会社のデスクに座ってても、容赦なく出現するポケモン。
●おちおち仕事もしてられないよ。

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それでも。家族全員でポケモン探し。
●ボクは、レベル14で、ピカチュウ2匹捕獲。ワイフは、レベル13。娘ヒヨコは塾の夏期講習で一番歩いてるから一番進んでる。息子ノマドもかなり進めてるらしいが、詳細は秘密で教えてくれない。
●夫婦二人で、ポケモン探しながら、根津を散歩したよ。で、地元のあんみつ屋さんで美味しい白玉あんみつ食べた。


「シン・ゴジラ」が公開したね。庵野秀明カントク作品。
●だから HULU で、一番最初の「ゴジラ」を見る。1954年の作品だ。

ゴジラ11

さすが1954年。モノクロだし画角は4:3。そして特撮がチャチい。「特撮の神」円谷英二の代表的仕事だけど、さすがに60年前だもんね。船が次々とナゾの沈没を繰り返す様子は、スタジオに作ったプールに模型を浮かべました感タップリで、今の感覚じゃシンドイね。
●そして、ウチのコドモが理解できないアナログなアイテムがぞくぞく登場。モールス信号で S.O.S を発信。その急報が黒電話で伝わる。ニュースを伝えるテレビは、ブラウン管がマル過ぎてむしろデザインが斬新に見える。白黒テレビは当時最新技術だったはず。だって日本のテレビ放送開始が1953年だもん。
●ただし、アナクロ趣味とこの映画を見くびってたのは序盤だけ。ゴジラが東京に接近しつつある中、電車の中の男女の雑談がボクをドキッとさせる。「原子力マグロに放射能の雨、その上今度はゴジラときたわ。せっかく長崎の原爆で命拾いした大切な体なんだもの」「そろそろ疎開先でも探すかな」「あーまた疎開か、いやだなー」……!!そうか、この時代の人たちは、みんな第二次世界大戦を通り抜けて生き残った人たちなんだ!ごく普通の雑談の中に、戦争体験がごく普通に紛れ込むのが当然の感覚なんだ!劇中の登場人物だけじゃない、この映画を見た、900万人以上の日本人みんながあの戦争をごく普通に生きた人たちなんだ!だからシレッと被曝体験や疎開経験が実感込めて語られるんだ。ちなみにこの雑談をしてた男女は、客船でのダンスパーティを楽しんでるトコロをゴジラに攻撃されてあっさり死にました。ただのモブキャラが予想以上に重たいセリフを吐いたので、一際ボクには響いたね。当時じゃ軽いセリフなんだろうけど、今だにあの戦争が外交上アレコレのビッグイシューになってる現代感覚では軽く流せない。
この認識を前提において、その後のゴジラの東京攻撃を見ると、その表現が本当に恐ろしいモノに見えてくる。その後のゴジラシリーズでは、正義の味方みたいなキャラまで与えられるこの大怪獣、しかしこの第一作においては、水爆攻撃にも耐える無敵の存在で、理屈が全く通じない純粋な破壊と暴力の象徴。それがとうとう東京の中心街に上陸して光線を吐き散らし、都市を丸焦げに焼き払う。品川、銀座、国会議事堂、全てが破壊しつくされる。コレって完全に「東京大空襲」じゃん。あの実際に起こった悪夢を、ゴジラという存在を通じて当時最先端のハイテク映像でもう一度追体験するという行為。これを最高の娯楽として楽しんだ、あの時代の人々の感覚ってなんなんだろう。ボクはまだ311フクシマとかを娯楽化する余裕はないよ。なんかいろいろなレベルで不気味になってしまった。

ゴジラ1

(東京炎上。焼け野原から再興しつつある時代に、もう一度全部を焼くの?)

●映画冒頭にクレジットされる「賛助 海上保安庁」にもドキッ。ゴジラが潜伏する海域に艦隊を派遣して爆雷を投下する作戦に、立派なフリゲート艦がたくさん登場する。これが「海上保安庁」?今の海上保安庁よりも大げさすぎる艦艇?ここにも1954年という時代が引っかかる。気になってネットで調べたら、まさしくこの年に防衛庁が設立され、陸海空の自衛隊が編成されていたのだ。その海上自衛隊の前身が、ここでいう海上保安庁管轄の海上警備隊だった。日本再軍備のキッカケになったタイミングなのだ。うわー、古典の名作は、いろいろな意味でその時代をクッキリと映しとるんだね。ここまで「ゴジラ」にやられるとは思ってなかったよ。
●ちなみにこの前実家の両親と会った時に「最初のゴジラ見た?」と聞いたら「見てねえなあ、だってオレもまだ子供だったもん」。もうすぐ70歳の両親は団塊の世代「戦争を知らない子供たち」。彼らでもこの戦争体験を軽く話す感覚は共有できてない。父親の故郷は栃木の山奥、田舎すぎて映画館がなかった?と思ったが「映画館はあった」と釘刺された。

「GODZILLA THE ALBUM」

サウンドトラック「GODZILLA: THE ALBUM」1998年
「シン・ゴジラ」公開日の金曜日、日テレ「金曜ロードショー」ではアメリカ版「GODZILLA ゴジラ」2014年が放送されてた。準主役格で渡辺謙さんがゴジラの研究者・芹沢博士として登場してる。この「芹沢博士」という名前、第一作「ゴジラ」1954年でもゴジラ研究の第一人者として同名の人物が登場していて、60年前の元祖に対するオマージュ的ギミックになってる。クジラ+ゴリラ=ゴジラの由来に忠実にしたのか、ゴリラ要素が濃くて、どこかデブなルックスがヒヨコには笑えるらしい。
●アメリカ版といえば、ボクは「GODZILLA」1998年、ローランド・エメリッヒ監督バージョンの方が印象深い。ま、実は失敗作としてのインパクトが強いね。ゴジラのデザインが大胆に翻案されて、ジュラシックパークみたいになってたこと。ゴジラがワリとアッサリ殺されちゃったこと。そしてタマゴから生まれた子ゴジラの群れが、これまたジュラシックパークの狡猾な小型恐竜ヴェロキラプトルみたいで、最後は2m程度の子ゴジラと人間の格闘戦になってたこと。この3点で、「これ、ゴジラじゃないじゃん」という結論になった。
●ここに紹介してるのは、この1998年版「GODZILLA」のサントラ。100円で買ったよ。ボクとしては THE WALL FLOWERS DAVID BOWIE「HEROES」のカバーをここで披露してるのが聴きたくて。オリジナルも絶品だけど、このバージョンも好きなんだ。当時は JAMIROQUAI「DEEPER UNDERGROUND」もヒットしたね。いつもよりも低重心なダンスファンクで当時はお気に入りだったっけ。今聞くと RAGE AGAINST THE MACHINE「NO SHELTER」もカッコイイ!リリックの中に「GOZILLA, PURE MUTHERFUCKER FILLER, TO KEEP YA EYES OFF THE REAL KILLER(ゴジラ、マジでクソな埋めグサだぜ、お前の目から本物の殺し屋を隠してる)」なんて痛烈なフレーズを仕込んでる。日本盤のボーナストラックに収録されてた L'ARC~AN~CIEL はどうでもよかった。
●主題歌の「COME WITH ME」PUFF DADDY WITH JIMMY PAGE のアプローチは当時から斬新だと思ってた。LED ZEPPELIN の傑作「KASHMIR」を大ネタ使いして PUFF DADDY が大ぶりなラップをしてるんだけど、これ JIMMY PAGE が自分でギター全部弾き直してるのね。緊張感あふれるストリングスアレンジは、元祖「ゴジラのテーマ」にインスパイアされてるようにも思える。
●そもそもでさ、第一作「ゴジラ」からかかってるあの「ゴジラのテーマ」実はなんだか強烈にエキセントリックな変拍子で、どういう構造になってるんだかよくわかんないよ。でも耳に残りまくるあのストリングスリフレインが恐ろしくキャッチー。大正生まれの作曲家・伊福部昭さんという人物が手がけた作品とのことだけど、この人、天才かも。

●ああ、「クローバーフィールド/HAKAISHA」はいい感じの怪獣パニック映画だった。これも配信でみたんだけど。むしろこれが「ゴジラ」にまっすぐ繋がってる感じ。監督は「アルマゲドン」「スターウォーズ フォースの覚醒」J.J.エイブラムス。擬似ドキュメンタリーというアプローチなんだよね。



●動画いろいろ。


●伊福部昭「ゴジラ」。



●RAGE AGAINST THE MACHINE「NO SHELTER」。



●THE WALL FLOWERS「HEROES」。





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ゲーム「POKEMON GO」がとうとう日本リリースされた。

●あんだけアメリカからのニュースであおられたらさすがに気になるわ。任天堂の株価もストップ高寸前になったというし。日本の知財が世界を支配するか?中身を作ってるのは「イングレス」ナイアンティック社だけどね。
●昨日は朝イチから商談で年間1億円の取引を議論してたのに、スマホに「POKEMON リリース」のニュース速報入ったあたりで、先方さん4名も弊社チーム4名もこっそりスマホを操作し APP STORE でダウンロード。口先では真面目に議論してるくせに、手先で全然別のコトが出来るマルチタスクなボクラのスマホ指に万歳!お客さんを見送った後で今後の対策打ち合わせとなると見せかけて、一番の先輩が「で、どうやってゲーム始めるの?」デスクに戻ったら職場みんなでスマホをのぞいて「あ!ここにいた!ゲット!」とか言ってる。
●ボクは社員食堂で昼メシ食べながらゲーム開始。しかし、コレが圧倒的に恥ずかしい!若い女の子たちがキャーキャー言いながらスマホのぞいてるのはまだカワイげがあるが、40を過ぎたボクがたった一人、何もない床や隣の席にスマホをかざして「あ、ヒトカゲだ」とか言ってるのは、あまりにも痛い痛すぎる。慌ててトレイを片付けてエレベータホールに行くもそこでもポケモン探しは恥ずかしい。で、人気のない非常階段まで逃げ込んで、自分のフロアまで10階分の階段を登りながら心置きなくポケモン探し。カメラ起動しっぱなしでスマホが熱い!
●ソーシャルのタイムラインは、昨日までのフジロック自慢な書き込みを押しのけて、ポケモン探しばっかに変貌。こんなにみんなポケモン好きだったの?実は世代じゃないからボク一ミリも通ってないんだわ。思い入れ完全にゼロ!

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さて、夜11時。仕事が終わって、29歳後輩女子(「ワタシ、ポケモン世代なんです!」って言ってた)からプレイの仕方を一通り教わって…この辺だいぶ痛い情弱オッサンな感じなんだけど…、でも!夜の街に繰り出す。
●とりあえず新橋駅前、烏森神社の周辺飲み屋さん街を突っ切って、週末の居酒屋から帰路に向かう人々の流れに逆らい歩く。「ポケスポット」なるアイテムを補充する地点をめぐり、そしてポケモンを捜索する。そのまま銀座線一駅分を歩いて虎ノ門。とりあえず、20匹ほど捕獲したぞ。ふー、それにしてもこの行為、本格的に「歩きスマホ」だ。マジ危ないマジ反社会的。酔っ払いグループの連中とゴツゴツ肩ぶつけてしまったぞ。コミコだソーシャルだキャンディクラッシュだと、すでに普段から「歩きスマホ」常習のボクの感覚でも、没入度が他のサービスに比べ強力な「POKEMON GO」は危ないと思うほど。本当に信号見ないもんね。誰かが絶対事故起こす。

●で0時ごろ家に着いたら、ワイフ&息子ノマド&娘ヒヨコ、家族全員で自分の今日の成果を報告しあってる。家族四人が全員スマホにポケモン格納してる。バカ家族!ノマドなんて今日1日だけで100匹以上ポケモン捕獲して、とっととダブったポケモンをアイテムに交換しお気に入りを強化/進化させてやがる。ワイフは下北沢のスーパーで捕獲したのにGPSの具合が悪くてアプリがフリーズ。これが3回も発生してプンプン。一方娘ヒヨコは、ポケモンカワイイけど多分三日で飽きるとな。
●ワイフのママ友のライン報告によると、大学生高校生の息子が「ちょっくら10キロほど走ってくるわ」と家を出て行ったそうな。10キロの移動でポケモンの卵が孵化するギミックがあるのよね。ポケモンはそんなヘルシーな動機付けまで作るのか!?えー。どうしようかなー。週末のヨガ教室には明大前まで徒歩で移動するか?ポケモン集めて健康になるか?ワイフが夜中に郵便局のATMまで歩いて行ったら、深夜の街じゅうにスマホ片手の人々が徘徊してたという。「POKEMON GO」のアバターが着てるファッションは、実はジョギングウェアっぽいんだな。アバターと同じカッコした人たちがウロウロ。
ぶっちゃけ、うざいわー。現実世界をポケモンにハックされてて人間文明は良いのか?現実の街並みの中に、奇妙なアルゴリズムで出現する仮想生物の気配を探りながら生きなきゃならんの?VRヘッドセットが普及する前に、仮想現実の網が全世界を包んでしまった印象だわ。とりあえず、何かに納得するまで多分ボクはプレイするけどね。ワザと苦いモン飲み込んで、自分の感覚をネジッていくのが、ボクのいつものやり方なんで。



●さて、今週はフジロック開催日。今回で20回目だって。そっかー20年経ったかー。ボクは一回目と二回目しか行ってない。苗場には一度も行ったことがない。
●そんなフジロック3日目最終日の大トリが、屈強なベテランバンド、THE RED HOT CHILI PEPPERS だ。彼らの最新譜を聴く。

