● tumblr やりすぎて、タイムライン転がしすぎて、酔う。

娘ヒヨコ中学二年生が学校の宿題やってた。お題が「メディア・リテラシー」と知って思わず苦笑。
●だって、新聞取ってない家庭が半分というのに、題材を新聞記事にしようってのに無理があるでしょ。先生、新聞ない家の子に新聞紙配ってたそうな。我が家も今は「読売中高生新聞」しか取ってない(「読売小学生新聞」の方が面白かった)。最後はもうネットの記事でもイイってことになってた。
ヒヨコは、オバマ大統領の広島訪問を題材に選んでた。何書けばイイかな?って聞くから、広島の平和祈念館にはヒヨコも昔行ったことあるだろ、オバマさんがアソコで同じものを見てるんだから、自分の感じたことと重ねてみろって言っておいた。…うん、あそこは本当に怖かった…とヒヨコ。それと、ここに複数新聞があれば分かるはずだったけど、オバマさんに原爆投下を謝ってほしいと書いてたニュースはあまりなかったと思う。それはナゼだか考えてみろって言っておいた。

一方、息子ノマド中学三年生の宿題は、三島由紀夫の感想文。
●リビングテーブルに原稿用紙を揃えているのに、一向に書き始めることもなくずっとスマホいじってる。何してんのかなと思ったら、なんと、スマホのメモアプリに、フリック入力で下書きを書いてた。ノマドお前、紙に書くよりフリック入力の方が文章書きやすいのか!?あーソコに何か不思議なことがあるのか?という顔された。
●ボクは実はフリック入力ができない。スマホでもキーボードを出してあの細かいボタンを押す。その一方で、ボク自身ももう紙と鉛筆じゃ文章が書けなくなってる。今はどんな会議でも全部 PC にメモする。ボールペン一本も持たない。下手な字が一層下手になった。実際、手書きだと文章を書くスピードが異常に遅くなる。脳みそが文章を書くのか?指が文章を書くのか?脳よりも指とデバイスにイニシャティブがあるのではないか。なんとなくそんなことを思う。

息子ノマド中学三年生は、毎日ゲーム「スプラトゥーン」に夢中。
●後方から狙撃するような地味な戦い方をするんだけど、ランク「S」をずっとキープしてる。twitter で友達と連絡取り合って、時間を揃えてログインしては一緒にプレイしてるらしい。
●しかし、あんまり毎日やりこむもんだから、ワイフがうるさい!と。ヘッドホンでやれと。ということで、下北沢ヴィレヴァンで買ったお気に入りの赤いヘッドホンを装着してプレイしてる。で、静か。しかし。静かなんだけど、別の音が気になりだした。ノマド自身の呼吸音。すごい勢いでスウーッ!フウーッ!と呼吸してる。ジョジョなら呼吸法で波紋を練っているのか?と思うほどの音。「山吹色の波紋疾走(サンライトイエロー・オーバードライブ)」みたいな感じ。そんで、悔しい負け方すると過呼吸起こして半ベソになるらしい。
●ゲーム「スプラトゥーン」はかわいいデザインにくるまってるけど、実際はアメリカ風の一人称シューティング虐殺バトル市街戦だから、ズバリ射ち殺し合いだから、あんま精神健康に良くないかもな。あんな息遣いで、中東のアメリカ兵やテロ戦士は戦うのか?この前映画「アメリカンスナイパー」をDVDで見たから、なんだか生々しいわ。



