先週末で、2月から関わってたプロジェクトが終了しました。
●全社横断型の仕事で、馴染みのナイ部局の人たちとのヤリトリに四苦八苦。カオもよく知らなかったエライ人たちに初接触、カイシャというタテ組織の「お行儀」を、自分が全く知らなかったと自覚(そもそも世間の常識全般に疎過ぎと強く反省)。おまけに震災で大幅に予定も狂って大分シンドイ思いをさせられましたが、結果フタを開けてみたら実に平穏無事に、キレイにストンと着地してくれました。先輩後輩にアレコレ助けてもらったし、今まで縁のなかった人たちに知合いも増えて、この仕事やってヨカッタかも、と今は思ってます。来年もヤレと言われたら、ちょっとヒクけど。
●でも、心身ともにメチャメチャ疲れた。緊張の連続で、今も軽いメマイを感じます。クスリも増やしてたもんねー。ケイタイの万歩計機能で週末の歩数をカウントしたら、このケイタイ使い始めて史上2番目の記録を達成してました。そんなに激しく動いてたのかと思いながら、じゃあ史上1番目っていつだよ?と記録を遡ってみたら、3月11日、大震災で帰宅難民になった日でした。

●ボロボロになって家に帰ったら、ワイフのささやかなごホウビが。

柿の種ソルト&ペッパー

●これ、デスクの女性が会社でボリボリ食べてて、チョー気になってたんです。でもコンビニで探しても自分じゃ見つけられなくて。そしたらワイフがたっぷり買って待っててくれました。ボリボリ食いました。



ここのトコロ聴いていたのは、BELLE AND SEBASTIAN。

BELLE AND SEBASTIAN「TIGERMILK」

BELLE AND SEBASTIAN「TIGERMILK」1996年
●いやいや先週はマジでココロに余裕がなかったです。今でこそ安心できてるけど、つい数日前までは緊張でドキドキの連続、気分も鬱々してきて、またメンタルが凹んでぶっ倒れるかと思った。そんな時は、音楽もシゲキの強いモノは避けなければならない。ウルサい音楽が耳に馴染まず、たどり着いたのがこのスコットランドはグラスゴーの、ネオアコユニット BELLE AND SEBASTIAN。このバンドがアートスクールのレーベルで1996年にリリースしたのがこのアルバム。オリジナルは1000枚しかリリースされなかった激レアアイテムだった…ですが今は再発されて誰でもゲットできる物件です。
実に覇気に欠ける草食系男性ボーカルを、素朴なギターサウンドでフンワリ包んだ奥ゆかしさが、ボクのささくれ立つ神経を優しく慰撫してくれてました。このナヨナヨ加減がイイ。その後現在まで続く長い彼らのキャリアの中でも、一番質素で慎ましい世界。簡単なシンセやホーン、ストリングスの繊細な色付けが、水彩絵の具がフワッと広がるようでとても可憐です。
●ライナーノーツに「SEBASTIAN と ISABELLE の出会い」の物語が書かれています。セバスチャンとベルはグラスゴーの地下鉄の駅の外で出会った…彼は地元のスーパーにミュージシャンを探す張り紙を貼っていた。ベルはソレを見ていたのだ…彼女は予告もなく真っ直ぐ彼のトコロに歩み寄って「やあ!」と声をかけてきた。「私にギターを教えてくれる?」セバスチャンは、そんなコトができるのか自信もないのに、彼女に気圧されるように答えてしまった「ああ、いいよ」……なんかイイでしょ。ナヨナヨ男とゲンキな女の子のユニット。…そんなのは架空のお話で、STUART MURDOCH という男が全権を掌握するバンドなんですけどね。

