3月11日の2時46分。社内のアナウンスが鳴りました。
「2年前の今日2時46分に東日本大震災は発生しました。多くの人がこの災害で亡くなりました…」そのアナウンスを聞いて、オフィスにいた全員のスタッフが静かに席を立ちました。そして、放送の合図と共に一分間の黙祷を捧げました。


●ふう。震災うつになりかけてた。
●昨日なんて、会社の社員食堂で一人若鶏ポン酢タレ定食食べながらテレビのワイドショー見てたら、もう意味ワカンナイほど涙がポロポロ出てきて「ヤベエ今のボクは完全にフツウじゃない」って逃げ出しちゃったもんね。
●もうクスリ飲むしかないよね。しょうがないのよボクキチガイなんだもん。
●ホントに気分が落ち込むのよ。おまけにゼンソクが出てセキが止まらないし、カラダの筋肉がアチコチ痛むし、マジで萎える。


しょうがないからボサノヴァ聴くんです。

JOAO GILBERTO「AMOROSO : BRAZIL」

JOAO GILBERTO「AMOROSO / BRAZIL」1977年/1981年
ボサノヴァの神様でございます。サンバのリズムを一本のギターで表現するバチーダ奏法を編み出した人物。つまり、この人がボサノヴァを作ったわけでございます。50年代から音楽活動をはじめ、ボサノヴァの発明が1958年。アメリカでのブレイクが1963〜1964年の頃。このアルバムは、すでに大御所の地位を確立した段階でリリースした2枚のアルバム「AMOROSO(イマージュの部屋)」「BRAZIL(海の奇蹟)」を合体させたCDであります。新宿のディスクユニオンで800円だったよ。
●気分が落ちきった時は、聴くべき音楽も見つからなくなってしまい、ボクはCDの棚の前で数分ずーっと突っ立って動けなくなってしまう。ナニを聴いたらよいだろう?選択肢は数千枚あるのに手が伸ばせなくなる。うーん。あー。むむむ。そうだなー。しょーがないなー。ブラジルにしよう。
●二年くらい前に買ってちょっとしか聴いてなかったこのCDが、うつモードのボクにはビタッとハマった。JOAO GILBERTO は一流のギタリストでありますが、ボーカリストとしての存在感もスゴい。いや、本来的には全然スゴくない!超ちっちゃな声で、実に甘ったるく、ある意味オタクっぽい覇気のなさと、メリハリとか凹凸とか起伏のナイ、ペッタリとしたトーンで、ひとつひとつの言葉をリズムの上にポツポツと静かに配置していくだけの、実にシケたシンガーであります。でもね、ボサノヴァがスゴい最大の理由は、ボリューム&スケール共にとても小さいボーカルこそに説得力を持たせるフォーマットとして成熟しまくっているコトですわ。そんで、JOAO の声はそのフォーマットの中で強力に効果を発揮する。丸みを帯びたポルトガル語の独特な音の可愛らしさ、細く高い声の微細なニュアンス、リズムの中で的確に立ち振る舞うジャスト感覚、鮮やかなハーモニー。マイクに大密着して小さな声を細かく丁寧に録音した、その謙虚な声の佇まいが、不安定にササクレたボクの心の表面を柔らかく温かく優しく包んでくれて、ボクは本当に安心することができた。すいません、巨匠をディスり過ぎてますが、彼の偉大さとボサノヴァの偉大さはこの逆説が前提になってるはずとボクは言っておきたいだけなのです。
●1981年の「BRAZIL」は、同じバイーア州出身の後輩であり、ボサノヴァ後のブラジル音楽を支えた巨人たち CAETANO VELOSO、GILBERTO GIL、MARIA BETHANIAMARIA CAETANO の妹ですね)の三人とコラボッた物件であります。ノルデスチ(北東部)の貧しい州であるバイーアがフラジル音楽では聖地のように傑物を出すのはナゼなのでしょう?とにかくこの三人と共に巨匠が声を織り重ねていく様は実にシナヤカ。まるで、コジンマリとしたカフェでめっちゃオシリにフィットする柔らかいソファに気持ちよく背中をあずけ、ウトウトと昼寝してしまうような心地よさがある。スケールは小さいんだけど、すぐ手の届く場所に自分の好きなモノがみんな揃ってるような居心地のよさ。ポルトガル語はちっとも意味が予想できないけど、「バイ〜アブラジ〜ル」と自分たちの故郷を歌う「BAHIA COM H」という歌が好き。
●一方、1977年の「AMOROSO」はアメリカレコーディング物件でプロデューサーがなんと TOMMY LIPUMAこの時代のフュージョンミュージック、AOR を数々手掛けた辣腕の持ち主。とはいえ、そこでこの巨匠の芸が揺さぶられるワケではなく、見事なオーケストレーションをバックに背負いながらも、その小規模なギター&ボーカルのチンマリした美意識を繊細に突き詰めた佇まいは完璧。GEORGE GERSHWIN などなどの古典を引っ張り出したカバー集で、英語、スペイン語、イタリア語の歌詞も歌う。「BESAME MUCHO」とかも歌う。ボサノヴァを共に開発した盟友 ANTONIO CALROS JOBIM の楽曲を3曲も歌う。

