「集団的自衛権行使容認」の閣議決定がなされました。
●ずいぶんと中途半端な段取りで、大切なモノが変えられたと感じる。
「武器輸出三原則」も「防衛設備移転三原則」と言い換えられました、閣議決定で。
これで日本は、フツウの国になった。日本は世界の武器マーケットに進出し、ビジネスとして今後この地球のどこかで行われるであろう戦争/内戦に武器を供給することになる。それが日本の経済的メリットになる。経済的メリットに不都合が生じた場合は、日本はその地域に自衛隊を派遣することができる。
これで日本は、フツウの国になった。1945年以来、誰も殺さず、誰も殺されなかった、特別な国ではなくなった。

●コドモが成人する10年後以降の少子化社会で必然的に自衛隊は隊員不足に陥る。それを補充するために、いつか徴兵制度が復活するのかもしれない。忌々しい想像が先走る。今の自衛隊隊員の方々には敬意を感じる…様々な災害の中で厳しい作業を担う彼らの姿は誇らしい。しかし、今や「積極的平和主義」を掲げた自衛隊に、コドモを入隊させるのには抵抗を感じる。

●気分が悪くなっていく…。クスリが増える。タフな話は今日はココまで。





●14年続いたヤンキーマンガが終わりました。

南勝久「なにわ友あれ」29

南勝久「なにわ友あれ」
「ヤングマガジン」で14年間にわたり、「大阪環状族」の青春をちょっぴりホロ苦く、またユーモラスに描いてきた長期連載「なにわ友あれ」がとうとう終わりました…。最初は「ナニワトモアレ」ってタイトルでスタート、主人公が交代して改題。「ナニワトモアレ」が全28巻、「なにわ友あれ」が既出28巻。最終的には31巻まで出るというので全部で合計59巻。やってることと言えば、夜中に大阪環状線を改造車で爆走して、対立チームとケンカして、女の子とうまいこと行きたいけどそこは不器用で。舞台は大阪、平成元年から二年の短い時期。たった二年程度の一瞬のヤンチャが、平成26年からはまぶしく見えますわ。いや、まぶしくはないな、このイカツイ表紙では。

●最近「ヤンキー・マーケティング」という言葉が目立つ。「マイルドヤンキー」とか「地元族」とか。そんでボクも職業的興味からこの手の本を読んだりもしている。
●ただ、このへんのマンガに登場するヤンキーたちは、昨今のマーケティング用語には当てはまらない気がする。彼らは愛すべきオールドスクーラーたちで、ある意味で過去の幻想だ。ヤンキーがヤンキーである時期は人生の中ではひどく短く、そして儚い。一瞬で消えて過ぎ去る。一生をヤンキーであり続けることはできない。
●ただし、「ヤングマガジン」はかつてきうちかずひろ「ビーバップハイスクール」を20年の長き(1983〜2003年)にわたって連載してヤンキー美学を保持した雑誌。そんで今でもヤンキーマンガでテンコモリだ。ヤンキーの時期を通り越した大人たちが、ふと立ち止まって懐かしむように浸るヤンキー・ファンタジーは、リアルと違ってどこまでも続いていく、みたいだ。

●あ、最近の注目は、荒木光「ヤンキー塾へ行く」〜改題「塾生★碇石くん」だ。ヤンキーなのに、塾で一生懸命勉強している。そんな主人公の周囲にドロップアウト気味の迷える少年少女が集まってくる…。