THE RED HOT CHILI PEPPERS「THE GETAWAY」

THE RED HOT CHILI PEPPERS「THE GETAWAY」2016年
レッチリと、気鋭のプロデューサー DANGER MOUSE がコラボ。今回はそれが目玉!レッチリはもちろんのこと、DANGER MOUSE もボクにはずっと注目のアーティストだった。GNARLS BARKLEY でメジャーシーンに堂々登場した以降も、様々なアーティストとのコラボでどんどんその武名を大きくしている。彼の出自は確かにヒップホップだけど、もはやヒップホップに囚われては彼の音楽は理解できない。とっくのとうにもっと大きな世界に漕ぎ出している。今回のコラボは DANGER MOUSE の方からの申し出だったそうな。歴戦の武闘派レッチリの面々、コラボが生ぬるいようなら楽器を放ってスタジオを出てく覚悟もあったようだが、結局は意気投合、素晴らしい結果を生み出せたようだ。
●90年代の傑作アルバム「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」1991年以来ほとんどの仕事をプロデューサー RICK RUBIN と組んできたバンドだ。で、これも全く間違ってなかった。さて、これがパートナーを変えてどうなっちゃうの?という期待でいっぱい。そしたら、ことのほか円熟したグルーヴが飛び出してきた。ロスのヤンチャな悪ガキがそのままマッチョなオッサンになってしまったこのバンドも、近年のアルバムには大昔からのバカ騒ぎとは一味違うメロウなアプローチを忍ばせてきたもんだ。ただ、今回は、アルバム全体のグルーヴに丸みと落ち着きがあって、元来の強力なファンクネスと絶妙に共存している。いぶし銀のスローチューン「CALIFORNICATION」を連想したが、あの曲単品だけじゃなくて、アルバム全部が統御されてる。決して派手じゃないけど、こくまろの味がイイ。まさしくバンドの探っている方向性をプロデューサーが一気に切り拓いたかの印象だ。
そしてもう一人のキーパーソン。ミキシングに NIGEL GODRICH が入ってる。この人物も音響デザインの達人。プロデューサー/エンジニアとして RADIOHEAD、BECK、R.E.M.、TRAVIS などなどを手がけたツワモノ。この人の BECK での仕事、特に「THE INFORMATION」2006年とか大好きだな。丸みのあるグルーヴはこの人の技が関与してるかも。あ、BECK「MODERN GUILT」2008年は DANGER MOUSE のプロデュースとな。似たところで仕事してる二人。そして BECKフジロック2日目のトリ

ATOM FOR PEACE「AMOK」

ATOM FOR PEACE「AMOK」2013年
レッチリ関連作としてこの一枚を。RADIOHEAD のフロントマン THOM YORKE に、レッチリのベース・FREA、そして前述の「THE GETAWAY」のミキシングを手がけてきた NIGEL GODRICH などなどというメンツで結成された、いわゆるスーパーバンド。本来は THOM YORKE のソロアルバム「THE ERASER」の内容をツアーで演奏するためのバンドだったみたいなんだけど、まーこんだけのメンツですからインスピレーションがモクモク湧いてしまって、バンド単位でアルバム制作&ツアーをすることになっちゃった。
●この作品の質感が「THE GETAWAY」に近い。そりゃそうだ、FREA & NIGEL GODRICH と二人も当事者がカブってるのだから。繊細なエレクトロニカの構造でありながら、プログラミング音響の冷たい肌触りを巧妙に回避して、不思議な人肌を持つに至っている。THOM YORKE はいつものようにどこかこの世ならぬオーラを放射しながら歌唱してるけど、FREA はじめリズム隊はどこか利発なケモノめいたグルーヴをモコモコとウネリ倒して、結果バンドはしっかりと重力の下で力強く立っている。雄々しいシカ、俊敏なヒョウ、誇り高きオオカミ、そんな猛獣たちが、凛々しく自らを律して抽象化された生命のリズムを刻んでいるかのような印象。
●全裸でステージを駆け回りベースを弾き倒す怪物 FREA がこんな演奏を?という意外さよりも、今回のレッチリがこのバンドに接近してしまったことの驚きの方が勝る。ちなみにこのCDは、中野ツタヤのレンタル落ちで200円。これもイイ買い物だったな。

DANGER MOUSE SPARKLEHORSE「DARK NIGHT OF THE SOUL」

DANGER MOUSE & SPARKLEHORSE「DARK NIGHT OF THE SOUL」2010年
さて、今後は DANGER MOUSE 関連作品を。この作品は SPARKLEHORSE という名のアメリカのインディアーティストとのコラボを軸に、たくさんのオルタナ系シンガーをフィーチャーした作品。招集されたシンガーは、IGGY POP に始まり、SUZANNNE VEGA、元 PIXIES BLACK FRANCISTHE FLAMEING LIPS、THE CARDIGANS、SUPER FURRY ANIMALS、THE SHINS、THE STROKES のボーカルたちなどなどと本当に豪華絢爛。そして超特別ゲストに DAVID LYNCH。あの映画監督の DAVID LYNCH だよ。「ブルーベルベット」の、「ツインピークス」の、「マルホランドドライブ」の、DAVID LYNCH がボーカル参加だよ。この人近年音楽活動にハマっちゃってるっぽいからね。
●マルチ演奏家である SPARKLEHORSE DANGER MOUSE、どちらの持ち味が作用してるのかよくわからないのだけれども、どこかサイケデリックで退廃的な空気感がただれ気味。オルガン/キーボードが甘美すぎる。奥ゆかしいフォークロックがそんなアレンジに甘く包まれている。穏やかな優しさがにじみ出るような場面もあれば、マジで DAVID LYNCH の映画サントラみたいな、変な汗がにじむような気配も漂う。実はこの作品のコンセプトには DAVID LYNCH がかなり前ノメリに関与してて、本当だったら、DANGER MOUSE と SPARKLEHORSE と DAVID LYNCH の三者連名作品になっていたのかもしれなかったという。それがそうならなかったのはそれなりな事情があったでしょうけれども、そこはよく分からん。結果的に何かがモメてリリースがドエラく遅れた模様。それに対抗して意図的にネットにリークまでされたみたいだし。
●しかし、この作品、ここで終わらない。正式リリースの数ヶ月前にパートナーの SPARKLEHORSE自殺。リリース前年2009年にもフィーチャーシンガーのひとりであるシンガーソングライター VIC CHESTNUTT自殺している。死人が二人も「DARK NIGHT OF THE SOUL」…闇が深すぎる。

DANDER MOUSE DANIELE LUPPI「ROME」

DANDER MOUSE & DANIELE LUPPI「ROME」2011年
DANGER MOUSE の仕事はそれでも止まらない。DAVID LYNCH との仕事に影響を受けたのか、擬似サントラアルバムを制作。ここでのパートナーはイタリア人映画音楽家 DANIELE LUPPI。実はこの男、「DARK NIGHT OF THE SOUL」にもレッチリ「THE GETAWAY」にもストリングスアレンジとして関わってる。DANDER MOUSE のメジャー出世ユニット GNARLS BARKLEY でのアルバム制作で初コラボ、そこで「マカロニウエスタン」映画のサントラ趣味で意気投合した仲だという。ここに加えて、シンガーとして声をかけたのが、あの NORAH JONESTHE WHITE STRIPES を解散させたばかりの JACK WHITE。むー。DANGER MOUSE 人脈すごいなあ。
●なんでタイトルが「ROME」なのか?と言えば、本当に「マカロニウエスタン」を標榜して、ローマでレコーディングしているからだDANIELE の故郷というだけではない。ズバリ「マカロニウエスタン」で名を挙げた映画音楽の巨匠 ENNIO MORRICONE が作ったスタジオで、彼らは完全アナログレコーディングにトライしている。さらには MORRICONE と一緒に仕事したミュージシャンたちともコラボ。MORRICONE と共に音楽を作ったベテランということはみんな70〜80歳くらいの古参兵。しかし腕は超一流。
●1960年代から70年代にかけて、なぜかイタリアで盛んに作られた西部劇アクション映画、それが「マカロニウエスタン」。個人的には、たまたまこのジャンルに関する本を今読んでて、興味津々。激しいガンファイトに過激な暴力シーン、ニヒルな人物描写と乾いた作風が特徴とされる一連の作品群は、タランティーノ始め現在のクリエイターにでかい影響をおよぼしているとな。
●そんな流れの延長において、今回のこの音楽において、ガンマンたちの男気部分を体現しているのが、シンガーJACK WHITE の役割らしい。ビンテージ機材にこだわるこの男も、二人の思想に共鳴。ただいつもの爆発力はグッと抑えて、抑制されたトーンの中に佇んでいる。ただしその手にはリボルバーを握りしめて。
NORAH JONES は、流れるようなストリングスの動きの中で、憂いを込めたトーンでこの荒廃した世界を眺める女優さんみたいだ。とてもメランコリックだね。そもそも今回の音楽ではストリングスと怪しく艶めく(昭和っぽい)エレキギターが、ビンテージなサントラの味を構成してるのだが、その世界観に的確にフィットしてるよ。ジャズシンガーの印象が強い彼女だけど、実はジャンル越境の好奇心が旺盛な彼女。今回の仕事もとっても楽しんだみたい。

NORAH JONES「LITTLE BROKEN HEARTS」

NORAH JONES「LITTLE BROKEN HEARTS」2012年
DANGER MOUSE はそのまま NORAH JONES のオリジナルアルバムのプロデュースを担当。彼の本来の持ち味である、ビンテージ趣味とそのスタジオ密室感、そして結果導き出される柔らかいポップ感覚が、NORAH JONES のチャーミングさをさらに引き出している。
●この仕事では、NORAH DANGER MOUSE は、彼のプライベートスタジオで誰にも知られずこっそり5日間ジャムして過ごし、その音源をブラッシュアップすることで完成してるみたい。ていうか、そのシチュエーションって羨ましい!NORAH みたいな美人さんに「ボクのロスのスタジオでコッソリジャムして遊ぼうよ」って誘うって、誰にも使えない必殺技でズルすぎる!いいな!いいな!くっそー、このスタジオ密室感も二人だけのコッソリ密会気分の反映なんだな。イチャイチャしてるかと思うとタマラン気分になる。DANGER MOUSE、高身長でイケメンだしなー。シングル曲「HAPPY PILLS」は楽しいポップソングで明るい気持ちになれる。


●ということで、縦軸ほぼ DANGER MOUSE な文章でした。
●この文章書いている間に、ボクのスマホにポケモン4匹飛び込んできて捕獲しました。パラスとドードー、クラブにカイロス。ちっとも思い入れできねえザコキャラなルックス。これ今後育てがいがあるのか教えてくれ息子ノマド!




●今季のドラマで一番惹かれるのは、日テレ「時をかける少女」STARRING 黒島結菜かな?
彼女はカワイイ。少なくとも広瀬すずよりも。ただ、初回の演技は周りのキャスト含めてなんだか未熟でスベリ気味。二回目になったらなんか慣れちゃったけど。
●やっぱ細田守のアニメ「時かけ」と比べちゃうよな。娘ヒヨコは最初の3分で「ダメ〜!」だって。

フジテレビ「月9」にも敢えて挑戦してみる。「好きな人がいること」。普段なら絶対見ないタイトルだね。
●会社の先輩が「俺にはもうついていけない!フジ全盛時代のイケメン路線がもうダメ!」と唸ってたんで、どうなっちゃってるのか?興味がわいたからだ。確かにタイプの違う三兄弟イケメンに囲まれる桐谷美玲ちゃん、という逆ハーレム状況に無理〜とボク自身もマジ怯みました。三浦翔太さん?初見なんだけど、本人もあの演出ではツライのでは?と思っちゃうほど。でも、最近はこの少女マンガっぽい視点が受けるとの評判もある。
●一方、働く女性がテーマってのは好き。今回はパティシエ&シェフって軸がある。恋愛がどうのこうのって話は関心が持てないけど、職業を通じて男女にチームの絆が生まれるのはイイね。

●TBSでは、タッキーAKA滝沢秀明&武井咲「せいせいするほど、愛してる」だいぶメロメロなラブストーリーだなー。ティファニーが実名を出して劇中にブランドを貸してる。結構手間のかかる仕掛けだな。そしてタッキーティファニー日本法人の副社長、武井咲が広報担当とな。上司と部下の恋愛か。む〜リア充すぎてコレはツライ。桐谷美玲武井咲ってなんかボクの中でイメージかぶるんだけど(二人は2008年同時期に「セブンティーン」のモデルをやってる)、ラブコメ要素がないコッチのドラマは息が詰まりそう…。いやいや、ここは頑張ろう。

●他にも、SKE松井珠理奈のホラードラマ「死弊」とか、藤原竜也がまたしてもピンチに追い詰められる「そして誰もいなくなった」とかもチェックしてみた。藤原竜也くんは「カイジ」といい「デスノート」といい、いつも限界状況に追い詰められてるな。松井珠理奈は絶叫するとデッカイ口がより効果的。

期待してなかったんだけど、北川景子主演の「家売るオンナ」が、実は一番バカバカしくて面白いかも。
北川さんにも旦那の DAIGO にも1ミリも興味を持ったことがなかったけど、目ん玉ひんむいて怒鳴りまくる北川さんはマッドでイイ。ヒヨコ爆笑「無駄に目ヂカラ〜!」

●実は、この辺のドラマ、地上波では全く見てなくて、全部配信サービスで網羅してる。しかも無料の公式で。




下北沢に新しいレコ屋ができてた。
「GENERAL RECORD STORE」。今年3月にオープンしてたそうな。
●場所は、東商店街方面、古本屋さん「ほん吉」のお向かい近く。
●ジャズと古典ロックに強い品揃え。ほぼ100%アナログ在庫。「FACE RECORDS」という渋谷のお店の姉妹店らしい。
●基本的に価格は高めなんだけど、100円コーナーがあって、80年代〜90年代ロックの12インチが結構あった…。
●だから、いっぱい買っちゃった。

