下北沢ディスクユニオンに、きれいな金髪の外国人女性さんがスタッフに加わった。
●普通にレジで接客してくれるので、全然違和感ない。日本語の発音も丁寧。
●ロック大好きっぽい模様で、結果服装も他の店員さんと同じラフで無造作なテイスト。
●だけど、スッと整った鼻筋や青い瞳は、素朴にハッとしちゃうよね。
●また、レコ屋歩き〜シモキタ歩きが楽しくなっちゃうよ。


資格取得のための一ヶ月セミナーが始まって。
そのセミナーの後は必ず飲み会となっております。
●これが見事な異業種交流会。大手メーカーさんからアニメ制作会社、ITサービス、印刷、出版、医療、ゲーム制作、コンサルなどなど、面白すぎるメンバーと楽しくお話が盛り上がるのです。講師の先生も時には合流。コンテンツ海外輸出の当事者や、大手マーケティング会社の幹部、コンサル大手や知財系弁護士の先生まで登場します。
平均年齢は40歳代真ん中。このタイミングでわざわざ大金かけて勉強するって「意識高い系」だよね。頑張りすぎてる学生さんを揶揄する言葉になってる「意識高い系」だけど、別に若い連中に限ったコトじゃないコトが分かる。
●ただ、それぞれの現場で中堅〜それ以上の立場を持ちながら、現状への危機感や状況打破の意思を持ってる人の言葉はマジ面白い。業界のイビツっぷりや、外から見えない奇妙な商慣習とかがいっぱいあって、そこに拘泥しながら何かしなくちゃヤベエって動機でこの場所にきてる。この人脈、大切にしたい。
講義の内容も、今のボクの仕事に直結しててヒリヒリするほど。この前の講義では、ライセンス契約書のサンプルが配られて、問題点を指摘しろって言われたんだけど、コレ今年からボク毎日会社でこんな仕事してるもんね。ボクがやるのは定型契約の期間延長や基本契約書の確認みたいな簡単なヤツばっかなんだけど「いつもと違うぜ!」という違和感だけで問題点は察知できる。で、そこからその契約の意味の講義をたっぷり聞かされる。あーそんな意味のお話だったんですかー!初めて自分の日々の仕事の意味が分かる。点と点として散らばってた仕事の中身が体系化されて脳ミソにインストールされる。目からウロコ!
ただ問題なのは、ここで得た知識を会社でどうやって役立てるか?全然わかってないこと。会社に受講費援助を申し立てた時も「は?」ってリアクションだったので、資格の名前だけじゃ何のメリットもない。と思ってたら、飲み会でのカミングアウトで、受講者全員が同じコト思ってました。しかしそれでもやるのは「何が何だか分からないけど、今は何もしないよりマシ!」ってコトに尽きるのです。


●この前、飯田橋で大学時代以来の旧友と会って、楽しい会話をしたんだけど。
●昔からの音楽仲間とあって「最近ナニ聴いてる?」って質問があったんですよ。
●で、「うーん、KAT-TUN 聴いてる、ヒムロックつながりで」と答えたら、めちゃ当惑されました。
●これはヤバイ。前々からわかってはいたけど、何が自分のコア嗜好なのか完全に見失ってる。客観的にもハッキリしました。
●という事で、もう一回自分の内面に深くセンサーを下ろして、重要な音源を探知する。


ストリクトリー・ヒップホップ!
●ブログに書きやすい音楽と書きにくい音楽があるのです。ボクから距離がある方が客観的に把握できるので書きやすい。でも、客観視が難しい音楽は、どんなに好きでも書けないのです。本来は大好きでクールと思っている厳密なタイプのヒップホップは、書きづらい!でもソコに今日は挑む。

DEAD PREZ「LETS GET FREE」

DEAD PREZ「LET'S GET FREE」2000年
●ニューヨーク出身の二人組ユニット、シリアスなコンシャスネスがヒシヒシ伝わって来る彼らのデビュー盤です。「I'M A AFRICAN ! I'M A AFRICAN !」のリフラインだけで、自分たちの血への高い誇りでコチラの胸まで熱く揺さぶられます。曲名も「POLICE STATE」「WE WANT FREEDOM」「IT'S BIGGER THAN HIP-HOP」などなどアジテイショナブルなワードがいっぱい。安易な客演も、シンガーすらもほとんど入れずに、実直なトラックをひたすらループさせて二本マイクのラップだけでテンションを上げていくド根性。
●1990年代後半から活動を始めた彼らは、BRAND NUBIAN BIG PUN、THE BEATNUTS らニューヨークのストリクリーなトラックメイキングの時代を活躍した人脈に関係して世に出たとのこと。が故の硬く熱いトラックが作れるのかと納得。

FIVE DEEZ「KOMMUNICATOR」

FIVE DEEZ「KOMMUNICATOR」2006年
●こちらはオハイオ州シンシナティ出身の4人組ユニット。こちらも硬派でクールなラップと複数マイクのリレーっぷりが実にストリクトリーなヒップホップ。加えて、硬質なトラックが微妙にアブストラクトなアトモスフィアを醸し出しており、どこかヒンヤリしたテクノ気分が奇妙な浮遊感を演出している。アブスクトラクトなアプローチつながりで、今は亡き日本の伝説的トラックメイカー NUJABES との共演歴があったりも。ジャジーな質感やメロウネスにハマる人にもイイ感じかものフューチャーファンク。高速ビートを駆るスキルフルなオールドスクール風味もあるよ。

ANTI-POP CONSORTIUM「FLUIRESCENT BLACK」

ANTIPOP CONSORTIUM「FLUIRESCENT BLACK」2009年
●2002年発表のアルバム「ARRHYTHMIA」が英テクノ名門レーベルの WARP からリリースされてて、そんで再結成盤に当たるコレがやはり英国アングラヒップホップの牙城 BIG DADA からのリリース。ということでわかるように、彼らのトラックはSF的なほどフューチャリスティック(今回はジャケもね)。だけど、その硬質で異形のトラックを3本マイクリレーの濃厚なファンクネスで見事なヒップホップに仕上げる。どうしても硬質すぎるトラックだけど、キックの打撃は重くて太くてファンキーつまり至上の快楽。ニューヨークの4人組。メンバーの一人はミキシングエンジニア専任、だけどなんだかリーダー格ってのもユニークな連中。今回は時々ミクスチャーロックも入ってくるねえ。

COUNT BASS-D「BEGBORROWSTEEL」

COUNT BASS-D「BEGBORROWSTEEL」2004年
●まさしく、ビッグバンドジャズの巨人、COUNT BASSIE の名前をモジッたステージネームだよね。ブロンクス生まれだけど今の拠点はアトランタという、ラッパー兼プロデューサー兼マルチ演奏家。たった一人でジャズバンド的表現を作り出すこともできる才人だそうな。そんな彼が日本の個性的なジャズヒップホップレーベル JAZZY SPORT からリリースしたアルバムがこれ。インタールードのような一曲1分前後の短い楽曲をパッチワークのように繋ぎ合わせて、不思議なヒップホップ・コラージュの世界を構築してる。ジャジーとも言えるけど、メロウネスにチルアウトというよりユーモアあふれる遊びゴコロに弾む感じ。

ELIGH Poltergeist

ELIGH「POLTERGEIST」2003年
カリフォルニアのアングラ・ヒップホップを代表する存在であるクルー LIVING LEGENDS の一員。しかし正直、この LIVING LEGENDS という連中の存在がボクにはあまりよく分かってないので、ここは研究を今後進めるべき領域。どうやら6名ほどの構成員(脱退とかで時期に応じて変わってる)が、それぞれで複雑にユニットを組んだりソロ活動してたりしてるよう。しかも完全自主流通にこだわってるようでメジャーに浮上しない!だから、なんだか全容がつかめない。
●この ELIGH という男は、LIVING LEGENDS 結成時からのメンバーで、ラッパー兼トラックメイカーを務めている。その他、3 MELANCHOLY GYPSYS とか THE GROUCH & ELIGH とかの名義で活動、そんで本作のようなソロ作品も数々リリース。その活動は90年代まで遡るけど、なにぶんマジでアングラなので流通が細く、音源を滅多に見かけない。かつて盟友であったラッパー MURS の音源は結構前にまとめてゲットできた(アメリカから取り寄せた)のだけど、これは日本盤が出てる稀有な物件だったんでソコから入手。
●で、タイトルが「ポルターガイスト」ですから、景気がイイ内容ではあるはずがなくて。しかしオドロオドロしい演出たっぷりのホラーコアってほど不気味でもない。どこかスカスカした印象の軽いトラックに、異常にスキルフルなラップがスムースに溶け込む不思議空間。霊感が強い人にとっては日常になってる鋭敏な感受性が、目先の派手さをストイックに避けて研ぎ澄ましたヒップホップを組み上げた、というべきか。まさしくストリクトリーな姿勢が硬派すぎる。

●一口で言えば、今日の音源はみんな地味。どの曲を聴いても全部同じに聴こえるかも。
●でもヒップホップというフォーマットに真剣。だから面白い。聴き飽きない。


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氷室京介「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」。事実上の引退宣言なのかな。

氷室京介LAST

●SNS上では、大勢の知人が東京ドーム公演に参戦してた。ちょっと羨ましいなあー。
●猛烈なファンを公言してた人はもちろん、え?あなたもヒムロックファンだったっけ?な人までが参加。でもしょうがない。80年代後半に思春期を通過した日本人は全員、何らかの形で BOOWY ヒムロックを通過したのだから。このヒムロックが下した自分のキャリアへの決着と、それに伴う祝祭を通じて、誰もが自分の青春に決着をつける権利がある。
●もう書斎派のリスナーとなって久しいボクは、おとなしくネットニュースでこの祝祭の様子を思うばかり。ただ、Huluでヒムロック関連の独自プログラムが近日用意されてるらしいので、ひとまずそれを楽しみにしよう。


KAT-TUN「KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES」

KAT-TUN「KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES」2008年
●そのヒムロックから、なぜ突然 KAT-TUN なのか?この落差!不真面目にも思える転換!でも理由があります。このアルバムに収録されてるシングル曲「KEEP THE FAITH」は、ヒムロックが作詞作曲を手掛けた楽曲なのですよ。この2008年前後のヒムロックは活動がほぼ停止してて……そこに来て、ジャニーズの売れっ子グループに楽曲提供というニュースが入った時は、とても嬉しかった!今となっては3人しか残っていない KAT-TUN もまだこの時期は誰もトラブルを起こすことなくキチンと6人組。ただ、ジャニーズのグループには珍しいヤンチャな悪ガキキャラが異色だったから、ヒムロックの楽曲も馴染むのかな、と思ったよ。
●さて、「KEEP THE FAITH」。スリリングなビートロックとソリッドなギターが印象的。「一人じゃ明日見失うから 派手に叫ぶのさ KEEP THE FAITH 敵なし不可能もなし 飛ばすぜ燃え上がれ本能 つまらねえ毎日抜け出すぜ 固い約束さ KEEP THE FAITH 夢見て 倒れて立ち上がれ 全て賭けるのさ KEEP THE FAITH」……一発勝負に全てを賭けろ。もし失敗しても決して諦めるな。 お前の本能だけを信じろ。ヒムロックが一貫してボクらにアティテュードで示してきたロックのあり方を、このジャニーズ楽曲にも手加減なく投入してる。やっぱり若い KAT-TUN メンバーのボーカルは線が細いけど、彼らの声を通じて、ヒムロックがあの艶めいたボーカルでこの楽曲をセルフカバーする様子を妄想する。そんな風に聴いてたよ。いつも通りこのCDも100円で採取。100円でここまでイイ気持ちになれるって幸せ。

●で、その後結局、ヒムロックは、何かのベスト盤で実際にこの曲をセルフカバーしました。なんだけど、その音源はまだボクは入手できてない。GLAY HISASHI がギターを担当してるとな。そういえば、GLAY とヒムロックのコラボ曲「ANSWER」もまだちゃんと聴いてないな、探さないと!





