北京オリンピック開幕。
仕事でもなけりゃ1ミリも関心のなかったオリンピック。今年はワリと粛々と見てます。…というより、コドモたちに見せてるって感じ? 中国って国がどんな国か見せたいし、世界中から集まる様々な人々、肌の色も髪の色も瞳の色も違う人々のリアルな姿を見せたいという意図がある。
チャン・イーモウ監督演出の開会式、楽しかったです。ボク、チャン監督のファンだから。「紅いコーリャン」を初めて見たのはもう15年近く前の事。「紅夢」「秋菊の物語」も大好き。今のドメジャー路線もキライじゃないけど、昔の土臭いスタイルがよかった。

紅いコーリャン [DVD]
(「紅いコーリャン」1987年)

●とか言って、たった今まで、女子バトミントン・オグシオペアの初戦を、超ハラハラしながら見ちゃった。今までそんなにカワイいとか思った事ないけど、やっぱプレイするとスゴいわ。時速300キロのスマッシュをバシバシかます2人。で、シクッた時に「ダイジョウブ!」と笑顔を見せるシオタがカワイいのよ!オグラ「ごめーん」って顔すんのがカワイいのよ!惚れました♥
●で、相手がデンマークのコワい顔したお姉さん。彫りの深さと漆黒の髪・瞳・ウエアが完全にゴス系で、ラケットを握る構えが完全にジェダイマスターに見える。ライトセイバーをヴンヴン振り回してるみたいで恐ろしい。同じ構えをしてるのに、オグシオはジェダイマスターにならないのは何でだろ? やっぱカワイいからか? デンマークの暗黒のフォースを見事ハジキ返して彼女たちは勝利したが、明日は世界ランク3位の中国ペアと対決だって。キビしー!




帰ってきた、サザンオールスターズ再聴キャンペーン。とうとうラス前です。

今週、サザンの最後のシングルが発売されました。まだ買ってないけど。
●定価で買うほど裕福じゃねえボクだから、レンタル落ち100円になるまで買いません。ともかく、30年お疲れ様。さようならーサザン。で今日ボクが立ち向かうのは、結果的にラストアルバムになった「KILLER STREET」正直ちょっとコレにはウンザリ。

サザンオールスターズ「KILLER STREET」2005年。
●ラストアルバム「KILLER STREET」2005年。
最後の超大作アルバム。コレがデカイ!まるでスターウォーズにでてくるデススターのようにデカイ。で、難攻不落だわ。だって。単純に2枚組29曲って分量ってだけでヒクってのに、40分弱のメイキング映像、豪華ブックレット&クワタ自身のセルフライナーノーツ完璧曲解説までついているんだもん。手に負えないよ!

クワタを聴け! (集英社新書 380F)クワタを聴け! (集英社新書 380F)
(2007/02)
中山 康樹

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●一方、副読本として読んで来た「クワタを聴け!」では、著者・中山康樹さん、このアルバムを酷評。「サザンによるサザンの縮小再生産」とも言うような勢いで、進化の止まったサザンをコキ下ろす。ボクはそこまでヒドい事言いたくないけど、確かにこのアルバムは巨大過ぎるワリに焦点が定まらない。オモシロい聴き所が掴みづらい。
●実はね「KILLER STREET」はリリースの瞬間ゲットしてました。発売直後のドームツアーまで行ってます。でもね、CDは1回しか通して聴けなかった。ライブでも新曲部分は盛り上がれなかった。なんだかマジ胃もたれなんだもん。正直、コレだ!って印象の曲も少ない。前作「さくら」に続き、サザン滅びの序章が聴こえてくる…そんな空気が漂っている。だから「活動休止」のニュースを聞いた時も驚かなかった。やっぱ、もうダメだって本人たちも気付いていたんだな…と感じたまでだ。
●しかし、ソレはソレ、今はココロを真っ白にして全ての偏見を消して音源に臨みます。