REVENGE「PINEAPPLE FACE」

REVENGE「PINEAPPLE FACE」1990年
NEW ORDER のベーシスト PETER HOOK の別ユニットがこの REVENGEこの時期の NEW ORDER、アルバム「TECHNIQUE」1989年から「REPUBLIC」1993年の間のこのバンドは、PETER と ボーカル BERNARD SUMNER の仲が険悪になって事実上分裂してしまってた。BERNARD は元 THE SMITHS のギター JOHNNEY MARR ELECTRONIC という直球な名前のエレポップユニットを結成。PETER はこの REVENGE で活動。残り二人の STEPHEN MORRIS GILLIAN GILBERT は皮肉な名前のユニット THE OTHER TWO(その他の二人)を始動。その他の二人はこの辺をキッカケにしてご結婚しちゃいました。
●当時イビザ島で鳴りまくっていたバレアリックハウスの影響をドップリ受けた NEW ORDER の面々。「TECHNIQUE」の内容が見事にテクノ/エレクトロポップだった流れなのか、彼らの分裂ワークスも基本しっかりと享楽的なエレポップ。だからこの REVENGE も多幸感満載のキーボートが華やか。また12インチシングルとあって、よりダンサブルなミックスになってます。
PETER BERNARD の不協和音はこの時期に限らず、NEW ORDER の最初から始まって、その後もずっと続くのですが、とうとう2007年に PETER HOOK はバンド脱退を宣言。この影響で一旦 NEW ORDER は動きを止めてしまうのですが、2011年に BERNARD の音頭で PETER 不在のまま新ベーシストを加入させて再始動。それからプッツリ縁を切ったままそれぞれが活動を続けている次第…。

SENSELESS THINGS「CANT DO ANYTHING」

SENSELESS THINGS「EVERYBODYS GONE」

SENSELESS THINGS「CAN'T DO ANYTHING」1990年
SENSELESS THINGS「EVERYBODY'S GONE」1991年
90年代に活動してた、イギリスのオルタナバンド。ボクはサードアルバムに当たる「EMPIRE OF SENSELESS THINGS」1992年をリアルタイムに聴いてたんだけど、これはそれ以前のシングルだね。どれも一発勝負の単純すぎるパンクロック。ガリッとしたギターがイギリスっぽくなくてアメリカのオルタナと思ってたくらい。
●あー思い出した。「EMPIRE OF SENSELESS THINGS」ってビート文学の大物・ウイリアム・バロウズの小説のタイトルなんだよね。しかも邦題が「アホダラ帝国」。内容もしっかりアホダラだった。だからこのバンドに興味を持ったんだ。このシングルもしっかりアホダラだね。

THE BOLSHOI「GIANTS」

THE BOLSHOI「GIANTS」1985年
トドが絶叫している!このバンドは全然予備知識がないままで買った。ジャケ情報からは制作年も知れなかった。ただ裏ジャケのデザインとかも含めてUKのゴス系ロックと読んだ。そしたら期待通り。80年代ど真ん中、ポジパン系列のギターロックだったわ。不安なボーカルとマイナーコード、ギターの神経質なソロとかがしっかりゴスで手応え十分。
●イングランド西部の出身、その後ロンドンを拠点としたバンドで、THE CULT とか THE LORD OF THE NEW CHURCH などの前座をやってた模様。BAUHAUS の雰囲気もあるけど、あの連中よりかはずっと分かりやすい音楽。初期の THE CURE にもどっかで繋がってる感じ。この12インチは6曲入りのミニアルバムで、彼らの一番最初の音源らしい。

VIRGIN PRUNES「LAST LOVE FOREVER」

VIRGIN PRUNES「LAST LOVE FOREVER」1986年
うわ、こっちはより一層ゴスいぞ。こっちもほぼ完全ゼロ情報で買ったけど、なんとアイルランド・ダブリンのゴスバンドだそうな。ビートがとにかくやたらゴツゴツしてるし、ボーカルはもっとドロドロしてる。エキセントリックなサウンドバランスがめっちゃ人を不安にさせるわ。WIKI にはこの連中が U2 BONO の旧友で、ギタリストは THE EDGE の弟って書いてあるけど、U2 の音楽にはまるで関係ないね。残念ながらこのシングルはこのバンドの最末期の作品で、この後解散しちゃったみたい。ただ、この崩れっぷり歪みっぷりのサウンドはクセになるかも。もっとこのバンドのこと知りたいな。

DANIELLE DAX「WHERE THE FLIES ARE」

DANIELLE DAX「WHERE THE FLIES ARE」1986年
これこそ一番ゴスいと思って買ったのに、予想外にもゴスを軽くブッチ切って、異邦の陽性エスニック/インド風エレクトロビートに合わせて女性シンガー DANIELLE DAX さんが歌うという代物。予想以上に洗練された打ち込みテクニックでエレポップを完全に消化した上で、非西欧文化圏へジャンプしようとしてる印象。A面タイトル曲はインド風なのにB面曲は三拍子のチェンバーポップだし。ナニかを突破しちゃった感じがする。
●この女性は、LEMON KITTENS というポストパンクバンドの活動を経てソロへ移行、ROBERT FLIPP(KING CRIMSON)のユニットなんかにも関与して、83年から自分名義の作品をリリースするようになってる。個性的なシンガーとしてだけじゃなく、立派なマルチ演奏家として、ギターからフルート、パーカッション、シタール、キーボード、カリンバまで駆使、基本全部セルフプロデュース、ジャケデザインも自分でやるタイプ。レーベルは AWESOME RECORDS とかいうトコだが全然情報がない。なんだか不思議すぎて面食らってしまった。

THE LEAF LIBRARY「LOSING PLACES」

THE LEAF LIBRARY「LOSING PLACES」2008年
●同じ100円購入くくりで紹介するけど、これは別の場面で吉祥寺ディスクユニオンで買った10インチシングル。これまた全然情報がない代物だったけど、ラベルのジャンル名に「シューゲイザー」って書いてあったから買った…ら、全然シューゲイザーじゃない!手作り感たっぷりのすごく静かなギターポップだ。低血圧で低カロリーなポストロック、でも清純というか。訥々とした女性ボーカルがそんな風に思わせるのかな。ロンドンの4人組みたいだけど、よくわからん。
●B面は、A面曲に、より一層ポストロック的なクリック音の装飾をまとわせてみたリミックスで、キュートな感じがより強くなってる。もしかしたらシューゲイザーと言うより、チルウェイブといった方がいいかも。時代的にはちょっと先行気味だけど。

ヘンリーヘンリーズ「ヘンリーズ革命、後の」

ヘンリーヘンリーズ「ヘンリーズ革命、後の」2011年
●こいつは中野ツタヤのレンタル落ちで50円。ヤケクソガレージロックとズルムケの日本語詞が若気の至り満載でドッカンドッカン!なんだかグループサウンズみたいな佇まいのジャケだけど、おおおお、こいつら現役高校生かい!頼もしいロックンローラーだね。



●なんか、ずいぶんマイナーで渋い音源紹介になりましたな…。いつもよりもさらに深刻に。


今年の夏は、娘ヒヨコをカナダ・バンクーバーにホームステイへ送り出そうと準備している。
だから、不穏な国際ニュースには、どうしても敏感になる。

フランスのテロはビビった。トラックで花火見物の客を轢き飛ばすなんて。
●爆弾とか銃じゃなくて、テロは日常にあふれる自動車だけで、単身でもやれるコトが説明されちゃった。

トルコのクーデターもビビった。
●20年近く前、就職したばかりの頃に遊びに行ったトルコはとても楽しい場所だった。イスタンブール、カッパドキア、アンカラ。特にアンカラは首都というのに英語がまるで通じなくて、でも全然躊躇なく外国人のボクにみんなが声をかけてくる。ただ一つ覚えてる英語「ワタシハ英語ガハナセマセン」を何回もニコニコ繰り返す中学生くらいの少年とか。寝台特急の出発を待つアンカラ駅では、見知らぬオジイさんと2時間くらい語り込んだ…全然お互いの言葉がわかんないのに。
あの国が物騒になるのは切ない。コドモたちに是非見せてあげたい土地だからだ。古くは古代オリエント〜ヒッタイト文明に始まり、古代ギリシャ/ローマ文明、キリスト文明、イスラム文明のレイヤーを積み重ねて、現在はイスラム文化圏にありながら民主主義と政教分離をハッキリと打ち出している稀有な国。そしてとっても親日。

世界中で頻発するテロにビビって、日本の外に出ないで引きこもるのは、なんか負けた気分だ。「今の若者は海外に興味がないし、海外に行く余裕もない」は寂しいので、ウチは敢えて娘を海外に出す。ヒヨコ自身も楽しみにしてるし。
●ただ、スゲえな、と思うのが、ヒヨコ英語の成績メッチャ悪いのに全然ビビってないってコト。「行ってみたらどーにかなるっしょ」とか言ってる。普通はやっぱビビるでしょ?ボクは留学経験ないけど絶対ビビるわ。ワイフもビビってるわ。なのにナゼあいつは余裕なんだ?ホームステイでは日本人グループで語学クラスを受けたりするんだけど、ヒヨコはカナダ人学校のクラスに転校生気分で入れると思ってたらしくて、むしろ「なーんだ、それじゃ日本人ばっかじゃん」とか言ってる。オマエのその根拠のない大丈夫感覚ってなんなの?
●出発まで一ヶ月切ってるのにヒヨコ、マジで英語勉強してくれない。ちょっとは英語覚えて欲しいという思いで英語教室にも通わせてるのに、宿題も全くやらない。で「I DON'T HAVE IT. I FORGOT IT !」っていう報告の文句だけ異常に発音よくなってる。かと思えば、英検3級にギリギリ合格して本人&家族一同でビックリ。絶対無理と思ってたのに。「ヒヨコってやれば出来る子なんだよ!やれば出来る子、YDK!」と本人談。


「天皇陛下、生前退位の意向」ってニュースを見て、
●息子ノマドが「天皇が退位したら、上皇になるのか?」
●ボクも同じこと考えてた。後白河上皇とか。後鳥羽上皇とか。

●あと「POKEMON GO」マジやりたい。早く日本でリリースしないかな。
●我が家全員がやりたがっている。バカ家族。ゴー!


●配信で、「DOCUMENTARY 0F AKB48 THE TIME HAS COME - 少女たちは、今、その背中に何を想う?」を見たら、全然面白くなかった。

「DOCUMENTARY 0F AKB48 THE TIME HAS COME - 少女たちは、今、その背中に何を想う?」

●2014年のグループに密着。握手会での傷害事件と、大島優子の卒業がトピックだったけど、前田敦子高橋みなみの引退劇を別の場面でドップリ見た後だと、大島優子のような大ダマでもただのバージョン違いにしか見えなくなってしまった。ここに不満がある。今後は毎年彼女たちを追っかけてても、もう同じコトしか起こらないんじゃないか?
●これは作品の中で描かれてないけど……事件の被害者になった川栄李奈がその一年後に卒業してしまったコトは残念だなーかわいそうだなーと感じた。おかしな男の暴力で、真面目な女性のキャリアが台無しにされるのは理不尽だ。「マジすか学園4」でブサイクな役を一生懸命やってた子。でも、その後彼女が小山ゆうの傑作漫画「あずみ」の舞台化で主演を務めるコトとなって、本当によかったねーと思ったよ。別の舞台でがんばってくれ。

●しかし、フラストレーションは解消できてない。
●この不満をどこに?と思って、そのまま「アイドルの涙 - DOCUMENTARY OF SKE48」を見る。

「アイドルの涙 - DOCUMENTARY OF SKE48」

こちらは、SKE48 が結成してから6年間をまとめた記録映像。さすが時間の蓄積が作品を分厚くしてて、全く知らない女の子たちにも、ちょっとした共感を感じることができた。印象的なのは、この作品は卒業生のその後にもインタビュー取材をしてること。ただの一私人になった私服の元メンバーたちは、ケバケバしい衣装と集団の圧力で勢いを作る AKB スタイルから完全に武装解除しちゃってて、マジでただの女の子。どちらかといえば、合コンで出会ったら声かけたくないくらいの子までいる。ただ、あの狂騒と混乱の生活を客観視して、ただの人間として地に足つけて生きていくことを選んだ子たちの言葉は、すがすがしいモノを感じたね。あ、プロポーズ受けて結婚しそうな子までいたわ。
●現在の肩書きを「社会人」と名乗った、元メンバー・矢神久美が印象的だった。切れ長の眼と黒いロングヘアが印象深い彼女は、2008年のSKE48結成時からの最初期メンバーで、グループの中でも発言力を持つ中核の一つだった模様。なのに、ドキュメンタリー取材時は、自然体で「毎日会社に通ってますよ」みたいに笑って答えてる。ネットで検索すると、カフェで一店員としてバイトしてる写真とかがあったよ。2013年に引退した彼女はしばらく一般人の暮らしを続け、その後去年くらいから農業研修やボランティアを始めた延長なのか、地域PRアンバサダー地元でダンスチーム結成など小さな活動も始めている。

