音楽がビジネスとして成り立つためには。
音楽家がプロフェッショナルとして生活を成り立たせるためには。


スガシカオさんの twitter 発言について、考える。
●これ今年5月の話なんで、ちょっと古いネタなんだけどね。でも今の音楽業界にとっては示唆的なコトだと思うので、思うことを書き留めておく。

話題になった、スガシカオさん本人のツイートを引用。

スガシカオtwitter

●とあるファンのツイートに対して、スガさん本人がリプライ。

「アーティスト的にはCD買ってくれたの方が、将来につながります。」

「DLでももちろん嬉しいのでですが、ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ。おれらみたいにスタジオで徹底的に音楽を追い込むタイプは、制作費が全部赤字になっちゃう。CD買ってもらうと、かなり制作費が補えるので、次の作品が作れるメドが立つんだよね。CD売れない音楽業界の負の連鎖だ」

「配信のよさはスピードと便利さ。」

●中段のツイート、彼の「ぶっちゃけ」コメントの反響がスゴい。リツイートで13000近く。お気に入りで3800以上だ。ネガティブな反応も多い…制作費が高けりゃコストを抑えろとか、CD買ってくれとは押し付けがましいとか。
なんだか猛烈にセツナイ気分になった。彼は彼の試練を敢えて買って新しい領域に飛び込み、そこで普通のメジャー・アーティストが見ない風景を見たのだ。そこから生まれる率直な言葉を、つまみ出してディスるのは、あまりにセツナイ。だから、今日はまたムダに長い文章を書く。



スガシカオさんは、2011年に所属事務所オフィス・オーガスタから離籍&独立。
●デビュー以来の関係だった事務所から独立したのには、どういう意図とどういう戦略があったのかはワカラナイ。オフィス・オーガスタは詳細は後述するがボクから見ると良心的な音楽事務所だし、じっくり相談しての独立らしいのでトラブルやケンカ別れとも思えない。
●ただ、スガさんは別の事務所に移籍したわけでもない。事務所経由でつながっていた従来のメジャーレーベルとの契約もなくなって、完全なフリーになった。マネジメントもレーベルもナシなのだ。
●もしかしたら、既存音楽業界が壊滅的に衰退していく状況を見ながら、そこから自立自営の新しい音楽活動を模索していこうというチャレンジが、彼の中にあったのかもしれない。大勢の人々が関与するメジャーシステムから一度離れて、配信モデルのスモールなエコシステムに音楽業界の新しいカタチを見出そうとしたのかもしれない。コレってスゲエ勇気だよね。そして彼はネット配信中心で楽曲を発表していく。コンサートもネット経由の手売り感覚でチケット販売していく。なにしろマネジャーもいないからね、全部を自分でやってるんですわ。ライブハウスのブッキングも自分でやってたそうだし、配信のための契約で法務局に自分の足を運んだり。「アーティストは曲作りに専念すればイイ」その常識の外に敢えて踏み出したのだ。

●さて、ボクがこのインディ期(というかフリー期)のスガシカオさんのパフォーマンスを見たのは、2013年12月の YOUTUBE 配信番組「TOYOTA WISH PRESENTS 白黒歌合戦」プレミアムライブというネット企画だ。
「紅白」をもじった歌番組を TOYOTA YOUTUBE で仕掛けてしまう。しかもその出演アーティストが豪華、VAMPS、家入レオ、斉藤和義、MAY J、大塚愛、SCANDAL などなど。スゲエな地上波テレビはもう立場がネエなーと思った内容だった。キマグレンと売れっ子ユーチューバー・HIKAKIN のコラボ、小室哲哉+ヒャダインの共作共演パフォーマンスなど、見どころも満載。スガシカオもここに出演してた。
●そこでのスガシカオのパフォーマンスが、ワリと異色で。DJセット的な機材をガッツリならべて、ここで EDM をバリバリと即興的に鳴らすんですよ。あれ?スガさんそんな芸風だったっけ?ちょっと違和感。これが彼のインディにおけるサウンドなんだろうか?悪いとは思わなかったけど、少し戸惑ったのを覚えている。

●で、2014年になって彼はメジャーに復帰する。VICTOR ENTERTAINMENT のロック系レーベル SPEEDSTAR と契約。SPEEDSTAR は90年代からロックアクトをキッチリ支援し続けている良心的なレーベルで、くるり、齋藤和義、UA、COCCO なんかはデビュー以来ずっとココに所属してたはずだ。 あ、星野源ハナレグミもココの所属なのね。

