芥川賞受賞作品、沼田真佑「影裏」を読む。

沼田真佑「影裏」

岩手県の美しい自然、川釣りの様子、同僚との友情。そこにチラリと忍び込んだ、ゲイセクシャリティと東日本大震災。淡々とした静かな世界の中を何事もなく歩いているつもりだったのに、一瞬主人公の性別がわからなくなった…一人称が「わたし」と書かれてるのは男女ドチラとも解釈できるギミックか?そこで読者を揺さぶったと思ったら、作中で地震が起きて東北地方が揺さぶられた。でも、実はゲイ要素も震災要素も作品の本質とは関係なくスルリと滑っていく。
文章が達者な人だと思った。文字の扱い方で世界の彩りを丁寧に制御しているようだった。また、新しい世界に出会った。芥川賞を毎回チェックする習慣は、やはり価値がある。


文学の世界を題材にしたマンガ。

柳本光晴「響 小説家になる方法」

柳本光晴「響 小説家になる方法」1〜7巻
●ここ最近で夢中になっているマンガの一つ。天才的な文学の才能を持つ現役女子高生・響。その圧倒的な作品の力は出版界や文壇社会すらを揺るがし、芥川賞+直木賞のダブル受賞を果たすほど。そこに輪をかけてセンセーショナルなのは、彼女の破天荒な行動。無礼な質問をする記者にマイクを投げつけ、カメラマンを蹴飛ばし、会見場から脱走する。大作家やマスコミにも物怖じしない。
●一瞬はサスガにムチャなキャラじゃないの?と思うのだけれども、かつて「文学」にはそのセンセーショナルな傲岸不遜さが期待されてたんじゃないのかと思い直す。作者自身が、自分が信じた「文学」の凶暴さ野蛮さを、このメガネのヒロイン、地味で無愛想で空気を読まない頑固な少女に託しているような気がする。

今でも誰でも、文字を読みたいし、書きたいと思ってる。でもミスマッチ。
スマホとアマゾンの時代において、書店の数が激減しているという。2000年と2017年を比較すると4割減、2万1654店から1万2526店に減少した。書店を一つも持たない自治体が全国で200もあるという(朝日新聞8月24日)。ああ、暗い話題だ。レコード屋も減ってるからすごくリアルに感じるわ。

ただ、文字表現は、今でも青少年にとって一番親近感がある表現だ。
●我が家の息子ノマド娘ヒヨコのラノベ消費量はかなりのモンだ。実はネット上に「小説」をアップしてる様子もある。当然ボクが読める場所には上げてないから内容は知らないが。ヒヨコは小説投稿サイト「小説家になろう」のヘビーな読者でもある。電車の中で移動中にスマホでたっぷりなテキスト読んでるから何してんだと聞いたら答えは一言「なろう、読んでる」実は潜在的な部分で、文字文化の需要は途絶えていない。YouTubeで動物カワイイ動画を探すように、連中はネットの世界で自分たちの感覚にフィットしたテキストを探査しているのだ。

ただし、既存の出版流通と彼らの世界観にはミスマッチがある。
●ヒヨコと、吉祥寺パルコの本屋に行った時、印象的な会話をしたなあ。ヒヨコは「文庫」がなんだか理解してなかった。やはり芥川賞作品の又吉直樹「火花」が文庫になって平積みされてるのを見つけたヒヨコ、「あれ、火花、こんなに小さくなっちゃったの?」本はね、最初は立派な単行本として世間に出るけど、十分売れたなーというところでお値段控えめの小さな本、文庫版としてもう一度売り直されるのだよ。で、ずーっと売れる本は文庫版としてずーっと名作として本屋さんに並んでいるんだよ。「えー!なんだかチッポケすぎるー!じゃあなんで最初があんなに立派だったの?」……まーそこは出版社の稼ぎドコロというか…確かにボクも高いと思うからハードカバーなんて古本でないと買わない。でも、こんな基本的な出版ルール、誰かに教わらないと察知できないものか?でも、今の中高生のリアルはその程度なのだ。
●文庫も新書も雑誌もマンガも。当然と思える出版のシステムが、ある世代にとっては全く未知のルールになってるんだな。そのミスマッチをどう埋めるのか、これが課題なのかもね。新聞テレビ含めてレガシーメディアは無自覚なミスマッチを正確に理解して対応しなくちゃいけないんだな。


書店に元気がないのも事実かも。下北沢ヴィレッジヴァンガードでさえ。
熱のこもった手書きPOPがヴィレヴァンの代名詞ですよね。バイヤーさんの渾身のおすすめコメントがヴィレヴァンを別格の存在にしたんですよね。
ところが、マンガ売り場からそのおすすめコメントが減ってしまった気がする。少なくとも新刊マンガにはチョッピリだけだよ。ダブり買いを防ぐための発売日表記だけお義理にようにやってるだけだよ。バイヤーは作品読んでないよ。読む暇もないか、普通の新刊を普通に仕入れてるだけだし。そもそも新刊コーナーがお店の入口から離れてしまい、なんと TENGA 売り場の裏側になっちゃった。TENGA 売るのは構わないけど、マンガ新刊は TENGA のバリューに劣るのか、ってのがちょっと悲しい。
●店員の女の子が、大友克洋「AKIRA」のTシャツ着てたんですよ。名セリフ「俺達ァ健康優良不良少年だせ」の金田のドヤ顔がでっかくプリントされてるんですよ。当然気になったから、レジカウンター越しに「そのTシャツカッコいいですね、アキラ好きなんですか?」と声かけたら「ゴメンなさい、実は読んでないんですー」。えー、そこにドッサリ売ってるじゃん!DVDで映画まで流して。「他のお客さんにも同じこと言われましたー今度読んでみます!」……うーん、しかし「AKIRA」はヤンマガ連載当時は80年代でボクが中学生だった時代の作品、二十歳そこそこの彼女に読めは過酷か。ワイフには「説教くさいサブカルオヤジは黙ってな」と一喝された。



●音楽の話題。ここからはより一層意味のないカスな話題です。申し訳ないです。


激安ワゴンから買い集めてしまった、ワケの分からない買い物たち。
●今まで行ったことがなくて知らなかったのですが、横浜駅前のレコファンには広大な100円コーナーがあるんですね。いやー確かに産業廃棄物寸前の駄盤ばっかなのですが。でもココを数時間掘ったら捨て置けぬ物件もたくさん出てきてしまって、結果すげー無駄遣いしてしまったような。

●さしあたり、膨大な無駄遣いからジェイポップ関連をパラパラご紹介します。

TOMMY FEBRUARY6「EVERYDAY AT THE BUS STOP」

TOMMY FEBRUARY6「EVERYDAY AT THE BUS STOP」2001年
●このシングル、実は長年探してたんですわ。目当ては表題曲ではないんです。三曲目に STRAWBERRY SWITCHBLADE のヒット曲「SINCE YESTERDAY」1984年のカバーが収録されてる。これが聴きたい!一度別の場所で聴いて頭から離れなくて…マジで10年くらい気にしてたかな。
●原曲のセンチメンタルな気分をそのままキュートにパッケージした上で、いかにも80年代再評価なピコピコアレンジでダンサブルにしてる。ああ買ってよかった!思えばこの人は00年代に始まる80年代再評価の先駆を走ってた人だよね。変名・別名義の TOMMY HEAVENLY6 とか THE BRILLIANT GREEN とかを駆使して自己イメージに意識的な戦略家のイメージがある…キュート/ポップ路線は FEBRUARY に、ゴズ/ロックテイストは HEAVENLY6 に、バンドサウンド/ガンダム主題歌は THE BRILLIANT GREEN にとか。ガンダムに使われた「ASH LIKE SNOW」2008年はジャケも好き。

MIHIMARU GT「I SHOULD BE SO LUCKY : 愛コトバ」

MIHIMARU GT「I SHOULD BE SO LUCKY / 愛コトバ」2007年
●これも80年代カバーだね。表題曲は KYLIE MINOGUE の1987年のヒット曲のカバー。KYLIE にとっても出世作になったはずだし、プロデュースチーム STOCK, AITKIN & WATERMAN がガッツリ仕掛けたユーロビートの代表作としても有名。それにエイベックスのラップユニット MIHIMARU GT が日本語ラップをまぶしてます。原曲のウキウキ感はそのままですね。