●彼女のような存在を見る時、ボクはフランスの早熟な詩人アルチュール・ランボーを連想する。19世紀のフランスで天才の名をほしいままにした彼が詩作した期間は、17歳から21歳までのたったの5年間。その後彼は筆を折り、世界中を放浪する商人になって、そのままガンで37歳で死んでしまった。彼にとって詩作は若気の至りであって、ヤンチャな青春の1ページにしか過ぎなかったのだろう。彼は大人として成熟し、その人生を、アフリカやアラビアで切った張ったの商売で成功することに賭けた。最後は武器商人として財をなすほどだった。世界がそのキラメキを100年経っても評価してる作品より、本人は別のモノに価値を見出したのだ。矢神久美も、同じように、自分の成熟を別の場所に見出して、自分の力で状況を作っている。地域に根ざして生きている。素朴に応援したいね。
SKE48を代表するメンバーだった松井玲奈も今は卒業生だね。でも彼女は芸能人としてのキャリアを順調に継続中。つい先月まで、つかこうへい原作の舞台「新・幕末純情伝」で主演/沖田総司の役を務めていた。何度も再演されて、歴代の主演者には広末涼子石原さとみもいる由緒ある芝居。ボクは桐谷美玲主演のバージョンを見に行ったっけな。

●ちなみに、「悲しみの忘れ方 - DOCUMENTARY OF 乃木坂46」まで勢い余って見てしまった。アホか。家族もドン引きですよ。なんでアイドルずっと見続けてるんだよ。
●でも、こいつもまた時を改めて言及したいです。



●90年代テクノを再訪。

APHEX TWIN「CHEETAH EP」

APHEX TWIN「CHEETAH EP」2016年
●アルバム「SYRO」2014年で13年ぶりの復活を遂げ、そこから意外なほどちゃんとリリースを連投している RICHARD D. JAMES こと APHEX TWIN のニューシングル。この前、大雨で小田急線が止まったので、渋谷に迂回して帰ろうと思ったらそのままツタヤにさまよい込んで、このCDを買っちゃった。やっぱボクは90年代育ちなので、彼の動向は気になるよ。なにしろ、彼の動きはその登場の瞬間から必ず革命的な表現を含んでいて、常にテクノ表現の限界を切り開いていった男なのだから。90年代の彼は、まさしくテクノの神託を受ける預言者のようだった。しかし00年代以降は思いきり寡作になっちゃってね…。
●いつものことだけど、今回のコンセプトがとってもヒネクレてて。イギリスの小さなシンセメーカー・チーター社90年代初頭に発売した CHEETAH MS800 という激レアなシンセを駆使して制作された楽曲なんですって。だから「CHEETAH EP」。しかも、このシンセがメッチャ操作困難なポンコツ、ライナーノーツの解説には「致命的な仕様」とまで書いてあるダメっぷり。しかもこのライナーノーツのライターは、初音ミクの「生みの親」と呼ばれるクリプトンフューチャーメディア・佐々木渉氏で、つまりはDTMソフト界の第一人者なのに、その佐々木氏でもこの機材の存在はよく知らなかったと言わしめるほどの、レアかつ独特のクセがあるシンセサイザーということらしい。そんなトコロにこの天才は引っかかったようでして。
●で、実際に聴いてみると、これまた渋いほどにワイルドなエレクトロファンクですわ。シンセ・フェティシズム全開の、無骨かつ野太いシンセ音がボヨンボヨンしとります。ビョンビョン、ボンボン、チキチキ、カチカチ、ビシャ!ビシャ!うわ…ある意味で中毒性が強いわ…ボクみたいなヤツはコレだけでゴハン三杯イケますわ。やっぱ APHEX TWIN ってスゴイなあ。

と思ったんだけど!いやいやちょっと待てよ!コレボクが聴いても完全に90年代初頭のサウンド(だってわざわざ90年代のポンコツシンセを使ってんだもん)なワケで、今のド派手な EDM で踊るリスナーに理解できんの?なんかダサくて踊れませんよセンパイ、って言われちゃうんじゃないの?この前人事異動を受けて若手がまたウチの部署にやってきたんだけど、その若手はスキンヘッドのダンサーで、今でもパーティを開いて友人のDJの隣でマイクを握ってお客を煽ったりしてるらしい。うわー本物の「パリピ」に会っちゃった、と思ったよ。でも彼にこの APHEX TWIN は全然響かないんじゃないか?一気に不安になってきた。これってオッサンがオッサンぽく懐古するテクノ表現か?そもそもでコレ一体ダレトクなコンセプトなんだ?つーか、テクノそのものがすでに死語?
でも、もう一回!いやいやちょっと待てよ!ボク、もうリアルタイムの音楽についていく姿勢を失ってる人じゃん。パーティもフェスも全部やめちゃった書斎派じゃん。リアルタイムらしいアプローチと言ったらアイドルかアニソンじゃん。あげくコーランの朗唱をボックスセットで買う人間じゃん。今更自分の時代錯誤っぷりにドン引きしても、手遅れすぎててもう取り返しつかないトコまで来てるじゃん。ここはもう開き直って、ガシガシ時代感無視の領域に突っ込むしかないじゃん。ダレトクで言えば、このブログの存在全体がダレトク不明じゃん!

YMO「HI-TECH : NO CRIME」

YMO「HI-TECH / NO CRIME」1992年
という事で、恥ずかしげもなく、マジで懐かしい音源を聴いてる。YELLOW MAGIC ORCHESTRA を90年代初頭のテクノ・アーティストたちがリミックスしてるアルバムだ。大学に入学したての頃、まだ知り合ったばかりの友人から、ホヤホヤの新譜としてこのCDを借りてカセットテープにダビングしたのを思い出す。そんな音源を先日たまたまCDで買い直してた。そしてコレをプレイヤーに乗せたら、18歳当時の記憶がジワッと蘇ってきて…。
●東京出身のボクはまだ一人暮らしを始めておらず、地方出身で一人暮らしを始めた仲間たちのアパートに転がり込んでは泊り歩いてた…。地方から出てきたばかりで東京に慣れてないコトをコンプレックスに思ってた友人もいるけど、家族と暮らして大学に通うボクにも、仲間と違って自立できてないコトへのコンプレックスがあった。仲間の多くは浪人を経験してて、ボクだけ現役合格で実は一つ若年ってのもちょっとコンプレックスだったかも。だから、三鷹や武蔵境、中野、成城学園前とかに住んでる仲間のアパートで雑魚寝してアレコレ語り合ったりするのが、奇妙に楽しかった。全く違うルーツを持つ仲間それぞれのバックグラウンドは興味深くて、その部屋の中にあるものも全部面白かった。このCDもそんな経緯で友人Yに聴かせてもらったものだった。
●実は、ボク自身はリアルタイムに YMO を通過してない。バンドが「散開」した1983年ボクはまだ小学3年生で、音楽よりもファミコンとコロコロ/少年ジャンプに夢中。でもこの友人Yは二浪してたし確かお姉さんもいたので、このへんの80年代サブカルにアクセスしてたんだな。たった2年の差で結構差が開く。ただ、当時リアルタイムな90年代テクノに関してはボクの方がシーンを把握してた。このCDはボクら二人の関心の中間点だったんだな。
友人Yは、大学に入学すると、楽器完全未経験だったのにジャズ研に入ってドラムを始め、4年間の修練で結構な腕前を持つに至った。そんで、今では本職の音楽ライターになって、ヨーロッパまで取材に行く立場になってる。今の専門領域はクラシック音楽やオーセンティックなジャズ。真面目でスクエアな印象だったヤツが、結果的にフリーランスの道を選んだのは意外にも思えたけれど、バブル崩壊第一世代だったボクらは等しく全員突然の混乱で予想しない場所に流されていったワケだし、今となってはその流れの中で拘泥して立派に自分の立場を作った彼を尊敬している。作っている雑誌を見せてもらったコトもあったが、実に専門的で、シックに決まっている実直な内容だった。

●さて、このCDは、当時のUKシーンで活躍していたテクノユニットやトラックメイカーが YMO を素材にリミックスしまくる内容だ。YMO は二回目の再結成を経て未だにその武名を轟かせているが、この盤のリミキサーたちの方が結構消えてしまったりしている。そこも懐かしいね。クレジットされてるリミキサーで言うと、808 STATE は好きだった!このへんと THE ORBITAL はまだ現役?でも、テクノポップ度がやや高かった THE SHAMEN や、遊び心を初期レイブサウンドに注入した THE ALTER 8、レイブ〜ハイエナジー度がやや高め?な THE RHYTHMATIC はもういなくなっちゃったね。ブリープテクノの先駆として活躍した LFO も中心人物 MARK BELL が死んじゃったしね。THE SWEET EXOCIST ってなんだっけ…もう忘れた…。WARP からリリースされてたような。808 STATE のリーダー GRAHAM MASSEY は個人名義でもリミックスしてて、彼の「RYDEEN」のリミックスが、一番原曲の肌触りを残しつつ大胆にカットアップしてる。全体的なトーンで言えば、もう YMO 音源と言うより、90年代の古典テクノですよと思って聴いた方が素直だと思う。

808 STATE「OUTPOST TRANSMISSION」

808 STATE「OUTPOST TRANSMISSION」2002年
●重ねて言うけど、808 STATE は本当好きだったね。高校で放送委員会をやってたボクは彼らの全盛期だった頃のアルバム「90」1990年「EX:EL」1991年で体育祭のBGMを作ってたほどだね。何年の来日か思い出せないけど、渋谷 ON AIR(現・O-EAST)でのライブに行ったよ。元来は70年代末から活動してるマンチェスターのパンク野郎だった GRAHAM MASSEYすでにビール腹のオッさんという風貌、彼らのクールな音楽やテクノの理知的なイメージを、見事に裏切る小汚ないルックスが、むしろ気取らない感じでますますハマった。青地に白字で「LASER DISC」って書いてあるTシャツが、どうしようもないほど深刻にダサくて(当時ですらレーザーディスクは絶滅寸前メディアだったよ)、それがまだ若くて血気盛んなボクには「気取ることなく暴れちまえよ!」というメッセージに思えた。で、タダのアホなダンスクレイズとしてバカみたいに最前列ではしゃいだもんです。その時一緒にいたのが結婚前だった現在のワイフで、野蛮なライブに完全放置されて完全にドン引き。その後2回ライブに付き合わせたが、グランジの帝王 SONIC YOUTH のドキツイ轟音ライブの時に「ライブは二度と行かない」と通達された。以来20年以上マジ一緒にライブ行ったことない。

●そんな 808 STATE2000年代にもアルバムをリリースしてたんだ!と知ったのが、レンタル落ちのジャケボロボロ状態のコイツを浅草ツタヤで発見した時。それが去年の暮れだったっけなー。どっかキャッチーで、印象に残るフックを作るのが上手いところが、基本ボーカル不在の彼ら 808 STATE をポップな存在であらしめていた。けれども、このアルバムは2002年当時の時流と無縁なスタイルを選んで、かつ奇妙なポリリズムに挑戦しようとしてて、正直ややスベってる。名前の由来にもなってる機材 TR-808 TB-303 を駆使したサウンドデザインはある意味で安定安心安全ではあって、キャッチーな場面での破壊力はやっぱ健在。でもややコダワリが前に出過ぎて、彼ららしいポップに突き抜けた印象はそんなに残らないな。
●オリジナルアルバムとしてはこれが現状最後のリリースになってるけど、リミックスや未発表曲コンピなどはまだリリースし続けている模様。だから彼らはまだ現役なんだよ。個人的には、ここから古いテクノのCDを見つけては買ってみる、っていうマイブームが始まった。前回の記事の KRAFTWERK 特集もその延長だよ。

LFO「ADVANCE」

LFO「ADVANCE」1996年
LFOは、デュオから出発して、いつしか MARK BELL のソロプロジェクトになってた。ブリープテクノの元祖と説明してみたものの、ボクとしては MARK BELL のユニット外の仕事、具体的には BJORK とのコラボレーションが注目なのだ。プロデューサーとしてアルバム「HOMOGENIC」1997年に関わって以降、10年以上に及んで彼女の制作に関与していくBJORK はコラボパートナーを次々と抜擢して自分の音楽を極めていくが、MARK BELL ほど長きにわたって協業した人間はいないんじゃないかと思う。BJORK のライブDVD(どれだか忘れた)で彼がサポートミュージシャン(バンマス的存在?)として彼女のバックで演奏してるのを見られるはずだよ。砂利の上で足踏みして、その音を拾い上げて演奏に反映するみたいなことしてたような。……あ、ちなみにアイスランドからイギリスに拠点を移してソロ活動を始めたばかりの BJORK をフィーチャリングシンガーとして最初に抜擢したのは 808 STATE だよ。「EX:EL」収録の「OOOPS」って曲。この時点で完全な BJORK 節が聴ける。

●このアルバムは LFO としてはセカンドアルバム、「HOMOGENIC」の前年にリリースされたもの。90年代モノだけど、今回初めて聴いたよ。まだエレクトロニカという言葉が定着しきってなかった時代だけど、その言葉に先行するような姿勢でテクノを単純なダンスミュージックからグンと進化させてる。一曲の展開の中でジワジワとゆっくり焦らしながら、最後にはダイナミックなグルーヴへ膨れ上がっていく印象。その佇まいは理知的かつ繊細で可憐、 MARK BELL のホッソリとした華奢な外見とイメージがカブる。EDM のように手っ取り早く盛り上がれないし、パリピ向きじゃ絶対ない感じがするけど、今週一番楽しんで聴いてたのはこのアルバムだね。APHEX TWIN が凡人をブッチ切っていく天才だとすれば、同時代の LFO = MARK BELL は優れた秀才として実直な仕事をしている感じだね。
●でも、MARK BELL2014年に42歳の若さで亡くなってしまう。病名は不明だが、外科手術の後に合併症を起こしてしまったそうな。



●脈絡ないけど、荒木飛呂彦「ジョジョリオン」11巻の敵キャラ、エイ・フェックス兄弟という双子だったな。



●さて、動画。
●APHEX TWIN「CIRKLON3(Колхозная MIX)」
●キリル文字わざわざ使ってウザい。この人の曲名いつも意味不明だけどね。





この前の選挙特番、テレ東の池上彰さんがスゴかったなあ。
●選挙特番としては、民放ヨコ並びで1位だったんじゃないだろうか?
●彼が、当確でウキウキしてる議員に冷水浴びせるような質問ブチかまして恥かかす様子も確かに痛快なんだけど、それがオモシロってダケじゃない。勉強になる。
●なんかタブー感タップリな、公明党の支持基盤・創価学会にアレコレ取材をするのはここ何回かの常套アプローチだったけど、今回は主要4党の支持基盤〜組織票田を全部取材してたよ。自民党と密接な関係があると紹介された「日本会議」「神道政治連盟国会議員懇談会」がギョッとする組織でビックリ。へー公明党が仏教なら、自民党は神道と関係が深いんだ。共産党は「民青」が登場。名前聞いたことあったけど、共産党の下部組織だったんだ。関係ないけどしんぶん赤旗をせっせと配るオバさんも出てきた。民進党はやっぱ労組系。「連合」「日教組」が出てきた。ボクはこれまでの人生で「日教組」との接点はないからピンとこないんだな。コドモたちに「パパも会社の労働組合に入ってるんだぞ」と自慢したが、意味が通じてる気配はない。労組入ってて、別に得したコトもないしな。労組の事務所でダベってて、住宅ローンの借り換えするとお得って知恵をもらったことくらいか。

●英ポンドがすごく安くなってるから、イギリスにCD注文しようかなー。
●でも、まだ全然聴いてないCDがいっぱいあるから我慢するかー。


イギリスが離脱した、ヨーロッパ大陸の音楽を聴こう。ドイツ!