古巣の事務所とメジャー(以前はソニー系でした)を離れて、そんで3年経ってメジャー復帰。さて、この間の彼の戦いはなんだったのか。インディだった彼の戦いはなんだったのか。
●そんでその上で「ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ」と言われちゃうと「アラ?音楽業界の可能性はコッチの筋にナイの?」ととっても心配になる。むー。



●音楽業界の仕組みから考えてみよう。
●ボクは音楽業界の人間じゃないから、テキトーな知識と推測で、ってコトを前提に、ココから先の内容は読んでみて下さい。

音楽の制作費の問題。
●彼の音楽は、ファンクミュージックが素地にある上で、アコースティックな持ち味も特徴的。バンドでもないからミュージシャンもエンジニアもイチイチ雇って集めて録音しなくちゃいけない。打ち込みベース/ベッドルームで制作できる性質の音楽じゃない。つまり、カネがかかるタイプの音楽であることはマチガイナイ。「白黒歌合戦」で披露したDJセットのパフォーマンスは、スガさんがインディ向きなローコストの宅録ベースにシフトチェンジしたのか?と思わせる場面だった。確かにインディを続けるならコッチが真っ当な手段かもしれない。
●音楽が録音物として制作される時、アーティストは楽曲なり歌詞なりを用意する。詞曲を書かない人はただ歌を歌う。これを録音物として形を与えるためのコスト、スタジオ代、ミュージシャンやエンジニア、プロデューサーの人件費、楽器の調達。これらは基本的にレコード会社(レーベル)が負担する。これをCDにするなら、ジャケットデザイン、CDの製造、流通コストの負担がある。もちろんコレもレコード会社の負担。そんで宣伝。媒体出稿からメディアへのパブ露出、プロモビデオの制作もレコード会社が負担する。CD製造+宣伝+流通+管理費でCD単価の何割を占めると思う?なんと80%。つまり、ミュージシャン一人では楽曲は世に出ないわけだ。また、これがアーティスト一人で背負える額でもない。たった一人になったスガシカオさんはシンドイ思いをしたに違いない。
●楽曲に対する著作権は、それを書いたアーティストに帰属し、印税配当という形で還元される。ただし音楽制作においてそのオカネのヤリトリはほんの一部(つーかCD単価の1〜2%!)で、前述のように楽曲を録音物にする際のコストの方がずっと大きい。そこでレコード会社は音楽原盤権という権利を保持して、その録音物が様々な用途に使われる際に使用料をとる、という仕組みを持っている。レコード会社一社だけでは制作資金が調達できない場合などは、大手事務所や音楽出版社と呼ばれる権利ビジネスの専門家たちと出資し合って、CM利用やテレビの放送使用などなどから利益を上げる仕組みを持っている。ともかく、そんなビジネスを前提にしながら、アーティスト自身ではなく、アーティストの周辺(レーベルとか様々の出資者/権利者)によって音楽制作費は見積もられる。CDのようなパッケージビジネスが今だメインの日本の音楽業界は、CD販売へのリソース投入を、今までのCD販売枚数で策定するだろう。つまり、ボクがここで言いたいのは、CDを制作するためのイニシャティブはアーティストではなくレコード会社が持っているというコト。「アーティスト的にはCD買ってくれた方が、将来につながります」「CDを買ってもらうと、制作費が補えるので、次の作品が作れるメドが立つんだよね」このスガさんの twitter 発言に、ボクはこんな事情を連想する。ただしこれはメジャーレーベル/メジャー流通の場合。

では、ネット配信に勝ち目はあるのか?ないのか?
●CD他パッケージ流通に比べて、ネット配信は圧倒的に流通システムが効率化されている。全国津々浦々のお店に商品をくまなく届けるのと、iTune 他配信サイトに置くのとでは、全然手間がチガウ。だから、収益もネット配信の方が高いのでは?と、思いきや、必ずしもそうでないらしい。大手配信サービスは、その大きな流通チャンネルの存在感にモノ言わせて、CD媒体の生産コスト&流通コストと変わらない程度の利益を持っていってしまう。単価が安いのに利率が同じでは、配信がどんなに伸びても売上を伸ばすのは難しい。CDで買ってもらった方が効率よく売上は高くなる。結果、次の作品の制作費に充てる予算を組むことができる。「DLでも嬉しいんだけど、ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ」はそういう意味とボクは受け取った。ボクがここで言いたいのは、メジャーからインディへ移行しても、ブチ当たるのは同じような流通コストの壁だということ。