●マンガ地獄。
●マンガは相変わらず読みまくってるんだけど、報告するチャンスがなかったですわ。

二瓶勉「シドニアの騎士」3

二瓶勉「シドニアの騎士」1〜12巻
●今一番注目しているマンガ。TBSの深夜アニメは1クールの放送を終えたばかりだけどセカンドシーズンも制作決定、せっせと録画せねば。いやいやアニメ以前から、というか第一巻が出た瞬間からチェックしています。だって、ハードSFとしてはテッパンの二瓶勉さんの新作だもん。
●地球外生命体・奇居子ガウナと読みます)の攻撃に寄って、太陽系そのものが破壊された超未来。そこから脱出した宇宙船シドニアは1000年の旅を経て、いまだ奇居子との戦いを続けている。おぞましいカタチのクリーチャー・奇居子と、鋭角的なデザインが現代のステルス戦闘機を連想させる戦闘ロボット「衛人」の死闘。天才的な戦闘センスを持つ主人公と、ヒトクセある個性的な仲間たち。50万人が暮らす宇宙船シドニアの社会には楽しい平和もあって、殺伐とした戦争の合間にラブコメ要素もチョイと加わって。
●わざわざ選んだ第三巻の表紙は、主人公・谷風長道くんの親友・科戸瀬イザナくん。男子でもなく女子でもない「中子」という存在。でも最近は女の子に性分化してきちゃったけど。

貴家悠/橘賢一「テラフォーマーズ」8

貴家悠/橘賢一「テラフォーマーズ」8〜9巻
●この「シドニア」を友人に進めたトコロ、「それって『テラフォーマーズ』っぽいの?」と返された。う〜ん!気持ちは分かるけど、やっぱ違う、大幅に違う!火星で異常進化した巨大ゴキブリと、地球の危険動物の遺伝子を組み込まれた人間が死闘を繰り広げるこの物語は、結局のところ、遺伝子サイボーグのビックリド根性技をスポ根と同じ感覚で応援するマンガで、奥行きが足りない。でも、多国籍軍として火星に乗り込んだ部隊が分裂、地球側の国際政治の思惑で人間同士の死闘にシフトしてからは陰惨さが別のカタチを備えた…で、ココでの悪役がひたすら名指しで中国。この雰囲気も含めて今っぽいの?

三宅乱丈「イムリ」13

三宅乱丈「イムリ」1〜15巻
●これもユニークなSFファンタジー。「光彩」または「彩輪」と呼ばれるオーラのようなエネルギーを操作して、強固なカースト的階級社会を形成する民族カーマと、土着の文化を大切にして古来の生活を守る民族イムリ。この二つの民族の因縁と侵略。イムリでありながらカーマの組織の中で育てられた主人公・デュルクは、カーマによるイムリ侵略の理不尽から脱走し、いつしか反カーマ抵抗運動のカリスマに。イムリの伝承に隠された秘技を用いて、侵略者に立ち向かう…。
産業国家の帝国主義的侵略や人種差別/民族浄化といった近代以降の文明が背負うトラウマを、摩訶不思議なファンタジーにクルんで告発するこの作品、心にナイフを突き立てられるように痛い。

山口貴由「エクゾスカル零」6

山口貴由「エクゾスカル零」5〜6巻
●これもハードなSFだ。遥かなる未来、平和を十分に享受し、が故に自滅しつつある人類に、最強の戦士たちは何をすればいいのか?枯れた大地の中で食らい合う錯乱した人々をどうすればいいのか?一種の限界状態を設定した上の思考実験、絶対的暴力のあり方がココで試されている。そして、その思考実験の切先は、混迷して行く先を失った現代社会に向けられている。

市川春子「宝石の国」2

市川春子「宝石の国」1〜2巻
人間が滅びた後の地球。そこには28人の「鉱物」が暮らしていた。フォスフォフィライト、シンシャ、ダイヤモンド、コクレア、メタモルフォス、エクストラクト…。個性豊かな性質と美しい姿をもつ鉱物/宝石の少年少女を、宝飾品にしようする月人が襲う。画が美しい、線が美しい、色彩が美しい。

