●すでに忘年会モード全開につき、ブログの更新が全然できなかったです。
今週は4回も食事会があるぞ。
●正直、仕事がらみの食事会が得意でないボクには、油断ならない時期だ。疲れちゃう。
●今のところ大丈夫だけど、ほどほどにしたいもんだねー。


●この前の週末。息子ノマド中学3年生が、ボクと映画が見たいと言い出した。
●なんのことではない、ヤツの魂胆としては、ただチケット代出してくれる人間が欲しいだけ。
●しかし、ろくに親と会話もしたがらないノマドが、珍しく甘えてきやがったのは、悪い気分じゃない。
で、ナニ見たいの?

劇場版艦これ

「劇場版 艦これ」
えー!艦これ!これはさすがにボク恥ずかしいぞー!40歳オーバーのおっさんが見てるのはだいぶ痛いぞー!ノマドこれは中学のオタク友達と観に行けよー!……「君の名は」をスルーして「艦これ」行っちゃうかーヤバイなこいつ。
●しかしノマド食い下がる。「今週公開したばかりですぐ観たいんだよ」「ツイッターでも絶賛なんだよ」「戦闘シーンはCG満載でクオリティも高いんだよ」「40歳のオッサンとか普通にいっぱいいるから平気だよ」おお、珍しく饒舌にプレゼンするじゃないか。ノマドは本作原案であるブラウザゲーム「艦これ 艦隊これくしょん」のヘヴィなプレイヤーだ。レベル101、艦娘所持数98ってよくワカランけど割とスゲー気がする。まー入れ込んでる気持ちもわかる。しょーがねーなー、じゃ渋谷にでも出るか。
●で、劇場はスカスカ。客層ほぼ100%男子。年齢は確かに中高生からオッサンまでのオールレンジだけど、見事にみなさんオタク。ありゃりゃー。
●なーんてごまかしてるけど、実はノマドに付き合って、ボクも地上波アニメは全部観てるので、全然違和感ないんだよね。上のキーアートに描かれてる女の子たちの名前も全部知ってるよ。右から「睦月」「赤城」「吹雪」「大和」「加賀」って言うんだよ。全部、旧日本軍に実在した軍艦がモデルだよ。はい、ボクも息子もちゃんとオタクです。
●本編始まる前のクレジットに「角川映画40周年記念作品」と出てきちゃった。あー70年代から続く角川映画の伝統は、とうとうこんなトコまで到達しちゃったんだねー薬師丸ひろ子さんもビックリだろうな。ローマ字の KADOKAWA になった時点で、オタクカルチャーの震源地になる宿命を背負ったのね。

●ノマドは実に上機嫌だったよ。地上波アニメでは制作費の限界で描き切れない戦闘シーンが、確かにリッチに盛り込まれてる。序盤のニューキャラが活躍する戦闘と、後半のお馴染みキャラ勢揃いの総力戦は、地上波と比較すると素晴らしく豪華。テンション上がる気持ちもわかる。
●海の波間をスケートのように滑りながら(あ、彼女たち全員が擬人化された「軍艦」だから、海の上ではメチャ高機動です)、ドッカンドッカン大砲打ちまくって、敵をバッコバッコ潰しまくる。それなりに痛快。マトにされることを覚悟して味方がサーチライトで敵新鋭艦を照らしあげると、その覚悟を受け止めた「大和」さんがその巨砲の一斉射撃でメッタ打ちにするトコロとか、カッコよかったです。地上波版での「大和」さん、史実を反映してか、そのポテンシャルに釣り合わずあまり活躍しないんですが(しかもスゲー燃費悪くてすぐ動けなくなる、結果、おっとりした大食漢の料理好きという設定までついちゃった)、この劇場版では最前線で豪快に暴れました。ここも見事痛快。ゲームでは数値でしか読み取れない戦闘の様子を存分に堪能するカタルシス。ノマドはニヤニヤ。
●ブラウザゲームが原案であるこの物語。ゲームに終わりがないように、彼女たちの戦いは永遠に決着がつきません。海の果てから次々とやってくるゾンビのような敵「深海棲艦」は無限に湧いて出てくる。その無限ループの謎に、ストーリーは突っ込んでアプローチします。「ゲームにゴールはないんだよな。じゃあ映画のストーリーはどこをゴールにするんだろうなー?」なんて事前に会話してたら、ゴール不在の根拠に言及するストーリーだったのです。なるほどね。

●艦これファンの一般的なみどころとしては、艦隊を組織する女の子=「艦娘」のチャラチャラした日常生活も注目です。ぶっちゃけボクもノマドもそこにあまり興味はないんですけど。武器を下ろせば、主人公たちはセーラー服をきた普通の少女ですし(海軍=セーラー、間違ってない!)、南太平洋に合宿に来てるような女子高生の他愛ない日常が描かれます。制作費ない状況をこうした要素で間をつなぐのは妥当な手段でしょう。ゲームでは「艦娘」同士の交流は全く描かれないので、ここはアニメならではの独自性を演出するチャンスでもあります。基地で夏祭りしたり、あんみつ食べたりとか、どーでもいいシチュエーションがしこたま描かれます。あと5分この日常シーンが長かったらボクは爆睡してしまったでしょう。
●しかし、このチャラチャラぶりはあるものをボクに連想させます。この作品には男性キャラが全く登場しません。ゲームプレイヤーであるところの「提督」が唯一の男性ですが、彼は常に不在なのがこのアニメのお約束です。言わば「100%女子社会」。これって、AKB48や乃木坂46の社会と同じですわな。乃木坂メンバーが公式ブログで女子同士イチャイチャとセルフィーをアップする感覚と同じだ!と思ってしまいました。
●しかも「100%女子社会」なのに、男性からの視線と評価を意識せざるを得ないという意味で、AKB&乃木坂と艦娘は同じ宿命の下にいます。恋愛を禁じられながらもアイドルたちは当然つねに男性ファンに向けた立ち振る舞いをしてますし、「艦娘」は常に物語の外にいるゲームプレイヤー「提督」の裁量で動かされます。男性から隔離されながら、間接的に男性に支配されてるのです。むー紛れもなく、現代アイドルとゲーム「艦これ」は、同時代の同じ場所に立ってるのだなと、深く納得しました。片方は歌って。片方は戦って。どちらも過酷な女子同士の競争に葛藤しながら、半べそかきながら。

