●全然脈絡ないけど、新橋駅前SL広場の目の前にある「椿屋珈琲店 新橋茶房」という実に昭和チックな喫茶店に入ったら、ウエイトレスさんの制服が、完璧なメイド服でビックリした。おそらく世間とは無関係に昭和から継承してるであろう制服なのだが、アキバ系よりもずっと正統王道のメイドスタイル。めちゃかわいくてドキドキした。コーヒーはレギュラーで930円と新橋にしてはいきなりハイコストで、そこもびっくりした。


娘ヒヨコ小学6年生の成績が暴落。
●前々回模試で偏差値40台まで下落していたトコロを、アレコレ手を入れて前回模試で偏差値60台まで持ち上げてホッとしていたのもつかの間。やっぱり付け焼き刃じゃしょうがないのか、なんと偏差値30台まで大暴落。取ろうと思っても偏差値30台ってなかなか取れないよ…。塾の先生も「乱高下が激しすぎます」と心配顔。本人は…「ちょいとヘコむー」と危機感があるんだかないんだか。結果最近は、ボク自身が作文の添削まで始めることになった。マジ大変。

そこで、神頼みまで始めることに。
●上野公園に「おたぬきさま」がいるという。お稲荷さんじゃなくてタヌキ。

上野東照宮地図

●場所は、上野公園の動物園のワキの方にある、上野東照宮の中。

上野東照宮

上野東照宮ってなんですか。
●上野公園にある寛永寺は、江戸時代において徳川将軍家の菩提寺として、芝・増上寺と共に歴代将軍の墓所を一代交代の順番で担っていたお寺。この寛永寺の上野の山に大きな伽藍の一部をなしていたのが、この上野東照宮寛永寺は、江戸幕府最初期のブレーン・天海上人が家康に働きかけて作ったもので、そのパーツを一部となるこの上野東照宮は、戦国期に足軽から身を起こして秀吉〜家康に仕えた藤堂高虎という人物によって建てられた神社。日光東照宮と同じで、徳川家康を祀っている。おまけに八代将軍・吉宗、十五代将軍・慶喜も祀っている。
●比較的ハジっこの目立たないトコロにあるので、存在は知りつつボクも初めて見た…ら、すげーゴールドなウルトラバロック建築でビビる。三代将軍・家光がわざわざ改築してこのヤリ過ぎなキンピカスタイルに仕上げたという。藤堂高虎日光東照宮の造営にも関わっているので、きっとこの上野東照宮も現場のスタッフがカブっているのかも。カラフルな装飾彫刻の中には様々な動植物が彫り込まれてて、いやいや見事なもんだ。参拝客は日本人より外国人が多い…ガイドブックにしっかり紹介されてるのかな?みんな手元に本を持ってやってくる。

おたぬきさま

で、その敷地の隅っこに、ちんまりとしたお社がある。これが「おたぬきさま」
●拝観料500円を払うと、この東照宮本殿をさらに間近に見られるのだけど、その有料内側エリアの中、神木大楠の隣にあるのがこのお社。正式な名前は「栄誉権現」とされてる…「四国八百八狸の総帥。奉献された大奥で暴れ追放後、大名、旗本諸家を潰し、大正年間本宮に奉献された悪業狸。他を抜く(たぬき)強運開祖として信仰が厚い。縁起日は五の日」。うーむ、意味が微妙にわからない。悪い妖怪タヌキじゃないか/
●むしろ英語解説の方がわかりやすいか。「O-TANUKI-SAMA (RACOON DOG) 以下ボクの訳:江戸時代にわたってコレは災厄を招く"タヌキ"の霊として信じられていた。しかし大正時代以降は"タヌキ"は凶事を予防するものになった。災厄を減ずる"タヌキ"の名前を日本人は変えて、敬意をこめて"おたぬきさま”と呼ぶようになる。とくに、試験での成功や勝ち誇るべき人生を体現する神格と信じられている」へー。

たぬき絵馬

●絵馬も買って奉納しました。かわいいタヌキ絵馬。これで他の受験者を出し抜くのじゃヒヨコ。
絵馬に関しては、外国のお客が書いたものがすごく多くてびっくり。英語はもちろん、中国語からタイ語、ロシア語、スペイン語、アルファベットを使ってるけど綴りが不思議でどこの言葉だかさっぱり分からないモノなどなど、すげーインターナショナル!これはおたぬきさま自身もびっくりしてると思う。いかに強運開祖でもこんなにグローバルなオーダーはサバけない気がする。