まず、ジャケからチェック。「キラー通り」ってのはご存知の通り「外苑西通り」の通称。
●簡単にいうと、原宿青山あたりの裏ッカワを走る道路。そのまま南に行けば西麻布そして広尾へ、北は国立競技場と東京体育館の間を抜けてから新宿と四谷の間、富久町まで。そもそもなんで「キラー通り」っていうんだろうね?それは今度タクシーのったら運転手さんに聞いてみよう。
●ほんで、神宮球場や日本青年館があるあたりに、「VICTOR」と書いてある窓のないビルがあるワケです。夜中深夜タクシー帰宅する度に、この建物とボンヤリ光る「VICTOR」の文字を眺めながら原宿方面に抜けて行くのを思い出します。スゲエ昔には「アルファレコード」のマークだったような…。とにかく、この建物は東京の中でも歴史のある大きなレコーディングスタジオってワケ。
●この「ビクタースタジオ」サザンの根城としてこのアルバムが制作されたってコトで、ビートルズがスタジオの前を通る道路の名をアルバムタイトル「ABBY ROAD」に使った故事をモジリ、彼らのスタジオの前の通りをタイトルにしたってコトですね。同じ横断歩道がモチーフだしね。

ビートルズのラストアルバムとなった「ABBY ROAD」

実質上ビートルズのラストアルバムとなった「ABBY ROAD」「LET IT BE」と比べて録音時期では「ABBY ROAD」の方が後)。それをもじった「KILLER STREET」サザンの最後のアルバムになるとは、妙な因縁を感じます。


DVDはね、撮りっ放しのナレなしMINIDV映像だけど、見応えあります。

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クワタ氏が、サザンの音楽頭脳として曲のイメージを明確に示す様子がスゴいです。細かいデティール、ニュアンスをメンバーやサポートミュージシャン、レコーディングスタッフに素早く具体的に機関銃のように指示して行くのです。ほおおー。やっぱ、クワタあってのサザンなんだなー。
●で、その指示に対してメンバーたちの反応するスピードも速い。ベースのフレーズ、ドラムの細かい強弱に注文がつくと、即座にそれ以上のアイディアを盛り込んでリアクションする。ギター小脇にクワタがハナウタを歌えば、スタッフがそれを即座に採譜する。クワタがコード進行をイジクれば、全員が自分の演奏に瞬間的に反映させる。まだ原型もない曲がその場でカタチと輪郭を得て行く瞬間。コレが30年もの積み重ねの呼吸なのかと思い知るわけです。
●ちなみに、いつのまにかギター大森が姿を消しました。脱退しちゃった…。なんで? 代わりに準メンバーという勢いで活躍するのは斎藤誠さんと言う人。クワタソロ「ROCK AND ROLL HERO」で大活躍したギタリストっす。


クワタ自身の曲解説も異例。

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桑田佳祐自身によるセルフライナーノーツがスゴく充実してる!自分の関わった作品の事について、ここまで逐一コト細かく語った事って今まであったろうか?しかもかなりマジトークのハグラカしなし。誰がどんなギター(ギブソンレスポールカスタムとか、フェンダー59年型オールドテレキャスターという名詞が出てくる)を弾いたか、Bメロのハラボーのプレイがイイとか、作り手らしい職人視点がスゴいです。つーか、こんくらいのガイドがないと、この29曲に押しつぶされる気分です。録音時期の幅も広く、1999年9月から2005年4月まで分布。3年も前に発表したシングルまで収録されてる。


さて、いざ音源と対決だ。CDをプレイヤーに乗せる。

●ディスク1。前半戦。

1曲目「からっぽのブルース」サザンのアルバム一曲目はいっつもギターが炸裂するハードなロックが多かったんだけど、今回はグニャグニャとしたブルースロック。クワタ氏自身のライナーによれば「サイケデリックなラーガ風のロック」とのこと。タブラまでがポコポコ鳴ってます。「ラーガロック」なんて言葉を普段から使ってるんだ…。仮タイトルが「CSN&Y」だったって逸話からも、span style="color:#FF0000">ボクが勝手にイメージしてた<重度なロックマニアなクワタ像が、まんまホンモノだったと感じれたコトにチョッピリ感動。でも曲単品としてはヒネクレ具合が絶妙すぎて、胃もたれするんです。

2曲目「セイシェル~海の聖者~」セイシェル諸島はインド洋に浮かぶ小さな島国。マダガスカルの北、タンザニアのトイ面、アフリカの仲間なんでしょね。クワタ氏ライナーでは、ハラボースワンプロック/デルタブルース風なピアノプレイが聴き所とはあるけど、そんなディープサウスのルーツ音楽を洗練させた70年代西海岸AORを、さらにジェイポップ化した自然讃歌。