●ノマドが買ったパンフレットをしげしげと読みました。女の子キャラが大勢すぎるので、一人の声優さんが3役くらい演じ分けてます。ビックリ。それと、空母や巡洋艦、駆逐艦など種類が違うキャラは、その規模に応じて身長が全然違うという形で描き分けられてます。巨艦「大和」さんと主人公の駆逐艦「吹雪」ちゃんは、仲良しながら、母娘くらいの身長差があります。細かいコダワリが面白い。

●マンガやラノベが映像作品原作として発掘されまくって、もう飽和気味の昨今。今後はゲームが映像作品の原案として注目されるんでしょうな。いやいや、複雑だわ。



●音楽。
●しばらくブログ更新怠ってましたが、数々のマイブームが日替わりで巻き起こり、30枚くらいCD&レコードを買ってました。80年代ヘビメタからオールドスクールのヒップホップ、ラヴァーズロックレゲエなどなど。
で、結局、今日はスカコア。

DANCE HALL CRASHERS「PURR」

DANCE HALL CRASHERS「BLUE PLATE SPECIAL」

DANCE HALL CRASHERS「PURR」1999年
DANCE HALL CRASHERS「BLUE PLATE SPECIAL」1995〜1999年
●バンドの名前からすると、どんだけの暴れモンだよ、と心配になるようなパンクロックと思わせといて、バンドとしてのキャリアの末期に当たるこの二枚のアルバムでは、なんだか猛烈にワキが甘いんです。結果としてその甘口具合が、気負いなくサーッと聴き流せる気分で、疲れたアタマにもラクチンです。そして明らかにポップなのです。
●このへんのアメリカ西海岸パンクとしては珍しく、というか他に例を聞かない、2人女性ボーカルをフロントに構えたバンドなのです。この女性二人が、いい感じで常にハモってメロディーを推進していく。バンドサウンドも少々ラフな構えで、殺伐としたハードコアな佇まいはありません。おまけにスカコアのエッセンスがチラチラ見え隠れするのでますますキャッチーな気分。ジャケも可愛い感じだもんね。もしかしたら PUFFY と同じ90年代感覚で聞けるかも。彼女たちはハモるから基本ユニゾンの PUFFY よりかはいい感じ。

●しかし、このバンドは結成当初はこんな雰囲気じゃなかったと思う。元来は80年代スカコアシーンの先駆 OPERATION IVY を解散させた TIM ARMSTRONG MATT FREEMAN という人物が結成したのがこのバンド。しかしこの二人はさらに別バンド RANCID を始動させ、王道のハードコアパンクの世界にガツガツと攻め込んでいきました。未聴ですが、二人が関わった最初期の音源は、それはそれはハードだったでしょう。でも二人が不在となった後の1995年にメジャーデビューした時には女性2名を前衛に置くスタイルに変貌しており、1997年にはカレッジチャートで人気者に。OPERATION IVY とも RANCID とも無縁のバンドに変わってました。


●動画は、DANCE HALL CRASHERS「MR. BLUE」、渋谷クラブクワトロ1998年での演奏。



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●最近は、風邪を引いてることもあって。
●とってもココロがササクレ立っているのでした。木枯らしに吹かれて、もうカサカサだ。

●ということで、週末は写真を見に、上野方面へ。

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「ROBERT FRANK: BOOKS AND FILMS, 1947-2016 IN TOKYO」@東京藝術大学

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●ソーシャルの流れの中で、なんとなく見つけたんだ。ロバート・フランクの写真が東京藝大で見られるとな。しかもナゼかタダで。パンフレットは投げ銭制で好きなお値段を。不思議な展示だな。だから、週末に足を運んでみた。
写真家、ロバート・フランク。もう90歳を超えた現在ではカナダのノバスコシアに移住して、隠者のような生活をしてるはずだ。もし彼の近作が見られるなら、凍てつく北国ノバスコシアの寂寞とした風景が、残雪の気配と灰色の海が、カサカサになってるボクのココロにほんのちょっとの湿度を足してくれるかもしれない。そんな期待があった。

●そしたら、この展示は少し特別なプロジェクトだった。運営する学生さんの「教育」というコンセプト。
学生さんたちが主体性を持って企画運営する展示会。ロバートの信頼を得て数十年にわたり彼の写真集の出版を手がけるゲルハルト・シュタイデルという人物が、若い世代がロバートの作品に積極的に関わりあう場面を作るため、世界50都市で学生さんと共に展示会をプロデュースしているという。とはいえシュタイデル氏はドイツ在住。コンセプトは共有しつつも基本は全て東京藝大の学生さんが全てを運営する。展示の内容や方法、展示のための設備制作、広報&宣伝、クロージングイベントの企画運営演出までを学生さんが担う。ロバートシュタイデル氏は、この展示を通して若い世代の「教育」をも射程距離に置いているようだ。
●そんな雰囲気は確かにそこかしこに感じられて。なんと写真は模造紙(いや新聞紙だった!)に印刷されてて、作品の注釈は鉛筆書きだったりする。誰の文字だか、黒ペンキでベッタリなぐり書いたステートメントがイイ味出まくり。学芸員さん風のスタッフも二十歳前後の若い人だし、英語の新聞の体裁を取ったロバートのキャリアを俯瞰する図録めいたものとか、週刊誌の体裁を取った日本語のパンフレットもナゼか愛らしい。珍しく一緒についてきたワイフが「なんだか楽しいね」とボクにささやく。確かに。
●日本語パンフレットの内容は、この展示を準備する数ヶ月の学生さんの記録だった。ロバートの写真そのものよりも、打ち合わせや様々な制作に追われる学生さんたちの生き生きとした表情の方が印象深かった。最近の美大志望者は女性が多いと聞いたが、このプロジェクトチームも女性の方が多いのかな。男子も女子も個性的なオシャレさんが多くて、なんだかキラキラ。世界的な写真家と世界的な出版人と直接コラボレートするワクワクがひしひしと伝わってくる。
●自分の学生時代のことをちょっとだけ思い出す。今となっては恥ずかしいことばかりだけど、あの頃の仲間が今はすごく立派なコトをやってて少し誇らしい気分になる。コト今週は、かつての盟友が手がけているファッション雑誌の広告が表参道駅の構内にすごく大きく掲示されてる。そのクールさにしばし立ち止まってじっくり眺めてたもんだ。

