●最近の我が家のハマりモノは。
「寄生獣 セイの格率」@日本テレビの深夜アニメ。
●でも Hulu で見てるけどね。

寄生獣セイの格率

岩明均原作の「寄生獣」って連載が1988〜1995年なんだって。
●アニメ化/映画化と注目されてるけど、今の若いスタッフ、全然リアルタイムじゃないから知らなかったとかいうんだ。今回初めてマン喫で読みましたとかヌカすんだ。マジかよ!クラシックだよ!必修科目だよ!…うーん、また自分がオッサンだと思い知らされたな。世代が違うんだわな。
●どっかのタイミングで、息子ノマドには原作を読ませたい。そんで、岩明均の、軽く乾いた筆致、一瞬で人が死ぬ躊躇なき非日常への飛躍感を味あわせないといけないな。つなげて「七夕の国」も読ませたい。あれも岩明作品として傑作だから。そこまで行けば古代ギリシャ・ローマを描く「ヘウレーカ」&「ヒストリエ」にいける。


T.I. のサウス系ヒップホップ、「トラップ・ミュージック」。

TI「TRAP MUZIK」

T.I.「TRAP MUZIK」2003年
●ヒップホップの進化の過程で、ニューヨークとロサンゼルスの二大拠点から、アトランタやニューオリンズ、ヒューストン、マイアミといった、南部つまりサウスサイドの諸都市に、地方分権が進んで行く過程をくっきりと描いてみたくて色々構想しても、その動きは複雑すぎて説明できません。1996年にヒップホップのゴールデンエイジが終わり、バウンスビート(和名:チキチキビート)が登場したそのリアルタイム、奇しくもマンガ「寄生獣」の連載が終わったあたりに登場してきたこのヒップホップ新潮流に、正直ボクはうまく馴染めず立ち止まってしまった覚えがある。この苦手意識を克服するために、サウスサイドの様々な音源に当たったけど、ナカナカに飲み込むことができない…。
●と思って十年近くも経った後に、巡り合ったのがこの物件。アトランタのラッパー T.I. のセカンドアルバムだ。実際には2011年には入手してて、その瞬間から目からウロコの大ショックを受けた。マジで名譜。この一枚で、ボクの中でサウス系へのトビラが完全に開いた。ただ、この一枚のスゴさが言語化できるかは、自信がなかった…今日はそれに挑戦してみる。

●アルバムタイトル「TRAP MUZIK」「トラップ」という言葉は、ドラッグ関連のスラングらしい。ただし、コレは偶然なのか、T.I. が選ぶトラックの特徴を示す擬音語/擬態語のようにボクは思えた。早くもなく遅くもない彼のトラックの中で、偶数拍に「ペチッ」と鳴るスネア?ハンドクラップ?の音が、ルードでレイジーな粘着質ファンクネスを醸し出しているのだ。この「ペチッ」を英語風に言えば「トラップ!」という感じだろう。この「トラップ!トラップ!」だけが規則正く偶数拍に配置され、そこに当てるようにゴツゴツとしたキックやシンセベースが自由に唸るし、ハイハットも自由にシンコペーションする。ドラッグ由来のノッタリとした酩酊感を「トラップ!トラップ!」のファンキーなルーズネスで象徴させ、そこを軸にグルーヴを回転させるT.I. 自身のラップ/フロウは、クセのある粘り気(アトランタなまり?)があって、ファンクネスと独自の洗練を同居させている。見事なワザモノだ。
●サンプル許諾の高額化で、シンセの打ち込み主体に切り替わった90年代末以降のヒップホップは、チキチキなバウンスビートで16分音符のスネアをばらまいて、重心の高い音楽に切り替わった… TIMBALAND や MISSY ELLIOTT、CASH MONEY 一派のサウンドデザインはそういうスタイルだったはず。このバウンスビートの収穫を前提に、「トラップ・ミュージック」は重心を中域に設定してレイドバックな気分を演出している。奇妙な弛緩とファンクネス、完全な打ち込み主体でありながら粘り気を同居させるアトモスフィア。明白に新しいと思った。ちなみに、このあたりで中心的に活躍したトラックメイカーは、DJ TOOMP。T.I. のキャリアをこれ以前もこれ今後も支えていく盟友。ミシシッピ州ジャクソン出身の DAVID BANNER もヒットシングル「RUBBER BAND MAN」で活躍。
●これの前に出したファーストは不発に終わったが、このセカンドアルバムで T.I. は一躍全米の注目を集め、サウス系ヒップホップの重要人物になっていく。