●今日はドラムンベースを聴く。

LTJ BUKEM「SOME BLUE NOTES OF DRUMNBASS」

LTJ BUKEM「SOME BLUE NOTES OF DRUM'N'BASS」2004年
ドラムンベースは、90年代のダンスミュージック実験としては大きな収穫を上げたムーブメントだったと思う。イギリスって国ならではの、ハイブリットなグルーヴ。白人向けには超高速ハイハット、黒人向けにはゆったりしたダブベースと二重構造を形成。ルーツにはジャマイカのダンスホールレゲエがありながら、そのビートの自由さを受け継いで、高度に洗練されたビート構築実験もアレコレ行われた…変拍子を取り込んだスタイルは数学的とも言われたし、ハウス、アシッドジャズ、ビッグビート、ヒップホップ、ロックと周辺文化も貪婪に呑み込んでいった。
●で、2000年を超えたあたりでシーンは成熟しきって落ち着いてきたかなーという段階がこの時代の音源かと。様々な作風を各アーティストやグループが競い合う中で、本作品の主役 LTJ BUKEM とそのレーベル GOOD LOOKING の所属メンバーは、90年代のシーン初期の段階から、一番わかりやすいクールなスタイルを発信していたと思う。ちょうどジャズフュージョンをディープなハウスで包んだようなアプローチで、実に耳に優しい。そのDJスタイルは、まるで銀河の回転を遠くから眺めているよう。細かい星々が視界をハイスピードで流れていく中、銀河の中心は泰然としてゆっくりと回転していく。ハイハットとダブベースの二重グルーヴが華麗に統合されて、スペーシーなアトモスフィアを構成している。ぼくは、彼のDJは90年代当時の来日で実際に何度か聴いてる…西麻布イエローとか新宿時代のリキッドルームとか。メガネキャラという点でもインテリなイメージを醸し出してたね。
BUKEM による選曲で、盟友たちの音源が並んでいる。ドラムンベース界隈ではよく見る連中。PESHAY はオーセンティックなドラムンベースにジャズフュージョンのテイストを盛り込んだスタイルで。BUKEM 自身はブラジルのリズムとテイストを大胆に導入。日本人アーティスト MAKOTO は女性シンガー LORI FINE(ハウスユニット COLDFEET のボーカルだよね)を招いて R&B 色を強めている。トリップホップ的アプローチも交えつつも、最後は DOC SCOTT「TOKYO DAWN」という曲でいかにも GOOD LOOKING らしい繊細なSF感覚とスペーシーなダブ感覚で締めくくってる。

MC CONRAD「VOCALIST 01」

MC CONRAD「VOCALIST 01」2001年
●このCDは、北千住ファンタンゴレコードで見つけたんだっけな。ちょっとコレは嬉しかった!LTJ BUKEM のスタイルは、耳に優しく可憐なんだけど、クラブでの深夜ロングプレイとなると、やや単調で退屈になるって弱点があったんですわ。ただ、そんな時に、DJブースの中でこの男 MC CONRAD がフリースタイルのラップで煽ってくれると、これが実にアジテイタブルで一気にフロアがスリリングになる。そんな男のソロアルバムがあるとは。
MC CONRAD の声は低く太く、ハイテンポなトラックに合わせた男らしいラップは、ヒップホップに例えれば CHUCK D KRS-ONE のようなミドルスクールの印象がある。ただ「MC」という言葉に本来の「マスターオブセレモニー」の意味だけでなく「マイクロフォンコントローラー」という意味も持たせる彼のラップは、ラップをしながら手元でエフェクタを自分で操作してエコーやディレイ効果を施し、独特のダビーな感触をその場で作っていく。これ、西麻布イエローでのイベントの様子をブースの真上から彼らの様子を眺めてる時に気付いたんだよね。CONRAD は基本立ち位置を変えず、ずっと狭いブースの中の BUKEM の隣から離れない。と思ったら、右手でマイクを握りラップしながら、左手で機材のツマミをずっとイジっているのですよ。ほーっ!スゲえな。
●トラック制作はみんな GOOD LOOKING 一派のみなさん。BUKEM を代表に、AXIS、BLAME、PHD などなどが参加。一派のもう一人のMC、DRS も活躍。彼のアルバムも出てるみたいだから探してみたい。