KRAFTWERK「TRANS EUROPA EXPRESS」

KRAFTWERK「TRANS EUROPA EXPRESS」1977年
●なんか色々とくたびれちゃってねえ…。最近はヘンに気を使うことが多くって。だから今日は、元祖テクノをユッタリ聴いてます。古典中の古典、邦題「ヨーロッパ特急」、英語で「TRANS EUPORE EXPRESS」の、ドイツ語盤を入手。普通に下北沢ユニオンで400円くらいだった。
●テクノといえど、現在の解釈で言うところのダンスミュージック要素はゼロ。当時の彼らの音楽は機械演奏が主眼。まさか、これを素材にダンスしたいと思うヤツがいるなんて、このドイツの4人組は予想してなかったのでは。でもここから5年後には、このアルバムの表題曲をサンプルすることで、ブロンクスの黒人青年がヒップホップという音楽を作っちゃう。AFRIKA BAMBAATAA「PLANET ROCK」だね。
●しかし今は、ドイツ語の堅苦しさをシンセのリフレインに乗せながら、ドラムマシーンがスクエアに刻むビートにユックリ身を預けよう。今なら iPad のフリーアプリでも鳴らせるであろうシンセ音やリズムが、なんともギコチなく、繊細に重なり合ってる様子を眺めていると、きっとコレを鳴らすために、電気回路をピタゴラスイッチ並みの精密さで制御しようとしてたクソ真面目な連中のワクワク感と、機械が鳴らすキレイな音にホレボレしてる気分が伝わってきて、とっても心が落ち着く。この特急は車輪がなくてフワフワ浮いて走ってるみたいだ。気持ちいい。
●現代のヨーロッパ特急は、どこに行っちゃうんだろうね。ドーバー海峡の間はイマイチ詰まっちゃうみたいだけどね。ポルトガルからルーマニアまで一気通貫できる現代よりも、鉄のカーテンで分断されてた70年代ドイツの方が夢想力では上だったね。

KRAFTWERK「ELECTRIC CAFE」

KRAFTWERK「ELECTRIC CAFE」1986年
●時代がグッと降って、テクノミュージックとダンスミュージックの接点が一般化したこの頃にあっては、ポンポンと気持ち良く弾むビートがセクシーにも聴こえてくる。「ヨーロッパ特急」以降から「人間解体(原題:「THE MAN-MACHINE」1978年や「COMPUTER WORLD」1981年と「脱人間」運動を推進してきたけど、テクノという手法を実に人間的なダンスという営為に取り込み切った世間の流行に、このCG人間たちは馴染めなかった模様。だから5年もブランクが空いちゃってる。ボクは、ダンスにはちょっと及び腰だけど、ブンブチャッ!ブンブチャ!とオノマトペで楽しく身を揺すぶる彼らが好きだよ。

KRAFTWERK「THE MIX」

KRAFTWERK「THE MIX」1991年
●またまただいぶブランクを空けての久しぶりアルバムは、旧曲のリミックスアルバム。時代としては、90年代テクノカルチャーが幕開らき、ただ享楽的にダンスを貪るだけじゃない「アーティフィシャル・インテリジェント」路線のテクノも登場。元祖 FRAFTWERK に敬意を表する風潮もしっかり生まれた。そんな中で「ロボットだけど踊れるんだよ」と照れながらもワクワクするビートを元気よく打ち鳴らす御大。摩擦なく全てがスムーズに調和する明るく楽天的なフューチャー感覚を、このアルバムは25年も時間が経っても持ってる。デストピアな未来しか描けない現代において、このピュアさは、ドラえもんと同格だよ。

KRAFTWERK「TOUR DE FRANCE SOUNDTRACK」

KRAFTWERK「TOUR DE FRANCE SOUNDTRACK」2003年
●これまた大きな10年以上のブランクを経て、登場したアルバムは自転車レースがテーマ。バンドの中心人物 RALF HUTTERガチの自転車マニアで、ツアー時にも次の会場から160キロも離れた地点でバスを降りてチャリンコで走るなんてマネをしていたという。ロボット体質のクセして体力あるな。その一方で「ELECTRIC CAFE」制作時、ド派手に事故って昏睡状態にまで陥ったという。自転車には詳しくないボクにとって「ツールドフランス」がどんだけ格のあるレースかはイメージがつかない。ジブリ関連でアニメにもなった黒田硫黄のマンガ「茄子アンダルシアの夏」は…あ、あれスペインのレースなんだ。一応このアルバムは「ツールドフランス」100年目を記念した位置付けっぽい。
相変わらず地面との摩擦を感じさせない、テクノのスベスベした質感で、レーサーは華麗に風を切って走る。彼らなりのスリリングなスピード感覚が、ナニゲに「未来派」。物体の運動をキュビズムや抽象絵画のテクニックで切り取るイタリアの芸術運動@20世紀初頭の雰囲気。物体が見えなくても、音響がその運動の軌跡を見せてくれる。そんじょそこらの若造には真似できない技ですよ。




●最近は、ナニゲにややソーシャル疲れをしちゃって。
facebook をいじらなくなってしまった。
facebook は、なんか、ちょっとしたビジネスの社交場になってしまって、気を使うコトが多くなっちゃった。いいね一回にも、イデオロギーや社会問題への姿勢を問われる気分だ。もう自分から友達申請することもヤメタ。これ以上の社交は無理。

一方、instagram は気楽だ。非言語コミュニケーションである写真がメッセージのメインであるサービス設計は、ロジカルな言説から適度な距離をつくってくれる。気分だけで更新し、気分でいいねできる。
非言語コミュニケーションなので、外国の人から気さくにフォローされることもある。これ twitter でも facebook でもなかった新鮮な経験。これは tumblr と同じ感覚かな。

instagram で相互フォローして今気になっている人がいる。日本が大好きなインドネシア人の女性。
●当然お互いの情報なぞ全くワカラナイ。ただ相互でいいねをし合ってるだけ。最初は性別も知らなかった…インドネシア語の名前だけでは性別はわかんないよ。ある日セルフィーを上げてきて、初めて若い女性だと判明。ビックリしたし、正直言ってコッチのテンションも上がるよね!ジャカルタで暮らす女の子とナゼか繋がってるこの偶然!彼女は日本旅行で撮り貯めた写真(東京、大阪、京都などなど…頻繁に来日してるのかな)をポコポコ出してて、時々普通のジャカルタライフを上げてくる。ボクはジャカルタの日常風景の方に興味津々。

●で、ジャカルタの彼女は、先日、断食月つまりラマダンの最終日を迎えた模様。
●そうだ、ジャカルタの人はイスラム教徒なんだよね。ヨガのセンセイの旦那さんはバリの人だからヒンズー教徒だから一瞬忘れてたわ。彼女の短いコメントによると、ラマダンの最終日のことを「イード」というらしく、日本で言うところのお正月みたいな感覚らしい。そんで「おめでとうイード」と日本語で綴ってる。イードの数日間は着飾ってお出かけしたり、立派なゴチソウを家族みんなで食べて過ごすみたい。日本人女性が正月に和服の晴れ着を着るように、普段は西洋風ファッションの彼女も珍しくヴェールで髪の毛を覆い民族衣装に身を包んでいる。tumblr なんかで「#eid」で検索すると、全世界のイスラム女性が渾身のオシャレセルフィーを上げてて、マジ壮観。
連日の恐ろしいテロのニュースに辟易とするところで、ごく普通のイスラム教徒の人たちが素朴に祝日を楽しく過ごしてる様子は、なんかとってもボクの心を安心させる。やっぱり普通の人たちは、平和にイスラムの宗教生活を送ってて、ボクらと同じくお祭りを楽しんだり、家族と一緒の時間を過ごしたりしてるんだ。そのリアルがとっても愛おしい。

西野正巳「イスラム世界の人生相談」

西野正巳「イスラム世界の人生相談」
●去年の2月、ISに日本人ジャーナリストたちが捕まって殺されてしまったあの事件。あれ以来、ボクは結構イスラム関係の本をモショモショ読んでるんですよ。なんだかんだで7〜8冊は読んだかなあ。代々木上原にある立派なモスク・東京ジャーミイに行って礼拝の様子を見学させてもらった。家族4人で北アフリカのイスラム王国・モロッコへ旅行して、世界遺産都市フェズに滞在したりもした。イスラム教のリアルを身に染み込ませたいなと思って。偏見やステロタイプに負けるな、リアルを感じろ、とか考えてね。ただやっぱり簡単に理解出来る文化ではないから、安易にブログで言語化するのもどうかなと思ってた。今でも迷いが色々とある。
●ただ、バングラデシュのダッカで7人の日本人がテロで殺されてしまったこと、そのテロはスケジュールとしてわざわざラマダンを狙った気配があること、でも本来のラマダンは楽しいお正月気分の行事であること、そんなギャップがボクのアタマの中でゴツゴツしたワダカマリになって、衝動的にボクはキーボードに向かってるテンションです。これが前提。知識が足らないまま書きますからボクが間違ってる場合もあるし、広いイスラム文化圏、おそらくお国柄で宗教風土も違うはず。粗相があったらすいません。

●さて、この本は、去年古本屋さんで見つけて読んだ本。おそらくエジプトの新聞っぽいんだけど、そこに寄せられる様々な人生相談を、イスラム法学者と言われる人たちがお答えする様子を翻訳したもの。これが、なんとも所帯じみた相談内容ばっかでオモシロイ。加えて、それに超クソまじめに答える回答者の様子もなんだか微笑ましい。コーランの第9章90〜91節にこう記されております〜とかマジ本気ですよ。まーワザワザ新聞に投書するくらいですから質問者はマジ切実ですし、イスラム法学者はプロですからメチャ堅苦しいです。
●でもね、具体的に質問の内容は、「パーティ好きの夫のせいで、妻の私はタバコと酒に溺れてしまいました。罪深いのは私ですか、夫ですか」とか、「妻が私の要求を拒むのでセックスの問題で争いが絶えません。このデリケートな問題にイスラム法はルールを定めているのでしょうか」とか、「秘書の仕事で上司と二人きりになるのですが、女性がこのような職業に就くことはイスラム教では禁止されてるのでしょうか」とか、「ワインから作ったお酢についての決まり事を教えてください」とか。日常生活のスッゲー細かいコトまで、イスラムのルールで整理しておきたいみたいなんです。で、実際に法学者はバッサリ白黒つけるんです。日本人はこんな考え方しないでしょ。まーそのへんは適当でいいんじゃないんでしょうか、でしょ。ちなみに「ワインから作ったお酢」問題は諸説あって違法合法どっちとも言えないと、非常に口惜しい感情をにじませて学者さんは回答しています。不謹慎かもしれませんが、ぶっちゃけ笑っちゃいます。
●真面目な相談のクセしてセックス関連の質問がたくさん出てくるのは、日本人著者の下世話なバイアスではなくて、リアルな実態なのだそう。著者自身があとがきで言及している。「こういった話題を積極的に扱うからこそイスラム教は生活に密着した宗教であり続ける」。男女の役割分担にセンシティブである社会だということにも関係があるのかも。

