ハッピーハロウィン!な週末。
●下北沢のスーパー、オオゼキのレジ店員さんまでゾンビメイクだったそうな。
ポケモンすらもがハロウィン・モード。出てくるポケモンの種類がダーク気味。

ポケモンハロウィン1 ポケモンハロウィン2


●ヒヨコはお友達の家のハロウィン・ホームパーティにお呼ばれして、生まれて初めての「カルパッチョ」を食べてきた。「カルパッチョ!カルパッチョ!」ヒヨコは語感のイイ言葉に出会うと何回も口に出して繰り返す。「冷蔵庫から出てきた時、ちょービックリした。刺身なのに緑の液体(バジルソースも知らない)がかけてあるんだもん!」我が家はグルメじゃないので、食育が色々と失敗しています。

プロ野球、日本シリーズ、カープは負けちゃったね。日本ハムファイターズの勝利。
今回は、生まれて初めて真剣に野球中継を見ちゃった。第3戦から優勝決定の第6戦までキッチリ。最近、野球関係の仕事もあるもんだからねー、チェックしなくちゃいけない事情もあったのです。
●ボクが野球に関心ゼロなので、我が家全員プロ野球なんて意味が分からない。ノマドがブツブツ変なことを言う。「ストライクってのは気分が伝わるけど、ボールってのは変だ。だって終始ボールしか投げないのだから」「ヘルメットが左右非対称だぞ」ヒヨコも「なんでタテ方向ばかりからカメラ写すの?ヨコから写した方がボールの速さがよくわかるんじゃない?」ワイフでさえも「ホームランって和製英語でしょ?ホントはランホームなんじゃない?」いやーだいぶトンチンカンな家になってるなー常識が色々足りてないなー。コレもボクのせいか?


●ハロウィンきっかけなのか、下北沢でフリマやってた。で、レコード買った。

ザ・キング・トーンズ「グッド・ナイト・ベイビー」

ザ・キング・トーンズ「グッド・ナイト・ベイビー」1968年
●下北沢周辺の再開発はナニゲに最終段階に入っており、徐々に新しい表情をハッキリ見せ始めてる。特に最近出現した「下北沢ケージ」は注目。京王井の頭線の高架工事が一部一区切りついて、その高架下空間にちょっとした広場が登場。金網で囲まれた様子が「ケージ」風で、そこでフリマとかワークショップとかあれこれのイベントが行われるようになった。今週末もフリマが開催されてて、またしてもソコで無駄遣いしてしまうボク。このEPシングルは100円で購入。
●さて、この一枚は、1950年代から活動してた和製ドゥーワップグループが苦節10年目にして勝ち得たシングルヒット。それまでは米軍キャンプや全国のナイトクラブでドサ回りの日々。やっぱりリーダー内田正人さんのハイトーンボーカルは綺麗だね。B面の「捨てられた仔犬のように」のややムサ苦しいリズム&ブルースのテイストが、ジワジワとクル。

ザ・キング・トーンズ「暗い港のブルース」

ザ・キング・トーンズ「暗い港のブルース」1971年
●なんだか、70年代ニューソウルみたいなジャケット。だけど表題曲はワリとシッカリな歌謡曲。原曲は早川博二とモダン・プレイボーイズという人たちの楽曲で、8年前にリリースされてたものらしい。むしろB面の「いつか陽が昇る」サイケソウルみたいな気配の方がカッコイイかも。間奏のメロウジャズなワウワウギターとかサックスとかがイチイチクールです。これは滋賀県彦根市のお店・初恋レコードで購入。

和田アキ子「貴方をひとりじめ」

和田アキ子「貴方をひとりじめ」1970年
●うーん、気分としては昭和歌謡のノリになってきたなー。彦根・初恋レコードで買ったドーナツ版をアレコレ聴いてみよう。
ゴッド姉ちゃん20歳、デビューから6枚目のシングル。何しろジャケカッコいいよねー身長174センチにこのモッズっぽいジャケットが迫力あるソウルディーヴァって感じ!この年に「笑って許して」でブレイクして紅白歌合戦に初出場とな。彼女のキャラに当て書きしたのか、リリック担当・阿久悠先生が「他の誰かに取られたら殺したいようなあなた」なんてフレーズを入れてて、パワフルなボーカルに殺気が加わる歌謡曲にまとめてしまいました。
●B面の「世の中さかさま!」ズルズルの大阪弁リリックでユーモラスなノベルティソング(?)な感じ。「へんねしいちびりスカんたこあかんたれには用あらへん」うわ関東人のボクには早口でまくし立てられたらワケわからん。

アイ・ジョージ「硝子のジョニー」

アイ・ジョージ「硝子のジョニー」/坂本スミ子「初恋のブルース」1961年
●より一層古い音源だなー。アイ・ジョージという人物が気になって…。香港生まれ、日本とフィリピンのハーフという出自戦争と戦後の混乱で肉親を全て失い、孤児として職業と転々として生きていた中、大阪で流しをしていたところを森繁久弥にフックアップされて日の目を見る…やっぱこの時代の人って苦労してるよね。ハーフってのは当時は差別偏見の対象だったのでその部分でもしんどかった模様。この曲は彼のキャリアでも代表曲。そんで作曲も自分でやってる。艶めいた声で朗々と歌い上げる様子はグッとくるが、ド真ん中歌謡曲スタイルに全然共感できない。
●B面は坂本スミ子さんのブルース歌謡。ボクの中では映画「楢山節考」1983年で捨てられる老母の役で印象深い女優さん。この作品、日本で初めてのカンヌ映画祭グランプリ作品になったもんね。だけど彼女のキャリアは60年代にラテン歌謡を歌いまくってたことからスタートしてるとな。その頃の異名が「ラテンの女王」。でもこの曲は全然ラテン要素がないよ…。
●両方の楽曲ともに、バックの演奏はアロージャズオーケストラというビッグバンドのようで。彼らが出演してた大阪のナイトクラブ「アロー」の箱バンなのだろうか。それと、リリックが異常に短くて漢詩の五言絶句みたいなシンプルさが違和感たっぷり。いかに21世紀のジェイポップが要素詰めすぎなのかがハッキリわかるよ。

アントニオコガ

アントニオ・コガ「ラテン・ギター・ムード(第3集)」1963年
●これは…「慎太郎刈り」ってやつか?角刈りと見せかけて前髪はやや残す…この前髪で十分不良っぽく見えたのだからスゲーなーと思うのです。でこのアントニオ・コガというギタープレイヤー。アイ・ジョージのような国際的なルーツはなくって、師匠・古賀政男に与えられた芸名がバタ臭いだけ。クラシックギターや歌を師匠に教わっていたはずが、いつしかラテンムード音楽のギタープレイヤーとして人気を集め、同じ古賀門下のレキントギター(ラテン系音楽で使われる小型のギター)の演奏家・鶴岡雅義とタッグを組んで活動。この音源もアントニオ+鶴岡体制で演奏されてる。
●しかし、アレンジに工夫が凝らされているとはいえ、カバーの素材が戦前の歌謡曲なんで、ラテン要素がよくわからんのです。ただロック到来以前の外来音楽としてラテンミュージックがこれほど日本で支持されてたのか、ってのが確認できて勉強になったわ。当時はメキシコからトリオ・ロス・パンチョスなるバンドが来日して一世風靡。アントニオも共演したし、アイ・ジョージ坂本スミ子もこのバンドの前座を務めた。ほえー。


●動画。ザ・キング・トーンズ「捨てられた仔犬のように」。「グッド・ナイト・ベイビー」のB面。



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●毎月25日はタワーレコードに行って、フリーペーパー「BOUNCE」をもらう。
●ボクにとっての新譜情報は、ネット以外と言えば、数年来この「BOUNCE」だけだ。
●音楽雑誌を買ったりするのは、かなり前にもう辞めちゃった。
●でもね、この「BOUNCE」もね…。で、帰りの電車の中でペロペロめくってもね…。
●………。
うわ、全然、ピンとこない。自分でもヒクほど。
同時代の最新音楽に興味が持てなくなったら、もうダメかも。オッサンすぎる。


SPOTIFY も稼働しちゃったからねー。
●これまた音楽の聴き方を変えちゃうねー。
広告モデルで無料だからねー。
「禁断の箱」のような気がして、まだキチンと向き合えてないよ。
●今は無難に、自分が持ってるとわかってる音源を検索して聴いてるだけ。
●レコード棚やCD棚から音源探す手間を省くだけの役割に留めてる。
だから、古い音楽ばっかだよ。検索するのは。
新しい音楽を、ここでタダ聴きするのにはまだ抵抗がある。なんだか申し訳ない。



●ニッチもサッチも行かないので、とりあえずまたしてもクラシックロックを聴いてしまう。

RUSH「RETROSPECTIVE I (1971-1980)」

RUSH「RETROSPECTIVE I (1974-1980)」1974〜1980年
カナダ出身のプログレッシブロックトリオRUSH のベスト盤だ。このバンドはベスト盤を三枚出してるけど、キャリア最初期〜最初の商業的ブレイクまでの時代の音楽がこの1枚目に収録されてる。まーなんでこんな音楽聴いてるのか、自分でもよくわからん。
●アルバム一曲目であって、このバンドの出世作でもある「THE SPIRIT OF RADIO」1980年は素朴に大好きな曲だ。レーベルにラジオヒットが狙える曲を作れと言われて、マジでその「ラジオ魂=ラジオ愛」を表現した曲。その一方で巨大産業となっていく音楽業界への皮肉もチクリ。「産業ロック」と揶揄される音楽を生み出す80年代の到来を予言してるかも。キャッチーなメロディにタフなギターリフ、トリオとは思えない分厚くウルサいロックアンサンブル、そこからテクニカルなリズムの変則操作があって油断ができない展開。プログレッシブでテクニシャンなアプローチがポップな形で見事結実してるケース。この曲だけでゴハン何杯もいけるなー。つかこの曲をちゃんと聴きたくてこのCD買った。
●でも、このバンドのことはあまり知らなくて。アメリカのバンドじゃなくてカナダ出身だってのもこの記事書こうと思って初めて知ったこと。そもそもプログレッシブロックのバンドで北米系って珍しいと思う。基本はイギリスやドイツ、フランス、イタリアでしょプログレって文化は。そもそもアルバム全体の構成で味わうべきプログレ音楽を、ベストみたいなつまみ食いパッケージで聴いちゃってる段階で、ボクはリスナーとして失敗してる。
●その前提で、他の楽曲も聴いてみての感想といえば、マジでウルサイなーこの人たち。ギターが完全にハードロックしてますわ。そこでハイトーンボーカルが入ってくるからなおのことハード。で勢い任せでいくかと思うと、なんだかとってもめんどくさいアンサンブルをガッチリ決めてくる。個人プレイじゃなくてバンドの一体感が見事。ドラム&ベースのリズム隊にも華があるし、全員の地力の強さがとにかく際立つ。この辺の高い能力を指して、周囲は彼らをプログレバンドと呼ぶんだろうな。でもでも理屈っぽくて小難しい印象のヨーロッパのプログレとも違うわけよ。スカッとするほど豪快なわかりやすさが北米風なのかな。







●なんか知らんけど、週末に「夫婦カラオケ」ワイフとサシでカラオケ。
●我が家の中学生、息子ノマドと娘ヒヨコはカラオケ大好き。カラオケに友達とも遊びに行くし、お金出してもらいたいからボクらとも一緒に行きたがる。で、奇妙なボカロ楽曲を歌い続けるのだ。しかしボク+ワイフはカラオケ苦手。結果、コドモたちに対抗するため練習することに。松田聖子とか歌っちゃう。しかし、自分たちのイケてなさを思い知らされるだけだった…。


●ヒヨコ、大好きな「世界ふしぎ発見」を見ようと思ってテレビつけたら、プロ野球日本シリーズ・広島×日ハム戦が中継延長しててビックリ。この小娘はプロ野球などマトモに見たコトないのだ(ボクも見ないけど)。
●で、ヒヨコ、広島カープのチーム名が気になる。「カープって鯉でしょ?なんでそんな弱そうな名前にしたの?」さらに「なんで単数形なの?みんな複数形じゃんジャイアンツとか」確かに…カープってポケモンのコイキングみたいにピチピチするしかできなそう。「でもヒヨコ、広島好きだよ。ファンの人がすごくウェイウェイしてるから」
●で中継終わって、「ふしぎ発見」フィレンツェ特集。ボッティチェリ他数々の名画が紹介されてるので「全部教科書に出てくる傑作だろ?」と言ったら「でも下北沢のサイゼリヤにも全部同じ絵が壁に描いてあるよー」…確かに。ヒヨコは本当に変なトコロに目をつけるよ。


