●長い一週間が終わった。

久々に、ボチボチのハードワークをしている。今週は終電帰りが二回、タクシー帰りが二回。そんで最後の金曜日はやっと余裕が出来て、12時の下北沢に到着出来た。連続して朝10時からみっちり真夜中まで仕事するのは、ビョウキでカラダを壊して以来のチョー久しぶりのことだ。つまり5年ぶりくらいってことか。実はちょっと楽しい。忙しいけど、ボクはそもそも仕事が好きなのだ。
●オマケに家では息子ノマドがインフルエンザを発症している。ワイフがメールで寄こしたアドバイスは「家でゴハン食べると感染する」。だから今週は、毎晩夜中の下北沢で一人メシ。ガスト…サイゼリヤ…すた丼…松屋…金曜日はラーメンなんつッ亭。翌日の口臭を気にしないでイイ解放感でシコタマニンニクを載せる。美味しい。
●ふと気づくと、音楽喫茶「いーはとーぼ」が営業中。ヘー、このお店深夜一時までやってるんだ…初めて知った。ハイカロリーなラーメンが胃ブクロに落ち着くまで、濃いミルクティーをゆっくりいただくことにする。


●そんで、読書。

文芸誌「群像」3月号

本谷有希子「13の“アウトサイド”短編集」
●文芸誌「群像」3月号本谷有希子の短編小説13編が掲載されたのです。そんでアマゾンで速攻取り寄せて読んでたのです。相変わらずだな~この人は。自意識がヘンテコなカーブをヘンテコなラインで曲がろうとしてデタラメになる様子が贅沢にも13連発。ナニがアウトサイドなのかよくわからないけど、人生最短距離のインコースを高速で走り抜ける人には視界に入る事もない世界で起こるガッカリなお話たちに、通勤電車のボクはニマニマほくそ笑んでしまう。こんなにヘンテコな不安や心配を抱きしめて生きてる本谷有希子さんがより一層好きになるのです。
本谷有希子さんがマンガ雑誌「週刊モーニング」で書いてた連載コラム「かみにえともじ」が終わっちゃった。実はちっとも内容のない文章を、ちっとも取り繕うつもりもなく、フワフワ書いている様子が実にムダで楽しい。石田衣良さんの「R25」のコラムも大して内容ないけど取り繕う意思と技術はあったもんね。マンガ雑誌でナンで文章書いてんだアタシ?という違和感を常ににじませていたのに気づけば3年も続いた長期連載。その存在のムダさ加減が愛おしかった。絶対単行本にはならない気がする。
「群像」3月号では、舞城王太郎さんの「短編五芒星」も楽しんだ。文章とおハナシの展開に様々なリズムのバリエーションがあってオモシロい。


そうそう、芥川賞も読んだんだっけ。

田中慎弥「共食い」。スゴミのある下関弁が飛び交うデストロイな物語。どうにもこうにも。ニッチもサッチも。ホントにどうしょうもない。会見のコメントが話題になったけど、こんな風に煮詰まった世界を描く人だったんだ。
円城塔「道化師の蝶」。初めて知った作家さんであり、初めて読んだタイプの小説だった。オモシロい!とても精緻なパズルの世界に潜り込んだような、奇妙なダマし絵を見せられている感覚。で、なんだかキチンとダマされる。ワザとトボケたり、肩すかしを食わせたり、ケムに巻いたり。「難解だ」って論評があって「あ、ボクだけじゃなく、大勢の人が難しいと思ってるんだ」と知り安心しました。明らかに取っ付きにくいけど、刺激的だった。