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●娘ヒヨコ、我が地元・下北沢で「おそ松さん」の缶バッジをバックパックにたくさんつけたお姉さんを見かけたとな。
●しかも、6人均等じゃなくて「十四松」だけだったとな!「十四松」!6兄弟の中でも一番奇抜な天然バカキャラ!いーねー十四松ヒヨコも大好きだよねーあのお姉さんセンスいいよねーと父娘でひとしきり笑う。でも検索すると彼の声担当が小野大輔さん。ボクでも知ってる人気声優。小野さんに引っ張られての十四松押しだったのかな。声優世界、もっと研究しないとな。



●最近は2ステップを聴いている。もうみんな忘れちゃったムーブメントじゃなかろうか。

THE ARTFUL DODGER「THE ARTFUL DODGER PRESENTS RE-REWIND BACK BY PUBLIC DEMAND」

ARTFUL DODGER「THE ARTFUL DODGER PRESENTS RE-REWIND BACK BY PUBLIC DEMAND」2000年
2ステップ1990年代末から2000年代初頭にかけて一瞬だけ煌めいてスグに消えて無くなったダンスミュージックのスタイル。パッと咲いてパッと散った時代の徒花のような存在だったように思える。1990年代を賑やかしたドラムンベースのムーブメントが成熟しきって徐々に勢いを失ってきた頃、その後継スタイルのような存在として登場。地下世界発信のゲットーミュージックの野趣が味になっていたドラムンベース/ジャングルと違い、高度に洗練されたオシャレさが少々ハイプな匂いすら感じさせていたこの音楽は、ロンドンアイや現代的高層ビルがニョキニョキと出来たりして、伝統と革新が入り混じる都市に変貌していくロンドンの楽天的な未来観を象徴していたかのように思えた。
2ステップという名前は、小節の中の2拍目と4拍目、つまり偶数拍にリズムのアクセントをつけてるのが由来。ハウスミュージックの4つ打ちフォーマットを解体した結果、そのビートは実に自由奔放となって、ベースとキックがポンポンと小気味よく弾み、可憐なハイハットが楽しげに踊るようになる。ドラムンベースによるビート実験の収穫をうまくすくい取って、自由なブレイクビーツ感覚をグラマラスでハウシーな洗練美に結晶させたような音楽。ドラムンベースゆったりしたダブベースと高速ハイハットの二重構造でフロアの楽しみ方を二通り用意したように、2ステップ四つ打ちグルーヴと偶数拍グルーヴの二重構造を採用することでが二通りの解釈ができるようにになってる。UK ガラージ とも呼ばれて、ハウス好きのクラウドを中心に、ミレニアムのダンスフロアをオシャレに沸かせていたはずだ。とはいえ華奢な印象は否めなくて。だから短命だったのかな。
●このCDは、2ステップ・シーンの中核を担ったプロデュースチーム ARTFUL DODGER がコンパイルしたミックス盤で、当時のフロアを揺らした名曲がいっぱい入っている。特に注目はやっぱり1999年に発表された彼らの代表曲「RE-REWIND」。その後ソロシンガーとしてブレイクする CRAIG DAVID をフィーチャー、彼の、歌唱とラップの中間をいくような特徴的なスタイルが実に効果的で、そんな彼の声をブンブンと唸るベースにしびれるトラックに配置してる。ARTFUL DODGER って単語を直訳すると「イカサマ」「サギ師」という意味になる。時代の徒花のようなダンスミュージックを一瞬だけでも華麗に咲かせた様子を「イカサマ」とするならば、彼らは超一流のサギ師だ。
●その他の注目曲は、これまた ARTFUL DODGER CRAIG DAVID の共作「WOMAN TROUBLE」ALL SAINTS「I KNOW WHERE IT'S AT (WIDEBOYS REMIX)」 ALL SAINTS なんてココでしか聴いたことがないよ。