●今日の音楽は TOM JONES

TOM JONES「GREATEST HITS」

TOM JONES「GREATEST HITS」1965〜1999年
新宿ツタヤのレンタル落ち売り場にて246円で購入。60年代からキャリアを起こし、76歳となった今もなお現役を貫く絶倫男。ムキムキのフェロモンモンな雰囲気は60年代から全開で、セックスシンボルとして映画やテレビでも活躍、という楽しいオジサン。1965年の出世作「IT'S NOT UNUSUAL(邦題:よくあることさ)」はホンダの車のCMで使われてたり、2000年代に入っても話題がつきません。というか70年代〜80年代は低迷してたキャリアを90年代直前にリバイバル復活させて見事にスターダムに戻ってきたって感じなのかな。このベスト盤の収録曲も、60年代〜70年までの数曲と87年以降〜90年代の作品で構成されてて、その間がスッポリ抜けてます。
●確かに味ある60年代のポップスもいい感じなのですが、ボク個人の関心は PRINCE 殿下のヒット曲「KISS」を、特殊エレポップユニット THE ART OF NOISE と組んでカバーしたこと。1988年のリアルタイムで中学生のボクはコレを聴いててスゲーと思ってた。団地でご近所だったセキネさんご一家が、イギリスの駐在生活を終えてボクにくれたお土産が、当時のイギリスのヒット曲を束ねたカセットテープだったのね。その中にこの TOM JONES 「KISS」が入ってたのです。PRINCE の原曲を聴くよりも先だったな。
THE BUGGLES の中核メンバーで敏腕プロデューサーでもある TREVOR HORN も関与してたユニット THE ART OF NOISE メカニカルに繰り出すドンドコ四つ打ちが太く硬いエレポップを、見事に汗臭くバタ臭く暑苦しくしてしまった TOM JONES の存在感がスゴイ。これだけでボクはもう十分お腹いっぱいってくらいです。実は12インチシングルで、この「KISS」のロングバージョン8分強がこの世に存在すると今回知ることができて、どうにか入手できないかなーと思案中。ドイツのレコ屋にお値段かけて注文することはできそうだけどね。TREVOR HORN とは1994年に「IF I ONLY KNEW(邦題:恋はメキ・メキ)」で再共闘。でトヨタのCMに採用されたとな。
●しかし比較的最近の TOM JONES は色々なコトをやってるね。1987年には THE SHOCKING BLUE「VENUS」をカバー。1999年のアルバム「RELOAD」では当時の若手バンドと様々なコラボを展開。THE CARDIGANS と組んで TALKING HEADS のカバーをしたり、同郷ウェールズのバンド STEREOPHONICS とコラボしたり。映画「フルモンティ」の挿入歌を ROBBIE WILLIAMS と一緒にやったりもしてる。TV版「セックス&ザ・シティ」のエンドテーマになった「SEX BOMB」での60歳過ぎてのズルムケ過ぎにも圧倒される。スゴイねー。


●動画つけとくね。
●THE ART OF NOISE FEAT. TOM JONES「KISS」1988年。




●TOM JONES「SEX BOMB」1999年。





●ヤバい。15年の禁を解いたタバコは、一箱吸いきったら辞めるつもりでいたのに、ヤメラレナイ。
●二箱目をコンビニで買ってしまった。銘柄は「メビウスオリジナル」。昔の愛煙銘柄「マイルドセブン」の後継モデルがコレなんでしょ?最初はマイセンが見つからず戸惑ったわ。あのコンビニレジのタッチパネルで「成人認証」するって段取りも15年前にはなかったから、めっちゃ戸惑う。15年の時間でタバコも変わるね。値段も高いしさ。


●こっちの買い物も30年ぶり、小学生以来くらいじゃなかろうか。

秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」200巻

秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」200巻
40年間の連載がとうとう終了。作者・秋本治さんがこのマンガを描き始めたのは23歳の時。そして現在63歳。スゴイね。その偉業に敬意を評して初めて単行本を買って読んだよ。
「週刊少年ジャンプ」を熱心に読んでた小学生時代、つまり80年代中頃こそがこのマンガに一番密着してた時期なのだけど、このマンガ、ぶっちゃけそんなに好きじゃなかった。江戸っ子下町情緒は旧世代の遺物にしか思えなかったし、その視点から新しい流行をウンヌン語られてもちょっと説教くさく思えて。ファミコン浸りのキッズとしては、両津勘吉のキャラはただのウルサイおっさんでしかなかったなあ。
●ところが、この200巻を読んでビックリ。マンガの題材にドローンやAI自動運転やボカロバンドが登場してくる。2016年を生きる両さんは見事に最先端のガジェットを駆使しちゃってる。おまけに両さんは神田の寿司屋で板前をするという副業を持ってるし、キレイなお姉さんキャラが増殖してるし。警察官設定は絶対に放棄しないのに警察の仕事は1ミリもしない(それは昔からか)。ほえー。こんなマンガになってたんだー。
●で、かつて小学生だったボクが40歳代のオッサンになった今、やっぱ読み方が変わったんだな、とも実感。大のバクチ好きである両さんは、ギャンブルのノリでとんでもない(違法まがいの)ビジネスを編み出しては大成功&すぐに大失敗するんだけど、その時彼はいつも豊富な人脈から優秀な一芸を持つ才能を引っ張り出して自分の企みに巻き込むのだ。両さんのゴキブリ並みの生命力とか、マニア心くすぐる多趣味ぶりとかの個人的な能力よりも、彼の人的ネットワークの大きさがとても羨ましい。電話一本で財閥の御曹司や第1級のアスリートが現れて両さんの悪巧みに加担してくれる。40年間オッサンのままだった両さんにボクの実年齢が追いついてしまった今、その両さんの人間の大きさ(そしてボク自身の人間の小ささ)に気づかされてしまった。小学生の頃にはわかんなかったよなーこの本当の両さんの魅力は。よかった、今このタイミングで両さんの引退を見届けることができて。


●映画「君の名は。」を見て数週間経過。それどころか新海誠監督作品全部見ちゃった。
●なのに、アタマがこんがらがって感想を表現できない。RADWIMPS の過去カタログまで聴いてるのに。
●もう一回見ちゃおうかな。困ったな。



●気分を変えてヒップホップ。

Big Boi Dre Present Outkast

OUTKAST「BIG BOI & DRE PRESENTS... OUTKAST」1994〜2001年
OUTKAST で持ってないCDを見つけた、こんなのあったんだーと思って買ったらベスト盤だった。ほとんどすでにオリジナルアルバムで持ってる曲ばっか。ただまとめて聴くとやっぱイイよね。当時の彼らの音楽を形容して「超合金ファンク」と呼んだ人はほんと正しいと思う。トラックが独特のネチッこさを放ってるのも間違いないけど、この2MCの味の違うパフォーマンスが見事にネチっこい。これもだいぶ時間が経った音源だけど、ボクには古く感じられない。
●一番好きな曲は「MS. JACKSON」かな。ファンクだけでなくブルースめいた質感まで加わって、サビがハナウタしてしまうほどキャッチーだから。「SOUTHERNPLAYALISTCADILLACMUZIK」も好き。グラマラスなファンクにとろける。もう一つ踏み込めば、ジャケのアフロ男、ANDRE 3000 の方がボクは好き。






●カナダ・ホームステイでピーナッツバターの味を覚えた娘ヒヨコのリクエストで。
●我が家の朝食にもピーナッツバターが今月から登場した。
●しかし、バターナイフがないので、代替措置でもんじゃのコテが使われている。



15年ぶりに復活させてしまった、喫煙の習慣はワイフに大不評。
●でも、いたずらにたくさんスパスパしてるわけじゃない。真夜中、ベッドに入る前に家の外で1〜2本吸うだけ。最近はどうしてもうまく眠れず困っているので、就寝前のチルアウトのために吸ってる。フトンがタバコ臭くなるとワイフは怒るけど。


「べっぴんさん」

NHKの朝の連ドラ、新しいシリーズが始まった。「べっぴんさん」
●ヒロインは全く知らない女の子、芳根京子さん。地味な印象だけど、その地味さが芯の強さを感じさせる。これからに期待。彼女の夫を演じるのは永山絢斗。マンガ編集を題材にしたTBS「重版出来」で天才肌ながら狂気を併せ持つマンガ家志望の若者をナイーヴに演じてて、彼の活躍には興味津々。ももクロのセンター・百田夏菜子も脇役で出演してた。
●ドラマ作品の評価は放送第2〜3週だからこれからどうなるか全然わからないけど、一点驚いたことが。朝ドラ第1週は基本設定をプロローグ的に描くので、主演女優本人は登場せず子役が代わりを演じる。で第2週から本格稼働する。で、今回も第二次大戦中の辛気臭い時代を描くモードに入ったと思ったら、その第2週のうちに終戦してしまった。サクサクと女学生時代を終えてしまって、卒業とともに結婚してしまって、なんと第一子出産までこなしてしまった。早い!早すぎる!
●戦前〜戦中〜戦後の混乱期をたっぷり時間をかけて描くのは、朝ドラの常套手段。ボクはこれを「戦争の無限ループ」と呼んでいる。作品が新しくなるたびに、ドラマの時代設定は戦前に逆戻りして、日本の苦い近現代史をもう一度描きなおす。コレがしんどい。またかよ…この億劫な時代を見せるのかよ。しかも、これがステロタイプ化してて…。女性が主人公だからしょうがないけど、男性たちが出征して戦地で何をしてきたのかは全く描かれない。ギスギスした銃後の日本社会は間接直接で主人公をいじめるが、反対に主人公が戦争協力者として描かれることはない。戦争の当事者意識は希釈されてて、被害者意識だけが塗り込められる。なんか中途半端で一方的だなーっていっつも思う。しかし今回の「べっぴんさん」はその段取りを瞬間的にスキップした!おお意外!…まあ、戦後の混乱期が彼女をいじめるに違いないとは思うけど。

●まーそれはいいとして、今回も主題歌は注目だ。前作に宇多田ヒカルが使われてたトコロに、今回はミスチルが登場した!テレビ視聴率が下落する中コンスタントに20%をキープする唯一のビッグコンテンツ・朝ドラは、ビッグアーティストの活躍の場所になったのね。
●しかし、長尺でしっかり聴かせないと効いてこないミスチルというバンドの性質上、毎朝の短い放送じゃ、全然曲の内容が響いてこないので、これもまた全然評価できない。曲名は…「ヒカリノアトリエ」っていうのか。

MRCHILDREN「SENSE」

MR. CHILDREN「SENSE」2010年
ミスチル関係なんかあるかなーと棚をゴソゴソ探ったら、このアルバムが出てきた。2010年というと震災前なんだな。ほとんどノープロモーションで謎めいたティザーだけでしか宣伝してなかったのを覚えてる。先行シングルすらない、ほとんどの楽曲がこのアルバムのための録り下ろしみたいなモノ。今の時代にそんな勝負ができるバンドは今やこのミスチルだけだと思う。サザンですらちゃんと先行シングルで盛り上げるもんね。
●ということで、掴みドコロがないままほぼ放置プレイしてたこの音源。案の定、シリアスかつ重厚すぎて聴くのが億劫になるほど小林武史プロデュースのコッテリしたアレンジワークは、本当にリッチで、まるで工芸品のようだ。料理に例えればフランス料理のフルコース。緻密に計算されたアルバム構成、楽曲一つ一つも工夫と技巧で美味しく仕上がってる。だから、つまみ食いもできないし、立ち食いもできない。お行儀を正して頂きますというテンション。ミスチルファンは幸せだ。これ一枚買ったら、しばらく他のCDを買う気が1ミリも起こらないだろう。そんだけオナカイッパイになれる。普段から大量の音楽をだらしなく貪るボクはすごぶる相性が悪い。
●絶唱気分の桜井和寿とダイナミックなリフがクラシックロック風な「FANFARE」の多幸感満載ぶりや、「ロックンロールは生きている」のちょっと無理なイキガリぶりがボクには適温。「365日」も楽しい曲だな。でも何をやってもゴージャスだよねー。