3曲目「彩~Aja~」STEELY DAN の名譜タイトルを連想させる曲名で、そのイメージのままサビ前までは硬質なAOR風味が爽やかなんだけど、サビでキチンとジェイポップに着地する律儀な職人根性。シングルらしいですが、味が薄いのでボクにはどうでもイイ。

4曲目「JUMP」。ライナーにある通り、SLY & THE FAMILY STONE 後期を連想させるミドルテンポファンク。ファンク手法はサザンの強力な武器だったが、ココまで露骨に王道ファンクを鳴らしてみせたのは初めてじゃないか? 歌詞は中途半端な励ましソング。ボクに励ましソングは意味がない。元気の底が抜けてしまっている病人だからだ。ホント今の世の中、煮ても焼いても食えない励ましソングでイッパイだよね。ラップやレゲエの人までさ。そんなので励まされるヤツは最初っから痛んでないっつーの!

5曲目「夢と魔法の国」。「夢と魔法の国」と言ったら、ディズニーランドでしょ!ボクも好きですよ。ワイフもコドモも大好き。この曲はそのファンタジーを歌うかと見せかけて、せっかく休み取って遊びに来たのにマナーの悪い客にムカムカ腹を立てるオヤジの気持ちを、100倍位大げさなギターロックでウダウダ呻き続けるモノ。サウンドの狙いは NEIL YOUNG & CRAZY HORSE の轟音ロック。それをある意味しょーもないほどミクロな怒りを増幅するのに使った根性曲がり。

6曲目「神の島遥か国」サザンは色々なアプローチで沖縄にまつわる楽曲を作って来てて、そのどれもがイイ曲ばっかなんだけど、ポップソングとしてまとめたオキナワアプローチとしては最高の出来。で、この2枚組の中で最高の出来でもあるかも。ニューオリンズのセカンドラインファンクが、沖縄民謡BEGIN 島袋優が三線で参加)へと変貌、クワタのデタラメラップも含めて陽気で楽しいし、サビのキャッチーさも劇的な展開でダイスキっす。

7曲目「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~」サザン25周年記念シングルとして2003年リリースの曲を、2年も空けてアルバムに入れ込むのって無理があるんじゃない? クワタ氏曰く「70年代初頭のアイドル歌謡曲といった風情を持ったこの曲は、尊敬する筒美京平さんの洋楽へのオマージュを、さらにサザンがオマージュする」という曲らしい。こうして昭和歌謡の遺伝子は、キチンと21世紀ジェイポップの細胞に組み込まれ生き残っていくのだった。そんなウンチクを無視すれば、「海&夏」抱き合わせ、パブリックイメージ通りの王道サザンチューンです。

8曲目「山はありし日のまま」。今回2曲ボーカルをとったハラボーの歌唱一曲目です。NORAH JONES が狙ってる DOWN TO EARTH 路線を目指してオルガン&ピアノが渋く鳴るのですが、でもハラボーのお母さんオーラが放射されると、どうしても子守唄的な和風ノスタルジア気分でイッパイになってしまう。そんな癒し曲ですわ。

9曲目「ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~」。ソロ前作「ROCK AND ROLL HERO」的なテーマの続編の趣が流れる。「負けそうになったら おまじないはいつも Rock'n Roll Superman」。ロックが絶頂期にある時、こんなウタは歌われなかったはず。かつてのロックは絶対負けないから。なのにいつの間に負け犬の為の音楽になったのか。ロックは無敵じゃなかったのか? ライナーで説明されなきゃ気付かなかったけど、ストリングスアレンジが T.REX を目指してるそうだ。T.REX はグラムでありサイケでありソウルだから。後で後期の T.REX を聴こう。

10曲目「BOHBO NO.5」。このアルバム最強のパーティチューン。炸裂するブラスアレンジにハードロックギター、密度濃いリズム、オルガン/ピアノも実はいい仕事。「マンピーのG★SPOT」~「HOTEL PACIFIC」系のライブ映えする曲ね。つまり結局は「サザン再生産」。このアルバム、王道サザンのイメージをナゾるだけの「サザンによるサザンのパクリ」が目立つんです…。ボーボくんとかいうへんなキャラも登場してきたね。このテの悪ふざけにも飽きて来た。