BELLE AND SEBASTIAN「IF YOURE FEELING SINISTER」

BELLE AND SEBASTIAN「IF YOU'RE FEELING SINISTER」1996年
●バンドがロンドンのインディレーベル JEEPSTER RECORDS と契約してリリースしたアルバム。アメリカでは90年代USインディ名門の MATADOR と契約。ココで一気に彼らの武名が世界に轟く。前作の手作り感覚よりも、さらに可憐で繊細なクリエイティブが愛おしい。邦題「天使のため息」。直訳すれば「もし不吉な感じがするなら」なのに、メランコリックだけど甘美なこの音楽世界を見事に写し取ったタイトルだと思います。
●主要都市グラスゴーを中心としたスコットランドには、元から独立独歩のネオアコシーンが存在していて、BELLE AND SEBASTIAN もその系譜にあります。THE VASELINES(←NIRVANA のカバーによって評価があがった!)や THE PASTELS は80年代からマイペースな活動をしてます。AZTEC CAMERA ORANGE JUICEグラスゴーだし。最初期の80年代 PRIMAL SCREAM もネオアコスタイルでした。あ、JESUS & MARY CHAIN TEENAGE FANCLUBグラスゴーだ。そんでみんな80年代から活動してて、東京の90年代渋谷系(つまりフリッパーズギターなどなど)に直球の影響を与えます。だから、ボクは今回聴き直すまで BELLE AND SEBASTIAN も80年代から活動してる大ベテランだと思ってました…96年からコンスタンスに活躍してるだけで十分ベテランと言えますけどね。でも冷静に考えると渋谷系以降、ブリットポップ以降の世代なのね。

BELLE AND SEBASTIAN「THE BOY WITH ARAB STRAP」

BELLE AND SEBASTIAN「THE BOY WITH ARAB STRAP」1998年
●ボクがリアルタイムに聴いた最初のベルセバ。でもマジメに聴いてなかった…やはりスコットランド出身の同傾向バンド ARAB STRAP の作品と勘違いして買った気配すらある…タイトルが紛らわしいんですよ!
●日本盤なので丁寧な紹介ライナーノーツがついてる…と見せかけて大した情報がない。中心人物の STUART MURDOCK はインタビューを一切受けないと公言し、写真すら公表してないという。バンド活動のかたわら、教会の管理人の仕事をしているという…地元の先輩バンド THE PASTELS も郵便局員が本業だったりしてるから、グラスゴーはプロミュージシャンになるコトだけが目的じゃない、真の意味でのインディシーンがあるのでしょう。ふーん…グラスゴーとかエディンバラとか、スコットランドってどんな土地なんだろう?北国で寒いのかな?日本の東北人みたいな忍耐強い頑固さを連想しちゃう。ベルセバ澄み切ったアコースティックサウンドは洗練を増し、甘美で可憐で、張りつめた気持ちを緩ませる独特のメランコリーを漂わせてる。

BELLE AND SEBASTIAN「FOLD YOUR HANDS CHILD, YOU WALK LIKE A PEASANT」

BELLE AND SEBASTIAN「FOLD YOUR HANDS CHILD, YOU WALK LIKE A PEASANT」2000年
●邦題「わたしのなかの悪魔」。マスカラがちょっぴり滲んだジャケの少女はリアルの双子ちゃんで、その後アイスランドの音楽ユニット MUM のメンバーとして活動してた、というのはWIKI情報。温もりのある弦楽器のアレンジが分厚くなって、より音楽がふくよかになった印象…こういうクラシックの室内楽な気分をロックバンドが取り込むスタイルを「バロックポップ」というんですって。歌い手も女性メンバーや他の男性メンバーが存在感ある登場の仕方をしてきてる。

BELLE AND SEBASTIAN「STORYTELLING」

BELLE AND SEBASTIAN「STORYTELLING」2002年
●このアルバムはアメリカの同名映画のサントラとして制作されたモノ。カンヌにも一応出品されたらしい…内容は全然ワカランけど。だから映画のセリフが各曲の間に挿入されてたり、作品もインストの小品が目立ってたりしてます。でも監督と意見があわなくて、本編では6分しかこの音楽は使われてないとな。ボク的には「I DON'T WANT TO PLAY FOOTBALL」でサッカーなんてしたくないとメソメソ歌う感覚が、真性草食系である自分と直結しててスゴく耳馴染みのいい世界なんですけど。
●ベルセバのジャケットは、ご覧の通り、ステキな写真をキレイな色に染めるスタイルで、まー THE SMITHS のジャケ感覚をそのままなぞってる感じがします。そんなステキなジャケットの中でも、脈絡なく中華風なこの写真がボクは一番好き。こんな民族衣装を着て、彼女たちは鍼灸の鍼をイジくっているのです。