市川春子「25時のバカンス 市川春子作品集2」

市川春子「25時のバカンス 市川春子作品集2」
「宝石の国」に先んじて読んでいた彼女の短編集。市川春子ってどんな人だろう?そんな興味を深く導いた一冊。彼女の描く登場人物は、どこか陶器のように冷たく艶めいていて、そして本当にその固い肌がパッカリと割れたりする。それがセクシーと思えるほど美しく。そんな不思議が漂う短編たち。

梶尾真知×鶴田謙二「おもいでエマノン」

梶尾真知×鶴田謙二「おもいでエマノン」「さすらいエマノン」
●コイツは息子ノマドの中学校のバザーで買った。鶴田謙二さんの描く少女は魅力的で。謎めいたフーテン少女がタバコをくわえてて。でニットのセーターがキレイなカラダのラインを描いてて。でその少女が抱える謎は地球45億年分。

田中相「千年万年りんごの子」

田中相「千年万年りんごの子」1〜3巻
●りんご栽培が盛んな青森の寒村。一見平和なその村には、誰もが知っていて誰もが語らない禁忌がある。東京から婿入りした主人公が、その禁忌に触れた時、愛すべき妻に異変が。この土地に秘められた謎とは…。3月11日以降、あの凶暴な津波に何もかも押し流されて、豊かな東北の山野に澱のように積み重なっていた神秘が剥ぎ取られてしまったような気持ちになっていた。ガレキの山、それが撤去されてからはタダの更地。しかしココには生活があって因習があって、土地に込められた願いや祈りや呪いや畏怖がいまだ積み重なっている。東京に住むボクからはファスト風土化していくバイパス沿いの風景しか見えないが、その土地の本質はいつか復活する。そんな強さをこの作品から感じた。

いがらしみきお「I [アイ]」

いがらしみきお「I [アイ]」1〜3巻
●これも東北の物語。宮城県の農村、1954年から2011年の震災までを描く。神との接触を巡っての、一人の男の孤独な放浪。

白土三平「忍者武芸帳」1

白土三平「忍者武芸帳」1〜4巻
●羽根木公園のフリーマーケットで買ったもの。昭和41年発行の単行本だが、原作そのものは昭和34〜37年に書かれたもの。つまり1959〜1962年だよ。THE BEATLES 以前だよ。昭和41年=1966年ですでにクラシック扱いの気配があとがきから感じられる。戦国時代の土一揆から、大名同士の戦争、忍者の暗躍、その後の「カムイ伝」に踏襲される苛烈な階級闘争の描写がこの段階で十分すぎるほどすさまじい。

山本直樹「レッド」8巻

山本直樹「レッド」8巻
1971年、とうとう内ゲバが始まる。群馬山中に籠った学生たちの思想闘争は暴走し、同志を殴り痛めつける。そして殺す。70年安保運動は、なぜ最後の結末にこんな陰惨なリンチで15人を殺し、そしてあさま山荘事件を引き起こすに至るのか。これは社会改革のための運動だったはずなのに。加速する物語。目が離せない。

島本和彦「アオイホノオ」2〜6巻

島本和彦「アオイホノオ」2〜6巻
時代は流れて、1980年の青春。政治のコトはスッカリ忘れて、ひたすらマンガやアニメに没入し、将来はひとかどのクリエイターになりたいと夢見る若者たちの群像劇。劇中の「大作家芸術大学」は多分にして大阪芸術大学で、そこに間接直接で集まっていた才能、庵野秀明山賀博之「オネアミスの翼」監督)、赤井孝美(ゲーム「プリンセスメーカー」監督)、そして岡田斗司夫までが登場する。さらには、同時代のマンガ家も、あの手この手で引用されて主人公に品評されてしまう…あだち充、高橋留美子、細野不二彦、宮下あきら、大友克洋などなどなど。その後華々しく雄飛する才能たちはやっぱりスゴいけど、その中でヤリドコロのない焦燥感で青春の貴重な時間を焼き尽くしている主人公が微笑ましい…まるで、クソったれだったかつての自分を見てるようで。

