●ここ最近必死になってた仕事に、今週ようやく決着がついた。
●思い返してみると今年の2月から関わってたのか。長い時間をかけたなー。
●なんとか、無事に終わったというトコロか。また新しい人々に出会い、新しい経験を得た。

●大きな仕事を終えると、いつも寂しくなる。
●プレッシャーで吐きそうになるほど追いつめられたりするのに、祭りの後はいつも虚しい。
●そんで、また次の難関に、自分から飛び込んでいく。


さて、映画を観たよ。「かぐや姫の物語」。ネタバレ含みますよ、ご注意を。

かぐや姫の物語

●最高にクソ忙しいというのに、わざわざ時間を作って映画館に行ってしまった。娘ヒヨコ小学5年生に請われたからだ。ヒヨコに行きたいと言われると、100%断れない。ボクは娘に対してデレデレの父親なのだ。
●一方で、今回はワイフが参加しない。息子ノマドも反応しない。基本的にジブリ右派な我が家は、ジブリ系全面肯定〜公開直後にキッチリ劇場に出向くのがスタンダードなのだが、その急先鋒であるはずのワイフがアンチ高畑勲なのだ。「火垂るの墓」がとにかくダメらしい。あのバッドエンドがダメらしい。「となりの山田くん」「ぽんぽこ」もスルーだそうだ。だから今回は全く興味なし!と断言された。結果として、今回の「かぐや姫」は娘ヒヨコとボクの父娘デートになったのであった。

●で、泣けた。ぼろぼろ泣けた。

光る不思議なタケノコから現れたかぐや姫は、一年もせずに赤ん坊から思春期の少女に成長する。
●竹取のジジババがかわいがる赤ん坊の姫を見ると、かつてのバブバブだった娘ヒヨコの幼い頃が思い出されてタマラン気持ちになる。あの丸くてカワイイおしりや、たどたどしいしゃべり方、近所のガキンチョと夢中になって走り回る様子を見ると、ヒヨコオマエもちょっと前までチビッコだったのになーなんて感じ入ってしまう。で、隣席に座るヒヨコをみると、わざわざチャイルドシートを持ってきて座席を底上げしてる…あ、オマエまだ十分チビッコだね。まだまだパパのチビッコでいておくれ。まだパパのそばにいておくれ。

「姫の犯した罪と罰」。
●映画を観終えた後に、ヒヨコが質問してきた。「結局、ヒメは、どんな悪いことしたの?」そうだね…今回のコピーは「罪と罰」だったね。結婚したいって言ってきた人にムチャブリして、一人死んじゃったね。「死んじゃったね。あんな死に方すると思わなかったね」姫の無理難題に応えるべくツバメの巣を取ろうとして墜落、ツボの中にカオ突っ込んでそのまま死んじゃうのだ、一番線の細いイマドキ風な青年だったのに。「死んじゃうのはヤバいよね」
●でも、なんであんなムチャブリしたんだと思う?そもそもで一番まずかったコトは、姫は月からわざわざ地球にやってきたのに、その動機を忘れちゃったことだね。姫は、映画の中で歌を歌うね。「鳥虫けもの草木花 咲いて実って散ったとて 生まれて育って死んだとて 風が吹き雨が降り水車まわり せんぐりいのちがよみがえる せんぐりいのちがよみがえる」この歌を、月にいた頃から知ってたよね。禁断の地とされてた地球から帰ってきた人からこの歌を聴いていたという。月には「鳥虫けもの草木花」が全くいないんだよ。だから姫は「鳥虫けもの草木花」の命に溢れた地球に触れたくて地球に降りてきた。だけど、そんな豊かな自然とは切り離された貴族社会に組み込まれて「高貴な姫君」になってしまった。これが姫の失敗で、姫の罪だよ。
そして不本意な生活をしてしまった。自由に外を出歩く事もできない生活。そして不本意な習慣に寄添った。マユゲを抜き、歯を黒く染めて、貴族の男性にソッケナイ態度をとって。そして、不本意なカタチで月に帰らなければいけなくなった。こんな辛い思いをするのが、姫の受けた罰。ただし、月の人たちは、うれしいもかなしいもない、感情がない人たちみたいだね。ヒヨコは月で暮らしてみたいか?「ヒヨコは地球の方がイイ。あんなアタマがイボイボのブッタ風な人はキモイし、みんな半透明でヤダ。生き物がたくさん生きてる地球がイイ」

