なぜか、群馬県川場村という場所でスキーをやってきた。

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今回の旅行の企画者は、長男ノマド11歳だ。
●群馬県川場村には、世田谷区の保養施設「なかのビレッジ」がある。ココがナイスな場所だとノマドが主張。ヤツは去年夏の林間学校でココで一泊二日を過ごしてきたのだ(つーか世田谷区の全ての小学校がココを利用してる)。「星がスゲえイッパイ見える!」「リンゴ畑がイッパイある!」100%都会生活者の我がコドモたちは、ワイルドネイチャーあふれる田舎の土地ににキョーレツな憧れがあって「川場村には信号が三つしかないんだぜ!」とかいうポイントにメッチャ魅かれるのである。結果、今回の旅行の目的は、この川場村で夜空をもう一度眺めるコトと、スキーをやるコトとなった。上越新幹線・上毛高原駅から送迎ワゴンで30分で、「なかのビレッジ」に到着。ココからさらにバスで30分、川場スキー場に到着。
実はボク、スキーは16年ぶりである。最後にスキーしたのは新入社員の年。高校〜大学時代は毎シーズン何回か滑ってたけど、仕事に就いてからはそんなヒマはまるでなかった。コドモとワイフは最近ジジババたちとスキーしに行くようになったのだが、それでもボクだけが日程あわず棄権。「パパはスキーが出来ないに違いない」という不本意なイメージまで熟成されてきたので、ココで一発イイトコロと奮起した。…でもサスガに長いブランク、ホントに出来なくなってても不思議じゃないと思ったけどね。
●川場スキー場は緩斜面中心の初心者に優しいコース。広いゲレンデをワイドに使ってパラレルをサクサクと滑る。おっ?ナニゲにちゃんとイケルもんじゃん!娘ヒヨコも「パパ、思った以上にちゃんとスキー滑れるんだねー!」と感心してくれた。ただ、持久力が足りなかった。無謀にどこまでもボーゲンで突っ込んで行くド根性スキーで、中級コースも乗り越えて行くノマドヒヨコのコドモパワーが現役の強さを見せつけてくれる一方、技術と経験でリードしてるはずのボクがハアハア息切れ起こして追い詰められてる。シンドくてしょうがない。ヒザとモモの筋肉がガクガク。午後の時間ともなると姿勢の制御が出来なくなってきて、無意味にコケる。宿からのお迎えバス時間に間に合わすために、レンタルスキーをバタバタ返却してバス停まで走ったら、もうゲロ吐きそうになってた。甘いソフトクリームと熱い紅茶をイッペンに摂ってなんとかヒトココチ。
●川場村の夜空は確かにキレイで、北斗七星とカシオペア座、オリオン座とこいぬ座の一等星プロキオンがパキパキに輝いていた。寒くて寒くて、落ち着いて見てられなかったけど。

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●都会ッコのノマドには、つららだって新鮮!「ロンギヌスの槍だぜ!」