●気になるドラマは他にもいっぱい。

地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子

●日本テレビ、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」
「シン・ゴジラ」カヨコ・アン・パタースンというヘンテコな日米ハーフを演じてしまってスベッた感がある石原さとみ。しかし世間の評価は急上昇なのかCM関係など最近の露出がスゴイ。そんなボク個人が感じるアンバランスを見事ポジティブ逆転させるコメディエンヌぶりをノビノビと発揮中で今期一番の期待作。「校閲」という地味な仕事をテーマにしながら、ドタバタと騒がしい主人公のキャラは全然地味じゃなく、むしろ派手。結果的に原作「校閲ガール」のタイトルにわざわざ「地味にスゴイ」をつけた番組制作の意図とズレてる。
●ただ、不本意で「地味」な仕事に就いてもなおその場で頑張ってる、世間一般ほとんどの人に目線を合わせたいんだというメッセージがこのタイトル改変「地味にスゴイ」に込められているのだろう。それは作り手側からハッキリと発信された志というもので、ボクはそういうことを考えてる作り手が好きだ。
菅田将暉くん。新作「デスノート」でも活躍してるらしい。確かに彼は気になる。

逃げるは恥だが役に立つ

●TBS、「逃げるは恥だが役に立つ!」
●タイトルが気になって見てみたら(ハンガリーのことわざとな)、ガッキー AKA 新垣結衣がカワイ過ぎて悶絶。女性視点から職業観と結婚観を問う狙いがあるはずなのに、ガッキー「契約結婚」という体裁で共同生活家事手伝い雇用関係を結ぶという、男性視点から見るとクラクラするほど都合のイイ妄想設定を打ち出しててある意味アザトイほど。でちゃんとボクが悶絶死。星野源ウラヤマシイ。エンディングのダンスにもシビれる。ガッキー本人のダンスだけが脇甘過ぎで一層シビれる。
新垣結衣って、登場した頃はただのお人形のようなカラッポ天然さんだと思ってたんだけど、キャリアが進むにつれその天然ぶりがテッパンの安定感をまとうようになってきた気がする。少しピントがズレたキャラを演じても、その浮世離れぶりに妙な説得力が発生して、人物をシッカリとドラマに着地させてくれる稀有な存在になってきた。多分仕事選びも上手なんだと思う。

「勇者ヨシヒコと導かれし七人」

●テレビ東京、「勇者ヨシヒコと導かれし七人」
●シーズン3とあって、お約束の悪ふざけを永遠に拡大再生産。そして我が家のコドモたちはきちんと大爆笑。佐藤二朗さん最高「アオイホノオ」でも「ニーチェ先生」でも「ノーコンキッド」でも安定の悪ふざけ。むしろ彼は真っ当な仕事への退路を絶った感じで潔い。


●読売テレビ制作の「黒い十人の女」は、1961年市川崑監督の同名映画のリメイク(というかオマージュ?)で、しかも主演が映画版の船越英二さんの息子、船越英一郎さんがやってるという仕掛けが気になってる。でもまだ見てない。Huluでまとめて見るか。岸恵子さんのポジションを成海璃子ちゃんがやってるのかな?



ほー。ノーベル文学賞に BOB DYLAN かー。
●ワイフにこの件を報告したら「なにかの本を書いたの?」…特に書いてない気がする。そうか、普通の人はそう反応するのか。違和感なにも感じなかったのはむしろ変か…。


BOB DYLAN「AT BUDOKAN」

BOB DYLAN「AT BUDOKAN」1978年
とにかく今晩は、BOB DYLAN を聴かなくては。と思ってレコード棚をごそごそ。おお、これは久しぶりだわーと引っ張り出したのがこの二枚組アルバム。その名の通り、BOB DYLAN の初来日&武道館公演を収録したライブ盤だ。学生時代、先輩に誘われてラジオ局の大掃除のバイトをした時、廃棄物として捨てられようとしていたレコードたちから、数枚をお願いしてもらってきたモノの一枚。聴くのも久しぶりだよ…20年近く聴いてないな。

そしたら、ビックリするほど聴きやすい BOB DYLAN が登場してきた。女性コーラスやキーボード、サックスまでを従えたリッチなバンド編成を従えて、わかりやすい演奏をバックにクッキリとしたメロディをキチンとなぞってくれる。ときにR&B風であったり、ブギーであったり、ピアノバラードになってたり、レゲエ風のアレンジが覗けたり。そして鳴らされる楽曲たちは、60年代を代表する屈指の名曲たち。ツンデレの「ツン」部分しか見せない DYLAN が、珍しくサービス精神旺盛なトコロを見せてくれるような気分。ライナーノーツを読んでみても、当時からこの大胆なアレンジ改変は話題だったようだ…オリジナルの面影を残さぬ勢いの変貌ぶりと。オマケにこの時の DYLAN白塗りメイクにアイラインまでひいてたそうで。グラムな DYLAN って?!

●ハッキリ言って、60年代の DYLAN って聴きやすいシロモノじゃないよね。ハードなフォーク路線はロック文脈で捉えるには不格好で、しかもクセのある歌い方はメロディもへったくれもなかったりするし。古典ロックをたどる長い旅路の中、苦い薬を飲み下すようにして DYLAN の音楽は消化されるもんだ。少なくとも彼の全盛期とは全然カブらない世代のボクには、夏目漱石みたいに教科書的な存在で、楽しめるようになるには時間がかかった。そんで今回評価されたリリックの内容ともなると、正直いまだに全然意味がわからない。

●ただ、好きな曲は、やっぱり好きだ。アルバム冒頭の「MR. TAMBOURINE MAN」「LIKE A ROLLING STONE」「DON'T THINK TWICE, IT'S ALL RIGHT」。優しいピアノが寄り添う「BLOWIN' IN THE WIND」。U2もカバーした「ALL ALONG THE WATCHTOWER」。完全なレゲエにされちゃった「KNOCKIN' ON THE HEAVEN'S DOOR」。そして「THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN'」
●でも、一番沁みたのは、アンコール前のラスト曲、「FOREVER YOUNG」。邦題「いつまでも若く」。若くなくなったから沁みるのかなあ。



村上春樹の文庫本が本屋さんの目立つ場所にたくさん並べられてるなーと思ってだけど、彼がノーベル賞を取ることを当て込んでた在庫だったのね。やっと意味がわかった。
●前回の記事で触れた雑誌「GINZA」を買ってきた。柴崎友香さん「春の庭」を読み終えたので、この「言葉とファッション」特集で柴崎さんの文章を読もう。その次は円城塔を読もうと思ってる。いやいや、村上春樹さんの読んでないヤツを選んでもいいな。マンガもたっぷり読んでるから、どうしてもカバンが重くなる。



東京電力の施設が火事になって、東京で大きな停電があった。
●ボクのオフィスじゃ何も起こってなかったが、よく行く立食いソバ屋が入ってる駅前ビルは見事に停電で真っ暗になってたらしい。息子ノマドの学校も停電になり、地下鉄も停電で動かなくなってしまったそうな。ナニかデカイことが起これば、ボクらが暮らす街・東京はあっさりとギブアップするんだろうな。それが天災であろうと、悪意のテロであろうと。


●雑誌「GINZA」の今月号の特集が気になる。
●特集のタイトルは「言葉とファッション」
●公式LINEアカウントから送られてきたメッセージは、「思い切って『読むファッション』と洒落込んでみました。」
●想像がつかないアプローチに、ボクの好奇心はかなり揺さぶられた。表紙には気になる作家さんの名前が並んでるし。
●だけど、結局まだ買ってない。三度も本屋さんに行って、パラパラとめくってみて、それでも逡巡。だってあんなハイファッション、ボクと縁がなさ過ぎなんだもん。780円という値段にしても、これを買うなら週末に見つけた BOOTSY COLLINS の中古CD680円の方が先だな…。でも、この志には感じるものがある。ビジュアルじゃなくて、文章を読んでもらいたい。と雑誌がアピールしてる。
●とりあえず、今読んでる柴崎友香さんの芥川賞受賞作品「春の庭」を読み終わってからにしよう。柴崎さんも今回の「GINZA」に文章を書いているらしい。急いで読まなくては。

芥川賞作品が発表されるたびに「文藝春秋」を買って読む習慣は、尊敬する元上司のサルマネだ。でもだいぶ長く続いた習慣だから、自分なりにシックリきちゃってる感じがしてきてる。
「文藝春秋」に全文掲載されるのを買って読むのは、短編をハードカバーで読むよりもコスパがいい、のが第一の理由。ただそれ以上に、「文藝春秋」に芥川賞作品が掲載されること自体が大きな価値を持つように思えてきた。天下国家の大事を偉そうに、厚さ2センチの大分量で語りまくってるあの雑誌に、この日本で一番浮世離れした文芸作品がヒョッコリ闖入してる落差と違和感がたまらない。
「春の庭」は、ボクが暮らす世田谷区の風景が描かれてる。取り澄ました顔してるくせして内実はあちこちガタガタになってる黄昏の郊外がのっぺり広がる場所だ。そんな舞台で、今のところスリルらしいスリルもなく、淡々とお話が続く。こんなユルーい空気は、ボクの大好物だ。成功とかキャリアとか実益とか高い意識とか○○力とか、そんなものを全部忘れさせてくれる稀有な娯楽だ。思わずこの「何もしたくない」「何も起こらない」「何も属さない」時間に憧れてしまう。そんな「何もない」は、贅沢なファンタジーであって現実にはありえないとわかってても、病気を患って実際に「何もしない」を丸々2年間経験してしまったボクは、あのダメダメな時間がふと愛おしいと思ってしまう。
村田沙耶香さんの芥川賞作品「コンビニ人間」ももちろん読んだ。人間である前にコンビニ店員、という主人公にめっちゃ楽しんだ。社会にフィットするために巧妙に擬態する、コンビニ人間。ボクはサラリーマンに擬態しきれないので、20年もこの稼業を続けているのに定時に出勤できない遅刻常習犯であり続けてる。飲み会で「いまだにこの仕事にシックリするもの感じないんですよね」と先輩にボヤいたら、大真面目で心配された…ヤバ、打ち明けるべき相手を間違えたか。


●娘ヒヨコが大好きなミュージカル映画「マンマ・ミーア」をネットフリックスで見てたので。
●続けてこの映画を見た。二つの映画は主演女優が同じ。メリル・ストリープなのだ。

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」2011年
「鉄の女」の異名で知られるイギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーの生涯を描いた作品。晩年は夫の死も認識できないボケたおばあちゃんになっちゃって…「マンマ・ミーア」ではあんなに元気なパフォーマンスをしていながら、こっちでは見事に侘しいおばあちゃんを演じているメリルが立派。ただ、それ以上に、名前くらいしか知らなかった、サッチャーという女性もスゴイなと思い知る。首相在任、1979〜1990年。1929年世界恐慌以上の深刻な経済危機、アイルランド問題と IRA のテロ、フォークランド紛争、冷戦の終結。激動の時代を乗り切って、ブリットポップ華やかな90年代イギリスを準備した政治家というわけだ。彼女が滞在してたホテルが爆弾テロ攻撃を受け、国会議員とその家族含む5人が死んだなんて事件もあったらしい。命がけで時代と格闘していたのだ。
●ただ、彼女の改革路線は確かに過激で、福祉を切り詰め、弱者を追い詰める政策でもあった。消費税を8%から15%まで引き上げとかやってたらしい…これはキツイ。労働者階級との対立も過激で、映画本編に挿入される当時の映像では、民衆と警官隊が本当に激しくぶつかり合っている。うわーイギリスの70〜80年代ってマジで厳しい時代だったんだな。なるほど、あの時代の音楽は、この殺伐とした時代背景が前提になってるんだな。イギリスのパンクロックはここから生まれたのか。深く納得した。


●ということで、イギリスのハードコアパンクを聴く。

GBH「CLAY SINGLES COLLECTION」

G.B.H「CLAY SINGLES COLLECTION」1980〜1984年
●バーミンガム出身のパンクバンド。CLAY という名前のインディレーベルからリリースされたシングルをコンパイルしたCD。まさしくサッチャー政権下の音楽しかし、これは、速い!!もうヤケクソ過ぎるほど、速い!ただひたすらドタバタして、ひたすら絶叫して、ギターがガリガリして、ベースはもう何してるかよくわからん。録音は最低で、とにかく力まかせ。全部の楽曲が全部同じに聴こえる。テープで録音する暇があるくらいなら、そのまま苛立ちを叫び散らしたい!その衝動だけがダイレクトに伝わる。
●映画のサッチャーさんは、最晩年を迎えたおばあちゃんとして描かれていて、その寂しさには同情的になってしまうけど、政権を握ってた頃のサッチャーさんと彼女が代表するイギリス社会を、この時代の若者は本当に憎んでいたんだろうな。サッチャー元首相は2013年に亡くなったけど、このバンドは今なお活動中。

