●木曜日は、会社の先輩や同期と新橋でメシを食う。
●みんなアレコレあるけど、それぞれのやり方で人生を楽しんでる。その気分が感じられてよかった。



レコ屋旅情に誘われて…。

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ミズモトアキラ「D.J. ディスカバリー・ジャパン」2002年
●この週末に、下北沢の古本屋さんで300円で見つけた本であります。著者は伝説の名レコード店「マニュアル・オブ・エラーズ」の店長〜バイヤーからキャリアを起こして、ライター、エディター、写真/音楽/映像アレコレを扱うクリエイターとして活躍している人。ボクとしては、「レコードやくざ」の異名を持つ内門洋氏との共著「レコード・バイヤーズ・ダイアリー」が鮮烈で。海外でのレコード買付けの様子を克明にかつ愛を込めて綴ったその本は、ボクにとっては憧れのような生活でありまして、国内外問わず旅すればレコ屋巡りをしていたボクと絶妙にシンクロするモノがあったのでした。この「D.J. ディスカバリー・ジャパン」は、常磐響氏とのDJユニット TMVG の活動で日本全国を旅し、そのDJ活動で出会った地方のレコ屋、古本屋、カフェ、オーガナイザーさんたち、などなどを、これまた旅情たっぷり?に描いてくれている。既に踏破したお店もあれば(札幌「フレッシュエアー」や仙台「パラダイスレコード」)、その高名こそ耳にすれどまだ訪れたことのナイお店(金沢「レコードジャングル」!)も紹介されてる。うーん!旅に出たい!


●でさ、この前、奈良に旅行した時に、もう一つオモシロいお店を見つけてたんです。今日はソコをご紹介。

THROAT RECORDS

THROAT RECORDS(奈良市小川町14−1グランテール1F)
●先日コチラの記事で、奈良のレコードショップ DJANGO RECORDS のコトを書きました…地方都市でレコードショップを営む困難と、それでも音楽にコダワリ続ける根性みたいなモノをあのお店に嗅ぎ取りました。あの流れで、実はもう一件、レコ屋を発見してたんです。コチラはコチラでまた実にユニークな立場のお店で。
●JR奈良駅と奈良公園を結ぶメインストリート・三条通りの、ちょうどまん中あたりに上三条町という交差点があります。そこを南に折れて5分ほど歩く…おミヤゲ屋さんとかはなくなってチョイと寂しいフツウの道…で、通りの東側にコンビニ・ローソンがあって、その対面にこのお店があります。まだ新しいみたいね、オープンして一年経ってないみたい。

