今週は、特殊事態突発につき異常にドタバタしました。
●図らずも深夜4時まで残業して状況対応するなど、体力的にも実にタフな場面もありました。あーこんなに深い時間まで仕事するのなんて、4年ぶりくらいのコトだろう。当然ビョウキになってから初めて。…ビョウキ以前の重症ワーカホリック時代は一日18時間労働が日常でしたけど、その時のようにはもう動けない。ショウジキホントしんどかったです。
●それでもやるコトはやらなアカンわけで、とにかく1つの決着までたどり着き、やっとこさっとこホッと一息の土曜日。午後のヨガ教室で緊張したカラダをユックリほぐして、こたつで惰眠に耽るのでした。

●そんなタフな一週間で、毎日聴いてた音源。
ALTER EGO「WHY NOT ?」
ALTER EGO「WHY NOT ?」2007年
●久しぶりに硬派なテクノを、しかも純度の高いジャーマンテクノを聴いておりました。仕事の中で高い緊張感を維持するため、強力な四ツ打ちキックで自分を鼓舞しておりました。
●ジャケからして強面なストロングスタイル。内容は実に骨太なミニマルアシッド。ぶよんぶよんぶよんぶよん。アシィィィイッド!露悪的なまでにアシッド。腹を打つ極太キック。凶暴に震えるベース。最低限の上モノが執拗にループされて、そのドコへも展開していかないトラック構造が、聴く者の意識を深く深く暗黒の地中へと掘り沈めるのであります。
●とは言いつつ、すでに一般の人にとって「アシッド」という言葉の差し示すイメージなど理解不能でしょうから、敢えて解説いたします。「アシッド」= ACID は英語辞書で引けば「酸」という意味が出てきます。1980年代末~1990年代初頭に於きまして、アシッドは合成麻薬 MDMA 通称エクスタシーを意味する隠語でありました。この頃台頭するハウス/テクノといったクラブミュージックの中でも、エクスタシーが引き起こす多幸感と親和性の高いスタイルが、アシッドハウス/アシッドテクノと呼ばれるようになるのです。
アシッドハウス/アシッドテクノの特徴は、固有の機材が弾き出す音響に対するフェティシズムにあります。ROLAND TR-303、TR-808、TR-909。これら今では恐ろしく旧式となった日本製シーケンサーが弾き出すベース音、ドラム/パーカッションの音。コレをとことん使い倒します。特に TB-303 のベース音と思えない音響、多分開発者も意図しなかったんじゃないかというような使われ方が、非常にユニークかつ魅力的であります。ブリブリブリブリ。ぶよんぶよんぶよんぶよん。びよびよびよびよ。泡立つ溶岩が赤黒く弾けるような音響を、フェティッシュに楽しめるかどうかが、アシッドハウス/アシッドテクノを聴く作法に関わってきます。
●しかもですね、前述しましたとおり、アシッドハウス/テクノは20年前、大昔の様式でありまして。そんなスタイルを00年代後半に至っても頑固に鳴らし続けてるってだけでコイツらは相当な変人であります。シカゴハウスやイギリスのレイヴシーンから生まれたアシッドハウス/テクノを、より強化したのはドイツのテクノ/トランスシーンでありました。ALTER EGO もそんな時代、1993年頃から活動を始めてます。ドイツ人の頑固な体質を反映してるようでございます。
●そんな彼らを面白がったのは、00年代前半に盛り上がった NY のエレクトロクラッシュのシーンと、フレンチエレクトロのシーンであります。エレクトロという別文脈が(エレクトロもシンセへのフェティシズムが重要なシーンであります)、アホのように頑固なアシッドスタイルを突き詰める彼らに注目。アシッドリバイバルという名前をつけられて、2004年、ALTER EGO は全世界に紹介されるに至るのです。
●そのブレイクを経ての最新アルバムがこの1枚。でもね、一週間毎日このぶよんぶよんを聴き続けて思ったんだけどね。頑固な強面と見せかけて、実は「アホみたいなヤリ過ぎテイストをネタ的に面白がってちょうだい」というテクノオタクの自虐メッセージが聴こえてきまして。圧倒的にヤリ過ぎはマチガイナイ。一方で、上モノを聴いてると圧倒的にマヌケでもありまして。ぴよんぴよんぷーんぷーんぷわんぷわん。ソコは実は「笑い」として楽しんだ方が正しい気がする。アルバムの一番最後で「ホントすいません、ボクらこんなコトしか出来ないドイツ人ですから」みたいな言い訳まで出てくるし。ホントはチャーミングなんです。笑えます。