久保ミツロウ「アゲイン!!」10〜12

久保ミツロウ「アゲイン!!」10〜12巻
完結!…というか、いささか慌ただしく終わっちゃった感じが。70年代の青春が「レッド」の破滅80年代の青春が「アオイホノオ」の焦燥感90年代の青春が「なにわ友あれ」のヤンキー連帯感、そんで10年代の青春がこの「アゲイン!!」に対応してるのか。いったいなんて名前をつければイイの?自意識過剰の永久回転?でも最後のクライマックスに主人公たちはその永久回転のスピードを以て未来に大きく飛び出した。タイムトリップのグルグルがギミックだったくせして最後は未知への投企へ志向していくオチ。なんにせよ、爽やかでした。

二ノ宮知子「87クロッカーズ」

二ノ宮知子「87クロッカーズ」1巻
●あんなに「のだめ」に夢中になったのに、この作品には淡白なボク。ヒロインはかわいいけど、ヒロインをコキ使う男のワガママがムカつくからかな。ただ、CPUの演算スピードの世界にスリルを見出す連中がいるってのはオドロキかも。ある意味で、北関東山中で公道レースのスピードに憑かれた連中を描いたしげの秀一「頭文字D」の出現のような衝撃を感じるのかも。いつだってサブカルチャーには魅力とスリルが付きまとう。

荒川浩「銀の匙」1巻

荒川弘「銀の匙」1巻
●こっちも同じ。「鋼の錬金術師」には散々夢中になったのに、こっちは淡白だね。たぶん、これから主人公の思春期の自分探しが始まるんだけど、まだノレテナイ。

幸村誠「ヴィンランド・サガ」14

幸村誠「ヴィンランド・サガ」13〜14巻
時代は11世紀、ノルマン系デーン王朝クヌート大王によって、イングランド〜デンマーク〜ノルウェー=北海帝国が成立する時代。そのクヌート王と、アイスランド生まれの一戦士トルフィンの奇妙な縁。デンマークの農場で奴隷生活を送ったトルフィンは、殺人だけが生業だった自分の半生を悔いて平和とはナニかを黙考する。そして既存の権威が及ばない伝説の場所、ヴィンランドを目指す。やっと13巻まで読んでヴィンランドの名前が出てきたよ。ヴィンランドグリーンランドよりも西の果てにある陸地…おそらくアメリカ大陸のどこか。コロンブスよりもずっと早くにヨーロッパ人は新大陸に到達していた…そんな冒険がこれから描かれるに違いない。

石川雅之「純潔のマリア」

石川雅之「純潔のマリア」1〜3巻
時代は14世紀、英仏百年戦争の最中。異端として生き、理不尽な戦争や不寛容な教会と一人で戦う魔女マリアの正義感と成長がマブしい。教会に敵視され、人間に絶望しそうになりながら、彼女は戦う。石川雅之さんも女性を描くのがステキ。「もやしもん」は途中で飽きちゃったけど。

よしながふみ「大奥」9

よしながふみ「大奥」9〜10巻
男女逆転「大奥」は、18世紀・老中田沼意次(女性)の時代。吉宗(女性)の死後、9代将軍家重(女性)から10代将軍家治(女性)の治世、男性大奥では、男女逆転社会成立の謎と、その原因になった男子だけが罹患する奇病・赤面疱瘡の治療法が、当時最先端の知識・蘭学を駆使して研究されていた平賀源内(女性)までもが活躍して、天然痘接種のような方法が編み出される…しかし、権力が集中する田沼意次への抵抗は大きく、関係者全てを巻き込んでの失脚劇が巻き起こる…。そして、男女逆転社会が、再び反転し始める!