進撃の巨人展

●一方で興味深い催しが。「進撃の巨人展」@上野の森美術館
●全日予約制で当日券も売り切れとった…それでもすごい行列。残念ながらこの大きなポスターを眺めておしまい。今年注目のデバイス・オキュラスリフト「立体機動装置」360°映像体験が出来るってのも目玉らしいけど、それだけで75分の行列が出来てた。むむむ。ジョジョ展といいワンピース展といい、人気マンガの展覧会は最近弾けすぎじゃなかろうか。

諌山創「進撃の巨人」15巻 「ブルータス」2014:12:1 特集「進撃の巨人」

諌山創「進撃の巨人」15巻
「ブルータス」2014/12/1号 特集「進撃の巨人」
●マンガの進展では、巨人の襲撃から身を守るために人類社会が「壁」の中に身を隠した100年余&それ以前の歴史が、為政者たちによる様々な欺瞞によって改竄されているらしいこと、そしてそれは人間を捕食する謎の巨人たちの存在にも関わっているらしいこと、という状況までが突き止められた。大土地所有者である貴族階級とそれに担がれる王家による非民主的な寡頭制政権は、主人公たちが加わる軍隊・調査兵団のクーデターにより打倒され、この奇妙な世界の全貌が徐々に明らかになる気配。

●壁という防衛線が巨人の攻撃により突破されるごとに、活動領域を縮めざるを得ないこの作品世界の人類の様子は、ある意味で人口減少局面の日本を象徴しているかのように思えてきた。巨人の侵略&殺戮のような目に見えた惨事はなくとも、この現代日本は人口減少でその活動領域を急速に狭めている。豊かな国土を維持できないで放棄する局面が、離島部で、山間部の集落で、すでに実際に始まっている。人口減少という見えない壁に、日本社会は取り巻かれ、徐々に活動領域を狭められているのだ。ある朝、辛坊治郎さんの番組を見てたら、五島列島の一部にある人口2人の島が紹介されていた…高齢化が進み島民が離れ、とうとう90歳代と70歳代の母娘しか住民がいなくなってしまったのだ。この島と比較的人口のまとまった島を結ぶ定期フェリー便に大きなコストがかかる。迷惑をかけたくないと2人は島を離れる決意をしている…そんなレポート。
●限界集落を維持するための社会的インフラを維持するコストが地方財政を圧迫し、むしろ経済的効率化のためには僻地の集落を放棄して地方の中核都市郊外まで出てきてほしいという本音(選挙では絶対言えないけどね)も見えてくる。以前紹介した書籍「地方消滅」は、これを人口減少時代の「撤退戦」と呼んだ。東京一極集中にも当然救いはない。いまさらの道州制的地方分権にも救いはない。しかし農業/林業/漁業生産力に富む地方経済が機能停止し、高齢化による医療/介護施設需要が分散して社会的負担になるのはすでに目の前の現実。そんな事態が致命的になる前に、真実に目を向け防波堤を築く必要がある。市町村の枠を超えて地方社会のインフラ分業と効率化をその状況にフィットさせる形でデザイン改造する必要がある。
そんな危機は、マンガに描かれる壁の中の人類に隠喩されてるモノかもしれない。活動領域を狭められた社会は、その限られた資源を奪い合うカオティックな緊張に取り囲まれている。富む者はその富を独占し、貧する者は困窮の底に叩き込まれる。それに無策な政治は、マンガの中においてはクーデターで打倒された。これが現実のモノとならないことを願う。




●で、前段の文脈とは関係なく、今日はヒップホップ。
しかも、テキサス州ヒューストンのヒップホップを聴いております。

サウス系ヒップホップと一口に言っても、広大なアメリカ南部にはたくさんの音楽拠点があります。ジョージア州アトランタ。ルイジアナ州ニューオリンズ。フロリダ州マイアミ。そんでテキサス州ヒューストン。それぞれの街にはそれぞれの個性あるシーンがあって、それぞれの音楽が鳴っております。
●ただ、ヒューストンのローカルシーンって、ボクにとっては最奥部というか、一番遠くにある世界。アトランタはド王道、マイアミでも日本盤が流通する中、ヒューストンのローカル音源はメジャー流通してないし、日本じゃよっぽど意識しておかないと入手できない。そんな奇妙な好奇心から、わざわざアメリカAmazonのマーケットプレイスから取り寄せた音源が実は手元に何枚かあって。それを引っ張り出して聴くのであります。