GORIE WITH JASMINE JOANN「MICKEY」

GORIE WITH JASMINE & JOANN「MICKEY」2004年
ガレッジセールゴリさんがフジのバラエティ「ワンナイR&R」で演じたキャラ・ゴリエがそのままCD出しましたってヤツ。もうみんな忘れてるのでは?実はボク自身はリアルタイムでも全然この番組見てないのであまり理解できてないです。ゴリさんはほとんど歌ってなくて、JASMINE JOANN がメインのボーカルをこなしてるみたいです。
●でもね、これもズバリ80年代カバーでしょ。TONI BASIL「MICKEY」1981年でしょ。これ原曲も欲しいんだよなー。まーあまり高額で買うってほどでもないんだけど。あ、このゴリエシングルは50円でした。今日の紹介音源ほとんど50〜100円だよ。

GORIE WITH JASMINE JOANN「PECORI♡NIGHT」

GORIE WITH JASMINE & JOANN「PECORI ♡ NIGHT」2006年
あ、もう一枚シングル出してたんだ、ついで買っちゃおう。で、聴いてみたらコッチは BAY CITY ROLLERS「SATURDAY NIGHT」1974年の日本語替え歌カバーでした。音楽で聴く範囲じゃもうゴリエさんほぼ不在だけど。

NICOTINE「太陽(ティダ)の木の下で」

NICOTINE「太陽(ティダ)の木の下で」2004年
90年代前半から活動している日本のパンクロックバンド。ボクの印象では HI-STANDARD BRAHMAN のようなバンドと同世代で、日本のメロコアシーンを盛り上げた存在。この曲はタイトルの雰囲気で伝わるように「沖縄」にインスパイアされたスカ風味な内容で、英詞にも関わらずメロディもギターフレーズも島唄ニュアンスがたっぷり。
●で、オマケのように MADONNA「LA ISLA BONITA」1986年のパンクカバーもやってる。スパニッシュで「美しい島」だもんね、沖縄に繋がるよね。でもコッチは手加減のないファストなハードコアパンクなアプローチですわ。

JINDOU「なごり雪」

JINDOU「なごり雪」2003年
●ズバリ、イルカ1974年の代表曲をカバー。しかし、このバンドは実にマッチョな男臭いミクスチャーロックで、ラップパートまで挿入してゴツいロックに仕上げてます。2006年にはバンドが解散してるんだけど、メンバーの一人がその後、芦田愛菜&鈴木福「マル・マル・モリ・モリ!」2011年の作詞作曲を担当したという逸話がウィキに乗ってる。人生いろいろ。

LARC~EN~CIEL「SEVENTH HEAVEN」

L'ARC~EN~CIEL「SEVENTH HEAVEN」2007年
●ラルクのベストを聴いた時に、収録されてないシングルがあると思って気にしてた楽曲。なんかのテレビのタイアップがあったので耳になんとなく残ってたんだよね。彼らの中でもダンサブルなスタイルなこの曲、やっぱり80年代のユーロビート、DEAD OR ALIVE を意識して作ったらしいよ。ボーカルの気分も一際グラマラスなニュアンスにしてるのは、DEAD OR ALIVE のトランスセクシャルなフロントマン PETE BURNS へのトリビュートな表現なのね。

GLAY feat KYOSUKE HIMURO「ANSWER」

GLAY feat. KYOSUKE HIMURO「ANSWER」2006年
GLAY とその大先輩ヒムロックが合体したシングル。完全にヒムロックにセンターを譲って GLAY はバックバンドに徹してます。ヒムロックの気になるキャリアとして昔から気になってました。ヒムロックといえば、あとは KAT-TUN に提供した「KEEP THE FAITH」のセルフカバーね。これを入手したいなー。

GTS「THROUGH THE FIRE」

GTS feat. MELODIE SEXTON「THROUGH THE FIRE」1996年
90年代トーキョーハウス番長だったこのユニットが、CHAKA KAHN 1984年のヒット曲をカバーしたシングルです。「THROUGH THE FIRE」といえば、ワリと初期の KANYE WEST がガッツリこの曲をサンプルした「THROUGH THE WIRE」を連想します。ガラケー時代はこの曲を着メロにしてたっけなー。GTS の中核人物 DJ GEE は音楽事務所 ARTIMAGE の社長で、かつては m-flo とかが所属してたっけ。

石野卓球「STEREO NIGHTS」

石野卓球「STEREO NIGHTS」2001年
石野卓球のソロと言っても一口にくくれない幅がありますが、今回は明るい未来がパッと開けるようなエレポップディスコ。80年代風なような気がします。二曲目の「HIROSUEBASEBALLBAT」のストイックかつ音数多めの一本槍テクノの方が本来の芸風なような気も…でもなんで「HIROSUE」?広末涼子?

宇宙犬

宇宙犬「CORECCA」1996年
●時代も古いのでしょうがないですが、直球で電気グルーヴ最初期の作風のフォロワー/エピゴーネンです。シンプルなブレイクビーツテクノに、日本語ラップ(非ヒップホップ)であーだこーだ言い散らかす感じ。1991年「FLASH PAPA」時代の電気グルーヴそっくりな気分です。名前は知ってた程度だったので…50円だし、まーいいやー。暴力温泉芸者リミックスが入ってる感じも、ある意味渋谷系時代ですね。両者とも超傍流渋谷系でしたけど。

テイトウワ「火星」

テイトウワ「火星」2000年
●さすがテイ先生、17年も経過しても新鮮なセンスを感じさせるダンスポップ。と言うか完全に2ステップですね。当時、日本じゃテイトウワさんが2ステップの一番の唱導者だったイメージがあるんですけど。コロコロ転がっていくリズムの楽しさがやっぱイイね。しかも聴き馴染みあるなーと思った女性ボーカルが、クラムボン・原田郁子さん。ナイスすぎる。

NIRGILS「KING」

NIRGILS「KING / アイススケート・フォー・ライフ / LEMON」2004年
●このバンドの持ち味、エレクトロダンス感覚とボーカル嬢・岩田アッチュのエピックな熱唱が見当たらなくて残念。と思ったら、その成功方程式を見出した「SAKURA」(アニメ「エウレカセブン」主題歌)2006年以前の模索期だったのかと。石野卓球の高弟 DJ TASAKA のリミックスも収録。彼らが手がけた渡辺美里「MY REVOLUTION」も探してます。彼らはこの曲をマッシュアップサンプルしたことがあって(ていうか当時バズワードだった「マッシュアップ」という手法に積極的だったバンドなのでした)、その流れで改めてキチンとカバーした経緯がある模様。

wyolica「愛をうたえ」

WYOLICA「愛をうたえ」2000年
●この前 MONDO GROSSO 名義で新譜を出したばかりの大沢伸一が、この男女2人ユニットのキャリア初期をプロデュースしてたことで注目。アシッドジャズやフリーソウルのトーンに、可愛らしい女性ボーカルが乗るのが時代としてフィットしてたなー。好きで結構音源を買ってたんだけど、この曲を持ってないのに最近気づいた。シングル楽曲なのにベストに収録されてないんだ。
●キャッチーなメロディとキュートなボーカルに、ギターとベースがうまく絡みながら進むグルーヴ。ストリングスアレンジが途中に切れ込む具合が、大沢伸一スタイルでナイス!二曲目に収録されてるリミックスはボサ風味。

MISIA「陽のあたる場所」

MISIA「陽のあたる場所」1998年
●この曲90年代の歌だったのか、月日が流れるのは早い。日本のヒップホップソウルの傑作だと思ってます。で、シングルとしてわざわざ買ったのはカップリングされてる MASTER KEY(FROM BUDDHA BRAND)のリミックスが聴きたかったから。フィーチャリングにラッパー K DUB SHINE(FROM キングギドラ)が参加。90年代ヒップホップレジェンドが降臨。硬派でストイック。ラップもトラックもね。
●勢い余って、MISIA「LUV PARADE」2006年ってシングルも買った。ドリカムみたいなディスコナンバーだった。彼女はドリカムと合体コラボもしてるよね、確か。

SUGAR SOUL「ON」

SUGAR SOUL「ON」1999年
●こちらも日本のヒップホップソウルを代表するシンガーさんだよね。K DUB SHINE ではなく ZEEBLA さんとコラボしてた印象が強い。女性が歌うにはキワドイリリックをセクシーかつ堂々と歌う感じが、シーンのリスペクトを集めてたような気が。ここでは「GIN & LIME」という曲が印象的で。SNOOP DOGG の出世作「GIN & JUICE」を連想させるような、ルードでレイジーなソウルが効いてます。この人の他の音楽もちゃんと聴きたいな。歯抜け程度にしか音源持ってない。


●こんなに紹介したけど、これでも無駄遣いのほんの一部。ツーか、分量が多すぎて簡単に聴き切れない。まだ聴いてないんじゃ、紹介できないしね。また続報書きます。この夏は、ホント各所で無駄遣いしたわー。