MJ COLE「SINCERE」

MJ COLE「SINCERE」2000年
●ダンスフロアでの評価を高めていても、アーティスト単位のアルバムがたくさんリリースされるまでシーンが成熟するにはワリと時間がかかるのがダンスミュージックの宿命。その中でもいち早くフロアから離れてホームリスニング対応のアルバムをリリースしたのが「2ステップの貴公子」ともいうべき存在感を放ったこのトラックメイカー MJ COLE。クラシック音楽の教育/教養を備えた若き秀英は、ドラムンベースの世界からキャリアを起こしながらもすぐにこの新型ムーブメントに着目。そしてこの才能が、80年代後半以来の UK シーンを支配してきたカリスマDJ GILES PETERSON にフックアップされる。で彼のレーベル TALKIN' LOUD からリリースされたのがこのCD。アシッドジャズからドラムンベースへシフトしてきた TALKIN' LOUD が次なる潮流として2ステップにアプローチした瞬間だ。
●小気味良い2ステップのビートに、可憐な鍵盤楽器またはストリングス、ジャズギター、各種サンプルのウワモノを配置してよりガラージ感が成熟。そしてハウシーでエモーショナルな女性ボーカルがドンと乗っかる。時には、高速ビートを華麗に乗りこなすラップも活躍。この2ステップに関与した高速ラップが、後にUK独自のヒップホップ進化から産み落とされるグライムというスタイルに結実するグライムもたくさん聴いたけど、このブログでは触れきれてないな。そのうちちゃんと取り上げたいです。

MJ COLE「CUT THE CHASE」

MJ COLE「CUT TO THE CHASE」2003年
●歌モノ/メロディーものとしての成熟でホームリスニング仕様に傾けた感がある前作に比べ、フロアオリエンテッドな気配がちょっと濃くなった彼のセカンドアルバム。もちろんレーベルは TALKIN' LOUD。ジャマイカから ELEPHANT MAN を召喚するなどラガ要素ダブ要素が濃くなったり、グライム系ラッパー/シンガーの活発な起用などでよりカラフルに芸風が広がったとも言える。
●完璧な2ステップのトラックにグライムな高速ラップが乗る「LIVE MY LIFE」や、ダンスホールレゲエのグルーヴと2ステップが合体した「RUFF LIKE ME」文字通りラフ&タフな野趣がいい感じ。一方で、可憐でキュートな高速2ステップ「PERFECT PITCH」フィリー系ネオソウルの女傑 JILL SCOTT を召喚してるあたりも大成功。でも、ストリングスで華麗にドレスアップされたハウス感覚がフロア/ホーム両方で最高に機能してる「HONESTY」が一番好き。
●結局、アルバム単位でのリリースは MJ COLE にとってこれが最後になってるみたい。ダンスミュージックは徒花。継続的にアルバムをリリースしていくのは難しいようだ。でもシングル単位のリリースは継続してて、リミックス仕事でも活躍中。
2000〜2003年のダンスミュージックといば、2ステップの他にもたくさんの動きがあって。ヨーロッパのエピックトランス(オランダ系が強くてダッチトランスとも呼ばれてたような)、イギリス国内で支持を集めてたディープハウス〜プログレッシブハウス、そんで日本のパラパラ(ある意味で強烈に奇矯なダンスカルチャー)が局地的に猛威を振るってた。その後は KITSUNE 一派から端を発するフレンチエレクトロの旋風、それと並走してバンドサウンドと合体するニューレイヴ、それを乗り越えての2010年代 EDM の登場って流れがあるのかな。2ステップに先行する1997〜99年頃にはスピードガラージってシーンもあったけど、それこそ徒花過ぎてほとんどチェックできなかった。

