ボクに「あまロス」はない。
「あまちゃん」が終わってノビノビと寝坊が出来るようになった。アレはあくまで甘い夢。「あまちゃん」だし。夢はいつか終わる、目が覚める。ピエール瀧能年玲奈ちゃんを評して「アニメ監督の細田守さんの作品に出てくるようなヒロインが、現実としてこの世にいるんだなって。生身の人間として、この世にいることに衝撃を受けました。」と語ったが、そんな能年ちゃんが他局のバラエティでオドオドしているのを観て、ややテンションが下がってきた。
●ワイフはさん主演の「ごちそうさん」を楽しんでいる。密度が薄くてテンポがゆったりしてて安心出来るという。ボクはと言えばノレテナイ。時代は明治。うわまたか!また時代を遡るのか!「カーネーション」で朝ドラにハマり「梅ちゃん先生」まで見てきて、また過去にトリップするのか。永劫回帰のタイムリープ。日本の近現代史をまた巻き戻しか、シンドイわ!と思った。

あまちゃんメモリアルブック NHKウイークリーステラ臨時増刊10月30日号

●とは言いながら、こんな本買ってるけど。「あまちゃんメモリアルブック NHKウイークリーステラ臨時増刊10月30日号」



NHKBSプレミアムで、ドラマ「ラジオ」という作品を観た。
シリアスでタフな震災後の東北の現状を切り取ったドラマだった。

NHK「ラジオ」

宮城県女川町。あの震災の直後に地元の人々によって作られた臨時災害ラジオ放送局がある。「女川さいがいFM」プレハプのスタジオから発信するこの小さなラジオ局を舞台に、高校生の少女が震災以降の故郷を、社会を、家族を考える。その様子が実直な視点から描かれる。主人公、ニックネーム某ちゃんは、仮設住宅の自室で引きこもりがち。そんな彼女の様子を心配した周囲は、地元の高校生がパーソナリティを務める番組に引き込む。ラジオという媒体を介して自分が発したメッセージに反応が寄せられることに強い衝撃を受け、徐々に心を開いていく某ちゃん。一方で、某ちゃんが一人で綴っていたブログが炎上する。ガレキ処理問題について言及した文章がネットの辛辣な批判を浴びたのだ。苦悩する某ちゃん。そして彼女を見つめる女川の人々。
ラジオ局だから、そこには音楽が流れる。高校生たちが担当する番組のジングルはフリッパーズギター。高校生らしく無邪気で他愛もないトークを交わす仲間にまだ馴染めない某ちゃんは、イキナリ「ワタシがリクエストしてもイイんですか」と言ってザ・スターリン「負け犬」を鳴らす!「負け犬 負け犬 掟はいつもリンチだ 負け犬 負け犬 乾いた夜に吠え出す」…周囲はドン引き。
●そんなヤケクソな感情は、電波に乗ってインターネットに乗って、東京に避難した初老の男の耳に。「あの曲がかかっていた3分間だけ、タイムマシンに乗って昔の仲間に会うことができた。泣いた」津波で家族を全て失ったこの男がメッセージを返してきた。思わず感情が高まる某ちゃん。「このCD、流された家の瓦礫から取り戻したものでした。父から貰ってパンクロックが好きになった1枚で、私にとってもタイムマシンです。音楽の間だけあの頃に戻れるんです。このマイクの向こうに誰か居て、通じ合えるなんて考えもしなかった。こんにちは。伝わるんですね、凄いな」…つーか、ボクも泣いた。

●ちなみに、この「女川さいがいFM」の放送は、ネットを介してサイマル放送で全国に流れている。「サイマルラジオ」というサイトで聞くことができる。(http://www.simulradio.info/)このドラマは、脚本家・一色伸幸さんがこの放送をネット経由で聴き、そして某ちゃんの存在を知るコトが制作のキッカケになった。なんと某ちゃんは実在する少女で、その炎上したブログも実在する(現在は非公開)。断片的に読める記事からみると、ドラマに使われている文章は、そのまま某ちゃん本人のモノだ。なんと美しい言葉だろう。一色さんは、某ちゃん自宅に一週間滞在して、地元の人たちと触れ合いながら脚本を書き上げたという。某ちゃんは原作者としてクレジットされている。ドラマの最後に某ちゃんは東京へ向かって旅立つ。実在の少女・某ちゃんも匿名の存在として都会に潜り込み、そしてたった今も戦っているだろう。