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●息子ノマド高校一年生が、突然。
「JAVA やりたい!」
●と言い出して。
●ゲーム専用(しかも「東方」専用)だったウィンドウズマシンを引っ張り出して。
せっせとプログラムを組んでる。

●何が起きた?ノマド?
●何がキッカケでいきなりプログラム言語に目覚めた?「…別に…」
●で、何が出来るようになったんだ?「え、足し算」

●表情に乏しく口数も少ないので、全く要領が掴めないノマドだが。
JAVA言語のトッカカリを掴んだ達成感で、珍しく浮かれたようで。
●雨にも関わらず、JAVA 関連の書籍を買いに新宿まで遠征し、
思い出横丁にある、お気に入りの鉄火丼屋さんで鉄火丼食って帰ってきた。
「なんかウキウキ踊ってたよ、マジビビる」と妹ヒヨコの報告。


●娘ヒヨコ中学三年生の夏休みの宿題は。
「1980年代以降に起こった事件や人物について壁新聞的なレポートを提出」
●で、ヒヨコが選んだテーマが、「Google」
スティーブ・ジョブズとかは誰かがやると思うんだよねー、と言いながら、もう一枚上にいく作戦。
●勉強するにも欠かせない「Google検索」
●お出かけするときには「Googleマップ」
●音楽も映像もテレビじゃなくて「YouTube」
確かに、ヒヨコの生活の超重要ライフラインじゃねえか。
●そして最後に「自動運転技術」と、独自開発の可愛い「Googleカー」の絵を描いて完成。


●ワイフは本日、家族を差し置いて。
米林宏昌監督作品「メアリと魔法の花」を映画館に鑑賞しに行ってた。
●ワイフ曰く「ジブリ要素のパッチワークかなーと思ってたら」
「むしろ完璧にジブリまる呑み全部盛りだったわよ!」と最高の敬意表明。
歴代ジブリ作品の様々な名場面がフラッシュバックしてきて、ジブリファンのワイフは打ち震えたとな。
●なんか、ボクも見たくなってきたぞ。


●ボクは、今週前半に夏休みをとって。
美容院に行ってきました。
●そしたら美容師のお姉さん「一気に短くしてツーブロックにしちゃいましょう!」
●え、なんか IT 企業風じゃないすか?勝手なイメージですけど。
●ということで、刈り上げになっちゃったのは多分高校生以来。今まで長い髪の毛メインでしたので。
そんで勢い余って、イメチェン推進。
レイバンの水色セルフレームのメガネ買っちゃいました。
●これでチャラいオッサンになろうと思います。
●ヒヨコのダメ中学校の校則によるとツーブロックは違反らしい。公序良俗に反してるのか?


連休絡めて5日間仕事しなかったら。
会社の PC のログインパスワードを完全に忘れて仕事ができない。マジかよ。
●ほんとに思い出せないので、パスワード変更手続きで30分くらい時間ムダにしたよ。
●あれ…なんか…痴呆症?



●音楽。今回、THE ROOTS 繋がりで。

Men in Black The Album

VARIOUS ARTISTS「MEN IN BLACK: THE ALBUM」1997年
●LPの叩き売りボックス100円セールで見つけて、買った瞬間買ったことも忘れてた一枚。もう映画の内容もよく覚えてないわ。映画主題歌の WILL SMITH のアッケラカンとしたセルアウトなポップっぷりをチョイと聴いてみる程度の関心だったのかな。たまたま連休中にマンガと本の山の中から見つけて、なんとなく針を落としてみただけ。
そしたら。あれ?これイイ曲が入ってるじゃん!
D'ANGELO FEAT. THE ROOTS「THE 'NOTIC」って曲がイイ!ニュークラシックソウル鉄板の組み合わせ、THE ROOTS の丁寧なバンド演奏が EARTH, WIND & FIRE「SHINING STAR」をシットリとユックリとカバーして、その中で D'ANGELO の滴るような色気歌唱が響く。一回演奏がアウトロにいくかと見せかけてまたサビにいく展開とかニクい!もうこの一曲の発見だけで、ゴハン三杯いけますわ。
●その他、ヒップホップの90年代ゴールデンエイジを支えた良心的な連中が次々と登場。A TRIBE CALLED QUEST、DE LA SOUL、NAS。実直でブレない芸風がここでもビシッと決まってる。
●当時アトランタの新進プロデューサーだった JERMAIN DUPRI とウェッサイの重鎮 SNOOP DOGG とコラボしてるのもよかった。SNOOP の飄々としたフロウは、DUPRI のブラコン的トラックにうまくハマってちょっといつもと違う味。はー意外なほどよかったわー。予想してなかったからなおのことシビれた。

LES NUBIAN「PRINCESSES NUBIENNES」

LES NUBIAN「PRINCESSE NUBIENNES」1998年
●ということで、THE ROOTS 繋がりで行きますよ。史上屈指のヒップホップバンド THE ROOTS がこのアルバムでも好きになっちゃったんだよね。
●さてこちら、ジャケの美女っぷりでもうイイ感じ出てるのですが、彼女たち LES NUBIAN フランスの姉妹ユニット。これがデビュー盤だ。ニュークラシックソウルのど真ん中をいくオーセンティックなR&Bアプローチに加え、フランス語のボーカルが耳に新鮮。ツインボーカルが可憐に絡む様子もセクシー。洗練されたジャジーな気分がヨーロッパなんだろうね。
●ここにこれまた唸らせるカバー曲がある。SADE「THE SWEETEST TABOO」をフランス語にした「TABOU」がすげークール。これもゴハン三杯イケる。彼女たちの洗練されたボーカルだけじゃなく、女性ラップも絡めてくる。ラップもフレンチだからやはり響きが新鮮。
ここにボーナストラックとして、「TABOU」THE ROOTS リミックスが入ってくるのですよ。リミックスというか、THE ROOTS のメンバーによる生演奏。ピアノと生弾きベースと確実なスネアが生バンド感をクッキリ出して、彼女たちも違う空気の中でさらにクールに輝いてるように思える。こっちのラップは THE ROOTS の前衛 BLACK THOUGHT がキメる。
●こっちはアマゾンで本体価格1円+送料350円だったね。イイ買い物。


●8月になると、戦争の本を読む。
●気づけばもう数年にわたる習慣になってたな。

ぺリリュー楽園のゲルニカ

武田一義「ペリリュー 楽園のゲルニカ」1〜3巻
●太平洋の島国、パラオの南にある島、ペリリュー。平和な楽園かのように見えるこの美しい島が、大戦の最中は激しい激戦地になったという。ここの防衛を担った日本兵約一万人はほぼ全滅。その戦いを三頭身マンガで描く。
●ただ、このかわいらしい絵と、作戦の悲惨さのギャップが激しすぎてキツイ。三頭身でも爆撃を受けて人体はバラバラになる。火炎放射器で塹壕ごと炙られたら黒焦げになる。
日本軍は本当に人命を安く見積もっていたんだなと思い知る。作戦の目的は「アメリカ軍を足止めし続けろ」。確かにこの島の飛行場を占拠すれば、アメリカ軍はフィリピン戦線に対して直接爆撃機を送り込むことができる。だからそれを食い止めろ。しかし援軍も補給もナシ。死ぬまで戦え。しかも「玉砕」禁止。粘り続けて地獄を戦い続けろ。
●この悲劇は、今回このマンガで初めて知った。ボクはまだあの戦争のことを全然知らない。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」
●東京大学で日本の近現代史を研究する著者が、高校生を相手に「日清戦争」「日露戦争」「第一次大戦」「満州事変〜日中戦争」「太平洋戦争」それぞれの戦争に対して、当時の日本人がどのような思考と政策決定で突入していったのか、膨大な史料に基づいた知識を前提に講義を展開した様子を書籍化。どの時代も様々な勢力(国内外関わらず)と様々な思惑が錯綜して、戦争は引き起こされる。それが生々しい。
1894年の日清戦争から1945年の太平洋戦争終結までこの50年間は日本人にとって対外戦争は当たり前だったのかも知れない。それにしても、日中戦争激化に対する陸軍のスタンドプレーや、太平洋戦争の向こう見ずな戦略立案はあまりにも自己中心的でデタラメすぎると思った。一方で、日露戦争開戦はその1ヶ月前まで戦争回避の為に様々な人々が運動していたのに。
●しかし、根本の部分で、明治維新以降の日本はただひたすら帝国主義列強に対する安全保障の為に、綱渡りをするような気持ちで国を動かしていた、というコトを知る。帝国主義列強の代理戦争をやらされてると自覚しながら清王朝と戦うとか、南下するロシア帝国の脅威に対抗する為には、日本海の対岸〜朝鮮半島/中国沿岸地域にロシアに軍港を作らせないとか、満州の権益は日本の生命線だとか、強迫観念のように自己防衛の事ばかり考えている。日本の近代史を「防衛戦争」と考えている人々が少なくないのは、こうした文脈がロジックの根本にあるのだろうなと理解。中国や朝鮮半島から見れば明らかに日本は「加害者/侵略者」であったのに、どこか内面的には「被害者」っぽい気分があるのは、ロシアやアメリカにずっと苦しめられていたというトラウマがあるのだろう。
●反対に、1945年以降、70年にわたって安全保障問題を日米同盟に甘えて頭を悩ませずに済んできたのは、日本にとって本当にラッキーだったとも思える。刻一刻と変化する帝国主義のサバイバルにリソースを割き続けるのはとても負担が重く、結局戦中のドイツもそれをやりこなせなかったのだから。

