、BLに突き進んだ結果額田王は脇役になっちゃった。むしろ二人の兄弟の絆を確かにする後押しを担った…。なんかすごいね。



●音楽。80年代のギターポップ/ネオアコなアプローチ。

REM「SINGLES COLLECTED」

R.E.M.「SINGLES COLLECTED」1983〜1987年
80年代のイギリスに THE SMITHS がいたように、同時期のアメリカには R.E.M. がいた。そんな対応関係があるとボクは思う。80年代はケバケバしい化粧をしたニューロマンティクスエレポップか、70年代の伝統を発展させたヘヴィメタル、そして鬱屈した怒りを爆発させたハードコアパンクしか選択肢がなかった。その中で真にオルタナティブな異端として、彼らのようなオーソドックスなギターポップは辺境から現れた。イギリスのネオアコは北の辺境スコットランド・グラスゴーからジワジワと出現したが、アメリカの R.E.M. は南部ジョージア州の田舎町アセンズにフワッと発生。ジョージア大学がある学生街だったこの土地から、全米のカレッジラジオ(大学生が学内で運営するラジオ局群)経由でジワジワと支持を広げていった。彼らがデビューシングル「RADIO FREE EUROPE」でラジオを歌ったのは偶然か必然か。
●このシングル集は、彼らが全アメリカ/全世界を制覇するビッグバンドになる前の、インディレーベル I.R.S. RECORDS に所属していた時期の音源だ。ボクがリアルタイムで彼らを知るのは90年代にメジャー化した時期、スバリ「LOSING MY RELIGION」の大ヒットの時だ。その後時流と共に彼らもグランジ化を達成した「MONSTER」1994年が本音のトコロでは一番好き。そこから比べると、この80年代のインディ時代は恐ろしいほど味気なく地味なサウンドとなってる。
●ただし、クタビレた42歳のボクにはこの何の変哲もない素朴さが、実に愛おしい。シンガー MICHAEL STIPE は初期においてはナニを歌ってるのかモゴモゴしててよくワカンナイ。メジャー化してからは非常に雄弁なシンガーになるのに、初期はやる気ナシ。バンドサウンドもさほど特別な工夫があるわけでもナシ。しかし、どこか個性的で愛着を感じるメロディは最初から健在で、ギターも初期の方が繊細にプレイされてるような気がする。居心地がよくてリラックスできる音楽だ。美術を専攻していた MICHAEL STIPE は学生らしいシニカルさでワザと脱力してみせたのかも。歌詞を読むとやっぱりシニカルでスカした感じがある。
●この時期の R.E.M. を聴いてみようと思ったのは、ドラマ「GLEE」のあるエピソードで彼らの初期シングル「SUPERMAN」がカバーされていたからだ。カバーされた状態で、初めて聴いた楽曲だったのに、一瞬にして R.E.M. の曲だとわかった。それほどメロディにクセがある…と思う。THE SMITHSMORRISSEY もメロディにクセがある。そして結局今にしてわかることだが、STIPE も MORRISSEY も「GLEE」のプロデューサーもゲイ方面の人らしいのよね。
●それと、その後のアセンズでは、2000年前後に ELEPHANT 6 というアーティスト集団が発生。幾つかの個性的なバンドが独特のサイケデリックな世界を描いた。これはこれで、一時期一生懸命研究したなあ。

THE PALE FOUNTAINS「 FROM ACROSS THE KITCHEN TABLE」

THE PALE FOUNTAINS「... FROM ACROSS THE KITCHEN TABLE」1985年
●イギリス・リヴァプール出身の典型的ネオアコバンド。ファーストアルバム「PACIFIC STREET」1984年はトランペットのアクセントが凛々しい名譜として名高い…が、その後分裂解散へと進むこのセカンドの時期もストイックで緊張感溢れるサウンドに仕上がっている。やや性急な感じがするのがバンド末期の気分かも…。80年代は録音技術が向上しているのか、同じアコースティックなアプローチでも、その前の時代のような素朴でフォーキーに仕上がりにはならない。ギターの音の粒立ちがビキビキ硬質に際立っていてキラキラしている。
●アルバムは当時 VIRGIN からリリースされたが、それ以前の最初期のシングルは、ネオアコ界でこれまた評価の高い LES DISQUES DU CREPUSCULE からのリリースだったそうな。橋本徹「SUBURBIA SUITE」でかつて読んだ覚えが。どうやらこの CREPUSCULE 時代のコンピレーションもこの世にはあるみたい…うーむ探したい…。
●英語で「PALE」「青白い」「青ざめた」という意味。TUMBLR のような場所で #PALE を検索すると、ゴステイストの気分が垣間見れる。決してマジョリティには交わらない負のオーラ。THE PALE FOUNTAINS の時代とは微妙に意味が変わったのかも。#GOTH#GRUNGE もカテゴリーとして性質が近いらしい。

THE PALE FOUNTAINS「SOMETHING ON MY MIND」

THE PALE FOUNTAINS「SOMETHING ON MY MIND」1982年
CREPUSCULE 時代のコンピ、探したいと思って AMAZON をいじったら、なんと「AMAZON PRIME MUSIC」サブスクリプションサービスの中に発見!ボクは元からプライム会員だから、このサービスは常に聴き放題。おお、これはたまらん!いい時代だわ。
セカンドの時代には脱退してしまっていたトランペッターが活躍して、より落ち着いたトーンが可憐。ボッサテイストとまで言えば踏み込み過ぎかもしれないが、ファーストの頃の EVERYTHING BUT THE GIRL と同じ感じがする。

●動画はあるかなあ?

