●ある日の風景。フレッシュネスバーガー富ヶ谷店。

フレッシュネスバーガー富ヶ谷のガーベラ

それぞれのテーブル全部に、ガーベラの一輪挿し。
●かわいらしい花にガラスの小瓶。ファストフードのお店で、こんな小粋なものをテーブルに置いてくれてるなんて、ちょっと贅沢でステキだと思った。




●しかし、全然やる気が出ないブルーな今週。仕事がキツイ。
だから、ルードなグルーヴで身を揺さぶる。

BIRDMAN「5*STUNNA」

BIRDMAN「5*STUNNA」2007年
サザ〜ンヒ〜ップホ〜ップ。もー今日のボクは体調も悪くて集中力も持続しない。最悪なほどダルスギルので、だる〜いヒップホップを聴きたいのだ。だからこのサザンヒップホップの中心部にいるコイツの音源を聴く。
●この男、BRYAN WILLIAMS、またの名を BIRDMAN、またの名を BABY、またの名を THE #1 STUNNA、その本業は、ルイジアナ州ニューオリンズを拠点にしたサザンヒップホップの重要レーベル CASH MONEY RECORDS の社長。音楽業界を見事にハスリングして、たっぷり儲けた結果、豪邸の庭に停めたどでかいロールスロイスにゆったり寄りかかって、首からブリンブリンなネックレスをぶら下げてる。完全にチンピラな風体。
●しかし、儲けたなら儲けたなりの音楽をシャキッと作ればいいのに、コッテリ味の脂っこいヒップホップを鳴らし続けてる。つーかそもそも社長が自分ででしゃばるなよー。といってもヒップホップ業界では、社長がラップをするか、ラッパーが社長なり役員を務めるのは、もはや当たり前のことだからしゃーない。
●そもそも本業が社長だから、技巧的なラップが期待できるはずもなく、醸す味わいで勝負するしかない。グチャッとひしゃげた声をズルズル引きずるような感覚で、ドロリとしたラップを垂れ流す。そのルードネスが、今はボクの気分にフィットする。トラックも、CASH MONEY が全国区で注目を集めた1998年段階のダーティサウス・マナーを本質の部分でそのまま踏襲する。全部打ち込みで構成しているバウンスビートなのに、不穏に響く太いベースの作用か、沼地を這い回るような泥臭さがトラックに染み付いている。おなじ南部でも、アトランタの洗練されたヒップホップとは一線を画すニューオリンズ独特の湿度の高さ、ぬめり気の高さ。結果として見事にレ〜イドバ〜ック。ああ仕事したくない。
●客演には、義父子の契りを結んだかのような親密過ぎる関係を持つ LIL WAYNE が随所で登場。彼をフックアップして今のキャリアを作ってあげたのも社長としてのコイツの手腕だからね。これまた LIL WAYNE のアクの強すぎる声が印象深い。JADAKISS、YOUNG JEEZY、RICK ROSS など南部エリアの各地からクセモノが集まっている。トラックメイキングに有名ドコロの起用は少ない。TMIX ってヤツが活躍してるな。A&Rディレクターに DJ KHALED の名前が見える。彼もニューオリンズ生まれ。ラジオDJ から立身してプロデューサー、アーティストに成長、この後に DEF JAM SOUTH の社長になってる。

BABY AKA THE #1 STUNNA「BIRDMAN」

BABY A.K.A. THE #1 STUNNA「BIRDMAN」2002年
社長、ナニ気にホントたくさんアルバム出してるんだよね。今年もリリース予定、それが BIRDMAN 名義での5枚目。BIRDMAN 以前は、90年代から CASH MONEY RECORDS の初期音源をすべてトラックメイキングしていた名プロデューサー MANNIE FRESH と組んでいたユニット BIG TYMERS 名義で5枚もアルバム出してる。このアルバム「BIRDMAN」は、BIRDMAN 名義としての一枚目にあたる作品で(そのへんでキャラがボケてるから BABY A.K.A. THE #1 STUNNA って名乗ってるのか)、BIG TYMERS の活動を終わらせようとしている時期。
●それでも半分くらいは MANNIE FRESH のトラックをここでも採用。MANNIE FRESHバウンスビートは、まさしく打ち込みオンリーで色気のあるサンプル一つない、実に味気ないトラックと、リアルタイムではヒドく毛嫌いしてしまった。しかし5年くらいかけてその魅力をようやく理解し、彼の手がけた音源(MANNIE のソロとか、CASH MONEY の初期看板ラッパー B.G. とか)を探しては、その密度の濃いチキチキハイハットと粘着質ファンクネスがナゼか生まれるゴツゴツしたベースワークを存分に楽しんだものだ。そしてその泥臭いサウステイストはここでもワイルドに炸裂。長年の相棒とあって BABY BIRDMANMANNIE の合体は最高のドロドロ具合。スカスカに聴こえる場面は、進化途中の脇の甘さと解釈してください。今だったら、時代モノとして理解できる。
●外部プロデューサーでは JAZZE PHA、JERMAINE DUPRI、TIMBALAND、SWIZZ BEATZ などなどバウンスビートへの地殻変動を仕掛けた全米各地の新世代プレイヤーが集合。客演では歌姫 TONI BRAXTON が登場しちゃってその瞬間だけ思い切り艶めいたり。ウエッサイな男性シンガー TQ が複数曲で涼しい喉を聴かせたり。P. DIDDY も参加してるな…一応社長対決だ。

