●最近は、大物が亡くなる。
高倉健さん。菅原文太さん。二巨星堕つ。

高倉健さんは…小学生の時に見た「南極物語」か。ナニゲに今あのサントラ聴いてみたい。80年代シンセ観点で。アレって VANGELIS でしょ。

菅原文太さんは…大学生の時にビデオ屋に通って「仁義なき戦い」シリーズ1973年〜を全部観たっけ。一方で「仁義なき」の直前期に制作された「現代やくざ 人斬り与太」1972年の方がワイルドで衝撃的だったのを覚えてる。
●ボクの中での文太さんの最高傑作は、長谷川和彦監督「太陽を盗んだ男」だ。核爆弾を自力工作して政府を脅迫するテロリストを沢田研二が主演した怪作で、菅原文太さんはこの主人公を異常な執念で追い詰める警部を演じる。クライマックスで沢田研二に迫る文太さんは、拳銃で撃たれようとも何度も立ち上がる驚異の闘志を剥き出しに…というかもうゾンビみたいで薄気味悪いほどの迫力。
●彼が、3.11以降状況をきっかけに、映画界を離れて農業に携わっていった局面も、ソーシャル経由でリアルタイムに知り、考えさせられたっけ。あれだけのキャリアを、あの年齢で投げ打って、そして新しい挑戦に立ち向かう。なんという勇気だろう。
●娘ヒヨコは、テレビを見ながら「あ!この人、赤犬でしょ!顔が赤犬!」。マンガ「ワンピース」の登場人物に、文太さんそっくりのキャラクターが登場する。その名前が赤犬。昭和の名俳優をモデルにしたキャラが「ワンピース」にはいくつか登場する。松田優作青キジ田中邦衛黄猿。そして勝新太郎藤虎。ヒヨコ、よく反応したなー。

赤犬マグ

●これは大阪・USJで買ったワンピースマグ菅原文太さんをモデルにしたキャラ、赤犬。そして、青キジ、黄猿もプリントされてる。ボクのお気に入りで、これでミルクティーを飲むのが好き。実は、ボクはマグカップ集めも好きで、各地でキッチュなノベルティものとかをついつい買ってしまうのだ。


一方で、美術界の巨星も堕ちた。
●先月10月26日、赤瀬川原平センセイが亡くなった。77歳。
●ツイッターアカウントの様子から、随分前から体調を崩されているようだったが…。とても残念。読売アンデパンダン、ハイレッドセンター、千円札裁判、路上観察学会、超美術トマソン…。とかくシリアスになりがちな前衛美術をユーモアをもって表現し、視点の変化でナニゲナイ世界の風景をユニークで意味深い鑑賞対象に変換する鮮やかさ。ボクは彼を尊敬していた。
●だから、彼の著作を今読んでいる。

赤瀬川原平「ちょっと触っていいですか 中古カメラのススメ」

赤瀬川原平「ちょっと触っていいですか 中古カメラのススメ」
●大学時代にマニュアルの一眼レフカメラを少しだけいじってた覚えがあるが、もうてんでカメラ気分なんて忘れてしまったボクに、ここで紹介されてるハイパービンテージのカメラなんて全然理解できない。1930年代のカメラとかが出てくるのですよ。音楽で喩えれば戦前のジャズやブルースを75回転のSP盤レコードで聴くような感覚、古すぎて渋すぎてボクのような小僧には手に負えない世界。しかもドイツ製だったり日本製だったりソ連製だったり。名前が、キネ・エキザクタとか、プラウベルマキナⅡS とか、アグファ・スーパージレッテとか。もうスゲエ強そうなモビルスーツ/モビルアーマーみたいだよ。専門的なパーツの名前も全然理解できない。クイックリターンミラー、フィルムマスク、ギロチンシャッター、絞り羽根、軍艦部、ドレーカイル方式、よく意味のわからない言葉がいっぱい出てくる。正直苦痛なほど意味不明。
●ただし、赤瀬川センセイの、細かい観察と対象への愛情、細部への注意と制作者/メーカーへの敬意が、積み重なる意味不明の言葉の中からナゼか伝わってくる。実に丁寧なカメラ本体のスケッチにはじまり、パーツの触り心地から金属の質感、機構の緻密さやシャッターの音、などなどをじっくりと描き出す。そう、カメラに限らず、彼の仕事を最初から最後まで貫いていた縦軸は、「ちょっと触っていいですか」的な…大切な対象を謙虚かつ誠実に愛でる感覚なのだ。これに大きな敬意を感じる。