CRASS「THE FEEDING OF THE 5000」

CRASS「THE FEEDING OF THE 5000」1978年
●このバンドも、気合の入ったパンクバンドだ。ゴリゴリの疾走感に迫力があった G.B.H に比べると、録音がより一層貧弱で、同じくらい速いのに、ペコペコに薄っぺらい。ギターの音がうるさくないので、ただ叫んでるだけ。この残念な感じが、真っ当に DO IT YOURSELF。よって王道にパンク。ジャケの印刷を断られて印刷機をわざわざ買ったというほどのド根性な自主制作。
●このバンドがユニークなのは、ヒッピーでありながらパンクであったことだ。世代格差があってヒッピーとパンクは相容れない文化だったはず。なのに、その世代差を乗り越えて、カリスマとなった稀有な存在。伝説のジャパニーズゴスバンド AUTO-MOD のフロントマン・ジュネさんが自身のブログで当時の彼らのライブを見た体験を綴っている(コチラ→http://genet.jugem.jp/?eid=4870)。ちょっとだけ引用させていただくと…「その様子は、正に政治集会、若しくはカルト教団のミサの様にも見えました」「僕はすぐさまこのバンドが、何らかの活動家のバンド又は、ヒッピー崩れのコミューン生活者のバンドである事を直感しました。」「歌ってることが、強烈なメッセージである事、そしてアナキスト的反体制主義のアジテーションで在る事も理解出来ました。」ステージには日本語で反戦という文字が掲げられていたそうで、普通のパンクバンドとは全く異質のオーラを放っていたとのこと。あと、この時点でメンバーがみんなオジサンだったとも。
●アナーキズムを標榜し、フォークランド紛争では反戦の立場を激しく主張。後に女性ボーカリスト2名も加入しフェミニズムも打ち出す。反核、反グローバリズム、炭鉱ストを支援するギグを展開。自分たちが主宰するレーベルから多くのパンクバンドを世に出す。見事に政治的であろうとしたバンドだったんだな。


●バレエ教室に通うヒヨコには、炭鉱の町でバレエを志す少年を描いた映画「リトルダンサー」も見せた。あの作品の背景にあった炭鉱ストが、このサッチャー首相と裏表の関係にあることが、ヒヨコにも理解できただろう。こうして、今後の自分の生活が、その時代の政治にどう関与するか、理解できるようになってくれれば嬉しいもんだ。



悪癖が復活してしまったっぽい。
タバコを吸い始めてしまった。
ワイフが第一子を妊娠した2001年以来、禁煙してたのに。それが復活してしまった。
●ある飲み会で泥酔した後輩に目一杯カラまれて。そんで目の前でその後輩がスパスパタバコ吸いまくるもんだから、ボクにも分けてくれって言っちゃった。そしたら十数年ぶりの喫煙チルアウトが、実に気持ちよくて。アレは血流が悪くなる効果が健康な体からパワーを引っこ抜くだけだ、と思ってたんだけど、やっぱ一度思い出すと…イイわ。
●体育の日の連休でも、午後の下北沢、オープンカフェでコーヒー飲みながらタバコ吸ってた。ヤバイなあ。


●先日はカシマしい音楽を聴いてたから、今夜は静かな音楽を。

DAVID SYLVIAN「BLEMISH」

DAVID SYLVIAN「BLEMISH」2003年
●70〜80年代にかけて、ニューロマ〜ビジュアル系バンドとして活動した JAPAN のフロントマン DAVID SYLVIAN のソロアルバム。同じ DAVID つながりか BOWIE ばりのグラム経由耽美派イケメン路線だったはず。それが、この作品の2000年代には見事に枯れ寂びて、アンビエントな音響世界にボソボソと歌うだけのド地味な音楽を作るようになってた。ジャケからわかるように、ルックスも実に脱力気味。メジャーからもこの作品から離脱。
●ほとんど一人、自前のスタジオに引きこもって制作したトラックは、認識不可能の暗黒物質がホワホワしてるような掴みどころのない世界。そこに暗く低い声。…今日は締め切り間近の伝票処理に忙殺されてたから、このドコにも行き着かない出口なしの暗さは、ボクの心を落ち着かせてくれる。
●3曲でコラボレーターになっているのは、ギタリストの DELEK BAILEYフリーインプロヴィゼーションの大御所として知られる彼の演奏は、奇妙な緊張感はらむモノ。無造作といえば無造作…。よくぞ彼のフリーな即興にボーカルを合わせられるなあ…まあメロディらしいメロディも乏しいんだけど。もう一人のコラボレーターはエレクトロニカ職人 CHRISTIAN FINNESZ。彼との一曲は生き物のように震える電子音が和む。結果としてこのアルバム、緊張と弛緩のないまぜになった暗い音楽。ちなみに、DELEK BAILEY としては最晩年の仕事。彼は2005年に亡くなってる。

DAVID SYLVIAN ROBERT FRIPP「THE FIRST DAY」1

DAVID SYLVIAN & ROBERT FRIPP「THE FIRST DAY」1993年
●2003年のアルバムから一気に10年遡って1993年。ここで DAVID SYLVIAN が相方に選んだのは KING CRIMSON の頭脳 ROBERT FRIPPまだ枯れ寂びてはいない模様。なにしろジャケの二人 DAVID と ROBERT が楽しそうだもん!
ROBERT FRIPP の重厚かつ奔放なギタープレイとその舎弟 TREY GUNN たちのヘヴィな演奏が間違いなくロックなもんで(つーかその後の KING CRIMSON の雛形になってる気がする)、DAVID のボソボソボーカルもその重苦しさが武器になってる。あ、もちろんアンビエント気分はある程度タップリよ。BRIAN ENOアンビエント実験始めた先駆が ROBERT FRIPP その人だからね。
●このLPは、リアタイ1993年に買った音源。今日 DAVID のソロ聴かなかったら、持ってることも忘れてたかも。わざわざ二枚組LPになってるよ。シングルカットされたブレイクビーツ・ダンスチューン「DARSHAN」は90年代UKテクノユニット、THE FUTURE SOUND OF LONDON THE GRID のリミックスがあるらしい。聴きたいなあ!


●この音楽聴きながら、タバコ吸ってます。


●ノマドが課題で本を読む必要があるっていうんで、「フェルマーの最終定理」を薦めてやった。そしたら楽しんでくれたらしい。タフな分量で数学の話なのに2日で読破したと。
●ヒヨコも本が読みたいというので、本谷有希子「グ、ア、ム」を薦めてやった。ダメ人間がグダグタしてるだけの話だ、と言い添えて。読了してヒヨコ一言。「ずーっとプータローってのは、やめとこうと思ったー」
●ボクは、川上未映子「すべて真夜中の恋人たちへ」って本を読んでた。ただ淡々と暮らしてただけなのに、いつの間にかひとりぼっちになってた女性34歳。彼女が生まれて初めて恋愛みたいなモノに近づく瞬間の、凍りついた感情がじわり溶け出す瞬間が美しかった。

川上未映子「すべて真夜中の恋人たちへ」


さて、とうとう「SPOTIFY」日本上陸だ!
●やっと登録コードもゲットしてログインできた。これで何を聴こうかな!?
●…ウワサの広告の出方にもビックリしたけど、特にストレスもない。楽しみだ!



●今日は、80年代アーバンファンクというワードを軸に、現代アイドル音源と当時の音源を聴くのだ。

ESPECIA.jpg

大阪・堀江を拠点としたアイドルグループ、ESPECIA
●このグループが結構前から気になってた。コンセプトはちょっとバブリーな80年代アーバンファンク。
●大阪の堀江ってオシャレな場所なんだよね?代官山みたいな?フツーにアイドル活動させればフツーにオシャレになるのかもしれないのに、その割にはコンセプトワークがイチイチひねくれてて。しかも若い女の子には理解不能なコダワリ方。かなり侮れないと見た。

ESPECIA ナンブヒトシ「GOOD TIMES」

ESPECIA & ナンブヒトシ「GOOD TIMES」2012年
ESPECIA & ナンブヒトシ「ナイトフライ」2013年
音楽配信サイト「OTOTOY」のフリーダウンロード楽曲として偶然見つけた配信シングル。これがコトのホカかっこいいのだ!ベースが野太いユッタリしたパーティ・ファンク。80年代風のグラマラスでキラキラしたヴァイブ。「ナイトフライ」の方はもしかしたらウェッサイ系のGファンク寸前かもしれない。ネットラップ系のMC、ナンブヒトシのラップもナイス。それが誰得?と問えばボクみたいなオッサン音楽マニアが楽しいだけで、アイドル要素とマジ関係ない気がする。
●こんなトコロに若い女の子たちのチャラチャラしたボーカルが絡んでくる。申し訳ないけど、バックトラックだけでもラップだけでも十分にジューシー。君たちイラナイかも。「バブルのあの日よもう一度!」とか言ってもキミらバブル知らんでしょ。でも、これが2010年代の音楽として光ってるのは、ここにアイドル要素を無理にでも接続させてる違和感なわけで。違和感たっぷりのまま彼女たちも歌ってるんだろうね。その状況をコミで聴くから面白いんだろう。
●ただ、正直、この2013年頃の段階ではこのユニットの正体は全然よくわからなくて。ネットで拾ったナゾの音源、ナゾのグループという認識だった。で、しばらく時間をおいたら、メジャーデビューしてた。

ESPECIA「PRIMERA」

ESPECIA「PRIMERA」2015年
ビクターから初回盤2枚組というボリュームで出たメジャーデビューアルバム。ああ、こういうグループだったんだ!と初めて認識した音源。メジャー以降直前にメンバーが一人脱退。この時点では5人組。これが影響したか、結構ボーカルは大人びた感触を狙っている。狙わなくてイイのに。なんか SPEED っぽい感じがイタイぞ。アーバン感覚はより磨きがかかってて、全体のテンポもぐっと落とした粘りのファンク。ベースのアグレッシブな動きとアレンジのキラキラ感はジャケの雰囲気と同じ。やっぱちょっとGファンクかなー。トークボックス使いがシビれる「さよならクルージン」とか特にGな感じ。
●一曲目はなんと湘南乃風・若旦那の作詞作曲!「WE ARE ESPECIA 〜 泣きながらダンシング〜」いきなりメンバー・冨永悠香の独白からスタート。メジャーデビューへの不安とか一人語りでイントロ1分以上使ってます。ちょっと暑苦しいリリックが若旦那風か。
●でも、一番楽しいのはディスク2のリミックス。アーバンなシズル感がより奔放に増幅されてます。ボーカルにダブ感覚なエコーたっぷり振りかけて、浮遊感が心地よい。

ESPECIA「AVIATOR : BOOGIE AROMA」

ESPECIA「AVIATOR / BOOGIE AROMA」2015年
●なんじゃこのジャケ!?80年代アーバンだけでも十分ヘンテコなのに、ジャケにプログレ要素ブチ込んできた!どうみても YES とか ASIA みたいな70年代プログレジャケでしょコレ。誰がこういうの狙ってんだろ?メンバー本人はどう思ってんだろ?というフックにまんまと釣られて買ったよね。アルバム「PRIMERA」に続くメジャーからのシングルです。
●しかし、内容はよりゴージャスになって、スマートなダンスミュージックになっている。サックスソロとか伸びのいいシンセとかがイチイチキラキラでたまらん。ボーカル能力は少し向上した感じがするけど、リリックの内容まで入ってくる感じはまだない。