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なんだか、本来の自分の音楽の趣味を見失いそうになる…。
AKB48 のようなアウェイの領域に侵入するのは、知的興奮を感じるけど居心地は決してよくない。
●でも自分の既知のフィールドにいるだけでは、刺激が薄い…これ微妙なさじ加減。

●最近は、自分が大昔に通ったはずの時代/場所から、あっ!っと思うような新鮮な刺激を受ける場面があった。
具体的には90年代モノ。ボクにとっては10〜20代の多感な時期に当たる。つまり、ホームベースみたいな場所なんだけど、ホームに立ち止まっていてはいけない、という奇妙な強迫観念もボクの中にはハッキリとあって、この90年代という時代の音楽には微妙な緊張感を感じる。なのに、それを乗り越えて、キラリと光る新鮮な感動をくれる音源に出会えた。

竹村延和「CHILDS VIEW」

竹村延和「CHILD'S VIEW」1994年
90年代渋谷系ど真ん中のアシッドジャズだ。レーベルは BELLISSIMA ! 。うわ懐かしい!TRATTORIA、CRUEL RECORDS、READYMADE RECORDS などなど当時百花繚乱しまくった渋谷系インディレーベル(メジャー内インディ含む)の中でも、キラキラのオシャレな個性を放ったレーベル。SILENT POETS、COSA NOSTRA、SPIRITUAL VIBES などアシッドジャズ系バンドを多く輩出。その中の SPIRITUAL VIBES の中心人物がこの竹村延和で、彼の最初のソロがこの音源。当時から SPIRITUAL VIBES はガラス細工のように繊細なアレンジを施した美しいサウンドでメチャメチャ愛聴してた覚えが…。ただ、竹村氏のソロを聴くのは今回が初めて。
●実は、この音源は偶然のもらいモノ、というか拾いモノ。惜しまれつつ閉店した下北沢のカフェ「現代 HEIGHTS」がその最後に「ご自由にお持ちください」と不用品をお店の前に並べてたところで、たまたま発見したCDだった。で、さほどの期待もせずにプレイヤーに乗せてみたら…うわー甘美だわ…。ジャズファンク、サンバ、ヒップホップといった要素を雑多に吸収しつつも、ヒンヤリとした上品な佇まいと丁寧に組み上げられた構成美がキラキラしてる。ウットリするわ。オーボエやフルート、ビブラフォンといった楽器選びも印象的。
●この時期のシーンは、90年代アシッドジャズのムーブメントが盛りを過ぎて、次の展開を探っていたタイミング。このあと彼は「CHILDISC」という名前のレーベルを立ち上げ、シカゴ音響派などに接近してより抽象的なエレクトロニカに傾斜していく。それがやや難解なイメージで、ボクは彼の音楽を敬遠してしまっていた。でも1994年発表のこの作品は、その一歩手前の過渡的な段階にあって、エレクトロニカ風の音響美やサンプルの魔法も採用しつつも可憐なフュージョンミュージックの体裁をしっかり残していて実にポップ。結果、今の耳には実に優しい。
●アルバムの収録は、バンド SPIRITUAL VIBES のメンバーと共に制作した東京ブロック、黒人女性シンガー DEE-C LEE をフィーチャーしたロンドン・ブロック、フレンチラッパーをフィーチャーしたパリ・ブロックに分かれてる。そんな体制をインナーで確認してまた興奮。
DEE-C LEE は当時 PAUL WELLER の奥さんだった女性で、THE STYLE COUNCIL のバックコーラスを務め、その後はソロでハウス系のアルバムもリリースしてたはずだ。しかもロンドンでエンジニアを務めているのは HOWIE B!彼はこのあと BJORK U2 とも仕事をする売れっ子プロデューサーになり、ソロ音源でも個性的なトリップホップ表現を展開。彼のレーベル PUSSY FOOT の作品を含めてボクは彼の関与した音源をだいぶ買い漁ったよ。パリ録音でラップを披露している MENELIK というラッパーもボクにとっては既知の存在。たまたまの偶然だがフィンランド・ヘルシンキを旅行した時にボクはこの人物のアルバムを買って聴いていた。フレンチラップって質感が英語と圧倒的に違うからクールなんだよねー。この竹村作品でも MENELIK は出しゃばらない存在感で絶妙な空気を醸し出してる。ふうう、たまらん。

HIEROGLYPHICS「3RD EYE VISION」

HIEROGLYPHICS「3RD EYE VISION」1998年
●ジャンルは全然違うけど、これもよかったなあ。90年代西海岸アンダーグラウンド系ヒップホップ下北沢ディスクユニオンのヒップホップ激安バコで300円程度でした。エジプト古代文字(ヒエログリフ)の名前をそのままクルーの名前(英語読みだとハイエログリフィクス)に冠した連中のクルー名義作品。メンバーは、4人組ユニット SOUL OF MISCHIEF、その後 GORILLAZ と仕事するラッパー、DEL THA FUNKY HOMOSAPIEN、そして CASUALPEP LOVE、トラックメイカーの DOMINOPEP LOVE 以外の連中のそれぞれのアルバムはみんな当時に買って聴いてた。ちなみに、ピラミッドの土手っ腹に書いてある、丸い顔がクルーのマーク。三つ目なんだよね。3RD EYE。
●彼らの拠点はサンフランシスコ・ベイエリアの主要都市オークランド。70年代には TOWER OF POWER などのファンクバンドを輩出してオークランド・ファンクというジャンルの名前で知られるくらいになるし、00年代のヒップホップシーンではハイフィーの拠点としても知られるようになる。90年代においては、ズバリ彼らの街。ギャングスタラップに荒れる西海岸のトレンドとは一線を画して、東海岸〜ニューヨークのコンシャスネスなヒップホップに共鳴。ロスの THE PHERCYDE JURASSIC 5、サクラメントの BLACKALICIOUS、シスコの DJ SHADOW など西海岸に点在していた異端の存在の一つとして捉えられていた。
●時代としてはいわゆる「ゴールデンエイジ」が終わってヒップホップの商業主義に加速がかかる1996年を過ぎたあたり。その中でも、あえて「ゴールデンエイジ」の流儀、もう少し突っ込めば DE LA SOUL、A TRIBE CALLED QUEST など NATIVE TONGUE 一派のような文系ラップの美学を見失わない姿勢が貴重。ふっくらとしたオーガニックなトラックと弾んで腰に響くベースラインが奥ゆかしい。ここに決してガナリ倒すような不粋さのない、ナードラップのまろやかさと節々にほとばしるヒップホップ愛が、これまた耳に優しい。