ロバートの写真展示は、いわば定番作品が中心だった。「THE AMERICANS」
ロバートの写真には、強く惹かれてた時期があった…ボクが10〜20歳代の頃かな。1950年代のアメリカの様子を赤裸々に記録したロバートの代表作「THE AMERICAN」に強くハマった。モノクロフィルムで捕らえられた、ごく普通のアメリカ人の生活。その写真は、地味で、汚くて、でも地に足ついた暮らしがソコにはあって。影響されやすいボクは、自分の生活の中に、地味で、汚くて、地に足ついた暮らしを見出そうと思って、肌身離さずカメラを持ち歩いて過ごしていた時期もあったんです。それは携帯電話にカメラが搭載される前の時代、まだデジタルカメラが登場する前の時代。35mmフィルムで勝負する時代でした。1990年代のコトだよ。
●さて、その「THE AMERICANS」収録の写真を展示の中で見つけた…ずいぶん懐かしい再会だね。ワイフもすぐに気づいたようだ。「この写真集、あなた持ってるでしょ、ワタシ見たコトあるよ」。ボクの本棚をよく観察してるんだね、まあ25年も付き合ってればそこまでバレちゃうもんか…。スカラシップを得て、ロバートは全米中をウロウロしてこれらの写真を取ったんだ。アメリカ東海岸から、大陸の奥深くに潜り込んでいく旅。第二次大戦後の混乱したヨーロッパから移民としてニューヨークに移り住んだ彼は、この国の奥行きを測るようにして写真を撮影していった…。

トランプ氏を支持したアメリカ支持しなかったアメリカ。アメリカは分断されてるのか。
●ボクはこの前の記事(こちらにリンク)で、アメリカ大統領選挙のコトを書いた。トランプ氏を拒否した青いアメリカと、トランプ氏を支持した赤いアメリカ、その二つの中身を、本を読みながら想像したもんだ。で赤いアメリカが人種差別的感情を乗り越えられなかった、みたいなコトを書いてしまった。しかし、これをボクは反省している。青いアメリカ人と赤いアメリカ人のステロタイプを描いて満足するのは、ただの単純化だ。彼らは全員が一様に「THE AMERICANS」なのだ。それぞれが多様な思考、多様な立場、多様な文化、多様な感情を抱いている。その奥深さを写真集「THE AMERICANS」でクッキリ写し取ったのが、ボクが強く惹かれたロバート・フランクその人だったんじゃないか。そこに気づいてしまった。「おまえはニッポン人だから、アベシンゾウを100%支持しているんだな」と唐突に決めつけられたらボクは困惑する。でも、そういうコトじゃないでしょう。「THE AMERICANS」はモノクロの陰影の中にその多様なグラデーションを描いている。もちろん白人がいて黒人がいる。彼らが直面していた問題もある。でもそれが全部「THE AMERICANS」


ビート詩人との交流でも知られるロバート「THE AMERICANS」の序文はジャック・ケルアックだ。今回の展示でもジャックをはじめ、アレン・ギンズバーグウイリアム・バロウズ、グレゴリー・コルソなどが写った写真がある。彼らもみんなボクのヒーローだった。
●彼らもロバートも、人生を旅だと考えてる。「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす」。禅に通じたビートニクスたちは松尾芭蕉も読んでたのかも。ジャックアレンも、あれだけドラッグにハマりながら結構長生きしたバロウズすらも今は故人だけど、ロバートの旅はカナダの果てまで流れ着きながら、まだ終わらない。そして彼の過去の作品は、いま世界50都市の若者たちの元へヒラヒラと舞い飛んでいく。もしロバートが死んだとしても、彼の作品は旅を続けるのだろう。

●実は、ロバート自身はもうほとんど写真を撮ってないらしい。カナダの写真がほとんどなかったのも、それが理由か。彼の写真のオリジナルプリントは、もはや天文学的価格で取引されるようになって、美術館ですら稀にしか展示しない。その倉庫から貸出しをするとなれば法外な保険料を払わされる。そんなマーケットの状況にウンザリして、彼はもう市場に作品を供給しないのだ。
●だから出版人・シュタイデル氏が登場する。彼はロバートの作品を新聞紙に印刷して安価に展示するという企画にたどり着いた。しかも運営は学生。そしてルールがもう一つある。展示が終わったら、新聞紙の写真は必ず破り捨てるコト。この新聞紙がアート市場に回収され、高価な値段でトレードされるのだけは許されない。シュタイデル氏曰く「腐ったようなマーケットのためには絶対に何も残さないし、彼らに利用されない」ロバートは、このコンセプトに対して、こんなコメントを。「安くて、素早くて、汚い。そうこなくっちゃ!」
●このアンチ商業主義な姿勢は、村上隆のような世界のアート市場にがぶり四つで組み合うアプローチから見れば、ある意味で甘っちょろく、グローバル市場に対抗できない虚弱なアーティストしか育たないロジックのようにも写るかも知れません。昨今のキーワードであるところの「意識高い系」なら、このプロジェクトに関わるよりも、起業や出資受入やキャピタルゲインの方に執心するんでしょうか。何が正解かわかりませんけど、ボクはこの展示で汗をかいた学生さんの方に親しみを感じます。本質的な意味で、このプロジェクトは「意識が高い」と思うから。

●東京藝大まで歩く途中の上野公園では「福島フェア」が盛大に行われていた。会津地方?の美味しそうなおソバに行列ができてた。福島のゆるキャラ大集合のステージイベントからマヌケな音楽が聞こえてくる中、噴水の縁石に座って、渋谷のパン屋さんで買ったサンドイッチをワイフと二人で食べた。こんなピクニックみたいなことをするのは、今まであったろうか?「珍しいことしてるから、写真でも撮ろうか」とワイフが言うのだが、なんとなく恥ずかしいのでスルーしてしまった。ただ、ロバートの写真を見た後では、公園でサンドイッチを食べるボクら夫婦の写真は撮っておくべきだったな、と軽く後悔したのでした。



●音楽。とりとめもなく。フランクにフォーキーに、そしてちょっぴりファンキーに。

THICKER THAN WATER

VARIOUS ARTISTS「THICKER THAN WATER」2003年
●2000年に公開された同名映画のサウンドトラック。サーファーたちのドキュメンタリーフィルムのようだが、世界各地で撮影されたサーフィンの映像を彩ったのは、JACK JOHNSON を中心としたアフターサーフなアコーステックギターサウンドたち。枯れた感じのしないふくよかなフォーキーさと、ちょっとしたファンキーなアクセントが気持ちをユッタリさせてくれる。JACKJACK の盟友 G.LOVE & THE SPECIAL SAUCE が基調を作りつつ、インド風味の KALYANJI/ANADJI、UKソウルの FINLEY QUEYE、そしてニューオリンズファンクの THE METERS などまでが収録されてる。日本人ユニット NATURAL CARAMITY「DARK WATER & STARS」のメロウサウンドが本当に甘美