ESPECIA「YA・ME・TE ! : アバンチュールは銀色に」

ESPECIA「YA・ME・TE ! / アバンチュールは銀色に」2014年
●メジャー前の最後のシングル。とはいいながら、アーバンファンク路線は相変わらず。むしろディスコファンク度はこちらの方が高いかも。「YA・ME・TE !」のギターのカッティングやホーンアンサンブルがとってもファンキー!70年代オークランドファンクの TOWER OF POWER みたいだよ。「アバンチュールは銀色に」のトークボックス使いやストリングス(風のシンセ)のアレンジもクールでステキ。ここまで真剣に聴いてると、未熟なボーカルがちょっとしたバブルガム感覚としてアリに思えてきた。彼女たち自身は当然マジメだし、彼女たち以外で異常にソウルフルに歌われたら、せっかくのパロディ感が失われちゃって、一気にフツーになっちゃうもんね。
●つーか、ジャケにとことん本人たちが登場しない。アイドルなのに、どんな女の子たちなのか、全然認識できないんだけど…。

NEGIPECIA「GIRLS LIFE」

NEGIPECIA「GIRL'S LIFE(ESPECIA盤)」2014年
●新潟を拠点にするアイドル NEGICCO との合体ユニット NEGIPECIA のシングル。ジャケがなぜかアンコールワット伊豆シャボテン公園で撮影されたんだって。うーんイイ意味でいつも悪趣味。
そして表題曲の作曲編曲が後藤次利!ここでおニャン子クラブにアプローチか!ベーシストである後藤のファンク魂がココで炸裂してて、異常に低音が野太い。一方、元来 ESPECIA はボーカルをメンバー一人一人に回していくのが特徴だか、ココは NEGICCO のマナーなのか珍しく全員一緒で歌ってる。大勢で歌った方が安定して聴こえるんだな。結果、アイドルソングとしては王道。カップリングの「水着・浴衣・花火・背伸び(ESPECIA VER.)」も安定して見事にアーバンファンクです。「アバンチュールは銀色に」のリミックスを担当したのは NEGICCO のサウンドメーカー CONNIE。90年代 PIZZICATO FIVE 風のダンスミュージックになってる。


●さて、現在2016年の ESPECIA はというと、拠点を東京に移してる。

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●なんと、メンバー5名のうち、3人が脱退。二人体制になっちゃったトコロに新メンバーが追加。現在はトリオ編成。そしてメジャーからは一旦離籍。インディに戻ってる。で、なぜか女の子たちのルックスがこれまたスゲーところに飛躍して、なぜかフィジー島のミネラルウォーターを握っている(ボク、フィジーに旅行したことあるんで、めっちゃ馴染みぶかいわあのペットボトル)。
●今のアルバムはちゃんと聴いてない。ただジャケはプログレ度増し増しです。一曲だけフリーダウンロード出来る楽曲「SAVIOR」はアーバンファンクでありながらSF的でもあるようで。なんか不穏。気になる。

ESPECIA「MIRAGE」

ESPECIA「MIRAGE」2016年
3人のライダーと巨大なタイヤの化け物…。映画「デューン/砂の惑星」で見たような風景。どこ行くんだ彼女たちは。メジャーデビューを不安がってた冨永悠香ちゃんはまだ在籍とのことだが、ボクならこっから先の方が不安だわ。




●ということで、ESPECIAアーバンファンクから連想される音楽を探る。

CANDY DULFER「SAX-A-GO-GO」

CANDY DULFER「SAX-A-GO-GO」1993年
ESPECIA のアーバンファンクから連想される音楽をアタマの中で検索して出てきたのが、この音源だった。オランダの女性サックスプレーヤーが吹きまくるフュージョンアルバム。彼女当時で23歳だってさ…ESPECIA と同世代か…。80年代じゃなくて90年代だけど、ちょっとバブリーな艶やかさとファンクへのコダワリがフィットしている。
●20歳で世界デビューして2枚目にあたるこのアルバムでは、MILES DAVIS 最後の作品を手がけたヒップホップ・プロデューサー、EASY MO BEE が参加してたり、PRINCE 殿下が楽曲提供してたり、THE JB'S のホーン隊、MACEO PARKER、FRED WESLEY、PEEWEE ELLIS が客演してたりと目玉が意外と多い。ファンクの古典 THE WHITE AVERAGE BAND「PICK UP THE PIECES」をカバーしたりなんてこともしてる。時代としてはアシッドジャズ期で JAMIROQUAI も登場してるのに、圧倒的にバタ臭いのが特徴。
●確か、彼女のお父さんもサックスプレーヤー。DULFER 名義でアルバム出してた気がするな。そっちは聴いたことがない。彼女のファーストアルバムは、高校生の時にカセットで持ってただけか…CDで買い直してみるかな。

DAVID SANBORN「CLOSE-UP」

DAVID SANBORN「CLOSE-UP」1988年
●これもシッカリとアーバンファンク〜フュージョンジャズ。このヘンの音源は、ボクの音楽人生の中でもかなり古い時代に聴いてたヤツだねーリアタイで聴いてたもんね。ご本人、芸歴は60年代まで遡るベテラン・サックスプレイヤーなのだけど、80年代がキャリアの頂点なのかも。この時代にグラミー賞とか獲ってるみたいだし。そんで本作のプロデューサーは MARCUS MILLERクッキリしたアーバンテイストに、輪郭線のハッキリしたサックスプレイ。そんでバックの演奏がメロウでキラキラ。
●実は、このCDはボクでなく、ボクの父親が買ってきたんだ。ジャズ好きの父親が買った初めてのCD。このあたりの時代が、CDというメディアが一般化し始めた時期でもあるのです。

TOTO「PAST TO PRESENT 1977-1990」

TOTO「PAST TO PRESENT 1977-1990」1977〜1990年
80年代 AOR の代表格バンド、TOTO。アーバンファンクとはちょっと違う路線かもしれないけど、白人プレイヤーでありながら様々な黒人アーティストからリスペクトされてるMICHAEL JACKSON MILES DAVIS とも仕事してるし、その後の R&B シンガーにもカバーされたりサンプルされたりしてる。ERIC BENET「GEORGY PORGY」カバーが印象深い。結構、ESPECIA 的な80年代アーバンのエッセンスを備えてると思うのだ。そんなかれらのベスト盤。
TOTO は、個人的には1枚目から4枚目まで LP で持っててよく聴いてるんだけど、そのダブリを勘案してもこのベストに価値があるのは90年段階のオリジナル楽曲が4曲収録されてるから。でこの4曲しか担当しなかった黒人ボーカリストの声が聴けるから。この4曲だけでバンドを解雇される JEAN-MICHEL BYRON という南アフリカ出身のシンガーが、ナニゲにいい味を出していて見逃せない。特にアルバム一曲目「LOVE HAS THE POWER」という曲は、彼の影響かファンク度・アフリカン度が高くなってる。ちゃんとアーバンでありながら。
●あとね、1988年の曲「PAMELA」ってのも大好き。このバンドは時期でボーカリストがコロコロ代わってるのだけど、この曲は JOSEPH WILLIAMS という男が担当。映画音楽の大家、JOHN WILLIAMS の息子だ。

ZAPP ROGER「MORE BOUNCE TO THE OUNCE OTHER HITS」

ZAPP & ROGER「MORE BOUNCE TO THE OUNCE & OTHER HITS」1980〜1986年
アーバンというにはファンク濃度が高すぎて、と思ってたけど、ESPECIAトークボックスまで使うんじゃココまで行かなきゃダメだろう。THE JB'S 〜 P-FUNK の系譜に続く正統派ファンクバンド ZAPP とリーダー ROGER TROUTMAN の偉業をまとめたベストがこちら。
THE JB'S(後期) FUNKADELIC/PERLIAMENT の両方で活躍した生粋のファンク・ベーシスト BOOTSY COLLINS ROGER の幼馴染だった縁でデビューアルバムをプロデュース。そうなりゃ自然とファンクの正統後継者になっちゃうよね。そこからは、誰も真似できないトークボックスの美技で他のバンドを圧倒。特別な個性がギラギラ光る。しかし、伝統的ファンクの粘着性がそのまんまだから、アーバンな洗練美とは別格のエグさがムキ出し。
●1986年のヒットシングル「COMPUTER LOVE」なんて、エレクトリックファンクのはずなのに何でこんなに粘ってるの?シンセを多用しててもエグミは簡単に洗い落とせないのがファンク魂。ルーズにハンドクラッピンして太い四つ打ちに酔いどれるしかない。タイトル曲「MORE BOUNCE TO THE OUNCE」「DO IT ROGER」「DANCE FLOOR PT.1」とかはマジクラクラする。
●でも、ROGER の最期って結構残念なものだったんだね。ZAPP ROGER の兄弟、LARRY、LESTER、TERRY などなどがメンバーだったんだけど、音楽とは関係ないビジネスの失敗などなどが兄弟の間に確執を作ってしまった。そして1999年、実兄の LARRY ROGER をショットガンで射殺。自分も自殺するという事件を起こす。これでバンドは崩壊。

FINGAZZ「CLASSICS FOR THE OGS VOL1」

FINGAZZ「CLASSICS FOR THE O.G.'S VOL.1」2004年
トークボックスでメロメロスウィートなソウルを鳴らしてる西海岸のプロデューサーが本人名義でリリースした名曲カバー集。本来的には、ロサンゼルスを拠点にギャングスタラップ&チカーノファンク界隈で制作してる人みたい。ESPECIA の音源を追いかけて、とうとう本物のGファンクまで到達したわ。
FINGAZZ の仕事相手は、SNOOP DOGG の弟子たち、THA DOGG POUND ROSCOE らに始まり、そして KID FROST、MR. CAPONE-E、LIL ROB、BABY BASH、MR.SHADOW などなどチカーノファンクのカリスマにも及んでいる。彼のスウィートなオールディーズ解釈がチカーノカルチャーと相性がイイのは確かに納得できる。この盤もチカーノのカリスマラッパーの一人、MR. KNIGHTOWL の後見で成立してるという。
●そんで彼のトークボックス・マジックでトロトロにスウィートかつアーバンに仕上がった古典ファンク/R&B は、WAR「LOW RIDER」、THE ISLEY BROTHERS「BETWEEN THE SHEETS」、AL GREEN「LET'S GET TOGETHER」などなど名曲ばっか。SMOKEY ROBINSON「CRUIZIN'」から DELFONICS「LALA MEANS I LOVE YOU」の流れがボクは大好きだわー。
●ちなみに、コレの関連音源で「CLASSICS FOR THE O.G.'S VOL.1 - REVISITED」というボートラ追加の日本盤が存在しとります。2008年のリリースで、MARVIN GAYE「SEXUAL HEALING」カバーなど2曲を新規追加してる。これまたトークボックスがナイス過ぎる。

FINGAZZ「FINGAZZ PRESENTS THE LATE NIGHT HYPE」

FINGAZZ「FINGAZZ PRESENTS THE LATE NIGHT HYPE」2007年
FINGAZZ をもう一枚。アイドルから始まって、こんな濃ゆいウェッサイGファンクに至るとは思ってなかったよ。こちらは FINGAZZ 風のメロウなGファンク満載のオリジナルアルバム。ヒップホップとR&Bの垣根を越えて、メロウでスムースなアーバンサウンドにユラユラとカラダが揺さぶられる快楽。客演アーティストは、ROSCOETHA DOGG POUND の片割れ KURUPT の実弟)、女性シンガー DIAMONIQUE、ブルックリンを拠点とするラップグループ T-WEAPONZ などなど。特に ROSCOE とともに FINGAZZ がサビをトークボックスでユニゾンする「SEX BUDDY」がメロウでいいねえ。
こんな音楽をカーステで鳴らしながら、夕暮れのカリフォルニアをドライブするって、優雅な気分だね。もう自動車運転するのをやめちゃったボクでも、ちょっとイイなあって思っちゃうよ。



●大阪出身のアイドル ESPECIA を今日は聴いてるんだ、とワイフに説明したら。
●もっと有名なアイドルグループが、大阪にはいるよと教えられた。
●その名は「DDプリンセス」ダイコクドラッグのPRグループで、お店にはずっと彼女たちの代表曲「一大告白タイム」がかかってるそうな。ドンキホーテのテーマ曲みたいにアタマに刷り込まれる中毒性。しかも、メンバー全員がダイコクドラッグのバイトちゃんなんだって。普段はレジ打ちしてるアイドル…。

●アイドル音源でここまで遊べたら十分でしょ。まー世間的には1ミリも役立たない話ですが。



●さて、関連動画も、続きのページにくっつけておくね。
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紀伊国屋新宿南口店が、閉店しててビビった。わざわざコドモ2人と一緒に行ったのに。
●最上フロアの洋書売り場だけ残ってたけど…。
●通学だ塾だと、新宿に縁深くなったコドモ中学生二人にとっては、よく立ち寄る憩いの場になってたのに。読書のための拠点が滅びちゃうのはイタイなあ。ヒヨコ「お客さん足りてないようには見えなかったけどねー」

