今日は、LOU REED を聴いてます。

LOU REED「THE BLUE MASK」

LOU REED「THE BLUE MASK」1982年
●去年12月に、yuccalina さんという方からこのブログにコメントをいただいてました。LOU REED が去年亡くなった記事に対して、yuccalina さんは LOU REED の印象深いアルバムとして「LEGENDARY HEARTS」1983年の名前を挙げてくれたのです。で、早速、このアルバムを聴こうと思って、CD棚やレコード棚を探してみました…でも、見つからない。どんなに探しても見つからない。おっかしーなーどこやったっけ?その後も探して探して、そんでもう2か月がたって、たった今やっと気づきました。あーボクは「LEGENDARY HEARTS」持ってないんだ!
●あの有名なヘルメットジャケが印象に強く残ってて、てっきり持ってると思ってた…。わりと、持ってないと思って同じCDを二枚買うってのはよくやってしまうマチガイなんですが、持ってないものを持ってるって錯覚をしてしまったのはなんか新鮮な体験。うわー聴きたいのに聴けない!くそー。
●ということで、「LEGENDARY HEARTS」の1枚前の「THE BLUE MASK」を聴いてます。これはよく聴いてたアルバム。ボクが特にたくさん聴いてた時期は21歳の頃ですわ…アメリカ旅行に行ってしこたまレコード買ってきて…その中の1枚。今でも安っぽい値札シール「$6.99」がジャケにくっついてる。高校生の頃から聴いてた THE VELVET UNDERGROUND からボクの関心が LOU のソロキャリアに移ってきた頃。大学の先輩や友達からファーストソロ「LOU REED」「TRANSFORMER」を聴かせてもらって、そんで LOU REED は渋いよなーとかバカみたいに酔いしれながら、このレコードに針を落したものです。

●で、今聴いてもそのジットリとした落ち着きは健在で。独特の湿度が、このアルバムには漂っていて。乱暴でガサツな会社員生活から切り離して心をクールダウンするのに、この濃密な湿度は魂をジュグッとモイスチャリングしてくれる。ゲイ/バイセクシャルを気取ってきたこの男が「WOMEN」という曲で「I LOVE WOMEN」と何回も甘美に歌うとき、ギターはとても優しくて。ムリヤリな仮面や外装は重たくて、いつかは外して素顔に戻る必要がある。彼のキャリアの中でこのアルバムの位置づけでは、ゲイジャンキーのキャラをぬぐい去って、等身大の男一人として振る舞い出したタイミング、って言われてる。晩年は LAURIE ANDERDON と慎ましやかな夫婦生活を送った LOU。よかったね。豊かな人生だったね。
●そんなタイミングに相応しく、バンドもアレンジも最小限。ドラムとベースとギターのみ。特にベースがセクシー。FERNANDO SAUNDERS というプレイヤー。ギターは ROBERT QUINE という男、RICHARD HELL & THE VOIDOIDS でギターを弾いてたヤツ。ちょいちょいトリッキーなワザをギターに仕込んでるのはこの男の仕事か。QUINESAUNDERS は、やはりボクの愛聴盤である LOU REED のライブ盤「LIVE IN ITALY」1983年でも、yuccalina さん推薦の「LEGENDARY HEARTS」にも参加している。
●表題曲「THE BLUE MASK」は、このアルバムの中で一番タフなロック。重厚なグルーヴとノイジーなギターがロックンロールのカタルシスを味わせてくれる。「WAVES OF FEAR」もヒネクレたギターがイイ味出してイイネ。

LOU REED「MISTRIAL」

LOU REED「MISTRIAL」1986年
●もう1枚、LOU REED「LEGENDARY HEARTS」の次のアルバム「NEW SENSATION」1984年も持ってないことが判明しました…LOU REED、ちゃんと買いそろえてるつもりが、全然ヌケヌケになってるじゃないか。バカだなあ!ということで、さらに次のアルバムにあたるこのCDを聴いてみるのです。
●この「MISTRIAL」は、実はほとんど聴いてなかったです。たぶん一回しか聴いてない。だって、ビックリするほど LOU REED っぽくなかったんですもん。ドコをどう切ってもオモシロくない!軽薄な80年代ロックだねえ!そう思ったのを覚えてます。当時ボクはまだ20歳代で、こらえ性がまるでなかった。ジャケのテイストだって、彼のキャリアの中ではだいぶ異色ですよ、いっつも思いきりダークかモノクロトーンな気分なのに、真っ赤だなんて!いつものように400円くらいで買ったので、シレッと失敗だと決め込んでCD棚に収めときました。yuccalina さんのコメントがなかったら一生聴かなかったかも。
●そんで落ち着いて聴いてみるのですが、それでもキツい。だって LOU REED がラップしとるんですわ。むしろビビって逆にスゴい!80年代風ファンクの中途半端に速いテンポに乗って、ラップする「THE ORIGINAL RAPPER」という曲。そもそもの LOU のボーカルスタイルがポエトリーリーディングみたいだったりするので、ラップというかただ早口でしゃべってるだけに思える。「THE BLUE MASK」の頃から LOU REED を支えるベーシスト FERNANDO SAUNDERS が共同プロデューサーをやってるんですが、このタイミングでこの人が黒人さんだという事実を知る…はああ、そうなのね。
LOU REED のロックンロールの醍醐味である、ドライブするギターは、一応機能している。その駆動力こそがカッコイイ…はずなんだけど、なんかコレも80年代風のレコーディングなのか、イマイチ芯を外してしまってる。 あ!これ、もしかして LOU REED なりのニューウェーヴのつもりなの?!あーそういうことなのかー、なんかちょっとだけ納得できた。