「THICKER THAN WATER」って言葉が気に入ったんだ。この前、下北沢の日本茶カフェに行ったら、メニューに英語の記載があって。抹茶が「THICK」で、煎茶が「THIN」。あーそうやって言いわけるんだー。なんだか納得。映画のタイトルが「水よりも濃い」って抹茶風ってこと?…ちょっと飛躍してるか。ただモノクロになったサーファーが対峙する波は、確かにただの水より濃く重たいのだろう。モノクロ写真のもつ不思議な濃度に対して敏感になってるのは、やはりロバート作品に触れたからかな。





●今週は衝撃的なニュースがあったね。
あのドナルド・トランプ氏がアメリカの次期大統領になりました。
●この口ぶりでわかるように、ボクはヒラリーさんの方を支持してたわけです。まーそんなにヒラリーさんの政策に知識があったわけでもなし、好き嫌い程度の感覚だったかな。今年5月段階でドナルド・トランプ氏についてボクはこのブログであれこれ書いてます(→http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-1858.html)。でも、よそ様の国の選挙の結果に、今はとやかくモノをいうつもりはない。それはアメリカ国民の選択なのだから。ただ、アレコレ思うことはいっぱいある。

●NHKがすごかったね。自社アプリ「NHKニュース・防災」を特別タブを作って速報を発信してた。

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●普段のニュースが羅列されてるトップ画面の上に「米大統領選挙 開票速報中」というタブがビシッと表示されてる。
●これを押すと一目で両者の趨勢がわかる。クリントン&トランプ両氏の顔とそれぞれの得票数、獲得選挙人数、全米50州の地図と、両候補がどの州を獲得したかが、赤青のハッキリした色分けで明示されてる。画面下部の州名タイルをタップすると、その州の個別の開票状況や両者の得票数がイチイチ更新されてる。すげえ。
●なんか NHK のIT技術への気合の入れ方が最近凄まじくてビビるほどだよ。リオ五輪のネット配信中継にも驚かされたし、それに間をおかずこんな大玉施策をぶっこんできたことにも驚いた。この水曜日は会社で打ち合わせしてても、ずっとスマホはこの画面にしてたよ。
●そんでだ。結果はこの通り。

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うわー。赤いなあ。赤=共和党/トランプ候補の色が、広いなあ。
●色の偏りがスゴイな。青は東海岸と西海岸にほぼ集中してる。広い国土の真ん中はほぼ真っ赤。

ボクの知っているアメリカと、知らないアメリカがある、と思い知る。

●日本人にとってアメリカは親近感のある国だと思う。旅行だって行ったことが多いと思う。そこを念頭に置いて、ボクの渡米経験をこの赤青地図に当てはめてみよう。仕事の出張も遊びの旅行も混じってるけど、普通の日本人がよく行く場所にカブってると思う。

カリフォルニア州ロサンゼルス=ボクは5回訪問…青
カリフォルニア州サンフランシスコ=1回訪問…青
ワシントン州シアトル=1回訪問…青
ネバダ州ラスベガス=1回訪問…青
ニューヨーク州ニューヨーク=2回訪問…青
ハワイ州ホノルル=1回訪問…青
フロリダ州オーランド=1回訪問…赤

●これで判明したのは、ボクの行ったことのあるアメリカは、ほとんど青で、赤の土地は全然知らないってことだ。唯一の赤のフロリダ州だって、ディズニーワールドに行っただけだからその土地のリアルはわからん。しかもフロリダは赤青どっちに触れるかわからない接戦州なんだよね。今回たまたま赤だったのかも。前回2012年選挙は青のオバマ支持だった。あとよく聞く都会の名前といえばシカゴだけど、あの街はイリノイ州で中西部に位置しながら、今回は離れ小島のように青の選択をした土地にある。
●アメリカから流れてくる情報/文化は、ロサンゼルス/ハリウッドの映画や、ニューヨークに拠点をおく3大ネットワークのテレビ局が軸だよね。よく紹介される新聞もニューヨークタイムズやロサンゼルスタイムズで、あくまで青いアメリカのローカル新聞だ。フィナンシャルタイムズは性質が違うけどアレもやっぱりニューヨーク/ウォール街発信でしょ。アメリカ発のITサービス(GOOGLE、FACEBOOK、TWITTERなどなど)も全部カルフォルニア州シリコンバレーが拠点だね。全部青のアメリカからやってくる。例外?そうだなー CNN の本社は赤のジョージア州アトランタか。でもあそこはリベラル系で知られるニュース専門局だ。
ボクは、そしてボクら日本人は、この赤い色のアメリカを知らないんだ。


●この赤のアメリカ青のアメリカを、ボクの好きなドラマ「GLEE」で考えてみる。

「GLEE THE MUSIC, SEASON 4 VOLUME 1」

SOUNDTRACK「GLEE: THE MUSIC, SEASON 4 VOLUME 1」2012年
●FOXチャンネルが提供する青春テレビドラマ「GLEE」は、アメフトのスター選手やチアリーダー、車椅子のメガネ、ゴス好きなアジア系女子、おデブな黒人、ちんくしゃなユダヤ系ヒロイン、ゲイのイケメンカップルなどなど、スクールカーストの各階層を担うキャラたちが、いつしかグリークラブの活動と音楽を通じて友情と絆を育む物語だ。ギョッとするようなドキツイ罵り合いにビックリしたりもするが、アメリカの文化的人種的多様性が摩擦を超えて調和をなす過程に感動する内容だ。貧困家庭の白人男子や、トランプさんの嫌いなメキシコ系、そしてゲイ/レズビアン、ダウン症障害を持つ子までを生き生きとしたキャラで描く様子にすごくのめり込んで、こんなサントラを10枚くらい買ってしまった。