THE THE「HANKY PANKY」

THE THE「HANKY PANKY」1994年
●これまた全然違うジャンルで感動。THE THE MATT JOHNSON という男のオレバンドで、彼の太く濃ゆい声のセクシーさが特徴。80年代までさかのぼって彼の音源は買い集めて聴いていたが、でもこいつはスルーしてた。なぜならこのアルバムは、1940年代アメリカの伝説的フォークシンガー HANK WILLIAMS のカバー集なのだ。さすがに当時20歳代のボクは思ったよ……フォークシンガーは古臭くてツライなあ…。当時は誰もがそう思ったのか、このアルバムは凡打に終わり、THE THE の活動自体がこのあと鈍化してしまう。
●でも、これを4月頭に閉店した中野ブロードウェイのCD屋さんレコミンツにて400円で発見。まー400円だからってのと、内容とは別にこのジャケの面構えは20年経ってもインパクトが強いままで、思わず手に取ったというか。
●しかし、これも実際に聴いてみると、フォーク要素1ミリも残ってない、完全な THE THE 節。MATT JOHNSON のワキ臭が匂ってくるほどの濃ゆい渋声が耳をゾクゾクさせる。フェロモンモン。誰得のフェロモンかは全く不明だが、声がかすれて小さいボク自身の声と比べると、やっぱちょっと羨ましいと思っちゃう。アメリカンルーツとしてのフォークって、無限の荒野と強すぎる日差しをバックに白茶けたアコギ一本のスカスカサウンド、ブツブツ念仏を唱えるようなメロディのつかみづらさ、って偏見がボクの中にある。しかしご安心を。ここには地下室のような湿気とエコーとその中でヌメリ黒光りする男の肌と体臭しかない。ってそんなもん誰も要らないか。まー HANK WILLIAMS のCDも結局持ってるんだけど、聴き比べなんかするのはむしろ野暮だと思って結局本家は今回聴いてない。
●この辺の時期には元 THE SMITHS のギタリスト JOHNNY MARR が所属してた気がしたんだけど、ここには参加していないみたいね。さすらいのギタリスト JOHNNY MARR…。

●一個だけ動画。THE THE「I'M LONG GONE DADDY」。





AKB48「総監督」高橋みなみが、グループを卒業する。
だから、敢えて、AKB48について考えてみる。


AKB48 問題。音楽ファンとして、AKB48 とどう向き合うか?
●旧来の音楽ファンにとって、この問題はノドに刺さった骨のように、ずっとツカエた存在だったはず。

「AKB商法」という言葉が出回る頃から、急速に音楽産業が変質/衰退を始めた…。
AKB48 のフォロワーやエピゴーネンが次々と登場して「アイドル」が市場を埋め尽くした。
●だから、AKB48日本の音楽シーンを堕落させてしまった、そんな風に捉える向きもあったはず。
●結果、AKB48 を無視してしまう態度もあるだろう。

しかし、AKB48 は本当に「悪」か?
●日本の音楽市場は1998年をピークに売上を落とし続けている。そしてそれを解決することができない。
●一方、全世界の音楽業界も長い不況を突破することができない。いつしかフィジカルのセールスは溶け落ち、CDショップが街から消えて、ストリーミング・サービスに置き換わってしまった。そしてその新ビジネスモデルはかつての売上を補完するほどの規模には到達していない。
●しかし、日本はフィジカルセールスがまだ存在感を残す特殊市場。いわばガラパゴスだ。賛否はあろうとフィジカルに付加価値を与えてマネタイズする方法を開発したのは、まさしく AKB48 である。衰亡する市場をなんとか支えたのが AKB48 なのだ。これは評価されるべきだ。
音楽の消費スタイルを一変させたのも事実。確かに「音楽」を消費するのではなく「アイドル」を消費する、という習慣を日本人、日本のユースカルチャーに定着させたのも事実。正直に言えばボクは音楽ファンなので、どこまで行ってもこの事実には違和感がある。ただ、これは時代/社会全体の趨勢だ。「モノの消費」から「コトの消費」へ消費社会が成熟する中で、「会えるアイドル」というコンセプトを2005年に打ち出していた秋元康氏の慧眼は見事。「アイドル」という少女の成長を消費するモデルで大勢のファンをずっと牽引し続けて。エンターテインメントの消費様式に多様性があることが時代を豊かにしているとするならば、コレはコレでアリだ……そして10年がたった。

GYAO+AKBたかみな卒業公演

「祝 高橋みなみ卒業 "148.5cmの見た夢” in 横浜スタジアム」
「プレミアムGYAO! 完全独占生配信」…これも時代だ。第1期生として最初期から今まで10年もの間グループを支え、「総監督」という別格のポジションを与えられたコア中のコアメンバー・高橋みなみの卒業。このセレモニーが、Yahooグループがキモ入りでローンチしたSVODサービス「プレミアムGYAO!」の最初の目玉コンテンツとして、コンサート全編がネットで生配信される。その瞬間を目撃したいと思った。

●その前に、過去の映像を見る。

DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?

●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - TO BE CONTINUED - 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」2011年
2010年の AKB48 を切り取ったドキュメンタリー。劇場開設から5年、スーパーグループとしてとうとう大ブレイクを果たしたその瞬間。2009年から始まった選抜総選挙、この年から始まったじゃんけん選抜、最初期から継続していた TEAM-A(第1期生)、TEAM-K(第2期生)、TEAM-B(第3期生)、の構成を初めて大胆にシャッフルした「組閣」、そして「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテション」「BEGINNER」といったビッグチューンの大ヒット、激動の時期。そんな時期のグループの主要メンバーに、じっくりとインタビューを聴く構成。実はこの作品、製作総指揮が岩井俊二
●今ではグループを去った歴戦の猛者たちが登場する。前田敦子、大島優子、秋元才加、篠田麻里子、板野友美、河西智美…。もちろん、古参の現役メンバーも。渡辺麻友、小嶋陽菜、峯岸みなみ、柏木由紀、指原莉乃…、NGT48を率いることになった北原里英、3月末に卒業となる宮澤佐江も。それぞれが、グループの中の自分の役割、果たすべき責任、夢とプレッシャーを語る。その中でも、高橋みなみだけは別格だった。誰もが「たかみなは特別」という。「たかみなに頼ってる」「たかみなにはなれない」「たかみなに任せた」
●彼女自身が語る。14歳から一期生として AKB48 に関わった彼女。しかも奇しくも誕生日が4月8日。そんな彼女に秋元氏が誕生日に送ったメールは「嫌われる勇気を持て」。彼女の持つ「ヤンキー的」とも言える厳しさはふわふわしがちな女子の集団の中でピリリとした緊張感を作る。たるんだステージの後には声を荒らげてメンバーを叱咤する。率先して声を出して、公演直前のメンバーに気合をいれる。根っからのリーダー、部活なら鬼キャプテンというところか。自分に課す水準も高い。ソロ仕事で練習が足りないとしても、絶対に妥協はしない。5年前からこの立場を貫いてきた高橋みなみの存在って…スゲえ。
AKB48〜秋元康のリリック世界って、ままにして、夢や希望へ向かうことの美しさ、それに向けて無限の努力の偉大さを描くよね。もう少し踏み込めば「夢や希望へ無限の努力」を強いるよね。恋愛禁止をメンバーに課した段階で恋愛テーマ楽曲はどこまでも綿菓子のようなファンタジーだが、スターダムへの苦闘はマジのリアル。が故に総選挙もじゃんけん選抜でさえも誰もがムキになる、メンバー当事者もファンもね。そこへいくと自分自身でも盲信してはいない「努力は必ず報われる」というテーゼを何回も連呼する高橋みなみ秋元康氏からみれば、AKB48においてエリート将校のような存在だったにちがいない。気合と努力、夢と希望、完全にマイルドヤンキーの世界。AKB48の現代的本質がここにあるのかも

