日本レコード大賞で、過去の映像を出して日本の歌謡史を振り返る場面があって。
●そこでチラリ登場してたのが、シブがき隊
●娘ヒヨコ中学2年が、「シブがき?なんかの罰ゲーム?」とポツリ。
●そうだよなー。「シブがき」はおかしいよなー。笑えるよなー。
●時として、普通じゃないモノが、普通のコトとして社会に流布する瞬間ってあるよね。
●または、社会がその普通じゃないモノに、すぐに慣れていっちゃう瞬間。
●今年はそれがピコ太郎「PPAP」なんだろうか?社会も本人もこれが瞬間的に飽きられることを承知してるから、もう一枚乗っかって面白いけど。広告タイアップとかでお金儲けする段階が、旬を逸した時差感で痛く見えると思う。
●まーこうした笑えるモノならいいけど、危険なモノだと怖い。戦争が起こる時ってそんな瞬間かも。

「演歌」という市場は、どのくらいのニーズがあるんだろう?レコ大や紅白でのみ思い出すレベル。
●立派な日本のローカルミュージックだけど、全然チェックできない。ボクの親ですら聴かない世界だもんな。
●しかし、城之内早苗さんの登場には関心しちゃった。彼女、80年代おニャン子クラブメンバーだよ。おニャン子の活動中からグループ内ソロ活動として演歌デビュー。そしてその世界に今だ現役として活躍してる。おニャン子時代の当時、ボクはこの人のコトを秋元康の気まぐれと悪ノリで演歌をムチャブリされた気の毒な女子だと思ってたんだけど、本当はそうじゃなかった。元来から民謡や三味線にルーツがある人で、望んで演歌の道に入ったんだね。現代の AKB グループの女の子たちも、今の活動の中から一生のキャリアを見つけて息の長い活動を続けられるようになったらいいね。
●あー元 AKB の川栄李奈ちゃんは、気になるね。AKB の名前と関係ないスゲー地味役で女優業の実績を積み上げてる。NHK「とと姉ちゃん」の存在感ゼロな脇役娘さんとか、映画「デスノート LIGHT UP THE NEW WORLD」の瞬間的に始末されるデスノート殺人鬼とか、テレ東「勇者ヨシヒコと導かれし七人」の単発ゲストとか、あれ?ってトコロで見かける。舞台「AZUMI」での主演もすごく評判だって聞いた。特別カワイいと思ったことはないけど、素朴に頑張ってほしいなと思う。


えーと、台北ツアーから帰国しました。あー楽しかった。
「おもてなし」ってのは日本の専売特許じゃないね。なんだかしっかり台湾に「おもてなし」されちゃったよ。
●近年はモロッコとかメキシコとかに行ってるから、そもそも先方が日本語をしゃべってくれる経験がまず新鮮。

●実はホテルの予約が二重になってて、2倍の料金が請求されるトラブルが旅行初日にあった。しかしフロントの丁寧な日本語対応で即座に解決できた。ヘマをしたのは日本の代理店で、フロントはサッとその代理店へ国際電話をかけてくれた。事後処理の担当者引継ぎも完璧だった。
デパ地下の小籠包屋さん「鼎泰豊」は、店員さんが接客の100%を日本語でこなす。ここは乗合タクシーで同席した日本人のお兄さんから教えてもらったオススメだったのだけど、なるほど日本人客で行列ができるのも理解できる。
●そのデパート「新光三越」でワイフがお土産袋を一つ忘れてしまった。帰国時に問合せメールをしてみたら、丁寧にも日本語で返信があった。忘れ物は見つからなかったけど、メールの文末には「好いお年をお過ごしくださいませ」。「好いお年」という言葉選びで、このメールの書き手が現地の人ということがわかる。うわーボクの仕事場は中国からの中国語の問合せに中国語で対応できるかな?「新光三越」は日系だから当然?いや、現地資本が50%超えてます。
ここ20年で成長してきた台北の地下鉄(MRT)も清潔で快適。東京でも徐々に普及しつつあるホームドアが100%完備。それとプラットフォームやエスカレーターの幅がすごく大きい!そしてみんな秩序正しく整列して電車を待ってる。それに比べると東京は狭くて危ないよ…古い水準の設計に拡張の余地がないんだろうな。

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●この写真はMRT「市政府」駅の様子。どの駅にもデフォルトでこの広いプラットフォームが確保されてる。で、エスカレーター昇るにもキチンと列を作る。飲食厳禁で罰金制度もあるとか。だからこの清潔さか。

●下の写真は、台北の玄関口、 台北桃園国際空港ターミナル。この空港も急成長してる。

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●台北のホテルで読んだニュース記事によると、今年の桃園空港利用者数は4000万人を突破するとな。
4000万人ってスゴイ数字だよ。台湾の人口って2300万人しかいないんだよ。なんで人口の二倍近い人々が通過してるんだよ。しかも成長のスピードがすごい。3年で1000万人増やしたとな。現在、第二ターミナルを拡張、2020年には第三ターミナルも一部運用を始めるそうで。
●でね、日本の空港はもうこの空港に負けちゃってるんです。AIRPORT COUNCIL INTERNATIONAL(国際空港評議会)という組織が出してるデータ(2015年12月の月間国際線利用者数ランキング=ソースへのリンク)によると、成田空港は世界15位で、桃園空港の12位に負けちゃってる。東アジア地域では香港、シンガポール、仁川、バンコク、クアラルンプールがさらに上位にランクイン。総利用者数では羽田空港が世界5位になるけど、国際線利用者じゃ全然足りてないんです。あれー観光立国とかインバウンド消費とかいってるけど周辺諸国の方が先行ってるじゃん。外国人観光客2000万人突破とか言ってるけど、日本は出遅れてるんじゃないか?
日本政府は2020年には4000万人の外国人を呼び込むと言ってるけど、そもそもで日本社会全体はこの政策に覚悟できてるのかな。日本経済活性化のためには、移民問題よりも低いハードルで向き合えるイシュー。でも、このお客さんたちを「おもてなし」しきれるのか?観光客の70%は中国韓国台湾香港の人データのソースへのリンク)。いわゆる欧米系なんてマイノリティ。銀座浅草スカイツリーでワサワサしてるこうしたアジア系観光客にウンザリなんて声もあるけど、このお客さんを3年で2倍に増やすために我々は自分が中国語や韓国語を勉強するつもりになってるのかな。ミシュラン三つ星レストランをありがたがってるけど、そのレストランの予約を全部外国人に渡す覚悟はあるのかな。台湾の人たちは日本語を勉強してるよ。高級レストランや一等観光地を日本人が専有しても応対しているよ。爆買い対策の接客要員に家電量販店がアジア系の店員さんを採用してるけど、接客を手放した瞬間でインバウンド消費の最前線マーケティングを放棄したも当然だよね。相対的にはアジア地域で日本のプレゼンスはどんどん下落していくかも。日本も伸びてるけど、各国もそれ以上に伸びてる勢いじゃん。
●とりあえず、中学3年生にして第二外国語で中国語を勉強している息子ノマドを褒めておく。しかし「オレ、コミュ障だから、ナニもしゃべれない」。確かにコイツは日本語にも難があるな。旅行の間も「謝謝」の一言も言えなかったな。


●いい加減しつこいと思うけど、台北レコ屋情報。4回目。

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「誠品敦南店」
台北市大安區敦化南路一段245號2樓
●ライフスタイル提案型の複合書店「誠品生活」の支店。MRT「忠孝敦化」駅の5番出口から、敦化南路という大通りを300メートルほど南へ。オフィスビルの中で2階〜地下2階を占めてる。数ある「誠品」系列の中でこの店が特別なのは、書店フロアが24時間営業ってこと。書店が24時間営業って、それだけの街の安全と、文化水準の高さの裏付けだよね。飲み屋さんが24時間営業なのと意味が違う。スタバもあるよ。
●という情報を鵜呑みにして、併設のCDショップも24時間営業だと思ったら、こっちは普通に1100〜2230時営業だった。だけど、店内にコーヒーが飲める小さなカフェスペースがあって、アナログ新譜の取り扱いも豊富。前の記事で紹介した大型旗艦店「誠品信義店」よりもCDショップは充実してるかも。台湾インディーズコーナーもしっかりあって、興味深い音源もキチンと買えた。とりあえず、地下アイドルものを買ってみた。そんなモンまで台湾にはあるのか!あえてヨゴレなキワモノさえもキチンと取り上げる余裕が、エスタブリッシュというだけでなく、エッジーな文化発信基地の気分を醸してるよね。
●本屋さんエリアも当然チェックしたよ。ハードなビジネス書籍や、欧米からの豪華美術本に混じって、日本のマンガ翻訳、ラノベ翻訳もありました一つだけ残念だと思うのは、これだけ日本のマンガが翻訳されてるのに、台湾人作家のマンガ作品はないのですよ。マンガという表現フォーマットが、いまだ日本のローカルカルチャーでしかないってことだよね。たくさんの国でマンガ作家が登場することで、初めてマンガはグローバルスタンダードになるんだろうな。ただ台湾産ラノベっぽいモノはちょっとだけあった…いや中身はワカランから表紙の雰囲気だけなんだけど。



30枚近く買った台湾の音源のローカルカルチャーっぷりはマジで衝撃的。レコ大も紅白もSMAP解散も全部含めて、日本のローカルミュージックが耳に入らないほど。そこは日を改めて、収穫物の報告をしたいものです。


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●すみません、また台北ツアーの話を、現地で書いてます。もう三日目。

●一応、家族4人での台北ツアーですから。
●足裏マッサージとか、夜市巡りとか、オミヤゲのごませんべい購入とかしてるんですよ。
でもね、どうしてもレコ屋巡りが止まらない。
本日は、6カ所も回ってしまいました。