●今週見つけたヒップなアイドル音源、からのインドネシア産ダンスミュージック。

9nine「イーアル!キョンシー feat 好好!キョンシーガールズ」

9nine「イーアル!キョンシー feat. 好好!キョンシーガールズ」2012年
9nineは、女優としても立派に活動してる川島海荷ちゃん含む5人組のアイドルグループ。群雄割拠のシーンにおいてはすでにボチボチの活動歴にはなるけど、明確なポジショニングがイマイチで、ちょっぴりザンネンな存在でもある。所属事務所はレプロエンターテインメントというシッカリしたトコロ(新垣結衣ちゃんとかいます)なんだけど、なまじシッカリしすぎて、大胆なブランディング、つまりはアザトイB級感が演出しきれてない気がします。
そんな彼らが、かなり斬新でB級感に振り切ったアプローチでこのシングルをドロップしてきて、思わず唸った。テレビ東京のB級感全開ドラマ「好好(ハオハオ) ! キョンシーガール〜東京電視台戦記〜」の主題歌であるこの楽曲、なんとインドネシア産のクラブミュージック、ファンコットを採用してるのだ。いやー、アイドル業界はホントにスゴイよね。過激な差別化のためならキッチュなローカルミュージックだってガッチリ援用する。マジで侮れない。だから目が離せない。
ファンコット(FUNKOT、またはファンキーコタ FUNKY KOTA)は、本来はハウス/トランスから派生したダンスミュージックなんでしょうけど、インドネシア独自のファンク解釈が加わったせいなのか、テンポがアホみたいに超高速化されてて、そのヤリスギ感が笑えるほどキッチュな味わいを出している。結果的にスゴく饒舌になったビートの連打が音楽の重心をスゴく上に設定して、祭り囃子のような上下運動のアゲアゲ感を作り出す。そんで、欧米のポップミュージックやブラックミュージックとは別の文脈に由来する独特のグルーヴをひねり出してる。
●ココに中国妖怪「キョンシー」という、これまた奇妙なテーマ素材が加わって、この楽曲はだいぶマヌケなノベルティチューンになってる。だいたいキョンシーって、今の若者たちは知らないでしょ!そのツッコミに対しては、この曲の中ですでに開き直ってて「海荷の知らないエイティーズ!霊幻!幽幻!来来再来ブーム到来?そんなの知らない!仕方がないから戦うよ!」そうだよね、80年代だから知らないよねー仕方がないよねー。確か香港映画の「霊幻道士」の方がメジャー感があった(今検索して知ったけど、プロデューサーはサモハンキンポーじゃないか!)んだけど、台湾映画の「幽玄道士」にはテンテンちゃんというカワイイ子役少女が出てて、個人的にはソッチが好きでした。十数年前の「あの人は今?」的特番で、成人したテンテンちゃんがキレイなOLさんになって台北で暮らしてるのが紹介されてたっけ…と思ったら彼女、今は日本の芸能界に進出してて現在松竹芸能所属じゃないか!
●で、家でコレを聴いてたら、娘ヒヨコが反応して、ぴょんぴょんキョンシーのジャンプをはじめた。あれ?ヒヨコ、キョンシー知ってるの?「うん、どう森(「とびだせどうぶつの森」の略)の前に流行ってた!ホンモノは見たことないけど、みんなぴょんぴょんしてたよ!」ああ、そうなの…。

DJ JET BARON「FUNKOT ANTHEM」

DJ JET BARON「FUNKOT ANTHEM EP」2013年
●さて、こんなキッチュな音楽をプロデュースしてるのが誰か?というと、日本には好事家がちゃんといて、このインドネシア産音楽ファンコットをベースに活動してる人がいるのです。レオパルドンなるテクノユニットがこの分野の第一人者で(つーか、他にファンコットやってる人は知らない…)、この中心人物、高野政所 A.K.A. DJ JET BARON さんが 9nine のシングルも手掛けてる。
●個人的には、ボクはこの人たちのブログを結構前からブックマークしてまして(彼らのブログはこちら「レオパルドンのイルカがせめてきたぞ」)、その猛烈なユニークネスをめっちゃリスペクトしておりました。そもそもは、思いきりハードコアなテクノ(当時オランダ方面にガバ GABBA というスラッシュメタルのようなテクノシーンがありました)にバカバカしいアニメネタをサンプルして織り込む、ナードコアというスタイルの音楽を第一世代として担った人たち。ボクは90年代のサブカル雑誌「クイックジャパン」の特集でそのシーンの存在を知り、チョイチョイこの辺の音源に接触しておりました。SHARPNEL というユニットの「SHARPNEL vs PROJECT GABBANGELION」1998年という名譜があります。
●ということで、元来からこの人たちには強力な雑食性と絶妙な編集センスがあるわけで、世間のスノッブな価値観では捉えらない感覚が光ってるワケです。そんな彼らがインドネシアの奇妙なダンスミュージックに到達したというのだからスゴイ!ハッキリいって日本でどうやったら本場のファンコットを聴けるのか全然分からなかったのですけど、YouTube とかで聴こえてくる音は強烈なパワーを感じました。フィラデルフィアの辣腕プロデューサー DIPLO がブラジルのゲットーミュージック、バイレファンキに注目したのとシンクロする感覚だと思いましたね。ちなみにインドネシアは80年代のワールドミュージック発掘時代にもダンドゥットというスタイルの奇妙なポップミュージックで注目を浴びてました。
●この音源は、ネット限定配信で EMI ミュージックジャパンからリリースされてる物件で、ナゼだかマイアミベースみたいなジャケになってます。実際、饒舌なビートの連打で重心が高いとは言いましたが、野太い重低音ベースがエグいのも事実で、現在世界中で鳴らされてるベースミュージックの一種ということもできます。イギリス人女性の攻撃的なラップを備えた表題曲や、ジャーマントランスのヒット曲 BELLINI「SAMBA DE JANEIRO」ファンコットカバー、滝廉太郎「古城の月」エピックトランスファンコットに仕上げた珍曲も搭載してます。これで600円はオトクすぎる!