CRAIG DAVID「GREATEST HITS」

CRAIG DAVID「TRUST ME」

CRAIG DAVID「GREATEST HITS」2000〜2008年
CRAIG DAVID「TRUST ME」2007年
ARTFUL DODGER によってフックアップされて「REWIND」で彼の絶妙なボーカル/フロウが評価されたのは1999年のこと。2000年でアルバムデビューした時で彼は二十歳になるかならないか。実に早熟。この段階で、完全に独特のシンガーとしてのスタイルがこの段階で出来上がっていたのだから。繊細なハイトーンを駆使して、ラップのように言葉をギュッと詰め込んでみたり、その甘い美声を伸びやかに聴かせてみたり。その緩急のバランスも実にユニークだった。ファーストアルバム「BORN TO DO IT」2000年の時、彼の音楽を最初にボクが聴いたのはフィンランド・ヘルシンキのホテルに旅行で滞在してた時の音楽テレビ番組だったっけ。すぐにヘルシンキの街で探したけど見つからなくて。結局日本で買ったです。その初期の名曲「7 DAYS」「FILL ME IN」「REWIND」もしっかりこのベスト盤「GREATEST HITS」には収録されてる。
●しかし、彼はセカンドアルバムの段階から既にスタイルとしての2ステップには距離を作って、もっとオーセンティックなUKソウルの王道を目指す。この路線変更には当時正直言えばだいぶガッカリした…もっと2ステップの可能性を拡大してくれればいいのに、普通のシンガーになっちゃったよ…ってな感じで。時間が経った今だから冷静に聴けるのかな。STING の90年代の楽曲「SHAPE OF MY HEART」からフックラインを拝借した「RISE & FALL」などは UK らしいアーバンR&Bに仕上がって、耳に心地いい。ただ、一旦は彼から興味が失せた時期があったのは間違いないんだよね。しかし4枚目の大味な攻撃には面白くなっちゃった。
●彼の4枚目にあたるアルバム「TRUST ME」では DAVID BOWIE の大ヒット曲「LET'S DANCE」を大胆に大ネタ使い。同じ時期には中東系シンガー KARL WOLF TOTO「AFRICA」大ネタ使いがあったりもしてたけど、コッチの方が大胆で効果的。ドメジャーなシンガーとしての貫禄がつきまくっている。やはり80年代気分のメロウネスが印象的な「KINDA GIRL FOR ME」、 軽快なダンスステップが楽しい「6 OF 1 THING」、客演に RITA OLA を迎えたほんのりモータウンスローバックなアーシー気分の「AWKWARD」グライム系ラッパー KANO を召喚した「THIS IS THE GIRL」など、聴きどころは多い。2ステップとは関係ない文脈で、才能を存分に発揮する立派なシンガーに成長してる。