11曲目「殺しの接吻~Kiss Me Good-Bye~」。うって変わってマイナー調ジャズ。イメージは NINA SIMONE だそうだ。妖しいサイコサスペンスな歌詞。

12曲目「LONELY WOMAN」。80年代風ブルーアイドソウルを狙ったこの曲が、クワタ氏のこのアルバム一番のお気に入りという。クワタ氏曰く「ひとり HALL & OATES」ふーん。ドラムはローランド808の打ち込みとのこと。ライナーが詳しくて興味深い事がイロイロわかる。

13曲目「キラーストリート」。アルバム表題曲でありながら。一分強のインスト小品。切ないアコースティックギターが響く物悲しい気分は、イタリア映画のサントラを狙ってるとな。マカロニウエスタン「殺人通りの死闘」と勝手に映画を妄想してみる。

14曲目「夢に消えたジュリア」。この曲の狙いはクワタ氏曰く「昔のテレビ『夜のヒットスタジオ』の雰囲気をサザンで再現しよう」とのこと。ストリングス&ブラス隊含めて34人編成のゴージャスセッティング。クワタの日本歌謡曲遺伝子がドクドク脈打っている。かつての歌番組「ベストテン」「トップテン」などは全部こうしたビッグバンドがバッグで全てのアーティストの演奏を担当してたんだよね。今この手法を取ってる番組は、多分「紅白歌合戦」しかない。もちろんジェイポップアーティストはこうしたビッグバンドには依存しないが、演歌歌手さんは自分のトラックを彼らに今でも任せてる。

15曲目「限りなき永遠の愛」。ディスク1を締めくくる美しいバラードについては、クワタ氏の言葉をそのまま引用しよう。『ロックンロールとは悲しみを大声で歌ったものである』誰かがそんなことを言っていた。同感である。所詮人が音楽に向かう衝動なんて、ある種の『哀しみ』がベースになっていると、私自身、身をもって知っている。今でも私は淋しい時、ギターを手に取る。いい歳こいた、こんなオッサンがである。そして癒される時もあれば、場合によって涙が頬をつたうこともある。普段は人目を気にしつつ、意外と大ざっぱに振る舞っているこんなオッサンですら、である。」サービス精神満載のお祭りオトコ桑田佳祐の秘めた心情吐露。どんなにオヤジになってもセンチなココロは忘れちゃいけないよ。ソレがクリエイティヴの源泉なのだから。


●ディスク2。後半戦。

1曲目「ごめんよ僕が馬鹿だった」。直球のタイトル通り、浮気がバレたオトコがトコトン彼女に謝るマヌケな顛末を楽しいポップチューンにまとめた曲。「いつも本気-honkyって口じゃ言うけれど ただ男って馬鹿だから夢見ちゃうのさ 淫らな誘惑には負けるから」この歌詞にはどうしょうもない真理が含まれていて、この世のオトコは全員1人残らず馬鹿なのだ。

2曲目「八月の詩」。サザンサウンドに 60年代のトッププロデューサー PHIL SPECTOR は重要な影響を与えている。この曲もズバリ彼の編み出したアレンジ手法「ウォール・オブ・サウンド」が採用されている。とはいえ、このPHIL SPECTOR、世界のポップ史に巨大な足跡を残す偉人と見せかけて、相当な変人としても有名。オーバーダブをキチガイのように繰り返す、ステレオの時代にモノラルにコダワルってのはまだ音職人としてマシ、音楽の意見で対立した JOHN LENNON を拳銃で脅す、気に入らない音源はテープを持って雲隠れ、麻薬はもち常習、2003年に殺人事件を起こしてる。アメリカンショウビズ、業が深いぜ。

3曲目「DOLL」。ギター音で構成した奇妙なループとチープなリズムトラックが印象的なこの曲は、クワタ&エンジニア衆だけで制作したプログラミング音楽。ブツブツ女の子が聞き取れない言葉を呟いてるのがこれまた不思議。へんな曲だけに、気になっちゃう。

4曲目「別離」 。イントロが70年代シグマサウンドかと思うような、カッコいいフィリー風ストリングスアレンジで、タイトルと裏腹な華々しさが気持ちイイ。終始ステレオの間を舞い上がる弦楽器に、喉越しサッパリ涼しいねーと爽快感に身を浸す。昔のソウル風に低音を抑えて腰高にミキシングしたという工夫も効果満点。