LOSTAGE「LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO」

LOSTAGE「LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO」2013年
●で、このお店がユニークなのは、オーナーがこのバンド LOSTAGE のボーカル&ベース、五味岳久さんであるというコトだ。LOSTAGE は2001年に奈良で結成したロックバンド。彼らは自分たちの故郷にお店を開いたというわけだ。THROAT RECORDS はこのお店の名前でもあるけど、彼らが主宰するインディレーベルの名前でもある。この渋谷クワトロでのライブ盤2枚組も THROAT RECORDS からのリリースだ。
ミュージシャン自身がレコードショップを持つというのは、これまた深い意味を持つ。メジャーレーベルに制作や宣伝や流通を任せて万事オーケーな時代が終わってしまった昨今、音源制作にまつわる全てをアーティスト自身が自分でこなすコトが実は一番効率的かも知れない。その意味で、敢えて故郷に拠点を構える、そして自分たちで音源を売る、という方法を選んだ彼らは新しいタイプの音楽活動に踏み込んでいる、気がする。
●ボクと世代が近いからなのか?…つーか厳密にはボクより若い…なんだか品揃えはボクの趣味にピッタリフィットする内容。90年代のオルタナティブロック〜パンクを軸にして、00年代〜80年代に拡散していくロックの系譜をまんべんなく網羅。そしてこの時代とシンクロするダンスミュージックやヒップホップ、古典ソウル、レアグルーヴなどなどをポイントで押さえるバランスの良さ。まるで自分の部屋のレコード棚を見ているかのようなデジャヴ感すら感じた。アーティストとしては、自らのルーツについてこのお店の在庫でキュレーションしているようなコトにもなるし、ファンにとってはバンドの音楽を深く理解する上で大きなヒントになる。そしてバンドの過去/現在/将来や周辺の仲間たちの音源をココで紹介することもできる。お店は効果的なメディアで、メッセージに溢れている。
●でも、おかしいなあ…LOSTAGE のメジャー時代の音源は確かボクは持ってるハズなんだけど、名前以外はさっぱり思い出せない。どうやらカウンターの中で接客しているニコヤカなお兄さんが、ズバリバンドの中核である五味岳久さんらしいんだけど、確証がないし、音楽の内容も忘れちゃってるからお話もできない…微妙。一方で、バンドのファンとおぼしき女の子たちや常連さんがたくさんお店にやってくるようで、そんなに広くない店内はナニゲにトークでニギヤカなのであります。お客さんがいない DJANGO RECORDS の窮状とは対照的だな。お店に、バンドメンバー本人がいるってのは、代え難い強力コンテンツだわな。
●で、この音源だ。ジャケが猛烈にカッコイイので、コレは迷わず手に取った。LPレコード4枚組ってヤツもあったね…やっぱLPの方がカッコイイ。実際に聴いてみても、そのパワフルでブレのないガレージロックはカッコイイ。激しくドライヴする推進力が熱くて最高。シンプルで骨太でシナヤカな弾力があって。そして、少し甘さがあるボーカルがチャーミング…これは実際にカウンターを挟んでヤリトリした五味岳久さんご本人の印象も影響してるかな。
●それと、この五味岳久さんは、多くのミュージシャンのツイッターアイコンを、えも言われぬロウファイなタッチで描いて世間の注目を集めてしまった人でもある。あの味のあり過ぎるイラストは誰が書いてるんだろ?と常々思ってたんだけど、このお店に来て当事者はこの人なのかと初めて知った。だって、このロウファイタッチなアイコンを集めた画集がこのお店で売られてたんだもん。ツイッターでこの人の絵を使っている人といえば、ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文いとうせいこう田淵ひさ子POLYSICSフミKEN YOKOYAMAチャットモンチー福岡晃子PHEWジョージ・ウイリアムズ、などなど!…うお、この似顔絵を自分で作るコトが出来るスマホアプリまでがあるぞ!マジで?(コチラ
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(この絵、見覚えあるでしょ?)


●さて、このお店でゲットした他の音源、バンドに関連する音源に言及したいかも。

静カニ潜ム日々「THE PRESENT」
静カニ潜ム日々「THE PRESENT」2013年
全然、静カじゃない。ササクレ立って流血必至のギターの振動が、聴くモノの全神経を鋭利に研ぎ澄まして耳をヒリヒリさせる。ドラマチックな展開と小細工ナシに絶唱するボーカルのシッカリしたメロディラインが実に潔いロックトリオ。…あ、これ、つまりはエモか!激情をラウドに増幅するも、正々堂々とメロディを描く。90年代後半にオルタナティブロックの中から登場、ポップパンクとラウドロックの間で良心的なシーンとファッションを作り、エモというカテゴリーの中で硬軟さまざまなアプローチへと分化して00年代のUSインディを支えたスタイル。このバンドは、その血脈を絶妙に受け継ぎ、英詞を駆使して自分たちの表現に着地させている。「THE PRESENT」=<現在>。彼らにとっての最初のフルアルバムとなる本作は、疾走する激情の一瞬を見事に切り取っている。その凛々しい佇まいが眩しい。
●で、クレジットを見ると、UK PROJECT / RX-RECORDS のロゴが。なんだよ、このバンド、下北沢発信なのかよ。奈良まで来て、ボクは結局地元の下北沢の音楽を買ってるのか!あらら。下北沢ってホントに日本のインディシーンの首府なのかも知れないのね。