●その一方で、その「総監督」というポジションを、今年2016年に高橋から引き継ぐ横山由依
●京都出身の彼女はしゃべり方がはんなりしてて、ややヤンキー体質な高橋とは全く違うタイプだ。この人事はナニ?と発表段階から不思議に思ってた…。第7期生・横山はこのDVDの収録段階、2010年は研究生から正規メンバーに昇格した瞬間。
●研究生の彼女は、グループ一番の年長者であった篠田麻里子のサポートを実直に務めていた。ソロ仕事が多い篠田の代わりにリハや練習を完璧にこなし、その様子を全て篠田に伝える。研究熱心で練習の様子をメモに記録、誰よりも長い時間リハに付き添う。メンバーの誰しもが最高の努力家と評価する。篠田自身が「たかみなの他で唯一尊敬するメンバーです」と語った。
●控えめで線の細い美少女。でもちょっと印象は薄い…。そんな彼女が、高橋が長く担ったグループ全体の大黒柱の立場を継承する。高いハードルが課せられる。しかし、隠れた努力家としての彼女の力が、これをキッカケに開花するのかもしれない。今回の「プレミアムGYAO!」3月26日/27日配信「AKB48単独コンサート」「第1回AKB48グループ 東西対抗歌合戦」などで、締めのMCを必死にこなしていた…ちょっぴり不器用だけどね。きっと大きな重圧を感じてるにちがいない。そんな様子に、がんばってね、と声をかけたくなった。ここまで縁もない女の子に感情移入できるなんて「アイドル」消費も悪いもんじゃないね。


AKB48 のドキュメンタリーは毎年リリースされている。ボクが見てるのはあと2本。

「DOCUMENTARY OF AKB48 - SHOW MUST GO ON - 少女は傷つきながら、夢を見る」 「DOCUMENTARY OF AKB48 - NO FLOWER WITHOUT RAIN - 少女たちは涙の後に何を見る?」

●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - SHOW MUST GO ON - 少女は傷つきながら、夢を見る」2012年
●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - NO FLOWER WITHOUT RAIN - 少女たちは涙の後に何を見る?」2013年

●取材/撮影時期は2011年から2012年。つまり「東日本大震災」の時期を収録している。ここでメンバーたちは日本社会と自分たちの関わりを深く考えることになる。
●本来、AKB48 はグループとして劇場公演を回しつつも、メンバー個々と大手芸能事務所のマッチングが成立したら、単体のタレントとして独立し卒業していくことが想定されたシステムだった。メンバーは女優なり歌手なりそれぞれ個人の希望を持ち、その夢を実現させるために努力する。秋元康氏始め AKB 運営は、原石を発掘し研磨して、芸能界へコンスタントにタレント人材を供給する。各芸能事務所は、コレと思ったタレントをフックアップして自社所属のタレントとして世に出す。こう見ると、いわばAKBグループは本来ファーム/養成所のような存在で、通過し卒業していく場所。劇場がキャパ250人程度と小規模なのも、最初期にはこのグループ活動自体があくまで実験場と想定されてたことを物語っている。ここまでグループ本体が肥大化したのがむしろ想定外だったのかも。グループでは事務所 AKS が管理しているのに、著名メンバーの個別活動では別のマネジメント事務所が管理するという、一見いびつな関係もココに由来する。例えば高橋みなみ、峯岸みなみ、小嶋陽菜は大手事務所・プロダクション尾木の所属で、が故に3人でユニット・ノースリーブスを組織している。
●だから、メンバー個人の集中力はあくまで自分自身のキャリア形成が主体。これは大島優子の発言だったろうか…「若いメンバーがAKB入りすること自体が目的になってしまっていることに危惧を感じる」といった旨を語っていた。しかし、高橋みなみはこの大震災に際し、「今までは自分が自分がとばかり考えていた…でも私たちにもできることがあるんだと思えた」と発言する。最終的に、AKB482011年だけで7回もの被災地訪問を行い、ステージトレーラーでのパフォーマンスを行った。あらゆるエンターテインメントがあの時は「自粛モード」で機能不全に陥った。しかし AKB48 は戸惑いながらも即座に活動を始めチャリティや現場への訪問を始めるのだ。

巨大化するグループと慢心への危機感。西武ドーム2日目の激闘。
●この年、AKB48初めてのドーム公演を経験する。「AKB48 よっしゃぁ~行くぞぉ~! in 西武ドーム」。しかしこの初日の出来が最悪だった。秋元康自身が、終演後のバックヤードで、メンバーから運営、そして自分自身も含めて反省を促す。「今まで見てきたコンサートで一番最低だった」と。AKB姉妹グループ全てが参加する巨大公演に、全体の一体感がなにもない。そんな批判に対して、高橋みなみが声を出す。全メンバーに対して檄を飛ばす。そして失地回復のための2日目の公演。このバックヤードが戦場と化す。
●カメラはステージ上のパフォーマンスではなくて、その下のバックヤードの様子を写す。小柄な女子ですら屈まなければ通れない鉄パイプで覆われたステージ下の小道を走り、衣装替えしながら、自分の次の出番を決められた場所で待つ。メンバーの気合が違う。強烈な危機感と使命感が彼女たちを限界へと連れていく。過呼吸や熱中症を起こすメンバーを、スタッフと他のメンバーが力を合わせて支え合う。そこはまるで野戦病院。出番が来るまでギリギリまで休み、そしてまた強い照明に輝くステージへ笑顔で出ていく。その壮絶さが、胸を打つ。
●多くの部分でフロントを担う、前田敦子大島優子が倒れていく。パニックに陥り、過呼吸を起こす。駆けつけるスタッフ。その中でも高橋みなみは気丈に振る舞い、前田たちをフォローしていく。スタッフがつぶやく…「このままだと高橋も倒れるぞ…」でも、休憩時間を稼ぐためにMCを少しでも伸ばしたり、ステージ上でも常に肩に手を置いて励ましてやったり。強い責任感が彼女を駆り立てるのか。そして終演後、安心しきった表情すら浮かべて、彼女も倒れるのだった。AKB48 のステージ、時にはちんたらと脇が甘く見えるのは事実だ。しかしそれでも最善の内容を伝えようとする彼女たちの努力は、決して無視できない。