「台北車站(TAIPEI MAIN STATION)」の南側にレコ屋集中地帯があったのですわ。
●台湾鐵道の拠点「台北車站」は言わば日本の東京駅のような存在で、台湾新幹線九份行きの特急に乗ったりする一大ターミナルであります。そこに地下鉄 MRT が二系統繋がっていて、そして広い広い地下街や日本の資本が入ったデパート「新光三越」がドンとあるのです。
●この重要なエリアからちょっと裏に入ると、ワリと地に足ついた小汚い雑居ビルが集まるエリアになります。本当に「新光三越」の真裏、「許昌街」という小さな通り周辺。ここに5軒のレコ屋がありました。わお。

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●これが「許昌街」。この中にレコ屋が紛れ込んでるのです。雑居ビル二階とかにね。
●せっかくですから、台北CDショップガイドの旅にお付き合いください。

●1軒目。
「光南大批發 台北許昌店」
台北市中正區許昌街40號

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●いきなりですけど、厳密に言えばココはCDショップじゃありません。ちょっと小ぶりなドン・キホーテ風なんでも屋さんです。3階に及ぶフロアには、生活用品から家電、オフィス用品まで揃ってる感じ。その1階の表側に、CD/DVD売り場がしっかり存在するわけです。ジブリやドラえもんのような日本アニメ、中国のドラマ、欧米の映画などなどがタップリ。CDも中国語、英語(西洋)、日本語、韓国語の各分野を網羅しております。まーこの辺までは当たり前で。
●ふと気づくと「WIND MUSIC」という不思議なカテゴリーがありまして。既存ポップスをインストめいた爽やかなアレンジでラウンジミュージックに仕立てたようなCDがまとまってるようです。確かに足裏マッサージの店では、BGMにオルゴール風にアレンジされた AEROSMITH「I DON'T WANNA MESS A THING」がずっと流れてたっけ。ふーん。
●そのコーナーのさらにハジッコに、台湾の少数民族の音楽がまとめられておりました。なるほどー。台湾は今や98%が漢民族が暮らす土地ですが、その漢民族渡来以前には多くの先住民族が独自の文化を育んでいました(ちょうど北海道のアイヌの人々のように)。こうした人々の音楽をきちんと記録する動きも、この国にはシッカリとあるわけです。とりあえずこの民族音楽2枚組のコンピを購入。台湾では先住民族の人々を「原住民」と呼んで、その文化の保全運動がアレコレ動いてるみたいです。

●2軒目。
「5大唱片(FIVE RECORDS)許昌店」
台北市中正區許昌街34號

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●前述の「光南大批發」のほぼお隣にあるかのようなお店です。赤い看板に「5大唱片」の文字が書かれてます。このお店は台湾全土で6店舗展開している系列店。特別大きくはないお店ですが、コンパクトに全ジャンルの音楽が収まってます。DVDは洋画から日本や韓国、中国そして台湾のコンテンツまで。CDは日本&韓国、洋楽などをキチンと押さえた上で、そして中国語系統をより細かく分類してます。ここがユニーク。
「華語音楽 MANDARIN」というカテゴリーを台湾、中国、香港でさらに分類。さらに「台湾音楽 TAIWANESE」というカテゴリーで台湾語楽曲のコーナーを独立させてました。店員の若いメガネ女子に話を聴くと、台湾語と標準的な中国語はハッキリと違うとのこと。カタコト英語だけのワリと軽いヤリトリキッカケなのに、台湾の方々は、自分たちのアイデンティティをキッチリ中国本土と区別してることを主張するのです。これは少数民族音楽がドンキみたいな店にまで並んでるのと意味が一緒でしょう。ただ、音楽の聴こえ方が二つの言語でどう違うのか?という問題は語学力不足で理解できませんでした。おまけに、台湾語楽曲の作品は、ジャケの気配から圧倒的に歌謡曲&演歌っぽい気分が濃厚で、全然若者に受けてる感じがしない。そこで一生懸命、今時の若者風女子シンガーを見つけて、必死にメガネ女子に内容確認しました。「ええ、多分ダンスミュージックです…」なんかムリヤリ言わせてる感じ。でも買うよ!

●3軒目
「大眾唱片(TACHUNG RECORDS)許昌店」
台北市中正區許昌街24-1號2F

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●こちらも雑居ビル二階のお店でした。青い階段にお店の名前が書いてあって、壁にはアーティストのポスターが。しかし、こちらは、基本がクラシック専門店。漢字で書いてあるけど、全部ヨーロッパ系のレーベルからリリースされてるクラシック音源ばっか。漢字で書いてあると中国人演奏家と思っちゃうけど、シューベルトとかベートーベンやカラヤンを漢訳してるんだよね。ポップスも多少置いてあったけど、買うものはなかったよ。ここはギブアップ。

●4軒目
「再生工場二手雑貨舗 站前店」
台北市中正區許昌街12號2F

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●ココは珍しく中古CDやアナログの取り扱いがあるようで(今までのお店はみんな新譜のみの扱い)、楽しみにしてたんだけど、ちとキツかった。雑貨も含めて色々な中古品があるんだけど、CDに関しては盤質の割に価格のメリットが薄い。日本盤も多かったんだけど、日本で買ったほうがいいかなと。アナログはお店の一番奥にドサドサと積んであったけど、カオティックすぎて手がつけられなかったです。時間をかけて全部チェックしても報いがなさそう。
●中古品の文化が社会に備わるって、物を大切に経済的効率的に使うってコトが前提だからね。CDやLPに対してそういう感情が社会全体で持てるのかどうかってのは、その国々で違うでしょうね。ただ、CD/LPは国境を超えてフェティッシュなほど中古品文化を重んじるクラスタがあるので、きっと台湾にもその手のフリークさんがいるはず。そこにコネクトできるかは、完全にボクの腕次第。

●5軒目
「佳佳唱片行(CHIA CHIA RECORDS)漢口店」
台北市漢口街1段3號B1

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●このお店だけ「許昌街」から西に1ブロック隣の「漢口街」というエリアにあります。でも、このケバケバしい看板は簡単に見つかるので、矢印に従って地下一階に降りていくだけ。前々回の記事に書きました「佳佳唱片行 中華店」と系列関係にあるお店。品揃えも規模もほぼ中華店と同じ。気になったけど買い控えた意味不明なアーティストを数枚買いました。もうこのへんになってくるとレコ屋巡りの感覚が麻痺して、ジャケの女の子がカワイイとか、そんな根拠でしかCDが選べなくなってくる。
このお店、日本語音楽をだいぶヒイキにしてくれてました。とにかくジャニーズ、特に「嵐」一文字というネーミングは中国語文化圏マーケティングを見越した戦略だったのでしょうか。漢字ばっかりのCD売り場の中で、違和感なく並んでる。そしてエイベックス系音源。白地に水色のエイベックスマークをつけたCDがドサっと並んでますわ。AAA とか安室奈美恵とか浜崎歩(あゆみ)とか大塚愛とか TRF とか。本当に売れてるのかな?AKB系もあるんだけど存在感が薄い…中華&韓国系女性シンガーの写真集サイズなゴージャスパッケージの中にあっては、ジャケ違いシングルがペラっと置いてあるだけじゃ叶わない。ぶっちゃけ現地のシンガーの方が美人さんだし。「クールジャパン」な日本のコンテンツ輸出、本当に大丈夫かなあ。
●お店のハゲご主人が THE BEATLES「イエローサブマリン」ロゴを全面にあしらったカーディガンをヨレッと着こなしてるのが印象的でした。


●さらにもう一軒。「許昌街」とは関係ない場所のお店。
そして、自主レーベルを起こして日本人とコラボしたお店。
「上揚唱片(SUNRISE RECORDS)」
台北市中山區中山北路二段77-4號

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●このポツネンとした存在感。CDショップであるオーラが感じ取れません。よしんばCDショップであることを察知できたとしても、わざわざ出向くほど期待が持てません。パッと見の印象ではね。でもね、とってもイイ話が聞けたのです。それを報告します。レコ屋巡りはだからヤメラレナイ。
●このお店、最寄りはMRT淡水象山線「雙連」駅。「台北車站」駅などから夜の観光スポット「士林夜市」へ遊びに行く時に通り過ぎるような位置。そこから徒歩3分。駅前を通る「民生西路」と台北を南北に串刺す大通り「中山北路」の交差点に面しています。看板には「古典・爵士」の文字が。これはクラシック・ジャズの意であります。

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●小さな店内は、予想通りクラシックとジャズばかりの品揃え。正直、このジャンルは欧米の録音物を買うなら日本国内の方がうまく選べるので本当ならスルーです。でも、この柔和な笑顔のお姉さんが、丁寧な英語で尋ねてくれました。「どんな音楽をお探しですか?」ボク「えーと、台湾のバンドミュージックを探してます」台湾では男女ともにソロシンガーがメインでバンド物自体がメジャーじゃありません。つまりオルタナティブな音楽を探してるとメッセージしたのです。するとお姉さん、非クラシック・非ジャズ系の少ない在庫から、他の店では見たことないような台湾インディ音源を即座に見繕ってくれて、おまけにYOUTUBEを鳴らして視聴までさせてくれたのです。あら、趣味がイイわ。
●しかも、この柔和な笑顔とイメージがかぶる、女性シンガーのバンドを選り出してくれて。いわゆるうるさいロックバンドとは一線を画すスタイルをいくつも提案してくれました。へー。30分くらいヤリトリして4枚もCD買っちゃいました。
そして、その去り際に。

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●買ったCDを入れたお店のビニールバッグに記されたマークと、同じマークをつけたCDがゾロリと並んでいるのです。ん?これはなんですか?
●お姉さん「あー、実はこのお店は創業40年の歴史があって、オーナーはお店と同じ名前の「揚」〜「SUNRISE」というレーベルを運営しているのです。これは1980〜90年代に収録された音楽。当時の日本のクラシック演奏家や作曲編曲家とコラボレートして、台湾の伝統音楽を数々レコーディングしたのです」
●ナニ?それってとても面白い話じゃないか?確かにCDのクレジットにはNHK交響楽団の名前や、ボクが知らない日本人の名前がたくさん書いてある。「この人はバイオリンのソロ演奏家です。こっちの人は台湾の四季を題材に組曲を全部作ってくれました」へー、台湾からの呼びかけに応じて、日本人の音楽家がこんなに積極的にコミットしたのか!とても素敵なことじゃないか。80〜90年代の台湾は、急速な経済成長を遂げながらも政治の民主化が進まず、国民党の軍事独裁政権の色合いが濃い時期だったはず。そこに巨額ビジネスでもなく、政治的リスクも高いのに、(失礼ですが)一介のレコード屋の亭主の働きに多くの日本人が手を貸したって事実が素敵だ。老オーナーはすでにご隠居の様子だけど、このCDはお店の一番目立つ場所に置いてある。