LOU REED の流れから彼の曲にちなんだロックフェス・コンピへ。
「ALL TOMORROWS PARTIES 11」
VARIOUS ARTISTS「ALL TOMORROW'S PARTIES 1.1」2001年
「ALL TOMORROW'S PARTIES」といえば、LOU REED が60年代に率いたバンド THE VELVET UNDERGROUND の名曲タイトル。バンドのパトロンだったポップアートの巨匠 ANDY WARHOL の虚しきパーティの喧噪をも連想させる素晴らしい曲だ。そんな名曲タイトルを拝借したロックフェスが2000年からイギリス/アメリカで行われている。しかも、ただのロックフェスではない。ポストロックやアバンギャルド系、そしてアンダーグラウンド・ヒップホップといった、辺境地帯に偏った音楽性、加えて都度都度のイベントの出演者ラインナップは、バンドやミュージシャンのキュレーションによって決められるというルールを持っている。とってもユニーク。
●このCDは、そのアメリカ開催第一回目、2002年の UCLA で行われた出演者ラインナップを、彼らの未発表曲でコンパイルしたもの。キュレーターは SONIC YOUTHTHE VELVET UNDERGROUND を始祖とするニューヨークパンクの流れを直系として受け継ぐ存在だ。一曲目はもちそん SONIC YOUTHLOU REED が描く湿り気ある落ち着きを、冷めて乾いた音響で代替して抽象美に昇華させる。結果、落ち着く。
SONIC YOUTH と同時代に活躍したミュージシャン、そんでボクの音楽的ヒーローたちが数々収録されてる。脱力ロウファイバンド PAVEMENT を解散させた後のボーカル STEVE MALKMUS、イギリスの音響派 STEREOLAB、日本が世界に誇るアヴァンギャルドノイズ BOREDOMS、00年代フォーキー女子 CAT POWER(彼女は SONIC YOUTH のドラマー STEVE SHELLY と縁が深い)。ヒップホップからは、アングラ総本山とも言えるレーベル DEFINITIVE JUX CANNIBAL OX が参加。このあたりのアングラヒップホップは、BUSTA RHYMES の記事にコメントをよせてくれた「。」さんのご趣味に近いだろうか?

「ALL TOMORROWS PARTIES 20」

VARIOUS ARTISTS「ALL TOMORROW'S PARTIES 2.0」2002年
●これはイギリスでの第三回開催に対応するコンピ。キュレーターは SHELLAC。オルタナティブロックの職人プロデューサー STEVE ALBINI のバンドだ。彼は NIRVANA「IN UTERO」をはじめ、PJ HARVEY、THE JESUS LIZARD、MOGWAI、PIXIES、DON CABALLERO などなど、一筋縄ではイカナイ連中と一筋縄ではイカナイ音楽を作りまくってきた。自身もこの SHELLAC だけでなく、BIG BLACK、RAPEMAN といったバンドで実に大人げないロックを鳴らしてきた。その容赦ないサウンドは「ジェットギター」って呼ばれたりもしてたっけ。オルタナ世界で80年代から生き抜いてきたという意味では SONIC YOUTH とポジションは近いようで、二者はあんまり仲がよくない。クソ真面目な職人キャラなのに、クソ真面目に SONIC YOUTH の紅一点 KIM GORDON のパンティーの歌を作り、ブン殴られたという逸話を聞いたことがある。
●さて、そんな ALBINI のキュレーションだが、初耳のアーティストがほとんどだった。彼自身の作風に沿ったソリッドにゴツいオルタナギターが目立つと思いきや、意外と繊細な音響も目立つ。カワイらしくまとまったギターポップを鳴らす BONNIE "PRINCE" BILLY は、ヘナヘナロウファイフォーク PALACE BROTHERS のソロ名義と知る。プロデューサーとして関わった事のある女性ソングライター NINA NASTASIA も可憐なフォークだった。THRENODY ENSEMBLE はアコギ二本とチェロを軸にしたアブストラクト現代音楽。HIGH DEPENDENCY UNIT はニュージーランドのジャム・サイケデリア。同系統の叙情を奥ゆかしく鳴らすはカナダ・オンタリオから参戦のポストロック DO MAKE SAY THINK総じて言えるコトは、ギターの鳴りがことごとくコダワリ抜かれている。
●ど根性ロック部分としては、イギリスのパンク始祖 THE FALL の気合いの入ったタイトなプレイにシビレル。THE FALL って気になってるけどあんまり聴いたコトないのよね。
●CD には収録されていないが、フェスそのものには日本人アーティストとして、ハードコアパンク MELT BANANA、ハードコアノイズ ZENI GEVA が出演していたそうな。ホントにレンジが広いな、このイベント。

●ちなみに、この「ALL TOMORROW'S PARTIES」コンピ二枚は、奈良のレコ屋 THROAT RECORDS にて購入。よいお店だったなあ。






●動画。



●LOU REED「THE BLUE MASK」。他の曲はシックだけど、これだけだいぶタフなロック。



●THE VELVET UNDERGROUND「ALL TOMORROW'S PARTIES」。


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