意外なほどジンワリと効いた映画だった。

DVD「ロッキー・ホラー・ショー」

「ロッキー・ホラー・ショー The Rocky Horror Picture Show」1975年
●ボクが毎週楽しみにしてる海外ドラマ「glee」に、この古典的名作「ロッキー・ホラー・ショー」をパロッた回があったのです。いつものメンバーたちがこの作品のミュージカルナンバーを歌いまくるも「あの不謹慎なミュージカルを高校生が学校で演じるのは如何なモノか」という圧力がかかって、結局公演は中途半端になりました、というオチ。でもね、実はこの映画をボク見てません、だから意味がワカランかった。70年代カウンターカルチャーの中でカルトムービーになったという逸話は知ってても、内容を知らないから、そのパロディとしてのオモシロさも、世間が煙たがるほどの圧力も理解出来てませんでした。やっぱ教養として見ておかなきゃダメね、と思ってDVDを借りてきたのです。
●で見てみて。奇妙なフリークスやジェンダーフリーなキャラクターが大勢出てきて、常識人の主人公カップルを混乱に陥れる。グラムロック時代のミュージカルとして、グリッターな賑やかさは確かにマチガイナイ。はー、アメリカ人はコレを映画館で見て、コスプレしてお約束の間の手入れて、騒いで踊って楽しむのね…。やっぱやっぱ経年劣化の陳腐さは感じちゃうけど、ほえー、って感心した気分にはなったのです。
●ただし、怪人フランクン・フルター、セクシーなトランセクシャル、男も女のオッケーのオネエキャラが圧倒的で。これがどうにもこうにもクセになるほどの味を放ってて、映画が終わっても強烈なイメージを残してる。オネエってこうだよねってイメージを完全にヤリ切ってて、そして現代日本のテレビで活躍する数々のオネエ芸能人がソレをキチンとシンクロしまくってる事に、素朴なオドロキと感動と感じる。見れば見るほど魅き込まれる。
DVDのジャケットにも登場してるけど、もうちょっと画像つけますね。

tumblr_lpxyn6zd3L1r053v4o1_1280.jpeg

rocky_horror_picture_show_movie_image_tim_curry_01.jpeg

tumblr_mawq0qPcP71ryolqjo1_500.gif

いちいち動きがオオゲサで、的確にイカレてて、結果、スゲーチャーミング。
●この怪人の居城にさまよい込んでしまった一般女子は若き日のスーザン・サランドン。見事倒錯の世界に引きずり込まれて、貞操観念を完膚なきまでに破壊されます。ボクにとって彼女はリドリー・スコット監督「テルマ&ルイーズ」1992年の痛快な主演が印象的で。
●そんで、怪人フルターに撲殺されるヤカマしいロックンローラーとして MEAT LOAF が登場する。


怪人フランケン・フルターがボクの中でじわじわキてるのは。
彼のイメージが、70年代グラムロック期の LOU REED とダブるから。
●この頃の LOU REED は、ゲイっぽい発言もしてたから。この下の写真も雰囲気でしょ。

tumblr_mdee8wvTJg1royxc9o1_500.jpegtumblr_LOUREED0.jpeg


tumblr_mdlsd9o9731r48ofmo1_500.jpeg5478342307.jpeg


●だから、最近の LOU REED を今日は聴いている。
●ボクは LOU REED が大好き。THE VELVET UNDERGROUND もその後のソロも。
●そして今日に至るまでのキャリアも。

LOU REED  METALLICA「LULU」

LOU REED & METALLICA「LULU」2011年
THE VELVET UNDERGROUND の頃、つまり60年代の LOU REED はナイーブで甘い顔つきの美少年。DAVID BOWIE IGGY POP とつるんでジャンキーやってた70年代はグラムロック。そして80年代以降は酸いも甘いも噛み分けて、見事なほどのロックオヤジとして成熟。実にクール。マジでこんなオッサンになりたいというロールモデルですよ LOU REED は。さすがに最近は一気に老け込んだというか、マジでジジイっぷり出しまくり(今年70歳だし)。そんなジジイが、なんと METALLICA とコラボですよ。ナニやってんだジジイ、いきなりヘヴィメタかよ!ビビりますよこの展開は!そんな衝撃で迎えられた2枚組の大作。素朴にこのコラボ、コワいわ。打合せとかに混じったら緊張で声1つ出せないわ。
●ね、下の写真見てよ。これじゃコワいでしょ。