そしてココでも台湾人としての誇りを感じた。
●ボク「あの、これは中国の音楽なのですか、それとも…」お姉さん「いえ、これらは全て台湾の音楽です。中国のものではありません。私の好きなこのCDには1920〜30年代に作られた唱歌が収録されてます。台湾人ならCDなど必要とせず、自然と歌える曲ばかり、楽器を持てば演奏もできるでしょう」キッパリとした語り口。すごいなあ。…うーん、1920〜30年代か…。国民党政権が台湾に乗り込んでくる前の時代、つまり日本統治下の時代だ。このへんの歴史問題にどんなナイーブさがあるのかどうか、台湾の歴史に疎いボクはリアクションができずに思わずフリーズしてしまった。が、お姉さんはただ静かにCDをステレオに入れて音楽を鳴らす。それがなんとも優しい音楽で。ああ、イイなあ。コレ買います。

大陸から来た国民党独裁政権の下で、非大陸系・台湾独自の音楽を、その前の統治者である日本人と共に演奏・収録して世に出す。こんな冒険めいた挑戦を30年前に繰り広げていた老オーナーの気持ちとは、いかばかりの物であったか。簡単なことではない気がする。
そして2016年の今、その作品を、若い世代のお姉さんが、創業以来同じ場所にお店を構えたまま、そして一番イイ場所に並べて売り続けているという現状。なんか素敵な話じゃないですか?ボク、結構ジーンと来ちゃうんですけど。やっぱレコ屋巡りはヤメラレナイなあ。



●台北ツアー2日目。またホテルでブログ書いてます。
今日は、台北の街を離れて、九份(ジョウフェン)という土地を訪ねました。

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ジブリ作品「千と千尋の神隠し」のモデルでは?と言われる小さな山村であります。この建物「阿妹茶酒館」なんてズバリ「湯屋」をイメージさせるじゃないですか。ココでゆっくり美味しいウーロン茶をいただきました。

●そんなホッコリなイメージとはウラハラに。
●この九份(ジョウフェン)は、今や大量の観光客で殺人的な混雑ぶりを極めるオソロシイ場所になっておりました。

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●本来は金の採掘で知られた場所。山の斜面に細く繋がる石段やかつてのトロッコ道が、現在は超超過密オミヤゲ屋さん地帯になって、幅4メートルもないトコロに大量の観光客がドロドロとさまようだけ。本来のレトロ情緒なぞ霧散して、ただひたすら目標のない行列と、目標のない買い物を強いられる。台北に帰るためのバス停周辺はまさにカオスで、難民が救援を待つような殺伐とした状況を醸しております。お子さん連れの方はマジで気をつけて。迷子になったらもう会えない気がする。中学生であるウチの娘息子ですらヤバイと思って今日は丁寧に歩きましたよ。

実は、ボク、20年前にこの場所に来てるんです。20年前の印象からの変貌ぶりが激しすぎる。
●1996年2月。就職する直前の卒業旅行で、ボクは台北に一週間ほど滞在。その流れでこの村にも来てました。元来この土地は侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の映画「悲情城市」1989年のロケ地として知られていて、当時アジア映画にハマってたボクはわざわざこの寒村まで足を伸ばしたのですわ。2001年「千と千尋」公開前のコトです。台湾映画の巨匠として知られる侯孝賢は、当時の香港や北京の監督たちに比べても、恐ろしく地味な作風。代表作である「悲情城市」日本統治時代最末期の台湾をレトロ情緒たっぷりに描いたクラシカルな映画で、小津安二郎チックな空気感が爆睡の誘惑すら醸す傑作であります。
●鉄道と路線バスを乗り継いで訪れた当時の九份は、静かで本当にナンもない場所。伝統的で素朴な家屋がただ斜面に張り付くだけで、自動車なんて入れない細い道におじいさんや野良犬が小雨がパラパラと降る中を歩いてるだけ。外国人どころか観光客もほとんどいない。古い建物をリノベーションして趣味のイイお店にしてるトコロを見つけて、あーあの映画を見てこの場所に注目する人もいるんだーなんて考えてたものです。ケバケバしい赤提灯もこんなにたくさんはぶら下がってなかったし。あてどなく1〜2時間散歩して、お茶を一杯だけ飲んで、またスカスカの路線バスに乗って、東シナ海に面した港町・基隆に移動しました。台北のパワフルさとは異質のノンビリした時間の流れ方。侯孝賢監督はそんな空気を掴みたくてこの土地に注目したのでしょう。来てよかったなー。そんな昔の思い出。
しかし20年も経つと、状況はこうもガラリと変わるのか。地元は確かに経済的には潤ってるはずで結構なコトでしょうけど。侯孝賢映画のタイトル「悲情城市」「戯夢人生」の名を持つカフェは確かにボクも気になった。でも村の入り口にはファミリーマートセブンイレブンがドスンと居座っていて、いろは坂みたいにクネクネ曲がるバス通りはタクシーで大渋滞。運転手とトラブった日本人旅行者に出会いました…しかも2組も。

●日も暮れて帰路につく前、大行列をなす公衆トイレでワイフを待ってた瞬間、小さな石階段が脇道に繋がってることに気づきました。そこを十数メートル進んでみたら、ああ、20年前の静かな九份が、しっかり残ってました。静かに斜面にへばり付く簡素な家々と小さな小道たち。そっか、ボク自身がガイドブックの地図に引きずられすぎて、極端な場所にしか足を運べなかったのか…。コドモたちにはこの風景をシッカリ見せておきました。「湯屋」のモデルやオミヤゲ屋だけじゃない、普通の生活の風景。宮崎駿だって、きっとそんな景色に魅せられてアニメを作ったはずなのだから。

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娘ヒヨコは、全部ひっくるめてスゴく楽しんでくれたようなので、わざわざ連れてきた立場としては十分満足。ちょっと疲れたけど、台北のデパ地下で小籠包やギョーザをパクパク食べたら家族全員元気になりました。中華料理はパワー満載だね。お店の名前は「鼎泰豊」っていうトコだったけど、なんか有名なトコロなの?「餃子・宇都宮みんみん」のようなオーラだったけど。


●申し訳ないけど、昨日に続いて今日もレコ屋行ってます。

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誠品 信義店(THE ESLITE XINYI)
台北市信義區松高路11號
●台北が誇る超高層ビル「台北101」がある信義区は、高級ブランド店がひしめく超ハイソサエティなエリア。その中にライフスタイル全体を提案する書店グループ「誠品生活」の大型旗艦店があるのです。その地上6階地下2階の中身は台北最大規模の書店を軸に、BEAMSのようなアパレルから雑貨、カフェ、レストラン、ワークショップ空間まで網羅してまして、当然ながらボクの大好きなCDショップもそこにはあるのです。書店・雑貨・CDと言って、下北沢界隈のヴィレッジヴァンガードみたいなサブカルヨゴレと一緒にしてはいけません。あくまでエスタブリッシュかつクール
「誠品生活」グループは、台湾全土に数十店舗、香港や中国・蘇州にも展開してる企業で、世界的な出版不況に逆らって勢いをますます拡大してる模様。タフな美術書からハリポタ最新作、「君の名は」翻訳「你的名字」まで網羅してました。

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●で、問題のCDショップ。とってもキレイな店内には、英語(西洋)、中国語、日本語に加えて韓国語音源も網羅。特に嬉しいのが「台湾獨立楽曲」というコーナーがあること。つまり「台湾インディ音源」ということですわ。ココに注目して早速店員さんにオススメを伺う。なんだかふかわりょうみたいなもっさりヘアなお兄さんが、カタコト英語で一生懸命音源の説明をしてくれました。「ディスイズ・ポストロック!」「ボサノヴァ…アンドジャズ」なるほどなるほど。なんだか地下アイドルみたいな音源もあったので調子に乗って購入。商品のバーコードを読み取って音楽を再生する試聴機は初めてみた。
このお店にはアナログ音源もありまして。ただアナログ新譜系は有名ポップスのファン向け嗜好品な気分でボクから見ると買う必然性はないかな。ジャズの名盤で再発重量盤(180g)みたいなヤツは台北市民には貴重でも、ボクがココで買う必要はないかも(CDで持ってるし)。中古盤となると、ほとんどがクラシックで神保町の老舗みたいな品揃え。でなければ70年代ロックの定番モノで盤質に難アリの気配。この国でアナログは難しいのかな。


●いきなりだけど、GEORGE MICHAEL 死去。
●台湾でもニュースになってるよ。「英国歌手 喬治邁可 離世享年五十三歳」とな。

WHAM !「WHAM ! THE FINAL」

WHAM !「WHAM ! THE FINAL」1986年
●とりあえず、iPod に入ってる彼のバンド末期のベスト盤を聴く。このベストに収録の「LAST CHRISTMAS」を歌ってる人が、クリスマスの日に死ぬってどういうこと?とワイフがウマイこと言いやがる。そもそも「LAST CHRISTMAS」は去年のクリスマスに失恋した思い出を歌う残念ソングであって、喜んでクリスマスに聴くもんでもない。山下達郎「きっと君は来ない 一人きりのクリスマスイブ」とかなりシケた歌だ。みんな歌詞聴いてない。
●このベスト盤で初めてキチンとデビュー曲「WHAM RAP !」を聴いた。1982年の段階でラップ〜ヒップホップに挑戦するってのはナカナカの慧眼だよね。彼ら英国人のくせして米国ニューヨークのローカルシーンを研究してたって訳だから。