そんで、イギリスのファンキーなダブステップの世界へ。
「RIDDIM BOX - EXCURSIONS IN THE UK FUNKY UNDERGROUND」
VARIOUS ARTISTS「RIDDIM BOX - EXCURSIONS IN THE UK FUNKY UNDERGROUND」2010年
●ボクの大好きなイギリスのレーベル SOUL JAZZ RECORDS が送り出す、ポストダブステップのコンピレーションです。本来は再発系レーベルだった SOUL JAZZ現在進行形のシーンに本格的にコミットし始めたのがこのダブステップの世界。彼らは「BOX OF DUB」シリーズ、「STEPPA'S DELIGHT」シリーズなどのコンピを2007年から繰り出して、このシーンの最前線を伝えてきました。そんなダブステップが一区切りついてきた2010年代のトッカカリに、このレーベルは「FUNKY、ファンキー」というキーワードを用いて、次のシーンの様子を切り取ってきました。ココに前述のインドネシア音楽、ファンコットがシンクロして聴こえてくるのです。
●つんのめるような寸止め感をグルーヴにワザと漂わせるダブステップの鬱屈たる佇まいから進化、よりシナヤカでグラマラスな立ち振る舞い、粘り着くような高密度ビートに宿るファンクネスを特徴とする新しいスタイルがココに聴こえてきます。アルバムタイトル「RIDDIM BOX」に嗅ぎ取れるように、ココにはジャマイカ由来のダンスホールレゲエ感覚があるし、90年代のジャングル、ドラムンベース、00年代のUKガラージ、グライムのレイヤーも織り込まれてます。デトロイトテクノアシッドハウスレゲトンクンビアなどの音楽も溶け込んでます。
●コレら様々な地域や時代の音楽を援用して貫かれている美学はナニかといえば、「ファンキー」または「ファンクネス」という言葉に着地します。ココでボクは「ファンクネス」を、一撃一撃のビートを微分的に積み上げてその一瞬の快楽を無限に反復するミニマリズムと定義しておきます。フツウのポップミュージックが、前の4拍から次の4拍へ、前の小節から次の小節へ、前のメロディから次のメロディへと、時間軸と共に楽曲が展開していく構成を前提として楽しむフォーマットとするならば、「ファンクネス」は、その一瞬の前も後も関係なく、その目の前の打撃/ビートだけで成立し、行き先も分からず次の一撃を打つコトだけで推進するフォーマットであります。その意味では、同時代の地下イギリスとインドネシアで鳴っている二つの「ファンクネス」は同じモノを目指してて、地球を串刺しにするようなシンクロニシティにボクは震えるような感動を感じるのです。

「FUTURE BASS」
VARIOUS ARTISTS「FUTURE BASS」2010年
●前述「RIDDIM BOX」とほぼ同じタイミングでリリースされたコンピ。ここでもポストダブステップ状況の中での新しいタイプのファンキーなダンスミュージックが鳴っております。ぶっちゃけ、アーティスト単位の名前ではほとんど把握できてない感じ…。比較的有名なのは FOUR TET とか?「STEPPAS DELIGHT」シリーズにも登場していた LD、RAMADANMAN とかはマジでカッコイイ。
「RIDDIM BOX」の方のアーティストもチェックしておくと、ダブステップの中心的レーベル HYPERDUB の創始者 KODE 9 や、2ステップの貴公子と謳われた MJ COLE が活躍してる。あと気になるのは TUBBY T、NB FUNKY、GHOST ON TAPE、CRAZY COUSINZ とか。

「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2008-2009」
「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2006-2007」
VARIOUS ARTISTS「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2008-2009」
VARIOUS ARTISTS「SOUL JAZZ RECORDS SINGLES 2006-2007」
SOUL JAZZ RECORDSダブステップにコミットした痕跡がこのシングル集に収められてます。ダブステップのオリジネイター DIGITAL MYSTIKZ SKREAM、KODE 9、そして RAMADANMAN、GOTH TRAD、WARRIOR QUEEN、LADYBUG の顔が見えてます。
●このシングル集は純然たるダブステップコンピじゃないから、ミニマルファンキーなテクノや、ストイックなエレクトロニカも混じってます。12インチ音源だから1曲の尺も10分くらいあったりしてスゴく長いし。ディスク3のボーナスミックスCDがカッコいいですわ。コレらの音源がスキー帰りにハマった関越道のソリッドな渋滞イライラを、クールにチルアウトしてくれました。




●動画「FUNKOT ANTHEM」。



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