●で今回はジャケにご注目。「FROM LIMA TO NEW YORK」って文字が看板に書かれてるでしょ。ドラマシーズン4では主要キャラは高校を卒業し、それぞれの夢を勝ち得るためにニューヨークへ移住。下級生は本来の舞台であるオハイオ州の架空の街ライマで相変わらずのグリー活動。そんな二重構造を持つカタチになってる。このオハイオ州とニューヨークの距離感に着眼したい。
●今回の選挙報道で初めて知ったことなんだけど、「オハイオ州を獲った者で大統領にならなかった候補はいない」というジンクスがあるそうな。オハイオ州は、人種別の人口構成比が全米平均と一緒「アメリカの縮図」とも言われる土地なんですって。そして赤か青かいつもブレる「スウィングステイト」でも知られる(今回は赤、前回は青)。ドラマ演出家は、そんな背景を知っててオハイオをドラマの舞台に選んだのか?アメリカの縮図を暗示させてその多様性の共存を描くとは、お見事なコンセプトだ。
●ドラマシーズン1でこんなセリフがある。うろ覚えだけど許してね。「俺たちは高校を卒業してもほとんどがこの町から出られない。6割がこの町に残って、州の外に出るヤツなんて学年で2〜3人だ。そしてオッさんになっても同じ町の中で昔はよかったと言い続けるんだ。」そんな自分の将来が見えてしまっているから、アメフト選手は弱者をいじめる。自分の人生の全盛期がたった今しかない、この後は何もないとわかっているから、スポーツでチヤホヤされるその短い時間を存分に楽しみ傲慢に振る舞う。スクールカーストの裏側には、スクール後の人生が真っ暗だという事実があるのだ。
●このセリフにボクはすごく驚いた。そもそもで、オハイオ州って一応中西部ってことになってるんだけど、ニューヨークからすごく遠いってわけでもないんだよ。多分、東京〜大阪とそんなに変わらないはずなんだけど。でも、そこに出て行くことがそんなに難しいなんて。いわゆる赤いアメリカから青いアメリカに移り住むことには、アメリカ人にとっても大きな隔たりがあることがココでハッキリとわかる。これが赤いアメリカと青いアメリカのギャップであり、温度差であり、もしかしたら格差にもなってるのかもしれない。

●このCDでは BILLY JOEL の名曲「NEW YORK STATE OF MIND」がヒロイン・レイチェルによってカバーされてる。生粋のニューヨーカー BILLY は歌う。「休暇には地元を離れるヤツもいる。マイアミビーチやハリウッドに飛ぶとかさ。でも僕はハドソン川沿いのグレイハウンドに乗りながら、心はいつもニューヨークにあるんだ」この歌好きだけど、改めて聴くと、青いアメリカは、青いアメリカにしか眼中にありませんって内容だな。マイアミもハリウッドも青いアメリカぽいしな。今回のニュースで、赤いアメリカの白人労働者階級に反感を買ったのは、メキシコ移民と有色人種とイスラム教徒に加えて、ユダヤ系も入っていたね。BILLY JOEL もドラマのヒロイン・レイチェルもユダヤ系なんだよね。その意味では、このドラマも、あくまで青いアメリカの視点から、または赤いアメリカから2〜3人だけ州の外に出る一部のエリートの視点で描かれているんだろうな。


●それでは、アメリカの赤い部分でどんなことが起きてるか、考えてみよう。

町山智浩「アメリカ格差ウォーズ」

町山智浩「99%対1% アメリカ格差ウォーズ」2012年
●さて、こちらは映画評論家・町山智浩さんのアメリカ社会に関するコラム集だ。アメリカ在住の町山さんが、日本人が抱くような「自由の国・アメリカ」のイメージをことごとくゲンナリ立ち枯れさせる辛口コラムは以前から定評。その町山さんが、一回前の選挙、2012年の民主党/オバマさんと共和党/ミット・ロムニー候補が戦った時期に書いたモノを束ねた本がコレ。下北沢の古本屋で100円だった。
●2008年「YES, WE CAN」でスタートしたオバマ政権は、一期目の段階でアレコレ言われてすでに結構なピンチだった。結局この時の選挙はオバマさんが二期目の政権を維持することができたが、様々な反動的運動が蠢き出していたコトを色々と報告してくれている。その延長で、共和党本道すら面食らった「トランプ旋風」が起こったのだろう。

●ボクの大好きな「GLEE」やみんな大好き「ウォーキングデッド」を提供している FOXチャンネルは、報道部門の FOXニュースとなると、バリバリの保守路線だ。そしてそのバリバリの保守路線が受けて、今やCNNニュースを上回る人気を集めてるそうな。日本では「放送法」の規制で放送メディアは不偏不党の報道を義務付けられてるが、実はアメリカには不偏不党の報道原則がない。1987年にわざわざ撤廃してしまったのだ。だからニュースキャスターは堂々と一定の政治家に偏った支持をするし、メディア企業のオーナーは献金先の政党を支持しないキャスターを平気で解雇する。
FOXニュースの無茶苦茶ぶりはこの本に懇切丁寧に説明されてる。同局の大人気ホスト、グレン・ベックは暴言のし放題だ。「オバマは白人文化を憎んでいる。人種差別主義者だ!」「アメリカはリベラルという社会主義者に乗っ取られる!」「マイケル・ムーアを殺そうと思ってる」保守系の集会が盛り上がっているように見せるため、過去の映像を作為的に編集で入れ込むことも。日本でこんなことやったら大炎上だよ!…いや、アメリカでもFOXしかしないみたいだね。

●でもコレを支持する人たちがいる。草の根保守「ティーパーティ」の運動家&支持者たちだ。彼らとなるともっと過激だ。「我々は共和党の穏健派にも銃を向けてやる」「ホワイトハウスにアフリカ人が忍び込んでいる」「貧困層の子供の給食費を州が援助するのは中止すべきだ」「国民皆保険(オバマケア)は共産主義への第一歩」「保険改革に投票した連中の事務所にレンガを投げ込め」「累進課税制度に反対」
●国民皆保険を目指すオバマケアへの反発と、最後の累進課税反対ってのは、日本人、少なくともボクの感覚では理解し難い。日本国憲法には「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とハッキリ書いてある。それに伴い社会福祉制度が整備されてる。しかしアメリカの憲法にはそれがない。アメリカの「ワイルドな自由」はあくまで「自助努力」。保険に入るも入らないも個人の自由で、政府に強要されるものじゃない。課税も平等に。貧乏人からも金持ちからも同じ額だけ税金をとれ。もし自分がアメリカン・ドリームで成功した時に、貧乏人に税金を掠め取られるのは納得がいかない。これが彼らの常識なのだ。
●そして根源的な部分で、人種差別的感情が作用している。まわりくどいロジックを並べているようでいて、白人社会は自分たちを押しのけて有色マイノリティが社会の中心で活躍することを認められないのだ「オバマ大統領はケニア生まれである」という主張を掲げるグループもいた。アメリカでは外国での出生者は大統領になれないのだ。もちろん彼はハワイ生まれで、後にそれは証明される。対立候補だったロムニー氏が中米パナマの米軍基地生まれであることなど誰も問題にしなかったのに。オバマさんが黒人だからこんなことが取り沙汰される。当時トランプさんはこの「オバマ・ケニア生まれ」論者の一人だったんだけどね。