●そして彼はネット配信に全面的に否定的な立場である訳ではない。ファン、リスナーに楽曲を到達させるための有効なチャンネルだという認識は持っている。ただのパッケージ流通反動主義者と批判するのは的外れだ…。

●こんな有様の音楽業界ってこの先どうなっちゃうんだろうね…。
●ちなみに、このへんの権利関係については、一般社団法人日本音楽制作者連盟(略して「音制連」)が発行しているフリーペーパー「音楽主義」に詳しく書いてある。ボクはココで勉強した。練習スタジオやライブハウス、ディスクユニオンみたいなレコ屋においてあるよ。アーティストだけでなく、音楽業界の裏方さんへの取材もシッカリしている。もちろんネットで読むこともできる。

ボクのような音楽ファンは、アーティストや音楽産業に関係する人々に敬意を払い、彼らに正当なフィーが届くように気を払うことが大事だと考えた。スガシカオさんは、メジャーシステムの中でアーティストが音楽のコトだけ考えていられたことがどれだけ貴重で恵まれていたかを噛み締めたという。一方で、インディ世界の中でそれだけでは見えなかったモノも見つけた…一日のライブの売上をその当日にライブハウスで精算し自分で受け取る…そこで今日のライブに観客がどんな思いで来てくれたかを実感を持って考えたという。アーティストも変わるべきだし、リスナーも変わらなくてはいけない。じゃなければ、豊かな音楽は今後作られなくなってしまうかもしれないのだ。そんな時代が到来するかもしれないのだ。


スガシカオ「FUNKAHOLIC」

スガシカオ「FUNKAHOLIC」2008年
●さて、スガシカオ音源を聴いてみよう。これは独立前のアルバム、彼のファンク中毒っぷりがタイトルにハッキリ出ている。SMAP「夜空ノムコウ」の作詞家、おまけに KAT-TUN「REAL FACE」の作詞家でもあるスガシカオ、しかしそこからの印象ではファンクってイメージに到達しないし、彼のハスキーがかったやや細い声はアリガチなR&Bシンガーみたいな爆発力を持ってない。ただ、そんな声でヒネリ出すリリックには、かなりキツい皮肉やかなりオゲレツな比喩がシレッと溶け込んでいてまるっきり油断できない。それが彼なりのダンスグルーヴでドバドバ押し流されていく。結果としてその変態ファンクっぷりは、過剰な天才っぷりで35年ものキャリアを完全オリジナルで突き進んでる PRINCE をどうしても連想する。SLY & THE FAMILY STONE への敬意や人種越境白人ファンクバンドの元祖 AVERAGE WHITE BAND の遺伝子も見え隠れしてるかも。
●とはいえ、彼もキャリアを積み重ねた大人。スマートなファンクの中でシレッとクタビレた連中に優しい味を出してくる〜「自分のことあまり好きじゃない人ぼくのこの指とまれ/ムリヤリもうかわらなくていい」 BY「コノユビトマレ」。オフザケの中に、優しい言葉を言えるヤツってきっとモテルよね…。
●メジャー復帰最新作はまだ聴いてない…リードシングルはしっとりバラードなもんだから、そのファンク濃度はまだ不明。あー聴くモノが多過ぎて困る!



●ここからは、スガシカオさんが離籍した音楽事務所、オフィス・オーガスタの音源を聴いてみる。
●ボクの中では「レーベル買い」と同じような感覚で「事務所買い」ができる存在。それがオフィス・オーガスタ