●こんな感じで本の内容はなんとなく愉快なんですが、そもそも、なぜ質問者はイスラムのルールを学者に聞くのか?ってコトに大事なポイントがあるとボクは思ってます。コーランを自分で読んで考えればいいじゃないか??でも、それはなかなか無理らしい。
●これはモロッコに旅行に行った時、東京ジャーミイを見学した時、若い頃にトルコに旅行した時を思い返して気がついたのですが、普通の生活の中で、コーランそのものはほとんど登場しないんです。本屋さんで簡単にコーランが買えるかと思ってたら、ナニゲに安易に売ってない。そもそも本屋さんが少ないんですが。
●偶像崇拝を認めないのでモスクの中は基本空っぽ。でも東京ジャーミイでは、立派なコーランが御神体のように大事に保管されてました。ガラスケースに入ってて、もうこれを手にとって読むなんてありえない感じ。スッゲードテカイし。しかも、コーランは日本で言うところの古文漢文みたいなモノらしく(確かに7世紀の書物だもんね、古事記や万葉集と変わんないわ)、かなりの教養人じゃないと読みこなせないらしいのです。聖書みたいに自分で読んで自分で解釈、とかは絶対に不可能みたい。まー般若心経を自在に読みこなす日本人は滅多にいないのと同じな感じでしょう。
●さらに、コーラン以外のサブテキストがまた大変。ハディースと呼ばれる預言者ムハンマドの言行を記録したモノがルールを決める上でデカイ資料になるのですが、一冊の本にまとまってるわけじゃない。たくさんの古い文献からピックアップするのですが、これも素人には絶対手に負えない。結果、専門職としてイスラム法学者という職業が成立することになったわけ。
●一方、カトリック教会のような聖職者組織が存在しないのもイスラム教の特徴で、オーソライズされた組織が公式教義を整備する場面もない。だから、法学者一人一人で教義の解釈もズレてくる。もうこうなると鉄板のルールなんて実は存在しないんじゃないかと思える。飲酒はタブーがイスラムの掟というのはボクラでも知ってる話ですが、未だにイスラム内部から「コーランでは飲酒は禁止されてない」って議論がしばしば出てくるほど。この本の法学者はそういう風評に対して、決然と禁酒は明記してあると主張してますが。

●さて、ここで、テロリストの一見ムチャクチャな、憎悪と殺人を煽るロジックが、なぜイスラムの名を背負ってのさばるのか?なんとなくイメージできてくる。つまり、テロリストがなんの根拠もなくハッタリだけの主張をブチ上げてるとしても、コーランにはそんなこと書いてないよ、コーランでは反対のことが書いてあるよ、とサッと反論できる人は混乱した社会の民衆の中にはいないのです。もちろんお題目のように暗唱することはできるでしょう…日本の中学生が「祇園精舎の鐘の声〜」と暗唱するように。でも宗教論戦は素人には無理。多分、ただ声のデカイやつが勝つ。カラシニコフを振り回してるやつが勝つ。

●ボクは、そんな説明を自分の中で編み上げるコトで、テロリストとイスラム教を分離しようとしている。 
●……また呆れるほど、理屈っぽい話を書いちゃった。ボク以外の誰にも役立たない。



そんで、コーランの朗唱を聴く。

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「HOLY QUR'AN - 17 CD'S SET」
●本としてのコーランをモロッコ旅行でゲットするコトはできなかった。コーランが本当に大事にされてるコトを、実感を持って知るにつれ、異教徒のボクが冷やかしでコーランを買うのは申し訳ないとも感じた。ニューススタンドでアラビア語のファッション誌や新聞を買ったりしたけど、本屋さんのご主人に「コーランありますか?」とは、とうとう聞けなかったよ。
●一方で、ちゃんとしたCD屋さんで不思議なモノを見つけた。ちゃんとしたお店だと、CD売り場の一角に立派なボックスセットが並ぶ場所が必ずあって。で、それを注意深く見ると、全部コーランをCDにしたものなのですよ。コンパクトなセットから40枚組みたいなスゴイやつまで品揃えも豊富。うわーコーランがCDになっちゃってるよーすげーなー。
●でも、やっぱり異教徒のボクが買うのは不謹慎では…と躊躇。でも欲しい。こんなの日本じゃ見たことがない、買うならこのチャンスは逃せない。どうしようどうしよう。結局、モロッコ旅行最終日、トランジットで立ち寄ったドバイ空港のターミナルの中で、購入した!それがコレ。CD17枚セット!ズッシリ重いし、パッケージも立派だけど、ブックレットやライナーノーツもない。まーあったとしてもアラビア語じゃ全く意味わかんないけどね。
●で、買ったはいいものの、正直言って完全に持て余した。去年4月にモロッコで購入して、今週まで全く放置。どういうつもりで聴いたらいいか、100%わからんし、そもそも何が収録されてるのかも全然わかんない。アラビア語ばっかだし。でも、この記事を書くにあたって、とうとうプレイヤーにCDを置いてみた!

……スゲエ。美しい。
●実は、コーランの名言を朗読してるような内容をイメージしてた。お坊さんの講話みたいなものになってるのかなと。とんでもない。そんな野暮なものじゃない!基本的に、男性がたった一人で、不思議な節回しで、アラビア語を朗唱しているのだ。しかも、CD一枚に1トラックだけ収録。60分以上の尺をこの男性はずっと一人で、朗唱を続けるのだ。楽器は全く使われていない。簡素なディレイエコーがかぶさってるだけ。実にシンプル。ただこれが本当に美しい。
音楽と言えるのか?決まったリズムはない。小節で区分けられた構造もない。伴奏楽器もない。ただし、圧倒的に「うた」だ。ある様式に依拠しているのであろう、特徴的な節回しとビブラートが、可憐でセクシーにも聴こえてくる。摩訶不思議なアラビア語の語感も、エキゾチックで素敵。これをCD十数枚分聴き続けてると、チルアウトを通り越して異世界に幻惑されていくようだ。イスラム世界を旅行した人はご存知だと思うが、モスクからお祈りの時間を告げるアザーンと同じ雰囲気。ただ、アザーンよりも圧倒的に長い。この男性パフォーマーは永久に朗唱を続けられるのだろうか。日本で似たものをあげれば仏教の念仏かもしれないが、全然比較にならない。色気がある!
東京ジャーミイの見学をした時に、説明をしてくれた男性が熱っぽく語っていたことをパッと思い出した。「コーランはアラビア語のままで聴いてもらいたい。コーランが美しいものだということが、一瞬にして理解できるでしょう」神から授かった言葉を改変してしまうという意味で、翻訳すら本来は推奨されないコーラン。ただ、アラビア語で完成されているという主張は、この朗唱を聴くことでスゲー説得力を持ってしまった。また、こうした優れた朗唱家を備えていることは、そのモスクの自慢や誇りにもなるらしい。


イスラム文化は、まだボクには遠い存在だ。宗教生活そのものにピンときてない。
●でも、知りたい。知っておかなければならない。まだ彼らのことを全然知らないことをきちんと認識して、謙虚に向き合いたい。





ネットフリックスで、又吉直樹さん芥川賞作品の映像化ドラマ・「火花」を見始めたよ。
●まだ2話までしか見てないけど。原作にとっても忠実な気がする。配信オリジナルドラマって尺の限界がないから、映画なら省かれるエピソードがそのまんま残るのねー。
●高円寺、吉祥寺の街の風景が、馴染み深くて。波岡一喜さんって役者さん、初めて知った。原作に忠実で、忠実に怖いね。

●ヒヨコが「ダイハード」を見たいと言い出して、几帳面に U-NEXT 「1」から見返している。英語で DIE HARD ってどんな意味だか知ってました?「なかなか死なない」「ガンコモノ」ですって。ボクは「ほとんど死ぬ」だと思ってた。
●さて「ミッションインポッシブル」もほとんど見てるヒヨコは、アホみたいなアクション映画が好きみたい。「スパイダーマン」「X-MEN」も結構見てる。だから、今やアクション映画の古典となったこのシリーズ作品、まだ毛が生えてるブルース・ウィルスの活躍を父娘で見てみようと相成った。でもね……。
「1」は1988年公開。「2」は1990年公開。「3」は1995年公開。ここら辺は全部、2001年の911テロの前なわけですよ。だからね、実に無邪気。テロリストの敵がやってきて、無邪気にビルを爆発したり、空港でテロを起こしたり、飛行機が墜落したり、ウォール街で地下鉄が爆発したりするワールドトレードセンターもチラッと映る。
●でもね、、昨今のISによるテロ、パリのシャルリーエブド、ロンドンの地下鉄、ブリュッセルやイスタンブルの空港、オーランドのゲイクラブ、そしてダッカのレストラン、さらにはイスラムの聖都メディナまでと、世界中で毎日テロ満載という現実がリアルになっちゃった状況下では、もう能天気にドカーンと爆発する様子では、スカッとなんかできないんだよなー。決定的に気分が変わってる。ふー。



●マンガ生活。アホのように読んでいる。その一部。

三浦建太郎「ベルセルク」38

三浦建太郎「ベルセルク」38巻
●もー久しぶりの単行本すぎるので、37巻を読み返した。だって37巻出たの2013年3月だよ、3年3か月のブランクだよ。と思ったんだけど、休筆期間なんて全然なくて、2014年は4回、2015年は5回、決まったペースで連載を継続してた…超勤勉じゃん。で、そこに加えて単行本で再編集を施してるとな。お話はまだまだ拡散していく模様で、超懐かしキャラがいきなり最前線に登場とかしてホント大変。今月アニメが始まるんだっけ。日テレからTBS系に引越ししてね。

山本さほ「岡崎に捧ぐ」1

山本さほ「岡崎に捧ぐ」1〜2巻
●作者本人・山本とその少女時代の親友・岡崎の、ノホホンな小・中学生ライフと奇妙な友情が、ロウファイな筆致で綴られてる。それなりにワケありで、それなりに脱臼気味。そんで女子なのに異常にゲーム好き。1996年に小学生という設定か…そこボクが就職した年だわ。

コトヤマ「だがしかし」1 IMG_5012.jpg

コトヤマ「だがしかし」1〜5巻
駄菓子をテーマにしたマンガ登場。実在の駄菓子を取り上げてその魅力を細部まで語るマンガ。で、ヒロイン・枝垂ほたるが、これまた息子ノマド/全世界の二次元ファンが大好きになりそうなストレンジ美少女。紫色の髪と瞳、おまけに三白眼!キメのポーズはまるでジョジョ立ち!衣装がややゴスで、深刻に天然で世間知らずで社長令嬢そして巨乳!
●で、4月に福岡旅行行った時に駄菓子屋を見つけたので、おみやげとして目一杯買ってきたら娘ヒヨコが感動!家族みんなで駄菓子パーティだ!とテンション上がりまくった…んだけど、あれ???なんだかあまり食べ進められないぞ。…ヒヨコ、駄菓子ってさ、いっぺんにいっぱい食べるもんじゃないのかもな。子供が20円で満足できるように、味が強めになってるから、反対にたくさん食べられないようになっちゃってるな…。ヒヨコ、ちょっとションボリ。
●代わりに、ボクが小学生だった80年代、家の近所にあった「スズキヤ」の話をしてあげた。あそこは小学生のワンダーランドだったよ。高校の裏にあった「くらや」も、カップヌードルばっか買ってて意識しなかったけど、駄菓子屋の一種だったかも。あ、ちなみに写真の駄菓子全部でも500円いかなかった。安い!駄菓子スゲエ!

こうの史代「日の鳥」2

こうの史代「日の鳥」2巻
東日本大震災の被災地を訪れて、ボールペンでスケッチを一枚描く連作がとうとう第二弾。あの日から5年。説明がなければそこで起きたことはもう何もわからないような場所を、ただ静かに描く。描き下ろしの小品「小さな世界」が絶品。目からウロコの観点から、本当に小さな小さな世界で起きる出来事を、とびきりの慈しみをもって描いている。ネタバレになるからもうこれ以上何も言わないけど。もうこの人の作品には何回もやられてしまったよ。
この夏は、息子ノマド中学三年生と二人きりで、原子力発電所の見学に行こうという話をしている。中学校の「卒論」とやらで、テーマを選んでしっかりとしたレポートを書くそうだが、ヤツは「原発」を題材に選んだ。「原発」をどう取り上げるのか、それはヤツに任せるから細かく聞くつもりもないけど、ヤツが現場を見たいというのなら、面白いからボクも行く。本や検索じゃなくて現場、という心意気や良し。コドモだけだと先方に相手にしてもらえない気配もあるしね。

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」13巻
●春高バレー開催!相対する敵チームのキャラがことごとく濃すぎて、しかも一試合でその敵キャラたちの群像劇を泣けるところまでキッチリ描くのが見事。すごいテンションだわ。女子バレーボールの完全スポ根でありながら、実は AKB 関係のドキュメンタリーと本質が同じかも。たくさんの女の子一人一人が背負うドラマを丁寧に眺めてあげる気持ち。

三宅乱丈「イムリ」19巻
●イムリとカーマという二大種族の文明抗争を描く巨大なSFファンタジーに新局面。身分制階級社会を営むカーマの元で、意思を奪われ奴隷として使役される第三の種族イコルがとうとう反乱を起こす。

五十嵐大介「ディザインズ」1

五十嵐大介「ディザインズ」1巻
●久しぶりの五十嵐大介作品。自然の神秘にフォーカスしてきた彼が、今回は珍しくも忌まわしきバイオテクノロジーを駆使して生まれたキメラ的怪物を登場させている。少女の顔を持つヒョウ。音もなく一撃で人間を噛み殺す。まだ物語の正体は全然わからない。

黒田硫黄「アップルシードα」2巻
五十嵐大介と同じくらい好きな作家だけど、五十嵐大介と同じくらい寡作でマイペースな作家。今回は士郎正宗作品のリメイク再解釈だけど、もはやトレードマークになったベタベタの筆描きが味出まくりで、原作のクールなSF感覚はポンコツメカの愛らしさに変換されてました。

貴家悠/橘賢一「テラフォーマーズ」17巻
●腐れ縁になってしまったがコドモたちが楽しみにしてるので買うのをやめられない。火星ゴキブリとの死闘で始まったはずが、いつの間にか覇権大国の代理戦争になって人間同士が殺しあってる。陰謀がデカすぎて意味不明。

粟岳高弘「鈴木式電磁気的国土拡張機増補版」
「いないときに来る列車」思い切りオフビートな昭和SFを展開してた驚愕の作品の、続きの連作を見つけた。80年代のド田舎農村で、女子高生が奇妙な異世界と行ったり来たりで宇宙人?に会う。でSF的都合によってなぜかフンドシになるという意味のわからなさが、マヌケで緊張感なしで、しかもろくにオチもない。素晴らしすぎる。

よしながふみ「大奥」13巻
●男女逆転大奥も、そろそろ幕末モードで13代将軍家定が登場。そんで篤姫も登場するんだけど、男女逆転だから男なんだよね。ガクッ。篤姫は大河ドラマでは宮崎あおいだったからね、イケメンとはいえガックリの落差が大きい…。あ、あの時の大河で家定を演じたのは今の大河の主人公・真田信繁を演じる堺雅人だったね。女性家定はすごく美人だよ。

安彦良和「ヤマトタケル」2〜3巻
「ナムジ」「神武」と、古事記の逸話を現実の古代史に引きつけるかのような筆致で描いた安彦良和が、現在「ヤマトタケル」でその連作路線の延長を突き進んでいる。ということでコレも面白いんだけど、早く「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のアニメ版を見ないといけないなあ。

山岸凉子「月読」
この人の場合、スピリチュアルなアプローチで古事記に迫るのか古事記にインスパイアされた短編をコンパイル。神話のエピソードから現代劇まで大きく想像力は飛躍してる。下北沢の古書ビビビで100円だった。

ヤマザキマリ・とりみき「プリニウス」4巻
古代ローマの博物学者プリニウスの生涯。魔都ローマを抜け出て到達したポンペイで大地震発生。でもこの地震は西暦62年の地震で、ヴェスピオ火山の大噴火がこの町を滅ぼす79年の惨事とは違うそうな。シチリアってそんなに地震が頻発するエリアなの?