ボイスパーカッション担当中丸雄一くんは、ジャニーズ全体から自分を差別化するためにボイパを習得したと、どっかで語ってた。とっても真面目!自分の立場に客観的!
●日曜日の朝番組「シューイチ」でいつも中山秀征さんにツッコマれてるゆとり世代の中丸雄一くんは、今なおサバイブしてる KAT-TUN の残存メンバー。あの番組を見る限りの雰囲気では、当初の悪ガキイメージとは無縁な、シャイで真面目で物腰優しい好青年ってのが彼の本質なんだなーと勝手に思う。無理に作るキャラは長持ちしない。中山ヒデさんにいじられるようになって、彼は素の自分で仕事ができるようになったんだろう。よかったね。



この前、吉祥寺で買い物した。
●あまりに人がゴミゴミするようになってしまって、とんと縁が薄くなってたんだけど。
●ワイフと二人で井之頭公園方向(いせやの方ね…いせやも小洒落たお店になったんだねービックリした)に行ってみたら、ちょっとした古着屋地帯になってた。へー。TAKEO KIKUCHI のシャツ900円で買えたりしちゃった。冷静に考えると下北沢と同じ店がメインだったような… RAG TAG NEW YORK JOE仲屋むげん堂は高円寺か。
●レコ屋 RARE 吉祥寺店がまだ生き残っててビックリした。てっきり潰れてると思ってた。近所にあった名店 WARZAWA は数年前に滅びたからね。この南口のクソ狭いバス通りには古い店が案外生き残ってるんだね。吉祥寺古本センターという、最低限25年は続いている古本屋も健在だった…在庫の半分はエロ関係ってのも昔と変わらず。でもイイ本が安値で出てたのでよくチェックしてたんだ。今回は90年代UKロックの本を買ったよ。

●そんな UKロックの本を読んだから。
●こんな音楽を聴いてます。ウェールズ出身のロックバンドでサイケな癒しを。

SUPER FURRY ANIMALS「PHANTOM POWER」

SUPER FURRY ANIMALS「PHANTOM POWER」2003年
このCDを買って7年は平気で経過してるんだけど、今週初めてちゃんと聴いてる。実はボクには、普段から膨大な量のCDを買ってるくせに、買った瞬間から買ったことを忘れる、または聴く気にならないので放っておく、という致命的な悪習がある。だから平気で5〜6年くらい放置しっぱなしの音源がたっぷり溜まってるのだ。気の毒にこのバンドもそんな扱いを受けてた…一瞬だけプレイヤーに置いたんだけど、一瞬だけ聴いて放置!だって期待ハズレだったんだもん。このアルバムがリリースされた2003年という時代の前後は、ガレージロック・リバイバルの最盛期で、性急なギターロックがバリバリの緊張感を放って疾走してたはず。THE STROKES、THE LIBERTINES ARCTIC MONKEYS、FRANZ FERDINANDO とかが大活躍してたはず。なのに、この音楽、全然疾走してません。モタ〜っとしてる。ガッカリ。
●違う違う、このバンドはそうやって取り扱うモノではない。彼らは1995年のデビュー、まさしくブリットポップの狂騒とその終息の流れから生まれてきたBLUR が分裂し PULP が機能停止する黄昏の時期。しかもイギリスの辺境地域、ウェールズから登場したバンド。まだ聴いたことないんだけど、ウェールズ語だけのアルバムを作ったりと自分たちのアイデンティティにはかなり意識的。それがロンドンの流行にホイホイついていくだろうか。彼らは独自の世界をコンコンと深く掘り下げていったのだ。
●結果的にココで鳴ってる音楽は、ホッコリしたサイケ風味のフォークロック。どこか枯れ寂びた感じは、アイドルバンドでいられなくなった時期の BLUR を連想させる。またはメロウサイドに入った BECK とも言えるかも。けれども悲観的というわけではない…ベースには粘る実直なグルーヴがあって、腰の強さがしっかりファンキーだ。メロディは地味にボソボソ脱力しているようでチャーミングな甘さが耳に優しい。それとなく仕込まれたオルガンやコーラスハーモニーが鮮やかな色彩を放つ。
●そしてもう一つ大事なコト。7年も放置してると、買ったボク自身が変化してる。音源に向き合う前提が変わってる。今なら彼らの成熟したポップスセンスをシミジミ楽しむことができる。ああ、この控えめな甘美さにいつまでも浸っていたいなあ。

SUPER FURRY ANIMALS「HEY VENUS !」

SUPER FURRY ANIMALS「HEY VENUS !」2007年
ジャケットが強烈。強烈にサイケ。ハッと思う人は多いでしょう。このジャケのデザイナーは田名網敬一氏。1960年代から活躍するアーティストで、サイケデリックな色彩とポップアートなアプローチで世界的に評価されている人物。1990年代に再評価されて SUPERCAR のジャケをデザインしたりもしてる。生ける伝説だ。このケバケバしいジャケに劣らぬエネルギッシュな音楽を、このアルバムでバンドは鳴らしている。
●とはいえ、スピードやささくれたギターやシャウトですっ飛ばしていくスタイルとはやっぱり無縁。モゴモゴしててよく聴こえないボーカル(おまけにウェールズ訛りがスゴイって話もある…ボクにはワカランけど)、でも甘く優しいメロディ、丁寧に折り重なったバンドサウンドが、サイケデリックな眩惑感を醸し出し、不思議な夢の旅にボクを連れて行ってくれる。小難しい表現は何もない。3分前後で完結する見事なポップスが THE BEATLES、THE BEACH BOYS ら偉大な先人すら想起させる。

STEREOPHONICS「DECADE IN THE SUN」

STEREOPHONICS「DECADE IN THE SUN」1997〜2008年
●こちらもウェールズ出身のバンド。デビュー10年目のベストアルバム。こっちは、ストレートに骨太なロックをドスーンと鳴らしている王道のロックバンドだね。OASIS タイプのゴツいブリットポップがじわり成熟していく様子が10年分の変遷で見て取れる内容。

●スコットランドやアイルランドに比べて、ウェールズってそんなに意識してこなかった土地。でも結構イロイロなバンドがいるし、ユニークな地域文化がそこに現れているような気がする。
●90年代初頭に鮮烈な登場をして(ファーストアルバムを即座に一位にしてすぐ解散してやる!と公言→結局解散しない)、今や大御所になってる MANIC STREET PREACHERSSUPER FURRY ANIMALSSTEREOPHONICS と同世代で、ポストロック経由のフォーキーなアプローチが美しい THE BETA BAND。紅一点のボーカルがカリスマティックだった CATATONIA。後はちゃんと聴いたことないんだけど、65FT DOLLS FEEDER、DUB WAR、もろウェールズ語な感じのバンド名だけど、GORKY'S ZYGOTIC MYNCI。このへんが90年代には日本にも紹介されてた。このへんも注目して今後開拓したいなあ。あ、80年代モノだと YOUNG MARBLE GIANTSTHE ALARM もウェールズなんだーへー。もっと最近のバンドになると LOSTPROPHETS、LOS CAMPESINOS ! とかかな。
●英語版WIKIで調べると奇妙な綴りのバンドがいっぱいいるみたい。YR ANHREFN、MIDASUNO、Y NIWL、SIBRYDION、ZABRINSKI とかとか。摩訶不思議な土地みたいでなんか魅力的。




東京都美術館「生誕300年記念 若冲展」。
●にこの前のGWに行ってきました。スッゲー混んでた。

若冲展1

若冲展2

奇想の画家、伊藤若冲。1716〜1800年。
既存の画壇や流派に深く関与することなく、たった一人で異色の絵画を描き続けた作家。元来は京都の青物問屋に生まれその商売を引き継ぐも、40歳には隠居して画道に専念。異端ながら創意工夫溢れた超絶技巧やトリッキーな画風が鮮烈。85歳で亡くなるまで精力的に制作に勤しむ。
●ボクがこの江戸時代の画家を知ったのは、村上隆「スーパーフラット」2000年がキッカケだ。現代作家としての自己の存在を、古典日本美術史〜東洋美術史のコンテクストに接続するこのステートメントは、海外アートマーケットの中で自分の価値を分かりやすくプロモーションするロジックとして機能して彼を世界的な作家にするキッカケになった。
●その一方でこの「スーパーフラット」は、日本人としてのボク自身が現代感覚から自国の古典美術と分断してしまっていたことを自覚反省させ、それを村上隆&伊藤若冲というメインストリームとは言えない異端者を経由させた上で価値化し、歴史の流れと繋がりを認識させてくれた。まさに目からウロコの体験だった…。ここをキッカケに、ボクは若冲から琳派、狩野派、浮世絵、明治時代の日本画、禅美術と茶の湯文化、平安絵巻物の系譜、白鳳天平の仏教美術、日本刀などなどまでに出会うことが出来た。これがそのまま20〜21世紀のマンガやアニメ、ゲーム、サブカルチャー全般同列で見通す感覚って痛快だよ。

オマケに、この若冲を、娘ヒヨコ中学二年生が見たいと言い出した。
「真田丸」の直後に始まる「NHKスペシャル」を続けて見てしまう習慣が最近ウチのテレビに備わってしまって。そこで「伊藤若冲」の特集を2回にわたって紹介してた。そしたらヒヨコが舞い上がって、ホンモノ見たい見たいと大騒ぎヒヨコは動物が好きなのだ。写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」に行ったのも同じ動機だ。カワイイ動物をいつまでも愛でていたいのだ。最近はこれに植物まで加わって。中学で華道部やってる延長で、いつの間にかウチの庭に植木鉢がいっぱい登場して色々な花が咲くようになった。最近はハイビスカスまで咲いてる…潰れちゃった近所の花屋さんが片付けしてる様子をじーっと眺めてたら、お店のお姉さんがハイビスカスの鉢植えを恵んでくれたという。全部の植物に個別の名前がついてるんだよ…確かアサガオシーちゃんだったかな。

●ということで、いざ出撃してみたら、ハイパー混んでる。
●twitter で現場の様子を探ってみると、入場に平気で2時間以上とか言ってる。これに加えて券売は別に並ぶ。マジかよ。しょうがないので開場一時間前に上野へ行ったよ…それでも1000人くらいの行列ができてた。中に入ってもシンドイ。展覧会だってのにライブハウスのモッシュピットみたいに文字通りの押し合いへし合いをするとは。後ろからガンガンに押されるし、押さないと全然前に進めない。環境は最悪だった。「NHKでやってたのと同じねー」というオバさんたち…テレビ番組の内容を再確認する程度だったらもう現場こないでいいよ、テレビで十分じゃん。

●とはいえど、やっぱ若冲はすごかった。
●今回の目玉は宮内庁が所有している30幅の連作「動植綵絵」「釈迦三尊像」と共に京都・相国寺に寄進された作品で、この制作に若冲は10年の時間をかけている。あまりの立派さに、江戸時代でも年に一度の特別公開を行って大勢の人が集まってたみたい。

●微細な筆致やグラデーションを効果的にするために、紙の表から普通に描いた上で、同じくらいの手間をかけて紙の裏側から同じ絵を描くほどの勢いで彩色してるという。その筆使いには迷いがなくて、描き直しも見当たらない。動植物の観察もすごく丁寧でリアル過ぎる。博物図鑑のスケッチのように羽根の模様、めしべの本数まで正確に描いているよう。地の画力の高さと創意工夫のテクニックが盛り込まれている。大好きなニワトリたちは何回も登場するが、その重厚な鮮やかさでドッシリ安定しているかと見せかけて、一瞬しか成り立ちえないようなヘンな姿勢を、超スローモーション、またはストップモーションのように切り取っている。

●その一方で、若冲リアリズムとは逆方向のグラフィカルなデザインセンスも発動しててビックリ。アジサイの花びらを鮮やかな青タイルのようにリズムを持って配置したり。背景のはずの山葡萄?の、プチプチしたツブツブを画面の主役にすべく高明度で押し出したり。一方で本当に背景扱いの松はその針葉が限界まで単純化されてたり。梅の花を描くようでいて、実は花びらはすごく単純化されてて花のめしべの構造ばかりに注意が偏ってるとか。鳥たちの羽根模様は写実主義では括れないリズムで支配されてて、いつまでも見飽きない…。

●あの有名な、画面をモザイクタイルのように分解した「樹花鳥獣図屏風」の展示もあった!これ大好き!本物見られて本当に嬉しい!このモザイクタイル処理が若冲グラフィックデザイン的最前衛アプローチだろうが、ここでは動物たちがアニメキャラ級にデフォルメされてて実にカワイイ。コンセプト先行じゃなくて細部までにユーモアとデザイン思考が浸透してることがわかって、より一層この絵が好きになった。

安定しすぎてる背景と主題の関係に、一つ要素をワザと差し込んでバランスを崩すことで軽やかさを演出するのも鮮やかなセンス。鳳凰の絵でもハート型の赤い羽根に対して一枚だけグリーンを混ぜたりする。松と白いオウムで十分成立している画面に、後から無理に描き足したようにこれまた明るいエメラルドグリーンの小鳥(これまた舶来の?)を入れる。着陸寸前のスズメの群れにワザと純白のアルビノを混ぜたのも見事だが、そこに気をとられると見過ごすのがスズメの視線。着陸寸前とあって数十匹の姿勢は全員同じと見せかけて、一部のスズメは微妙に首の向きを傾けて眼下の粟畑のゴチソウを狙ってる。画面の隅にミミズとアリの群れ。ドラマが満載。