●この本で引用されていたルソーの言葉が印象的で。「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり敵対する国家の憲法に対する攻撃という形をとる」
GHQの占領時代と日本国憲法をさっと連想させるテーゼ。天皇制(=主権)のあり方も改造された。これは何もアメリカ占領軍の専売特許ではなく、すでにフランス革命以前の哲学者によって看破されてたコトだったんだな。改憲云々を主張する保守政治家や運動家の方々が、太平洋戦争敗戦の結果、何がどう攻撃されたのか?どのように認識してるかは、よくわからんが。
●ただし、その一方で、20世紀前半で日本が関わった戦争では、反対に日本が「主権/社会契約/憲法」を攻撃したケースがあったはずだ。それに日本人はどれだけ意識的であろうか。例えば朝鮮=韓国。ボクはあの国が主張するアレコレの各論(慰安婦/強制労働/竹島)について今どうのこうの考えてる訳ではないが、間違いなく日本はあの国の「主権/社会契約/憲法」を根底から攻撃/改造してしまったのは間違いない。憲法は憲法のレベルまでいってたかは別にして、自主的な近代化の芽は摘み取った気がする。

●アジアの近現代史の本は、アレコレ読んでる。
●気持ちが良くなるタイプの本じゃないことが多いんだけど、それでも飲み込む。




●本日の音楽は、フロリダ州マイアミのヒップホップ。
●アメリカの各都市には、ご存知の通りそれぞれに個性的なローカルのヒップホップシーンがある。特にサウスサイドのシーンは、アトランタ、ニューオリンズ、ヒューストンと軸になる都市がたくさんあって、シーンの全容を把握するのが難しいほど。ボクにとっては、マイアミこそなんだかよくワカラン都市だったんだけど、今日ハタとその核心に触れられたような気分になった。
「マイアミのアーティストは、アルバム一枚に色々なスタイルや仕掛けをバラエティ豊かに配置してて、ポップなサービス精神がたっぷり盛り込まれてる」。ボクが得た確信?はコレ。これがこの街の流儀なのかもしれないぞ。


本物の「サグ」稼業から転身、バラエティ豊かな芸風が光る地元のベテラン。

TRICK DADDY「THUG MATRIMONY MARRIED TO THE STREETS」

TRICK DADDY「THUG MATRIMONY: MARRIED TO THE STREETS」2004年
●なんとなく手に取ったCDだったよ。彼の名前は知ってたけど真面目に聴いたことなかった。マイアミを拠点にしてることも買ってから知った。でもコレが楽しかった!
ヒップホップのアルバムって、ラッパーの芸風、トラックメイカーの芸風で、CD一枚の基調が一本調子になりがち。ある意味、ワンコンセプトの一本槍を堂々と押し切るのが普通な気分がある。コレがオレのスタイルだぜ!とむしろその一徹ぶりに価値があるかのよう。普通のロック/ポップスならバラードありアップテンポありと緩急つけてみるところ、コチラにはその辺手加減がないかのような文化。ラップされてるリリックの中身に緩急あってもソレはボクにはほとんど理解できないし。
●でもね、この TRICK DADDY のアルバムは、意外なほど楽曲のスタイルが多様で、それがすごく新鮮に聴こえたんですわ。期待しないトコロで予想外のおもてなしをしてもらった気持ち。
●初っ端は思いっきりダーティラップな「F**KIN' AROUND」で達者な早業ラップを披露。T.I. YOUNG JEEZY らサウス〜アトランタ系の重鎮も召喚。その次の「LET'S GO」はなんと OZZY OSBOUNE のヘビメタ古典「CRAZY TRAIN」大ネタ使いしたクランクビートをド派手に炸裂。クランク大王 LIL JON のガナリ芸とカミカゼラッパー TWISTA もナイス助演。そんな硬派路線でやりきるかと思いきや、メロウなコーラスを従えた優しい曲もタップリ。「THE CHHILREN'S SONG」なんてホントに少年少女合唱団のコーラスを迎えてて無垢なポップスになってる。「U NEVA KNOW」はサウス系とは異質のウェッサイ・マナーを意識したG-ファンクを想起させるし、TALKING HEADS をネタにした「SUGAR (GIMME SOME)」とアルバムの締め「DOWN WIT DA SOUTH」は、ペタペタ滑っていく早めのビート感覚が、80〜90年代のマイアミベースを連想させる。芸歴50年!生ける伝説 RONALD ISLEY の美声をフィーチャーした「I CRY」は高機能なアーバンR&Bとして完璧。…という感じで、楽曲のスタイルが本当に多様なのです。そしてそういう構成感覚が、ボクにはおもてなしなサービス精神と受け取った。さすがリゾート観光都市・マイアミ。
●あと、この2000年代前半から「サグ」って言葉がヒップホップ界隈で目立つようになった気が。ここにもアルバムタイトルに「サグ」の言葉が出てくる。SLIM THUG とか自分のステージネームにする人も出てきたり。ギャングスタ、ハスラー、ピンプ、と続いて「サグ」かー。直訳すれば「チンピラ」。実際にこの人は、ローティーンの頃からピンプ稼業の父親と一緒にクラックやコカインを売り歩いてて、殺人未遂の嫌疑で懲役食らってるというホンマモン。ラップを始めたのは牢屋の中なんだってさ。
●さて、TRICK DADDY はこのアルバムで全米レベルのヒットをものにして、全国区の活躍を始めるが、すでにアルバム6枚目、芸歴は90年代後半にスタートと、すでに地元じゃ十分なキャリアがあった。拠点にしてたレーベルは地元マイアミの SLIP-N-SLIDE RECORDSこのレーベルから彼に続いてマイアミのローカルヒーローがどんどんブレイクしていく。


味のあるモコモコ声で、毎日毎日ハスラー稼業の、デビュー&セカンド作品。

RICK ROSS「PORT OF MIAMI」

RICK ROSS「PORT OF MIAMI」2006年
「マイアミの港」ってなんの意味?と思ったら、中南米からのコカインの密輸先としてマイアミはとっても有名なんだそうです。TRICK DADDY と違ってこの人は犯罪に関わったことはないそうですが。ただ、TRICK DADDY とツアーを回ってキャリアを立ち上げた、SLIP-N-SLIDE RECORDS のレーベルメイトであります。
●このアルバムもバラエティ豊か、というか、あまりサウスサイドのマナーにこだわらないスタンスが結果的にポップに楽しめます。AKON MARIO WINANS、LYFE JENNINGS といったシンガーを召喚した曲はどれもサビが渋く決まるR&B仕様で、メロウネスがとてもキャッチー。ハイハットがうるさ過ぎるチキチキなバウンスビートはここでは目立たない。とはいえ、それでもどこか不穏な気配が全体に漂うのは、RICK ROSS の声が元来から低くくぐもっていて、わざとレコードの回転速度を下げて音をモコモコさせる「スクリュード&チョップド」というサウス独自のスタイルを連想させるからかも。
●聴きどころはヒットシングルになった「HUSTLIN'」か。「エブリディ、アイムハスリンハスリンハスリンハスリン」と連呼しまくる(しかもスクリュー気味に)ところが中毒的にハマる曲。ドロリとした質感のトラックも気分が出てるわ。ただ、こんなに「ハスリンハスリン」言われると、「毎日セッセと稼いで稼いで稼いで稼いで…」と追い立てられてるようで、ハスラー稼業もサラリーマンと変わらないような勤労意欲が大事なのかなと思ったり。この曲を御大 JAY-Z も気に入ったようで、彼と YOUNG JEEZY が客演したリミックスもある。そんで、ここでハッキリしましたが、RICK ROSS「サグ」じゃなくて「ハスラー」。ハスラーの意味は「敏腕家/やり手」。「サギ師」って意味も出てきますが。
●それと、大ネタ使いが派手な「I'M BAD」もイイね!70年代ディスコチューン「THEME FROM S.W.A.T.」がバタ臭く鳴らされてて痛快。このアルバムの中で、一番ポップに聴いちゃった。