AYUSE KOZUE「A♥K」

AYUSE KOZUE「A❤︎K」2007年
ジェイポップの中に、2ステップのエッセンスを導入して登場した早熟な歌姫。もっともっと彼女の野心的な音楽は評価されてほしい!デビューの瞬間から彼女の音楽に惚れ込んでそのまま4枚わざわざシングル全部買った上で、満を持して迎えたこのファーストアルバムは、長い時間が経ったけど今だにボクのオールタイム愛聴盤です。
●彼女が二十歳そこそこでシーンに登場した2006〜2008年ごろは、着うた系 R&B シンガーのブームが最盛期(または「着うた」という音楽聴取スタイルが最盛期)だった頃で、青山テルマ加藤ミリヤ西野カナなどなどが世間から注目を集めていた…そんなジャパニース R&B のアプローチに2ステップをブッ込んできたのは実に新鮮だった。彼女はシンガーソングライターで、作詞作曲だけでなくプログラミングまで担ってトラック制作もアレンジもする。なんと!この2ステップも彼女本人由来のセンスか!?確かにプロデュースに TEI TOWA TAKU TAKAHASHI(M-FLO)など、日本へ2ステップを紹介した人々が関与してるけど、完全に自分のものにしてる。CRAIG DAVID のように、ラップのように歌詞を詰め込んでいく場所と、のびのびとファルセットで歌い上げる場所のメリハリを作っていて、 その緩急が実にスリリング。そんなアプローチが他のアーティストと彼女の存在感を圧倒的に差別化していた。加えて言えば、彼女の声、そして楽しそうに歌うMVでの表情が、すごくキュートなんだよね。
TOWA 氏バックアップのデビュー曲「BOYFRIEND」は、それこそゴージャスなアレンジで洗練された純然たる2ステップで、そのビートに日本語が絡む新鮮さが今でもユニークなラブソング。スチャダラ BOSE さんを召喚した「SUNDAE LOVE」は若い彼女のチャーミングさと瑞々しさが炸裂。このへん、他のR&BよりもBPMが速くてボクにはよりキャッチーに聴こえるんだけどね。スローテンポ楽曲「思い出すよ」では BUMBLE BEE という女性ラッパーを客演に招いてる。このラップが朴訥としてていい味…。アルバムを通すと決して2ステップ一本槍ではないけど、トラックメイキングにいちいちワザアリな感じが一貫してる。それがメランコリックなバラードであっても。
●シングルまでチェックするとリミックスでも気合が入ってることがますますわかる。本場 UK ドラムンベースの大御所 SHY-FX & T-POWER や北欧のハウスプロデューサー RASMUS FABER、京都の新鋭ハウスアーティスト HALFBY などに依頼してる。すげーなー。
●当時、日本で2ステップを導入しようとしていたのは、前述の TEI TOWA さん。SWEET ROBOT AGAINST THE MACHINE 名義の DENIECE WILLIAMS カバー「FREE」2003年がめっちゃ佳曲。M-FLO もだいぶ早いアプローチで、三人体制時代のヒット曲「COME AGAIN」2001年ですでにトライしてる。MONDO GROSSO大沢伸一氏もアシッドジャズからハウス路線に傾く中で「LIFE」「BUTTERFLY」2000年というシングルをリリースしてる…彼の場合その後はハードなエレクトロにまで突き進んでいくのだけれども。

●ダラダラ書いたけど、結局は AYUSE KOZUE ちゃんのことをキチンと紹介したかっただけです。



●動画はあるかなー。
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西海岸アンダーグラウンド、LIVING LEGENDS の一人、MURS の音楽を聴いてます。

MURS「SWEET LORD」

MURS & 9TH WONDER「SWEET LORD」2008年
西海岸アングラヒップホップの最奥部で活躍するアーティスト集団 LIVING LEGENDS のメンバー ELIGH について先日の記事で触れた。だから、今日はやはり LIVING LEGENDS の創設メンバーであり(現在は脱退?)、ELIGH とは高校時代からつるんで活動していたラッパー MURS に触れたい。……でも、彼の音楽大好きなのに、それを表す言葉が見つからなくて…。随分と愛聴しながらもブログで紹介できなかったアーティストでした。

●チョイと飛躍があるのは重々承知なんだけど。アメリカの現職大統領オバマさんが広島を訪れて、原爆資料館を見学して、献花して、被爆者のおじいさんとハグし合った、あの一連のニュースにはジンワリ感動した。任期の最後の茶番と批判する人もいるかもしれない。「核なき世界」なんぞナンセンスという人もいるかもしれない。イラク戦争を閉じるどころかイスラム国というトンデモない化け物を引っ張り出したマヌケと批判する人もいるかもしれない。でも、あの人のリベラルな理想主義に共感してるボク自身がいるんだよな。そんな黒人大統領を本物にしたアメリカの理想主義にも共感してるんだよな。あの国も問題山積で恐ろしい病に取り憑かれてるのも、だからこそ不穏な人物が新しい指導者になるかも知れないのも承知した上で、清らかなあの国の一面を信じたい気持ちがボクにはある。