●今回の「トランプ旋風」では、国外からの移民と雇用を奪い合う低学歴低収入者が、情弱のあまりSNSでの議論にも触れずにテレビでよく見るトランプ氏の移民排斥メッセージに反応したとされている。ただそれだけとも言えない気がする。
●町山さんの取材によると、ティーパーティ集会の参加者はほぼ100%白人。集会参加のために結構な大金を払ってたりもしてる。つまり、すでに民間保険に加入しており、累進課税で損をしたくない中産階級がメインなのだろう。オバマ路線とは利害が相反するグループでもあるが、新しい移民やマイノリティに既得権益を奪われたくない人々でもある。それが口に出せない感情だとわかっていても人種差別的思想に傾く感情がある。ティーパーティ活動家は堂々とトランプ支持をしただろうが、そこまで行けないけどモヤモヤを抱えていた白人中産階級もトランプに流れたような気がする。これがいわゆる「隠れトランプ支持者」になったのではないだろうか。SNS情弱というのも眉唾だトランプ氏は巧妙に twitter を駆使し広告費ゼロで万民に暴言炎上アピールを行ったし、その支持者たちはその twitter を舞台に匿名の暴言拡大再生産が行ったと思われる。

トランプさんは、選挙演説で何回も叫んでいた。「MAKE AMERICA GREAT AGAIN ! もう一度アメリカを偉大に!」。…実は冷静に考えると不思議なセリフだ。「もう一度」って?いつアメリカが没落した?依然として世界第1位の経済大国じゃないか。「アメリカ」が没落したのではない、「アメリカ白人」が没落した、または没落しかかっているのだ。このまま行けば2050年に白人は人口比率で50%を下回る。有能なマイノリティがどんどん白人の頭を乗り越えていく。そこに我慢ならない感情が選挙を動かした…。


●もう一つ、素朴な疑問がある。投票率だ。
●アメリカの人口ってのは、ウィキでサクッと調べると約3億1700万人いる(2013年)。で、この記事冒頭の画像に貼った両候補の得票数を見てみる。ヒラリー:5775万票。トランプ:5821万票。まだ全部が開票されてない段階とは言え、2候補合わせて1億2000万票いかないって、数が少なすぎる気がするんだけど。こんなに注目された選挙なのに、これどうなってるの?
●当日の報道じゃ投票率がまだ見えてなかった模様だけど、この記事(こちらからリンク)によると「48.62%」しかなかったらしい。この記事によると、トランプさんが爆発的に票を獲ったのではなく、ヒラリーさんが想像以上に票を取れなかったとのこと。投票率の低さがヒラリーさんに悪影響したようだ。うーん、制度の仕組みにもアレコレあるのかもしれないけど、今回は誰もが選挙戦にウンザリして投票に行く足が鈍ってしまったようだ。


●さて、音楽の話を。LADY GAGA。
青いアメリカの成功者が、ヒラリー支援を表明していたね。

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●選挙戦の最終盤、民主党会場に登壇してヒラリー投票を叫んでた LADY GAGA。トランプ氏当確の後には、わざわざトランプタワーの前に出張って、プラカードを掲げてたね。「LOVE TRUMPS HATE」。最初、トランプ氏を揶揄する表現かと思ったんだけど、「TRUMP」という動詞の本来の意味を使って、「愛は憎悪に打ち勝つ」と主張してたそうな。ヒラリー陣営のスローガンだそうだが、個性の多様性を大切にしてきた彼女らしい表現でもあると思う。
●だから、彼女の音楽を聴く。

TONY BENNETT LADY GAGA「CHEEK TO CHEEK」

TONY BENNETT & LADY GAGA「CHEEK TO CHEEK」2014年
●11月7日にはヒラリーの応援のために支援者集会でパフォーマンスをして彼女への投票を呼びかけた LADY GAGA。そんな GAGA はその前の週は日本に滞在してニューアルバムのプロモーションをしてたんです。で、朝の情報番組「スッキリ」に出演してたのね。来日のたび律儀に「スッキリ」に出演する GAGA は、いつもこの番組だけのエクスクルーシブなピアノだけのアコースティックパフォーマンスを披露する。今回の新曲「PERFECT ILLUSION」は当然いつも通りのダンスポップなんだけど、この生出演時は、同じ曲とは思えない斬新なアレンジのピアノ歌唱が実に良かった。歌がエモーショナルで上手い。この人は奇矯な衣装やパフォーマンスで注目されてきたけど、作曲家やシンガーとしてはとてもオーセンティックな人なのかもしれない。素朴にそう感じた。
●ということで、最新アルバムじゃなくてその一枚前の作品、85歳の大御所シンガー TONY BENNETT とのデュエットアルバムである本作を聴く。スタンダードジャズやミュージカルナンバーをオーセンティックなスタイルで現役屈指のベテランと歌うというコンセプト。ここでの GAGA の表情がとてもイイ感じなのだ。芸歴60年にしてセクシーな色艶が鮮やかな TONY の歌唱、そしてオーガニックでビンテージなビッグバンドジャズサウンドが、とてもエレガントかつスウィンギー。
「IT DON'T MEAN A THING (IF IT AIN'T GOT THAT SWING)」邦題「スウィングしなけりゃ意味がない」 DUKE ELLINGTON 1932年のジャズスタンダード。その絶妙なスウィング感と「デュワ!デュワ!デュワ!デュワ!デュワ!デュワ!デュワーッ!」というシンガー二人のスキャットがオシャレ。娘ヒヨコが楽しくなっちゃって試験勉強ができないと、ワイフからボクが怒られた。