きのこ帝国「EUREKA」

きのこ帝国「EUREKA」2013年
●バンドの名前がちょっとカワイイからってナメてかかると痛い目に会うよ。スマホをなでてなめこを育てるのとはワケが違う。神経にピリリと痺れと奇妙な甘味を感じさせる、ヤバい色の毒キノコ。訥々とした趣きの女性ボーカルを、深いリバーブと渦巻くツインギターの甘美なシューゲイザーサウンドでコーティング。逞しく空間を切り刻むギターの逞しさがドラマチックな展開を描くのはやっぱりエモ風で、ノイズの奔流にかき消されないシリアスな構築美がクールで知的。
●で、コレも、UK PROJECT / DAIZAWA RECORDS、つまり下北沢発信の音楽。灯台下暗し。ちゃんと地元をチェックしようよ、ボク。

THE PARTYS「ワールドワイドワンピース」

THE PARTYS「ワールドワイドワンピース」2013年
こちらはキチンと奈良〜大阪を拠点としたバンド。きのこ帝国が、ボーカル/ギター&リードギター2名が女子だったのに対し、コチラはボーカル/ギター&ドラムが女子という編成。ロマンチックに鳴り響くシューゲイザーサウンドと、幼さが漂う女性のボーカルのミスマッチに新味。ピアノが効果的に挿入される気分もよし。

RAY「THREE SONGS DEMO」

RAY「THREE SONGS DEMO」2013年
●こちらも折り目正しく奈良の4ピースバンド。収録スタジオのクレジットが「スタジオ法隆寺」って書いてあるんだからマチガイないでしょう。ただそれしか情報がない…。ジックリと積み上げていくギターの音壁に再びシューゲイザーの香り。慎ましやかに「DEMO」と題された3曲入りCD-Rは、キャリアの最初ってコトなのか?

オノマトペ「せかいのひみつ」

オノマトペ「せかいのひみつ」2011年
●こちらは愛媛県松山市を拠点とするバンド。今まで紹介してきたバンドのトーンとは大きく異なる、センチメンタルで明るいギターロック。SPECIAL THANKS のクレジットにウラリーノのメンバーの名前があったけど、なるほど確かにウラリーノみたいな陽性のリリシズムを感じることが出来る。

VOLKIN「止揚」

VOLKIN「止揚」2011年
●こちらは広島のロックバンド…奈良で買ったんじゃなくて、去年の夏休みに行った広島旅行で発見した音源。こちらは大分ハードコアでスラッシャーなラウドロックであります。次々に展開する暗黒リフと吐き付けるようなボーカルが、コワいです。ちょっと文脈がチガウけど、今まで紹介するのを忘れてたから…。



8otto「REAL」
8otto「HYPER HYP8R HYPER」

8otto「REAL」2007年
8otto「HYPER HYP8R HYPER」2008年
このバンドは大阪出身なのかな?インディ時代に初期の LOSTAGE とともにスプリットシングルを出したりしてた関係らしい。彼らはキャリアスタートと共にニューヨークに武者修行、そこで出会ったヨシオカトシカズ氏(THE STROKES のセカンドでエンジニアを務めた人物)とともにメジャーアルバムを制作するにいたる。ソレ以来、現在もソニー系でメジャー街道まっしぐら。今回の旅行でゲットした音源ではなくて、それこそ2006年あたりから気になってるバンドでした。
THE STROKES アレコレってのは、実は既にあまり関係なくって、小細工抜きのシンプルなロックグルーヴを4人の中でグツグツと沸騰させ、一丸になって推進するのみ、シンプルなロックのケモノ。ボーカルは淡々としておりメロディの起伏もない。特別なギミックもない。ツインギターとベースがソリッドな音塊をガッチリと積み上げていくだけ。その意味ではシンプルで実直な LOSTAGE の音楽と印象が似ている。


8otto「HELLLOW ! WE ARE 8otto ! - LIVE TOUR 2008」

8otto「HELLLOW ! WE ARE 8otto ! - LIVE TOUR 2008」2009年
●2008年暮れのライブを収録した CD/DVD の二枚組。ココで初めて知ったんだけど、このバンド、ドラムがボーカルをとってたのね。珍しい構成だね。ギター二本の絶妙な一体感がカッコイイ。



あ、そうそう、THROAT RECORDS で買い物したら、オマケでマッチをくれた!
●ボクはタバコをヤメて10年経つから、マッチそのものが懐かしくて珍しくて。

THROAT RECORDS で買い物したら、オマケでマッチをくれた!



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