●ボクは、毎日のように音楽を聴いて、本やマンガを読んで、映像を見たりしていて、このブログにただひたすら感想を書き散らかしている。多分、ヨソさまには意味がわからないと思う。ときどき他人様が書いてる音楽関係のブログを読んだりするけど、アプローチが違いすぎて自分の奇形性に呆れることもある。でも、対象に対していつも誠実でありたい。ただそれだけを考えている。その時、赤瀬川センセイのように、ありたいと思うことがある。彼は、ボクにとって憧れの存在だったんですよ。

●職場の後輩の女の子。二眼レフのビンテージカメラで6×6の写真を撮ってるとな。いつも細身のパンツにブーツを合わせて履いている。ボクは今、自分の目の前の景色に価値を発見する神経を腐らせてしまってるよ。

赤瀬川原平さん死去(赤瀬川原平センセイ。2011年の写真)



●もう一つ、残念なニュース。

PEZ「I WANT YOU」

PE'Z「I WANT YOU」2010年
「侍ジャズバンド」PE'Z が来年いっぱいをもって解散することを発表、15年間の活動に終止符を打つ。
PE'Z は好きだった…ライブも何回か見に行ったし、その度、彼らの迫力ある演奏にシビれた。たまたまジャズバンド編成の形をしていたけど、単純に渡来文化としてのジャズを真に受けるような性質のバンドでもなかった。ジャズのようでジャズじゃない…いい意味で非ジャズの違和逸脱感を常に抱きしめているのがこのバンドの不思議さであり最高の魅力だった。いわゆるジャズよりも、もっと乱暴で奔放でワンパクでヤンチャで、でも正確なアンサンブルがキレキレで。突然海外のレーベルと契約したり、しかもそれがオランダ発のヘヴィメタル専門レーベル ROADRUNNER だったりと、マジで先が読めないバンドでもあった。90年代以降のジャズだというのに、アシッドジャズやクラブジャズの影響を一ミリも受けてない。これも希有だった。唯一無二のバンドだったのだ。

●今手元にある新しめのアルバムがコレ。実はしばらくこのバンドに遠ざかっていたな。いつも PE'Z は PE'Z らしくあって、常に変わらずこのまま突き進むだろうと、勝手に安心して、なんとなく目を離してしまったんだな。公式サイトの発表〜ドラムのさんがこう綴る。「いつの間にか…俺たち5人がPE’Z っていうバンドを追いかけるようになってしまったんだ。PE’Z はこうあるべきだ、とか、PE’Z なんだからこうしなくちゃ、とか、PE’Z らしい音楽をつくらなくちゃとか…これって、何かちがうんじゃないかって5人全員が思った。」PE'Z は止まらないし、音楽も止まらない。がゆえに、バンドは解体されるべき。そうかー。残念だが、潔い決断だ。
●一曲目から、オチャメにベートーベンの第五番「運命」をカバー。持ち前の明るさを振りまきながら、ハイテンポで疾走していく。ヒイズミマサユ機の歪んだキーボードがヤンチャすぎていつも通り最高。後半はファンク要素がいつもよりやや粘ってサンバにまで突入。まさしくドタバタと激しく突進していく暴走機関車。その上で、OHYAMA "BMW" WATARUトランペットが太く雄々しい輪郭線をクッキリと描いて…そして遠く広い地平線が見えて来る。そんな音楽。に、ゆったり身を預ける。浸る。

PEZ × 土屋アンナ「UHA-UHA : 暴食系男子」

PE'Z × 土屋アンナ「UHA-UHA / 暴食系男子 !!」2010年
土屋アンナとバンドがコラボしたシングルを、MVを収めたDVDとともに、ムックとして宝島社がリリースしたという不思議なケース。雑誌付録に RAG-TAG のポーチ付きってのは、宝島社の必殺技だが、速攻でなくしたので覚えてない。
●ココでの土屋アンナが、なんだかデタラメでスゴイ。へんな節回しをつけてるのは笠置シヅ子みたいな昭和日本語ブギウギーな感じを狙ってるんだろうか?歌詞の内容は草食系男子を煽ってオマエもっとガッツケよと噛み付く気分ーてかアンナさんあなたが一番ウハウハ暴食系ですよって感じ。白兵戦は死ぬほど得意な筋肉質バンド PE'Z がニッカポッカをはいてこの暴食&食逃げ上等の姫君をおもてなし。お似合いっちゃーお似合いの組み合わせだね。MVは下北沢 GARDEN でのライブの様子もあって。バンド&姫がシモキタ南口商店街方面を歩くシーンもある。
●基本的にインストバンドであり続けた PE'Zボーカルを入れたケースは実は稀。シンガーソングライター SUZUMOKU と合体した短命ユニット PE'ZMOKU の他は、この土屋アンナと UK のソウルシンガー NATE JAMES とのコラボシングルしかない、と思う。NATE JAMES とのコラボシングル「LIVE FOR THE GROOVE」は爽やかな R&B チューンで、60〜70年代スロウバックな気分が最高の、神盤だ。