●でも彼は人物画にはまるで興味がなかったようで、お釈迦様やだるま様は別に置いておいて、それ以外は「売茶翁」という人物しか展示がない。この「売茶翁」が、彼の画風/世界観に大きな影響をもたらした人物らしいのだけど。京の名門豪商に生まれながら、酒もタバコも芸事も、結婚もしなかった若冲は、2年間も行方をくらまして丹波地方山中に引きこもったこともあるくらいだから、よっぽどの人嫌いみたい。しかしこの「売茶翁」の肖像を見る限り、この人なら頑なな若冲のハートにも忍び込むだろう、と思えるユニークな人物だったんだろうと思える。容貌がすでに動物っぽいし。ヤマネコの妖怪が化けてますと言われたら信じる。

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ヒヨコ「今は若冲とたわむれてたいんだよー!」
●基本的にはモッシュピットほどのクソ混雑でウンザリしたボクは、いつもなら無駄遣いスポットのミュージアムショップもスキップしてとても疲労コンパイ不機嫌だったが、ヒヨコは小柄なのでスイスイと好きな絵の前まで入り込んで十分に堪能、「動植綵絵」30枚の絵ハガキセットを買ってきてた。で、家に帰ってもウットリとそれを眺めてる。中学生女子が、江戸時代の古典絵画をアイドルの生写真みたいに眺めてるのは正常なのかどうなのか?「この子がカワイイんだよねー」と品評するけど、それは300年前に描かれたカエルとかアユとかニワトリなんだよね。一つだけ不満があるのは、これだけニワトリ大好き若冲なのに、ヒヨコにはほとんど関心を払ってない…襖絵にちょこっと描かれてるモノもあったけど、ニワトリへの情熱の10%もエネルギー割いてないっていうか。積年劣化で色抜けました?いや最初から描いてない気が…。
●翌日になったら、それをフローリングの床に並べて、一番いい配置を探り始めちゃった。これは魚ペアで、こっちはツルと鳳凰のペア…なんか花札っぽい遊び方?宿題しなさい!と怒られたら「今は若冲とたわむれていたいんだよー!」だって。
●あー、でもね、イヌに関しては、応挙の方がカワイイんだってさ。生意気に。





●音楽のブログだから、一応書くけど軽めにね。

ラッツ&スター「夢で逢えたら」

ラッツ&スター「夢で逢えたら」1996年
息子の中学校の文化祭バザーで購入。100円だった。この曲、好きなんです。だからシングル発見は嬉しかった!大滝詠一作詞作曲で、吉田美奈子のオリジナル版も好きなんだけど、実はコッチがかなり好き。深くて浮遊感のあるベースワークがモダンなダブ感覚に聴こえるんですわボクには。ラッツ&スターだけでも十分なんだけど、この時期の鈴木雅之さんソロワークにもこの曲はあるはずだから、聴き比べたい。リミックス版もあるみたいだから、ソッチも気になる。
●それと、この時代には、まだ田代まさし氏、芸能活動してたんだね。この前の清原博和薬物事件で、普通に中毒経験者としてワイドショーのインタビューに出ててビックリした。今は薬物依存リハビリ施設で働いてるんだって。死ぬほどゲッソリしててやっぱ薬物はヤバイと思ったわ。

THE GOSPELLERS「ハモリズム」

THE GOSPELLERS「ハモリズム」2011年
●ここで男声ハーモニーを聴きたくなっちゃって、ゴスペラッツで合体経験がある THE GOSPELLERS を棚から引っ張り出してみた。NHKの番組「亀田音楽専門学校」でハーモニーの講習回のゲストで出演した時は、即興パフォーマンスが見事でさすがだなーって思っちゃった。「亀田〜」はもう一回全部見たい番組。坂本龍一「スコラ」も大事だけどそっちはすでに全部録画済み。
●豪華なディスコトラックに乗っかっちゃうと、ハーモニーワークってよくわかんなくなっちゃう…ボクはすぐにグルーヴに関心が持ってかれちゃうので、ボーカルや歌詞にフォーカスが合わなくなるんね、これ悪いクセ。そもそもリリックに関心薄いし。でも彼らはトラックとハーモニーの配分が適切だから耳にリリックがよく沁みてくる。
●しかし、彼らが歌うリリックって、赤面モノのベタベタなラブソングで、コレ日常生活で使えないだろうと戦慄するほど。「どうして口づけする度涙がこぼれるの」とか「最初のキスで全てを見つけたよ 永遠の続き一瞬で飛べる きっと」とか。こう言うセリフを上手に駆使できたらボクの人生変わってたかな?

THE GOSPELLERS「LOVE NOTES II」

THE GOSPELLERS「LOVE NOTES II」2000〜2009年
ラブソングベスト盤2枚目。うおーよりメロメロ度が高純度で結晶した内容ですなー。ハーモニーも効かせまくってる。一曲目からアカペラで決める「ひとり」が実にクール、続く「永遠に」「ミモザ」もグッとくるね。ミモザが植物の名前だってのも初めて知ったけどね。「ガラスの靴で踊るミモザ」って歌詞からじゃ意味不明じゃん。映画の主題歌になった「宇宙へ 〜 REACH FOR THE SKY 〜」のスケール感も好き。
●ボクのDVD盤に収録されてる「ウィスキーがお好きでしょ」アカペラMVも小洒落てていいね。このCMソングをフルでちゃんと聴くの初めてかも。ボクはウィスキー好きじゃないけど。


●この前、配信で見た映画。

「英国王のスピーチ」 「超高速!参覲交代」

「英国王のスピーチ」:吃音に悩んでいたイギリス国王・ジョージ6世(今の女王エリザベス2世のパパ)と、少々変わり者の言語療法士の、身分を超えた不思議な交流にホッコリ。各キャスト味が出まくりですが、王妃役でヘレナ・ボナム=カーターさんが出演してる。この人、ポッターの極悪魔女だったりアリスのハートの女王だったりレミゼの強欲宿屋の女将だったり、奇抜すぎる役しかしてないイメージだったのに、ここでは普通に夫を支える美人の良妻でありました。最初映画見てる間は「どこかですげーよく見てる女優さんなのに思い出せない」と思ってて…でも後から知った方が偏見なく見られてよかったかも。こんなにも美人さんだったんだー。

「超高速!参覲交代」:B級感満載のマヌケなタイトルにずっと心惹かれてました。江戸老中の嫌がらせでいわきの田舎大名が超理不尽で超非現実的な参覲交代を命じられるんだけど、田舎の貧乏藩なりの工夫と殿の人徳がピンチを救う。これもホッコリします。佐々木蔵之助さん!今ネットで知ったけど第二弾「超高速!参覲交代リターンズ」が9月公開で準備されてるとな…へー第二弾やるほど本当に儲かったのかなアレで。あ、裏方にはテレビ東京が噛んでます。雰囲気わかるでしょ。

HULUで、「風とロックとHULU」という新コンテンツの配信が始まった。

風とロックとHulu

「風とロック」でお馴染みの箭内道彦さんが、「渋谷のラジオ」というコミュニティFMを立ち上げた。その中で箭内さんがMCとしてゲストを迎える生放送トーク番組があって、それが映像としてHULUにアーカイブされる仕組み。ダラダラとトークを聴いていられるノンビリした感じが心地よい。
●こんな、純粋には、ラジオでもない、テレビでもない、ネット配信でもない、中間地帯の空気感が楽しいし、今後はこういうスタイルがマジョリティになっちゃうかも。AbemaTV とか LINE LIVE とかちゃんと見てないんだけど、そういうことなんじゃないのかな。その第一回のゲストが、湘南乃風若旦那と、モーニング娘。'16 の皆さん。
●ここで若旦那さんがいいことを言ってた。今年40歳の若旦那さん(やべ、年下だと思ってなかった)。この節目の年の新年会は玉置浩二さんと哀川翔さんと過ごしたらしい…つかスゴイ繋がりだね…。そこで哀川さんから言われたアドバイスが「40歳からは絶対に怠けちゃいけない。怠けたら50歳になった時に仕事がないぞ!」おー。この言葉に、ちょっとシビれた。

●現在42歳のボク、サラリーマン歴20年になろうというタイミングだけど、そのまま黙ってりゃこれから20年以上もサラリーマンしないといけない(「一億総活躍時代」ってそういうことでしょ。これ戦時下のスローガンみたいで好きじゃない)。じゃあどんなサラリーマンになりたいのか?サラリーマンでいいのか?サラリーマン以外の何かになれるのか?なりたいのか?働きたいのか?働けるのか?結構このイメージ作りに悩んでいたりもしている。例えば10年後の52歳。ここでやっとボクは今の箭内道彦さんと同じ年齢だ。何やってんだ?面白いコトできてんのか?面白くするために今を努力してんのか?イメージわかないよー。


●で、音楽。若旦那の湘南乃風に行くと見せかけて、モー娘。

モーニング娘 14「TIKI BUN : シャバダバ ドゥ〜 : 見返り美人」
モーニング娘 '14「TIKI BUN / シャバダバ ドゥ〜 / 見返り美人」2014年
●AKBのアイドル市場独占状況の中、ボクがオルタナなポジションのアイドルに興味を持った記念碑的音源です。この一枚以降でボクはインディアイドル系のCD100枚くらい買ってます…まー取り扱いにやや戸惑ってますけど。
●キッカケは、職場の女子の一人がハードコアなモー娘。ファンで。躊躇なく東北とか関西のイベントまで遠征するし、シングル全タイプ買うし。この女子が女子を愛でる一種「百合」的感覚って理解できそうで理解しきれてなくて。これは今後の課題。一方、そんな彼女がボクにこのシングル全バージョンの中から一枚を抜いて「よかったら一枚あげますよ。もう握手券抜いちゃったんでいらないんです」とコレをくれたのです。で彼女「ワタシよくわからないですけど、この曲、EDM?っていうスタイルを取り込んだって話題になってるらしくて」なにー?モー娘。が EDM!面白いじゃないか!是非聴かせて欲しい!
●確かに「TIKI BUN」 EDM。ステージの振り付けもヘッドホンを耳に押し付けてレコードをスクラッチする演出が含まれている。
●一方で、当時の中核メンバー・道重さゆみはこのシングルでグループ卒業(ハロプロも卒業)とのこと。実はモー娘。の歴史において彼女が在籍期間最長記録保持者だという。なんと10年と10ヶ月。全盛期の初期メンバー安倍なつみですら6年程度。スゴイね10年を戦い続けるって。彼女はその後活動休止状態にあるが、まーちょっと休養は必要だわな。

モーニング娘。’14「時空を超え宇宙を超え/PASSWORD IS 0

モーニング娘。’14「時空を超え宇宙を超え/PASSWORD IS 0」2014年
「TIKI BUN」でモー娘。’14 に関心を関心を持ったので、その勢いで一枚前のシングルも聴いてみた。実はこの二つの楽曲もモダンなエレポップのアレンジ「時空を超え宇宙を超え」はミドルテンポのポップスでスキマの多いピコピコトラック「PASSWORD IS 0」もいいようによっちゃ十分 EDM。エレクトロなダンス推進力搭載。KDDI のCMキャンペーン曲として、モー娘。+森三中・大島美幸&黒沢かずこの合体ユニット「モリ娘。」が組織されてる。「モリ娘。」バージョン、黒沢中心に弾けてます。

●さて、2014年にモー娘。「'14」(ワンフォーと読むらしい)をグループ名にくっつけて、そこから「'16」(ワンシックスと読むらしい)まで進化してまして。ネーミングの語呂の良さ悪さは置いといて、改称したのは実にイイね。改称することで2000年代前半の全盛期とは決別して、チャレンジャーの立場からこのアイドル戦国時代を戦うという姿勢の方が、今のファンは応援しやすいはず。だって「ダンスマシーン」の頃って今のメンバーまだ赤ん坊だったり生まれてなかったりだもん。ファンだってそのくらいの世代の子だよねきっと。過去のブランドとプライドを捨てて挑む感じは、日本の大企業がカッコ悪く振る舞う今のご時世の反対側にあって素敵。東芝もシャープも三菱自動車も彼女たちを見習おう。



「Hタウン」ヒューストンのヒップホップ。
●相変わらず「アメリカの歴史」という退屈な本を読み続けている(詳しくはコチラの記事http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1858.html)。遅々として進まない。今読んでいるのは先日よりはちょっと進んで1840〜50年代、奴隷制度を巡って南部と北部が国論を割って対立をザックリと深めているところ。そんなタイミングで南部で大きな面積を占めるテキサス州は初めてアメリカの仲間入りをするんです。1845年のこと。それまではメキシコの領土だったのに、アメリカ人入植者が分離独立して「テキサス共和国」を建国、そんですぐにアメリカに併合されるのです。その「テキサス共和国」の初代大統領がサミュエル・ヒューストンという人物。彼の名前を拝借することで、この州の最大の都市、そして今やサザンヒップホップの重要都市となった「Hタウン」ヒューストンが生まれるわけです。
●とはいえ、ヒューストンのシーンなんて、やっぱ日本じゃよーくわからーん。断片的に音源を入手しては、チクチクと調べてくしかない。(以前アレコレのヒューストンものを取り上げた記事はこちら:http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1710.html

