家に帰ったら、我が子たちは「サウンド・オブ・ミュージック」鑑賞中。

「サウンド・オブ・ミュージック」

●年末年始特番としてテレビ東京「池上彰と見る『サウンド・オブ・ミュージック』」という3時間強の番組をやってました…でなんとなく録画しておきました。そしたら、ノマドヒヨコ&ワイフ、ガン見です。「メリーポピンズ」が大好きなワイフにとっては人生のオールタイムクラシックでありますし、ヒヨコは主人公マリアの「ふと気づくと自然とウタを歌ってる」という設定にジブンをアイデンティファイ、ノマドはトラップ一家に迫り来るナチスドイツの脅威にドキドキであります。
●番組では映画本編前後に、池上彰さんの作品解説がついておりました。「サウンド・オブ・ミュージック」は1930年代のオーストリアが舞台。第一次大戦の敗戦からナチスドイツへの併合という苦境の時代が描かれてるとな…ボクはこの映画初めてだったから、そんなタフな状況があるとは知らなかったよ。おまけに実話がベースになってるのねそれも初めて知った(ナチからの亡命はなんとか成功してトラップ一家はアメリカへ無事移住するんです。ほっ。)。……そもそも、池上彰さんにそんな解説をわざわざお願いしようと思ったテレ東担当者の発想と、そんなコマイ仕事を快く丁寧に引き受ける池上彰さん本人がエラいなあと思った。

「MY FAVORITE THINGS」もこの作品の挿入歌だったのね。
●ワイフは「JR東海のCMソング」と言ってたけど、ボクにとってはJOHN COLTRANE のバージョンが印象的(ソプラノサックス!)。それと、ギターデュオ GONTITI の二人がライブで演奏するのを目の前で見たことがある。
●映画では「私のお気に入り」という題名になってた。そりゃそうか直訳だ。「バラの上の雨粒、子ネコのヒゲ、ピカピカの湯沸かし、ホカホカのミトン、クリーム色の子ウマ、サクサクのりんごパイ…」アレコレの楽しい名詞をたくさん並べて、「コレがワタシのお気に入り!」と歌う。へーこんなウタだったんだコルトレーンのバージョンからどんより辛気くさいウタだと思ってた…。ボクは自分のお気に入りをこんなにたくさん羅列できるかな?
●それとヒヨコがこのウタを歌いたい!というので歌詞カードを書いてやりました。ヒヨコ英語のふりがなもいるよね?「ひらがなでかいてクダサイ」あれ…カタカナじゃ読めないんだ…?



「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」やはりちょっとずつ見てます。
「バッハ」編全四回。カチコチのクラシック音楽が坂本さんの存在でヤワクなるかと思いきや、十分にカチコチのままでした坂本さん自身は異常に楽しそうでしたが。「調性」「バッハの編曲」「通奏低音」「対位法」メッチャテクニカルワード満載だもんね。こと全然ガッキの演奏が出来ないボクには無縁の世界。それでもオモシロいと思う所がある。
●「音楽の父」バッハは、18世紀のドイツ・ライプチヒという街で活動してたそうです。なんとなく聞いたことはあっても場所はよくわからない街…。当時の文化最先端地域はフランスやイタリアであって、バッハはいわば辺境/田舎者の存在だったのです。じゃあなんで田舎者のバッハがこんなにビッグネームになれたんだろう?
●聖書を信仰の拠り所としたルターの宗教改革を強く推進したのは、その聖書の普及を促進する活版印刷技術の進歩。ライプチヒはそんなプロテスタント勢力の重要拠点で、なおかつ優れた印刷技術と出版文化のある街だった。当時ヨーロッパで流通していた出版物の多くがこの街で作られていたという。つまりライプチヒは、辺境でありながらも出版文化=情報流通のハブ機能を持っていた。だから新旧様々な音楽様式に関する情報がこの街には集まっていて(メディアとしては楽譜とかで)、バッハはそれを俯瞰的に統合するような視点で分析することができたという。また非常に敬虔深いキリスト教徒でもあったバッハは、多くの教会音楽を手掛けている。結果、理知的で抽象美に優れた音楽が数々作られ、コレが後世の作曲家に影響を与えるに至ったとのことです。