坂本眞一「イノサン」4

坂本眞一「イノサン」1〜4巻
18世紀のフランス革命期に活躍した、死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンの生涯を、緻密な筆致で描く歴史モノ。彼は、ルイ16世、マリーアントワネット、ロベスピエール、サン=ジュスト、旧体制要人から革命勢力幹部までを処刑することになる…そんな彼が処刑人としてのキャリアを、深い葛藤と共に歩み始める姿が凛々しい。

森薫「乙嫁語り」

森薫「乙嫁語り」6巻
さて、今度は、おそらく19世紀の中央アジア。ロシア帝国が遠い場所から接近しつつある中、部族抗争が始まる。遊牧民族と、通商隊を迎える都市民族。実家の父兄からの攻撃を受けることとなった嫁アミルは、どう立ち振る舞うのか。色彩豊かな中央アジアの習俗や暮らしぶりが優雅だったこの物語にも、戦争の影が差し始める。
●つーか、ボク、とにかく歴史モンが好きなんだよ。

八木教広「クレイモア」26巻

八木教広「クレイモア」26巻
●遅筆「ベルセルク」のスキマを埋めるつもりで軽く読み始めたダークファンタジーもとうとう26巻。ラスボス対決本格化、もうイイ加減終わって欲しい。クサレ縁みたいになってるから。

山岸涼子「言霊」

山岸涼子「言霊」
●バレエ絡みの短編とちょいオカルト気味のエッセイの2編を収めてます。バレエはメンタルが大事。女子の競争社会はコワい、けど娘がそこにセッセと今でも通ってる…他人事じゃなくなる?



古い時代のヒップホップを見つけちまった。

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THE WORLD CLASS WRECKIN CRU「WORLD CLASS」1985年
●いつもどおり、下北沢の街を散歩し、フラリと立ち寄った老舗レコ屋フラッシュディスクランチ。ご主人がソーシャルで新入荷大量放出って言ってたから、なんとなくパラパラ見学しようと思っただけ…。なのに、この珍品がいきなり発見されてしまった。しかも800円。すごくお買い得。ヤベエ。買う?買わない?マジかよ、ボクの両肩で悪魔と天使が論争。すっげー珍しい盤な気がするんだけど、内容がオモシロいかは別問題。弱ったなー悩むなーでもここで買わなかったら一生お目にかからないかもなー。
●これは、1985年、西海岸ヒップホップの最初期のアルバムなんですよ。ヒップホップの首都ニューヨークでは、1985年段階で十分イロイロなことが起こってましたが、まだ他の街にそれが伝播しきっている時代じゃない。だからコイツもジャケが勘違い甚だしいキラキラディスコファンク気分濃厚なわけですよ。明らかに内容がヤバそう。だけど歴史的にどうしてもその名前が有名なのは、そのメンバーの中に、若かりし DR. DRE がいるから。一番左側の白い服の男、こいつが DR. DRE。その後ギャングスタラップを確立して全米を震撼させるユニット N.W.A. の音楽的中核として活躍し、Gファンクの様式を確立して SNOOP DOGG を世に出し、1996年にピークを迎える東西抗争の後は、レーベル AFTERMATH を構えて EMINEM を発掘。そして今でも大御所プロデューサーとして業界に君臨する。そんな彼の最初の一歩。ちなみに、DRE のトナリにたつヒゲ男は N.W.A. の盟友となる DJ YELLA ね。

●で、一旦アタマを冷やすべくオウチに帰って。一晩考えてやっぱ買うことにした。
●所詮 800円だし。その積み重ねがヤバいってのは知ってますけど。
●そんでハリを落してみた。そしたら、オモシロかった!ビックリするほどエレクトロラップ!
AFRIKA BAMBAATAA & SOULSONIC FORCE「PLANET ROCK」1982年のスタイルを真っ当に踏襲した、ドラムマシーン&キーボードのシンプルな構造。それでいてアグレッシブな攻めの姿勢。ラップはボチボチだけど、今の感覚から見たこのエレクトロ・トラックはむしろオモシロい。ボコーダー加工のメカ声もいっぱい入ってます。最後の曲だけ女性シンガー MONA LISA (詳しいことはよくワカラナイ)がメッチャ熱唱する内容です。あーもちろん、ディスコ要素テンコモリです。エレクトロディスコであり、エレクトロラップ。その過渡期っぷりが畸形的で素晴らしい。

