新しい MAC を買った。
MAC BOOK PRO 13インチ 2.6GHz Retina ディスプレイ 256GBフラッシュストレージ。

MACBOOKPROを買う

●3年使っている MAC BOOK PRO 15インチ には不満はない…やっぱデカくて重いのはしんどいけど。ただ、息子ノマドがボーカロイドに挑戦したいと言い出したので、このマシンをオサガリとしてヤツに渡すことにしたのだ。音楽の素養など何もナイ息子にどれだけのことができるかワカラン。しかしココ半年くらいボカロやりたいと言い続けているのだから、気まぐれというわけでもないだろう。おまけに去年の受験合格以来ボクからはろくにお祝いも出してやってないことも自分の中で引っかかっていたので、ここでデカイプレゼントをしてやろうと思った。マシンはオサガリだけど、ボカロソフトとして「IA」を買ってやったし、編集ソフトとして「CUBASE」の初級モデルも買ってやった。
●気鋭のトラックメイカー TOFUBEATS は中学生の時に母親から仕事で使っていたPCをもらって音楽を始めたという。振り返ると、ボク自身も中学生の時に本格的なPC(NEC PC-8801 mkII FR)を買ってもらった覚えがある…実は一番最初のPCは小学三年生の時に叔父が譲ってくれたヤツだった(BANDAI RX-78、ガンダムと同じ型番のマシンがあったのだよ)…そう思うとPCとは付き合い始めが早いのは悪いことでもない気がする。少なくともスマホでゲームやり続けるよりも生産的な気がする。まあ、気がするだけだけど。
●少なくとも、期末試験が終わるまではまだイジるな、とだけ言い付けておいた。冬休みに入ったらイジリ倒せばいい。ヤツはまだインストールの仕方も知らないからな。

●ワイフも iPhone 6 にモデルチェンジした。徹底した APPLE 党になっていく我が家。



TOM WAITS のセンチメンタルな音楽で夜更かし。

TOM WAITS「SMALL CHANGE」

TOM WAITS「SMALL CHANGE」1976年
●ロサンゼルスの酔いどれ詩人 TOM WAITS の三枚目のアルバムを、東京のクタビレた酔いどれが集まる街・新橋の古本市で買う。200円だった。体調をスッカリ崩したボクは現在残業禁止措置で早く会社を出るコトが出来る。今まで22〜23時まで仕事してたのに、いきなり19時前に会社出ろと言われると戸惑うね。で、ふらり駅前SL広場に寄って、古本をチラチラひやかしてたのだ。200円はいい値段だね。ちなみに U2「UNFORGETTABLE FIRE」も200円で買った。アナログしか持ってなかったから、これで iPod に入れられてうれしいよ。

●さて、TOM WAITS。アルバム一曲目「TOM TRAUBERT'S BLUES」は2009年フジテレビのドラマ「不毛地帯」山崎豊子原作/唐沢寿明主演)の主題歌だった…当時のブログでも書いたけど、このドラマはハマった…シベリア抑留兵から高度経済成長の企業幹部へ転身する主人公の悲壮感漂うタフな生き様が骨太だった。原作も全部読んだし、TOM のこの曲もベスト盤で入手した。今回も、アルバムの中でドッシリと骨太感を漂わせている。この曲については、そんであれこれの TOM というキャラクターについても以前の記事に書いたからソチラをご参照あれ

●彼の初期キャリア、70年代の ASYRUM RECORDS 所属時代は、酒ヤケのボエ声ボーカルが貫禄出しまくってるトコロは現在まで一貫しつつも、ピアノの弾き語り、ジャジーなアレンジ、ブルージーなニュアンスと、真夜中に聴くにはなんともたまらないセンチメンタルさがまとわり付いて、これをBGMについつい夜更かししてしまう。酒が飲めないボクですら、ウットリと彼の音楽に酔う。カラダとココロの不調で思うように仕事もできない悔しさに痛飲したい気分にフィットする。TOM は歌う。「THE PIANO HAS BEEN DRINKING, THE PIANO HAS BEEN DRINKING, NOT ME, NOT ME, NOT ME, NOT ME...」ピアノが酔っぱらっちまったよ…オレじゃねえ…ピアノが酔っぱらっちまったんだよ…オレじゃねえって…ビアノが酔っちまったんだよ。ストリップ小屋の楽屋から、こんな音楽が流れてくる。
●十代の TOM は高校を早々に中退し、ピザ屋でずっと夜勤暮らしをしていたとな。「I CAN'T TO GET OFF WORK (AND SE MY BABY ON MONTGOMERY AVENUE)」という曲で、そんな時代を振り返っている。…別に働くのがイヤってわけじゃねえ…バーでダラダラ時間を潰すのにも慣れちまったからな…運転手もやったし荷物の預かり係もソーダ売りも修理工もやったぜ…仕事があればありゃましなもんだ、だなんて誰が言ったんだ…あの娘に使うカネくらいは持ってるんだ…なのに仕事が全然終わらねえ…ジョーとサリーのためにこんなに頑張ってるのによ。急いで片付けちまったら、今日は夜明け前に帰れるかもしれねえ…。塩辛いボエ声が今は沁みる。無限に終わらない仕事、意味があるのかワカラナイ仕事、その仕事を全う仕切れない今のボク自身、マヌケで中途半端さに居心地が悪くてしょうがない。でも TOM のピアノはとても優しいんだ。