RICK ROSS「TRILLA」

RICK ROSS「TRILLA」2008年
●前述のデビューアルバムでいきなりブレイクした RICK ROSS。セカンドにしてすでに高級車乗ってます。
前作のドロリとした質感からメジャー仕様にランクアップ。やっぱりサウスマナーにこだわりない感じ。R. KELLY T-PAIN、TRAY SONGZ ら手練れのシンガーを贅沢に使った曲はみんなクールなヒップホップソウル、華やかでピカピカしてるぞ。NELLY らと組んだ「HERE I AM」は軽快で爽やか過ぎるほど。成金趣味も炸裂してて「MAYBACH MUSIC」「BILLIONAIRE」「LUXURY TAX」と三連投で金持ち自慢をメロウにかましてる。
●で、やっぱり大ネタ使いがある。最後の曲「I'M ONLY HUMAN」は、THE HUMAN LEAGUE「HUMAN」1986年をガッツリサンプル。マイアミ系ヒップホップ、サンプルネタがザックリしてて、ちょっと笑えちゃうほど。こういうところも見事にポップだよ。


ワンコンセプト推しでマイアミ風のトラップミュージック。それが彼のリアル。

PLIES「THE REAL TESTAMENT」

PLIES「THE REAL TESTAMENT」2007年
SLIP-N-SLIDE RECORDS から三人目の刺客がデビュー。ホントこの時代のマイアミは人材が分厚かったし、世界からも注目されてたね。次から次へと才能ある新人が現れる。でもナニげにみんな「遅咲きの新人」で、RICK ROSS PLIES も後述する FLO RIDA もほぼ同世代ですでに30歳超えてたはず。実は年齢では大先輩 TRICK DADDY ともそんなに変わらない。オマケにボクとも変わらない(ボクと TRICK DADDY は同い年)。
彼のアプローチは、豪華な客演はそんなに盛らずに、己のラップで勝負のスタンス。バラエティ感あるポップネスとは反対の硬派なワンコンセプト推しだ。この一徹ぶりが彼のリアル感覚なのか。トラックのスタイルもそんなにアレコレと手を広げない。奇数拍のアタマにハンドクラッピングまたは乾いたスネアをパチパチ鳴らして、キックとベースはむしろ自由に動いてスムーズなファンクネスを演出する。これが00年代後半型のマイアミ風トラップミュージックか。ニューオリンズの NO LIMIT 一派や同時期の CASH MONEY 一派に比べると、スネアにアクセントを持つ意味では同じサウスマナーだけど、マイアミテイストは明らかに洗練されてる気がする。
●とはいえ、ヒットシングルは客演を迎えたポップな楽曲でした。T-PAIN を召喚した「SHAWTY」はトラップマナーをベースにしながら圧倒的な洗練で耳に気持ちいい。そもそもで T-PAIN の高音ボイス(オートチューンで加工)が気持ちいいんだよな。AKON 召喚の「HYPNOTIZE」も文字通りうっとり幻惑させられるわ。
●ちなみに、このヘンなキャップのかぶり方。中途半端に軽く乗っけるスタイル。アトランタの帝王 T.I. が同じコトやってたと思うんだよね。この手のファッション、ボクの生活じゃ全く応用できないわ。ただ、2010年代に入って EDM にまで影響を広げるトラップミュージックの本当の先駆は、T.I. だとボクは考えてます。(詳しくはコチラの過去記事をご参照)

PLIES「DEFINITION OF REAL」

PLIES「DEFINITION OF REAL」2008年
●セカンドアルバム。リアルにこだわる PLIES くんなので、またタイトルに「REAL」の文字が入ってます。このアルバムも硬派だなー。客演はそんなに多くなくて(TRAY SONGZ、KEYSHIA COLE、J. HOLIDAY とか)、彼のラップを同じコンセプトのトラックで押し切ってる印象であります。ただ、ポップな曲はやっぱりありまして…NE-YO 参加曲「BUST IT BABY, PT.2」は客演家のスウィートネスでタマランですわ。


バラエティ感最高!ダジャレに終わらぬ、フロウにワザがありのエンターテイナー。

FLO RIDA「MAIL ON SUNDAY」

FLO RIDA「MAIL ON SUNDAY」2008年
●彼は SLIP-N-SLIDE の所属ではないけど、TRICK DADDY RICK ROSS の近辺でキャリアを積み上げてきた男。生粋のフロリダ男ってワケだけど、名前を「フローライダー」にしちゃったのはスゴイね。実際のところ、彼のフロウは、緩急のメリハリが印象的な、バリエーションの豊富なスタイルで、非常にポップに聴こえるのです。完全にラップを忘れて自分で歌っちゃう曲もあるしね。「MS. HANGOVER」は軽快なポップチューンで全部一人で歌っちゃってるよ。プロデューサーの J.R. ROTEM は硬派なヒップホップから BRITNEY SPEARS まで手がけるユダヤ系の男で、ナニげに今日紹介している他の音源でも活躍してる。
そんなわけで、トラックのバリエーションも実に豊富。サウスマナーなトラップミュージックを逸脱した意外なスタイルがドコドコ投入されてる。出世シングル「LOW」「ロウロウロウロウロウ!」とサビで連呼するフックが印象的なんだけど、BPMは異常に速いし、T-PAIN がまたも参加してキャッチーなボーカルを披露してくれてて、今までの文脈の中では異色の存在。一方で、同じように「ローローローロー」というフックラインが出てくる「ROLL」という曲はドロリとしたトラップ系。このアルバムは、サウスマナーに充実なドロリと幻惑的な楽曲と、それを大きく逸脱したポップネスてんこ盛りのスタイルの間を反復横跳びするように往復しまくるコトで、飽きのこない構成をなしてる。
逸脱型ポップネスの方面では、TIMBALAND と組んだ「ELEVATOR」がイイ。TIMBALAND が手がけた MADONNA FEAT. JUSTIN TIMBERLAKE のヒット曲「4 MINUTE」と似た質感のダンスポップがイイ。あ、この曲と MADONNA の曲は同じ年の曲なのか。ビキビキのシンセビートにホーン系のムサイサンプルが加わってるトコロがそっくり。TIMBALAND のトレードマーク「ピキピキ!」の口癖もたっぷり。「IN THE AYER」ももはや異端派クリエイターとなった THE BLACK EYED PEAS WILL.I.AM が担当。いつの時代を参照してるのかよくわからんエレクトロヒップホップを投入。西海岸チカーノ系のトークボックスプレイヤー FINGAZZ を登用した「ME & U」は、メロメロメロウなスローナンバーでアルバム全体から浮いてるほど。前述の「LOW」は、パンクバンド BLINK-182 の元メンバーが完全なロックバージョンにリミックスしたものまで収録されてる。うわ、パンクロックまで採用するのね。
硬派なサウスマナー方面では、ニューオリンズの一大勢力 CASH MONEY RECORDS の社長 BIRDMAN を客演に召喚しての「PRICELESS」が典型的。出たがり社長の BIRDMAN はスキルというより味と雰囲気で楽しむべし。その彼のルードでルーズなキャラと一緒にドロドロとした世界を作ってる。不穏なベースラインに重心が偏るこのトラックは、厳密にいうとトラップでもないかもな。青CASH MONEY のスーパースター LIL WAYNE も一曲目から登場しているよ。アトランタの若手 YUNG JOC との共演「DON'T KNOW HOW TO ACT」はシンセベースのトラップがチープすぎて、むしろこれが味。トラックがチープなほどラッパーの技が映えるのもヒップホップの真実。マイアミの朋友 RICK ROSS も客演参加。モコモコしたラップが耳を引く。FLO RIDA の方が、ラップが明瞭でフロウの幅が広いってことがわかっちゃった。