2012年は、巨大な空白がグループを襲う。前田敦子の卒業だ。
●舞台の床には立ち位置を示す番号が記されている。AKB劇場では最大6まで。中央に近づくと数字は小さくなり、ど真ん中のセンターは「ゼロ」が振り当てられている。第1期生として絶対的エースを担ってきた前田敦子の卒業宣言は「グラウンドゼロ」=爆心地としてグループ全体の均衡を崩す。次のエースは誰か?センターの重圧とはなにか?選抜総選挙の悲喜こもごも。前田に代わり一位へと返り咲く大島優子。一方「スーパー研究生」として注目を浴びていた光宗薫は圏外に終わり、客前から隠れた袖に入った瞬間ばったりと倒れて嗚咽する。巨大組織となった AKB 集団内ヒエラルキーはかくも残酷なシステムを作り上げた。…光宗薫はこの年の内に脱退。
恋愛スキャンダルも続発。異性との写真流出などで活動辞退を余儀なくされるメンバーたち。握手会会場に響く謝罪の言葉…スタッフすらがバックヤードで嗚咽する…こんなことで…。破竹の急成長を続けるアイドルグループは芸能メディアの格好の標的になったのだ。高橋みなみはインタビューで端的に感情を語っていた。「本当に大人が嫌いになりましたね」指原莉乃もスキャンダルが発覚、HKT48 への移籍が通達される。本人も HKT メンバーも当惑する中、最初の顔合わせ挨拶は、実に微妙な空気に。顔合わせの後に、床にへたりこんで嗚咽する指原の様子をカメラはじっと押さえている。
●そして念願の東京ドーム公演、「AKB48 in TOKYO DOME ~1830mの夢~」が開催される。1830mとは、秋葉原・AKB48劇場から、東京ドームの物理的な距離だ。この1830mの移動に7年の時間がかかったわけだ。そしてこれが前田敦子の実質上の卒業公演。涙の晴れ舞台。そこからの電撃的発表が追い打ちをかける。高橋みなみが新設ポジション「総監督」に就任。2009年以来の大胆な「組閣」人事。前年に新設されたばかりの若手グループ TEAM 4 の解体。宮澤佐江SHN48 移籍、高城亜樹 JKT48 移籍など、海外まで射程距離に置いたシャッフルに、ファンもメンバー当事者も驚いた。

●その後のDVDシリーズはまだ見ていないが、AKB48 グループは波乱が常に巻き起こっている。峯岸みなみ「丸刈り謝罪」YouTube動画アップ騒動(詳しくはコチラの過去記事に書いた)。まさかの指原莉乃・選抜総選挙1位、そして「恋するフォーチュンクッキー」のメガヒット(詳しくはコチラの過去記事に書いた)と、同曲の「踊ってみた」動画の氾濫ぶり。前田敦子と双璧をなしたスーパーセンター大島優子の卒業。2014年全国握手会で起こったメンバーへの傷害事件。ライバルグループ・乃木坂46の台頭。新設姉妹グループ・NGT48の発足…。
●さらに今回の2日間公演で、AKB48に、新たな姉妹グループが創設されることが決まった。台湾・台北の TPE48、フィリピン・マニラの MNL48、タイ・バンコクの BNK48。海外進出…というかもうこれ「フォーマット販売」みたいなもんだろうか?ノウハウは日本由来でもメンバーはローカルなのだから。2020年東京オリンピックでは、AKB が日本の代表文化として開会式を盛り上げることになってしまうかも。そんで日本国内に限らずパンパシフィック規模で各国選抜メンバーが集合するとか。


●と、AKB48 の歴史を簡単におさらいした上で、実際の卒業公演を見る。
丁寧に一曲づつ聴いていきたい。会社の先輩が真顔で言ってたんだよね「AKBは歌詞がイイ!俺は本当にそう思う」45歳のオッサンが真顔で語る内容があるらしい。そこにもフォーカスを当ててみたい。
●さあ、これが "148.5cmの見た夢” の最果て。

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「思い出のほとんど」2012年
●一曲目は、アルバム「1830m」に収録された友情のバラード高橋前田敦子のデュエット曲だ。でここでいきなり前田敦子本人が登場。会場のどよめきがすごい。卒業から時間が経った前田敦子の表情は、現役時代のプレッシャーから解放されたリラックス感と大人の女性に成熟した落ち着きが身についていて、本来の持ち味だったはずの清潔な可憐さがにじみ出る。あの現役時代の「病み」具合は、いかにグループの中央にあり続けることが困難なことだったか、と感じさせる。そして高橋もその重圧からやっと解放されるのだ。

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「ヘビーローテーション」2010年
●このバラードのしんみりした気分をいきなり切り替えるのが、花道方面から駆け込んでくる大島優子大島だけでない、OGが続々ステージに登場。板野友美、篠田麻里子が参上する。「I WANT YOU, I NEED YOU, I LOVE YOU」周囲から頼られ、愛されていた高橋への明るいメッセージをかつての盟友たちが集いて歌う。

「ポニーテールとシュシュ」2010年
●さらにビッグヒットチューンを投入。季節外れのサマーナンバーだけど、熱い青春の日々の甘美さを振り返るには、サビのメロディがとても可憐でふさわしい。「ポニーテール揺らしながら 君が走る僕が走る 砂の上 ポニーテール揺らしながら 振り向いた君の笑顔 僕の夏が始まる」素敵な情景描写。ポニーテールは高橋のトレードマークだからね。