TOM WAITS「BLACK RIDER」

TOM WAITS「BLACK RIDER」1993年
●だいぶ時代が下ったアルバム…これは義弟 ken5 くんにもらったCDだな。ありがとうございます。ASYRUM から ISLAND に移籍した80年代以降の TOM はオーセンティックなスタイルから、セルフプロデュースのエキセントリックなサウンドデザインに躊躇なくシフトチェンジ、元々の遺伝子として内包していたヴォードヴィルのスタイルも出てきて、なんだかチンドン屋みたい聴こえてくるほどのフリ切り方を見せるようになる。これもそのタイプの作品だなあ。
●このアルバムは、ドイツ・ハンブルグで公演された前衛演劇のサウンドトラックとして制作された音源集だ。ドイツの民話をベースにして、脚本はなんとビート文学の巨人 WILLIAM S. BURROUGHS が担当。そこに、これを舞台化しようとする前衛演出家 ROBERT WILSONTOM に音楽制作オファーしてきた。こんなチャンスを断れないと、ともかくまずは根城のロスからドイツに飛び、毎晩作曲をして稽古で聴かせるという作業を繰り返したそうな。コラボしたのは正統派のクラシック演奏家から、駅前で小銭を稼いでいたストリートミュージシャンまで。バンジョーからバスーン、フレンチホルン、チェロ、マリンバと、ロックバンドとは関係ない楽器だけで構成されてる。バロウズが脚本とあって、話もデタラメで陰惨みたい…悪魔に魂を売った男が許婚を死に至らしめて破滅するお話みたいだ。ああ、バロウズ本人も一曲歌ってるぞ…。
●公演は成功し、その後00年代にわたって欧米各国で再演されてるという。この音源はロスに戻った TOM が再録再構成したようなので、半分がドイツの音源、残りはロスのミュージシャンが TCHAD BLAKE 収録の元で演奏したものらしい。ちょっと不思議すぎるけどね。


TOM WAITS のルーツ、ビート二クス/ビート文学について。
詩人、ルー・ウェルチの生き様とアメリカの大地。

アラム・サロイヤン「花のサンフランシスコ」

アラム・サロイヤン「花のサンフランシスコ」
1950年代に社会現象となったビート二クス/ビート文学のムーブメントは、TOM WAITS に影響を与えている。ありとあらゆるドラッグを試したあげく、ウイリアム・テルごっこに興じて妻を射殺した、ビート伝説の巨人ウイリアム・バロウズと仕事をしたいと TOM が考えたのも当然だ。ちょっと話がそれるけど、NHKETVで放送されてた「ニッポン戦後サブカルチャー史」でも、ホストを務めた劇作家・宮沢章夫が戦後サブカルチャーの発端にビート二クス/ビート文学のムーブメントを挙げている。この本は、こうしたビート文学の担い手、ビート二クたちのそれぞれの生き方、特に詩人ルー・ウェルチにフォーカスを当てた作品だ。

●ちなみに、作者アラム・サロイヤンは、小説家ウイリアム・サローヤンの息子だ。父ウイリアムの本は、故・伊丹十三監督の翻訳で文庫になったりもしてた…今はもう絶版かな?父親ウイリアムの文学はアメリカの慎ましやかな家庭の物語を綴るタイプの内容だったが、息子アラムは、そのアメリカの秩序を内側から食い破る反抗文学のウネリを美しい散文詩のようなスタイルで綴っている。タイトルは「花のサンフランシスコ」と能天気な邦題をつけられているが、原題は「GENESIS ANGEL」、サンフランシスコは作品全体の中を見渡してもたいした意味を持たない。ビート二クスの後継ムーブメントとして、サンフランシスコでヒッピーカルチャーが10年くらいのスパンを開けて花開いたコトを意識しているのだろう。しかし訳者自身が言及しているのだが、この本はそのビートジェネレーションと呼ばれたムーブメントへの挽歌だ。戦後アメリカで急速に発達する大衆消費社会や保守志向に抗い、脱出しようとした若者たちの生き様が語られている。