BELLE AND SEBASTIAN「DEAR CATASTROPHE WAITRESS」

BELLE AND SEBASTIAN「DEAR CATASTROPHE WAITRESS」2003年
●先週から一枚づつ古い順でベルセバのアルバムを聴いてたんだけど、このアルバムはちょうど週末の大仕事を無事終えられると確信したタイミングで聴いたんです。朝から天気が素晴らしく良くって、夏至も近い6月だから太陽もスゴく高くて、その日光をギンギン眼の中に注ぎ込みながら聴いてた。気分が明るく晴れて、不安がスッと消えるタイミングで聴いてた。そんな気分がこの音楽をスゴくポップに聴こえさせるんだろうと思ってた。でもね、実際にこのタイミングでベルセバは大きく作風を変えてきてたんです。
●なんとプロデューサーに TREVOR HORN を起用。THE BUGGLES「VIDEO KILLED THE RADIO STAR」から YES「OWNER OF A LONELY HEART」、ART OF NOISE ZTT RECORDS とバリバリのテクノポップを手掛けてきた男だ。ネオアコと真逆じゃん!そんなヤツとどんなコラボが?しかもこの時期はあのロシアの不良娘 T.A.T.U. をプロデュースしてた頃。レーベルも ROUGH TRADE に移籍。かなりの冒険である。
●結果、バンドサウンドはクッと引き締まって輪郭がハッキリするんだけど、元来持ち合わせていたそのチャーミングなポップさはパッと花が咲いたように麗しくて、人生がワクワク楽しくなるような高揚感さえ感じさせてくれるようになった。コレを聴いた後に過去の作品を聴くと、まるで印象が変わって見えてくる。ストイックでメランコリックな過去作品にも、チャーミングなポップセンスがこんなにも可愛らしく仕込んであったのかと感心してしまう。コレは目からウロコの感動でした。ベルセバがドンドン好きになる。

BELLE AND SEBASTIAN「THE LIFE PURSUIT」

BELLE AND SEBASTIAN「THE LIFE PURSUIT」2006年
●かなり振り切ってます!繊細&虚弱体質な内向的少年の音楽から、もっとモダンで陽気なポップバンドへ突き抜けるように変貌してます。今回のプロデューサーの TONY HOFFER BECK のダンス路線に関わってるタイプの人物だし。内ジャケも一気にオシャレでクール。ジャカジャカ足が前に進むバンド感覚や、現行デジタルレコーディングな質感が生み出す安定感が、すごくココロをウキウキさせてくれます。要素は今まで通りバロックポップな気分も十分含まれてる。でも元来から備えてた60年代~70年代のロック/ポップへの憧憬もハッキリしてきて、それを実に00年代風に昇華してるトコロが実に楽しい。なんかね TODD RUNDGREN とか DAVID BOWIE とか LOU REED とか THE MONKEES とか MOTOWN とかね、イロんなモンが見えたり見えなかったりする。でも一貫してチャーミングですわ。
●この次のオリジナルアルバム「BELLE AND SEBASTIAN WRITE ABOUT LOVE」2010年はまだゲットできてない。けどやっぱココでもプロデューサーが同じ TONY HOFFER 。どんな仕上がりになってるか、実に気になるね。

BELLE AND SEBASTIAN「PUSH BARMAN TO OPEN OLD WOUNDS」

BELLE AND SEBASTIAN「PUSH BARMAN TO OPEN OLD WOUNDS」1997~2005年
ROUGH TRADE へバンドが移籍してしまうにあたり、古巣であった JEEPSTER RECORDS がリリースしたシングル集2枚組。ベルセバサウンドの進化が見て取れます。まーこの時代の王道繊細ネオアコを良しとしたファンから見ると、今のモダンポップに移行したベルセバがどんな風に見えるかは甚だ微妙ではございます。
●あ、あと、ベルセバは本来はリリックをキチンとチェックしないといけないアーティストなんですよね。ホントは文系青年のシニカルさが炸裂してるみたいで、ソコは THE SMITHS/MORRISSEY につながる奥行きがあるみたいなんだけど、今回はソコまで読み込むような聴き方は出来なかったです。そこは今後の課題。


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