GEORGE MICHAEL「LISTEN WITHOUT PREJUDICE」

GEORGE MICHAEL「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1」1990年
●これは彼のセカンドソロ。ファーストソロ「FAITH」は世界中で大ヒットしたけど、ボクにはリアタイで聴いたコッチの方が思い入れが深い。「偏見なしで聴いてほしい」というタイトルは、のちに明らかになる彼のゲイセクシャリティに関する苦悩を仄めかしているよう。WHAM ! 時代に期待されてたような明るいディスコミュージック路線は放棄されてて、スローでメロウでシットリとしたブルーアイドソウルが瑞々しく響いてる。
●シングル曲「WAITING FOR THAT DAY」は時代を反映してか、奥ゆかしくもグラウンドビートなアレンジが忍び込んでて、彼のボーカルの繊細さを補強してる。さらにこの曲、アウトロにストーンズ「無情の世界」のサビを拝借したりするんだよね。
「FREEDOM '90」も大好きな曲だ。WHAM ! 時代の能天気なヒット曲「FREEDOM」に対応して、アダルトにセクシーに更新、さらにゴスペルテイストを大胆に導入してる。もちろんコッチの方がボクは好き。




GEORGE MICHAEL 関連、SPOTIFY も駆使してアレコレ聴いたんだけど、当たり前ながら挿入される広告が中国語バージョン。日本と全く使い勝手が変わらないのに、中国語の広告が流れてくるとドキッとする。グローバルサービスが世界を支配するんだねー。



●えー。今日は台北のホテルでこのブログ書いてます。
家族四人で台湾旅行です。
●WIFI もとっても安定してます。

●結構ムリしてこの年末に会社を休んで。「ごゆっくり〜」なんて言われて旅に出たけど。
●冷静に考えて、この大都会・台北に「ごゆっくり」要素なんてあるはずがない。
●人の動きはハイスピードで混雑しまくりで、東京で過ごすよりも高負荷。
●おまけに気温は25℃と、不思議な南国クリスマス。コートもヒートテックも全部脱ぐ。
●ナゼか、ヘンなアドレナリンが出まくる。

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●こちら、台北のユースカルチャー発信源、西門町。「台北の原宿」と言われてます。
●で、ココが予想以上に日本型オタクカルチャーに寛容みたいでして、すげービビるのです。

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●地下鉄から地上に出た瞬間、いきなり「ガールズ&パンツァー」ラッピングバスがお出迎え。ヤバい。
●日本においても、このアニメの「聖地」茨城県・大洗にしかこんなバスは走ってないのですよ。このラッピングバスを見るために、ボクと息子ノマドは水戸まで特急乗ってローカル線乗り継いで遠出してるんですよ。なのに台湾じゃ首都で堂々とこんなのが走ってるなんて、マジ衝撃的。「台湾独立」なんてマジなスローガンと自然に同居してるシュールな風景。
●この西門町では、コスプレショップが並んでるエリアがあったり、おしゃれ美容院のスタッフがワンピースの海軍将校コスプレしてたり、駅前広場で美少女CGキャラが3次元ホログラムで踊ってたりと、ごく普通の風景としてオタクが溶け込んでるのです。公式キャラとして萌え萌え少女・林黙娘ちゃんが「WELCOME TO XIEMEN(西門)」と歓迎までしてくれるのです(下の写真の緑のドレスの子ね)。なんかスゲーなー。

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「萬年商業大楼」、通称「オタクビル」。中野ブロードウェイみたいな場所です。
西門町の中心部にあるこの建物が、これまた濃ゆい。中野ブロードウェイにたくさんあるような委託販売型のレンタルショーケースボックスのお店がたくさん。そこにたっぷりとフィギュアやガンプラが飾られております。大量のガチャポンがあったり、日本語バカTシャツがあったり。スニーカーショップやスマホケースショップも繁盛してましたが、時節柄か、きわどい露出のヘソ出しサンタコス女子が接客してました。日本の雑誌・マンガ専門店には、台湾語版もあったりして。「エヴァンゲリオン」「福音戦士」「テラフォーマーズ」「火星任務」「ソードアートオンライン」「刀剣神域」「カゲロウデイズ」「陽炎眩亂」「Re:ゼロから始める異世界生活」「Re:從零開始的異世界生活」などなど、なるほどと納得できる翻訳ぶりに楽しくなっちゃって。この書店の紙袋を持ったOLさんと地下鉄で乗り合わせたのですが、娘ヒヨコの証言によるとスマホで「文豪ストレイドッグス」読んでたそうな。腐女子じゃないか!清く正しく腐女子じゃないか!
●台北。言葉の問題を別にしたら、ボクはこの街にスッと溶け込んでしまえるなー。居心地いいなー。


そして、レコ屋も探す。
●厳密にはCDショップね。今のところ、アナログの扱いがあるトコロに到達してない。

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佳佳唱片(CHIA CHIA RECORDS)中華店
台北市中華路1段106〜110號2樓。
MRT「西門」駅6番出口を出て繁華街に入らず中華路という大通りを北に少し歩くと、黄色っぽい看板でこのお店の名前が目に入ってきます。CDとDVDがたくさん。CDの配分でいうと、中国語、日本語、英語(西洋)の音楽が三等分というトコロか。日本語版は、日本からの輸入盤と台湾レーベルからの国内盤があって、この台湾盤が日本国内で買うより割安でお買い得。中国語音楽は男性アーティスト、女性アーティスト、バンド/グループ系みたいな分類になってるみたいで、どうやら香港系も混じってるようだ。せっかくだから台湾純正の音楽をえり出したいな。なおこのお店は、台北にもう1店舗、漢口店というお店があるという。
●色々な土地でレコ屋の人とコミュニケーションをとってオススメ教えてもらってきたんだけど、今回の台北は苦労した。やっぱり東京以上のスピード感の街、店員さんにパッパとかわされちゃって、深堀りするヤリトリにできない。しかしメゲてはいられない。「アイムルッキングフォー・タイワニーズ・ヒップホップ!」自己主張してなんとかアレコレと情報を教えてもらった。そんな時に役立ったのが丸屋久兵衛氏の著作「史上最強の台北カオスガイド101」。本職はブラックミュージックの評論家であるはずの丸屋氏がナゼか台北を語ってる本。丸屋氏の絶妙な持ち味である「基本的に勢い任せでデティールはよくわからない」がそのまま踏襲されてて、ヴァイブスは伝わるがガイドの機能性はゼロ。しかし、巻末に数ページ割いてくれたこの国のヒップホップガイドが異常に役立った。このページ見せたら、店員さんドサドサCD引っ張り出してきてくれたもんね。

「史上最強の台北カオスガイド101

丸屋久兵衛「史上最強の台北カオスガイド101」
「小籠包は出てきません!「癒し」も「ほっこり」もありません!カラスミ屋さんも載ってません!アンチ「ほっこり」!」という帯コメに全てのアティテュードが盛り込まれてる。確かに台北はカオスだよ。あとこの本で得た豆知識。台湾ではラッパーのことを「饒舌歌手」というらしい。実にストレートな表現!

台湾の特殊なCD事情。CDがCDのサイズじゃない。

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●ボクがお店で特に当惑したのが、CDが普通の形じゃないという点ですわ。これ、お店で買ったCDたちだけど、普通の大きさなのは4枚で、あとは全部イレギュラーにデカイのですわ。特に一番大きいものは日本の週刊誌と同じくらい。正方形だったり長方形だったりと自由自在で、写真集が付いているのか厚さも様々。これが普通のCDのように立てて並べられると、サイズが凸凹でメチャメチャチェックしづらいのです。挙句、アーティスト名は漢字だけでジャケ情報じゃジャンルすら想像できない始末。難易度が高い!
●日本と同じように台湾でもCDパッケージ市場がシュリンクしているのだろうか。日本では握手券という荒技でCDに付加価値をつけるシステムが構築されたけど、台湾においては市場縮小対策として、デジタル流通ではカバーできない物理的財としての付加価値へ独自進化したのでしょうか?(あ、握手券じゃないけど、イベント招待券みたいなもんは入ってました)。もうオマケ部分の大きさが膨らみすぎて、肝心のCDがどこに入ってるのかわからなくなるほど。よーくCD売り場を観察すると、変形パッケージ戦略は00年代中盤には始まっていた模様。旧譜のリリース年月日で読み取ってみた。スゲーな。家に持って帰るのが大変。家で収納するのも大変。

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●この写真。別のCD屋さんの商品棚の様子。これ全部CDなのに、判型自由すぎてCD棚に見えません。ヤバイでしょ!



●つーことで、もうちょっと、この街をうろつきます。


●家族旅行で、明日から台湾、行ってきます。三泊四日。
●ボクはこれで3回目かな。
●コドモたちには、中華圏のパワフルさを思い知らせてやります。

●リサーチしたら、CDショップもあるし、ユニークな音楽もありそうだ。
●楽しみだね。



●今週は、YouTube FanFest @東京国際フォーラム ってイベントに行ったんだ。

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たくさんのユーチューバーの皆さんが集まってのお祭り騒ぎ。
●後輩に誘われて行ったんだけど、まーすげー盛り上がりでした。
●YouTubeってあまり知らない世界なんだけど、エッジーな世界が広がってるのを肌で感じましたよ。

「PAPP」ピコ太郎とか「PERFECT HUMAN」RADIO FISH とかも登場してたんだけど、彼らよりワーキャー歓声を集めてたのは、もっと若いユーチューバーたち。その価値とか位置づけとか全然理解できなかったんだけど、アイドルみたいな声援浴びてて、とにかくスゲーと思ったのですよ。

HIKAKIN はまあいいとして、はじめしゃちょーがスゴかったなー。FISCHER'S(フィッシャーズ)なんて人たちは初めて知ったよ。東海オンエアとか全然わからんかった。でも見た目ただの学生くんたちがピコ太郎とかよりもキャーキャー言われるって本当スゴイ印象。所詮、キッズたちは、ピコ太郎でさえも大人の作為で仕掛けられたモノでしかなくて、自分たちの側にいるのは彼ら生粋のユーチューバーだけだと認定してるんだな。