FLO RIDA「ROOTS」

FLO RIDA「R.O.O.T.S」2009年
これまたバラエティ豊かな異色の楽曲がたくさん収録されててビックリ。この一枚で、マイアミの街の個性は「バラエティ感」なのではと思い至ったといっても過言じゃない。ヒップホップじゃないじゃん!って楽曲も遠慮なくぶち込んであるんだもの。老いも若きも全米から人が集まってバカ騒ぎして夏休みを楽しむ観光都市マイアミは、人種やスタイルを超えて、踊れて楽しい音楽が要求されてるのかも?とマイアミが舞台だった映画「スプリング・ブレイカーズ」を思い出しながら考えたよ。
●独特のミクスチャーセンスを持つボルトガル系カナダ人SSW NELLY FURTADO を召喚した「JUMP」は素朴にダンスポップだし、それに続く「GOTTA GET IT(DANCER)」はカッコで示されてる通りに80年代エレクトロのアップデートっぽいダンスミュージックでラップらしいラップもないぞ。WILL.I.AM 制作の「AVAILABLE」も完全なダンサー。客演の AKON もテンポ早めのビートにうまく乗ってます。とにかくビートがみんな早いなあ。「SHONE」という曲ではトランスめいたシンセリフが採用されてる。00年代後半のどっかのタイミングで、アメリカのアーバンシーンはヨーロッパのDJカルチャー(=トランス)を採用したんだよな。それがその後の EDM 世界制覇に繋がったとボクは考えている。
●メロウ系としては NE-YO さん召喚の「BE ON YOU」だな。FLO RIDA 自身のフロウもメロが乗っかってるから、素朴にアーバンR&Bとして聴けちゃう。…ムー、結果的にここまで来た感じ、ヒップホップアルバムじゃなくてダンスポップアルバムみたいだなあ。ラップ楽曲には下積み修行が長い彼の苦労を綴ったものもあるらしいけど、飛び道具がすごすぎて…
●そうそう、最高の飛び道具!久しぶりの大ネタ使い!KE$HA を召喚した「RIGHT ROUND」はズバリ DEAD OR ALIVE「YOU SPIN ME ROUND (LIKE A RECORDS)」をネタ使いというよりカバーアレンジしちゃってます。こういう時、70〜80年代の一周以上回りまくったヒット曲を使うのが、イケてる技ってコトになってるんでしょうか。ボクは初めて聴いた時は思わず吹き出して笑っちゃいましたけど。結果的にはこのシングル、大ヒットしてます。今や誰もが忘れたイタリアの一発屋ユニット EIFFEL 65 のダンスポップ「BLUE (DA BA DEE)」1999年をネタに使った曲もあるんだよ。「ダサかっこいい」って感覚はアメリカにもあるのかな。この選曲は率直に「ダサい」と思ったけどね。でも「ダサい」もボクには好物、EIFFEL 65 のこの原曲もボクは持ってるよ。


そしてマイアミは EDM の街になりました。

PITBULL「PLANET PIT」

PITBULL「PLANET PIT」2011年
PITBULL はマイアミ出身のラッパーだが両親はキューバ人とあって、今まで紹介してきたラッパーたちとちと出自は違う。完全なラティーノであって容姿も白人と同じ。マイアミのストリートシーンからは早々に離脱し、メジャーレーベルへ積極的にアプローチ、年齢は今日のアーティストに比べて5年以上年少なのにデビューは2004年とグッと早い。2005年には P. DIDDY とディールを結んで、彼の BAD BOY RECORDS のサブレーベル BAD BOY LATINO を設立。完全にラティーノ市場/トロピカル市場を狙い撃つ戦略と体制を整えた。ああ、確かにこの辺のパーティノリはマイアミでバカ受けしそう。
●このアルバムは、そんな彼の6枚目の作品。時流に合わせて手加減ない EDM サウンドが炸裂しまくってる。NE-YO まで召喚した「GIME ME EVERYTHING」は制作がオランダ人トラックメイカー AFROJACK でマジ手加減のないヨーロッパ型 EDM になってる。というかアルバムのどこもかしこも、完全にディープハウス/トランス経由の EDM になってて、確かに PITBULL はラップをしてるけど、もうヒップホップって感じじゃなくなってるのですよ。ラティーノ路線というコトで、客演も MARC ANTHONY とか ENRIQUE IGLESIAS とかいるし。ワリと異世界な感じ。あ、トラック提供に DAVID GUETTA(フランス)、REDONE(スウェーデン)の名前も見える。
●ただ、完全なハウスになり切らず、どこかファンキーな気配が残っているのは、トラックの中に奇妙な反復があってそれが無愛想ながら粘着質なファンクネスに聴き取れる瞬間があるからかも。ヨーロッパの流行をそのまま移入すれば成功するわけではないのがアメリカという広い国の宿命で、クリエイターはこのアメリカのリスナーが何にフックを感じるのか、必死に探ってる感じはある。


マイアミの気合い入ったビッチ姐さん、だったはず。

TRINA「STILL DA BADDEST」

TRINA「STILL DA BADDEST」2008年
●今日最後の音源は、SLIP-N-SLIDE RECORDS の初期から所属してる女性ラッパーの作品。すでに4枚目のアルバムだ。この人、マイアミでデビューを果たすと、その後 MISSY ELLIOTT に接近してコラボを繰り広げてる。その路線が一区切りした段階の作品なんで、なんだか結果的に地味な印象が。
●異郷の師匠 MISSY ELLIOTT の援護射撃もあまり効いてないし、PITBULL ROCK ROSS の客演もそんなに効いてない。ビッチ姐さんは前線から撤収か?金髪から黒髪にしてちょっと落ち着いた感じが出ちゃってるもんな。


●むー。なんとか自己流でマイアミのシーンを飲み込んでみた。マジョリティの見解とはズレてるかもしれないけど。






●ROCK ROSS と FLO RIDA は顔が似てる。ヒゲが似てる。




●クソ暑いコトにただイライラするだけで、
「夏」らしいコトはまだ1ミリもしないうちに、
●また今年も、8月が無駄に過ぎ去るような気がして、
●冷蔵庫からワイフ秘蔵の「あずきバー」を引っ張り出し、
●夜中に食ってるボクの、実にちっぽけな「夏」気分
●…「あずきバー」って甘くてノド渇くなー。麦茶でも飲むか。


●通勤の電車の中で、ガラケーで2ちゃんねるを見てる人がいた。
●ていうか、ガラケーで2ちゃんねるって見られるんだ。知らなかった。
●どっちにしろ、表示できる文字数に無理があってすごく読みづらそう。
●そんで、話題はドラクエ関連のゲームに対する不満でイッパイだった。


●今日は、大事な取引先との契約書ドラフトを、フルスクラッチで一から自力で書いた。
●先輩が先週末まとめてきた合意条件を、今朝引き取って、夜8時までにワード文書に落とし込んだ。
●2年前のボクには絶対無理だったスキルが、なんとなく身についてきたよ。
●明日は、ウチの部署の主要事業4部門の月次概算報告レポート作成だ
●複雑な経理操作が目一杯あって、後輩は「コレは先輩の職人技で、誰も引き継げませんよ」

●しかしウラを返せば、契約書も月次概算も、誰もやりたがらない仕事で、
便利屋として、それをボクが背負ったまで。
●こんなチッポケなコトを、誰かが評価してくれるわけじゃないってのもわかってる。

●ただ、「契約と数字に強い」はウチの会社じゃ、圧倒的にレアキャラ。
●出世はしないが、リストラもされない、特殊スキルで進化を続ける。それが戦略。
●あ、「知財」も結構強いですよ。資格試験は落第したけど。
●これもそのうち、完璧な特殊スキルにしてやる。


●だけど、締切仕事が多くて、残業も増えてるわ。
●資料作成でPCに集中する時間が長すぎると、アタマがおかしくなる。安定剤をペロリ飲む。
●そんな夜の電車の中では、死ぬほどヤヤコしい本を読んで、現世から一旦意識を引き剥がす。
●今読んでいる本は「西洋音楽の曙」という本。マジであけぼの、古代ギリシャ/ローマの音楽からスタートだ。
プラトンが音楽にどんな印象を抱いていたか、ギリシャ古典演劇で音楽はどのように演奏されてたか、クソ真面目にビッシリ論述されてると、部長の小言もドコカへ遠のくね。古代ローマ時代のブタペストから発掘された「水力オルガン」ってのはどんな音を出してたんだろう?そんなコトを考えて遅い時間の電車に乗る。