10th Anniversary Songs~tribute to COIL

福耳「10TH ANNIVERSARY SONGS 〜TRIBUTE TO COIL〜」2008年
オフィス・オーガスタは、80年代末に活躍したバンド BARBEE BOYS「モテキ」椿鬼奴の歌マネで再評価が進む!)が解散した後、このバンドのボーカルだった女性シンガー・杏子のマネジメントを担うため1992年に設立された事務所。その後、1995年に山崎まさよしを、1997年にスガシカオをフックアップ、この二人が次々とヒットを量産。そして現在までこうした良質なシンガーソングライターをコンスタントに発掘してはこの世に送り出している。実に真っ当に音楽至上主義で、小賢しいプロモーションも企画じみた単発モノも扱わない。社長の森川さんという人が根っからのビートルマニアらしく、そこに由来するのか特殊なジャンル一辺倒に倒れるアーティストよりも、純粋なポップミュージックを常に希求するタイプのシンガーが集まっている。で、コレがどれも美味。
福耳とは、オーガスタの三枚看板、杏子+山崎まさよし+スガシカオの合体ユニット、だったはずなんだけど、この時期にはオーガスタ所属アーティストフルメンバー結集みたいな位置づけになってる。奄美大島から「千年に一度の声」として発掘されたシンガー元ちとせ、紅白の常連になりつつある2人組スキマスイッチ、そこから更に後輩世代にあたるシンガー秦基博長澤知之、辣腕女性ドラマーあらきゆうこ、ミクスチャーバンド MICRON' STUFF。そんで、ここでデビュー10周年を祝われている2人組ユニット COIL。すげえ大所帯。名前を列挙するとこの事務所が粒の揃ったラインナップを備えているコトがわかるでしょう。
●で、オーガスタは、自社所属アーティストを集めた音楽フェスを毎年開催している。その名も「AUGUSTA CAMP」。最初の開催は1999年。そこから必ず毎年行われてる…もちろん今年も。現代日本のロックフェスの元祖 FUJI ROCK の初回が1996年だったと思うと、即座にその流れをキャッチアップし、自社アーティストだけで見事ずっと運営し続けてるコト自体が素晴らしい。ボク個人は2004年スキマスイッチが目当てでした)と2006年の富士急ハイランド秦基博の初お目見え!)、そんで2005年の沖縄・宜野湾市海浜公園を見てる。わざわざ沖縄に行ったのは、元ちとせの産休明け復帰第一弾ライブだったから!このCDは2008年の「AUGUSTA CAMP」がベースになってるアルバム。1999年デビューのユニット COIL の楽曲を事務所メイトたちがトリビュートカバー。それをフェスで披露した様子もオマケDVDに収められている。
COIL というユニットは、スガシカオに続くフックアップなんだけど、山崎&スガと続いた天才とはチト違ってぶっちゃけそんなに華がナイ…。後輩からは、漫才コンビ・昭和のいるこいるをモジって「コイル兄さん」って呼ばれてるっぽいけど、事務所メイトに共通する唯一無二なボーカルの存在感はないのよ。ただ、過去の音源を聴くと、彼らが森川社長と同じく見事なビートルマニアであることがわかるし、ナニゲに90年代オルタナを真っ当にナゾるギターロックバンドだってことも分かる。トリビュートされた瞬間に、そのへんのアレンジの妙は霧散しちゃうんだけどね。
●今年から COIL岡本定義のソロユニットへ改組。相棒だった佐藤洋介は持病で活動がママならない状態が何年も続いており、そもそもがエンジニア業に関心が強かったということもあって、そちらを本業にするらしい。実際、このアルバムでの福耳新曲「DANCE BABY DANCE」「夏はこれからだ」のプロデュースワークは COIL がカッチリこなしている。弾けるアッパー「DANCE〜」杏子姐さんのパワーが全てだが、秦基博+大橋卓弥(スキマ)+元ちとせを前衛に出した「夏は〜」若手のキメ細やかでセンチメンタルな感性がキラキラ。