●このユニットのリーダー LONZO WILLIAMS が1979年にナイトクラブをオープン、そこにディスコバンドやDJを入れたりしてた…そこに集まってきた若者たちが新しい感覚を投入、ニューヨークで勃興しつつあったヒップホップの要素がどんどん評判になった模様。自主レーベル KRU-CUT RECORDS から本作アルバムやシングルを出してイケイケ状態になるも、音楽的頭脳だった DRE & YELLA が離脱して EAZY-E ICE CUBE とともに N.W.A を結成に動くと、コチラはダメになってしまいました…。

SOUNDTRACK「BREAKDANCE」

SOUNDTRACK「BREAKDANCE」1984年
●同じく下北沢フラッシュディスクランチで購入、800円。コイツは1984年公開映画「ブレイクダンス」のサウンドトラック。以前紹介した EMINEM のツアー密着DVD「ALL ACCESS EUROPE」のエンドロールで、EMINEM自身が ヒップホップを始めたキッカケがこの映画だったとしゃべっている。それがキッカケで買っちゃったレコードです。
EMINEM とほぼ同世代のボク自身もこの映画は見たよ…多分テレビかなんかで。ココにでてきた奇矯なダンスは EMINEM をビビらせたように、ボク自身も同じ衝撃を受けてしまった…いやいやボクだけじゃない、日本国内でもブレイクダンスは80年代のヒップな流行と受け止められた。振付けに大胆なブレイクダンスを導入した風見しんご「涙の TAKE A CHANCE」が1984年にリリースされ大ヒットしている。この曲がキッカケにダンスの世界に入った人も少なくないほどだ。日本で最初にヒップホップがキチンと受け止められたのはダンス分野だったのね。
●とはいえこのアルバムの内容は、厳密なヒップホップではない…ダンスは踊れても、音楽様式のヒップホップというにはチト早い…ディスコの影響が濃過ぎる。エレクトロディスコだねOLLIE & JERRY というロスの R&B デュオと、60年代から活動しているファンクバンド BAR-KEYS がリードトラックを担当している。CHAKA KHAN も参加してるよ。

●ただし、この映画はロサンゼルスのダンス/ヒップホップシーンを取材したドイツのドキュメンタリーから着想を得ているという。そう言う意味では、DR. DRE たちがエレクトロでラップしていたシーンと、実は地続きで繋がっている。80年代前半の、カタチになりきらないシーンの躍動がココには詰まっているのだ。
●そうそう、ロスのシーンには先駆者 ICE-T がいた。彼はこの映画の中でラッパーとして出演し、サントラの中でも1曲をエレクトロトラックの上で見事なラップを披露している。ロスの荒っぽいエリアに育った彼は、ギャングとつるんだりクサ売ったり車上荒らしをして過ごしてたが、それでは妻と娘を養えないと陸軍に入隊、そこでの生活でヒップホップに出会ったとな。実際に音楽活動を本格化させたのは1982年。そんでこのサントラには「RECKLESS」という曲が収録されてる。まさしくエレクトロな高速打ち込みリズムとサワガしいスクラッチ、そして小気味イイラップ。



●動画。
●THE WORLD CLASS WRECKIN' CRU「SURGERY」
●当時の映像ってこれくらいしか見つからない…DRE が誰だがワカラン、え?この金色のラッパー?後から前に出てくる赤服のDJ?




●OLLIE & JERRY「BREAKIN'... THERE'S NO STEPPIN' US」
●音楽は完全にディスコだけど、ダンスはスゴいでしょ。コレを生まれて初めて見た時の衝撃って…スゴかったよ。





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