LIL KEKE「BIRDS FLY SOUTH」

LIL KEKE「BIRDS FLY SOUTH」2002年
●実は購入してから数年放ったらかしてた…。それこそインディ音源でクレジット情報も足りなくて、トラックメイカーも全然知らん人ばかり(SOLOMR.MISTERSINCLAIRBEEZIE2000?)。ただ、この人 LIL KEKE男気プンプンのマイクフロウが実にソウルフルかつ力強くて気に入った。以前アトランタのラッパー T.I. を紹介した時にも注目した「トラップ・ミュージック」のポイント、偶数拍にスネア/ハンドクラップに「ペチッ」とした音を鳴らすマナーは、サザンヒップホップの特徴として引き継がれながらもあくまでアクセント程度の存在。ややテンポを落としたゆるくルードな倦怠感、セクシーで野太くウネる手引きのベースラインが、緊張感あるスキルフルなラップフロウとキャッチーなフックラインと相まってワイルドなファンクネスを醸して実に渋く決まっている。ヒューストン発のスタイル、スクリュー(音源の回転数をさらにテンポダウンしてディープなドープネスを獲得する手法)もボーナストラック的に収録されてる。これまたやっぱりファンキーで渋い。
●この一枚で、ヒューストンのヒップホップって改めてスゲえんじゃね?という気分になった。以前、この地域の90年代からの大物デュオ UGK を紹介した時も感じたが、独自のファンクマナーがこの街にはある。そこでこの街のラッパーたちの音楽をもっと掘り下げる。

LIL KEKE「LOVE BY FEW HATE BY MANY」

LIL KEKE「LOVE BY FEW, HATE BY MANY」2008年
●1997年に初めてのアルバムをリリースしてから12枚目のアルバムにして、初めてのメジャー流通盤(UNIVERSAL MOTOWN)。ソウルフルなマイクフロウとキャッチーなフックラインが体を揺さぶる LIL KEKE の個性は全くブレないし、独特なファンクネスも変わらない。メインのトラックメイカーは MR.LEE という人物 … ヒューストンの顔役とも言える存在のようで、打ち込み主体のバウンシー/トラップなトラックはサザンマナーの王道。結果的にルードでルーズなコッテリ感がグルーヴに沈殿し、奇妙なレイドバック感覚がクセになる。

DEVIN THE DUDE「JUST TRYIN TA LIVE」

DEVIN THE DUDE「JUST TRYIN' TA LIVE」2002年
LIL KEKE とほぼ同時代を活動しているヒューストンのラッパー。少々鼻歌っぽく節をつけてつぶやくようにラップするメロウなフロウとスムースなフックが特徴的で、それが却ってレイドバックなマリファナ酩酊感につながるコクまろなアプローチが批評家の中でも評判らしい。やや高い声で、ガナらない所がややナードラップっぽくもある。が、その微妙な按配の地味さ加減が商業的成功にはさっぱり結びつかないとか。質感だけではサザンヒップホップのバウンシーなマナーとは関係が薄い印象、むしろ西海岸のGファンク的なダークなファンクの香りさえ漂わせる。これがさらに地味な渋みを演出する。これは彼のセカンドアルバム。
●トラックメイカーのクレジットを見ても、さすがにボクにはさっぱりなのだが、MIKE DEAN、DOMO、という人物がメインで手がけている(ああ、いまWIKI見たら MIKE DEAN は最近の KANYE WEST のツアーミュージシャンを担ってるわ)。一部で DR.DRE、DJ PREMIER、RAPHAEL SAADIQ もトラック提供。ODD SQUAD という連中がフィーチャーされているが、元来は DEVIN 自身が所属するラップデュオで、ここでの相棒は BLIND ROB QUEST という男。名の通り盲目のラッパーで、トラックメイカーとしてもクレジットされている。
●レーベルは RAP-A-LOT RECORDSJ PRINCE という男が80年代にヒューストンで立ち上げた老舗で、サザンヒップホップの先駆、SCARFACE 率いる GETO BOYS もここから活動を始めた。ラップデュオ UGK のメンバー BUN B PIMP C もソロはここからリリースしている。前述トラックメイカー MR.LEE もこのレーベルの関係者らしい。流通としてはメジャーと連携し大きな存在感を示している。

DEVIN THE DUDE「WAITIN TO INHALE」

DEVIN THE DUDE「WAITIN' TO INHALE」2007年
●相変わらずサザンマナーにはとらわれないスタイルで、囁くような語り口で独特のラップを聴かせる4枚目のアルバム。鼻歌フロウの気分も高まってナードラップの気配が濃密に。打ち込みの度合いは高まったが、バウンシーな感覚とは無縁の東海岸的流儀のメロウネスが聴くものをチルアウトさせる。この雰囲気には客演の SNOOP DOGG ANDRE 3000 もシックリしている。ああ後半にかけては完全にサウスものと無縁の R&B アプローチまで登場してきた。スウィートすぎるほどだ。THE O'JAYS THE OHIO PLAYERS をサンプルしてるくらいだからね。フロア向けじゃなくて、夜しっとりと聴きたい音楽だ。
●90年代末から長く RAP-A-LOT RECORDS の看板を担ってきた彼だが、このアルバムの翌年に移籍。ニューヨークのレーベルと契約する。