ハンバートハンバート「さすらい記」
ハンバートハンバート「ニッケル・オデオン」
ハンバートハンバート「さすらい記」2010年
ハンバートハンバート「ニッケル・オデオン」2011年
円城塔さんのインタビューを読むと、最近の興味は「ロリータ」で有名な小説家ナボコフだという。このロシア生まれの小説家は40歳でアメリカに亡命する。結果、ロシア語と英語の両方で小説を書くのだが、それってスゴいことだよね、という話。「道化師の蝶」も多くの言語で小説を書くナゾの作家が出てくるんですよね。
●そんで、このインタビューの中で初めて知った事実。小説「ロリータ」の主人公の名前はハンバート・ハンバートっていうんだそうです。お恥ずかしい事に「ロリータ」なんて読んだコトなかったもんで。で、スグに思い出したのがこの男女2人ユニットの存在。シンプルなアコースティックサウンドに透明感溢れる女子ボーカルがキレイな音楽を奏でる人たち。そのユニット名の由来がナボコフだったとは。クラムボン宮沢賢治由来なのと一緒だね。
中里依紗さん&光浦靖子さん&珍しいキノコ舞踏団のダンスが楽しい「アセロラ体操のうた」のパフォーマンスも彼らです。かといってあの手のユカイでユーモラスな音楽ばかりをやってるわけではありません。もっとフィドルが活躍するアイリッシュトラッド風味が強かったり。そんで明瞭な日本語詞がもっとシリアスだったり。

トクマルシューゴ「PORT ENTROPY」

トクマルシューゴ「PORT ENTROPY」2010年
ハンバートハンバートと同じような質感を持つ、シンガーソングライターの音楽。凛とした歌唱とリッチなアコースティックサウンドが清らかな気持ちを運んできてくれる。こんな音楽みたいな、無垢といつまでも戯れていたい。




「カーネーション」。尾野真千子さんから、夏木マリさんへ。

●主役が変わるコトでナニが起こるだろうと注目してたが、それどころかキャストがほぼ全部入れ替わるという暴挙にビックリ。愛着ある脇役たちが全員死滅したことになりました。北村のおっちゃん(ほっしゃん。)までもが死んでるなんて。三姉妹も全然出てこない。ぶっちゃけオモシロくなくなっちゃった。
●それでも、オシトヤカ女の子イメージの小島藤子ちゃんを、80年代「積木くずし」風ツッパリ少女にしたのはちょっと楽しくて。

●そんなんで、尾野真千子さんの映画を観る。

「萌の朱雀」

「萌の朱雀」1997年
尾野真千子さんが中学3年生の時、地元中学校で靴箱の掃除をしている時にスカウトされて、そのまま主演女優としてデビューしてしまった作品。やはりこの作品で長編デビューした河瀬直美監督による直々の抜擢。ロケ地の奈良・西吉野村はビックリする程の素晴らしい緑。ガラスもサッシもない縁側からパッと広がる豊かな山並みにただただ見惚れて、実は寂しいこの物語の正体を忘れてしまうほど。ティーンの尾野さんは、ショートカットとセーラー服がマブし過ぎて、奈良の美しい風景と同じ無垢をスクリーンに放射していました。

「もがりの森」

「殯の森」2007年
●デビュー作で仕事した河瀬直美監督と10年ぶりにタッグ。そんでカンヌ映画祭グランプリ受賞。新人介護士の真千子さんと認知症のお年寄りの交流、そして、奈良の深い深い山。亡き者へ捧げる思い。この映画もそうだけど、尾野真千子さんの本来の仕事は、実は暗いキャラクターの方が多いのかな。「カーネーション」が異例なのかも。
「殯」(もがり)って難しい漢字。変換しようにもナカナカ出てこない。本葬までの一定の期間、死者を悼み別れを惜しむ時間を設けた日本古代の風習とのこと。映画の主人公たちは近しい人を亡くし、その感情の取り扱い方を見失っている。あの大きな災害から一年。我々の殯はいつ終わるのか?放射性セシウムが半減するまで?




●息子ノマド10歳はインフルから立ち直りつつあって、せっせと「マリオカート7」の修行に夢中。
●すでにノマドのドライブスキルは、ワイフやボクの及ぶ領域ではなくなって、対決プレイに付き合えなくなってきた。結果、ボクが貸してやった WI-FI を駆使して、アメリカ人やブラジル人と共に通信プレイを楽しんでいる。さすが21世紀少年。

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