GETO BOYS「UNCUT DOPE」

GETO BOYS「UNCUT DOPE : GETO BOYS' BEST」1988〜1992年
ヒューストンだけでなく、サザンヒップホップ全体における先駆的存在のユニット。なんてったってキャリアが80年代スタートだからね。WILLIE D、BUSHWICK BILL、SCARFACE の三人組。彼らの音源を発信した地元ヒューストンのレーベル RAP-A-LOTサザンシーンの先駆的拠点だね(そして今も健在)。時代が早すぎるので、90年代後半から台頭するバウンスビートみたいなサウス系に特徴的なサウンドはまだアリマセーン。むしろ同時代の DEF JAM RECORDINGS(ニューヨーク)みたいなミドルスクールのスタイルや RUTHLESS RECORDS(ロサンゼルス)が N.W.A. で過激に打ち出したギャングスタラップの影響がタップリ。ビートの一つ一つがまだドラムマシーンむき出しのピコピコカチカチ気味だけど、丁寧にサンプルも仕込んでてガッチリグルーヴさせたトラックに、三人マイクが華麗にリレーしまくるスリル感。まさしくミドルスクール!そしてギャングスタラップだけど、G-ファンクまで到達してない感じがとっても時代感を反映。
●ただ一曲、「DAMN IT FEELS GOOD TO BE A GANGSTA」という曲だけが特別にレイドバック〜ノンビリした感じで好き。というかこの曲ちゃんと聴きたいので買ったほど。「ギャングになるっていい感じだぜ」って実にノーテンキな話だが、殺伐としたギャングの暮らしにも、ホッコリとしたお休みの一日があって、午後ののどかな時間をゆっくりデッキチェアにでも寝そべってうたた寝してるかのような気分が漂ってる。
●なお、その後彼らは分裂していくが、SCARFACE は 前述 DEF JAMサウス系専門レーベル DEF JAM SOUTH が1999年に設立した時にレーベルの責任者として抜擢される。そんで LUDACRIS とそのクルー DISTURBING THA PEACE を発掘してレーベルの第一弾スターに仕上げるんだよね。LUDACRISジョージア州アトランタを拠点としてたので、ボクはてっきり SCARFACE も同じアトランタ系だと思ってたよ。アトランタヒューストンじゃ大分雰囲気違うからね。

Z-RO「HEROIN - CHOPPED SCREWED」

Z-RO「HEROIN - CHOPPED & SCREWED」2010年
ヒューストンの老舗レーベルとなった RAP-A-LOT に今なお所属してるラッパー・Z-RO のアルバム。前述 GETO BOYS の音源から30年も時代が隔たってるよ。だから当然スタイルが全然違う。今やサウス〜ヒューストンの代名詞的スタイルとなった、チョップド&スクリュードのアルバムですわ。このスタイルは90年代末期にヒューストンのカリスマ DJ SCREW が編み出したもの。
●サウス系とくにヒューストンのヒップホップは、普通のアルバムと、全編がチョップド&スクリュードのリミックスを施されたアルバムの二種類が用意される傾向あり。ちょうどルーツレゲエに普通バージョンとダブバージョンがあるみたいに。テープの回転速度を限界まで遅くして、結果トラックもラップもモッタリ遅く音も低くなるこの手法は、ドラッグの酩酊感を象徴するような脳ミソゆるゆる感覚がタマランそうだ…南部の沼に腰まで浸かって身も心もドロドロになってく感じ…。ましてや Z-RO はマジのドラッグディーラー経験者でデビューしてからも薬物所持で服役してる、クスリと縁が切れない人。アルバムタイトルも「ヘロイン」だしジャケもスプーンでクスリあぶってるし、ホンマもん過ぎる迫力があるよねー。
Z-RO の作品では「CRACK」(←これも直球で名前が薬物…)を聴いてるけど、チョップド&スクリュードじゃなくて普通バージョンのトラップなスタイルだった。ドロリとした酩酊感狙いならまさしくスクリューされてる方がいい。しかしこんなの朝の電車の中で聴いて気持ち良く仕事できないけどね。つか日本の市民生活の中で、スクリューがふさわしい場面が思いつかねえっす。

LIL KEKE「PLATINUM IN DA GHETTO」

LIL KEKE「PLATINUM IN DA GHETTO」2001年
ヒューストンのカリスマ DJ SCREW SCREWED UP CLICK というクルーを組織して地元の活性化を図りました。で、Z-RO もその一員、こちらの LIL KEKE は創設メンバーの一人であります。DJ SCREW はあまりにもクスリと相性がイイ音楽を作り過ぎたのか、2000年にドラッグ禍で落命してしまいますが…。ただ、80年代に GETO BOYS が登場した時以来のビッグウェーブが、この時期ヒューストンに到来したのは間違いないことで、ボクのイメージでは LIL KEKE はこの時期のヒューストンのメジャー感を代表してたかのように思えます。
●これがもう王道のブラックミュージックとして成熟してて。流通は IN THE PAINT とかいうインディ系なのに、ジャケのブリンブリン感に負けないメジャー感、西東南といったローカルのスタイルに関わらないエンターテインメントになってます。LIL KEKE 個人のスタイルである、耳の中で転がるフロウ・デリバリーが気持ちのいい緊張感を孕んでダレがない。そこにド派手なフックラインを客演ラッパーやR&Bシンガーと共にサビに投入。それを前提にした結果か、トラックもサウス系特有のタテ方向のバウンス感のいいトコロと、スムーズに太いベースがヨコ方向へ滑っていく西海岸Gファンクのいいトコロを折衷したテイストになってる。で、これがまさにヒップホップの王道、ファンクの王道。結果、名盤。
●その後の彼の音楽は5〜6年くらいかけてより濃くサウス系に傾いていくようだが、実際のところ2001年段階でトラップ/バウンスビートはまだサウス系全域のアイデンティティを示すスタイルにまで成熟してなかったのかな。ボクの1998〜2004年くらいのリアルタイムな認識でも、バウンスニューオリンズの局地的なスタイル(CASH MONEY RECORDS、NO LIMIT RECORDS が代表的レーベル)だったし。ヒューストン、アトランタ、ニューオリンズ、マイアミと、拠点が分散しているサウス系の地理的特徴かもね。


●でさ、今回初めて知ったんだけど、このへんのアーティストの音源が Amazon Prime Music の聴き放題サービスに結構収録されてるんですわ。
マジかよ!正直、このへんの音源って結構入手に手こずる物件なんですよ。ほとんど偶然みたいなノリで発掘するか、アメリカのAMAZON から取り寄せるか、すげー面倒くさいトコなんですよ。なのに、GETO BOYS の古いヤツとか、今日紹介した Z-RO のアルバムそのものとか、LIL KEKE の楽曲単品とか、結構収録されてやがる! AMAZON 時々すげーマイナーな音楽が入っててビックリするわ!この前もベルギーのレーベル LES DISQUES DU CREPUSCULE のネオアコがあったからね!これわざとAMAZONが弱小インディから買い漁ってるってコトなの?それともフィジカル収益では立ち行かないインディがどんどんライセンスを出すからなの?とにかくもう侮れねー!


●動画はあるのかなあ?


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またまた、資格取得のための活動を始めた。
●これで4つ目の挑戦、どんどん上級レベル突入でマジしんどい。
●今度は週末4週間を使って講義を受けてレポート提出するという内容。
●難易度も高いが、やりがいはある。仕事にも役立つかもしれない。受講料は15万円もするので、会社と掛け合ってほぼ負担してもらえることになった。頑張らないと!
●ということをせっせと手続きしてるボクの様子を見て、娘ヒヨコ中学生は「パパ本当に変人だね。なんであんなに勉強が好きなの?」とワイフに言ってるという。勉強嫌いのヒヨコには意味不明の自爆行為としか思えないらしい。まーワイフですらボクを完全におかしな物好きと思ってる。
●でも、資格試験に最初に挑戦しようとした動機は、ヒヨコが中学受験で苦労してる時期に「パパも自分の勉強をするからオマエもがんばれ!」ってメッセージを発信したいと思ったからよ。一方的に勉強しろ!はイーブンじゃないと思ったからね。……でも、やっぱボク、おかしな物好きみたい。ガイダンス講義を聴講したら、ボクの興味範囲を大きく逸脱して、資金調達から法務、税務、会計まで射程距離に入ってやがる。またまた猛烈に場違いな空間に突っ込むぞ。ワクワク。



PINK FLOYD ってプログレバンドじゃない気がしてきた。
●別の価値で評価されてるんだよ。

pink floyd Wish You Were Here

PINK FLOYD「WISH YOU WERE HERE」1975年
●三軒茶屋〜太子堂のアンティークショップ/古本屋さん「SOMETIMES」にて600円で採取。この店、ちょっとだけCDやレコードの取扱いがあるんだよね。でほんのトキタマで掘り出し物がある。三軒茶屋に用事がある時はいつもチェックしてみる。で、今回はクラシックロックとしては定番アルバムのコイツを買ってみた。あくまで600円だから…それ以上じゃ買えない。だってボクは PINK FLOYD ってバンドが好きじゃないから。だから、ほとんど聴いてない。

PINK FLOYD というバンドはザックリ言って二つの時期に分かれる。最初のバンドの中心人物 SYD BARRETT が在籍してた最初期と、彼が見事なジャンキーになってバンドから脱落してしまった以降の時期SYD BARRETT が在籍してたのはデビューして最初の1〜2年だけで、ボクが価値を感じるのはこの時代だけ。後は、残ったメンバーが陰湿にヘゲモニー抗争をしながら無駄にド派手な演出を繰り広げるビッグバンドになっていくのみ。このアルバムとその一枚前の「THE DARK SIDE OF THE MOON」1973年がバンドとしての人気のピークだったみたい。いわゆる「プログレッシブロック」というカテゴリーのトップランナーとして武名を轟かせ、ロックの可能性を切り開いてきました、ってのが教科書的な位置付けじゃないでしょうか。

●でもでもでもね、ボクの感覚からすれば、全然「プログレッシブ」でないのです。超絶技巧なテクニックで演奏表現の限界を更新するとか、大胆な新テクノロジーの導入で表現手法を革新するとか、別ジャンルの音楽とのミクスチャーやインスピレーションで特殊な音楽世界を構築するとか、「プログレッシブ=進歩的」な成果ってこのバンドにはほとんど見受けられませーん。名盤の誉れ高い前述「THE DARK SIDE OF THE MOON」(邦題「狂気」)にナンも感じるものがなく、ほぼ放置してました。

●ただ、この「WISH YOU WERE HERE」(邦題「焔〜あなたがここにいてほしい」)には一つドラが乗っている。アルバムタイトルから読み取れるように、ココにはかつての盟友 SYD BARRETT への恋慕や郷愁みたいなモンが入ってる感じがするじゃん。そのドラマには興味が持てる。600円だし。だから聴いてみた。しかし、やっぱり!プログレッシブ要素全然なし!誰がプログレッシブロックの王道みたいな評価を作ったんだ?文句が言いたい! KING CRIMSON YES とは全然異質、というか未熟!……という先入見を通り越して、冷静に冷静にクールダウンして聴いてみると、実は素朴なフォークロックだってことに気づく。少なくともシングルカットされた表題曲「WISH YOU WERE HERE」は完全にフォークロック。 そして本当に直球でもうマトモに話もできない昔の仲間への思いを渋く歌う。

「本当にオマエがココにいてくれたなら…
 オレたちお互いさまよえる魂じゃないか、
 何年も何年も 小さな金魚鉢の中で泳ぎまわり、同じ場所をぐるぐる回り続けている
 そこでオレたちは何を見つけた? 昔と変わらぬ不安だけだよ
 オマエがココにいてくれたなら…」

●これは切ない響きを持つシンプルな佳曲。真夜中のくたびれたカラダとココロに染み入る侘しさがなんとも言えない味わいを醸す。うーん、PINK FLOYD、イイ奴らじゃん。