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「君はメロディー」2015年
●ここで「10周年記念シングル」でもある最新シングル。新世代エースの貫禄を備えつつある宮脇咲良センターの楽曲。なみいる古参やOGに負けないアイドルオーラを漂わせて宮脇自身もステージで歌う。この曲、ボクは好き。いつかは忘れられていくだろう流行歌のメロディに、いつか淡く切ない郷愁を感じるだろう感情を優しく歌う。「僕のメロディー メロディー サビだけを覚えてる 若さは切なく 輝いた日々が蘇るよ」それと、間奏のエレピのソロフレーズがいい。

「少女たちよ」2011年
●これが典型ヤンキー的な「気合と努力。夢と希望」ソング「ステージの片隅でもがき続ける 悔しさも空しさも青春の時 少女たちよ もうすぐ夜明けが来る 夢の未来はここから始まる 何もあきらめるな 悲しいことなんか すべて捨てて 全力で全力で走るんだ!」アルバム「ここにいたこと」の一曲目。高橋らしい、まっすぐな努力の賛歌。

●ここで一旦MC。高橋はこの公演で全曲に参加すると表明。「たかみな全部出ます。美味しいところだけじゃなくて、全部やりきります!」そして、ここからは、さらにクラシックな AKB 初期ナンバーが数々炸裂。

「PARTYが始まるよ」2005年劇場初出・2007年音源化
AKB劇場でのこけら落とし公演(第1期 TEAM A 初回公演)の一曲目がまさしくこの曲。つまり AKB48 の第一歩。そのパーティは10年が、たった今なおも継続中。この日のステージでは一番の新興グループ NGT48 高橋が歌う。このブロックは姉妹グループと高橋の共演がポイントとなっている。

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「会いたかった」2006年初出・2007年音源化
「会いにいけるアイドル」というグループ・コンセプトを象徴した初期の超名曲。「SET LIST〜グレイテストソングス 2006-2007〜」でも一曲目に収録されてる。ここでは AKB48 TEAM 8 と共演。「TEAM 8」とは、全国47都道府県を代表する形で各県から1名が選出されたチームで、全国各地へメンバー自身が動いていく「会いに行くアイドル」をコンセプトにしている。2014年から始動した新しい、より突っ込んだアプローチだ。

「制服が邪魔をする」2007年
この楽曲リリースあたりで、ボクはリアルタイムで AKB48 というグループを認知した。個人的には思い出深いかも。この曲もこの次のシングル「軽蔑していた愛情」もシリアスなタッチで AKB の中ではやや異色な印象が。だからこそ、リアルタイムで注目してしまったんだけどね。ステージでは HKT48高橋を囲む。兒玉遥&宮脇咲良、若きこのグループの2トップは目下どんどん進化中だ。

「背中から抱きしめて」2006年劇場初出・2007年音源化
●ここでは NMB48 と高橋の共演。山本彩の貫禄っぷりの一方、須藤凛々香がイントロで高橋にへんな絡み方をして実に意味不明。こうした残念なトコロも含め須藤には注目。こんな天然の彼女も NMB48 ではシングル「ドリアン少年」のセンターを務めた次世代エース候補の一人。楽曲は「会いたかった」と同時期の最初期ナンバー。

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「ONLY TODAY」2007年劇場初出・2013年音源化
松井珠理奈が率いる SKE48 が舞台花道に列を作って高橋を囲む。そして全員が高橋とハイタッチ。この曲はシングル「BINGO!」のカップリングだったのかな。ホーンアレンジとリズムにちょっとスカテイストの入った元気な曲。

「AKB48」2005年初出・2007年音源化
秋葉原の固有名詞を羅列する最初期のナンバー。「愛しの AKIBA は石丸・ソフマップ・オノデン・ロケット・サトームセン…」こんな曲もあったんだな知らなかった。合流したAKB メンバーが高橋お得意の決め台詞を叫ぶ!「努力は必ず報われる!」AKB ヤンキー主義炸裂!

「ひこうき雲」2009年
●ブレイク直前の名シングル「RIVER」のカップリング曲。「空にひこうき雲 白く棚引く線よ 誰の思いが残るの? 振り向く余裕もないまま… 時のひこうき雲 爪を立てたみたいに 細く生々しい傷跡 僕はぼんやりと眺めていた … 君は悲しみを見送っていた」初めて聴いた曲なのに、爽やかなメロディに繊細なリリックがセンチメンタルでよかった…。やっぱリリックの良さが無視できないよ、AKB&秋元康。

●ここでMCを挟んで…、一旦地味な選曲になっていく。

「愛しさのアクセル」2010年
●ここでは、高橋が、左右に3月末卒業の宮澤佐江とOG秋元才加を従えてパフォーマンス。なにしろ高身長の二人と、148.5cm の高橋ではオトナとコドモほどの差が開いてて…そもそも148.5cmって娘ヒヨコ中学二年生と同じだからね…チビ!でも、宮澤佐江、秋元才加、そして高橋三人とも実に男前。キレのある動きとレザー風の黒い衣装、手元のライトセイバーがクールだわ。ボク、秋元才加宮澤佐江も好きだったよ。サッパリとボーイッシュなタイプで、わざわざ困難を買って出る努力家のイメージがあったから。二人とも年齢を重ねて綺麗になったような気がする。

「BIRD」2006年劇場初出・2007年音源化
●続けて、SKE 松井珠理奈 & OG 篠田麻里子と組んでクール&ダークなロック歌謡を。背中に羽根をつけた衣装でゴステイスト。映画「ブラックスワン」を連想する。

「ガラスのI LOVE YOU」2006年劇場初出・2007年音源化
●タフな曲が続いたが、ここで打って変わって、スウィートなアイドルソングを。渡辺麻友、柏木由紀、板野友美が登場。現役古参兵と引退組の組み合わせが続くね。まゆゆゆきりんの80年代アイドル再生産イメージは確信的すぎる。特にまゆゆはサイボーグかと思うほど自己イメージをカッチリ規定し過ぎててコワイ。ツッコむスキがあるゆきりんの方がまだ生身の人間として感情移入できる。

「ヒグラシノコイ」2007年劇場初出・2013年音源化
●今度はNMB山本彩とのデュエット。昭和アイドルのジメリとした湿度を漂わす稀有な存在・山本彩の持ち味がよく出てる。アコギもエレキも駆使してパフォーマンスに取り込んだり、メガヒットとなった朝ドラ「あさが来た」の主題歌「365日の紙飛行機」でセンターを担うなど、ますます重要度が増している。彼女には今後も注目。なんだかんだで層が厚い AKB 一派。