フィッシャーズは20歳過ぎの男子ユニットで、日々オモシロ動画を更新してる連中。乃木坂46 WU-TANG CLAN はイメージがカブると先日このブログで書いたが、彼らも WU-TANG CLAN とイメージがカブる。フィッシャーズ中学生時代の地元友達7人がつるんで結成。ステージネーム(って言わないかな)も、シルクロード(略してシルク)、ンダホ、マサイ、ザカオ、ダーマ、モトキ、ぺけたんと、なんとも記号的。RZA、GZA、ODB などと名乗った WU-TANG 軍団の気分に似てる。フッドの絆を大事にしてる気分と、動画の中でのアドリブ感覚と阿吽の呼吸気分(悪ノリ)が絶妙に WU-TANG 風。あ、あくまでユーチューバーなのでラップも音楽もしません。ブレイクダンサーは一人います。
フィッシャーズは自分たちを「思い出系ネットパフォーマンス集団」と称していて…彼らの動画はつまり彼ら自身の「思い出」ってーことか。動画を駆使して未来へキャリアを伸ばすのじゃなくて、いつか終わるであろう青春の悪フザケを過去として記録する。ある意味でのサッパリした執着心のなさは「さとり世代」の心性を反映してるのだろうか。

はじめしゃちょーはすごいねー。天才的な編集センス。
●今回、イベントの後で動画を何本か見たけど、映像編集のテンポがサイコーに絶妙だね!撮影はやっぱりユーチューバーならではの撮りっぱなし気分。でもあの動画のグルーヴ感は、彼のチャーミングなキャラと話芸だけに依存するものではない。ズタズタと細かく入ってるカット編集がテンションを維持するのに最高に効果してる。あの1秒以下の編集のサジ加減にユーモアを盛り込むのって完全にセンスの問題なんだろな。少なくとも日本の地上波テレビの編集ペースじゃない。テレビじゃやれないしやらないスタイル。敢えて言えば、近い感覚でいうとアメリカのリアリティショーのインタビューかなあ。アメリカは人の話をカリカリに短く切り刻むからな。

●とか言って、ユーチューバーってそもそも自分で編集するのかな?スタッフさんがいるのかな?フィッシャーズの動画だって、アドリブ勝負で何が起こるかわからないロケ物だから、素材の分数が膨大でそこからオモロイ/オモロないの判断して8分程度の素材に仕上げるのって、かなり手間と根性が必要だよね。撮影は本人たちが楽しいんだろうけど、編集で初めてみんなに楽しんでもらうものになるんだし。みんな本業あるっぽいのに大変だよ。

HIKAKIN はみんなパブリシティなの?そういうもんなの?

●それと、セレモニーの中にはこんな発表もあったのよ。
トップトレンディングビデオ2016(音楽以外)

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●10位の中に、はじめしゃちょーが4本ランクイン。うち一つはフィッシャーズ・シルクとのコラボ。マジですげえ。9位の HIKAKIN はアプリのパブ。「君の名は。」予告+予告2はもうしょうがない。「NHKリオ」安倍マリオ登場のセレモニーだよ。ユーチューバーすげえな。はじめしゃちょーすげえな。

トップトレンディングビデオ2016(音楽部門)もあったよ。

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●1位はピコ太郎。2位は「君の名は。」だね。3位&5位が「PERFECT HUMAN」オリラジって芸が多彩で器用だね。イベントでライブを見たけど、藤森さんがノリノリに歌い上げる気分が爽快だったよ。4位に欅坂。もうAKBも黄昏の時期か。6位は「逃げ恥/恋ダンス」。あとはよく知らなかった… JY って元 KARA メンバーの知英のことなのか。フジ月9主題歌だったとか。
●もうテレビ番組じゃフル尺で音楽を見られないとするならば、YouTubeは一番いい音楽発見メディアなのだろう。時代の気分だけ探るなら、なんだかオリコンより説得力あったりして。

●イベントにはユーチューバーとして音楽活動をしてメジャーに出てきた(今後出てくる?)人たちも出演してた。女性シンガー MACO…彼女は YouTube 以前にツイキャスで盛り上がった気がするけど。SUMIKAってバンド、井上苑子というアコギ少女、男性シンガーソングライター・コバソロ。勉強になるわ。あ、AIさんもきてたね。彼女の評価は YouTube とは関係ない気がするけどね。







「逃げ恥」ことTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」、最終回だったねー。
新垣結衣&星野源の不器用な恋愛っぷりに「むずきゅん」と名前がついて、視聴率は尻上がりに上昇、最後は20%超えというから見事なもんだよね。
●でも、このドラマってそんな「むずきゅん」って言葉でカタがつく内容じゃなかったね。すげーハイコンテクストな思考実験が繰り広げられてて、それなのに、そのメンドくささをよくぞこんなポップに仕上げたもんだと恐れ入る表現でした。

●ボクが思う、このドラマが繰り広げた思考実験とは、「恋する理由がない男女はシステムで恋に落ちるか」という問い。
●少子化社会がより一層深刻になってく現代日本社会、恋愛や結婚をする理由が完全に溶解した状況の中で、その状況を前提にしながらもう一度、恋愛や結婚をする意味を「小賢しく」再構築する。ややアクロバチックに、とってもユーモラスに。これがこのドラマを特別にしたポイントだ。

新垣結衣が演じたヒロイン・森山みくり「職業での自己実現に失敗した女性」。彼女は就活失敗/派遣切りの末に住む家まで失って、「住込みの家事代行業者」という職業を選択することになる。相対するのは星野源演じる津崎平匡。極端に自尊心が低い彼は「女性との交際を拒絶し孤独を守る男性」で、ドラマの言葉を借りれば「プロの独身」。この男女は、お互いの利害から、二者関係を「結婚」という形に擬態して、家事労働を金銭価値に置き換えた雇用関係を結ぶのだ。
●しかし、そんな場所からスタートしたにもかかわらず、二人は共同生活をより円滑なものにするために、契約形態の更新とか新ルールの導入を大真面目に合議、「システムの再構築」なんて言葉を使ってまでして、その距離感を調整する。「かもしましょう新婚感」とか「火曜日はハグの日」とかね。
●こうして、ドラマは、緻密なロジック(ヘリクツ寸前)から演繹された「システム」で徐々に外堀を埋めながら、本物の「夫婦」が構成されるステップを詳らかに図解する。恋愛を拒否した男性が恋に落ちる、職業に挫折した女性が主婦として自己実現する、そして雇用関係はいつしか共同経営責任者という関係に改訂され、二人は見事に恋愛感情を育み、そしてやっと彼らは本物の恋人/夫婦になるのだ。この壮大な「小賢しさ」が大いにバカバカしい。
●しかも「小賢しさ」に真剣になればなるほど二人の愛情は深まる。主人公たちは実にイノセントで、自分たちの「システム」に忠実。「普通」じゃない状況に常にフラット。だから彼らの関係は純粋に育った。既存の常識や雑音に流されてないんだ。どこもかしこも痛快だよ!誰もが恋する理由を再獲得できるんだ!それが「小賢しく」実証されたってことです。いやいや面白かったよー。

●劇中のセリフにあったんだけど、この二人は確かに「普通」じゃない。そこでこのドラマでは、もう少し一般常識に近いレイヤーをパラレルで配置してる。
●みくりの伯母・ユリちゃん(石田ゆり子)は「職業的に大成功したバリキャリ・アラフィフ」。そして津崎の同僚・風見(大谷亮平)は「女性に全く不自由しないイケメン」。主人公たちと正反対の超リア充だ。しかしこのリア充ですら素直に恋愛関係を結べない。エキセントリックな「小賢しさ」を発揮するわけでないが、このパラレル配置のカップルも、遠回りをしなければ恋に落ちることができないのだ。色々な意味でメンドくさいんだねーこの日本社会は。でもドラマのセリフを借りれば、「同じくメンドくさいなら二人でもいいじゃないですか」。だからさ、みんな、もっと恋しようよ。


●音楽。この流れで星野源「恋」に行くかと見せかけて。

チャラン・ポ・ランタン「借りもの協奏」

チャラン・ポ・ランタン「借りもの協奏」2016年
●ドラマのオープニング曲「進め、たまに逃げても」を担当した、姉妹ユニット。大道芸をルーツに持つアコーディオニストの姉・小春と、インスト中心の活動からボーカル楽曲にシフトした時に誘われた妹・ももが、ロマ音楽やバルカン半島方面のハチャメチャしたグルーヴを鳴らすバンドを背負ってかしましく突進して行く音楽が楽しい。ウィキには「オルタナティブ・シャンソン」なんて言葉もあるぞ。ファンキーなアコーディオンも味があるけど、ボーカルもキュートだね。
●このアルバムは、ジェイポップの名曲などをチャラン・ポ・ランタンがたっぷりカバーしてく企画盤。FLIPPER'S GUITAR「恋とマシンガン」、PUFFY「アジアの純真」と、なんとまあ90年代育ちのボクを楽しませてくれる選曲よ。電気グルーヴ「SHANGRI-LA」の人力推進ぶりがタマラン。SHAMPOO「TROUBLE」の日本語カバーまでしてる…ブリットポップの徒花一発屋。
最高のカバーは、1971年のヒット曲、ヘドバとダビデ「ナオミの夢」。イスラエル人男女ユニットがなぜか日本語で歌って日本歌謡界でバカ受け。ボクは原曲が大好きでいつも7インチシングルで聴いてます。オリエンタルでエキゾチックなグルーブはチャラン・ポ・ランタンにピッタリ。序盤に曇り気味な昭和風エコーをまぶしてるところが原曲に忠実で最高。


●動画。FLIPPER'S GUITAR「恋とマシンガン」カバー。




●動画その2。チャラン・ポ・ランタン「進め、たまに逃げても」。





●あーそうだ、大河「真田丸」も最終回を迎えたんだけど、なんとなくカタルシス不足だった気が。
豊臣家滅亡の瞬間を、もっと陰惨に、悲壮感たっぷりに描けばよかったのか?しかし、三谷幸喜さんはあえてソコを回避したかったのかもしれない。死んだ人は皆死んだと小学生でも教科書でハッキリ知ってるのだから、別に仔細に描く必要もない。死ななかった人は死ななかったし、死ななかったかどうかわからない人はわからないままにしてる。キリちゃん、サスケといった架空キャラたちは、きっと生き残ったかも、と思えるスキマをわざと残した。それでいいんだよね、きっと。





●週末は大学時代の先輩に会って楽しい時間を過ごす。
●趣味がカブる人たちとノビノビとマニアックな情報を交換するのは楽しいねー。

●で、今年2016年のベストディスクとか語らったんだけど。
ボクの今年のベストディスクをココでもご紹介しておきます。うん、とても音楽ブログっぽいね!