●このアルバムは、最初の曲&最後の曲を、組曲方式の13分長尺にしている。プログレちっくな演出としては常套手段。しかしこれも別の意味で聴ける。タイトルは両方とも「SHINE ON YOU CRAZY DIAMOND」クレージーダイアモンドとは、文字通り狂気の世界に堕ちた SYD の異名。彼をモチーフにした音楽になってる。多分 SYD 自身はこういう音楽はやらないだろうけど、彼が踏み込んでいった暗黒の世界の不穏さ、そこでも煌めく彼の才能を象徴しているようで、なんともこれまた真夜中に聴くと効く。タイトル通り「SHINE ON YOU CRAZY DIAMOND」と歌うフレーズがとても可憐で、混沌とした楽曲の中でひときわ輝く。

PINK FLOYD は進歩的な手法で際立つ部分はないと思うけど、60年代の楽天的なヒッピーカルチャーが崩壊して、さらに大切な盟友を失う身を切るような経験をして、そして迎えた70年代を、冷酷で不穏な時代と位置付けて表現していたバンドと捉えれば実にシックリくる気がする。
●シンセや、ブルージーなギターフレーズなどを駆使した陰気なアトモスフィアは、その意図からすれば実に的確な表現だ。ベトナム戦争に敗北したアメリカ、東西冷戦構造に引き裂かれたヨーロッパ、核兵器開発競争/核戦争の恐怖、オイルショックに始まる不景気と拝金主義、そんな時代背景を彼らの音楽は見事に象徴していたのかもしれない。なんだか、ちゃんとこのバンドに向き合えるような気がしてきたぞ。この買い物をしてよかった。


●動画付けとく。「WISH YOU WERE HERE」。




現在、このオッサンが気になる。ドナルド・トランプ氏。
●ホントに共和党大統領候補指名獲得を確実にするところまで来ちゃった。
●笑える存在だと思っていたが、笑えない事態になってきた。
オバマ氏「大統領職は、エンターテインメントやリアリティー番組ではない」って発言したそうだよ(5月7日AFP)。

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この人、発言がもう危険すぎます。
「包括的で完全なイスラム教徒のアメリカ入国禁止」「IS掃討作戦では戦闘員の家族も対象に」「テロ容疑者には(オバマが禁止した)水責め以上の拷問を」「戦術核兵器使用の可能性も否定せず」「オバマのせいでしばらく黒人大統領は生まれないだろう」「人工中絶した女性は処罰されるべき → 撤回して → 医師が法的責任を負うべき」「メキシコは薬物と強姦犯をアメリカに送り込んでいる」「メキシコ国境に万里の長城を作る…費用はメキシコ負担で」「不法移民1100万人を国外退去に」いやあ、どれをとっても実に香ばしい発言だ。完全に人種差別・性差別主義者じゃないか。日本も矛先を向けられている。「日本には米軍の防衛費用を返済してもらいたい」「日本・韓国の核武装を容認」「日本車の関税を2.5%から38%に引き上げる」メチャクチャだ。

彼は生粋の大富豪。現在69歳。裕福な家庭に生まれ、親から引き継いだ不動産業を80年代の好景気に盛り立てて、ニューヨークの「トランプタワー」を始め、リゾートやカジノ経営でさらに莫大な財を手にした。多くの組織団体企業から献金を受けてアメリカの政治家は選挙戦を戦うが、大富豪である彼は基本自費負担で選挙運動をしている。だから政党幹部も含め、暴言暴走を止める関係者がいないのだ。

●セレブとしてメディアに出てた頃から暴言癖は有名だったので、最初は泡沫候補扱いで彼を誰も真に受けてなかった。ハフィントンポストまでが当初彼の運動をエンタメ欄に載せてたほどだ。しかしハフポストは12月段階に創業者の言葉で姿勢を改めた。「最初の頃、彼の激しい外国人嫌いは人を小馬鹿にするような皮肉漫画のジョークに過ぎなかった。しかし、メディアの追い風を受け、トランプ氏の残酷さと無知は倍増している。「彼の言った事、信じられる?」最初は目新しく、私たちを面白がらせたトランプ氏の発言は、今や不快極まりなく、脅威を与えるものに形を変えた。そしてアメリカ政治のよくない面をさらけ出している。」「彼は他のどの候補者より注目を集め「ミート・ザ・プレス」から「サタデー・ナイト・ライブ」まで、多くのメディアに露出している。その点で、彼は特別な立場にいる。これまで彼が提供する話題に病み付きになり、その中身を非難しなかったメディアが、彼の不快で間違った意見を正当化してきたのだ。」(12月9日創業者アリアナ・ハフィントン氏のコラムから抜粋引用)

●有名ミュージシャンの中でも彼に対して抗議する者が現れた。キャンペーンの集会には音楽を鳴らしてショーアップするのが習慣になっているが、AEROSMITH、ADELE、R.E.M、NEIL YOUNG、そして THE ROLLING STONES が自分たちの楽曲の使用禁止を求めている。トランプ氏「もっといい曲はある!」だって。しかしストーンズに関してはバンドの要求をスルーして使用継続。「楽曲を使う権利はある!いつだって権利を買ってるんだ!」このリアクション、日本人のボクの感覚だとすごくイヤらしい物言いだと思う。

●しかし、これだけ数々の暴言を吐き散らかして、彼はなぜか人気を集めている。親から引き継いだ豊富な財産をぶち込んで好き勝手に選挙キャンペーンを繰り広げている彼を、誰が支持しているのか。それが白人労働者階級/貧困層だという。え?真逆の立場じゃないか?こんな金持ちセレブに、一般民衆の暮らしを想像することなんてできるのだろうか?自分たちの生活を守ってくれると思えるのだろうか?



ただし、ここで大きな前提に気づく。
●そもそもで、アメリカ合衆国という国の成り立ちを、その歴史を、ボクはどんだけ知っているだろうか?
●なんであの国が、あのような有り様になったのか?知識が足りなすぎることに気づいた…。
●日本の都道府県は47つ全部知ってるのに、アメリカ50州は全然覚えられない。
●歴代大統領の名前を何人知ってるだろうか。
●あの国が世界中で戦争をしていて、大きな影響力を行使したのは知ってても。
あの国の内側で、どんな歴史がゴトゴトと動いていたのか、実は知らない。

●だから、しっかりした本をきちんと読んで勉強しようと思ったのだ。
●最終的にこの記事を最後まで読んでも、なぜトランプ氏のような人間が大衆に受けるのか、結論は出ない。
●ただ、建国以来のアメリカ人の心の拠り所がどこにあるのか、考えてみたい。

サムエル・モリソン「アメリカの歴史」3

サムエル・モリソン「アメリカの歴史」全5巻
●原題は「THE OXFORD HISTORY OF THE AMERICAN PEOPLE」。下北沢の隣の駅、池ノ上の古本屋さんで買った、1964年に書かれた本だ。アメリカ歴史学会の中でも権威だったハーバード大学教授が、引退した後に記したタフな歴史書、実にいかめしい。でも、第二次大戦後の冷戦構造の中で超大国になった時期のアメリカ、まだベトナム戦争で凹まされる前のアメリカ、おそらく特に輝かしいアメリカの時代に書かれたとあって、その筆には自分の国への誇りと自信がみなぎっている。これはナイスなサンプルだろう!アメリカ人の「愛すべきアメリカ」像がここには浮き上がっているはずだ。
●しかし、これがなかなかにゴツくて退屈な本で…さすが大学の先生、マジで読み進めるのがシンドイ。1964年の本を1970年の翻訳で読んでるから尚のことキツイ…昨年末12月から読んでるんだよ。先史時代から始まる第1巻から、いまやっと第3巻、1830〜40年代のところまで到達した。南北戦争まであとどのくらい?



●アメリカは「自由」の国だ。トランプ氏も自分の「自由」を行使してるつもりなんだろう。
●この「自由」が、この国の歴史の中では、凶暴でワイルドすぎる。
「凶暴でワイルドな自由」とは。


ヨーロッパからの植民は、命をかけた「信仰の自由」
●北アメリカ大陸にイギリスはじめヨーロッパ人が植民を始めるのは17世紀初頭。日本なら江戸幕府成立と鎖国の完成みたいな時期。当時の感覚ではアメリカ大陸に行くなんて、今なら「火星に植民しろ」と同じように響くだろう。植民団が大西洋を渡っても、冬を越したら半分以上が死んでた、なんてザラ。完全に未開の地、文字通りワイルド。

●それでも、植民した人々の動機は何だったのか?当時のヨーロッパはカトリックとプロテスタントの宗教戦争、弾圧と虐殺の時代だった。このまま祖国にとどまっていればいずれ殺される。伝説的な植民団「ピリグリム・ファーザーズ」は新教サイドの英国国教会からも弾かれたピューリタン宗派が居場所を失って大西洋を渡ったグループだった。長老派、バプテスト、メソジスト、クエーカーなど、今のアメリカではぼちぼちマジョリティな宗派も、当時は異端扱いで大西洋を渡るしかなかった。祖国に残るも地獄、海を渡るも地獄この究極の選択が、彼ら初期アメリカ人の「自由」。追い込まれていた状況が「凶暴でワイルド」だった。

●このへんの過激な宗教的情熱はアメリカの中に今も残っていると思う。一夫多妻制を奨めたモルモン教会(←キリスト教ですよ)は19世紀アメリカに生まれた宗派だし、20世紀以降の科学技術を否定して移民当時の暮らしを守る宗派アーミッシュの人々も健在。そして、バイブルベルトと呼ばれる南部諸州は熱心なキリスト教信仰の影響で保守的傾向が強く、今なお進化論を認めない云々の議論を続けてる。



「いつだって自分たちでちゃんとやっていた」「自由」を妨げるなら独立します。
●大学のテキストみたいな本をソースに一行で独立戦争のことをまとめるのは乱暴ですが、敢えて言えば「勝手に税金払えというならオレらは独立します。元から自治してますから!」が全部な気がする。重要なのは「元から自治してますから!」の部分。この本に、独立戦争から70年近く経った後、この戦争に参加した老兵士91歳を取材した様子が描かれているのでサックリ引用してみる。これがとても象徴的で。あ、ちなみに取材者は当時21歳だった判事さん。

●取材者「あなたが武器をとったのは耐え難い圧迫に反抗するため?」老兵士「圧迫?そんなものワシは感じなかったよ」「え?印紙税法で圧迫を被ってないと?」「ワシは印紙なんて一枚も見たことがなかった。1ペニーだって払ったこともない」「では茶税についてはどうですか?」「お茶も一滴だって飲んだことがなかった。連中がみんな海に捨てちまったものな(ボストン茶会事件…「ボストン港をティーポットにしてやる!」)取:「それじゃあ、あなたは永遠の自由の原則に関するロックらの著作を読んでたと思うんですが?」「聞いたこともないねえ。ワシらが読んだのは、聖書と教理問答集、賛美歌集、それと暦だけだね」「じゃ一体どうして戦闘に参加したんですか?」「なあ若い衆。なぜワシらがイギリスの赤服軍に立ち向かったか。ワシらはそれまでいつだって自分たちだけでちゃんとやっていた。そしてこれからもずっとそうするつもりだった。ヤツらはそうさせまいとしたんだよ」

●彼ら植民者は、バラバラに大陸へ向かい、人類が住める場所があるかどうか自分たちで一生懸命探して、その土地を自分たちで切り開いてきた。農場も市場も街も港も全部自分たちで作った。そしてココが素晴らしいのだが、彼らは法の秩序の元、共同体の方針を自分たちで導き出して運営した。そこには封建領主も王家も巨大な職業的官僚組織も必要なかった。全部がゼロスタートだったのだが、彼らは完全に「自治」を掌握して植民地を作り上げた。これが重要。

●もちろん植民開始から100年以上経っていて、話はそこまで単純じゃない。イギリス本国と植民地はアレコレの権益で十分に絡まってて、もはや共栄共存共依存の関係。なのに沿岸部の輸出入業者/一部都市エリートが本国に無理な関税を突然課せられてブチ切れたまで。これが独立のキッカケ。最初はみんなが独立に賛成してたわけではない。内陸部では最後まで独立機運が盛り上がらなかったほど。しかも、豊臣秀吉小田原攻めで動員した軍勢21万から見るとハナクソみたいな分量5000人程度の兵隊をエッチラオッチラ動かして独立戦争は戦われた。敵味方両方からの理不尽をひたすら忍耐して泥仕事を引き受けた将軍ワシントンが、その後初代大統領に選ばれた。ハッキリ言って全然ドラマチックじゃありません。退屈な戦争です。

●一方、「ベルばら」を始めドコを切ってもドラマ満載な後発組「フランス革命」をこの著者はバッサリ批判し、アメリカの偉大さをドヤ顔で謳い上げます。サクッと引用しましょう。「フランス国民が革命を起こした時には、彼らはそれまでに代議政体を持った経験は全くなかったのに対して、独立革命直後のアメリカ人は、ただ単に、既存の政治的、宗教的な状況を維持し、調整すれば事足りたのである。アメリカ人は世界の他の国民に比べて、より多くの自由を享受していたし、自治の枠も大幅に認められていたために、自治政体を完全なものにするための資格が備わっていたのである」