●ついでにさ、土屋アンナもいくよ。

土屋アンナ「STRIP ME ?」

土屋アンナ「STRIP ME ?」2006年
ボク、この人、基本的に大好きなんですよ。最近はよゐこと一緒にテレ朝「無人島0円生活」に出たりと、ただのバラエティ向けお姐さんになっちゃってるかもしれない。ルックスと言動がヤンキーすぎるような気もする。でもこの2006年前後の彼女は、中島哲哉監督の「下妻物語」蜷川実花監督の「さくらん」で女優として異彩を放っていた。それ以前の青文字系女性誌でモデルとして活躍する彼女も好きだった…「CUTIE」とか「ZIPPER」とか。ショートカットのティーンモデルだった彼女は、少年のようにも見えるユニセックスな存在で間違いなくクールだった。

●マンガ「NANA」の実写映画化で主演が中島美嘉になった時、いやいや土屋アンナこそがふさわしいだろうと考えていた。あのゴスパンククイーンをあの時点で最高に演じ切れるのは彼女しかいないと思ってた。一部で同じことを考えてた人もいたのだろうか?アニメ版「NANA」では土屋アンナが主題歌&歌唱キャストを担当。このアルバムにはそこで使われていた楽曲が収録されている。「ZERO」「ROSE」というギターがソリッドな疾走パンク。ハスキーな声が破滅に向かって急降下して空気との摩擦で発火しそう。燃え尽きてもいいから速く遠くへ疾走したい焦燥感が眩しい。さすがハーフ、達者な英語での堂々としたシンガーっぷり。土屋アンナ名義での初めてのフルアルバムとは思えない貫禄。CYNDI LAUPER「TRUE COLOR」のカバーも気持ちイイ。こういう、小細工なしのストレートなガールズパンクをヤリきる人って実は稀かもしれない。
●DVDのMVでカメラに様々な表情を見せる彼女の様子、久しぶりに見返して、ホレボレしちゃった。まだ二十歳を超えたばかりの土屋アンナ。若くて生意気。

土屋アンナ「NUDY SHOW !」

土屋アンナ「NUDY SHOW !」2008年
●アニメ版「NANA」関連の曲を含めながらも、ギターパンクを軸にした前作に比べてバラエティの幅を広げた内容…なんだけど、やや作風がバラけて散漫な印象も。パワフルソウルシンガー AI をフィーチャーしたり、仙台のロックバンド MONKEY MAJIK を召喚したり。いろいろな可能性を試してみたい段階だという気持ちはわかるし、バラエティ感溢れるショーアップを心がけた努力もわかるけど、ヒリヒリするギターパンクの様式に、もっと深くダイブしていて欲しかったかもしれない。だって彼女、パンクだもん。ヤンキーで、ハスッパな駄々っ子だもん。器用なコトをボクは期待していないんだ。




●動画でも見る?それは続きで。


●「南極物語」のテーマ、VANGELIS「THEME OF ANTARCTICA」1983年。
●小学生時代からマトモに聴いてなくても、耳に残り続けるフレーズと音響。




●PE'Z × 土屋アンナ「暴食系男子!」
●全然関係ないけど、ボクがメガネ取ったら、ピアノのヒイズミマサユ機に似てるって言われたことあった。まー普通の人には意味わかんないでしょうけど。映像の最初と最後が下北沢南口商店街方面。




●土屋アンナ/ANNA inspi' NANA(BLACK STONES)「rose」:アニメ「NANA」主題歌
●彼女が SEX PISTOLS「ANARCHY IN THE UK」をカバーしてるのがあるんだよねー。それも聴きたい。




●土屋アンナ「TASTE MY SKIN」
●ゴスパンクステージよりも、ポールダンスのバーレスク風よりも、短い髪の毛と60年代 BRIAN JONES 風ジャケットに身を包んでタバコをくゆらすボーイッシュな彼女が好き。




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