長澤知之「黄金の在処」

長澤知之「黄金の在処」2013年
●彼のライブは「AUGUSTA CAMP」2006年で見た…オープニングアクトとして、秦基博と彼が、それぞれ弾き語りを披露したのだ。くんはこれが初披露だったが、2005年の山崎まさよしデビュー10周年記念「AUGUSTA CAMP」長澤くんは初披露をすましてたとな。新人披露の場面も兼ねるのですよ「AUGUSTA CAMP」は。
●そんな彼のセカンドアルバムがこれ。やや若気の至りってイイのか?だいぶ生意気なツッカカリ方をしてくるリリックが青くて若い。オーセンティックなポップを希求するといっても、オーガスタに所属する連中は音楽でメシを食おうという無謀な野心家で、多かれ少なかれトゲトゲしい生意気さを持っている。山崎まさよしさんは今だその立ち振る舞いにギター1本あれば誰にも負ケマセンゼ的なオーラを放ってるし、スイートな印象が漂うスキマスイッチですら初期シングル「君の話」では皮肉っぽいリリックでかなりスカしてる。その意味で、ここでの彼の生意気ップリはすごく好感がもてる。
「スーパーマーケット・ブルース」じゃバイト先の店長他全員をケチョンケチョンにしてる〜「この生き地獄から抜け出したい/こいつらの笑み見る度そう思う/あいつらの面がああ俺を死ぬ気にさせる」「誰より愛を込めて」も好きなウタだ〜「僕の歌は人を選ぶそうだから/調子をこくぜ僕は人を選んでる」ってフレーズが不遜だから。
●しかしただの生意気は別に音楽として価値があるわけじゃない。彼の最高の持ち味、ハイトーンの艶っぽいボーカルの美しさとリリックのギャップがオモシロいのだ。ツヤツヤと繊細に光るアレンジの細やかさもコラボミュージシャンの堅実なプレイも、若さとウラハラな成熟として説得力を持っている「フラッシュバック瞬き」という楽曲では、ハイトーンのサビフレーズでボカロを採用してるとな!れるりり(当社比P)なるボカロPとコラボ!つーかキレイなコーラスだと思ってたけど、まさかボカロだったとは。今知ったわ。

スキマスイッチ「スキマスイッチ ARENA TOUR 07 22W-ARENA22」

スキマスイッチ「スキマスイッチ ARENA TOUR '07 "W-ARENA"」2007年
スキマスイッチオフィス・オーガスタの所属アーティストだ。甘さのある大橋卓弥のボーカルと実はゴツいアレンジ能力を発揮する常田真太郎のユニットがデビューしたのは2003年、紅白出演も経てもう10年以上のキャリアだ。ボクは彼らのデビューシングルからしばらくは全音源をチェックしていたので、2007年のライブ音源であるこのCD二枚組はボクにとってベスト的選曲。「ガラナ」「奏」「冬の口笛」「ふれて未来を」「全力少年」、そして「ボクノート」がボクにとっては愛おしい。
●彼らのコンサートや演奏は何回か見ているが、いつも思うのは完璧なジェイポップであるのにその演奏はゴリッと分厚くロックのような重厚さがあるということ。ストリングスが華麗で、大橋ボーカルもセツナイほど甘いのに、堅実なリズム隊のドスドスとしたグルーヴがボクのロック細胞を刺激する。シングル/アルバムで聴く印象とはガラリ変わるライブならではのタフネスが実はとても楽しい。やや突っ込んだ言い方をすれば、ツヤツヤのジェイポップにサイケデリックファンクの成分が注入される感じがあるのだ。聴き馴染んだシングル曲も、間奏などにコクマロな展開ブロックを仕込んでいる。

スキマスイッチ「MUSIUM」

スキマスイッチ「MUSIUM」2011年
スキマスイッチ2008年でその活動に節目をつけて、この年をそれぞれのソロワークに充てた。この時の大橋のソロアルバム「DRUNK MONKEYS」が実はボクの中でワリと空振りで…。あ、スキマスイッチは大橋&常田の二人で初めて成立するんだと納得した。全ての楽曲を二人のセルフプロデュースでやってきたのは伊達ではなかった…大橋だけではスキマスイッチの魔力は発生しないのだ。ちょいとこのタイミングで、ボクの中で彼らから関心が途切れてしまう…。そんで、このアルバムが久しぶりの再会。2009年には彼らは再起動してコイツの前にもう一枚アルバムを出しているがそちらは未聴。アニメ「鋼の練金術師」主題歌になった「ゴールデンタイムラバー」が収録されてるから、いつかは入手しようと思ってます。
●ここでのスキマスイッチは、震災直後のトーンが続く中でのリリースが影響してるのか、いつもの持ち味であるはずの前向きのハツラツさが鳴りを潜め、不安や諦念に立ち止まったり、立場の中途半端さへの戸惑ったりする、曇天のイメージを繰り返している。彼らはあの時ひたすら喚かれた「絆」とかとかのビッグワードを使わないどころか、震災を連想させるような表現を1ミリも使っていない。アレンジもいつも通り誠実な重厚さを備えてる。なのに、どこか暗いイメージを引きずっているのは2011年がどうしても特別な年であることの証明なのかもしれない。ピアノが軽快に踊る唯一の明るい曲「センチメンタルホームタウン」故郷回帰を歌っているのが象徴的に聴こえるのはボクが気にし過ぎているのだろうか?でも音楽は時代を写す鏡…。