「Bye Bye Bye」2007年劇場初出・2013年音源化
●うって変わって、思い切りバブルガムに振り切ったアイドルポップスを、王道清純アイドルとして成長する宮脇咲良と、邪道の遠回りが特殊な存在感を放つに至った指原莉乃が、高橋を挟んで歌う。ボクにとっては宮脇咲良ちゃん、Hulu配信のヤンキー格闘ドラマ「マジすか学園4」の主人公が初遭遇だったんだけど、やっぱあの根性喧嘩ヒロインは彼女に向かないよ!華奢な彼女にはもっとふさわしい立ち振る舞いがあるわ。この王道路線でスクスク育ってくれ!指原に関しては、バラエティの世界でウダウダ生きてってくれ。日本テレビ「今夜くらべてみました」のレギュラーっぷりはマジで見事だよ。

「純愛のクレッシェンド」2007年
●ここでは同じ事務所の盟友、そしてユニット・ノースリーブスのメンバーである、峯岸みなみと、小嶋陽菜と共演。高橋の卒業で、AKB第1期生はこの峯岸小嶋だけになる。

●その一期生と共に3人でMC。高橋がハケた後で、峯岸+こじはるがイジり倒す。愛おしいとか言っといて「へんな笑顔」をディスり倒す。10年のつきあいがなせるツッコミ。笑う。
●でここからまたビッグチューンが連発。

「BEGINNER」2010年
AKB がブレイクしていく中での重要な場面で繰り出されたシングル曲。イントロのビートとラップ風なニュアンスに、EDM が流行し始めた頃の洋楽ポップスのテイストを感じ取ってた。リリックはタフ、そして気合と努力とヤンキー主義的な向こう見ず。「僕らは夢見ているか 未来を信じているか 支配された鎖は引きちぎろう 僕らは夢見ているか 未来を信じているか 怖いもの知らず 身の程知らず 無鉄砲のまま」

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「RIVER」2009年
●これも同じ路線の気合と努力のヤンキー主義「君の眼の前に川が流れる 広く大きな川だ 暗く深くても流れ早くても 怯えなくていい 離れていても 向こう岸はある もっと自分を信じろよ 闇の中をひたすら泳げ!振り返るな!」まさしく名曲。ある意味で実に AKB 的だと思う。ストンプなイントロが雄々しくて、ミリタリー風の衣装もタフ。このへんに JANET JACKSON「RHYTHM NATION 1814」の雰囲気嗅ぎ取ってしまう。前田・篠田・大島・板野・秋元とOGも合流してキメる。

●「夕陽を見ているか?」2007年
同じ路線の気合と努力のヤンキー主義と表裏一体にある「慰めの自己肯定」ソングを優しく柔らかに歌う。「それなりの今日が終わり すべてリセットする夜が来るよ 家路を急ぐ君は一人きり どうして自分のことを誉めてあげないのか ねえちゃんとみてあげようよ 君が君らしく生きてること」ミリタリーの衣装を脱ぎ捨てると、真っ赤なギンガムチェックの衣装が出てくる。兒玉遥、宮脇咲良、島崎遥香、次世代エース候補も合流。

●で、ここでMC。特報として、高橋みなみソロアルバム今秋発売が発表されるとな。楽曲提供は、元プリプリ岸谷香THE ALFEE 高見沢俊彦槇原敬之。なんか本気だな…。彼女は本来シンガー志向なので、なんか、よかったね。うーん、でもボクは聴くかなあ?

「愛の存在」2015年
●アルバム「ここがロドスだ、ここで跳べ!」収録曲。ここからラストスパートで加速!「夢をあきらめたくない 輝いている未来 10年後の僕らへと叫ぶ」10年前の AKB はこんな未来を想像してたかな?そして10年後はどうなっているのかな?

「フライングゲット」2011年
●言わずと知れたビッグヒット。横浜スタジアムの特大ステージを埋める200人の少女たち。あまりに大勢で誰が誰だか全然わからない。生中継配信には絶対映らない場所で一生懸命踊ってる子もいるんだろう。「機動戦士ガンダム」に喩えれば最終決戦のア・バオア・クーみたいだ。アムロとシャアの激闘を描きながらも、その背景で多くの無名戦士が星の藻屑に消えていく。大量生産型のザクやジムが人知れず戦って散っていく。寒風吹きすさぶスタジアムで白い息を吐きながら、気合と努力と夢と希望のために頑張ってる女の子。搾取と指さされるギリギリの崖っぷちに成り立つアイドルのファンタジー。そんな虚しさすら感じるよ。

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「重力シンパシー」2012年
●この曲は、京楽産業「CRぱちんこAKB48」のために書き下ろされたオリジナル楽曲の一つ。この曲をリード楽曲にして公演を成り立たせる数の12曲がわざわざ書き下ろされたとな。そしてこの公演に関係する全16曲が全部シングルカットされたとな。パチンコ産業すごい!

「言い訳 MAYBE」2009年
AKBクラシックにふさわしい1曲。「MAYBE MAYBE 好きなのかもしれない」決して叶わぬ恋愛ファンタジー。会いに行けても、握手ができても、リアルでは絶対に踏み込んではいけない恋愛領域。

「EVERYDAY、カチューシャ」2011年
●ビッグチューン!娘ヒヨコに言わせればカチューシャはこめかみ痛くなるだけのナンセンスなアクセサリーらしいが、この歌はそのカチューシャを外した解放感と恋愛のトキメキを歌ってるんだよ。

「大声ダイヤモンド」2008年
●これも文句無しのAKBクラシックだねー。「大好きだ 君が大好きだ 僕は全力で走る 勇気を出して言おうよ 黙っていちゃそのままさ 恥ずかしくなんてないんだ 好きって言葉は最高さ 好きって言葉は最高さ 好きって言葉は最高さ」弱いキミへの全肯定ソング。まず、ここから始まれ。

●終盤MCで、後継者・横山由依ちゃんとトーク。高橋は熱いらしいけど他全員は極寒だわ。なのに高橋「ゆいちゃんハナミズでてるよ」慌てる横山「ゆいちゃんハナミズ手でふいた」「ゆいちゃんその手を衣装でふいた」ゆいちゃんイジメんなよー!頑張って仕切ってるんだから!オモシロイこと言おうって精一杯なんだから!この子のヤリ切れない感じが不安な一方で、めっちゃ応援したくなる。ちなみにオモシロイところは全部指原に持ってかれた。