●最近の読書報告もしとこうかな。マンガが相変わらず溜まりまくってる。

市川春子「宝石の国」6巻

市川春子「宝石の国」6巻。
●我が家は家族四人のLINEグループがあるのだが、一番の用途は「マンガのダブり買い防止」だ。会社の近くの本屋さんでボクは新刊リリースを一番最初に察知するのだが、バタバタ出勤しとるから買う余裕はない。そこでLINEで誰が買うかエントリーを募る。この日は熱心な本作のファンであるヒヨコが即座に手を挙げたが、バカ息子ノマドがそのLINEをスルーしてヌケヌケとダブり買いしてきやがった。無駄に2冊。ということで、この作品、非常に我が家で関心度が高い。
●6巻ともなると、主人公たち、擬人化された宝石たちが敵・月人との戦いでボロボロになってきて、もう合金とかくっついて純度下がりまくってる気がするんですけど。すぐヒビ入るし、割れちゃうし。

奥浩哉「いぬやしき」

奥浩哉「いぬやしき」1〜7巻
●突然の事故に巻き込まれ、謎の異星人の手によって蘇った2人の男。意識こそ残ってはいたが、身体は未知の技術によって強力な破壊兵器を備えたサイボーグにされていた。不遇な初老の男性主人公・犬屋敷はその力を善行に用いることで小さな幸せを見つけるが、もう一人の男・獅子神は、恐るべき大量殺戮を実行する。そして二人が直接対決へ。
新宿〜東京全域を舞台に殺戮と破壊の限りをつくす獅子神のヤケクソな行動は、7月に起きた「相模原障害者施設殺傷事件」を連想させた。マンガの登場人物は成り行きのままに独善的な思想と行動に至るのだけど、それは奇妙で異常な使命感を膨らませて障害者をこの社会から抹殺すべしと思い込んだ容疑者と似ていると思う。動機形成がとても幼稚で短絡的なのだ。そもそも奥浩哉氏の作品には、こうした短絡的な発言がモブキャラからワサワサと沸き立つ場面が多くて(で、見事虐殺される)、作者自身がネットに目立つ無責任な思考や発言のために、めっちゃ厭世的になってるのでは、と不安になる。

西原理恵子「ダーリンは70歳」

西原理恵子「ダーリンは70歳」
●これ、第2巻が発売数日で廃刊決定&店頭回収の憂き目にあって話題になったヤツね。西原さんと交際関係にある高須クリニック高須克弥院長のバカップルぶりを描くギャグモノだけど、内容に対して高須さんが怒っちゃったらしくて世間から抹殺。そこは西原さんと調整しておいてくださいよー。お店にあるなーと思ってたのに、買おうと思ったら「いえ、売り切れではなくて、廃刊です。もうどのお店にもありませんし、出版社も対応しないかと」と冷静に店員さんに諭されたよ。
西原作品じゃ高須院長はポピュラー脇役であり続けてたけど、まさかこんな関係になってるとは。まー彼女は未亡人なので何の悪いこともないですが。ただ、今地上波テレビでかかってる「高須クリニック」のCM(なぜか院長がヘリ移動してドバイで商談してる内容)で、一秒未満のサブリミナルカットみたいに、西原さんが写ってるのが気になるんだよねー。スーパーで「漫画家 西原理恵子」とも書いてるんだよ。さすがバカップル、金のかけ方違うわ。

西原理恵子「毎日かあさん」6〜10巻
●という事で、西原さんの日常をこちらのシリーズでチェックしようかなと。西原さん家の子供たちも随分と大きくなってただのノータリンな悪ガキとも言えなくなってきた。このあたりの巻はウチのコドモと同じ中学生そんで高校生になっちゃうのかな。もう子育て終了段階だから、親も恋愛するんだね。




●今日は、懐かしい音源への再訪。大昔に散々聴いてたヤツ。

THE WHO「TOMMY」

THE WHO「TOMMY」1969年
●言わずもがなの名盤。60年代を代表するロックバンドが「ロックオペラ」なる表現を打ち立てた金字塔。……という触れ込みを真に受けて初めてコレを聴いたのが高校生の頃〜1990年だっけな。ハッキリ言って全然面白いと思わなかった!視えない聴こえない喋れないの三重障害を持つ少年を主人公に据えた物語、というけどこの音源だけではなんだかお話の意味がわかんないし、サウンドトラックみたいな構成になってるからインタールードみたいな小品も混じってて散漫な印象。しかし決定的なのは THE WHO という稀代のパワフルなバンドが、まるでキバを抜かれたかのように大人しい演奏をしてるトコ。退屈だわー。これが高校生だったボクの感想。CDレンタルから借りてきてカセットにダビングしたけどろくに聞かなかったねえ
●ただ。今週はこのアルバムに収録されてる楽曲「THE ACID QUEEN」「PINBALL WIZARD」が突発的に聴きたくなって。でディスクユニオンにて648円で購入というわけ。この2曲は好きだったー。TINA TURNER にもカバーされた「THE ACID QUEEN」はサイケな妖しさがポップにまとまってたし、「PINBALL WIZARD」はそのギターのフレーズが耳から離れない傑作シングルだったし。今回聴き直して改めてビックリしたけど、視覚聴覚に先天性障害がある少年がピンボールの達人ってのはやっぱ無理があるんじゃねーかな。カッコイイから問題ないけど。今聴けば、他の曲のキレイなメロディやアコギ主体の落ち着いた優しさが、冷静な耳でイイモノと認識できる。でも THE WHO だったらもっと他の曲を聴いた方がいいと思うなあ。
●そもそもの THE WHO はシングル単位で活躍するバンドで、アルバム単位で聴くタイプのバンドじゃなかった。というか60年代中盤に活躍してたバンドはみんなシングルこそが命で、アルバムで売るという概念が薄いのが当たり前。そういう業界慣習があった。ヒットシングルはアルバムに収録しないとか、アメリカ版とイギリス版で内容が全然ちがうとか、無造作すぎるのだ。例外がかの THE BEATLES。彼らが最初の「コンセプトアルバム」という概念を開発「SGT.PEPPERS〜」1967年のことね)して、LPレコードに一貫したテーマを盛り込む価値を世に問うた。これが大成功して、LPレコード全編をどのように活用するか、という知恵比べが始まる。
●このバンドも1966年の段階で「ロックオペラ」というコンセプトに到達してたみたい。だけど、これを実態化するのにはやっぱり大変で。ストーリーの骨子を作るトコから、バンド単体でライブ再現できるアレンジにまとめるトコまで、基本は PETE TOWNSHEND の仕事らしい。ナカナカの難産で制作費がかさんでパンク寸前だったとな。でも、このアルバムは成功して、このバンドの最高傑作になっちゃったとな。ライブでは「TOMMY」をやることだけを期待され、バンドの名前が「TOMMY」だと思う人まででてきたとな。だからこのバンドはそれを超えるキャリアを作るためにしんどい思いをする。「四重人格(さらば青春の光)」もそんな必要から生まれた仕事だ。ふーそれはそれで大変だねー。

U2「WAR」

U2「WAR」1983年
●これもアナログレコードを高校生の時に買ってるヤツ。324円だから買っちゃったよ。U2 のプロデュース/エンジニアといえば DANIEL LANOIS が鉄板の布陣だが、この時代はまだプロデュースが STEVE LILLYWHITE だね。シングル曲「TWO HEARTS BEAT AS ONE」が聴きたかった。いーねーこの疾走するエモーション。
「SUNDAY BLOODY SUNDAY」もオリジナルアルバムで聞き直してみて、エレクトリックバイオリンがアレンジで入れ込まれてるってのに初めて気づけた。もはや定番すぎるほどの代表曲だが、バタバタとしたドラムがやっぱスゴイ。ドラムの LARRY MULLEN JR. は地味な存在に見えるけど、この四人でバンド組もうぜと言い出した張本人だ。彼の存在感がいつもよりも前に出てる印象。

KOSTARS「KLASSIC WITH A K」

KOSTARS「KLASSIC WITH A K」1996年
●これもアナログで持ってるけど買っちゃったよ。216円なんだもん。ディスクユニオンよ、どれだけボクの財布から小銭を搾り取る!女性四人組ミクスチャーバンド LUSCIOUS JACKSON からスピンアウトした、2人組フォークユニット。両方とも THE BEASTIE BOYS が主宰したレーベル GRAND ROYAL からのリリースだった。このレーベルからの音源は一時期全部買ってたね。ここでは ベースを演奏してる JOSEPHINE WIGG のアルバムまで買ったよ。
●初期 LUSCIOUS JACKSON じゃオラオラしてた感じが、まるで X-GIRL のプレッピーなサブカル少女に変貌してしまったようなオスマシぶりで、クールなポップスを演奏してくれる。日曜日の昼寝には最高の音楽だ。




●動画。THE WHO「PINBALL WIZARD」。




ハイスタの新譜を買っちゃったよ。

HI-STANDARD「ANOTHER START LINE」

HI-STANDARD「ANOTHER START LINE」2016年
事前にゼロ告知、突然店頭にドッサリ出現。これを「ゲリラ発売」と誰かが名付けた…宣伝をサボったネガを前向き転換表現 〜 SNSバズを念頭に仕掛けた「レーベル=流通=店舗」共犯の箝口令マーケティング。で、これが見事にハマってネットで拡散激賞。ハイスタ知らん人でも気になるほどで、ハイスタ知ってる人はタワレコに殺到。
●と、うがった見方で仕掛けを眺めてみたけど、きっと当事者は別にそんなこと考えてなかったと思う。このバンドの長い歴史、実にパンクでDIYな歴史では、ネット時代以前の90年代から、ノープロモーションで少ないロットのシングル発売をそっと出すとか、ライブの告知を関連バンドのライブ会場のビラまきだけで行うとか、そんなことを普通にやってた人たちなので。元からメディア露出もしないバンド、文字通りの「口コミ」で彼らの存在は大きくなっていったんだし。
●ただし、SNSで盛り上がるだけの「物語」は存在した。90年代の日米をまたにかけた大活躍。しかし2000年以来、メンバー間の確執も込みでトリオはそれぞれの活動に分散。けれども2011年の「311」に際してシリーズで主催していたフェス「AIR JAM」を復活させ、ゆっくりと歩調を整えながら満を持して新シングルのリリース。実に16年ぶりの音源だ。
●この「物語」が、レコード屋さんの愛情&気合がこもった店頭盛上げにつながった。twitterで報告されてる全国店頭の特別ブースのモリモリぶりは、いかにお店の人々にこのバンドが愛されていたかの証明。「箝口令」はある程度容易いこと(かな?)としても、「店頭でガッツリやってください!」は、お店に対して決して簡単じゃない要請。ボクの知人は、渋谷ツタヤに2週間ブース設営してもらっただけで大手柄と言ってたっけ。しかしこれだけの仕掛けはそんなネゴじゃ動かない。何も言わずとも、このリリースが歴史的エポックだと、レコ屋の感性が作動したんだと思う。

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だから、ウチの会社の近所のタワレコでも、こんだけのモリっぷり。
●同僚のデスク女性がLINEでボクに報告してきました。「unimogrooveさん、あるよー!」ボク「まじ!ボクの分も一枚買ってー!」同僚のドリくん20歳代後半も興奮気味で「オレも買ってきちゃいましたよ!ヤバイっすよ」ドリくんはパンクでアニオタ、ボクと話がよく合う。でそんなCDを持ってるだけで、周囲から人が集まってくる。隣席のSくんが「え?あのハイスタなの?」Kくんが「新曲出たの?欲しいよー!」みんなのハートの中にハイスタがそんなに巣食ってるとは知らなかったよ。デスクさん「どんどん売れちゃうみたいで、店員さんがあわてて補充してた」
●そんで残業までこなして家に帰って、そしてCDをプレイヤーに置く。聴く。日付の変わりそうな時間でもtwitterのトレンドには「ハイスタ」の文字があって。そして大勢の人が思い思いにハイスタを語る。そんなタイムラインを眺めて、パンクロックを聴く。良い夜だった。