●ワイルドな状況下で自治を積み重ねたアメリカ人は、自分たちの自由を侵すものがあれば絶対に許さないし、時としてはそれが自分自身の利害と関係がなくとも武器をとる。なかなかに「凶暴でワイルドな自由」でしょ。中東との戦争に直接の利害がある人ってそこまで大勢いる?でも支持するんだよね。



アメリカはとにかく「自由」が大事!国は最低限のことだけやってろ!という気風。
●さて、新しい国ができましたが、これがすぐにまとまるわけじゃない。基本ベース、初期13州は全部それぞれの経緯で成立して、それぞれ100年以上の歴史を持ってます。日本の廃藩置県みたいに、国土全体を中央政府がチョキチョキ切って自治体を作ったわけじゃないのです。全員が自己主張するし言うことが違う。こうした州ごとの権利主張を「州権」と言います。今でもアメリカは州ごとにそれぞれの州憲法を持ち法律も違う。新しい連邦政府と「州権」がバチバチ当たりまくる。これが出来てホヤホヤのアメリカ政治であります。

●国としての体裁が整う前に、まずは前述の州憲法が先にできます。ここからもうたっぷりの「自由」が仕込まれます。独立宣言の年にはヴァージニアが州憲法を制定。今では地味な存在だけど当時のヴァージニアは最先端地域。その権利宣言の冒頭がこんな感じ。「人間は生まれながらにして平等に自由で独立した存在であり、一定の生得権を持っている。それは財産を取得所有し、幸福と安寧を追求獲得する手段を与えられて、生命と自由を享受する権利に他ならない」話が教科書っぽくなって恐縮ですが、「自由」が二重にかかってるんですよ。「人は自由な存在で、自由を享受する権利を持つ」。著者は「アメリカ人はそもそも自由の問題から出発した」とはっきり言ってます。とにかくアメリカは自由が大事!

●で、ここから期待される、連邦政府の仕事ってのは、これも著者の言葉ですが「たとえ政治上の権限を削られても、人民に対しては絶対不可侵の自然権(天賦の人権)を保証することができるような代議政体」であって、反対に言えばそれ以上のことはするな、というニュアンスがある。アメリカでは「個人が自由を追求し、州はそれを代弁し、国は最低限黙っとけ。」これって極端でしょ。この辺が「自由が凶暴でワイルド」と思った点。だって、ワシントンが初代大統領になってみると、連邦政府には給与支払いが滞っている13人程度の事務員しかいないという有様。とりあえず税金は取れない、関税だけは認めてもらえたけど長い海岸線をカバーする徴収官吏はまだ一人もいない、軍隊は600人しかいない、連邦司法部も機能してないので作った法律を施行できない、ないないづくしにも程がある。ちなみに彼はバージニアの実家から当時の首都ニューヨークに引っ越すのに借金までしたという。これはナニかのバツゲームか?

●連邦議会もスタートしました。せっかくできた連邦政府を強化したいグループと、この「州権」重視グループの二派に、しょっぱなからパカッとアメリカ議会は割れて、そのまま現在の二大政党制につながってます。独立革命のキーパーソン、トマス・ジェファーソン「州権」重視派をまとめてアメリカで最初の政党「共和党」を立ち上げます。おお!共和党ってこんな時代からあるのか!すげえなー設立1791年って!日本じゃ松平定信寛政の改革やってる頃。…と思ったら、この「共和党」は紆余曲折あってその後改称、現在の民主党に繋がります。紛らわしい!真逆かよ!言わんとしていることは「主導権を中央エリートに丸投げしねえぞ、民衆は言いたいことがあればモノを言うぞ」とザックリまとめておきます。

●ちなみに、アメリカ合衆国憲法は1787年に出来上がりました。今なお機能しているモノとしては世界最古の成文憲法。憲法改正議論の時にアメリカはコロコロ変えてますってロジックが出てくるけど、これ見ると当たり前だよねー。だって江戸時代に作った法律を今も使ってるんだもん。そりゃ修正するわ。



「自由」と奴隷制度ってツジツマ合うの?南部奴隷州のガンコさがスゴイ!
●奴隷制度が気持ちイイものだとアメリカ人は思っていなかったよう…。ま、この著者のバイアスがかかってるかな?公民権運動が盛り上がる時代に書かれてる本だし。とにかく、アメリカには大勢の黒人奴隷が独立前から輸入されてましたが、憲法制定の時代には連邦政府のレベルではなんとか奴隷貿易を禁止する法律が通過し、北部の州では露骨にアフリカ人が売買されることは無くなりました。しかし奴隷制度そのものはなくせなかった。「州権」をかざして南部奴隷州は奴隷貿易を続けたし、その奴隷労働力を前提に綿花の大農園が南部一帯に広がっていくのです。まだ誰のものでもない原野がどんどん開墾されて畑は無限に広がっていく。人が足りないから奴隷は大歓迎。というか奴隷がいないと産業が成り立ちません。その陰で、気の毒なアメリカ先住民は奥地に追いやられて、のちに手加減なく打ちのめされます。あれ?「自由」って白人移民限定かよ?そーゆー話ですよね。

●著者の考え方か、19世紀当時の一般的感覚なのか、時々わからなくなるが、奴隷制度を知らない日本人のボクにはビックリするロジックが出てくる。「アフリカ奴隷貿易はアフリカ人が始めたことで、旧大陸にいるよりアメリカに渡った方がマシな暮らしができた」「ヨーロッパの貧しい労働者や小作人よりもずっと暮らし向きが良かった」「黒人は融通のきく人間だった。差別のない天国を信じる信仰に慰めを得て、可能な限り生活を楽しんだ。」自分たちの奴隷状態と出エジプト記を結びつけて感動的なゴスペルを作ったとな。陽気な精神と高い順応性、重労働に耐える能力を備え、奴隷として優秀だったそうな。ちなみに先住民奴隷はふさぎ込んですぐに死んでしまうらしい。なんじゃこりゃ。

●映画「風とともに去りぬ」みたいな大農園に限らず(むしろ少数派)、一般的な小規模農場でも奴隷は普通に使役されてた。白人家族ー世帯に6人ほどの奴隷がいて、主人と一緒に並んで鍬を振るい、一緒に食事をすることもあった。こんな物言いも書いてある。「南部人は黒人を理解している」イギリス人も北部人も黒人そのものを嫌うが、南部人は家族のように甲斐甲斐しく面倒を見るし「その分を知る黒人を愛している」。でも処罰は笞打ちがポピュラー。過度な虐待は法律で禁じられている。ただ法律の手前に理屈がある。「黒人を脅かすな。逃げるぞ」。南部には奴隷を買えない貧農もいたが、彼らは明白に黒人を憎んでいた。出世した白人同胞を羨みながら、肌の色だけで自分たちの誇りを維持していた。……もうこの辺になると、この本の淡々とした奴隷制度の解説が不気味に見える。

●1820〜30年代に黒人による蜂起未遂事件が起こった。ここから潮目がよりスゴイところに流れていく。「黒人たちは幸せで満足しているとされていたので」この蜂起は外部の煽動者が仕掛けたモノとされた。そこで北部から来た自由身分の黒人は船から一歩も降ろさないという対策がとられた…これってトランプ氏「イスラム教徒入国禁止」「メキシコ国境に万里の長城」と同じ反応だよね。組織的な黒人への締め付けも強化された。黒人は消灯後の外出や集会は禁止、読み書きを教わることも禁止。イギリスや北部では当たり前のように奴隷制度廃止は議論されるようになっていたが、南部ではそのイギリス/北部からの郵送物が検閲されてた。著名な奴隷制度廃止論者の首には賞金がかけられ、宗教家が廃止論者がリンチを受ける必然性を語るくらいまでになっていた。こうなると、南部の諸制度全てに対して批判できる状況じゃなくなる。北部じゃ盛んになっていた無料の普通義務教育制度を求める運動も、南部ではシャットアウトされた。「奴隷を持つ自由」社会の全てに優先する不寛容な状況が生まれたのだ。これが「凶暴でワイルドな自由」と言わずしてなんというか!

奴隷制度維持の理論武装がスゴイ。聖書によるとヘブライの預言者と聖パウロは奴隷制の道徳的な妥当性を認めているらしい。黒人は人間以下の存在らしい。カルフーンというこの時代の代表的な政治家によると、独立時に謳われた「人間の自然権」を更新する理論として、奴隷制度は民主主義の本質的な条件になるらしい。「豊かな社会は、一部の者が他の人々の労働によって生きられるようでなければ存立しえない。恵み深い神の摂理によって南部には、神が木こりや水汲み人夫として創り出した人種が運び込まれている。そのお返しとして、心優しい主人たちは自分の奴隷の要求を叶えてやり、惨めな窮乏生活の不安から救ってやる。奴隷主自身は手の労働と浅ましい競争から解放されて、知的・精神的な高さに達するだろう。」…もう吐き気がする。


「凶暴でワイルドな自由」トランプ氏。
●ボクは前述したように1840年代までしかこの本を読み進めていないので、1861年の南北戦争勃発という最悪の事態までどんな風に事態がエスカレートしたのかはまだよく分からない。そしてその後のアメリカも。本の中身はケネディ時代で終わってるはずで、著者は21世紀を知らないし、911もイラク戦争もISも知らない。
●ただ、南軍で勇敢に戦ったのが、奴隷を持たなかった白人貧困層だったということはすでに書いてあった。……なんだかココにすごくドッキリする。生まれながらの大富豪のトランプ氏と彼を支持する白人貧困層の関係と、この南北戦争前の社会格差状況〜大農園地主階級と白人貧困層が共に奴隷制度を守ろうとした事実は、相似しているように思えるからだ。

●南北戦争時の白人貧困層(ホワイトトラッシュと呼ばれた…今でも使われる言葉だよね)は、奴隷制度が大好きだったわけではないが、奴隷制度がなくなって黒人たちがイイ思いをする方がもっと嫌だった、という本音があったようだ。一方、トランプ氏が煽る、不法移民として治安を悪化させるメキシコ人へのヘイト、テロの恐怖を連想させるイスラム教徒へのヘイト、貿易不均衡で国内雇用を奪う日本韓国へのヘイトは、失業や低賃金に苦しむ貧困層だからこそ、本音の部分で共鳴できる主張になっている。ハフィントン氏にはジョークとしてスルーできる余裕があったが、スルーする余裕がない人々がいた。

●そして「凶暴でワイルドな自由」
●ボクが引用したバージニア州の権利宣言は「人は生まれながらにして平等に自由」と書いてある。でも「人は生まれながらにして平等」とは書いてない。
●あそこで生得権として保証されていたのは「財産を取得所有し、幸福と安寧を追求獲得する手段」であって「財産/幸福/安寧」そのものは保証されてない。
●財産の有無も幸福/不幸も全部自由。アメリカのコンセンサスでは、生まれながらの大富豪・トランプ氏みたいな存在がいることは社会として当然のことで、羨ましいとは思えど不公平な存在ではない。チャンスをつかめば成り上がればいい。失敗すれば落ちぶれればいい。これも全部自由。最低限の医療を保証したいという思いを込めて、国民皆保険を目指したオバマケアが総スカンだったのも、国家が余計なことをするな!オレの金を勝手にいじるな!オレが払う税金を他の貧乏人に使うな!の意思表示だったと言えよう。
●そして、こうした発言を堂々と世界に発信するのも全部自由。そんな発言を真に受けるのも全部自由。
自由は、かくも、凶暴で、ワイルドだ。


●アメリカの全てがトランプ氏のような思考に陥っているとは思わない。
●ボクは、西部開拓もまだ終わらない古いアメリカしかまだ見てないからね。1830年代ではカリフォルニアはまだメキシコ領だよ。だから今日の文章はあくまで暴論です。
ただ、南北戦争の時のように、今のアメリカは、引き裂かれているのかもしれない。
●没落する白人層は人口構成の中でもいずれ過半数を割ることが明白だ。
●一方で目立って成功するのは、マイノリティ層エリートだ。オバマ氏自身がその象徴だ。




アメリカンドリームって、なんなんだ?