ANTONIO CARLOS JOBIM「JOBIM FOR APRES-MIDI GRAND CRU」

ANTONIO CARLOS JOBIM「JOBIM FOR APRES-MIDI GRAND CRU」1964〜1987年
●ボクが JOAO を聴いてたらワイフが「なんだか今日はカフェみたいな音楽がかかってるのね」という。おお、カフェであることがお望みか?いっつもヘンな音楽ばっかり聴いてるけど、カフェ的な音楽を持ってないワケじゃないのよ!このCDなんて、ズバリ CAFE APRES-MIDI橋本徹さんのコンパイルだよん。このCDは常々聴いているお気に入りの愛聴盤ボサノバだ。
ボサノヴァは、三人の天才が合体した所で誕生した。全く新しい演奏様式を発明した JOAO GILBERTO。そして天才作曲家/編曲家 ANTONIO CARLOS JOBIM。そして彼らの楽曲に言霊を宿らせた天才詩人 VINICIUS DE MORAES。リオで出会ったこの三人が新しい音楽を開発した。ボサノバ。英語でニューウェーブ。世界で一番最初のボサノヴァ「CHEGA DE SAUDADE」は、彼ら三人の共同作業で生まれた。世界最大のボサノヴァヒット「GAROTE DE IPANEMA / THE GIRL FROM IPANEMA」も彼ら三人が作り上げた。そんな巨人の一角の優雅な代表作がたっぷりここに並んでいる。
●ピアニストでアレンジャーである ANTONIOジャズやクラシックのエッセンスを、ブラジル独自の滋養をたっぷり含んだグルーヴの中に溶き合わせて、実に鮮やかな世界を作り上げる。立体的に輝く音の粒が小刻みなリズムの中に気持ちよく震えて光る。ここに並ぶ楽曲は60年代中盤から80年代までに及んでいるがいづれも全く時代を感じさせない。普遍的な輝きは全く劣化せず、その落ち着いた大人の声も洒落を極めた紳士の立ち振る舞いを感じさせる。
●ちなみに、ANTONIO が全幅の信頼を寄せたドイツ人編曲家 CLAUS OGERMAN とのコラボがこのCDの何曲かで聴くことができる。奥深いオーケストレーションアレンジが可憐で繊細。この編曲家は、前述の JOAO「AMOROSO」でもアレンジを担当している。覚えておくべき名前。


●こんな音楽を聴きながら考えているのは、1950年代のブラジルでナニが起こってて、結果新しい文化、新しい音楽が生み出されたのだろうか?という疑問。それをアレコレ本やネットの検索で調べてます。そんなコトを考えていれば、うつにならずに済むから。



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