LADY GAGA「ARTPOP」

LADY GAGA「ARTPOP」2013年
●その前のアルバムも聴きっぱなしにしてたので報告を。ZEDD のような EDM クリエイターをプロデューサーに招いて、ダンスビートの筋骨強化を一層推進した感があったアルバム。EDM はこの頃の時代のサウンドだよね。今調べてて知ったけど、ZEDD ってアメリカで活躍してるけど、生まれはソ連時代のロシアなんだーへー。他にもイスラエルやフランスの若手ビートメイカーも抜擢してる。あ、DAVID GUETTA WILL.I.AM までクレジットされてるよ。彼らとはエレクトロディスコな「FASHION!」という曲をやってる。T.I. TOO SHORTTWISTA のようなラッパーを召喚してサウスマナーな低速トラップビートで粘る「JEWEL N' DRUGS」もナニゲに新境地を感じさせる聴きどころ。意外なところでは、RICK RUBIN とピアノ弾き語りを主体にした楽曲を制作。
●ただ、この人の音楽を一番最初に知った時からの印象は基本的に変わらない。アレンジに時代時代のギミックをシッカリ盛り込んでも、この人の描くメロディは MADONNA 直系のダンスポップで、80年代のテイストすら感じさせる素直なスタイルだ。それはどんなにアレンジが変わっても芯にあるメロディで説得力を生み出す力があるということ。新作は MARK RONSON と組んでるらしいから、そっちも楽しみだな。
●あ、ジャケの GAGA っぽいキャラは、芸術家 JEFF KOONS の彫刻でした。

LADY GAGA「THE FAME MONSTER」

LADY GAGA「THE FAME MONSTER」2009年
●ボクはデビューアルバム「THE FAME」をリアタイで聴きながらも、その瞬間にはまだ彼女のエキセントリックな自己演出に気づけなかった。その後にジワリ遅れた格好で、その過激なミュージックビデオや奇妙なKAWAII趣味を察知して半ば後追いでシッカリ聴く姿勢になった。だから「THE FAME」と大ヒット作「BORN THIS WAY」の間にハマったこの中途半端なアルバム(8曲しか収録されてないし、「THE FAME」と束ねた二枚組という売り方にも戸惑いがあった)は、最近までボクのコレクションには存在してなかった。つい先月ディスクユニオンの激安ワゴンで買ったよ。
●とはいえ、彼女のキャリアには欠かせない代表曲がここに収録されてる「BAD ROMANCE」と、BEYONCE と共演した「TELEPHONE」だ。とにかく「TELEPHONE」のMVはビビったな。サングラスの全面に火のついたタバコを何本も貼り付けてオシャレにしてるんだもん。パンクなアティチュードをあんなアホな表現で的確に示す彼女のセンスは最高!ここでボクは彼女の存在を本格的に見直した。本物だ!
●2009年段階ともなると大分昔に聴こえるな。EDM 化した2013年 GAGA と比較すると、ローテンポのダンスポップをモロッコ系北欧人 REDONE のプロデュースで鳴らしてた彼女は初々しく思えるな。「TELEPHONE」のプロデュースは、RODNEY JERKINS だったんだね。速いビートものはフレンチハウスの SPACE COWBOY が担当か。
●このへんの曲、当時はまだ小学校に上がるか上がらないかのヒヨコがシッカリ覚えちゃってた。海外旅行のホテルでラウンジバージョンにアレンジされたBGMとして「BAD ROMANCE」が流れた瞬間「これガガさんの歌じゃない?」って言い出して驚いた。お前よく気づいたな…ボーカルもない状態でよく理解できるな…。ヒヨコは耳の感覚だけは異常に優れてる。絶対音感とは違うんだけど、外国語の発音を即座に真似するとかが得意。メロディもうまく把握する。カラオケもうまい。でもただそれだけで、本人にそれを生かして何かをしようというつもりは一ミリもない。


●また誰も読まないメンドくさい話になったよ。
●なんか、動画をつけとこうかな。
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●風邪をひいてすっかり元気を失った。
●イジケモノのように週末を過ごした。
●タバコも無事ヤメられたよ。


●のんびりできる優しい音楽を選んだよ。

LUNA「BEWITCHED」

LUNA「PENTHOUSE」

LUNA「BEWITCHED」1994年
LUNA「PENTHOUSE」1995年
●90年代に活躍したニューヨークのバンド。GALAXY 500 というバンドが解散して、その中心人物 DEAN WEARHAM という男がその後に組織したのがこの LUNAGALAXY 500 LUNA も、THE VELVET UNDERGROUND甘く優しくドリーミーな気分を、そのワンポイントだけ抽出して拡大再生産したような音楽を鳴らす。
LOU REED が率いた THE VELVET UNDERGROUND は、ドラッグ体験を再現するようなノイズサウンドから、激しくドライブするロックンロール、アヴァンギャルドな実験音楽までを網羅したバンドだったけど、カワイらしい繊細な曲もたくさん残した「SUNDAY MORNING」「CANDY SAYS」「I'LL BE YOUR MIRROR」といった曲がそのタイプになる。で、この LUNAシンプルなトリオ体制で、この路線の楽曲だけを少しだけサイケがかった甘美な音響で、優しく歌うのだ。
●ふとんに潜って、風邪薬に含まれる眠気成分にウットリしながら、この音楽を聴いてると本当に優しい気分になれる。正直、ロックバンドのカタルシスは1ミリも得られない。フワフワしてただ退屈なだけだ。でも弱ったカラダには、このくらいがちょうどいい。リズムも落ち着いて優しい。ボーカルは貧弱だね。いいねこの弱腰な感じ。
「BEWITCHED」はセカンドアルバムで、彼らが注目を浴びるキッカケになった作品。なんと一部の曲で THE VELVET UNDERGROUND のギター STERLING MORRISON が参加してる!本家降臨!「PENTHOUSE」はサードアルバム。こちらはニューヨークパンク TELEVISION のギター TOM VERLAINE が一部で参加。THE VELVET UNDERGROUND のベーシスト兼アバンギャルド方面の総監督 JOHN CALE のプロデュースで TELEVISION は世に出たわけで。アレコレでニューヨークの地下人脈が繋がっているぞ。



ヒヨコと「丸」を楽しむ。
●NHK大河「真田丸」を、ヒヨコとボクは「丸」と呼んでいる。録画しないできっちりテレビの前でリアタイ視聴。ヒヨコ、そろそろ「丸」の時間だぞ、宿題は終わったか。今週はとうとうそのタイトルであるところの「真田丸」が登場した。大阪城に隣接するように作られた要塞だ。WIIのゲーム「戦国無双」にも「真田丸」は登場するもんね。実際にはどこにあったのかハッキリしないというのは最近知ったけど。