●表紙には、ビート文学の代表選手たちの似顔絵が描かれている。
ジャック・ケルアック。ビートの名付け親であり、代表作「路上」で一躍カリスマになった作家だ。ビバップジャズのアドリブのようにタイプライターを打ち、アメリカの大地を放浪する若者達を描いた。ニール・キャサディ。彼は作品をなんら残す男ではなかったが、破天荒な行動や言動でジャックに影響を与え、二人でアメリカ大陸を縦横無尽に放浪した経験がそのままジャックの作品に反映された。ニールは1968年にメキシコで変死体となって発見され、ジャックはアルコール中毒で身を崩して1969年に病死。
ゲイリー・スナイダーは日本・京都に十年以上滞在し東洋思想や禅に接近、グレゴリー・コーソはビートサークルの最若手として仲間たちのモロッコ旅行に同行している。アレン・ギンズバーグはビートのカリスマとしての人生を全うし、ゲイとしてカミングアウト、その後のカウンターカルチャーを牽引する活躍を続けた。表紙には描かれていないがウイリアム・バロウズも登場する。起業家であった祖父の遺産のおかげで定職にもつかず、ありあまるヒマとカネを、薬物を貪るコトだけに費やした。なぜ彼が83歳まで生き残ることができたか?不思議すぎる。
彼らは一様に、アメリカ型の戦後文化から拒絶され逃避した人種だった。ゲイであるコトを背負い。都市を離れ荒野を放浪し。ドラッグやジャズにハマり。西洋文明の限界を乗り越えるため非西欧文化に傾倒。その後自然環境保護運動に身を投じた者もいる。アメリカのアウトサイドへと彼らは逃げた。

ルー・ウェルチは、ビートニク・サークルの中では後発組だった。ニューヨークを軸に放浪と集合を繰り返していたビート人脈からはやや離れて、この西部出身の若者は、いくつかの大学や様々な職業を転々とし、住む場所も全米を転々としていた。シカゴで広告のコピーライターを務めながら、精神分析のカウンセリングを受けていた。ビートが世間の耳目を集めるようになると、まっとうな職業と恋人を捨てて、大学時代の知人であったゲイリー・スナイダーと合流、詩作の世界に入る。とはいえ、生活を成り立たせることは困難で、アルコールに深くハマっていく。社会的な地位と縁を切り、純粋な労働とわずかな対価、酒、そして純粋な詩作。戦後アメリカ的市民生活をそぎ落として孤独でシンプルな生活を目指す。それが彼なりのビートニクな生き方だった。
●60年代には、サンフランシスコで詩作の講義を持つようにもなったが、最終的に彼はアメリカ西部に横たわるシエラネバダ山脈に山小屋を建てて暮らすことを選んだ。静かな生活と美しい自然、純粋な詩作。しかしアルコール中毒を抜くことはできなかった。ある日、彼は簡単な手紙を残し、山に姿を消した。失踪。友人ゲイリー・スナイダーの呼びかけで5日間の捜索が行われたが、とうとう彼は見つからなかった。1971年、詩人は44歳だった。

「ビート」は「打ちのめされた」という意味。そしてアメリカは巨大だ。
彼らはどうしても戦後アメリカ社会に馴染むことができなかった。アメリカの外に飛び出すために、ドラッグを求めてクルマを走らせる冒険を繰り返した。しかし、結局は、彼らは自暴自棄な行為で寿命を縮めてしまった。ケルアックは時代の寵児に祭り上げられ、その混乱の中で酒に溺れてしまった…彼が死んだ時には誰も彼の顔を覚えていなかったというのに。
アメリカに疎外され、アメリカから遠ざかろうとしていたのに、結局彼らは、アメリカの広大な荒野を走り回るだけに終始していた。どこまでもどこまでもアメリカ。ドラッグやアルコールを貪ってもアメリカ。まるで釈迦の掌の上で暴れる孫悟空のようだ。その上で、ルー・ウェルチの最期にショックを受けた。誰も住まないアメリカの山中に居を移し、そしてアメリカの山に姿を消す。純粋であることを突き詰めて、アメリカの真ん中に入っていったルー。アメリカは巨大で、その中にはいまだ純粋な真空空間が大きく横たわっている。陰惨な歴史や猥雑な文化が跋扈するアメリカの真ん中に、大きな真空の闇。



●打ちのめされた人々、打ちのめされている人々に、TOM WAITS の音楽を。
●動画。

●TOM WAITS「THE PIANO HAS BEEN DRINKING」




●TOM WAITS「TOM TRAUBERT'S BLUES」



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