乃木坂46「それぞれの椅子」2

乃木坂46「それぞれの椅子」2016年
え、今年のベストディスクが、乃木坂46かい!アイドル物件行っちゃうかい!…実はボク、相変わらず枚数だけは半端ない数買ってますけど、もうリアタイ新譜購入とかは滅多にないんですよ。ブログに紹介するなんてほんの一部の音源で、今月の購入枚数だって余裕で30枚以上イってますよ。そのペースで買うってことは、新譜なんて高すぎて眼中に入れられない訳で。中古激安コーナーかレンタル落ちボロボロ音源だけですよ。今年で新譜買いなんて、宇多田ヒカル APHEX TWIN ハイスタ16年ぶりのニューシングルくらい?しかないんですよ。

でもそんな事情抜きにして、これは今年の重要な一枚だと、本気で思ってる。
「音楽は永遠に古びない」とボクは思うから、どんなに昔の音楽でも新鮮な気持ちで向き合えるし、焦ってリアタイ聴取にこだわるのをほぼヤメてしまった。しかし AKB 以降の現代「アイドル状況」においては、「アイドルは鮮度だ」と思うようになった。ここで消費/受容しているのは音楽ではなくアイドルであり、人間の創造物ではなく生身の人間そのものだ。そしてアイドルという職業は、音楽家とは違って一生続けるものではない。生身の女性がその人生の中で一時期だけ担うことができる、キャリアのワンステップだ。
●そしてその意味で言えば、乃木坂46というグループは、2011年の結成以来から5年の歴史の中で、今年に一つのピークを迎えたと思う。ライバルとして想定されてる AKB48 は、既に初期メンバーが卒業〜独立、後から加入する新世代(最若手は16期)や日本各地の関連グループから新しい才能を輸血して世代交代を行いながら、グループとしてのパッケージを維持している。しかし、乃木坂はその世代交代をまだ経験していない。この5年の歴史で実質的なメンバー追加は2期生の追加だけで、3期生は今年9月にお披露目されたばかり。正規メンバーは40名弱だが、ロックバンドのような結束を感じるほど。
ただ、今後はどうなるかわからない。今年2月に永島聖羅、6月に深川麻衣が卒業、来年2月に橋本奈々未も卒業することになった。こと、橋本奈々未 aka ななみんのような存在感の強い重要オフェンスプレイヤーの喪失はグループの質を変えかねない。深川麻衣 aka まいまい aka 聖母の卒業ですらイタイと思ったのに…。ティーンだった1期生はいつしかほとんどが成人して、次のキャリアを考える時期に差し掛かる。重要メンバーの卒業は今後も続く。だから、2016年の彼女たちを記録したアルバムを、今年にシッカリ聴いておかないといけない。来年は質の違うグループになっているかもしれないのだから。「アイドルは鮮度」なのだ。

その一方で、乃木坂46のプレゼンスは高まっている。
●中学生の娘ヒヨコは、体育のダンス課題の選曲乃木坂の楽曲を持ち帰ってきた。このアルバムの収録曲「今、話したい誰かがいる」だ。中学生女子の合議で素朴に踊りたいと多数が認めたって、かなりのハイレベルなプレゼンスでしょ。まーどんなダンスかと言えばそれほど凝ったモノではないらしく、3歳からバレエをしてるヒヨコにはちと物足りないようだ(ヒヨコは「フォーチューンクッキー」も数回合わせただけで踊りこなした。今は「逃げ恥/恋ダンス」が気になってるようだ)。
●アイドルといえば青年マンガ誌の表紙&巻頭グラビアが主戦場と思うが、乃木坂のコアメンバーは一流の女性ファッション誌でモデルとして活躍している。前述の橋本は、西野七瀬とともに「NONNO」で、最年長組となったクールビューティ白石麻衣は赤文字系雑誌の代表格「RAY」、ややゴス要素すら感じさせるアンニュイな陰の持ち主・斎藤飛鳥は宝島社の看板「CUTIE」〜「SWEET」で活躍している。運営の戦略が前提ではあるが、秋葉原の特殊カルチャーを代表した AKB とは違うレベルで、女性支持もカキ取るメジャー感を彼女たちは獲得しつつある。
●で、ボクの中では決定的な印象に結びついたことなのだが、地下鉄千代田線乃木坂駅の発車チャイムが彼女たちの代表的アンセムの一つ「君の名は希望」になってたことだ。乗り換えに失敗して普段は用のない乃木坂駅のホームに立ってて気づいた。確かにファーストアルバム「透明な色」のジャケはこの乃木坂駅で撮影されてるけど、チャイムにしちゃうほどってナカナカでしょ。アルバム「それぞれの椅子」のジャケはやはり乃木坂にある新国立美術館で撮影されてる。新国立美術館とも今後なんかやっちゃうのかな。


●で、音楽の内容だ。ボクは AKB48 と比べても、ずっと聴けると思ってる。
●当然だが、AKB48乃木坂46 では作詞家が同じ、全部、秋元康氏だ。で、作曲編曲も秋元氏の意向が深く関与するに違いないだろう。でも、AKB 乃木坂 ではプロダクションの質が違って聴こえる。ソニーミュージックエンターテインメントが手がける乃木坂の方が作りが繊細で丁寧キングレコードAKBは比較すると大味だ。これはメーカーであるところの、キングとソニーの地力の違いなのだろうか。作曲編曲陣の名前を見ると、AKB の作家とそんなにカブっていないみたいだ。両方を手がける人の方が少ない…手がけていてもどちらかに偏るというか。
●初期は特殊少女・生駒里奈がほぼワントップ状態で主要ポジションを担ってた乃木坂だが、このセカンドアルバムでは多頭体制が完成していて色が多彩。ファースト「透明な色」段階ではまだ無色無味無臭の集団だったこのグループが、交換不可能な役割を分担する個性の集まりに成熟したようだ。それが「それぞれの椅子」というタイトルの意味だろう。

●特にシングル表題曲2曲でセンターを務めた西野七瀬 aka ななせまるの躍進が目覚ましい。引っ込み思案でバラエティではいつも不安げな表情をしているシャイな彼女は、芸能人であることを本当に楽しんでいるのかコチラが不安になるほど。その一方で、故郷の関西弁を絶対に曲げないなど自分の中の原則にガンコなほど忠実な側面も読み取れる。イラストやマンガの趣味や、爬虫類好きなトコロにも、ただの美少女で片付けられないフックを感じるんだよね(すんません、要するにボクは「ななせ推し」です、小さな声の優しい関西弁も好きです)。
●そんな彼女がセンターを務める「命は美しい」は、そんな不安を抱える彼女が生命が持つ強さに触れていく様子を描く楽曲。女性にはしんどいほどの低音からスタート、「何のために生きるのか?何度問いかけてはみても 空の涯まで暗闇が黙り込む」と苦悶しながら、可憐なピアノに導かれて大サビの「命は美しい 初めて気づいた日から すべてのその悲しみ 消えていくんだ」へと飛翔していく力強さに、ウットリできる。
西野白石麻衣 aka まいやんがダブルセンターを担う「今、話したい誰かがいる」は、内気な男子の主観から歌われる内容の楽曲だ。これは秋元氏の戦略なのか、乃木坂では歌詞の主体が「僕」と名乗るナイーブな男子であることが割と常套手段になっている。ここでは、そんな「僕」がいつしか異性である「君」に心開くようになる物語が描かれる。西野の周りに漂う脆くて儚いイメージが(実際の彼女は決して脆いとは思わないけどね)、この物語に説得力を持たせる。

●シングル「ハルジオンが咲く頃」深川麻衣の卒業ソング。グループ結成時からメンバー最年長として仲間を見守ってきた彼女のキャラは「聖母」と呼ばれるほど。無駄に出しゃばらず、何があっても動じない、温厚で優しい笑顔。確かにその落ち着きぶりたるや、新婚の奥様ですか?くらいのオーラ出てました。そんな彼女のグループ内の位置付けにピッタリ即したリリックと幸福感いっぱいの楽想がナイス。これも「アイドルの鮮度」リアルな時系列の中で本人のキャラと役割というコンテクストを理解することで内容を楽しめる。
●そしてグループ超最初期のアンセム「乃木坂の詩」も収録されてる。まだグループの方向も定まらない時期、最初のシングルに収録されてた楽曲だ。「乃木坂がどこに あるかなんて 僕らは何も 知らずに来たんだ」と初心に立ち戻るフレーズがすごく瑞々しい。

●ただ…「AKB商法」という言葉があるけど…ソニーさん、あんたもっとエグいよ。
●ボクはさすがに握手券目当てには買い物しないよ。純粋に楽曲が聴きたいし、観られるならDVDも観る、それだけ。なのに、このアルバムは、タイプが5種類もあって、収録曲が全部違うし、DVDの内容も全部違う。それはエグいでしょ。2014年の夏ツアーファイナル@神宮球場のライブは、3種のアルバムを購入しないと全容が観られない。すげえなあ!シングルでもカップリング曲のバリエーションが豊富すぎて困る。AKBだってもうちょっとシンプルだよ。
●あと、これは理由がわからないんだけど、乃木坂のシングルは中古CD屋にはあまり出てこない。AKB関連は腐るほど束になって売られてるのに。なんでだろ?