●そんな時のBGMは、インディロックだよ。

Death Cab For Cutie「The Forbidden Love EP」

DEATH CAB FOR CUTIE「THE FORBIDDEN LOVE EP」2000年
このバンドの魅力、これまた一口で説明ができないタイプなんだよなー。繊細なギターサウンドと小さな声で歌われる美メロ。どこかメランコリックでセンチメンタル。かつて「メソメソロック」(←ボクの造語)と呼んでたタイプなんだけど、ただメソメソしみったれてるだけでもない。同時期のアルバム「THE PHOTO ALBUM」2001年と一緒にこの5曲入りシングルを聞いてたんだけど、聴けば聴くほど味が染み出てきて、なんだか止まりません。でも間違いなく地味。うわー全然説明できないー。すげえいいバンドなんだけどなー。

LEELAND「OPPOSITE WAY」

LEELAND「OPPOSITE WAY」2008年
DEATH CAB FOR CUTIE の複雑な繊細さと比べると、こっちの方はワリとスッキリ説明できる。初期 COLDPLAY みたいなエコー深めの「メソメソロック」です。 ファーストアルバムを昔に聴いてるのですが、セカンドのコレも予想を裏切らない COLDPLAY ソックリさん。340円でしたので買っちゃいました。あ、すでにいなくなっちゃったバンドだと思ったら、今でも活動してるみたいだ。

FUN「SOME NIGHTS」

FUN.「SOME NIGHTS」2012年
●これを「メソメソロック」と呼ぶのは少し違うかも。ボクとしては海外ドラマ「GLEE」でカバーされたバンドってのが第一印象。楽曲が感動ウルウルシーンで使われたから「メソメソロック」なイメージが漂うのかな。それでもドラマの中で聴いた代表曲「WE ARE YOUNG」は本人たちの演奏でもやっぱりセンチメンタルでエモーショナルなポップスで、とっても好きな曲だ。どこか芝居掛かったメインボーカルと、掛け合うコーラスのハーモニーがとにかく特徴的。「GLEE」のようなミュージカルっぽさをそのまま備えてるバンドだから、「GLEE」に抜擢されたんだね。これも340円だったよ。






●やべえ、「HUNTER×HUNTER」にハマって、読みまくってたら。
●そのまま「僕のヒーローアカデミア」にもハマってしまいそうだ。
レンタルDVDもレンタルCDも無縁になってきたのに、このタイミングでレンタルマンガを求めてビデオ屋さんに行ってしまうなんて。まんまとやられてる。
●マジですごい量のマンガ読んでるんですよ今。どうしよう。



カッコイイから、このCD、好きです、がなかなか言えません。

MOS DEF「THE NEW DANGER」

MOS DEF「THE NEW DANGER」2004年
●いつもブログにダラダラ音楽の話を書いてるくせして、実は、ホントにカッコイイと思ってる音源については、スゲー構えてしまって、なかなか指が動かない。その音源のカッコイイ魅力を言語化できないからだ。だから、これぞカッコイイと思ってる音源には全く触れられない。そんなジレンマを抱えてます、コレ本音。
●昨日の夜更け、このCDを枕元のラジカセで聴きながら、ワイフにこんな話をボヤいたら。

●そしたらワイフ「カッコイイと思ってるなら、カッコイイから好き、ってだけ書けばいいじゃん」
●あ、そうなのか。それでいいのか。

カッコイイから、このCD、好きです。以上。

●やっぱ!意味わかんないな。そこでもう少し言葉を足します。
MOS DEF はヒップホップMCという立場にいるのに、ラップだけに執着せず、歌ったり叫んだり呻いたりと実に自由で、その脂っこい佇まいも相まって、なんだかファンキーなブルースマンみたいな気配が漂ってる。ラップしててもトーキングブルースみたいだ。ことこのアルバムには、ヒップホップを通り越して、完全なブラックロックに突入したりもしてる。もうホントの生バンドを従えて突然ハードなロックをブチ鳴らしたり、ブルースを爪弾いたりする。MARVIN GAYE の名曲のメロディを拝借したりして、ブラックミュージック全般の伝統を全部飲み込んだ音楽を目指してる。R&Bもファンクもジャズも全部ごった混ぜだ。それはイマドキのヒップホップの洗練とは遠く離れた、泥臭く生々しいテイスト。そんな彼自身はこのアルバムで「THE BOOGIE MAN」って言葉を何回も使う。そうか、彼はラッパーでもブルースマンでもなく、「ブギーマン」なのか!

ウンチク並べるコトは、音楽そのもののカッコイイ魅力を語ってるコトにはならない。
●でもやっぱ気になるから付け足しするね。ハードなブラックロックが突如炸裂するのは、元祖的存在のハードコアパンクバンド BAD BRAINS(パンクなのに黒人さんバンドってのも稀有)のギタリスト DR. KNOW がバックバンドに参加しちゃってるから。レジェンド大ベテランがなぜ後輩ラッパーの仕事に突然降臨してるんだ?ビックリ。ブルースギターのゲストに SHUGGIE OTIS がゲスト出演。トラックメイカーには KANYE WEST RAPHAEL SAADIQ の名前も見える。
●もっとミクロなトコロに行くと、MINNESOTA というプロデューサーが作った「GHETTO ROCK」という曲のトラックがスゲエ好き。基本はメッチャシンプルなビートを執拗に繰り返すだけなのに、選りすぐりの個性的なサンプルを調合した小節アタマのスネア音が実にファンキーで、その一打だけでゴハン三杯食えるほど。しかも二小節または四小節ごとにこの頭のスネアのタイミングを微妙に溜めてズラしてるという細かい操作があって、これが死ぬほど痺れる。シンプルなビートだからこそ、そんな工夫がそのまま最高のファンクネスを演出する。だからヒップホップはヤメラレナイよ。

REFLECTION ETERNAL

TALIB KWELI & DJ HI-TEK「REFLECTION ETERNAL / TRAIN OF THOUGHT」2000年
MOS DEF はキャリア初期にラッパー TALIB KWELI と二人でデュオ BLACK STAR を結成して世に出る。デビューアルバム「MOS DEF & TALIB KWELI ARE BLACK STAR」1998年とか、アナログLPをリアタイで買っちゃったよ。確か新宿アルタにあったシスコで購入。そんな相棒の音楽もカッコイイので触れるね。
BLACK STAR とほぼ並行して、相方 TALIB KWELI はトラックメイカー DJ HI-TEK とコンビを組んで REFLECTION ETERNAL というユニットを組んで活動するのです。ジャケの雰囲気だとアルバムタイトルのように見えるけど、英語WIKIによるとこれがユニット名で、左下隅っこに書いてあるのがアルバム名なのね。もはや AMAZON ですら間違って売ってるので、ドッチでもいいわ。

これも言っときます。カッコイイから、このCD、好きです。

●やっぱり意味わかんない。あんま長くならないように、言葉をちょっと足します。
●相棒 MOS DEF の多芸な自由奔放さと比較すると、TALIB KWELI の芸風は正反対ストレートでストリクトリーなヒップホップMCですわ。高めの声で速射砲のように言葉を羅列していく生粋のラッパー。圧倒的な早業軽業を披露していくテクニックがスゴイ。そこにオーソドックスでスクエアな四つ打ちアクセントを強調する DJ HI-TEK のトラックが交わると、カンフーの使い手が静かな道場で一人キレキレの演舞を繰り広げているような気分になってきます
●さて、TALIB KWELI のような高機能なラッパーさんにアリガチな傾向なんだけど、ラップがあまりに達者で、言葉の密度が濃くて、高度に韻も踏んでるし、もういうコトなしと思いきや、丁寧に聴くと、ビートのどの部分に乗っかってラップしてるかワカンナくなってる場面がある。ラップを始める場所やリリックの切れ目やブレスのタイミングがビートや小節の切れ目にシンクロしてなくて、実はビートに関係なくただ早口言葉披露してるだけじゃないか?と思うほど。それはボクみたいなリズム感のないヤツがダメなだけで、ボクに察知できない領域で、絶妙なシンコペーションなどなどの秩序がラッパーの中で成立してるのかもしれない。むしろボケーと聴いてる方が、そんな違和感と無縁に速射砲ラップの技術に惚れ惚れできるよ。

MOS DEF TALIB KWELI もニューヨーク出身で、ニューヨークでシーンを作った RAWKUS RECORDS からキャリアを起こした。この二枚のアルバムも RAWKUS からのリリースだ。このレーベル、注目すべし。
RAWKUS の設立は1995年。ヒップホップの商業化・オーバーグラウンド化・セレブ化が高度に進んでいく時期で PUFF DADDY みたいなレーベル社長がスター気取りで活躍した時代だ。その一方で、逆を向いてニューヨークのアングラシーンにこだわり、1990年代初頭〜前半の古典的アプローチにこだわったのが RAWKUS だった。有名コンピシリーズ「LYRICIST LOUNGE」には、80年代からシーンの良心として活躍した DE LA SOUL A TRIBE CALLED QUEST、GANGSTARR のメンバーたち、COMMON PHAROAH MONCH などの新興勢力が参加。そして新しい逸材を発掘していった。派手さはないけど、いかにも東海岸的なシリアスなスタンスが玄人受けしてたね。COMPANY FLOW みたいな完全な新種もココから出現したんだもんな。もっと注目しないとな。


●結局、短く書いても、長く書いても、何も伝わらないじゃん。ダメだコリャ。








●今年の夏は、部屋着にユニクロのステテコをはいてる。快適!!
「STETECO」って書いてあるんだぜ!昭和遺産の気配完全脱臭で、まるで輸入ファッションみたい。
●あまりにボクがヘビーユースするので、ワイフがもう一枚買い足してくれた。
●それが、なんと「伊藤若冲」&「葛飾北斎」のデザインを採用してる!マジ!