水木しげる「マンガ古典文学 方丈記」

水木しげる「マンガ古典文学 方丈記」
●このマンガは、2月に旅行した京都・下鴨神社(←ユネスコの世界遺産!)で見つけて買ったモノ。水木先生においては、出雲の県立博物館で「水木しげるの古代出雲」という作品を発見して、最晩年に及んでも衰えぬその創作意欲の旺盛さに驚かされたが、これもそんな時期2013年の作品。ポスト震災状況の視点から、鴨長明という人物をより人間くさく描く。平安末期の社会混乱や天災飢饉、軍事動乱の中、自身は名家の出身でありながら出世のチャンスをつかめず、世間から離れてしまう。中学校の教科書では聖人のように悟りきった印象があったけど、ナニゲに俗っぽく世間体の評価にジリジリしてたのが、水木先生の描く鴨長明だ。
鴨長明は、苗字にある通り、下鴨神社の禰宜の家系に生まれた人物だ。だから伝記マンガも神社のオミヤゲ屋さんに売ってるわけで。下鴨神社は幾つかの神社の集合体みたいで(古くて立派な神社はいつもそうだね)、その中の神社の一つで長明が暮らしていた「方丈」が再現されていた。確かに小さい!しかもプレハブ感覚で解体して持ち運びが出来るように作られていたようだ。

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●これが、世の中に絶望した鴨長明が、隠遁生活を過ごした「方丈」。50歳で彼は放浪者になって、この簡便な住まいを作るに至る。広さは3メートル四方。タタミで5畳半程度。この究極のシンプルライフは、達観と洗練の果てではなくて、絶望とニヒリズムの果てなのかもしれない。



●音楽。なぜか声優、そしてアニソン。

竹達彩奈「LITTLE*LION*HEART」

竹達彩奈「LITTLE*LION*HEART」2015年
●前述「だがしかし」のアニメ版でヒロイン・枝垂ほたるの声優を務めるのが、彼女、竹達彩奈だ。空気系/日常系の古典傑作アニメ「けいおん!」中島梓akaあずにゃんを演じてブレイクしたのが2009年。こんなにスウィートなルックスで実は27歳、ベテランさんです。最近だと「艦これ」大和さんが印象深い仕事だったかな。声優さんって、ここまでカワイイルックスがないと成功できないのか…険しい世界だ。いやルックスだけでなく、ボーカリストとしてカワイイ。声がやっぱカワイイ。マジでだいぶ声に引きずられてる。声優世界は奥深いぞ。
●このシングルは、ラノベ原作のアニメ「ランス・アンド・マスクス」のエンドテーマだったとな。アニメも原作も全然知らないが、アニソンらしく展開がドラマチックで楽しい。「アニソンは日本のエモ」ってのはボクの考えてる持論なんだけど、この曲もマジエモい。

藍井エイル「シリウス」

藍井エイル「シューゲイザー」

藍井エイル「シリウス」2013年
藍井エイル「ツナガルオモイ」2014年
藍井エイル「シューゲイザー」2015年
目ヂカラがキリキリしてる彼女はアニソン系シンガー。彼女の5枚目のシングル「シリウス」が、ボク&ノマド&ヒヨコが存分に楽しんだアニメ「キルラキル」のオープニングテーマだった。コレが間違いなくエモい。短い尺の中での緩急がドラマチックで、サビで拳を突き上げたくなるエピックな展開が、まさしくエモ。この曲は家族カラオケ行ったら必ず娘ヒヨコに歌ってもらうんだ。
「ツナガルオモイ」もタイトにドラマチックな展開を押し込んだエモ楽曲だな。痛快なロックギターがザックザックしてるわー。あ、この曲は藍井エイル本人の作詞作曲なんだー。
●比較的近作の「シューゲイザー」はタイトルで引っかかった…だって、音楽ジャンルとしてのシューゲイザー大好きだもん。でもスタイルとしては全然シューゲイザーじゃなかった。なんでタイトルが「シューゲイザー」なのかリリック見てもわからん。でも、きちんとエモいロック。なんと GLAY HISASHI が作詞作曲だった。
●この辺、明大前ツタヤのレンタル落ち売り場で100円で買ってる。100円でここまで楽しめるって嬉しいね。

GARNIDELIA「GRILLETTO」

GARNIDELIA「MIRAI」

GARNIDELIA「GRILLETTO」2014年
GARNIDELIA「MIRAI」2015年
こちらもアニソン系。男女デュオのユニットで、フロントはジャケのボーカリスト女性メイリアさんが担当。今年のニコニコ超会議「超音楽祭」に出演してて認知した…。相方のメガネ男子の嗜好なのか、ロック感覚前提の EDM テイストがガチッとしてるけど、メイリアのボーカルはゴスな地点からピュアなポップスまでレンジが広くてオモロイ。ニコ生の配信見ただけで、もっと聴きたくなっちゃった。「MIRAI」はピアノ基調のスウィートなバラード。ジャケは KATY PERRY 風だけどね。
●こっちの二枚は、千葉県市川市の本八幡ツタヤで買ってるな…。どこ行ってもボクはCD物色してんだな。




●動画。藍井エイル「シリウス」。シンガポールのライブ。






資格取得のための、最後の課題、レポート提出がやっと終わった。
●パワポとエクセルでチクチクと資料を作ったよ。画像を載せまくったら、提出条件のデータ上限に引っかかって、必死に減量する羽目に。ムダに凝り性なボクの性格を反映してか、結果すげえカラフルなレポートを作っちゃった。提出メールには「カラープリントで採点してください」とお願いした次第。ふー肩の荷が降りた。合否結果は8月。
●振り返ってみれば、今回の資格取得はとっても面白かったかも。講義では面白い人たちと知り合えたし、仕事の実践にそのまま使えるスキルも教えてもらえた。会社で担当している契約業務、今まで単純なチェック程度にとどめていたけど、今ボクは、初めてゼロからフルスクラッチでライセンス契約書を書いている。去年なら想像もつかなかったね、こんなの自分で出来るようになるなんて。


ヨガのセンセイが、バリで結婚式を挙げました。
ダンナさんもヨガの先生で、生粋のバリ人。日本での結婚式は2年以上前にセンセイの実家・秋田県で行なわれており、生まれて初めての紋付袴にハニカむダンナさんがカワイかったのですが、今度はセンセイ自身がガチのバリ式伝統様式での結婚式に挑みます。ヨガ教室の生徒さんも、10人ほどが列席のためバリ入り。ボクは当然行けなかったんだけど、これは無理してでも行っておくべき珍しいものだったのかも。facebook に上がる写真が素敵すぎる。

朱色の島バリ2

●上の写真みたいな衣装にスタンバイするために、朝3時起き。巨大な被り物は身長を50センチくらい伸ばすほどで、重くて倒れたら一人で起き上がれないらしい。すでに生後6か月を過ぎた長男ガーくんにオッパイあげるにも、この衣装を脱いだり着たりは大変で。で、儀式は10時間ぶっ続け。大勢の親戚100人が集まっての前半戦に、夜は友人中心の後半戦。結婚してから式までの用意が大変なので、2年も間が空いてたのね。ダンナさんの親戚の皆さん、ここぞと言わんばかりのオシャレを思い切り楽しんでる。10歳くらいの女の子も伝統衣装で身を包んで嬉しそう。でも、親戚&近所100人でも地味婚らしいよバリの感覚では。本当に声をかけるとインドネシア各地の島々や世界中から人が集まっちゃうそうな。
秋田美人であるところのセンセイが、バリのメイクさんによる宝塚ばりの描き込みで、見事なバリ美人になってるところもスゴかった。ダンナさんの南国テイストの顔も、日本ではコテコテに濃いと思ってたのに、現地バリだとむしろサッパリ顔の部類に入るってのも、親戚の皆さんと比較してわかってしまった。大きな祭壇にお祈りする様子も写真にあったんだけど、てっきりお寺での様子かと思ったら、実はアレはダンナさんの実家の祭壇だったと聞いてビックリ。結婚式は実家でお客をお迎えするのが基本とな。
長男ガーくん6か月は、バリの伝統に則って、髪の毛をツルツルに剃り上げられてしまった。クセッ毛ぴんぴんのガーくんもかわいいが、マルコメ状態になったガーくんもかわいい。なんか男の子ぽく凛々しくなったぞ。

●写真は、写真・稲越㓛一/文章・安西水丸「朱色の島バリ」
1990年に書かれた本で、当時日本ではバリの知名度はまだ低かった。独自のヒンズー文化が息づく神秘の島が徐々に観光化されつつある時期。ボクの海外旅行デビュー1988年がバリ島だったんだよね…。この本の短編小説が素朴さを残すバリの様子を端的に切り取ってて、当時中学生だったボクの思い出のバリとシンクロする。グアムもハワイもすっ飛ばしてバリが選ばれたのは、インドネシアに駐在してた叔父を訪ねようとしたから。そしたら叔父がジャカルタよりもバリがいいよと。レゴンダンスやケチャダンスを興味深く見物したよ。


1990年代の本をもう一冊読んでました。
●その本の内容が、イギリスのEU離脱とシンクロするよ…。結局、移民問題なんでしょ。

「ドイツの中のトルコ」

野中恵子「ドイツの中のトルコ - 移民社会の証言」
●バリを美しく切り取った「朱色の島バリ」も、この本も、去年暮れに閉店してしまったお気に入りのカフェ「現代ハイツ」の跡地から頂いたもの。アート本がギッシリだったあのカフェの書架には本当に色々な本もあったんだね。その中で古くなっちゃった本が「ご自由にお持ちください」になってたんで、幾つか頂いたのでした。その中の一つがコレ。で、今のヨーロッパにシンクロする内容でドキッとしてる。
●帯コメの「ドイツはいま、岐路に立っている。」というフレーズ、この「いま」ってのが実は1993年。2016年の現在から遡ること20年以上前から、すでにドイツには180万人のトルコ系移民が暮らしていたのだ。付け加えれば、当時の段階でドイツの外国人人口はなんと約600万人。日本にいるとピンとこなかったけど、ヨーロッパ社会は、もうとっくの昔に移民社会に突入していて、EUがEUと名乗る前から移民が当たり前の状況だったというわけだ。まー確か前身のECの段階で域内移動の自由はルールになっとったと思う。ドイツだけじゃなく、イギリスもフランスも移民をドンと受け入れていたことは想像に難くない。
●しかも!ここ注意して下さい!当時のドイツは冷戦構造で分断されてた東西ドイツが統一を果たした1990年の直後。つまり、ベルリンの壁、鉄のカーテンの向こうから東ドイツ住民1800万人がドカッと西ドイツ社会6300万人に加わる。この東西格差に統一ドイツは大パニック。トルコ人の問題よりも、世間の関心は東ドイツ問題がヤバイってテンション。経済的な混乱がビッグイシューなはずなんだけど、その不満の矛先が外国人労働者に向かう。そんでネオナチの台頭。旧東ドイツの真ん中で陸の孤島のように存在していた西ベルリンには、立派なトルコ人街があるのだが、統一した途端に旧東ドイツ住民から「外国人は帰れ!」となじられる。20年以上ここで暮らしているトルコ人から見たら、東ドイツ人の方が後から来た新参者なのに。
●しかし2016年の今、結局ドイツはアレコレを乗り越えて、EUの目指す欧州の統合や、マルチカルチュアルな社会的コンセンサスを維持してる。しかし、トルコにもドイツにも馴染めないアイデンティティを喪失した若者が、恵まれた職に就けずにギャングになるとか、問題がないわけではない。一方でトルコ社会では自己実現できなかったイスラム女性の社会進出をドイツの環境が準備したりもしてる。ともかく90年代のドイツは、なんとかピンチを踏み堪えたのだ。