●某ちゃんのブログが炎上した時、ラジオディレクターを務める青年が彼女の部屋を訪ねた。「ごめん。あのブログ、俺たち大人がラジオで言うべきだった。ホントにごめんなさい。」大人がウヤムヤにした言葉を、子どもが代弁して、その子どもを大勢が打ち叩いた。大人の責任とはなんなのか。大人の事情とはなんなのか。言いづらい言葉を避けて通るのが大人の知恵なのか。詫びるべきはボク自身だった。泣けた。震災直後のソーシャルのタイムラインは、敵意と独善の大行進だった。必死に理論武装してるように見えながら、ただパニックに怯えた感情が黒い濁流のように押し寄せていた。あの津波のような感情の濁流を見た瞬間、怯えてしまった自分をボクは知っている。ボクはつぶやくのをヤメた。あの濁流に不用意にナニかを投じれば、ドコかの誰かを傷つける。あの濁流を眺めるだけで、ボクの心が摩滅する。ボクは口を閉じた。卑怯者だ。泣けた。

THE イナズマ戦隊「俺達の応援歌」

THE イナズマ戦隊「俺達の応援歌」2009年
●このラジオ局には THE ROOSTERZ がかかるし、阪神淡路大震災の時に書かれた SOUL FLOWER UNION「満月の夕」もかかる。「満月の夕」…95年の1月、神戸へボランティアに向かった経験は、クソ甘ったれたバカ学生だったボクにピリリとした緊張感を与えてくれた。フザケ半分冷やかし半分で一泊ニ日で帰ろうと思ってたボクは、結局二週間もワゴン車の運転手としてペシャンコに潰された街を走り回った。「キミ、免許ある?」「ありますけど、道がわかりませんよ」「ダイジョウブ、もう地図は役に立たないから」
●ブログ炎上、コメント欄にバラまかれた無数の汚らしい悪意に打ち拉がれて、ラジオからも離れてしまった某ちゃんが笑顔を取り戻すキッカケとなるのが、このバンドの楽曲「応援歌」だ。スターリンの選曲に共鳴した東京の男・飛松が某ちゃんに向けてリクエストしたのだ。某ちゃん、オンエアでこの曲を聴いて、思わず吹き出す。笑顔を取り戻す。そう、この曲、このバンドにはそんな笑いの生命力がある。
「応援歌」は古い曲だ。バンド結成1997年、メジャーデビューは2003年。セカンドシングルがこの曲。つまり10年前。ただ、バンドはこの曲に強い思い入れがある。メジャー以前の自主制作でもこの曲を演り、1枚目アルバム/2枚目アルバムのニ連発で「応援歌」を収録している。そしてこれはデビュー6年目のコンセプトアルバム。ズバリテーマは「応援歌」。またしても「応援歌」を収録し、「応援歌」を軸にしたアルバムを作った。
RCサクセションから怒髪天、エレファントカシマシ、ウルフルズ、フラワーカンパニーズといった、カッコつけきれない日本語ロックの系譜にある彼らの音楽は、暑苦しいほどバタ臭くて、そのテンションの高さがもはや笑うしかない奇妙な滑稽さまで到達している。ナンにつけて直球熱唱で、ど真ん中勝負しかデキナイ不器用さは、そのまま信頼感に繋がる。「オイ!オマエ!がんばれや!俺がそばで見ててやるから!オイ!オマエ!がんばれや!俺がそばで見ててやるから!」血管ブチ切れる思いで繰り返すシャウト。「俺オマエの事はずっと前からずっと前から見てきたから がんばって夢見てるオマエの事が俺大好きだ!」この応援の対象が女の子だったら、死ぬほど不器用なラブソングだ。女の子からしてみれば、結局こいつは見てるだけ、なのにこんなに押しつけがましく「見ててやるからがんばれや!」とはだめんずの匂いタップリ。実際見てクレも貧乏っぽいし。でも、本気でコイツは応援しているのだ。正直に邪念なく応援しているのだ。某ちゃんが笑う意味が分かる。そんでそんな真摯さは今の時代に希有で、ボクは思わずこの曲を聴いて涙した事もある。こんなに気持ちよく笑い泣きさせる曲は他にナイ。
●実在する某ちゃんのブログにも「尊敬する人:上中丈弥」という言葉が記載されている。このバンドのボーカリストだ。