「あと、最後の方の、トトサマはダメなヤツだった」とヒヨコ。5人の求婚者にムチャブリをして蹴散らした武勇を聞いて、時の帝が姫に手を出した。「あの翁にも高い位を授けよう」そんな知らせに大喜びする翁は、姫の価値を高めるコトと自分の立身出世が一緒になってしまっていた。最初は素朴に姫の幸せを願っていただけだったのに。娘ヒヨコが発した、愚かな父親、の指摘に、ちょっとドキッとしたボクであった。

●姫の身の回りの世話を焼くまるっこい女の子がかわいらしかった。したたかでしっかり者で。「女童」という名前。「おんなわらし?」読み方がワカラナイ…。家に帰ってワイフに聞いたら「それはね、めのわらわ、って読むの」。さすが文学部国文学科卒業。万葉集や日本書紀を勉強したのはムダになってないね。ヒヨコが映画のあらましをワイフに説明すると「虫愛づる姫君、って人もいるのよ」とひとこと。「堤中納言物語」に登場するワンエピソードだね。やっぱ「かぐや姫」はワイフのテリトリーだわ。

女童

(こいつが「女童」。つーか、パタリロに似てる?)

●結局、「かぐや姫」オモシロかった?ヒヨコ「んー。微妙!」そうか。じゃあ「風立ちぬ」は?「あれはオチがなかったー」オチね…アレは、オチは自分で探しなさいってコトだよ。でもねヒヨコ、ジブリは、子どもの時にしかワカラナイ見方、大人になって初めてわかる見方、イロイロな見方があるし、どうせこれから金曜ロードショーとかDVDとかで何回も観るコトになるから、今すぐ全部ワカラナイのでイイんだよ。何回も見返していくと、いろんなことがわかるんだよ。


●音楽。

二階堂和美「いのちの記憶」

二階堂和美「いのちの記憶」2013年
●ここで、二階堂和美さんの登場。彼女のイノセントな歌唱と、確かな言葉選びは、1000年以上も前からこの国で語りつがれてきた、不思議な少女の物語を締めくくるにふさわしい。迷いなく凛とした線を引くように描かれるメロディは、「竹取物語」原典の絵巻物のかなづかいのように洗練されている。四季の移り変わりで生滅を繰り返す生命の逞しさを、輪廻する人生の繰り返しに結びつけるかのような印象は、彼女が現役の尼僧であることも関係しているのかな。
●ちなみに、「竹取物語」絵巻物は、国立国会図書館のデジタル化資料としてネットで閲覧出来る。便利な世の中ね。

竹取物語

(かぐや姫が、月からの使者とともに空へ旅立つシーン。映画も意外なほど原典に忠実)

yanokami「yanokami」
yanokami「yanokami」2007年
●これは、矢野顕子と電子音楽家レイ・ハラカミのコラボレーションユニットによるアルバム。矢野顕子といえば、高畑勲監督作品「となりの山田くん」で主題歌「ひとりぼっちはやめた」を提供している。「となりの山田くん」ジブリの黒歴史扱いになっていたとしても、この「ひとりぼっちはやめた」はボクにとって見事な名曲で、この数年来 iPodプレイリストの常連から外れたことはない。
●一方で、この希代のシンガーにエレクトロニカのトラックを提供するレイ・ハラカミ彼は2011年に40歳の若さで急逝してしまった。彼の淡いエレクトロニカは叙情的といえば聞こえはイイが、ちょっと地味といえば地味。だから彼の生前にボクが彼の音楽に注目する事はなかった。ただ、この矢野顕子とのコラボレーションは、その温もりと浮遊感がイノセントな歌唱と相まって実に豊かな風景を描く。
「かぐや姫」と二階堂和美がキッカケになって、急遽この二人のコラボが聞きたくなった。レイ・ハラカミの突然死は、このコラボに妙な暗さを差し込んでいるが、それを割り引いても価値がある。この夢心地の感覚は、もしかしたら月の世界の側で鳴っている音楽かも知れない。
●それと、THE DELFONICS「LA LA MEANS I LOVE YOU」のカバーが収録されている。コッテリとバタ臭い古典R&Bの鉄板名曲を、地上30センチ上空でフワフワするような軽やかさで料理する見事なワザが気持ちイイ。

TICKLES「OLD NOTE AFTERWARD」
TICKLES「OLD NOTE & AFTERWARD」2013年
●この流れで、日本のエレクトロニカアルバムをもう一枚。ちょっとしたキッカケでとある人からススメてもらった音源。ノーボーカルでストイックなエレクトロニカだけど、温もりも十分込められている。仕事がタフな時こそ、チルアウトが必要。少し多めにクスリを飲んで、こんな音楽を聴いてゆっくり眠りたい。




●二階堂和美「いのちの記憶」




●yanokami「気球にのって」




●矢野顕子「ひとりぼっちはやめた」




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