RYTHEM FEAT 常田真太郎「ぎゅっとして」

RYTHEM FEAT. 常田真太郎「ぎゅっとして」2009年
●2008年のソロワーク期間を、常田真太郎は自分名義の作品を作るのではなく、様々なアーティストとのコラボやプロデュースワークに携わることに費やした。元から裏方体質なのか、コッチの方がノビノビできるようだ…。この女性二人組ユニット RYTHEM とのコラボでは、シングル「ぎゅっとして」の作詞作曲編曲を担っている。本来はマイナー調のハーモニーが美しい RYTHEM のスタイルを軽く裏切る明るい朗らかな楽曲になった。残念ながら RYTHEM はその後2011年に解散。ちなみに、メインボーカル担当の YUI さんをライブで見て、マジカワイイと一時期ボクは真剣に思ってた(ジャケ左のコ)。一度井の頭線の渋谷駅で彼女見かけたんだよな…あれ絶対本人だよな…。

ゴスペラーズ/ゴスペラーズ VS 常田真太郎「SKY HIGH : セプテノーヴァ」

ゴスペラーズ/ゴスペラーズ VS 常田真太郎(FROM スキマスイッチ)「SKY HIGH / セプテノーヴァ」2008年
●リード曲は、ドラマ「のだめカンタービレ巴里編」の主題歌だという…ごめんなさい「のだめ」はマンガで堪能してしまったんでドラマ1ミリも見てない。そんでカップリングがスキマ常田とのコラボ。ライトでスムースなディスコファンクが華麗。
●こうして常田は、編曲、プロデュース、作詞などで様々なアーティストと仕事をしていく。いきものがかり、河口恭吾、絢香、ナオト・インティライミ、HOME MADE 家族、そして事務所メイトの元ちとせなどなど。

さかいゆう「HOWS IT GOING ?」

さかいゆう「HOW'S IT GOING ?」2012年
●オーガスタのメンバーの中では、2009年デビューと最若手に位置するメガネくん。コレを薦めてくれたのは名古屋に住むボクの実妹だ。帰省した妹がさかいゆうが今一番お気に入りみたいなコトをいうので、へーちゃんとマジメに聴いてみようと思ってこのCDを引っ張り出した。
●でもタダの若手には似合わない落ち着きが彼にはある。22歳で単身渡米し武者修行〜からのデビュー。その音楽の根底にアメリカンブラックミュージックへの敬意があるのを感じる。リリカルなピアノと丁寧なうたごころ。流行りのR&Bに対して、かつてオーガニックソウルのような実直なアプローチがあったように、今のジェイポップの中で彼の音楽はオーガニックソウルのような響き方をしてる気が。ちゃんとモダンなのに、イマドキのギミックに流されない地に足ついた感じ。素直にまっすぐ響く声が気持ちイイ。
●ちなみに、山崎まさよしさんがテレビでボイスパーカッションを披露した時「事務所の後輩のさとうゆうってヤツに教わったんですよ」みたいな話をしてた。山崎さんの後輩からでも学ぶものは学ぶ姿勢、そしてさとうゆうくんの勉強熱心な姿勢を嗅ぎ取った。へーボイパも自分のモノにしてるんだ…。もっと彼の音楽を聴いてみたいな。


オフィス・オーガスタ関連音源は、ホントにブランドとして聴けますよ。良質のジェイポップが聴けますよ。
●こんなジェイポップだけで、フリーソウルなDJをしてみたらカッコいいだろうな。



●動画。
●長澤知之「フラッシュバック瞬き」
●コーラスがボカロってのにビックリ。




●福耳「DANCE BABY DANCE」
●AUGUSTA CAMP 2008 の様子。オーガスタフルメンバー登場。元ちとせのアゲハ柄浴衣がカワイイ!




●福耳「夏はこれからだ!」
●AUGUSTA CAMP 2011 の様子。凛々しい秦基博からスキマ大橋卓弥のスイートネス、Cメロでの元ちとせ。




●スキマスイッチ「ガラナ」
●2007年アリーナツアーの音源。ボクの聴いたライブ盤と同じヤツ。グッとテンポを抑えた曲も好きなんだけどね。










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