MIKE JONES「THE AMERICAN DREAM EP」

MIKE JONES「THE AMERICAN DREAM EP」2007年
●ヒューストンのラッパー。非常に地味です。MIKE JONES って本名。厳密には MICHAEL JONES です。アメリカ人がどう思ってるかワカンナイけど、これ「鈴木太郎」ってくらい普通すぎる名前でしょう。もうこれ明らかに狙いでしょう。もっとラッパーはDQNネームであるべきでしょう、その裏を行く、それが彼の戦略。わざと本名名乗って、Tシャツに携帯の番号書いたりして話題作ったという逸話あり。
●このシングルはDVD付で彼主演の一本の映画が入ってる。主人公である MIKE JONES その人は、ラッパーを目指しつつも地味にファストフードのお店でバイトしてる。仲間と一緒にクルーを作ってブリンブリンなネックレス作ったり、でも地元のチンピラに絡まれたり、女の子にフラれたりと、英語わかんないから結局意味もワカンナイけど、なんか地味に終わりました。え?どの辺がアメリカンドリームだった?ギャングスタがドラッグディーリングするとか、ドキドキな場面ゼロ。達成感も身の丈に無理さがなくて、むしろ等身大すぎてビックリするわ…。
●で気になった楽曲が「MY 64」。客演に SNOOP DOGG BUN B が入って豪華だし。でもコレってヒップホップ関係の人が大好きな1964年型シボレー・インパラのことでしょ。ローライダーでボヨンボヨン跳ねたりさせちゃうヤツ。…でも、そのクルマ買って自慢してる歌だとしたら、アメリカン・ドリームとしちゃスケール小さくないか?トランプタワーみたいに、自分の名前付けたビル建てるわ!とかじゃなくていいのか?
●と、不満ばかり言ってますが、そもそものトラックが実に地味なんで、もうショボい印象がついちゃって、むしろそこのショボさが愛おしい。この人はデビューが SWISHA HOUSE という、CHOPPED & SCREWED が得意なレーベル出身なんで、このマキシシングルも低速スクリュー気味でわざとモッタリした感じになっている。まーともかく、アメリカン・ドリームも人それぞれなんだなあと思うのでした。


●動画つけとく。MIKE JONES「BACK THEN」スクリュー気味の緩さが味。





●今日はダメだな、話がややこしすぎる。


今期のドラマは…クドカンの勝利か。

「ゆとりですがなにか」

日テレ「ゆとりですがなにか」がダントツにオモシロイ!
●脚本:宮藤官九郎、演出:水田伸生。この二人、映画「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」「謝罪の王様」と見事に笑えるナイスな作品を繰り出してるコンビだ。それがテレビドラマにガツンと挑戦。テーマは「ゆとり」岡田将生・松坂桃李・柳楽優弥のトリオが、1987年生まれ&29歳「ゆとり第一世代」として、非ゆとり世代の不理解と年下のリアルゆとりの激しい突き上げに手を焼きながら、仕事や恋愛や人生にほんのり向き合う物語。三人ともイイ仕事してる。柳楽優弥くんは是枝裕和作品「誰も知らない」棚ボタ的鮮烈デビュー以降で最高の仕上がりかも知れない!安藤サクラ、吉田鋼太郎、島崎遥香、吉岡美帆(←朝ドラ「あさが来た」の脇でイイ味出してた…グラビア出身の彼女をナメてたと反省)などなどメンツも楽しげ。ああ、プロデューサーの枝見洋子さんって「桐島、部活やめるってよ」手がけた人だわ。この人自身がゆとり世代だったはず。若手の注目選手。
「ゆとり・あるある」の小ワザがパチパチ打ち出されて爆笑苦笑アレコレを誘うも、とどのつまり現状社会に対する若者の不満や異議申し立てに反論する言葉を持ててない、非ゆとり世代のボクたちもさらに上の世代も、29歳の主人公たちと同じ不安に翻弄されてるって意味でとっても普遍的。何がパワハラ/セクハラか、何がモラルハザードか、何が部下を呆れさせるのか、自分の経験じゃもう推し量れないほど社会の変化スピードが速すぎる。ベビーカーが電車に乗ってくるだけで、ある種の緊張を感じるわ…これだけで少子化問題や女性の子育て事情への社会的姿勢を問われるからね。ただ、ぶっちゃけ子供二人中学生まで育てた経験から言わせてもらうと、単純にベビーカーがでかくなった!これは世間のママさんのせいじゃない、商品単価を上げたいメーカーの陰謀!
●この前の熊本地震では「ソーシャルやらない主義者」の管理職が、危機管理の連絡網から取りこぼされて憮然としてた。この人自分が一昔前の「ボクは携帯電話持ちたくありません」と同じ存在になってるのが判ってないっぽい。全員失笑。いや正確には全員無言だけど失笑コメントがその会議中に各スタッフのPC間で速やかにメッセ交換。とはいえ、ソーシャル始めるから友達申請させろと言われても微妙…。以前、別のセクションで休日のソーシャル発言からパワハラされた奴いるし。カオス。ルールがない。最近いろいろな所で聞こえるバブル世代の「この業界ヤバイけど、オレたちはギリで逃げ切れるかな」発言もどうしたもんかと。アラフィフで人数も多いんだから真面目に働いてくださいよー。


TBS「重版出来!」

もう一本の注目ドラマは、TBS「重版出来!」。
「史上最強の地味女優」とネットに書かれていた黒木華さんが主演。学生時代に柔道ばっかやってたド根性体質の主人公が新人マンガ編集者として出版業界の悲喜こもごもに出会う物語。しかしいつもニコニコ笑顔直球勝負の彼女の立ち振る舞いが、周りの大人に影響を及ぼしていく模様。若さって、イイワルイ関係なく組織を刺激するよね。このドラマがそれがスカッとする着地に収まって、見てて清々しい。あと、体育会系という設定に釣り合わない華さんのブリブリにカワイイ衣装も注目。スタイリストさんが黒木華という素材を面白がり過ぎててグッジョブ。ちなみに「重版出来」「じゅうはんしゅったい」と読む。マンガ単行本がいっぱい売れて、追加印刷が決定することらしい。ボクこれを「じゅうはんでき」って読んでた…恥ずかしい。もうさんに首ったけだがら、原作マンガには戻れないわ!

●実は視聴率だけだと嵐・松本潤「99.9」の圧倒的勝利らしい。
波留ちゃんが出てる「世界一難しい恋」は、辛くなってきたな…。
●テレ朝が、「警視庁捜査一課9係」「警視庁捜査一課長」という実に間際らしいタイトルのドラマを今期同時にかけてることが気になる。内容には一ミリも興味ないけど。
●朝ドラ「とと姉ちゃん」はもうちょっとあったまってから見ます。


そして我が家、NHK「真田丸」に夢中です!

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●今度の主人公は、真田幸村こと、真田信繁。主演は堺雅人
真田幸村は、個人的には思い入れの深い戦国武将だ。ボクの家系は、遠い過去まで遡ると、木曽義仲に繋がる長野県の土豪で、戦国時代には真田家の家臣であったという伝承がある。だから我が家のコドモたちも幸村のことはよく知ってる。「真田十勇士」とかもね。既に1クールの放送を終えて、最初は「企業戦士・半沢直樹にしか見えない」とか言ってた娘ヒヨコも、堺雅人「源二郎!」って応援してる。目上の武将に深く礼をする様子に「あんなに土下座を嫌がってたのに、ココでは簡単にやるんだねー」とか言ったのには笑った。
●脚本家は三谷幸喜。映画「清洲会議」でも戦国時代をユニークに描いていてすごく楽しんだ。あそこでは豊臣秀吉大泉洋が演じてたはず。今回は生真面目なお兄ちゃん・源三郎信幸だけどね。小日向文世豊臣秀吉は絶妙だね!絶対権力者なのに「お願いだから助けてチョー!」と方言丸出しで頭下げる奇妙なカリスマ。徳川家康の側室・阿茶局を演じる斉藤由貴は、彼女の新境地を切り開いたかも。ポケーと無表情でいてヘタレ家康を的確に操縦するという、これまた絶妙な演技。ボクが彼女にハマりそうなのは「初代スケバン刑事」以来じゃないか。

●とは言いつつも、とにかくイイ味を出しまくって完全に物語を掌握してるのは、信繁の父・真田昌幸を演じる草刈正雄でしょ!かつて「真田太平記」(NHK1985年)で幸村を演じた男が父親役で帰ってきた。
●策を巡らしているのか何も考えてないのか、つかみどころが全然ないのに放ちまくる重厚なカリスマ。かつてのツヤツヤイケメンが、渋み効かせ過ぎってほどにワイルドで老獪な田舎侍に見事変身。ヒヨコなんて彼が登場すると「毛皮の父上!」と大喜びするもんね(確かに毛皮のベストをいつも羽織ってる)。この作品で草刈といえば草刈民代さんだった長い時代を、グルッと巻き戻したね。


●はいこれが、2016年の草刈正雄。毛皮の渋いオッサン武将。

草刈正雄AFTER

●でこれが、1982年の草刈正雄。天才的ライダーで天才的ジゴロ。イケメン!

草刈正雄BEFORE



この、草刈正雄の流れから、音楽の話に行くね。

ROSEMARY BUTLER「汚れた英雄」

ROSEMARY BUTLER「汚れた英雄」1982年
●この映画知ってる人覚えてる人は、立派なアラフォー以上の世代の人でしょう。80年代「角川映画」全盛期の中で、とうとうオーナー社長・角川春樹が自分で監督しちゃった初めての作品。ここで草刈正雄は天才バイクレーサーを演じてる。キレッキレのイケメンである彼はスポンサードをジゴロのような方法で女性から獲得していくのだが…。とか書きながら、このへんのストーリーの骨格は今ウィキ見て知ったまでで、当時テレビでこの映画見た時の記憶は、かっこいいバイクとレースシーン、そして何回も言ってるけど草刈正雄のイケメンぶりだけ。
●ただ、この主題歌は、強烈に覚えてる。本編というより映画のテレビCMで乱発されてたから。全編英詞のハードロックで女性ボーカルが艶っぽくてカッコイイ。「角川映画」は当時の社長・角川春樹が積極的に推し進めた書籍と映画のメディアミックスで大量のヒット映画を量産。その中では、大量のテレビCM出稿ってのも画期的な戦術だったらしい。70〜80年代の映画界は後発メディアのテレビに敵意が強く、宣伝にテレビを用いなかったらしい。彼はこの禁忌を破ったという。その後敵対して彼を会社から追放した実弟・角川歴彦が、現在ドワンゴと経営統合してネットカルチャーと事業シナジーを産もうとしているのと、奇しくもそっくりな状況がかつてあったわけだ。今のテレビ業界が YouTube みたいなネット動画広告媒体などなどで番組宣伝をしないのと同じだね。
●で、この ROSEMARY BUTLER という女性シンガー。ノリノリのハードロック・ボーカルが痛快で、レースの緊張を煽るには最高なのだが、一体誰なのか?よくわからん。ネットで検索すると、英語ウィキに記事化されてる!最初はベーシストとして活動を始めて、THE LADYBIRDS というバンドで1964年にストーンズのテレビショウの前座をしてる(当時女子高生?)。その後は1971年にガールズバンド BIRTHA を結成。1975年の解散まで2枚のアルバムを残す。バンドを閉じてからはバックシンガーとして活動。BONNIE RAITT、LINDA RONSTADT、NIEL YOUNG などと仕事をして1983年にソロアルバムをリリース。でも結局彼女の最高の活躍は、このシングルだったらしい。A面「汚れた英雄(原題は「RIDING HIGH」っていうっぽい)、B面は「THE LAST HERO」というスローバラード。…つーか、そしたら彼女イマ何歳?「汚れた英雄」の頃は30歳代中盤?現在は…60歳代!?でもセカンドアルバムを2013年に出したって書いてあるよ。
●ちなみに、このシングルEPを見つけたのは滋賀県彦根市の「初恋レコード」というお店。100円で採取。このお店ではアレコレユニークな音源たくさん買ったけど、それ以上の衝撃的体験をしたもんだ。いずれ消化できたら丁寧にブログに書きたいです。