●そんなんで、ドイツのアーティストの音楽を今日は聴いています。

KRAFTWERK「MINIMUM-MAXIMUM」

KRAFTWERK「MINIMUM-MAXIMUM」2005年
坂本龍一さんの YELLOW MAGIC ORCHESRA にも関連深い、「テクノ」音楽の始祖。1970年にドイツの工業都市デュッセルドルフで結成され、以来電子音楽の可能性をキャッチーなカタチで切り拓いてきた大御所でございます。
●彼らの電子音楽フェティズム/未来派志向は、活動初期にはまるで理解されずマニアックなプログレサウンドと位置づけられてました。しかし78年頃のパンク革命~ニューウェーブの台頭を受けて、彼らのエレポップの側面が評価され、イギリス/アメリカで大ヒット。これが YMO が海外で評価されたのと同時期のこと。ドイツ/日本という文化辺境地域から生まれた表現がイギリス/アメリカというメインストリームでブレイクする状況は、辺境ライプチヒで巨匠となったバッハとシンクロしてるような気がします。
●彼らのコンセプトは、機械に囲まれた現代生活を音楽として抽象化するコト。人間の温もりから乖離した無機的環境を、実に人間的表現である音楽に置き換えるという矛盾に挑戦している。だってバンドの名前はドイツ語で「発電所」、曲の題材も「アウトバーン」「放射能」「ホームコンピューター」「電卓」「ロボット」「ヨーロッパ特急」だもんね。結果演奏も無人化するのが望ましいコトで、コレで打ち込み駆動のシンセ演奏が採用されることになる。人間の匂いを脱臭しつくすために、ステージ上に自分たちの代わりにマネキン人形を立てるトコロまで、彼らは突き詰めてるからね。これぞ「テクノ」。テクノロジーを前提とした音楽。
●コレはそんな彼らの二枚組ライブ盤。全世界ツアーの名曲名場面を編集しております。電子音楽をライブで再現するのは過去の環境では非常に困難で、かつて彼らは6トンもの機材を運搬/設営してプレイしていたという。しかし21世紀に入ってコレを完全にPC化。非常に簡便で安定したパフォーマンスが可能になったことを受けて、このライブ盤制作というコトになった模様。
●しかし演奏の単純な電子化/機械化というコンセプトは、70~80年代でこそインパクトがあるでしょうけど(つーか6トン機材はヴィンテージ音響としてボクは今聴いてみたいと思うけど)、どんな音響でもラップトップPCで再現できる21世紀にはサスガにもう時代遅れ。実は電子音楽機器/テクノが全世界的に急成長した90年代、KRAFTWERK は逆に事実上の活動休止状態になってしまい、作品制作もツアーもほとんど行われなかった。おそらく自分たちのコンセプトが時代に追いつかれてしまって、その立て直しに時間をかけなければならなかったのでしょう。
●その成果か、今回のライブ音源は「テクノ」という手法やコンセプトとは関係ない場所での「鳴り」で十分な価値を放つ物件になってる。一部生の手弾き演奏があるし、生ボーカルもちょっぴり披露される。演奏の形態ではなく、楽曲そのもののパワーを21世紀にどう再現するか、というテーマにフォーカスされている。そもそも機械演奏志向だった KRAFTWERK の楽曲はその再現性の制約も含めた事情からか、研ぎすまされたかのようにシンプルでキャッチーなシンセリフがテンコモリ。そんな古典としての強度を備えた名曲シンセリフに、00年代エレクトロニカを反映した最新アレンジが加わって、極上のベスト盤という意味合いさえ生まれてしまっている。
●聴き所は満載ですが、個人的には「DENTAKU」が大好き。日本語リリックで有名なこの曲をオーディエンスが完璧シンガロングで応える場面。「ボクハオンガクカ電卓カタテニ!足シタリ!引イタリ!操作シテ!作曲スル!」なんでこの曲をお客みんなが歌えるの?と思ったら、ココだけ東京/渋谷アックスのパフォーマンスが収録されてるのでした。



●後半に日本語リリックが登場しますよ。


●ついでなので「MY FAVORITE THINGS」の動画も。





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