Z-RO「CRACK」

Z-RO「CRACK」2008年
RAP-A-LOT に今も所属するラッパー。LIL KEKE DEVIN THE DUDE とやはり同世代。RAP-A-LOT と早くから契約し数々のアルバムを出してきたが、このキナ臭いタイトルのアルバム「CRACK」の後には、「COCAINE」「HEROIN」「METH」「ANGEL DUST」アルバムタイトルにドラッグの名前を羅列していく悪趣味野郎。と思って、どんな奴だろうと思ってアマゾンで入手。実際バリバリのゲットー育ち、ストリートの売人上がりという経歴があるというので、もっとドロドロしてた内容をイメージしてたが、ワリと軽いトラックに朴訥としたフロウを淡々と並べるシンプルなスタイルにやや拍子抜け。しかしこの朴訥フロウとテンポが遅いトラックは、結果としてレイドバックした薄暗い倦怠感を醸していて、気分のよいモノには仕上がっていない。その苦さをそのまま興味深いと思って聴く。ドラッグと相性がいいという、本作のチョップド&スクリュード&・バージョンアルバムは別にキチンとリリースされたとな。ミックステープものが追いきれないように、ボクはチョップド&スクリュード・アルバムも追いかけてない…え?追いかけたほうがいい?
ヒューストンの代表的ヒップホップクルー SCREWED UP CLICK には、スクリューの創始者 DJ SCREW から LIL KEKE、そしてこの Z-RO、後述する YUNGSTAR LIL FLIP も所属している。スクリューというスタイルと、ヒューストン人脈は絡み合ってシーン一体を形成している。一方で、創始者の DJ SCREW はドラッグ禍で2000年に死去。スクリューはシロップと呼ばれるドラッグをキメて聴くのがお行儀のようだが、やっぱり当たり前のように健康に悪い。

YUNGSTAR「THROWED YUNG PLAYA」

YUNGSTAR「THROWED YUNG PLAYA」1999年
●彼、YUNGSTAR が90年代前半に SCREWED UP CLICK へ加入してラップを始めたのはなんと10歳の頃らしい。なるほどヤングスターだわ。そんな早熟な彼の、しかも1999年と今日の音源の中でも特に古い音源とあって、バウンスマナーもまだカッチリと取り込まれていない。同時期のウェッサイなGファンクマナーの方が親近感があるかもしれない。TONY TONI TONE「IT NEVER RAIN IN SOUTH CALIFORNIA」ネタなどを用いて歌い上げる「GRIPPIN GRAIN」は染みるね。DESTINY'S CHILD「BILLS BILLS BILLS」もネタにして弾き直してる。青さの残る声で器用なラップを披露するがやや重さが足らぬか。しかし差し込まれる気持ちの良いシンガーのフックラインが楽しいし、クレジットに見えない仲間の客演もバラエティに富んで飽きさせない。最後は、17分間以上を仲間たちと次々にマイクリレーしていく「*JUNE 27」。多彩なスタイルのラップがブンブンと飛び交うスリルがいい。
●ジャケは、当時一世風靡していたデザインチーム PEN & PIXEL GRAPHIC が担当。CASH MONEY NO LIMIT などサウス系新興レーベルのブリンブリンなジャケデザインは全部彼らが担っていた。ムダに豪奢でギラギラ光りものを配置するイメージは、個人的には最初ついていけなかったねえー。ココではなぜかママにシリアルをご馳走してもらってるけど、よく見るとシリアルじゃなくて全部ダイアモンドじゃないか。豪邸の前でメシ食うのも意味不明だが、その豪邸の左右には観覧車とジェットコースターが。どこまでマジでどこまでふざけてるのか見当がつかない。
●その後このアルバムは収録曲を増やしジャケも変えて 2CD で再発されてるらしい。今から買うならソッチがオススメでしょう。