●そんな前提から聴きたくなったこのアルバムのタイトルは「SWEET LORD」「甘い君主」っていいフレーズだね。このアルバムには「MURS FOR PRESIDENT」という双子のような存在の作品がある。「MURS FOR PRESIDENT」がメジャー流通なのに対して、コッチはそのメジャー盤を買ってね!という意味でファンへタダで配られたインディ発のオマケ的存在だった模様。しかしどっちにしろ、ココらで登場してくるのは、星条旗がよく似合うチャーミングな指導者だ。今はこの陽気さやユーモアに身を浸していたい。
●どこか楽しげでコミカルな雰囲気が漂うのは、元気よく跳ねる MURS のフロウのせいか、コラボの相方、プロデューサー 9TH WONDER のカラフルでファンキーなトラックのせいか。盟友 ELIGH のラップがストイックで頑なな印象があるのに対し、MURS のフロウにはソウルフルなノリと味が痛快で親近感がわく楽しさがある。もちろん高度なスキルは当然の前提。
●トラックメイカー 9TH WONDER LITTLE BROTHER というトリオでナード系な東海岸風ヒップホップを軽やかに鳴らしていた男。THE NEPTUNES JUST BLAZE がブレイクした後の次世代注目プロデューサーみたいな位置付けでボクは見ていたし、実際、辣腕トラックメイカーとしてメジャーアーティストの仕事をバリバリこなしてる。JAY-Z、DESTINY CHILD、ERYKAH BADU …大物がゾロゾロ出てくる。その一方で、DJ PREMIER、PETE ROCK、J DILLA といった東海岸風のクラシックで王道のトラックメイキングの系譜に続く男でもある。2人連名でのコラボはすでにこれで3枚目、カラフルなサンプルが絶妙にパッチワークされてて、MURS のアングラ感を完全脱臭してくれている。

MURS 9TH WONDER「316 THE 9TH EDITION」

MURS & 9TH WONDER「3:16 THE 9TH EDITION」2004年
MURS9TH WONDER が初めて連名でリリースしたアルバム。彼らのタッグはその後10年以上も続き、2015年にもこの名義で作品を出してる。当然この段階では大統領パロディとか関係ない。厳密に王道なヒップホップが展開。多彩なサンプルと抜けのイイキックとスネアで組み上げられたトラックと、その上で力強く泳ぐようにラップする一人の男のカッコヨサ。
●レーベルがあの個性的な DEFINITIVE JUX ってのも注目!COMPANY FLOW のリーダー EL-P が主宰するアブストラクトでユニークなサウンドの巣窟ニューヨークの地下で育った異形の美学みたいな部分で光まくるこのレーベルを、ボクは探し回ってた時期もありました。とはいえ、MURS & 9TH WONDER の音楽はそのチャーミングさもひっくるめて地に足ついたメジャー感があって、レーベルイメージのアングラ気分と無縁な感じ。わずかな客演として、9TH WONDER のグループ LITTLE BROTHER のラッパー/シンガー PHONTE が一曲参加

MURS 9TH WONDER「MURRAYS REVENGE」

MURS & 9TH WONDER「MURRAY'S REVENGE」2005年
●このコンビ名義でのセカンドアルバム。この次が冒頭の「SWEET LORD」。この二枚をリリースしているのは RECORD COLLECTION とかいうロスのレーベル。ヒップホップというより、RED HOT CHILLI PEPPERS のギタリスト JOHN FRUSCIANTE不思議なソロアルバムを一年強で6枚もリリースした事で有名なレーベルらしい。FRUSCIANTE のソロは別の時期のヤツを聴いてて、バンドの印象とは無縁すぎるロウファイぶりにちょっとドン引き…そこから手が出てません。
●でも、この二人がやってることは変わらず、チャーミングなラップとカラフルなトラックを、鳴らしてる。ジャケの印象もあるのかな…妙に男臭いラップにも聴こえるなあ。こっちにも LITTLE BROTHER のメンバー BIG POOH の客演があるね。


●音、つけときます。

●MURS & 9TH WONDER「LOVE THE WAY」




●MURS & 9TH WONDER「BAD MAN !」




●MURS & 9TH WONDER「L.A.」




●MURS & 9TH WONDER「D.S.W.G (DARK SKINNED WHITE GIRL)」