ゆいちゃんハナミズ

(ハナミズつっこまれて、キョドるゆいちゃん。愛おしいわー。)

「唇に BE MY BABY」2015年
高橋自身がセンターを務める彼女のラストシングル。と思いきや、しみったれた感傷なんてゼロの、ウブな恋愛ファンタジーソングでした。でも、卒業する彼女にとっちゃ、恋愛はもう解禁だからノビノビとラブラブキスキスを謳歌してください。

「楽しかった!私まだまだやれる!あと二倍いける!」高橋みなみまじパワフル。ここで一旦ハケて…アンコールへ。

「背中言葉」2016年
●VTRで過去のフッテージが流れて、しんみりモードの幕開け。ピンで登場した高橋の涙のスピーチを経て、ラストシングル「唇に BE MY BABY」タイプDだけに収録されてるカップリングソングへ。この曲が直球の高橋みなみ卒業ソング。「一歩目を踏み出して初めて気がついたよ 隣に誰もいない 私だけ一人きり みんなとは別の道 旅立ちの順番が来てしまった」これに応えてメンバーたちからは「いつだってその後をついてきただけだった 頼りっぱなしでごめんね 本当はあなただって泣きたかったのでしょう」振り向けば去り難くなるから、生き様で伝えるメッセージ、それが「背中言葉」。どれだけ彼女が太い存在だったか。しかも背中でモノ語っちゃうって半端じゃないよね。任侠だよね。舞台と衣装にプロジェクションマッピングを照射して、小林幸子ばりの巨大ドレスを作る演出も秀逸。

桜の木になろう

「桜の木になろう」2011年
AKB にはをテーマにした歌が多いよね…「桜の栞」「10年桜」「桜、みんなで食べた」 HKT か。つまりは卒業ソングが多いんだよね。この歌詞の主体は、卒業していくものをこの場所に残って見送るスタンス。メンバーとOGが高橋を囲んで歌う。「永遠の桜の木になろう そう僕はここから動かないよ もし君が心の道に迷っても 愛の場所がわかるように立っている」

桜の花びらたち

「桜の花びらたち」2005年劇場初出・2006年音源化
●そしてこれが最後の曲。この曲は AKB48 にとってインディーズ時代含めて一番最初の音源。そして高橋みなみが単独センターの楽曲。学校のチャイムが響いてきて、このチャイムのフレーズを基調に、卒業式の情景を感情たっぷりに歌う曲。「涙の花びらがはらはら 思い出のその分だけ美しく 目の前の大人の階段 一緒に登って手を振ろう」 チャイムが無限ループで鳴り響く中、主要メンバー一人一人に言葉をかける高橋…その様子はPAされず音は伝わらない。きっと鬼軍曹だったんだろうなあ、姉御というより兄貴っぷりがスゴイよ。「桜の花びらたちが咲く頃 どこかで希望の鐘が鳴り響く 私たちに明日の自由と勇気をくれるわ」

高橋みなみ、退場。コンサートの締めMCは、新「総監督」横山由依ちゃんの健気で真面目な挨拶でした。重ね重ね頑張ってね、ゆいちゃん。主役のたかみななんかより、君のことの方が100倍好きになっちゃったよ。


30曲近いほどの AKB ナンバーを真剣に聴くのは、やっぱ大変だったけど、いろいろ得るものもあったかな。
●音楽に仕込まれたデティールとギミックや奇妙な逸話に引っかかってる音楽マニアのボクには、今まで淡白にしか聴こえなかった AKB の音楽。でも、一般のリスナーの人はそんなもんどーでもいいんだよね。リスナー自身の生活の節目節目にそっと寄り添うメッセージとメロディがきちんと響くこと。それがポップスには一番重要。これに加えて、シンガーの個人史がこれに結びつくとより一層ドラマチックになるよね。それがよーくわかりました。
●あと、「WIKIPEDIA」ならぬ「エケペディア」というサイトがあるのね。ボクは AKB のことなんて全然わからんから、このサイトの詳しい情報にはお世話になりました。


●参考音源集。

「SET LIST 〜グレイテストソングス 2006-2007〜」

AKB48「SET LIST 〜グレイテストソングス 2006-2007〜」2006〜2007年
●初期すぎて、顔が若すぎて、でとにかくみんな辞めまくって、誰が誰だかわからない。中野のアイドルショップ TRIO で買ったんだっけかなあ?

AKB48「神曲たち」

AKB48「神曲たち」2008〜2010年
●これは下北沢ディスクユニオンで買ったのかな?初めて買った AKB の音源かもしれない。「神曲」ってフレーズに、これまた上手いなあ、と唸った覚えがあるよ。

AKB48「ここにいたこと」

AKB48「ここにいたこと」2010〜2011年
●こっちと下の「1830m」は、DORAMA CD/DVD/ゲーム店でまとめ買い。中古半額セールだったから買ったんだけど、今回初めて真面目に聴いたね。

AKB48「1830m」

AKB48「1830m」2011〜2012年
●結局、前田あっちゃん在籍時代しかアルバム持ってないんだな。研究が足らないなあ。この後のアルバムも買わないとな。あ、あと乃木坂46の音源が欲しいのに、全然値崩れしないんだわ。今一番いい感じだと思うんだよね。

AKB48「君はメロディー(劇場版)」

AKB48「君はメロディー(劇場版)」2016年
●このシングル、全部で6タイプもあって全部収録曲が微妙に違うのです…で、この「劇場版」に収録されているカップリング曲に注目。「M.T.に捧ぐ」って曲が、横山 TEAM A のパフォーマンスで収録されてるんです。「M.T.」って、ズバリみなみ高橋でしょ。「あの日遠い場所で見てきた彼女はこんな坂道を登っていたのか つらい急斜面 その先も見えず 石ころだらけの歩きにくい日々を…」最後のフレーズは「あなたから いつか褒められたい」

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●そこまで尊敬されてる人の、このシャツが大好き。「リボンバカ」。


●それとね… GYAO のライブ配信は画質・音質ともに不安定で、ちょっと不満。アーカイブになったら安定してるのはもう当たり前。動画配信サービスはここからもっと洗練されていくはずだよ。コンサートとスポーツはライブが命。ここに大きな商機があると思う。


●アホみたいな内容に、すげえ時間かけた…。不毛…。