LIL FLIP MR CAPONE-E「STILL CONNESTED PART 3」

LIL FLIP & MR CAPONE-E「STILL CONNESTED PART 3」2008年
●たしか、秋葉原タワーレコードの激安ワゴンにて100円で発見した一枚。LIL FLIP は強面のクセしてなぜか四つ葉のクローバーをシンボルにしちゃう奇妙な趣味のラッパーで、何枚か聴いてきたけど全然好きになれなかったのが本音。しかしそんな彼が、ロサンゼルス・チカーノラップの大物 MR CAPONE-E と共作ってのはナカナカに興味深い。しかも「PART 3」というからには3回目?ロスのチカーノラップも日本じゃ思うように入手できないから嬉しい買い物だ。LIL FLIP SCREWED UP CLICK の一員ってのはすでに触れたね。
MR CAPONE-E LIL FLIP のどちらに主導権があるのか?気分としては西海岸マナーのGファンク〜チカーノファンクの気配が美味。うねるベースと甘いキーボードのライン、程よい気だるさ、歯切れのイイラップがウエッサイのドライブミュージックとして高機能。本当はチカーノラップはもっと掘り込みたい領域。2007年に急逝した UGK の片割れ PIMP C へ捧げられた曲「WE MISS YOU」がトークボックス使いで実にセンチメンタル。ヒューストンマナーの打ち込み色強目のバウンスビートは LIL FLIP の芸風だが、トラックがややスクエアすぎるかも。

CHAMILLIONAIRE「ULTIMATE VICTORY」

CHAMILLIONAIRE「ULTIMATE VICTORY」2007年
●この人もヒューストン出身のラッパー。カメレオンとミリオネアという単語を合体させてカミリオネアと読む。とメモっとかないと、いつも名前を噛んでしまう。キャリアの初期は後述するラッパー PAUL WALL とコラボを重ねていて連名アルバムもリリースしている(PAUL WALL と共に THE COLOR CHANGIN' CLICK というグループも結成…この辺で体の色を変えるカメレオンのイメージが出てくるみたい)。地元レーベルの SWISHAHOUSE に残ることを決めた PAUL WALL と違って、首都直結のメジャー契約を求めた彼は UNIVERSAL MOTOWN から2005年にデビュー。ここで見事にブレイクしてのセカンドが本作。
しかしメジャー仕様とあってスケールがデカイトラックが目立つ。ヒューストンマナーとは関係ないかのような、地域性を超えた内容という印象。シングル「HIP HOP POLICE」で下敷きにされてるのはロスの Gファンクだし、バウンス系のトラックもヒューストンマナーを超えた派手さがアトランタやニューヨークっぽくもある。「INDUSTRY GROUPIE」ではなんとハードロックバンド EUROPE「FINAL COUNTDOWN」のあのシンセフレーズをまるっと大ネタ使い。LIL WAYNE 召喚の「ROCK STAR」はエレキギター使いのド派手なアトランタ・クランク風。ゲストも豪華。UGK BUN B & PIMP C 両雄が別個に参加。そして DEVIN THE DUDE という地元組から外様メジャープレイヤー、KRAYZIE BONE、SLICK RICK、K−CI みたいな連中まで召喚している。

PAUL WALL「FAST LIFE」

PAUL WALL「FAST LIFE」2009年
●前述の CHAMELLINAIRE と盟友関係にあった PAUL WALL は珍しいことに白人ラッパー。とはいえタトゥーだらけの巨漢ぶりに、歯が全部ギラギラプラチナ仕様のブリンブリンで貫禄は間違いなし。彼は地元レーベルの SWISHAHOUSE と長く付き合う。このレーベルこそ、DJ SCREW が創始したチョップド&スクリュードを商業的に発展させた拠点。共同経営者の MICHAEL '5000' WATTS はプロデューサーとして活発にチョップド&スクリュードの音源を活発にリリースし、ヒューストンの重要な個性に育てる。現在は LIL KEKE もこのレーベル所属。1997年創始とはいえ、もはや名門。なんとなく日本語の「水車小屋」を連想させる名前は…よく由来がわかりません。
●で、この SWISHAHOUSE も流通契約ではメジャーとつながってまして。2005年のアルバム「THE PEOPLE CHAMP」で全国区ブレイクを果たしてから、この PAUL WALL もキャリアをメキメキと伸長。本作では地元から南部全域から全国区からゲストを召喚。地元ヒューストンから Z-RO、LIL KEKE、チカーノ系ラッパー BABY BASH、アトランタから GORILLA ZOE、YUNG JOC、ルイジアナから WEBBIE、西海岸から TOO SHORT などなど。トラックメイカーは相変わらずボクの不明でよくわかんないんだけど、チカーノ系だったはずの HAPPY PEREZ と地元系の XFYLE という人物は他の音源でも見たことがある。
●そんな布陣で鳴らすのは、打ち込みでガチッと組み込まれたスクエアなシンセグルーヴ。その無機質なカッチリ感の中を、ドロドロとした個性のラッパーたちがベロベロと泥を塗るように有機物へと変換していく様子が、いかにもサウスバウンスな典型的な構造。


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