5曲目「愛と欲望の日々」。映画「大奥」の主題歌、ということで、依頼を受けたクワタがパッと発想したのは70年代ディスコティークの退廃グルーヴ。愛欲と権力闘争が渦巻く「大奥」は、妖しく回転するミラーボールの中で淫らに踊る男女の駆け引きにカブるという。お江戸デカダンスと東京アンダーグラウンドの合体。しかもクラブシーンならぬ、キャバクラシーン的な爛れ感。というコトで登場するのが、サザンお得意のラテン歌謡グルーヴ。このアプローチもやり尽くしてるっちゃーやり尽くしてるけど、それとは関係なく「大奥」が観たくなって来たのは正直な気持ち。

6曲目「Mr. ブラック・ジャック~裸の王様~」。はい、このアルバムで2番目に好きな曲です。セルフライナーによると、ブルース進行というルールとギターリフ、メロディだけ決めて練習もせず一発勝負のセッションをそのまま採用。ウタ入れを含めても録音時間なんと20分。野蛮なセッションの息づかいがリアルです。間奏に流れ込む瞬間に「間奏!」って叫ぶクワタがまたカッコいい。この間奏の後半だけにオーバーダブで打ち込みパルス音を挿入。でもよりロウな感じになってて実にカッコいい。曲の途中でスネアのスナッピーが切れたらしいが、セッションは続行。だから前後でスネア音が変わってるそうな。

7曲目「君こそスターだ」。なんかクワタソロ「波乗りジョニー」とデジャヴして聴こえるんだけど…。いや、ドコが似てるって訳じゃないんですが。でもやっぱ「サザン再生産」だと思う。CFタイアップ&アテネ五輪応援ソングという位置付けということで、サビ15秒から発達した曲。だからサビだけ抽出すると痛快で超前向きな曲調。なんだけど、丁寧にリリックを追ってみると、実は「ボクらはスターになれる!」と思い込んでいた青春の季節を懐かしむ、どこか物寂しいリリック。サザンの青春は終ったのかな…。

8曲目「リボンの騎士」。ブラックジャックに続いてリボンの騎士……。クワタ手塚治虫ファン? 多分関係ないな…。今作2曲目のハラボーボーカル。メロウなピアノとチープな打ち込みループにメランコリックに響く彼女の声。「私の濡れた秘部に挿入て」とキワドい歌詞を歌わせるが、どんなリリックでもイノセントに歌唱してしまうのが彼女のフトコロの深さ。

9曲目「愛と死の輪舞」。ボードヴィルスタイルのキャバレージャズ。ライナーによると GEORGE MARTIN ごっこがしたかったとな。途中で3拍子に変調する所なんてズバリ後期 THE BEATLES っす。でもそれだけ。

10曲目「恋人は南風」。クワタ氏のライナーを引用すれば「60s風サザンソウルのこの曲は、来チャスブラザースやウォーカーブラザースとか、本場のソウルを自分達なりに加工したブルーアイドソウルの人たちの曲が、当時の日本に輸入されて、それがごこかのGSがさらにまたパクっちゃったみたい…」とのこと。憧れの原型をねじってねじってねじり切って、完全なサザンサウンド=ジェイポップに引きずり下ろす作業ってのを、いつもクワタ氏はトコトン追究している訳ですな。でも曲としては凡庸…。かつてサザンが大躍進した80年代には、博覧強記の洋楽知識と、遺伝子に刷り込まれた歌謡曲センスのハイブリットをこなせる天才はクワタしかいなかったのだけれども、90年代以降は純粋洋楽志向のキッズ(渋谷系)が堂々とシーンを闊歩するようになって、00年代のサザンはオールドウェーブになってしまったのかも。

11曲目「恋するレスポール」。ライナーでぶっちゃけてますが、ソロ作「ROCK AND ROLL HERO」のコボレ楽曲だったそうな。サザン流にポップスとして味を薄めても、ゴーゴーダンスなクラシックロック的デティールは、「ROCK AND ROLL HERO」だけじゃなく KUWATA BAND すら連想させる。本気出せばもっとイタナいオヤジロックになる。