JUVENILE「400 DEGREEZ」

JUVENILE「400 DEGREEZ」1998年
CASH MONEY の初期音源にきちんと立ち戻ろうB.G. と並んで CASH MONEY の看板スターだったこの男のラップは、そのフロウ単体に奇妙なグルーヴとファンクネスが宿っていて、打ち込みオンリーのバウンスビートを見事オノレの力で人間臭く変換してしまってる。特に大ヒット曲「HA」なんて、一つ一つのフロウの末尾全部に「ハー(またはアー)」を付け足して技術の高さを見せつける。もちろんトラックはすべて MANNIE FRESH が制作。このヘンの大成功で CASH MONEY は田舎のインディから全国区の注目を集めるレーベルになり、彼らの泥臭いダーティサウスが時代の最新鋭になる。
もう一点は、このジャケのバカバカしさですわ。これもリアルタイムで馴染めなかったわ…。デザイナーチーム PEN & PIXEL はこの時代、このバタ臭いヤリ過ぎクリエイティブで一世風靡したもんね。ブリンブリンのヒカリモノを目一杯散りばめて、意味なくギャルなお姉さんたちを配置して、豪邸や高級車やシャンパンや現金を並べてコラージュするってのが常套手段だったけど、このアルバムに関してはそんな豪華アイテムを全部地獄の業火で燃やしてるってのがミソ。この感覚、当時は全くついていけなかったわ〜。今でこそ笑えるけど、この人たちドコまでマジなんだろうって当時は真剣に考えちゃったもんね。
●客演にはレーベルメイトの B.G.、LIL WAYNE、TURK、社長のユニット BIG TYMERS などの仲間が結集。JUVENILE、B.G.、LIL WAYNE、TURK、この四人のラッパーで、HOT BOYS というユニットも作ってた。名前に工夫がない…。HOT BOY$ ともつづるらしい。CASH MONEY にふさわしい記号使いだね。ついでに言えば、HOT BOYSBIG TYMERS が合体すると CASH MONEY MILLIONAIRES というユニットになる。
「HA」はメインのバージョンと、HOT BOYS REMIX、そして JAY-Z による客演を迎えた JAY-Z REMIX と3つのバージョンが収録されてる。どれも高性能にサザンバウンス

JUVENILE「THA G-CODE」

JUVENILE「THA G-CODE」1999年
●前作「400 DEGREEZ」で全国区に躍り出た JUVENILE。このアルバムも大ヒットしました。そもそもでは、モゴモゴ言っててシャッキリしないラップぶりなんですが、それがナゼか不穏さを漂わせて貫禄に見えるから不思議。制作体制は全トラックを MANNIE FRESH が担当。ほんとこの頃の MANNIE FRESH は神がかった仕事ぶりですわ。前作同様のダーティサウスバウンスビートでありながら、キメどころのフックラインがファンキーかつキャッチーなメロディで実に耳障りがよくなった。HOT BOYSBABY 社長の客演も呼吸ぴったり、マイクリレーもスリリング、結果、単純な反復になりそうな粗末なトラックが、そのまま粘着質ファンクネスになる。このヘンの紙一重のサジ加減が絶妙。ややテンポが速くなったのもキャッチーな印象の要因か。
●この後の音源も、CD棚に埋まってるはずなんだけど発掘できない…。まーいいか。

LIL WAYNE「500 DEGREEZ」

LIL WAYNE「500 DEGREEZ」2002年
●さて、その後、CASH MONEY の主役になるのは、HOT BOYS の末弟であった LIL WAYNE だ。ユニットの年長者 JUVENILE が自主レーベル UTP RECORDS を立ち上げて CASH MONEY と距離を置き始めるにつれ、BABY 社長はこの鬼才ラッパーをかわいがるようになる。2005年にはサブレーベル YOUNG MONEY RECORDS の社長に LIL WAYNE を就任させ、BIRDMAN & LIL WAYNE の連名アルバム「LIKE FATHER, LIKE SON」なんてアルバムまでリリース。この2005年はレーベルに貢献してきた MANNIE FRESH CASH MONEY から脱落してしまう年でもあり、おまけにハリケーン・カトリーナの襲来でニューオリンズが壊滅的打撃を受けた年でもある。一つの切れ目の年だ。
●とはいえ、そこまでの存在感を備えるに至る前のアルバムがこちら。彼にしてみれば3枚目のソロアルバムで全国区になりつつある段階。でも JUVENILE 先輩を意識してか「400」から「500」に数字を増してますってのがカワイイ。でも「DEGREES」って角度でしょ。400°が500°になっても得してるのかしないのか?ジャケの地獄の業火っぷりは増幅してますが。
●もちろんこの段階ではトラック全部が MANNIE FRESH、と思ったらアトランタの JAZZE PHA が2曲を担当。トーンとしてはよりチープなバウンスビート、しかしテンポアップしてマイクフロウはよりスリリングになっている。LIL WAYNE のヤンチャっぷりがタマラン。


この CASH MONEY RECORDS の音楽は、ニューオリンズの音楽。
クレオール文化の拠点であり、ディキシーランドジャズ発祥の地、ブラスバンドの伝統、そしてニューオリンズファンクの伝統も備えている。そしてこれら黒人音楽の積み重なりの延長に、CASH MONEY も連なるという見方もある。ただ、ニューオリンズファンク、またはセカンドラインファンクといったスタイルと、このダーティサウスなバウンスビートにどんな関連があるのか、そこはボクにはまだわかってない。今後の研究課題。



●動画。
●JUVENILE「HA」。ニューオリンズって街のワイルドさが伝わるわ…。




●JUVENILE「U UNDERSTAND」。キャッチーなフックラインがいいねえ。



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