●夜、一人で聴く、日本語の音楽。

大橋トリオ「NEWOLD」

大橋トリオ「NEWOLD」2010年
ささやくように歌う静かな声が優しく淡く滲んで、限りなく透明に近い水彩画を描くようだ。ピアノを基調に折り目正しく演奏されるジャズ由来のポップスは、上品で実にジェントリー。特別なギミックやドラマチックな展開はないけども、奥行きの深いアレンジは何度聴いても飽きがこない。まるで緻密に作り込まれた箱庭ジオラマやヴィンデージのドールハウスのようだ。ゲストシンガーに手嶌葵(ジブリ〜テルーの唄)、シャイな佇まいの彼女はジャズのスウィングに少しだけ浮かれた模様、柔らかい笑顔が見える。
●丸一日、オフィスの中で、たくさんの会議室とデスクとをさまよって、そして夜の地下鉄に滑り込むボクの毎日は、四季どころか太陽の動きすら察知出来なくて。だけど、暖かくなる気温と湿り気のある風に、都会の春の気配を嗅ぎ取って少しだけウキウキする気持ちはわずかに残ってて。そんな春にこんな音楽はピッタリ。頬に当たる夜風にいつまでも浸っていたい。慎ましやかに響く日本語の断片もロマンチック。
●この音楽の場所から、もう一歩だけ諧謔の楽しみに軸足をずらせば、星野源の領域に入る。音楽に正しくフォーカスする大橋トリオは作詞を他人に全て任せているので、くすぐるようなおかしみは聴こえてこない。ただ、声の素朴な立ち振る舞いは同じ性質を持っている。

AKEBOSHI「YELLOW MOON」

AKEBOSHI「YELLOW MOON」2006年
●結構古い音源だけど、そして世間の注目をさっぱり浴びなかったけど、ボクの中では実に優しく上品なポップスで、かけがえないCDの一枚。低く深い声を、エレクトロニカ前提のリズムトラックと可憐なアコースティックピアノ&ストリングスアレンジ、時にアイリッシュホイッスルの上にツヤツヤと滑らせて、夜の虚空にフワリと放り投げる解放感。たった一人で聴いてたった一人で自由を感じる。タイトル曲の作詞は井上陽水との共作。
●この人のインディーズ盤が聴いてみたいな。一人静かに。

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