信長協奏曲13

「真田丸」を通じて戦国時代を楽しむヒヨコ。
●ヒヨコが今読み返しているのはマンガ「信長協奏曲」。小栗旬くんのドラマ&映画はよく知らんが、ヒヨコはこれで戦国時代を復習中。ドラマ「真田丸」では第1週目で「本能寺の変」が描かれるので、「信長協奏曲」同じ戦国時代でもジェネレーションが違う。まるで「真田丸」世界の住人の青春時代を見てるようだね。徳川家康はノンビリした温厚な青年だし、羽柴秀吉は野心をひた隠す忍び上がりの曲者ときた。本多忠勝は顔が怖い乱暴者…「真田丸」では幸村の兄・信幸の舅になってしまうんだけど。

●ボクも負けずにこの時代の読書をしている。

「図説 前田利家」

図説前田利家編纂委員会「図説 前田利家」
●去年の夏休みに金沢〜白川郷へ旅行した時に購入した本。「加賀百万石」の基礎を作った男のこと、名前は知っててもその人物については知識ゼロだったもんで。発売は北國新聞社、発行は利家を祭神として祀る尾山神社、買ったのは金沢のダウンタウン香林坊〜片町エリアに大きな店舗を構える書店・うつのみやこういう郷土史系の本は、現場でないとなかなか出会えない。旅行に行けば地元のレコ屋を探すのがボクの習慣だが、書店で地元出版社が出してる本を物色するのもこれまた重要な決まりゴト。

前田利家は、世代で言えば豊臣秀吉と同い年。織田信長の小姓として仕え、秀吉とともに信長の覇業を最も近い場所で仕え支えていた。本能寺の変以降は、柴田勝家に仕えるものの、賤ヶ岳の戦い以降は豊臣秀吉に仕えて彼の天下統一を支援。最晩年の秀吉からは、後継者・秀頼の後見を託されるほど、強い信頼を得ていた。五大老として肩を並べていた家康とは、結果激しいライバル関係となるが、しかし年齢には勝てず、多くの懸念を残しながら1599年死去。「真田丸」では昔気質のヨボヨボオジイさんという程度の描かれ方しかしなかったな。ヒヨコも覚えてなかったほど。しかし、ここから家康の猛攻が始まり、天下は徳川氏のものとなる。

「信長協奏曲」前田利家は、織田信長の小姓から立身した若者。「うつけもの」として名を鳴らした18歳の信長に15歳の頃から仕えている。古参中の古参兵、腹心中の腹心だ。長身の無邪気(というか天然?)な好青年として描かれてて、なんだか好感を持ってた。
●幼名は「犬千代」。だからマンガでは「わん!」とか言わされちゃってる。その一方で槍の達人、腕っ節も強い。信長のお気に入りになったのは、利家自身もかぶき者だったからと言われてる。かぶぎが過ぎて仲間を斬り殺し、信長を怒らせて数年浪人したほど。許してもらうために単身で戦に乗り込み敵将の首をいくつも取ってきた話もある。桶狭間ですら一人で参戦、首を2つ取ってきたそうな。

前田利家/信長協奏曲

●さて、勢力を拡大してたちまち天下を掌中にしようとする織田信長は、仏教勢力と激しく対立した。「比叡山の焼き討ち」なんて有名なエピソードもあるしね。特に手強い敵となったのが本願寺一派とそれに先導された一向一揆。加賀はこの一向一揆の一大拠点。このカルト組織との戦いで武功を挙げて、前田利家は能登に領地を与えられることになる。ここから北陸と前田家の深い縁が始まる。利家と長男・利長らが、戦国の荒波を乗り越えながら越中〜能登〜加賀を豊かな国に育て上げるのだ。
●やんちゃなかぶき者はあくまで若い頃の利家で、成熟した武将としての利家経済感覚に明るい堅実な人物。なんと当時日本に輸入されたばかりのソロバンを常に持ち歩き使いこなしていたらしい。この利家愛用のソロバンは現存する日本最古のソロバンらしい。今で言えば海外から持ち込まれた最新型コンピューターを、当時50歳前後だった利家が進んで使いこなしてたって感じ。朝鮮出兵をはじめ様々な戦争の局面で、経済感覚に聡く物資や兵員の調達に長けた利家秀吉は随分と重用していたとな。さらには、茶人として、能楽の支援者として、新興文化のパトロンとしても活躍してたようですわ。現在の加賀・金沢の繁栄は彼の功績なんだろうね。
●しかし、江戸幕府治世の中で、外様大名になってしまった前田家には苦難が待ち構えていた。幕府の方針は大名の力を削り取ること。しかし利家の遺児たちは様々な方策を練ってこの国を守った。兼六園を隣に備える金沢城ですら、対徳川戦を想定して作られた要塞だった。利家の第二世代以降は、外交的妥協を図りバランスを取ったりして徳川幕府をうまく牽制し、加賀藩の存続を第一に考えていく。「戦争を知っている世代」のリアリスト的立ち振る舞いがヒリヒリする。

●さて、この本を発行した尾山神社というところ。珍しいことに、神社なのにステンドグラスを備えた窓がある。現地での旅行ではちゃんと見学できなかったのだが、タクシーでその前を通り過ぎた時には確かに不思議な窓があった。タクシーの運転手さんに尋ねたところ「昔は灯台の役割を果たしてた」とのこと。え?そのわりには海から遠いんじゃないか?昔は遮るものなんてなかったから、城山に近いあの場所が遠くから見えたそうな、と運転手さんは答えた。

「加賀百万石異聞高山右近」

北國新聞社編「加賀百万石異聞 高山右近」
●キリシタン大名として知られる、高山右近も加賀に縁深い武将だ。彼は秀吉のキリシタン禁止令にも屈することなく信仰を守り、その大名の立場を追われた。その時に、前田利家は彼を客人として招いたとな。そして26年間も金沢で暮らすこととなる。利家死後、家康の本格的なキリシタン禁止令に対して前田家に迷惑はかけられないと出頭。そのまま一族は長崎に連行されて、国外追放にされてしまった。一ヶ月の漂流を経て到着したのはフィリピンのマニラ。そのまま高熱を発して40日後に死去。奇しくも大坂夏の陣真田幸村が戦死するのと同じ1615年のことだった。


●日本人は戦国時代が好きだなあ。平和な時代はドラマにならないのかな。
●ボクは大河ドラマ「真田丸」と、石井あゆみ「信長協奏曲」山田芳裕「へうげもの」宮下英樹「センゴク権兵衛」の3つのマンガで、同時平行で戦国時代を楽しんでいる。「村上海賊の娘」も追加してみようかな。様々な武将を、様々な作家が自由な解釈で描いている。その比較をするだけでも楽しいかも。それ以前に、実際の人物についても勉強しないといけないけどね。