調子に乗って、もう一枚行きますよ。乃木坂を。

乃木坂46「透明な色」

乃木坂46「透明な色」2015年
●最初のシングルから10枚目までを網羅するファーストアルバム。前述したように初期の乃木坂生駒里奈 aka いこまちゃんのワントップ体制で、最初から5枚目のシングルまで彼女一人が連続してセンターを担当してる。彼女がこれまた一筋縄でいかない不思議な子なんだけど、乃木坂楽曲が「僕&君」という男子を主体にしたリリックが多いのは、彼女のボーイッシュ…ズバリ少年?な性質に秋元氏がインスパイアされたからなのではないだろうか。グループ最初のシングルで「男子禁制!」と歌うモータウンノリのガールズポップ「ぐるぐるカーテン」以外は、生駒センターのシングル楽曲は全部この「僕&君」スタイルになってる。
●でこの生駒ワントップ期の注目チューンが「制服のマネキン」だ。「マネキン」はボクが乃木坂で最初に聴いた楽曲。ちょうど「AKB48峯岸みなみ丸刈り事件」が起きた頃で、この楽曲で描かれていた「恋愛禁止の鉄則と葛藤するジレンマ」を煽るリリックに注目したものだ。(このへん、2013年2月にボクは記事で書いてます→リンク)丸刈り事件よりもずっと先行して制作された楽曲だから直接の関連は実際ないだろうが、秋元氏が恋愛できない彼女たちを挑発し、ダブルスタンダードを強いているかのようにも思える。「アイドル消費/受容」は楽曲という創作物を消費しているようでも、どこかで生身の人間を直接消費/消耗させるシステム。だから、キャリアとして「アイドルであるか/卒業して非アイドルになるか」のオール・オア・ナッシングがより際立って強いられる。他の職業じゃありえない理不尽だよね、モラハラどころじゃない。その危うさに自己言及した作品だ。
●そしてビッグアンセム「君の名は希望」千代田線乃木坂駅の発車チャイムに採用されたのは今年3月のこと。圧倒的に非リアで孤独な少年の、淡い心の動きを主体に据えたリリックが、「命は美しい」と同じ種類の繊細さと清らかなメロディで描かれる。これが「君&僕」路線の完成形AKB でももちろん男子主観「君&僕」楽曲はあるが、ある意味での挑発的なアゲアゲヤンキー主義が色濃い印象(例えば「フライングゲット」とか)。もう一歩踏み込めば、グループ乃木坂46の個性が完成した瞬間とも思える。

●この時期の事件は、7枚目シングル「バレッタ」で、2期生投入の瞬間にその2期生の1人堀未央奈をセンター抜擢したコトだろうAKBでいうところの「ポニーテールとシュシュ」「EVERYDAY、カチューシャ」に対応する、髪の毛アクセサリーをモチーフにした歌なんだけど、そのワリにはマイナー調でちょっと個性的すぎるアレンジのこの楽曲に、未知すぎるキャラ堀未央奈 aka みおなをブッ込んだのは暴挙か蛮勇か。結果的にややスベった挑戦になったと、後の歴史を今知るボクらは知っているのだけど。
●ただし、特殊少女・生駒で最初の推進力を得た乃木坂が、やはり正体が掴めないタイプを次のエンジンにと目論んだ気持ちはなんとなく理解できる。ただ彼女は未だに正体が掴めないし、おそらく本人自身も自分の正体をグリップできてない気がする。だってまだ20歳の子だもん、しょうがないよね。あの眼力に吸い込まれる気持ちは理解できるが、吸い込まれた先はまだ謎だらけのブラックホール
●この前後に、白石西野センター抜擢生駒体制から軸足をずらすトライがなされる。ただボクの中では白石「ガールズルール」西野「夏の FREE & EASY」も単純な AKB エピゴーネンに思えてしまった。この二曲はなんだかハシャギ過ぎだよ〜。この二人のポテンシャルが本当に開花するのはやはり「命は美しい」「今、話したい誰かがいる」を待たなければならなかったという気が。
●ただ、生田絵梨花センターの「何度目の青空か?」はナニゲに新しい味だったかも。80年代アイドル歌謡の成分も微妙に含まれてるこの曲。デュッセルドルフ生まれの才媛、ピアノは音大入学の腕前、資格検定マニア、実年齢は若いくせして学級委員みたいなシッカリもののキャラを出す生田絵梨花 aka いくちゃんのポテンシャルを開花させるものだったかも。シッカリしすぎるあまりに、シッカリと変わり者だということも今では明白で、その立場を彼女は楽しんでる。


●と、アレコレ乃木坂を語っても、簡単に語り切れるものじゃなくて。
●だってサブテキストが無限にあるんだもの。

●Huluを駆使して、日テレ系の深夜冠番組「NOGIBINGO!」シリーズのアーカイブは全部見てしまった。風邪で寝込んでた日に一気見したよ。落語部の女子たちのグダグダ日常を描く舞台「じょしらく」も配信で見たっけ。山下敦弘監督の映画「超能力研究部の3人」は本当に不思議な作品だったなあ。橋本奈々未が普通によかったけど、秋元真夏という珍味の存在も楽しめた。他のメンバーだって、気になる子いっぱいだよ、今回はセンターの子ばっかになっちゃったけどさ。

●DVD「DOCUMENTARY OF 乃木坂46 悲しみの忘れ方」と書籍「乃木坂46物語」は、メンバー個人のバックボーンや最初期の苦悩が仔細に描かれてて。彼女たちは、いじめ被害の経験や故郷や周辺への違和感でこの場所・乃木坂に来るしかなかった、ある意味での「不具者」の集団だ、ということが克明に強調される。彼女たちにつきまとう憂の表情に理由が見つかり、やっと乃木坂を理解できるかもと思えた作品だった。
●今回の橋本奈々未の卒業もこの意味では象徴的だ。彼女は経済的困窮からこのグループのオーディションにたどり着いてるし(「アイドルになればロケ弁が食べられる」と思ってた)。そしてその経済的困窮が解決したから卒業して芸能界からも足を洗う。「乃木坂46物語」では「勝ち逃げしたいですね」って語ってたくらいだし。これが彼女の「勝ち逃げ」なのか分からないけど、秋元真夏 aka まなったんのナチュラルボーン計算ぶりっ子とは正反対の、アイドル稼業への冷淡な距離の取り方が、橋本を完璧なクールビューティにしていたのは間違いない。

●そして、特殊少女・生駒里奈の存在。ここは今回踏み込まなかったけれども、依然として、いや今だから一層、彼女の動向が気になる。彼女が何者なのか?そしてどこに行くのか?ボクの関心は今そこにあるのだけれども、それはまた別の機会に。だって、文章が長くなりすぎたんだもん。



●動画は「命は美しい」。西野・白石・橋本の現行3トップがクールだよ。
●ピアノが牽引してるトラックだけど、ナニゲに EDM なクリシェも採用されててイチイチ技アリ。




西野七瀬 aka ななせまる、とか書いてる時、ボクの頭で連想してるのは、いくつものステージネームをもつヒップホップ集団 WU-TANG CLANのメンバーたちね。GHOSTFACE KILLAH aka THE IRONMAN aka TONY STARK とか RZA aka BOBBY DIGITAL aka PRINCE RAKEEM aka THE ABBOT とか。ボクの中で、ニューヨークのスタッテン島のアンダーグラウンドと、東京港区乃木坂一体は同じだから。



●大河ドラマが終わろうというタイミングに、NHK日曜深夜で海外ドラマ「ダウントンアビー・シーズン5」が始まった。わー待ち遠しかったわ。1920年代。英国貴族社会の黄昏の季節。

●Huluでアニメ「東京喰種 トーキョーグール」を楽しむ。実はボクが原作段階で一度挫折したんだけどコドモが大好きで。長男ノマドはハロウィンで主人公のカネキくんコスプレしてたもんね。エンドテーマが PEOPLE IN THE BOX か。このバンドは久しぶりに聴いたな。

●GYAOで「日本初のVRライブストリーミング」と銘打った、宇多田ヒカルのトーク&パフォーマンス配信を見ちゃった。番組タイトル「30代はほどほど」が示すように、わざとグダグダした宇多田ヒカルの脱力トークは楽しかった。メガネすげえ。まーボクは普通の配信で観たしVRである必要性も感じなかったけど。「一体ダレトク?」なVRの実験がたくさんあって、本物のVR表現に到達するのかなー?

宇多田GYAO2

●本人登場前の、ラッパー PUMPEE による宇多田リミックスDJがスゲースキルフルでビックリしちゃった。DOMMUNE で宇多田ナイトやった人らしいけど、彼自身の音楽聴きたくなったよ。


●でもまー、とりあえず宇多田さん本人の音楽も聴きたくなるのです。

THIS IS THE ONE [IMPORT]

UTADA「THIS IS THE ONE [IMPORT]」2009年
●これほぼリアルタイムで聴いてた、UTADA 名義アメリカ進出盤2枚目のアルバム。TRICKY STEWARTSTARGATE というこれまた超一流のトラックメイカーで繰り出したヤツ。ただ、海外有名プロデューサー召喚路線にご本人が、そしてボクもオナカいっぱいになっちゃって、その後簡素になっていくセルフプロダクション路線の方がナイスに思える、折り返し地点になったという印象でした。
●ただ、今回、わざわざもう一枚このアルバムを買い直したのよ。すでに持ってる邦盤じゃなくて、輸入盤をね。[IMPORT]って書いたでしょ。輸入盤だとね、曲順が違う、そしてボーナストラックが違う。輸入盤のボーナストラック「SIMPLE AND CLEAN」と「SANCTUARY」は、宇多田ヒカル名義のシングル曲「光」と「PASSION」の英詞アレンジバージョンなのだ。これをつい最近知って、速攻で入手した。ボク彼女の「光」が大好きな曲なんだ。
紀里谷和明氏との結婚、その直前期に発表されたこの曲は、彼女のキャリアの中でも直球で幸福感に溢れてる。虚飾も必要ないとあって、MVは彼女が白いキッチンで食器を洗うだけの長い1カットオンリー。これが英語詞となると少し雰囲気が変わって一味違う気分が味わえる。いいねー。わざわざ買ってよかった(324円だし。)