●タフなウィークデイを乗り切って、今日聴いている優しい音。
PET SHOP BOYS「ULTIMATE」
PET SHOP BOYS「ULTIMATE」1985~2010年
●キラキラしたエレポップの世界をその黎明期から現在に至るまで最前線で活躍してるイギリスのポップデュオ。彼らの25年に及ぶ長いキャリアをまとめたビッグヒッツ的ベスト盤。熱狂的なダンスビートと、メランコリーの漂うウタゴコロの微妙なミスマッチが、彼らの最大の魅力。彼らのゲイセクシャリティが作風に影響してるのかな。キラビやかな享楽と、常にまとわりつく虚無感。左右の両極が表裏一体に結びつくのがゲイの人たちの人生観らしい。一般社会からの疎外感/行き場のナイ将来へ窒息感のに常に苛まされ、が故に一瞬一瞬のキラメキを貪欲に楽しむ感覚。
●ボクにこのデュオの魅力とそんな価値観を教えてくれたのはホンモノのゲイの人でした。クラブ業界で映像の仕事してる人。とても繊細な美的センスと、オシャレな物腰、きめ細やかな仕事ぶりがとても素敵でした(あと、愛用してるゴルチエのアタッシェケースもクールでした)。その人が特に気に入っていたのが「BEING BORING」1990年という曲。「歌詞の中に、スコットフィツジェラルドの奥さんが出てくるんだよ」1920年代ロストジェネレーション。享楽のスウィングエイジ。モノクロフィルムのスタイリッシュなプロモを監督したのはファッション写真家 BRUCE WEBER 。ノスタルジックなメロディが美しい。



「古い写真を偶然見つけたんだ…10代の頃のパーティの招待状も。
 DRESS IN WHITE …有名な作家の妻の言葉を引用したものだ…それは1920年代のこと。
 若い時は誰でも、いなくなった人物に思いを馳せる。
 閉じかけていた扉を開け放ち、彼女は言った。私たちは決して退屈しないのよ。

 故郷を捨てたあの時。僕はズックを背負って駅に立っていた。すこし不安になりながら。
 誰かが言った…気をつけないと全てを失う、大事なものも見失う…それは1970年代のこと。
 でも僕は落ち着いて前を向いていた。高い靴を履き、自信もあった。
 閉じかける扉をすり抜けて飛び出した。僕は決して退屈しないと思っていた。

 そして今、多くの外国や、様々な借家の中で、僕はたくさんの違う顔を使い分けている。
 僕がキスした全ての人々…まだここにいる人もいれば消えた人もいる…1990年代のこと。
 かつて自分がなりたかったものになれるとは、夢にも思ってなかった。
 でも僕がいつも思っていたのは、たとえ夢がどうなろうと、
 君が僕のそばにいてくれることだった。」

●ハイエナジー化された U2「WHERE THE STREETS HAS NO NAME」カバー(BOYS TOWN GANG「I CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」とマッシュアップミックスしちゃってる)や、元祖ゲイディスコ VILLAGE PEOPLE「GO WEST」のカバー、そして「NEW YORK CITY BOY」のようなストレートにディスコ/ダンスフロア志向のギラギラ感は見事な聴き所。だけど、今のボクには「BEING BORING」「HOME AND DRY」のメランコリーがとても心に染み入るのです。
●その一方で、暗くて鬱屈たる都市のドン詰まりを歌う「WEST END GIRLS」1985年の救いのない辛気くささも実に味わい深くて染みる。ロンドンのウエストエンドっていったいどんなバショなの?「ウエストエンドタウンはデッドエンドワールド」だって歌ってるよ。




●オマケに、ALTER EGO の音もつけときます。一番頭わるそうなヤツ。



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