THE イナズマ戦隊「恋のドッキドキ大作戦」

THE イナズマ戦隊「恋のドッキドキ大作戦 FEAT.渡瀬マキ FROM LINDBERG」2009年
●このシングルのカップリングにも「応援歌」が収録されている。再レコーディング版で「応援歌〜友へ〜」と改題されている。歌詞は変わっていないけどね。ドラマ中に聴こえてくるイイリリック…「だから俺オマエがもう一度夢に向かって走る事決めた時 俺うれしくてうれしくてその日は眠れなかった」「この先オマエに穏やかな日々ばかりつづくとは限らないけど そりゃ誰にだって生きてりゃあるさ 俺も同じさ オイ!オマエ!がんばれや!」
●タイトル曲「恋のドッキドキ大作戦」「今すぐKISSME」LINDBERG渡瀬マキをワザワザフィーチャーしてるのは、ハズシを面白がるべきかマジなのか、全然読めない。

THE イナズマ戦隊 OH スザンヌ

THE イナズマ戦隊「OH!スザンヌ」2008年
●このジャケでブザマな顔を晒しているのが、バンドのフロントマン上中丈弥である。カッコ悪いでしょ。カッコ悪いことはなんてかっこいいんだろう。
「OH!スザンヌ」はオバカタレントで名を馳せたスザンヌのスットンキョウな立ち振る舞いにインスパイアされた楽曲。フォスター作曲のアメリカ民謡「おおスザンナ」のパロディのツモリなんだろうけど、オバカタレント人気のシリウマにわざわざ乗ろうとしているトコロが、これまたマジなのかハズシを狙ったネタなのか区別がつかずヤヤコシイ。ナニゲにこのバンド、イナ戦は、売れたい、ビッグになりたい志向を生々しく抱いており、虎視眈々とそのチャンスを狙っているかのようだ。しかし、スザンヌでビッグになるのは不可能な事で、これがマジなら彼らは心底不器用な男たちということだ。

THE イナズマ戦隊「ジタバタ大作戦」

THE イナズマ戦隊「ジタバタ大作戦」2009年
●このアルバムでも一つデカイ失敗をしている。なぜか1曲でヒップホップユニット韻踏合組合をフィーチャーしている。渡瀬マキはネタになるけど、コッチはネタにならない。スカしてるだけ。ホントに不器用なバンドだイナ戦は。彼らの音楽にラップはあまり似合わない。彼らは実はタイトなモッズロックだから。
●彼らのデビューは2003年で「青春パンク」の時代だった。しかし彼らはパンクじゃない。ドライブするギターは緻密に制御されててムダな音がナイ。ドラムとベースのリズム隊は高速テンポを滑らせているようで実直なファンクネスがある。そしてアジテーションの天才、上中丈哉が君臨する。ボクはかつて長崎のライブハウスで彼らのライブを見た。生き様で不器用だとしても、彼らは音楽で不器用ではない。若さと勢いで全てを蹴散らしてしまうような雑な音楽を鳴らしていない。ポップとしてロックとして、固く密度濃くゴロリとした存在感をキチンとグリップしている。そのスタンスは、なぜがボクに THE WHO を連想させる。キープオンロックンロール!

THE イナズマ戦隊「パーダラ・ブギ〜後悔するにゃ若すぎる〜」

THE イナズマ戦隊「パーダラ・ブギ〜後悔するにゃ若すぎる〜」2004年
イナ戦のお気に入りの曲を紹介していく。「応援歌」の次の年にリリースされたシングル。スーダラスイスイとは生きていけなくなった00年代日本をカラ元気で笑い飛ばす軽快なロック。アレコレあるけど「これでいいのだ」と言い切る覚悟をしろと、明るい顔で背中をケリ飛ばしてくれる。カップリング「雨上がり」も佳曲。


●ああ、言い忘れてた。THE イナズマ戦隊は、関ジャニ∞の代表曲「ズッコケ男道」「無責任ヒーロー」の詞曲を提供している。メジャー仕事もやってるわけですよ。


●「応援歌」。




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