12曲目「雨上がりにもう一度キスをして」。この曲だけ雰囲気違うなーと思ったら、録音開始時期が1999年だって。もはや「さくら」~「TSUNAMI」時代じゃないか。6年も寝かせた曲まで引っ張り出すほどサザンはピンチだったのか?もはや自己革新能力を失ってしまったのか?滅びの音が聴こえるのよ。

13曲目「The Track for the Japanese Typical Foods called "Karaage" & "Soba"~キラーストリート (Reprise)」。ヘンテコなシンセが誘導するテコテコテクノポップをベースに、ビクタースタジオのソバにある「丸屋」というソバ屋さんの唐揚げ定食が素晴らしくウマいことクワタが妙なラップで歌う。多分、毎日のように出前を取ってたんでしょう。「丸屋」は、これまた有名なラーメン屋「ホープ軒」の徒歩一分の所にある…と歌詞で叫んでる。ボクは、友達がホープ軒のコッテリラーメンを食って腹を下したというハナシを聞いて以来、この系列のラーメンを食った事がない。…全然関係ないねこのハナシ。でもこんくらいバカっぽく突抜けた曲の方が「サザン再生産」楽曲より楽しいっす。

14曲目「FRIENDS」。8分24秒、サザン史上最長の楽曲。岸谷五朗から、彼が率いる劇団ユニット「地球ゴージャス」への書き下ろしをお願いされて制作したものという(ちなみに岸谷サザンの事務所メイト)。で、スゲえプログレッシブな工夫があるのかなと思いきや、その期待は50%程度しか応えてもらえなかった。抑制したボーカルの涼しい序盤に始まり、確かに4分過ぎから大合唱コーラス&ロック魂各パートソロ交換へと激しく展開するんだけど、そこまで。もっと爆発してほしかった!

15曲目「ひき潮~Ebb Tide~」。とうとう最後の曲。切ないアコギとストリングスにコーラスが、別れのラブソングを色添え。別れのウタにも一種の乾きが漂うのは、クワタが歳をとったセイか?昔はもっとアブラッこかったよね。でも、そんな無常観は成熟ととってもいいんじゃない。波の音のSEでコーダ。



ふうう、疲れた。お次はこの前後に発表されたアルバム未収録曲。


「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~ : 雨上がりにもう一度キスをして : OH!FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~ : 恋人は南風 : 経験II」

●「涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~ / 雨上がりにもう一度キスをして / OH!FRESH!! ~ドクダミ・スパークのテーマ~ / 恋人は南風 / 経験II」2003年
サザン25周年記念シングルってことなんだけど、5曲中3曲がアルバムに吸収されました。オマケに、「ドクダミ・スパーク」ってのは50秒ほどのインタールードみたいなモンで、100%天然のドクダミを使った清涼飲料水のCMソングになってます。「ビックリするくらいマズい!強い臭みもバッチリだね!吐くまで飲もう!」だって。もう一曲の「経験II」はギターロックだけど時々来襲するどうしょうもうない下ネタソング。


「彩~Aja~ : FRIENDS : 夢見るアニバーサリー」

●「彩~Aja~ / FRIENDS / 夢見るアニバーサリー」2004年
●アルバム未収録は「夢見る~」1曲。癒しのハラボーボーカル。サザンの活路は実はハラボーにあるんじゃないか? 既存サザンとは全然違うアプローチの可能性が広がる。だって風味堂とかとコラボしてんだよ!でも活動休止になってから言っても遅いってか。


「愛と欲望の日々 : LONELY WOMAN : イエローマン~星の王子様~ (LIVE at デイファ有明) : ラチエン通りのシスター (LIVE at デイファ有明)」

●「愛と欲望の日々 / LONELY WOMAN / イエローマン~星の王子様~ (LIVE at デイファ有明) / ラチエン通りのシスター (LIVE at デイファ有明)」2004年
●ライブヴァージョンを二曲搭載。シングル「イエローマン」は打ち込み主体のビッグビート風でビビり、気に入りもしたが、ライブではフツウのバンドサウンドになってて残念。「ラチエン通り」は古過ぎてイメージすらできない。今聴かせる曲かな?