「光の天使 CHILDREN OF THE LIGHT」

KEITH EMERSON FEAT. ROSEMARY BUTLER「光の天使 CHILDREN OF THE LIGHT」1983年
●謎のシンガー ROSEMARY BUTLER にはもう一つ重要な仕事が日本に残されてる。角川映画初のアニメ映画「幻魔大戦」のテーマソングを歌っているのだ。監督:りんたろう、キャラクターデザイン・原画:大友克洋!(←彼にとって初めてのアニメの仕事!)制作:マッドハウス。原作はSF作家・平井和正石森章太郎による60年代のマンガだったようだが、1983年当時は頑張って小説版を読んだよ!小学4〜5年生には手強い分量だった…。で、テーマを手がけているのがなんと THE NICE / EMERSON, LAKE & PARMER のプログレキーボーディスト、KEITH EMERSON だった!当然小学生のボクにはその情報は理解できなかったが、大学生になってからレコ屋で発掘して、クラブ遊びでDJする時にはインストトラックである「地球を護る者」をかけまくった覚えがある…変わり者の旧友コバヤシのリクエストで。キーボードの荘厳なテーマがダイナミックに展開する様子が勇ましくて…実際映画の中でも幻魔との超能力戦闘シーンでこのプログレチューンが鳴ってたはずで、あのアニメ見た人は忘れられないはず。
ROSEMARY がボーカルを務めた「光の天使」はエンドテーマとCMソングに使われてたと思う。だから曲の内容は知ってた…展開がやや単調なので覚えやすいし。ただ、「汚れた英雄」「光の天使」ボーカルが同一人物だったというのは、今回このへんのドーナツ盤をいろいろ聴いてて初めて気づいた。こんな冷静に文章書いているけど、その瞬間は「やべーマジかよ同じ人だよ!」と感動しまくったよ。でこの人物を検索しまくったというわけ。自分のキャリアを盛り立てるために必死だったシンガーがわざわざ単身アメリカから日本にまでやってきて頑張ってたんだなーってことに思いを馳せる。
●あと、もう一つ大事なことが。KEITH EMERSON今年3月に自殺しちゃったよね。ピストルで頭を撃ち抜いちゃった…。晩年のパートナーだった日本人女性が英紙デイリーメールに語ったところによると「ここ数年、右手と右腕に問題を抱えていたのです。数年前、病気の筋肉を取り除く手術を受けたのですが、彼の右手の痛みと神経の問題は悪化していきました」「彼はちゃんと弾けるか心配で、悩んでいました。(今年4月に予定されていた)日本のコンサートの後、彼は引退しようと計画していたのです」「彼はファンをがっかりさせたくなかったのです。彼は完璧主義者で、万全な演奏ができないという考えが彼を憂鬱かつ、ナーヴァスにし、不安にさせていたのです」。ソーシャルでエゴサーチして心ないコメントに苦しんでたようです…。

原田知世「時をかける少女」

原田知世「時をかける少女」1983年
「時かけ」大林版1983年/細田守アニメ版2006年/仲里依紗実写版2010年をまとめて見てみたことを以前書いて(こちらの記事http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1302.html)、デビュー時17歳の原田知世さんのかなり心細いボーカル能力についてはひとしきり語ったので、もう詳しくは書きませんけど、やっぱ味わい深いわー。安田成美のデビュー曲「風の谷のナウシカ」の仕上がりのスゴさに、宮崎駿監督は本編で一ミリも使わなかったという逸話を連想するわー。結果的にそんな曲は、だからこそ愛おしくなって手元に置いておきたくなる。このEPも彦根「初恋レコード」にて100円で購入。
●ただ、当時の角川映画がすごいのは、1978年から1988年まで毎年複数作品、多くて9本をコンスタントに供給し続けたことだね。こと、この「汚れた英雄」「幻魔大戦」「時かけ」の時期はそのペースが頂点に上り詰めてた時期。1981年は橋本環奈リメイクで最近話題の「セーラー服と機関銃」薬師丸ひろ子さんの「ねらわれた学園」、あとは「魔界転生」「スローなブギにしてくれ」とか。1982年はつかこうへい原作「蒲田行進曲」真田広之のアクション映画「伊賀忍法帖」そして「汚れた英雄」。1983年は「幻魔大戦」「時かけ」薬師丸のコンボ攻撃「探偵物語」「里見八犬伝」(職場の若手がこの「探偵物語」松田優作のドラマと完全に混同しとった)。1984年がすごい。薬師丸、原田と続く角川ヒロイン第三の刺客・渡辺典子赤川次郎原作「いつか誰かが殺される」「晴れ、ときどき殺人」でコンボアタック、薬師丸「メイン・テーマ」「Wの悲劇」原田はニューカレドニアで「天国に一番近い島」真田広之と鹿賀丈史が味を出しまくった「麻雀放浪記」などなど、実に豊作なのだ。この後も「二代目はクリスチャン」「キャバレー」などなどを繰り出し、「ぼくらの七日間戦争」宮沢りえを世に送り出す。

薬師丸ひろ子「あなたを・もっと・知りたくて」

薬師丸ひろ子「あなたを・もっと・知りたくて」1985年
●というコトで、シンガー・薬師丸ひろ子を・もっと・知りたくて角川映画関連が良かったんだけどそれは見つからなかった。これはちょうど角川映画から独立した頃に、NTTのCMソングとしてリリースされたシングル。このジャケ写、もっと広いサイズだと彼女は右手で電話の受話器を持ってるんです。あとこのタイミングの NTT ってのが重要。1985年って電電公社から民営化されて NTT が誕生した年なんですから。電電公社=日本電信電話公社NTT=日本電信電話株式会社日本専売公社 JT(日本たばこ産業)になったのも同じ1985年。国鉄JRグループに分割されたのが1987年。これ結構重要ニュースだったんだけど、ゆとり世代にはわかるまいよ。そんな時代とは関係なく薬師丸ひろ子さんはとても歌がうまい。作詞:松本隆、作曲:筒美京平

竹内まりや「夢の続き」

竹内まりや「夢の続き」1987年
●角川映画じゃないけど、これも好きな映画のテーマソングなんです。主演:時任三郎・ジョニー大倉「ハワイアン・ドリーム」1987年。二人のチンピラがひょんなことからハワイに移住して楽しい毎日を過ごすも、その刹那的な生き方がちょっぴり切なくて。ある意味でとってもバブルな映画なのかもしれないけど、当時中学生のボクにはキラキラしてたかな。ハワイがどんなトコかも知らないのに。で、この主題歌であるところのこの曲は、山下達郎さんアレンジのスマートなディスコファンク和製レアグルーヴとしてもっと評価されるべき名曲と僕は思ってます。でもね、大事なのはリリック。刹那的な享楽と背中合わせの虚しさがないまぜになって、まりやさんの声で優しく歌われると、なんとも言えない気分になる。

「昨日と同じ一日が暮れて 彼女は深い溜息とともに眠る
 果たせなかった約束 またひとつ増えただけ それでも明日を夢見る
 BABY BABY, CLOSE YOUR EYES 
 GO BACK INTO YOUR ENDLESS DREAM
 目覚める頃は とっくに笑顔が戻ってる

 いい事だけを信じてるうちに すべてを許せる自分に会える いつか
 あんなに愛した人も 愛してくれた人も 振り向けばただの幻
 BABY BABY, DON'T THINK YOU'RE LONELY 
 DON'T GIVE UO LOVIN' SOMEBODY NEW
 繰り返される別れに 臆病にならないで 
 AH 淋しいなんて AH 感じるひまもないくらい」


松任谷由実「VOYAGER」

松任谷由実「VOYAGER 日付のない墓標」1984年
●この曲も映画の主題歌です。小松左京脚本のSF映画「さよならジュピター」地球に接近してくるブラックホールの軌道をずらすため、木星を爆発させる作戦を立てる技術者たち。宇宙船のデザインも斬新に不格好で、がゆえに奇妙なリアリズムがあった…さすが小松左京先生、他の宇宙モノとは一味違うぜ的な感想…バカっぽいけど勘弁してくださいね、基本全部小学生〜中学生時代の記憶で書いてるんですから今日の記事は。気合いで小説も読んだよ。主演は確か、三浦友和さん。彼もイケメンから脇を固める味あるオッサンになれました。温厚な町医者(「三丁目の夕日」)からヤクザの幹部(「アウトレイジ」)まで。草刈正雄さんと一緒。
ユーミンがアルバム「VOYAGER」1983年にこの曲を収録しなかったのはナゼだろう?とずーっと思ってたんだけど、冷静に見るとアルバムリリースに映画公開が間に合わなかったのよね。アルバムは1983年12月発売。映画は1984年3月公開。シングルはその中間で1984年2月発売。むー微妙だねー。

●松任谷由実/小田和正/財津和夫「今だから」

松任谷由実/小田和正/財津和夫「今だから」1985年
●この曲もレアだったから報告させてください、もはや映画関係ないけど。このシングルも、アルバムとかその後のCDとかに全然収録されてない曲なんですわ。オリコン一位のヒット曲だし、ベストテンかトップテンかでテレビパフォーマンスも見た覚えがある。なのに、全く無視されてる。だと、ますます聴きたくなっちゃうんだよね。
●まーユーミンに、小田和正に、財津和夫と、今となっては調整のつきようもない大物コラボの座組に、後から第三者が手を突っ込むと激しく面倒くさいことになりそう。当時ですら東芝EMIとファンハウスのレーベル越境という異例のリリースだった。大人の事情を差し置いて三人のテンションだけで出来上がっちゃったとしか思えない。反対に今、形にしようと思えば三人本人に直接同時に意思合意を取り付けないと、絶対再リリースなんてできないよね。おまけに三人は健在でもレーベルは現在淘汰吸収されてるんですけど。
●という事で、長年にわたり埃っぽいドーナツ盤売り場を掘り掘りしてやっとこの先日に発見しました。町田の「レコードショップ PAM」にて400円で採取。ジャケも初めて見たわ。
●それとクレジットを見て驚いた。三人連名プロデュースとあるが、実はバンドも豪華!サウンドプロデュースとキーボードに坂本龍一、ドラムに高橋幸宏、ギターに高中正義、ベースは後藤次利と、YMOからのサディスティックミカバンド系統の人々で固められてた!結果、思った以上にタッチが強いピキピキのシンセポップアレンジだった。
●で、実際に聴いてみると、気のせいかユーミン小田さんの存在感が強くて、財津さんが控えめ…。小田さんと財津さん、大きく分ければ透明感あるハイトーンで似たタイプのボーカリスト、区別がつきにくいーと思いながらも、やっぱ小田さんに偏ってるなあって感じた。今改めてウィキとかで調べると、ユーミン&小田さんペースで制作は進められて財津さんの意見はあまり採用されなかったみたい。なるほどねー。ちなみにB面は、バックトラックが静謐なピアノソロ+ほんのりシンセのバラード基調アレンジ。これはこれでご一興。

ALFEE「THE RENAISSANCE」

ALFEE「THE RENAISSANCE」1984年
●悪ノリでもう一枚、80年代映画ネタ。これもシングルで探したんだけど発見できないままアルバムでゲット。ここに「STARSHIP - 光を求めて - 」というシングル曲が収録されてる。これがアニメ映画「SF新世紀レンズマン」1984年の主題歌だったのです。これは福岡のレコ屋「田口商会 KEYAKI」にて400円で採取。
●……ていうかそもそも皆さん「レンズマン」知らないでしょ!ボクがこのレコード抱きしめてウットリと「レンズマン」の話したらワイフ大爆笑しやがった。「レンズマンってなんか弱そう!レンズを何に使うの?メガネかけてるの?あははは」違うよ!アメリカSFファンタジーの古典シリーズなんだよ!戦前の小説作品をアニメで復刻したんだよ。ある日地球の若者が宇宙人にレンズを授けられて悪のボスコニアン文明と戦うんだよ!「で?レンズは?」手首というか手の甲にくっつくのです。「で何に使うの?レンズ?」うーんと忘れた…別に武器じゃなかった気が…これも小学生の時、錦糸町の劇場で友達と見た以来、全然縁がなくてよく覚えてないのです。ただ、この時代にしては最先端のCG技術を使って不気味な敵戦艦や味方のクールな戦闘機を描き、かっこいい戦闘シーンに感動した記憶があるわけですわ。
「STARSHIP - 光を求めて - 」は記憶のイメージのままに、CGで描かれた戦闘機のようにクールでクッキリとしたロックで痛快。サビ前のCメロクライマックスでは、桜井さんに代わり高見沢さんがメインボーカルをとって、キンキンのハイトーンで煽りまくる。シンセの節回しが微妙にアイリッシュ風味で、明るい早弾きハードロックギターソロもお見事。
●元来1974年デビュー以降のアルフィー(当時の綴りは ALFIE)はアイドル的人気を狙ったフォークバンドだったが、1982年あたりからどんどんハードロックの要素を盛り込むようになって、バンドリーダーも坂崎さんから高見沢さんへ交代。1983年で「メリーアン」がブレイク。1984年は「星空のディスタンス」がヒットして人気バンドの仲間入り。「STARSHIP」はその「星空の〜」の次のシングルで、この二曲は一緒にこのアルバムに収めされてる。…ただ、いわゆるヒット曲以外の ALFEE なんて初めて聴く。そんで衝撃!アルバム楽曲聴くとメチャメチャハードロックでビビる。つーか速度が速くてほとんどスラッシュメタル。ギターソロ長い。絶叫ハイトーンボーカル。しかもちょっとした組曲構成でプログレ要素も炸裂。こんなことしてたんかい!?ビックリするわ。中でもスラッシーな曲のタイトルが「鋼鉄の巨人」…ヘヴィメタル!



●さてなんかいい動画あるかな?
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