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●京都の木版画の職人さんとコラボしてるみたい。
伊藤若冲、大好きだよー。娘ヒヨコも若冲ファンなので「イイなーイイなー」言ってた。


フジテレビ月9のドラマ「コード・ブルー ドクターヘリ救急救命」が気になる。
●前期の「貴族探偵」で大失敗した後の、起死回生の大逆転、初回視聴率16%。そりゃ内容気になるよ。
●で、見逃しサービス「TVer」で見るわけね。放送では見られない、月曜なんて忙しいもん。
●そしたら、なんか面白い!TBSドラマでキムタクが脳外科やってたけど、同じ病院モノでもあんなにヘリコプター飛ばしたら、やっぱ見栄えはずっと豪華。シーズン3とあって固定のお客さんもいっぱいなんでしょうね(ボクは初見のニワカです。すいません)。
●スカしたクールガイの山下智久のキャラ造形は、やっぱり無愛想だったキムタクの演技の劣化コピーみたいで、今んとこどうでもイイ。しかし!三番手の戸田恵梨香がイイ!!「SPEC」シリーズで挑んだ完全にブチ切れたトリッキーなキャラを超えて、今回は無造作でガサツな女性の造形、それでいて芯が通った個性が、ガリガリスレンダーな彼女の細い体と意図的なヨレヨレパーマからジワジワ染み出してて見飽きない。もっと戸田を!戸田を盛ってください!一方ヒロインの新垣結衣 AKA ガッキー「逃げ恥」以来のご対面ですが、やっぱりドクターやってもガッキーはガッキーでした。容姿完璧なのに圧倒的にイヤミのない「フツー感」オーラを身にまとってるのは、今の彼女だけでしょ。あれはあれで稀有な天賦の才能でしょ。

その一方で、日本テレビ水曜枠の「過保護のカホコ」も気になる。
●Huluで初回を見たら、キャラ造形が極端すぎてダメかもと思った。純粋培養的過保護教育で精神年齢が小学生以下の女子大生って無理だろ。高畑充希ちゃんもイモ引いたかもと思った。でもね、彼女がウマイ!このトリッキーなキャラを、すげー細部にまで気を配って、全身を操作して実体化させてる。瞳の動きやほっぺたの動きでこの奇妙なキャラの普通じゃない感情の動きをハッキリ明示する。凄まじい手数の多さに見てる方はタジタジ!彼女にしか出来ない仕事。そしてこのキャラが毎週どんどん変貌進化していく!NHK朝ドラの時より100倍評価。聞けば脚本は「家政婦のミタ」遊川和彦さんだしプロデューサーも同一人物とな。このヒロインが最後はモンスター的な支持を得るかも。
●これって、ジャンルで言えば「ホームドラマ」だよね。ボーイフレンドの竹内涼真以外は、家族しか出てこないもん。でも、その家族ってのが、カホコの両親からその両親それぞれの祖父母、叔父叔母の夫婦たち、そんで従姉妹までと範囲が広い。前期「母になる」では父母子の核家族最小単位以下を描いて息がつまるほどパンパンだったのに、コッチは家族の定義を夫婦両方面の三世代とデカく解釈したね。役者も多くて大変だよ。でもふと気づけば、ボクの実生活にもワイフの両親姉妹そのダンナ姪っ子甥っ子がいて、ボクの両親妹そのダンナ姪っ子甥っ子がいる。核家族単身暮らし増加と世間は言うけれど、ワイフ一族の集まりにダンナその1として加わるあのザワザワした感覚はもっと分解分析されるべきなリアルだなって思った。第3話のカホコは生まれて初めて恋愛を意識して、親戚全員に「なんで結婚したの?」と質問する。つまり「カホコ」が描く拡大解釈「家族」は遺伝的繋がりよりも、赤の他人のマッチングの偶然で縁が出来た関係の方が多い訳で、それはある意味でザワザワな緊張関係なのだ。そこがなんとなく新鮮。

テレ東の深夜枠「下北沢ダイハード」、下北沢住民として期待したが、全然ダメだった。見た翌日朝にワイフに感想聞かれて、そんなモン見たのか一瞬完全に忘れるほど、中身が薄くて脳ミソに引っかからなかった。見たか見てないか TVer の履歴チェックしたほどだった。下北沢をいじるとなると、ボク自身がハードルを高く設定してしまうからか。これが阿佐ヶ谷や新小岩や蒲田だったら何も考えず見てるのかも。


●テレビばっかり見てると思ってるでしょ。全部配信サービスで見てます。録画もしません。話題になってから、後追いで見るんです。TBS「カンナさーん」渡辺直美さん大奮闘だけど、まーボクはイイか。フジ系「僕たちがやりました」はヤンマガ連載で原作全部読んじゃったからパスしときます。あ!今日の「コードブルー」を広告付き配信で見たら、珍しくちゃんと純稿入ってた。いつもは自社PRばっかなのに。



●音楽。実は神経がササクレ立っているので、ヒリヒリしたロックを求めてる。

凛として時雨「ES OR S」

凛として時雨「ES OR S」2015年
●バラエティに窪田正孝くんが出まくり過ぎてる。全部、映画「東京喰種」のパブリシティなのだ。人気俳優&女優さんがバラエティに出るのは、必ず何かのパブリシティだってコトは、視聴者も「お約束」のコンセンサスと認識してるのかな。
●和気藹々のバラエティで「人を食べる怪物をやってるんです」ってコメントすると結構マヌケ。でも、人間と人肉喰い=喰種とサイボーグみたいな改造喰種がひたすら死闘を繰り広げるこのお話全然救いがなくて、すでにボクはヤミツキ。アニメ・シーズン1&2も原作マンガもすでに全部キャッチアップしてる。今さら物語の一番最初にまで遡れないって感覚だから、残念、多分窪田くんの映画を見るコトはないなあ。この前も「東京喰種:re」最新12巻を買ってきて家族全員で回し読みした。
●さて「東京喰種」というと、ボクはこのロックバンドを連想してしまう。凛として時雨…カッコいい名前の3ピースバンド。このバンドのギターボーカルが TK from 凛として時雨という名義でアニメ「東京喰種」の主題歌を担当していたのだ。同じような殺伐としたSFアニメ「PSYCHO-PASS」でも凛として時雨は主題歌を担当してた。シーズン2まで。
手っ取り早く、彼らの音楽が死ぬほど殺伐としてる。耳をツンザクような激しいギターと高速グルーヴで進撃するビートがスリリング。そしてフロントマン TK のボーカルがヒリヒリのハイトーン、同時に女性ベーシスト 345(「みよこ」と読むそうです)も同じハイトーンで彼に絡みつく。声が高過ぎて、ギター音がデカ過ぎて、何を歌ってるのか全くワカラナイ。そんなジェットコースター感覚が鮮烈で、そのスピードの中で断片的に聴こえてくる歌詞が、まさしく「凛と」響くのです。このバンド好きです。
●結果的に、このミニアルバムが、今のところ彼らの最新音源。TK from 凛として時雨名義ではさらに新しい音源も出してるようだけど、そこまでは手が回ってない。ボクはソロよりこのトリオの方がカッコイイと思ってるから。




東京喰種re11 東京喰種re12

石田スイ「東京喰種:re」この作家さんの美意識、可憐です。陰惨な暴力描写や激烈な感情表現を、繊細に線を操作してナイーブに描いてる。その一方で、ほつれるペン先の動き、微妙な滲みに、自分にも制御できない偶然の美しさを常に探してるような、審美主義も読み取れる。実は乱暴なバトルマンガなはずなのに、目が離せないのはそんな気分かも。
●そして、ボクの中では、凛として時雨も同じ美意識の持ち主。