「BOHBO No. 5 : 神の島遥か国 : ブルーライトヨコハマ : リンゴ追分」2005年

●「BOHBO No. 5 / 神の島遥か国 / ブルーライトヨコハマ / リンゴ追分」2005年
●アルバムに収録された前半に対して、後半は日本大衆歌謡史ビッグチューンのカバー。しかし「ブルーライト~」は安いテコテコダンスミュージックにされちゃって、原曲の持つ湿り気をさっぱり完全脱臭してしまった。そんなことして意味があるカバーか?歌ってるハラボーもどうしたらイイか分かんない感じ。こんなのは松浦亜弥島谷ひとみがやればイイアプローチだって。
●一方クワタが挑戦するは、美空ひばり「リンゴ追分」。ジャズコンボのクールな演奏で泥臭い昭和の匂いは拭い取られたが、クワタの塩辛いボーカルから立ちのぼるブルースを、より輪郭を浮き立たせる結果に。このカバーは大成功。お見事!


「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~ : BREEZE : 太陽に吠える!!」2006年

「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~ / BREEZE / 太陽に吠える!!」2006年  
●大作「KILLER STREET」から一年置かずにリリースされたシングル。「DIRTY OLD MAN」=「汚いオヤジ」。自虐のつもりなのか、クタビレ具合がかなり濃く漂うリリックは、サザンを支えきれなくなったクワタの悲鳴か。しかしサウンドはやっぱり王道の爽やかなサザン再生産。サザンというフォーマットではもう進化不能とクワタ自身もとうとう観念するのかも。ここでリリックを一部引用。この侘びの境地にだけこの曲を評価する。耳触りがいかにジェイポップでも、コレはクワタのブルースなのだから。
 
 「哀泣き笑い 時代は流れた 強者達の夢の跡 
  あの日の熱い僕はもういない 燃え尽き…死んだはずさ
  いい人だねと皆に言わせて 無邪気に道化を演じてる
  妬みと見栄の虚しい毎日 今宵も…泣いてホロリ
  泣き濡れた墨は 惨めな DIRTY OLD, DIRTY OLD MAN
  夢のような過去が 巡るよ MERRY-GO, MERRY-GO-ROUND …」


●カップリングの「BREEZE」JACK JOHNSON 的なアフターサーフをイメージしてたらしい。確かにクラシックなフォークロックとは違う新味がある。脱力したボーカルとレイドバックしたヨコ揺れグルーヴは、今までのサザンにはないモノ。
●その一方で「太陽に吠える!!」は完全にドラマ「太陽に吠えろ」70年代サントラグルーヴ、つまりは大野克夫「太陽に吠えろ」「傷だらけの天使」「寺内貫太郎一家」などのサントラを手がける。元ザ・スパイダーズで、沢田研二ソロ楽曲の多くも作曲してる)のマネをしてみようという代物です。で、たしかに暑苦しいオルガンが気分を出してます。ラウンジDJが大野克夫再評価してる時、なぜ一緒にサザンを再評価しないのだろうか?とボクは時々不思議に思う。確かにレアグルーヴじゃないよ、大セールスを挙げるシングルだから。だけど誰も注目してないと言う意味ではレアグルーヴ。志あるDJは、サザンをフロアへスピンしてみて下さい。



●ちょっとおさらい。ボクはサザンの変遷を時期に区切って考えてます。
 ・第一期:1978年~1982年 バンドデビューから、異形のバンドとして立場を作った時代
 ・第二期:1982年~1986年 デジタル楽器を導入してサザンサウンドを確立する時代
 ・第三期:1986年~1989年 KUWATA BAND、初のクワタソロの時代
 ・第四期:1989年~1995年 復活サザン、小林武史とのコラボ時代、クワタセカンドソロ
 ・第五期:1995年~2000年 サザン、商業的には絶頂期……でも…?
 ・第六期:2000年~2008年 クワタソロ活発化、そして大作「キラーストリート」…。

●よって余す所は、2007~08年のクワタソロと、最後のシングル「I AM YOUR SINGER」のみとなりました。長かった~!アルバム未収録曲をディグするだけで大変だったからね。このシリーズは次回で結末。こんなにシンドイのはもうイヤだから、シリーズもの企画は今後ヤメます。

●過去の関連記事はこちらに。
 「サザン再聴、その8」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080801.html
 「サザン再聴、その7」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080607.html
 「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html
 「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
 「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
 「サザン再聴、その3」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071206.html
 「サザン再聴、その2」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20070802.html
 「サザン再聴、その1」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-69.html


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