TI「KING」

T.I.「KING.」2006年
T.I. のサードアルバム「URBAN LEGEND」も絶対買ってこの部屋の中にあるんだけど、全然発見できない。彼のブレイク作品となったのに。しょうがないので一枚飛ばして、4枚目。タイトルは「KING.」。この頃にはニューヨークの帝王 JAY-Z から「オレの次はオマエだ」的な発言までもらって、名実ともに「KING OF SOUTH」の称号を思いのままにしていた T.I.。完全にセレブ化してます。
●スネア/ハンドクラップが鳴らす「トラップ!トラップ!」のアクセントは踏襲しつつ、メジャー感もたっぷり盛り込まれている。トラックメイカーは DJ TOOMP もいる一方、JUST BLAZE、MANNIE FRESH、SWIZZ BEATZ、THE NEPTUNES まで参加している。ルードなファンクネスも堪能できるが、ハッとするほどの大ネタ使いも炸裂。1991年のライトなハウスミュージック CRYSTAL WATER「GYPSY WOMAN (SHE'S HOMELESS)」をグッとテンポダウンしてザクッと使うワザにはビックリ&懐かしさでまさに胸アツ。

TI「TI VS TIP」

T.I,「T.I. VS. T.I.P.」2007年
●メジャー契約前は、TIP という名前で活動していたこの男。契約してみたらレーベルの先輩に元 A TRIBE CALLED QUEST Q-TIP がいた。このままだと紛らわしい、ということで、T.I. に改名、って経緯がある。そんで、かつて捨てた名前がココで復活して、T.I. と T.I.P. という別人格が対面することとなったヒップホップ業界でアリガチなオルターエゴの使い分けとか、リアルの俺と虚像の俺の葛藤とか。T.I. は既に立場を確立したクールなビジネスマンで、T.I.P. はストリートハスリングで日銭を稼いでいたチンピラという設定。
「トラップ!トラップ!」のマナーは守りつつも、メジャー化はどんどん進行中。トラック提供に盟友 DJ TOOMP がいないもんね。ゲストには JAY-Z、EMINEM、WYCLEF JEAN、BUSTA RHYMES などインターコースタルな連中が結集。リリックチェックしてないから微妙だけど、T.I. 人格ではキレのいいフロウで高度に洗練、T.I.P. 人格ではルードにグダグダしてみせるというキャラの使い分けをしているよう。ボクはルーズなトラックにルードなフロウが好きだけどね。

TI「PAPER TRAIL」

T.I.「PAPER TRAIL」2008年
●盟友のトラックメイカー DJ TOOMP も復帰して原点回帰、ルードでルーズなファンクネスがコッテリ味で復活。テンポを落として腰をグッと下ろした安定感が、安心してファンクに酩酊できる姿勢を確保。一方でゲストは豪華。JAY-Z、KANYE WEST、LIL WAYNE、JUSTIN TIMBERLAKE、JOHN LEGEND、LUDACRIS、USHER までが見参。ヒップホップの首都がアトランタに引っ越したかの勢い。RIHANNA をフィーチャーした「LIVE YOUR LIFE」はなんと O-ZONE「DRAGOSTEA DIN TEI」大ネタ使い。覚えてる?邦題「恋のマイアヒ」だよ!スゲエセンス!この暴挙は JUST BLAZE の仕業です。SWIZZ BEATZ も彼らしい大味で粗末なトラックを提供、スカスカしたトラックをそう感じさせない密度の濃いラップがたまらん。「PORN STAR」では T.I. のフロウがクールで色男すぎる。実際、この人のルックスってすごくかっこいいよね。KANYE 提供トラック「SWAGGA LIKE US」だけは才気走ったトラックメイカーがラッパーとしても出張ってサイバネスティックな異色曲を構成。コーラスはアジア系の女闘士 M.I.A.JAY-Z の王道な客演、南部のヒーロー LIL WAYNE のダーティっぷりも迫力満点。
●ちなみに当時の T.I.銃器所持の罪で裁判待ち、この期間でリリックを書いていたという。

「トラップ!トラップ!」擬声語/擬態語で解釈して納得する解釈を自分の中だけで着地させてたつもりだったけど、90年代〜この時代にかけて、ヒップホップのサブジャンルとしての「トラップ」という言葉が本当に定着していったらしい。その後2010年代に入って、トラップは更にエクストリームな音楽として進化、目下注目されている模様。最新音源としてのトラップもチェックしてみたいな。



●動画は続きから。

●T.I.「TRAP MUZIK」。アルバム表題曲にして一曲目。




●T.I.「RUBBER BAND MAN」




●T.I.「WHY YOU WANNA」。サンプルネタはホームレス女性が路上で歌を歌う内容なのにビデオが豪華。




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