LOU REED  METALLICA

なんでこんな異種格闘技戦みたいなコラボが成立したのか?
METALLICA が「ロックの殿堂」入りを果たした記念ライブで、ステージに LOU REED を引っ張り上げて共演をしたそうな。THE VELVET UNDERGROUND の名曲「SWEET JANE」「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」をメタルアレンジで演奏。そこで意気投合した両者がコラボをしようという気分に。METALLICA は大先輩が積上げてきた数々の名曲をメタルカバーしましょう的な提案をしたそうだけど、LOU REED は全然違うアイディアを持ってきた。19世紀ドイツの歌劇を現代版として復活させたいというのだ。しかも歌詞はもう出来上がってると。これをジャムって作ろうぜ。先輩…なんか難しそうですけど大丈夫っすか?
「LULU」の下敷きになったのは、フランク・ヴェーデキントという劇作家が描いた2本の戯曲「地霊」「パンドラの匣」。19世紀初頭のベルリン/パリ/ロンドンを舞台に、欲望に身を任せてブルジョワ的道徳を乗り越える魔性の女性ルルが、多くの人々と激しい恋に落ちる様を描いているという。情欲や嫉妬、裏切り。そしてルルジャック・ザ・リパーに心臓を切り裂かれる。この物語を、LOU REED はイツモ通りの渋みを利かせまくったポエトリーリーディングで描き、METALLICA が完全武装の鋼鉄リフロックで彩る。リハもデモ収録もない、最初のジャムからテープを回し、その即興的パフォーマンスをそのままダイレクトに使う。METALLICA 自身もこんな制作手法は始めてだったらしい。
結果、ヘヴィメタルなどなどのイメージとは関係ない、強力な推進力を持つ爆音グルーヴが浮き立ってきた。そもそもで言えば、LOU REED の音楽はシンプルなロックンロールの力で見事なグルーヴを生み出してきてる。THE VELVET UNDERGROUND「WHAT GOES ON」は大好きな曲だ。3つのコードとシンプルなブギだけでグルーヴがメチャメチャドライブする。METALLICA もカバーする「WHITE LIGHT / WHITE HEAT」の原曲はシューゲイザーのノイズグルーヴ駆動だ。1984年のアルバム「LIVE IN ITALY」はビンテージ・スポーツカーのようなグルーヴで全編が貫かれてる。そんな LOU REED は今回 METALLICA のパワーグルーヴを援用することにした。ビンテージ・スポーツカーどころでなく、大型特殊工事機械のグルーヴだけど。そして曲が長い。最大19分以上の楽曲もある。無限に反復されるかのようなノイズの奔流は、ジャーマンプログレまで連想させる。主人公ルルが、混沌と狂気のグルーヴを胸に秘めてベルリンの街を妖しく歩く…。

LOU REED もう一枚。

LOU REED「THE RAVEN」

LOU REED「THE RAVEN」2003年
LOU REED のソロはほとんど持ってる、つもりだったけど、コレが抜けてるってコトに最近気付いた。ので買ってみた600円だったからね。こちらも2枚組の大作。エドガー・アラン・ポーの物語詩「大鴉」(原題「THE RAVEN」)にインスパイアされた内容らしい。彼の伝記「ルー・リード/ワイルドサイドを歩け」(ピーター・ドゲット著)で知ったが、彼はロックンロールでドフトエフスキーの名作「カラマーゾフの兄弟」を超える表現を生み出したいという志で音楽の世界に入ったという。彼の文学志向はこの根っコの部分から出発してるのね。キャバレー風ジャズをへなへな歌う LOU REED がちょっと意外だったです。


スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://unimogroove.blog4.fc2.com/tb.php/1436-c91389a5