●最近は、同じアルバムでもボートラ違いの再発盤が欲しくなったり、同じ曲でも12インチバージョンのエクステンディッドミックスが欲しくなっちゃったりしている。いやー40歳過ぎてナカナカボクもオタクっぽくなってきたなー。


●日本語の「光」。




●英語詞の「SIMPLE AND CLEAN」。前回のネット配信企画「20代はイケイケ」の時の映像だ。







●しばらく、ブログ更新を怠ってました。
●とにかく忘年会モードがすごくて。

一週間で会食が5回も詰め込まれたのは、ボクの人生の中でも最高密度だったと思う。世の営業職さんなどは、こんなペースのお付き合いの会食などなどが年中常態化してるのかなー。スゲえな。

●ボクにあたっては、まず第一に体力が持続しない。クタクタになる。第二に、普通のデスクワークが滞る。1900時合わせで食事会の現場に移動するとなると、1830時には通常業務閉店しないといけない。でも日中は会議ばっか。じゃあメール処理や資料作成や伝票処理や契約作業はいつやるの?溜まった雑務を会食のスキマ日にガッツリ片付けてたら、いつのまにか終電。みんなどうやってこなしてるんだろうなー。

とにかく、時間が足らない。

●娘ヒヨコは、あっという間に時間が過ぎ去ることを、「時間ドロボウに時間を盗まれた」という。ミヒャエル・エンデ「モモ」風な言い回し。宿題やテスト勉強が全然はかどらないイイワケだけど。



●でも、いろいろな人に会うのは楽しいね。

人事異動でサヨウナラする先輩の送別会では、オフィスじゃ言えない悪口大会。普段クールでオシャレな先輩が、完全に酔っ払って格闘技ネタで盛り上がり、締めは「1、2、3、ダーッ!」…しかも泥酔してるのに「ダーッ」の段取りレクチャーが淀みなく洗練されてて、無意識でも稼働するほど何回も繰り返されてる宴会テクなんだろうなと思い知った。

派遣スタッフさん慰問会では、隠れサブカルの本性がカミングアウトされて趣味話で大盛り上がり。ドイツやイタリアのテクノを渋谷の専門店テクニークで買ってる女子がいて感動。うわーテクニーク久しぶりに買い物しに行こうかなー。ボクも「デスクに座ってるunimogrooveさんがこんなマニアとは思いませんでしたよー」って感動された。普段デスクに座ってるボクは、ただのエクセル作表オジサンだからなあ。検算の時の電卓操作が上手くなってきたよ。

重要取引先のかしこまった会食では、プロ野球の話題ばっかでフリーズした…ボク、スポーツ1ミリも興味ないし知識もないので。巨人軍の来年のカレンダーを入手して、そこに写ってる選手の顔名前を覚えるコトにした。乃木坂46のメンバーを覚えるのと同じだろ。どっちもユニフォーム系だし。な訳ないだろー!ヤベーよ!まずカレンダー貼る壁の面積が確保できないわ。

兼任部署の初めての飲み会では、真面目そうに見えてた先輩が大変人だと発覚して大爆笑。自動車免許書持ってないのにヤフオクでショベルカー買って、自宅敷地内で穴掘ってる。60年代マニアで身につけるものはメガネまで全部ビンテージ。ジミヘン大好き。ボクより年上なのにゼロ貯金でノーフューチャー。本人談には「反資本主義抵抗運動」。カネに支配されないために全て使い切る、という理解不能なソロ自爆テロ活動。あまりにオモロイのでトークに乗っかりまくったけど、他の常識人な大人たち、完全に呆れかえってた。翌日、オススメビンテージアニメリストがメールで届いた。60〜70年代すぎて、どこで見られるかわからないが、先輩には「お前は俺と同類」とロックオンされた模様。

15年前の部局の同窓会の幹事を仕切ったのは緊張したよね。みんな転職してたりで連絡取るのも苦労したから。親会社の役員待遇大幹部の方まで来てくれて嬉しかった…ご本人も若い人とガッツリ仕事するようになるキッカケになったプロジェクトだったので、当時のことは思い入れタップリだったんだね。60歳前だった当時は優しい校長先生みたいなイメージだったけど、70歳を超えた今は、お酒でフニャフニャになって楽しいオジイさんになってた。先生=生徒の関係が、同じ時代を歩んだ仲間になったんだなーと思えたよ。

関連会社のアンダー30歳スタッフさんたちとも飲んだよ。わざわざ誘ってもらって。いつもムチャブリを投げ下ろす立場のボクらと、もっと親密な関係を作りたいと思ってたらしい…そこでボクに声かけるってのがアリかナシか。圧倒的にヤワいキャラのボクは間違いなく声かけやすいと思う。しかしボクの部内での影響力は圧倒的に小さいからねー。しかしホント今の若い世代は転職経験豊富でプロパーなんて激レア。そんな話題が刺激的。むしろ2年目の若手君に「いきなり引き抜かれないでね、キミ優秀だから絶対狙われるし」ってお願いしておいた。とはいえコッチでギャラ増やせないんだけどね。

高校同窓会も楽しいよ。飛行機関連の仕事してた男が、なぜか横須賀拠点の船乗りになってて驚いた。印刷会社の営業女性は、半導体基盤事業からバイオテクノロジー事業に関心が移ってるそうな。印刷会社ってホント事業ポートフォリオが幅広い。楽天で家具を売ってるヤツの情報では、テレビ台がイケる商材らしい…そんなに今テレビが売れてるの?じゃないと台も売れないよね?ただ、90年代カラオケだけはやめてほしい。THE虎舞竜の「ロード」とか。

週末も異業種交流会。最新のVR技術から360度映像の機材の話題、代理店さんの大変なヨゴレ仕事、著作権法改正の懸念、校閲作業の自動化システムなどなど。めっちゃ刺激的。ドローンの資格を取ろうとしてる人もいた。

●ちょっと質が違うけど、末期ガンを患った個人のパートナーさんに財産処分の相談を受けた。前から色々な病気を持ってて難儀してるとは聞いてたけど、さすがに命に関わる大病にはご本人もかなり落胆してて。「発覚が遅くて、もう正月越せないかも…」微妙に若いこともあって、病気の進行が早いようだ。2月前に会った時とはガラリ印象が変わって、実年齢50歳手前なのに65歳オーバーにしか見えない。無駄にデカかったはずの声もメッキリ小さくなっちゃって聞き取れないほど。喫茶店でコーヒーをお勧めしたのに「うーん、うまく飲み込めないんだ、残しちゃってゴメンね」なんて言われちゃった。…うわ、この人、本当に死んじゃうんだ!
●フリーで仕事を取る人なんだけど、不遇が続いてもうしばらく仕事をしていない。志半ばで斃れるのは無念だけど、全くやることがなくなって、誰にも顧みられることもなくなって、ただ一人で死ぬだけ、という終わり方も、とても悲しいことだ。



●真夜中にシットリ聴く、ハレルヤ。

KD LANG「HYMSD OF THE 49TH PARALLEL」

K.D. LANG「HYMNS OF THE 49TH PARALLEL」2004年。
●先月亡くなった、LEONARD COHEN の名曲「HALLELUJAH」が聴きたくて。この曲はたくさんのアーティストがカバーしてるJEFF BUCKLEY RUFUS WAINWRIGHT のカバーが素敵で大好きだ。でも今夜は、女性カントリーシンガー K.D. LANG のバージョンを。
●このアルバムはカナダ人である彼女が、カナダ人のアーティストをカバーするというコンセプト。ああ、アルバムタイトル「49TH PARALLEL」はアメリカ・カナダ国境をまっすぐ区切る「北緯49度線」のことなんだ。なるほど。そもそもで K.D. LANG LEONARD COHEN もカナダ人だったとは知らなかった。リリースは NONESUCH から。渋い企画にふさわしいシリアスに渋いレーベル。
高緯度の冷たい湿度が、ピアノとストリングスと彼女の中性的な声をシットリとエコーさせて、凛と響いている。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ。物悲しいメロディ。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ。
LEONARD COHEN の曲がもう一つ。「BIRD ON A WIRE」TIM HARDIN が書いたフォークソングだと思ってたけど、これも原曲は COHEN だったとは。この曲も優しく悲しい。
●カナダ人アーティストとして NEIL YOUNG JONI MITCHELL の曲も取り上げられてる。NEIL の代表曲「AFTER THE GOLD RUSH」「HELPLESS」も優しい湿り気に包まれて、ボーカルが柔らかくシットリと響く。原曲の荒廃した悲壮感に比べて、僅かな救いがある。JONI の楽曲は名譜「BLUE」に収録されてる「A CASE OF YOU」JONI の持ち味である奥ゆかしいキラメキを丁寧にすくい取ってる。JONI のもう一曲「JERICHO」は原曲未聴だが、想像するにジャズ成分高めやも。ジャズ期 JONI 作品。
●他にもピックアップされてるカナダ人アーティストは、JANE SIBERRY、RON SEXSMITH、BRUCE COCKBURN。ほとんど知らない方々。今後勉強しなくちゃ。BRUCE COCKBURN の楽曲はフォーク/ジャズ/カントリーのミクスチャーで、厳かなスウィング感覚とフィドルの響きが印象的。世界にはまだまだ知らない音楽世界があるのだな。どこまでも続く音楽遍歴の旅。




●彼女、2010年バンクーバー冬季五輪の開会式で、この曲を歌ってる。


K.D. LANG は1992年に自分がレズビアンであることをカミングアウトしてる。
カントリーソングという保守的な世界でイレギュラーなセクシャリティを明かすのは大きな勇気が必要だったろう。性同一障害を抱えた女性(男性として暮らしていた)がアメリカ中西部で凄惨な最期を遂げる、救いのない映画「ボーイズ・ドント・クライ」が1993年に公開された時期だ。しかし彼女のカミングアウトは結果として温かく受け入れられたし、彼女の表現に説得力を持たせたとも思える。様々な多様性が切り開く表現の可能性を体現する彼女の声。