でも、今回のイギリスはギブアップしてしまったんだね。

●なんか信頼できるデータがどっかにないか探してみた。
●英語の wiki で「FOREIGN-BORN POPULATION OF THE UNITED KINGDOM」って項目があったので参照してみる。
●こいつによると、2015年の国連の調査で、外国生まれのイギリス住民の数は840万人。一方イギリス生まれのイギリス人は5600万人。外国生まれの住民が全人口の13.1%にあたるそうな。むむむ。つーか予想以上にイギリス人って少ない…日本の人口って1億2600万人いるんでしょ。ちっぽけ…。
●最大のエスニックグループはインド系で77万人。でもその次が注目。ポーランド系が70万人。2001年のOECDの調査ではたった6万人しかいなかったのに、一気に10倍以上に増えた。お隣の国アイルランドの50万人より多い。激増という意味では、ブルガリア、スロバキア、ラトビアがそれぞれ5000人程度から5〜6万人に、ルーマニアが7000人から9万弱に、リトアニアなんて4000人強から11万人に増えてる。後発でEUに加盟した東欧系がスゲエアクティブ。2001年から2011年で外国生まれ人口は2倍以上になってるんだわ。
●あと目立つグループは、パキスタン、バングラデシュ、南アフリカ、ジャマイカ、ナイジェリア。旧植民地だったエリアかな。アメリカ、フランス、ドイツも当然多い。中国、香港、フィリピンも存在感がある。このへんがそれぞれ50万〜10万人程度。日本人は4万人。タイ人とおなじくらい。まー十分にマルチカルチュアルな社会になってたんだなー。しかし、これに我慢ならない人が、国民の半分強、いらっしゃったってゆーことですわ。

●もうちょいイギリスの状況を検索してみるね。「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」という組織のサイトに掲載されてるアレコレのレポートや論文をナナメ読みしてみる。誤読があったらゴメンなさい。
●クールブリタニアがマジ盛り上がってた00年代前半の好景気に、EU新メンバーの東欧の皆さんがどっと出稼ぎに来たのが、近年の移民大急増の原因であったのは間違いなさそう。EU域外はともかくEUのメンバーは新旧関係なく就労が自由化されてる(2004年)。「イギリス人労働者が就労に消極的な業種における未熟練労働者の不足」を東欧の皆さんに補ってもらう意図があったみたい。で、農業、ホスピタリティ産業、製造業、食品加工業にこうした外国人労働者が従事した。膨張著しいブルガリア&ルーマニアは2007年EU加盟とさらに後発で、外国人急増にビビったイギリスにより、農業の季節労働者と食品加工などの限られた職種に限定するってルールにされてる。ここでボクがボンヤリ考えたのは、好景気だから、ヨゴレな仕事は外国人に任せようって魂胆があったんじゃないか!?ってことね。
●でも2008年のリーマンショックで景気は激しく後退。すぐさま「ポイント制」っていう外国人労働者向け法制が整備されたりするも、外国人の流入は止まらない。移民政策の諮問機関発表の報告書によると、2005〜2010年で16万人の国内労働者の雇用が移民労働者に置き換えられたそうな。この16万人が多いか少ないかワカランけど、あ、これよく読んだら、EU域外からの移民の話なんで、EU域内労働者の話も含めたらもっとスゴいことになるってわけだな。別の論文では、EU域内からの移民は白人さんで外見も当然似てるから、イギリス人労働者との代替は簡単だとも書いてある。むーん。こうなると庶民レベルの経済的な実害の問題だわな。法人/雇用者は得するのかも知れんけど。
●で、社会保障制度とか、学校/病院とかの公共インフラが、完全にパンクしてる状況が今起こってるんでしょ。本来無料の病院が言葉の通じない外国人でイッパイの結果4時間待ちだとか。twitter有名人のメイロマさんがその辺発信してて、今回は目立ってました。

●一応、現在のドイツと比較してみよう。
●やはり英語の wiki で「DEMOGRAPHICS OF GERMANY」という項目がある。
●2012年の調査をソースにします。まず住民の総数が8200万人として、そのうち、移民をルーツに持つ人が全体の20%!さっきのイギリスの調査と定義が違うので注意だけど、こっちもインパクトでかいなあ。うち、300万人がトルコ系。しかし二番目が、非EU系ヨーロッパ人で270万人。具体的にはロシアが半分弱、残りが旧ユーゴスラビア系だそうな。三位がポーランドで150万人。イギリスの二倍の規模。ルーマニア系も48万人いる。それと経済危機でヤバかったギリシャが40万人。やっぱ地理的な関係もあるのでしょうけど、イギリス以上に東欧系がスゴイことになってます。インドから中国まで束ねたアジア系全体で77万、アフリカ系全体で81万。それなりに街の風景はきっとカラフルな感じ。2014年の別の調査ですが、シリア国籍の人たちを11万人受け入れてます。内戦からの難民さんたちか。
●まーこのサクッとした比較の印象で言えば、イギリスだけが極端に移民に侵食されてるって感じはしない。ドイツだって相当のインパクトでマルチカルチュアルなわけですよ。ドイツもフタを開けて本音を晒せばイギリスと一緒になっちゃうのかな?でもその本音を出すつもりはないっぽい。タテマエって大事なんだな。

●なかなか、現実問題で困難があったと、理屈で分かったとしても。
ボクの感情の問題としては、なんだか残念だ。
ボクがイギリスの音楽を好んで聴くのは、マルチカルチュアルなハイブリット性にスリルを感じるからだ。アフリカ系、ジャマイカ系、エイジアン系、アイリッシュやウェールズ、スコットランドにも個性がある。で、その異文化に敬意を表するモッズカルチャーが、ジャズやブルースの時代まで遡って脈々と伝わっているからだ。それがクールだ、クールブリタニアだと思ってたんだ。
●でも、そうじゃないってのが本音って言われるとさ…クールでメシは食えませんのでタテマエはなくしますって言われるとさ、多少なりとも憧れてた国に幻滅するよねえ。EU離脱派が投票で勝った時、街頭インタビューで街の人が「イギリス国民が独立を勝ち取った!」なんて言ってたけど、その「イギリス国民」ってどこまでを指すんですか?と思ったよ。イギリス生まれだけどイスラム教徒ですとか、イギリス生まれだけどラスタマンですとかは、イギリス生まれだけどスラブ系ですとか、そういう人たちは仲間に入ってますか?挙句、離脱を訴えてた政治家が、国論が真っ二つに割れたイギリスなんて手に負えませんと、尻尾を巻いて逃げてるんだからますますスゴいよね。

ちなみに日本。2010年の国勢調査によると、外国人人口は164万人。全人口の1.3%。欧州風の移民社会には程遠い。
●1位が中国人で46万人、2位がコリアンで42万人。国勢調査開始以来初めて1位2位が逆転したんだって。ほー。ちなみに3位はブラジルで15万、4位がフィリピンで14万とな。日本にいたら移民社会に生きる感覚は全然わかんないね。それを知るとしたら、移民として他の国にコンニチハしに行く場面だろう。
●ただ、最初に書いたように、ボクのヨガのセンセイは、インドネシア人の男性と結婚した。ダンナさんはこの場面で日本に移民したわけで(帰化はしてないよ)、二人の間に生まれた男の子ガーくんは移民2世(二重国籍)。結婚というか籍を作るのは本当メンドくさい手続きがいっぱいあったそうだよ。ダンナさんはヨガのエキスパートで、来日してから高級スポーツクラブのインストラクターになった。未熟練労働者じゃないよ、高度な専門技能を持つ人材。英語ペラペラだし。ボクの周辺だとIT企業とかにも外国の人が時々登場するね。名刺交換して、そのユニークな響きの名前や挨拶のイントネーションが新鮮に思える。イスラエルの人とか、韓国の人とか、インドの人とか、中国の人とか。下北沢にはケバブ屋さんがあって、トルコ人と思しきお兄さんに娘ヒヨコは「肉大盛りで!」ってお願いしてる。移民社会じゃないけど、普通に移民がいる生活をボクは暮らしている。それに対してフラットな態度でいたいし、フラットにお付き合いしていきたい。



●イギリス音楽。「テムズビート」ってシーンがあったです。

THE HOLLOWAYS「SO THIS IS GREAT BRITAIN ?」

THE HOLLOWAYS「SO THIS IS GREAT BRITAIN ?」2006年
「それで、これが大英帝国なわけ?」ってタイトルが、今日の記事の気分にピッタリ。洗練されてるとは言えないワチャワチャドタバタした騒がしいアンサンブルが陽気なバンド。ガレージロック感覚で疾走するんだけど、なんだか言語化できないレベルでとっても「ブリットポップ」なのです。時々出てくるフィドルの音色?何気にクッキリしたチャーミングなメロディ?生意気なようで品の良さが抜けないボーカルとコーラス? 90年代の BLUR が掲げた「ブリット」らしさ、そしてそれ以降のシーンに度々登場する「ブリット」表現って、間違いなく様式として存在してて、しかも絶対アメリカのバンドからは聴こえてこないほど際立った特徴なのに、何を満たせば成り立つのか実は全然言語化できない。ここにも間違いなくそれが鳴ってるのに説明できないんだよなー。
●でも、リーマン以前、やや浮かれ気分のロンドンにおいて、このバンドは流行りのダンスロックなぞには身を任せず、とってもブリットなメロディに、名もなく金もない青少年のチッポケでシミったれた日常生活を歌っている。ダンスフロアで見かけた女の子に有り金はたいてワインをおごったのに見事振られて、仲間ともはぐれたから家にも帰れないとか。自由な時間を求めて仕事を辞めたけど、アートどころか家賃もローンも払えないとか。悪友とつるむ土曜日がダメだとわかってるのに、何をどうしたいのかもわからずビールとタバコとヨタバナシばっかとか。夜の路上で客を取る女の子が「有名になれるって約束だったのに辱めしかなかった」と悲しく語るとか。14歳のショーンが「反社会的行動禁止令」違反で退学、仲間とつるめなくなったら彼にもう安全はないと嘆いたりとか。
●憤ってるよ、ロンドンの少年は。「なんでオレが自分を変えないといけないんだ?オレらのために世界が変わってくれるわけでもないのに。この国の民主主義にはついていけねえ。やることはしねえが説教は垂れる。学びもしないくせにオレらを教えられると思ってやがる。時々くたびれ過ぎて眠れもない。」
●で、このバンドは、このデビュー盤ともう一枚のアルバムを出して2011年には解散しました。短命。

MYSTERY JETS「MAKING DENS」

MYSTERY JETS「MAKING DENS」2006年
●ロンドン南西部にあるトゥイッケナム地区に、イールパイという名前の島がテムズ川の中州として浮かんでいる。うなぎパイとは奇妙な名前だが、グーグルマップで見る限り、マジでうなぎパイみたいな形をしてる。ここがどうやら結構昔からロンドンのボヘミアンな人々の文化拠点になってるっぽく、このあたりで続くバンドシーンがあったそうな。それが「テムズビート」THE BEATLES が登場した時にリバプールのマージー川に由来してマージービートという言葉が生まれたように、川の名前にちなんでいるそうな。
●で、ここのローカルシーンから初めて全国区に飛び出したのがこの MYSTERY JETS というバンド。このバンドの音楽が実にブリット。このファーストアルバムの段階から、しっかりとアレンジされた骨太なバンドアンサンブルと、ファッションに流されない端正な英国様式が実に地に足ついてて興味深い。ガリガリしたギターサウンドに依存してないし、ただ走らせていくだけのビートもない。芯の強いボーカルと実直なメロディもいい。PINK FLOYD の天才 SYD BARRETT に強く影響されてると言われてるし、確かにサイケデリックな趣はあるけど、ただの懐古主義ではない。むしろモダンなクールさまで備わっている。でもその魅力を説明できなくて、長らく持て余してた物件。

MYSTERY JETS「TWENTY ONE」

MYSTERY JETS「TWENTY ONE」2008年
●前の年にアメリカ向け編集盤「ZOOTIME」をリリースして、メジャー感がさらに増したセカンドアルバム。プロデューサーとしてガッツリ組んだのは意外にもハウス系のクラブシーン出身であるDJ兼リミキサー・EROL ALKAN。とはいえダンスミュージックな気分は一ミリもなく、より力強いグルーヴがバンドに備わったまで。ボーカリストとしての BLAINE HARRISON はますますカリスマティックに進化してる。ただ佇まいは、しっかりと英国様式。なんかうまく言語化できないんだけど、しっかりとブリットポップなんだよな。

LARRIKIN LOVE「THE FREEDOM SPEAK」

LARRIKIN LOVE「THE FREEDOM SPEAK」2006年
●この連中もトゥイッケナム地区を拠点にした「テムズビート」のバンド。実は前述の THE HOLLOWAYS トゥイッケナムのシーンにはあんまし関係ないバンド(でもロンドンのバンドではある)なんだけど、THE HOLLOWAYS のフィドル奏者がコッチのバンドに参加してたって縁で繋がっている。同じロンドンで同時に伝統的な楽器を採用したボヘミアン風味のバンドという意味では広義の「テムズビート」としてくくっていいんじゃないのかな。でも THE HOLLOWAYS が短命であったように、コッチの LARRIKIN LOVE もこのファーストアルバム一枚きりで解散。本物のボヘミアンは組織を維持できないみたいね。
THE HOLLOWAYS と同じスピード感、しかしもっとオーセンティックな英国音楽の様式に忠実。弾むように走るビートにギターとフィドルが絡まっていく。アイリッシュとパンクが合体した80年代のバンド THE POGUES みたいな存在感を、ガレージロック旋風が吹き荒れる00年代に移植すればこんな感じの音楽になるのかもしれない。これも間違いなくブリットポップMYSTERY JETS よりもヒネくれてるかもしれないね。ジャケのボヘミアン度は変わんないかもしれないけど。



●動画。THE HOLLOWAYS「DANCEFLOOR」。勢い任せ。