HI-STANDARD「ANGRY FIST」

HI-STANDARD「ANGRY FIST」1997年
ハイスタの新曲ももちろんいいんだけど、やっぱり自分がリアルタイムに聴いてた音源に遡りたくなっちゃうよね。今回のハイスタ復活で盛り上がった年齢層は、ボクの周辺では30歳代がメインだった。高校生時代にハイスタ全盛期を迎えた人々。そこんところではボクはやや年長気味。このセカンドアルバムの時には既に社会人だったから。
●ただ、このアルバムは衝撃的だった…。渋谷系のソフィスティケートされた音楽を通過してたのがボクの世代だから、彼らのような日本製ハードコアにはさほど関心がなかったのよね。それでも高まりつつある武名からコイツに手をつけてみたら…本当にこの硬い拳でブン殴られたようなショックを食らった。
●一曲目の「START TODAY」。イントロもゼロでいきなり初速フルパワー、バンドの全てを最初の打撃でぶつけてくるような音塊が、ボクを突き飛ばす。「I WAS TAUGHT BY MY LIFE, NOTHING COMES FROM NOTHING. SO I GOTTA MOVE ALL THE TIME, I GOTTA FIND MY PLACE. THE MOST IMPORTANT THING IS TO KEEP YOUR FAITH STRONG.」そしてこの曲が一瞬にして終わる。たった1分11秒。そのまま怒涛のパンクショー。マッハのビートにマッシブなギターリフに軽快なメロディが乗ってそのまま止まらない。収録曲全てが3分いかない。短い!短すぎる!そして速い!速すぎる!モッタリした情緒なんて残さずに、その一瞬一瞬が真っ赤に燃えてるかだけを大事にして突き進む。
●社会人として駆け出しだった頃のボクは、こと特にこの年は、まーベコベコに凹まされるコトばかりで毎日がキツかった。仕事量も激しくて平気で週2回は徹夜してたわ。正直、この「怒りの拳」に鼓舞されて毎日を闘う、なんてトコまでも到達できなかったよ。周囲の先輩に怒鳴られないように、殴られないように、とだけ思って暮らしてたから。今じゃ信じられないかも知れないけど、ボクの職場当時は体罰当たり前だったからね。こんなにヘトヘトなのに、パンク聴くとまたヘトヘトになっちゃうよ。そこまで生命力えぐられてた。だからボクのハイスタ体験はそれ以上は広がらなかった。刺激が強すぎて簡単な覚悟で聴ける内容じゃなかったんだよ。一曲目の初速全開パンチだけが、ボクの中での尊い思い出になったよ。

●新曲と、この20年近く前の作品を聴き比べれば、やっぱり過去作の方が切れ味が鋭い。殺気がスゴイ。パンチの一撃一撃が、マジで命を獲りに来てる。ギターとベースの音がゴリゴリして、少しだけジットリ汗の匂い。ただ、今の音源には、ハードコアパンクというスタイルに人生を捧げてきた覚悟が硬い結晶として実体化してる。気負いや焦りなど余分なモノを全部削ぎ落としてしまったようなシンプルさが、そのまま素直に出てきている。なんだか、気持ち良い風がスッと通り抜けるような感じ。
●でも根本は変わってないよ。純度の高いハードコア。最初っから速くて硬くて熱くて、ガツンとぶん殴られるような刺激。年齢は重ねたはずだけど、バンドは何も変わってない。湿っぽい感傷は1ミリも必要ない。だからこそ、安心してボクらリスナーは20年前のことを思い出せる。


ハイスタ同時代、90年代のハードコアパンク。
ハイスタと縁が深いレーベル、FAT WRECK CHORDS

NOFX「THE WAR ON ERRORISM」

NOFX「THE WAR ON ERRORISM」2003年
ハイスタ の音楽を聴いて、彼らに縁がある音源をCD棚から探す。NOFX。ロス出身、80年代から活動してるバンドで、いわゆるメロコアの先駆ともいうべき存在。硬くて速くて熱くて乾いたパンク。ストレート過ぎるほど高い純度のハードコアの中に、ほんの少しのユーモア感覚がある感じ。オマケにピリリと辛い政治的風刺の精神もある。打ちのめされて荒廃した格差社会アメリカの狂気を叫ぶ。そしてハッキリとアンチ・ジョージ息子ブッシュ。怒気を孕んだギターが摩擦熱で火を噴く勢い。そのままデカイ声でワメキながら深い闇を走っていけ!
●このバンドのボーカル FAT MIKE/MKE BURKETT が主宰する FAT WRECK CHORDS は、ハイスタ世界流通を担ってたレーベルでもある(ハイスタの日本のレーベルはもちろん PIZZA OF DEATH!)。ハイスタのアメリカ音源制作にも FAT MIKE が関わった。世界へハイスタを紹介したのは、NOFX FAT MIKE FAT WRECK CHORDS なのだ。NOFX 自体は西海岸パンクの名門 EPITAPH の所属が長かったのだが、やっとこの9枚目のアルバムから FAT WRECK CHORDS に移籍。

VARIOUS ARTISTS「ROCK AGAINST BUSH VOL1」

VARIOUS ARTISTS「ROCK AGAINST BUSH VOL.1」2004年
FAT WRECK RECORDS が送り出した、ブッシュ大統領をケチョンケチョンにする内容のコンピアルバム。この時期に燃え上がっていたイラク戦争に徹底反対しているんだよね。そしてそのイラク戦争のために国内の弱者が痛めつけられてることにも傲然と抗議している。CDのライナーノーツは、全部ブッシュ政権の具体的な批判でビッシリ。「ヤツは金儲けと権力維持に夢中なただのカウボーイだ」「911テロとも関係ないし大量破壊兵器もないイラクへ数十万人の兵隊を送り込んで何ら気にしない」「若年層の失業率が13%もあるのに若者の就業支援プログラムを大量にカットし予算を戦争に回した」「ブッシュ政権下には健康保険を持たないアメリカ人が4300万人もいる」「退役軍人の健康保険給付金を削減した」「選挙に対する企業献金額の世界最高記録保持者」「未だに同性愛者は罪人と仄めかし、同性婚の基本的人権を否定しようとしている」などなどテンコ盛り。
●そんな主張に賛同結集したバンドたちもスゴイメンツ。NOFX と同じくらいのべテランから当時の新興バンドまで26組が参加。THE OFFSPRING、DESCENDENTS、LESS THAN JAKE、PENNYWISE、SUM-41、NEW FOUND GLORY、MINISTRY、THE GET UP KIDS などなど。
●このアルバムで知ったバンドも多いよ。ALKALINE TRIO「WARBRAIN」という曲がすごく好き。RISE AGAINST AUTHORITY ZERO ってバンドも勢いがいいね。THE SOVIETTES ってのはガールズパンク。レゲエアプローチの RX BANDITS もずっと気になってるバンド。

LAGWAGON「LETS TALK ABOUT FEELINGS」

LAGWAGON「LET'S TALK ABOUT FEELINGS」1998年
FAT WRECK CHORDS から出てる音源を立て続けに。カリフォルニア州サンタバーバラ出身のパンクバンド。結成は1990年とこれまたベテランで、そんで今でも元気に活動している…ハイスタと同世代だね。90年代のメロコアシーンの中でイイ味だしてたんだけど、ボクがコレを真面目に聴いてるのはここ数年と最近のコト。やはりコイツも硬く熱く速い。ビリビリとしたソリッドギターと疾走するビート、メロディとメリハリある展開がキャッチーで痛快。時代がオルタナ期からエモ期に移行していく、過渡的な感触も感じる。

NO USE FOR NO A NAME「KEEP THEM CONFUSED」

NO USE FOR NO A NAME「KEEP THEM CONFUSED」2005年
●これも FAT WRECK CHORDS からの音源。彼らも80年代末から活動してるベテランだな。やっぱり西海岸サンノゼ出身。そして硬く速く熱い。ただ時代が降ってる影響もあるのか、メロディが実にエモい。コーラスワークふくめて青臭いメロディがベテランとは思えない瑞々しさタップリだ。なんてセンチメンタルで、爽やかで、気持ちいいんだろう。







●歌詞付き音源。HI-STANDARD「START TODAY」。




●ハイスタの新譜、買っちゃったよ。




ゲスの極み乙女。「当面の間活動を自粛することとしました」だってさ。
●ボーカルの川谷絵音「未成年者と飲酒をしていた事実がありました」ってさ。
●ご本人は同日 twitter で「必ず戻ってくるので、待っていてください」って言ってるので、あんまり懲りてない気配ですけど。
●こういう価値観が、「ゲスの極み」と名乗る所以なのか。


●このバンドの音楽を、真面目に取り上げる事もなかろうと思ったけど。
●やっぱ普通に聴いてたもんだから、一応言及してみるね。うまくまとめられる自信はないけど。

ゲスの極み乙女。「ロマンスがありあまる」

ゲスの極み乙女。「ロマンスがありあまる」2015年
●このシングル曲、おいっ子のカケル当時幼稚園生が可愛げたっぷりに歌ってたのが楽しくてねー。「ロマンスがありあもー、ロマンスがありあもー、うーう」うんうん、ありあもーだねえ、いいねえカケル。天下の TOYOTA がCMソングに選んだくらいだったからねえ。へんな名前のバンドだけど立派になったねえ。そう思ってたんだよ。いろいろなトラブルがまだ起こる前だったからさ。

ゲスの極み乙女。「ドレスの脱ぎ方」2013

ゲスの極み乙女。「ドレスの脱ぎ方」2013年
●ボクがこのバンドを知ったのはこのファーストミニアルバムの時だね。タワレコでたまたま見つけたインディ盤…レーベルの名前は GESUKIWA RECORDS。CDの帯コピーは「世界中のゲスの皆様、お待たせ致しました。どうも、ゲスです。」なんだか猛烈に露悪的なバンド名。なんだか猛烈に負のオーラ。その悪趣味さ加減に関心を持ってそのまま購入してしまいました。
●CDに添えられたバンド紹介が「4人組ヒップホッププログレバンド」「高い演奏技術を駆使した何が起こるかわからない曲展開に全てを飲み込んでしまう声。ヒップホップを基調としながらも独自のポップメロディを奏でる天才集団である。」って書いてある。しかし、聴いてみたところ、どこもかしこもヒップホップじゃないし、どこもかしこもプログレじゃないのだ。「ロマンスがありあまる」がヒップホップだって思う人いないでしょ、この初期音源でも全然そんな気配ないのですよ。うわーどうやって聴いたらいいか分からんわー。ということでしばらく放置。
●ボクは、基本的にリリックに関心が薄い人間なので、奇妙なバンド名や思わせぶりなアルバムタイトルと同質っぽいリリックから漂うダメオーラの腐臭をほんのり感じながらも、別に取り立てて気になるモノを察知することはできなかった。もーねー、ボク40歳超えたオッさんだからさー、ドレスを脱ぐとかさ、そのドレスで無駄に着飾ってるとかさ、そのドレスは自分で着たもんじゃないとかさ、産まれた時からドレス着せられてたとかさ、今自分でドレスを脱ぐ時が来たとかさー、もうどうでもよくなっちゃってるんだよね。痛みきったカラダでゲス通り越してキチガイまで行ってるしね。ゲス気取る余裕もねーっつーの。

●だからメジャーにのし上がってきた彼らを、TOYOTA のCMで発見した時はビックリしたよ。しかも現行のメジャーなジェイポップシーンで一番ヒップなレーベル UN BORDE(ワーナー系)からのデビューじゃん。UN BORDE には、神聖かまってちゃんがいるし、TOFUBEATS がいるし、きゃりーぱみゅぱみゅ中田ヤスタカ(CAPSULE)がいるし、RIP SLYME がいるし、高橋優がいるし、パスピエがいるし、ANDROP がいるし。生きのイイアーティストがぎゅっと集まってる。おーっと思ったよ。

ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」

ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」2015年
●音楽の聴き方も飲み込めたよ。このバンドのピアノは、繊細な場所で最低限の音を鳴らしてグルーヴに粘りをつける。ゲスじゃない、とても上品だよ。ドラムもベースも堅実でテクニカル。ギターも含めて、無理に音を詰め込んだりしないでも、スムーズで軽妙なグルーヴが推進できるって分かってる。川谷絵音のボーカルも、ヘンにエモーショナルにならない力の抜けた感じが、ポップミュージックとしての安定感になってる。メロディラインも気負いがないようでいてユニークにフラフラと展開してファルセットまで行っちゃう。…聴き返せば「ドレスの脱ぎ方」の段階からバンドのスタイルは何ら変わってない。ヘンテコな「ヒップホッププログレバンド」なんて自称をしなければ、もっとシンプルに理解できたのにな。だから、悪い音楽じゃないと思ってる。今でもね。素朴に面白いよ。
●だからシングル表題曲の奥に隠れてるB-SIDEの曲も好きだよ。「ロマンス〜」の2&3曲目「サイデンティティ」「INK」も、「私以外〜」収録の「パラレルスベック」も。

●ただ、歌詞はねー。ここまでコトがコジレてれると評価のしようがないよ。
●どうしたってバイアスかかるでしょ、ベッキーと禁断不倫してたら、さすがにイロイロなモンがありあまるわ。
●で、なんかよくわからんけど、19歳の女の子にちょっかいかけて半同棲して、お酒飲ませましたって…。この19歳女子は舞台を降板して、NHKの番組も干されたとか。

●多かれ少なかれ、すべからく人間はダメでゲスで無様で卑怯なので、文章を書くこと歌を歌うこと音楽を鳴らすことを稼業にする連中が、それをネタにすることは別に珍しいことでもないし、指差されることでもない、とボクは思う。それがオモシロイならアリです。
●しかし、優等生タレントだったベッキーや、19歳の将来ある女の子のキャリアを破壊しても平気な顔してるヤツを、擁護するほどの立場には立てません。もうコレはオモシロくないから。ただの野暮です。

●そしてもう一点。「ゲスでいることがアーティストの特権/ゲスを許されるのがアーティストの特権」と考えている人がいるとすれば、それは大間違いであるとボクは言っておきたい。
●もう一度言うけどすべからく人間はダメでゲスで無様で卑怯。その自分のゲス具合と対峙して折り合いをつけていくのが人生。自らのゲス具合に人生を破滅させたり命を落としたりする人もいる。そのゲスリスクにどう始末をつけるか、これが人生の大事だからこそ、アーティストは万民へ普遍的に伝わるテーマとしてゲスを取り上げる。その価値がある。アーティストなら安全地帯でゲスを謳歌できると思ったら大間違い。ゲスに命かけるからオモシロイんだろ、調子に乗ってるだけならとっとと退場しろ。さもなくば、ゲスの業火に巻かれて死んでしまえ。


●こんなこと書いてるボクが野暮だ。オモシロくねーなー。




●娘ヒヨコの就職希望先は、「世界ふしぎ発見」のミステリーハンターだとな。
●彼女たちは、世界中のどんな食べ物でも、抵抗なくパックリ食べてイイリアクションをするよね。アレ、立派な才能が必要。実際は結構キツイと思うよ。でも、他の番組がよくやる、奇妙なモノを我慢しながら食べて「からいー!」と叫ぶ演出よりずっと気持ちイイ。行く先々の土地の文化に敬意があるってことだからね。
●今週はエジプト特集だった。エジプト出身の大相撲力士、大砂嵐がロケに同行。大砂嵐ってイイ名前だね。ジョジョ第二部の強敵・ワムウの必殺技「風の流法・神砂嵐」を連想するわ。


百万円の女たち

青野春秋「100万円の女たち」
●スピリッツの連載で何気に夢中になっちゃった。もう人生どーでもいーわーという枯淡の境地に、ふと憧れてる自分がいる。別に今始まったことじゃなくて、20歳代からずっと取り憑かれてる感覚。だからオフビートで受動的な主人公が、なぜか愛おしい。


THE SKATALITES 関連の「ロックステディ」を堪能する週末。

MUTE BEAT「ROLAND ALPOHNSO MEETS MUTE BEAT」

MUTE BEAT「ROLAND ALPOHNSO MEETS MUTE BEAT」1988年
80年代に活躍した日本屈指のダブバンド MUTE BEAT が、ジャマイカ音楽の伝説的存在 THE SKATALITES のサックス奏者・ROLAND ALPHONSO とともに演奏したライブ盤。しかも、このライブは、今も現存するライブハウス・渋谷クラブクワトロのこけら落とし公演だったそうな。渋谷パルコは全面モデルチェンジのため今年に消えてしまったけど、クワトロは今もしぶとく健在だな。
●当時の MUTE BEAT のメンバーは、トランペットのこだま和文、キーボードに朝本浩文(後に RAM JAM WORLD で活躍)、ドラムに今井秀行屋敷豪太はこの年に脱退〜ロンドンへ)、ベースに松永孝義(2014年に死去)、トロンボーンに増井朗人、ダブミキシングに宮崎泉(A.K.A. DUB MASTER X)というメンツ。メンバーにミキサーがいるって段階で斬新だよね。スタジオ盤ももちろん聴いているが、ライブで聴いても鉄板の安定感がある。才能あるプレイヤー集団。
●なお、この ROLAND の来日では大変なトラブルが発生したそうな。当時はニューヨークに住んでいた彼のパスポートは、ジャマイカ政府の正式なものではなかった…出生地はキューバだった彼にはジャマイカに正式な国籍がなかったのだ。この調整に四苦八苦し、彼が来日〜渋谷クワトロに到着したのは客入れ時間ギリギリ寸前だったそうな。そこからそのまま20分間だけ音を合わせて本番突入。なのに、フタを開ければこの自由奔放な演奏。優雅なアドリブプレイと、MUTE BEAT とのカッチリしたアンサンブルが鮮やか。ROLAND もスゴイが、MUTE BEAT の面々もスゴイ。

DON DRUMMOND「THE BEST OF DON DRUMMOND」

DON DRUMMOND「THE BEST OF DON DRUMMOND」1962〜1965年?
●前述「ROLAND ALPOHNSO MEETS MUTE BEAT」 ROLAND が演奏している楽曲は、THE SKATALITES の中核人物で作曲家であったこのトロンボーン奏者・DON DRUMMOND の楽曲ばかりだった。だから、彼がジャマイカの名門 STUDIO ONE に遺したベスト盤を聴く。このレコードは金沢「エブリデイレコード」というお店で買ったんだっけな。
●で、これに針を落としていきなりビビる。一曲目の「RINGO」という楽曲は、美空ひばり「リンゴ追分」のカバー。昭和日本のムサ苦しさと、質実剛健なスカビートとホーン隊の輪郭線の太さがすごくマッチしている。そんな第一撃から始まるから、このレコードから流れてくるメロディに、なぜか昭和歌謡な匂いを嗅ぎ取ってしまう。逞しく、湿っぽく、そしてどこかブルージー。日本のバンド MUTE BEAT が自分の曲と THE SKATALITES の曲を並べて演奏しても違和感がまったくなかったのは、DON DRUMMOND の音楽がどこか昭和日本の気分と偶然似通っていたからなのかもしれない。
いつしか精神を病んでしまい、なんとガールフレンドを殺害してしまった DON は 1965年に逮捕され、そのまま病院に収監。そのまま1969年に病没する。なにかの本で、病院生活の中でも、ただ一人トロンボーンをさみしく吹いていたという話を見た覚えがある。THE SKATALITES も彼の逮捕をキッカケにほどなく解散。ジャズプレイヤーが結集して、ジャマイカ産のポップミュージック、スカという音楽を発明したこの THE SKATALITES は、1963〜1965年と実に短い期間で活動を止めてしまったのだ。その後、ROLAND ALPHONSO は、THE SKATALITES の同僚であり、これまた伝説的なキーボード奏者 JACKIE MITTOO とともに THE SOUL BROTHERS(その後 THE SOUL VENDORS に改称)を結成、STUDIO ONE を舞台にジャマイカの新型音楽スタイル「ロックステディ」を演奏していく。

VARIOUS ARTISTS「STUDIO ONE ROCKSTEADY」

VARIOUS ARTISTS「STUDIO ONE ROCKSTEADY」
●英 SOUL JAZZ RECORDS がコンパイルしている名シリーズ「STUDIO ONE」。過去50年のジャマイカの音楽業界を支えた名スタジオ兼レコードレーベル兼サウンドシステム STUDIO ONE の名曲たちを、この SOUL JAZZ数十枚のコンピで紹介し続けている。今回は、1966〜1969年の短命なムーブメントに終わりつつも次世代の音楽「レゲエ」を準備したスタイル「ロックステディ」を特集。
●わりと勘違いしてる人もいるので言及しますが、そもそもの前提で「レゲエ」はジャマイカの伝統音楽ではないのです。60年代末〜70年代に確立したポピュラーミュージックなのです。1980年代にヒップホップが成立したように、レゲエも戦後の歴史の中で生まれた音楽。しかもアメリカの影響を色濃く受けてジャマイカの中で化学反応を起こして出来た音楽なのです。
●で、そのレゲエの成立も一足飛びで果たされたというわけではなくて。1950年代以前からジャマイカに存在したフォークミュージックは「メント」というスタイル。同じカリブ海の島国・トリニダード・トバゴの音楽「カリプソ」と混同されて欧米には認識されてたみたい。ここにスウィングジャズやジャンプブルースの影響が加わって出来たのが「スカ」というスタイル。これが1950年代後半から登場。ここに加えてメキシコ湾を超えて流れてくるアメリカのラジオ放送を経由して R&B も伝播、さらにジャマイカの音楽に影響を与える。「ロックステディ」はそんな流れで60年代中盤から登場。簡単に言えばスカをスローダウンしたのが「ロックステディ」。R&B のボーカルグループを模倣したのかコーラスグループも数々登場。加えて土着の新興信仰ラスタファリアニズム(これも20世紀以前には遡れない新しい文化なのですよ)や、ラスタ信仰から生まれたリズム音楽「ナイヤビンギ」も影響を与える。こんなステップを経て、1960年代末〜1970年代に「レゲエ」が誕生。コーラスグループ THE WAILERS からレゲエバンド BOB MARLEY & THE WAILERS が発展的進化を果たして世界進出。70年代には音響手法としての「ダブ」、歌唱法としての「ディージェイング」も開発され、80年代の「ダンスホール」の時代を迎える。そして80年代中盤には打ち込みトラック「コンピュータライズド」の革命が起こる…。あの小さい島国の中でも激しい音楽の進化が起こっているわけですわ。
●加えて言えば、COXONE DODD が率いる STUDIO ONE の勢力と、業界を二分するライバル DUKE REID TREADURE ISLE の勢力のバトルがあって。お互いにスタジオを備え、ミュージシャンを囲い、レコードレーベルとサウンドシステム(移動可能な野外ディスコ)を運営して、この国の音楽業界の黎明期を支えていた。THE SKATALITES STUDIO ONE 専属のスタジオバンドだったが、このアルバムに収録されてるアーティスト/ミュージシャンは、二つのレーベルを行ったり来たりして過ごしていたとな。このころ活躍してたシンガー/グループは、ALTON ELIS、KEN BOOTH、DENNIS BROWN、THE HEPTONES、JOHN HOLT、MARCIA GRIFFITHS などなど。
●とはいえ、この辺のジャマイカのシーンは連続的に繋がっているので、正直細かい分類なんてボクにはよくわからない。すでにこの「ロックステディ」の段階で、2拍目&4拍目のアクセントや、太いベースライン、パーカッシブなギターの使い方など、「レゲエ」の美味しい部分はハッキリ特徴として見えている。ゆったりとしておおらかなグルーヴもね。で、結局のところ、ウンチクなんてすっ飛ばして、今から50年前の録音が、確実にボクのササクレだった神経を癒してくれる。

東京スカパラダイスオーケストラ「TOKYO SKA PLAYS DISNEY」

東京スカパラダイスオーケストラ「TOKYO SKA PLAYS DISNEY」2016年
現代日本のスカの守護神は彼らなのだろう。1985年から活動してもう30年経過、褪せることのない男気。そんな彼らの企画盤、ディズニー・カバー。サクサクと弾むスカビートとディスニーの黄金ポップスはやっぱり相性がいい。
●アニメ「アラジン」のテーマ「WHOLE NEW WORLD」をドラム・茂木欣一と、女性バンド、チャラン・ポ・ランタンのボーカル嬢・ももさんがデュエット。とってもスウィートでチャーミング。「LET IT GO 〜ありのままで」のムサいバリトンサックスのメロディと、ルーツ度の高いダブアレンジがイイ味出してるね。



●動画。THE SKATALITES「RINGO」。「リンゴ追分」カバー。